説明

車載情報処理装置、及び、車載情報処理装置の制御方法

【課題】道路交通情報に係る電波を受信できない場合であっても、道路交通情報に基づく有益な情報をユーザに提供する。
【解決手段】道路交通情報を受信するFM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27と、道路交通情報をユーザに報知する表示部11と、を備える車載情報処理装置1において、道路交通情報に基づいて、道路交通情報の代替情報を生成する代替情報生成部32と、受信の異常を検出する受信異常検出部31と、を備え、受信異常検出部31により受信の異常が検出された場合であって、ユーザに報知すべき道路交通情報の代替情報が代替情報生成部32によって生成されている場合、代替情報を報知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路交通情報に係る電波を受信する車載情報処理装置、及び、この車載情報処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路交通情報たるVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)(登録商標)情報に係るFM多重放送波を受信し、また、道路に設けられたビーコンが発するVICS情報に係る電波を受信する機能を備えた情報端末装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の情報端末装置のようにVICS情報に係る電波を受信可能に構成された情報端末装置では、ディスプレイにVICS情報に含まれる情報を表示するなどして、ユーザに情報を報知する。
【特許文献1】特開2007−235402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の情報端末装置では、FM多重放送波の電界強度が低かったり、また、ビーコンが発する電波を受信するためのビーコンユニットが故障したりするなどして、VICS情報に係る電波を受信できないときは、ユーザにVICS情報に含まれる情報を報知することができず、ユーザに有益な情報を提供できないという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、道路交通情報に係る電波を受信できない場合であっても、道路交通情報に基づく有益な情報をユーザに提供することができる車載情報処理装置、及び、車載情報処理装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、道路交通情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された道路交通情報をユーザに報知する報知手段と、を備える車載情報処理装置において、前記受信手段によって受信された道路交通情報に基づいて、当該道路交通情報の代替情報を生成する代替情報生成手段と、前記受信手段による受信の異常を検出する受信異常検出手段と、を備え、前記報知手段は、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、ユーザに報知すべき道路交通情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を報知することを特徴とする。
この構成によれば、受信異常手段による受信の異常が検出された場合、すなわち、道路交通情報を受信できない場合であっても、道路交通情報が取得できるときに代替情報生成手段によって生成された代替情報を報知することにより、ユーザに対し道路交通情報に基づく有益な情報を提供することができる。
【0005】
ここで、上記発明の車載情報処理装置において、地図を表示する表示部をさらに備え、前記道路交通情報には、前記地図に表示される区間の混み具合を示す混み具合情報が含まれ、前記代替情報生成手段は、前記受信手段によって受信された混み具合情報に基づいて、当該混み具合情報の代替情報を生成し、前記報知手段は、前記表示部に前記地図を表示時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、前記地図に表示する区間の混み具合情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を利用して前記地図を前記表示部に表示するようにしてもよい。
この構成によれば、受信手段の受信の異常に起因して、ある区間の混み具合を示す混み具合情報が受信できない場合であっても、代替情報生成手段によって生成された当該区間の混み具合情報の代替情報を利用して、ユーザに有益な情報を提供した状態で表示部に地図を表示することができる。
【0006】
また、上記発明の車載情報処理装置において、前記代替情報生成手段によって生成された混み具合情報の代替情報を累積的に記憶するとともに、ある区間の混み具合情報の代替情報が複数存在する場合、これら複数の代替情報に基づいて、当該区間の統計的な混み具合を示す統計的混み具合情報を算出し、前記報知手段は、前記表示部に前記地図を表示時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、当該区間を前記地図に表示する場合、当該区間の統計的混み具合情報を利用して前記地図を前記表示部に表示するようにしてもよい。
この構成によれば、受信手段の受信の異常に起因して、ある区間の混み具合を示す混み具合情報が受信できない場合、当該区間の統計的な混み具合を示す統計的混み具合情報を利用して、ユーザに有益な情報を提供した状態で表示部に地図を表示することができる。
【0007】
また、上記発明の車載情報処理装置において、複数の混み具合情報の代替情報のうち、代替情報の元となった道路交通情報が取得されたときが、現在に時間的に近い代替情報ほど反映されるように統計的混み具合情報を算出するようにしてもよい。
この構成によれば、統計的混み具合情報を、現実の混み具合をより反映した情報とすることができる。
【0008】
また、上記発明の車載情報処理装置において、目的地までの経路を案内する経路案内機能をさらに備え、前記道路交通情報には、案内される経路に係る区間の区間旅行時間を示す区間旅行時間情報が含まれ、前記代替情報生成手段は、前記受信手段によって受信された区間旅行時間情報に基づいて、当該区間旅行時間情報の代替情報を生成し、前記報知手段は、経路案内時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、案内する経路に係る区間の区間旅行時間情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を利用して経路案内を行うようにしてもよい。
この構成によれば、受信手段の受信の異常に起因して、ある区間の区間旅行時間を示す区間旅行時間情報が受信できない場合であっても、代替情報生成手段によって生成された当該区間の区間旅行時間情報の代替情報を利用して、ユーザに有益な情報を提供した状態で経路案内をすることができる。
【0009】
また、上記発明の車載情報処理装置において、前記代替情報生成手段によって生成された区間旅行時間情報の代替情報を累積的に記憶するとともに、ある区間の区間旅行時間情報の代替情報が複数存在する場合、これら複数の代替情報に基づいて、当該区間の統計的な区間旅行時間を示す統計的区間旅行時間情報を算出し、前記報知手段は、経路案内時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、当該区間が案内する経路に含まれる場合、当該区間の統計的区間旅行時間情報を利用して経路案内を行うようにしてもよい。
この構成によれば、受信手段の受信の異常に起因して、ある区間の区間旅行時間を示す区間旅行時間情報が受信できない場合、当該区間の統計的な区間旅行時間を示す統計的区間旅行時間情報を利用して、ユーザに有益な情報を提供した状態で経路案内を行うことができる。
【0010】
また、上記発明の車載情報処理装置において、複数の区間旅行時間情報の代替情報のうち、代替情報の元となった道路交通情報が取得されたときが、現在に時間的に近い代替情報ほど反映されるように統計的区間旅行時間情報を算出するようにしてもよい。
この構成によれば、統計的区間旅行時間情報を、現実の区間旅行時間をより反映した情報とすることができる。
【0011】
また、上記発明の車載情報処理装置において、前記代替情報生成手段によって生成された代替情報と、当該代替情報に係る道路交通情報が取得されたときの時間に関する情報とを対応付けて記憶し、前記報知手段は、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合、現在の時間に関する情報と、記憶された時間に関する情報との比較結果に基づいて、前記代替情報生成手段によって生成された代替情報から、ユーザに報知すべき代替情報を特定し、特定した代替情報を報知するようにしてもよい。
この場合において、時間に関する情報には、曜日、季節、又は、時間帯に関する情報のうち少なくとも1つの情報が含まれるようにしてもよい。
ここで、ある区間の混み具合などの状態は、曜日が同一であれば、大体同様となると予想される。従って、現在の曜日と同じ曜日に取得された道路交通情報の代替情報は、現在の曜日に適用する情報として信頼性の高い情報と言うことができる。
そして、上記構成によれば、代替情報のうち、信頼性の高い代替情報を報知することができる。同様のことは、曜日に限らず、季節、時間帯についても言うことができる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、道路交通情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された道路交通情報をユーザに報知する報知手段と、を備える車載情報処理装置の制御方法であって、前記受信手段によって受信された道路交通情報に基づいて、当該道路交通情報の代替情報を生成し、前記受信手段による受信の異常が検出された場合であって、ユーザに報知すべき道路交通情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、道路交通情報の受信の異常が検出された場合は、代替情報生成手段によって生成された代替情報をユーザに報知するため、受信の異常に起因して道路交通情報を受信できない場合であっても、道路交通情報に基づく有益な情報をユーザに提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る車載情報処理装置1が備えるフロントパネル10の構成を示す正面図である。
