説明

車両用表示装置

【課題】 目的地へのルートを案内するルート案内表示を容易に判読できる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 制御手段20は、自車が走行している道路を模した道路表示像Rと、目的地へのルートを案内するガイドマークGとを表示器40に表示させる。制御手段20は、ガイドマークGが前記道路表示像Rに重ならないように、ガイドマークGが道路から浮遊している如く、ガイドマークGを表示させる。制御手段20は、自車の現在位置から案内地点までの距離に応じてガイドマークGの高さを変更して、ガイドマーGを表示器40に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地へのルートを案内表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地へのルートを画像表示によって案内するナビゲーション装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。斯かるナビゲーション装置は、出発前に目的地を入力し、その目的地までのルートを探索するものである。ナビゲーション装置の表示画面には、自車が走行している道路を模した道路表示像Rと、目的地へのルートを案内する矢印形状のガイドマークGとを含むルート案内画像Sが表示される(図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−155747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、目的地へのルートを案内するガイドマークGが道路表示像Rに重なってしまうため、ルート案内画像Sを瞬時に判読することができない虞があった。つまり、ガイドマークGは道路表示像Rとは異なる色で表示されているが、ガイドマークGが道路表示像Rと略同じ位置に表示されるため、ルート案内画像Sが煩雑になり、ルート案内表示が見難いという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、目的地へのルートを案内するルート案内表示を容易に判読できる車両用表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するため、表示器40と、自車が走行している道路を模した道路表示像Rと目的地へのルートを案内するガイドマークGとを前記表示器40に表示させる制御手段20と、を備え、前記道路表示像R及び前記ガイドマークGを立体的に表示する車両用表示装置であって、前記制御手段20は、前記ガイドマークGが前記道路表示像Rに重ならないように、前記ガイドマークGが前記道路から浮遊している如く、前記ガイドマークGを表示させるものである。
【0006】
また、本発明は、前記制御手段20は、前記自車の現在位置から案内地点までの距離に応じて前記ガイドマークGの高さを変更して、前記ガイドマーGを前記表示器40に表示させるものである。
【0007】
また、本発明は、前記制御手段20は、前記自車の現在位置から前記案内地点までの距離に応じて、前記ガイドマークGの前記高さを段階的に低くして、前記ガイドマークGを表示させるものである。
【0008】
また、本発明は、前記制御手段20は、前記自車の現在位置から前記案内地点までの距離に応じて、前記ガイドマークGの前記高さを漸次低くして、前記ガイドマークGを表示させるものである。
【0009】
また、本発明は、前記制御手段20は、前記表示器40に前記道路表示像R及び前記ガイドマークGの両眼視差画像を表示させ、前記道路表示像R及び前記ガイドマークGを立体虚像Vにて表示するものである。
【発明の効果】
【0010】
目的地へのルートを案内するガイドマークが道路表示像に重ならないように表示されるため、目的地へのルートを案内するルート案内表示を容易に判読することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す概観図。
【図2】同上実施形態を示す要部拡大図。
【図3】同上実施形態を示す要部拡大図。
【図4】同上実施形態を示すブロック図。
【図5】同上実施形態を示すガイドマークの高さの説明図。
【図6】同上実施形態を示すルート案内表示の説明図。
【図7】同上実施形態を示すルート案内表示の説明図。
【図8】同上実施形態を示すルート案内表示の説明図。
【図9】他の実施形態を示すガイドマークの高さの説明図。
【図10】従来例を示すルート案内表示の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明を車両用ヘッドアップディスプレイ装置に適用した一実施形態を説明する。
【0013】
