車両運転支援装置、道路の路肩を検出する方法および該方法に基づく車両運転支援方法
【課題】本発明は、実際の道路環境において、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても、正確に路肩を検出することができる新規な車両運転支援装置を提供することを目的とする。
【解決手段】偏光撮像手段の画素毎に直交する2つの偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、2つの偏光方向に対応する光強度の比を監視し、当該光強度比が最初の極値に達したときの光強度に基づいて偏光状態特徴量を算出する。この偏光状態特徴量が所定の閾値を超える領域を路肩として検出し、その位置情報に基づいて、操舵制御手段、走行速度制御手段、警告手段等を制御することによって車両の運転支援を行う。
【解決手段】偏光撮像手段の画素毎に直交する2つの偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、2つの偏光方向に対応する光強度の比を監視し、当該光強度比が最初の極値に達したときの光強度に基づいて偏光状態特徴量を算出する。この偏光状態特徴量が所定の閾値を超える領域を路肩として検出し、その位置情報に基づいて、操舵制御手段、走行速度制御手段、警告手段等を制御することによって車両の運転支援を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置および方法に関し、より詳細には、偏光情報を利用した車両運転支援装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバーの運転負荷を軽減させるための車両走行支援システムが種々検討されている。この点につき、特開平5−265547号公報(特許文献1)は、車載カメラが撮像した道路画像を画像解析することによって走行レーンを区画する白線を検出して自車の操舵や速度を制御する車両走行支援システムを開示する。このように、従来の車両走行支援システムの多くは、走行可能領域の境界(センターラインや縁石ブロックなど)を撮像画像の輝度解析によって検出するものであった。
【0003】
しかしながら、これまでの輝度解析によるシステムは、入射光量が不足する曇天・雨天時や、路面上に日向と日陰の境界が存在するような場合に、正確なエッジを検出することができず誤作動する虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術における課題に鑑み、本出願人が先に出願した特願2010−151334号は、車載カメラが受光した光の直交する偏光成分を解析することによって、車道に設けられた縁石ブロック領域を検出する方法を開示する。以下、当該方法の原理について説明する。
【0005】
一般に、自動車専用道路と歩道の境界(路肩)に所定の高さの縁石ブロック帯を設けることが省令によって定められている。図14は、路肩に縁石ブロック帯が設けられた自動車専用道路を示す。図14に示すように、一般に、縁石ブロック帯102は、直方体のコンクリーブロックが連なって形成されており、縁石ブロック帯102は、その側面である路端面106が路面104に直交するように立設されている。ここで、路面104を形成するアスファルや縁石ブロック帯102を形成するコンクリートなどの不導体への入射光は、反射によって偏光状態が変化することが知られている。この点につき、図15を参照して説明する。
【0006】
図15(a)に示すように、屈折率の異なる2つの物質の界面に光が所定の入射角θをもって入射する場合、電場の振動方向が入射面に平行な光の成分(p成分)と電場の振動方向が入射面に垂直な光の成分(s成分)は、図15(b)に示すように、反射率の角度依存性が異なるため、入射角θが0以上、ブリュースター角未満の場合、界面からの反射光は、図16に示すように、p成分よりもs成分を多く含む楕円偏光になることが知られている。
【0007】
ここで、図17(a)を参照して、偏光方向に偏りを持たない無偏光光線が路面104および路端面106に入射するケースを考える。この場合、いずれの反射光も楕円偏光になるが、路端面106と路面104が直交しているため、車両側から見ると2つの楕円偏光の長軸は直交する関係になる。したがって、車両側の観察系において、路面104に平行な成分(すなわち、車軸方向の成分)を水平成分H、路面104に垂直な成分(すなわち、車の高さ方向の成分)を垂直成分Vと定義すれば、路面反射光の強度比(V/H)と路端面反射光の強度比(V/H)には、図18(a)に示すように区別可能な差分が生じるので、この強度比(V/H)の差分を利用して路端面反射光と路面反射光を区別することができる。
【0008】
しかしながら、現実の路面および路端面の表面には凹凸があり、実際の反射面は、車両側の偏光検出軸に対して若干の傾きを持つことがある。このような場合、図17(b)に示すように、反射光(楕円偏光)の楕円軸も車両側の偏光検出軸に対して傾きが生じることになるが、そうすると、図18(b)に示すように、路面反射光の強度比(V/H)と路端面反射光の強度比(V/H)の差分が、その傾きに応じて、楕円偏光の楕円軸に傾きがない場合のそれよりも小さくなるので(傾き45°の場合は差分がなくなる)、図18(a)に示した理想状態のときのように、強度比(V/H)の差分を利用して路端面反射光と路面反射光を区別することが困難になる。
【0009】
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、本発明は、実際の道路環境において、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても、正確に路肩を検出することができる新規な車両運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても、正確に路肩を検出することができる新規な車両運転支援装置につき鋭意検討した結果、偏光撮像手段の画素毎に直交する2つの偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、2つの偏光方向に対応する光強度の比を監視し、当該光強度比が最初の極値に達したときの光強度に基づいて偏光状態特徴量を算出する構成に想到し、本発明に至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明によれば、直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を画素毎に備える偏光撮像手段であって、該偏光素子の偏光検出軸が変更自在に構成される、偏光撮像手段と、前記偏光素子の前記偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させる偏光検出軸変更手段と、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比を算出する光強度比算出部と、前記偏光検出軸の変更に伴って変化する前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度を検出する光強度検出部と、前記光強度検出部が検出した前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎の算出する偏光状態特徴量算出部と、前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて道路の路肩の位置情報を取得する路肩検出部とを含む両運転支援装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、車両が走行する道路の路肩を検出する方法であって、前記道路を撮像する偏光撮像手段の画素毎に直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎に算出し、算出した前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて前記道路の路肩の位置情報を取得することを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の車両運転支援装置の機能ブロック図。
