説明

車載用ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】ユーザが利用したと推定される施設を自動で特定する車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置1によれば、駐車位置に基づいてユーザが行動可能な範囲を決定し(S115)、範囲内にある施設を検索する(S116)。検索された全ての施設について、施設の基準時間としての平均滞在時間を取得し、駐車位置と施設との距離に基づいて移動時間を取得し、駐車時間と移動時間とに基づいて滞在可能時間を取得する。そして、平均滞在時間と滞在可能時間とに基づいて優先度を決定し、決定された優先度に基づいて候補施設をリスト表示する。そして、リストから候補施設が選択された場合、当該施設を登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS等により位置を検出し、現在位置から目的地までの適切な経路を演算して求め、さらに、その経路の案内を行うナビゲーション装置が知られている。上述した経路を求めるためには、目的地を設定することが必要であり、目的地として設定対象となる地点は、種々の条件によって検索可能となっている。
また、経路案内の目的地等の設定を容易にするため、地図上の地点や施設を登録することができる車載用ナビゲーション装置が知られている。近年では、車両の停止時間が長いときにその地点を自動登録する技術が公開されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−30051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、自動登録される情報は、緯度経度と住所、日時である。しかしながら、登録された地点に関する情報が住所や日時だけでは、登録されている地点がどの施設に対応しているかわからない場合がある。また、登録情報に住所以外の情報、例えば施設の名称を追加する場合には、文字入力をする必要があり、手間がかかる。さらに、例えば、コインパーキングに駐車して近隣の施設を利用する場合のように、車両が駐車された地点、すなわち自動登録された地点が、ユーザが利用した施設と異なる場合もある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザが利用したと推定される施設を自動で特定する車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置は、施設の位置および当該施設の利用に要する基準時間情報を含む施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、車両の駐車位置および駐車時間に関する駐車時間情報を含む駐車情報を取得する駐車情報取得手段と、施設情報記憶手段により記憶された施設情報、および駐車情報取得手段により取得された駐車情報に基づいて、ユーザが利用したと推定される施設である候補施設を特定する施設特定手段と、候補施設を表示させる表示手段と、表示手段に表示された候補施設がユーザによって選択された場合、当該候補施設を登録する登録手段と、を備えている。
請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置によれば、ユーザが利用したと推定される施設を表示し、ユーザが選択した施設を登録することができる。これにより、ユーザが利用した施設を容易に登録することができ、利便性が向上する。
【0007】
請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置の施設特定手段は、駐車位置に基づいてユーザが行動可能と推定される範囲を決定し、当該範囲内にある施設を検索する施設検索手段と、施設検索手段により検索された施設に対応する基準時間情報を取得する基準時間取得手段と、を有し、基準時間取得手段により取得された基準時間情報と駐車時間情報とに基づいて、ユーザが利用したと推定される候補施設を特定する。
請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置によれば、ユーザが行動可能と推定される範囲内にある施設から基準時間情報と駐車時間情報とに基づいて候補施設が特定されるので、より適切にユーザが利用したと推定される候補施設を特定することができる。
【0008】
請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置の施設特定手段は、駐車位置と検索された施設との距離に基づいて、駐車時間情報を補正する補正手段を有し、基準時間取得手段により取得された基準時間情報、および補正手段による補正後の駐車時間情報に基づいて候補施設を特定する。
例えば、車両の駐車位置と施設との距離が大きい場合、駐車位置から当該施設へ行くには時間がかかるので、移動時間を考慮して駐車時間情報を補正すれば、より適切にユーザが利用したと推定される候補施設を特定することができる。
