説明

配線基板用フィルム基材、配線基板用フィルム基材の作製方法及びフレキシブルプリント基板

【課題】 熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適した配線基板用フィルム基材を提供すること。
【解決手段】 ポリイミドまたは液晶ポリマー(LCP)からなる樹脂フィルム11と、樹脂フィルム11上に塗布された有機SOG溶液の塗布膜を硬化させたシロキサンポリマーを含むポリマー膜12と、ポリマー膜12を下地層としてNi−B無電解メッキ液に浸漬してメッキ処理により形成された金属膜13と、を有する配線基板用フィルム基材10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板用フィルム基材等に関し、より詳しくは、高精密及び/または高周波用途に適した配線基板用フィルム基材等に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器の高速化、高密度化に伴い、配線基板の高機能化が要求されており、高周波対応並びに高密度化の検討が活発に行われている。特に、モバイル機器の進展に伴う携帯電話用途や液晶ディスプレイ用途においては配線基板のフレキシブル性が必須であり、これに対応した、いわゆるフレキシブルプリント基板(以下、「フレキ基板」と記すことがある。)の開発が活発に進められている。
【0003】
現在量産されているフレキ基板の配線ルールは、ライン/スペースとして50μm〜100μm程度であるが、最近では、薄銅箔を用いたファインエッチング、あるいはレジストパターン内にメッキ配線膜を成長させる、いわゆるセミアディティブ法を用いることにより高精細配線が形成されている。一般に、銅箔即ち配線厚さの極端な低下は実装性等に支障を来たすため、セミアディティブ法が主たる方策と考えられている。
さらに、高周波対応の面では、パターンの平坦性が重要であり、基板との界面の凹凸ができるだけ少ないことが望まれる。この意味でも、銅箔の貼り付けを必要としないセミアディティブ法が有利であり検討が進められている。また、フレキ基板の基材であるプラスチックフィルムとして、従来からポリイミドが使用されており、最近では、高周波用途において、低吸湿性且つ絶縁性に優れた液晶ポリマー(LCP)が研究されている(非特許文献1参照。)。
【0004】
【非特許文献1】松田文彦、「フレキシブル配線板の実装技術動向−4.高速高周波化対応のFPC」、第36回エレクトロニクス実装学会セミナー、社団法人エレクトロニクス実装学会、平成16年7月14日、p.36−51
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、セミアディティブ法には、実用的な観点から幾つかの課題があり、その1つとして、シード層の形成が挙げられる。即ち、配線用のパターンメッキを行う上で、フレキ基板用フィルム上にシード層を形成する必要がある。現状では、このシード層はスパッタ等の乾式成膜法により形成されるため、プロセス効率の低下及びコスト高の原因となっている。また、ポリイミド等のフレキ基板用フィルム上にCu膜をスパッタする際、密着性を確保するために、通常、NiまたはCr等の薄膜を接着層として形成する必要がある。また、パターニングにおけるエッチング工程が追加されるととともに、Niの場合は磁性金属元素であるため、高周波用途において支障を来たすおそれがある。
【0006】
乾式成膜法によるシード層の形成に関するこのような問題は、例えば、無電界メッキ等の湿式法を採用することによりある程度解消される。即ち、無電界メッキによれば、プロセス効率が高まるとともに、フレキ基板用フィルム上にCu膜等のシード層を直接形成することが可能になると考えられる。
しかし、従来行われているプラスチックフィルム上の無電界メッキは、前処理によりプラスチックフィルム表面に凹凸を形成し、いわゆるアンカー効果によってメッキ層を付着させるため、前述したような高周波用途には適さない。例えば、ポリイミドの場合は、一般に、コンディショナーとよばれる前処理剤によってフレキ基板用フィルムの表面粗化処理が行われている。
【0007】
特に、液晶ポリマー(LCP)の場合は、スパッタ等の乾式法及びメッキ等の湿式法のいずれの方法を採用しても、液晶ポリマー(LCP)に対する金属膜の付着性が低く、現状では、液晶ポリマー(LCP)のフィルム上にシード層を形成することが困難である。このため、液晶ポリマー(LCP)を用いた配線基板は、銅箔貼り付けタイプに限られ、液晶ポリマー(LCP)は、素材自体の絶縁性質が優れているにも拘らず、高周波用途の高精細基板としての使用形態が制約されているという問題がある。
【0008】
このように、フィルム表面の平坦性を維持し、簡単且つ低コストの工程によりシード層を形成した配線基板用フィルム基材とその作製方法及びフレキシブルプリント基板が望まれており、特に、液晶ポリマー(LCP)を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適したフレキシブルプリント基板が求められている。
【0009】
本発明は、上述した技術的課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適した配線基板用フィルム基材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、簡単且つ低コストの工程による配線基板用フィルム基材の作製方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、液晶ポリマー(LCP)等を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適したフレキシブルプリント基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的のもと、本発明によれば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムと、樹脂フィルムの少なくとも片面に形成された、シロキサンポリマーを含むポリマー膜と、ポリマー膜を下地層としてメッキ処理により形成された金属膜と、を有することを特徴とする配線基板用フィルム基材が提供される。
【0011】
本発明が適用される配線基板用フィルム基材において、シロキサンポリマーは、シロキサン結合による三次元構造を有するシロキサン樹脂であることを特徴とすれば、このようなシロキサン樹脂は、無機シリカ薄膜と同様に高い耐熱性を示し、配線基板に必要とされる耐リフロー性を有する。
ここで、ポリマー膜は、超微粒子のシリカ粒子を含有するシロキサンポリマーを含むことが好ましく、樹脂フィルムとの密着性が向上する。
さらに、メッキ処理が、無電解メッキ処理であることが好ましい。
