説明

車載用ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】高高地で車両を運転する際の運転者の注意力低下を補い、より安全な運転を可能にするための技術を提供する。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置は、現在地の高度が所定の高高度域に該当すると判定した場合(S110)、経路案内又は注意喚起に係る報知態様を、平常時における所定の報知態様に対して報知内容を強化又は追加した高高度向けの報知態様に設定する。具体的には、表示領域を拡大する(S120)、報知タイミングを早くする(S130)、報知音声の音量を増加する(S140)、ユーザによりオフに設定された報知機能を強制的にオンにする(S150)、車載報知装置との連携報知を実施する(S170)等の手法によって高高地での報知内容を強化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路案内や車両の運転者に対する注意喚起等を行う車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路案内や運転者に対する注意喚起等を行う車載用ナビゲーション装置が広く普及している。この種の車載用ナビゲーション装置においては、平面の地図データと、これに付随する高度データとを用いることで地図を立体的に表示するものが案出されている(例えば、特許文献1,2参照)。このような車載用ナビゲーション装置によれば、リアリティに富んだ地図を表示することが可能である。
【特許文献1】特開平11−44545号公報
【特許文献2】特開2005−195475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車載用ナビゲーション装置が普及し、多くの車両に広く搭載されるようになったことで、その利用範囲も広がっている。例えば、高度3000m〜5000m級の高高地に整備された道路にも、車載用ナビゲーション装置を搭載した車両が走行するようになりつつある。一方、高度が上がるにつれて大気圧は徐々に下がるため、大気中の酸素の分圧も下がる。個人差もあるが、3000m以上の高高度ともなれば酸素量の低下により、人体において集中力や知的明晰さの低下といった影響が顕著になる。したがって、高高地で車両を運転する場合、運転者の注意力が低下しているために、低地での運転ではまず見逃さないであろう注意点を見逃してしまう可能性も考えられる。そこで、車両が高高地を走行する場合、運転者の注意力の低下を補うために経路案内や注意喚起の内容を通常よりも強化するといった技術的なサポートをすることで、高高地を走行中における安全性を向上させることが望まれる。
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術では、高度データを用いることでリアリティに富んだ表示態様を実現しているが、高高地における安全性の向上については考慮されておらず、上述のような問題を解決することはできない。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされており、高高地で車両を運転する際の運転者の注意力低下を補い、より安全な運転を可能にするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置は、目的地までの経路案内又は所定のタイミングでの注意喚起の少なくとも何れかを車両の運転者に対して行う車載用ナビゲーション装置であって、高高度判定手段と、設定手段と、報知制御手段とを備える。
【0007】
高高度判定手段は、車両の現在位置の高度が所定の高高度域に該当するか否かを判定する。設定手段は、高高度判定手段により現在地の高度が所定の高高度域に該当すると判定された場合、経路案内又は注意喚起に係る報知態様を、平常時における所定の報知態様に対して報知内容を強化又は追加した高高度向けの報知態様に設定する。一方、高高度判定手段により現在地が所定の高高度以上の地域に該当しないと判定された場合、経路案内又は注意喚起の報知態様を平常時における所定の報知態様に設定する。報知制御手段は、設定手段により設定された報知態様に沿った報知内容で前記経路案内及び前記注意喚起を報知部に報知させる。
【0008】
なお、ここでいう所定の高高度とは、例えば大気圧の低下に伴う運転者の注意力低下が懸念される高度とすることが考えられる。
このように構成された車載用ナビゲーション装置によれば、車両が高高地を走行中においては、平常時(低地)の報知態様より内容を強化した経路案内及び注意喚起を車両の運転者に対して行うことができる。このようにすることで、運転者の注意力が低下しがちな高高地において、報知内容を運転者に強く認識させることで運転者の注意力低下を補うことができ、より安全な運転が可能になる。
【0009】
なお、高高度向けの報知態様として、経路案内及び注意喚起の報知内容を音声で出力する場合には、請求項2に記載のように、音声による経路案内又は前記注意喚起の音量を平常時の音量よりも増加するとよい。このように、高高地において案内音声の音量を平常時の音量よりも増加させることで、運転者に対して報知内容を聴覚的に強く認識させることができ、高高地での運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。