【0009】
請求項4に記載の車両用ナビゲーション装置の施設特定手段は、施設情報および駐車情報に基づいて候補施設の優先度を決定する優先度決定手段を有している。また、表示手段は、優先度に基づいて候補施設をリスト表示させる。これにより、ユーザは優先度に基づいて表示されたリストの中から利用した施設を選択して、登録することができるので、利便性が向上する。
【0010】
以上は、車載用ナビゲーション装置の発明として説明してきたが、次に示すようなプログラムの発明として実現することもできる。
すなわち、施設情報および駐車情報に基づいて、ユーザが利用したと推定される施設である候補施設を特定する施設特定手段、候補施設を表示させる表示手段、および表示手段に表示された候補施設がユーザによって選択された場合、当該候補施設を登録する登録手段としてコンピュータを機能させるプログラムである。このようなプログラムを実行することで、上記と同様の効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1は、本実施形態による車載用ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置1は、制御部10を中心に構成されており、制御部10に接続される位置検出器20、地図データ記憶部30、操作スイッチ群40、描画部50、および音声出力部60を備えている。
【0012】
制御部10は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System)受信機24を有している。これらのセンサ等21〜24は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。
【0013】
地図データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、本実施形態ではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。地図データ記憶部30は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データおよび経路を探索するための地図データを記憶している。地図データには、各種データが含まれるが、その一つとして施設に関する施設情報が含まれる。施設情報は、具体的には、施設を特定するIDと関連づけて記憶されているPOI(Point Of Interest)情報である。POI情報には、施設ID、住所、種別(ジャンル)、エリアサイズ、位置座標(施設の代表座標、エリアの外周座標、入口の座標等)、および滞在時間テーブルなどが含まれる。さらに、地図データ記憶部30には、移動時間テーブルが記憶されている。
【0014】
図2に示すように、滞在時間テーブルには、施設の利用に要する時間である平均滞在時間が、施設ジャンルごとに対応づけて記憶されている。例えば、コンビニエンスストアであれば5分、本屋であれば30分、遊園地であれば240分といった具合である。この平均滞在時間は、「基準時間」に対応している。
【0015】
図3に示すように、移動時間テーブルには、車両の駐車位置と施設との距離と、駐車位置と施設との間を移動するのに要する時間が対応づけて記憶されている。例えば、駐車位置と施設との距離が100m未満であれば5分、100m以上200m未満であれば10分といった具合である。
【0016】
操作スイッチ群40は、ディスプレイ51と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
描画部50には、ディスプレイ51が電気的に接続されている。ディスプレイ51は、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ51を介して情報表示が行われる。
音声出力部60にはスピーカ61が電気的に接続されており、このスピーカ61を介して音声による案内が行われる。
【0017】
ところで、本実施形態では、車両の駐車位置および駐車時間に関する駐車時間情報を含む駐車情報と、施設の位置および施設の利用に要する基準時間情報を含む施設情報と、に基づいて、ユーザが利用したと推定される施設である候補施設を特定する点に特徴を有している。そこで、図4から図6に示すフローチャートに基づき、施設特定処理を説明する。
【0018】
図4に駐車位置取得処理を示す。この処理は、車両の走行中に所定間隔、例えば100msecごとに行われるものとする。最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)では、車両のアクセサリ電源がオフされたか否かを判断する。車両のアクセサリ電源がオフされていない場合(S101:NO)、以降の処理を行わず、駐車位置取得処理を終了する。車両のアクセサリ電源がオフされた場合(S101:YES)、車両は駐車されたものと考えられ、S102へ移行し、アクセサリ電源がオフされた時刻T1を駐車開始時刻として記憶する。S103では、車両の駐車位置を取得する。ここでは、位置検出器20により車両の現在位置を検出するとともに、地図データ記憶部30に記憶された地図データを用いてマップマッチング処理を行い、地図上での車両の現在位置を特定して、駐車位置とする。その後、本処理を終了する。
