説明

車両識別システム

【課題】レーダ装置を用いて自車周辺の他車の種別を識別する「周辺物体識別システム」を提供する。
【解決手段】自車100が片側一車線の直線の道路区間を走行中に、自車100の後方を自動二輪車300が走行している場合(a1)、この自動二輪車300である物体に対して後方レーダ装置2で測定した自車100に対する過去所定期間中の相対位置の分布(b1)より、当該物体の相対位置のx方向(自車100の左右方向)についての出現頻度分布曲線(c1)を求める。そして、出現頻度分布曲線の、しきい値Th以上の部分に対応するx方向範囲の大きさΔxを当該物体の幅として算定すると共に、算定した幅と、当該物体の相対速度やレーダ反射強度より、当該物体の歩行者、自転車、自動二輪車、普通自動車、大型自動車といった種別を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車周辺の物体を検出、識別する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自車周辺の物体を検出、識別する技術としては、レーダ装置を用いて、自車周辺の物体を検出する装置において、検出された物体の配置に応じて、検出された物体が固定物であるかどうかの種別を識別する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002-303671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した特許文献1記載の技術によれば、レーダ装置を用いて検出した物体が固定物であるかどうかの種別については判別することができるが、検出した物体が固定物ではない物体であるところの移動体である場合において、当該物体の自動二輪車、普通自動車といったような種別を識別することはできない。
【0004】
そこで、本発明は、レーダ装置を用いて、自車周辺の移動体をその種別と共に識別することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題達成のために、本発明は、前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載される、周辺の物体を識別する周辺物体識別システムを、当該周辺物体識別システムが搭載された自動車を自車として、自車周辺の物体の相対位置を測定するレーダ装置と、自車が左右方向の移動を行っていないと推定されるときに、前記左右方向の移動を行っていないと推定される自車の前方または後方の物体を対象物体として、当該対象物体について前記レーダ装置が測定した相対位置の、前記左右方向について出現頻度分布を算定する出現頻度分布算定手段と、前記出現頻度分布算定手段が算定した出現頻度分布に基づいて、出現頻度が所定レベル以上となる前記左右方向の範囲の大きさを、当該出現頻度分布が算定された対象物体の幅として推定する物体幅推定手段とを備えて構成したものである。
【0006】
このような周辺物体識別システムでは、自車が左右方向の移動を行っていないときに、前記左右方向の移動を行っていない自車の前方または後方に存在する物体は、自車と同方向を向いている移動体である蓋然性が高く、このように自車と同方向を向いている自車前方または後方の移動体については、当該移動体に対してレーダ装置が測定する相対位置の左右方向についての出現頻度分布が当該移動体の幅に応じた広がりを持つ分布となることを利用して、当該移動体の幅を算定する。
【0007】
したがって、レーダ装置の測定結果より、自車周辺の移動体の幅を算定することができるようになる。また、移動体の幅は移動体の種別に応じたものとなるので、このように移動体の幅を算定することにより、レーダ装置の測定結果より、自車前後の移動体の種別の識別も行うことができるようになる。
すなわち、この場合には、たとえば、車載周辺物体識別システムに、前記物体幅推定手段が推定した幅に応じて、当該幅が推定された対象物体の種別を識別する物体種別識別手段を備えればよい。
【0008】
なお、このような周辺物体識別システムは、自車の走行状態を検出する操行状態検出手段を設け、前記出現頻度分布算定手段において、前記走行状態検出手段が、自車が直進または停止していることを検出しているときに、自車が左右方向の移動を行っていないと推定すると共に、前記レーダ装置によって停止していることが測定されている自車の前方または後方の物体を、前記左右方向の移動を行っていない自車の前方または後方の物体として推定し、当該物体を前記対象物体とするようにしてもよい。また、このような周辺物体識別システムは、自車の走行している道路区間の、自車の進行方向の車線間の車線変更の可否と、当該道路区間が直線区間であるかどうかを算定する走行中道路区間状態算定手段を設け、前記出現頻度分布算定手段において、前記走行中道路区間状態算定手段が自車の走行している道路区間が、自車の進行方向の車線間の車線変更ができない直線区間であることを算定しているときに、自車が左右方向の移動を行っていないと推定すると共に、前記レーダ装置が自車の前方または後方の相対位置を測定した物体を、前記左右方向の移動を行っていない自車の前方または後方の物体として推定し、当該物体を前記対象物体とするようにしてもよい。