説明

車両用情報提供装置、車両用情報提供方法、および、車両用情報提供システム

【課題】ユーザが車載機を操作した際の操作履歴や、ユーザが行った情報検索結果を情報センターのオペレータが把握できるようにする。
【解決手段】ユーザが希望する情報を情報センター20のオペレータに伝え、オペレータが検索した情報を情報センター20から車載機1に送信する車両用情報提供システムにおいて、車載機1の履歴保存部23に、ユーザが車載機1を操作した際の操作履歴や、ユーザが行った情報検索結果のデータを保存しておき、情報センター20に情報要求を出す際に、履歴保存部23に保存しているデータを情報センター20に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員が希望する情報を車両に提供する車両用情報提供装置、車両用情報提供方法および車両用情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザからの要求に基づいて、ナビゲーション装置に設定する目的地を情報センター側で検索し、検索した目的地のデータをナビゲーション装置に送信して、ナビゲーション装置に目的地を設定するシステムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平3−291522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のシステムでは、ユーザがナビゲーション装置を利用して目的地の検索をしたが、所望の施設が見つからなかったために、情報センターに目的地の検索を要求する場合がある。この場合、情報センター側で、ユーザが行った検索処理と同一の検索処理が行われる可能性があり、検索に時間がかかってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明による車両用情報提供装置および車両用情報提供方法は、ユーザが送信要求する情報の内容に基づいてオペレータ端末にて情報検索を行い、検索した情報を車載機に送信する装置および方法において、ユーザが送信要求する情報と、ユーザが行った車載機の操作履歴データとを車載機から受信し、受信した操作履歴データに基づいて、オペレータ端末にて情報検索を行い、検索した情報を、情報の送信を要求してきた車載機に送信することを特徴とすることを特徴とする。
(2)本発明による車両用情報提供システムは、ユーザが送信要求する情報の内容に基づいて、情報センターのオペレータ端末にて情報検索を行い、検索した情報を情報センターから車載機に送信するシステムであって、情報センターでは、ユーザが送信要求する情報と、ユーザが行った車載機の操作履歴データとを車載機から受信して、受信した操作履歴データに基づいて、オペレータ端末にて情報検索を行い、検索された情報を、情報の送信を要求してきた車載機に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明による車両用情報提供装置、車両用情報提供システム、および、車両用情報提供方法によれば、ユーザが情報送信要求を出す前に車載機を操作した際の操作履歴データを車載機から受信し、受信した操作履歴データに基づいて、情報検索を行うので、効率的な情報検索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明による車両用情報提供システムの一実施の形態の全体構成を示す図である。この車両用情報提供システムを利用するユーザは、情報センター20(車両用情報提供装置)に発呼して、希望する情報を情報センター20のオペレータに伝え、オペレータが検索システム34により検索した情報を車載機1に送信する。
【0008】
車載機1は、ナビゲーションユニット2と、モニタ3と、通信アダプタ5と、携帯電話4および通信アダプタ5を接続するための電話ハーネス6と、データ通信用電話7と、マイク8と、スピーカ9と、GPSアンテナ10と、操作スイッチ11と、オペレータ呼び出しスイッチ12と、車速センサ16とを備える。
【0009】
モニタ3には、後述するナビゲーションユニット2からの指示に基づいて、車両の現在地周辺の地図や、目的地までの推奨経路等が表示される。携帯電話4は、ユーザが情報センター20に待機しているオペレータと会話する際に用いる電話であり、データ通信用電話7は、情報センター20との間で、データ通信を行う際に用いられる電話である。
【0010】
マイク8は、ユーザ(ドライバ)がハンズフリーシステムを利用して、情報センター20のオペレータと会話する際に用いられる。スピーカ9は、ユーザがハンズフリーシステムを利用して、オペレータと会話する際に、相手側の会話内容を音声出力したり、ナビゲーションユニット2による経路案内を行う際の音声を出力する。GPSアンテナ10は、車両の現在位置情報を取得するために、図示しないGPS衛星からの電波を受信する。車速センサ16は、車両の速度を検出する。
