説明

避難誘導方法、及びこの方法に用いる情報処理システム

【課題】災害発生時に建物内に居る人を迅速かつ安全に避難させる。
【解決手段】隣接配置された複数のアンテナを備える基地局200を建物の所定位置に設け、アンテナの夫々から無線信号を送信し、アンテナの夫々から送信される無線信号の位相差に基づき自身の現在位置を標定する携帯端末300を被誘導者3に所持させ、基地局200及び携帯端末300と通信可能に接続されるサーバ装置100を設け、携帯端末300からサーバ装置100に被誘導者3の現在位置を送信し、サーバ装置100は、現在位置に対応する複数の避難経路を記憶し、現在位置を受信すると、受信した現在位置に対応する避難経路を取得し、取得した避難経路を示す情報を携帯端末300に送信し、携帯端末300は、情報を受信すると避難経路を案内する情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難誘導方法、及びこの方法に用いる情報処理システムに関し、とくに災害発生時に建物内に居る人を迅速かつ安全に避難させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ユニバーサル社会の実現等を目指して自律移動システムの研究/開発が盛んに行われている。自律移動システムに関し、例えば非特許文献1には、その要素技術として、基地局に設置した複数のアンテナから歩行者が携帯する携帯端末に無線信号を送信し、各アンテナから送信されてくる無線信号の位相差によって携帯端末とアンテナとの相対的な位置関係を求め、求めた位置関係と予め知れている基地局の絶対位置とに基づき歩行者の現在位置を取得するように構成した位置標定システムが開示されている。
【0003】
また特許文献1には、災害時に施設内に取り残された避難対象者の避難誘導を支援するため、各避難対象者が災害時に避難誘導支援を行う支援者であるか否かを示す支援者情報を管理し、各避難対象者の位置情報を取得し、各避難対象者が特定の特徴を有するか否かを判定し、支援者情報、位置情報、および判定結果に基づいて、特定の特徴を有する避難対象者に対し支援者を割り当てる、避難誘導支援システムが記載されている。
【0004】
特許文献2には、各所に設置された無線発信機と通信接続すると共に、避難場所と各無線発信機の設置場所とを記憶し、災害発生場所の情報を受信し、避難場所と各無線発信機の設置場所と災害発生場所との位置関係に基づいて各無線発信機の設置場所における避難経路情報を生成し、生成した避難経路情報を無線発信機に送信する、避難経路情報生成装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、所定間隔離間して設置された複数の避難誘導装置が無線LANにて関連付けられており、避難誘導装置は表示部の他に、誘導音声を発するスピーカーと、IDと、時計機能を持つCPUとを備え、火災が発生した際に、時刻合わせをしながら出火付近の避難誘導装置から安全な避難口付近の避難誘導装置までの案内ルートを自動生成し、この案内ルートに沿って個々のスピーカーが、出火付近の避難誘導装置から安全な避難口に向かって、隣接する避難誘導装置間に遅延時間を持たせたタイミングで順次音声を発する、避難誘導システムが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】武内 保憲,河野 公則,河野 実則、” 2.4GHz帯を用いた場所検知システムの開発”、平成17年度 電気・情報関連学会中国支部第56回連合大会
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−338991号公報
【特許文献2】特開2007−011830号公報
【特許文献3】特開2008−287467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、高層ビル等の建物内で火災等の災害が発生した場合には、建物内に居る複数の者(以下、被誘導者と称する。)を同時に安全な場所に誘導する必要がある。また災害が発生している状況下で被誘導者を迅速かつ確実に安全な場所に避難させるためには、被誘導者の現在位置を正確に把握する必要がある。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、災害発生時に建物内に居る人を迅速かつ安全に避難させることが可能な避難誘導方法、及びこの方法に用いる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための主たる発明は、避難誘導支援方法であって、隣接配置された複数のアンテナを備える基地局を建物の所定位置に設け、前記アンテナの夫々から無線信号を送信し、前記アンテナの夫々から送信される前記無線信号の位相差に基づき自身の現在位置を標定する携帯端末を被誘導者に所持させ、前記基地局及び前記携帯端末と通信可能に接続されるサーバ装置を設け、前記携帯端末から前記サーバ装置に前記被誘導者の現在位置を送信し、前記サーバ装置は、前記現在位置に対応する複数の前記避難経路を記憶し、前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信し、前記携帯端末は、前記情報を受信すると前記避難経路を案内する情報を出力することとする。
【0011】
本発明によれば、サーバ装置は、携帯端末による位置標定によって取得される正確な現在位置を用いて、被誘導者に正確な避難経路を提供することができる。これによれば、被誘導者は、正確な避難経路の情報を利用して、安全な場所に効率よく避難することができる。
【0012】
本発明の他の一つでは、前記サーバ装置は、前記災害発生現場の位置を取得し、前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち前記災害発生現場を通らない前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する。
【0013】
本発明によれば、サーバ装置は、避難経路のうちから災害発生現場を通らない経路を取得するので、安全な避難経路を被誘導者に提供することができる。これにより、被誘導者はより確実に避難することができる。
【0014】
本発明の他の一つでは、前記サーバ装置は、前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち最短の前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する。