なお、この場合、走行中道路区間状態算定手段は、たとえば、自車の走行している道路区間が、自車の進行方向の車線数が1車線の道路区間である場合に、自車の走行している道路区間が自車の進行方向の車線間の車線変更ができない道路区間であると算定するようにする。または、自車の走行している道路区間が、自車の進行方向についての車線数が複数車線の道路区間であるがその車線変更が禁止されている道路区間である場合に、自車の走行している道路区間が自車の進行方向の車線間の車線変更ができない区間であると算定するようにしてもよい。
【0009】
これらのようにすることにより、自車が左右方向の移動を行っていないときのみに、前記左右方向の移動を行っていない自車の前方または後方の物体のみを対象として物体の幅や種別の識別を行うように、適正に限定することができるようになる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、レーダ装置を用いて、自車周辺の移動体をその種別と共に識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を自動車に搭載される周辺監視システムへの適用を例にとり説明する。
図1aに、本実施形態に係る周辺監視システムの構成を示す。
図示するように、周辺監視システムは、前方レーダ装置1、後方レーダ装置2、物標追尾部3、物体識別部4、車両状態センサ5、ナビゲーション装置6、周辺状況提示部6とを有している。
ここで、図1bに示すように、本周辺監視システムが搭載された自動車を自車100として、前方レーダ装置1は自車の前部に配置され、自車前方をスキャン範囲としてスキャン範囲内にある物体の相対位置と相対速度とレーダ反射強度とを測定し測定データとして出力する処理を繰り返す。また、後方レーダ装置2は、自車後部に配置され、自車後方をスキャン範囲としてスキャン範囲内にある物体の相対位置と相対速度とレーダ反射強度とを測定し測定データとして出力する処理を繰り返す。
【0012】
物標追尾部3は、前方レーダ装置1と後方レーダ装置2とから出力された測定データに基づいて、自車前方または後方に存在する各物体の追尾を行い、追尾中の物体である追尾中物体毎に、追尾情報を生成、管理する物標追尾処理を繰り返し行う。ここで、物体の追尾とは、各時点で算定された測定データを、当該測定データが算定された物体毎に、当該物体の時系列の計測データとして系列化する処理である。また、ある追尾中物体の追尾情報とは、このように系列化された当該追尾中物体の時系列の測定データを指す。
【0013】
なお、物標追尾処理では、たとえば、次のようにして物体の追尾を行う。
すなわち、測定データのうちに、ある追尾中物体の現在の推定相対位置に許容距離以内に近接する相対位置を示す測定データが存在する場合に、当該測定データを、当該追尾中物体の測定データであるとして、当該追尾中物体の追尾情報に加える。ここで、追尾中物体の現在の推定相対位置は、当該追尾中物体の過去最近の測定データが示す相対位置と相対速度に基づいて算出する。
【0014】
また、測定データのうちに、追尾中物体の測定データとすることのできなかった測定データが存在する場合には、その測定データが計測された物体を、新たな追尾中物体として、その追尾情報を生成し、当該存在した測定データを、当該新たな追尾中物体の追尾情報に加える。また、当該物標追尾処理では、所定期間以上対応する測定データが計測されなかった追尾中物体については、その追尾を終了し、当該追尾中物体についての追尾情報を消去する処理も行う。
【0015】
次に、車両状態センサ5は、車速センサや角速度センサやGPS受信機などのセンサの集合であり、各センサで自車の状態を検出し自車状態情報として出力する。
また、ナビゲーション装置6は、道路地図データを保持し、車両状態センサ5の出力する自車状態情報より、道路地図データを参照しつつ自車の現在位置を算定するものである。また、本実施形態において、ナビゲーション装置6は、自車が現在位置する道路区間の直線/カーブなどの形状と、自車が現在位置する道路区間の現在の進行方向側の車線数を、算出した現在位置と道路図データとに基づいて算定し、物体識別部4に走行中道路情報として出力する処理も行う。また、ナビゲーション装置6は、自車が現在位置する道路区間の現在の進行方向側の車線数が複数である場合には、これら複数の車線間の車線変更の禁止の有無も、道路図データに含まれる交通規制/指示情報などに基づいて算定し、走行中道路情報に含めて物体識別部4に出力する。
【0016】
