説明

連続焼成炉及び連続焼成方法

【課題】消費電力の無駄を少なくして効率のよいマイクロ波焼成を短時間で行うことのできること。
【解決手段】マイクロ波発生源1で発生された進行波を伝播すると共に、収容する加熱対象物Wを加熱焼成する焼成導波管50は、その焼成導波管50の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に進行波の進行方向に移動させながら、加熱対象物Wの加熱焼成温度を上昇させるものである。したがって、焼成導波管50内で焼成を行う場合、突然、高エネルギで加熱対象物Wの加熱を開始することがない。焼成導波管50内の反射波の発生が殆どないから、マイクロ波発生源1を構成するマイクロ波発振器を反射波で傷めることがなく、加熱対象物Wのみにエネルギを供給することができ、効率がよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス材料等で形成された被焼成体を連続焼成する連続焼成炉及び連続焼成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の連続焼成炉及び連続焼成方法としては、特許文献1及び特許文献2の技術思想が公知である。
特許文献1で、マイクロ波によって自己発熱する発熱層及び前記発熱層の外側を包囲する断熱層からなる隔壁により区画された焼成室を有し、その焼成室内を入口から出口に向かって搬送される被焼成体に対してマイクロ波を照射して当該被焼成体を加熱焼成する連続焼成炉において、前記断熱層に冷却媒体の流路を設け、前記流路と前記発熱層との間の距離を変化させることにより炉長方向の温度分布を変化させる技術思想が開示されている。
【0003】
この構成によって、マイクロ波によって発熱層が自己発熱して焼成室内が高温状態にあるとき、断熱層に形成された空孔にボンベから常温空気を導入し、空孔に導入された空気が空孔内を流通するときにその空孔近傍の発熱層との間で熱交換し、空孔近傍の限られた領域で焼成室内の温度が低下する。また、この空孔内を流通する空気による焼成室内の温度低下の度合いは、空孔に導入する空気の導入速度を調節して熱交換効率を変化させることで、任意に制御することができる。したがって、各空孔に導入する空気の導入速度を調節することで、仮に設計後の炉であっても焼成室内の温度プロファイルを任意に設定することができ、被焼成体の材質や形状、大きさに応じて焼成室内の温度プロファイルを最適化することで、一つの連続焼成炉で種々の被焼成体の焼成に対応することができるものである。
【0004】
また、特許文献2で、電磁波照射による焼成を行なう加熱・焼結領域が少なくとも設けられているトンネル式連続焼成炉を用いて、焼成温度の異なる多種類の焼成体を連続して得る焼成体の焼成方法において、所定の被焼成体に対する焼成温度条件に設定されている上記加熱・焼結領域に、前者と異なる焼成温度を有する被焼成体を該被焼成体の周囲を前記被焼成体の電磁波発熱特性を有する材料で形成した輻射加熱体で囲った状態で挿入する連続焼成方法の技術思想が開示されている。
この構成によって、加熱・焼結領域の温度条件を、所定の被焼成体の焼成温度に対するものに設定したマイクロ波連続焼成炉を用いているにもかかわらず、個々に異なる焼成温度を有する多種類の被焼成体に対して、個々の焼成温度に応じた最適な焼成を同時に行なうことができ、マイクロ波加熱によって品質に優れた種々の焼成体が得られ、少量多品種生産に適し、経済性に優れる連続焼成方法が得られるものである。
【0005】
【特許文献1】特許第3687902号
【特許文献2】特開2004−353574
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1では、断熱層の冷却媒体の流路と発熱層との間の距離を変化させることによって、炉長方向の温度分布を変化させることは、冷媒によって熱エネルギを放出することになり、供給するエネルギに無駄があった。
また、上記特許文献2では、異なる焼成温度を有する複数種類の被焼成体に対して、被焼成体の周囲を前記被焼成体の有する電磁波発熱特性に応じた電磁波発熱特性を有する材料で形成した輻射加熱体で囲って焼成することによって、前記被焼成体の焼成温度を変化させる技術思想を開示しているが、この技術においても、輻射加熱体でマイクロ波の電力を消費させるものであり、無駄な電力消費を行わせることになり、供給するエネルギに無駄があった。
【0007】
一方、近年、セラミック電子部品は省エネルギの観点から小型・軽量化、かつ、高性能化の要望が高くなり、IT産業、家電産業の分野では、顕著に部品の微細化が図られてきている。しかし、部品製造の要である焼成工程は、多段に棚組みした棚板上にそれらの部品を積載する焼成炉による大量生産のため、焼成エネルギの大部分は製品よりも棚板の加熱に供され、焼成効率の向上ができない現状がある。ここでは、特許文献1及び特許文献2の管体内多重モード共振型加熱方式では、焼成エネルギ効率に限界が予測される。
【0008】
そこで、この発明はかかる不具合を解決するためになされたもので、消費電力の無駄を少なくして効率のよいマイクロ波焼成を短時間で行うことのできる連続焼成炉及び連続焼成方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1にかかる連続焼成炉は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生源と、前記マイクロ波発生源で発生されたマイクロ波を閉じ込め、導波管の特性でマイクロ波を伝播すると共に、収容された加熱対象物を前記進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成する焼成導波管と、前記マイクロ波発生源で発生したマイクロ波を閉じ込め、前記焼成導波管までマイクロ波を伝播する供給導波管を具備し、前記焼成導波管は、焼成導波管の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を挿入し、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させることによって、前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させるものである。
ここで、上記マイクロ波発生源は、1000MHz前後の周波数、即ち、30cm程度の波長のマイクロ波発振器であり、実施の形態では1KW乃至50KW程度の出力を有するものを用いたが、本発明を実施する場合には、焼成能力を決定する搬送速度等の負荷の関係でマイクロ波の出力を決定し、かつ、焼成空間の大きさによってマイクロ波の周波数を決定すればよい。しかし、前記加熱対象物のサイズから焼成導波管のサイズが決定されるから、それによれば1000MHz前後の周波数を使用するのが好適である。
また、上記焼成導波管は、マイクロ波発生源から供給されたマイクロ波を閉じ込めて導波管の特性で進行波を伝播すると共に、収容された加熱対象物を加熱焼成するものであればよい。前記焼成導波管は、その長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を挿入し、前記加熱対象物を電磁界強度の強い中心位置に移動させることによって、前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させるものであり、焼成導波管内の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、徐々に電磁界強度の強い位置に前記加熱対象物を移動できればよい。
そして、上記供給導波管は、前記マイクロ波発生源で発生したマイクロ波エネルギを閉じ込め、前記焼成導波管までマイクロ波エネルギを搬送するものであればよく、単一の焼成導波管または複数の焼成導波管と接続されるものであればよい。
更に、前記加熱対象物を電磁界強度の弱い位置から挿入し、電磁界強度の強い中心位置に移動させることは、直線的に変化させることもできるし、複数の段階的変化とすることもできる。
【0010】
請求項2にかかる連続焼成炉において、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管の下面側から取り込み、前記焼成導波管の断面中央に移動させるものである。
ここで、前記加熱対象物の移動は、ベルトコンベアの搬送ベルトに載せる場合、ローラコンベアのローラに載せる場合、順次前記加熱対象物を押し出していくプッシャ方式の場合の何れであってもよく、結果的に、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を挿入し、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に相対移動させるものであればよい。
【0011】
請求項3にかかる連続焼成炉においては、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作が、前記焼成導波管の上面側から取り込み、前記焼成導波管の断面略中央に移動させるものである。
ここで、前記加熱対象物の移動は、搬送ベルトに載せる場合、ローラコンベアに載せる場合、順次前記加熱対象物を順次押し出していくプッシャ方式の場合の何れであってもよく、結果的に、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に相対移動させるものであればよい。
【0012】
請求項4にかかる連続焼成炉の前記焼成導波管による加熱焼成後の降温処理は、高温保持処理及び冷却処理、高温保持処理または冷却処理とするものである。ここで、高温保持処理とは、特定の高い温度を数分以上維持するものであればよく、また、冷却処理とは、焼成温度よりも降下した温度であればよく、常温程度に温度が降下したもの及び格別室温よりも低下させたものを意味するものではない。厳密には、前記加熱対象物が破壊されないような温度、作業に影響を与えない温度であればよく、例えば、焼成材料によっても異なるが、50〜80℃程度になっておればよい。
【0013】
請求項5にかかる連続焼成炉の前記供給導波管は、チューナを具備しているものである。ここで、チューナは、供給導波管において、焼成導波管に分岐されたマイクロ波の配分が所望の値に制御できるものであればよい。
【0014】
請求項6にかかる連続焼成炉の前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管相互を接続するフランジで角度をつけて前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させるものである。
ここで、前記焼成導波管相互を接続するフランジは、前記焼成導波管と前記加熱対象物の相対移動方向の変更を行うものであり、規格化された導波管の形状を変更する必要性がない。
【0015】
請求項7にかかる連続焼成方法は、マイクロ波発生源で発生させたマイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管に導くマイクロ波供給部と、導入されたマイクロ波エネルギを閉じ込め、導波管の特性で進行波を伝播すると共に、前記焼成導波管に収容された加熱対象物を前記進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成する焼成部と、前記焼成導波管に対して前記焼成導波管の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、そして、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させることによって前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させる昇温導入部を具備するものである。
ここで、上記マイクロ波供給部とは、マイクロ波発生源で発生させたマイクロ波を、加熱対象物を焼成する焼成導波管に導くものであればよい。
また、上記焼成部とは、導入された進行波をその長さ方向に伝播すると共に、前記焼成導波管に収容された加熱対象物を前記進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成するものであればよい。
そして、昇温導入部とは、前記焼成導波管の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を挿入し、そして、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させることによって前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させるものであればよい。