【0019】
図4に示した駐車位置取得処理が行われた後、アクセサリ電源がオンになったときに行われる施設特定処理を、図5および図6に示す。最初のS111では、現時刻T2を駐車終了時刻として記憶する。この時刻は、アクセサリ電源がオンされた時刻である。続くS112では、図4中のS102で記憶された駐車開始時刻T1とS111で記憶された駐車終了時刻T2とから駐車時間を取得する。
【0020】
S113では、S112で取得された駐車時間が一定時間以上か否かを判断する。駐車時間が一定時間より短い場合(S113:NO)、以降の処理を行わず、施設特定処理を終了する。すなわち、駐車時間が一定時間、例えば3分、未満である場合、周辺施設を利用していない可能性が高いので、このような場合を本処理の対象から除外する。駐車時間が一定時間より長い場合(S113:YES)、S114へ移行する。
【0021】
S114では、S103で取得された駐車位置に基づいてユーザが行動可能と推定される範囲を決定する。本実施形態におけるユーザの行動可能範囲は、駐車位置を中心とした半径500mの円とする。S115では、S114で決定された範囲内にある施設(以下、範囲内施設、と言う。)を検索する。続くS116では、S115における検索結果に基づき、S114で決定された範囲内に施設があるか否かを判断する。範囲内施設がない場合(S116:NO)、候補施設が特定できないため、本処理を終了する。範囲内施設がある場合(S116:YES)、範囲内施設について、図6中のS121〜S126に示す施設ループ処理を実施する。なお、範囲内施設が複数ある場合には、それぞれの施設について、S121〜S126に示す施設ループ処理を行うものとする。
【0022】
S121では、S114で検索された範囲内施設について、当該施設のジャンルを地図データ記憶部30に記憶されたPOI情報から取得する。S122では、S121で取得された施設ジャンルに対応する平均滞在時間を滞在時間テーブルから取得する(図2参照)。
S123では、駐車位置と施設との距離を取得する。本実施形態においては、S103で取得された駐車位置の座標と、地図データ記憶部30に記憶されたPOI情報に含まれる当該施設の代表座標と、に基づいて決定される直線距離を取得する。S124では、S123で取得された駐車位置と施設との距離に基づいて、地図データ記憶部30に記憶された移動時間テーブルから移動時間を取得する(図3参照)。
【0023】
S125では、駐車時間と移動時間とから滞在可能時間を取得する。ユーザは、車を駐車して例えば徒歩で施設まで移動し、施設を利用した後に再び徒歩で駐車位置まで戻ってくるとする。とすれば、駐車時間から移動にかかる時間を減じた時間が当該施設に滞在可能な時間であると考えられる。そこで、駐車時間から移動時間を減じた時間を滞在可能時間として取得する。この滞在可能時間は、「補正後の駐車時間情報」に対応している。なお、本実施形態においては、滞在可能時間は、マイナスの値となってもよいものとする。
【0024】
S126では、S122で取得された平均滞在時間と、S125で取得された滞在可能時間との差の絶対値dを取得する。
S115で検索された全ての範囲内施設について、上述したS121〜S126の施設ループ処理が実施された場合、施設ループ処理を終了し、S131の処理へ移行する。
【0025】
続くS131では、S126で取得した平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dに基づいて、優先度を決定する。平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dが小さい場合、その施設を利用した可能性が高いと考えられる。一方、平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dが大きい場合、その施設を利用した可能性は低いと考えられる。したがって本実施形態では、平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dが小さい順に優先度が高いものとする。なお、平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dが同一の施設が複数あった場合には、駐車位置と施設との距離が小さい施設の優先度が高いものとする。
【0026】
S132では、S131で決定された優先度に基づいた候補施設のリストをディスプレイ51に表示する。
S133では、S132でディスプレイ51に表示された候補施設のリストから、操作スイッチ群40を介して施設が選択されたか否かを判断する。施設が選択されなかった場合(S133:NO)、S135へ移行する。施設が選択された場合、S134へ移行する。