物体識別部4は、物標追尾部3が上述のように管理している各追尾中物体の追尾情報と、車両状態センサ5が出力する自車状態情報と、ナビゲーション装置6が出力する走行中道路情報とに基づいて、各追尾中物体の種別を、それが可能なものについては推定して推定種別として設定する。この追尾中物体の種別の推定と推定種別の設定動作の詳細については後述する。また、物体識別部4は、各追尾中物体の追尾情報が示す現在の相対位置と現在の相対速度と当該追尾中物体について設定した推定種別とを示す他車情報を生成し、周辺状況提示部6に出力する。
【0017】
そして、周辺状況提示部6は、物体識別部4が出力する他車情報に基づいて、自車前方及び後方の他車の種別や配置や挙動の状況などをユーザに対して表示する処理などを行う。
以下、上述した物体識別部4が追尾中物体の種別を推定し、推定種別として設定する動作の詳細について説明する。
物体識別部4は、当該種別の推定と推定種別の設定のために図2aに示す種別識別対象物体選定処理を行う。
図示するように、この処理では、物標追尾部3が上述のように管理する、いずれかの追尾情報の更新の発生を監視する(ステップ202)。
そして、追尾情報の更新が発生したならば、ナビゲーション装置6が出力する走行中道路情報より、現在自車が、車線変更ができない、形状が直線である道路区間を走行中であるかどうかを調べ(ステップ204)、そうであれば、追尾情報の更新が発生した追尾中物体を対象追尾中物体に設定し、当該対象追尾中物体についての物体種別推定処理を起動し(ステップ208)、ステップ202に戻って次の追尾情報の更新の発生を待つ。ここで、ステップ204では、現在自車が走行中の道路区間が、自車の進行方向についての車線数が一車線の道路区間であって形状が直線である道路区間、または、自車の進行方向についての車線数が複数車線であるがその車線変更が禁止されている道路区間であって形状が直線である道路区間である場合に、現在自車が、車線変更ができない、形状が直線である道路区間を走行中であると判定する。
【0018】
一方、現在自車が、車線変更ができない、形状が直線である道路区間を走行中でなければ(ステップ204)、車両状態センサ5が出力する自車状態情報が自車が現在直進中であるか停止中であることを示しており、かつ、更新が発生した追尾情報の測定データが、当該追尾情報に対応する追尾中物体が現在停止していることを表しているかどうかを調べ(ステップ206)、そうであれば、追尾情報の更新が発生した追尾中物体を対象追尾中物体に設定し、当該対象追尾中物体についての物体種別推定処理を起動し(ステップ208)、ステップ202に戻って次の追尾情報の更新の発生を待ち、そうでなければ、そのままステップ202に戻って次の追尾情報の更新の発生を待つ。
【0019】
以上、種別識別対象物体選定処理について説明した。
次に、図2aの種別識別対象物体選定処理のステップ208で起動する物体種別推定処理について説明する。
図2bに、この物体種別推定処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、対象追尾中物体の追尾情報の測定データが示す過去所定期間内の相対位置の全てが、自車の前方の所定の角度範囲内(たとえば、前方レーダ装置1から見て自車前方方向を中心方向とする左右方向の角度の大きさが30度の角度範囲内)または自車の後方の所定の角度範囲内(たとえば、後方レーダ装置2から見て自車後方方向を中心方向とする左右方向の角度の大きさが30度の角度範囲内)に収まっているかどうかを調べ(ステップ252)、収まっていない場合には、そのまま処理を終了する。
【0020】
一方、対象追尾中物体の過去所定期間内の相対位置の全てが、自車の前方の所定の角度範囲内または自車の後方の所定の角度範囲内に収まっている場合には(ステップ252)、対象追尾中物体の過去所定期間内の相対位置のx方向の出現頻度分布を算出する(ステップ254)。ただし、自車の左右方向をx方向、自車の前後方向をy方向とする。なお、出現頻度分布は、適当な補間処理などによって、滑らかな出現頻度分布曲線が得られるように算出する。
【0021】
そして、出現頻度が、所定のしきい値Th以上となるx方向範囲の大きさを算出し(ステップ256)、算出したx方向範囲の大きさを対象追尾中物体の幅として推定する(ステップ258)。そして、歩行者、自転車、自動二輪車、普通自動車、大型自動車の各種別について、予め設定しておいた当該種別の車両の幅範囲のいずれに、算定対象物体の推定した幅が含まれるかを調べる。そして、算定対象物体の推定した幅が含まれる幅の範囲が設定されている種別のうち、算定対象物体の追尾情報の測定データが示す相対速度やレーダ反射強度と整合する(矛盾しない)、速度特性やレーダ反射強度特性を有する種別を、当該算定対象物体の種別として推定し、推定した種別を推定種別として設定し(ステップ260)、処理を終了する。なお、各種別の速度特性やレーダ反射強度特性の定義は予め設定しておく。また、推定した幅が、歩行者、自転車、自動二輪車、普通自動車、大型自動車のいずれの幅の範囲にも該当しない大きさであった場合には、推定失敗として、対象追尾物体の推定種別の設定は行わずにそのまま処理を終了する。