【0016】
請求項8にかかる連続焼成方法の前記電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部は、前記焼成導波管の下面側から取り込み、前記焼成導波管の中央に移動させるものである。
ここで、前記加熱対象物の移動は、ベルトコンベアの搬送ベルトに載せる場合、ローラコンベアのローラに載せる場合、順次前記加熱対象物を押し出していくプッシャ方式の場合の何れであってもよく、結果的に、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に相対移動させるものであればよい。
【0017】
請求項9にかかる連続焼成方法の前記電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部は、前記焼成導波管の上面側から取り込み、前記焼成導波管の中央に移動させるものである。
ここで、前記加熱対象物の移動は、搬送ベルトに載せる場合、ローラコンベアに載せる場合、順次前記加熱対象物を順次押し出していくプッシャ方式の場合の何れであってもよく、結果的に、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を挿入し、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に相対移動させるものであればよい。
【0018】
請求項10にかかる連続焼成方法は、加熱焼成後の降温処理として、高温保持処理及び/または冷却処理を行うものである。ここで、高温状態とは、特定の温度を数分以上維持するものであればよく、また、冷却状態とは、常温程度に温度が降下したものに限定されるものではなく、焼成温度よりも低い温度を意味する。厳密には、前記加熱対象物が破壊されないような温度、例えば、焼成材料によっても異なるが、50〜80℃程度になっておればよい。
【0019】
請求項11にかかる連続焼成方法において、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管相互を接続するフランジで角度をつけて前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させるものである。
ここで、前記焼成導波管相互を接続するフランジは、前記焼成導波管と前記加熱対象物の相対移動方向の変更を行うものであり、規格化された導波管の形状を変更する必要性がない。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の連続焼成炉は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生源で発生されたマイクロ波を閉じ込め、導波管の特性で進行波を伝播すると共に、収容する加熱対象物を加熱焼成する焼成導波管は、焼成導波管の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に進行波の進行方向に移動させることによって、前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させるものである。
したがって、焼成導波管内で焼成を行う場合、突然、高エネルギで加熱対象物の加熱を開始すると、前記加熱対象物にひびが入ったり、毀損したりするが、本発明では、電磁界の弱い焼成導波管の壁面近傍から前記加熱対象物を取り込み、その後、徐々に電磁界の強い焼成導波管の中央に導くものであるから、前記加熱対象物に与えるショックが少ない。また、電磁界の弱い焼成導波管の壁面近傍から前記加熱対象物を取り込むものであるから、焼成導波管から漏れる電磁波が殆どない。そして、焼成導波管内の電磁波の乱れを最小限に抑えることができる。更に、焼成導波管内の全体の温度上昇を行うものでなく、加熱対象物のみを加熱焼成するものであるから、少ないエネルギで早く焼成でき、消費電力に無駄がない。また、常に、移動する前記加熱対象物の焼成環境が一致するから、同一エネルギ分布の条件化で前記加熱対象物が均一に焼成でき、その均一焼成の結果、その品質が良くなる。更に、焼成導波管内の反射波の発生が殆どないから、マイクロ波発生源を構成するマイクロ波発振器を反射波で傷めることがない。
更に具体的には、装置が飛躍的にコンパクト化され、かつ、前記加熱対象物の一段積載の高効率迅速処理により、小型電子部品の焼成効率が数倍に向上され、また、雰囲気焼成を付加自在であるから、大気中で焼成されるセラミックス電子部品に止まることなく、雰囲気焼成中で焼成されるセラミックス電子部品及び金属部品である自動車部品等用としても使用できる。また、マイクロ波の内部加熱効果が最大級に生かされる加熱プロセスであることから、電子部品等の材料の特性値が向上するという効果が期待できる。
【0021】
請求項2の連続焼成炉は、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管の下面側から取り込み、前記焼成導波管の断面中央に移動させるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記焼成導波管の下方向から徐々に中央に上昇させるものであり、前記焼成導波管までマイクロ波を伝播する供給導波管が上部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0022】
請求項3の連続焼成炉は、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管の上面側から取り込み、前記焼成導波管の断面中央に移動させるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記焼成導波管の上方向から徐々に中央に下降させるものであり、前記焼成導波管までマイクロ波を伝播する供給導波管が下部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0023】
請求項4の連続焼成炉の前記焼成導波管による加熱焼成後の降温処理は、高温保持処理及び/または冷却処理を行うものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、所定の焼成温度で特定時間焼成し、その後、任意の処理を行い、焼成冷却管理が容易になる。
【0024】
請求項5の連続焼成炉の前記供給導波管には、チューナを具備しているものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、単数のマイクロ波発生源から複数の焼成導波管に対して分岐する前記供給導波管は、分岐された複数の焼成導波管に所望の配分でマイクロ波を供給することができる。
【0025】
請求項6の連続焼成炉において、前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管を構成する所定長の単位焼成導波管相互間を接続するフランジで角度をつけて前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させるものである。
したがって、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、前記焼成導波管相互を接続するフランジのみで、前記焼成導波管を構成する所定長の単位焼成導波管相互間の相対移動方向の変更を行うものであるから、規格化された導波管の形状を変更する必要性がなくなり、前記焼成導波管として廉価な規格品を使用することができる。また、前記焼成導波管を構成する所定長の単位焼成導波管と前記加熱対象物との相対変化があっても、常に、前記加熱対象物の移動を直線上の移動とすることができる。
【0026】
請求項7の連続焼成方法は、マイクロ波発生源で発生させたマイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管に導くマイクロ波供給部と、導入されたマイクロ波エネルギを閉じ込め、導波管の特性で進行波を伝播すると共に、前記焼成導波管に収容された加熱対象物を前記進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成する焼成部とを有し、前記焼成導波管の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置の昇温導入部から前記加熱対象物を取り込み、そして、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させることによって前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させるものである。
したがって、焼成導波管内で焼成を行う場合、突然、高エネルギで加熱対象物の加熱を開始すると、前記加熱対象物にひびが入ったり、毀損したりするが、本発明では、電磁界の弱い焼成導波管の壁面近傍から前記加熱対象物を挿入し、その後、徐々に、電磁界の強い焼成導波管の中央に導くものであるから、前記加熱対象物に与えるショックが少ない。また、電磁界の弱い焼成導波管の壁面近傍から前記加熱対象物を挿入するものであるから、焼成導波管から漏れる電磁波が殆どない。そして、焼成導波管内の全体の温度上昇を行うものでなく、加熱対象物のみを加熱焼成するものであるから、少ないエネルギで早く焼成でき、消費電力に無駄がない。また、常に、移動する前記加熱対象物の焼成環境が一致するから、同一エネルギ分布の条件化で前記加熱対象物が均一に焼成でき、その均一焼成の結果、その品質が良くなる。更に、焼成導波管内の反射波の発生が殆どないから、マイクロ波発生源を構成するマイクロ波発振器を反射波で傷めることがない。
更に具体的には、装置が飛躍的にコンパクト化され、かつ、前記加熱対象物の一段積載の高効率迅速処理により、小型電子部品の焼成効率が数倍に向上され、また、雰囲気焼成を付加自在であるから、大気中で焼成されるセラミックス電子部品に止まることなく、雰囲気焼成中で焼成されるセラミックス電子部品及び金属部品である自動車部品等用としても使用できる。また、マイクロ波の内部加熱効果が最大級に生かされる加熱プロセスであることから、電子部品等の材料の特性値が向上するという効果が期待できる。
【0027】
請求項8の連続焼成方法は、前記電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部は、前記焼成導波管の下面から取り込み、前記焼成導波管の中央に移動させるものであるから、請求項7に記載の効果に加えて、前記焼成導波管の下方向から徐々に中央に上昇させるものであるから、前記焼成導波管までマイクロ波エネルギを搬送する供給導波管が上部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0028】
請求項9の連続焼成方法は、前記電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部は、前記焼成導波管の上面から取り込み、前記焼成導波管の中央に移動させるものであるから、請求項7に記載の効果に加えて、前記焼成導波管の上方向から徐々に中央に下降させるものであるから、前記焼成導波管までマイクロ波エネルギを搬送する供給導波管が下部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0029】
請求項10の連続焼成方法は、前記焼成導波管による加熱焼成後の降温処理は、高温保持処理及び冷却処理、高温保持処理または冷却処理とするものであるから、請求項7乃至請求項9の何れか1つに記載の効果に加えて、所定の焼成温度で特定時間焼成し、その後、常温に冷却するものであるから、焼成されたものを外部で冷却することなく、直接取り出すことができる。
【0030】
請求項11にかかる連続焼成方法の前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管を構成する所定長の単位焼成導波管相互間を接続するフランジで角度をつけて前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させるものであるから、請求項7乃至請求項10の何れか1つに記載の効果に加えて、前記焼成導波管を構成する所定長の単位焼成導波管相互間を接続するフランジによって、前記焼成導波管と前記加熱対象物の相対移動方向の変更を行うことができればよく、規格化された導波管の形状を変更する必要性がなく、そのままの使用が可能であり、廉価な装置が製造可能となる。また、複数の所定長の単位焼成導波管と前記加熱対象物との相対変化が生じても、常に、前記加熱対象物の移動を直線上の移動とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能を意味するものであるから、重複する説明を省略する。
