説明

車載システム

【課題】 ナビゲーション部及びコンテンツ出力部の音の出力に関する優先度を設定した複数の出力設定モードに基づいてナビゲーション部及びコンテンツ出力部を制御することにより、各場面に適したナビゲーション部及びコンテンツ出力部の音の出力状態を得ることが可能な車載システムを提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置2により出力される音声ガイダンス及びオーディオ装置3により出力される音楽の優先度を規定した出力設定モードを、複数の設定状態に対応付けて記憶した出力設定モード管理テーブル60に基づいて、ナビゲーション装置2の音声ガイダンスの出力及びオーディオ装置3の音楽の出力を制御するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導経路に係る音声ガイダンスを出力するナビゲーション部と所定のコンテンツに係る音を出力するコンテンツ出力部とを有する車載システムに関し、特に、ナビゲーション部及びコンテンツ出力部の音の出力に関する優先度を設定した複数の出力設定モードに基づいてナビゲーション部及びコンテンツ出力部を制御することにより、各場面に適したナビゲーション部及びコンテンツ出力部の音の出力状態を得ることが可能な車載システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、車室内の運転者や同乗者の気分を快適にするために、AM放送やFM放送を受信するラジオ受信機、テレビ放送を受信し画像を映し出すテレビ受像機、MDやCD等を再生するオーディオ装置等が搭載されている。
そして、最近では、前記オーディオプレーヤ等に加えて、車両の走行案内を行ない、ドライバーが所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示するとともに、操作者が設定した目的地までの推奨経路を探索して、液晶モニタに表示された地図上に重ねて表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、自車位置から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、ディスプレイ画面に誘導経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、ドライバーを所望の目的地まで確実に案内するようになっている。更に、走行経路上の渋滞情報などが、VICSにおける路上ビーコンやFM多重放送により取得でき、VICS情報を取得したことが音声により出力される。
【0003】
そして、上記ナビゲーション装置とオーディオ装置等の両方が搭載されている車両に関しては、両方が同時に動作状態となって、出力される音声及び音楽が重なる虞があった。このような状況下においても、出力される音声及び音楽を聞き取り易くするために、例えば特開2001−116581号公報には、車載オーディオ装置に高い優先度を付けた案内音声の制御信号が入力されたときには、音楽の再生を中断して案内音声を出力し、低い優先度を付けた制御信号が入力されたときには再生音楽の曲間に案内音声を出力することにより、ドライバーにとってそれ程重要でない案内音声に関しては再生音楽の曲間に出力することが可能となり、聴いている音楽を必要以上に中断することのないナビゲーション装置が記載されている。
【特許文献1】特開2001−116581号公報(第3頁〜第4頁、図4、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、再生音楽と案内音声が重なるような場合であっても、運転者や同乗者が音楽を聴き易くすることは可能であるが、実際の使用状況下においては自車や運転者の状況によって、ナビゲーションの案内内容の重要度に関わらず、音楽よりもナビゲーションの音声を絶対に優先したい場合、逆に音楽を絶対に優先したい場合等が発生する。しかしながら、前記従来のナビゲーション装置では、前記自車や運転者の状況については何ら考慮されること無く、案内内容の重要度のみに基づいて案内音声及び再生音楽の出力が制御されていたので、それらのユーザーの要望を十分に満たすことができなかった。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、自車や運転者の状況に応じて音声ガイダンス及びコンテンツに係る音の出力に関する優先度を複数の出力設定モードから選択することにより、各場面に適したナビゲーション部及びコンテンツ出力部の音の出力状態を得ることが可能となり、ユーザーの利便性を向上させた車載システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本願の請求項1に車載システムは、目的地までの間の経路を探索して誘導経路として設定する経路設定手段と、前記経路設定手段により設定された誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する音声ガイダンス出力手段と、を備えたナビゲーション部と、受信した情報又は記録された情報に基づいて所定のコンテンツに係る音を出力する音出力手段を備えたコンテンツ出力部と、を有する車載システムにおいて、前記誘導経路に係る音声ガイダンスの出力及び前記所定のコンテンツに係る音の出力に関する優先度を設定した複数の出力設定モードを記憶するモード記憶手段と、前記モード記憶手段に記憶された前記複数の出力設定モードのいずれかを選択するモード選択手段と、前記モード選択手段によって選択された出力設定モードに従って、前記音声ガイダンス出力手段及び前記音出力手段を制御する出力制御手段を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る車載システムは、請求項1に記載の車載システムにおいて、前記ナビゲーション部及び前記コンテンツ出力部の所定の状態を前記モード記憶手段に記憶された前記複数の出力設定モードのいずれかに対応付けられた設定状態として記憶する設定状態記憶手段と、前記ナビゲーション部及び前記コンテンツ出力部が前記設定状態記憶手段に記憶された設定状態となったことを検知する状態検知手段と、を有し、前記モード選択手段は、前記状態検知手段によって前記設定状態になったことが検知された場合に、前記モード記憶手段に記憶された前記複数の出力設定モードの内、状態検知手段により検知された設定状態に対応付けられた出力設定モードを選択することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る車載システムは、請求項2に記載の車載システムにおいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定変更手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る車載システムは、請求項2又は請求項3に記載の車載システムにおいて、ユーザーの操作内容を学習する学習手段と、前記学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定学習変更手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る車載システムは、請求項3又は請求項4に記載の車載システムにおいて、前記設定状態記憶手段は、一又は複数種類の前記設定状態が記憶され、前記状態設定変更手段及び前記状態設定学習変更手段は、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態の種類を増減させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る車載システムは、請求項3又は請求項4に記載の車載システムにおいて、前記設定状態記憶手段は、複数種類の前記設定状態が記憶されるとともに、前記状態検知手段によって前記設定状態が二種以上検知された場合に、前記モード選択手段がいずれの設定状態に対応付けられた前記出力設定モードを選択するかの優先順位を設定した優先順位情報が記憶され、前記状態設定変更手段及び前記状態設定学習変更手段は、前記優先順位情報に設定された優先順位を変更することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る車載システムは、請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の車載システムにおいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定変更手段を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る車載システムは、請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の車載システムにおいて、ユーザーの操作内容を学習する学習手段と、前記学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定学習変更手段を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る車載システムは、請求項2に記載の車載システムにおいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定変更手段に基づいて前記車載システムを制御するカスタム状態制御状態と、ユーザーの操作内容を学習する学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定学習変更手段に基づいて前記車載システムを制御する学習状態制御状態と、を切り換える切換手段を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る車載システムは、請求項2又は請求項9に記載の車載システムにおいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定変更手段に基づいて前記車載システムを制御するカスタムモード変更制御状態と、ユーザーの操作内容を学習する学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定学習変更手段に基づいて前記車載システムを制御する学習モード変更制御状態と、を切り換える切換手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記構成を有する請求項1に車載システムでは、誘導経路に係る音声ガイダンスの出力及び所定のコンテンツに係る音の出力に関する優先度を設定した複数の出力設定モードの内から選択された出力設定モードに従って、音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御するので、自車や運転者の状況に適したナビゲーション部及びコンテンツ出力部の音の出力状態を得ることが可能となる。