説明

運転支援装置

【課題】走行計画を立案することなく、かつ、燃費向上効果の向上を図る。
【解決手段】車両の走行先に存在する予め定められた領域における道路状況、現在の車両状況および過去の操作状況の少なくとも1つに関する情報を取得し、これらの情報に基づいて車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるか否かを予測し、車両の燃費の悪化を招くことになると予測された場合、車両の燃費を向上するための操作が車両の乗員に事前に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関および電動機の少なくとも1つを走行用の動力源として走行する車両に搭載される運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンおよびモータを搭載したハイブリッド車両において、出発地から目的地までの経路に対して省燃費運転となるようにモータ走行、エンジン走行、ハイブリッド走行等の走行モードを切り替えるように走行計画を立案し、走行計画に従って走行モードを切り替えるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、車両の車速が所定値を超過しているか否かを判定し、車両の車速が所定値を超過していると判定した場合、車速範囲外走行距離を積算するとともにこの積算値に基づいて運転者の運転を採点し、省燃費運転アドバイスを運転者に通知するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−247318号公報
【特許文献2】特開2010−38958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された装置は、出発地から目的地までの経路に対して綿密な走行計画を立案する必要があり、更に、走行計画に従って走行モードを切り替える制御部を必要とするため構成および処理が複雑である。
【0006】
また、上記特許文献2に記載された発明のように、車両の車速が既に所定値を超過してから省燃費運転アドバイスを通知する構成では、事後的に省燃費運転のアドバイスが通知されるため燃費向上効果は限られる。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みたもので、走行計画を立案することなく、かつ、燃費向上効果の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内燃機関および電動機の少なくとも1つを走行用の動力源として走行する車両に搭載される運転支援装置であって、車両の走行先に存在する予め定められた領域における道路状況、現在の車両状況および過去の操作状況の少なくとも1つに関する情報を取得する情報取得手段と、情報取得手段により取得された情報に基づいて車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるか否かを予測する予測手段と、予測手段により車両の燃費の悪化を招くことになると予測された場合、車両の燃費を向上するための操作を車両の乗員に事前に報知する報知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるか否かを予測し、車両の燃費の悪化を招くことになると予測された場合、車両の燃費を向上するための操作が車両の乗員に事前に報知されるので、走行計画を立案することなく、かつ、燃費向上効果の向上を図ることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、予測手段は、情報取得手段により取得された情報に基づいて車両の走行先に車両が一旦停止すべき地点があり、かつ、車両が加速中であると判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、報知手段は、車両の加速の抑制を促す旨を報知することを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、車両の走行先に車両が一旦停止すべき地点があり、かつ、車両が加速中であると判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、車両の加速の抑制を促す旨が報知されるので、無駄な加速による燃費の悪化を防止することが可能である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明では、電動機を走行用の動力源として走行する車両に搭載される運転支援装置であって、予測手段は、情報取得手段により取得された情報に基づいて車両の走行先に車両が低速走行および停止を繰り返す断続走行区間があり、当該断続走行区間で電動機に電力を供給するバッテリのバッテリ残量が予め定められた下限値未満になると判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、報知手段は、電動機に電力を供給するバッテリで消費される電力を低減するための操作を促す旨を報知することを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、車両の走行先に車両が低速走行および停止を繰り返す断続走行区間があり、当該断続走行区間で電動機に電力を供給するバッテリのバッテリ残量が予め定められた下限値未満になると判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、電動機に電力を供給するバッテリで消費される電力を低減するための操作を促す旨が報知されるので、断続走行区間でバッテリの非効率的な充電を開始せざるを得なくなり、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるようなことを回避することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、内燃機関および電動機を走行用の動力源として走行する車両に搭載される運転支援装置であって、予測手段は、情報取得手段により取得された情報に基づいて車両の走行先に電動機に電力を供給するバッテリの回生充電が可能な区間があり、かつ、電動機に電力を供給するバッテリの充電量が予め定められた基準値以上であることを判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、報知手段は、電動機を動力源とした走行となるようなアクセル操作を促すように報知することを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、車両の走行先に電動機に電力を供給するバッテリの回生充電が可能な区間があり、かつ、電動機に電力を供給するバッテリの充電量が予め定められた基準値以上であることを判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、電動機を動力源とした走行となるようなアクセル操作を促すように報知されるので、走行先のバッテリの回生充電が可能な区間でバッテリの充電電力の取りこぼしてしまい、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるようなことを回避することができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、車両の走行に伴って車両の燃費の悪化を招くような不適切操作が実施されたことを判定すると、当該不適切操作の内容とともに当該不適切操作が実施された位置を記憶媒体に蓄積記憶させる不適切操作記憶手段を備え、予測手段は、記憶媒体に蓄積記憶された情報に基づいて車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作が実施された領域がある場合、車両の走行先に車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、報知手段は、不適切操作の注意を促すように報知することを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、車両の走行に伴って車両の燃費の悪化を招くような不適切操作が実施されたことを判定すると、当該不適切操作の内容とともに当該不適切操作が実施された位置を記憶媒体に蓄積記憶させるようになっており、記憶媒体に蓄積記憶された情報に基づいて車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作が実施された領域がある場合、車両の走行先に車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、不適切操作の注意を促すように報知されるので、車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作により、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるようなことを回避することができる。
【0018】
また、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作としては、請求項6に記載の発明のように、電動機の回生発電により発生する最大制動力よりも大きな制動力を発生させるブレーキ操作とすることもでき、請求項7に記載の発明のように、動力源のエネルギー消費効率が予め定められた閾値未満となるようなアクセル操作とすることもできる。また、請求項8に記載の発明のように、車両の加速と減速が予め定められた規定値以上繰り返される波状運転操作とすることもでき、請求項9に記載の発明のように、車両の動力源の効率が閾値未満となるようなアクセル操作とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る運転支援装置の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る運転支援装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る運転支援装置の制御部による報知処理のフローチャートである。
【図4】第1実施形態における報知について説明するための図である。
【図5】第1実施形態における報知の実施による効果について説明するための図である。
【図6】第2実施形態に係る運転支援装置の制御部による報知処理のフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る運転支援装置の制御部による省電力操作報知処理のフローチャートである。
【図8】第2実施形態における報知について説明するための図である。
【図9】第2実施形態における報知の実施による効果について説明するための図である。
【図10】第3実施形態に係る運転支援装置の制御部による報知判断処理のフローチャートである。
【図11】第3実施形態における報知の実施による効果について説明するための図である。
【図12】第4実施形態に係る運転支援装置の制御部による不適切操作判定処理のフローチャートである。
【図13】第4実施形態に係る運転支援装置の制御部による報知判断処理のフローチャートである。
【図14】第4実施形態における報知について説明するための図である。