【0011】
操作スイッチ11は、モニタ3に表示される画面の操作、ハンズフリーシステムを利用するための操作、ナビゲーションユニット2の操作、データ通信を行う際の操作等、ユーザが各種の操作を行うために用いられる。オペレータ呼び出しスイッチ12は、情報センター20に発呼する際に用いられるスイッチである。
【0012】
通信アダプタ5は、情報センター20との間の通信制御を行う。通信アダプタ5には、後述する情報センター20のオペレーションセンター30および車両用情報センター50の電話番号が登録されており、ユーザが、オペレータ呼び出しスイッチ12を押すと、携帯電話4を介して、自動的にオペレーションセンター30に電話がかかるとともに、データ通信用電話7を介して、自動的に車両用情報センター50に電話がかかる。オペレーションセンター30の電話番号および車両用情報センター50の電話番号は、例えば、通信アダプタ5が工場から出荷される前に登録される。
【0013】
図2は、ナビゲーションユニット2の詳細な構成を示す図である。ナビゲーションユニット2は、地図データ部18および保存部21と、内部で行われる処理機能上、表示処理部13、通信処理部14、音声制御部15、位置演算部17、入力処理部19、および、統合演算部22とを備える。
【0014】
表示処理部13は、統合演算部22からの指令に基づいて、モニタ3への表示指示を行う。通信処理部14は、通信アダプタ5との間でデータの授受を行うための制御を行う。音声制御部15は、統合演算部22からの指令に基づいて、例えば、経路案内のための音声出力をスピーカ9に指示する。位置演算部17は、GPSアンテナ10で受信された電波および車速センサ16によって検出された車速に基づいて、車両の現在位置を求める。地図データ部18は、例えば、ハードディスク装置(HDD)であり、地図データを格納している。
【0015】
入力処理部19は、ユーザが操作スイッチ11やオペレータ呼び出しスイッチ12によって入力した指令を、統合演算部22に出力する。保存部21は、予めユーザが操作スイッチ11を使って設定した登録地(例えば、自宅の位置)や、過去に走行した道路等のデータを記憶する。保存部21には、ユーザによる操作スイッチ11の各種操作履歴や、ユーザが施設等の検索を行った結果の履歴を保存する履歴保存部23が含まれる。
【0016】
統合演算部22は、表示処理部13、通信処理部14、音声制御部15、位置演算部17、入力処理部19、地図データ部18、および、保存部21との間で、様々なデータをやり取りするとともに、ナビゲーションユニット2の総合的な処理を行う。ナビゲーションユニット2の総合的な処理には、施設の検索処理や、目的地までの推奨ルートの演算処理が含まれる。
【0017】
情報センター20は、オペレーションセンター30と、情報データベース群40と、車両用情報センター50と、カスタマーセンター60とにより構成されている。オペレーションセンター30は、電話回線の制御を行うPBX/CTI31と、検索システム34とを備える。検索システム34には、検索処理端末32、電話機33、ヘッドセット36、モニタ38、および、入力機器39が含まれる。入力機器39には、キーボードおよびマウスが含まれる。
【0018】
PBX(Private Branch Exchanger)は、通常、企業ビル内などに設置されるものであって、外線電話と内線電話、および、内線電話どうしを交換する。また、CTI(Computer Telephony Integration)は、PBXなどの電話系通信システムと、コンピュータやデータベースなどの情報系システムとを統合し、相互に連動できるようにするものである。すなわち、PBX/CTI31は、ユーザからかかってきた電話を空きオペレータに接続したり、空きオペレータがいない場合には、待ち音声案内を流すなどの電話回線の制御を行う。
【0019】
オペレーションセンター30に勤務しているオペレータは、電話機33またはヘッドセット36を用いて、ユーザと会話し、ユーザが要求する情報を確認する。オペレータは、ユーザから聞いた情報に基づいて、ユーザが希望する情報を検索処理端末32を用いて検索する。検索処理端末32は、例えば、パソコンである。検索システム34は、情報データベース群40を構成する複数のデータベース41〜45,56とLANなどのネットワーク37を通じて接続されている。
【0020】