S134では、選択された施設について、地図データ記憶部30に記憶されている当該施設の名称、住所、位置座標等を読み出し、地点として登録する。そして、S132で表示させた候補施設のリスト表示を終了し、施設特定処理を終了する。
【0027】
施設が選択されなかった場合(S133:NO)に移行するS135では、走行を開始したか否かを判断する。走行を開始していない場合(S135:NO)、S133へ戻る。走行を開始した場合(S135:YES)、S136へ移行する。
S136では、S132で表示させた候補施設のリスト表示を終了し、施設特定処理を終了する。なお、本実施形態では、施設が選択されなかった場合(S133:NO)、走行を開始したときにリスト表示を終了したが、S132にてリスト表示を行ってから所定時間が経過したときにリスト表示を終了するように構成してもよい。
【0028】
ここで、施設特定処理の具体例について、図7および図8を用いて説明する。ここでは、車両が駐車位置Aに駐車されており(S103)、駐車位置Aに車両が駐車されていた時間は30分であったものとする(S112)。駐車位置Aに基づいて決定される行動可能範囲をBで示した(S114)。そして、行動可能範囲B内にある施設を検索したところ、施設C(ディーラー)、施設D(ファミリーレストラン)、施設E(スーパー)、施設F(コンビニエンスストア)、施設G(本屋)、および施設H(映画館)の6ヶ所が検索されたものとする(S115)。
【0029】
続いて、検索された施設に対する施設ループ処理(図6中のS121〜S126)について、施設Cを具体例に挙げて、詳細に説明する。施設Cのジャンルはディーラーであるので、地図データ記憶部30に記憶されている滞在時間テーブル(図2参照)から平均滞在時間30分が取得される(S122)。また、駐車位置Aと施設Cとの距離30mが取得され(S123)、駐車位置Aと施設Cとの距離に基づいて地図データ記憶部30に記憶された移動時間テーブル(図3参照)から移動時間5分が取得される(S124)。そして駐車時間30分から移動時間5分を減じ、滞在可能時間25分が取得される。そして、平均滞在時間30分と滞在可能時間25分との差の絶対値d=5が取得される(S126)。
【0030】
図8に示すように、施設D〜施設Hについても同様の処理を行い、施設ごとに算出された平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dに基づいて、優先度を決定する(S131)。上述した通り、本実施形態では、dの値が小さい順に優先度が高いものとする。なお、施設Cと施設Eは、dの値が同じであるので、駐車位置Aとの距離が小さい施設Cの優先度が高いものとする。
【0031】
そして、図9に示すように、決定された優先度に基づき、優先度の高いものから順にディスプレイ51にリスト表示する。その後、操作スイッチ群40によりユーザが選択した施設が施設Cであった場合、地図データ記憶部30に記憶されている施設情報から施設Cの名称、住所、位置座標等を読み出し、地点として登録するので、容易に地点登録をすることができる。その際、さらに駐車位置も合わせて登録しても良い。
【0032】
以上、詳述したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置1によれば、駐車時間が所定時間以上である場合(S113)、駐車位置に基づいてユーザが行動可能な範囲を決定し(S114)、範囲内にある施設を検索する(S115)。検索された施設について、平均滞在時間を取得し(S122)、駐車位置と施設との距離に基づいて移動時間を取得し(S124)、駐車時間と移動時間とに基づいて滞在可能時間を取得する(S125)。そして、平均滞在時間と滞在可能時間とに基づいて優先度を決定し(S131)、決定された優先度に基づいて候補施設をリスト表示する(S132)。そして、リストから候補施設が選択された場合(S133:YES)、当該施設を地点登録する(S134)。
【0033】
すなわち、本実施形態においては、施設情報と駐車情報とに基づいて、ユーザが利用したと推定される施設を自動で特定することができる。また、駐車位置と施設との距離に基づいて駐車時間を補正しているので、より適切にユーザが利用したと推定される候補施設を特定することができる。さらに、ユーザが利用したと推定される候補施設の優先度を決定し、優先度に基づいてリスト表示し、このリストからユーザが施設を選択できるように構成されているので、ユーザは利用した施設を容易に地点登録することができ、利便性が向上する。
【0034】
なお、本実施形態の地図データ記憶部30が「施設情報記憶手段」を構成する。また、制御部10が「駐車情報取得手段」、「施設特定手段」、「表示手段」、「登録手段」、「施設検索手段」、「基準時間取得手段」、「補正手段」および「優先度決定手段」を構成する。これらの特許請求の範囲を構成する手段について、以下に対応関係を記す。
【0035】
(ア)施設情報記憶手段
