説明

車両用動力伝達装置の制御装置

【課題】エンジン制御モードが変速時のエンジン制御から通常走行時のアクセルペダル追従制御に復帰する際における、エンジンのトルク変動及び変速ショックを防止する。
【解決手段】エンジン1と変速機4との間にクラッチ3を備えた車両用動力伝達装置において、変速時にクラッチ3を断とし変速終了時に接とする制御を実行するクラッチ制御装置6にタイマー手段62を設ける。タイマー手段62は、クラッチを接とする制御を開始する時点をエンジン状態等に応じて制御する。これにより、クラッチ接続量の増加状態が変化してエンジン回転数の変化状態も変わるため、変速時のエンジン制御から通常走行時のアクセルペダル追従制御に復帰するときのエンジン状態を、制御モードの切り換えによるエンジンのトルク変動が生じない状態とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと変速機との間にクラッチを備えた車両用動力伝達装置の制御装置であって、アクセルペダルの踏込み量を基本的なパラメータとするアクセルペダル追従制御を行うエンジン制御装置と、クラッチの接続量を制御するクラッチ制御装置を備えた車両用動力伝達装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両の動向として、イージードライブを目的として変速操作あるいはクラッチ操作等を自動化した車両用動力伝達装置の普及が進んでいる。このような車両用動力伝達装置の中には、ディーゼルエンジンを搭載した車両であって、変速機として平行軸歯車機構式変速機を用いるとともに自動クラッチを配置し、かつ、エンジンと自動クラッチとの間に流体継手(フルードカップリング)を介在させた動力伝達装置が存在し、例えば本件出願人の出願に係る特許文献1(特許第3724491号公報)に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の動力伝達装置(図4参照)のエンジンは、ドライバーの操作するアクセルペダルの踏込み量とエンジン回転数とに対応して燃料供給量(燃料噴射量)を決定するエンジン制御装置を装備しており、通常走行時においては、アクセルペダルの踏込み量を基本的なパラメータとする燃料噴射量の制御(アクセルペダル追従制御)を実行する。変速操作のためにクラッチを切断する変速時では、クラッチ断によるエンジン負荷の急減に対応するよう、エンジン制御装置は、アクセルペダルの踏込み量とは独立してエンジンを制御(変速時エンジン制御)する制御モードに移行し、クラッチが接続する時点でアクセルペダル追従制御に復帰する。こうした制御モードの切り換えは、流体継手を介在させた動力伝達装置に限らず、一般の車両用動力伝達装置でも行われている。
【0004】
図5は、前述のような制御を実行するエンジン制御装置を備え、クラッチの接続量を制御するクラッチ制御装置と、変速機の作動を制御する変速制御装置とを併設してなる車両(自動車)の動力伝達装置において、変速時での各制御装置の作動特性を示すタイミング線図である。クラッチの接続量は、特許文献1に記載のものと同様に、クラッチ制御装置が出力するパルスのデューティ比:D(%)に応じて制御され、デューティ比が0%のときにはクラッチが完接となり、デューティ比が100%のときには接続量がゼロとなって切り離されるよう設定されている。
図5において、車両が例えば2速運転で走行中に、変速制御装置(あるいはドライバーが操作する変速レバー)によって3速運転への変速指令Aが出されると、クラッチ制御装置は、クラッチを断とするため出力するデューティ比を100%とする(実際の接続量は図に示すように少し遅れてゼロとなる)。クラッチが断とされた時点で変速制御装置が2速段のギヤ抜きを行って変速機をニュートラルとし、シンクロ機構による同期作用を経て3速のギヤ段へギヤインさせる。この過程で変速機の入力軸回転数は3速のギヤ段に対応する回転数まで急速に低下する。
【0005】
変速指令が出力されると、エンジン制御装置の制御モードは、アクセルペダル追従制御から変速時エンジン制御へ切り換えられ、クラッチ断によるエンジン負荷の急減に対応して燃料噴射量を減少させ、エンジン回転数の急上昇を防止する。変速時エンジン制御においては、始めに燃料噴射量を段階的に略アイドリング時の燃料量まで減少させ(なまし制御)、その後エンジン回転数が3速における変速機の入力軸回転数に近づくよう燃料量を制御する。なお、変速が3速から2速への変速等のシフトダウンのときは、エンジン回転数を現状維持かあるいは一定量上昇させる制御が実行される。
