説明

部品実装システム及び部品実装システムにおける検査用画像の生成方法

【課題】撮像対象とする電子部品がチップ部品である場合であっても基板への装着状態の検査を精度よく行うことができるようにした部品実装システム及び部品実装システムにおける検査用画像の生成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】検査ヘッド40の光電変換素子40aが出力したアナログ信号をA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成するA/D変換部40b、A/D変換部40bが生成したディジタル信号から、撮像対象となる部品4の種類に応じて可変的に設定された一又は複数のビットを省いてA/D変換部40bによりA/D変換したときよりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮する信号圧縮部40c及び信号圧縮部40cが圧縮したディジタル信号に基づいて検査用画像を生成する画像生成部40dを備え、部品4がチップ部品である場合には、ディジタル信号の圧縮時に省くビットを上位側ビットに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に装着する部品装着部と部品装着部により基板に装着された電子部品の基板への装着状態の検査を行う検査部とを備えた部品実装システム及びこの部品実装システムにおける検査用画像の生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装して実装基板を生産する部品実装システムは、電子部品の基板への装着作業を行う部品装着部のほか、部品装着部により基板に装着された電子部品を撮像手段により撮像して検査用画像を生成し、その生成した検査用画像に基づいて電子部品の基板への装着状態の検査を行う検査部を備えている(例えば、特許文献1)。検査部は、例えば、電子部品が有するリード端子やそのリード端子が載せられる基板上の半田部などの光沢を有する部分については、基板との間のコントラストからその位置や形状を認識して部品の装着状態の良否の判別を行う。
【0003】
このような検査部では、撮像手段の光電変換素子が受光した光の強さに応じて出力するアナログ信号をA/D変換部によってA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成し、その生成したディジタル信号に基づいて検査用画像を生成するが、取り扱うデータ数を減らして信号の伝送速度及び処理速度を向上させる目的等から、A/D変換部が生成したディジタル信号を構成する複数のビットの一部を省いて圧縮する技術が知られている。この場合、上記のように電子部品のリード端子やリード端子が載せられる半田部のように光沢を有する部分を対象とする場合には高輝度側でのコントラストが明瞭になるようにする必要から、通常は輝度値を表す複数のビットのうち低輝度側のビット(下位ビット)が省かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3424536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、撮像手段が撮像対象とする電子部品がボディ部の両端に2つの端子部を有し、基板に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部の位置関係から求められる部品の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品である場合には、ボディ部と端子部との間のコントラストから端子部の形状を認識してその位置を把握する必要があるものの、端子部が強い光の指向性を有していて照射光を拡散しないときには光沢性を有していないボディ部と同様に端子部も黒く映じてしまうことから、A/D変換部によって生成されたディジタル信号から低輝度側のビット(下位ビット)を省いてしまうとボディ部と端子部との間のコントラストが明瞭とならず、端子部の認識が困難となって検査精度が低下する場合があるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、撮像対象とする電子部品がチップ部品である場合であっても基板への装着状態の検査を精度よく行うことができるようにした部品実装システム及び部品実装システムにおける検査用画像の生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の部品実装システムは、電子部品を基板に装着する部品装着部と、部品装着部により基板に装着された電子部品を撮像手段により撮像して検査用画像を生成し、その生成した検査用画像に基づいて電子部品の基板への装着状態の検査を行う検査部とを備え、検査部は、撮像手段に設けられ、受光した光の強さに応じたアナログ信号を出力する光電変換素子と、光電変換素子が出力したアナログ信号をA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成するA/D変換部と、A/D変換部が生成したディジタル信号から、撮像対象となる電子部品の種類に応じて可変的に設定された一又は複数のビットを省いてA/D変換部によりA/D変換したときよりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮する信号圧縮部と、信号圧縮部が圧縮したディジタル信号に基づいて検査用画像を生成する画像生成部とを有し、撮像対象とする電子部品がボディ部の両端に2つの端子部を有し、基板に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部の位置関係から求められる電子部品の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品である場合、信号圧縮部がディジタル信号の圧縮時に省くビットが上位側ビットに設定される。