従って、ユーザーは音声ガイダンスが必要となる状況下では音声ガイダンスを確実に聞き取ることが可能となるとともに、音声ガイダンスがそれほど必要とされない状況下ではコンテンツに係る音を快適に聞くことが可能となり、ユーザーの利便性を向上させる。
【0017】
また、請求項2に係る車載システムでは、ナビゲーション部及びコンテンツ出力部が設定状態記憶手段に記憶された設定状態となったことが検知された場合に、モード記憶手段に記憶された複数の出力設定モードの内、状態検知手段により検知された設定状態に対応付けられた出力設定モードに従って、音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御するので、自車や運転者の状況に適したナビゲーション部及びコンテンツ出力部の音の出力状態を、ユーザーの特別な操作を必要とすることなく得ることが可能となる。従って、ユーザーは音声ガイダンスが必要となる状況下では音声ガイダンスを確実に聞き取ることが可能となり、音声ガイダンスがそれほど必要とされない状況下ではコンテンツに係る音を快適に聞くことが可能となり、ユーザーの操作負担が軽減するとともに更に利便性を向上させる。
【0018】
また、請求項3に係る車載システムでは、設定状態記憶手段に記憶された設定状態を変更することが可能となるので、ユーザーの状況に合わせて変更した、より適した設定状態に基づいて音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御することが可能となる。
【0019】
また、請求項4に係る車載システムでは、ユーザーの操作内容を学習する学習手段に基づいて設定状態記憶手段に記憶された設定状態を変更するので、ユーザーの操作内容に合わせて自動的に変更された、より適した設定状態に基づいて音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御することが可能となる。
【0020】
また、請求項5に係る車載システムでは、設定状態記憶手段に記憶された設定状態の種類を増減させることが可能となるので、ユーザーの状況に合わせて変更した、より適した設定状態に基づいて音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御することが可能となる。
【0021】
また、請求項6に係る車載システムでは、優先順位情報に設定された優先順位を変更することが可能となるので、ユーザーの状況に合わせて変更した、より適した設定状態の優先順位に基づいて音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御することが可能となる。
【0022】
また、請求項7に係る車載システムでは、設定状態記憶手段に記憶された設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更することが可能となるので、ユーザーの状況に合わせて変更した、より適した設定状態と出力設定モードの対応関係に基づいて音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御することが可能となる。
【0023】
また、請求項8に係る車載システムでは、ユーザーの操作内容を学習する学習手段に基づいて設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するので、ユーザーの操作内容に合わせて自動的に変更された、より適した設定状態と出力設定モードの対応関係に基づいて音声ガイダンス出力手段及び音出力手段を制御することが可能となる。
【0024】
また、請求項9に係る車載システムでは、状態設定変更手段に基づいて車載システムを制御するカスタム状態制御状態と、状態設定学習変更手段に基づいて車載システムを制御する学習状態制御状態とを切り換える切換手段を有するので、ユーザーの意図に反して設定状態及び設定状態に対応付けられた出力設定モードが変更されてしまうことを防止することが可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【0025】
更に、請求項10に係る車載システムでは、モード設定変更手段に基づいて車載システムを制御するカスタムモード変更制御状態と、モード設定学習変更手段に基づいて車載システムを制御する学習モード変更制御状態とを切り換える切換手段を有するので、ユーザーの意図に反して設定状態及び設定状態に対応付けられた出力設定モードが変更されてしまうことを防止することが可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る車載システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る車載システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車載システム1を示したブロック図である。
【0027】
図1に示すように本実施形態に係る車載システム1は、音声ガイダンスによる誘導経路の案内機能を有するナビゲーション部であるナビゲーション装置2と、MD、CD及びラジオ放送等のコンテンツの再生を行うコンテンツ出力部であるオーディオ装置3とから基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2とオーディオ装置3とは電気的に接続され、後述のように現在の状況下に基づいて設定された出力設定モード(図3、図4参照)に従って、ナビゲーション装置2による音声ガイダンスの出力及びオーディオ装置3による音楽(ラジオ放送含む)の出力がそれぞれ制御される。
【0028】
先ず、前記車載システム1を構成するナビゲーション装置2について説明する。
図1に示すように、ナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、スピーカ18より出力する音声ガイダンスを合成する音声合成装置16と、情報センタのサーバ(図示せず)との通信を行う通信装置17とから構成されている。また、ナビゲーション制御部13には自車の走行速度を検出する車速センサ20が接続される。
【0029】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出部11は、現在地検出部としてのGPS21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、方位検出部としてのジャイロセンサ25、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0030】
具体的には、GPS21は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における車両の現在地を検出し、地磁気センサ22は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ23は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ23としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0031】
また、ステアリングセンサ24は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ24としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0032】
そして、ジャイロセンサ25は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ25としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ25によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0033】
尚、GPS21は単独で現在地を検出することも可能である。一方で、本実施形態に係るナビゲーション装置2のように、距離センサ23によって検出された距離と、地磁気センサ22によって検出された自車方位、又はジャイロセンサ25によって検出された旋回角とを組み合わせたり、距離センサ23によって検出された距離と、ステアリングセンサ24によって検出された舵角とを組み合わせたりすることにより現在地を検出することもできる。