また、樹脂フィルムを構成する熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂であることが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂が、液晶ポリマーであることを特徴とすれば、高周波適正に優れた配線基板用フィルム基材を形成することができる。
【0012】
次に、本発明を方法のカテゴリーから把握すると、本発明によれば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの少なくとも片面にシロキサンポリマーを含むポリマー膜を形成するポリマー膜形成ステップと、ポリマー膜形成ステップにより形成されたポリマー膜を下地層として、メッキ処理によりポリマー膜上に金属膜を形成するメッキ処理ステップと、を有することを特徴とする配線基板用フィルム基材の作製方法が提供される。
【0013】
ここで、本発明において、ポリマー膜形成ステップは、分子中に加水分解性基を有するシラン化合物の溶液を樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布し、シラン化合物の加水分解生成物を主成分とするシロキサン樹脂を形成することを特徴とすれば、樹脂フィルム上に塗布されたシラン化合物を適当な条件で焼成することにより、加水分解縮合反応を生じ、シロキサン結合(Si−O−Si)による三次元構造が形成される。
【0014】
また、ポリマー膜形成ステップにおいて、所定の焼成温度より低温または所定の焼成時間より短時間でシロキサンポリマーを焼成し、メッキ処理ステップ後に、シロキサンポリマーを熱処理することを特徴とすればポリマー膜とメッキ膜との付着力を高めることができる。
【0015】
メッキ処理ステップは、ポリマー膜と無電解メッキ液とを接触させることが好ましい。ここで、メッキ処理ステップの前処理として、ポリマー膜表面をアルカリ処理またはプラズマ処理することが好ましい。
【0016】
さらに、本発明によれば、配線基板用フィルム基材上に形成された配線パターンを有するフレキシブルプリント基板であって、配線基板用フィルム基材は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムと、樹脂フィルムの少なくとも片面に形成された、シロキサンポリマーを含むポリマー膜と、ポリマー膜を下地層として無電解メッキ処理により形成された金属膜と、を備え、配線パターンは、金属膜をシード層として電気メッキ処理により形成されたものであることを特徴とするフレキシブルプリント基板が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を基材に用いた高精細且つ高周波用途に適した配線基板用フィルム基材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材を説明するための図である。尚、図1は、配線基板用フィルム基材の実際の大きさを表すものではない。
図1に示された配線基板用フィルム基材10は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム11と、樹脂フィルム11上に形成されたシロキサンポリマーを含むポリマー膜12と、ポリマー膜12を下地層としてメッキ処理により形成された金属膜13と、を有している。
【0019】
(樹脂フィルム)
樹脂フィルム11を構成する熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂は、絶縁性を有するものであれば特に限定されず、公知の樹脂が使用される。このような樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂;液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、液晶ポリマー(LCP)が好ましい。
【0020】
熱硬化性樹脂の中、ポリイミド樹脂としては、分子中の繰返し単位としてイミド結合を有する樹脂であればよく、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを重縮合させてなるポリイミド樹脂、芳香族テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを重縮合させてなるイミド部位とアミック酸部位とを持つポリイミドアミック酸樹脂、芳香族テトラカルボン酸二無水物及びジアミンを重縮合させてなるポリアミック酸樹脂等が挙げられる。
【0021】
ポリイミド樹脂の原料を構成する芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−プロパン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ペリレン−2,3,8,9−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−4,5,10,11−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−5,6,11,12−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,2,7,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,2,9,10−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられる。
【0022】
ジアミンの具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−p−ターフェニル、2,2−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、3,3−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、4,4−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、3,3−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、2,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、4,4’−(3,3’−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル、4,4’−(2,2’−ジヒドロキシ)ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラアミン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエーテル、4,4’−(3,3’−ジカルボキシ)ジフェニルアミン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンが挙げられる。