【0022】
以上、物体種別推定処理について説明した。次に、図3に、このような物体種別推定処理の処理例を示す。
いま、たとえば、図3a1に示すように、自車100が片側一車線の直線の道路区間を走行中に、自車100の後方を自動二輪車300がまっすぐに走行し続けている場合、この自動二輪車300の測定データが後方レーダ装置2によって計測され、物標追尾部3によって、この自動二輪車300が追尾中物体として追尾される。
【0023】
そして、種別識別対象物体選定処理によって、この自動二輪車300である追尾中物体を対象追尾中物体とする物体種別推定処理が起動される。
この場合、自動二輪車300である対象追尾中物体の自車100に対する過去所定期間中の相対位置の分布は、たとえば、図3b1のように求まり、これより図3c1に示すような、相対位置のx方向の出現頻度分布曲線が求まる。なお、図3c1の縦軸Fは頻度である。
また、この出現頻度分布曲線の、しきい値Th以上の部分に対応するx方向範囲の大きさΔxが図示するように求まる。そして、このΔxの大きさは種別が自動二輪車である物体の幅に該当する幅の大きさとなり、また、この対象追尾中物体の相対速度もレーダ反射強度が自動二輪車に整合するものとなることより、当該対象追尾中物体の種別は自動二輪車であると推定され、当該対象追尾中物体に対して推定種別として自動二輪車が設定される。
【0024】
次に、たとえば、図3a2に示すように、自車100が片側一車線の直線の道路区間を走行中に、自車100の後方を普通自動車310が走行し続けている場合、この普通自動車310の測定データが後方レーダ装置2によって計測され、物標追尾部3によって、この普通自動車310が追尾中物体として追尾される。
【0025】
そして、種別識別対象物体選定処理によって、この普通自動車310である追尾中物体を対象追尾中物体とする物体種別推定処理が起動される。
この場合、普通自動車310である対象追尾中物体の自車100に対する過去所定期間中の相対位置の分布は、たとえば、図3b2のように求まり、これより図3c2に示すような、相対位置のx方向の出現頻度分布曲線が求まる。
また、この出現頻度分布曲線の、しきい値Th以上の部分に対応するx方向範囲の大きさΔxが図示するように求まり、このΔxの大きさは、図3c1に示した対象追尾中物体の種別が自動二輪車である場合よりも大きくなる。そして、このΔxの大きさは、種別が普通自動車である物体の幅に該当する幅の大きさとなり、また、この対象追尾中物体の相対速度やレーダ反射強度も普通自動車に整合するものとなることより、当該対象追尾中物体の種別は普通自動車であると推定され、当該対象追尾中物体に対して推定種別として普通自動車が設定される。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の種別識別対象物体選定処理や物体種別算定処理で、自車が車線変更ができない、形状が直線である道路区間を走行中である(種別識別対象物体選定処理ステップ204)か、自車が直進または停止していると共に追尾物体が停止して(種別識別対象物体選定処理ステップ206)おり、かつ、追尾中物体が自車の略前方正面か略後方正面に存在する場合(物体種別推定処理ステップ252)にのみ、当該追尾中物体の種別の推定を行うようにしたのは、他の場合には、当該追尾中物体のx方向の出現頻度分布が、追尾中物体である車両の左右方向の幅のみによらず、追尾中物体の長さや自車や追尾中物体の運動に応じても変化するために、当該分布からのみでは適正に当該追尾中物体の幅を算定できなくなるからである。
【0027】
換言するならば、本実施形態では、自車が左右方向の移動を行っていないときに、前記左右方向の移動を行っていない自車の前方または後方に存在する物体は自車と同方向を向いている蓋然性が高く、このように自車と同方向を向いている自車前方または後方の移動体については、当該移動体に対して前方レーダ装置1や後方レーダ装置2が測定する相対位置の左右方向についての出現頻度分布が当該移動体の幅に応じた広がりを持つ分布となることを利用して、当該移動体の幅を算定している。
【0028】
以上、本実施形態によれば前方レーダ装置1や後方レーダ装置2が測定した測定データより、自車周辺の移動体の幅を算定することができるようになる。また、移動体の幅は移動体の種別に応じたものとなるので、このように移動体の幅を算定することにより、前方レーダ装置1や後方レーダ装置2が測定した測定データより、自車周辺の移動体の種別の識別を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る周辺監視システムの構成と配置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る物体識別部が行う処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る物体識別部が行う処理の処理例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1…前方レーダ装置、2…後方レーダ装置、3…物標追尾部、4…物体識別部、5…車両状態センサ、6…ナビゲーション装置、6…周辺状況提示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載される、周辺の物体を識別する周辺物体識別システムであって、
