説明

車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラム

【課題】運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることを可能とした車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】地図配信センタ3等から地図更新情報を取得し(S1)、取得した地図更新情報に基づいて地図情報DB31に記憶された地図情報を新たなバージョンの地図情報へと更新する(S2)。その際に、特に地図情報に含まれる道路が更新された場合には、該更新された道路の更新内容と該更新された道路における車両4の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行う(S9、S10)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更新された道路の案内を行う車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図情報をDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図情報を記録媒体等から読み出し、地図情報に基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
ここで、日本全国においては毎年新しい道路(新設道路)が建設されている。また、これに伴って、既存の道路がなくなったり、既存の道路の形状が変更されたりする。従って、ナビゲーション装置等が所有する地図情報についても定期的に更新後の道路内容を反映した新たな地図情報へと更新される。更に、従来のナビゲーション装置では、運転者に注意を促す為に、地図情報が更新された場合において更新された道路について案内することが行われていた。
【0004】
例えば、特開2008−97514号公報には、車両の走行履歴のある道路が更新された後において、車両がその更新地点に接近した場合に、注意情報を案内する技術について記載されている。また、案内される注意情報としては、道路更新に伴い起こり得る運転上の危険に対する注意情報や更新の詳しい内容等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−97514号公報(第6頁〜第7頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、道路の更新内容が車両の運転者に影響を与えるか否かについては考慮せず、車両が更新地点に接近すると常に上記の詳細な注意情報の案内が行われていた。しかしながら、道路の更新内容が車両の運転者に影響を与えない場合もある。例えば、交差点の進行方向別通行区分が更新され、直進可能であったレーンの一部が右折専用レーンに変更された場合であっても、その交差点を常に右折又は左折している車両の運転者にとっては影響が無い。そのような場合においても一律に詳細な注意情報を案内することとすると、運転者の運転操作を妨げる原因にもなっていた。一方で、常に簡易な注意情報の案内のみを行う、或いは案内を全く行わないこととすると、運転者は道路が更新されたことや更新内容を認識できずに、更新後の道路に適した走行を行うことができない虞がある。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、道路の更新内容が車両の運転者に与える影響を考慮して案内を行うことにより、運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることを可能とした車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両用走行案内装置(1)は、地図更新情報を取得する地図更新情報取得手段(13)と、前記地図更新情報取得手段により取得した地図更新情報に基づいて、車両に搭載された記憶媒体(31)に記憶された地図情報を更新する地図情報更新手段(13)と、前記車両の過去の走行態様を記憶する走行態様記憶手段(13)と、前記地図情報更新手段によって前記地図情報に含まれる道路が更新された場合に、該更新された道路の更新内容と該更新された道路における前記車両の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行う案内手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る車両用走行案内装置(1)は、請求項1に記載の車両用走行案内装置において、前記案内手段(13)は、前記車両が前記地図情報更新手段(13)により更新された後の道路を走行する場合に、前記車両の過去の走行態様で走行できるか否か判定する走行判定手段(13)を備え、前記走行判定手段によって前記車両の過去の走行態様で走行できないと判定された場合には、前記走行判定手段によって前記車両の過去の走行態様で走行できると判定された場合よりも詳細な案内を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る車両用走行案内装置(1)は、請求項2に記載の車両用走行案内装置において、前記案