【図2】本実施形態における偏光撮像手段の搭載場所を示す図。
【図3】本実施形態におけるマトリックスアレイセンサの構成を示す図。
【図4】受光ブロックの偏光検出軸が回転する態様を示す概念図。
【図5】本実施形態における路肩検出処理を説明するための概念図。
【図6】本実施形態における路肩検出部のマーキング処理を説明するための概念図。
【図7】本実施形態における路肩検出用閾値の設定方法を説明するための概念図。
【図8】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図9】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図10】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図11】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図12】本実施形態における車両運転支援の態様を説明するための概念図。
【図13】本実施形態における車両運転支援の態様を説明するための概念図。
【図14】路肩に縁石ブロック帯が設けられた自動車専用道路を示す図。
【図15】反射光における偏光状態の変化を説明するための概念図。
【図16】反射光における偏光状態の変化を説明するための概念図。
【図17】入射光が無偏光光線である場合のモデルを示す図。
【図18】楕円偏光の楕円軸が傾きに対応した路面反射光の強度比(V/H)が変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0015】
図1は、本発明に実施形態である車両運転支援装置10の機能ブロック図を示す。図1に示すように、車両運転支援装置10は、偏光撮像手段100を備える。偏光撮像手段100は、既存の3CCD偏光カメラと同等の構成を備える偏光撮像装置として参照することができ、適切なレンズ光学系110と、偏光素子と受光素子が一体化したマトリックスアレイセンサ120を含んで構成される。本実施形態における偏光撮像手段100は、好ましくは、図2に示すように車両のフロントガラス部分に搭載され、車両の前方に広がる道路環境の偏光画像を取得することを前提とする。
【0016】
図3(a)は、本実施形態におけるマトリックスアレイセンサ120を拡大して示す。図3に示すように、マトリックスアレイセンサ120は、複数の受光ブロック130がマトリックス状に配列されてなる固体撮像素子として参照することができ、1つの受光ブロック130は、偏光撮像手段100が撮像する偏光画像の1つの画素(1ピクセル)に相当する。なお、本実施形態における偏光撮像系は、画像を描画するためのものではないので、縁石ブロック(高さ15cm位)のようなスケールの構造物を検出することができる程度の解像度を備えていればよく、そのピクセルサイズは、当該解像度を実現することができる必要十分なサイズであればよい。
【0017】
本実施形態における受光ブロック130は、図3(b)に拡大して示すように、直交する2つの偏光方向をもつ。すなわち、受光ブロック130においては、偏光方向が直交する2種類の偏光素子132a,132bと、各偏光フィルタに固有の受光素子134a,134bから構成されている。なお、本実施形態においては、直交する2つの偏光方向が、それぞれが車両の車軸方向および高さ方向に合致するように初期設定されており、各受光ブロック130によって車両の車軸方向の偏光成分Hおよび高さ方向の偏光成分Vをそれぞれ別個に検出することができるように構成されている。
【0018】
ここで、各受光ブロック130における偏光素子132a,132bは、偏光方向の直交性を維持したまま、その検出軸を変更することができるように構成されている。一例として、各偏光素子132a,132bは、図3(c)に示すように、印可電圧によって液晶の回転量が変化する液晶偏光素子として構成することができる。
【0019】
ここで、偏光撮像手段100は、偏光検出軸変更手段140を付帯しており、偏光検出軸変更手段140は、受光ブロック130の偏光検出軸を変更させる。ここで、受光ブロック130における偏光素子132が図3(c)に示した液晶偏光素子によって構成されている場合には、偏光検出軸変更手段140は、液晶偏光素子に対する印可電圧を制御することによって液晶偏光素子の偏光方向を回転させて受光ブロック130の偏光検出軸を変更する。以下、偏光検出軸を回転によって変更する実施形態をもって、本発明を説明する。
【0020】
再び、図1に戻って説明を続ける。偏光撮像手段100のマトリックスアレイセンサ120が検出した車両の車軸方向の偏光成分Hの光強度(H)と高さ方向の偏光成分Vの光強度(V)は、各受光ブロック130のXY座標値に対応づけられて情報処理部200に出力される。
【0021】
情報処理部200は、光強度比算出部210と、光強度検出部220と、偏光状態特徴量算出部230と、路肩検出部240と、制御用信号生成部250とを含んで構成される。
【0022】
偏光撮像手段100から出力された受光ブロック130毎の光強度信号(H)および光強度信号(V)は、光強度比算出部210に入力される。光強度比算出部210は、偏光撮像手段100から入力された光強度信号(H)および光強度信号(V)に基づいて光強度比(V/H)を算出する。なお、本実施形態においては、光強度比を(H/V)としても良いが、以下の説明においては、光強度比(V/H)に基づいて説明する。
【0023】
一方、偏光検出軸変更手段140は、マトリックスアレイセンサ120の全ての受光ブロック130の偏光素子132a,132bについて、その偏光検出軸を所定の角度範囲で回転させる。なお、偏光検出軸の回転制御は、全ての受光ブロック130について同期して実行される。図4は、偏光方向が直交する2種類の偏光素子132a,132bからなる受光ブロック130の偏光検出軸が回転する態様を概念的に示す。受光ブロック130の初期状態(θ=0°)においては、偏光素子132aおよび偏光素子132bの偏光方向は、それぞれ、車両の高さ方向および車軸方向と一致している。すなわち、受光ブロック130の直交する偏光検出軸は、車両の高さ方向および車軸方向と一致している。ここで、偏光検出軸変更手段140は、初期状態(θ=0°)を基準として、偏光検出軸が角度範囲−45°〜+45°で回転するように、各偏光素子132a,132bを制御する。
【0024】
偏光検出軸が角度範囲−45°〜+45°で回転することに伴って、光強度比算出部210が算出する光強度比(V/H)が時系列的に変化する。そこで、光強度検出部220は、光強度比算出部210の算出結果を時系列的に監視し、光強度比(V/H)が最初の極値(極大値あるいは極小値)に達したときの光強度(H)および光強度(V)を検出し、これを偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0025】
偏光状態特徴量算出部230は、光強度検出部220から与えられた光強度(H)および光強度(V)に基づいて受光ブロック130毎に偏光状態特徴量を生成する。