【0010】
さらに、高高度向けの報知態様として経路案内及び注意喚起の報知内容を表示によって提示する場合には、請求項3に記載のように、経路案内又は前記注意喚起の表示を平常時の表示よりも強調化するとよい。表示を強調化する具体例としては、例えば、画面上でポップアップにより表示される案内表示画像の表示領域を通常のものより大きくすることが考えられる。また、案内表示画像に対して、点滅や反転、装飾の追加、色彩の変更等といった種々の演出を加えることで、平常時の表示態様よりも強調化させるといった手法も考えられる。
【0011】
このように、高高地において経路案内及び注意喚起の表示を平常時の表示よりも強調化することで、運転者に対して報知内容を聴覚的に強く認識させることができ、高高地での運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。
【0012】
さらに、高高度向けの報知態様として、請求項4に記載のように、経路案内又は前記注意喚起を報知するタイミングを平常時のものより早いタイミングに設定するとよい。このようにすることで、高高地で運転者の注意力が低下している状況において、運転者に対して経路案内や注意喚起の対象をより早く認識させることができ、運転者にとって事前の対応をとり易くすることができる。よって、経路案内や注意喚起を実施するタイミングを変更することによっても、高高地での運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。
【0013】
ところで、車載用ナビゲーション装置の中には、例えばカーブに対する事前の注意喚起を行う機能をユーザの選択によってオン/オフするといった具合に、特定の報知機能の実施に対する許否をユーザの選択によってカスタマイズできるものがある。すなわち、ユーザは、その報知機能がなくとも自ら安全を確認しながら運転が可能であると判断すれば、その報知機能を自らオフにしておくことができる。しかしながら、平常時において運転者自ら安全を確認できるような状況に対しても、高高地において運転者の注意力が低下している場合には報知機能によるサポートが必要になることも考えられる。
【0014】
そこで、請求項5に記載のように構成するとよい。すなわち、車載用ナビゲーション装置は、経路案内又は注意喚起に係る特定の報知機能に対して、当該報知機能の実施の許否をユーザからの指示により設定可能に構成されている。そして、設定手段は、高高度向けの報知態様として、ユーザからの指示により不実施に設定されている特定の報知機能の実施を一時的に許可設定にする。
【0015】
このように構成することで、ユーザの指示によりオフに設定されている報知機能を高高地において強制的にオンに設定することができる。よって、平常時には実行されない報知機能が高高地において自動的に実行されることになり、高高地における運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。
【0016】
つぎに、請求項6に記載の車載用ナビゲーション装置は、次のような特徴を有する。車両の運転者に対して情報を報知するために当該車両に設けられ、かつ当該車載用ナビゲーション装置外の装置である外部報知装置との間で通信可能に構成されており、報知制御手段は、外部報知装置を制御して経路案内又は注意喚起を報知させる機能を有している。そして、設定手段は、平常時の報知態様においては、外部報知装置を用いての経路案内又は注意喚起の報知を実行しない設定とし、高高度向けの報知態様においては、外部報知装置を用いての経路案内又は注意喚起の報知を実行する設定とする。
【0017】
このように構成することで、高高地を走行中においては車載用ナビゲーション装置が自ら備える報知部(例えば、表示装置や音声出力装置等)以外に、車両に備えられた外部報知装置と連携して経路案内や注意喚起に係る報知を実行することができ、高高地における運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。なお、本発明の車載用ナビゲーション装置と連携する外部報知装置としては、例えば車両のメータパネルや車室内に設けられる表示灯や音声出力装置、あるいはヘッドアップディスプレイ等が挙げられる。
【0018】
ところで、高度が上がれば上がる程、集中力や知的明晰さの低下といった人体への影響は次第に大きくなっていくため、運転者の注意力低下を補うため、高度に応じて報知態様の強化の程度を次第に増していくことが望ましいと考えられる。
【0019】
そこで、請求項7に記載のように構成するとよい。すなわち、高高度判定手段は、車両の現在位置の高度が、所定の高度範囲ごとに段階的に設定されている複数の段階の高高度域のうちの何れに該当するかを判定する。また、設定手段は、高高度域の各段階にそれぞれ対応し、かつ高高度域の段階が高いほど報知内容の強化又は追加の程度が段階的に高くなる複数の段階の高高度向け報知態様を設定可能に構成されている。そして、高高度判定手段により現在地の高度が何れかの段階の高高度域に該当すると判定された場合、経路案内又は注意喚起の報知態様を、この判定された段階に対応する段階の高高度向け報知態様に設定する。