【0034】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された所定のプログラム、地図データ等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込んだりするためのドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施形態においては、データ記録部12の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0035】
また、ナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びにCPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに後述の出力設定モード管理テーブル60(図3参照)及び経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、探索した誘導経路の案内、後述の出力設定モードの切換、出力設定モードに基づくオーディオ装置の出力制御等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、ROM33から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ34等の内部記憶装置を備えている。ここで、RAM32はモード記憶手段及び設定状態記憶手段に相当する。尚、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ34等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU31に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0036】
また、本実施形態においては、前記ROM33に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部12に各種のデータが記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリカード等に記録したり、メモリカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ34に書き込んだりすることもできる。更に、メモリカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。尚、車両に搭載された自動変速機(図示せず)の制御を行うために自動変速機制御装置が搭載されている場合には、自動変速機制御装置の制御用のプログラム、データ等も前記ハードディスクに記録することができる。
【0037】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、音声合成装置16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0038】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。また、特に本実施形態に係るナビゲーション装置2には、後述する出力設定モードを管理する出力設定モード管理テーブル60(図3参照)を更新するモードを、ユーザーの操作に基づいて更新するカスタムモードと、ユーザーの操作内容を学習するとともに学習結果に基づいて自動的に更新する学習モードとで切り換えるモード切換スイッチ19が設けられている。そして、ナビゲーション制御部は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。尚、カスタムモードと学習モードに関しては後に詳細に説明する。
【0039】
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0040】
また、音声合成装置16は、車内の所定位置に設けられたスピーカ18が接続されており、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて誘導経路に沿った走行を案内する案内情報や通信装置17により受信した渋滞情報等の音声ガイダンスを合成し、スピーカ18より出力される。ここで、合成される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先の交差点を右折してください。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、音声合成装置によって合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を音声出力することもできる。
【0041】
そして、通信装置17は、交通情報送信センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタから送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、前記交通情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0042】
また、通信装置38は、前記したGPS21の検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信することもできる。なお、電波ビーコン、光ビーコン等に基づいて位置情報を受信し、現在地を検出することもでき、その場合、前記ビーコンレシーバは、現在地検出部として機能する。
【0043】
次に、前記車載システム1を構成するオーディオ装置3について説明する。図2は本実施形態に係る車載システム1の特にオーディオ装置3の構成について示したブロック図である。
【0044】
図2に示すように、オーディオ装置3は、オーディオ装置全体の制御を行うオーディオ制御部51と、オーディオソースの選択操作、ラジオの周波数の調整及び音量の調整等を行う操作部52と、ラジオ放送を受信するラジオチューナ53と、挿入されたMDに記録された音楽情報を読み取るMDユニット54と、同じく挿入されたCDに記録された音楽情報を読み取るCDユニット55と、入力された音信号を増幅してスピーカ57に出力する増幅器であるアンプ56と、車内の所定位置に設置されたスピーカ57とから構成されている。
【0045】
また、オーディオ制御部51は、オーディオ装置3の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU61、並びにCPU61が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM62、放送局の周波数、後述するようにナビゲーション制御部13からの指令に基づいて音の出力制御等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM63等の内部記憶装置を備えている。
【0046】
次に、RAM32に記憶される出力設定モード管理テーブル60の一例について図3を用いて説明する。図3は本実施形態に係る出力設定モード管理テーブル60の一例を示した図である。
ここで、出力設定モード管理テーブル60は、前記したナビゲーション装置2によって誘導経路の案内時に所定のタイミング(例えば、交差点に150mまで接近した時)で出力指示される音声ガイダンス、及びオーディオ装置3によって再生される音楽(ラジオ放送含む)の出力に関する優先度を規定したテーブルである。
【0047】
図3に示すように、出力設定モード管理テーブル60には、出力設定モードとして「ナビを絶対に優先するモード」と、「ナビを優先するモード」と、「音楽を優先するモード」と、「音楽を絶対に優先するモード」の4つのモードが設定されている。
【0048】
ここで、各出力設定モードについて図4を用いて説明する。図4は各出力設定モードにおけるナビゲーション装置2及びオーディオ装置3の制御内容を示した説明図である。
「ナビを絶対に優先するモード」は、音声ガイダンスが出力される間、オーディオ装置3による音楽(ラジオ放送含む)の出力を完全に停止するようにオーディオ制御部51を制御する。
また、「ナビを優先するモード」は、音声ガイダンスが出力される間、オーディオ装置3によってスピーカ57から出力される音楽(ラジオ放送含む)の音量を現在の設定音量の半分(例えば、20dBで出力する設定となっている場合には半分の10dB)にして出力するようにオーディオ制御部51を制御する。
また、「音楽を優先するモード」は、ナビゲーション装置2による音声ガイダンスをオーディオ装置3により出力される音楽の曲間で出力するようにナビゲーション制御部13及びオーディオ制御部51を制御する。
更に、「音楽を絶対に優先するモード」は、ナビゲーション装置2による音声ガイダンスの出力を行わないようにナビゲーション制御部13を制御する。
【0049】
そして、図3に示すように出力設定モード管理テーブル60では、ナビゲーション装置2とオーディオ装置3の所定の状態を設定状態として複数種類(本実施形態では10種類)設定され、それぞれの設定状態に対して上記4つの出力設定モードの内、いずれか一の出力設定モードが対応付けられている。
例えば、「目的地周辺(遠距離)」の設定状態、具体的には1km以上離れた遠距離の目的地が設定されている場合に、現在の自車の位置が設定した目的地の周辺(例えば、200m以内)に位置した設定状態には、「ナビを絶対に優先するモード」が対応付けられている。
また、「好きなアーティストの生放送中」の設定状態、具体的にはラジオ放送を再生中の場合に、予め登録しておいた好きなアーティストの音楽が再生中のラジオ放送で生放送中である設定状態には、「音楽を絶対に優先するモード」が対応付けられている。
また、「高速道路出口付近」の設定状態、具体的には自車が高速道路を走行中の場合に、現在の自車の位置が高速道路の出口付近(例えば、200m以内)に位置した設定状態には、「ナビを絶対に優先するモード」が対応付けられている。