図1は本発明の実施の形態における連続焼成炉の全体構成を概念的に示す概念図であり、図2は本発明の実施の形態における連続焼成炉の全体構成を示す具体的構成を示す側面図である。また、図3は本発明の実施の形態における連続焼成炉の供給導波管を示す正面図であり、図4は本発明の実施の形態における連続焼成炉の供給導波管を示す要部斜視図である。そして、図5は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Eベンドを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)で、図6は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Eベンドの搬入口の正面図である。
【0032】
図において、マイクロ波を発生するマイクロ波発生源1は、915MHzのマイクロ波発振器で、その出力が1KW乃至50KW程度のものを用いて実施した。なお、実施例としては915MHzのマイクロ波で、発振出力15KWを分岐して2系統とし、発振出力は各々7.5KWの出力とした例の1系統として説明する。915MHzのマイクロ波は、伝送路としての方形導波管WR975(EIA形名)の断面内側寸法を124×248mmとし、具体的には、内寸124×248mmの単位焼成導波管30の加熱領域は90%フラットトップの幅が60mm程度である。また、単位焼成導波管30としては、方形導波管WR1150(EIA形名)の断面内側寸法と一致した146×292mmの内寸を使用することもできる。
【0033】
マイクロ波の出力は、具体的には、後述する単位焼成導波管30-2,30-3,30-4の導波管に10mmの測定孔を穿設し、放射温度計により当該位置が最高温度になるように制御系を設定した。なお、マイクロ波は導波管断面の長手面の中心では電磁界強度がゼロであるから、マイクロ波の漏洩が全く無いことは明らかである。但し、測定孔を多数個穿設する場合、漏洩は無いものの、周波数の変動を避けるために不連続とすることが好ましい。具体的事例としては、10mmの測定孔を100mm間隔とした場合、周波数の変動、漏洩は全く確認されなかった。また、単位焼成導波管30内に発生する電磁界のモードは、発明者らによってTE10であることが確認された。
因みに、市販されているマイクロ波発生源1として2.45GHzのマイクロ波発振器を使用すると、導波管の断面内側寸法は55×109mmで、90%フラットトップの幅は20mm程度である。
【0034】
本実施の形態では、加熱及び焼成する加熱対象物Wの焼成エリアの形態を満たすため、加熱領域が90%フラットトップの幅を大きくするには、例えば、50mm程度を維持するには、90%フラットトップの幅を採れる導波管のサイズから、915MHzの周波数帯のマイクロ波が必要となる。但し、同一の方形導波管WR975(EIA形名)の内寸を使用しても、その基本モードの周波数範囲は、0.76乃至1.15GHzの範囲のマイクロ波の使用が可能である。したがって、本発明を実施する場合、90%フラットトップの幅を重要視すれば、マイクロ波発振器の周波数は、1GHz前後の周波数帯、即ち、30cm程度の波長のマイクロ波の発振器が使用可能であり、このように、加熱対象物Wの焼成空間の大きさによってマイクロ波の周波数が決定できる。
【0035】
殊に、本発明の実施の形態のように、マイクロ波発振器の周波数として加熱対象物Wのサイズから焼成導波管50の規格サイズが決定され、それによれば、焼成処理のスペース確保の必要性から、915MHzを含む1GHz前後の周波数の使用が好適である。
なお、本実施の形態において、特定の単位焼成導波管を指す場合は、単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-9と記載するが、共通する説明の場合には、単位焼成導波管30または連続する単位焼成導波管30の全体を示す場合には焼成導波管50と記載することとする。
【0036】
マイクロ波発生源1から発生した915MHzのマイクロ波は、マイクロ波発生源1に設けられた出力窓2から出力され、直管3、Eベンド4、直管5、1/2分波器6、Hベンド7(7R,7L)、パワーモニタ8(8R,8L)、チューナ9(9R,9L)、変形Eベンド10(10R,10L)を介して、導波管の特性で進行波を焼成導波管50に伝播される。
なお、本実施の形態における図示されたHベンド7(7R,7L)、パワーモニタ8(8R,8L)、チューナ9(9R,9L)、変形Eベンド10(10R,10L)のうち、図3に示す右側のものと左側のものを区別する意味では、数字にR、Lを付すこととし、左右の何れでもよい技術的意味では、数字のみで、それにRまたはLは付さないこととする。
【0037】
直管3及び直管5は、規格化された方形導波管WR975(EIA形名)の内寸を用いたものである。Eベンド4及びHベンド7についても、規格化された方形導波管WR975(EIA形名)に接続される内寸の曲がりである。1/2分波器6は、導波管の分岐を行うもので、右のHベンド7Rと左のHベンド7L側に直管5を介して出力されたマイクロ波エネルギを分配するものである。また、パワーモニタ8は、マイクロ波エネルギの配分状況を検出するもので、右のHベンド7Rと左のHベンド7L側に分配入力する入力波電力を示すものである。
ここで、前述したマイクロ波発生源1の出力窓2に接続された直管3、Eベンド4、直管5、1/2分波器6、Hベンド7、パワーモニタ8、チューナ9は、マイクロ波発生源1で発生したマイクロ波エネルギを閉じ込めて、その進行波を焼成導波管50に伝播させる供給導波管20を構成し、チューナ9によって分岐された複数の焼成導波管50に所望の配分でマイクロ波を供給することができる。
【0038】
この供給導波管20は、本実施の形態では、直管3、Eベンド4、直管5、1/2分波器6、Hベンド7、パワーモニタ8、チューナ9で構成している。なお、焼成導波管50が1列のみのもののときには、直管3、図示しないベンドまたはコーナ(「ベンド」と「コーナ」とは確立された形状を定義するものは見当たらない。本明細書を通じて「ベンド」と「コーナ」は図に対応する形態のものと仮定して説明する)、パワーモニタ8、チューナ9とすることができる。また、焼成導波管50が4列のときには、1/2分波器で2つに分け、更にそれを2つに分けて構成することになる。勿論、マイクロ波発生源1の出力窓2の開口位置と焼成導波管50の位置によって、他の構成を採ることができる。
なお、本実施の形態の変形Eベンド10は、Eベンド4のようにマイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管50まで伝播させる機能に加えて、曲げを利用して加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から焼成導波管50内に取り込む機能を有している。
【0039】
本実施の形態の焼成導波管50は、図1の概念図に示すように、焼成導波管50の長さ方向、即ち、進行波の進行方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込む取り込み部51、加熱対象物Wを進行波の進行方向に沿って電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部52、所定の焼成温度に維持する高温保持部(恒温保持部)53、減衰した進行波を反射させることなく吸収して更に減衰消耗させる残存マイクロ波吸収部54、加熱対象物Wを冷却する冷却処理部55で全体が構成されている。具体的には、本実施の形態の連続焼成炉は、取り込み部51、昇温導入部52、高温保持部53、残存マイクロ波吸収部54、冷却処理部55は、架台90及び補助架台91の上に載置され、所定の位置関係を維持するようになっている。取り込み部51、昇温導入部52、高温保持部53、残存マイクロ波吸収部54、冷却処理部55の全長は、6〜10m程度であり、コンパクトに構成されている。なお、送り機構100は、搬送ガイド60に案内された搬送体70を焼成導波管50の搬入口13から搬出口15まで順次移動させる送りを行う機構部である。
【0040】
なお、本発明を実施する場合の焼成導波管50は、取り込み部51、昇温導入部52、高温保持部53、残存マイクロ波吸収部54、冷却処理部55の全構成を必要とするものではなく、マイクロ波発生源1で発生されたマイクロ波を閉じ込めて、導波管の特性で進行波を伝播すると共に、収容した加熱対象物Wを進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成する昇温導入部52及び高温保持部53を構成要件とするものである。
【0041】
次に、本実施の形態の連続焼成炉の取り込み部51、昇温導入部52、高温保持部53、残存マイクロ波吸収部54、冷却処理部55、送り機構100の構造及び特性について順次説明する。
本実施の形態の取り込み部51は、曲げの内側のフランジ19側直線と接触する接線を使用することから、変形Eベンド10によってなされている。変形Eベンド10には、焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13に、変形Eベンド10のフランジ19側の内側下面の延長線上に、焼成導波管50の図8に示す導波管本体39に比較して図6に示す搬入口13は、縦が約1/8、横が約1/3と小さく、開口面積が1/10〜1/20以下の断面積で、1/4波長以上の突出部11を形成し、その端部に開口12を形成している。
【0042】
具体的には、図5及び図6に示すように、焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13となる突出部11の開口12が、断面内側寸法の高さ10〜20mm、横幅60〜100mmで、肉厚が1〜10mmである。Eベンド4のようにマイクロ波を閉じ込めて伝播させる導波管本体39の機能部、即ち、変形Eベンド10のフランジ19からは、最大位置(下側)で300mm、最小位置(上側)で100mmだけ突出するように設定している。これは、突出部11が導波管の機能部から1/4波長以上突出していることを示すものである。因みに、1GHzのマイクロ波の波長は300mmであり、その1/4波長は75mmである。
【0043】
したがって、変形Eベンド10の焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13は、仮に、開口12が開放状態であっても、または、そこから一部の加熱対象物Wが外部に突出していても、それに反射、誘導されて、マイクロ波エネルギが焼成導波管50の外部に漏れることがない。
【0044】
更に、加熱対象物Wの搬入口13には、1対のレール61,62からなる搬送ガイド60が配設されている。搬送ガイド60は、突出部11の開口12及びその変形Eベンド10のフランジ19の位置で最低位置にあり、単位焼成導波管30-1のフランジ41F側の位置でもそれが維持されている。
【0045】
加熱対象物Wの搬入口13としての突出部11の開口12からは、搬送ガイド60が突出しており、それは単位焼成導波管30-1以降の搬送ガイド60に繋がっている。変形Eベンド10の突出部11に配設された搬送ガイド60は、エネルギ損失の小さい断熱材からなるスペーサ66を介して突出部11に堅固に固定されている。変形Eベンド10の内部では、基本的に直線的に配置した単位焼成導波管30-1以降の搬送ガイド60としての1対のレール61,62に繋がっている。
このように、本実施の形態の取り込み部51は、導波管の曲げの直線状の接線を使用することによって、開口12が開放状態であっても、または、そこから一部の加熱対象物Wが外部に突出していても、それに反射、誘導されて、マイクロ波エネルギが焼成導波管50の外部に漏れることがない搬入口13を形成することができる。また、後述するように、搬送ガイド60を水平を含む所定の直線運動とすることができる。
【0046】
本実施の形態の焼成導波管50の昇温導入部52は、主に、2個の単位焼成導波管30-1,30-2によって構成されている。
図7は本発明の実施の形態における連続焼成炉の昇温導入部の構成を示す要部側面図である。図8は図7の切断線A−Aによる断面図、図9は図7の切断線B−Bによる断面図、図10は図7の切断線C−Cによる断面図である。
【0047】