【0015】
本発明によれば、サーバ装置は、避難経路の候補のうち最短の経路を避難経路として自動的に取得するので、被誘導者を災害発生場所から迅速に避難させることができる。
【0016】
本発明の他の一つでは、複数の被誘導者の夫々に前記携帯端末を所持させ、前記サーバ装置は、前記携帯端末の夫々から送られてくる夫々についての前記現在位置を取得し、前記避難経路の夫々について、夫々を同時に利用可能な最大人数である許容人数、及び夫々についての現在の利用者数を記憶し、前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち、前記利用者数が前記許容人数に満たない前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する。
【0017】
本発明によれば、サーバ装置は、避難経路の候補のうち利用者数が許容人数に満たない避難経路を取得して携帯端末に送信するので、被誘導者をより迅速に避難させることができる。
【0018】
本発明の他の一つでは、前記サーバ装置が前記携帯端末に送信する前記情報には、前記携帯端末に前記避難経路を示す画像を表示させるための画像データが含まれる。
【0019】
本発明によれば、サーバ装置により、避難経路を示す情報が画像データによって視覚的に被誘導者に提供されるので、被誘導者は迅速かつ確実に避難経路を把握することができる。
【0020】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、災害発生時に建物内に居る人を迅速かつ安全に避難させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】サーバ装置100のハードウエア構成を示す図である。
【図3】サーバ装置100が備える主な機能を示す図である。
【図4】基地局200のハードウエア構成を示す図である。
【図5】基地局200が備える主な機能を示す図である。
【図6】被誘導者端末300(救助者端末400)のハードウエア構成を示す図である。
【図7】被誘導者端末300(救助者端末400)が備える主な機能を示す図である。
【図8】位置標定信号のデータフォーマットを示す図である。
【図9】基地局200と被誘導者端末300との位置関係を説明する図である。
【図10】アンテナ群215を構成しているアンテナ2151と被誘導者端末300との位置関係を説明する図である。
【図11】位置標定システム10の利用現場における、基地局200と被誘導者端末300の位置関係を示す図である。
【図12】位置標定処理S1200を説明するフローチャートである。
【図13】サーバ装置100の表示装置115に表示される画面である。
【図14】基地局位置情報131の一例を示す図である。
【図15】フロアマップ情報133の一例を示す図である。
【図16】チェックポイント情報134の一例を示す図である。
【図17】避難経路情報135の一例を示す図である。
【図18】災害情報136の一例を示す図である。
【図19】避難経路使用情報137の一例を示す図である。
【図20】避難誘導処理S2000を説明するフローチャートである。
【図21】避難誘導情報取得要求2100のデータ構造を示す図である。
【図22】被誘導者端末位置情報132の一例を示す図である。
【図23】S2017の処理を詳細に説明したフローチャートである。
【図24】被誘導者端末300に避難誘導情報が表示されている様子を示す図である。
【図25】救助支援処理S2500を説明するフローチャートである。
【図26】救助支援情報取得要求2600のデータ構造を示す図である。
【図27】救助者端末位置情報138の一例を示す図である。
【図28】救助者端末400に救助支援情報が表示されている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態につき図面を参照しつつ説明する。
=情報処理システム=
図1は実施形態として説明する情報処理システム1の概略的な構成を示している。情報処理システム1は、火災、ガス漏れ、地震などの災害発生時に被災者の安全地帯への誘導が必要な施設(例えば、ホテル等の宿泊施設、オフィスビル、病院、校舎、ショッピングセンター、デパート、高層マンション、大型客船)に設けられる。以下の説明では、高層階のホテル2を施設の一例として説明する。
【0024】
同図に示すように、情報処理システム1は、ホテル2の所定位置に設けられる、サーバ装置100、サーバ装置100と通信ネットワーク50を介して通信可能に接続される一台以上の基地局200、ホテル2の宿泊客や従業員等(以下、被誘導者3と称する。)によって所持される被誘導者端末300、被誘導者3を救助するレスキュー隊員などの救助者4によって所持される救助者端末400、及びホテル2内の随所に設けられサーバ装置100と通信可能に接続される複数の災害検知センサ500(火災検知センサ、地震計、ガス漏れ検知センサ等)を含む。
【0025】
尚、以下では、被誘導者3を被救助者3とも称し、被誘導者端末300を被救助者端末300とも称する。
【0026】
通信ネットワーク50は有線通信方式又は無線通信方式で機器間を通信可能に接続する。通信ネットワーク50は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネットなどである。
【0027】
サーバ装置100は、例えば、ホテル2の防災センターなどに設けられる。基地局200は、ホテル2内の空間を見下ろせる位置、例えば、通路や階段の天井、客室の天井、エレベータホールの天井などに設けられる。尚、基地局200の数や設置位置は、被誘導者3の現在位置の特定(後述)を最適な状態で行えるように適宜調整される。
【0028】
図2にサーバ装置100のハードウエア構成を示している。同図に示すように、サーバ装置100は、CPU111、メモリ112、ハードディスク113、キーボードやマウスなどの入力装置114、液晶ディスプレイなどの表示装置115、及び通信ネットワーク50に接続して基地局200と通信するための通信インタフェース116を備える。
【0029】
このうちCPU111は、メモリ112に格納されているプログラムを実行することによりサーバ装置100が提供する様々な機能を実現する。入力装置114は、操作入力を受け付けるユーザインタフェースである。表示装置115は、ユーザに視覚的な情報を提供するユーザインタフェースであり、表示装置115には例えば被誘導者3の現在位置や移動方向等の情報がリアルタイムに表示される。通信インタフェース116は、サーバ装置100や他の基地局200との間で通信ネットワーク50を介して情報の授受を行う。