車載情報処理装置1は、道路交通情報(VICS情報)に係るFM多重放送波を受信し、また、道路に設けられた電波ビーコンや光ビーコン(以下、これらを単に「ビーコン」と言う)が発する道路交通情報に係る電波を受信して、道路交通情報を取得し、この道路交通情報をユーザに報知する装置である。また、本実施形態に係る車載情報処理装置1は、表示部11(後述)に表示された地図上に自車両位置を表示する自車両位置表示機能と、表示部11に表示された地図を利用して、ユーザが設定した目的地まで経路案内する経路案内機能と、を備えている。
【0015】
図1に示すように、車載情報処理装置1のフロントパネル10には、地図などの各種情報を表示する液晶パネル12が設けられ、この液晶パネル12の周囲には、ユーザによって操作される複数の操作スイッチ13が配設されている。フロントパネル10において、液晶パネル12に重ねた状態で、タッチパネル15が配設されている。タッチパネル15は、透明度(光透過度)が高い抵抗膜方式のものが用いられており、ユーザは、液晶パネル12に表示された操作ボタンに対応する位置を指先などでタッチ操作することで、車載情報処理装置1に対して各種指示を行うことができる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る車載情報処理装置1の機能的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車載情報処理装置1は、制御部20と、記憶部21と、記録媒体読取部22と、音出力部23と、表示部11(報知手段)と、位置検出部24と、FM多重受信処理部25(受信手段)と、電界強度取得部26と、ビーコン受信処理部27(受信手段)と、操作部28と、を備えている。
【0017】
制御部20は、車載情報処理装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行手段としてのCPU(Central Processing Unit)や、このCPUに実行される制御プログラムや、この制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)などを備えている。図2に示すように、制御部20は、現在日時取得部30と、受信異常検出部31(受信異常検出手段)と、代替情報生成部32(代替情報生成手段)とを備えているが、これらについては後述する。
【0018】
記憶部21はデータを書き換え可能に格納するものであり、例えばハードディスク装置を備えている。記憶部21に記憶されるものとしては、経路案内のためのプログラムや、表示パネル14の表示制御のためのプログラム、表示部11に表示する地図に係る地図データなどがある。記憶部21には、図2に示すように、混み具合テーブル40、区間旅行時間テーブル41、平均混み具合テーブル42、平均区間旅行時間テーブル43、非類似混み具合テーブル44、及び、非類似区間旅行時間テーブル45が記憶されているが、これらテーブルについては、後述する。
【0019】
記録媒体読取部22は、制御部20の制御の下、メモリカード等のカード型記録媒体や、CDやDVD等のディスク型記録媒体に記録されているデータを読み取り、制御部20に出力するものであり、カード型記録媒体読取装置や、CD/DVDドライブ装置等を備えている。なお、記録媒体に地図データを格納し、この地図データを経路案内に用いる構成としてもよい。
音出力部23は制御部20の制御の下、音楽や音声を出力するものであり、例えば、記録媒体に記録された音楽データの再生にあっては、記録媒体読取部22によって読み取られた音楽データが音出力部23に出力され、音楽が再生される。
【0020】
表示部11は、制御部20の制御の下、地図等の各種情報を表示するものであり、描画回路33と、液晶駆動回路34と、液晶パネル12とを備えている。描画回路33は、地図データ等を含む描画コマンドDSSを制御部20から受け取り、この描画コマンドDSSに基づく表示を行うべく液晶駆動回路34を制御するものであり、描画プロセッサ35とVRAM36とを備えている。描画プロセッサ35は、描画コマンドDSSに基づいて液晶パネル12に表示すべき描画データ(例えばビットマップ画像データ)を生成するものであり、VRAM(Video RAM)36は描画データを保持するものである。液晶駆動回路34はVRAM36に保持されている描画データを順次受け取り、この描画データに基づいて液晶パネル12に表示するものである。
【0021】
位置検出部24は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されているGPS電波を受信するアンテナ(レシーバでも良い)を備え、GPS電波に基づいて、車両の現在地点を示す位置座標と、進行方向とを計算し、位置検出信号PSとして制御部20に出力するものである。制御部20は、自車両位置表示機能の実行時においては、位置検出信号PSに基づいて、表示部11に表示された地図上に自車両を示し、また、経路案内機能の実行時においては、位置検出信号PSに基づいて、現在位置の移動状況を地図と共に表示部11に表示して経路案内を行う。
【0022】
FM多重受信処理部25は、制御部20の制御の下、FM多重放送波を受信して、道路交通情報を取り出し、制御部20に出力するものである。具体的には、FM多重受信処理部25は、FM多重専用チューナと、多重エンコーダと、を備えている。FM多重専用チューナは、FM多重放送を受信すると、FM多重信号を多重エンコーダに出力する。多重エンコーダは、FM多重専用チューナから入力されたFM多重信号を復号して道路交通情報を取得し、制御部20に出力する。
電界強度取得部26は、FM多重受信処理部25が備えるFM多重専用チューナから、FM多重放送波の電界強度を示す信号が入力されるとともに、当該信号を制御部20に出力するものである。制御部20は、電界強度取得部26から入力された信号に基づいて、FM多重放送波の電界強度を検出する。
ビーコン受信処理部27は、制御部20の制御の下、道路に設けられたビーコンが発する道路交通情報に係る電波を受信し、制御部20に出力するものである。
【0023】
本実施形態では、FM多重受信処理部25及びビーコン受信処理部27が道路交通情報を取得するが、この道路交通情報には、少なくとも、混み具合情報と、区間旅行時間情報とが含まれている。
混み具合情報とは、1の地点から他の地点に至るまでの区間における車両の混み具合を示す情報であり、本実施形態では、ある区間が渋滞しており、当該区間を車両がスムーズに走行できない状態であることを示す「渋滞」、ある区間において渋滞には至っていないものの、当該区間が空いている状態ではないことを示す「混雑」、及び、ある区間が渋滞、及び、混雑しておらず、車両がスムーズに走行できる状態であることを示す「順調」の3つの情報が存在する。
区間旅行時間情報とは、予め定められた1の地点から他の地点までの到達所要時間を示す情報である。
【0024】
制御部20は、取得した道路交通情報に含まれる混み具合情報を利用して、表示部11に地図を表示する。具体的には、ある区間が「渋滞」である旨の情報を含む混み具合情報を取得した場合であって、当該区間を含む地図を表示部11に表示する場合、制御部20は、当該区間に該当する箇所を赤色で表示する。また、ある区間が「混雑」である旨の情報を含む混み具合情報を取得した場合であって、当該区間を含む地図を表示部11に表示する場合、制御部20は、当該区間に該当する箇所を橙色で表示する。また、ある区間が「順調」である旨の情報を含む混み具合情報を取得した場合であって、当該区間を含む地図を表示部11に表示する場合、制御部20は、当該区間に該当する箇所を緑色で表示する。
【0025】
また、制御部20は、取得した道路交通情報に含まれる区間旅行時間情報を利用して、経路案内を行う。具体的には、制御部20は、経路案内を行う場合、現在地から目的地までの経路に含まれる区間、もしくは、経路に含まれる可能性のある区間に係る区間旅行時間情報を利用して、現在地から目的地までにかかる時間を算出したり、現在地から目的地までの最短ルートを検索したりする。
【0026】
操作部28は、スイッチ操作部37と、タッチパネル操作部38とを備えている。
スイッチ操作部37は、上述した操作スイッチを備えるとともに、この操作スイッチの操作を電気信号に変換してスイッチ信号SSを制御部20に出力するスイッチ回路基板(図示せず)を備えている。
タッチパネル操作部38は、上述したタッチパネル15を備えるとともに、このタッチパネル15の操作を電気信号に変換してタッチ信号TSを制御部20に出力するタッチパネル回路基板(図示せず)を備えている。タッチ信号TSには、タッチパネル15の面上の操作個所を示す座標情報が含まれており、これにより、制御部20が、液晶パネル12に表示されている操作ボタンのうち、どの操作ボタンが操作されたかを識別できる。
【0027】
次いで、制御部20が備える現在日時取得部30、受信異常検出部31、及び、代替情報生成部32について説明する。
現在日時取得部30は、現在の年月日、時間、曜日、季節、時間帯を示す情報を取得するものである。
なお、本実施形態では、現在の年を具体的に表す場合、西暦を使用する。
また、本実施形態では、3月〜6月の場合、季節が「春」とされ、7月〜9月の場合は「夏」と、10月〜11月の場合は「秋」と、12月〜2月の場合は「冬」とされる。
また、本実施形態では、時刻を表す際は24時間表示によるものとし、時間帯として、06:00〜09:59までの「朝」、10:00〜16:59までの「昼」、17:00〜18:59間での「夕方」、19:00〜22:59までの「夜」、23:00〜5:59までの「深夜」が存在する。
【0028】
受信異常検出部31は、車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できない状態であること、すなわち、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27のいずれによっても道路交通情報を取得できない状態であることを検出する。