【図15】変形例について説明するための図である。
【図16】変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態に係る運転支援装置の構成を図1に示す。本運転支援装置は、操作部10、記憶装置11、外部インタフェース12、通信部13、表示部14、スピーカ15、振動装置16および制御部17を備えている。なお、本運転支援装置は、内燃機関(エンジン)と電動機(モータ)を走行用の動力源として走行するハイブリッド車両に搭載されている。
【0021】
操作部10は、表示部14のディスプレイの前面に重ねて設けられたタッチスイッチ、表示部14のディスプレイの周囲の配置されたメカニカルスイッチ等を有し、ユーザのスイッチ操作に応じた信号を制御部17へ出力する。
【0022】
記憶装置11は、地図データ、過去の操作履歴等の各種データを記憶するための装置であり、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体を用いて構成されている。なお、地図データには、地図表示のための背景データ、各種地物に関する地物データ、経路探索のための道路データ、位置精度向上のためのマップマッチングデータ等が含まれる。
【0023】
外部インタフェース12は、外部機器とデータの送受信を行うためのものである。本運転支援装置は、外部インタフェース12を介してナビゲーション装置より現在位置情報、経路情報等の各種情報を取得することが可能となっている。
【0024】
通信部13は、外部と無線通信するための装置である。本運転支援装置は、通信部13を介して情報センタ(図示せず)より送信される渋滞情報等を受信することが可能となっている。
【0025】
表示部14は、液晶等のディスプレイを有し、制御部17より入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。スピーカ15は、制御部17より入力される音声信号に応じた音声を出力する。振動装置16は、車両のステアリング等に設けられており、制御部17より入力される信号に応じて振動するようになっている。
【0026】
制御部17は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0027】
制御部17には、車両に搭載された車速センサより車両の車速に応じた車速信号が定期的に入力されるようになっている。制御部17は、この車速信号に基づいて車両の加速度を算出する処理を実施するようになっている。
【0028】
本実施形態における制御部17は、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるか否かを予測し、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになると予測した場合、車両の燃費を向上するための操作を車両の乗員に事前に報知する処理を実施する。
【0029】
図2に、この処理のフローチャートを示す。車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、本運転支援装置は動作状態となり、制御部17は図2に示す処理を実施する。
【0030】
まず、経路設定があるか否かを判定する(S100)。具体的には、ナビゲーション装置より案内経路が設定されているか否かを示す情報を取得して、この情報に基づいて経路設定があるか否かを判定する。
【0031】
ここで、案内経路が設定されている場合、S100の判定はYESとなり、案内経路周辺の道路状況、道路地物および過去の操作履歴に関する情報を取得し(S102)、S200の報知判断処理へ進む。
【0032】
また、案内経路が設定されていない場合、S100の判定はNOとなり、現在位置から一定距離内に位置する周辺領域の道路状況、道路地物および過去の操作履歴に関する情報を取得し(S104)、S200の報知判断処理へ進む。
【0033】
図3に、本実施形態における報知判断処理のフローチャートを示す。この処理では、まず、使用するパラメータを取得する(S202)。ここでは、一時停止線、踏み切り等の一旦停止すべき地点を示す停止要求位置、現在位置、車両の加速度、車両が位置する道路リンク等のパラメータを取得する。
【0034】
次に、車両の走行先に一旦停止すべき地点があるか否かを判定する(S204)。具体的には、車両が位置する道路リンクに一旦停止すべき地点があるか否かを判定する。
【0035】
次に、車両の加速度に基づいて車両が加速中であるか否かを判定する(S206)。
【0036】
本実施形態では、車両が位置する道路リンクに一旦停止すべき地点があると判定され、かつ、車両が加速中であると判定された場合、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになると予測する。
【0037】
ここで、車両が位置する道路リンクに一旦停止すべき地点があると判定され、かつ、車両が加速中であると判定された場合、加速の抑制を促す加速抑制報知を行う(S208)。例えば、一旦停止すべき地点として踏み切りが存在する場合、図4に示すように、「もうすぐ踏み切りです。アクセルから足をはなし、ブレーキを早めに踏みましょう!!」といったメッセージを表示部14に表示させるとともにスピーカ15から音声出力させ、図2のS106へ進む。
【0038】
また、車両が位置する道路リンクに一旦停止すべき地点があると判定されない場合、あるいは、車両が位置する道路リンクに一旦停止すべき地点があると判定された場合でも、車両が加速中であると判定されない場合には、加速抑制報知は実施されることなく、図2のS106へ進む。
【0039】