情報データベース群40は、位置/電話情報データベース41と、交通情報データベース42と、天気予報データベース43と、各種情報データベース44と、案内音声データベース45と、ユーザプロファイルデータベース56とを備える。位置/電話情報データベース41には、飲食店や公共施設などの各種施設の名称、位置情報、および、電話番号情報等が格納されている。交通情報データベース42には、一般道や有料道路などの交通情報が格納されている。天気予報データベース43には、各地の天気予報情報が格納されている。各種情報データベース44には、上述した各種施設に関する情報、交通情報、天気情報以外の情報が格納されている。案内音声データベース45には、ユーザに音声案内を行うための音声データが格納されている。ユーザプロファイルデータベース56には、予めユーザ登録されているユーザの氏名、住所、携帯電話番号などのユーザ情報が格納されている。ユーザ登録の方法については後述する。
【0021】
車両用情報センター50は、電話回線の制御を行うPBX/CTI52と、通信装置53と、情報処理端末54とを備える。通信装置53は、情報処理端末54からの指令に基づいて、車載機1とデータ通信を行う。情報処理端末54は、通信装置53を介して、車載機1に情報を送信するなどの様々なデータ処理を行う。例えば、検索システム34において、ユーザが希望する情報が検索された場合には、検索された情報を、通信装置53を介して車載機1に送信する。なお、オペレーションセンター30のPBX/CTI31と、車両用情報センター50のPBX/CTI52は、一般電話回線網55に接続されている。
【0022】
カスタマーセンター60は、カスタマー登録システム62と、カスタマー管理サーバ66とを備える。カスタマー登録システム62は、ユーザの登録や、登録されているユーザの個人情報の変更を行う。カスタマー登録システム62と接続されているカスタマー管理サーバ66は、ユーザ情報を管理するためのサーバである。
【0023】
オペレーションセンター30、情報データベース群40、車両用情報センター50およびカスタマーセンター60が接続されているネットワーク37には、インターネット63も接続されている。従って、情報センター20は、インターネット63を介して、コンテンツプロバイダ/アプリケーションサービスプロバイダ群64と各種情報の授受を行う。また、ユーザが後述するユーザ登録を行う際に、カスタマーセンター60のオペレータを介さずに、インターネット63と接続されているパソコンなどの端末65を用いて行うこともできる。
【0024】
一実施の形態における車両用情報提供システムを利用するユーザは、予めユーザ登録する必要がある。ユーザ登録するための1つ目の方法としては、所定の申込書にユーザの氏名、住所、生年月日などの一般情報と共に、本システムを利用する際に使用する携帯電話4の電話番号を記入し、情報センター20のカスタマーセンター60に郵送する。カスタマーセンター60のオペレータは、申込書の内容を確認した後、カスタマー登録システム62を使用して、カスタマー管理サーバ66にユーザ登録処理を行う。登録されたユーザ情報は、ユーザプロファイルデータベース56に格納される。
【0025】
ユーザ登録するための二つ目の方法は、上述したように、インターネット63と接続されているパソコンなどの端末65を用いて、カスタマー管理サーバ66に直接登録する方法である。また、車載機1がオンライン登録機能を備えている場合には、車載機1を用いてカスタマー管理サーバ66に直接登録することもできる。
【0026】
図3は、車載機1および情報センター20がそれぞれ行う処理内容を示すフローチャートである。ステップS10〜ステップS40の処理は、車載機1側で行われる処理であり、ステップS100〜ステップS210の処理は、情報センター20側で行われる処理である。
【0027】
ステップS10において、ナビゲーションユニット2の統合演算部22は、入力処理部19から入力される信号に基づいて、オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされたか否かを判定する。オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされていないと判定するとオンされるまでステップS10で待機し、オンされたと判定するとステップS20に進む。
【0028】
ステップS20では、携帯電話4を介して、音声モードにより、情報センター20のオペレーションセンター30に呼を発するとともに、データ通信用電話7を介して、データモードにより、情報センター20の車両用情報センター50に呼を発する。音声モードとは、ユーザとオペレータとが会話を行うためのモードであり、データモードとは、データ通信によりデータを授受するためのモードである。
【0029】