「施設情報記憶手段」が有している施設情報は、施設の位置および当該施設の利用に要する基準時間情報を含んでいる。本実施形態における基準時間情報は、施設ジャンルごとに記憶された平均滞在時間としたが、ユーザが利用した施設を特定するための情報として利用可能な情報であればどのようなものであってもよい。また、平均滞在時間は、施設ジャンルごとに記憶されていたが、施設ごとに記憶されるようにしてもよい。さらに、本実施形態では地図データ記憶部30が施設情報を予め記憶しているものとしたが、図示しない情報センタから取得するように構成してもよいし、情報センタからの情報に基づいて随時更新されるように構成してもよい。
【0036】
(イ)駐車情報取得手段
図4中のS101〜S103、および図5中のS111〜S112では、車両の駐車位置と駐車時間とを取得する処理を行っており、「駐車情報取得手段」の機能としての処理に相当する。駐車情報には、駐車位置と駐車時間に関する駐車時間情報が含まれている。ここで駐車時間情報は、車両の駐車時間に関する情報であればよく、その情報内容については特に限定されない。例えば「3時間」という具合に駐車時間を示す情報であってもよい。また例えば、「13:00〜16:00」というように駐車開始時刻と駐車終了時刻とを示す情報であってもよい。本実施形態においては、アクセサリ電源がオフされた時刻とアクセサリ電源がオンされた時刻とを記憶し、駐車時間を算出したが、カウンタやタイマを用いて駐車時間情報を取得する構成としてもよい。また、駐車の開始と終了をアクセサリ電源のオンまたはオフで判断したが、車両が駐車されている状態であることがわかればどのような構成であってもよい。例えば、イグニッションのオンまたはオフで判断してもよい。また、サイドブレーキのブレーキ信号が検出され、且つ、シフトレバーがパーキング位置またはニュートラル位置にある場合に、車両が駐車されている状態であると判断してもよい。
なお、図5中のS113では、駐車時間が所定時間未満の場合、施設特定処理の対象から除外した。この処理は、「施設特定手段は、駐車時間が所定時間以上であったとき、ユーザが利用したと推定される候補施設を特定する」ということを意味している。
【0037】
(ウ)施設特定手段
図5〜図6中のS114〜S131が「施設特定手段」の機能としての処理に相当する。施設特定手段は、施設情報および駐車情報に基づいてユーザが利用したと推定される候補施設を特定する点に特徴を有している。なお、「施設の利用」とは、例えば、レストランで食事をする、あるいは映画館で映画を見る、というような所謂「施設の利用」だけでなく、コンビニエンスストアに立ち寄ったが買い物はしなかった、あるいは本屋に行ったが定休日だったので引き返した、等の場合も含まれるものとする。
【0038】
(エ)表示手段
図6中のS132では、優先度に基づいて候補施設をリスト表示する処理を行っている。この処理が、「表示手段」の機能としての処理に相当する。
(オ)登録手段
図6中のS133およびS134では、S132でリスト表示された候補施設のから、施設が選択された場合(S133:YES)、当該施設を登録する処理を行っている。この処理が、「登録手段」の機能としての処理に相当する。
【0039】
(カ)施設検索手段
図5中のS114およびS115では、駐車位置に基づいてユーザが行動可能と推定される範囲を決定し(S114)、行動範囲内にある範囲内施設を検索する(S115)。この処理が、「施設検索手段」の機能としての処理に相当する。施設検索手段は、駐車位置に基づいてユーザが行動可能と推定される範囲を決定し、当該範囲内にある施設を検索する点に特徴を有している。本実施形態において、ユーザが行動可能と推定される範囲は、駐車位置を中心とした半径500mの円としたが、道路に沿った道なり距離500mに基づいて決定してもよい。
【0040】
また、ユーザが行動可能と推定される範囲は、駐車時間に基づいて可変にするようにしてもよい。例えば、徒歩で移動する分速を80mとし、駐車時間が10分であれば片道5分以内での移動となるため、駐車位置から道なりに400mの範囲に決定する、といった具合である。言い換えると、「ユーザが行動可能と推定される範囲は、駐車位置と駐車時間情報とに基づいて可変となるように決定される」ということである。
【0041】
上述したような、行動可能範囲を駐車時間に基づいて可変にする場合において、例えば、駐車時間が数時間に及ぶとき、その時間の大部分を徒歩で移動していることは想定しにくいため、行動可能範囲の上限値、例えば駐車位置から半径1km、を設けることが好ましい。言い換えると、「ユーザが行動可能と推定される範囲は、駐車時間が所定時間未満のとき駐車位置と駐車時間情報とに基づいて可変となるように決定され、駐車時間が所定時間以上のとき駐車位置に基づいて決定される」ということである。
【0042】