1は照明手段であり、この照明手段1は、左目用発光素子2L,右目用発光素子2R,コンデンサレンズ3を有している(図2参照)。左目用発光素子2L及び右目用発光素子2Rは発光ダイオードからなるものであり、左目用発光素子2L及び右目用発光素子2Rが発した光は、コンデンサレンズ3によって平行光にされる。4は光軸制御手段であり、この光軸制御手段4は、マスク5,アクチュエータ6を有している。マスク5には、開口部5a,5bが形成されており、夫々、左目用発光素子2L及び右目用発光素子2Rが発した光を通過させる。アクチュエータ6は、後述するアクチュエータ制御部により駆動され、マスク5を左右に移動させるものである。7は凸レンズであり、この凸レンズ7は、照明手段1から発せられマスク5の開口部5a,5bを通過した照明光を集光させる。
【0014】
10は液晶表示パネルであり、この液晶表示パネル10は、左目用画像及び右目用画像を時間的に交互に表示する。液晶表示パネル10は、OCBモードの液晶表示素子からなるものである。11はコールドミラーであり、このコールドミラー11は、液晶表示パネル10から発せられた表示光を反射させ、後述する発光素子から発せられた赤外光を透過させる。12は凹面鏡であり、この凹面鏡12は表示光をフロントガラス13に投影するものである。15は撮像カメラであり、この撮像カメラ15はコールドミラー11,凹面鏡12及びウィンドシールド13を介して、ドライバー16を撮像する。17は発光素子であり、この発光素子17は赤外光を発し、コールドミラー11,凹面鏡12及びウィンドシールド13を介して、ドライバー16を照明する。撮像カメラ15及び発光素子17は、コールドミラー11の後側に配置されている。
【0015】
左目用発光素子2L及び右目用発光素子2Rが発した照明光は、コンデンサレンズ3によって平行光となりマスク5に入射し、照明光の一部はマスク5の開口部5a,5bを通過する。マスク5の開口部5a,5bから出た照明光は凸レンズ7によって屈折し、液晶表示パネル10を透過して、コールドミラー11で反射された後、凹面鏡12で拡大されてフロントガラス13に投射される。凹面鏡12にて反射された表示光のうち、フロントガラス13で更に反射された表示光がドライバー16の左目16L及び右目16Rに届く。
【0016】
左目用発光素子2L及び右目用発光素子2Rは交互に点灯するものであり、左目用発光素子2Lが点灯している時には液晶表示パネル10に左目用画像を表示し、右目用発光素子2Rが点灯している時は液晶表示パネル10に右目用画像を表示する。液晶表示パネル10と、左目用発光素子2L及び右目用発光素子2Rとを同期して制御することにより、左目16L及び右目16Rに夫々異なる左目用画像及び右目用画像を映すことのできる光を照射することができ、立体映像をドライバー16に知覚させることができる。
【0017】
図4は、車両用ヘッドアップディスプレイ装置の電気的構成を示すブロック部である。制御手段20は、視点検出処理部21,描画処理部22,時分割制御部23,アクチュエータ制御部24を有している。視点検出処理部21は、撮像カメラ15で得られた撮像データからドライバー16の視点位置を検出し、描画処理部22及びアクチュエータ制御部24に視点位置データを出力する。アクチュエータ制御部24は、前記視点位置データに基づき、マスク5をアクチュエータ6によって水平方向に平行移動させる。例えば、ドライバー16の視点が左にずれた場合にはマスク5を右側へ移動させる(図3参照)。
【0018】
描画処理部22は、視点検出処理部21で得られた視点位置データに基づいて、左目16Lと右目16R夫々の視点による画像を生成し、さらにフロントガラス13の湾曲形状に基づく投影時の歪み補正加工を行い、左右夫々の画像を液晶表示素子10に時分割表示する。また、描画処理部22は、視点位置データに基づいて液晶表示パネル10に表示する画像の視点位置を変換する。ドライバー16は拡大された左目用虚像VLと右目用虚像VRとを見ることができ、奥行きのある立体虚像Vを知覚することができる。なお、液晶表示パネル10に表示させる左目用画像と右目用画像とを切り替える周期は左右夫々60Hz以上であることが望ましく、眼精疲労を防止することができる。
【0019】
31は速度センサであり、この速度センサ31は自車の走行速度を検出し、制御手段20に速度データを出力する。32はGPS受信部であり、このGPS受信部32は、GPS衛星からの電波を受信し、制御手段20にGPSデータを出力する。33はジャイロセンサであり、このジャイロセンサ33は自車が向いている方位を算出し、制御手段20に方位データを出力する。35はハードディスク或いはフラッシュメモリ等の記憶部であり、この記憶部35には地図データが記憶されている。36は演算部であり、この演算部36は、制御手段20を介してGPS受信部32から入力したGPSデータに基づいて、自車の現在位置を算出する。37は駆動回路であり、この駆動回路37を介して、液晶表示パネル10が駆動される。表示器40は、液晶表示パネル10,駆動回路37,左目用発光素子2L及び右目用発光素子2R等で構成されている。