上述したように、通信アダプタ5にはオペレーションセンター30の電話番号が予め登録されているので、ユーザがオペレータ呼び出しスイッチ12を押すことにより、ナビゲーションユニット2、通信アダプタ5、携帯電話4経由で、自動的にオペレーションセンター30に電話がかかる。この時、通信アダプタ5は、オペレーションセンター30の電話番号の前に、発信者番号を通知するために「186」の番号を付して発呼する。すなわち、携帯電話4には、発信者番号を非通知とするための機能を備えたものもあるため、情報センター20側で発信者を特定できるようにするために、発信者番号が通知される形で電話をかけるようにする。
【0030】
また、通信アダプタ5には車両用情報センター50の電話番号も予め登録されているので、ユーザがオペレータ呼び出しスイッチ12を押すことにより、ナビゲーションユニット2、通信アダプタ5、データ通信用電話7経由で、自動的に車両用情報センター50に電話がかかる。この場合も、通信アダプタ5は、車両用情報センター50の電話番号の前に、発信者番号を通知するために「186」の番号を付して発呼する。
【0031】
情報センター20側で行われる処理のうち、ステップS100〜ステップS140の処理は、オペレーションセンター30のPBX/CTI31で行われる。ステップS100では、ユーザからの電話の着信があるか否かを判定する。着信がないと判定すると着信が有るまでステップS100で待機し、着信があると判定するとステップS110に進む。ステップS110では、発信者電話番号の取得処理を行う。この時に、発信者非通知設定の状態で電話がかかってきており、発信者電話番号がない場合には、例えば、案内音声データベース45に予め登録されている「発信者番号が通知されていません」のようなメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0032】
ステップS120では、ステップS110で取得した発信者電話番号に基づいて、電話番号の認証を行う。この認証は、発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に登録されているか否かに基づいて行う。ステップS120に続くステップS130では、ステップS120で行った電話番号の認証結果に基づいて、認証がOKであるか否かを判定する。取得した発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に登録されており、認証がOKであると判定するとステップS150に進む。一方、認証がNGであると判定すると、ステップS140に進み、案内音声データベース45に予め登録されている「電話番号が登録されていないため、サービスを受けることができません」などのメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0033】
ステップS150の処理は、車両用情報センター50の情報処理端末54で行われる。ステップS150では、車載機1からの着呼に基づいて、データ通信の認証処理を行う。情報処理端末54は、まず、データモード確立のためのデータモードネゴシエーションを行い、データモードネゴシエーション完了後に、PBX/CTI52によって取得される発信者電話番号に基づいて、電話番号の認証処理を行う。この認証処理の方法は、上述したステップS120の処理と同じである。電話番号の認証がOKであれば、車載機1との間のデータ通信が可能となる。
【0034】
ステップS150に続くステップS160では、車載機1からデータ通信にて送信されてくる検索履歴および操作履歴のデータを検索処理端末32のディスプレイに表示する。車載機1は、車両用情報センター20との間のデータ通信が可能になると、ナビゲーションユニット2の履歴保存部23に格納されているユーザの操作履歴および検索履歴のデータを、データ通信で車両用情報センター50に送信する。
【0035】
図4(a)は、ユーザの操作履歴を示すデータの一例であり、図4(b)は、ユーザが車載機1を利用して情報の検索を行った結果を示すデータの一例である。ユーザの操作履歴を示すデータには、例えば、ユーザが施設の検索を行うために入力する施設の名称、住所、ジャンル、電話番号等のデータや、操作スイッチ11の操作によって入力した時刻のデータが含まれる。また、情報の検索結果を示すデータには、ユーザによって情報の検索が行われた結果、および、検索結果件数などのデータが含まれる。
【0036】
車載機1から送信されてくる検索履歴および操作履歴のデータを検索処理端末32のディスプレイに表示すると、ステップS170に進む。ステップS170において、PBX/CTI31は、ユーザからの電話を、電話回線が空いているオペレータにつないで、ステップS180に進む。ただし、空いている回線が無い場合には、例えば、案内音声データベース45に予め登録されている「ただ今、回線が混みあっております」のようなメッセージを再生する。
【0037】
