説明

連続流式全置換型人工心臓の生理学的制御方法

その両端に第1インペラと第2インペラを取り付けたロータに接続された電気モータを含んだポンプを制御する方法が開示されており、(a)モータを使ってロータを駆動し、第1インペラから第1流体回路、第2インペラ、第2流体回路を通して流体を循環させ、第1インペラに戻し、(b)第1モータパラメータに基づいて第1流体回路の抵抗を決定し、(c)第2モータパラメータに基づいて第1流体回路を通過する流量を決定し、(d)ポンプの少なくとも1種の運用パラメータを変化させ、第1流体回路の流量と抵抗との間に所定の関係を維持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に人工心臓に関し、特にその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓移植は早死の主な原因である末期心不全を患う患者のための治療行為である。ドナーの心臓が入手困難であるため、電気機械式血液ポンプシステムが開発され、益々多くの患者において利用されている。これら装置はドナーの心臓が得られる見込みが薄い患者にとって移植までの橋渡し、回復までの橋渡し、あるいは永久治療用として利用されている。このような患者は大抵の場合には補助人工心臓(VAD)で治療される。この装置は左心室または右心室からの血液を大動脈または肺動脈へとそれぞれ放出する。患者によっては移植への橋渡し、または永久治療用として全置換型人工心臓(TAH)を必要とする。
【0003】
1種の知られたTAHは、連続流式全置換型人工心臓(CFTAH)である。これは動圧軸受で支持され、1体のモータで駆動される1体のロータに取り付けられた2体の遠心ポンプを含む。このCFTAHは心臓の心室に成り代り、患者の全身性(左)循環と肺性(右)循環の両方に対して血液を搬送する。このようなCFTAHの例は米国特許願公開2007/0253842において解説されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のCFTAHは外的制御により運用(作動)が可能であるが、その生理学的制御を求める需要が存在する。特に最小数のセンサーによる生理学的制御の需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この需要は人工心臓の生理学的制御システムおよび方法を提供する本発明によって満たされる。
【0006】
本発明の1実施態様によれば、この方法では、両端にそれぞれ第1インペラと第2インペラを取り付けたロータに接続された電気モータを含んだポンプが制御される。この方法は(a)モータを使ってロータを駆動し、第1インペラから第1流体回路、第2インペラ、第2流体回路を通して流体を循環させ、第1インペラに戻すステップと、(b)第1モータパラメータに基づいて第1流体回路の抵抗を決定するステップと、(c)第2モータパラメータに基づいて第1流体回路を通過する流量を決定するステップと、(d)ポンプの少なくとも1種の運用パラメータを変化させ、第1流体回路の流量と抵抗との間に所定の関係を維持させるステップとを含む。
【0007】
本発明の別実施態様によれば、この人工心臓システムは(a)両端に第1インペラと第2インペラをそれぞれ取り付けたロータに接続された電気モータを含んだ人工心臓であって、(i)第1インペラは患者の全身血管系と連通し、(ii)第2インペラは患者の肺性血管系と連通する人工心臓と、(b)電源と、(c)電源およびポンプと接続されたコントローラであって、(i)モータを使用してロータを駆動し、第1インペラから肺性血管系、第2インペラ、全身血管系を介して血液を循環させ、第1インペラに戻し、(ii)第1モータパラメータに基づいて全身血管系の抵抗を決定し、(iii)第2モータパラメータに基づいて全身血管系の流量を決定し、(iv)人工心臓の少なくとも1種の運用パラメータを変更し、全身血管系の全身流と抵抗との間の所定の関係を維持するようにプログラムされているコントローラとを含んでいる。
【0008】
本発明の別実施態様によれば、この方法は、両端に第1インペラと第2インペラをそれぞれ取り付けたロータに接続されている電気モータを含んだポンプを制御する。この方法は(a)モータを使用してロータを駆動し、第1インペラから第1流体回路、第2インペラ、第2流体回路を介して流体を循環させてから第1インペラに戻し、(b)ロータの速度を調整して脈動流を発生させ、(c)吸引または擦動を示すモータパラメータをモニターし、(d)吸引または擦動の表示に応じてピークモータ速度を減速させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施例に基づいた人工心臓と制御システムを示す断面図である。
【図2】循環システムに接続された図1のポンプの運用を示す概略図である。
【図3】目標とする運用特性を示すグラフである。
【図4】本発明の1実施例によるポンプの制御方法を示すブロック図である。
【図5】第1測定モータ動力特性に対してプロットされている観測された全身血管抵抗値を示すグラフである。