前述したように、焼成導波管50は規格化された導波管を使用しており、両端にフランジ41F(フランジのFはマイクロ波発生源1側),41R(フランジのRはマイクロ波発生源1の反対側)、42F,42R、・・・、49F,49Rを有する特定の単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-9、具体的には方形導波管WR975(EIA形名)の内寸を用いたもので、その断面内側寸法は、正確には、高さ123.8±0.25mm、横幅247.65±0.25mmで、板厚10mmである。単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-9は、フランジ41F,41R、42F,42R、・・・、49F,49Rによって密に接続され、マイクロ波の漏れが生じない構造となっている。
【0048】
焼成導波管50の材料は、マイクロ波の伝送損失の少ないものの使用が好ましく、銅、アルミニウム、ステンレス、一般鋼の何れかの使用が望ましい。本実施の形態では、経済性、加工性の観点からアルミニウムを選択した。直管3、Eベンド4、直管5、1/2分波器6、Hベンド7(7R,7L)、パワーモニタ8(8R,8L)、チューナ9(9R,9L)、変形Eベンド10(10R,10L)の材料も同様である。
【0049】
昇温導入部52及び高温保持部53を構成する単位焼成導波管30、即ち、単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-6には、上面及び下面に20〜30mmの厚みの断熱材31,32が、左右面には40〜60mmの厚みの断熱材33,34が配設されている。本実施の形態の断熱材31,32及び断熱材33,34は、良好な誘電体であり、マイクロ波エネルギによって発熱しない特性、即ち、誘電体に吸収されるエネルギ損失の非常に小さいセラミックス等からなり、吸収されるエネルギが小さいものである。本実施の形態では、昇温導入部52及び高温保持部53を構成する単位焼成導波管30に断熱材31,32及び断熱材33,34を配設しているが、変形Eベンド10における加熱対象物Wの焼成導波管50内への取り込みを行う構造では、断熱材を使用することも、省略することもできる。また、焼成導波管50の途中に冷却処理を組み入れた場合には、その冷却処理においても、断熱材の使用を省略することができる。
何れにせよ、断熱材31,32及び断熱材33,34の配設は、少なくとも加熱に寄与する単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-6の内壁面に配設され、単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-6内からの放熱を防止するものが好適である。しかし、本発明を実施する場合には、単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-6の内部の状態によっては、例えば、内部にベルトコンベアを通すような場合には、単位焼成導波管30-1,30-2,30-3、・・・、30-6の外壁面に配設することもできる。
【0050】
ここで、本実施の形態の断熱材31,32及び断熱材33,34の断熱材とは、誘電体に吸収されるエネルギをPとすると、エネルギPは次式で表される。
P=(ε0・ε"・ω・E2・VS1/2
ここで、 εO=真空の誘電率
ε"=εr・tanδ=誘電体の誘電損率
εr=比誘電率
tanδ=誘電体損失角
ω=各周波数
E=電界強度
S=誘電体の体積
である。即ち、誘電体の誘電損率の小さい材料であれば、マイクロ波エネルギを吸収して発熱し難いので、断熱材として機能する。
因みに、Al23は25℃で0.06、1000℃で0.16であり、ZrO2は25℃で0.27、1000℃で22.64である。両者をエネルギ損失から比較すれば、Al23の方が断熱材として好適であることが分る。
【0051】
このように、断熱材31〜34は、マイクロ波を吸収し難く、昇温プロファイルに見合う断熱能力を有することが必要である。因みに、本実施の形態の断熱材31〜34としては、アルミナ−シリカ系断熱材、シリカ−チタニア系断熱材の使用が可能である。
本実施の形態では、最高温度1200℃のとき、導波管本体39の断熱材31〜34により、導波管本体39の外表面の温度は80℃以下であり、焼成導波管50の熱膨張による歪みや応力は全く無視できるものであった。最高温度を更に高くする場合には、焼成導波管50自身の熱膨張により歪みや応力が発生することが懸念されるから、高温部となる焼成導波管50の外周を水冷、空冷等により温度制御とすることが必要となる。
念のため記載すると、周波数915MHzのマイクロ波導波管の内寸サイズをWR975からWR1150の内寸を採用することにより、断面形状を大きくし、断熱材を厚くした構成により焼成導波管50の表面の温度を低減する方法も用いることができる。
【0052】
突出部11の開口12から単位焼成導波管30-1を通過して単位焼成導波管30-2の単位焼成導波管30-1の反対側のフランジ42Rの間には、1対のレール61,62からなる搬送ガイド60が配設されている。搬送ガイド60としての1対のレール61,62は、図8に示すように、突出部11の開口12及び単位焼成導波管30-1のフランジ41Fの位置で最低位置にあり、単位焼成導波管30-2のフランジ42Rの位置で、図10に示すように、導波管本体39の中心位置になるように設定されている。
通常、搬送ガイド60は、加熱対象物Wの機械的搬送のし易さを考慮すると、搬送ガイド60は直線運動とし、2個の単位焼成導波管30-1,30-2を所定の角度傾斜させることによって相対的に変化させるのがよい。
【0053】
単位焼成導波管30-3以降の単位焼成導波管30については、搬送ガイド60は、2個の単位焼成導波管30-1,30-2の搬送ガイド60の延長線上の直線位置に配置され、単位焼成導波管30-3以降と搬送ガイド60との間には、図1に示すように、相対変化は生じていない。
【0054】
ここで、本実施の形態の搬送体70と焼成導波管50の内面との相対移動について、更に、詳述する。
本実施の形態の変形Eベンド10の焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13としての突出部11の下面側に形成した開口12は、突出部11の開口12から焼成導波管50の搬出口15までの搬送ガイド60を直線状とし、それに対し焼成導波管50の位置を相対変化している。
【0055】
この焼成導波管50と搬送ガイド60としての1対のレール61,62との位置の相対変化は、変形Eベンド10のフランジ19と単位焼成導波管30-1のフランジ41Fとの間に、アルミニウム製で焼成導波管50の導波管特性を一致させる開口を有する角度調整アダプタ66を挟むように締め付けている。角度調整アダプタ66は、単位焼成導波管30-1と単位焼成導波管30-2の長さLmmに対して、焼成導波管50の中央断面の高さ位置124/2mmの変化があるように設定される。しかし、変形Eベンド10の焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13としての突出部11の開口12及び単位焼成導波管30-1の搬送ガイド60の位置は、下面から所定の距離離れた初期値δを有しているので、通常、焼成導波管50の加熱対象物Wを焼成導波管50の断面中央位置に設定するので、現実には、焼成導波管50の中央断面の高さ位置124/2=62mmよりもδmm程度の範囲で低く設定される。
【0056】
昇温導入部52を2個の単位焼成導波管30-1,30-2としたときの角度調整アダプタ66の角度θは、
θ=tan-1(62−δ)mm/2本の単位焼成導波管の長さLmm
通常、加熱対象物Wを中心位置に配設するから、
θ>tan-150mm/2本の単位焼成導波管の長さLmm
θ<tan-175mm/2本の単位焼成導波管の長さLmm
の角度に設定される。
即ち、本実施の形態の角度調整アダプタ66の角度θは、上側を厚く、下側を薄い4角枠体とし、その角度θは焼成導波管50の下面から中の距離とその変化を設定する焼成導波管50の長さによって決定される。
なお、本実施の形態では、昇温導入部52を2個の単位焼成導波管30-1,30-2とした事例で説明したが、本発明を実施する場合には、加熱対象物Wの特性に応じて、1個の単位焼成導波管30-1または3個以上の単位焼成導波管30-1,30-2,30-3とすることができる。
【0057】
また、単位焼成導波管30-2のフランジ42Rと単位焼成導波管30-3のフランジ43Fとの間にも、角度調整アダプタ67を設けている。角度調整アダプタ67は、角度調整アダプタ66とは逆で、即ち、角度調整アダプタ66と同一のものを作成し、その天地を逆として取り付けたものである。角度調整アダプタ67の角度−θは、角度調整アダプタ66で下降させた角度を同一角度だけ上昇させることにより、単位焼成導波管30-3以降と、搬送ガイド60との位置の角度変化のない焼成導波管50とするものである。
したがって、角度調整アダプタ66の角度θによって搬送体70を取り込み、搬送体70を導波管特性の焼成導波管50の電磁界強度の強い位置に移動させ、その後は焼成導波管50の電磁界強度の強い位置で搬送することができる。
【0058】
本実施の形態では、変形Eベンド10の加熱対象物Wの搬入口13の事例で説明したが、本発明を実施する場合には、変形Eベンド10の焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13として、上面側に形成した突出部11、開口12とすることもできる。特に、本実施の形態では、供給導波管20から供給されてくるマイクロ波エネルギが変形Eベンド10の上側であることから、変形Eベンド10の突出部11の下面側において、搬送体70を順次移動させる送り機構100を配設するスペースが確保できやすくなる。
【0059】
逆に、変形Eベンド10に供給導波管20から供給されてくるマイクロ波エネルギが下側から供給されると、変形Eベンド10の上側に設けた突出部11から搬送体70を順次移動させる送り機構100を配設するスペースが確保できやすくなる。
更に、供給導波管20から供給されてくるマイクロ波エネルギが左側または右側のときは、変形Eベンド10の右側または左側に設けた突出部11から供給することもできる。また、本実施の形態では、変形Eベンド10としてEベンドを用いているが、それをHベンドを用いた変形Hベンドとすることができるし、コーナを用いた変形Eコーナまたは変形Hコーナとすることもできるが、仔細は後述する。
【0060】
搬送ガイド60としての1対のレール61,62は、誘電損率(ε"=εr・tanδ)の小さいアルミナ材料で形成された断面略C字状の棒材で構成され、所定の間隔毎に配設した間隔保持用耐熱体35には、断面略長方形状の開口部38を形成している。この間隔保持用耐熱体35の開口部38には、断面略C字状の棒材の搬送ガイド60の開口が対向するように保持されている。上下同一の断熱材31,32及び左右同一の断熱材33,34の内側には、更に、断熱材からなる間隔保持用耐熱体35に包まれた搬送ガイド60が配設され、搬送ガイド60と間隔保持用耐熱体35との間は容易に移動しないように固定されている。
この搬送ガイド60の間の位置は、単位焼成導波管30の導波管本体39の左右の幅方向の断面積で表現すると、導波管本体39の中央位置にある。
【0061】
搬送ガイド60の間には、SiC材料で100×60mmの面で厚みが1〜10mm程度に形成されたSiC板からなる搬送板71及びその両端に断面略C字状の棒材からなるガイド72を取り付けて構成される搬送体70が搬送ガイド60としての1対のレール61,62の長さ方向に移動自在に配設されている。即ち、搬送体70は、SiC板からなる搬送板71の少なくとも対向辺に搬送ガイド60に移動方向を特定されるガイド72を取り付けて構成されるが、搬送体70の上面に加熱対象物Wを載置させた状態で搬送すると、加熱対象物Wが落下する可能性のある場合には、SiC板からなる搬送板71の2対向辺にガイド72を配設すると、進行方向の辺から落下する可能性がなくなる。因みに、焼成速度との関係で、通常は、略球形の加熱対象物Wでない限り、搬送板71から落下することはない。また、本実施の形態では、搬送板71の2対向辺にガイド72を配設しているが、搬送板71の1辺にガイド72を配設しても、1辺のガイド72とレール61またはレール62との連結が維持されれば、SiC板からなる搬送板71がレール61及びレール62から外れなければ、その状態で搬送体70として機能する。
【0062】