【0008】
請求項2に記載の部品実装システムにおける検査用画像の生成方法は、電子部品を基板に装着する部品装着部と、部品装着部により基板に装着された電子部品を撮像手段により撮像して検査用画像を生成し、その生成した検査用画像に基づいて電子部品の基板への装着状態の検査を行う検査部とを備えた部品実装システムにおける検査用画像の生成方法であって、撮像手段の光電変換素子が受光した光の強さに応じて出力したアナログ信号をA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成する工程と、生成したディジタル信号から、撮像対象となる電子部品の種類に応じて可変的に設定された一又は複数のビットを省いてA/D変換したときよりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮する工程と、圧縮したディジタル信号に基づいて検査用画像を生成する工程とを含み、撮像対象とする電子部品がボディ部の両端に2つの端子部を有し、基板に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部の位置関係から求められる部品4の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品である場合、低輝度側でのコントラストが明瞭になるように、ディジタル信号の圧縮時に省くビットを上位側ビットに設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、A/D変換部が生成したディジタル信号から一又は複数のビットを省いてA/D変換時よりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮するにおいて、省くビットを撮像対象となる電子部品の種類に応じて可変的に設定するようになっているので、ディジタル信号の圧縮時に省くビットを上位側ビットに設定することで低輝度側でのコントラストを明瞭にすることができる。このため、撮像対象とする電子部品がボディ部の両端に2つの端子部を有し、基板に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部の位置関係から求められる部品の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品である場合であっても、基板への装着状態の検査を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装システムの構成図
【図2】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える第1の部品装着機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える第2の部品装着機の側面図
【図4】本発明の一実施の形態における部品実装システムが備える検査部の構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態におけるA/D変換部がアナログ信号をディジタル信号で表す場合の光の明るさと各桁のビットの数値との対応を示す図
【図6】本発明の一実施の形態におけるA/D変換部がアナログ信号をディジタル信号で表す場合の光の明るさと各桁のビットの数値との対応を示す図
【図7】本発明の一実施の形態におけるA/D変換部がアナログ信号をディジタル信号で表す場合の光の明るさと各桁のビットの数値との対応を示す図
【図8】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品の撮像画像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に示す本発明の一実施の形態における部品実装システム1は、基板2の搬送順に並んだスクリーン印刷機11、第1の部品装着機12、第2の部品装着機13、リフロー装置14及びリフロー後検査機15を有して成る。スクリーン印刷機11は基板2の電極部3に半田を印刷し、第1の部品装着機12は第1のスクリーン印刷機11から送られてきた基板2の電極部3上に電子部品(以下、単に部品と称する)4を装着する。第2の部品装着機13は、第1の部品装着機12から送られてきた基板2に部品4の装着を行うとともに、各部品4の基板2上での装着状態の検査を行う。リフロー装置14は部品4の装着がなされた基板2を加熱して半田を溶かす半田リフローを行い、部品4を基板2の電極部3上に固定させる。リフロー後検査機15は半田リフローが終了した基板2上での各部品4の装着状態の検査を行う。以下の説明では、スクリーン印刷機11、第1の部品装着機12及び第2の部品装着機13について、基板2の搬送方向をX軸方向、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