具体的には、受信異常検出部31は、FM多重放送波の電界強度と、予め定められた閾値とを比較し、電界強度が閾値を上回る場合は、FM多重受信処理部25が道路交通情報を取得できる状態であると判別し、電界強度が閾値を下回る場合は、FM多重受信処理部25が道路交通情報を取得できない状態であると判別する。ここで、閾値は、電界強度が当該閾値を上回る場合に、FM多重受信処理部25によって確実に道路交通情報を取得できるような値に設定されている。従って、「電界強度が閾値を下回り、FM多重受信処理部25が道路交通情報を取得できない状態」とは、FM多重放送波を全く受信できないことに起因して道路交通情報を取得できない状態のみならず、FM多重放送波の電界強度の低さに起因して正常に道路交通情報を受信できない状態を含む。
【0029】
また、受信異常検出部31は、予め定められた所定時間以上の間、FM多重受信処理部25によって道路交通情報が取得できない場合は、FM多重受信処理部25が道路交通情報を取得できない状態であると判別する。予め定められた所定時間以上の間、FM多重受信処理部25によって道路交通情報が取得できない場合として、FM多重放送波が受信不可能な地域を、所定時間以上の間、車両が走行している場合がある。この場合、車両は、継続してFM多重放送波を受信不可能な地域を走行し、引き続き道路交通情報を取得できない可能性が高い。また、予め定められた所定時間以上の間、FM多重受信処理部25によって道路交通情報が取得できない場合として、FM多重受信処理部25の故障に起因して道路交通情報が取得できない場合がある。この場合は、FM多重受信処理部25の故障を解消しない限り、FM多重受信処理部25によって道路交通情報を取得することはできない。
【0030】
また、受信異常検出部31は、予め定められた所定時間以上の間、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報が取得できない場合は、ビーコン受信処理部27が道路交通情報を取得できない状態であると判別する。予め定められた所定時間以上の間、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報が取得できない場合として、所定時間以上の間、ビーコンが設置されていない道路を車両が走行している場合がある。この場合、車両は、継続してビーコンが設置されていない道路を走行し、引き続き道路交通情報を取得できない可能性が高い。また、予め定められた所定時間以上の間、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報が取得できない場合として、ビーコン受信処理部27の故障に起因して道路交通情報が取得できない場合がある。この場合は、ビーコン受信処理部27の故障を解消しない限り、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報を取得することはできない。
【0031】
受信異常検出部31は、上述した手段によって、FM多重受信処理部25が道路交通情報を取得できない状態にあること、及び/又は、ビーコン受信処理部27が道路交通情報を取得できない状態にあることを判別し、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27のいずれもが道路交通情報を取得できない状態であると判別した場合、車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できない状態であることを検出する。
【0032】
代替情報生成部32は、道路交通情報に基づいて、混み具合テーブル40、区間旅行時間テーブル41、平均混み具合テーブル42、非類似混み具合テーブル、平均区間旅行時間テーブル43、及び、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成するものである。これら各テーブルは、代替情報生成手段たる代替情報生成部32によって生成される代替情報である。
【0033】
上述したように、本実施形態に係る車載情報処理装置1は、FM多重受信処理部25や、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報を取得できる場合は、取得した道路交通情報に含まれる混み具合情報や、区間旅行時間情報に基づいて、地図において渋滞している区間を赤色で表示したり、経路案内時に最短ルートを呈示したりすることにより、道路交通情報に基づいた有益な情報をユーザに対し提供する。
しかしながら、従来の車載情報処理装置1では、受信異常検出部31によって車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できない状態であることが検出されている場合、すなわち、道路交通情報を取得できない場合は、道路交通情報に基づいた有益な情報をユーザに対し提供することができなかった。
【0034】
これを踏まえ、本実施形態に係る車載情報処理装置1は、FM多重受信処理部25や、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報を取得できる場合、取得した道路交通情報に基づいて、代替情報生成部32が、記憶部21に記憶された代替情報たる各テーブルのレコードを生成するとともに、道路交通情報が取得できない状態の場合、車載情報処理装置1は、記憶部21に記憶された各テーブルに基づいて、ユーザに対し有益な情報を提供する構成となっている。
以下、記憶部21に記憶される各テーブルついて説明する。
【0035】
図3(A)は、混み具合テーブル40の構成を模式的に示す図である。
混み具合テーブル40は、上述した混み具合情報に基づいて生成されるテーブルである。代替情報生成部32は、ある区間について、混み具合情報が取得された場合、取得された混み具合情報に基づき後述する記憶手順に従って、混み具合テーブル40の1件のレコードを生成する。なお、詳細は後述するが、代替情報生成部32は、所定の条件が成立する場合は、混み具合情報に基づいて、混み具合テーブル40のレコードではなく、非類似混み具合テーブル44のレコードを生成する。
【0036】
図3(A)に示すように、混み具合テーブルの1件のレコードには、識別番号フィールド40aと、区間フィールド40bと、取得日時フィールド40cと、曜日フィールド40dと、季節フィールド40eと、時間帯フィールド40fと、混み具合フィールド40gと、が含まれている。
【0037】
識別番号フィールド40aには、レコード毎に一意に付与される識別番号を示す識別番号データが格納される。
区間フィールド40bには、1の地点から他の地点に至る区間を示す区間データが格納される。
取得日時フィールド40cには、当該レコードの元となった混み具合情報が取得されたときの、年月日、及び、時刻、を示す取得日時データが格納される。年月日、及び、時刻は、道路交通情報が取得されたときに、現在日時取得部30によって取得される。
【0038】
曜日フィールド40dには、当該レコードの元となった混み具合情報が取得されたときの、曜日を示す曜日データが格納される。曜日は、道路交通情報が取得されたときに、現在日時取得部30によって取得される。
季節フィールド40eには、当該レコードの元となった混み具合情報が取得されたときの、季節を示す季節データが格納される。
【0039】
時間帯フィールド40fには、当該レコードの元となった混み具合情報が取得されたときの時間帯を示す時間帯データが格納される。
混み具合フィールド40gには、当該レコードに係る区間の混み具合を示す混み具合データが格納される。本実施形態では、混み具合フィールド40gに格納される混み具合データとして、上述した「渋滞」を示す渋滞データ、「混雑」を示す混雑データ、「順調」を示す順調データの何れかが格納される。
【0040】
図3(B)は、区間旅行時間テーブル41の構成を模式的に示す図である。
区間旅行時間テーブル41は、上述した区間旅行時間情報に基づいて生成されるテーブルである。代替情報生成部32は、ある区間に係る区間旅行情報が取得された場合、当該区間の区間旅行情報に基づき後述する記憶手順に従って、区間旅行時間テーブル41の1件のレコードを生成する。なお、詳細は後述するが、所定の条件が成立する場合は、代替情報生成部32は、区間旅行時間テーブル41のレコードではなく、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成する。
図3(B)に示すように、1件のレコードには、識別番号フィールド41aと、区間フィールド41bと、取得日時フィールド41cと、曜日フィールド41dと、季節フィールド41eと、時間帯フィールド41fと、区間旅行時間フィールド41gと、が含まれている。
【0041】
識別番号フィールド41a、区間フィールド41b、取得日時フィールド41c、曜日フィールド41d、季節フィールド41e、時間帯フィールド41fに格納されるデータは、混み具合テーブル40の対応するフィールドに格納されるデータと同様であるため、その説明を省略する。
区間旅行時間フィールド41gには、当該レコードの区間フィールド41bに格納された区間データが示す区間、すなわち、1の地点から他の地点に至るまでの区間において、当該1の地点から当該他の地点までの到達所要時間を示す区間旅行時間データが格納される。
【0042】
本実施形態では、混み具合テーブル40、及び、区間旅行時間テーブル41の各レコードは、以下の手順によって選択的に生成されるとともに、その記憶の破棄が実行される。
なお、以下の説明では、区間旅行時間テーブル41のレコードを例にして生成の手順、及び、破棄の手順について説明するが、混み具合テーブル40のレコードについてもその手順は、同様である。
【0043】
まず、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27によってある区間についての区間旅行時間情報が取得された場合、代替情報生成部32は、取得された区間旅行時間情報に基づいて、区間旅行時間テーブル41の1件のレコードを生成する。具体的には、代替情報生成部32は、識別番号フィールド41aに、一意な識別番号データを格納するとともに、区間フィールド41bに当該区間を示す区間データを、取得日時フィールド41cに当該区間旅行時間情報を取得した年月日、及び、時刻を示す取得日時データを、曜日フィールド41dに当該区間旅行時間情報を取得した曜日を示す曜日データを、季節フィールド41eに当該区間旅行時間情報を取得した季節を示す季節データを、区間旅行時間フィールド41gに当該区間の区間旅行時間を示す区間旅行時間データをそれぞれ格納する。説明の便宜のため、上記のようにして新たに生成されたレコードが、図3(B)の区間旅行時間テーブル41の識別番号R1に係るレコード(以下、レコードR1という)であるとする。
