説明

車両用操舵装置及び車両制御装置

【課題】積載状況の変化やタイヤの空気圧等の変化に関わらず、ドライバの意図に沿ったコースを精度よく走行できる車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】車両の操舵角を検出する操舵角検出手段11と、車両の速度を検出する車速検出手段12と、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段13と、車両の操向輪角を検出する操向輪角検出手段14と、検出された操舵角、車速、ヨーレート及び実操向輪角に基づいて、目標操向輪角を生成する目標操向輪角生成手段40と、目標操向輪角生成手段40が生成する目標操向輪角に基づいて車両の操向輪角を制御する操向輪角制御手段15とを備え、目標操向輪角生成手段40は、車両に発生する実旋回半径相当値である実スタビリティファクタと車両により予め定められた規範旋回半径相当値である規範スタビリティファクタを用いて、目標操向輪角を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバのハンドル操作に基づいて操向輪を転舵させる車両用操舵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドル操作により操向輪(操向車輪)の向きを変えて走行方向を制御する車両(自動車)に用いられる操舵装置には、車速に応じて舵角比を変えることができるもの(舵角比可変装置)が従来から知られている。
なお、舵角比とは、ドライバの操作により操舵されるハンドルの操舵角に対するタイヤ(操向車輪)転舵角の比のことである。
このような舵角比可変装置の基本的な制御方法として「車速感応制御」があり、車速が大きくなると舵角比を小さく、車速が低くなると舵角比を大きくする。
即ち、車庫入れ操作などの低速走行時には小さなハンドル操作で車両の走行方向が大きく変わり、高速走行時にはハンドルを大きく切っても走行方向は少ししか変わらず、安全性と操作性が向上する。
【0003】
ところで、車両は、常にドライバのみを乗せて走行するわけではない。
ドライバ以外の人員が乗車したり、荷物を積載したりすると、車両の積載荷重及び重量配分が変化する。
特に、ワンボックスやステーションワゴン等の車両においては、積載状況によって全体重量の増減や前後での重量配分の差が大きいので、車両走行の安定性は低下し、ドライバはゆっくりとしたステアリング操作(即ち、ハンドル操作)を行わなければならない。
また、積載状況の変化前と同様の操舵角で操舵し、積載状況の変化前と同様の車速で走行すると、積載状況変化後の旋回半径は変化前の旋回半径とは異なり、車両はドライバの意図に沿ったコースを走行できないという問題がある。
【0004】
そこで、積載状況の変化を考慮した技術が公開されている。
積載状況によりハンドル操作量が変わるのを、例えば、特開2003−175841号公報(特許文献1)に示された舵角比可変装置では、「制御によってハンドル操作量を一定とすると共に、前輪・後輪の車高により車両の前後の重量配分、全重量を検出し、これらに基づいて舵角比を補正する」ことが記載されている。
【0005】
一方、ドライバの意図に沿った旋回性を得ることを目的とした技術が公開されている。
例えば、特開2000−043746号公報(特許文献2)に示された車両の操舵装置では、「目標ヨーレートを定め、目標ヨーレートと車両に発生するヨーレート(旋回速度)の偏差に基づいて制御を行うことで、速度超過やドライバの操舵ミスなどにより車両挙動が不安定になった場合でも、車両挙動を安定化し、ドライバの意図に沿った旋回性を実現できる」ことが記載されている。
【特許文献1】特開2003−175841号公報
【特許文献2】特開2000−043746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の特開2003−175841号公報に記載の舵角比可変装置では、前輪・後輪の位置や重心位置での車高に基づいて舵角比を変更し、積載状況に応じた制御を行っており、制御実現のためには車高検出のための特別なセンサを付加しなければならない。
また、ドライバの意図に沿った旋回半径の取得を十分に考慮したものではなかった。
【0007】
一方、前述した特開2000−043746号公報に記載の車両の操舵装置によると、ドライバの意図に沿った旋回性を実現できるが、ヨーレートを制御するものであり、必ずしもドライバが意図する旋回半径を得て、意図するコースを走行できるとは限らない。
従って、ドライバは、積載状況等の変化に応じてハンドルやアクセルの操作を変更しなければならないという課題がある。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、積載状況の変化に関わらず、またタイヤの空気圧等の変化に関わらず、ドライバの意図に沿ったコースを走行することが可能な車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両用操舵装置は、車両の実旋回半径値を検出する実旋回半径検出手段と、予め定められた規範旋回半径値を出力する規範旋回半径値出力手段を備え、前記実旋回半径検出手段が検出する実旋回半径値と前記規範旋回半径値出力手段が出力する規範旋回半径値に基づいて、操向輪の転舵量を制御するものである。
【0010】