本実施形態における偏光状態特徴量とは、各受光ブロック130が受光した光の偏光状態を表す特徴量Fとして定義されるものであり、本実施形態においては、下記式(1)〜(4)のいずれかの算出式によって特徴量Fを求めることができる。なお、下記式において、Hは光強度比(V/H)が最初の極値に達したときの光強度(H)とし、Vは光強度比(V/H)が最初の極値に達したときの光強度(V)とする。なお、光強度は、デジタルカメラの輝度値に対応する。
【0026】
【数1】
【0027】
なお、偏光状態特徴量Fの算出式として上記式(1)を採用する場合は、光強度比算出部210が算出した光強度比(V/H)の最初の極値(極大値あるいは極小値)をそのまま特徴量Fとして使用してもよい(この場合、光強度比算出部210が偏光状態特徴量算出部230の機能を兼ねることができる)。
【0028】
路肩検出部240は、偏光状態特徴量算出部230が算出した受光ブロック130毎の偏光状態特徴量を利用し、以下の前提に基づいて道路の路肩領域を検出する。
【0029】
図5に示すように、本実施形態においては、ワールド座標系において車両の前方に水平平面を定義した後、これを既知の座標変換方法によって、カメラ座標系を経て、偏光撮像手段100の画像座標系(マトリックスアレイセンサ120の2次元画像座標系)に変換する。その結果、マトリックスアレイセンサ120の各受光ブロック130の座標情報とカメラ座標系の距離Z(カメラの視線上の距離Z)が対応づけられる。
【0030】
路肩検出部240は、算出された特徴量Fが所定の閾値を超えた受光ブロック130につき、偏光撮像手段100の画像座標系上でマーキングする。例えば、図6(a)に示すような道路が偏光撮像手段100の視界に入っている場合、画像座標系において、路肩102の路端面106が結像している領域がマーキングされる。図6(b)は、路端面106に対応する画像座標系がマーキングされた様子を概念的に示している。路肩検出部240は、偏光撮像手段100が取得する画像の変化に応じてリアルタイムにマーキングを更新し、路肩102としてマーキングされたXY座標値を参照可能なメモリ領域に置く。
【0031】
なお、路肩検出部240が用いる上述した所定の閾値は、以下の手順で求めることができる。すなわち、図7(a)に示すように、路面と推定される所定領域(例えば、車両のすぐ前方且つ車幅の内側の領域)を基準領域Cと定義した上で、図7(b)に示すように、当該基準領域Cが撮像される画角に対応する所定の画素領域(基準領域Cが結像するはずの複数の受光ブロック130)を閾値設定用画素領域として定義する。そして、閾値設定モードにおいて、偏光撮像手段100によって実際の路面を撮像し、その結果、当該閾値設定用画素領域について偏光状態特徴量算出部230が算出した偏光状態特徴量を適切なルールで正規化する。このようにして得られた正規値(平均値、中央値など)に必要に応じて適切なマージンを加えたものを路肩検出用閾値として定義する。
【0032】
次に、上述した光強度検出部220が偏光検出軸変更手段140と協働して果たす具体的な機能について、図8〜11に基づいて詳説する。例えば、図8に示すように、路端面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の高さ方向に対して30°傾いている場合について考える。先に述べたように、偏光検出軸変更手段140は、受光ブロック130の偏光検出軸を所定の角度範囲(−45°≦θ≦+45°)で回転させる。具体的には、図8の上段に示す初期状態から、紙面上右回りに偏光検出軸を回転させる。その結果、回転角がθ=30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極大値に達する(正確には、回転角がθ=30°を過ぎた時点で極大値が確定する)。光強度検出部220は、これを検出し、光強度比(V/H)が最初の極大値に達したときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0033】
一方、図8に示した路端面反射光(楕円偏光)に対応する路面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の車軸方向に対して30°傾いている場合について考える。この場合も同様に、図9の上段に示す初期状態から、紙面上右回りに偏光検出軸が回転する結果、回転角がθ=−30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極小値に達するので、光強度検出部220は、このときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0034】
次に、図10に示すように、路端面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の高さ方向に対して−30°傾いている場合について考える。この場合、上述したのと同じように偏光検出軸変更手段140が紙面上右回りに偏光検出軸を回転させても、図10上段左側に示すように、θ=+45°の時点で光強度比(V/H)が極値に達しない。このような場合は、再び、図10上段右側に示す初期状態に戻った後、紙面上左回りに偏光検出軸を回転させる。その結果、回転角がθ=−30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極大値に達する(正確には、回転角がθ=−30°を過ぎた時点で極大値が確定する)。光強度検出部220は、これを検出し、光強度比(V/H)が最初の極大値に達したときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0035】
一方、図11に示した路端面反射光(楕円偏光)に対応する路面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の車軸方向に対して−30°傾いている場合について考える。この場合も同様に、図11の上段左側に示すθ=+45°の状態から一旦図11の上段右側に示す初期状態に戻った後、紙面上左回りに偏光検出軸を回転させる。その結果、回転角がθ=−30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極小値に達するので、光強度検出部220は、このときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0036】
以上、説明したように、偏光検出軸変更手段140が直交する偏光検出軸を回転させることによって、反射光の偏光状態を正確に反映した光強度が得られるため、路端面反射光の特徴量Fと路面反射光の特徴量Fの間に有意な差分を検出することができるようになり、その結果、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても路肩を正確に検出することが可能になる。
【0037】
なお、本実施形態の車両運転支援装置10においては、偏光検出軸変更手段140を常に作動させることによって、偏光検出軸が動的に常時変更されるように構成しても良いし、偏光検出軸変更手段140を適切なタイミングで間欠的に作動させることによって、偏光検出軸の回転角度を定期的に変更するように構成しても良い。
【0038】
再び、図1に戻って説明を続ける。本実施形態の車両運転支援装置10は、さらに、制御用信号生成部250を含んで構成されている。本実施形態における制御用信号生成部250は、路肩検出部240が更新する路肩の位置情報(XY座標値)を監視しており、当該路肩の位置情報に基づいて、車両と路肩の間隔を導出する。この点につき、図12および図13を参照して説明する。
【0039】
例えば、図12(a)に示すような道路が偏光撮像手段100の視界に入っている場合を考えると、偏光撮像手段100の画角の左端とステレオ撮像系から見て奥行き4mのラインの交点について、特徴量の差分が閾値を超える結果、これが路肩領域として検出される。このような場合、図12(b)に示すようにステレオ撮像系の水平視野角を90°とすれば、車両と路肩102の間隔が4mであることが導かれる。