【0020】
制御手段20の描画処理部22は、速度センサ31,GPS受信部32,ジャイロセンサ33から出力された各データに基づいて、自車が走行している道路のデータを記憶部35から呼び出して、特定の視点から見た道路形状を表す立体的な道路表示像Rを生成する。また、描画処理部22は、高速道路のジャンクション,交差点,目的地等の案内地点の手前数百メートルの地点から前記案内地点を過ぎるまで、目的地へのルートを案内するガイドマークGを生成する。制御手段20は、駆動回路37を介して、描画処理部22にて生成した道路表示像R及びガイドマークGを液晶表示パネル10に表示させる。
【0021】
図5は、高速道路のジャンクション,交差点,目的地等の案内地点までの距離と、ガイドマークGの高さの関係を示す図である。制御手段20は、自車の現在位置から案内地点までの距離がD1以上のとき、ガイドマークGを高さH1の位置に表示させる(図6参照)。なお、本明細書において、ガイドマークGの高さとは、立体虚像Vにて表現される仮想空間における道路からの高さであり、現実空間における道路からの高さではない。
【0022】
自車が案内地点に近づいて、自車の現在位置から案内地点までの距離がD2以上でD1未満になったとき、ガイドマークGは高さH2の位置に表示される(図7参照)。自車が案内地点に更に近づいて、自車の現在位置から目的地までの距離がD2未満になったとき、ガイドマークGは高さH3の位置に表示させる(図8参照)。ガイドマークGは、道路から浮遊しているように、且つ、道路表示像Rに重ならないように表示される。
【0023】
本実施形態によれば、目的地へのルートを案内するガイドマークGが道路表示像Rに重ならないように表示されるため、目的地へのルートを案内するルート案内表示を容易に判読することができる。また、案内地点に近づくに従って、ガイドマークGが段階的に低くなるように表示されるため、案内地点までの距離が把握し易い。
【0024】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、図9に示す他の実施形態のように、自車の現在位置から案内地点までの距離がD0からD3まで、ガイドマークGの高さが漸次低くなるように、ガイドマークの前記高さを漸次低くして、ガイドマークGを表示させても良い。
【符号の説明】
【0025】
20 制御手段
40 表示器
R 道路表示像
G ガイドマーク
V 立体虚像


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、自車が走行している道路を模した道路表示像と目的地へのルートを案内するガイドマークとを前記表示器に表示させる制御手段と、を備え、前記道路表示像及び前記ガイドマークを立体的に表示する車両用表示装置であって、
前記制御手段は、前記ガイドマークが前記道路表示像に重ならないように、前記ガイドマークが前記道路から浮遊している如く、前記ガイドマークを表示させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記自車の現在位置から案内地点までの距離に応じて前記ガイドマークの高さを変更して、前記ガイドマークを前記表示器に表示させることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記自車の現在位置から前記案内地点までの距離に応じて、前記ガイドマークの前記高さを段階的に低くして、前記ガイドマークを表示させることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記自車の現在位置から前記案内地点までの距離に応じて、前記ガイドマークの前記高さを漸次低くして、前記ガイドマークを表示させることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記表示器に前記道路表示像及び前記ガイドマークの両眼視差画像を表示させ、前記道路表示像及び前記ガイドマークを立体虚像にて表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−64760(P2011−64760A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213047(P2009−213047)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】