図1において、スクリーン印刷機11は基台21上にX軸方向に延びた基板搬送コンベア22を備え、基板搬送コンベア22の上方には平板状のマスク23とX軸方向に延びた箆上のスキージ24を備える。マスク23には基板2の電極部3の配置に応じた配置の開口部23aが設けられており、スキージ24は図示しないスキージ移動機構によってY軸方向に移動される。
【0013】
スクリーン印刷機11によるスクリーン印刷作業では、先ず上流工程側(部品実装システム1の外部)から送られてきた基板2を基板搬送コンベア22によって搬入してマスク23の下方に位置決めした後、基板2を図示しないリフト装置によって上昇させてマスク23に下方から接触させる。これにより基板2の電極部3とマスク23の開口部23aとが合致した状態となったらマスク23上に半田を供給し、マスク23上でスキージ24をY軸方向に摺動させる。このスキージ24の摺動によって半田はマスク23上で掻き寄せられ、マスク23の開口部23aに押し込まれて基板2(電極部3)に転写される。半田が基板2に転写されたら基板2を下降させてマスク23から離間させ、基板搬送コンベア22を作動させて基板2を下流工程側に搬出する。
【0014】
図1及び図2において、第1の部品装着機12は基台31上にX軸方向に延びた基板搬送コンベア32と、XYロボット33を備えている。XYロボット33は基台31に固定されてY軸方向に延びたY軸テーブル33aと、X軸方向に延びるとともにY軸テーブル33a上をY軸方向に移動自在な2つのX軸テーブル33bと、各X軸テーブル33b上をX軸方向に移動自在な2つの移動ステージ33cを備える。各移動ステージ33cには下方に吸着口を向けた複数の吸着ノズル34を備えた装着ヘッド35が取り付けられており、Y軸テーブル33aに対するX軸テーブル33bの移動とX軸テーブル33bに対する移動ステージ33cの移動の組み合わせによって(すなわちXYロボット33の作動によって)2つの装着ヘッド35をXY面内で移動させることができる。
【0015】
基台31のY軸方向に対向する2箇所にはテープフィーダ等の複数の部品供給装置36が設けられており、各部品供給装置36はそれぞれ所定の部品供給位置に部品4を供給する。各装着ヘッド35には撮像視野を下方に向けた基板カメラ37が設けられており、基台31上の基板搬送コンベア32を挟む2箇所には撮像視野を上方に向けた部品カメラ38が設けられている。
【0016】
第1の部品装着機12による基板2への部品4の装着作業では、先ず、上流工程側のスクリーン印刷機11から送られてきた基板2を基板搬送コンベア32によって搬入して位置決めする。基板2を位置決めしたらXYロボット33を作動させて一方の装着ヘッド35を移動させ、その装着ヘッド35に備えられた基板カメラ37によって基板2上の対角位置に設けられた一対の基板マーク2m(図1)の撮像を行う。そして、基板カメラ37の撮像によって得られた基板マーク2mの位置から基板2の正規の位置からの位置ずれを算出する。
【0017】
基板2の位置ずれを算出したら、XYロボット33を作動させて2つの装着ヘッド35をそれぞれ部品供給装置36と基板2との間で行き来させ、吸着ノズル34の吸着動作と吸着解除動作によって各部品供給装置36が供給する部品4を基板2の電極部3上に移載して装着させる。
【0018】
吸着ノズル34に吸着させた部品4を基板2に装着させるまでの間には部品4が部品カメラ38の上方を通過するようにし、部品カメラ38による部品4の撮像を行って吸着ノズル34に対する部品4の位置ずれ(吸着ずれ)を検出する。そして、部品4の基板2への装着時には、検出した基板2の位置ずれと吸着ずれがキャンセルされるように吸着ノズル34の位置補正を行う。基板2に対する部品4の装着が終了したら、基板搬送コンベア32を作動させて基板2を下流工程側に搬出する。
【0019】
図1及び図3において、第2の部品装着機13は、上述した第1の部品装着機12が備えるXYロボット33の一方の移動ステージ33cから装着ヘッド35を取り外してそこに撮像視野を下方に向けた撮像手段としての検査ヘッド40を取り付けるとともに、その検査ヘッド40を取り付けた側の部品供給装置36と部品カメラ38を取り外した構成を有する。ここで、装着ヘッド35による基板2への部品4の装着作業に関する構成と作業の内容については第1の部品装着機12の場合と同様であるのでその説明は省略し、図4〜図8を参照して検査ヘッド40を用いた検査作業についての説明を行う。
【0020】
図4において、検査ヘッド40はレーザーと受光素子とを用いた一種のセンサーとしての構造を有した撮像手段であり、PSD(position sensitive device)やPD(photodiode)等から成る光電変換素子40aのほか、A/D変換部40b、信号圧縮部40c及び画像生成部40dを備えている。第2の部品装着機13が備える検査制御部50は、信号圧縮パラメータ設定部50a、画像認識部50b、判定部50c及び結果出力部50dを備えており、検査制御部50には信号圧縮パラメータ入力部61とディスプレイ装置62が接続されている。
【0021】
検査ヘッド40が備える光電変換素子40aは、受光した光の強さに応じたアナログ信号(電圧信号)を出力する。光電変換素子40aは複数個が水平方向に一次元に配列されていてもよいし(ラインセンサ型)、複数個が水平面内に二次元に配列されていてもよい(イメージセンサ型)。或いは、上記のように複数の光電変換素子40aをアレイ状にせず、単独で用いるようにしてもよい。