【0020】
このように構成することで、高度が高くなるにつれて報知内容が段階的に強化されるので、運転者の注意力低下を効果的に補うことができるようになり、好適である。
以上で説明したような車載用ナビゲーション装置における高高度判定手段、設定手段及び報知制御手段をコンピュータシステムで実現するには、請求項8に記載のようにコンピュータシステム上で稼動するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えば磁気/光/光磁気ディスク、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータにて読取可能な記憶媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上記各手段としての機能を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく態様にて実施することが可能である。
[車載用ナビゲーション装置1の構成の説明]
図1は、実施形態の車載用ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、車載用ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、地図データやプログラム等を記憶する大容量記憶装置であるハードディスクドライブ(HDD)23と、各種情報を記憶する外部メモリ24と、地図表示画面等の各種表示を行うための表示装置25と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置26と、制御部29とを備える。また、車載用ナビゲーション装置1には、車両に設けられた車載報知装置3が通信可能に接続されている。
【0023】
位置検出器21は、GPS用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置座標や高度を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ21bと、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。
【0024】
操作スイッチ群22は、表示装置25と一体に構成され表示面上に設置されるタッチパネル及び表示装置25の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等で構成されている。
【0025】
HDD23は、制御部29からの制御に基づいてハードディスクに記憶されているデータを読み出し、これを制御部29へ入力する記憶装置である。HDD23が記憶しているデータは、道路の接続状況を示す道路データ及び地図表示に必要な描画データ等からなる地図データや、マップマッチング用のデータ、経路案内及び注意喚起のための報知用のデータ、車載用ナビゲーション装置1の作動のためのプログラム、意匠画像データ等を含む各種データである。
【0026】
外部メモリ24は、高高地判定エリアデータ等の各種データを記憶するためのものである。この外部メモリ24には、電気的又は磁気的に記憶内容を書き換え可能で、かつ、電源を切っても記憶内容を保持できる記憶装置(例えば、不揮発性半導体メモリ等)を用いる。
【0027】
ここで、高高地判定エリアデータについて、図2に基づき説明する。図2は、高高地判定エリアデータの概要を模式的に示す説明図である。高高地判定エリアデータは、地図座標平面を所定の緯度・経度ごとに区切ったメッシュ状の分割エリアに対して、高度の程度を段階的示した符号をそれぞれ割り当てたデータである。
【0028】
例えば、図2(a)に示すように、緯度・経度の座標(X1,Y1),(X2,Y1),(X1,Y2),(X2,Y2)を頂点とする地図座標領域の中央付近において、高度3000m以上の高高度地域が斑状に分布すると仮定する。この地図座標領域に対応する高高地判定エリアデータを作成する場合、この地図座標領域をさらに細かく分割した分割エリアを定義する。そして、図2(b)に示すように、分割エリア内での高度の最高値が3000m以上4000m未満である分割エリアに対しては、当該分割エリアが高高地エリアのレベル1である旨を示す「1」の符号を割り当てる。また、分割エリア内での高度の最高値が4000m以上5000m未満である分割エリアに対しては、当該分割エリアが高高地エリアのレベル2である旨を示す「2」の符号を割り当てる。また、分割エリア内での高度の最高値が5000m以上である分割エリアに対しては、当該分割エリアが高高地エリアのレベル3である旨を示す「3」の符号を割り当てる。すなわち、各分割エリアに割り当てられる高高地エリアのレベル(以下、高高度レベルと称する)は、高度が高くなるにつれて高くなっている。
【0029】