【0040】
一方、図13(a)に示すような道路が偏光撮像手段100の視界に入っている場合を考えると、偏光撮像手段100の画角の左端とステレオ撮像系から見て奥行きが2mのラインの交点について、特徴量の差分が閾値を超える結果、これが路肩領域として検出される。このような場合、図13(b)に示すよう車両と路肩102の間隔が2mであることが導かれる。
【0041】
制御用信号生成部250は、導出した車両と路肩の間隔の値に基づいて所定の制御ルールを参照し、必要に応じて適切な制御用信号を生成して、適宜、操舵制御手段310、走行速度制御手段320、警告手段330に出力する。たとえば、車両と路肩の間隔が所定の閾値を下回ったことに応答して、パワーステアリングとして参照される操舵制御手段310に対して操舵信号を送信し、自動的に操舵をコントロールして車両と路端の間隔を取るようにしたり、運転席のハンドルに適切な操舵を促すフォースフィードバック(路端方向には重く、路端と距離を取る方向には軽くなるような)を行ったりするように構成することができる。また、車両と路肩の間隔が所定の閾値を下回ったことに応答して、燃料噴射装置やブレーキ装置として参照される走行速度制御手段320に対して速度制御信号を送信して制御することによって、自動的に速度を緩めたり、自動的にブレーキをかけたりするように構成することができる。あるいは、音声画像装置として参照される警告手段330に車両と路肩の間隔に関する情報を常に表示させ、車両と路肩の間隔が所定の閾値を下回ったことに応答して、ブザー等で運転者に警告するように構成することもできる。なお、これらはあくまで例示であって、本発明は、その制御対象の構成によって限定されるものではない。
【0042】
以上、説明したように、本発明によれば、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても路肩を正確に検出することができるので、ドライバーに対してより的確な運転支援を行うことができる。
【0043】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においては、偏光撮像系の画角全域に対応する面積のマトリックスアレイセンサ120を設けていたが、危険回避のためには、必要最低限の画角からの偏光情報を得れば事足りるので、上述したマトリックスアレイセンサ120に代えてそのような範囲をカバーすることが可能なラインセンサーを用いても良い。
【0044】
また、反射光の偏光状態が反射面の乾湿状態に依存性があることを利用して、本発明の構成を路面の乾湿状態の検出に適用することもできる。その場合は、上述した路肩検出部240を路面湿潤検出部として構成した上で、乾いた路面の反射光の偏光状態特徴量に基づいて適切な湿潤領域検出用閾値を設定する。そして、湿潤領域検出用閾値を超えた路面領域を水たまりなどの湿潤領域として推定する構成にすれば良い。また、本発明における偏光検出軸変更手段は、上述した実施形態における液晶に代えて、偏光板を用い、当該偏光板を回転させて偏光検出軸を変更するようにしてもよいし、当該偏光板を固定した状態で受光素子の方を回転させて偏光検出軸を変更するようにしてもよい。その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0045】
上述した実施形態の各機能は、アセンブリ言語、C、Visual C、C++、Visual C++、Java(登録商標)、Java(登録商標)Beans、Java(登録商標)Applet、Java(登録商標)Hcript、Perl、Rubyなど、レガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、装置可読な記録媒体に格納して頒布することができる。
【符号の説明】
【0046】
10…車両運転支援装置
100…偏光撮像手段
102…路肩(縁石ブロック帯)
104…路面
106…路端面
110…レンズ光学系
120…マトリックスアレイセンサ
130…受光ブロック
132…偏光素子
134…受光素子
140…偏光検出軸変更手段
200…情報処理部
210…光強度比算出部
220…光強度検出部
230…偏光状態特徴量算出部
240…路肩検出部
250…制御用信号生成部
310…操舵制御手段
320…走行速度制御手段
330…警告手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開平5−265547号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置および方法に関し、より詳細には、偏光情報を利用した車両運転支援装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバーの運転負荷を軽減させるための車両走行支援システムが種々検討されている。この点につき、特開平5−265547号公報(特許文献1)は、車載カメラが撮像した道路画像を画像解析することによって走行レーンを区画する白線を検出して自車の操舵や速度を制御する車両走行支援システムを開示する。このように、従来の車両走行支援システムの多くは、走行可能領域の境界(センターラインや縁石ブロックなど)を撮像画像の輝度解析によって検出するものであった。
【0003】
しかしながら、これまでの輝度解析によるシステムは、入射光量が不足する曇天・雨天時や、路面上に日向と日陰の境界が存在するような場合に、正確なエッジを検出することができず誤作動する虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術における課題に鑑み、本出願人が先に出願した特願2010−151334号は、車載カメラが受光した光の直交する偏光成分を解析することによって、車道に設けられた縁石ブロック領域を検出する方法を開示する。以下、当該方法の原理について説明する。
【0005】
一般に、自動車専用道路と歩道の境界(路肩)に所定の高さの縁石ブロック帯を設けることが省令によって定められている。図14は、路肩に縁石ブロック帯が設けられた自動車専用道路を示す。図14に示すように、一般に、縁石ブロック帯102は、直方体のコンクリーブロックが連なって形成されており、縁石ブロック帯102は、その側面である路端面106が路面104に直交するように立設されている。ここで、路面104を形成するアスファルや縁石ブロック帯102を形成するコンクリートなどの不導体への入射光は、反射によって偏光状態が変化することが知られている。この点につき、図15を参照して説明する。
【0006】
図15(a)に示すように、屈折率の異なる2つの物質の界面に光が所定の入射角θをもって入射する場合、電場の振動方向が入射面に平行な光の成分(p成分)と電場の振動方向が入射面に垂直な光の成分(s成分)は、図15(b)に示すように、反射率の角度依存性が異なるため、入射角θが0以上、ブリュースター角未満の場合、界面からの反射光は、図16に示すように、p成分よりもs成分を多く含む楕円偏光になることが知られている。
【0007】
ここで、図17(a)を参照して、偏光方向に偏りを持たない無偏光光線が路面104および路端面106に入射するケースを考える。この場合、いずれの反射光も楕円偏光になるが、路端面106と路面104が直交しているため、車両側から見ると2つの楕円偏光の長軸は直交する関係になる。したがって、車両側の観察系において、路面104に平行な成分(すなわち、車軸方向の成分)を水平成分H、路面104に垂直な成分(すなわち、車の高さ方向の成分)を垂直成分Vと定義すれば、路面反射光の強度比(V/H)と路端面反射光の強度比(V/H)には、図18(a)に示すように区別可能な差分が生じるので、この強度比(V/H)の差分を利用して路端面反射光と路面反射光を区別することができる。