内手段(13)は、前記走行判定手段(13)によって前記車両の過去の走行態様で走行できると判定された場合には、前記地図情報更新手段(13)により更新された道路の更新内容を案内し、前記走行判定手段によって前記車両の過去の走行態様で走行できないと判定された場合には、前記地図情報更新手段により更新された道路の更新内容と前記車両が前記地図情報更新手段により更新された後の道路を走行する為の走行態様を案内することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る車両用走行案内方法は、地図更新情報を取得する地図更新情報取得ステップと、前記地図更新情報取得ステップにより取得した地図更新情報に基づいて、車両に搭載された記憶媒体(31)に記憶された地図情報を更新する地図情報更新ステップと、前記車両の過去の走行態様を記憶する走行態様記憶ステップと、前記地図情報更新ステップによって前記地図情報に含まれる道路が更新された場合に、該更新された道路の更新内容と該更新された道路における前記車両の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行う案内ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
更に、請求項5に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、地図更新情報を取得する地図更新情報取得機能と、前記地図更新情報取得機能により取得した地図更新情報に基づいて、車両に搭載された記憶媒体(31)に記憶された地図情報を更新する地図情報更新機能と、前記車両の過去の走行態様を記憶媒体(32)に記憶する走行態様記憶機能と、前記地図情報更新機能によって前記地図情報に含まれる道路が更新された場合に、前記記憶媒体から該更新された道路における前記車両の過去の走行態様を読み出すとともに、該読み出した前記車両の過去の走行態様と該更新された道路の更新内容とに基づいて、該更新された道路の案内を行う案内機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
前記構成を有する請求項1に係る車両用走行案内装置では、更新された道路の更新内容と該更新された道路における車両の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行うので、道路の更新内容が車両の運転者に与える影響を考慮して案内を行うことができる。従って、運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることが可能となる。
【0014】
また、請求項2に係る車両用走行案内装置では、更新された道路の案内を行うに際して、更新された道路の案内を必要としている運転者に対しては高いレベルの案内を行いつつ、更新された道路の案内を必要としていない運転者に対しては低いレベルでの案内を行うので、運転者に応じてレベルを変化させた適切な案内を行うことが可能となる。
【0015】
また、請求項3に係る車両用走行案内装置では、更新された道路の案内を必要としている運転者に対して、更新された後の道路を走行する為の走行態様に関する情報を案内することが可能となる。従って、運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることが可能となる。
【0016】
また、請求項4に係る車両用走行案内方法では、更新された道路の更新内容と該更新された道路における車両の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行うので、道路の更新内容が車両の運転者に与える影響を考慮して案内を行うことができる。従って、運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることが可能となる。
【0017】
更に、請求項5に係るコンピュータプログラムでは、更新された道路の更新内容と該更新された道路における車両の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行わせるので、道路の更新内容が車両の運転者に与える影響を考慮して案内を行わせることができる。従って、運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る地図情報配信システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態に係る更新道路案内処理プログラムのフローチャートである。
【図4】道路が更新される前後における交差点付近の片道一車線の道路と各車両の走行態様を示した図である。
【図5】道路が更新される前後における交差点付近の片道3車線の道路と各車両の走行態様を示した図である。