【0022】
図5、図6及び図7に示すように、ひとつの光電変換素子40aが出力するアナログ信号は、最終的に生成される検査用画像Gを構成するひとつの画素gsの明るさに相当し、複数個の光電変換素子40aが一次元に配列されている場合には、検査ヘッド40は光電変換素子40aの配列方向と直交する水平方向に走査して撮像対象の撮像を行う。
【0023】
A/D変換部40bは、光電変換素子40aが出力したアナログ信号をA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成する。図5は、光電変換素子40aが受光した光の強さに応じて出力するアナログ信号を第1−第4桁から成る4ビットのディジタル信号で表す場合の16段階の光の明るさと各桁のビットの数値との対応を示している。
【0024】
信号圧縮部40cは、A/D変換部40bが生成したディジタル信号から、撮像対象となる部品4の種類に応じて可変的に設定された一又は複数のビットを省いてA/D変換部40bによりA/D変換したときよりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮する。
【0025】
図6は、A/D変換部40bにより4ビットのディジタル信号で表された輝度値のうち、最下位のビットを省いた場合に表し得る輝度値を示している。この図に示すように、下位側のビットを省いた場合には、光電変換素子40aが受光した光の強さが極めて小さい(輝度値が小さい)ときにはその輝度値をA/D変換部40bによって生成したディジタル信号と同程度の識別精度で表すことはできないが、光電変換素子40aが受光して光の強さが大きい(輝度値が大きい)ときにはその輝度値を十分に実用的な精度で表すことができる。換言すると、光電変換素子40aが受光する光の強さが大きいことが既知であり、高輝度側でのコントラストが明瞭になるようにしたい場合には、下位側のビットを省くデータ圧縮を行うことで、輝度値を正確に把握できる状態を維持しつつ、取り扱うデータ数を減らすことができる。
【0026】
但し、下位側のビットを省いてデータ圧縮をした場合には、その圧縮したデータから輝度値を読み取る際には省いたビットの値は不定であり、その省いたビットに「0」及び「1」の値の一方を仮定して与えることになるため、輝度値は本来表現できる輝度値に対して飛び飛びの値となる(図6参照)。図6は、最下位のビットに「1」を仮定して与えた場合の例を示している。
【0027】
なお、このように光電変換素子40aが受光する光の強さが大きいことが既知であり、高輝度側でのコントラストが明瞭になるようにしたい場合とは、例えば、部品4がリード端子付の部品であり、そのリード端子の位置を認識しようとする場合である。このような場合には、上記のように輝度値が本来表現できる輝度値に対して飛び飛びの値となったとしても、十分な精度でリード端子の位置を認識することができる。
【0028】
図7は、A/D変換部40bにより4ビットのディジタル信号で表された輝度値のうち、最上位のビットを省いた場合に表し得る範囲を示している。この図7に示すように、上位側のビットを省いた場合には、光電変換素子40aが受光した光の強さが大きい(輝度値が大きい)ときにはその輝度値を正確には表し難いが、光電変換素子40aが受光して光の強さが小さい(輝度値が小さい)ときにはその輝度値をA/D変換部40bによって生成したディジタル信号と同程度の識別精度で表すことができる。換言すると、光電変換素子40aが受光する光の強さが小さいことが既知であり、低輝度側でのコントラストが明瞭になるようにしたい場合には、上位側のビットを省いたデータ圧縮を行うことで、輝度値を正確に把握できる状態を維持しつつ、取り扱うデータ数を減らすことができる。
【0029】
なお、このように光電変換素子40aが受光する光の強さが小さいことが既知であり、低輝度側でのコントラストが明瞭になるようにしたい場合とは、例えば、図8(a),(b)に示すように、部品4がボディ部4aの両端に2つの端子部4bを有し、基板2に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部4bの位置関係から求められる部品4の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品(例えば、チップコンデンサやチップ抵抗、チップインダクタ等)である場合である。
【0030】
部品4がこのようなチップ部品である場合には、部品4のボディ部4aと端子部4bとの間のコントラストから端子部4bの形状等を認識してその位置を把握する必要があるが、端子部4bが強い光の指向性を有していて照射光が拡散しないときには光沢性を有していないボディ部4aと同様に端子部4bも黒く映じてしまうことから、A/D変換部40bによって生成されたディジタル信号から低輝度側のビット(下位ビット)を省いたデータ圧縮(図6)を行うとボディ部4aと端子部4bとの間のコントラストが明瞭とならず、端子部4bの認識が困難となるところであるが(図8(a))、A/D変換部40bによって生成されたディジタル信号から高輝度側のビット(上位ビット)を省いたデータ圧縮(図7)を行うと、低輝度側における輝度値の識別精度はA/D変換部40bにおいて生成されたディジタル信号と同じレベルであるので、ボディ部4aと端子部4bとの間のコントラストが明瞭となって、端子部4bの認識が容易となる(図8(b))。