【0008】
しかしながら、現実の路面および路端面の表面には凹凸があり、実際の反射面は、車両側の偏光検出軸に対して若干の傾きを持つことがある。このような場合、図17(b)に示すように、反射光(楕円偏光)の楕円軸も車両側の偏光検出軸に対して傾きが生じることになるが、そうすると、図18(b)に示すように、路面反射光の強度比(V/H)と路端面反射光の強度比(V/H)の差分が、その傾きに応じて、楕円偏光の楕円軸に傾きがない場合のそれよりも小さくなるので(傾き45°の場合は差分がなくなる)、図18(a)に示した理想状態のときのように、強度比(V/H)の差分を利用して路端面反射光と路面反射光を区別することが困難になる。
【0009】
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、本発明は、実際の道路環境において、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても、正確に路肩を検出することができる新規な車両運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても、正確に路肩を検出することができる新規な車両運転支援装置につき鋭意検討した結果、偏光撮像手段の画素毎に直交する2つの偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、2つの偏光方向に対応する光強度の比を監視し、当該光強度比が最初の極値に達したときの光強度に基づいて偏光状態特徴量を算出する構成に想到し、本発明に至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明によれば、直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を画素毎に備える偏光撮像手段であって、該偏光素子の偏光検出軸が変更自在に構成される、偏光撮像手段と、前記偏光素子の前記偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させる偏光検出軸変更手段と、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比を算出する光強度比算出部と、前記偏光検出軸の変更に伴って変化する前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度を検出する光強度検出部と、前記光強度検出部が検出した前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎の算出する偏光状態特徴量算出部と、前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて道路の路肩の位置情報を取得する路肩検出部とを含む両運転支援装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、車両が走行する道路の路肩を検出する方法であって、前記道路を撮像する偏光撮像手段の画素毎に直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎に算出し、算出した前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて前記道路の路肩の位置情報を取得することを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の車両運転支援装置の機能ブロック図。
【図2】本実施形態における偏光撮像手段の搭載場所を示す図。
【図3】本実施形態におけるマトリックスアレイセンサの構成を示す図。
【図4】受光ブロックの偏光検出軸が回転する態様を示す概念図。
【図5】本実施形態における路肩検出処理を説明するための概念図。
【図6】本実施形態における路肩検出部のマーキング処理を説明するための概念図。
【図7】本実施形態における路肩検出用閾値の設定方法を説明するための概念図。
【図8】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図9】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図10】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図11】本実施形態における偏光検出軸変更部の機能を説明するための概念図。
【図12】本実施形態における車両運転支援の態様を説明するための概念図。
【図13】本実施形態における車両運転支援の態様を説明するための概念図。
【図14】路肩に縁石ブロック帯が設けられた自動車専用道路を示す図。
【図15】反射光における偏光状態の変化を説明するための概念図。
【図16】反射光における偏光状態の変化を説明するための概念図。
【図17】入射光が無偏光光線である場合のモデルを示す図。
【図18】楕円偏光の楕円軸が傾きに対応した路面反射光の強度比(V/H)が変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜、その説明を省略するものとする。
【0015】
図1は、本発明に実施形態である車両運転支援装置10の機能ブロック図を示す。図1に示すように、車両運転支援装置10は、偏光撮像手段100を備える。偏光撮像手段100は、既存の3CCD偏光カメラと同等の構成を備える偏光撮像装置として参照することができ、適切なレンズ光学系110と、偏光素子と受光素子が一体化したマトリックスアレイセンサ120を含んで構成される。本実施形態における偏光撮像手段100は、好ましくは、図2に示すように車両のフロントガラス部分に搭載され、車両の前方に広がる道路環境の偏光画像を取得することを前提とする。
【0016】
図3(a)は、本実施形態におけるマトリックスアレイセンサ120を拡大して示す。図3に示すように、マトリックスアレイセンサ120は、複数の受光ブロック130がマトリックス状に配列されてなる固体撮像素子として参照することができ、1つの受光ブロック130は、偏光撮像手段100が撮像する偏光画像の1つの画素(1ピクセル)に相当する。なお、本実施形態における偏光撮像系は、画像を描画するためのものではないので、縁石ブロック(高さ15cm位)のようなスケールの構造物を検出することができる程度の解像度を備えていればよく、そのピクセルサイズは、当該解像度を実現することができる必要十分なサイズであればよい。
【0017】
本実施形態における受光ブロック130は、図3(b)に拡大して示すように、直交する2つの偏光方向をもつ。すなわち、受光ブロック130においては、偏光方向が直交する2種類の偏光素子132a,132bと、各偏光フィルタに固有の受光素子134a,134bから構成されている。なお、本実施形態においては、直交する2つの偏光方向が、それぞれが車両の車軸方向および高さ方向に合致するように初期設定されており、各受光ブロック130によって車両の車軸方向の偏光成分Hおよび高さ方向の偏光成分Vをそれぞれ別個に検出することができるように構成されている。
【0018】
ここで、各受光ブロック130における偏光素子132a,132bは、偏光方向の直交性を維持したまま、その検出軸を変更することができるように構成されている。一例として、各偏光素子132a,132bは、図3(c)に示すように、印可電圧によって液晶の回転量が変化する液晶偏光素子として構成することができる。
【0019】
