説明

車載装置、ナビゲーションシステム及びその制御方法

【課題】携帯装置から車載装置へ地点の情報を送信する際に、地点の表示を適切に行う。
【解決手段】車載装置10は、携帯装置から地点の電話番号と位置情報を受信する受信手段60と、複数の第2地点の電話番号及び位置情報を記憶する記憶手段70と、地点の電話番号と複数の第2地点の電話番号とを比較する第1の比較手段62aと、地点の位置情報と複数の第2地点の位置情報とを比較する第2の比較手段62bと、第1及び第2の比較手段の比較結果に基づき、地点の位置情報及び地点に対応する第2地点の位置情報のいずれかを用いて、地点を地図上に表示する表示手段63と、を具備する。また、ナビゲーションシステムは、上記の車載装置10及び携帯装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、ナビゲーションシステム及びその制御方法に関し、特に携帯装置から車載装置に地点情報を送信する車載装置、ナビゲーションシステム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までのナビゲーションを行う車載用ナビゲージョンが広く用いられている。車載用ナビゲーションは、GPS(Global Positioning System)受信機により現在地を認識し、車両を目的地へと案内する。また、携帯電話等の携帯装置にGPSを備え、ユーザを目的地に案内するナビゲーション装置も用いられている。
【0003】
車外で設定した目的地等の情報を携帯装置から車載装置へ転送することにより、利便性を高めたナビゲーションシステムが開発されている。特許文献1には、携帯型情報処理装置により位置情報を取得し、取得した位置情報を車載ナビゲーション装置の目的地として設定するシステムが開示されている。特許文献2には、複数の携帯型ナビゲーション装置に設定されている目的地を車載用表示装置に送信し、その複数の目的地の中から最終目的地を設定可能なシステムが表示されている。このシステムによれば、複数の目的地を経由して最終目的地に到達する経路を設定することができる。
【0004】
また、特許文献3には、表示された地図上のメモリ地点に最も近い施設の名称を取得することで、メモリ地点の名称を適切に設定可能な方法が開示されている。特許文献4には、地図情報が更新された場合に、ユーザが登録したメモリ地点の情報が更新されたか否かを判定し、更新が行われた場合はユーザに通知を行うナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−177027号公報
【特許文献2】特開2007−263802号公報
【特許文献3】特開2000−337913号公報
【特許文献4】特開2005−249466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な車載用ナビゲーション装置は、観光地や各種施設の情報であるPOI(Point of interest)情報を記憶した地図データベースを備えている。POI情報には例えば、施設名称、住所、電話番号、位置情報(緯度・経度)などが含まれる。また、一般に携帯電話などの携帯装置は、コンテンツプロバイダ側のサーバと携帯通信を行うことによりオンラインでPOI情報を取得することができる。コンテンツプロバイダ側のサーバも、車載ナビゲーションと同様に独自の地図データベースを備えている。
【0006】
ここで、車載用ナビゲーション装置の地図データベースと携帯装置から送信されるPOI情報の地図データベースとが異なる場合がある。例えば、携帯装置のPOI情報は一部が欠落している場合(例えば、住所の番地の省略など)や、市町村の合併等による新旧住所でのくい違いがある。一方、車載用ナビゲーション装置の地図データベースは、車両を案内しやすいように地点の位置を補正している場合がある(例えば、施設の位置を道路上に設定する等)。車載用ナビゲーション装置と異なる地図データベースのPOI情報を携帯装置から送信した場合、携帯装置側の位置情報に基づいて地点を地図表示画面に表示しようとすると、対応する車載装置側の地点の位置とずれてしまい、正しく表示が行えない場合があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、携帯装置から車載装置に地点情報を送信する場合において、必要に応じて位置情報の補正を行うことにより、ナビゲーション装置における経路案内の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本車載装置は、携帯装置から第1地点の電話番号と位置情報を受信する受信手段と、複数の第2地点の電話番号及び位置情報を記憶する記憶手段と、前記第1地点の電話番号と前記複数の第2地点の電話番号とを比較する第1の比較手段と、前記第1地点の位置情報と前記複数の第2地点の位置情報とを比較する第2の比較手段と、前記第1及び第2の比較手段の比較結果に基づき、前記第1地点の位置情報及び前記第1地点に対応する前記第2地点の位置情報のいずれかを用いて、地点を地図上に表示する表示手段と、を具備する。