ステップS180では、オペレータによって、ユーザが希望する情報を検索するために必要な情報が入力されて、検索実行の指令が出されたか否かを判定する。オペレータは、ユーザとの会話によって、ユーザが希望する情報を把握して、検索処理端末32を用いて、ユーザの希望する情報を検索する。この時、検索処理端末32のディスプレイには、ユーザが車載機1において情報を検索した結果や、情報を検索した際の操作履歴のデータが表示されている。
【0038】
図5(a)は、検索処理端末32のディスプレイ32aに表示される操作履歴データ86および検索結果データ88の一例である。オペレータは、ディスプレイ32aに表示される操作履歴データ86および検索結果データ88を参照しつつ、ユーザとの会話によって、ユーザの希望する情報を特定する。ユーザの希望する情報を特定すると、ディスプレイ32aに表示されている検索画面表示ボタン89を押すことにより、図5(b)に示す検索画面を表示させる。
【0039】
図5(b)に示す施設検索画面では、名称入力欄71、住所入力欄72、ジャンル入力欄73、地図表示欄74、検索開始ボタン75、および、ユーザ履歴表示ボタン76が表示されている。ユーザ履歴表示ボタン76は、図5(a)に示す操作履歴データ86および検索結果データ88を表示させるためのボタンであり、検索開始ボタン75は、情報の検索を開始する際に、オペレータによって操作されるボタンである。
【0040】
名称入力欄71は、施設等の名称を入力する欄であり、住所入力欄72は、住所を入力する欄である。また、ジャンル入力欄73は、目的地のジャンルを入力する欄であり、例えば、「レストラン」、「公園」、「ガソリンスタンド」などを入力することができる。オペレータは、ユーザから聞いた情報に基づいて、情報入力欄71〜73のうち、少なくとも一つの欄に必要な情報を入力し、ユーザが希望する情報を検索する。地図表示欄74は、検索システム34によって検索された情報が施設等の位置情報に関する情報である場合に、検索された施設(位置)の周辺地図を表示する欄である。
【0041】
図5(a)に示すように、情報の送信要求をしてきたユーザの操作履歴データ86および検索結果データ88を検索処理端末32のディスプレイ32aに表示することにより、ユーザは、自身が行った検索内容をオペレータに伝える手間を省くことができる。また、オペレータも、ユーザの操作履歴や検索結果のデータを参照して、ユーザの希望する情報を効率よく検索することができる。
【0042】
ステップS180において、オペレータによって、検索に必要な情報が入力されて、検索実行の指令(検索開始ボタン75の操作)が出されたと判定するとステップS190に進み、検索実行の指令が出されていないと判定すると、ステップS180で待機する。
【0043】
ステップS190では、入力された情報に基づいて、情報データベース群40に含まれるデータベース41〜44を参照することにより、車載機1に送信するための情報を検索する。図5(c)は、検索処理端末32のディスプレイ32aに表示される検索結果の一例を示す図である。車載機1に送信するための情報を検索すると、ステップS200に進む。ステップS200では、検索した情報をユーザプロファイルデータベース56に一時的に保存する。ここでは、情報の送信を要求してきたユーザのユーザ情報に対応させて、情報を保存しておく。
【0044】
ステップS210において、情報処理端末54は、ステップS200でユーザプロファイルデータベース56に保存したデータを取得して、データ通信によって、情報送信要求のあった車載機1に取得したデータを送信する。
【0045】
車載機1は、ステップS30において、車両用情報センター50がステップS210において送信したデータを受信したか否かを判定する。データを受信していないと判定すると、受信するまでステップS30で待機し、受信したと判定するとステップS40に進む。ステップS40では、受信データ(ダウンロードデータ)の処理を行う。例えば、受信したデータが施設に関する情報であれば、その施設の情報をモニタ3に表示する。また、受信したデータがニュース情報であれば、スピーカ9からニュース情報を音声にて出力するとともに、モニタ3にニュースの内容を表示する。受信データの処理が行われると、車載機1と車両用情報センター50との間で接続されている回線を切断する。
【0046】
一実施の形態における車両用情報提供システムによれば、ユーザが希望する情報を情報センター20のオペレータが把握して検索し、検索した情報を車載機1に送信するシステムにおいて、ユーザが情報送信要求を出す前に車載機1を操作した際の操作履歴データを車載機1から受信してオペレータに提示する。これにより、オペレータは、情報を検索する前に、ユーザが情報を検索した際の検索結果や検索条件を把握することができるので、ユーザが希望する情報を迅速に把握することができる。また、ユーザが検索した際の検索結果や検索条件を把握することにより、例えば、ユーザが検索を行った条件とは別の条件を設定して検索を行うことができるので、ユーザの希望する情報を効率よく検索することができる。
