説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】対向車線側の交通渋滞を原因とした対向車両との衝突を回避することができ、ルート案内の安全性を確保することができる「車載用ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】自車両が推奨経路上を走行中に、自車線を少なくとも含む一方の走行方向への走行が正規とされた推奨経路上の道路である自車線側道路に隣接し、かつ、自車線側道路に直近の対向車線を少なくとも含む前記一方の走行方向に抗する走行方向への走行が正規とされた道路である対向車線側道路についての渋滞情報を取得する対向車線側渋滞情報取得手段28と、この対向車線側渋滞情報取得手段28によって渋滞情報が取得された場合に、警告を出力する警告手段29とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に係り、特に、目的地までのルート案内を行うのに好適な車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用ナビゲーション装置においては、予め、現在地と目的地との間の地域についての渋滞情報を取得することによって、交通渋滞を回避することができる推奨経路を探索し、探索された推奨経路に沿って自車両を現在地から目的地までルート案内することが行われていた。
【0003】
さらに、この種の車載用ナビゲーション装置の中には、推奨経路に沿ったルート案内が行われている最中においても、時々刻々と変化する推奨経路上の渋滞情報を逐次取得して、交通渋滞を回避することができる新たな推奨経路を動的に探索することによって、より正確な渋滞情報を加味したルート案内を行うものがあった。
【0004】
このように、ルート案内を行う際に、自車両が走行中の自車線側の交通渋滞を考慮することは既に従来から知られていた。
【0005】
【特許文献1】特開2003−337043号公報
【特許文献2】特開2006−188121号公報
【特許文献3】特開2004−46426号公報
【特許文献4】特開平7−63566号公報
【特許文献5】特開2002−190013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来から、対向車線側に交通渋滞が発生した場合には、交通渋滞に我慢できない対向車両が自車線側に進入して自車両を含めた自車線を走行している車両に正面衝突する虞があるといった対向車線側の交通渋滞を原因として自車線側に生じる思わぬ危険な状況が懸念されていた。このような状況は、右折レーンや交通ルールを遵守した走行が周知徹底されていない場所等においては特に深刻なものであった。
【0007】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、対向車線側の交通渋滞を原因とした対向車両との衝突を回避することができ、ルート案内の安全性を確保することができる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明の車載用ナビゲーション装置は、目的地までの推奨経路を探索する推奨経路探索手段と、この推奨経路探索手段によって探索された前記推奨経路に沿って自車両を前記目的地までルート案内するルート案内手段と、前記自車両が前記推奨経路に沿って走行している際に、前記推奨経路沿いの一方の走行方向が正規の走行方向とされた少なくとも自車線を含む前記推奨経路上の道路である自車線側道路に隣接する道路であって、前記一方の走行方向に抗する走行方向が正規の走行方向とされた少なくとも前記自車線側道路に直近の対向車線を含む道路である対向車線側道路についての渋滞情報を取得する対向車線側渋滞情報取得手段と、この対向車線側渋滞情報取得手段によって前記対向車線側道路についての渋滞情報が取得された場合に、前記対向車線を走行中の対向車両が前記自車線に進入する虞がある旨の警告を出力する警告手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、対向車線側道路に交通渋滞が生じた場合には、警告の出力によって自車線への対向車両の進入に対する警戒を促すことができるので、ルート案内の安全性を確保することができる。
【0010】
また、前記警告手段による前記警告の出力の際に、前記自車線側道路における前記自車線よりも前記対向車線から離れた他車線への車線変更を促すための勧告を出力する勧告手段を備えることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、勧告の出力によって他車線への車線変更を促すことができるので、ルート案内の安全性をさらに有効に確保することができる。
【0012】