【図6】(A)ナビゲーション装置において更新された道路を案内する案内画面(低レベル)を示した図である。(B)ナビゲーション装置において更新された道路を案内する案内画面(高レベル)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る車両用走行案内装置についてナビゲーション装置1に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を含む地図情報配信システム2の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る地図情報配信システム2を示した概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る地図情報配信システム2は、地図配信センタ3と、車両4に設置されるナビゲーション装置1とから基本的に構成されている。尚、本実施形態では、後述のように地図情報を記憶するとともに、地図配信センタ3から配信されたデータに基づいて記憶された地図情報を更新する端末としてナビゲーション装置1を用いた例を説明しているが、ナビゲーション装置1の代わりに、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。
【0021】
ここで、地図配信センタ3は、ナビゲーション装置1に記憶された古いバージョンの地図情報を新たなバージョンの地図情報へと更新する為のデータ(以下、地図更新情報という)の生成、及び生成した地図更新情報の配信を行う配信センタである。尚、地図更新情報としてはナビゲーション装置1に記憶された地図情報を全て書き換えて更新する(以下、全更新という)為の全更新データと、地図情報の特定エリアのみを書き換えて更新する(以下、差分更新という)差分更新データの2種類がある。そして、以下に説明する本実施形態では、特に地図更新情報として差分更新データを用いた実施形態のみを説明することとする。
尚、上記地図更新情報は、メイン更新情報と付加情報から構成される。メイン更新情報は、新設、撤廃、形状変更された道路や施設等を反映した新たな地図情報へと更新する為の情報である。一方、付加情報は、上記メイン更新情報による道路や施設の更新の内容を示す情報(例えば、道路の車線数の変更、区画線や導流帯や進行方向別通行区分等の道路標示の変更など)に関する情報である。尚、付加情報は、更新の対象となるリンクに対応づけられている。
【0022】
また、ナビゲーション装置1は全国の各道路を走行する車両4に設置され、格納する地図情報や地図配信センタ3から受信した案内情報に基づいて車両位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。ここで、地図配信センタ3とナビゲーション装置1は予め車両に搭載された携帯電話機やDCM等の車両用の通信モジュール5(以下、単に通信モジュール5という)を用いて双方向に通信可能に構成されており、両者間で配信要求情報、地図更新情報等の各種情報を送受信する。
また、ナビゲーション装置1は、特定の条件を満たした際(例えば、ACCがONされた際や目的地が設定されて経路案内が開始された際)に、地図配信センタ3に対して特定エリア(例えば、ユーザの自宅を中心とした80km四方のエリアや設定された目的地を中心とした10km四方のエリアや案内経路を含むエリア)の地図情報を新しいバージョンの地図情報に更新する為の地図更新情報の配信要求を送信する。
更に、ナビゲーション装置1は、送信した配信要求に応じて地図配信センタ3から地図更新情報を受信した際には、受信した地図更新情報に基づいて格納する地図情報の更新を行う。
【0023】
尚、ナビゲーション装置1は、地図配信センタ3から配信される地図更新情報に基づいて更新を行う以外にも、記憶媒体(例えば、DVDやメモリーカード)を介して提供される地図更新情報や接続されたPCからダウンロードされる地図更新情報に基づいて地図情報を更新することも可能である。
【0024】
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図2を用いて説明する。図2は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0025】
図2に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、地図配信センタ3等の情報センタとの間で通信を行う前述の通信モジュール5と、から構成されている。
【0026】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24、高度計(図示せず)等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0027】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31、走行態様履歴DB32、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0028】
ここで、地図情報DB31は、経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種地図データが記録されている。