ここで、偏光撮像手段100は、偏光検出軸変更手段140を付帯しており、偏光検出軸変更手段140は、受光ブロック130の偏光検出軸を変更させる。ここで、受光ブロック130における偏光素子132が図3(c)に示した液晶偏光素子によって構成されている場合には、偏光検出軸変更手段140は、液晶偏光素子に対する印可電圧を制御することによって液晶偏光素子の偏光方向を回転させて受光ブロック130の偏光検出軸を変更する。以下、偏光検出軸を回転によって変更する実施形態をもって、本発明を説明する。
【0020】
再び、図1に戻って説明を続ける。偏光撮像手段100のマトリックスアレイセンサ120が検出した車両の車軸方向の偏光成分Hの光強度(H)と高さ方向の偏光成分Vの光強度(V)は、各受光ブロック130のXY座標値に対応づけられて情報処理部200に出力される。
【0021】
情報処理部200は、光強度比算出部210と、光強度検出部220と、偏光状態特徴量算出部230と、路肩検出部240と、制御用信号生成部250とを含んで構成される。
【0022】
偏光撮像手段100から出力された受光ブロック130毎の光強度信号(H)および光強度信号(V)は、光強度比算出部210に入力される。光強度比算出部210は、偏光撮像手段100から入力された光強度信号(H)および光強度信号(V)に基づいて光強度比(V/H)を算出する。なお、本実施形態においては、光強度比を(H/V)としても良いが、以下の説明においては、光強度比(V/H)に基づいて説明する。
【0023】
一方、偏光検出軸変更手段140は、マトリックスアレイセンサ120の全ての受光ブロック130の偏光素子132a,132bについて、その偏光検出軸を所定の角度範囲で回転させる。なお、偏光検出軸の回転制御は、全ての受光ブロック130について同期して実行される。図4は、偏光方向が直交する2種類の偏光素子132a,132bからなる受光ブロック130の偏光検出軸が回転する態様を概念的に示す。受光ブロック130の初期状態(θ=0°)においては、偏光素子132aおよび偏光素子132bの偏光方向は、それぞれ、車両の高さ方向および車軸方向と一致している。すなわち、受光ブロック130の直交する偏光検出軸は、車両の高さ方向および車軸方向と一致している。ここで、偏光検出軸変更手段140は、初期状態(θ=0°)を基準として、偏光検出軸が角度範囲−45°〜+45°で回転するように、各偏光素子132a,132bを制御する。
【0024】
偏光検出軸が角度範囲−45°〜+45°で回転することに伴って、光強度比算出部210が算出する光強度比(V/H)が時系列的に変化する。そこで、光強度検出部220は、光強度比算出部210の算出結果を時系列的に監視し、光強度比(V/H)が最初の極値(極大値あるいは極小値)に達したときの光強度(H)および光強度(V)を検出し、これを偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0025】
偏光状態特徴量算出部230は、光強度検出部220から与えられた光強度(H)および光強度(V)に基づいて受光ブロック130毎に偏光状態特徴量を生成する。
本実施形態における偏光状態特徴量とは、各受光ブロック130が受光した光の偏光状態を表す特徴量Fとして定義されるものであり、本実施形態においては、下記式(1)〜(4)のいずれかの算出式によって特徴量Fを求めることができる。なお、下記式において、Hは光強度比(V/H)が最初の極値に達したときの光強度(H)とし、Vは光強度比(V/H)が最初の極値に達したときの光強度(V)とする。なお、光強度は、デジタルカメラの輝度値に対応する。
【0026】
【数1】
【0027】
なお、偏光状態特徴量Fの算出式として上記式(1)を採用する場合は、光強度比算出部210が算出した光強度比(V/H)の最初の極値(極大値あるいは極小値)をそのまま特徴量Fとして使用してもよい(この場合、光強度比算出部210が偏光状態特徴量算出部230の機能を兼ねることができる)。
【0028】
路肩検出部240は、偏光状態特徴量算出部230が算出した受光ブロック130毎の偏光状態特徴量を利用し、以下の前提に基づいて道路の路肩領域を検出する。
【0029】
図5に示すように、本実施形態においては、ワールド座標系において車両の前方に水平平面を定義した後、これを既知の座標変換方法によって、カメラ座標系を経て、偏光撮像手段100の画像座標系(マトリックスアレイセンサ120の2次元画像座標系)に変換する。その結果、マトリックスアレイセンサ120の各受光ブロック130の座標情報とカメラ座標系の距離Z(カメラの視線上の距離Z)が対応づけられる。
【0030】
路肩検出部240は、算出された特徴量Fが所定の閾値を超えた受光ブロック130につき、偏光撮像手段100の画像座標系上でマーキングする。例えば、図6(a)に示すような道路が偏光撮像手段100の視界に入っている場合、画像座標系において、路肩102の路端面106が結像している領域がマーキングされる。図6(b)は、路端面106に対応する画像座標系がマーキングされた様子を概念的に示している。路肩検出部240は、偏光撮像手段100が取得する画像の変化に応じてリアルタイムにマーキングを更新し、路肩102としてマーキングされたXY座標値を参照可能なメモリ領域に置く。
【0031】
なお、路肩検出部240が用いる上述した所定の閾値は、以下の手順で求めることができる。すなわち、図7(a)に示すように、路面と推定される所定領域(例えば、車両のすぐ前方且つ車幅の内側の領域)を基準領域Cと定義した上で、図7(b)に示すように、当該基準領域Cが撮像される画角に対応する所定の画素領域(基準領域Cが結像するはずの複数の受光ブロック130)を閾値設定用画素領域として定義する。そして、閾値設定モードにおいて、偏光撮像手段100によって実際の路面を撮像し、その結果、当該閾値設定用画素領域について偏光状態特徴量算出部230が算出した偏光状態特徴量を適切なルールで正規化する。このようにして得られた正規値(平均値、中央値など)に必要に応じて適切なマージンを加えたものを路肩検出用閾値として定義する。
【0032】
次に、上述した光強度検出部220が偏光検出軸変更手段140と協働して果たす具体的な機能について、図8〜11に基づいて詳説する。例えば、図8に示すように、路端面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の高さ方向に対して30°傾いている場合について考える。先に述べたように、偏光検出軸変更手段140は、受光ブロック130の偏光検出軸を所定の角度範囲(−45°≦θ≦+45°)で回転させる。具体的には、図8の上段に示す初期状態から、紙面上右回りに偏光検出軸を回転させる。その結果、回転角がθ=30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極大値に達する(正確には、回転角がθ=30°を過ぎた時点で極大値が確定する)。光強度検出部220は、これを検出し、光強度比(V/H)が最初の極大値に達したときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0033】
一方、図8に示した路端面反射光(楕円偏光)に対応する路面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の車軸方向に対して30°傾いている場合について考える。この場合も同様に、図9の上段に示す初期状態から、紙面上右回りに偏光検出軸が回転する結果、回転角がθ=−30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極小値に達するので、光強度検出部220は、このときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0034】