さらに、前記対向車線側渋滞情報取得手段によって前記対向車線側道路についての渋滞情報が取得された場合に、当該対向車線側道路に隣接する前記自車線側道路の走行を回避することが可能な前記目的地までの新たな推奨経路を前記推奨経路探索手段に探索させ、探索された前記新たな推奨経路をユーザに選択可能な状態として提案する回避経路提案手段を備え、前記ルート案内手段は、前記回避経路提案手段によって提案された前記新たな推奨経路がユーザによって選択された場合には、前記新たな推奨経路に沿ったルート案内に切り替えるように形成されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、対向車両との衝突を確実に回避することができるルート案内に移行することができるので、ルート案内の安全性をさらに向上させることができる。
【0014】
さらにまた、前記自車両が前記推奨経路に沿って走行している際に、前記自車線側道路における走行方向前方の地点についての渋滞情報を取得する自車線側渋滞情報取得手段を備え、前記警告手段は、前記自車線側渋滞情報取得手段によって前記走行方向前方の地点についての渋滞情報が取得された場合には、前記警告を出力しないように形成されていることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、対向車両の自車線への進入の可能性が低い状況においては、無用な警告を出力しないようにすることができるので、ユーザの混乱を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対向車線側の交通渋滞を原因とした対向車両との衝突を回避することができ、ルート案内の安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態における車載用ナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2にそれぞれ接続されたデータ読出装置3、入力操作部5、GPSレシーバ6、自律航法センサ7、ディスプレイ8、スピーカ9および交通情報受信装置10とによって構成されている。
【0019】
なお、入力操作部5は、リモコン、ディスプレイ8のタッチパネルまたはロータリもしくはリニアエンコーダ等であってもよい。
【0020】
また、交通情報受信装置10は、渋滞情報や交通規制等の交通情報を継続的に受信することができる装置であればよく、例えば、ビーコン受信機、FM多重レシーバおよび車々間通信装置等であってもよい。
【0021】
データ読出装置3には、ハードディスク等の記憶媒体12が搭載されており、この記憶媒体12には、地図データ等の車載用ナビゲーション装置1の機能を実行させるための各種のデータが記憶されている。なお、地図データは、地図表示機能および経路誘導機能の実行に用いられる道路データおよび背景データと、経路探索機能の実行に用いられる経路計算データと、目的地や施設等の検索機能の実行に用いられる検索データとを有している。
【0022】
ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、このナビゲーションメインユニット2は、自車位置算出部15を有しており、この自車位置算出部15の入力側には、GPSレシーバ6および自律航法センサ7がそれぞれ接続されている。
【0023】
GPSレシーバ6は、図示しないGPS衛星から受信した軌道および時刻を含む情報を自車位置算出部15に出力するようになっている。自車位置算出部15は、GPSレシーバ6から出力された情報に基づいて、絶対座標としての自車位置を算出するようになっている(衛星航法)。
【0024】
自律航法センサ7は、自車両の角速度や車速等を検出し、検出結果を自車位置算出部15に出力するようになっている。自車位置算出部15は、自律航法センサ7から出力された検出結果に基づいて、直前の自車位置からの相対変化分としての自車位置を算出するようになっている(自律航法)。
【0025】
自車位置算出部15は、衛星航法または自律航法によって算出された自車位置が、地図データにおける道路上にない場合には、地図データにおける該当する道路上の位置に自車位置を補正するマップマッチング処理を行うようになっている。
【0026】
自車位置算出部15および入力操作部5には、データ読出制御部16が接続されており、このデータ読出制御部16には、前述したデータ読出装置3が接続されている。
【0027】
データ読出制御部16には、自車位置算出部15の算出結果が入力されるようになっている。そして、データ読出制御部16は、データ読出装置3に対して、自車位置算出部15によって算出された自車位置およびその周辺の地図データの読み出し要求を出力するようになっている。また、データ読出制御部16は、データ読出装置3に対して、入力操作部5の操作によって指定された地点およびその周辺の地図データの読み出し要求を出力するようになっている。そして、データ読出装置3は、データ読出制御部16の読み出し要求に応じた地図データを、記憶媒体12から読み出すようになっている。