また、地図データは、具体的には、道路(リンク)形状に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、道路上に描かれた道路標示に関する道路標示データ、施設等の地点に関する情報であるPOIデータ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ、地図、道路、交通情報等の画像を液晶ディスプレイ15に描画するための画像描画データ等から構成されている。ここで、道路標示データに記憶される道路標示としては、道路の路面に描かれた道路鋲、ペイント、石等による線、記号又は文字等を含む。例えば、車線境界線、導流帯、進行方向別通行区分、横断歩道、停止線等が該当する。
尚、地図情報DB31は、地図配信センタ3から配信される地図更新情報や記憶媒体(例えば、DVDやメモリーカード)を介して提供される地図更新情報に基づいて更新される。
【0029】
また、走行態様履歴DB32は、車両4の過去の走行態様が累積的に記憶されるDBである。具体的には、車両4が過去に走行した道路に加えて、交差点における進行方向、走行したレーン、車線変更した位置(タイミング)等についても記憶される。尚、車両4が走行したレーンの特定には、例えば、車両に設置されて周辺環境を撮像するフロントカメラやバックカメラが用いられる。また、車線変更したタイミングとしては、ステアリングセンサ23とGPS21の検出結果に基づいて、車両4が車線変更した際の車両の位置座標が検出され、記憶される。
【0030】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定処理、地図配信センタ3等から地図更新情報を取得する地図更新情報取得処理、取得した地図更新情報に基づいて地図情報DB31の更新を行う地図情報更新処理、車両4の過去の走行態様を走行態様履歴DB32に記憶する走行態様記憶処理、地図情報更新処理によって地図情報に含まれる道路が更新された場合に、該更新された道路の更新内容と該更新された道路における車両4の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行う案内処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、更新道路案内処理プログラム(図3参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0031】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0032】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、地図情報DB31が更新された場合において、更新された道路の案内が表示される。特に、道路の更新内容が車両4の運転者に影響を与えるとナビゲーションECU13が判定した場合には、より高レベルの案内(詳細な案内)が表示される。
【0033】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、地図情報DB31が更新された場合において、更新された道路の案内音声が出力される。特に、道路の更新内容が車両4の運転者に影響を与えるとナビゲーションECU13が判定した場合には、より高レベルの案内音声(詳細な案内音声)が出力される。
【0034】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB31の更新等が行われる。
【0035】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する更新道路案内処理プログラムについて図3に基づき説明する。図3は本実施形態に係る更新道路案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、更新道路案内処理プログラムは、ナビゲーション装置1において地図情報の更新が行われるタイミング(例えば、イグニションがONされた時点、目的地が設定された時点など)で実行され、道路の更新内容が車両4の運転者に影響を与えるか否かを判定し、判定結果に基づく形態で更新内容を案内するプログラムである。尚、以下の図3にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0036】
先ず、更新道路案内処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU41は、地図情報DB31に記憶された地図情報を更新する為の地図更新情報を取得する。具体的には、地図配信センタ3から配信された地図更新情報を取得する。尚、記憶媒体(例えば、DVDやメモリーカード)を介して提供される地図更新情報や、接続されたPCからダウンロードされる地図更新情報を取得する構成としても良い。
【0037】
次に、S2においてCPU41は、前記S1で取得した地図更新情報に基づいて、地図情報DB31に記憶された地図情報の更新処理を行う。具体的には、更新対象エリアを特定し、更新対象エリア内の2次メッシュの地図情報(リンクデータ、ノードデータ、道路標示データ、POIデータ等)を新しいバージョンの地図情報へと書き換える処理を行う。尚、処理が完了すると、地図情報DB31に記憶された地図情報の内、更新対象エリアの地図情報が新しいバージョンの地図情報へと更新される。
【0038】
続いて、S3においてCPU41は、前記S2の地図情報の更新において、特に道路に関する情報の更新が含まれているか否かを判定する。尚、道路に関する情報の更新とは、上述したメイン更新情報や付加情報に基づく道路形状や道路標示などの更新が該当する。