【0006】
変速機がギヤインとなった時点で、クラッチ制御装置は、クラッチを接とする制御を開始する。クラッチを接とする制御では、デューティ比を短時間略0%まで急激に減少(「一発接」と称する)させた後、いわゆる半クラッチ状態のデューティ比まで戻して再度デューティ比を徐々に減少させる半クラッチ制御を実行する。短時間デューティ比を略0%とするのは、クラッチ(湿式多板クラッチ)の油圧ピストンの動作を安定化させ半クラッチ状態に早期に到達させるためであって、実際のクラッチの接続量は、図に示されるとおり、急速に半クラッチ状態開始の接続量まで達し、半クラッチ状態においては、略デューティ比の変化に沿って緩やかに接続量が増加するようになる。これによって、クラッチ接続時の変速ショックやエンジンストップが回避される。
【0007】
半クラッチ制御でクラッチの接続量が増加するにつれて、エンジン回転数は一層低下するとともに変速機入力軸の回転数が上昇し両方の回転数は次第に接近する。そして、その差が所定値に達した時点(B)においてエンジン制御装置の制御モードは、変速時エンジン制御からアクセルペダル追従制御に復帰し、ドライバーの操作するアクセルペダルの踏込み量を基本的なパラメータとする制御が実行される。アクセルペダル追従制御に復帰するときにも燃料噴射量を段階的に増加するなまし制御が行われる。
【特許文献1】特許第3724491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、車両の通常走行時に実行されるアクセルペダル追従制御では、アクセルペダルの踏み込み量とエンジン回転数とに対応して基本的な燃料噴射量が算定される。しかしながら、最近のエンジンにおいては排ガスの規制等に適合させるよう、燃料噴射量には様々な制限が課されており、例えば、NOx排出の抑制やPM排出の抑制を目的とした燃料噴射量の上限値(フィルタ)が設定してある。実際のエンジン燃料噴射量は、基本的な燃料噴射量及び種々の要因による燃料噴射量の上限値の中で最小の燃料噴射量として決定されるが、排ガス規制がより一層強化されるに伴い、実際のエンジン燃料噴射量がそのような上限値による影響を受ける度合いが増加するようになった。
【0009】
燃料噴射量の上限値は、やはりエンジン回転数等のエンジンの運転状況に対応して定められており、変速時エンジン制御においても、エンジン回転数、エンジン負荷等のエンジン状態や変速時のギヤ段に対応して上限値が設定されている。そのため、図5に示される変速時の作動において、エンジン回転数と変速機入力軸の回転数との差が所定値に達した時点(B)、つまり、エンジン制御装置の制御モードが変速時エンジン制御からアクセルペダル追従制御に復帰する際には、燃料噴射量の上限値の相違が影響してエンジンに供給される燃料噴射量に大きな差が生じる場合がある。このようなときは、燃料噴射量の変化に起因してエンジンのトルク変動が生じ、これが変速機等の動力伝達装置に伝達されて変速ショックが発生する。
本発明の課題は、通常走行時にアクセルペダル追従制御を実行し、変速時には変速時エンジン制御を実行するエンジン制御装置において、変速終了時近傍でアクセルペダル追従制御に復帰する際の上記の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前述の課題に鑑み、クラッチ制御装置にタイマー手段を設け、タイマー手段でクラッチを接とする制御を開始する時点を変更することにより、変速時エンジン制御からアクセルペダル追従制御に復帰する際のエンジンの状態を調整し、切り換え時の燃料噴射量の変化に起因するエンジンのトルク変動を防止するものである。すなわち、本発明は、
「エンジンと変速機との間にクラッチを備え、該クラッチの入力軸が前記エンジンに連結され出力軸が前記変速機に連結された車両用動力伝達装置の制御装置であって、
前記クラッチは、その接続量を制御するクラッチ制御装置を備えており、変速時には、前記クラッチ制御装置が前記クラッチを断とし、変速完了後、接続量を徐々に増加させながら前記クラッチを接とする半クラッチ制御を実行し、
前記エンジンは、アクセルペダルの踏込み量を基本的なパラメータとするアクセルペダル追従制御を実行するエンジン制御装置を備えており、変速時には、前記エンジン制御装置がアクセルペダルの踏込み量とは独立して前記エンジンを制御する変速時エンジン制御を実行した後、前記エンジン回転数と前記クラッチ出力軸回転数との差が所定値に達した時点で前記アクセルペダル追従制御に復帰するよう構成され、さらに、