【0028】
ナビゲーションメインユニット2は、データ読出装置3に接続されたバッファ18を有しており、このバッファ18には、データ読出装置3によって記憶媒体12から読み出された地図データ等のデータが入力されて一時的に格納されるようになっている。
【0029】
バッファ18には、地図描画部19が接続されており、この地図描画部19には、バッファ18に格納された地図データが入力されるようになっている。そして、地図描画部19は、バッファ18から入力された地図データに基づいて、自車位置およびその周辺の地図や、入力操作部5の操作によってユーザが指定した地点およびその周辺の地図を表示するための地図描画データを生成するようになっている。
【0030】
地図描画部19とディスプレイ8との間には、表示処理部20が接続されており、この表示処理部20には、地図描画部19によって生成された地図描画データが入力されるようになっている。そして、表示処理部20は、地図描画部19から入力された地図描画データに対応した地図をディスプレイ8に表示するようになっている。
【0031】
自車位置算出部15と表示処理部20との間には、自車位置描画部21が接続されており、この自車位置描画部21には、自車位置算出部15によって算出された自車位置の情報が入力されるようになっている。自車位置描画部21は、自車位置算出部15から入力された自車位置の情報に基づいて、自車位置のマークを表示するための自車位置描画データを生成するようになっている。自車位置描画部21によって生成された自車位置描画データは、表示処理部20に入力されるようになっている。そして、表示処理部20は、入力された自車位置描画データに対応した自車位置のマークを、ディスプレイ8に表示された地図上に重畳表示するようになっている。
【0032】
表示処理部20の入力側には、操作画面描画部22が接続されており、この操作画面描画部22は、メニュー画面、目的地設定用の操作画面および経路算出条件入力用の操作画面等のユーザによる入力操作部5を用いた入力操作が可能な各種の操作画面の描画データを生成し、生成された描画データを表示処理部20に出力するようになっている。そして、表示処理部20は、操作画面描画部22によって出力された操作画面の描画データに対応した操作画面をディスプレイ8に表示するようになっている。
【0033】
入力操作部5の出力側には、目的地設定部23が接続されており、この目的地設定部23には、入力操作部5から、目的地設定用の操作画面に対する目的地を設定するためのユーザの入力操作の結果が入力されるようになっている。そして、目的地設定部23は、目的地設定用の操作画面に対する入力操作の結果に応じた目的地を設定するようになっている。
【0034】
さらに、本実施形態において、ナビゲーションメインユニット2は、推奨経路探索手段としての経路算出部24を有しており、この経路算出部24には、自車位置算出部15、データ読出制御部16、バッファ18および目的地設定部23がそれぞれ接続されている。
【0035】
経路算出部24は、出発地から目的地設定部23によって設定された目的地までの推奨経路を算出(探索)するための経路計算を行うようになっている。
【0036】
この経路計算の際に、経路算出部24は、データ読出制御部16を介してデータ読出装置3に、記憶媒体12に格納された地図データにおける経路計算データを読み出させ、この読み出された経路計算データを利用して、ユーザによって入力された経路算出条件(例えば、高速道路を通る等)を満足するような目的地までの推奨経路を計算するようになっている。なお、経路算出部24は、交通情報受信装置10によって受信された現在地から目的地に向かう道路についての交通情報に基づいて、自車線側の交通渋滞や交通規制を回避することができる推奨経路を算出するようにしてもよい。この場合に、経路算出部24は、算出された推奨経路上の渋滞情報が変化した場合には、変化後の渋滞情報に対応した新たな推奨経路を動的に算出するようにしてもよい。
【0037】
経路算出部24およびバッファ18の出力側であって、表示処理部20の入力側には、案内画像描画部26が接続されており、この案内画像描画部26は、表示処理部20およびディスプレイ8とともにルート案内手段を構成するようになっている。すなわち、案内画像描画部26は、経路算出部24によって算出された推奨経路に基づいて、地図上への推奨経路の重畳表示画像や交差点拡大画像等の案内画像を表示するための案内画像描画データを生成し、生成された案内画像描画データを表示処理部20に出力するようになっている。案内画像描画データの生成には、必要に応じてバッファ18に格納された地図データが利用されるようになっている。そして、表示処理部20は、案内画像描画部26から出力された案内画像描画データに対応した案内画像をディスプレイ8に表示するようになっている。これにより、案内画像を用いたルート案内が行われることになる。