また、「目的地周辺(遠距離)」の設定状態、具体的には1km未満の近距離の目的地が設定されている場合に、現在の自車の位置が設定した目的地の周辺(例えば、200m以内)に位置した設定状態には、「ナビを優先するモード」が対応付けられている。
また、「お気に入りの曲」の設定状態、具体的にはMD、CD、又はラジオ放送を再生中の場合で、予め登録しておいたお気に入りの曲が再生された設定状態には、「音楽を優先するモード」が対応付けられている。
また、「細街路進入」の設定状態、具体的には自車が道路幅5.5m以内の道路である細街路に位置した設定状態には、「ナビを優先するモード」が対応付けられている。
また、「曲のサビを再生中」の設定状態、具体的にはMD又はCDを再生中の場合で、特に曲のサビの部分が再生された設定状態には、「音楽を優先するモード」が対応付けられている。
また、「案内中」の設定状態、具体的にはナビゲーション装置2に対して目的地を設定し、探索された誘導経路に沿った案内を行う所謂ナビゲーション機能を使用した設定状態には、「ナビを優先するモード」が対応付けられている。
また、「通勤中」の設定状態、具体的には自車が予め登録された通勤経路に位置した設定状態には、「音楽を優先するモード」が対応付けられている。
また、「通常(非案内時)」の設定状態、具体的にはナビゲーション装置2に対して目的地を特に設定せず、誘導経路の案内を行っていない通常の状態である設定状態には、「ナビを優先するモード」が対応付けられている。
【0050】
更に、上記各設定状態には優先順位情報が設定されている。この優先順位情報は、「1」〜「10」のいずれかの優先順位から構成され、2以上の設定状態を同時に満たした場合に、いずれの設定状態に対応付けられた出力設定モードを選択するかを決定する際に使用される。具体的には、番号が最も若い優先順位が設定された設定状態に対応付けられた出力設定モードが選択され、選択された出力設定モードに従ってナビゲーション装置2及びオーディオ装置3を制御する。
【0051】
そして、出力設定モード管理テーブル60は操作部14のモード切換スイッチ19によってカスタムモードに設定されている場合には、後述のようにユーザーの操作によって設定を変更することが可能であり、設定状態の増減、優先順位情報の順位変更、設定状態に対応付けられた出力設定モードの変更が可能となる(図11参照)。また、モード切換スイッチ19によって学習モードに設定されている場合には、ユーザーの操作内容と操作時のナビゲーション装置2及びオーディオ装置3の状態とに基づいて出力設定モード管理テーブル60の更新を行うか否かを判定し、設定状態の増減、優先順位情報の順位変更、設定状態に対応付けられた出力設定モードの変更を自動的に行う(図9、10参照)。
【0052】
続いて、前記ナビゲーション装置2のナビゲーション制御部13及び前記オーディオ装置3のオーディオ制御部51によって構成される各機能部について図5を用いて説明する。図5は本実施形態に係る車載システム1が有する機能部について示した概略ブロック図である。
【0053】
図5に示すように、本実施形態に係る車載システム1は、ナビゲーション装置2の基本的な動作を制御するナビ機能部71と、オーディオ装置3の基本的な動作を制御するオーディオ機能部72と、ナビ機能部71とオーディオ機能部72を現在の出力設定モードに基づいて統合して制御するナビ・オーディオ統合制御機能部73とから基本的に構成されている。
【0054】
そして、ナビ機能部71は、更に経路案内機能部81と、モード変更要求機能部82と、カスタム設定機能部83と、モード学習機能部84とから構成されている。
経路案内機能部81は、ナビゲーション装置2における経路の探索、誘導経路の設定、地図の表示及び音声ガイダンスによる誘導経路の案内等の通常のナビゲーション機能に関する制御を行う機能部であり、経路設定手段及び音声ガイダンス出力手段に相当する。
【0055】
モード変更要求機能部82は、RAM32に記憶された前記出力設定モード管理テーブル60(図3)に基づいて、ナビゲーション装置2がいずれかの設定状態となったか否かを検出し、設定状態となったことを検出した際にナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して、出力設定モードの変更の要求を行う(図7のS25〜S26)機能部である。尚、このモード変更要求機能部82は状態検知手段に相当する。
【0056】
また、カスタム設定機能部83は、操作部14のモード切換スイッチ19によってカスタムモードに設定されている場合に、操作部14を用いたユーザーの操作に基づいてナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して出力設定モード管理テーブルを更新するようにテーブル変更要求を行う(図11のS101〜S102)機能部である。
【0057】
更に、モード学習機能部84は、ユーザーがナビゲーション装置2の操作部14及びオーディオ装置3の操作部52を用いて行った操作内容と、その際のナビゲーション装置2の状態に基づいて自車及びユーザーの状況下に応じた適当な出力設定モードを随時学習し、ナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して出力設定モード管理テーブルを更新するようにモード学習要求を行う(図9のS61〜S62)機能部である。尚、このモード学習機能部84は学習手段に相当する。
【0058】
また、オーディオ機能部72は、音出力機能部85と、モード変更要求機能部86と、モード学習機能部88とから構成されている。
音出力機能部85は、オーディオ装置3におけるセットされたMDの再生、セットされたCDの再生、及び受信したラジオ放送の再生等の通常のオーディオ機能に関する制御を行う機能部であり、音出力手段に相当する。
【0059】
モード変更要求機能部86は、オーディオ装置3が予め設定された所定の設定状態となったか否かを検出し、設定状態となったことを検出した際にナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して、出力設定モードの変更の要求を行う(図8のS41〜S42)機能部である。尚、このモード変更要求機能部86は状態検知手段に相当する。
【0060】
また、モード学習機能部87は、ユーザーがナビゲーション装置2の操作部14及びオーディオ装置3の操作部52を用いて行った操作内容と、その際のオーディオ装置3の状態に基づいて自車及びユーザーの状況下に応じた適当な出力設定モードを随時学習し、ナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して出力設定モード管理テーブルを更新するようにモード学習要求を行う(図10のS81〜S82)機能部である。尚、このモード学習機能部87は学習手段に相当する。
【0061】
また、ナビ・オーディオ統合制御機能部73は、出力管理機能部91と、モード変更判断機能部92と、テーブル更新機能部93とから構成されている。
出力管理機能部91は、現在セットされている出力設定モードに基づいて、「ナビを絶対に優先するモード」、「ナビを優先するモード」、「音楽を優先するモード」、「音楽を絶対に優先するモード」の4つの出力設定モードから1の出力設定モードを選択し、ナビゲーション装置2に係る音声ガイダンスの出力及びオーディオ装置3に係る音楽の出力の制御を行う(図6のS1〜S21)機能部であり、モード選択手段及び出力制御手段に相当する。
【0062】
また、モード変更判断機能部92は、前記ナビ機能部71又は前記オーディオ機能部72から出力設定モードの変更を要求する信号が入力された場合に、出力設定モードの変更を行うか否かを判定し、変更を行うと判定した場合には出力設定モードの変更を行う(図7のS31〜S33、図8のS51〜S53)機能部である。
【0063】
更に、テーブル更新機能部93は、前記ナビ機能部71又は前記オーディオ機能部72からモード学習要求やテーブル変更要求等の出力設定モード管理テーブル60の更新を要求する信号が入力された場合に、出力設定モード管理テーブル60の更新を行うか否かを判定し、更新を行うと判定した場合には出力設定モード管理テーブル60の更新を行う(図9のS71〜S73、図10のS91〜S93、図11のS111〜S112)機能部である。
【0064】
続いて、前記構成を有する車載システム1の各機能部が実行する処理プログラムについて図6乃至図11に基づき説明する。
先ず、図6に基づいてナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行する出力管理処理プログラムについて説明する。図6は本実施形態に係る車載システム1のナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行する出力管理処理プログラムのフローチャートである。
【0065】
出力管理処理では、先ずステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU31のナビ・オーディオ統合制御機能部73はナビ機能部71から音声ガイダンスを開始する旨を報知する報知指示を受信したか否かを判定する。そして、報知指示が受信されない場合(S1:NO)には当該出力管理処理を終了する。
【0066】
一方、報知指示が受信された場合(S1:YES)には、S2において現在設定されている出力設定モードをRAM32より読み出す。ここで、出力設定モードは前記したように「ナビを絶対に優先するモード」と、「ナビを優先するモード」と、「音楽を優先するモード」と、「音楽を絶対に優先するモード」の4つのモードがあり(図3、図4参照)、後述のモード変更要求処理(図7、図8参照)によって変更される。
【0067】