【図6】第2測定モータ動力特性に対してプロットされている観測された全身流量値を示すグラフである。
【図7】速度脈動のための制御関係を示すグラフである。
【図8】通常時における変調速度での人工心臓の運用を示すグラフセットである。
【図9】間欠吸引状態にある変調速度での人工心臓の運用を示すグラフセットである。
【図10】様々な速度で運用されている人工心臓の時間に対する規格化電流を示すグラフである。
【図11】図10で示す規格化電流の統計的変動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は添付の図面に基づいた以下の詳細な説明で十分に理解されるであろう。
【0011】
図1はヒトの患者を一時的または永久的にサポートする連続流式全置換型人工心臓を図示する。人工心臓10は、左インレット14と右インレット16を備えた中空ハウジング12を含む。複数のコイル巻を含む電気ステータ18がハウジング12内に収容されている。全置換型人工心臓10が例示として示されているが、本発明の原理は他の種類の機械的構成物やポンプ(例えば心室補助装置)においても同様に適用できる。
【0012】
ロータ20がステータ18の内部に取り付けられている。ロータ20は1以上の磁石を環状にアレンジした磁性構造物22を含む。羽体を環状に並べた左インペラ24は左インレット14に隣接したロータ20の左端に取り付けられている。羽体を環状に並べた右インペラ26は右インレット16に隣接したロータ20の右端に取り付けられている。左インペラ24と右インペラ26は、図1には図示されていないが、別々である右周辺アウトレットと左周辺アウトレットに放出する。左インペラ24を囲むハウジング12の一部に沿った左インペラ24は“左ポンプ”であり、右インペラ26を囲むハウジング12の一部に沿った右インペラ26は“右ポンプ”である。
【0013】
血液または人体組織と接触する人工心臓10の全部分は、チタン、医療品質ポリマー、等々の知られた生物学的適合材料により構築される。
【0014】
ロータ20とステータ18はステータ18への電流を変動させることでブラシレスDCモータとして運用される。人工心臓10はケーブル28によってコントローラ32に接続されている。コントローラ32は、例えばバッテリである電源30によって動力が与えられる。これらは図1で図示されている。コントローラ32は従来方法でステータ18にパルスDC電流を効果的に提供し、以下で詳細に解説するように、予めプログラムされた制御方法を実行するのに適したマイクロプロセッサまたは他のハードウェアを含む。
【0015】
コントローラ32は、知られた種類のモータ駆動回路に接続されたCPUまたは主プロセッサのごときサブ構成要素を含む。コントローラ32の自由度とは、平均ポンプ速度(RPM)、DCパルスレート、速度脈動(すなわち平均値周辺のRPM変調),デューティサイクルの少なくともいずれかである。コントローラ32は、1以上の制御パラメータ、特に人工心臓10に送られる電力(ワット)を測定し、人工心臓10からポンプ速度を示すフィードバック信号を受信するようにも設計されている。さらに速度脈動(すなわちRPM変調)は患者内で脈動を発生させ、生理学的制御のための追加パラメータを提供するように使用される。
【0016】
図2は患者の循環系に接続された人工心臓10の簡素化された概略図である。利用にあたっては、左インペラ24が身体の全身血管系を通して血液を送る。これは流体回路“S”で表されており、液圧の観点から“SVR”と標識された全身血管抵抗で表されている。その後血液は右心房(右インペラインレット)に戻る。右インペラ26は血液を身体の肺性血管系を通して送る。これは別の流体回路“P”で表されており、液圧の観点から“PVR”と標識された肺性血管抵抗で表されている。血液はPVRから流れ出し、左心房(左インペラインレット)に戻る。
【0017】
全身系(即ち左)流量が肺性(即ち右)流量よりも少ない場合には、左心房の圧力が増加され、右心房圧力は減少する。左の流量が右の流量よりも多い場合には、心房の圧力は逆になる。よって流量のアンバランスは自動的に心房(ポンプインレット)圧力のアンバランスを伴う。
【0018】
ロータ20の磁性構造物22はステータ18よりも軸方向で短く、ポンプインレット(即ち心房)圧のアンバランスに対応してロータ20に一定の軸方向自由動作をさせる。この軸方向動作は、左インペラ24と右インペラ26のそれぞれの軸方向運用クレアランスである距離“D1”と“D2”(図1参照)を変更する。ポンプ形状のこの変更は、心房圧アンバランスを矯正する方向の相対的左右機能に影響を及ぼす。従って人工心臓10は自動バランス式であり、インレット圧力バランス調整器として作動し、同時に全身系循環と肺性循環の両方のためにポンピングを実行する。
【0019】
人工心臓10は次のように制御される。まず医師によって望む特性または目標とする特性が決定される。この特徴は全身血管回路Sの体積流量とSVRとの間の関係を解説する。図3の実施例では、この特徴は医師によって選択される端点間の直線プロットである。