また、本発明に係る車両用操舵装置は、車両の操舵角を検出し、操舵角信号を出力する操舵角検出手段と、前記車両の速度を検出し、車速信号を出力する車速検出手段と、前記車両のヨーレートを検出し、ヨーレート信号を出力するヨーレート検出手段と、前記車両の操向輪角を検出し、実操向輪角信号を出力する操向輪角検出手段と、前記操舵角信号、車速信号、ヨーレート信号及び実操向輪角信号に基づいて、目標操向輪角を生成する目標操向輪角生成手段と、前記目標操向輪角生成手段が生成する目標操向輪角に基づいて前記車両の操向輪角を制御する操向輪角制御手段とを備えた車両用操舵装置であって、前記目標操向輪角生成手段は、前記車両に発生する実旋回半径相当値である実スタビリティファクタと前記車両により予め定められた規範旋回半径相当値である規範スタビリティファクタを用いて、目標操向輪角を生成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両に発生する実旋回半径相当値と車両により予め定められた規範旋回半径相当値に基づいて目標操向輪角を生成するので、車高検出等のための特別なセンサを付加しなくても、積載状況の変化やタイヤの空気圧などの変化に関わらず、ドライバの意図に沿ったコースを安定して精度よく走行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について説明する前に、この発明の理解を助けるために、「旋回半径及びスタビリティファクタ」及び「積載状況の変化がこれらの値に及ぼす影響」について簡単に説明する。まず、旋回半径及びスタビリティファクタについて述べる。
旋回半径Rは、下記の(式1)で表される。
(式1)より、実操向輪角δs、車速V、スタビリティファクタAが変化すると、旋回半径R、ヨーレートγが変化することが分かる。
【0013】
【数1】

【0014】
図1は、実操向輪角δs=(一定)とした場合の車速Vと旋回半径Rの関係を示した図であり、スタビリティファクタAの値により異なる曲線(A=0の場合は直線)を描く。
スタビリティファクタAは、車両の旋回半径を定めるパラメータ(=旋回半径相当値)のひとつである。
車両は、スタビリティファクタA>0ならばアンダステア(US)特性、スタビリティファクタA=0ならばニュートラルステア(NS)特性、スタビリティファクタA<0ならばオーバステア(0S)特性を示す。
【0015】
なお、旋回半径Rは、上記(式1)から明らかなように、以下の式で示される。
R = (1+AV)L/δ
図1に示すように、スタビリティファクタA>0ならば、車速Vが大きくなるにつれて旋回半径Rは大きくなり(US)、スタビリティファクタA<0ならば、車速Vが大きくなるにつれて旋回半径Rは小さく(OS)、スタビリティファクタA=0では、車速Vの値に関わらず旋回半径Rは一定(=L/δ)である。
また、スタビリティファクタAは車両ごとに予め定められた値であり、下記の(式2)で表される。
【0016】
【数2】

【0017】
人員の乗車及び荷物の積載等により積載状況が変化すると車両質量m、車両重心点と前輪・後輪間の距離Lf・Lrが変化し、また、タイヤの空気圧等の状況が変化すると前輪・後輪のコーナリングパワーKf・Krが変化するため、(式2)よりスタビリティファクタAが変化することが分かる。
【0018】
積載状況及びタイヤの状況が変化した場合、スタビリティファクタAが変化するため、(式1)より旋回半径Rも変化する。
即ち、積載状況の変化前と同様の操舵角θsで操舵、積載状況の変化前と同様の車速Vで走行しても、積載状況変化後の旋回半径Rは変化前の旋回半径とは異なり、ドライバの思いどおりの旋回半径Rが得られないという問題が生じることが分かる。
ドライバは、積載状況、タイヤの状況に応じて、ハンドル及びアクセル等の操作(操舵角θs及び車速Vの操作)を変更しなければならない。
【0019】
以下、本発明の一実施の形態例について、図面に基づいて説明する。
なお、各図間において、同一符号は、同一あるいは相当のものであることを表す。
実施の形態1.
図2は、実施の形態1に係わる車両用操舵装置が適用された車両制御装置の要部の構成を示す図である。
図2に示すように、車両制御装置は、ドライバ(図示なし)が操作するハンドル10、ドライバの操作量である操舵角を検出する操舵角検出手段(操舵角センサ)11、車両の速度を検出する車速検出手段(車速センサ)12、車両に発生するヨーレート(旋回速度)を検出するヨーレート検出手段(ヨーレートセンサ)13を備える。
【0020】
後述する目標操作向輪角生成手段40からの目標操向輪角制御信号に応じて、ラックアンドピニオン方式の操舵輪転舵機構31を操舵機構駆動手段30により駆動し、ナックルアーム32a、32bを介して、操向輪33a、33bの転舵量を制御する。
前記操舵機構駆動手段30は、電気モータ3001と、操舵輪転舵機構31のウオームホイール3102と噛み合うウオームギア3002とを有し、操舵輪転舵機構31には操向輪33a、33bに発生する操向輪角を検出し、実操向輪角信号を出力する操向輪角検出手段34が取り付けられている。
【0021】
図3は、実施の形態1による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
図3において、操舵角検出手段11は、操舵角センサにより操舵角を検出し操舵角信号を出力する。
車速検出手段12は、車速センサにより車速を検出し車速信号を出力する。
ヨーレート検出手段13は、ヨーレートセンサによりヨーレートを検出し実ヨーレート信号を出力する。
操向輪角検出手段14は、操向輪角を検出し実操向輪角信号を出力する。