【0030】
図3にサーバ装置100の主な機能を示している。同図に示すように、サーバ装置100は、被誘導者現在位置管理部121、避難誘導情報提供部122、災害情報管理部123、救助者現在位置管理部125、及び救助支援情報提供部126の各機能を備えている。
【0031】
被誘導者現在位置管理部121は、基地局200と通信して被誘導者端末300の現在位置(被誘導者3の現在位置)を取得する。
【0032】
避難誘導情報提供部122は、基地局200を介して被誘導者端末300と通信し、被誘導者端末300に避難経路を案内する情報(以下、避難誘導情報と称する。)を提供する。
【0033】
災害情報管理部123は、火災検知センサ500から送られてくる情報に基づきホテル2内に現在生じている災害に関する情報を後述の災害情報136として管理する。尚、これらの機能の詳細については後述する。
【0034】
救助者現在位置管理部125は、基地局200と通信して救助者端末400の現在位置(救助者4の現在位置)を取得する。
【0035】
避難誘導情報提供部126は、基地局200を介して救助者端末400と通信し、救助者端末400に救助支援に関する情報(以下、救助支援情報と称する。)を提供する。
【0036】
また同図に示すように、サーバ装置100は、基地局位置情報131、被誘導者端末位置情報132、フロアマップ情報133、チェックポイント情報134、避難経路情報135、災害情報136、避難経路使用情報137、及び救助者端末位置情報138の各情報を管理している。サーバ装置100は、これらの情報をデータベースとして管理している。これらの情報の詳細については後述する。
【0037】
図4に基地局200のハードウエア構成を示している。同図に示すように、基地局200は、CPU211、メモリ212、通信インタフェース213、及びアンテナ群215を備えている。
【0038】
このうちCPU211は、メモリ212に記憶されているプログラムを実行し、基地局200が備える各種の機能を実現する。通信インタフェース213は、サーバ装置100との間で通信ネットワーク50を介して通信する。無線通信インタフェース214は、後述する位置標定のための無線信号を送信する。アンテナ群215は、複数の円偏波指向性アンテナ2151からなる。アンテナ群215の詳細については後述する。
【0039】
CPU211、メモリ212、通信インタフェース213、及びアンテナ群215は、バス220を介して互いに通信可能に接続されている。アンテナ群215には切替スイッチ2152が併設されている。切替スイッチ2152は、アンテナ群215を構成しているアンテナ2151のうちのいずれか一つを設定により又は自動的に選択して無線通信インタフェース214に接続する。
【0040】
図5に基地局200が備える主な機能を示している。通信部261は通信インタフェース213を制御してサーバ装置100と各種情報の送受信を行う。位置標定信号送信部263は被誘導者端末300の現在位置の標定に用いられる無線信号(以下、位置標定信号と称する)を送信する。設定情報記憶部264は、前述した設定情報を記憶する。
【0041】
図6に被誘導者端末300(救助者端末400も共通)のハードウエア構成を示している。同図に示すように、被誘導者端末300は、CPU311、メモリ312、無線通信インタフェース313、指向性アンテナ314、タッチパネルや操作ボタン等の入力装置315、及び液晶ディスプレイ等の表示装置316を備える。CPU311は、メモリ312に記憶されているプログラムを実行することにより被誘導者端末300が備える各種の機能を実現する。尚、被誘導者端末300(又は救助者端末400)は、携帯電話機等の他の用途に用いられる携帯機器のハードウエアを用いて構成してもよい。また携帯電話機等の無線通信を行うハードウエアを用いる場合には、通話やデータ通信等の他の用途で使用する無線信号の周波数帯と、後述する位置標定に用いる無線信号の周波数帯を分けるようにしてもよい(この場合は夫々の周波数帯の波長に適合するアンテナを用意する必要がある。)
【0042】
図7に被誘導者端末300(救助者端末400も共通)が備える主な機能を示している。同図において、位置標定信号受信部331は、無線通信インタフェース313により基地局200から送信される位置標定信号を受信する。情報送受信部332は、通信ネットワーク50を介してサーバ装置100と通信し、ファームウエア等の被誘導者端末300で実行されるプログラムやデータの更新情報や被誘導者3(又は救助者4)に提示するための情報の受信(ダウンロード)、及びサーバ装置100において用いられる各種情報についての被誘導者端末300(又は救助者端末400)からサーバ装置100への送信(アップロード)を行う。
【0043】
情報表示部333は、被誘導者3(又は救助者4)に提示する情報を表示装置316に出力する。位置標定部334は、位置標定信号受信部331によって受信された位置標定信号に基づき被誘導者端末300(又は救助者端末400)の現在位置を標定する。必要な場合には、標定された被誘導者端末300(又は救助者端末400)の現在位置は、無線通信により被誘導者端末300から基地局200に送信され、基地局200から通信ネットワーク50を介してサーバ装置100に送信される。位置標定の具体的な仕組みについては後述する。
【0044】
<位置標定機能>
本実施形態の情報処理システム1における、被誘導者端末300の位置標定に関する仕組みは、基地局200と当該基地局200の周辺に存在している被誘導者端末300とを含んで構成される位置標定システムが備える機能を用いて実現される。
【0045】
前述した基地局200の無線通信インタフェース214は、アンテナ群215を構成している複数のアンテナ2151を周期的に切り換えながら、スペクトル拡散された無線信号を送信する。一方、被誘導者端末300の位置標定信号受信部331は、アンテナ314によって基地局200の各アンテナ2151から送信される信号を受信する。尚、隣接基地局間での電波の干渉を防ぐべく、各基地局200は、基地局200間で同期信号を共有することにより、隣接する基地局200から同時期に位置標定信号が送信されないように送信タイミングの制御を行っている。
【0046】