ところで、例えば、駐車位置から徒歩で10分かかる位置にある施設を利用することを想定する。駐車位置から10分歩いて遊園地や映画館に行くことは考えられるが、コンビニエンスストアに行くことは考えにくい。すなわち、利用する施設によって、ユーザが行動するであろうと想定される範囲が異なる、ということである。そこで、施設情報に基づいて、ユーザが行動可能と推定される範囲を可変にしてもよい。言い換えると、「施設検索手段は、駐車位置と施設情報とに基づいてユーザが行動可能と推定される範囲を決定し、当該範囲内にある施設を検索する」ということである。
【0043】
(キ)基準時間取得手段
図6中のS121およびS122では、S115で検索された範囲内にある施設について、施設のジャンル情報を取得し(S121)、ジャンルに対応する平均滞在時間を取得する(S122)。この処理は、「基準時間取得手段」の機能としての処理に相当する。基準時間取得手段は、施設検索手段により検索された施設に対応する基準時間情報を取得する点に特徴を有している。本実施形態では、地図データ記憶部30に施設ジャンルごとに対応づけて記憶された平均滞在時間を「基準時間情報」として取得したが、ユーザが利用した施設を特定するための情報として利用可能な情報であればどのようなものであってもよい。さらに、施設ジャンルごとではなく、施設ごとに記憶された基準時間情報を取得するようにしてもよい。また、施設の営業時間情報が施設情報に含まれる構成とし、検索された範囲内施設のうち、車両の駐車開始時刻および駐車終了時刻が共に営業時間外である場合、施設を利用した可能性が低いと考えられるため、優先度を下げる、あるいは候補施設から除外する構成としてもよい。
【0044】
(ク)補正手段
図6中のS123〜S125では、駐車位置と施設との距離を取得し(S123)、取得された距離に基づいて移動時間を取得し(S124)、駐車時間と移動時間とに基づいて滞在可能時間を取得する(S125)。この処理は、言い換えると、「駐車位置と施設との距離に基づいて決定された移動時間によって、駐車時間情報を補正する」ということであり、特許請求の範囲の「補正手段」の機能としての処理に相当する、ということである。すなわち、本実施形態における「滞在可能時間」は、「補正後の駐車時間情報」に対応している。
【0045】
本実施形態では、駐車位置と範囲内施設との距離に基づいた移動時間は、地図データ記憶部30に記憶された移動時間テーブルから取得したが、駐車位置と範囲内施設との距離に基づいて施設ごとに移動時間を算出するようにしてもよい。例えば、駐車位置と施設との間を徒歩で移動した場合、徒歩の分速を80mとし、駐車位置と施設との距離を80で除して求められる時間に基づいて移動時間を決定してもよい。
また本実施形態では、駐車位置と範囲内施設との距離は、駐車位置座標と施設の代表座標との直線距離としたが、駐車位置と施設内のいずれの位置との距離であってもよく、例えば、駐車位置と施設エリアの外周座標との最短距離としてもよいし、駐車位置と施設の入口座標との距離としてもよい。また、直線距離ではなく、道路に沿った道なり距離としてもよい。
【0046】
(ケ)優先度決定手段
図6中のS131では、平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dに基づいて、S115で検索された施設の優先度を決定する。この処理が、「優先度決定手段」の機能としての処理に相当する。優先度決定手段は、施設情報および駐車情報に基づいて、候補施設の優先度を決定する点に特徴を有している。
本実施形態においては、平均滞在時間と滞在可能時間との差の絶対値dに基づいて優先度を決定し、dの値が同一の施設が複数あった場合には、駐車位置と施設との距離が小さい施設の優先度が高いものとした。これは言い換えると、「優先度決定手段は、基準時間情報、駐車時間情報、および駐車位置と範囲内施設との距離のうちの少なくとも1つに基づいて優先度を決定する」ということである。もちろん、駐車時間情報は、補正手段により補正されたものであってもよい。
優先度決定手段による優先度決定方法は、上述の方法に限らず、例えば平均滞在時間と滞在可能時間との比を用いて優先度を決定してもよい。
【0047】
また、滞在可能時間が平均滞在時間を下回る場合、施設を利用した可能性が低いと考えられるため、優先度を下げる、あるいは候補施設から除外する構成としてもよい。これは言い換えると、「優先度決定手段は、駐車時間情報と基準時間情報とを比較し、駐車時間が基準時間以下である場合、当該施設の優先度を下げる」、または、「施設特定手段は、駐車時間情報と基準時間情報とを比較し、駐車時間が基準時間以下である場合、当該施設を候補施設から除外する」ということである。
【0048】
さらにまた、滞在可能時間が非常に短い場合、その施設を利用する可能性が低いため、当該施設の優先度を下げる、あるいは候補施設から除外する構成としてもよい。これは言い換えると、「優先度決定手段は、駐車位置と施設との距離に基づいて補正された駐車時間が所定時間以下の場合、当該施設の優先度を下げる」、または、「施設特定手段は、駐車位置と施設との距離に基づいて補正された駐車時間が所定時間以下の場合、当該施設を候補施設から除外する」ということである。
【0049】