操向輪角制御手段15は、後述する目標操向輪角生成手段40から出力される目標操向輪角信号と操向輪角検出手段14から出力される実操向輪角信号とに基づいて操向輪角制御信号を出力する。
即ち、操向輪角制御手段15は、実操向輪角が目標操向輪角と一致するように操向輪角制御信号を出力し、操舵機構駆動手段30を制御する。
【0022】
図3に示すように、目標操向輪角生成手段40は、基本舵角比算出手段41、規範スタビリティファクタ格納手段42、実スタビリティファクタ検出手段43、加算器44、目標舵角比算出手段45、舵角比修正量算出手段46、乗算器47で構成されている。
基本舵角比算出手段41は、車速検出手段(車速センサ)12が検出する車速信号及び操舵角検出手段(操舵角センサ)11が検出する操舵角信号に基づいて基本舵角比を算出し、基本舵角比信号を出力する。
規範スタビリティファクタ格納手段42は、車両により予め定められている規範スタビリティファクタを予め格納しておき、規範スタビリティファクタ信号を出力する。
実スタビリティファクタ検出手段43は、車速検出手段12が検出する車速信号、ヨーレート検出手段(ヨーレートセンサ)13が検出する実ヨーレート信号及び操向輪角検出手段(操向輪角センサ)14が検出する操向輪角信号に基づいて、実際のスタビリティファクタを検出し、実スタビリティファクタ信号を出力する。
【0023】
また、加算器44は、規範スタビリティファクタ格納手段42に格納されていた規範スタビリティファクタ信号及び実スタビリティファクタ検出手段43から出力される実スタビリティファクタ信号に基づいてスタビリティファクタ誤差を算出し、スタビリティファクタ誤差信号を出力する。
舵角比修正量算出手段46は、加算器44で算出されたスタビリティファクタ誤差信号に基づいて舵角比修正量を算出し、舵角比修正量信号を出力する。
目標舵角比算出手段45は、基本舵角比算出手段41から出力される基本舵角比信号及び舵角比修正量算出手段46から出力される舵角比修正量信号に基づいて目標舵角比を算出し、目標舵角比信号を出力する。
乗算器47は、目標舵角比算出手段45から出力される目標舵角比信号と操舵角検出手段19から出力される操舵角信号を乗算し、目標操向輪角信号を生成する。
【0024】
ここで、基本舵角比を算出し基本舵角比信号を出力する基本舵角比算出手段41について説明する。
基本舵角比は車両ごとに予め定められる値で、一般的には、車速、操舵角に応じて設定される。
基本舵角比算出手段41は、走行中に発生する車速信号及び操舵角信号に応じて、設定された基本舵角比信号を出力する。
【0025】
次に、実スタビリティファクタを検出し実スタビリティファクタ信号を出力する実スタビリティファクタ検出手段43について説明する。
実スタビリティファクタ検出手段43は、ヨーレート検出手段13が検出する実ヨーレート信号γ、車速検出手段12が検出する車速信号V、操向輪角検出手段14が検出する実操向輪角信号δs、ホイールベースL(固定値)に基づいて実スタビリティファクタを算出し、実スタビリティファクタ信号Aactを出力する。
実際のスタビリティファクタは、例えば、下記の(式3)に示すとおり演算することで得られる。
【0026】
【数3】

【0027】
次に、規範スタビリティファクタ信号を出力する規範スタビリティファクタ格納手段42について説明する。
規範スタビリティファクタは車両により予め定められた値であり、一般的に0.001〜0.0025(スポーツカー〜セダン)の範囲に設定される。
設定された規範スタビリティファクタは、規範スタビリティファクタ格納手段42に予め格納されている。
そして、規範スタビリティファクタ格納手段42は、常に一定値の規範スタビリティファクタ信号を出力する。
【0028】
図4は、実施の形態1による車両用操舵装置の動作を説明するためのフローチャートである。
次に、図4に基づいて、本実施の形態による車両用操舵装置の動作を説明する
なお、本実施の形態による車両用操舵装置の特徴は、目標操向輪角生成手段40における目標操向輪角生成方法であるため、以下では目標操向輪角生成手段40において目標操向輪角信号を生成するまでのアルゴリズムを述べる。
【0029】
まず、ステップS101において、操舵角検出手段11からの操舵角信号θsをマイコンに読み込み、メモリに記憶し、ステップS102において車速検出手段12からの車速信号Vをマイコンに読み込み、メモリに記憶する。
ステップS103において、メモリに記憶された操舵角信号θs、車速信号Vに基づいて基本舵角比算出手段41により基本舵角比信号Goを算出し、メモリに記憶する。
ステップS104において、ヨーレート検出手段13からの実ヨーレート信号γをマイコンに読み込み、メモリに記憶する。
ステップS105において、操向輪角検出手段14からの実操向輪角信号δsをマイコンに読み込み、メモリに記憶する。
【0030】
ステップS106において、実スタビリティファクタ検出手段43においてメモリに記憶された車速信号V、ヨーレート信号γ、実操向輪角信号δsに基づいて実スタビリティファクタAactを算出し、メモリに記憶する。
ステップS107において、規範スタビリティファクタ格納手段42において規範スタビリティファクタ信号Rrefを出力し、メモリに記憶する。
ステップS108において、加算器44は、メモリに記憶された規範スタビリティファクタ信号Aref及び実スタビリティファクタ信号Aactに基づいてスタビリティファクタ誤差を算出し、スタビリティファクタ誤差信号Erとしてメモリに記憶する。
【0031】