図8に基地局200から送信される位置標定信号のデータフォーマットを示している。同図に示すように、位置標定信号は、上述した同期信号611、場所コード612(UCODE)、アンテナ情報613、及び測定信号614を含んで構成されている。尚、同期信号611は、32bitのプリアンブル信号と16bitの同期信号の合計48bitのデータで構成されている。
【0047】
このうち場所コード612(UCODE)は、基地局200の設置場所を特定する情報である。場所コード612は、統一基準に従って位置毎に割り当てられる128bitのコードからなる。
【0048】
アンテナ情報613は、アンテナ2151の高さやアンテナ2151の識別子、アンテナ2151の指向方向を示す16bitのデータ等で構成されている。
【0049】
測定信号614は、被誘導者端末300の存在する方向と被誘導者端末300までの相対距離を検出するための信号を含み、基点となる4つのアンテナ2151を順次切り替えながら送信される2048チップの拡散符号を含む。
【0050】
図9は被誘導者端末300を所持するユーザが、基地局200が設置された電柱の傍に居る状況を示している。同図に示すように、被誘導者端末300は、地上高1(m)の位置に存在し、基地局200は地上高H(m)の位置に設けられている。基地局200の直下から被誘導者端末300までの地表面に沿う距離はL(m)である。
【0051】
図10に基地局200のアンテナ群215を構成している各アンテナ2151と被誘導者端末300との相対的な位置関係を示している。基地局200のアンテナ群215を構成している各アンテナ2151は、夫々の指向方向が斜め下方向に向くように設置されている。同図示すアンテナ群215は、3cmの間隔(この間隔は位置標定信号として2.4GHz帯の電波を用いた場合における1/4波長に相当)をあけて略正方形状に隣接配置された4つの円偏波指向性アンテナを含む。
【0052】
ここでアンテナ群215の高さ位置における水平方向とアンテナ群215に対する被誘導者端末300の方向とのなす角をαとすれば、
α=arcTan(D(m)/L(m))=arcSin(ΔL(cm)/3(cm))
となる。尚、上式におけるΔL(cm)はアンテナ群215を構成しているアンテナ2151のうちの特定の2基と被誘導者端末300との間の伝搬路長差である。
【0053】
アンテナ群215を構成している特定の2基のアンテナ2151から送信される位置標定信号の位相差をΔθとすれば、上記ΔLは、
ΔL(cm)=Δθ/2π/λ(cm)
となる。位置標定信号として、例えば2.4GHz帯の電波を用いる場合は波長λ≒12(cm)であるので
α=arcSin(2Δθ/π)
となる。ここで測定可能範囲(−π/2<Δθ<π/2)ではα=Δθ(ラジアン)であるので、上式から基地局200が存在する方向を特定することができる。
【0054】
次に上記結果を利用して被誘導者端末300の位置を標定する仕組みについて説明する。
図11に位置標定システム10の利用現場における、基地局200と被誘導者端末300の位置関係を示している。同図に示すように、基地局200のアンテナ群215の地上高をH(m)、被誘導者端末300の地上高をh(m)、基地局200の直下の地表面の位置を原点として直交座標軸(X軸、Y軸)を設定した場合における、基地局200から被誘導者端末300の方向とX軸とがなす角をΔΦ(x)、基地局200から被誘導者端末300の方向とY軸とがなす角をΔΦ(y)とすれば、原点に対する被誘導者端末300の位置は次式から求めることができる。
Δd(x)=(H−h)×Tan(ΔΦ(x))
Δd(y)=(H−h)×Tan(ΔΦ(y))
また原点の位置を(X1,Y1)とすれば、被誘導者端末300の現在位置(Xx,Yy)は、
Xx=X1+Δd(x)
Yy=Y1+Δd(y)
から求めることができる。
【0055】
尚、以上に説明した位置標定の原理は、例えば特開2004−184078号公報、特開2005−351877号公報、特開2005−351878号公報、特開2006−23261号公報、及び特開2008−256559号公報等に開示されている。
【0056】
次に被誘導者端末300の位置標定部334によって行われる、被誘導者端末300の現在位置の標定処理(以下、位置標定処理S1200と称する。)の具体例について説明する。尚、現在位置の標定処理は、例えばサーバ装置100に被誘導者端末300の現在位置を報告するタイミング、被誘導者端末300のユーザが入力装置315に対して所定の操作を行った場合などに随時実行される。
【0057】
図12は位置標定処理S1200を説明するフローチャートである。同図に示すように、位置標定に際しては、まず位置標定部334が、位置標定信号受信部331によって受信される位置標定信号を取得する(S1211)。次に位置標定部334は、前述した仕組により位置標定信号を用いて被誘導者端末300の現在位置を標定する(S1212)。以下、この現在位置を示す情報のことを端末位置情報と称する。尚、被誘導者端末300の現在位置は、前述した原点を基地局200の設置位置に設定して求める。
【0058】
<サーバ装置の機能>
図13は、サーバ装置100の表示装置115に表示される画面(以下、メニュー画面70と称する。)である。ホテル2の防災センターの管理者等は、この画面を利用して情報処理システム1に様々な情報を設定する。また管理者等は、この画面を利用して情報処理システム1によって提供される様々な情報を確認する。
【0059】
同図に示すように、メニュー画面70には、基地局位置情報管理71、フロアマップ管理72、チェックポイント管理73、避難経路設定74、災害情報表示76、避難経路使用状況表示77などの選択欄が設けられている。管理者等が、入力装置114を操作していずれかの選択欄を選択すると、選択欄に対応する機能が起動する。
【0060】
選択欄のうち基地局位置情報管理71は、前述した基地局位置情報131を設定する場合に選択する。図14に基地局位置情報131の一例を示す。同図に示すように、基地局位置情報131は、基地局ID1311、階数1312、及び座標1313の各項目を有する一つ以上のレコードで構成される。
【0061】
基地局ID1311には、基地局200を特定する情報(基地局ID)が設定される。階数1312には、その基地局200が被誘導者端末300の位置標定を担当する、ホテル2のフロアの階数が設定される。座標1313には、基地局200が設置されている位置に対応する座標(例えばフロア毎に設定される平面座標系における座標)が設定される。