そして、S3では、先ず前記S2で読み出した出力設定モードが「ナビを絶対に優先するモード」であるか否かが判定される。そして、「ナビを絶対に優先するモード」であると判定された場合(S3:YES)にはS4へと移行する。
【0068】
S4ではオーディオ機能部72に対して、音楽(ラジオ放送含む)を再生中である場合に音楽再生を一時停止する旨の指示を送信する。その後、S5において音声ガイダンスの出力を行うようにナビ機能部71に対して指示する。
続いて、S6においてはナビ機能部71から音声ガイダンスを終了する旨を報知する報知指示を受信したか否かを判定し、報知指示が受信されない場合(S6:NO)には当該指示を受信するまで待機される。
【0069】
それに対して、報知指示を受信したと判定された場合(S6:YES)には、オーディオ機能部72に対して、前記S4で停止した音楽(ラジオ放送含む)の再生を再開する旨の指示を送信する(S7)。その後、当該出力管理処理を終了する。
【0070】
一方、前記S3の判定処理において「ナビを絶対に優先するモード」でないと判定された場合(S3:NO)には、更にS8において出力設定モードが「ナビを優先するモード」であるか否かが判定される。そして、「ナビを優先するモード」であると判定された場合(S8:YES)にはS9へと移行する。
【0071】
S9ではオーディオ機能部72に対して、音楽(ラジオ放送含む)を現在オーディオ装置3で設定されている再生音量を半分の大きさに減衰する旨の指示を送信する。その後、S10において音声ガイダンスの出力を行うようにナビ機能部71に対して指示する。
続いて、S11においてはナビ機能部71から音声ガイダンスを終了する旨を報知する報知指示を受信したか否かを判定し、報知指示が受信されない場合(S11:NO)には当該指示を受信するまで待機される。
【0072】
それに対して、報知指示を受信したと判定された場合(S11:YES)には、オーディオ機能部72に対して、前記S8で減衰した再生音量を減衰前の元の音量に復帰する旨の指示を送信する(S12)。その後、当該出力管理処理を終了する。
【0073】
一方、前記S8の判定処理において「ナビを優先するモード」でないと判定された場合(S8:NO)には、更にS13において出力設定モードが「音楽を優先するモード」であるか否かが判定される。そして、「音楽を優先するモード」であると判定された場合(S13:YES)にはS14へと移行する。
【0074】
S14では、現在オーディオ装置3により音楽(ラジオ放送含む)が再生されているか否かを判定する。そして、音楽が再生されていないと判定された場合(S14:NO)には当該出力管理処理を終了する。
【0075】
それに対して、音楽が再生されていると判定された場合(S14:YES)には、ナビ機能部71に対して音声ガイダンスの出力を一時待機するように指示する(S15)。その後、S16で現在オーディオ装置3により音楽の曲間に該当する部分を再生しているか否かが判定される。そして、音楽の曲間部分を再生していないと判定された場合(S16:NO)には曲間部分の再生が行われるまで待機される。
【0076】
一方、音楽の曲間部分を再生していると判定された場合(S16:YES)には、S17でオーディオ機能部72に対して、音楽再生を一時停止する旨の指示を送信する。
その後、S18においては前記S15で待機させた音声ガイダンスの出力を行うようにナビ機能部71に対して指示する。
【0077】
更に、S19ではナビ機能部71から音声ガイダンスを終了する旨を報知する報知指示を受信したか否かを判定し、報知指示が受信されない場合(S19:NO)には当該指示を受信するまで待機される。
【0078】
それに対して、報知指示を受信したと判定された場合(S19:YES)には、オーディオ機能部72に対して、前記S17で停止した音楽(ラジオ放送含む)の再生を再開する旨の指示を送信する(S20)。その後、当該出力管理処理を終了する。
【0079】
一方、前記S13の判定処理において「音楽を優先するモード」でもないと判定された場合、即ち出力設定モードが「音楽を絶対に優先するモード」であると判定された場合(S13:NO)にはS21でナビ機能部71に対して音声ガイダンスの出力を行わない旨の指示を送信する。その後、当該出力管理処理を終了する。
【0080】
以上より、現在の出力設定モードが「ナビを絶対に優先するモード」である場合には、オーディオ装置3による音楽(ラジオ放送含む)の出力を音声ガイダンスの出力中は停止するようにオーディオ制御部51を制御することにより、スピーカ18から出力される音声ガイダンスが、スピーカ57から出力される音楽と重なる虞が無く、運転者は音声ガイダンスを確実に聞き取ることがことが可能となる。
また、現在の出力設定モードが「ナビを優先するモード」である場合には、スピーカ57から出力される音楽(ラジオ放送含む)の音量を音声ガイダンスの出力中は設定音量の半分(例えば、20dBで出力する設定となっている場合には半分の10dB)にして出力するようにオーディオ制御部51を制御することにより、スピーカ18から出力される音声ガイダンスとスピーカ57から出力される音楽が重なった場合であっても、運転者は音声ガイダンスを明確に聞き分けることが可能となる。
また、現在の出力設定モードが「音楽を優先するモード」である場合には、音声ガイダンスを音楽の曲間で出力されるように制御することにより、スピーカ18から出力される音声ガイダンスがスピーカ57から出力される音楽と曲の途中で重なることがなく、音楽を快適に聞くことが可能となる。
更に、現在の出力設定モードが「音楽を絶対に優先するモード」である場合には、音声ガイダンスを出力しないようにナビゲーション制御部13を制御することにより、スピーカ57から出力される音楽が、スピーカ18から出力される音声ガイダンスと重なる虞がなく、音楽を快適に聞くことが可能となる。
【0081】
次に、図7に基づいてナビ機能部71が実行するナビ側モード変更要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するモード変更判断処理プログラムについて説明する。図7は本実施形態に係る車載システム1のナビ機能部71が実行するナビ側モード変更要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するモード変更判断処理プログラムのフローチャートである。
【0082】
図7に示すように、先ずS25において、CPU31のナビ機能部71は、ナビゲーション装置2がRAM32に記憶された出力設定モード管理テーブル60(図3参照)に設定された設定状態の内、少なくとも一つを満たす状態となったか否かを判定する。例えば、図3に示す設定内容の出力設定モード管理テーブル60が記憶されている場合には、目的地を設定した状態で、現在の自車の位置が設定した目的地の周辺(例えば、200m以内)に位置した状態や、自車が高速道路を走行中で、現在の自車の位置が高速道路の出口付近(例えば、200m以内)に位置した状態等となった時に設定状態を満たす状態となったと判定される。
【0083】
ここで、少なくとも一の設定状態を満たす状態となったと判定された場合(S25:YES)には、S26においてナビ機能部71は、ナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して現在設定されている出力設定モードの変更を要求する指令を、新たに満たした設定状態の情報とともに送信する。一方、設定状態を満たす状態となっていないと判定された場合(S25:NO)には、当該ナビ側モード変更要求処理を終了する。
【0084】
そして、CPU31のナビ・オーディオ統合制御機能部73は、ナビ機能部71から送信されたモード変更要求指令を受信し(S31)、出力設定モードの変更を行うか否かの判定処理を行う(S32)。その結果、出力設定モードの変更を行うと判定された場合(S32:YES)には、S33で出力設定モードの変更を行い、出力設定モードの変更を行わないと判定された場合(S32:NO)には、出力設定モードを変更することなく終了する。
前記S32の判定処理では具体的に、前記S31で受信した変更要求においてナビゲーション装置2が新たに満たした設定状態の優先順位が、既に満たしている設定状態の優先順位より高い場合には、新たな設定状態に対応する出力設定モードに変更し、優先順位が低い場合、又は現在設定されている出力設定モードと同一の出力設定モードが対応付けられている場合には現在の出力設定モードを維持する。
【0085】
例えば、既に自車が細街路に位置する状態(優先順位6)であって、出力設定モードが「ナビを優先するモード」に設定されている場合に、新たに自車が設定された遠距離の目的地周辺に位置する状態(優先順位1)となって、ナビ機能部71からモード変更要求を受信した場合には、出力設定モードを「ナビを優先するモード」から「ナビを絶対に優先するモード」へと変更する(図3参照)。一方、新たに自車が通勤経路に位置する状態(優先順位9)となって、ナビ機能部71からモード変更要求を受信した場合には、出力設定モードは「ナビを優先するモード」のままで維持される(図3参照)。
【0086】
以上より、予め設定された設定状態にナビゲーション装置2がなったと検知された場合に、検知された設定状態に対応付けられた出力設定モードへと現在の出力設定モードを変更するので、自車及び運転者の状況下に基づいて選択された最適な出力設定モードに基づいて音声ガイダンス及び音楽の出力を制御することが可能となる。
尚、出力設定モードの変更は操作部14を用いたユーザーの操作に基づいて、任意に変更可能となるように構成しても良い。
【0087】