ステップS109において、メモリに記憶されたスタビリティファクタ誤差信号Erに基づいて舵角比修正量を算出し、舵角比修正量信号Kとしてメモリに記憶する。
ステップS110において、目標舵角比算出手段45は、メモリに記憶された基本舵角比信号Goと舵角比修正量信号Kに基づいて目標舵角比を算出し、目標舵角比信号Cvとしてメモリに記憶する。
ステップS111において、乗算器47は、メモリに記憶された目標舵角比信号Gv及び操舵角信号θsに基づいて目標操向輪角δを生成し、目標操向輪角信号δrefとしてメモリに記憶する。
前記ステップS101からS111までの動作を制御サンプリング毎に繰り返し、算出した目標操向輪角信号δrefに基づいて操向輪33a、33bを制御する。
【0032】
通常、積載状況が変化した場合、ドライバが積載状況の変化に応じて操舵方法を変更しない限り同じ旋回半径を得ることはできない。
しかし、上述したように、本実施の形態1では車両側で積載状況やタイヤ圧の変化に応じた制御を行っているため、積載状況の変化やタイヤ状況の変化に関わらず、同様の操舵方法で同様の旋回半径が得られ、ドライバの意図に沿ったコースを安定して精度よく走行することが可能となる。
【0033】
なお、本実施の形態1において、車両重量を検出し、実車両重量信号mactを出力する車両重量検出手段、車両重心を検出し実車両重心信号を出力する車両重心検出手段、前記実車両重心信号に基づいて実際の車両重心点と前輪・後輪車軸間の距離を算出し、実車両重心−前輪・後輪間距離信号Lf_act・Lr_actを出力する車両重心−前輪・後輪間距離算出手段、前輪・後輪のコーナリングパワーを検出し、前輪・後輪コーナリングパワー信号Kf_act・Kr_actを出力する前輪・後輪コーナリングパワー検出手段を備え、実スタビリティファクタ格納手段43は、実車両質量信号mact、実車両重心−前輪・後輪間距離信号Lf_act・Lr_act、実前輪・後輪のコーナリングパワー信号Kf_act・Kr_actに基づいて実スタビリティファクタを検出する構成としてもよい。
例えば、下記の(式4)に示すとおり演算することで実際のスタビリティファクタAactが得られる。
このように、本実施の形態では、実際の値(車両重量、コーナリングパワー、重心位置)
に基づいて実スタビリティファクタを検出することで、より精度よく目標操向輪角の検出が可能となる。
【0034】
【数4】

【0035】
また、前述した実施の形態1では、加算器44によって規範スタビリティファクタ信号Arefと実スタビリティファクタ信号Arefとの誤差Erを算出し、舵角比修正量算出手段46においてスタビリティファクタ誤差信号Erに基づいて舵角比修正量信号Kを算出したが、この算出方法に限られるものではない。
規範スタビリティファクタ信号Arefと実スタビリティファクタ信号Aactに基づいて舵角比修正量Kを算出する方法であれば、その算出方法は問わない。
【0036】
また、前述した実施の形態1では、規範スタビリティファクタ格納手段42を備え、規範旋回半径相当値として規範スタビリティファクタ信号を出力する構成としたが、規範旋回半径出力手段を備え、車速信号及び操舵角信号に基づいて規範旋回半径を出力する構成としてもよい。
このような構成とする場合、規範旋回半径出力手段、車速及び操舵角に応じた旋回半径を格納したマップを用意し、マップから規範旋回半径信号を出力するものとしてもよく、規範ヨーレート、規範スタビリティファクタの少なくとも一方を格納しておき、規範ヨーレート、規範スタビリティファクタの少なくとも一方に基づいた算出値を規範旋回半径信号として出力するものとしてもよい。
本構成にすることにより、旋回半径により忠実な制御を行うことができる。
【0037】
同様に、前述した実施の形態1では、実スタビリティファクタ検出手段43を備え、実旋回半径相当値として実スタビリティファクタ信号を検出して出力する構成としたが、実旋回半径検出手段を備え、実旋回半径信号を検出し出力する構成としてもよい。
このような構成とする場合、GPSを利用し、実旋回半径検出手段はGPSからの実旋回半径信号を読み込み、実旋回半径信号として出力してもよく、実ヨーレート信号と車速信号に基づいて算出し、実旋回半径信号として出力してもよい。
本構成とすることにより、ヨーレートセンサがなくても、同様の効果を得ることが可能となる。
【0038】
また、前述した実施の形態1における基本舵角比算出手段41では、車速信号及び操舵角信号に応じて可変とした基本舵角比を基本舵角比信号として出力する構成としたが、どちらか一方に応じて可変としてもよい。
更に、基本舵角比はその他の信号に応じて可変としてもよい。本構成としても、前記実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0039】
なお、前述した実施の形態1では、車速検出手段(車速センサ)12からの車両の速度を車速信号として出力したが、車輪速センサを備え、車輪速センサからの車輪速を検出し、車輪速より求めた車両の速度を車速信号として出力する構成としてもよい。
本構成としても、前述した実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0040】