【0062】
選択欄のうちフロアマップ管理72は、前述したフロアマップ情報133を設定する場合に選択する。
【0063】
図15にフロアマップ情報133の一例を示す。同図に示すように、フロアマップ情報133は、階数1331及びマップデータ名1332の各項目を有する一つ以上のレコードで構成される。階数1331には、ホテル2のフロアの階数が設定される。マップデータ名1332には、そのフロアのフロアマップを表示するためのデータ(以下、マップデータと称する。)のデータ名が設定される。マップデータには、例えばフロアマップを被誘導者端末300の表示装置316に表示するため画面データ(動画データ、静止画データ)と、そのフロアに存在する施設(例えば、客室、売店、自動販売機、給湯室、洗面所、エレベータ、階段、非常口、火災報知器など)の種類や位置を示す情報などが含まれる。
【0064】
選択欄のうちチェックポイント管理73は、前述したチェックポイント情報134を設定する場合に選択する。
【0065】
図16にチェックポイント情報134の一例を示す。同図に示すように、チェックポイント情報134は、チェックポイントID1341、階数1342、及び座標1343の各項目を有する一つ以上のレコードで構成される。
【0066】
チェックポイントID1341には、チェックポイントを特定する情報(以下、チェックポイントIDと称する。)が設定される。ここでチェックポイントとは、管理者等が避難経路の設定に用いる、ホテル2内に設定された所定の位置(目印位置)を示す情報である。本実施形態では、チェックポイントは、ホテル2のフロアの階数と座標(例えばフロア毎に設定される平面座標系における座標)とで表される。階数1342にはチェックポイントの階数が、座標1343にはチェックポイントの座標が設定される。
【0067】
選択欄のうち避難経路設定74は、前述した避難経路情報135を設定する場合に選択する。
【0068】
図17に避難経路情報135の一例を示す。同図に示すように、避難経路情報135は、避難経路ID1351、避難経路1352、適用階数1353、適用範囲1354、及び最大許容人数1355の各項目を有する一つ以上のレコードで構成される。
【0069】
避難経路ID1351には、避難経路を特定する情報(以下、避難経路IDと称する。)が設定される。避難経路は、被誘導者3を安全にホテル2外に誘導するために設定される経路である。本実施形態では、避難経路は管理者等が設定するものとするが、公知の経路探索アルゴリズム等を用いてサーバ装置100が自動生成するようにしてもよい。
【0070】
避難経路1352には、避難経路を示す情報が設定される。同図に示すように、避難経路は、チェックポイント(チェックポイントID1341)の連結で表現される。適用階数1353にはその避難経路が適用されるフロアの階数を示す情報が設定される。
【0071】
適用範囲1354には、その避難経路が適用される範囲を示す情報が設定される。適用階数1353と適用範囲1354とで特定される範囲内に被誘導者3(被誘導者端末300)が存在する場合にその避難経路が候補として採用される。最大許容人数1355には、その避難経路を同時に利用可能な許容人数を示す情報が設定される。例えば狭い避難経路には少ない許容人数が設定される。
【0072】
選択欄のうち災害情報表示76は、管理者等が災害情報136に格納されている情報を確認する場合に選択する。
【0073】
図18に災害情報136の一例を示す。災害情報136には、ホテル2にて現在生じている災害に関する情報が格納されている。同図に示すように、災害情報136は、発生時刻1361、種類1362、階数1363、及び座標1364の各項目を有する一つ以上のレコードで構成される。
【0074】
発生時刻1361には、災害が発生した時刻(例えば、災害検知センサ500に基づき災害の発生を検知した時刻)が設定される。種類1362には、その災害の種類(火災、ガス漏れ、地震等)を示す情報が設定される。階数1363には、その災害現場のフロア(階数)が設定される。座標1364には、そのフロアの災害の発生現場の位置を示す座標(例えばフロア毎に設定される平面座標系における座標)が設定される。
【0075】
選択欄のうち避難経路使用状況表示77は、管理者等が、被誘導者3が現在使用している避難経路に関する情報(以下、避難経路使用情報と称する。)を確認する場合に選択する。
【0076】
図19に避難経路使用情報137の一例を示す。同図に示すように、避難経路使用情報137は、避難経路ID1371、及び使用人数1372の各項目を有する一つ以上のレコードで構成される。
【0077】
避難経路ID1371には、避難経路を特定する情報(以下、避難経路IDと称する。)が設定される。使用人数1372には、その避難経路を現在使用している被誘導者3の数が設定される。
【0078】
<避難誘導>
次に情報処理システム1において行われる避難誘導に関する処理について説明する。図20はこの処理(以下、避難誘導処理S2000と称する。)を説明するフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、火災報知器の警報やホテル2の館内放送などによりホテル2内で災害が発生したことを知った被誘導者3が、入力装置315に対して所定の操作を行うことにより開始される。尚、災害発生時にサーバ装置100から自動的に被誘導者端末300に災害が発生した事を示す情報を表示して被誘導者3に災害の発生を通知するようにしてもよい。
【0079】
まず被誘導者端末300の位置標定部334が自身の現在位置、即ち端末位置情報を標定する(S2011)。
【0080】
次に被誘導者端末300は、避難誘導情報の取得を要求する信号(以下、避難誘導情報取得要求2100と称する。)を、基地局200を経由してサーバ装置100に送信する(S2012)。図21に避難誘導情報取得要求2100のデータ構造を示す。同図に示すように、避難誘導情報取得要求2100には、S2011にて取得した端末位置情報2111と、被誘導者端末300を特定する情報である端末ID2112と、当該被誘導者端末300の位置標定を行った基地局200(当該避難誘導情報取得要求2100をサーバ装置100に送信した基地局200)を特定する情報である基地局ID2113とが含まれる。
【0081】