【0023】
また、ジアミンとして、ジアミノシロキサンが挙げられる。ジアミノシロキサンの具体例としては、例えば、ω,ω’−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン、ω,ω’−ビス(3−アミノプロピル)ポリメチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
【0024】
熱可塑性樹脂の中、液晶ポリマー(LCP)としては、公知のサーモトロピック液晶等の従来公知の各種液晶ポリマー(LCP)を使用することができる。サーモトロピック液晶ポリマーとしては、例えば、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルイミド等、具体的には(全)芳香族ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート等が挙げられる。これらのなかでも、液晶性ポリエステルが好ましい。
サーモトロピック液晶ポリエステルを構成するモノマーの代表例としては、(イ)芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種、(ロ)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物の少なくとも1種、(ハ)芳香族ジオール系化合物の少なくとも1種、(ニ−1)芳香族ジチオール、(ニ−2)芳香族チオフェノール及び(ニ−3)芳香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも1種、(ホ)芳香族ヒドロキシルアミン及び芳香族ジアミン系化合物の少なくとも1種、等が挙げられる。これらは通常、(イ)及び(ニ);(イ)及び(ニ);(イ)、(ロ)及び(ハ);(イ)、(ロ)及び(ホ);または(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ホ)等のように組合せて構成される。
【0025】
(イ)芳香族ジカルボン酸系化合物としては、例えば、テレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−トリフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−3,3’−ジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;クロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロモテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0026】
(ロ)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合物としては、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0027】
(ハ)芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール;クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジオールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が挙げられる。
【0028】
(ニ−1)芳香族ジチオールとしては、例えば、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール等が挙げられる。
(ニ−2)芳香族チオフェノールとしては、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙げられる。
(ニ−3)芳香族チオールカルボン酸としては、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0029】
(ホ)芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳香族ジアミン系化合物としては、例えば、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノジフェノキシエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリン)等が挙げられる。
【0030】
液晶ポリマー(LCP)は、これらの原料化合物の種々の組合せによる重合体として形成される。例えば、サーモトロピック液晶ポリエステルは、上述したモノマーから、溶融アシドリシス法やスラリー重合法等の各種のエステル形成法等により製造することができる。サーモトロピック液晶ポリエステルの分子量は、通常、2,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000である。尚、液晶ポリマー(LCP)は、樹脂フィルム11としての物性を損なわない範囲で、例えば、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂が配合されていてもよい。
【0031】
樹脂フィルム11の厚さは、特に限定されないが、通常、5μm〜200μm、好ましくは、10μm〜150μm、特に好ましくは、20μm〜100μmである。樹脂フィルム11の厚さが過度に小さいと、支持体としての機能が低下する傾向がある。樹脂フィルム11の厚さが過度に大きいと、屈曲性が低下しフレキシブル基板に適さなくなる傾向がある。
【0032】
(ポリマー膜)
本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材10のポリマー膜12は、例えば、分子中に加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解生成物を主成分とする絶縁性のシロキサン樹脂から構成される。このようなシロキサン樹脂は、例えば、シリコンデバイス等の層間絶縁膜を形成するSOG(Spin on Glass)と呼ばれる塗布型の絶縁膜を用いることにより形成することができる。SOG(Spin on Glass)としては、無機型シラノール系、有機型シラノール系、無機型シラノール系及び有機型シラノール系を併用したハイブリッド型シラノール系、シリコンラダー系、ポリシラザン系が挙げられる。SOG(Spin on Glass)は、樹脂フィルム11上に塗布された後、適当な条件で焼成することにより、加水分解縮合反応を生じ、シロキサン結合(Si−O−Si)により三次元構造を形成する。
【0033】