【0038】
経路算出部24とスピーカ9との間には、音声案内部27が接続されており、この音声案内部27は、スピーカ9とともにルート案内手段を構成するようになっている。すなわち、音声案内部27は、経路算出部24によって算出された推奨経路に基づいて、交差点右左折案内等の音声案内を行うための案内音声データを生成し、生成された案内音声データをスピーカ9に出力するようになっている。そして、スピーカ9は、音声案内部27によって生成された音声データを音声出力するようになっている。これにより、音声案内によるルート案内が行われることになる。
【0039】
さらに、本実施形態において、ナビゲーションメインユニット2は、対向車線側渋滞情報取得手段としての対向車線側渋滞情報取得部28を有しており、この対向車線側渋滞情報取得部28には、自車位置算出部15、経路算出部24および交通情報受信装置10が接続されている。この対向車線側渋滞情報取得部28は、自車位置算出部15および経路算出部24の算出結果に基づいて、自車両が推奨経路に沿って走行していることを確認するようになっている。そして、対向車線側渋滞情報取得部28は、自車両が推奨経路に沿って走行している際に、交通情報受信装置10によって受信された交通情報中に、自車線側道路に隣接する対向車線側道路についての渋滞情報が含まれている場合には、これを抽出して取得するようになっている。
【0040】
ここで、図2に示すように、自車線側道路とは、推奨経路沿いの一方の走行方向(図2における上向き方向)が正規の走行方向とされた少なくとも自車線を含む推奨経路上の道路を言うものとする(以下、同様)。なお、図2においては、自車線側道路が自車線を含めた3車線になっているが、これに限る必要はない。また、推奨経路は、複数車線の道路上に、車線の別を考慮せずに引かれることが多いため、本実施形態においては、自車線側道路が図2に示すような複数車線の道路の場合に、これらをまとめて1本の推奨経路上の道路と扱っている。
【0041】
また、図2に示すように、対向車線側道路とは、自車線側道路に隣接する道路であって、前記一方の走行方向に抗する走行方向(図2における下向き方向)が正規の走行方向とされた少なくとも自車線側道路に直近の対向車線を含む道路を言うものとする(以下、同様)。この対向車線側道路についても、対向車線を含めた複数車線(図2においては3車線)の道路であってもよい。
【0042】
対向車線側渋滞情報取得部28とスピーカ9との間には、警告手段としての対向車両進入警告部29が接続されている。この対向車両進入警告部29は、対向車線側渋滞情報取得部28によって対向車線側道路についての渋滞情報が取得された場合に、対向車線を走行中の対向車両が自車線に進入する虞がある旨の警告を、スピーカ9を介して出力(音声出力)するようになっている。なお、この警告は、例えば、「このレーン上に対向車がはみ出して来る可能性がありますのでご注意下さい。」といった内容のものであってもよい。また、対向車両進入警告部29は、当該警告の出力を、ディスプレイ8に対する警告メッセージの表示によって行うようにしてもよい。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、対向車線側道路に交通渋滞が生じた場合には、対向車両進入警告部29による警告の出力によって自車線への対向車両の進入に対する警戒を促すことができるので、ルート案内の安全性を確保することができる。
【0044】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、対向車両進入警告部29とスピーカ9との間には、勧告手段としての車線変更勧告部31が接続されている。この車線変更勧告部31は、対向車両進入警告部29による警告の出力の際に、自車線側道路における自車線よりも対向車線から離れた他車線への車線変更を促すための勧告を、スピーカ9を介して音声出力するようになっている。なお、車線変更勧告部31は、勧告の出力を、ディスプレイ8に対する勧告メッセージの表示によって行うようにしてもよい。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、対向車線側道路に交通渋滞が生じた場合には、車線変更勧告部31による勧告の出力によって他車線への車線変更を促すことができるので、ルート案内の安全性をさらに有効に確保することができる。