サーバ装置100は、避難誘導情報取得要求2100を受信すると(S2013)、被誘導者端末300の現在位置を取得して被誘導者端末位置情報132に登録する(S2014)。具体的には、サーバ装置100は、基地局位置情報131から、避難誘導情報取得要求2100に含まれている基地局ID2113に対応する階数を取得し、取得した階数と避難誘導情報取得要求2100の端末位置情報2111とを、避難誘導情報取得要求2100の端末ID2112に対応させて被誘導者端末位置情報132に登録する。図22に被誘導者端末位置情報132の一例を示す。
【0082】
次にサーバ装置100は、避難経路情報135に登録されている避難経路のうち、被誘導者端末300の現在位置(S2014で取得した階数と端末位置情報2111とで特定される位置)に対応する避難経路(以下、避難経路候補と称する。)を抽出する(S2015)。より具体的には、避難経路情報135に登録されている避難経路のうち、適用階数1353と適用範囲1354とで特定される範囲に被誘導者端末300の現在位置を含む避難経路(避難経路ID1351)を抽出する。
【0083】
次にサーバ装置100は、S2015にて抽出した避難経路候補のうち、災害発生現場を通る経路を除外する(S2016)。この処理は、例えば避難経路候補の避難経路1352とチェックポイント情報134とに基づき、各避難経路候補が災害情報136から取得される災害発生現場を通るか否かを判断することにより行う。
【0084】
次にサーバ装置100は、S2016にて除外されずに残った避難経路候補の夫々について、さらに条件を課して最終的に1つの避難経路を決定する(S2017)。
【0085】
図23は、S2017の処理を詳細に説明したフローチャートである。まずサーバ装置100は、S2016にて除外されずに残った避難経路候補が1つであるか否かを判断する(S2311)。S2016にて除外されずに残った避難経路候補が1つである場合は(S2311:1つ)、その避難経路候補に決定する(S2321)。
【0086】
一方、S2016にて除外されずに残った避難経路候補が複数である場合は(S2311:複数)、そのうち経路長が最短のものを1つ選択する(S2312)。尚、経路長が同じものが複数ある場合は他の条件(例えば災害発生現場から最も遠い経路を選択する。)を課して1つに絞り込む。
【0087】
次にサーバ装置100は、S2312にて選択した避難経路候補の使用人数(避難経路使用情報137の使用人数1372から取得する)が、最大許容人数(避難経路情報135の最大許容人数1355から取得する)を超えているか否かを判断する(S2313)。S2312にて選択した避難経路候補の使用人数が最大許容人数を超えていない場合は(S2313:YES)、避難経路をその避難経路候補に決定する(S2321)。一方、S2312にて選択した避難経路候補の使用人数が最大許容人数を超えている場合は(S2313:NO)、S2314に進む。
【0088】
S2314では、サーバ装置100は、現在選択している避難経路候補以外の避難経路候補があるか否かを判断する。存在する場合は(S2314:YES)、現在選択している避難経路候補以外の避難経路候補を1つ選択し(S2315)、S2313から処理を繰り返す。存在しない場合は(S2314:NO)、避難経路を現在選択中の避難経路候補に決定する(S2321)。
【0089】
尚、以上の処理では、避難経路候補が複数存在する場合、避難経路候補の使用人数が最大許容人数を超えているか否かを判断して避難経路を決定しているが、この判断は必ずしも行わなくてもよい(この場合は経路長が最短のものに決定する)。また逆に経路長を判断せずに、避難経路候補の使用人数が最大許容人数を超えているか否かのみによって避難経路を決定するようにしてもよい。
【0090】
図20のS2018では、S2017の結果に基づき避難経路使用情報137を更新する(決定した避難経路ID1371の使用人数1372に1を加える。)。
【0091】
次にサーバ装置100は、S2017にて決定した避難経路を案内する避難誘導情報を生成する(S2019)。ここで生成される避難誘導情報には、例えば、フロアマップ情報133から取得されるマップデータに、S2017にて決定した避難経路を案内するための画面データや、避難経路の周囲に存在する施設(例えば、客室、売店、自動販売機、給湯室、洗面所、エレベータ、階段、非常口、火災報知器など)の種類や位置を示す情報などが含まれる。
【0092】
次にサーバ装置100は、生成した避難誘導情報を、避難誘導情報取得要求2100を送信してきた被誘導者端末300に送信する(S2020)。
【0093】
被誘導者端末300は、サーバ装置100から避難誘導情報を受信すると(S2021)、受信した情報に基づく画面や音声案内を被誘導者3に提供する(S2022)。 図24に、被誘導者端末300に避難誘導情報が表示されている様子を示す。同図に示すように、表示装置316には、被誘導者3の現在位置3161、施設の位置3163、災害発生場所3164、及び避難経路3165が表示される。
【0094】
以上によれば、サーバ装置100は、携帯端末(被誘導者端末300)による位置標定によって取得される正確な現在位置を用いて、被誘導者3に正確な避難経路を提供することができる。これによれば、被誘導者3は、正確な避難経路の情報を利用して、安全な場所に効率よく避難することができる。
【0095】
また、サーバ装置100は、避難経路のうちから災害発生現場を通らない経路を取得するので、安全な避難経路を被誘導者3に提供することができる。これにより、被誘導者3はより確実に避難することができる。
【0096】
また、サーバ装置100は、避難経路の候補のうち最短の経路を避難経路として自動的に取得するので、被誘導者を災害発生場所から迅速に避難させることができる。
【0097】
また、サーバ装置100は、避難経路の候補のうち利用者数が許容人数に満たない避難経路を取得して携帯端末(被誘導者端末300)に送信するので、被誘導者3をより迅速に避難させることができる。
【0098】
また、サーバ装置100により、避難経路を示す情報が画像データによって視覚的に被誘導者に提供されるので、被誘導者3は迅速かつ確実に避難経路を把握することができる。
【0099】
<救助支援>
次に情報処理システム1において行われる救助支援に関する処理について説明する。図25はこの処理(以下、救助支援処理S2500と称する。)を説明するフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、救助者端末400を所持する救助者4が、現場に到着して入力装置315に対して所定の操作を行うことにより開始される。