【0044】
さらに、代替情報生成部32は、区間旅行時間テーブル41の各レコードを参照し、新たに生成したレコードR1の区間データ、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データと、全てが一致するデータを備えるレコードが、レコードR1も含め、所定の件数U1(本実施形態では3件)以上あるか否かを判別する。そして、所定の件数U1以上の件数あると判別した場合、代替情報生成部32は、これら区間データ、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データが一致するレコードを利用して、平均区間旅行時間テーブル43のレコードを生成する。
【0045】
図3(B)の例で言えば、新たなレコードR1が生成された場合において、このレコードR1の区間データ(地点T1→地点T2)、曜日データ(金曜日)、季節データ(夏)、及び、時間帯データ(朝)のそれぞれと一致するデータを備えるレコードが、レコードR1も含め3件(レコードR1、R2、R3)存在するため、代替情報生成部32は、これらレコードR1、R2、R3に基づいて、平均区間旅行時間テーブル43のレコードを生成する。
ここで、所定の件数U1とは、平均区間旅行時間テーブル43のレコードの後述する区間旅行時間データの値を算出するために十分な件数であり、3件に限らないことはいうまでもない。
【0046】
図4(B)は、平均区間旅行時間テーブル43の構成を模式的に示す図である。
この図に示すように、平均区間旅行時間テーブル43の1件のレコードには、識別番号フィールド43aと、区間フィールド43bと、生成日時フィールド43cと、曜日フィールド43dと、季節フィールド43eと、時間帯フィールド43fと、平均区間旅行時間フィールド43gと、が含まれている。
【0047】
識別番号フィールド43a、区間フィールド43b、曜日フィールド43d、季節フィールド43e、及び、時間帯フィールド43fとに格納されるデータは、区間旅行時間テーブル41の対応するフィールドに格納されるデータと同様であるため、その説明を省略する。
生成日時フィールド43cには、当該レコードが作成された年月日、及び、時刻を示す生成日時データが格納される。
平均区間旅行時間フィールド43gには、当該レコードを作成する元となった区間旅行時間テーブル41の複数のレコード、すなわち、区間旅行時間テーブル41のレコードであって、区間データ、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データの全てのデータが一致する複数のレコードの各々の区間旅行時間データが示す値の平均値を示す平均区間旅行時間データが格納される。
【0048】
ここで、図3(B)に示す区間旅行時間テーブル41のレコードR1、R2、R3に基づいて、図4(B)に示す平均区間旅行時間テーブル43のレコードM1を生成する際の、代替情報生成部32の動作について説明する。
代替情報生成部32は、平均区間旅行時間フィールド43gの識別番号フィールド43aに一意な識別番号データを格納するとともに、区間フィールド43bに、レコードR1、R2、R3の区間データと同一の区間データを格納し、生成日時フィールド43cに、当該レコードが作成された年月日、及び、時刻を示す生成日時データを格納し、曜日フィールド41dにレコードR1、R2、R3の曜日データと同一の曜日データを格納し、季節フィールド41eにレコードR1、R2、R3の季節データと同一の季節データを格納し、時間帯フィールド41fにレコードR1、R2、R3の時間帯データと同一の時間帯データを格納する。
【0049】
さらに、代替情報生成部32は、レコードR1、R2、R3の区間旅行時間データが示す値の平均値を示す平均区間旅行時間データを平均区間旅行時間フィールド43gに格納する。
ここで、平均区間旅行時間データが示す値の算出方法について、詳述する。なお、以下の説明において、レコードM1が生成される際の年は、「2008年」である。
平均区間旅行時間データが示す値は、時間的に新しい区間旅行時間が最も反映されるような計算式によって算出される。
【0050】
具体的には、計算式「[{100(レコードR1に係る区間旅行時間)×5(重み)}+{90(レコードR2に係る区間旅行時間)×4(重み)}+{50(レコードR3に係る区間旅行時間)×3(重み)}]÷{5+4+3(重みの合計)}≒84」によって算出される。この計算式に示すように、レコードR1〜R3のうち、取得日時データが示す年が、現在の年と同一であるレコードR1については、その区間旅行時間に対し重み「5」を乗算し、取得日時データが示す年が現在の年より1年前の年であるレコードR2については、その区間旅行時間に対し重み「4」を乗算し、取得日時データが示す年が現在の年より2年前の年であるレコードR3については、その区間旅行時間に対し重み「3」を乗算する。このように、現在の西暦から1年前の西暦に遡るごとに重み「5」から値を「1」ずつ減算し、減算した重みを対応する区間旅行時間に乗算する。そして、上記計算式に示すように、重みを加味した上で、平均値を算出する。このようにして平均値を算出することにより、時間的に新しい区間旅行時間ほど反映された状態で平均値が算出される。
代替情報生成部32は、上記のようにして平均値を算出した後、レコードM1の平均区間旅行時間フィールド43gに平均値を示す平均区間旅行時間データを格納する。
この平均区間旅行時間データは、ある区間の統計的な区間旅行時間を示す統計的区間旅行時間情報である。さらに、説明は省略するが、平均混み具合テーブル42のレコードの平均混み具合フィールド42gに格納される平均混み具合データは、上述した平均区間旅行時間データと同様の手法によって求められており、統計的混み具合情報である。
【0051】
なお、代替情報生成部32は、区間データ、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データの全てが一致しているレコードが、区間旅行時間テーブル41に3件を超えて新たに生成されるたびに、この新たに生成されたレコードの区間旅行時間データが反映された平均値を算出し、算出した平均値が示す平均区間旅行時間データによって、平均区間旅行時間テーブル43の対応するレコードの平均区間旅行時間データの値を上書きする。図3(B)の例で行けば、レコードR1〜R3の区間データ、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データの全てが一致しているレコードが新たに区間旅行時間テーブル41に生成されると、レコードR1〜R3の区間旅行時間データが示す値に加えて、新たに作成されたレコードの区間旅行時間データが示す値が加味された平均値を算出し、この平均値を示す平均区間旅行時間データによって、平均区間旅行時間テーブル43のレコードM1の平均区間旅行時間データを上書きする。
【0052】
さらに、本実施形態では、代替情報生成部32は、区間旅行時間情報が取得された場合において、当該区間旅行時間情報が示す区間を示すデータ、及び、区間旅行時間情報を取得した曜日、季節、時間帯を示すデータの全てを備えるレコードが既に平均区間旅行時間テーブル43に記憶されている場合、当該区間旅行時間情報が示す区間旅行時間が、既に記憶されているレコードの平均区間旅行時間データが示す値から所定の値L1の範囲を越えて乖離しているか否かを判別する。そして、当該区間旅行時間情報が示す区間旅行時間が、既に記憶されているレコードの平均区間旅行時間データが示す値から所定の値L1の範囲を越えて乖離している場合、代替情報生成部32は、区間旅行時間テーブル41のレコードを作成せず、代わりに、当該区間旅行時間情報に基づいて、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを作成する。
ここで、所定の値L1とは、当該区間旅行時間情報が示す区間旅行時間が、既に記憶されているレコードの平均区間旅行時間データが示す値から、この所定の値L1を越えて乖離している場合、当該区間旅行時間情報が示す区間旅行時間は、通常の区間旅行時間ではなく、突発的な、又は、一時的な原因により通常の区間旅行時間と乖離した区間旅行時間であるとみなせるような値である。
【0053】
図5(B)は、非類似区間旅行時間テーブル45の構成を模式的に示す図である。
図5(B)に示すように、非類似区間旅行時間テーブル45の1件のレコードは、識別番号フィールド45aと、区間フィールド45bと、取得日時フィールド45cと、曜日フィールド45dと、季節フィールド45eと、時間帯フィールド45fと、区間旅行時間フィールド45gとを備えているが、これらフィールドに格納されるデータは、区間旅行時間テーブル41の対応するフィールドに格納されるデータと同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
上述したように代替情報生成部32は、取得された区間旅行時間情報が示す区間旅行時間が、平均区間旅行時間テーブル43の既に記憶されているレコードの平均区間旅行時間データの値から所定の値L1の範囲を越えて乖離しているか否かを判別し、所定の値L1の値を越えて乖離している場合、取得された区間旅行時間情報に基づいて、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成する。
ここで、所定の値L1を20分とし、図4(B)の平均区間旅行時間テーブル43のレコードM1、及び、図5(B)の非類似区間旅行時間テーブル45のレコードQ1を用いて具体例を示す。
【0055】
レコードM1の区間データが示す区間と同一の区間に係る区間旅行時間情報を、レコードM1の曜日データ、季節データ、時間帯データが示す曜日、季節、時間帯に取得したとする。そして、当該区間旅行時間情報が示す区間旅行時間が「30分」であるとする。
この場合、この区間旅行時間(30分)は、レコードM1の平均区間旅行時間データが示す平均区間旅行時間(84分)から所定の値L1(20分)を越えて、乖離しているため、代替情報生成部32は、区間旅行時間テーブル41のレコードは生成せず、当該区間旅行情報に基づいて、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードQ1を生成する。この場合、レコードQ1は、平均区間旅行時間テーブル43のレコードを生成する際に参照されない。