また、前述した実施の形態1における規範スタビリティファクタ格納手段42では、出力する規範スタビリティファクタ信号を固定値としたが、車速信号等に応じて可変としてもよい。このような構成としても、同様の効果が得られる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態による車両用操舵装置は、車両の操舵角を検出し、操舵角信号を出力する操舵角検出手段11と、車両の速度を検出し、車速信号を出力する車速検出手段12と、車両のヨーレートを検出し、ヨーレート信号を出力するヨーレート検出手段13と、車両の操向輪角を検出し、実操向輪角信号を出力する操向輪角検出手段14と、操舵角信号、車速信号、ヨーレート信号及び実操向輪角信号に基づいて、目標操向輪角を生成する目標操向輪角生成手段40と、目標操向輪角生成手段40が生成する目標操向輪角に基づいて車両の操向輪角を制御する操向輪角制御手段15とを備えており、目標操向輪角生成手段40は、車両に発生する実旋回半径相当値である実スタビリティファクタと車両により予め定められた規範旋回半径相当値である規範スタビリティファクタを用いて、目標操向輪角を生成する。
従って、本実施の形態によれば、車両に発生する実旋回半径相当値と車両により予め定められた規範旋回半径相当値に基づいて目標操向輪角を生成するので、車高検出等のための特別なセンサを付加しなくても、積載状況の変化やタイヤの空気圧等の変化に関わらず、ドライバの意図に沿ったコースを安定して精度よく走行することができる。
【0042】
また、本実施の形態による車両用操舵装置の目標操向輪角生成手段40は、操舵角信号及び前記車速信号に基づいて基本舵角比を算出し、基本舵角比信号を出力する基本舵角比算出手段41と、車両ごとに予め定められた旋回半径相当値である規範スタビリティファクタを格納しておき、規範旋回半径相当値信号である規範スタビリティファクタ信号を出力する規範スタビリティファクタ格納手段42と、車速信号、ヨーレート信号及び実操向輪角信号に基づいて、車両の実旋回半径を定めるパラメータである実スタビリティファクタ信号を検出して出力する実スタビリティファクタ検出手段43と、規範スタビリティファクタ格納手段42から出力される規範スタビリティファクタと実スタビリティファクタ検出手段43から出力される実スタビリティファクタ信号に基づいて舵角比修正量を算出する舵角比修正量算出手段46と、基本舵角比検出手段41が出力する基本舵角比信号と舵角比修正量算出手段46が出力する舵角比修正量に基づいて目標舵角比を算出する目標舵角比算出手段45を設け、操舵角検出手段11が出力する操舵角信号及び目標舵角比算出手段45が算出する目標舵角比に基づいて、目標操向輪角が制御される。
【0043】
また、本実施の形態による車両用操舵装置は、車両の実旋回半径値を検出する実旋回半径検出手段と、予め定められた規範旋回半径値を出力する規範旋回半径値出力手段を備え、
実旋回半径検出手段が検出する実旋回半径値と規範旋回半径値出力手段が出力する規範旋回半径値に基づいて、操向輪の転舵量を制御する。
また、本実施の形態による車両用操舵装置の実旋回半径検出手段は、GPSを利用して前記実旋回半径値を検出する。
また、本実施の形態による車両用操舵装置は、操向輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、操向輪の操舵角を検出する操舵角検出手段とを備え、転舵角検出手段が検出する転舵角と操舵角検出手段が検出する操舵角に基づいて、車両の舵角比を制御する。
【0044】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
以下、図5に基づいて、実施の形態2による車両操舵装置の構成と動作について、説明する。
本実施の形態においては、ドライバによる実スタビリティファクタ算出実施の選択(Yes/No)を検出し、ドライバ選択信号として出力とするドライバ選択検出手段16を更に設けている。
つまり、ドライバが操作できるスイッチであるドライバ選択検出手段16が設けられており、スイッチが「ON」であればドライバ選択信号は「Yes」、スイッチが「OFF」であればドライバ選択信号は「No」である。
【0045】
実スタビリティファクタの検出条件は、ドライバ選択信号として「Yes」が出力された後、所定時間内である場合とする。
実スタビリティファクタは、積載状況が変化した場合に変化する。ドライバは、積載状況が変化(即ち、実スタビリティファクタが変化)したことを認識している筈であり、ドライバは実スタビリティファクタの検出を行うか否か(即ち、積載状況に応じて制御量を変更するか否か)を選択する。例えば、積載状況(乗員増加、荷物の積載)した場合に、ドライバはスイッチを「ON」とする。
【0046】
本実施の形態における目標繰向輪角生成手段400の検出条件判定手段48は、前記検出条件を満たすか否かを判定する。
前記検出条件を満たせば、実スタビリティファクタ検出手段50は、車速信号、実ヨーレート信号、実操向輪角信号に基づいて、実スタビリティファクタを検出し、実スタビリティファクタ格納手段51に格納する。
実スタビリティファクタ格納手段51は、格納された実スタビリティファクタを格納スタビリティファクタ信号として出力する。
【0047】
ここで本実施の形態における実スタビリティファクタ検出手段50の動作について説明する。
前述の実施の形態1における実スタビリティファクタ検出手段43は、常に実スタビリティファクタの検出を行っていたが、スタビリティファクタの値は積載状況の変化及びタイヤ状況の変化によって変化するものであるため、走行中は大きく変化しない。従って、実スタビリティファクタを特定できれば、その後、検出処理を行う必要はない。
実施の形態2における実スタビリティファクタ検出手段50は、検出条件判定手段48おいて予め定められた検出条件を満たすと判定された場合のみ、実スタビリティファクタを検出し、実スタビリティファクタ格納手段51に格納する。