【0039】
そして、道路に関する情報の更新が含まれていると判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、道路に関する情報の更新が含まれていないと判定された場合(S3:NO)には、当該更新道路案内処理プログラムを終了する。
【0040】
続いて、S4においてCPU41は、GPS21やジャイロセンサ24の検出結果に基づいて、車両の現在位置や方位等に関する情報を取得する。また、地図情報DB31に記憶された地図情報に基づいて、車両の現在位置を地図上で特定するマップマッチング処理についても行う。
【0041】
その後、S5においてCPU41は、車両の進行方向前方に前記S2で更新された道路があるか否か判定する。
【0042】
そして、車両の進行方向前方に前記S2で更新された道路があると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方に前記S2で更新された道路がないと判定された場合(S5:NO)には、S4へと戻る。
【0043】
S6においてCPU41は、“車両の現在位置”から“前記S2で更新された道路”までの距離を算出し、その距離が所定距離(例えば、300m)以内であるか否か判定する。尚、“車両の現在位置”から“前記S2で更新された道路”までの距離については、前記S4で取得した車両の現在位置と地図情報DB31に記憶された更新後の地図情報に基づいて算出される。
【0044】
そして、“車両の現在位置”から“前記S2で更新された道路”までの距離が所定距離以内であると判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。それに対して、“車両の現在位置”から“前記S2で更新された道路”までの距離が所定距離より遠いと判定された場合(S6:NO)には、S4へと戻る。
【0045】
S7においてCPU41は、走行態様履歴DB32に記憶された車両の過去の走行態様の内、更新された道路に対応する走行態様を抽出する。そして、抽出された走行態様と、前記S2で更新された道路の更新内容とをそれぞれ取得する。尚、取得対象となる道路の更新内容は、S1で取得した地図更新情報に含まれる付加情報に示されている。また、道路の更新内容としては、例えば、道路形状が変更になった場合にはレーン位置、レーン数、旋回半径等の変更内容がある。また、道路標識が変更になった場合には道路標識(区画線、導流帯、進行方向別通行区分等)の位置、形状、種類等の変更内容がある。
【0046】
その後、S8においてCPU41は、前記S7で取得された情報を比較して、前記S2で更新された道路の更新内容が車両の運転者に影響を与えるか否かを判定する。尚、本実施形態では、車両が更新後の道路を走行する場合に、車両の過去の走行態様で走行できるか否かに基づいて前記S8の判定を行う。即ち、車両の過去の走行態様で更新後の道路を走行できると判定された場合には、道路の更新内容は車両の運転者に影響を与えないと判定する。一方、車両の過去の走行態様で更新後の道路を走行できないと判定された場合には、道路の更新内容は車両の運転者に影響を与えると判定する。
【0047】
以下に、図4及び図5に示す具体例を用いて前記S8の判定処理の詳細について説明する。
[例1]
例えば、図4は道路が更新される前後における交差点付近の片道一車線の道路と各車両の走行態様をそれぞれ示した図である。図4に示すように、更新によって導流帯51の位置が交差点に接近する形状へと変更されている。
ここで、図4に基づいて更新前の道路における車両52と車両53の走行態様とを比較する。車両52は更新前の道路においても交差点に近い位置で本線レーン54から右折専用レーン55へと車線変更をしている。従って、車両52は図4に示すように更新後の道路においても同じ走行態様で走行したとしても、車体が導流帯51内に侵入することはない。一方、車両53は更新前の道路において交差点から遠い位置で本線レーン54から右折専用レーン55へと車線変更をしている。従って、車両53は図5に示すように更新後の道路においても同じ走行態様で走行したとすると、車体が導流帯51内に侵入することとなる。
従って、本例のように導流帯の形状が変更される内容の更新があった場合には、前記S8においてCPU41は、更新後の導流帯の先端位置A(例えば、交差点から50m手前)の位置より交差点側(例えば、交差点から30m手前)で車線変更する走行履歴を有する車両52については、過去の走行態様で更新後の道路を走行できると判定し、道路の更新内容は車両の運転者に影響を与えないと判定する。それに対して、更新後の導流帯の先端位置Aの位置より手前側(例えば、交差点から80m手前)で車線変更する走行履歴を有する車両53については、過去の走行態様で更新後の道路を走行できないと判定し、道路の更新内容は車両の運転者に影響を与えると判定する。
【0048】
[例2]
例えば、図5は道路が更新される前後における交差点付近の片道3車線の道路と各車両の走行態様をそれぞれ示した図である。図5に示すように、更新によって進行方向別通行区分が変更され、最も右側のレーンが直進と右折が可能なレーンから右折専用レーンへと変更されている。