本構成によれば、電話番号と位置情報の両方を用いて携帯装置側の地点と車載装置側の地点とを比較する。そして、当該比較結果に基づいて、携帯装置から受信した第1地点または車載装置に記憶された第2地点のいずれかを地図上に表示する。2つの位置情報のうち、地点の表示に適切な位置情報を用いることで、表示の精度を向上させることができる。
【0009】
上記構成において、前記第1の比較手段は、前記第1地点の電話番号と前記複数の第2地点の電話番号との一致判定を行い、前記第2の比較手段は、前記第1地点と前記複数の第2地点との距離を算出する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記表示手段は、前記第1地点の電話番号が前記複数の第2地点の電話番号のいずれかと一致し、且つ、電話番号が一致した前記第1地点及び前記第2地点の距離が所定値未満の場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報を用いて地点を前記地図上に表示(携帯装置から受信した地点を車載装置に記憶された第2地点に修正)し、それ以外の場合には前記携帯装置から受信した位置情報を用いて地点を前記地図上に表示(携帯装置から受信した地点を修正せずにそのまま表示)する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記表示手段は、前記携帯装置から受信した位置情報を用いて地点を前記地図上に表示する場合に、ユーザに対し警告メッセージを表示する構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記受信手段は、前記携帯装置から前記第1地点が含まれる第1地図データベースの識別情報を受信し、前記記憶手段は、前記複数の第2地点が含まれる第2地図データベースの識別情報を記憶し、前記表示手段は、前記第1地図データベースの識別情報と前記第2地図データベースの識別情報とが一致する場合には、常に前記携帯装置から受信した位置情報を用いて地点を前記地図上に表示する構成とすることができる。
【0013】
本ナビゲーションシステムは、第1地点の電話番号及び位置情報を車載装置に送信する送信手段を含む携帯装置と、複数の第2地点の電話番号及び位置情報を記憶する記憶手段、前記携帯装置から前記第1地点の電話番号と位置情報を受信する受信手段、前記第1地点の電話番号と前記複数の第2地点の電話番号とを比較する第1の比較手段、前記第1地点の位置情報と前記複数の第2地点の位置情報とを比較する第2の比較手段、前記第1及び第2の比較手段の比較結果に基づき、前記第1地点の位置情報及び前記地点に対応する前記第2地点の位置情報のいずれかを用いて、地点を地図上に表示する表示手段、を含む車載装置と、を具備する。
【0014】
上記構成において、前記携帯装置は、移動体通信により前記第1地点に関する情報を取得する移動体通信手段を含む構成とすることができる。
【0015】
本ナビゲーションシステムの制御方法は、携帯装置と車載装置とを含むナビゲーションシステムの制御方法であって、前記携帯装置から前記車載装置に対し第1地点の電話番号及び位置情報を送信するステップと、前記車載装置に記憶された複数の第2地点の電話番号と前記第1地点の電話番号とを比較するステップと、前記車載装置に記憶された複数の第2地点の位置情報と前記第1地点の位置情報とを比較するステップと、前記電話番号及び前記位置情報の比較結果に基づき、前記第1地点の位置情報及び前記第1地点に対応する前記第2地点の位置情報のいずれかを用いて、地点を地図上に表示するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本構成によれば、携帯装置から送信される位置情報と車載装置に記憶された位置情報のうち、地図表示に適した位置情報を用いることで、ナビゲーション装置における経路案内の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図面を用い実施例について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1に係るナビゲーションシステムのブロック図である。図1を参照に、ナビゲーションシステム100は車載ナビゲーション装置である車載装置10、および例えば携帯電話である携帯装置30を有している。車載装置10と携帯装置30との間は、例えばBuletooth通信等の無線通信52や赤外線等の光通信を用い情報の送受信を行うことができる。携帯装置30は移動体通信網54を介しセンターサーバ(CP)50と通信することができる。