なお、図2のS106では、車両のイグニッションスイッチがオフ状態となったか否かを判定し、車両のイグニッションスイッチがオフ状態となっていない場合には、S100へ戻る。また、車両のイグニッションスイッチがオフ状態になると、本処理を終了する。
【0040】
上記した加速抑制報知を実施しない場合、図5(a)に示すように、車両の走行用の動力源で無駄なエネルギーが消費されることになるが、上記した加速抑制報知を実施した場合には、図5(b)の太線に示すような速度特性となり、無駄なエネルギーの消費が抑制され、車両の燃費が改善される。
【0041】
上記した構成によれば、車両の走行先に存在する予め定められた領域における道路状況および現在の車両状況に関する情報を取得し、この取得した情報に基づいて車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるか否かを予測し、車両の燃費の悪化を招くことになると予測した場合、車両の燃費を向上するための操作を車両の乗員に事前に報知するので、走行計画を立案することなく、かつ、燃費向上効果の向上を図ることができる。
【0042】
また、車両の走行先に車両が一旦停止すべき地点があり、かつ、車両が加速中であると判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、車両の加速の抑制を促す旨が報知されるので、無駄な加速による燃費の悪化を防止することが可能である。
【0043】
(第2実施形態)
本実施形態に係る運転支援装置の構成を図1に示したものと同じである。上記第1実施形態では、図2における報知判断処理として、図3に示した報知判断処理S200を実施したが、本実施形態では、図3に示した報知判断処理S200に代えて、図6に示す報知判断処理S300を実施する。なお、上記実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略し、以下、異なる部分を中心に説明する。
【0044】
制御部17は、報知判断処理S300において、まず、使用するパラメータを取得する(S302)。ここでは、現在の消費電力、現在のバッテリ残量、渋滞情報、バッテリの充電量下限値、渋滞時の平均速度等のパラメータを取得する。なお、現在の消費電力および現在のバッテリ残量は、バッテリに取り付けられた電流センサおよび電圧センサより入力される各信号に基づいて特定することができる。また、渋滞情報は、通信部13を介して情報センタより取得することができる。なお、渋滞情報には、渋滞区間の平均速度も含まれる。また、バッテリの充電量下限値は、バッテリの仕様に従って予め規定された値である。
【0045】
次に、渋滞滞在時間を計算する(S304)。渋滞滞在時間は、渋滞滞在時間=渋滞距離×渋滞区間の平均速度として算出することができる。
【0046】
次に、渋滞区間でバッテリ残量がバッテリ充電量下限値未満となるか否かを判定する(S306)。具体的には、数式1の関係を満たすか否かを判定する。
(数1)
バッテリの充電量下限値>現在バッテリ残量−(渋滞滞在時間×現在消費電力)
なお、渋滞区間でバッテリ残量がバッテリ充電量下限値未満となると、渋滞区間でバッテリの非効率的な充電を開始せざるを得なくなり、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになる。すなわち、渋滞区間でバッテリ残量がバッテリ充電量下限値未満となるか否かを判定することにより、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるか否かを予測するようにしている。
【0047】
ここで、数式1の関係を満たす場合、省電力操作報知処理S400を実施する。図7に、この省電力操作報知処理のフローチャートを示す。この省電力操作報知処理では、まず、使用するパラメータを取得する(S402)。ここでは、車両に搭載されているエアコン、ナビゲーション装置等の補機の消費電力、必要省電力を取得する。なお、必要省電力は、現在バッテリ残量−(渋滞滞在時間×現在消費電力)−バッテリの充電量下限値である。
【0048】
次に、オフすることが可能な機器があるか否かを判定する(S404)。具体的には、現在動作中の補機の一覧を表示部14に表示させて、ユーザにオフすることが可能な機器の選択を促すようにしてオフすることが可能な機器があるか否かを判定する。
【0049】
ここで、オフすることが可能な機器がある場合、S404の判定はYESとなり、オフする機器を表示部14に表示させる(S412)。具体的には、図8に示すように、「エアコンをOFFすると良いでしょう!!」といったメッセージを表示部14に表示させるとともにスピーカ15から音声出力させ、本処理を終了する。
【0050】
また、オフすることが可能な機器がない場合、S404の判定はNOとなり、オフする機器を追加選定する(S406)。具体的には、再度、現在動作中の補機の一覧を表示部14に表示させて、ユーザにオフする機器の選択を促す。
【0051】
次に、S402にて取得した必要省電力に、S406にて追加選定されたオフする機器により削減される削減消費電力を加算して新たな必要省電力を算出する(S408)。
【0052】
次に、S408にて新たに算出した必要省電力が0よりも大きいか否かを判定する(S410)。
【0053】
ここで、S408にて新たに算出した必要省電力が0以下の場合、S410の判定はNOとなり、S404へ戻り、S408にて、再度、新たな必要省電力を算出する。
【0054】
そして、S408にて新たに算出した必要省電力が0よりも大きくなると、S410の判定はYESとなり、オフする機器を報知する(S412)。具体的には、「エアコンをOFFすると良いでしょう!!」といったメッセージを表示部14に表示させるとともにスピーカ15から音声出力させ、本処理を終了する。