2個の単位焼成導波管30-1,30-2において、搬送ガイド60は、単位焼成導波管30-2のフランジ42Rの位置で、搬送ガイド60の位置が、導波管本体39の断面の中心位置になるように設定される。即ち、単位焼成導波管30-1のフランジ41F側では下面位置とし、単位焼成導波管30-2のフランジ42Rの位置で導波管本体39の断面の略中心位置になるように設定される。このため、間隔保持用耐熱体35の下に施工する断熱材の厚みが徐々に厚く調整される。
【0063】
搬入口13から供給した加熱対象物Wの搬送板71を移動させる場合に相互間の間隔は、高焼成効率を得るために、連続する搬送板71の間隔をゼロとしても、それ以上に間隔を設けても、入反射特性に問題がないことを発明者等が確認した。
発明者等の実験によれば、この実施の形態の搬送体70の配列密度は、SiC板からなる搬送板71相互間の間隔としては、密接させて連続配置するか、または所定の距離離して連続配置し、かつ、焼成導波管50の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い下面の位置から搬送体70を取り込み、搬送体70を電磁界強度の強い位置に移動させることによる入反射特性を確認した。本実施の形態で使用しているマイクロ波発生源1の出力周波数は、915MHzであり、何れも、搬送板71の配列、磁界強度の弱い下面の位置から搬送体70を取り込み、搬送体70を電磁界強度の強い位置に移動させることによる入反射特性に影響を与えないことが確認された。当該入反射特性の影響は誤差範囲の問題と同等であることが確認され、VSWRが殆ど1(反射率は殆どゼロ)に近い値であることが確認された。
【0064】
ここで、1対のレール61,62からなる搬送ガイド60は、搬送体70の搬送に対して磨耗強度を高い材質を用いる必要がある。但し、マイクロ波の進行波に対して進行を妨げるような導電性を有する材質は好ましくない。通常、高温に耐える材質として、Al23、ムライト、コ一ディエライト、Si34及びそれらの複合化物の中から選定するのが望ましい。また、磨耗強度が高い導電性を有するSiCを使用する場合には、進行波の妨げを低減するために、一定の間隔で非導電性の材質により縁切りすれば使用可能となる。
【0065】
また、加熱対象物Wを積載する搬送体70は、SiC、Si34、アルミナ、ムライト、コ一ディエライト及びこれらの複合化物の中から、加熱対象物Wに合わせて適宜選定される。そして、加熱対象物Wの焼成時における反応を防ぐために、ZrO2、Al23等のコ一ティングを付与した搬送体70を用いても良い。
【0066】
所定の高い温度を維持する高温保持部53は、4個の単位焼成導波管30-3,・・・,30-6によって構成している。
図11は本発明の実施の形態における連続焼成炉の高温保持部の構成を示す要部断面図である。図12は本発明の実施の形態における連続焼成炉の温度特性を示す特性図である。
ここで、高温保持部53は、マイクロ波発生源1で発生されたマイクロ波を、導波管の特性で進行波を単位焼成導波管30-3,・・・,30-6内を伝播させると共に、収容する加熱対象物Wを進行波の進行方向に移動させながら加熱し、その特定の加熱最高温度を維持するように機能するものであり、現実には、進行波が単位焼成導波管30-1,30-2内を進行する際に、その多くのエネルギを消費するから、温度は降下する傾向にある。
【0067】
そこで、搬送体70のSiC板からなる搬送板71の厚み、搬送ガイド60の上部開口を塞ぐとともに、マイクロ波エネルギによって加熱するSiC板からなる輻射加熱体21によって、マイクロ波エネルギが低下しても、焼成温度を保持する構成としている。
なお、輻射加熱体21とは、誘電体に吸収されるエネルギPが大きいもので、誘電体の誘電損率εr・tanδを大きい材料を使用したり、誘電体の体積VSを大きくしたりして使用される。
【0068】
この輻射加熱体21の材質はSiC、Al23、ムライト、コ一ディエライト及びこれらの複合化物の中から、加熱対象物Wに合わせて適宜選定する。
【0069】
本実施の形態における連続焼成炉の温度特性は、輻射加熱体21を使用しない場合で、マイクロ波発生源1で発生されたマイクロ波を単位焼成導波管30-2で1200℃のピークとなるようにしたときの温度分布は、図12に示す通りである。このとき、マイクロ波の出力は4.5KWであった。
ここで、輻射加熱体21を使用することは、輻射加熱体21に吸収されるエネルギPが存在するから、単位焼成導波管30-3以降の高温保持部53では、輻射熱による加熱及び保温効果が生じ、徐々に所定の温度を維持した降温状態となる。
【0070】
ここで、更に、本実施の形態の連続焼成炉で所定の高温ピーク値(1200℃)に到達してからの保持温度を維持する場合の実施の形態として、前者と重複する昇温導入部52及び高温保持部53について、図13乃至図14を用いて詳述する。
図13は図7の切断線B−Bによる断面図、図14は図7の切断線C−Cによる断面図及び高温保持部の内部構造を示すものである。また、図15は本発明の実施の形態における連続焼成炉の高温保持部の他の事例の構成を示す図10相当の要部断面図である。
【0071】
図において、搬送ガイド60としての1対のレール61,62は、Al23で形成された断面略C字状の棒材で構成され、所定の間隔毎に配設した間隔保持用兼輻射熱用の輻射加熱体22によって断面略C字状の棒材の搬送ガイド60の開口が対向するように保持されている。この輻射加熱体21及び輻射加熱体22の構成は、図8乃至図10に示す断熱材31,32の内側に輻射加熱体21及び輻射加熱体22を配置したものとなっている。
【0072】
上下同一の断熱材31,32及び左右同一の断熱材33,34の内側には、吸収されるマイクロ波エネルギが比較的大きいSiC板からなる間隔保持用兼輻射熱用の輻射加熱体22に包まれて搬送ガイド60が配設され、搬送ガイド60と輻射加熱体22との間は接合され、容易に移動しないようにされている。更に、搬送ガイド60の上方の開口は、吸収されるエネルギが比較的大きいSiC板からなる輻射加熱体21を配置している。これによって、輻射加熱体21も加熱され、輻射加熱体22及び輻射加熱体21からの輻射熱(放射熱)によって、二次的に搬送体70の上面の加熱対象物Wを加熱することができる。
【0073】
更に、本実施の形態の連続焼成炉の高温保持部53については、特に、輻射加熱体22及び輻射加熱体21の輻射熱を利用しようとするものであるから、この構成を搬送体70の上面の加熱対象物Wを覆うようにしたマイクロ波エネルギの吸収が比較的大きいSiC板からなるカバー用輻射加熱体25とし、搬送板70と一体となって移動する構成とすると、恒温効果が著しく安定する。
このときのマイクロ波エネルギの吸収が比較的大きいSiC板からなるカバー用輻射加熱体25の質量は、加熱対象物Wの温度及び高温雰囲気時間によって決定される。
【0074】
次に、残存マイクロ波吸収部54について説明する。
高温保持部53までに消費されなかったマイクロ波エネルギは、残存マイクロ波吸収部54によって吸収される。
図16は本発明の実施の形態における連続焼成炉の残存マイクロ波吸収部の構成を示す要部断面図である。
【0075】
この残存マイクロ波吸収部54は、2個の単位焼成導波管30-7,30-8によって構成している。
焼成導波管50の2個の単位焼成導波管30-7,30-8は、残存マイクロ波吸収部54と機能し、減衰した進行波を反射させることなく吸収し、更に進行波を減衰消耗させる。このため、残存マイクロ波吸収部54には、焼成導波管50の内部中心部に設定した搬送ガイド60の上部と下部に2枚のマイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dを設けている。マイクロ波吸収体80Uは焼成導波管50の内面上面から搬送ガイド60に密接されるように傾斜させ、また、マイクロ波吸収体80Dは焼成導波管50の内面下面から搬送ガイド60に密接されるように傾斜させている。
【0076】
マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dは、マイクロ波エネルギを吸収特性の高いSiCからなる板材を用いているが、本発明を実施する場合には、SiCからなる板材に限定されるものではなく、カーボン、フェライト等のマイクロ波エネルギを吸収消費する材料から選択することができる。
マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dは、焼成導波管50の内部上面と下面に一致する幅で、単位焼成導波管30-7のフランジ47F側で内部上面または内部下面に当接した位置とし、単位焼成導波管30-8のフランジ48R側で搬送ガイド60に当接した位置となるように、連続変化するように傾斜して配設されている。
所定の間隔毎に配設した間隔保持用の保持材36によってマイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dが、2個の単位焼成導波管30-7,30-8内に容易に移動しないようにされている。
【0077】
焼成導波管50の2個の単位焼成導波管30-7,30-8では、マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dがマイクロ波エネルギを吸収消費する材料であり、結果的に、マイクロ波エネルギは熱に変換される。したがって、全体に断熱材を設けることなく、放熱特性を持たせるようになっている。マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dの保持材36は、基本的に断熱材であるが、連続設置しないことで、導波管本体39から放熱させるように構成している。
【0078】
発明者等の実験によれば、マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dによってマイクロ波エネルギを吸収消費される電力は、数パーセント以下であり、単位焼成導波管30-7,30-8からの外表面からの自然放熱で加熱対象物Wの焼成温度を急冷することなく、徐々に冷却することが確認された。また、本実施の形態では、焼成導波管50の2個の単位焼成導波管30-7,30-8に、マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dを配設しているが、本発明を実施する場合には、マイクロ波エネルギを吸収消費する目的のみであれば、1個の単位焼成導波管30-7または単位焼成導波管30-8のみに配設してもよい。逆に、3個以上の単位焼成導波管30にマイクロ波吸収体80U及びマイクロ波吸収体80Dを配設しても良いし、複数段に繰り返し設けても良い。
【0079】
本実施の形態においては、マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dを搬送ガイド60の導波管本体39の内部開口の上下に配設したものであるが、本発明を実施する場合には、マイクロ波吸収体を導波管本体39の内部開口の左右側に配設してもよい。この場合には、単位焼成導波管30-8のフランジ48R側で搬送ガイド60に当接した位置となるように配設するものではなく、搬送ガイド60に当接した位置で切り欠きを設けて、搬送ガイド60間を回避した2枚のマイクロ波吸収体とすることが、マイクロ波の漏れを防ぐという観点からは望ましい。
【0080】
マイクロ波吸収体80Uとマイクロ波吸収体80Dの材質は、誘電体に吸収されるエネルギPが特に大きいことが望まれる。したがって、誘電体の誘電損率εr・tanδを大きくし、誘電体の体積VSを大きくしている。具体的には、マイクロ波吸収特性の高いSiC、カーボン、 フェライト等の中から適宜選定される。また、マイクロ波の漏洩防止を完全とするためにそれらの重量を適宜選択される。勿論、その形態も、板状物に限定されるものではなく、糸状、綿状の物質とすることもできる。
【0081】
次に、本実施の形態の冷却処理部55について説明する。
焼成導波管50の単位焼成導波管30-8のフランジ48R側を通過した搬送ガイド60は、必要に応じて単位焼成導波管30-9及び/または室温で冷却する構成となっている。
図17は本発明の実施の形態における連続焼成炉の冷却処理部の構成を示す要部断面図、また、図18は本発明の実施の形態における連続焼成炉の搬出口の構成を示す要部正面図、図19は本発明の実施の形態における連続焼成炉の冷却処理部の構成を示す要部正面図である。
【0082】
即ち、単位焼成導波管30-7,30-8で急激な冷却によって破損しない程度に加熱対象物Wを徐々に冷却すべく、また、冷却温度が人手によって取り上げられると火傷の可能性がないように、冷却処理部55として単位焼成導波管30-9を通過させた後、図17に示すように、単位焼成導波管30-9のフランジ49Rに取り付けた封止部材16の搬出口15から排出し、室温で更に温度を下げる冷却処理部55の外気冷却部56に導き、そこで、次の工程を意識した温度に冷却している。