なお、本実施形態は、車載用ナビゲーション装置であったが、「施設情報と駐車情報とに基づいて、ユーザが利用したと推定される候補施設を特定する施設特定処理、候補施設を表示させる表示処理、および、表示手段に表示された候補施設がユーザによって選択された場合、当該候補施設を登録する登録処理、を含むプログラム」としてもよい。このようなプログラムを実行することで、同様の効果が奏される。
【0050】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱し
ない範囲において種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地図データ記憶部30に記憶される滞在時間テーブルを示す説明図である。
【図3】地図データ記憶部30に記憶される移動時間テーブルを示す説明図である。
【図4】駐車位置取得処理を示すフローチャートである。
【図5】候補施設特定処理を示すフローチャートである。
【図6】候補施設特定処理を示すフローチャートである。
【図7】候補施設特定処理の具体例を説明する説明図である。
【図8】候補施設特定処理の具体例を説明する説明図である。
【図9】優先度に基づいて候補施設がリスト表示された画面イメージを示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1:車載用ナビゲーション装置、10:制御部(駐車情報取得手段、施設特定手段、表示手段、登録手段、施設検索手段、基準時間取得手段、補正手段、優先度決定手段)、20:位置検出器、21:地磁気センサ、22:ジャイロスコープ、23:距離センサ、24:GPS受信機、30:地図データ記憶部(施設情報記憶手段)、40:操作スイッチ群、50:描画部、51:ディスプレイ、60:音声出力部、61:スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の位置および当該施設の利用に要する基準時間情報を含む施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
車両の駐車位置および駐車時間に関する駐車時間情報を含む駐車情報を取得する駐車情報取得手段と、
前記施設情報記憶手段により記憶された前記施設情報、および前記駐車情報取得手段により取得された前記駐車情報に基づいて、ユーザが利用したと推定される施設である候補施設を特定する施設特定手段と、
前記候補施設を表示させる表示手段と、
前記表示手段に表示された前記候補施設がユーザによって選択された場合、当該候補施設を登録する登録手段と、
を備えていることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記施設特定手段は、
前記駐車情報取得手段によって取得された前記駐車位置に基づいてユーザが行動可能と推定される範囲を決定し、当該範囲内にある施設を検索する施設検索手段と、
前記施設検索手段により検索された施設に対応する前記基準時間情報を取得する基準時間取得手段と、
を有し、
前記基準時間取得手段により取得された前記基準時間情報および前記駐車時間情報に基づいて、前記候補施設を特定することを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記施設特定手段は、
前記駐車位置と前記検索された施設との距離に基づいて、前記駐車時間情報を補正する補正手段を有し、
前記基準時間取得手段により取得された前記基準時間情報、および前記補正手段による補正後の前記駐車時間情報に基づいて、前記検索された施設の中から前記候補施設を特定することを特徴とする請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記施設特定手段は、前記施設情報および前記駐車情報に基づいて、前記候補施設の優先度を決定する優先度決定手段を有し、
前記表示手段は、前記優先度決定手段により決定された前記優先度に基づいて、前記候補施設をリスト表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
車両の駐車位置および駐車時間に関する駐車時間情報を含む駐車情報を取得する駐車情報取得手段、
施設情報記憶手段により記憶された施設の位置および当該施設の利用に係る基準時間情報を含む施設情報、および前記駐車情報取得手段により取得された前記駐車情報に基づいて、ユーザが利用したと推定される施設である候補施設を特定する施設特定手段、
前記候補施設を表示させる表示手段、
前記表示手段に表示された前記候補施設がユーザによって選択された場合、当該候補施設を登録する登録手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−60315(P2010−60315A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223571(P2008−223571)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】