【0046】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、ナビゲーションメインユニット2は、回避経路提案手段としての回避経路提案部32を有しており、この回避経路提案部32には、表示処理部20、経路算出部24および対向車線側渋滞情報取得部28がそれぞれ接続されている。この回避経路提案部32は、対向車線側渋滞情報取得部28によって対向車線側道路についての渋滞情報が取得された場合には、経路算出部24に、対向車線側道路に隣接する現在の自車線側道路の走行を回避することが可能な目的地までの新たな推奨経路である回避経路を計算させるようになっている。
【0047】
そして、回避経路提案部32は、経路算出部24によって算出された回避経路を、ユーザが選択可能な状態としてディスプレイ8に表示することによって、ユーザに回避経路の提案を行うようになっている。具体的な例としては、回避経路提案部32は、例えば、「新たなルートが発見されました。ルート案内を行いますか?」とのメッセージとともに、回避経路に沿ったルート案内を選択するための入力操作部5によって操作可能とされたボタンをディスプレイ8に表示するようにしてもよい。また、このとき、回避経路提案部32は、地図上に回避経路を重畳表示することによって、ユーザが回避道路を把握し易くするようにしてもよい。
【0048】
このようにして提案された回避経路がユーザによって選択された場合には、案内画像描画部26および音声案内部27は、現在の推奨経路に沿ったルート案内から、選択された回避経路に沿ったルート案内へと切り替えるようになっている。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、対向車線側道路に交通渋滞が生じた場合には、対向車両との衝突を確実に回避することができるルート案内に移行することができるので、ルート案内の安全性をさらに向上させることができる。
【0050】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、操作画面描画部22は、対向車両進入警告部29による警告の出力の後に、目的地を変更する入力操作を許容する新たな目的地設定用の操作画面をディスプレイ8に表示するようになっている。この操作画面は、回避経路を提案する画面と同一画面として表示するようにしてもよい。その場合には、対向車両との正面衝突の危険性を回避するために、回避経路に沿ったルート案内への移行を選択することもできるし、また、新たな目的地までの推奨経路に沿ったルート案内への移行を選択することもできる。
【0051】
次に、本実施形態の作用について、図3を新たに参照して説明する。
【0052】
本実施形態においては、まず、図3のステップ1(ST1)に示すように、自車位置算出部15および経路算出部24の算出結果から、自車両が推奨経路に沿って走行中である場合には、ステップ2(ST2)に進み、推奨経路を逸脱している場合には、処理を終了する。
【0053】
次いで、ステップ2(ST2)においては、対向車線側渋滞情報取得部28によって対向車線側道路の渋滞情報が取得された場合には、ステップ3(ST3)に進み、取得されていない場合には、処理を終了する。
【0054】
次いで、ステップ3(ST3)においては、対向車両進入警告部29によって、対向車両が自車線に進入する虞がある旨の警告を出力した後にステップ4(ST4)に進む。
【0055】
次いで、ステップ4(ST4)においては、対向車線から離れた歩道側の車線への車線変更を促す勧告を出力してステップ5(ST5)に進む。
【0056】
次いで、ステップ5(ST5)においては、回避経路提案部32によって回避経路を提案するとともに、操作画面描画部22によって目的地の変更のための入力操作を許容する目的地設定用の操作画面を表示することにより、回避経路に沿ったルート案内または変更後の目的地までの推奨経路に沿ったルート案内のいずれの回避方法によって対向車両との正面衝突の危険性を回避するかについて、ユーザに選択の機会を提供してステップ6(ST6)に進む。なお、いずれの回避方法を選択した場合であっても、ステップ6(ST6)において、現在の推奨経路に替わる新たな推奨経路を算出することになる。
【0057】
次いで、ステップ6(ST6)においては、ユーザが、ステップ5(ST5)において提供された回避方法のうちのいずれかを選択する入力操作を行うと、続くステップ7(ST7)において、選択された回避方法にしたがった新たな推奨経路の算出および算出された新たな推奨経路に沿ったルート案内が行われることによって、対向車両との正面衝突の危険性が回避される。
【0058】
以上述べたように、本実施形態によれば、対向車線側道路に交通渋滞が生じた場合には、警告の出力によって自車線への対向車両の進入に対する警戒を促すことができるので、ルート案内の安全性を確保することができる。