次に、図10に示すように、路端面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の高さ方向に対して−30°傾いている場合について考える。この場合、上述したのと同じように偏光検出軸変更手段140が紙面上右回りに偏光検出軸を回転させても、図10上段左側に示すように、θ=+45°の時点で光強度比(V/H)が極値に達しない。このような場合は、再び、図10上段右側に示す初期状態に戻った後、紙面上左回りに偏光検出軸を回転させる。その結果、回転角がθ=−30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極大値に達する(正確には、回転角がθ=−30°を過ぎた時点で極大値が確定する)。光強度検出部220は、これを検出し、光強度比(V/H)が最初の極大値に達したときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0035】
一方、図11に示した路端面反射光(楕円偏光)に対応する路面反射光(楕円偏光)の楕円長軸が車両の車軸方向に対して−30°傾いている場合について考える。この場合も同様に、図11の上段左側に示すθ=+45°の状態から一旦図11の上段右側に示す初期状態に戻った後、紙面上左回りに偏光検出軸を回転させる。その結果、回転角がθ=−30°となった時点で、光強度比(V/H)が最初の極小値に達するので、光強度検出部220は、このときの光強度(H)および光強度(V)を偏光状態特徴量算出部230に与える。
【0036】
以上、説明したように、偏光検出軸変更手段140が直交する偏光検出軸を回転させることによって、反射光の偏光状態を正確に反映した光強度が得られるため、路端面反射光の特徴量Fと路面反射光の特徴量Fの間に有意な差分を検出することができるようになり、その結果、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても路肩を正確に検出することが可能になる。
【0037】
なお、本実施形態の車両運転支援装置10においては、偏光検出軸変更手段140を常に作動させることによって、偏光検出軸が動的に常時変更されるように構成しても良いし、偏光検出軸変更手段140を適切なタイミングで間欠的に作動させることによって、偏光検出軸の回転角度を定期的に変更するように構成しても良い。
【0038】
再び、図1に戻って説明を続ける。本実施形態の車両運転支援装置10は、さらに、制御用信号生成部250を含んで構成されている。本実施形態における制御用信号生成部250は、路肩検出部240が更新する路肩の位置情報(XY座標値)を監視しており、当該路肩の位置情報に基づいて、車両と路肩の間隔を導出する。この点につき、図12および図13を参照して説明する。
【0039】
例えば、図12(a)に示すような道路が偏光撮像手段100の視界に入っている場合を考えると、偏光撮像手段100の画角の左端とステレオ撮像系から見て奥行き4mのラインの交点について、特徴量の差分が閾値を超える結果、これが路肩領域として検出される。このような場合、図12(b)に示すようにステレオ撮像系の水平視野角を90°とすれば、車両と路肩102の間隔が4mであることが導かれる。
【0040】
一方、図13(a)に示すような道路が偏光撮像手段100の視界に入っている場合を考えると、偏光撮像手段100の画角の左端とステレオ撮像系から見て奥行きが2mのラインの交点について、特徴量の差分が閾値を超える結果、これが路肩領域として検出される。このような場合、図13(b)に示すよう車両と路肩102の間隔が2mであることが導かれる。
【0041】
制御用信号生成部250は、導出した車両と路肩の間隔の値に基づいて所定の制御ルールを参照し、必要に応じて適切な制御用信号を生成して、適宜、操舵制御手段310、走行速度制御手段320、警告手段330に出力する。たとえば、車両と路肩の間隔が所定の閾値を下回ったことに応答して、パワーステアリングとして参照される操舵制御手段310に対して操舵信号を送信し、自動的に操舵をコントロールして車両と路端の間隔を取るようにしたり、運転席のハンドルに適切な操舵を促すフォースフィードバック(路端方向には重く、路端と距離を取る方向には軽くなるような)を行ったりするように構成することができる。また、車両と路肩の間隔が所定の閾値を下回ったことに応答して、燃料噴射装置やブレーキ装置として参照される走行速度制御手段320に対して速度制御信号を送信して制御することによって、自動的に速度を緩めたり、自動的にブレーキをかけたりするように構成することができる。あるいは、音声画像装置として参照される警告手段330に車両と路肩の間隔に関する情報を常に表示させ、車両と路肩の間隔が所定の閾値を下回ったことに応答して、ブザー等で運転者に警告するように構成することもできる。なお、これらはあくまで例示であって、本発明は、その制御対象の構成によって限定されるものではない。
【0042】
以上、説明したように、本発明によれば、反射光(楕円偏光)の楕円軸が車両の車軸方向あるいは高さ方向に対して傾いている場合であっても路肩を正確に検出することができるので、ドライバーに対してより的確な運転支援を行うことができる。
【0043】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においては、偏光撮像系の画角全域に対応する面積のマトリックスアレイセンサ120を設けていたが、危険回避のためには、必要最低限の画角からの偏光情報を得れば事足りるので、上述したマトリックスアレイセンサ120に代えてそのような範囲をカバーすることが可能なラインセンサーを用いても良い。
【0044】
また、反射光の偏光状態が反射面の乾湿状態に依存性があることを利用して、本発明の構成を路面の乾湿状態の検出に適用することもできる。その場合は、上述した路肩検出部240を路面湿潤検出部として構成した上で、乾いた路面の反射光の偏光状態特徴量に基づいて適切な湿潤領域検出用閾値を設定する。そして、湿潤領域検出用閾値を超えた路面領域を水たまりなどの湿潤領域として推定する構成にすれば良い。また、本発明における偏光検出軸変更手段は、上述した実施形態における液晶に代えて、偏光板を用い、当該偏光板を回転させて偏光検出軸を変更するようにしてもよいし、当該偏光板を固定した状態で受光素子の方を回転させて偏光検出軸を変更するようにしてもよい。その他、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0045】
上述した実施形態の各機能は、アセンブリ言語、C、Visual C、C++、Visual C++、Java(登録商標)、Java(登録商標)Beans、Java(登録商標)Applet、Java(登録商標)Hcript、Perl、Rubyなど、レガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、装置可読な記録媒体に格納して頒布することができる。
【符号の説明】
【0046】
10…車両運転支援装置
100…偏光撮像手段
102…路肩(縁石ブロック帯)
104…路面
106…路端面
110…レンズ光学系
120…マトリックスアレイセンサ
130…受光ブロック
132…偏光素子
134…受光素子
140…偏光検出軸変更手段
200…情報処理部
210…光強度比算出部
220…光強度検出部
230…偏光状態特徴量算出部
240…路肩検出部
250…制御用信号生成部
310…操舵制御手段
320…走行速度制御手段
330…警告手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開平5−265547号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を画素毎に備える偏光撮像手段であって、該偏光素子の偏光検出軸が変更自在に構成される、偏光撮像手段と、