【0019】
車載装置10は、制御部12、記憶部14、GPS受信部16、インターフェース(IF)部24、ヒューマンインターフェース(HMI)部18、表示部20および操作部22を含んでいる。記憶部14は、例えばハードディスクユニットであり、地図データに関する情報である地図情報や目的地に関する情報である目的地情報等を記憶している。記憶部14は、制御部12に地図情報や目的地情報を出力する。また、記憶部14は、制御部12から取得した目的地情報等を記憶する。GPS受信部16はGPS信号より自車位置を認識し、自車位置に関する情報を制御部12に出力する。また、GPS受信部16は、GPS信号に加え自立航法部(不図示)からの自立航法情報を用いて自車位置を認識することができる。HMI部18は表示部20および操作部22と制御部12との間のインターフェースである。表示部20は、例えば液晶画面であり、制御部12からの信号により地図やメニューリストを表示する。操作部22は、例えば、タッチパネルや釦等であり、制御部12に操作信号を出力する。例えば、ユーザが操作部22を操作することにより、メニューの選択等を行うことができる。IF部24は、制御部12から取得した情報を携帯装置30に送信する。また、携帯装置30から受信した情報を制御部12に出力する。
【0020】
携帯装置30は、制御部32、記憶部34、GPS受信部36、HMI部38、表示部40、操作部42および電話IF部46を含んでいる。電話IF部46は、移動体通信網54に接続し制御部32と外部との情報の送受信を行う。制御部32は、例えばセンターサーバ50から移動体通信網54および電話IF部46を介し、最新の地図データ等を取得することができる。その他の各部の機能は車載装置10と同様であり説明を省略する。
【0021】
図2は、実施例1に係るナビゲージョンシステムの動作の一例を説明するフローチャートである。図2を参照に、携帯装置30の制御部32は、操作部42からの入力や記憶部34に記憶されている目的地リストを基に目的地を設定する(ステップS10)。制御部32はIF部44を介し目的地情報を車載装置10に送信する(ステップS12)。車載装置10の制御部12はIF部24を介し目的地情報を取得し、取得した目的地情報に基づいて車両の目的地を設定する(ステップS13)。制御部12は車両の走行開始を認識する(ステップS14)と、制御部12は、GPS受信部16から自車位置に関する情報、記憶部14から地図データに関する情報を取得し、表示部20に地図、目的地への経路、目的地を表示させ、車両を目的地に案内する(ステップS16)。制御部12は車両の駐車を認識する(ステップS18)と、現在位置に関する情報をIF部24を介し、携帯装置30に送信する。携帯装置30の制御部38はIF部44を介し現在位置に関する情報を取得する。制御部32は、車載装置10の制御部と同様に、ユーザを目的地に案内する(ステップS22)。制御部32は、目的地への到着を認識する(ステップS24)と案内を終了する。
【0022】
このように、実施例1に係るナビゲーションシステムにおいては、携帯装置30と車載装置10との間で目的地情報や現在位置に関する情報を通信する。これにより、携帯装置30で設定した目的地に、車載装置10が車両を案内することができる。また、車両を駐車した後、携帯装置30がユーザを目的地に案内することができる。
【0023】
以下、実施例1に係るナビゲーションシステムが行う車両の目的地の設定について詳細に説明する。
【0024】
図3は、車載装置10の機能ブロック図である。車載装置10の制御部12等は、受信手段60、比較手段62、表示手段63、目的地設定手段64、及び車両案内手段66、として機能する。また、記憶部14は記憶手段70として機能する。記憶手段70は、地図データに関する情報である地図情報やPOI情報、目的地として選択する可能性のある目的地リスト、目的地周辺の駐車場リスト等を記憶している。目的地リストは、車載装置10の地図データベースに登録された複数の地点(第2地点)から構成され、地点に関する情報として電話番号及び位置情報を含む。地点に関する情報は他に、住所や施設名称を含んでいてもよい。
【0025】