【0059】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、対向車両進入警告部29は、無駄な車線変更の勧告を防止する観点から、対向車線から離間する有効な車線変更が可能な他車線(自車線の左側の車線)が存在することが確認された上で、勧告を出力することが好ましい。この場合に、有効な車線変更が可能な他車線の存否は、例えば、自車両に車載カメラを搭載した上で、この車載カメラによる自車両の周辺の撮影映像に対する画像認識(例えば、車線を区画する白線の認識)によって行うようにしてもよい。
【0061】
また、推奨経路に沿って走行している際に、自車線側道路における走行方向前方の地点についての渋滞情報を取得する図示しない自車線側渋滞情報取得手段を備えた上で、前記自車線側渋滞情報取得手段によって前記走行方向前方の地点についての渋滞情報が取得された場合には、たとえ、対向車線側渋滞情報取得部28によって対向車線側道路についての渋滞情報が取得された場合であっても、対向車両進入警告部29による警告の出力および車線変更勧告部31による車線変更の勧告を行わないようにすることが好ましい。
【0062】
このようにすれば、対向車両の自車線への進入の可能性が低い状況においては、無用な警告および勧告を出力しないようにすることができるので、ユーザの混乱を防止することができる。
【0063】
なお、自車線側渋滞情報取得手段によって渋滞情報が取得された場合に、経路算出部24によって自車線側道路の交通渋滞を回避することができる新たな推奨経路が探索された場合には、新たな推奨経路に沿ったルート案内に切り替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態を示すブロック図
【図2】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態において、自車線側道路および対向車線側道路を説明するための説明図
【図3】本発明に係る車載用ナビゲーション装置の実施形態を示すフローチャート
【符号の説明】
【0065】
1 車載用ナビゲーション装置
9 スピーカ
24 経路算出部
26 案内画像描画部
27 音声案内部
28 対向車線側渋滞情報取得部
29 対向車両進入警告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの推奨経路を探索する推奨経路探索手段と、
この推奨経路探索手段によって探索された前記推奨経路に沿って自車両を前記目的地までルート案内するルート案内手段と、
前記自車両が前記推奨経路に沿って走行している際に、前記推奨経路沿いの一方の走行方向が正規の走行方向とされた少なくとも自車線を含む前記推奨経路上の道路である自車線側道路に隣接する道路であって、前記一方の走行方向に抗する走行方向が正規の走行方向とされた少なくとも前記自車線側道路に直近の対向車線を含む道路である対向車線側道路についての渋滞情報を取得する対向車線側渋滞情報取得手段と、
この対向車線側渋滞情報取得手段によって前記対向車線側道路についての渋滞情報が取得された場合に、前記対向車線を走行中の対向車両が前記自車線に進入する虞がある旨の警告を出力する警告手段と
を備えたことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記警告手段による前記警告の出力の際に、前記自車線側道路における前記自車線よりも前記対向車線から離れた他車線への車線変更を促すための勧告を出力する勧告手段を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記対向車線側渋滞情報取得手段によって前記対向車線側道路についての渋滞情報が取得された場合に、当該対向車線側道路に隣接する前記自車線側道路の走行を回避することが可能な前記目的地までの新たな推奨経路を前記推奨経路探索手段に探索させ、探索された前記新たな推奨経路をユーザに選択可能な状態として提案する回避経路提案手段を備え、
前記ルート案内手段は、前記回避経路提案手段によって提案された前記新たな推奨経路がユーザによって選択された場合には、前記新たな推奨経路に沿ったルート案内に切り替えるように形成されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記自車両が前記推奨経路に沿って走行している際に、前記自車線側道路における走行方向前方の地点についての渋滞情報を取得する自車線側渋滞情報取得手段を備え、
前記警告手段は、前記自車線側渋滞情報取得手段によって前記走行方向前方の地点についての渋滞情報が取得された場合には、前記警告を出力しないように形成されていること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−69118(P2009−69118A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240948(P2007−240948)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】