【0031】
なお、信号圧縮部40cにおいてどの桁のビットを省くかについては部品実装システム1のオペレータが任意に設定することができ、オペレータが信号圧縮パラメータ入力部61の操作を行うことによってディジタル信号の圧縮時に省くビットを示す入力を行うと、その入力した内容が検査制御部50の信号圧縮パラメータ設定部50aを介して信号圧縮部40cに伝送され、信号圧縮部40cはその伝送された内容に従ってディジタル信号の圧縮を行う。
【0032】
画像生成部40dは、信号圧縮部40cから送られてきた(信号圧縮部40cが圧縮した)ディジタル信号を一旦記憶領域に保存したうえで、検査用画像を生成する。この画像生成部40dで生成された検査用画像のデータは、図示しない信号伝送線を介して検査制御部50の画像認識部50bに伝送される。
【0033】
検査制御部50の画像認識部50bは、画像生成部40dから送られてきた検査用画像のデータに基づいて画像認識を行う。この画像認識により、検査ヘッド40によって撮像した部品4の中の注目箇所(例えば、リード端子付きの部品4についてリード端子を認識しようとしているのであればリード端子、部品4のボディ部4aの両端の2つの端子部4bを認識しようとしているのであれば各端子部4b)の位置等を把握する。
【0034】
検査制御部50の判定部50cは、画像認識部50bにおいて認識した部品4の中の注目箇所の位置や向き等に基づいて、検査ヘッド40によって撮像した部品4の基板2上での装着状態の検査(良否判定)を行う。ここで、基板2上での装着状態が不良と判定される場合とは、例えば、リード端子付きの部品4について、リード端子が基板2上の正規の位置からずれて装着されている場合や、ボディ部4aの両端の2つの端子部4bの位置から求められる部品4の向き(基板2上での装着方向)が許容範囲を超えてずれているような場合である。
【0035】
検査制御部50の結果出力部50dは、判定部50cにおいて基板2への装着状態が不良であると判定された部品4があった場合に、その部品4の基板2上での位置を特定してディスプレイ装置62に表示する。これによりオペレータは基板2への装着状態が不良となっている部品4を認識することができ、その部品4を基板2から取り外すなどの適切な処置をとることができる。
【0036】
上記構成の第2の部品装着機13は、第1の部品装着機12による基板2の部品4の装着手順と同様の手順によって基板2への部品4の装着を行った後、検査ヘッド40を移動させて、基板2上に装着されている部品4の撮像を行い、得られた画像(検査用画像)に基づいて部品4の基板2への装着状態の検査を行う。
【0037】
このように本実施の形態における部品実装システム1は、部品4を基板2に装着する部品装着部R1(図1)と、部品装着部により基板2に装着された部品4を検査ヘッド40により撮像して検査用画像を生成し、その生成した検査用画像に基づいて部品4の基板2への装着状態の検査を行う検査部R2(図1)を備えたものとなっている。ここで、部品装着部R1は第1の部品装着機12と第2の部品装着機13の一部(装着ヘッド35を含む部分)から構成される。また、検査部R2は第2の部品装着機13の一部(検査ヘッド40を含む部分)から構成される。
【0038】
上記検査部R2には、光電変換素子40a、A/D変換部40b、信号圧縮部40c及び画像生成部40dが含まれており(図4)、検査部R2による検査用画像の生成手順(部品実装システム1における検査用画像の生成方法)は、検査ヘッド40の光電変換素子40aが受光した光の強さに応じて出力したアナログ信号をA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成する工程(ディジタル信号生成工程)と、生成したディジタル信号から、撮像対象となる部品4の種類に応じて可変的に設定された一又は複数のビットを省いてA/D変換したときよりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮する工程(信号圧縮工程)と、圧縮したディジタル信号に基づいて検査用画像を生成する工程(画像生成工程)から成る。
【0039】
リフロー装置14は、基台71上にX軸方向に延びた基板搬送コンベア72とリフロー炉73を備えている。基板搬送コンベア72は上流工程側の第2の部品装着機13から搬出された基板2を受け取って下流工程側のリフロー後検査機15に搬送し、リフロー炉73はその間に基板2を加熱して基板2上の半田を溶融させる。これにより基板2に装着された各部品4は基板2の電極部3上に固定される。
【0040】