前記クラッチ制御装置は、変速時において前記クラッチが断とされている時点で計時を開始するタイマー手段を備え、前記タイマー手段で決定される期間の終了時に前記クラッチを接とする制御を開始するよう構成され、且つ、前記タイマー手段で決定される期間を変速時のエンジン状態に対応して設定されている」
ことを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置となっている。
【0011】
請求項2に記載のように、前記タイマー手段で決定される期間は、変速時のエンジン回転数及びギヤ段に対応して設定されていることが好ましい。また、請求項3に記載のように、本発明は、前記エンジンと前記クラッチとの間に流体継手が介在されている車両用動力伝達装置に好適なものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のクラッチ制御装置には、変速時においてクラッチが断とされている時点で計時を開始するタイマー手段を設けられ、該タイマー手段で決定される期間の終了時に、クラッチを接とする制御を開始するよう構成されている。タイマー手段で設定可能な全体の時間幅は100ms程度の比較的短持間であって、クラッチを接とする制御の開始時点がこの時間内で変更可能に調整される。
従来のクラッチ制御装置では、図5に示されるように、変速機のギヤインと略同時にクラッチを接とする制御が開始される。これに対し、本発明でタイマー手段によって例えばクラッチの接制御を一定時間遅らせると、半クラッチ制御においてクラッチ接続量の増加状態がそれに応じて遅れることとなる。クラッチの出力軸回転数は、クラッチ断の後に急激に減少して3速のギヤ段における変速機の入力軸回転数となるが、クラッチ接続量の増加が遅れると、クラッチの出力軸回転数の上昇も遅れる。そして、制御モードが切り換わるとき、すなわちエンジン回転数とクラッチ出力軸回転数との差が所定値に達した時点のエンジン回転数は、遅れのないときと比べて低下する。つまり、エンジン回転数が低下した状態で変速時エンジン制御からアクセルペダル追従制御への復帰が行われ、両方の制御モードにおける燃料噴射量の上限値の相違に基づくトルク変動が実質上解消され、変速ショックの発生を回避することが可能となる。
【0013】
タイマー手段により設定される期間は、変速時のエンジン回転数等のエンジン状態に応じて、例えばマップを用いて決定する。これにより、変速時エンジン制御からアクセルペダル追従制御に切り換わるときのエンジン回転数を、変速状態に対応して最適の回転数に設定することができる。タイマー手段の全体的な時間幅の中央値は、車両走行で頻度の高い変速操作における最適値、つまり、エンジンのトルク変動による実質的な悪影響のない、しかも最短時間で制御モードの切り換えが可能な接制御の開始時間として設定される。一般的には、2速から3速へのシフトアップの変速時において変速後のエンジン回転数が低減するときのように、クラッチの接制御の開始を中央値よりも大として(遅らせて)トルク変動を回避する場合が多いが、シフトダウンの場合等では、タイマーの設定時間を中央値よりも小として、クラッチの接制御の開始を通常よりも早めることもある。
【0014】
請求項2の発明のように、タイマー手段で決定される期間を変速時のエンジン回転数及びギヤ段に対応して設定したときは、アクセルペダル追従制御に復帰するときのエンジン回転数を、変速状態に応じてより精密に制御できる。そして、請求項3の発明のように、エンジンとクラッチとの間に流体継手が介在されている車両用動力伝達装置に本発明を適用したときは、車両の発進時に流体継手によりエンジンのトルク変動が吸収されるとともに、変速時においてもトルク変動が解消され、車両の走行時全般に亘りトルク変動に起因するショックのない走行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る車両の動力伝達装置及びその制御装置の全体構成を示す図4において、該動力伝達装置は、エンジン(ディーゼルエンジン)1、流体継手2、クラッチ(湿式多板クラッチ)3、及び変速機4が、軸方向に連結されて構成される。エンジン1の出力軸は流体継手2のポンプ21に一体的に固着され、該ポンプ21に対向するタービン22の出力軸にはクラッチ3の入力軸32が固着されている。また、クラッチ3の出力軸33は変速機4の入力軸に一体的に固着され、該変速機4の出力軸41は図示しない車輪に連結されている。