【0055】
上記した報知を実施しない場合、図9(a)に示すように、渋滞区間でバッテリ残量が0となり、渋滞区間でバッテリの効率の悪い充電を強制実施することになるが、上記した報知を実施した場合、図9(b)の太線に示すようなバッテリ残量特性となり、渋滞区間でバッテリの効率の悪い充電を実施するようなことを回避することが可能となる。
【0056】
上記した構成によれば、車両の走行先に車両が低速走行および停止を繰り返す断続走行区間があり、当該断続走行区間で電動機に電力を供給するバッテリのバッテリ残量が予め定められた下限値未満になると判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、電動機に電力を供給するバッテリで消費される電力を低減するための操作を促す旨が報知されるので、断続走行区間でバッテリの非効率的な充電を開始せざるを得なくなり、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるようなことを回避することができる。
【0057】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、図2における報知判断処理として、図3に示した報知判断処理S200を実施したが、本実施形態では、図3に示した報知判断処理S200に代えて、図10に示す報知判断処理S500を実施する。
【0058】
この報知判断処理S500において、制御部17は、まず、使用するパラメータを取得する(S502)。ここでは、現在バッテリ残量、バッテリ充電量の上限値等のパラメータを取得する。なお、バッテリ充電量の上限値は、バッテリの仕様により特定することができる。
【0059】
次に、車両の走行先に回生充電が可能な区間があり、かつ、バッテリ残量が基準値以上であると判定されたか否かを判定する(S504)。すなわち、車両の走行先に回生充電が可能な区間があり、バッテリ残量が基準値以上となっている場合、回生充電が可能な区間で回生発電電力を取りこぼす可能性があるため、車両の走行先に回生充電が可能な区間があり、かつ、バッテリ残量が基準値以上であると判定された場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測する。車両の走行先に回生充電が可能な区間があるか否かについては、地図データに基づいて車両の走行先に下り勾配があるか否かに基づいて判定することができる。また、地図データに基づいて車両の走行先に下り勾配があると判定した場合、この下り勾配により得られる位置エネルギーを算出する。下り勾配により得られる位置エネルギーEは、車両重量をm、勾配長をL、勾配角度をθ、重力加速度をgとすると、E=m×L×sinθ×gとして算出することができる。ここでは、バッテリ充電量上限値−位置エネルギーを基準値として、現在バッテリ残量が基準値以上か否かを判定する。
【0060】
ここで、車両の走行先に回生充電が可能な区間があり、バッテリ残量が基準値以上であると判定されると、S504の判定はYESとなり、次に、モータを動力源とした走行となるようなアクセル操作を促す報知を行う(S506)。具体的には、モータ走行となるような「ゆっくり加減し、ゆっくり減速するようなアクセル操作を心掛けましょう!!」といったメッセージを表示部14に表示させるとともにスピーカ15から音声出力させ、本処理を終了する。
【0061】
上記した報知を実施しない場合、図11(a)に示すように、下り坂による回生発電が可能な区間で回生発電電力を取りこぼすことになるが、上記した報知を実施した場合、図11(b)の太線に示すようなバッテリ残量特性となり、下り坂による回生発電が可能な区間の手前でバッテリ電力を使用して走行し、下り坂による回生発電が可能な区間で回生発電電力によるバッテリの充電が可能となるので、車両の燃費を向上することが可能となる。
【0062】
上記した構成によれば、車両の走行先に電動機に電力を供給するバッテリの回生充電が可能な区間があり、かつ、電動機に電力を供給するバッテリの充電量が予め定められた基準値以上であることを判定した場合、車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、電動機を動力源とした走行となるようなアクセル操作を促すように報知されるので、走行先のバッテリの回生充電が可能な区間でバッテリの充電電力の取りこぼしてしまい、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるようなことを回避することができる。
【0063】
(第4実施形態)
本実施形態における制御部17は、図12に示す不適切操作判定処理を実施するとともに、図3に示した報知判断処理S200に代えて、図13に示す報知判断処理を実施する。
【0064】
まず、図12に示す不適切操作判定処理について説明する。制御部17は、まず、車両の走行に伴って車両の燃費の悪化を招くような不適切操作があったか否かを判定する(S602)。本実施形態では、電動機の回生発電により発生する最大制動力よりも大きな制動力を発生させるブレーキ操作を上記不適切操作として不適切操作があったか否かを判定する。
【0065】
ここで、電動機の回生発電により発生する最大制動力よりも大きな制動力を発生させるブレーキ操作が実施されると、S602の判定はYESとなり、次に、不適切操作の内容とともに当該不適切操作が実施された位置を記憶装置11に(S604)。具体的には、不適切操作が実施された地点のリンクIDと関連付けてその不適切操作が実施された回数を蓄積記憶させる。
【0066】