一方、高度3000m以上の高高度地域が含まれない分割エリアに対しては、当該分割エリアが高高地エリア以外の低地である旨を示す「0」の符号を割り当てる。このようにして定義される高高地判定エリアデータは、HDD23に格納されている地図データで示される地図座標領域の一部又は全部について、この地図座標領域を分割した個々の分割エリアごとに高高度レベルを定義するテーブルデータとして外部メモリ24に予め格納されている。
【0030】
図1の説明に戻る。表示装置25は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置である。表示装置25は、制御部29からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示面に表示可能である。例えば、車両が走行中においては、ナビゲーション画面として位置検出器21にて検出した車両の現在位置とハードディスクドライブ23から入力された地図データとから特定した現在位置周辺の地図上に、現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種ランドマークのシンボル等の付加データとが重ねて表示される。また、交差点での方向案内や急カーブ等の注意ポイントに対する警告メッセージ等もポップアップにより表示される。
【0031】
音声出力装置26は、各種情報を音声にてユーザに報知できるように構成されている。これによって、表示装置25による表示と音声出力装置26からの音声出力との両方でユーザに対してルート案内やカーブ警告等の各種経路案内及び注意喚起をすることができる。
【0032】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した各部構成を制御する。この制御部29は、ROMやHDD23、外部メモリ24等から読み込んだプログラムや各種データに従って種々の処理を実行する。
【0033】
例えば、ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理は、位置検出器21からの各検出信号に基づいて車両の現在位置を算出し、HDD23から読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置25に表示する処理である。また、経路案内処理は、HDD23に格納された地点データと、操作スイッチ群22等の操作に従って設定された目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの最適な経路である目的地経路を算出し、現在位置と目的地経路との関係を考慮して目的までの走行案内を表示と音声とにより行う処理である。このように自動的に最適な経路を設定する手法として、ダイクストラ法によるコスト計算等の手法が知られている。
【0034】
また、制御部29は、本発明の特徴的な処理として、走行中の経路案内及び注意喚起の報知態様を現在位置の高度に応じて段階的に変化させる「報知態様変更処理」を実行する。この報知態様変更処理の詳細な内容については後述する。
【0035】
車載用ナビゲーション装置1に接続される車載報知装置3は、例えば、車両のメータパネルに設けられた表示灯や音声出力装置、運転者の視界内に直接映像を直接投影するヘッドアップディスプレイ等の、表示や音声により運転車に対して情報を報知するための装置である。これらの車載報知装置3は、車載用ナビゲーション装置1の制御部29からの制御に基づき各種情報を運転者に対して報知する。
【0036】
[報知態様変更処理の説明]
つぎに、車載用ナビゲーション装置1の制御部29が実行する上述の報知態様変更処理の詳細な内容について、図3,4を参照しながら説明する。
【0037】
図3は、制御部29が実行する報知態様変更処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、車載用ナビゲーション装置1の起動中において繰り返し実行される処理である。
【0038】
制御部29は、処理を開始すると、まず現在位置の高度を取得する(S100)。ここでは、位置検出器21に基づいて車両の現在位置を検出し、これを上述の高高地判定エリアデータ(図2参照)に照合することで、高高地エリア判定データから現在位置の座標に該当する分割エリアの部分を参照し、この分割エリアに割り当てられた符号(レベル0〜3)を現在位置の高度として取得する。あるいは、GPS受信機21aで受信した電波信号に基づく三次元測位により、現在位置の高度を測定するような構成であってもよい。
【0039】
つぎに、現在位置の高度レベルを判定する(S110)。ここでは、現在位置が低地又は高高度レベル1〜3の何れに該当するかを判定する。なお、S100において、高高地エリア判定データから現在位置の高度を取得した場合は、現在位置に該当する分割エリアに割り当てられた符号から現在位置が低地又は高高度レベル1〜3の何れかに該当するか判定する。一方、S100において、GPS受信機21aで受信した電波信号に基づく三次元測位により高度を測定した場合は、高度が3000m未満であれば低地、3000m以上4000m未満であれば高高度レベル1、4000m以上5000m未満であれば高高度レベル2、5000m以上であれば高高度レベル3であると判定する。
【0040】