【0056】
さらに、本実施形態では、所定の期間S1の間に、非類似区間旅行時間テーブル45のあるレコードの区間データが示す区間に係る区間旅行時間情報であって、取得した曜日、季節、時間帯が、当該レコードの曜日データ、季節データ、及び、時間帯データが示す曜日、季節、時間帯と同一であり、かつ、区間旅行時間が、当該レコードの区間旅行時間データが示す区間旅行時間から所定の値L2の範囲内にある区間旅行情報が新たに取得されない場合は、当該レコードは削除される。
【0057】
一方、所定の期間S1の間に、非類似区間旅行時間テーブル45のあるレコードの区間データが示す区間に係る区間旅行時間情報であって、取得した曜日、季節、時間帯が、当該レコードの曜日データ、季節データ、及び、時間帯データが示す曜日、季節、時間帯と同一であり、かつ、区間旅行時間が、当該レコードの区間旅行時間データが示す区間旅行時間から所定の値L2の範囲内にある区間旅行情報が新たに取得された場合、代替情報生成部32は、当該レコードに基づいて、当該レコードと同一のデータを備える区間旅行時間テーブル41のレコードを生成する。ここで生成されたレコードは、平均区間旅行時間テーブル43のレコードが生成される際に使用されることとなる。
【0058】
このように、本実施形態では、区間旅行時間情報が取得された場合において、当該区間旅行時間情報が示す区間を示すデータ、及び、当該区間旅行時間情報を取得した曜日、季節、時間帯を示すデータの全てを備えるレコードが既に平均区間旅行時間テーブル43に記憶されている場合、当該区間旅行時間情報が示す区間旅行時間が、既に平均区間旅行時間テーブル43に記憶されているレコードの平均区間旅行時間データが示す値から所定の値L1より大きく乖離しているか否かを判別し、所定の値L1の範囲を越えて乖離している場合、代替情報生成部32は、区間旅行時間テーブル41のレコードを生成せず、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成する構成となっている。
【0059】
これは、取得された区間旅行時間情報が示す区間旅行時間が、平均区間旅行時間テーブル43に記憶されているレコードの平均区間旅行時間データが示す平均区間旅行時間から、所定の値L1を超えて乖離している場合、道路工事や、イベントの開催などの、一時的、突発的な原因によって区間旅行時間が乖離した可能性が高く、この場合は、当該区間旅行時間情報に基づいて区間旅行時間テーブル41のレコードを生成しないことにより、平均区間旅行時間テーブル43の平均区間旅行時間データに、当該区間旅行時間情報の区間旅行時間を反映させないほうが、平均区間旅行時間データをより実態に近い値にできるからである。
【0060】
また、本実施形態では、所定の期間S1の間に、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードの区間データが示す区間に係る区間旅行時間情報であって、取得した曜日、季節、時間帯が、当該レコードの曜日データ、季節データ、及び、時間帯データが示す曜日、季節、時間帯と同一であり、かつ、区間旅行時間が、当該レコードの区間旅行時間データが示す区間旅行時間から所定の値L2の範囲内にある区間旅行情報が新たに取得された場合、代替情報生成部32は、当該レコードに基づいて、当該レコードと同一のデータを備える区間旅行時間テーブル41のレコードを生成する。これは、所定の期間S1の間に、区間旅行時間が所定の範囲T2内にある区間旅行時間、つまり、類似する区間旅行時間を含む区間旅行時間情報が取得された場合、当該区間旅行時間情報における区間旅行情報は、もはや、一時的、突発的な原因によって区間旅行時間が乖離したとは、言えないからである。
なお、上述した例では、平均値から所定の値L1を超えて乖離している場合に、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを作成していたが、分散や、偏差など、他の統計的な手法を利用して、平均値から乖離しているか否かを判別するようにしてもよい。
【0061】
上述したように、本実施形態では、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報が取得できない状態のときは、記憶部21に記憶されたテーブルに基づいて、ユーザに対し有益な情報を提供する。
経路案内機能の実行時を例にして詳述すると、道路交通情報が取得できない場合、制御部20は、記憶部21に記憶されたテーブルのうち平均区間旅行時間テーブル43のレコードの平均区間旅行時間データを利用して、現在地から目的地までにかかる時間を算出したり、現在地から目的地までの最短ルートを検索したりして経路案内をする。
【0062】
ここで、平均区間旅行時間テーブル43の各レコードの平均区間旅行時間フィールド43gには、区間旅行時間テーブル41のレコードのうち、区間データ、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データが一致する所定の件数U1(3件)以上のレコードの区間旅行時間データの値の平均値を示すデータが格納されている。従って、平均区間旅行時間テーブル43の各レコードの平均区間旅行時間データが示す区間旅行時間は、当該区間について過去に取得した区間旅行時間情報のいずれか1つの区間旅行時間と比較して、信頼性が高い。よって、制御部20は、信頼性の高い平均区間旅行時間データに基づいて、経路案内することができる。
【0063】
次いで、区間旅行時間テーブル41、及び、平均区間旅行時間テーブル43のレコードが削除されるタイミングについて説明する。
基本的に、区間旅行時間テーブル41の各レコードは、各レコードに対応する区間旅行時間情報を取得してから5年経過した時点で削除される。また、平均区間旅行時間テーブル43の各レコードは、各レコードが生成されてから5年経過した時点で削除される。
【0064】
ここで、ある区間についての区間旅行時間情報がはじめて取得された場合、上述したように、代替情報生成部32によって、区間旅行時間テーブル41、又は、非類似旅行時間テーブルに当該区間旅行時間情報に対応するレコードが生成される。ここで、区間旅行時間テーブル41のレコードが生成された場合において、生成されたレコードの区間データ、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データが全て一致するレコードが新たに所定の期間S2以上の間、生成されない場合は、当該レコードは、削除される。ここで、所定の期間S2とは、当該所定の期間S2以上の間、ある区間について、所定の曜日、所定の季節、所定の時間帯の区間旅行時間情報を取得できなかった場合は、今後も当該区間についての所定の曜日、所定の季節、所定の時間帯が一致する区間旅行時間情報を取得できる確率が低いとみなすことができるような期間である。これにより、記憶部21に記憶されるデータ量を減らし、記憶効率の上昇が図られている。
【0065】
なお、上述の説明では、平均混み具合テーブル42、及び、非類似混み具合テーブル44の説明は省略したが、平均混み具合テーブル42の構成は、平均区間旅行時間テーブル43の構成と同様であり、その1件のレコードには、識別番号フィールド42aと、区間フィールド42bと、生成日時フィールド42cと、曜日フィールド42dと、季節フィールド42eと、時間帯フィールド42fと、平均混み具合フィールド42gとが含まれている。
また、非類似混み具合テーブル44の構成は、非類似区間旅行時間テーブル45の構成と同様であり、その1件のレコードには、識別番号フィールド44aと、区間フィールド44bと、取得日時フィールド44cと、曜日フィールド44dと、季節フィールド44eと、時間帯フィールド44fと、混み具合フィールド44gとが含まれている。
【0066】
次いで、車載情報処理装置1の動作についてフローチャートを用いて説明する。
まず、図6のフローチャートを用いて、自車両位置表示機能実行時や、経路案内機能実行時において表示部11に地図を表示する際の車載情報処理装置1の動作について説明する。
【0067】
ステップSA1において、車載情報処理装置1の制御部20は、受信異常検出部31の検出値に基づいて、車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別する。車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できる状態である場合(ステップSA1:YES)、制御部20は、受信した道路交通情報に含まれる混み具合情報を利用して、表示部11に地図を表示する(ステップSA2)。例えば、ある区間が「渋滞」である旨の情報を含む混み具合情報を取得した場合であって、当該区間を含む地図を表示部11に表示する場合、制御部20は、当該区間に該当する箇所を赤色で表示する。
ステップSA2の処理後、制御部20の代替情報生成部32は、取得している道路交通情報に基づいて、混み具合テーブル40、区間旅行時間テーブル41、平均混み具合テーブル42、平均区間旅行時間テーブル43、非類似混み具合テーブル44、及び、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成する(ステップSA3)。
このように、本実施形態では、道路交通情報を取得できる場合に、制御部20の代替情報生成部32が、取得した道路交通情報に基づいて、記憶部21に記憶された各テーブルのレコードを生成する。
【0068】
一方、ステップSA1において車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できない状態である場合(ステップSA1:NO)、制御部20は、表示部11に道路交通情報を取得できない旨表示するとともに、過去の道路交通情報を利用して表示部11に地図を表示するかどうかを選択するための第1選択用タッチボタン50(図7(A))を表示する(ステップSA4)。ここで、「過去の道路交通情報を利用して表示部11に地図を表示する」とは、制御部20の動作としては、記憶部21に記憶されたテーブルのうち、平均混み具合テーブル42を利用して表示部11に地図を表示することを意味する。
【0069】