【0020】
図4では、コントローラ32は動力を人工心臓10に送り、左右インペラ24と26を回転させる。患者内で脈動を発生させるためのロータパルス速度は変調できる。この“変調”とは一般的にロータ速度の循環特性における全ての変化(直接的および間接的)を表し、様々な方法によって可能である。例えばロータ速度の直接的閉ループ制御が実行できる。あるいはコントローラ32からモータへ供給される電流が変調され、得られたロータ速度の変化が受け容れられる。
【0021】
ロータ変調信号(すなわち速度または電流波形)は正弦曲線またはデューティサイクル変換を伴う正弦波、またはランプ形状、三角形状あるいは正方形状等の別波形でよい。ブロック100でコントローラ32はモータに送られる平均電力(ワット)を検出する。これはコントローラ32によって従来方法で測定できる。さらにモータからのフィードバック信号に基づいてロータ速度が検出される。
【0022】
次にブロック110でコントローラ32は2つのパラメータ:RPM3で除算した平均ワットであるPSnormと、kRPM2で除算した平均ワットであるPQnormとを計算する。
【0023】
続いてブロック120において計算されたパラメータに基づいてSVRと全身流量が決定される。図5はSVR(ダイン・秒/cm5)対PSnormの適した相関関係のサンプルを示す。この相関関係は実証試験データから導かれる。これは図5においてグラフとして図示されている。しかし他の同意義形態、例えばグラフ、参照表またはマトリックス、あるいは数式(例:一次分析または多項曲線分析)としてもコントローラ32によって実施または保存することができる。
【0024】
図6は全身流量(lpm)対PQnormの適した相関関係のサンプルを示す。この相関関係は実証試験データから導かれる。それは図6ではグラフとして示されているが、コントローラ32によって他の同意義形態、例えば、グラフ、参照表またはマトリックス、あるいは数式(例:一次分析または多項曲線分析)としても実施または保存できる。
【0025】
全身流量とSVRが決定されると、それらの関係は計算され、進行中の運用点が図3で示される所定の特徴に合致しているか否かが決定される。合致していなければブロック130で合致するまで1以上の運用変数が増加または減少される。このような運用変数の例には、平均ポンプ速度、パルスレート、速度脈動、デューティサイクルの少なくともいずれかが含まれる。ポンプの運用が継続する限りブロック100でこの方法は反復される。
【0026】
制御プロセスとは無関係に、人工心臓10の運用中には上述の自動バランスプロセスも実行されている。2つのポンプの相対的な左機能と右機能はポンプ出力が受ける相対インピーダンスによっても影響を受けるであろう。このポンプ形態においては、高SVRでの速度変調は左ポンプ出力を減少させ、右ポンプ出力を増加させる。
【0027】
この影響はコントローラ32を利用して高SVR値での速度脈動を低減または排除するように変調できる。例えば、コントローラ32は図7で示す実施例に類似した増強速度脈動対SVRの特徴に従うようにプログラムできる。これで人工心臓10は広い範囲の生理学的条件にわたって自動バランスし、左右機能において追加の自由度が提供される。
【0028】
変調モードで人工心臓10を運用することで、人口心臓10に戻る血液量の生理的減少を伴う循環ピーク速度にて左インレット14または右インレット16の周囲での人体組織の間欠吸引を引き起こす可能性がある。この間欠閉塞はロータ20の軸方向移動において不安定で増幅された変動を引き起こすことがあり、ポンプのハウジング12に対して左右インペラ24または26を接触させる。
【0029】
これはコントローラ32で処理される速度と電流信号に反映される。間欠吸引とそれに関連する影響は望ましくはなく、人工心臓10に過剰な磨耗または損傷を引き起こす虞がある。人工心臓10の制御に加えて本発明はこの間欠吸引を検出し、ピーク速度減少を通じてそれに対処する方法を提供する。
【0030】
通常では、速度が正弦曲線速度波形であるとき、これは類似した波形の電流を発生させる。この逆も起きる。通常のシステムレスポンスの1例は図8に示されている。図8は正弦曲線速度と略正弦曲線電流を示す。この実施例ではポンプ速度は1.33Hz(即ち80鼓動/分)の頻度および2800RPMの平均速度の±25%の振幅で変調される。
【0031】
図9では平均速度3000RPMで同一変調が施されて間欠吸引が起き、非正弦曲線速度/電流関係(“A”と“B”)となり、電流変動率(di/dt)でスパイクが発生し、擦動点(高正di/dt)を“C”で明瞭に示し、吸引期間(高負di/dt)を“D”で示す。
【0032】
これらの観測結果に基づき、(di/dt)の高絶対値はレスポンスに対する設定制限値または誘発値として機能する。特定利用形態の制限値は実証試験データから導かれる。あるいはコントローラ32は速度または電流波形を評価し、その波形における特殊な特徴の存在、例えば図9のAで示される短いRPM降下または図9のBで示されるピーク非連続性のごとき特徴の存在に基づいてレスポンスを誘発するようにプログラムできる。