ここで、図5に基づいて更新前の道路における車両62と車両63の走行態様とを比較する。車両62は更新前の道路において交差点で右折している。従って、車両62は図5に示すように更新後の道路においても同じ走行態様で走行したとしても、通行区分に違反すること無く右折することができる。一方、車両63は更新前の道路において交差点で直進している。従って、車両63は図5に示すように更新後の道路においても同じ走行態様で走行したとすると、通行区分に違反することとなり直進することができない。
従って、本例のように直進可能であったレーンの一部が右折専用レーンに変更される内容の更新があった場合には、前記S8においてCPU41は、交差点で右折する車両62については、過去の走行態様で更新後の道路を走行できると判定し、道路の更新内容は車両の運転者に影響を与えないと判定する。それに対して、交差点を直進する走行履歴を有する車両63については、過去の走行態様で更新後の道路を走行できないと判定し、道路の更新内容は車両の運転者に影響を与えると判定する。
【0049】
そして、前記S8において道路の更新内容が車両の運転手に影響を与えないと判定された場合(S8:NO)には、S9へと移行する。それに対して、道路の更新内容が車両の運転手に影響を与えると判定された場合(S8:YES)には、S10へと移行する。
【0050】
S9においてCPU41は、前記S2で更新された道路の案内を行う。具体的には、車両の進行方向前方にある道路の更新内容のみが案内される。
ここで、図6(A)は前記S9で案内される案内画面を示した図である。図6(A)に示すように、案内画面は左画面71と右画面72の2画面から構成される。そして、左画面71では自車位置周辺の地図画像が表示される。一方、右画面72では、車両の進行方向前方にある道路の更新内容が、周辺の道路を含む上面図によって表示される。特に、更新部分(図6(A)では導流帯73)については太線や赤線などを用いて強調表示され、更新部分をユーザに容易に把握させることができる。更に、右画面72には、道路が更新されていることを案内するコメント74が表示される。尚、コメント74の内容はスピーカからも出力される。
【0051】
一方、S10においてCPU41は、前記S2で更新された道路の案内を行う。但し、S10では前記S9より高レベルの案内が行われる。具体的には、車両の進行方向前方にある道路の更新内容に加えて、車両が更新後の道路を走行する為の走行態様を案内する。
ここで、図6(B)は前記S10で案内される案内画面を示した図である。図6(B)に示すように、案内画面は左画面81と右画面82の2画面から構成される。そして、左画面81では自車位置周辺の地図画像が表示される。一方、右画面82では、車両の進行方向前方にある道路の更新内容が、周辺の道路を含む上面図によって表示される。特に、更新部分(図6(B)では導流帯83)については太線や赤線などを用いて強調表示され、更新部分をユーザに容易に把握させることができる。更に、右画面82には、車両が更新後の道路を走行する為の走行態様84と、車両の過去の走行態様(即ち、更新後の道路を走行できない走行態様)85が対比して表示される。また、道路が更新されていること及び走行経路に注意することを案内するコメント86が表示される。尚、コメント86の内容はスピーカからも出力される。
【0052】
次に、S11においてCPU41は、車両4が更新された道路を通過したか否かを判定する。そして、車両4が更新された道路を通過したと判定された場合(S11:YES)には、S4へと戻る。それに対して、車両4が更新された道路を通過していないと判定された場合(S11:NO)には、継続して更新された道路の更新内容の案内が行われる。
【0053】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による地図情報案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、地図配信センタ3等から地図更新情報を取得し(S1)、取得した地図更新情報に基づいて地図情報DB31に記憶された地図情報を新たなバージョンの地図情報へと更新する(S2)。その際に、特に地図情報に含まれる道路が更新された場合には、該更新された道路の更新内容と該更新された道路における車両4の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行う(S9、S10)ので、道路の更新内容が車両の運転者に与える影響を考慮して案内を行うことができる。従って、運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることが可能となる。
また、更新された道路の案内を行うに際して、車両が更新された道路を過去の走行態様で走行できないと判定された場合(S8:YES)には、車両が更新された道路を過去の走行態様で走行できると判定された場合(S8:NO)よりも高いレベルの案内を行う(S10)ので、更新された道路の案内を必要としている運転者に対しては高いレベルの案内を行いつつ、更新された道路の案内を必要としていない運転者に対しては低いレベルでの案内を行うことができる。従って、運転者に応じてレベルを変化させた適切な案内を行うことが可能となる。