リフロー後検査機15は、前述した第2の部品装着機13が備えるXYロボット33から装着ヘッド35を取り外すとともに、基台31上から部品供給装置36と部品カメラ38を取り外した構成を有し、リフロー装置14によって半田リフローがなされた基板2を基板搬送コンベア32によって搬入して検査ヘッド40による各部品4の基板2上での装着状態の検査を行う。このリフロー後検査機15は第2の部品装着機13と同様に検査ヘッド40を備えるため、部品実装システム1において上述の検査部R2の一部を構成する(図1参照)。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装システム1及びこの部品実装システム1における検査用画像の生成方法では、A/D変換部40bが生成したディジタル信号から一又は複数のビットを省いてA/D変換時よりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮するにおいて、省くビットを撮像対象となる部品4の種類に応じて可変的に設定するようになっているので、ディジタル信号の圧縮時に省くビットを上位側ビットに設定することで低輝度側でのコントラストを明瞭にすることができる。このため、撮像対象とする部品4がボディ部の両端に2つの端子部を有し、基板2に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部の位置関係から求められる部品4の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品である場合であっても、基板2への装着状態の検査を精度よく行うことができる。
【0042】
なお、上述の説明では、A/D変換部40bにより所定数のビットのディジタル信号で表された輝度値のうち、最上位のビットのみを省いた場合の例を説明したが、本発明では下位側のビットに優先して上位側のビットを省くのであればよく、最上位のビットのみを省く場合に限られない。例えば、A/D変換部40bがディジタル信号を第1−第8桁の8ビットのディジタル信号で生成する場合であって、高輝度側でのコントラストを明瞭にしたい場合に第1−第3桁のビットと第8桁のビットとを省いて第4−第7桁のビットのデータに圧縮するのが通常である場合に、第1桁及び第6−第8桁のビットを省いて第2−第5桁のビットのデータに圧縮するようにすることにより、低輝度側でのコントラストを明瞭にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
撮像対象とする電子部品がチップ部品である場合であっても基板への装着状態の検査を精度よく行うことができるようにした部品実装システム及び部品実装システムにおける検査用画像の生成方法を提供する。
【符号の説明】
【0044】
1 部品実装システム
2 基板
4 電子部品
4a ボディ部
4b 端子部
40 検査ヘッド(撮像手段)
40a 光電変換素子
40b A/D変換部
40c 信号圧縮部
40d 画像生成部
R1 部品装着部
R2 検査部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に装着する部品装着部と、部品装着部により基板に装着された電子部品を撮像手段により撮像して検査用画像を生成し、その生成した検査用画像に基づいて電子部品の基板への装着状態の検査を行う検査部とを備え、
検査部は、
撮像手段に設けられ、受光した光の強さに応じたアナログ信号を出力する光電変換素子と、
光電変換素子が出力したアナログ信号をA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成するA/D変換部と、
A/D変換部が生成したディジタル信号から、撮像対象となる電子部品の種類に応じて可変的に設定された一又は複数のビットを省いてA/D変換部によりA/D変換したときよりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮する信号圧縮部と、
信号圧縮部が圧縮したディジタル信号に基づいて検査用画像を生成する画像生成部とを有し、
撮像対象とする電子部品がボディ部の両端に2つの端子部を有し、基板に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部の位置関係から求められる電子部品の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品である場合、信号圧縮部がディジタル信号の圧縮時に省くビットが上位側ビットに設定されることを特徴とする部品実装システム。
【請求項2】
電子部品を基板に装着する部品装着部と、部品装着部により基板に装着された電子部品を撮像手段により撮像して検査用画像を生成し、その生成した検査用画像に基づいて電子部品の基板への装着状態の検査を行う検査部とを備えた部品実装システムにおける検査用画像の生成方法であって、
撮像手段の光電変換素子が受光した光の強さに応じて出力したアナログ信号をA/D変換して輝度値を表す所定のビット数のディジタル信号を生成する工程と、
生成したディジタル信号から、撮像対象となる電子部品の種類に応じて可変的に設定された一又は複数のビットを省いてA/D変換したときよりも少ないビット数のディジタル信号に圧縮する工程と、
圧縮したディジタル信号に基づいて検査用画像を生成する工程とを含み、
撮像対象とする電子部品がボディ部の両端に2つの端子部を有し、基板に装着された状態での姿勢の良否が2つの端子部の位置関係から求められる部品4の装着角度の大きさによって判別されるチップ部品である場合、低輝度側でのコントラストが明瞭になるように、ディジタル信号の圧縮時に省くビットを上位側ビットに設定することを特徴とする部品実装システムにおける検査用画像の生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−33793(P2013−33793A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168113(P2011−168113)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】