【0033】
ピーク速度の減少を誘発するための別の適した実証試験は正規化電流の分析である。図10は2600RPM、2800RPMおよび3000RPMで運用されている人工心臓10の正規化電流(電流信号は速度信号の3乗で除算して正規化)を示す。通常では、速度の3乗で除算された電流の信号は小さな変動を有する(図11参照)が、速度が異常吸引状態を引き起こす程度に速いなら、正規化電流の変動は急激に大きくなる。
【0034】
このことは3000RPMでの運用例に明確に見られる。擦動は図10の“C”で示され、吸引は“D”で示される。図11は正規化電流の対応する高変動を示す。これらの観測に基づき、正規化されたモータ電流の高い変動値はレスポンスのための設定制限値または誘発値として機能する。特定利用形態におけるこの制限値は実証試験データから導かれる。
【0035】
少なくとも吸引か、擦動かのいずれかの存在または非存在を決定するため、どちらの特定誘発値または制限値が使用されようとも、コントローラ32は、少なくともパラメータを評価し特定の誘発値を求めるか、パラメータを設定制限値と比較するようにするかのいずれかのプログラムをすることができる。もし吸引または擦動が示されたら、コントローラ32はピーク速度を減少させることで対応する。これで平均速度が下がり、速度変調振幅が減少し、デューティサイクル(高速での時間の一部)が変更され、あるいはそれらが組み合わされる。
【0036】
上述は全置換型人工心臓の運用方法を解説した。本発明の特定実施例を解説したが、専門家であれば本発明の精神とスコープの範囲内でそれらに様々な変更を加えることが可能であることを理解しよう。よって本発明の好適実施例および好適実施態様の前述内容は本発明の説明のためだけに供されており、本発明を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その両端に第1インペラと第2インペラを取り付けたロータに接続された電気モータを含んだポンプを制御する方法であって、
(a)前記モータを使ってロータを駆動し、前記第1インペラから第1流体回路、前記第2インペラ、第2流体回路を通して流体を循環させ、前記第1インペラに戻すステップと、
(b)第1モータパラメータに基づいて前記第1流体回路の抵抗を決定するステップと、
(c)第2モータパラメータに基づいて前記第1流体回路を通過する流量を決定するステップと、
(d)前記ポンプの少なくとも1種の運用パラメータを変化させ、前記第1流体回路の前記流量と前記抵抗との間に所定の関係を維持させるステップと、を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記の少なくとも1種の運用パラメータは、平均ポンプ速度、電気パルスレート、速度脈動、ポンプデューティサイクルおよびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1モータパラメータはモータに送られる電力に比例するものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
第2モータパラメータはモータに送られる電力に比例するものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
脈動流を発生させるためにロータの速度を変調させるステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
第1流体回路の抵抗に基づいて速度変化程度を変更するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
第1流体回路と第2流体回路の流量の変動に応じて第1インペラと第2インペラの相対機能を変動させるためにロータをハウジング内にて軸方向に移動させるステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
(a)ポンプの吸引または擦動を示すモータパラメータをモニターするステップと、
(b)ポンプの吸引または擦動の徴候に対応してモータのピーク速度を減少させるステップと、をさらに含んでいることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
モータパラメータはモータ電流の変化の絶対値であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
モータパラメータはモータへの正規化電流入力の変化量であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
ピークモータ速度を減少させるステップは、モータ平均速度の減少、速度変調幅の減少、モータデューティサイクルの変更およびそれらの組み合わせから選択される行動を含んでいることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記のステップ(a)であるモータを使ってロータを駆動し、第1インペラから第1流体回路、第2インペラ、第2流体回路を通して流体を循環させ、第1インペラに戻すステップに先立って、