図7(A)は、ステップSA4において、道路交通情報を取得できない旨が表示されるとともに、上述した第1選択用タッチボタン50が表示部11に表示された状態のフロントパネル10を示す図である。ユーザは、表示部11に表示された第1選択用タッチボタン50をタッチ操作することにより、過去の道路交通情報を利用して表示部11に地図を表示する、すなわち、記憶部21に記憶された平均混み具合テーブル42を利用して表示部11に地図を表示するか否かを選択することができる。
【0070】
道路交通情報を取得できない旨、及び、第1選択用タッチボタン50を表示部11に表示してから、この第1選択用タッチボタン50がタッチ操作されるまでの間、制御部20は、受信異常検出部31の検出値に基づいて、道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別する(ステップSA5、ステップSA6)。第1選択用タッチボタン50がタッチ操作されるまでの間に、道路交通情報が取得できる状態になったと判別した場合(ステップSA5:YES)、取得した道路交通情報を利用して地図を表示することができるようになっているため、制御部20は、表示部11から道路交通情報を取得できない旨、及び、第1選択用タッチボタン50の表示を消去し、上述したステップSA2、及び、ステップSA3の処理を実行する。
【0071】
一方、ステップSA5において、道路交通情報を取得できない状態であると判別した場合(ステップSA5:NO)、制御部20は、第1選択用タッチボタン50がユーザによってタッチ操作されたか否かを判別する(ステップSA6)。第1選択用タッチボタン50がユーザによってタッチ操作されていない場合(ステップSA6:NO)、制御部20は、処理をステップSA5に戻し、再び、道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別する。
第1選択用タッチボタン50がユーザによってタッチ操作された場合(ステップSA6:YES)、制御部20は、ユーザが、過去の道路交通情報を利用して表示部11に地図を表示することを選択したのか否かを判別する(ステップSA8)。
【0072】
ステップSA8において、ユーザが過去の道路交通情報を利用して表示部11に地図を表示することを選択していない場合(ステップSA8:NO)、制御部20は、道路交通情報を全く利用しない状態で表示部11に地図を表示し(ステップSA9)、処理を終了する。
一方、ユーザが過去の道路交通情報を利用して表示部11に地図を表示することを選択した場合(ステップSA8:YES)、制御部20の現在日時取得部30は、現在の曜日、季節、時間帯を取得する(ステップSA10)。次いで、制御部20は、平均混み具合テーブル42の各レコードの、区間フィールド40b、曜日フィールド40d、季節フィールド40e、及び、時間帯フィールド40fを参照し、地図に表示すべき区間に係るレコードであって、ステップSA10で現在日時取得部30によって取得された曜日、季節、時間帯の各々と、同一の曜日、季節、時間帯を示すデータが、対応するフィールドに格納されているレコードを特定する(ステップSA11)。
【0073】
ステップSA10、及び、ステップSA11の処理について、図4(A)の平均混み具合テーブル42を利用して説明する。なお、地図上に、地点T1から地点T2に至る区間を表示すべきものとする。ステップSA10において、現在日時取得部30によって取得された現在の曜日が「金曜日」、季節が「夏」、時間帯が「朝」であったとすると、制御部20は、ステップSA11において、曜日フィールド40dに金曜日を示すデータが、季節フィールド40eに夏を示すデータが、時間帯フィールド40fに朝を示すデータがそれぞれ格納されているレコードH1を特定する。
【0074】
レコードを特定した後、制御部20は、特定したレコードを利用して、表示部11に地図を表示する(ステップSA12)。例えば、図4(A)の平均混み具合テーブル42のレコードH1が特定されたレコードであるとすると、制御部20は、このレコードH1の平均混み具合フィールド40gに格納されているデータを参照し、地点T1から地点T2に至るまでの区間が「渋滞」であることを取得する。そして、制御部20は、地図上の地点T1から地点T2に至るまでの区間を赤色で表示し、これにより、地点T1から地点T2に至るまでの区間が渋滞していることを報知する。
【0075】
このように、本実施形態では、平均混み具合テーブル42を利用して地図を表示する際、制御部20は、平均混み具合テーブル42のレコードのうち、現在の曜日、季節、時間帯の各々と同一の値を示すデータが対応するフィールドに格納されたレコードを利用して地図を表示する。これは、以下の理由による。
【0076】
ある区間の混み具合は、曜日、季節、時間帯が同一であれば、大体同様の混み具合となると予想される。従って、ある区間の混み具合を示す過去のデータであって、取得された曜日、季節、時間帯が、現在の曜日、季節、時間帯と同一のデータは、現在の当該区間の混み具合を示すデータとして信頼性の高いデータである、ということができる。
これを鑑み、本実施形態では、道路交通情報を取得できず、従って、ある区間についての混み具合情報を取得できない場合は、過去に取得した混み具合情報であって、かつ、取得したときの曜日、季節、時間帯が、現在の曜日、季節、時間帯と同一の混み具合情報に基づいて生成されたデータ(ここでは、平均混み具合テーブル42の対応するレコードが備えるデータのこと)を利用して地図を表示する。これにより、ある区間についての混み具合情報が取得できない場合であっても、当該区間における混み具合を示すデータとして信頼性の高いデータを利用して、地図を表示することができ、ユーザに対して有益な情報を提供することができる。
【0077】
また、ステップSA12において、制御部20は、平均混み具合テーブル42のレコードを利用して、表示部11に地図を表示する。ここで、平均混み具合テーブル42のレコードの平均混み具合フィールド40gに格納されているデータは、混み具合テーブル40の複数(本実施形態では、3件以上)のレコードの混み具合フィールド40gに格納されている混み具合データが示す値の平均値を示すデータである。従って、平均混み具合テーブル42の平均混み具合フィールド40gに格納されているデータを利用して地図を表示することにより、過去に取得した混み具合情報が示す混み具合のうち任意の1件の混み具合を利用して表示部11に地図を表示する場合と比較して、信頼性が高い混み具合情報が含まれた地図を表示することができ、ユーザに対し有益な情報を提供することができる。
【0078】
ステップSA12の処理の実行後、制御部20は、受信異常検出部31の検出値に基づいて、道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別する(ステップSA13)。道路交通情報を取得できない状態である場合(ステップSA13:NO)、制御部20は、ステップSA12における処理と同様、平均混み具合テーブル42を利用した地図の表示を継続して行い(ステップSA14)、処理をステップSA13に戻し、再び、道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別する。
ステップSA13において、道路交通情報を取得できる状態である場合(ステップSA13:YES)、制御部20は、道路交通情報を取得できる状態である旨、及び、現在取得している道路交通情報を利用して地図を表示するようにするか否かを選択するための第2選択用タッチボタン51を表示する(ステップSA15)。
【0079】
図7(B)は、ステップSA15において、道路交通情報を取得できる状態である旨が表示されるとともに、上述した第2選択用タッチボタン51が表示部11に表示された状態のフロントパネル10を示す図である。ユーザは、表示部11に表示された第2選択用タッチボタン51をタッチ操作することにより、現在取得している道路交通情報を利用して地図を表示するようにするか否かを選択することができる。
【0080】
次いで、制御部20は、ユーザが第2選択用タッチボタン51をタッチ操作して、現在取得している道路交通情報を利用して地図を表示することを選択したか否かを判別する(ステップSA16)。ユーザが現在取得している道路交通情報を利用して地図を表示することを選択した場合(ステップSA16:YES)、制御部20は、平均混み具合テーブル42を利用して表示部11に地図を表示することを中止し(ステップSA17)、上述したステップSA2、ステップSA3の処理を実行する。
【0081】
一方、ユーザが現在取得している道路交通情報を利用して地図を表示しないことを選択した場合(ステップSA16:NO)、制御部20の代替情報生成部32は、受信している道路交通情報に基づいて、混み具合テーブル40、区間旅行時間テーブル41、平均混み具合テーブル42、平均区間旅行時間テーブル43、非類似混み具合テーブル44、及び、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成する(ステップSA18)。次いで制御部20は、上述したステップSA14の処理を実行する。
【0082】
次いで、経路案内機能実行時における車載情報処理装置1の動作について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
本実施形態における経路案内機能実行時では、車載情報処理装置1は、道路交通情報を取得できない場合は、ユーザの指示により平均区間旅行時間テーブル43を利用して経路案内を実行するとともに、道路交通情報を取得できない状態からできる状態へと移行した場合は、ユーザの指示によらず、取得した道路交通情報に基づいて経路案内を実行する構成となっている。
経路案内機能の実行に際し、まず、ユーザが操作部28を操作して、目的地を設定するとともに、経路案内の開始を指示する。これに伴い、ステップSB1において、車載情報処理装置1の制御部20に対し、目的地を示す信号が入力されるとともに、経路案内の開始を指示する信号が入力される。
【0083】
経路案内の開始が指示されると、制御部20は、受信異常検出部31の検出値に基づいて、車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別する(ステップSB2)。車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できる状態である場合(ステップSB2:YES)、制御部20は、受信した道路交通情報に含まれる区間旅行時間情報を利用して、経路案内を行う(ステップSB3)。例えば、制御部20は、現在地から目的地までの経路上に区間旅行時間情報を利用できる区間が存在する場合は、区間旅行時間情報を利用して、現在地から目的地までにかかる時間を算出したり、現在地から目的地までの最短ルートを検索したりし、算出した時間や、検索した最短ルートを表示部11に表示する。