【0100】
まず救助者端末400の位置標定部334が自身の現在位置を標定して端末位置情報を取得する(S2511)。
【0101】
次に救助者端末400は、救助支援情報の取得を要求する信号(以下、救助支援情報取得要求2600と称する。)を、基地局200を経由してサーバ装置100に送信する(S2512)。図26に救助支援情報取得要求2600のデータ構造を示す。同図に示すように、救助支援情報取得要求2600には、S2511にて取得した端末位置情報2611と、救助者端末400を特定する情報である端末ID2612と、当該救助者端末400の位置標定を行った基地局200(当該救助支援情報取得要求2600をサーバ装置100に送信した基地局200)を特定する情報である基地局ID2613とが含まれる。
【0102】
サーバ装置100は、救助支援情報取得要求2600を受信すると(S2513)、救助者端末400の現在位置を取得して救助者端末位置情報138に登録する(S2514)。具体的には、サーバ装置100は、基地局位置情報131から、救助支援情報取得要求2600に含まれている基地局ID2613に対応する階数を取得し、取得した階数と救助支援情報取得要求2600の端末位置情報2611とを、救助支援情報取得要求2600の端末ID2612に対応させて救助者端末位置情報138に登録する。図27に救助者端末位置情報138の一例を示す。
【0103】
次にサーバ装置100は、救助対象者となる被救助者3を決定する(S2515)。具体的には、被誘導者端末位置情報132に登録されている被誘導者端末300(端末ID1321)を一つ取得する。尚、被誘導者端末位置情報132に複数の被救助者3が登録されている場合には、例えば、サーバ装置100から救助者端末400に、被誘導者端末位置情報132に登録されている被救助者3に関する情報を提供して被救助者3を救助者4に選択させるようにしてもよい。
【0104】
次にサーバ装置100は、救助者4の現在位置(S2514にて取得した救助者端末400の現在位置)から、S2515にて決定した被救助者3の現在位置(被誘導者端末位置情報132から取得される現在位置)までの経路の候補(以下、救助経路候補と称する。)を生成する(S2516)。尚、救助経路候補の生成は、所定の経路探索アルゴリズムを用いて行う。
【0105】
次にサーバ装置100は、災害情報136を参照し、S2516にて生成した救助経路候補のうち、災害発生現場を通る経路を除外する(S2517)。
【0106】
次にサーバ装置100は、S2517にて除外されずに残った救助経路候補を救助経路として決定する(S2518)。尚、除外されずに残った救助経路候補が複数存在する場合には、例えば残った救助経路候補のうち経路が最短のものを選択する。
【0107】
次にサーバ装置100は、S2518にて決定した救助経路を案内する救助支援情報を生成する(S2519)。ここで生成される救助支援情報には、例えば、フロアマップ情報133から取得されるマップデータに、S2518にて決定した救助経路を案内するための画面データや、救助経路の周囲に存在する施設(例えば、客室、売店、自動販売機、給湯室、洗面所、エレベータ、階段、非常口、火災報知器など)の種類や位置を示す情報などが含まれる。また救助支援情報には、他の救助者4が所持する救助者端末400からの救助支援情報取得要求2600によって取得され救助者位置情報138に登録されている、他の救助者4の現在位置を示す情報が含まれる。
【0108】
次にサーバ装置100は、生成した救助支援情報を、救助支援情報取得要求2600を送信してきた救助者端末400に送信する(S2520)。
【0109】
救助者端末400は、サーバ装置100から救助者支援情報を受信すると(S2521)、受信した情報に基づく画面や音声案内を被救助者3に提供する(S2522)。 図28に、救助者端末400に救助支援情報が表示されている様子を示す。同図に示すように、救助者端末400の表示装置316には、救助者4の現在位置3161、被救助者4の現在位置3162、他の救助者の現在位置3163、救助者4から被救助者3に至る経路を案内する画像3164などが表示される。表示装置316に表示される画像イメージ(フロアマップ)は、スクロールボタン3151(入力装置315)を利用して自由にスクロールさせることができる。
【0110】
以上によれば、サーバ装置100は、携帯端末(救助者端末400)による位置標定によって取得される正確な現在位置を用いて、救助者4から被救助者3に至る正確な経路を提供することができる。これによれば、救助者4は、これらの情報を利用して、被救助者3の現在位置まで効率よく辿り着くことができる。
【0111】
また、サーバ装置100は、救助経路のうちから災害発生現場を通らない経路を取得するので、安全な救助経路を確実に提供することができる。これにより、救助者4は確実に被救助者3を救助することができる。
【0112】
また、救助者端末400は、自身(救助者4)の救助経路を案内する情報、及び他の救助者4の現在位置を出力するので、救助者4は他の救助者4の状況を確認しながら自身の救助活動を行うことができる。
【0113】
また、サーバ装置100により、避難経路を示す情報が画像データによって視覚的に被誘導者に提供されるので、被誘導者3は迅速かつ確実に避難経路を把握することができる。
【0114】
尚、救助者端末400の表示装置316に被救助者3の避難経路を表示するようにしても良い。具体的には、サーバ装置100が、S2017にて決定した避難経路を救助支援情報として救助者端末400に提供するようにする。そのようにすれば、救助者4は、被救助者3の通る予定の避難経路を把握しつつ救助にあたることができ、被救助者3を迅速に救出することができる。
【0115】
ところで、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0116】
例えば、被誘導者端末300の位置標定は、上記実施形態で説明したように基地局200から送信される位置標定信号を被誘導者端末300側で受信することにより被誘導者端末300側で行うようにする方法の他、被誘導者端末300側にアンテナ群を設けて被誘導者端末300側から基地局200に向けて位置標定信号を送信し、この位置標定信号を基地局200側で受信して基地局200側で位置標定を行うようにすることもできる。救助者端末400についても同様である。
【符号の説明】