そして、S110で判定した高度レベルに応じて、経路案内及び注意喚起の表示に用いるポップアップウィンドウの表示領域を設定する(S120)。ここでは、経路案内や注意喚起を報知するメッセージを表示装置25の画面上に表示する際に用いるポップアップウィンドウの大きさを高度レベルに応じて設定する。ポップアップウィンドウは、情報の報知を実行する都度、画面の最前面に所定サイズの表示枠(ウィンドウ)を開き、そこに情報を提示するためのものであり、例えば、交差点での進路案内、レーン案内、有料道路の出入り口案内、急カーブの警告等といった種々の経路案内及び注意喚起に用いられる。
【0041】
そして、現在位置が低地であれば、ポップアップウィンドウの大きさを平常サイズ(最小)に設定する。一方、現在位置が高高度レベル1であれば、ポップアップウィンドウの大きさを平常サイズよりも1段階大きいサイズ(レベル1)に設定する。また、現在位置が高高度レベル2であれば、ポップアップウィンドウの大きさをレベル1のサイズよりも更に1段階大きいサイズ(レベル2)に設定する。また、現在位置が高高度レベル3であれば、ポップアップウィンドウの大きさをレベル2のサイズよりも更にもう1段階大きいサイズ(レベル3:最大)に設定する。
【0042】
つぎに、S110で判定した高度レベルに応じて、経路案内及び注意喚起の報知タイミングを設定する(S130)。ここでは、高度レベルが高い程、交差点や有料道路の出入り口、カーブ等の目的物に対応する経路案内や注意喚起の報知タイミングが早くなるように設定する。具体的には、車両の現在位置と目的物との距離が基準値以下になったときに当該目的物に対応する経路案内又は注意喚起を実施するものであれば、この基準値を大きくすれば報知タイミングを早めることができ、基準値を小さくすれば報知タイミングを遅くすることができる。
【0043】
そして、現在位置が低地であれば、経路案内及び注意喚起の報知タイミングを平常時のタイミング(最も遅い)に設定する。一方、現在位置が高高度レベル1であれば、経路案内及び注意喚起の報知タイミングを平常時よりも1段階早いタイミング(レベル1)に設定する。また、現在位置が高高度レベル2であれば、経路案内及び注意喚起の報知タイミングをレベル1よりも更に1段階早いタイミング(レベル2)に設定する。また、現在位置が高高度レベル3であれば、経路案内及び注意喚起の報知タイミングをレベル2よりも更にもう1段階早いタイミング(レベル3:最も早い)に設定する。
【0044】
つぎに、S110で判定した高度レベルに応じて、経路案内及び注意喚起を音声で報知する際の音量を設定する(S140)。ここでは、高度レベルが高い程、経路案内や注意喚起の音量が大きくなるように設定する。そして、現在位置が低地であれば、経路案内及び注意喚起の音量を平常時の音量(最小)に設定する。一方、現在位置が高高度レベル1であれば、経路案内及び注意喚起の音量を平常時よりも1段階大きい音量(レベル1)に設定する。また、現在位置が高高度レベル2であれば、経路案内及び注意喚起の音量をレベル1よりも更に1段階大きい音量(レベル2)に設定する。また、現在位置が高高度レベル3であれば、経路案内及び注意喚起の音量をレベル2よりも更にもう1段階大きい音量(レベル3:最大)に設定する。
【0045】
つぎに、S110で判定した高度レベルに応じて、ユーザからの指示により設定されている報知機能のオン/オフに対する設定変更を行う(S150)。本実施形態の車載用ナビゲーション装置1では、経路案内及び注意喚起に係る特定の報知機能に対して、この報知機能オン/オフの設定を予めユーザが選択できる機能を備えていると想定している。つまり、ユーザが不要であると思う報知機能をオフに設定することで、当該報知機能に係る経路案内又は注意喚起を行わないように設定できるものである。
【0046】
そして、S150では、現在位置が高高度地レベル1〜3の何れかに該当する場合には、ユーザからの指示によってオフに設定されている報知機能を強制的にオンに設定する。ここでは、高高度レベル1〜3の何れかに該当する場合に、複数の報知機能の全てを一斉にオンに設定するように構成してもよいし、高高度レベル1〜3の各レベルに応じて複数の報知機能を段階的に順次オンに設定するような構成であってもよい。一方、現在位置が低地に該当する場合には、各報知機能に対するオン/オフの設定を、ユーザからの指示により選択されたオン/オフの状態に設定する。
【0047】
つぎに、S110で判定した高度レベルに応じて、車載報知装置3との連携による報知のオン/オフを設定する(S160)。本実施形態の車載用ナビゲーション装置1では、車両に設けられた車載報知装置3と連携することで、経路案内及び注意喚起に係る情報を運転車に対して報知できる機能を備えていると想定している。つまり、車載用ナビゲーション装置1の表示装置25及び音声出力装置26において経路案内及び注意喚起を報知すると共に、車載報知装置3(表示灯、音声出力装置、ヘッドアップディスプレイ等)からも運転者に対して所定の情報を提示できる。
【0048】
そして、S160では、現在位置が高高度レベル1〜3の何れかに該当する場合には、車載報知装置3との連携をオンに設定する。なお、複数の車載報知装置3との連携が可能である場合、高高度レベル1〜3の何れかに該当する場合に、全ての車載報知装置3との連携を一斉にオンに設定するような構成であってもよいし、高高度レベル1〜3の各レベルに応じて複数の車載報知装置との連携を段階的に順次オンに設定するような構成であってもよい。