【0048】
次に、検出条件判定手段48の検出条件について述べる。
実スタビリファクタの検出を行うか否かをドライバが選択し、ドライバの選択に基づいて実スタビリティファクタの検出実施を決定する。
前述したように、本実施の形態においては、ドライバによる実スタビリティファクタ算出実施の選択(Yes/No)を検出し、ドライバ選択信号として出力とするドライバ選択検出手段16を更に設けている。
ドライバ選択検出手段16のスイッチが「ON」であればドライバ選択信号は「Yes」、スイッチが「OFF」であればドライバ選択信号は「No」である。
実スタビリティファクタの検出条件は、ドライバ選択信号として「Yes」が出力された後、所定時間内である場合とする。
実スタビリティファクタは、積載状況が変化した場合に変化する。
ドライバは、積載状況が変化(即ち、実スタビリティファクタが変化)したことを認識している筈であり、ドライバは実スタビリティファクタの検出を行うか否か(即ち、積載状況に応じて制御量を変更するか否か)を選択する。ドライバによる選択は、例えば、乗員の増加後及び荷物の積載等により積載状況が変化した際に行われるのが望ましい。
【0049】
図6は、実施の形態2による車両用操舵装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図6のフローチャートに基づいて、本実施の形態による車両用操舵装置の動作について説明する。
なお、本実施の形態2が特徴とするのは、実スタビリティファクタを検出する箇所であるので、実スタビリティファクタを検出する箇所に関して記載する。なお、その他の動作は実施の形態1と同様である。
【0050】
ステップS205において、ドライバ選択検出手段16からのドライバ選択信号Dsをマイコンに読み込み、メモリに記憶する。
ステップS206において、検出条件判定手段48によってメモリに記憶されたドライバ選択信号Dsを読み込み、検出条件を満たしているか否かを判定し、ステップの分岐を行う。検出条件を満たせばステップS207に進み、満たさなければステップS209に進む。
ステップS208において、実スタビリティファクタ検出手段50によってメモリに記憶された車速信号V、ヨーレート信号γ、実操向輪角信号δsに基づいて実スタビリティファクタを算出し、実スタビリティファクタ格納手段51に格納する。
【0051】
ステップS209において、実スタビリティファクタ格納手段51において格納実スタビリティファクタ信号Aact_mを出力しメモリに記憶する。
ステップS211において、加算器44においてメモリに記憶された規範スタビリティファクタ信号Aref、格納実スタビリティファクタ信号Aact_mに基づいて、スタビリティファクタ誤差を算出しスタビリティファクタ誤差信号Erとしてメモリに記憶する。
前記ステップS201からS214までの動作を制御サンプリング毎に繰り返し、算出した目標操向輪角信号δrefに基づいて操向輪33a、33bを制御する。
【0052】
以上のとおり実施することで、実スタビリティファクタの検出精度を向上させることができ、積載状況に応じた制御の精度も高められる。
また、ドライバの選択により実スタビリティファクタ検出実施が定められるため、適確なタイミングでのみ検出ができ処理の負荷を軽減できる。
【0053】
なお、本実施の形態2では、検出条件判定手段48の検出条件をドライバが実スタビリティファクタの検出実施を選択した場合と定めたが、検出条件として車速検出手段12からの車速信号に基づいて、例えば、車速信号が20km以上70km以下の範囲を満たす場合と定めることとしてもよい。
このような構成とすることで、実スタビリティファクタの検出に適した車速で検出が行われるため、検出精度を向上させることができ、より最適な制御効果が得られる。
【0054】
また、人員の乗車及び荷物の積載等による積載状況の変化は車両の駐車時に行われることより、エンジンのイグニッション状態(ON/OFF)を検出し、IG(イグニッション)信号を出力するIG検出手段を設け、検出条件判定手段48の検出条件を、IG信号として「ON」が出力された後、所定時間内である場合と定めることとしてもよい。
このような構成とすることで、駐車状態からの発進における実スタビリティファクタ検出の必要性がシステムにより自動的に判断されるため、ドライバによる検出実施の選択なしに、適確なタイミングで検出ができ処理の負荷を軽減できる。
【0055】
更に、エンジンをかけたままの状態で一時停止し、人員の乗車及び荷物の積載等による積載状況の変化がなされた場合を考慮し、トランスミッションのシフトレンジの状態(パーキング/その他)を検出し停車状態信号を出力する停車状態検出手段を設け、検出条件判定手段48の検出条件を、停車状態信号として『パーキング』の出力から『その他』の出力に変更された場合と定めることとしてもよい。
同様に、前記停車状態検出手段はパーキングブレーキの状態(ON/OFF)を検出し、停車状態信号を出力するものとし、停車状態信号として『ON』の出力から『OFF』の出力への変更された場合と定めることとしてもよい。
このような構成とすることで、駐車状態のみならず停車状態からの発進における実スタビリティファクタ検出の必要性がシステムにより自動的に判断されるため、より適確なタイミングで検出ができ処理の負荷が軽減できる。
【0056】