【0016】
流体継手2には、タービン22とポンプ21とを締結し一体化するためのロックアップクラッチ23が設置される。流体継手2は、車両の発進時にポンプ21とタービン22との間の滑りを利用してスムースな発進を行わせるものであり、車両の発進時以外には該ロックアップクラッチ23が接となって、ポンプ21とタービン22とが締結される。したがって、車両の変速が行われる走行状態に達したときは、エンジン1の出力軸とクラッチ3の入力軸32とが直結された状態となっている。
【0017】
動力伝達装置には、各機器を制御する制御装置が設置される。それらの制御装置は、通常走行時においてアクセルペダル8の踏込み量を基本的なパラメータとするアクセルペダル追従制御を実行し、変速時には前記アクセルペダル8の踏込み量とは独立して前記エンジン1を制御する変速時エンジン制御を実行するエンジン制御装置5、エンジン1と変速機4との間の動力伝達を接断するクラッチ3の作動を制御するクラッチ制御装置6、及び前記変速機4の作動を制御する変速制御装置7によって構成されており、また、クラッチ入力軸32の回転数を検出するセンサ51、変速機入力軸の回転数を検出するセンサ52等が設けられている。動力伝達装置における上述の機器の構成及び各制御装置の基本的な制御態様は、特許文献1に開示される動力伝達装置と変わりはない。
【0018】
本発明の動力伝達装置のクラッチ制御装置6には、変速時のギヤイン終了後「一発接」及び半クラッチ制御を実行するクラッチ接制御装置61と、クラッチの接制御の開始時点を設定するタイマー手段62とが設けられている。タイマー手段62は、変速時においてクラッチが断とされている時点、例えばギヤインの時点で計時を開始し、タイマー手段で決定される期間の終了時に、クラッチを接とする制御を開始するよう構成されている。換言すれば、タイマー手段で設定される期間中はクラッチ制御装置6が不作動の期間となっている。
【0019】
本発明のクラッチ制御装置6の作動を図1に基づいて説明する。図1は、図5と同様な作動特性を表すタイミング線図であり、上部にはクラッチ接続量(デューティ比)の時間的変化を、下部には変速時におけるクラッチの入力軸回転数(エンジン回転数)及びクラッチの出力軸回転数(変速機入力軸回転数)の時間的変化を示す。
デューティ比の時間的変化の特性に示されるとおり、変速時に変速機のギヤインが完了した時点でタイマー手段61の計時が開始される。タイマーの設定期間は、少なくともギヤインの時のエンジン回転数に対応して、マップにより決定される。図の実線はタイマー手段の時間幅の略中央値(例えば50ms)においてクラッチの接制御を開始した場合の特性を示し、破線はこれよりも遅れた時点でクラッチの接制御を開始した場合の特性を示す。
【0020】
クラッチ制御装置6が接制御を開始すると、図5の特性と同様に、「一発接」の後に半クラッチ制御が実行され、接続量は略デューティ比に対応して増加する。タイマー手段62の中央値で接制御を開始したときは、エンジン回転数及び変速機入力軸回転数が図の実線に沿って変化し、その差が所定値に達したとき(X)に、エンジン制御装置1が変速時エンジン制御からアクセルペダル追従制御へ制御モードを切り換える。これに対し、タイマー手段62の中央値よりも遅れた時に接制御を開始した場合には、クラッチの接続量の増加が遅れる結果エンジン回転数の低下が遅れ、また、変速機入力軸回転数の上昇が車両の慣性等によってさらに遅延する。そのため、両者の差が所定値に達した時点(Y)のエンジン回転数は、タイマー手段62の中央値で接制御を開始したときのものよりも低下(Z)して、クラッチ接続後のエンジン回転数に接近することとなる。
【0021】
タイマー手段62により設定される期間は、少なくとも変速時におけるエンジン回転数等のエンジン状態に応じて決定するが、図2のようなマップを用いて、エンジン回転数とギヤ段とに対応して決定してもよい。図2のマップは、エンジンのトルク変動による悪影響のない、しかも最短時間で制御モードの切り換えが可能な接制御の開始時点を、実験等に基づきエンジン回転数とギヤ段とに応じて求め、作成したものである。これにより、変速時エンジン制御からアクセルペダル追従制御に切り換わるときのエンジン回転数を、変速状態に対応して最適の回転数に設定することができ、両方の制御モードにおける燃料噴射量の上限値の相違に基づくトルク変動が実質上解消される。上記のタイマー手段の時間幅の中央値は、車両走行で頻度の高い変速操作における最適値に設定され、変速の状況によってはタイマーの設定期間を中央値よりも小とする場合もある。