【0049】
つぎに、S120〜S160の各処理で設定した報知態様に沿って、地図データの基づく経路案内及び注意喚起を実施する。なお、車載用ナビゲーション装置における経路案内及び注意喚起に係る具体的な処理内容については公知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0050】
つぎに、高度レベルに応じた実際の報知態様の変化について、図4に基づき説明する。図4は、高度レベルに応じた報知態様の一例を模式的に示す説明図である。
図4では、交差点を対象とする方向案内の報知態様を想定しており、(a)は、平常時(低地)における報知態様を、(b)は高高度レベル1における報知態様を、(c)は高高度レベル2における報知態様を、(d)は高高度レベル3における報知態様を示している。
【0051】
図4(a)に示すように、平常時では、交差点の手前100mの地点に車両が到達したタイミングで、交差点での進行方向を示す経路誘導情報のポップアップウィンドウが表示装置25の地図表示領域の手前に表示される。これに同期して、交差点までの距離及び進行方向を告げる音声メッセージが、通常レベルの音量で出力される。
【0052】
一方、図4(b)に示すように、高高度レベル1においては、交差点まで200mの地点に車両が到達したタイミングで、経路誘導情報のポップアップウィンドウが平常時よりも大きいサイズで表示される。これに同期して、交差点までの距離及び進行方向を告げる音声メッセージが、通常レベルの音量よりも大きいレベル1の音量で出力される。なお、この報知タイミングは、平常時の報知タイミングよりも早いタイミングである。
【0053】
さらに、図4(c)に示すように、高高度レベル2においては、交差点の手前300mの地点に車両が到達したタイミングで、経路誘導情報のポップアップウィンドウが高高度レベル1のものよりも更に大きいサイズで表示される。これに同期して、交差点までの距離及び進行方向を告げる音声メッセージが、レベル1の音量よりも更に大きいレベル2の音量で出力される。なお、この報知タイミングは、高高度レベル1の報知タイミングよりも更に早いタイミングである。
【0054】
また、図4(d)に示すように、高高度レベル3においては、交差点の手前500mの地点に車両が到達したタイミングで、経路誘導情報のポップアップウィンドウが高高度レベル2のものよりも更に大きいサイズで表示される。これに同期して、交差点までの距離及び進行方向を告げる音声メッセージが、レベル2の音量よりも更に大きいレベル3の音量で出力される。なお、この報知タイミングは、高高度レベル2の報知タイミングよりも更に早いタイミングである。
【0055】
[効果]
このように構成された車載用ナビゲーション装置によれば、車両が高高地エリアを走行中においては、平常時(低地)の報知態様より内容を強化した経路案内及び注意喚起を車両の運転者に対して行うことができる。このようにすることで、運転者の注意力が低下しがちな高高地において、報知内容を運転者に強く認識させることで運転者の注意力低下を補うことができ、より安全な運転が可能になる。
【0056】
具体的は、経路案内及び注意喚起を音声で報知する際の音量を増大することにより、運転者に対して報知内容を聴覚的に強く認識させることができる。また、経路案内及び注意喚起を表示で報知する際の表示領域(ポップアップウィンドウ)を拡大することにより、運転者に対して報知内容を聴覚的に強く認識させることができる。また、経路案内及び注意喚起の報知タイミングを平常時よりも早くすることで、高高地で運転者の注意力が低下している状況において、運転者に対して経路案内や注意喚起の対象をより早く認識させることができる。
【0057】
さらに、ユーザの指示によりオフに設定されている報知機能を高高地において強制的にオンに設定することができる。これにより、平常時には実行されない報知機能が高高地エリアを走行中において自動的に実行されることになり、高高地における運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。また、高高地エリアを走行中においては車載用ナビゲーション装置1が自ら備える表示装置25や音声出力装置26以外に、車両に備えられた車載報知装置と連携して経路案内や注意喚起に係る報知を実行することで、高高地における運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。また、高度が高くなるにつれて報知内容が段階的(高高度レベル1〜3)に強化されるので、運転者の注意力低下を効果的に補うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】車載用ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】高高地判定エリアデータの概要を模式的に示す説明図である。