【0083】
この冷却処理部55では、外気冷却部56のように室温で自然冷却を行ってもよいし、水冷または空冷で強制冷却を行ってもよい。また、単位焼成導波管30-9のように、単数または複数の単位焼成導波管30を冷却に使用してもよい。冷却処理部55で加熱対象物Wの温度を効率よく低くするには、搬送ガイド60を覆うカバーを設け、その内部に冷却気体を循環させたり、吹き付けたりするのが望ましい。
【0084】
本実施の形態の冷却処理部55において、焼成導波管50の単位焼成導波管30-9のフランジ49R側を通過した搬送ガイド60は、フランジ49Rに取り付けた封止部材16を通過した後、両端側を彎曲させた金属板からなる搬送ベース65に固着され、室内を特定の位置まで、図17では図示していない架台90及びその上の補助架台92上を移動自在としている。
【0085】
次に、本実施の形態の送り機構100について説明する。
図20乃至図22は、本発明の実施の形態における3種類の連続焼成炉の送り機構の構成を示す要部正面図である。
本実施の形態の連続焼成炉における搬送体70を搬送ガイド60に案内されて焼成導波管50の搬入口13から搬出口15まで順次移動させる図20の送り機構100は、搬送体70を押し出すプッシャ機能となっている。送り機構100は、搬送体70を複数段内蔵していて、それを焼成導波管50の搬入口13の搬送ガイド60に搬送体70のガイド72を嵌合し、その状態で、搬送板71をプッシュする機構を有している。このとき、搬送板71と隣接する搬送板71との間隔は、連続当接しているガイド72との組み付け位置によって、その間隔を決定している。
図20に示す送り機構100は、搬送ガイド60としての1対のレール61,62を使用した事例で説明したが、本発明を実施する場合には、他の方法を採用することもできる。
【0086】
図21に示す本実施の形態の連続焼成炉は、搬送ガイド60Aとして連続的に個々に独立回動するローラ60aを配設し、搬送体70をそのローラ60aの上を移動させるものである。この実施の形態では、搬送ガイド60Aとしてのローラ60aは、左右側面が移動規制され所定の間隔を連続移動自在に構成されたものである。ローラ60aは、誘電損率の小さい良好な誘電体からなり、マイクロ波エネルギによって発熱しない特性、即ち、誘電体に吸収されるエネルギ損失の非常に小さいAl23材料等からなる。本実施の形態では、焼成導波管50への搬入口13を上側とし、焼成導波管50の下側からマイクロ波を導入する供給導波管20を配設したものである。焼成導波管50の搬入口13から搬出口15まで順次移動させる図21の送り機構100は、搬送体70を押し出すプッシャ機能となっている。送り機構100は、搬送体70を複数段内蔵していて、それを焼成導波管50の搬入口13から供給し、ローラ60aの上の搬送体70をプッシュする機構を有している。このとき、搬送板71と隣接する搬送板71との間隔は、前者同様、連続当接しているガイド72との組み付け位置によって決定している。
【0087】
図22に示す本実施の形態の連続焼成炉は、搬送ガイド60Bとしてベルトコンベアのモータ60eで駆動される回転ドラム60c及び回転ドラム60dに掛けた搬送ベルト60bを配設し、搬送体70をその搬送ベルト60bの上に載置した状態で移動するものである。この実施の形態では、搬送ガイド60Bとしての搬送ベルト60bは、左右側面が移動規制され所定の間隔を連続移動自在に構成されたものである。搬送ベルト60bは、良好な誘電体からなり、マイクロ波エネルギによって発熱しない特性、即ち、誘電損率の小さい、即ち、誘電体に吸収されるエネルギ損失の非常に小さいセラミックス板等からなり、無限軌道状に軸連結されている。本実施の形態では、焼成導波管50への搬入口13を下側とし、焼成導波管50の上側から供給導波管20でマイクロ波を導入するものである。焼成導波管50の搬入口13から搬出口15まで順次移動させる図22の送り機構100は、連続移動(回転)させるものである。
【0088】
送り機構100は、搬送体70を複数段内蔵していて、それを焼成導波管50の搬入口13の搬送ベルト60bに載置し、その状態で、搬送板71を移動する。このとき、搬送板71と隣接する搬送板71との間隔は、前者同様、連続当接しているガイド72との組み付け位置、載置位置によって決定している。
【0089】
このように、プッシャ機能及びローラコンベアの送り機構100は、基本的に、搬送ガイド60,60A,60Bと加熱対象物Wを積載する搬送体70、搬送体70を押すブッシャ機能または搬送体70を載置して移動するベルトコンベア等の送り機構100の構成からなる。
【0090】
本実施の形態の連続焼成炉は、基本的に大気中での焼成炉として説明したが、本発明を実施する場合には、焼成導波管50に窒素、窒素+水素、アルゴン+窒素等の雰囲気ガス等を入れることにより、不活性雰囲気焼成炉としても使用することが可能である。この場合、焼成導波管50内に挿入する雰囲気ガスを大気圧より若干正圧として雰囲気焼成する場合と、焼成導波管50の前後に真空置換室を設けて完全に大気と雰囲気ガスとを置換して雰囲気焼成する場合のどちらでも対応が可能である。
【0091】
特に、本実施の形態の連続焼成炉としてコンデンサの焼成試験を行った。焼成温度1200℃、焼成能力は2列の焼成導波管50で加熱対象物Wと搬送体70の合計が6kgを処理速度0.3〜1時間焼成した。この時のマイクロ波出力は2系列で10kW、5×5mmの製品を700個/分にて処理することが可能であり、焼成コストとしては従来方式の焼成炉に対して約1/2となった。
【0092】
以上のように、本実施の形態の連続焼成炉は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生源1で発生されたマイクロ波を閉じ込め、導波管の特性で進行波を伝播すると共に、収容する加熱対象物Wを加熱焼成する焼成導波管50は、焼成導波管50の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に進行波の進行方向に移動させながら、加熱対象物Wの加熱焼成温度を上昇させるものである。
【0093】
したがって、焼成導波管50内で焼成を行う場合、突然、高エネルギで加熱対象物Wの加熱を開始すると、加熱対象物Wが局部的に乾燥したり、部分的にヒビが入ったり、毀損したりするが、本実施の形態では、電磁界の弱い焼成導波管50の壁面近傍から加熱対象物Wを取り込み、その後、徐々に電磁界の強い焼成導波管50の中央に導くものであるから、加熱対象物Wに与えるショックが少ない。また、電磁界の弱い焼成導波管50の壁面近傍から加熱対象物Wを取り込むものであるから、焼成導波管50から漏れる電磁波が殆どない。そして、焼成導波管50内の負荷分担によって温度上昇を制御するものではないので、消費電力に無駄がない。更に、焼成導波管50内の反射波の発生が殆どないから、マイクロ波発生源1を構成するマイクロ波発振器を反射波で傷めることがない。
【0094】
更に具体的には、連続焼成炉が飛躍的にコンパクト化され、かつ、従来の炉のように加熱対象物Wを多段に積み上げる必要性がなくなり、加熱対象物Wの一段積載の高効率迅速処理により、小型電子部品の焼成効率が数倍に向上され、更に、輻射加熱体21及び輻射加熱体22、カバー用輻射加熱体25等の雰囲気焼成を付加自在であるから、大気中で焼成されるセラミックス電子部品に止まることなく、雰囲気焼成中で焼成されるセラミックス電子部品及び金属部品である自動車部品等用としても使用できる。また、マイクロ波の内部加熱効果が最大級に生かされる加熱プロセスであることから、電子部品等の材料の特性値が向上するという効果が期待できる。
【0095】
本実施の形態の連続焼成炉は、焼成導波管50の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、焼成導波管50の下面側から取り込み、焼成導波管50の断面中央に移動させるものであるから、焼成導波管50の上方に設計自由度が大きくなり、焼成導波管50までマイクロ波を伝播する供給導波管20が上部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0096】
逆に、焼成導波管50の上面側から取り込み、焼成導波管50の断面中央に移動させるものでは、焼成導波管50の上方向から徐々に中央に下降させるものであるから、焼成導波管50までマイクロ波を伝播する供給導波管20が下部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0097】
本実施の形態の連続焼成炉の焼成導波管50による加熱焼成後の降温処理は、高温保持処理及び冷却処理を行うものであるから、所定の焼成温度で特定時間焼成し、その後、冷却処理され、焼成されたものを直接取り出すことができ、焼成冷却管理が容易になる。
しかし、本発明を実施する場合には、焼成導波管50による加熱焼成後の降温処理を省略し、別の装置で温度管理を行うようにすることもできる。即ち、本発明を実施する場合の焼成導波管50では、加熱焼成のみとすることができる。また、加熱焼成の後の恒温処理とすることもできる。更に、加熱焼成の後の恒温処理及び冷却処理、加熱焼成の後の冷却処理とすることもできる。何れにせよ、加熱焼成の後は、その後の目的に合致した処理を行えればよい。
【0098】
本実施の形態の連続焼成炉の供給導波管20には、チューナ9を具備しているものであるから、単数のマイクロ波発生源1から複数列の導波管列50に対して分岐する供給導波管20は、分岐されたマイクロ波の配分が所望の値に制御できる。したがって、マイクロ波発生源1のマイクロ波発振器の出力が大きい場合には、複数列の導波管列50を配列させて、その生産能力を高めることができる。2系列、4系列とすることができる。
【0099】
本実施の形態の連続焼成炉の焼成導波管50の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、焼成導波管50相互を接続するフランジ41F、42R側の角度調整アダプタ66,67で角度をつけて加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させるものである。したがって、単位焼成導波管30相互を接続するフランジ41F、42R側の角度調整アダプタ66,67のみで、焼成導波管50と加熱対象物Wの相対移動方向の変更を行うものであるから、規格化された導波管の形状を変更する必要性がなくなり、焼成導波管50として廉価な規格品を使用することができる。勿論、フランジ41F、42Rに角度調整アダプタ66,67の機能を持たせることもできる。
【0100】
ところで、上記実施の形態の連続焼成炉については、装置の概念でその構造を説明した。しかし、本発明を実施する場合には、方法の発明として捉えることもできる。
即ち、上記実施の形態の連続焼成方法は、マイクロ波発生源1で発生させたマイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管50に導く供給導波管20等からなるマイクロ波供給部と、導入されたマイクロ波エネルギを閉じ込め、導波管の特性で進行波を伝播すると共に、焼成導波管50に収容された加熱対象物Wを前記進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成する少なくとも昇温導入部52からなる焼成部とを有し、焼成導波管50の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置の昇温導入部から加熱対象物Wを取り込み、そして、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させることによって加熱対象物Wの加熱焼成温度を上昇させるものである。
【0101】
したがって、上記実施の形態の連続焼成炉と同様、焼成導波管50内で焼成を行う場合、突然、高エネルギで加熱対象物Wの加熱を開始すると、加熱対象物Wにひびが入ったり、毀損したりするが、本発明では、電磁界の弱い焼成導波管50の壁面近傍から加熱対象物Wを挿入し、その後、徐々に、電磁界の強い焼成導波管50の中央に導くものであるから、加熱対象物Wに与えるショックが少ない。また、電磁界の弱い焼成導波管50の壁面近傍から加熱対象物Wを挿入するものであるから、焼成導波管50から漏れる電磁波が殆どない。そして、焼成導波管50内の負荷分担によって温度上昇を制御するものではないので、消費電力に無駄がない。更に、焼成導波管50内の反射波の発生が殆どないから、マイクロ波発生源1を構成するマイクロ波発振器を反射波で傷めることがない。