受信手段60は、携帯装置30から地点(第1地点)に関する地点情報を受信する(携帯装置30から送信される目的地は、常に車両の目的地として設定されるとは限らないため、以下単に「地点」と称する)。地点情報には、少なくとも地点の電話番号及び位置情報が含まれる。地点情報は他に、地点の住所や施設名称を含んでいてもよい。比較手段62は、受信手段60が受信した地点のPOI情報と、記憶手段70に記憶された複数の地点のPOI情報とを比較し、結果を目的地設定手段64へと出力する。比較手段62は少なくとも、電話番号の比較を行う電話番号比較手段62a(第1の比較手段)と、位置情報の比較を行う位置情報比較手段62b(第2の比較手段)を含む。比較手段62は、これらの手段の他にも、他のPOI情報(住所、施設名称等)を比較する手段を含んでいてもよい。
【0026】
表示手段63は、比較手段62の比較結果に基づき、携帯装置30から受信した地点を表示部40の地図上に表示する。地点の表示は、携帯装置30から受信した地点の位置情報を用いて行う場合と、記憶手段70に記憶された複数の地点(POI)のうち受信した地点に対応するPOIの位置情報を用いて行う場合とがある。詳細については後述する。目的地設定手段64は、地図上に表示された地点に基づいて、ユーザ操作により車両の目的地を設定する。車両の目的地には、表示手段63により表示された目的地をそのまま設定してもよいし、別の目的地を設定してもよい。車両案内手段66は、GPS受信部16が出力する自車位置に関する情報、記憶手段70の地図情報などに基づき、目的地設定手段64が設定した目的地に車両を案内する。
【0027】
図4は、携帯装置30の機能ブロック図である。携帯装置30の制御部32等は、目的地設定手段80、送信手段82、ユーザ案内手段84、移動体通信手段86として機能する。記憶部34は記憶手段90として機能する。記憶手段90は、地図データに関する情報である地図情報や目的地として選択する可能性のある目的地リスト等を記憶している。移動体通信手段86は、電話IF46及び移動体通信網54を介してセンターサーバ50よりPOI情報を取得する。
【0028】
目的地設定手段80は、記憶手段90の目的地リストや移動体通信手段86が取得したPOI情報に基づき目的地を設定する。目的地設定手段80は、設定した目的地に関する情報を、記憶手段90の一部である車載装置設定用記憶領域90aに記憶する。送信手段82は、車載装置設定用記憶領域90aに記憶された目的地情報を読み出し、車載装置10へと送信する。ユーザ案内手段84は、例えば車載装置による案内を行わない場合に、目的地設定手段82が設定した目的地へユーザを案内する。
【0029】
図5及び図6は、携帯装置30による目的地設定(図2のステップS10)における携帯装置30の動作を示すフローチャート、及び表示部40が表示する画面を示す図である。
【0030】
図5(a)は、携帯装置30による目的地取得の動作を示すフローチャートである。移動体通信手段86は、移動体通信網54及び電話IF部46を介して、センターサーバ50から目的地を取得する(ステップS30)。目的地設定手段80は、取得した目的地をメモリ地点に登録するか否かを判断する(ステップS32)。ステップS32においてYesの場合、目的地設定手段80は取得した目的地に関するPOI情報を記憶手段90に記憶する(ステップS34)。これにより、取得した目的地はメモリ地点に登録され、次回以降はセンターサーバ50へアクセスすることなく目的地に関する情報を利用することができる。次に、目的地設定手段80は、取得した目的地を車載装置に送信するか否かを判断する(ステップS36)。ステップS36においてYesの場合、目的地設定手段80は取得した目的地に関する情報を記憶手段90内の車載装置設定用記憶領域90aに記憶する(ステップS38)。
【0031】
図5(b)は、図5(a)のフローチャートに対応する表示画面である。ステップS30において取得した目的地に関する情報101が、画面上方に表示されている。ユーザは、携帯装置30の操作部42(例えば、十字キーやタッチパネル等)により、所定の操作ボタン(102、104)の中から任意のボタンを選択することができる。ユーザが「メモリ地点に登録(102)」を選択すると、図5(a)ステップS32の分岐においてYesと判断される。ユーザが「次回乗車時に車のナビへセット(104)」を選択すると、図5(a)ステップS36の分岐においてYesと判断される。
【0032】
図6(a)は携帯装置30によるメモリ地点選択の動作を示すフローチャートであり、図6(b)は図6(a)に対応するメモリ地点選択画面である。図6(a)及び図6(b)を参照に、記憶手段90にメモリ地点として登録された複数の目的地110が、画面上方に表示されている。ユーザはメモリ地点選択アイコン112を上下に動かすことで、メモリ地点の選択を切り替えることができる。これを受けて、目的地設定手段80は、メモリ地点の選択を切り替えることにより、複数のメモリ地点の中から1つのメモリ地点を選択する(ステップS40、S42)。また、ユーザが「次回乗車時に車のナビへセット(114)」を選択すると、目的地設定手段80が選択されたメモリ地点に関する情報を記憶手段90内の車載装置設定用記憶領域90aに記憶する(ステップS44、S46)。