前記偏光素子の前記偏光検出軸を所定の角度範囲で変更する偏光検出軸変更手段と、
前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比を算出する光強度比算出部と、
前記偏光検出軸の変更に伴って変化する前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度を検出する光強度検出部と、
前記光強度検出部が検出した前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎の算出する偏光状態特徴量算出部と、
前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて道路の路肩の位置情報を取得する路肩検出部と、
を含む、
車両運転支援装置。
【請求項2】
前記偏光状態特徴量は、下記式(1)〜(4)に示すいずれか1つの算出式によって算出される、請求項1に記載の車両運転支援装置。
【数1】
(上記各式において、前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第1の光強度をHとし、前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第2の光強度をVとし、前記偏光状態特徴量をFとする)
【請求項3】
前記所定の角度範囲は、車輌の車軸方向または高さ方向を基準として−45°〜+45°の範囲である、請求項1または2に記載の車両運転支援装置。
【請求項4】
前記路肩検出部が取得した前記路肩の位置情報に基づいて車両搭載装置の制御用信号を生成する制御用信号生成部をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両運転支援装置。
【請求項5】
前記車両搭載装置は、操舵制御手段、走行速度制御手段および警告手段のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の車両運転支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両運転支援装置を搭載する自動車。
【請求項7】
車両が走行する道路の路肩を検出する方法であって、
前記道路を撮像する偏光撮像手段の画素毎に直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎に算出し、算出した前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて前記道路の路肩の位置情報を取得することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法によって取得された前記路肩の位置情報に基づいて、操舵制御手段、走行速度制御手段および警告手段から選択される少なくとも1つの車両搭載装置を制御して車両の運転支援を行う方法。
【請求項9】
車両が走行する道路の路面の湿潤領域を検出する方法であって、
前記道路を撮像する偏光撮像手段の画素毎に直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎に算出し、算出した前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて前記路面の湿潤領域を検出することを特徴とする方法。
【請求項1】
直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を画素毎に備える偏光撮像手段であって、該偏光素子の偏光検出軸が変更自在に構成される、偏光撮像手段と、
前記偏光素子の前記偏光検出軸を所定の角度範囲で変更する偏光検出軸変更手段と、
前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比を算出する光強度比算出部と、
前記偏光検出軸の変更に伴って変化する前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度を検出する光強度検出部と、
前記光強度検出部が検出した前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎の算出する偏光状態特徴量算出部と、
前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて道路の路肩の位置情報を取得する路肩検出部と、
を含む、
車両運転支援装置。
【請求項2】
前記偏光状態特徴量は、下記式(1)〜(4)に示すいずれか1つの算出式によって算出される、請求項1に記載の車両運転支援装置。
【数1】
(上記各式において、前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第1の光強度をHとし、前記光強度比が最初の極値に達したときの前記第2の光強度をVとし、前記偏光状態特徴量をFとする)
【請求項3】
前記所定の角度範囲は、車輌の車軸方向または高さ方向を基準として−45°〜+45°の範囲である、請求項1または2に記載の車両運転支援装置。
【請求項4】
前記路肩検出部が取得した前記路肩の位置情報に基づいて車両搭載装置の制御用信号を生成する制御用信号生成部をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両運転支援装置。
【請求項5】
前記車両搭載装置は、操舵制御手段、走行速度制御手段および警告手段のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の車両運転支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両運転支援装置を搭載する自動車。
【請求項7】
車両が走行する道路の路肩を検出する方法であって、
前記道路を撮像する偏光撮像手段の画素毎に直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎に算出し、算出した前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて前記道路の路肩の位置情報を取得することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法によって取得された前記路肩の位置情報に基づいて、操舵制御手段、走行速度制御手段および警告手段から選択される少なくとも1つの車両搭載装置を制御して車両の運転支援を行う方法。
【請求項9】
車両が走行する道路の路面の湿潤領域を検出する方法であって、
前記道路を撮像する偏光撮像手段の画素毎に直交する第1および第2の偏光方向をもつ偏光素子を設け、該偏光素子の偏光検出軸を所定の角度範囲で変更させながら、前記第1の偏光方向に対応する第1の光強度と前記第2の偏光方向に対応する第2の光強度の比である光強度比が最初の極値に達したときの前記第1および第2の光強度に基づいて偏光状態特徴量を前記画素毎に算出し、算出した前記偏光状態特徴量が所定の閾値を超える前記画素の座標情報に基づいて前記路面の湿潤領域を検出することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−45232(P2013−45232A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181590(P2011−181590)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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