当該周辺物体識別システムが搭載された自動車を自車として、自車周辺の物体の相対位置を測定するレーダ装置と、
自車が左右方向の移動を行っていないと推定されるときに、前記左右方向の移動を行っていないと推定される自車の前方または後方の物体を対象物体として、当該対象物体について前記レーダ装置が測定した相対位置の、前記左右方向について出現頻度分布を算定する出現頻度分布算定手段と、
前記出現頻度分布算定手段が算定した出現頻度分布に基づいて、出現頻度が所定レベル以上となる前記左右方向の範囲の大きさを、当該出現頻度分布が算定された対象物体の幅として推定する物体幅推定手段とを有することを特徴とする車載周辺物体識別システム。
【請求項2】
請求項1記載の車載周辺物体識別システムであって、
前記物体幅推定手段が推定した幅に応じて、当該幅が推定された対象物体の種別を識別する物体種別識別手段を有することを特徴とする周辺物体識別システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の周辺物体識別システムであって、
自車の走行状態を検出する走行状態検出手段を有し、
前記出現頻度分布算定手段は、前記走行状態検出手段が、自車が直進または停止していることを検出しているときに、自車が左右方向の移動を行っていないと推定すると共に、前記レーダ装置によって停止していることが測定されている自車の前方または後方の物体を、前記左右方向の移動を行っていない自車の前方または後方の物体として推定し、当該物体を前記対象物体とすることを特徴とする周辺物体識別システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の周辺物体識別システムであって、
自車の走行している道路区間の、自車の進行方向の車線間の車線変更の可否と、当該道路区間が直線区間であるかどうかを算定する走行中道路区間状態算定手段を有し、
前記出現頻度分布算定手段は、前記走行中道路区間状態算定手段が自車の走行している道路区間が、自車の進行方向の車線間の車線変更ができない直線区間であることを算定しているときに、自車が左右方向の移動を行っていないと推定すると共に、前記レーダ装置が自車の前方または後方の相対位置を測定した物体を、前記左右方向の移動を行っていない自車の前方または後方の物体として推定し、当該物体を前記対象物体とすることを特徴とする周辺物体識別システム。
【請求項5】
請求項4記載の周辺物体識別システムであって、
前記走行中道路区間状態算定手段は、自車の走行している道路区間が、自車の進行方向の車線数が1車線の道路区間である場合に、当該自車の走行している道路区間が、自車の進行方向の車線間の車線変更ができない道路区間であると算定することを特徴とする周辺物体識別システム。
【請求項6】
請求項4または5記載の周辺物体識別システムであって、
前記走行中道路区間状態算定手段は、自車の走行している道路区間が、自車の進行方向の車線数が複数の道路区間であって、当該複数の車線間の車線変更が禁止されている道路区間である場合に、当該自車の走行している道路区間が、自車の進行方向の車線間の車線変更ができない道路区間であると算定することを特徴とする周辺物体識別システム。
【請求項7】
自動車に搭載される、周辺の物体を識別する周辺物体識別システムにおいて、自車周辺の物体の種別を識別する周辺物体種別識別方法であって、
レーダ装置を用いて、自車周辺の物体の相対位置を測定するステップと、
自車が左右方向の移動を行っていないと推定されるときに、前記左右方向の移動を行っていないと推定される自車の前方または後方の物体を対象物体として、当該対象物体について前記レーダ装置が測定した相対位置の、前記左右方向について出現頻度分布を算定するステップと、
算定した出現頻度分布に基づいて、出現頻度が所定レベル以上となる前記左右方向の範囲の大きさを、当該出現頻度分布が算定された対象物体の幅として推定するステップと、
推定した幅に応じて、当該幅が推定された対象物体の種別を識別するステップとを有することを特徴とする周辺物体種別識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−3662(P2008−3662A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169735(P2006−169735)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】