【0047】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、上述した一実施の形態では、ユーザから情報送信要求があると、ユーザが情報を検索した際の検索結果、および、車載機1の操作履歴のデータを検索処理端末32のディスプレイ32aに表示するようにしたが、オペレータが検索処理端末32に対して、所定の操作を行った場合にのみ、車載機1の操作履歴等のデータを表示するようにしてもよい。
【0048】
また、上述した一実施の形態では、ユーザが情報を検索した際の検索結果、および、車載機1の操作履歴のデータの両方のデータを検索処理端末32のディスプレイ32aに表示したが、例えば、車載機1の操作履歴データのみを表示するようにしてもよい。この場合、操作履歴に対応する操作結果を表示するための検索結果表示ボタン87をディスプレイ32aに表示して(図5(a)参照)、オペレータが検索結果表示ボタン87を押すと、検索結果が表示されるようにしてもよい。
【0049】
上述した一実施の形態では、ユーザが情報を検索した際の検索結果、および、車載機1の操作履歴のデータを検索処理端末32のディスプレイ32aに表示するようにしたが、情報センター20側において、車載機1の操作履歴データに基づいて、ユーザが行った検索と同じ検索を行うようにしてもよい。図6は、情報センター側で、ユーザが行った検索と同じ検索を行う場合の処理内容を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、図3に示すフローチャートに対して、情報センター20が行うステップS400の処理、および、検索履歴等のデータを検索処理端末32のディスプレイ32aに表示するステップS160Aの処理が異なる。
【0050】
ステップS400において、情報処理端末54は、車載機1から受信した操作履歴データに基づいて、情報の検索を行う。例えば、車載機1から受信した操作履歴データが、特定のエリアにおける飲食店の検索を試みたデータである場合には、同一の条件での情報検索、すなわち、特定のエリアにおける飲食店の情報を検索する。ユーザが行った検索と同一の条件での検索を行うと、ステップS160Aに進む。
【0051】
ステップS160Aでは、車載機1から受信した検索履歴および操作履歴のデータとともに、情報処理端末54で情報を検索した結果を検索処理端末32のディスプレイ32aに表示する。ステップS170以降の処理については、図3に示すフローチャートのステップS170以降の処理と同一であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
【0052】
ユーザが検索を行った条件と同一の条件で情報センター20においても情報検索を行う方法によれば、例えば、ナビゲーションユニット2が保持している地図データが古くて、ユーザが希望する施設等が検索できなかった場合でも、情報センター20において、ユーザが希望する施設等を迅速に検索することができる。
【0053】
ユーザが検索を行った条件と同一の条件で情報センター20においても情報検索を行う方法において、検索処理端末32のディスプレイ32aには、ユーザが検索を行った結果、および、情報センター側で検索を行った結果のうち、重複する結果は、省略して表示するようにしてもよい。また、情報センター20側で検索された結果に対しては、色分けやマーキング等によって、車載機1側で検索された結果ではなく、情報センター20側で検索された結果であることを明示するための表示を行うようにしてもよい。この表示方法によれば、オペレータは、車載機1側では検索できなかったが、情報センター20側において検索された情報を迅速かつ容易に把握することができ、情報検索の短縮化・効率化を図ることができる。
【0054】
ユーザが検索を行った条件と同一の条件で情報センター20側において情報検索を行う方法においても、ユーザからの情報要求があると自動的に情報検索を行うのではなく、オペレータが検索処理端末32に対して所定の操作を行った場合に、情報検索を開始するようにしてもよい。また、情報処理端末32のディスプレイ32aに表示する内容も、オペレータの操作によって、車載機1側の検索結果のみを表示したり、情報センター20側の検索結果のみを表示したりするように、表示の切り替えを行えるようにしてもよい。
【0055】