【0102】
更に具体的には、連続焼成炉が飛躍的にコンパクト化され、かつ、従来の炉のように加熱対象物Wを多段に積み上げる必要性がなくなり、加熱対象物Wの一段積載の高効率迅速処理により、小型電子部品の焼成効率が数倍に向上され、更に、輻射加熱体21及び輻射加熱体22、カバー用輻射加熱体25等の雰囲気焼成を付加自在であるから、大気中で焼成されるセラミックス電子部品に止まることなく、雰囲気焼成中で焼成されるセラミックス電子部品及び金属部品である自動車部品等用としても使用できる。また、マイクロ波の内部加熱効果が最大級に生かされる加熱プロセスであることから、電子部品等の材料の特性値が向上するという効果が期待できる。
【0103】
本実施の形態の連続焼成方法は、電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部52は、焼成導波管50の下面から取り込み、焼成導波管50の中央に移動させるものであるから、焼成導波管50までマイクロ波エネルギを搬送する供給導波管20が上部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0104】
逆に、本実施の形態の連続焼成方法は、焼成導波管50の上面から取り込み、焼成導波管50の中央に移動させるものでは、焼成導波管50までマイクロ波エネルギを搬送する供給導波管20が下部に配置されたものに好適な位置設定となる。
【0105】
本実施の形態の連続焼成方法は、焼成導波管50による加熱焼成後の降温処理は、高温保持処理及び冷却処理、高温保持処理または冷却処理とするものであるから、所定の焼成温度で特定時間焼成し、その後、常温に冷却するものであるから、焼成されたものを外部で冷却することなく、直接取り出すことができる。
【0106】
本実施の形態の連続焼成方法は、焼成導波管50の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、焼成導波管50相互を接続するフランジ自体またはフランジ41F、42R側の角度調整アダプタ66,67で角度をつけて加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させるものであるから、焼成導波管50相互を接続するフランジによって、焼成導波管50と加熱対象物Wの相対移動方向の変更を行うことができればよく、規格化された導波管の形状を変更する必要性がなく、そのままの使用が可能であり、廉価な装置が製造可能となる。
【0107】
上記実施の形態の連続焼成炉及び連続焼成方法において、昇温プロファイル及び降温プロファイルのうち、昇温プロファイルは単位焼成導波管30-2,30-3の導波管本体39に測定孔を穿設し、放射温度計により当該位置が最高温度になるように制御するものであり、マイクロ波発生源1と協調して任意の温度特性を持たせることができる。
特に、加熱対象物Wは焼成導波管50の上部或いは下部より供給することにより、マイクロ波の電磁界密度が導波管本体39の断面において中心部が最も強いことが明らかであり、電磁界密度の低い導波管本体39の上部或いは下部より加熱対象物Wを挿入し、徐々に中心部に加熱対象物Wを移動させることに伴い、温度を上昇させるという昇温プロファイルを形成させ、加熱対象物Wは移動する傾斜部で目標の最高温度まで一定の昇温速度で加熱することが可能となる。また、降温プロファイルは、搬送板71の厚み、輻射加熱体21,22、カバー型輻射加熱体25の組み合わせによって任意に温度保持、降温特性を持たせることができる。傾斜部の後ろに基準床に平行な平行部を有する焼成導波管50は、昇温導入部52である単位焼成導波管30-2による傾斜部の最高位置で最高温度に達し、そして、最高温度を保持する平行部、即ち、単位焼成導波管30-4,・・,30-6による高温保持部53を搬送することにより、目標の最高温度での保持時間が与えられる。また、保持時間を必要としない加熱対象物Wにおいては冷却処理することが可能となる。
【0108】
更に、上記実施の形態の連続焼成炉及び連続焼成方法においては、加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から挿入し、電磁界強度の強い中心位置に移動させる事例として、2個の単位焼成導波管30-1,30-2を直線的に変化させるものであるが、更に多くの複数の段階的変化とすることもできる。例えば、2個の単位焼成導波管30-1,30-2を1/2の長さとし、その間のフランジ間にθ/2の角度調整アダプタを配設し、4個の折れ線変化とすることができる。
このように、角度調整アダプタの角度θを任意に設定することにより、任意の複数の相対変化を得て、加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から挿入し、電磁界強度の強い中心位置に移動させることができる。
【0109】
本発明の実施の形態について種々述べたが、更に、本実施の形態の変形Eベンド10は、Eベンド4のようにマイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管50まで伝播させる機能に加えて、曲げを利用して加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から焼成導波管50内に取り込む機能を有している。即ち、本実施の形態の変形Eベンド10は、マイクロ波発生源から供給されたマイクロ波を閉じ込めて導波管の特性で進行波を伝播すると共に、収容された加熱対象物Wを加熱焼成するものであればよい。焼成導波管50は、その長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを挿入し、加熱対象物Wを電磁界強度の強い中心位置に移動させることによって、加熱対象物Wの加熱焼成温度を上昇させるものであり、焼成導波管50内の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、徐々に電磁界強度の強い位置に加熱対象物Wを移動できればよい。
したがって、例えば、Hベンドの形態でマイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管50まで伝播させる機能に加えて、曲げを利用して加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から焼成導波管50内に取り込む機能を有するように構成することもできる。即ち、本実施の形態の変形Eベンド10は、変形Hベンドとすることもできる。
【0110】
図23は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Hベンドを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)である。
図1の本実施の形態の変形Eベンド10Eを用いた取り込み部51は、図23の曲げの内側のフランジ19H側の底面の直線と接触する接線を使用する変形Hベンド10Hとすることができる。焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13Hに、フランジ19Hの内寸法(焼成導波管50の図8に示す導波管本体39を90度回転させた内寸法)に比較して図23に示す搬入口13Hは、縦が約1/3、横が約1/8と小さく、開口面積が1/10〜1/20以下の断面積で、1/4波長以上の突出部11Hを形成し、その端部に開口12Hを形成している。焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13Hとなる突出部11Hの開口12Hが、断面内側寸法の高さ60〜100mm、横幅10〜20mmで、肉厚が1〜10mmである。前述した図1のEベンド4のようにマイクロ波を閉じ込めて伝播させる導波管本体39の機能部、即ち、変形Hベンド10Hのフランジ19Hからは、最大位置(下側)で300mm、最小位置(上側)で100mm程度突出するように設定している。これは、突出部11Hが導波管の機能部から1/4波長以上突出していることを示すものである。このように、取り込み部51を構成する変形Hベンド10Hは、マイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管50まで伝播させる機能に加えて、曲げを利用して加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から焼成導波管50内に取り込む機能を有しておればよい。
【0111】
更に、本発明を実施する場合、上記実施の形態の変形Eベンド10、変形Hベンドと限定されるものではなく、コーナを用いた変形Eコーナまたは変形Hコーナとすることもできる。
図24は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Eコーナを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)であり、また、図25は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Hコーナを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)である。
図24において、図1の実施の形態の変形Eベンド10を用いた取り込み部51は、曲げの内側のフランジ19E側の底面の直線と接触する接線を使用する変形Eコーナ10Eとすることができる。焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13Eに、フランジ19Eの内寸法(焼成導波管50の図8に示す導波管本体39の内寸法)に比較して図24に示す搬入口13Eは、縦が約1/8、横が約1/3と小さく、開口面積が1/10〜1/20以下の断面積で、1/4波長以上の突出部11Eを形成し、その端部に開口12Eを形成している。基本的構成を図1の実施の形態の変形Eベンド10のEベンドをEコーナに置き換えた基本形態を使用しているのみが相違点である。
【0112】
図25において、図1の実施の形態の変形Eベンド10を用いた取り込み部51は、開口12hが曲げの内側のフランジ19h側の側面(図25(b)の右側)の直線と接触する接線を使用する変形Hコーナ10hとすることができる。焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13hに、フランジ19hの内寸法(焼成導波管50の図8に示す導波管本体39を90度回転させた内寸法)に比較して図25に示す搬入口13hは、縦が約1/3、横が約1/8と小さく、開口面積が1/10〜1/20以下の断面積で、1/4波長以上の突出部11hを形成し、その端部に開口12hを形成している。図1の実施の形態の変形Eベンド10のEベンドの基本的構成をHコーナに置き換えた基本形態を使用している。
焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13hとなる突出部11hの開口12hが、断面内側寸法の高さ60〜100mm、横幅10〜20mmで、肉厚が1〜10mmである。前述した図1のEベンド4のようにマイクロ波を閉じ込めて伝播させる導波管本体39の機能部、即ち、変形Hコーナ10hのフランジ19hからは、最大位置(下側)で300mm、最小位置(上側)で100mm程度突出するように設定している。これは、突出部11hが導波管の機能部から1/4波長以上突出していることを示すものである。このように、取り込み部51を構成する変形Hコーナ10hは、マイクロ波を閉じ込めて、焼成導波管50まで伝播させる機能に加えて、曲げを利用して加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から焼成導波管50内に取り込む機能を有しておればよい。
なお、図25に示す実施の形態の搬入口13hは、フランジ19h側の側面(図25(b)の右側)の上下の中央に設けられており、順次、単位焼成導波管30の左右の中央に加熱対象物Wが搬送されるものである。
【0113】
このように、供給導波管20から供給されてくるマイクロ波エネルギが左側または右側のときは、変形Eベンド10の右側または左側に設けた突出部11から供給することもできる。また、図1に示す実施の形態では、変形Eベンド10としてEベンドを用いているが、それをHベンドを用いた変形Hベンド10hとすることができるし、コーナを用いた変形Eコーナ10Eまたは変形Hコーナ10hとすることもできる。