【0033】
以上のように携帯装置30は、センターサーバ50にある目的地または記憶手段90に記憶されたメモリ地点の中から、車載装置10に送信する目的地(地点情報)を設定する。設定された目的地は、次回乗車時に車載装置10の起動に対応して、自動的に車載装置10へと送信される。
【0034】
図7は、車載装置10による目的地設定(図2のステップS13)の動作を示すフローチャートである。まず、電話番号比較手段62aが、携帯装置30から受信した地点の電話番号を、車載装置10の記憶手段70に記憶された複数のPOIの電話番号と比較する(ステップS50)。電話番号が一致した場合には、位置情報比較手段62bが、携帯装置から受信した地点の位置情報と、記憶手段70に記憶されたPOIのうち電話番号が一致したPOIの位置情報とを比較し、2地点の距離を算出する(ステップS52)。続いて、位置情報比較手段62bは、ステップS52において算出された距離が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS54)。
【0035】
ステップS54において、携帯装置30から送信された地点と車載装置10のPOIとの距離が閾値未満の場合、車載装置10の表示手段63は、記憶手段70に記憶されたPOIのうち携帯装置30の地点と電話番号が一致したPOIの位置情報をもとに地図上に地点を表示する(ステップS56)。すなわち、表示手段63は携帯装置30から送信された地点の位置を車載装置10に記憶された対応するPOIの位置に補正した上で地図表示を行う。
【0036】
次に、表示手段63は、ユーザに対し携帯装置30から受信した地点を車両の目的地として設定する旨の確認メッセージ(図9参照)を表示する(ステップS58)。目的地設定手段64は、例えばユーザによる入力に基づき、携帯装置30から送信された地点を車両の目的地として設定するか否かを判定する(ステップS60)。Yesの場合、当該地点を車両の目的地に設定する(ステップS62)。
【0037】
ステップS50において電話番号が一致しない場合、またはステップS54において2地点の距離が閾値以上の場合、表示手段63はユーザに対し、携帯装置30から受信した地点の位置情報を用いて地図表示を行うため、表示が正しくない場合がある旨の警告メッセージ(図10参照)を表示する(ステップS64)。次に、目的地設定手段64は、ユーザによる入力(例えば、操作部22における目的地設定ボタン(図9参照)が押されたか否か)に基づき、携帯装置30から送信された地点を車両の目的地として設定するか否かを判定する(ステップS66)。Yesの場合、目的地設定手段64は、携帯装置30から受信した地点を車両の目的地として設定する(ステップS68)。このとき、表示手段63は、携帯装置30から受信した地点の位置情報を用いて車両の目的地を地図上に表示する。すなわち、携帯装置30から送信された地点の位置を車載装置10に記憶されたPOIの位置に補正せずに、そのまま地図表示を行う。
【0038】
図8は、図7のステップS50及びS54における判定動作を説明するための表であり、携帯装置30側と車載装置10側のPOI情報の比較結果を示すものである。POI情報の比較結果のうち、名称、住所、電話番号については一致した場合を「○」、不一致の場合を「×」で表している。2地点の距離については、閾値(例えば、100m)未満の場合を「○」、閾値以上の場合を「×」で示している。「位置情報」の欄には、地点を地図上に表示するために携帯装置30側の位置情報と車載装置10側の位置情報のいずれを用いるかを記載している。
【0039】
図8を参照に、「電話番号」と「距離」の欄いずれもが「○」の場合(A)、携帯装置30側の目的地に対応する車載装置10側のPOIが存在するものの、何らかの原因(地図データベースの形式の違いなど)により位置のずれが生じていると考えられる。この場合、車載装置10のPOI情報には誤りはないと考えられるので、携帯装置30から送信された位置情報を車載装置10に記憶された位置情報に修正し、車載装置10側の位置情報を用いて地点の地図表示を行う。
【0040】
「電話番号」が「○」で「距離」が「×」の場合(B)、目的地となる施設が移転した可能性がある。この場合、携帯装置30がセンターサーバ50から取得したPOI情報の方が、車載装置10に記憶されたPOI情報より新しく正確であると考えられるので、携帯装置30の位置情報を用いて地点の地図表示を行う。また、「電話番号」が「×」で「距離」が「○」の場合(C)、車載装置10が示すPOIは、携帯装置30で設定した目的地に隣接した(あるいは近くにある)別の地点(施設)である可能性がある。この場合も、ユーザとしては携帯装置30で設定した地点に行きたいと考えられるので、同じく携帯装置30の位置情報を用いて地点の地図表示を行う。