上述した一実施の形態では、ユーザが希望する情報を検索するために車載機1を操作した時の操作履歴および検索結果の履歴データを情報センター20に送信するようにした。しかし、車載機1から情報センター20に送信する履歴データは、ユーザが情報を検索した時の履歴データに限定されることはない。例えば、ナビゲーション装置や車載機自体の操作について、情報センターのオペレータに聞く操作サポートサービスを利用する場合に、ナビゲーション装置を操作した操作履歴や、ラジオやエアコン等の操作履歴を情報センター20に送信するようにすれば、ユーザは、一度行った操作を情報センターのオペレータに伝える必要がなくなる。従って、ユーザにとって利便性が高くなり、また、情報センター20のオペレータも、ユーザの操作履歴を参照して、正しい操作方法を適切に説明することができる。
【0056】
また、車載機側で情報検索を行った結果を送信するのではなく、何の情報を検索したかを示す情報検索項目のみを情報センター20に送信するようにしてもよい。この場合には、車載機1から情報センター20に送信するデータ量を低減することができる。
【0057】
車載機1から情報センター20に送信する操作履歴データおよび検索結果データ量を、予め規定しておくこともできる。例えば、ナビゲーションユニット1内の履歴保存部23に保存するデータを、直近の所定回数分(例えば、過去20回分)の操作履歴、および、検索結果のデータとし、直近の所定回数分のデータを情報センター20に送信するようにしてもよい。また、直近の所定回数ではなく、所定時間前(例えば、15分前)までの操作履歴および検索結果のデータを履歴保存部23に保存しておいて、情報センター20に送信することもできる。これらの方法によれば、車載機の操作に関する古いデータを排除することができる。
【0058】
情報センター20では、車載機1から送信されてきた操作履歴データに基づいて、オペレータが検索処理端末32を利用して情報の検索を行ったが、オペレータを介在させずに、検索処理端末32が自動的に情報検索を行うようにしてもよい。
【0059】
上述した一実施の形態では、ユーザがオペレータと会話するための携帯電話4とは別に、データ通信を行うためのデータ通信用電話7を設ける例を挙げて説明したが、音声による会話と、データ通信とを同時に行える電話機であれば、1台だけ設ければよい。
【0060】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【0061】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、通信装置53が受信手段(第1の受信手段)および送信手段を、モニタ38が表示手段を、情報処理端末32が情報検索処理手段を、車載機1のデータ通信用電話7が第2の受信手段をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による車両用情報提供システムの一実施の形態の全体構成を示す図
【図2】ナビゲーションユニットの詳細な構成を示す図
【図3】車載機および情報センターがそれぞれ行う処理内容を示すフローチャート
【図4】図4(a)は、ユーザの操作履歴を示すデータの一例を示す図であり、図4(b)は、ユーザが車載機を利用して情報の検索を行った結果を示すデータの一例を示す図
【図5】図5(a)は、検索処理端末のディスプレイに表示される操作履歴データおよび検索結果データの一例、図5(b)は、検索画面の一例を示す図、図5(c)は、検索結果を表示する画面の一例を示す図
【図6】情報センター側で、ユーザが行った検索と同じ検索を行う場合の処理内容を示すフローチャート
【符号の説明】
【0063】
1…車載機、2…ナビゲーションユニット、3…モニタ、4…携帯電話、5…通信アダプタ、6…電話ハーネス、7…データ通信用電話、8…マイク、9…スピーカ、10…GPSアンテナ、11…操作スイッチ、12…オペレータ呼び出しスイッチ、13…表示処理部、14…通信処理部、15…音声制御部、16…車速センサ、17…位置演算部、18…地図データ部、19…入力処理部、20…情報センター、21…保存部、30…オペレーションセンター、31…PBX/CTI、32…検索処理端末、33…電話機、34…情報検索システム、36…ヘッドセット、37…ネットワーク、39…入力機器、40…情報データベース群、41…位置/電話情報データベース、42…交通情報データベース、43…天気予報データベース、44…各種情報データベース、45…案内音声データベース、50…車両用情報センター、52…PBX/CTI、53…通信装置、54…情報処理端末、55…一般電話回線網、56…ユーザプロファイルデータベース、60…カスタマーセンター、62…カスタマー登録システム、63…インターネット、65…ユーザPC、66…カスタマー管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが送信要求する情報の内容に基づいてオペレータ端末にて情報検索を行い、検索した情報を車載機に送信する車両用情報提供装置において、