また、電動機の回生発電により発生する最大制動力よりも大きな制動力を発生させるブレーキ操作が実施されない場合には、記憶装置11への記憶を実施することなく、S602へ戻る。
【0067】
上記したように、車両の走行に伴って車両の燃費の悪化を招くような不適切操作が実施されると、不適切操作の内容とともに当該不適切操作が実施された区間(リンク)と回数を蓄積記憶したデータベースが作成される。
【0068】
次に、図13に示す報知判断処理について説明する。制御部17は、図3に示した報知判断処理S200に代えて、図13に示す報知判断処理を実施する。
【0069】
まず、記憶装置11に蓄積記憶されたデータベースに基づいて車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作が実施された領域があるか否かを判定する(S702)。
【0070】
ここで、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作が実施された領域がある場合、S702の判定はYESとなり、次に、不適切操作を改善するための報知を行う(S704)。具体的には、電動機の回生発電により発生する最大制動力よりも大きな制動力を発生させるブレーキ操作を実施するようなメッセージを表示部14に表示させるとともにスピーカ15から音声出力させる。例えば、図14に示すように、「もうすぐエコ改善地点ですよ!!」といったメッセージや、「緩やかなブレーキ操作を心掛けましょう!!」といったメッセージを表示部14に表示させるとともにスピーカ15から音声出力させ、本処理を終了する。
【0071】
上記した構成によれば、車両の走行に伴って車両の燃費の悪化を招くような不適切操作が実施されたことを判定すると、当該不適切操作の内容とともに当該不適切操作が実施された位置を記憶媒体に蓄積記憶させるようになっており、記憶媒体に蓄積記憶された情報に基づいて車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作が実施された領域がある場合、車両の走行先に車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになると予測され、不適切操作の注意を促すように報知されるので、車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作により、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるようなことを回避することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、車両の走行先で車両の燃費の悪化を招くことになるような不適切操作として、電動機の回生発電により発生する最大制動力よりも大きな制動力を発生させるブレーキ操作を例に説明したが、このような例に限定されるものではなく、例えば、動力源のエネルギー消費効率が予め定められた閾値未満となるようなアクセル操作が実施された場合には、次回、走行時に、燃費の良い加速(エンジンの高効率点またはモータの高効率点となるような加速)を指示するようなアクセル操作を促すように報知してもよい。また、車両の加速と減速が予め定められた規定値以上繰り返される波状運転となるようなアクセル操作およびブレーキ操作が実施された場合には、次回、同一区間を走行する際に、事前に波状運転を抑制するように報知してもよい。なお、波状運転の判定は、加速度、車速、アクセル開度の少なくとも1つについて、単位間隔(時間または距離)当たりの変化量を積算し、予め定められた閾値と比較することにより行うことができる。また、車両の動力源の効率が閾値未満となるようなアクセル操作が実施された場合には、次回、同一区間を走行する際に、事前に燃費の良い定常速度(エンジンの高効率点またはモータの高効率点)を維持するようなアクセル操作を報知するようにしてもよい。
【0073】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0074】
例えば、上記第1実施形態では、車両の走行先に存在する道路状況に関する情報として、一時停止線、踏み切り等の一旦停止すべき一点の情報を取得する例を示したが、これらの情報に限定されるものではなく、例えば、信号状態、渋滞等の交通状況、坂道等の情報を取得することができる。また、現在の車両状況に関する情報としては、アクセルペダル開度、ブレーキペダル踏み込み量、ステアリング角、シフトレバー操作、車速、加速度、駆動力種別、制動動力、補記消費電力、回生発電エネルギー、バッテリ充電量、消費燃料等を取得することができる。また、過去の操作状況に関する情報としては、アクセルペダル開度、ブレーキペダル踏み込み量、ステアリング角、シフトレバー操作、車速、加速度、駆動力種別、制動動力、補記消費電力、回生発電エネルギー、バッテリ充電量、消費燃料等を取得することができる。
【0075】
また、上記第1実施形態では、図4に示したように、地図画面上に、加速の抑制を促すメッセージを表示させる構成を示したが、例えば、図15に示すようなランプLをメータ内等に設け、このランプLの点灯、点滅、消灯により加速の抑制を促す報知を行う用にしてもよい。また、アイコン等の表示体を用いて報知を行うようにしてもよい。
【0076】
また、上記第1実施形態では、図4に示したように、地図画面上に、加速の抑制を促すメッセージを表示させる構成を示したが、図4に示したようなディ図プレイに代えて、図16に示すような簡易型ディスプレイを備え、この簡易型ディスプレイを用いて報知を行うようにしてもよい。
【0077】
また、上記第1〜第4実施形態では、各種報知を別々に実施したが、報知すべき項目が多い場合には、例えば、燃費向上効果の大きい項目を優先的に報知するようにしてもよい。