【0041】
上記以外の場合でも、携帯装置30のPOI情報と車載装置10のPOI情報とが一致しない場合には、原則として携帯装置30のPOI情報を用いて地図表示を行うことが好ましい。車載装置10のPOI情報は、記憶容量の関係で情報不足である場合があることや、アップデートがされずに情報が古い場合があるためである。これに対し、携帯装置30のPOI情報は、常に更新されるセンターサーバ50から取得するものであるため、より正確な情報である可能性が高い。
【0042】
図9は、車載装置10における目的地設定の動作(図7のステップS58及びS60)に対応する表示画面である。図9を参照に、携帯装置30から地点情報を受信した旨の確認メッセージ120が表示部20に表示されると、ユーザは受信した地点に基づき目的地の設定を行うか否かを選択する。ユーザが「はい(122)」を選択した場合、図7のステップS60においてYesと判断される。ユーザが「いいえ(124)」を選択した場合、図7のステップS60においてNoと判断される。図10は、図7のステップS64において表示される警告メッセージの表示画面を示した図である。
【0043】
実施例1によれば、携帯装置30から送信された地点と、車載装置10に記憶されたPOIとを照合し、2つの位置情報のうち適切な位置情報を用いて地図表示を行うため、ナビゲーションにおける地点表示の精度を向上させることができる。また、必要に応じて位置情報を修正した上で地図表示を行うため、携帯装置30の地図データベースを車載装置10のものに合わせる必要がなく、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。さらに、表示精度の向上した地点を車両の目的地に設定することで、ナビゲーションの経路案内の精度を向上させることができる。
【0044】
車載装置10側と携帯装置30側との地図データベースの照合(すなわち、携帯装置30から送信された地点に対応するPOIが車載装置10に記憶されているか否かの判断)は、電話番号及び2地点の距離に基づいて行われる。これにより、精度の高い照合が可能となり、本来修正の必要のない地点の位置情報を誤って車載装置10に記憶された位置情報に修正してしまうことを抑制することができる。
【0045】
また、図7のステップS64で示したように、携帯装置30側の地点の位置情報を用いて地図表示を行う場合、ユーザに対し警告メッセージを表示する。これにより、ユーザは必要に応じて車載装置10を操作し、目的地を所望の位置に修正することができる。例えば、目的地として不適切な場所(例えば、川の中などユーザの地理感覚からして明らかに不適切な場所)に目的地を設定してしまうことを抑制することができるため、ナビゲーションの精度をさらに向上させることができる。
【0046】
図7において、電話番号を比較するステップ(S50)の前に、車載装置10側の地図データベース(第1地図データベース)と携帯装置30側の地図データベース(第2地図データベース)の比較を行ってもよい。すなわち、車載装置10の受信手段60は、携帯装置30から第1地図データベースの識別情報を受信する。車載装置10の記憶手段70は、複数のPOIが含まれる第2地図データベースの識別情報を記憶する。車載装置10の目的地設定手段64は、第1地図データベースの識別情報と第2地図データベースの識別情報とを比較する。両者が一致する場合には、携帯装置30と車載装置10とで同じデータベースを用いていると判断することができるため、位置情報の修正は必要ない。従って、常に携帯装置30から受信した地点の位置情報に基づき地図表示を行う。識別情報としては、例えば地図データベースの製品名やバージョン情報等を用いることができる。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、実施例1に係るナビゲーションシステムのブロック図である。
【図2】図2は、実施例1に係るナビゲーションシステムの動作を示すフロー図である。
【図3】図3は、車載装置の機能ブロック図である。
【図4】図4は、携帯装置の機能ブロック図である。
【図5】図5は、携帯装置の処理を示すフローチャート(その1)である。
【図6】図6は、携帯装置の処理を示すフローチャート(その2)である。
【図7】図7は、車載装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、車載装置の判定処理を説明するための図である。
【図9】図9は、車載装置の処理に対応する表示画面(その1)である。