ステップSB3の処理後、制御部20の代替情報生成部32は、取得している道路交通情報に基づいて、混み具合テーブル40、区間旅行時間テーブル41、平均混み具合テーブル42、平均区間旅行時間テーブル43、非類似混み具合テーブル44、及び、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成する(ステップSB4)。
【0084】
ステップSB2において、車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できる状態ではない場合(ステップSB2:NO)、制御部20は、道路交通情報を取得できない旨を表示部11に表示するとともに、過去の道路交通情報を利用して経路案内を行うか否かを選択するための第3選択用タッチボタン52(図7(C))を表示する(ステップSB5)。ここで、「過去の道路交通情報を利用して経路案内を行う」とは、制御部20の動作としては、記憶部21に記憶されたテーブルのうち、平均区間旅行時間テーブル43を利用して経路案内を行うことを意味する。
【0085】
図7(C)は、ステップSB5において、道路交通情報を取得できない旨が表示されるとともに、上述した第3選択用タッチボタン52が表示部11に表示された状態のフロントパネル10を示す図である。ユーザは、表示部11に表示された第3選択用タッチボタン52をタッチ操作することにより、過去の道路交通情報を利用して経路案内を行う、すなわち、記憶部21に記憶された平均区間旅行時間テーブル43を利用して経路案内を行うか否かを選択することができる。
【0086】
次いで、制御部20は、ユーザが第3選択用タッチボタン52をタッチ操作して、過去の道路交通情報を利用して経路案内を行うことを選択したのか否かを判別する(ステップSB6)。
ステップSB6において、ユーザが過去の道路交通情報を利用して経路案内を行うことを選択していない場合(ステップSB6:NO)、制御部20は、道路交通情報を利用しない状態で経路案内を行う(ステップSB7)。その後、制御部20は、受信異常検出部31の検出値に基づいて、車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別し(ステップSB8)、道路交通情報を取得できない状態の場合(ステップSB8:NO)、処理をステップSB7に戻し、道路交通情報を利用しない経路案内を継続して行う。
【0087】
ステップSB8において、道路交通情報を取得できる状態の場合(ステップSB8:YES)、制御部20は、道路交通情報を取得できる状態となった時点から、取得した道路交通情報に含まれる区間旅行時間情報を利用した経路案内を開始する(ステップSB9)。これは、現に取得した道路交通情報は、最新の情報であり、最も信頼性の高い情報だからである。次いで、制御部20は、処理を上述したステップSB3に移行する。
【0088】
一方、ステップSB6において、ユーザが過去の道路交通情報を利用して経路案内を行うことを選択した場合(ステップSB6:YES)、制御部20の現在日時取得部30は、現在の曜日、季節、時間帯を取得する(ステップSB10)。次いで、制御部20は、平均区間旅行時間テーブル43の各レコードの、区間フィールド40b、曜日フィールド40d、季節フィールド40e、及び、時間帯フィールド40fを参照し、目的地までの経路に含まれる、又は、含まれる可能性のある区間に係るレコードであって、ステップSB10で現在日時取得部30によって取得された曜日、季節、時間帯の各々と、同一の曜日、季節、時間帯を示すデータが、対応するフィールドに格納されているレコードを特定する(ステップSB11)。
【0089】
ステップSB10、及び、ステップSB11の処理について、図4(B)の平均区間旅行時間テーブル43を利用して説明する。なお、目的地までの経路に地点T1から地点T2に至る区間が含まれるものとする。ステップSB10において、現在日時取得部30によって取得された現在の曜日が「金曜日」、季節が「夏」、時間帯が「朝」であったとすると、制御部20は、ステップSB11において、曜日フィールド43dに金曜日を示すデータが、季節フィールド43eに夏を示すデータが、時間帯フィールド43fに朝を示すデータがそれぞれ格納されているレコードM1を特定する。
【0090】
レコードを特定した後、制御部20は、特定したレコードを利用して、経路案内を実行する(ステップSB12)。例えば、図4(B)の平均区間旅行時間テーブル43のレコードM1が特定されたレコードであるとすると、制御部20は、このレコードM1の平均区間旅行時間データを利用して、現在地から目的地までにかかる時間を算出したり、現在地から目的地までの最短ルートを検索したりし、算出した時間や、検索した最短ルートを表示部11に表示して経路案内を行う。
【0091】
ステップSB12の処理後、制御部20は、受信異常検出部31の検出値に基づいて、車載情報処理装置1が道路交通情報を取得できる状態であるか否かを判別する(ステップSB13)。道路交通情報を取得できる状態ではない場合(ステップSB13:NO)、制御部20は、ステップSB12の処理を引き続き実行し、平均区間旅行時間テーブル43を利用して経路案内を行う。
ステップSB13において、道路交通情報を取得できる状態である場合(ステップSB13:YES)、制御部20は、上述したステップSB9の処理を実行する。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態に係る車載情報処理装置1は、道路交通情報を受信し、取得するFM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27と、道路交通情報を報知する表示部11と、を備えている。さらに、車載情報処理装置1は、FM多重受信処理部25、又は、ビーコン受信処理部27によって取得された道路交通情報に基づいて、道路交通情報の代替情報である混み具合テーブル40、区間旅行時間テーブル41、平均混み具合テーブル42、平均区間旅行時間テーブル43、非類似混み具合テーブル44、非類似区間旅行時間テーブル45のレコードを生成する代替情報生成部32と、FM多重受信処理部25、又は、ビーコン受信処理部27による受信の異常を検出する受信異常検出部31と、を備えている。そして、受信異常検出部31の検出値に基づいて、道路交通情報が取得できないことが検出された場合、上述した各テーブルの内容に基づいて、道路交通情報に代替する情報が表示部11に表示去ることによりユーザに提供される。このため、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27のいずれによっても道路交通情報を取得できない場合であっても、ユーザに対し道路交通情報に基づく有益な情報を提供することができる。
【0093】
また、本実施形態に係る車載情報処理装置1は、地図を表示する表示部11を備えており、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報に含まれる混み具合情報を取得できない場合は、代替情報生成部32によって生成された平均混み具合テーブル42を利用して、地図を表示する。このため、混み具合情報が受信できない場合であっても、代替情報生成部32によって生成された平均混み具合テーブル42を利用して、道路交通情報に基づく有益な情報をユーザに提供した状態で表示部11に地図を表示することができる。
【0094】
また、本実施形態に係る車載情報処理装置1は、目的地までの経路を案内する経路案内機能を備え、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報に含まれる区間旅行時間情報を取得できない場合は、代替情報生成部32によって生成された平均区間旅行時間テーブル43を利用して、経路案内する。このため、区間旅行時間情報が受信できない場合であっても、代替情報生成部32によって生成された平均区間旅行時間テーブル43を利用して、道路交通情報に基づく有益な情報をユーザに提供した状態で経路案内することができる。
【0095】
また、本実施形態では、FM多重受信処理部25、及び、ビーコン受信処理部27によって道路交通情報に含まれる区間旅行時間情報を取得できない場合は、平均区間旅行時間テーブル43のレコードの平均区間旅行時間データを利用して、経路案内する。ここで、平均区間旅行時間データは、ある区間の統計的な区間旅行時間を示すデータとして、区間旅行時間テーブル41の当該区間に係る複数のレコードに基づいて、統計的手法によって算出された値を示すデータである。そして、本実施形態によれば、区間旅行時間情報を取得できない場合であっても、この統計的手法によって算出された信頼性の高い平均区間旅行時間データを利用して、ユーザに有益な情報を提供した状態で経路案内することができる。
なお、同様のことは、平均混み具合データについても言うことができる。
【0096】
また、本実施形態では、平均区間旅行時間データの値は、この平均区間旅行時間データの値を算出する際に利用される区間旅行時間データのうち、時間的に新しい区間旅行時間データが最も反映されるような計算式によって算出される。従って、平均区間旅行時間データを、現実の区間旅行時間をより反映したデータとすることができる。
なお、同様のことは平均混み具合データについても言うことができる。
【0097】
また、本実施形態では、平均混み具合データ、及び、平均区間旅行時間データのそれぞれは、曜日データ、季節データ、及び、時間帯データと対応付けて記憶されており、道路交通情報を取得できない場合、現在の曜日、季節、及び、時間帯と同一の曜日、季節、及び、時間帯を示すデータを有するレコードの平均混み具合データ、又は、平均区間データを特定し、特定した平均混み具合データ、又は、平均区間データを利用して、地図の表示や経路案内を行う。
ここで、ある区間の混み具合、及び、区間旅行時間は、曜日、季節、時間帯が同一であれば、大体、同様の混み具合、区間旅行時間となると予想される。従って、ある区間の混み具合、又は、区間旅行時間を示す過去のデータであって、取得された曜日、季節、時間帯が、現在の曜日、季節、時間帯と同一のデータは、現在の当該区間の混み具合、又は、区間旅行時間を示すデータとして信頼性の高いデータである、ということができる。