シラン化合物中の加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。これらの中では、アルコキシ基が好ましい。
分子中に加水分解性基としてアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物の具体例として、分子中に4個のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。
【0034】
分子中に3個のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、i−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、i−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、i−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチル−i−トリエトキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチル−トリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチル−トリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0035】
分子中に2個のアルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジメチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピル−ジ−フェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチル−ジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル−ジ−エトキシシラン、ジフェニル−ジ−n−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニル−ジ−n−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニル−ジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−トリフロロプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0036】
このようなアルコキシシラン化合物の中では、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシランが好ましい。
【0037】
また、加水分解性基が、ハロゲン原子(ハロゲン基)である化合物(ハロゲン化シラン)としては、上述したアルコキシシラン分子中のアルコキシ基がハロゲン原子で置換されたものが挙げられる。加水分解性基が、アセトキシ基である化合物(アセトキシシラン)としては、上述したアルコキシシラン分子中のアルコキシ基がアセトキシ基で置換されたものが挙げられる。また、加水分解性基が、イソシアネート基である化合物(イソシアネートシラン)としては、上述したアルコキシシラン分子中のアルコキシ基がイソシアネート基で置換されたものが挙げられる。
【0038】
分子中に加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解縮合反応を促進する触媒としては、通常、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、スルホン酸、酒石酸、トリフルオロメタンスルフォン酸等の有機酸;塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等の無機酸等を用いることができる。触媒の使用量は、分子中に加水分解性基を有するシラン化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜1モルの範囲で用いられる。
【0039】
SOG(Spin on Glass)には、超微粒子のシリカ粒子を配合することにより、樹脂フィルム11上とポリマー膜12との密着性を高めることができる。このようなシリカ粒子としては、平均粒子径が4nm〜200nm、さらには5nm〜100nmの範囲にあることが好ましい。シリカ粒子の製造方法は、平均粒子径が上述した範囲にあれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。
【0040】
ポリマー膜12の厚さは、特に限定されないが、通常、0.05μm〜5μm、好ましくは、0.1μm〜2μm、特に好ましくは、0.1μm〜0.5μmである。ポリマー膜12の厚さが過度に小さいと、密着性向上効果が低下する傾向がある。ポリマー膜12の厚さが過度に大きいと、膜面の乱れや端部の剥離が生じる傾向がある。
【0041】
樹脂フィルム11上に塗布されるSOG(Spin on Glass)には、上述したシラン化合物を溶解する溶媒が含まれる。このような溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0042】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0043】
エーテル系溶媒としては、例えば、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0044】
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等が挙げられる。
【0045】
さらに、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等の溶媒が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0046】
(金属膜)
本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材10の金属膜13は、ポリマー膜12を下地層としてメッキ処理により形成されたものである。メッキ処理は、無電解メッキ処理が好ましい。無電解メッキ処理に使用する無電解メッキ液としては、例えば、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、ロジウム等の金属イオンを含んだものが好ましく用いられる。無電解メッキ液は、通常、上記金属イオンの水溶性金属塩に、次亜リン酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤、酢酸ナトリウム、フェニレンジアミンや酒石酸ナトリウムカリウム等の錯化剤が配合されており、一般には無電解メッキ液として市販されており容易にかつ安価に入手することができる。これらの無電解メッキ液中でも、金属イオンとして、銅、ニッケルまたはこれらの合金を含有するものが好ましい。