また、更新された道路の案内を行うに際して、車両が更新された道路を過去の走行態様で走行できないと判定された場合(S8:NO)には、道路の更新内容と車両が更新後の道路を走行する為の走行態様とを案内するので、更新された道路の案内を必要としている運転者に対して、更新後の道路を走行する為の走行態様に関する情報を案内することが可能となる。従って、運転者の運転操作を妨げることなく更新後の道路に適した走行を行わせることが可能となる。
【0054】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、地図配信センタ3から配信されたデータに基づいて記憶された地図情報を更新する端末としてナビゲーション装置1を用いた例を説明しているが、ナビゲーション装置1の代わりに、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。
【0055】
また、本実施形態では、道路の更新内容が車両の運転者に影響を与えないと判定された場合(S8:NO)には、S10よりも低レベルの案内を行うこととしているが、案内そのものを行わないように構成しても良い。
【0056】
また、本実施形態では、車両が更新された道路に所定距離以内に接近した場合に、その更新された道路の更新内容を案内することとしているが、更新内容を案内するタイミングは他のタイミングであっても良い。例えば、ナビゲーション装置1の地図情報の更新処理(S2)が行われた直後でも良い。その場合には、更新された道路の内、車両が過去に走行した道路の更新内容について案内を行うように構成することが望ましい。
【符号の説明】
【0057】
1 ナビゲーション装置
2 地図情報配信システム
3 地図配信センタ
4 車両
13 ナビゲーションECU
31 地図情報DB
32 走行態様履歴DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図更新情報を取得する地図更新情報取得手段と、
前記地図更新情報取得手段により取得した地図更新情報に基づいて、車両に搭載された記憶媒体に記憶された地図情報を更新する地図情報更新手段と、
前記車両の過去の走行態様を記憶する走行態様記憶手段と、
前記地図情報更新手段によって前記地図情報に含まれる道路が更新された場合に、該更新された道路の更新内容と該更新された道路における前記車両の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行う案内手段と、を有することを特徴とする車両用走行案内装置。
【請求項2】
前記案内手段は、
前記車両が前記地図情報更新手段により更新された後の道路を走行する場合に、前記車両の過去の走行態様で走行できるか否か判定する走行判定手段を備え、
前記走行判定手段によって前記車両の過去の走行態様で走行できないと判定された場合には、前記走行判定手段によって前記車両の過去の走行態様で走行できると判定された場合よりも詳細な案内を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用走行案内装置。
【請求項3】
前記案内手段は、
前記走行判定手段によって前記車両の過去の走行態様で走行できると判定された場合には、前記地図情報更新手段により更新された道路の更新内容を案内し、
前記走行判定手段によって前記車両の過去の走行態様で走行できないと判定された場合には、前記地図情報更新手段により更新された道路の更新内容と前記車両が前記地図情報更新手段により更新された後の道路を走行する為の走行態様を案内することを特徴とする請求項2に記載の車両用走行案内装置。
【請求項4】
地図更新情報を取得する地図更新情報取得ステップと、
前記地図更新情報取得ステップにより取得した地図更新情報に基づいて、車両に搭載された記憶媒体に記憶された地図情報を更新する地図情報更新ステップと、
前記車両の過去の走行態様を記憶する走行態様記憶ステップと、
前記地図情報更新ステップによって前記地図情報に含まれる道路が更新された場合に、該更新された道路の更新内容と該更新された道路における前記車両の過去の走行態様に基づいて、該更新された道路の案内を行う案内ステップと、を有することを特徴とする車両用走行案内方法。
【請求項5】
コンピュータに搭載され、
地図更新情報を取得する地図更新情報取得機能と、
前記地図更新情報取得機能により取得した地図更新情報に基づいて、車両に搭載された記憶媒体に記憶された地図情報を更新する地図情報更新機能と、
前記車両の過去の走行態様を記憶媒体に記憶する走行態様記憶機能と、
前記地図情報更新機能によって前記地図情報に含まれる道路が更新された場合に、前記記憶媒体から該更新された道路における前記車両の過去の走行態様を読み出すとともに、該読み出した前記車両の過去の走行態様と該更新された道路の更新内容とに基づいて、該更新された道路の案内を行う案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−158427(P2011−158427A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22171(P2010−22171)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】