これを鑑み、本実施形態では、道路交通情報を取得できず、従って、ある区間についての混み具合情報、及び、区間旅行時間情報を取得できない場合は、過去に取得した混み具合情報、又は、区間旅行時間情報であって、かつ、取得したときの曜日、季節、時間帯が、現在の曜日、季節、時間帯と同一の混み具合情報、又は、区間旅行時間情報に基づいて生成されたデータ(ここでは、平均混み具合テーブル42の対応するレコードが備えるデータのこと、又は、平均区間旅行時間テーブル43の対応するレコードが備えるデータのこと)を利用して地図を表示したり、経路案内したりする。これにより、ある区間についての混み具合情報、及び、区間旅行時間情報が取得できない場合であっても、当該区間における混み具合、又は、区間旅行時間を示すデータとして信頼性の高いデータを利用して、地図を表示することができ、ユーザに対して有益な情報を提供することができる。
なお、本実施形態では、曜日、季節、時間帯の全てを利用する場合について説明したが、このうちのいずれか一つを利用ようにしてもよい。この場合であっても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0098】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、平均区間旅行時間データの値は、この平均区間旅行時間データの値を算出する際に利用される区間旅行時間データのうち、時間的に新しい区間旅行時間データが最も反映されるような計算式によって算出されていたが、平均区間旅行時間データの値の算出方法は、これに限らず、単純に平均値を算出したり、また、確率論から分散や偏差の手法を用いて算出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、道路交通情報に、混み具合情報や、区間旅行時間情報が含まれる場合を例にして説明した。しかしながら、道路交通情報に、コンサートやスポーツのイベントなどに関する情報が追加された場合、当該情報を取得できるときに代替情報生成部32によって当該情報によってテーブルを作成するとともに、当該情報を取得できないときに作成したテーブルを利用してユーザに有益な情報を提供するようにしてもよい。
また、本実施形態では、表示部11に表示することにより道路交通情報をユーザに報知する場合を例にしたが、音声によって道路交通情報を報知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態に係る車載情報処理装置のフロントパネルを示す図である。
【図2】車載情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】(A)は、混み具合テーブルの構成を模式的に示す図であり、(B)は、区間旅行時間テーブルの構成を模式的に示す図である。
【図4】(A)は、平均混み具合テーブルの構成を模式的に示す図であり、(B)は、平均区間旅行時間テーブルの構成を模式的に示す図である。
【図5】(A)は、非類似混み具合テーブルの構成を模式的に示す図であり、(B)は、非類似区間旅行時間テーブルの構成を模式的に示す図である。
【図6】車載情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】(A)、(B)、及び、(C)は、表示部に各種表示がされたときのフロントパネルを示す図である。
【図8】車載情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 車載情報処理装置
11 表示部(報知手段)
25 FM多重受信処理部(受信手段)
27 ビーコン受信処理部(受信手段)
31 受信異常検出部(受信異常検出手段)
32 代替情報生成部(代替情報生成手段)
40 混み具合テーブル
41 区間旅行時間テーブル
42 平均混み具合テーブル
43 平均区間旅行時間テーブル
44 非類似具合テーブル
45 非類似区間旅行時間テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路交通情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された道路交通情報をユーザに報知する報知手段と、を備える車載情報処理装置において、
前記受信手段によって受信された道路交通情報に基づいて、当該道路交通情報の代替情報を生成する代替情報生成手段と、
前記受信手段による受信の異常を検出する受信異常検出手段と、を備え、
前記報知手段は、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、ユーザに報知すべき道路交通情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を報知する
ことを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項2】
地図を表示する表示部をさらに備え、
前記道路交通情報には、前記地図に表示される区間の混み具合を示す混み具合情報が含まれ、
前記代替情報生成手段は、前記受信手段によって受信された混み具合情報に基づいて、当該混み具合情報の代替情報を生成し、
前記報知手段は、前記表示部に前記地図を表示時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、前記地図に表示する区間の混み具合情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を利用して前記地図を前記表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の車載情報処理装置。
【請求項3】
前記代替情報生成手段によって生成された混み具合情報の代替情報を累積的に記憶するとともに、ある区間の混み具合情報の代替情報が複数存在する場合、これら複数の代替情報に基づいて、当該区間の統計的な混み具合を示す統計的混み具合情報を算出し、
前記報知手段は、前記表示部に前記地図を表示時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、当該区間を前記地図に表示する場合、当該区間の統計的混み具合情報を利用して前記地図を前記表示部に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の車載情報処理装置。
【請求項4】
複数の混み具合情報の代替情報のうち、代替情報の元となった道路交通情報が取得されたときが、現在に時間的に近い代替情報ほど反映されるように統計的混み具合情報を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の車載情報処理装置。
【請求項5】
目的地までの経路を案内する経路案内機能をさらに備え、
前記道路交通情報には、案内される経路に係る区間の区間旅行時間を示す区間旅行時間情報が含まれ、
前記代替情報生成手段は、前記受信手段によって受信された区間旅行時間情報に基づいて、当該区間旅行時間情報の代替情報を生成し、
前記報知手段は、経路案内時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、案内する経路に係る区間の区間旅行時間情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を利用して経路案内を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車載情報処理装置。
【請求項6】
前記代替情報生成手段によって生成された区間旅行時間情報の代替情報を累積的に記憶するとともに、ある区間の区間旅行時間情報の代替情報が複数存在する場合、これら複数の代替情報に基づいて、当該区間の統計的な区間旅行時間を示す統計的区間旅行時間情報を算出し、
前記報知手段は、経路案内時、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合であって、当該区間が案内する経路に含まれる場合、当該区間の統計的区間旅行時間情報を利用して経路案内を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の車載情報処理装置。
【請求項7】
複数の区間旅行時間情報の代替情報のうち、代替情報の元となった道路交通情報が取得されたときが、現在に時間的に近い代替情報ほど反映されるように統計的区間旅行時間情報を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の車載情報処理装置。
【請求項8】
前記代替情報生成手段によって生成された代替情報と、当該代替情報に係る道路交通情報が取得されたときの時間に関する情報とを対応付けて記憶し、
前記報知手段は、前記受信異常検出手段により受信の異常が検出された場合、現在の時間に関する情報と、記憶された時間に関する情報との比較結果に基づいて、前記代替情報生成手段によって生成された代替情報から、ユーザに報知すべき代替情報を特定し、特定した代替情報を報知する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車載情報処理装置。
【請求項9】
時間に関する情報には、曜日、季節、又は、時間帯に関する情報のうち少なくとも1つの情報が含まれる
ことを特徴とする請求項8に記載の車載情報処理装置。
【請求項10】
道路交通情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された道路交通情報をユーザに報知する報知手段と、を備える車載情報処理装置の制御方法であって、
前記受信手段によって受信された道路交通情報に基づいて、当該道路交通情報の代替情報を生成し、
前記受信手段による受信の異常が検出された場合であって、ユーザに報知すべき道路交通情報の代替情報が前記代替情報生成手段によって生成されている場合、当該代替情報を報知する
ことを特徴とする車載情報処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−210304(P2010−210304A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54463(P2009−54463)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】