また、本実施の形態2の目標舵角比算出手段45では、目標舵角比信号をサンプリング毎に規範舵角比信号、舵角比修正量信号に基づいて算出する構成としたが、舵角比修正量に基づいて目標舵角比を車速、操舵角ごとに算出し、算出値をマップとして格納しておき、サンプリング毎に車速信号、操舵角信号に基づいたマップ値を読み込み、目標舵角比信号として出力する構成としてもよい。
なお、検出条件判定手段48の検出条件として、いくつかの例を示したが、検出条件判定手段48の検出条件は、これら検出条件のうちの1つであってもよいし、これら検出条件の複数を組み合わせたものであってもよい。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態による車両用操舵装置の目標操向輪角生成手段400は、予め車両ごとに設定された実旋回半径相当値の検出条件を満たすか否かを判定する検出条件判定手段48と、実旋回半径相当値信号を格納する実スタビリティファクタ格納手段51を備え、検出条件が満たされた場合のみ、実スタビリティファクタ検出手段50は車両の実旋回半径を定めるパラメータである実スタビリティファクタ信号を検出して実スタビリティファクタ格納手段51に格納し、舵角比修正量算出手段46は、規範スタビリティファクタ格納手段51と実スタビリティファクタ検出手段50の出力に基づいて舵角比修正量を算出する。
【0058】
また、本実施の形態による車両用操舵装置の検出条件判定手段18の検出条件は、
(a)ドライバが実旋回半径相当値の検出の実施を選択した後、所定時間内である
(b)車速信号が予め定められた範囲内である
(c)エンジンのイグニッションのON後、所定時間内である
のいずれか1つである。
また、本実施の形態による車両用操舵装置の検出条件判定手段18の検出条件は、上記(a)〜(c)の3条件のうちの少なくとも複数の条件を組み合わせたものである。
【0059】
実施の形態3.
以下、前述した実施の形態1あるいは実施の形態2による車両操舵装置を利用した車両制御装置の特徴的な構成について説明する。
本実施の形態では、実スタビリティファクタ検出手段43あるいは実スタビリティファクタ検出手段50が検出する実スタビリティファクタ信号と規範スタビリティファクタ格納手段42からの規範スタビリティファクタ信号に基づいて、車両の駆動力制御量を算出し、駆動力制御信号を出力する駆動力制御手段を備える。
同様に、制動力制御量を算出し制動力制御信号を出力する制動力制御手段を備える。
また、後輪角制御量を算出し後輪角制御信号を出力する後輪角制御手段を備える。
前記駆動力制御信号、制動力制御信号、後輪角制御信号に基づいて、車両の駆動機構、制動機構、後輪角転舵機構を制御する。
【0060】
次に、本実施の形態3の効果について述べる。
本実施の形態では、規範スタビリティファクタ信号と実スタビリティファクタ信号に基づいて、操向輪転舵機構だけでなく、車両の駆動機構、制動機構及び後輪転舵機構を制御するので、より最適な車両の制御効果が得られる。
【0061】
なお、前記実施の形態1〜3において、実スタビリティファクタ検出手段からの実スタビリティファクタ信号と規範スタビリティファクタ格納手段からの規範スタビリティファクタ信号に差異が生じたときは、表示板等に出力する構成としてもよい。
このような構成とすることにより、ドライバは積載状況等の変化を認知できる。
【0062】
また、前記実施の形態1〜3では、ハンドルと操向輪機構が機械的に連結されていない操舵機構を例として説明したが、この機構にのみ適用できるというものでなく、広く、ドライバのハンドル操舵に対して補助操舵角を加えることができる機構であればよいことは自明である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
この発明による車両用操舵装置は、自動車に限らず、陸上を走行し、操向車輪によって方向を制御される車両、例えばフォークリフトなどにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実操向輪角を一定とした場合の車速と旋回半径の関係を示す図である。
【図2】実施の形態1による車両用操舵装置が適用された車両制御装置の要部の構成を示す図である。
【図3】実施の形態1による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1による車両用操舵装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態2による車両用操舵装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態2による車両用操舵装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10 ハンドル 11 操舵角検出手段
12 車速検出手段 13 ヨーレート検出手段
14 操向輪角検出手段 15 操向輪角制御手段
16 ドライバ選択検出手段 30 操舵機構駆動手段
31 操向輪転舵機構 33a、33b 操向輪
40 目標操向輪角生成手段 41 基本舵角比算出手段
42 規範ステビリテイファクタ格納手段
43 実ステビリテイファクタ検出手段
44 加算器 45 目標舵角比算出手段
46 舵角比修正量算出手段 47 乗算器
48 検出条件判定手段
50 実ステビリテイファクタ検出手段
51 実ステビリテイファクタ格納手段
400 目標操向輪角生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の実旋回半径値を検出する実旋回半径検出手段と、予め定められた規範旋回半径値を出力する規範旋回半径値出力手段を備え、