しかし、上記実施の形態において、焼成導波管50の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させることによって、加熱対象物Wの加熱焼成温度を上昇させるには、変形Eベンド10、変形Hベンド10H、変形Eコーナ10E、変形Hコーナ10hを用いているが、単位焼成導波管30を用いることもできる。
【0114】
図26は本発明の実施の形態における連続焼成炉の単位焼成導波管を用いた取り込み部の配設を示す説明図である。
図26は、単位焼成導波管30-1a,30-2,30-3を用いた取り込み部51の配設を示すもので、本実施の形態の取り込み部51は、単位焼成導波管30-1aに対して開口面積が1/10〜1/20以下の断面積で、1/4波長以上の突出部11aを形成し、その端部に開口12aを形成している。即ち、焼成導波管50の図8に示す導波管本体39に比較して搬入口13aは、縦が約1/8、横が約1/3と小さくした突出部11aを形成し、単位焼成導波管30-1aからそれを分岐している。この分岐位置は単位焼成導波管30-1aの特定位置に限定されるものではない。
焼成導波管50の加熱対象物Wの搬入口13aは、導波管本体39の内側下面の延長線上に設けられ、加熱対象物Wが水平方向の直線運動をするようになっている。
導波管本体39と搬入口13aとの配設角度は、フランジ41F、42R側の角度調整アダプタ66a,67aのみで設定できる。
このように、本発明を実施する場合には、焼成導波管50の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させることによって、加熱対象物Wの加熱焼成温度を上昇させる構造であれば採用できる。
【0115】
加えて、上記実施の形態の1対のレール61,62からなる搬送ガイド60及びその搬送ガイド60間のSiC板からなる搬送板71及びその両端に断面略C字状の棒材からなるガイド72を取り付けて構成される搬送体70は、本発明を実施する場合、搬送ガイド60及び搬送体70を任意に組み合わせて使用することもでき、そして、搬送ガイド60と搬送体70の構成部分を任意に組み合わせることもできる。
同様に、送り機構100についても、プッシャ機能及びローラコンベア機能、ベルトコンベア機能として実施することができる。
【0116】
また、角度調整アダプタ66,67は、単位焼成導波管30の直線性を維持して、加熱対象物Wを電磁界強度の弱い位置から強い位置に移動させるものであるが、本発明を実施する場合には、角度調整アダプタ66,67を省略し、単位焼成導波管30に角度を持たせるように形成してもよい。何れにせよ、焼成導波管50では、焼成導波管50の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から加熱対象物Wを取り込み、加熱対象物Wを電磁界強度の強い位置に移動させることによって、加熱対象物Wの加熱焼成温度を上昇させることができればよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は本発明の実施の形態における連続焼成炉の全体構成を概念的に示す概念図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態における連続焼成炉の全体構成を示す具体的構成を示す側面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態における連続焼成炉の供給導波管を示す正面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態における連続焼成炉の供給導波管を示す要部斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Eベンドを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)である。
【図6】図6は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Eベンドの搬入口の正面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態における連続焼成炉の昇温導入部の構成を示す要部側面図である。
【図8】図8は図7の切断線A−Aによる要部断面図である。
【図9】図9は図7の切断線B−Bによる要部断面図である。
【図10】図10は図7の切断線C−Cによる要部断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態における連続焼成炉の高温保持部の構成を示す要部断面図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態における連続焼成炉の温度特性を示す特性図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態における連続焼成炉の高温保持部の構成を示す図9相当の要部断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態における連続焼成炉の高温保持部の構成を示す図10相当の要部断面図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態における連続焼成炉の高温保持部の他の事例の構成を示す図10相当の要部断面図である。
【図16】図16は本発明の実施の形態における連続焼成炉の残存マイクロ波吸収部の構成を示す要部断面図である。
【図17】図17は本発明の実施の形態における連続焼成炉の冷却処理部の構成を示す要部断面図である。
【図18】図18は本発明の実施の形態における連続焼成炉の搬出口の構成を示す要部正面図である。
【図19】図19は本発明の実施の形態における連続焼成炉の冷却処理部の構成を示す要部正面図である。
【図20】図20は本発明の実施の形態における連続焼成炉の送り機構の構成を示す要部正面図である。
【図21】図21は本発明の実施の形態における連続焼成炉の送り機構の他の構成を示す要部正面図である。
【図22】図22は本発明の実施の形態における連続焼成炉の送り機構の他の構成を示す要部正面図である。
【図23】図23は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Hベンドを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)である。
【図24】図24は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Eコーナを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)である。
【図25】図25は本発明の実施の形態における連続焼成炉の変形Hコーナを示す側面図(a)、正面図(b)、開口のみの正面図(c)である。
【図26】図26は本発明の実施の形態における連続焼成炉の単位焼成導波管を用いた取り込み部の配設を示す説明図である。
【符号の説明】
【0118】
W 加熱対象物
1 マイクロ波発生源
9(9R,9L) チューナ
10(10R,10L) 変形Eベンド
13 搬入口
15 搬出口
20 供給導波管
30 単位焼成導波管
31〜34 断熱材
50 焼成導波管
51 取り込み部
52 昇温導入部
53 高温保持部
54 残存マイクロ波吸収部
55 冷却処理部
60 搬送ガイド
61,62 1対のレール
66,67 角度調整アダプタ
70 搬送体
80U,80D マイクロ波吸収体
100 送り機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を発生するマイクロ波発生源と、
前記マイクロ波発生源で発生されたマイクロ波を閉じ込め、導波管の特性で進行波を伝播すると共に、収容した加熱対象物を前記進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成する焼成導波管と、
前記マイクロ波発生源で発生したマイクロ波を閉じ込め、前記焼成導波管まで伝播させる供給導波管を具備し、
前記焼成導波管では、前記焼成導波管の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させることによって、前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させることを特徴とする連続焼成炉。
【請求項2】
前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管の下面側から取り込み、前記焼成導波管の断面略中央に移動させることを特徴とする請求項1に記載の連続焼成炉。
【請求項3】
前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管の上面側から取り込み、前記焼成導波管の断面略中央に移動させることを特徴とする請求項1に記載の連続焼成炉。
【請求項4】
前記焼成導波管は、加熱焼成後に降温処理として高温保持処理及び/または冷却処理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の連続焼成炉。
【請求項5】
前記供給導波管には、チューナを具備していることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の連続焼成炉。
【請求項6】
前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管を構成する所定長の単位焼成導波管相互間を接続するフランジのみに角度をつけて前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の連続焼成炉。
【請求項7】
マイクロ波発生源で発生させたマイクロ波を閉じ込めて導くマイクロ波供給部と、
導かれたマイクロ波エネルギを閉じ込め、導波管の特性でその進行波を伝播すると共に、前記焼成導波管に収容された加熱対象物を前記進行波の進行方向に移動させながら加熱焼成する焼成部と、
前記焼成導波管に対して前記焼成導波管の長さ方向に対し直角方向の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、そして、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させながら前記加熱対象物の加熱焼成温度を上昇させる昇温導入部と
を具備することを特徴とする連続焼成方法。
【請求項8】
前記電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部は、前記焼成導波管の下面側から取り込み、前記焼成導波管の中央に移動させることを特徴とする請求項7に記載の連続焼成方法。
【請求項9】
前記電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる昇温導入部は、前記焼成導波管の上面側から取り込み、前記焼成導波管の中央に移動させることを特徴とする請求項7に記載の連続焼成方法。
【請求項10】
前記焼成導波管は、加熱焼成後に降温処理として高温保持処理及び/または冷却処理を行うことを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れか1つに記載の連続焼成方法。
【請求項11】
前記焼成導波管の電磁界強度の弱い位置から前記加熱対象物を取り込み、前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させる動作は、前記焼成導波管を構成する所定長の単位焼成導波管相互間を接続するフランジで角度をつけて前記加熱対象物を電磁界強度の強い位置に移動させることを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れか1つに記載の連続焼成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−45783(P2008−45783A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219923(P2006−219923)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【出願人】(391009419)美濃窯業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】