【図10】図10は、車載装置の処理に対応する表示画面(その2)である。
【符号の説明】
【0049】
10 車載装置
30 携帯装置
60 (車載装置側)受信手段
62 比較手段
64 (車載装置側)目的地設定手段
66 車両案内手段
70 記憶手段
80 (携帯装置側)目的地設定手段
82 (携帯装置側)送信手段
84 ユーザ案内手段
86 移動体通信手段
100 ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯装置から第1地点の電話番号と位置情報を受信する受信手段と、
複数の第2地点の電話番号及び位置情報を記憶する記憶手段と、
前記第1地点の電話番号と前記複数の第2地点の電話番号とを比較する第1の比較手段と、
前記第1地点の位置情報と前記複数の第2地点の位置情報とを比較する第2の比較手段と、
前記第1及び第2の比較手段の比較結果に基づき、前記第1地点の位置情報及び前記第1地点に対応する前記第2地点の位置情報のいずれかを用いて、地点を地図上に表示する表示手段と、
を具備する車載装置。
【請求項2】
前記第1の比較手段は、前記第1地点の電話番号と前記複数の第2地点の電話番号との一致判定を行い、前記第2の比較手段は、前記第1地点と前記複数の第2地点との距離を算出する請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記第1地点の電話番号が前記複数の第2地点の電話番号のいずれかと一致し、且つ、電話番号が一致した前記第1地点及び前記第2地点の距離が所定値未満の場合に、前記記憶手段に記憶された位置情報を用いて地点を前記地図上に表示し、それ以外の場合には前記携帯装置から受信した位置情報を用いて地点を前記地図上に表示する請求項2記載の車載装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記携帯装置から受信した位置情報を用いて地点を前記地図上に表示する場合に、ユーザに対し警告メッセージを表示する請求項1から3いずれか1項記載の車載装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記携帯装置から前記第1地点が含まれる第1地図データベースの識別情報を受信し、
前記記憶手段は、前記複数の第2地点が含まれる第2地図データベースの識別情報を記憶し、
前記表示手段は、前記第1地図データベースの識別情報と前記第2地図データベースの識別情報とが一致する場合には、常に前記携帯装置から受信した位置情報を用いて地点を前記地図上に表示する請求項1から4いずれか1項記載の車載装置。
【請求項6】
第1地点の電話番号及び位置情報を車載装置に送信する送信手段を含む携帯装置と、
複数の第2地点の電話番号及び位置情報を記憶する記憶手段、前記携帯装置から前記第1地点の電話番号と位置情報を受信する受信手段、前記第1地点の電話番号と前記複数の第2地点の電話番号とを比較する第1の比較手段、前記第1地点の位置情報と前記複数の第2地点の位置情報とを比較する第2の比較手段、前記第1及び第2の比較手段の比較結果に基づき、前記第1地点の位置情報及び前記地点に対応する前記第2地点の位置情報のいずれかを用いて、地点を地図上に表示する表示手段、を含む車載装置と、
を具備するナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記携帯装置は、移動体通信により前記第1地点に関する情報を取得する移動体通信手段を含む請求項6記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
携帯装置と車載装置とを含むナビゲーションシステムの制御方法であって、
前記携帯装置から前記車載装置に対し第1地点の電話番号及び位置情報を送信するステップと、
前記車載装置に記憶された複数の第2地点の電話番号と前記第1地点の電話番号とを比較するステップと、
前記車載装置に記憶された複数の第2地点の位置情報と前記第1地点の位置情報とを比較するステップと、
前記電話番号及び前記位置情報の比較結果に基づき、前記第1地点の位置情報及び前記第1地点に対応する前記第2地点の位置情報のいずれかを用いて、地点を地図上に表示するステップと、
を有するナビゲーションシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−38591(P2010−38591A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198994(P2008−198994)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】