ユーザが送信要求する情報と、ユーザが行った車載機の操作履歴データとを車載機から受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した操作履歴データに基づいて、オペレータ端末にて情報検索を行う情報検索処理手段と、
前記情報検索処理手段によって検索された情報を、情報の送信を要求してきた車載機に送信する送信手段とを備えることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用情報提供装置において、
前記操作履歴データには、車載機側で情報検索を行った結果のデータが含まれることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用情報提供装置において、
前記操作履歴データには、車載機側で情報検索を行った際の情報検索項目のデータが含まれることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両用情報提供装置において、
前記操作履歴データには、車載機の操作内容のデータが含まれることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車両用情報提供装置において、
前記受信手段は、直近の所定回数分の操作に関するデータを車載機から受信することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の車両用情報提供装置において、
前記受信手段は、所定時間前までの操作に関するデータを車載機から受信することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の車両用情報提供装置において、
前記受信手段で受信された操作履歴データをオペレータ端末に表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項8】
ユーザが送信要求する情報の内容に基づいて、情報センターのオペレータ端末にて情報検索を行い、検索した情報を情報センターから車載機に送信する車両用情報提供システムにおいて、
情報センターは、ユーザが送信要求する情報と、ユーザが行った車載機の操作履歴データとを車載機から受信する第1の受信手段と、
前記受信手段で受信した操作履歴データに基づいて、オペレータ端末にて情報検索を行う情報検索処理手段と、
前記情報検索処理手段によって検索された情報を、情報の送信を要求してきた車載機に送信する送信手段とを備え、
車載機は、情報センターから送信されてくる情報を受信する第2の受信手段を備えることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記操作履歴データには、車載機側で情報検索を行った結果のデータが含まれることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記操作履歴データには、車載機側で情報検索を行った際の情報検索項目のデータが含まれることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記操作履歴データには、車載機の操作内容のデータが含まれることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記第1の受信手段は、直近の所定回数分の操作に関するデータを車載機から受信することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記第1の受信手段は、所定時間前までの操作に関するデータを車載機から受信することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
情報センターは、前記第1の受信手段で受信された操作履歴データをオペレータ端末に表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項15】
ユーザが送信要求する情報の内容に基づいてオペレータ端末にて情報検索を行い、検索した情報を車載機に送信する車両用情報提供方法において、
ユーザが送信要求する情報と、ユーザが行った車載機の操作履歴データとを車載機から受信し、
受信した操作履歴データに基づいて、オペレータ端末にて情報検索を行い、
検索した情報を、情報の送信を要求してきた車載機に送信することを特徴とする車両用情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−301799(P2006−301799A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120100(P2005−120100)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】