【0117】
1 情報処理システム
2 ホテル
3 被誘導者
4 救助者
70 メニュー画面
71 基地局位置情報管理
72 フロアマップ管理
73 チェックポイント管理
74 避難経路設定
76 災害情報表示
77 避難経路使用状況表示
100 サーバ装置
131 基地局位置情報
132 被誘導者端末位置情報
133 フロアマップ情報
134 チェックポイント情報
135 避難経路情報
136 災害情報
137 避難経路使用情報
138 救助者端末位置情報
200 基地局
300 被誘導者端末
400 救助者端末
500 災害検知センサ
300 被誘導者端末
331 位置標定信号受信部
334 位置標定部
S1200 位置標定処理
S2000 避難誘導処理
S2500 救助支援処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難誘導支援方法であって、
隣接配置された複数のアンテナを備える基地局を建物の所定位置に設け、
前記アンテナの夫々から無線信号を送信し、
前記アンテナの夫々から送信される前記無線信号の位相差に基づき自身の現在位置を標定する携帯端末を被誘導者に所持させ、
前記基地局及び前記携帯端末と通信可能に接続されるサーバ装置を設け、
前記携帯端末から前記サーバ装置に前記被誘導者の現在位置を送信し、
前記サーバ装置は、
前記現在位置に対応する複数の前記避難経路を記憶し、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路を取得し、
取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、前記情報を受信すると前記避難経路を案内する情報を出力する
ことを特徴とする避難誘導支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載の避難誘導支援方法であって、
前記サーバ装置は、
前記災害発生現場の位置を取得し、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち前記災害発生現場を通らない前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする避難誘導支援方法。
【請求項3】
請求項1に記載の避難誘導支援方法であって、
前記サーバ装置は、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち最短の前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする避難誘導支援方法。
【請求項4】
請求項1に記載の避難誘導支援方法であって、
複数の被誘導者の夫々に前記携帯端末を所持させ、
前記サーバ装置は、
前記携帯端末の夫々から送られてくる夫々についての前記現在位置を取得し、
前記避難経路の夫々について、夫々を同時に利用可能な最大人数である許容人数、及び夫々についての現在の利用者数を記憶し、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち、前記利用者数が前記許容人数に満たない前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする避難誘導支援方法。
【請求項5】
請求項1に記載の避難誘導支援方法であって、
前記サーバ装置が前記携帯端末に送信する前記情報には、前記携帯端末に前記避難経路を示す画像を表示させるための画像データが含まれる
ことを特徴とする避難誘導支援方法。
【請求項6】
情報処理システムであって、
建物の所定位置に設けられる、隣接配置された複数のアンテナを備える基地局と、
被誘導者に所持させる、前記アンテナの夫々から送信される前記無線信号の位相差
に基づき自身の現在位置を標定する携帯端末と、
前記基地局及び前記携帯端末と通信可能に接続されるサーバ装置と
を備え、
前記携帯端末は、前記サーバ装置に前記被誘導者の現在位置を送信し、
前記サーバ装置は、
前記現在位置に対応する複数の前記避難経路を記憶し、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路を取得し、
取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信し、
前記携帯端末は、前記情報を受信すると前記避難経路を案内する情報を出力する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記サーバ装置は、
前記災害発生現場の位置を取得し、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち前記災害発生現場を通らない前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記サーバ装置は、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち最短の前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
複数の前記被誘導者の夫々に所持させる複数の前記携帯端末を含み、
前記サーバ装置は、
前記携帯端末の夫々から送られてくる夫々についての前記現在位置を取得し、
前記避難経路の夫々について、夫々を同時に利用可能な最大人数である許容人数、及び夫々についての現在の利用者数を記憶し、
前記現在位置を受信すると、受信した前記現在位置に対応する前記避難経路のうち、前記利用者数が前記許容人数に満たない前記避難経路を取得し、取得した前記避難経路を示す情報を前記携帯端末に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
請求項6に記載の情報処理システムであって、
前記サーバ装置が前記携帯端末に送信する前記情報には、前記携帯端末に前記避難経路を示す画像を表示させるための画像データが含まれる
ことを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−242881(P2011−242881A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112436(P2010−112436)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】