【0078】
また、連続して同一の事象を検出した場合には、一定時間が経過するまで、あるいは一定距離走行するまで、次回の報知を実施しないようにしてもよい。
【0079】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S102、S104、S202、S302、S402、S502、S602が情報取得手段に相当し、S204、S206、S304、S306、S504、S702が予測手段に相当し、S208、S400、S506、S704が報知手段に相当し、S602〜S604が不適切操作記憶手段に相当する。
【符号の説明】
【0080】
10 操作部
11 記憶装置
12 外部インタフェース
13 通信部
14 表示部
15 スピーカ
16 振動装置
17 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関および電動機の少なくとも1つを走行用の動力源として走行する車両に搭載される運転支援装置であって、
前記車両の走行先に存在する予め定められた領域における道路状況、現在の車両状況および過去の操作状況の少なくとも1つに関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された前記情報に基づいて前記車両の走行先で前記車両の燃費の悪化を招くことになるか否かを予測する予測手段と、
前記予測手段により前記車両の燃費の悪化を招くことになると予測された場合、前記車両の燃費を向上するための操作を前記車両の乗員に事前に報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記予測手段は、前記情報取得手段により取得された前記情報に基づいて前記車両の走行先に前記車両が一旦停止すべき地点があり、かつ、前記車両が加速中であると判定した場合、前記車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、
前記報知手段は、前記車両の加速の抑制を促す旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記電動機を走行用の動力源として走行する前記車両に搭載される運転支援装置であって、
前記予測手段は、前記情報取得手段により取得された前記情報に基づいて前記車両の走行先に前記車両が低速走行および停止を繰り返す断続走行区間があり、当該断続走行区間で前記電動機に電力を供給するバッテリのバッテリ残量が予め定められた下限値未満になると判定した場合、前記車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、
前記報知手段は、前記電動機に電力を供給するバッテリで消費される電力を低減するための操作を促す旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記内燃機関および前記電動機を走行用の動力源として走行する前記車両に搭載される運転支援装置であって、
前記予測手段は、前記情報取得手段により取得された前記情報に基づいて前記車両の走行先に前記電動機に電力を供給するバッテリの回生充電が可能な区間があり、かつ、前記電動機に電力を供給するバッテリの充電量が予め定められた基準値以上であることを判定した場合、前記車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、
前記報知手段は、前記電動機を動力源とした走行となるようなアクセル操作を促すように報知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両の走行に伴って前記車両の燃費の悪化を招くような不適切操作が実施されたことを判定すると、当該不適切操作の内容とともに当該不適切操作が実施された位置を記憶媒体に蓄積記憶させる不適切操作記憶手段を備え、
前記予測手段は、前記記憶媒体に蓄積記憶された前記情報に基づいて前記車両の走行先で前記車両の燃費の悪化を招くことになるような前記不適切操作が実施された領域がある場合、前記車両の走行先に前記車両の走行先で前記車両の燃費の悪化を招くことになると予測し、
前記報知手段は、前記不適切操作の注意を促すように報知することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記不適切操作は、前記電動機の回生発電により発生する最大制動力よりも大きな制動力を発生させるブレーキ操作であることを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記不適切操作は、前記動力源のエネルギー消費効率が予め定められた閾値未満となるようなアクセル操作であることを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記不適切操作は、前記車両の加速と減速が予め定められた規定値以上繰り返される波状運転操作であることを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記不適切操作は、前記車両の動力源の効率が閾値未満となるようなアクセル操作であることを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−13021(P2012−13021A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151236(P2010−151236)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】