【0022】
図3は、本発明によるタイマー手段の作動手順を示すフローチャートである。変速機において変速が終了する(ギヤイン)と、そのときのエンジン回転数とギヤ段を検出(S1)し、図2のマップを用いてタイマー期間を設定する(S2)。次いで、タイマー期間のカウントダウンを実行し(S3、S4)、その設定期間に達した時点でクラッチの接制御が開始される。なお、「一発接」の時間帯も実質上クラッチは断の状態であり、場合によっては、この時間帯にタイマー手段を作用させることもできる。
【0023】
以上詳述したように、本発明は、通常走行時にアクセルペダル追従制御を実行し、変速時には変速時エンジン制御を実行するエンジン制御装置を備えた車両用動力伝達装置において、クラッチの接制御を開始する時点をクラッチ制御装置に設けたタイマー手段で変更することにより、アクセルペダル追従制御に復帰する際のエンジンの状態を調整し、復帰時の燃料噴射量の変化に起因するエンジンのトルク変動を防止するものである。上述の実施例では、エンジンとクラッチの間に流体継手を介在させた動力伝達装置について説明したが、本発明が、流体継手を設置していない動力伝達装置に適用可能であるのは言うまでもない。また、クラッチ接続量の制御についてデューティ比による制御に代えてアナログ的な制御手段を用いるなど、上述の実施例に種々の変更を行うことが可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の車両動力伝達装置における制御タイミング線図である。
【図2】本発明の実施形態で使用されるマップである。
【図3】本発明の制御装置の作動手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の車両動力伝達装置の全体図である。
【図5】従来の車両動力伝達装置における制御タイミング線図である。
【符号の説明】
【0025】
1 エンジン(ディーゼルエンジン)
2 流体継手
23 ロックアップクラッチ
3 クラッチ(湿式多板クラッチ)
32 クラッチの入力軸
33 クラッチの出力軸
4 変速機
5 エンジン制御装置
6 クラッチ制御装置
61 クラッチ接制御装置
62 タイマー手段
7 変速制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと変速機との間にクラッチを備え、前記クラッチの入力軸が前記エンジンに連結され出力軸が前記変速機に連結された車両用動力伝達装置の制御装置であって、
前記クラッチは、その接続量を制御するクラッチ制御装置を備えており、変速時には、前記クラッチ制御装置が前記クラッチを断とし、変速完了後、接続量を徐々に増加させながら前記クラッチを接とする半クラッチ制御を実行し、
前記エンジンは、アクセルペダルの踏込み量を基本的なパラメータとするアクセルペダル追従制御を実行するエンジン制御装置を備えており、変速時には、前記エンジン制御装置がアクセルペダルの踏込み量とは独立して前記エンジンを制御する変速時エンジン制御を実行した後、前記エンジン回転数と前記クラッチ出力軸回転数との差が所定値に達した時点で前記アクセルペダル追従制御に復帰するよう構成され、さらに、
前記クラッチ制御装置は、変速時において前記クラッチが断とされている時点で計時を開始するタイマー手段を備え、前記タイマー手段で決定される期間の終了時に前記クラッチを接とする制御を開始するよう構成され、かつ、前記タイマー手段で決定される期間が変速時のエンジン状態に対応して設定されていることを特徴とする車両用動力伝達装置の制御装置。
【請求項2】
前記タイマー手段で決定される期間が変速時のエンジン回転数及びギヤ段に対応して設定されている請求項1に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。
【請求項3】
前記車両用動力伝達装置には、前記エンジンと前記クラッチとの間に流体継手が介在されている請求項1又は請求項2に記載の車両用動力伝達装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−126899(P2008−126899A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315899(P2006−315899)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】