(a)患者の全身血管系に第1インペラを接続するステップと、
(b)患者の肺性血管系に第2インペラを接続するステップと、
をさらに含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
人工心臓システムであって、
(a)その両端にそれぞれ第1インペラと第2インペラを取り付けたロータに接続された電気モータを含んだ人工心臓であって、
(i)前記第1インペラは患者の全身血管系と連通し、
(ii)第2インペラは患者の肺性血管系と連通する、
人工心臓と、
(b)電源と、
(c)前記電源およびポンプと接続されたコントローラであって、
(i)モータを使用して前記ロータを駆動し、前記第1インペラから前記肺性血管系、前記第2インペラ、前記全身血管系を介して血液を循環させ、前記第1インペラに戻し、
(ii)第1モータパラメータに基づいて前記全身血管系の抵抗を決定し、
(iii)第2モータパラメータに基づいて前記全身血管系の流量を決定し、
(iv)人工心臓の少なくとも1種の運用パラメータを変更し、前記全身血管系の全身流と抵抗との間の所定の関係を維持する、ようにプログラムされているコントローラと、
を含んでいることを特徴とする人工心臓システム。
【請求項14】
第1モータパラメータはモータに送られる電力に比例するものであることを特徴とする請求項13記載の人工心臓システム。
【請求項15】
第2モータパラメータはモータに送られる電力に比例するものであることを特徴とする請求項13記載の人工心臓システム。
【請求項16】
コントローラは、脈動流を発生させるためにロータ速度を変調させるようにさらにプログラムされていることを特徴とする請求項13記載の人工心臓システム。
【請求項17】
コントローラは全身血管系の抵抗に基づいて変調速度を変更するようにさらにプログラムされていることを特徴とする請求項16記載の人工心臓システム。
【請求項18】
前記の少なくとも1種の運用パラメータは、平均ポンプ速度、電気パルスレート、速度脈動、ポンプデューティサイクルおよびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項13記載の人工心臓システム。
【請求項19】
(a)ロータには磁性構造物が取り付けられており、
(b)前記ロータを電気ステータが包囲しており、
(c)前記磁性構造物は前記電気ステータよりも軸方向で短く、よって前記ロータはハウジング内で軸方向に可動であり、第1インペラと第2インペラへのインレットにおける流体圧の変化に応じて前記第1インペラと前記第2インペラの相対機能を変更する、
ことを特徴とする請求項13記載の人工心臓システム。
【請求項20】
その両端に第1インペラと第2インペラを取り付けたロータに接続された電気モータを含んだポンプを制御する方法であって、
(a)前記モータを使ってロータを駆動し、前記第1インペラから第1流体回路、前記第2インペラ、第2流体回路を通して流体を循環させ、前記第1インペラに戻すステップと、
(b)前記ロータの速度を変調し、脈動流を発生させるステップと、
(c)吸引または擦動の徴候を示すモータパラメータをモニターするステップと、
(d)吸引または擦動の徴候に対応して前記モータ速度を減少させるステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項21】
モータパラメータはモータ電流変化の割合の絶対値であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
モータパラメータはモータへの正規化電流入力の変化量であることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項23】
ピークモータ速度を減少させるステップは、モータ平均速度の減少、速度変調幅の減少、モータデューティサイクルの変更およびそれらの組み合わせから選択される行動を含んでいることを特徴とする請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−514709(P2012−514709A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544670(P2011−544670)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/020191
【国際公開番号】WO2010/080783
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(595033056)ザ クリーブランド クリニック ファウンデーション (14)
【氏名又は名称原語表記】The Cleveland ClinicFoundation
【住所又は居所原語表記】9500 Euclid Avenue,Cleveland,Ohio,United States of America
【Fターム(参考)】