前記実旋回半径検出手段が検出する実旋回半径値と前記規範旋回半径値出力手段が出力する規範旋回半径値に基づいて、操向輪の転舵量を制御することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項2】
前記実旋回半径検出手段は、GPSを利用して前記実旋回半径値を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
【請求項3】
操向輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、前記操向輪の操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、
前記転舵角検出手段が検出する転舵角と前記操舵角検出手段が検出する操舵角に基づいて、車両の舵角比を制御することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項4】
車両の操舵角を検出し、操舵角信号を出力する操舵角検出手段と、前記車両の速度を検出し、車速信号を出力する車速検出手段と、前記車両のヨーレートを検出し、ヨーレート信号を出力するヨーレート検出手段と、前記車両の操向輪角を検出し、実操向輪角信号を出力する操向輪角検出手段と、前記操舵角信号、車速信号、ヨーレート信号及び実操向輪角信号に基づいて、目標操向輪角を生成する目標操向輪角生成手段と、前記目標操向輪角生成手段が生成する目標操向輪角に基づいて前記車両の操向輪角を制御する操向輪角制御手段とを備えた車両用操舵装置であって、
前記目標操向輪角生成手段は、前記車両に発生する実旋回半径相当値である実スタビリティファクタと前記車両により予め定められた規範旋回半径相当値である規範スタビリティファクタを用いて、目標操向輪角を生成することを特徴とする車両用操舵装置。
【請求項5】
前記目標操向輪角生成手段は、前記操舵角信号及び前記車速信号に基づいて基本舵角比を算出し、基本舵角比信号を出力する基本舵角比算出手段と、前記車両ごとに予め定められた旋回半径相当値である規範スタビリティファクタを格納しておき、規範旋回半径相当値信号である規範スタビリティファクタ信号を出力する規範スタビリティファクタ格納手段と、前記車速信号、ヨーレート信号及び実操向輪角信号に基づいて、前記車両の実旋回半径を定めるパラメータである実スタビリティファクタ信号を検出して出力する実スタビリティファクタ検出手段と、前記規範スタビリティファクタ格納手段から出力される規範スタビリティファクタと実スタビリティファクタ検出手段から出力される実スタビリティファクタ信号に基づいて舵角比修正量を算出する舵角比修正量算出手段と、前記基本舵角比検出手段が出力する基本舵角比信号と前記舵角比修正量算出手段が出力する舵角比修正量に基づいて目標舵角比を算出する目標舵角比算出手段を設け、
前記操舵角検出手段が出力する操舵角信号及び前記目標舵角比算出手段が算出する目標舵角比に基づいて、目標操向輪角が制御されることを特徴とする請求項4に記載の車両用操舵装置。
【請求項6】
前記目標操向輪角生成手段は、予め車両ごとに設定された実旋回半径相当値の検出条件を満たすか否かを判定する検出条件判定手段と、前記実旋回半径相当値信号を格納する実スタビリティファクタ格納手段を備え、
前記検出条件が満たされた場合のみ、前記実スタビリティファクタ検出手段は前記車両の実旋回半径を定めるパラメータである実スタビリティファクタ信号を検出して前記実スタビリティファクタ格納手段に格納し、前記舵角比修正量算出手段は、前記規範スタビリティファクタ格納手段と前記実スタビリティファクタ検出手段の出力に基づいて舵角比修正量を算出することを特徴とする請求項5に記載の車両用操舵装置。
【請求項7】
前記検出条件判定手段の検出条件は、ドライバが実旋回半径相当値の検出の実施を選択した後、所定時間内であることを特徴とする請求項6に記載の車両用操舵装置。
【請求項8】
前記検出条件判定手段の検出条件は、前記車速信号が予め定められた範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の車両用操舵装置。
【請求項9】
前記検出条件判定手段の検出条件は、エンジンのイグニッションのON後、所定時間内であることを特徴とする請求項6に記載の車両用操舵装置。
【請求項10】
前記検出条件判定手段の検出条件は、
(a)ドライバが実旋回半径相当値の検出の実施を選択した後、所定時間内である
(b)前記車速信号が予め定められた範囲内である
(c)エンジンのイグニッションのON後、所定時間内である
の3条件のうちの少なくとも複数の条件の組み合わせであることを特徴とする請求項6に記載の車両用操舵装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の車両用操舵装置で得られる実旋回半径相当値信号及び規範旋回半径相当値信号を用いて、車両の駆動力、制動力、操向輪角の制御を行うことを特徴とする車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−119921(P2009−119921A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293302(P2007−293302)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】