次に、図8に基づいてオーディオ機能部72が実行するオーディオ側モード変更要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するモード変更判断処理プログラムについて説明する。図8は本実施形態に係る車載システム1のナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するオーディオ側モード変更要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するモード変更判断処理プログラムのフローチャートである。
【0088】
図8に示すように、先ずS41において、CPU61のオーディオ機能部72は、オーディオ装置3がRAM32に記憶された出力設定モード管理テーブル60(図3参照)に設定された設定状態の内、少なくとも一つを満たす状態となったか否かを判定する。例えば、図3に示す設定内容の出力設定モード管理テーブル60が記憶されている場合には、予め登録しておいた好きなアーティストの音楽が再生中のラジオ放送で生放送中である状態や、MD、CD、又はラジオ放送の再生中で、予め登録しておいたお気に入りの曲が再生された状態等となった時に設定状態を満たす状態となったと判定される。
【0089】
ここで、少なくとも一の設定状態を満たす状態となったと判定された場合(S41:YES)には、S42においてオーディオ機能部72は、ナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して現在設定されている出力設定モードの変更を要求する指令を、新たに満たした設定状態の情報とともに送信する。一方、設定状態を満たす状態となっていないと判定された場合(S41:NO)には、当該オーディオ側モード変更要求処理を終了する。
【0090】
そして、CPU31のナビ・オーディオ統合制御機能部73は、オーディオ機能部72から送信されたモード変更要求指令を受信し(S51)、出力設定モードの変更を行うか否かの判定処理を行う(S52)。その結果、出力設定モードの変更を行うと判定された場合(S52:YES)には、S53で出力設定モードの変更を行い、出力設定モードの変更を行わないと判定された場合(S52:NO)には、出力設定モードを変更することなく終了する。
前記S52の判定処理では具体的に、前記S51で受信した変更要求においてオーディオ装置3が新たに満たした設定状態の優先順位が、既に満たしている設定状態の優先順位より高い場合には、新たな設定状態に対応する出力設定モードに変更し、優先順位が低い場合、又は現在設定されている出力設定モードと同一の出力設定モードが対応付けられている場合には現在の出力設定モードを維持する。
【0091】
例えば、既に自車が細街路に位置する状態(優先順位6)であって、出力設定モードが「ナビを優先するモード」に設定されている場合に、新たに予め登録しておいたお気に入りの曲がMDから再生された状態(優先順位5)となって、オーディオ機能部72からモード変更要求を受信した場合には、出力設定モードを「ナビを優先するモード」から「音楽を優先するモード」へと変更する(図3参照)。一方、新たにCD再生中に曲のサビの部分を再生する状態(優先順位7)となって、オーディオ機能部72からモード変更要求を受信した場合には、出力設定モードは「ナビを優先するモード」のままで維持される(図3参照)。
【0092】
以上より、予め設定された設定状態にオーディオ装置3がなったと検知された場合に、検知された設定状態に対応付けられた出力設定モードへと現在の出力設定モードを変更するので、自車及び運転者の状況下に基づいて選択された最適な出力設定モードに基づいて音声ガイダンス及び音楽の出力を制御することが可能となる。
【0093】
次に、図9に基づいてナビ機能部71が実行するナビ側モード学習要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するテーブル更新処理プログラムについて説明する。図9は本実施形態に係る車載システム1のナビ機能部71が実行するナビ側モード学習要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するテーブル更新処理プログラムのフローチャートである。
【0094】
図9に示すように、先ずS61において、CPU31のナビ機能部71は、ナビゲーション装置2が所定の状態にあるときにユーザーによって所定の操作がなされたことを検知したか否かが判定される。具体的に、本実施形態に係る車載システム1では自車が細街路に位置する状態で、音声ガイダンスがスピーカ18から出力した後にオーディオ装置3の操作部52の巻き戻しボタン(MDやCDの再生を1track分巻き戻すボタン(図示せず))が押下されたときに、検知したと判定される。
【0095】
ここで、検知したと判定された場合(S61:YES)には、S62においてナビ機能部71は、ナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して細街路に位置する状態に対応付けられた出力設定モードを、現在のモードから、より音楽を優先する側のモード(「ナビを絶対に優先するモード」→「ナビを優先するモード」→「音楽を優先するモード」→「音楽を絶対に優先するモード」の順に音楽を優先するモードとなっている)へと変更するように要求するモード学習要求を送信する。一方、検知していないと判定された場合(S61:NO)には、当該ナビ側モード学習要求処理プログラムを終了する。
【0096】
そして、CPU31のナビ・オーディオ統合制御機能部73は、ナビ機能部71から送信されたモード学習要求を受信し(S71)、更に受信したモード学習要求に従って出力設定モード管理テーブル60の更新を行うか否かの判定処理を行う(S72)。具体的には、前記モード学習要求が所定期間(例えば1日)内に所定回数(例えば3回)受信したか否か、及び既に細街路に位置する状態に対応付けられた出力設定モードが最も音楽を優先するモードである「音楽を絶対に優先するモード」でないか否かを判定し、所定回数受信したと判定され、且つ出力設定モードが「音楽を絶対に優先するモード」以外のモードに対応付けられていると判定された場合(S72:YES)には、S73で出力設定モード管理テーブル60の更新を行う。一方、出力設定モード管理テーブル60を更新しないと判定された場合(S72:NO)には、当該テーブル更新処理を終了する。尚、このS71〜S73が状態設定学習変更手段及びモード設定学習変更手段の処理に相当する。
【0097】
ここで、図12において、前記S73によって更新された出力設定モード管理テーブル60の一例を示す。図12に示すように、更新前の出力設定モード管理テーブル60において“細街路進入”に対応付けられた出力設定モードが「ナビを優先するモード」であった場合には、より音楽を優先するモードである「音楽を優先するモード」へと対応付けを変更する。それによって、以降に自車が細街路に位置する状態ではスピーカ18から出力される音声ガイダンスは音楽の曲間のみで出力される(図6のS14〜S20)ので、ユーザーはオーディオ装置3の操作部52の巻き戻しボタンを押下することによって音楽を巻き戻して再生を繰り返す必要が無くなる。
【0098】
尚、本実施形態に係る車載システム1では、細街路に位置する状態に対応付けられた出力設定モードを、現在のモードから、より音楽を優先する側のモードへと変更することにより、ユーザーの操作内容を反映した出力設定モード管理テーブル60に更新することとしているが、細街路に位置する状態を他の設定状態より低い優先順位にすることや、細街路に位置する状態を設定状態から削除することによってユーザーの操作内容を反映した出力設定モード管理テーブル60に更新することとしても良い。
【0099】
ここで、図13及び図14は他の実施形態に係る車載システム1において、ナビ・オーディオ統合制御機能部73による出力設定モード管理テーブル60の更新処理によって更新された出力設定モード管理テーブル60の一例を示した図である。
【0100】
先ず、設定状態の優先順位を変更することによる出力設定モード管理テーブル60の更新について説明すると、前記S73の処理によってナビ・オーディオ統合制御機能部73は、図13に示すように更新前の出力設定モード管理テーブル60において“細街路進入”の設定状態の優先順位が「6」であった場合には、優先順位を一つ下げた「7」へと変更する。そして、優先順位が「7」であった“曲のサビを再生中”の設定状態の優先順位を「6」に変更する。
それによって、以降に自車が細街路に位置する状態であっても曲のサビ部分を再生している間は、スピーカ18から出力される音声ガイダンスは音楽の曲間のみで出力される(図6のS14〜S20)ので、ユーザーはオーディオ装置3の操作部52の巻き戻しボタンを押下することによって音楽を巻き戻して再生を繰り返す機会が減少する。
【0101】
また、設定状態を削除することによる出力設定モード管理テーブル60の更新について説明すると、前記S73の処理によってナビ・オーディオ統合制御機能部73は、図14に示すように更新前の出力設定モード管理テーブル60において設定されていた“細街路進入”の設定状態を削除する。そして、優先順位が「7」以降の設定状態の優先順位を一ずつ上げる。
それによって、以降に自車が細街路に位置する状態となったとしても「ナビを優先するモード」に現在の出力設定モードが変更されることがない。従って、少なくとも曲のサビ部分を再生している間は、スピーカ18から出力される音声ガイダンスは音楽の曲間のみで出力される(図6のS14〜S20)ので、ユーザーはオーディオ装置3の操作部52の巻き戻しボタンを押下することによって音楽を巻き戻して再生を繰り返す機会が減少する。
【0102】
次に、図10に基づいてオーディオ機能部72が実行するオーディオ側モード学習要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するテーブル更新処理プログラムについて説明する。図10は本実施形態に係る車載システム1のオーディオ機能部72が実行するオーディオ側モード学習要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するテーブル更新処理プログラムのフローチャートである。