【図3】報知態様変更処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】高度レベルに応じた報知態様の一例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1…車載用ナビゲーション装置、3…車載報知装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…車速センサ、22…操作スイッチ群、23…ハードディスクドライブ、24…外部メモリ、25…表示装置、26…音声出力装置、29…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの経路案内又は所定のタイミングでの注意喚起の少なくとも何れかを車両の運転者に対して行う車載用ナビゲーション装置であって、
車両の現在位置の高度が所定の高高度域に該当するか否かを判定する高高度判定手段と、
前記高高度判定手段により現在地の高度が所定の高高度域に該当すると判定された場合、前記経路案内又は前記注意喚起に係る報知態様を、平常時における所定の報知態様に対して報知内容を強化又は追加した高高度向けの報知態様に設定し、一方、前記高高度判定手段により現在地が所定の高高度以上の地域に該当しないと判定された場合、前記経路案内又は前記注意喚起の報知態様を、平常時における所定の報知態様に設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された報知態様に沿った報知内容で前記経路案内及び前記注意喚起を報知部に報知させる報知制御手段とを備えること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記報知制御手段は、前記経路案内又は前記注意喚起を音声にて報知させることが可能に構成されており、
前記設定手段は、前記高高度向けの報知態様として、音声による前記経路案内又は前記注意喚起の音量を平常時の音量よりも増加させること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記報知制御手段は、前記経路案内又は前記注意喚起を表示にて報知させることが可能に構成されており、
前記設定手段は、前記高高度向けの報知態様として、前記経路案内又は前記注意喚起の表示を平常時の表示よりも強調化すること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記設定手段は、前記高高度向けの報知態様として、前記経路案内又は前記注意喚起を報知するタイミングを平常時のものより早いタイミングに設定すること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記経路案内又は前記注意喚起に係る特定の報知機能に対して、当該報知機能の実施の許否をユーザからの指示により設定可能に構成されており、
前記設定手段は、前記高高度向けの報知態様として、ユーザからの指示により不実施に設定されている前記特定の報知機能の実施を一時的に許可設定にすること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、
車両の運転者に対して情報を報知するために当該車両に設けられ、かつ当該車載用ナビゲーション装置外の装置である外部報知装置との間で通信可能に構成されており、
前記報知制御手段は、前記外部報知装置を制御して前記経路案内又は前記注意喚起を報知させる機能を有し、
前記設定手段は、平常時の報知態様においては、前記外部報知装置を用いての前記経路案内又は前記注意喚起の報知を実行しない設定とし、前記高高度向けの報知態様においては、前記外部報知装置を用いての前記経路案内又は前記注意喚起の報知を実行する設定とすること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記高高度判定手段は、車両の現在位置の高度が、所定の高度範囲ごとに段階的に設定されている複数の段階の高高度域のうちの何れに該当するかを判定し、
前記設定手段は、前記高高度域の各段階にそれぞれ対応し、かつ前記高高度域の段階が高いほど報知内容の強化又は追加の程度が段階的に高くなる複数の段階の前記高高度向け報知態様を設定可能に構成されており、前記高高度判定手段により現在地の高度が何れかの段階の前記高高度域に該当すると判定された場合、前記経路案内又は前記注意喚起の報知態様を、この判定された段階に対応する段階の前記高高度向け報知態様に設定すること
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の車載用ナビゲーション装置に用いられるコンピュータを制御するためのプログラムであって、当該コンピュータを前記高高度判定手段、前記設定手段及び前記報知制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−216437(P2009−216437A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57943(P2008−57943)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】