【0103】
図10に示すように、先ずS81において、CPU31のナビ機能部71は、ナビゲーション装置2が所定の状態にあるときにユーザーによって所定の操作がなされたことを検知したか否かが判定される。具体的に、本実施形態に係る車載システム1では自車が曲のサビ部分を再生中に音声案内ボタン(音声ガイダンスによる誘導経路の案内を開始するボタン(図示せず))が押下されたときに、検知したと判定される。
【0104】
ここで、検知したと判定された場合(S81:YES)には、S82においてナビ機能部71は、ナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して曲のサビ部分を再生する状態に対応付けられた出力設定モードを、現在のモードから、よりナビを優先する側のモード(「音楽を絶対に優先するモード」→「音楽を優先するモード」→「ナビを優先するモード」→「ナビを絶対に優先するモード」の順にナビを優先するモードとなっている)へと変更するように要求するモード学習要求を送信する。一方、検知していないと判定された場合(S81:NO)には、当該オーディオ側モード学習要求処理プログラムを終了する。
【0105】
そして、CPU31のナビ・オーディオ統合制御機能部73は、オーディオ機能部72から送信されたモード学習要求を受信し(S91)、更に受信したモード学習要求に従って出力設定モード管理テーブル60の更新を行うか否かの判定処理を行う(S92)。具体的には、前記モード学習要求が所定期間(例えば1日)内に所定回数(例えば3回)受信したか否か、及び既に曲のサビ部分を再生中の状態に対応付けられた出力設定モードが最もナビを優先するモードである「ナビを絶対に優先するモード」でないか否かを判定し、所定回数受信したと判定され、且つ出力設定モードが「ナビを絶対に優先するモード」以外のモードに対応付けられていると判定された場合(S92:YES)には、S93で出力設定モード管理テーブル60の更新を行う。一方、出力設定モード管理テーブル60を更新しないと判定された場合(S92:NO)には、当該テーブル更新処理を終了する。このS91〜S93が状態設定学習変更手段及びモード設定学習変更手段の処理に相当する。
【0106】
尚、S93で行われるテーブル更新処理では、“曲のサビを再生中”の設定状態に対応付けられた出力設定モードをナビを優先する側のモードへと変更する。ここで、出力設定モード管理テーブル60の更新の詳細は前記S73において図12を用いて詳細に説明したので、その説明は省略する。
以上より、以降にオーディオ装置3によりMD又はCDの再生中で、特に曲のサビの部分が再生された状態でナビゲーション装置2により音声ガイダンスが出力される場合には、音声ガイダンスが出力される間の音楽の再生音量を半分に減衰させて重ねて出力させる(図6のS9〜S12)ので、ユーザーはナビゲーション装置2の音声案内ボタンを押下することなく必要なタイミングで音声ガイダンスを出力させることができる。
【0107】
また、本実施形態に係る車載システム1では、曲のサビ部分を出力する状態に対応付けられた出力設定モードを、現在のモードから、よりナビを優先する側のモードへと変更することにより、ユーザーの操作内容を反映した出力設定モード管理テーブル60に更新することとしているが、曲のサビ部分を出力する状態を他の設定状態より低い優先順位にすることや、曲のサビ部分を出力する状態を設定状態から削除することによってユーザーの操作内容を反映した出力設定モード管理テーブル60に更新することとしても良い。
【0108】
次に、図11に基づいてナビ機能部71が実行するカスタム要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するテーブルカスタム更新処理プログラムについて説明する。図11は本実施形態に係る車載システム1のナビ機能部71が実行するカスタム要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部73が実行するテーブルカスタム更新処理プログラムのフローチャートである。
【0109】
図11に示すように、先ずS101において、CPU31のナビ機能部71は、ナビゲーション装置2の操作部14によって、出力設定モード管理テーブル60の設定を手動で変更するための所定の操作がなされたことを検知したか否かが判定される。
【0110】
ここで、所定の操作を検知したと判定された場合(S101:YES)には、S102においてナビ機能部71は、ナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して出力設定モード管理テーブル60を変更する要求であるテーブル変更要求を送信する。ここで、テーブル変更要求において要求される出力設定モード管理テーブル60の変更内容は、操作部14の操作内容に基づいて決定され、指定された設定状態に対応付けられた出力設定モードを他の出力設定モードに変更すること、指定された設定状態の優先順位を変更すること、指定された設定状態を削除することが可能となっている。
一方、検知していないと判定された場合(S101:NO)には、当該カスタム要求処理プログラムを終了する。
【0111】
そして、CPU31のナビ・オーディオ統合制御機能部73は、ナビ機能部71から送信されたテーブル変更要求を受信し(S111)、S112で出力設定モード管理テーブル60の更新を行う。尚、このS111〜S112が状態設定変更手段、モード設定変更手段の処理に相当する。
【0112】
ここで、S112の出力設定モード管理テーブル60の更新では、出力設定モードの変更が要求された場合には、指定された設定状態に対応付けられた出力設定モードを指定された他の出力設定モードに変更する(図12参照)。
また、設定状態の優先順位の変更が要求された場合には、指定された設定状態の優先順位を指定された順位に変更する(図13参照)。
そして、設定状態の削除が要求された場合には、指定された設定状態を削除する(図14参照)。
【0113】
それによって、ユーザーは出力設定モード管理テーブル60を自ら希望する設定に変更することが可能となり、ユーザーの各個人に合わせた出力設定モードの変更が可能となる。
また、前記したように本実施形態に係る車載システム1では、図9及び図10で示したモード学習要求処理プログラム及びテーブル更新処理プログラムを実行して自動的に出力設定モード管理テーブル60の変更を行う学習モードと、モード学習要求処理プログラム及びテーブル更新処理プログラムは実行せず、図11に示したカスタム要求処理プログラム及びテーブルカスタム更新処理プログラムを実行して手動で出力設定モード管理テーブル60の変更を行うカスタムモードとがあり、操作部14のモード切換スイッチ19によって切り換えることが可能となっている。それにより、ユーザーの意図に反して出力設定モード管理テーブル60が変更されてしまうことを防止することができる。
【0114】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る車載システム1では、ナビゲーション装置2により出力される音声ガイダンス及びオーディオ装置3により出力される音楽(ラジオ放送含む)の優先度を規定した出力設定モードを、複数の設定状態に対応付けて記憶した出力設定モード管理テーブル60に基づいて、ナビゲーション装置2の音声ガイダンスの出力及びオーディオ装置3の音楽の出力を制御するので、自車や運転者の状況に応じて適した音の出力状態を得ることが可能となる。従って、ユーザーは音声ガイダンスが必要となる状況下では音声ガイダンスを確実に聞き取ることが可能となるとともに、音声ガイダンスがそれほど必要とされない状況下ではコンテンツに係る音を快適に聞くことが可能となり、ユーザーの利便性を向上させる。
また、予め設定された設定状態にナビゲーション装置2又はオーディオ装置3が移行したと検知された場合に、検知された設定状態に対応付けられた出力設定モードへと現在の出力設定モードを変更するので、自車及び運転者の状況下に基づいて選択された最適な出力設定モードに基づいて音声ガイダンス及び音楽の出力を制御することが可能となる。
また、学習モード設定時ではユーザーの操作内容に基づいて学習したナビ機能部71及びオーディオ機能部72がナビ・オーディオ統合制御機能部73に対して出力設定モード管理テーブル60の更新を要求し、出力設定モード管理テーブル60が変更されるので、自車及び運転者の状況下に基づいて更新された最適な出力設定モード管理テーブル60に基づいて音声ガイダンス及び音楽の出力を制御することが可能となる。
更に、カスタムモード設定時ではユーザーの意思に基づいて出力設定モード管理テーブル60が変更されるので、自車及び運転者の状況下に基づいて更新された最適な出力設定モード管理テーブル60に基づいて音声ガイダンス及び音楽の出力を制御することが可能となる。
【0115】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではナビゲーション装置2とオーディオ装置3とを統合的に制御するナビ・オーディオ統合制御機能部73は、ナビゲーション装置2のナビゲーション制御部13内に設けられることとしているが、ナビゲーション装置2やオーディオ装置3とは別にナビ・オーディオ統合制御装置を設け、ナビ・オーディオ統合制御装置内にナビ・オーディオ統合制御機能部73を有する構成としても良い。
【0116】
また、本実施形態ではナビゲーション装置2に対してスピーカ18を設けるとともにオーディオ装置3に対してスピーカ57を設け、音声ガイダンスはスピーカ18より、CD等により再生される音楽はスピーカ57よりそれぞれ別々に出力することとしているが、オーディオ装置3に対してのみスピーカを有する構成とし、一のスピーカから音声ガイダンスと音楽とを共に出力することとしても良い。
【0117】
また、本実施形態では設定状態として図3に示す10種類の状態を設定しているが、設定可能な設定状態はそれに限られること無く、例えば、CDDBからの情報に基づいて再生するCDの発売日が最近であることを検知した状態、自車が高速道路を走行中の状態等を前記学習モード又はカスタムモードにおける出力設定モード管理テーブル60の更新処理によって新たに設定状態として追加することも可能である。
【0118】
また、本実施形態ではコンテンツ出力部として、MD、CD及びラジオ放送等の再生が可能なオーディオ装置3を用いたが、コンテンツに係る音を出力する機能を有する装置であれば良く、例えばテレビ受像機やDVDプレイヤであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本実施形態に係る車載システムを示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る車載システムの特にオーディオ装置の構成について示したブロック図である。
【図3】本実施形態に係る出力設定モード管理テーブルの一例を示した図である。
【図4】各出力設定モードにおけるナビゲーション装置及びオーディオ装置の制御内容を示した説明図である。
【図5】本実施形態に係る車載システムが有する機能部について示した概略ブロック図である。
【図6】本実施形態に係る車載システムのナビ・オーディオ統合制御機能部が実行する出力管理処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る車載システムのナビ機能部が実行するナビ側モード変更要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部が実行するモード変更判断処理プログラムのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る車載システムのオーディオ機能部が実行するオーディオ側モード変更要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部が実行するモード変更判断処理プログラムのフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る車載システムのナビ機能部が実行するナビ側モード学習要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部が実行するテーブル更新処理プログラムのフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る車載システムのオーディオ機能部が実行するオーディオ側モード学習要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部が実行するテーブル更新処理プログラムのフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る車載システムのナビ機能部が実行するカスタム要求処理プログラム及びナビ・オーディオ統合制御機能部が実行するテーブルカスタム更新処理プログラムのフローチャートである。
【図12】出力設定モード管理テーブルの更新に関し、特に設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更する際の処理を示した模式図である。
【図13】出力設定モード管理テーブルの更新に関し、特に設定状態の優先順位を変更する際の処理を示した模式図である。
【図14】出力設定モード管理テーブルの更新に関し、特に設定状態を削除する際の処理を示した模式図である。
【符号の説明】
【0120】
1 車載システム
2 ナビゲーション装置
3 オーディオ装置
19 モード切換スイッチ
31 CPU
32 RAM
33 ROM
60 出力設定モード管理テーブル
61 CPU
62 RAM
63 ROM
71 ナビ機能部
72 オーディオ機能部
73 ナビ・オーディオ統合制御機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの間の経路を探索して誘導経路として設定する経路設定手段と、前記経路設定手段により設定された誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する音声ガイダンス出力手段と、を備えたナビゲーション部と、
受信した情報又は記録された情報に基づいて所定のコンテンツに係る音を出力する音出力手段を備えたコンテンツ出力部と、
を有する車載システムにおいて、
前記誘導経路に係る音声ガイダンスの出力及び前記所定のコンテンツに係る音の出力に関する優先度を設定した複数の出力設定モードを記憶するモード記憶手段と、
前記モード記憶手段に記憶された前記複数の出力設定モードのいずれかを選択するモード選択手段と、
前記モード選択手段によって選択された出力設定モードに従って、前記音声ガイダンス出力手段及び前記音出力手段を制御する出力制御手段を有することを特徴とする車載システム。
【請求項2】
前記ナビゲーション部及び前記コンテンツ出力部の所定の状態を前記モード記憶手段に記憶された前記複数の出力設定モードのいずれかに対応付けられた設定状態として記憶する設定状態記憶手段と、
前記ナビゲーション部及び前記コンテンツ出力部が前記設定状態記憶手段に記憶された設定状態となったことを検知する状態検知手段と、を有し、
前記モード選択手段は、
前記状態検知手段によって前記設定状態になったことが検知された場合に、前記モード記憶手段に記憶された前記複数の出力設定モードの内、状態検知手段により検知された設定状態に対応付けられた出力設定モードを選択することを特徴とする請求項1に記載の車載システム。
【請求項3】
前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定変更手段を有することを特徴とする請求項2に記載の車載システム。
【請求項4】
ユーザーの操作内容を学習する学習手段と、
前記学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定学習変更手段を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車載システム。
【請求項5】
前記設定状態記憶手段は、一又は複数種類の前記設定状態が記憶され、
前記状態設定変更手段及び前記状態設定学習変更手段は、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態の種類を増減させることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車載システム。
【請求項6】
前記設定状態記憶手段は、複数種類の前記設定状態が記憶されるとともに、前記状態検知手段によって前記設定状態が二種以上検知された場合に、前記モード選択手段がいずれの設定状態に対応付けられた前記出力設定モードを選択するかの優先順位を設定した優先順位情報が記憶され、
前記状態設定変更手段及び前記状態設定学習変更手段は、前記優先順位情報に設定された優先順位を変更することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車載システム。
【請求項7】
前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定変更手段を有することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の車載システム。
【請求項8】
ユーザーの操作内容を学習する学習手段と、
前記学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定学習変更手段を有することを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の車載システム。
【請求項9】
前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定変更手段に基づいて前記車載システムを制御するカスタム状態制御状態と、
ユーザーの操作内容を学習する学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態を変更する状態設定学習変更手段に基づいて前記車載システムを制御する学習状態制御状態と、を切り換える切換手段を有することを特徴とする請求項2に記載の車載システム。
【請求項10】
前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定変更手段に基づいて前記車載システムを制御するカスタムモード変更制御状態と、
ユーザーの操作内容を学習する学習手段で学習された操作内容に基づいて、前記設定状態記憶手段に記憶された前記設定状態に対応付けられた出力設定モードを変更するモード設定学習変更手段に基づいて前記車載システムを制御する学習モード変更制御状態と、を切り換える切換手段を有することを特徴とする請求項2又は請求項9に記載の車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−258699(P2006−258699A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78939(P2005−78939)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】