【0047】
このような無電解メッキ液としては、例えば、Ni−B系無電解メッキ液、Ni−P系無電解メッキ液、Ni−Cu−P系無電解メッキ液、Cu系無電解メッキ液等が挙げられる。Ni−B系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル、錯化剤、ホウ素含有有機還元剤を含み、さらに、メッキ液の建浴用または補充用液として2,2’−チオジエタノール、チオジグリコール酸等が含まれる。Ni−P系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル等のニッケル塩;クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等の錯化剤;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の還元剤;鉄、タングステン、モリブデン、クロム等の成分の水溶性化合物を含有し、さらに、必要に応じて、公知の安定剤等を含有する。水溶性化合物としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム等の水溶性鉄化合物;タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム等の水溶性タングステン化合物;モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウム、塩化モリブデン等の水溶性モリブデン化合物;塩化クロム、臭化クロム、硫酸クロム等の水溶性クロム化合物が例示できる。これらの水溶性化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。各成分配合量については、上述した組成の無電解ニッケル多元合金めっき皮膜を形成できる範囲内で適宜調整すればよい。
【0048】
Ni−Cu−P系無電解メッキ液は、硫酸ニッケル等のニッケル塩、硫酸銅等の銅塩、ホスフィン酸ナトリウム等の還元剤及びクエン酸三ナトリウム等の錯化剤を主成分として含有する。Cu系無電解メッキ液は、硫酸銅、塩化銅、酸化銅等の第二銅塩;エチレンジアミン四酢酸またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、ロッシェル塩等の銅錯化剤;ホルムアルデヒド等の還元剤を含有する。さらに、三塩化砒素、三酢酸砒素、ひ酸、三酸化二ひ素、二水酸化トリフェニルひ素、アルサニル酸等のAs化合物;三酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、塩化アンチモン、吐酒石、シュウ酸アンチモンカリウム、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサクロロアンチモン酸塩等のSb化合物;硝酸ビスマス、水酸化ビスマス、シュウ酸ビスマス、酢酸酸化ビスマス、ホウ酸ビスマス、酸化ビスマス等のBi化合物;硫酸ベリリウム、塩化ベリリウム、硝酸ベリリウム、酢酸ベリリウム、臭化ベリリウム、ベリリウム酸ナトリウム、シュウ酸ベリリウム、フッ化ベリリウム等のBe化合物を含有するものが挙げられる。
【0049】
無電解メッキ液にポリマー膜12を接触させる方法としては、樹脂フィルム11とともにポリマー膜12を無電解メッキ液中に浸漬することが好ましい。無電解メッキ液とポリマー膜12とを接触させる温度としては、15℃〜120℃が好ましく、さらに好ましくは25℃〜85℃である。接触させる時間は、例えば、1分〜16時間であり、10分〜60分間程度であることが好ましい。
【0050】
金属膜13の厚さは、特に限定されないが、通常、0.05μm〜2μm、好ましくは、0.1μm〜1μm、特に好ましくは、0.1μm〜0.5μmである。金属膜13の厚さが過度に小さいと、導電性が低下し、給電層としての役割を果たさないとともに膜が不均一になる傾向がある。金属膜13の厚さが過度に大きいと、膜の緻密さが低下し、強度が低下する傾向がある。
【0051】
次に、配線基板用フィルム基材10の作製方法について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材10の作製方法を説明するための図である。尚、図2は、配線基板用フィルム基材10の実際の大きさを表すものではない。
先ず、図2(a)に示すように、樹脂フィルム11を調製した後(樹脂フィルムの調製)、図2(b)に示すように、樹脂フィルム11上にアルコキシシラン化合物を含有するSOG(Spin on Glass)溶液を塗布し、SOG被膜121を形成する(SOG塗布)。塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ロール塗布、ブレードコート、アプリケータコート、バーコート、スクリーン印刷等が挙げられる。例えば、スピンコートの場合は、SOG溶液を樹脂フィルム11上に、通常、500回転/分〜5000回転/分でスピン塗布してSOG被膜121を形成する。次に、図2(c)に示すように、樹脂フィルム11を50℃〜500℃の範囲でホットプレート等にて加熱し、SOG被膜121中の溶媒を乾燥させるとともにSOG被膜121を焼成し、硬化したシロキサン樹脂からなるポリマー膜12を形成する(焼成)。ポリマー膜12には、アルコキシシラン化合物の加水分解縮合反応により生じたシロキサン結合(Si−O−Si)の三次元構造が形成されている。焼成は、N、Ar、He等の不活性雰囲気下で行うのが好ましく、この場合、酸素濃度が1000ppm以下であるのが好ましい。
【0052】
続いて、図2(d)に示すように、樹脂フィルム11上のポリマー膜12を下地層として無電解メッキ処理を行い、ポリマー膜12上に、メッキ膜131を形成する(無電解メッキ)。無電解メッキ処理の前処理として、通常、ポリマー膜12表面に、酸洗、水洗等の湿式処理に加えてプラズマ処理等の乾式処理、または、アルカリ処理を施すことが好ましい。このような前処理により、ポリマー膜12表面のシロキサン結合(Si−O−Si)の一部が切断され、いわゆるダングリングボンドに類似した状態が生じ、ポリマー膜12とメッキ膜131との結合性が高まると考えられる。
【0053】
ここで、図2(c)において、SOG被膜121を緩やかな条件下で、即ち、本来の焼成条件よりも低温または短時間で焼成し、ポリマー膜12中に、シロキサン結合(Si−O−Si)の三次元構造が不完全に形成された状態のまま、図2(d)における無電解メッキ処理を行うことが好ましい。ポリマー膜12中に、シロキサン結合(Si−O−Si)の三次元構造が不完全に形成された状態のままにすることにより、化学的にシロキサン結合が形成されていない部分とメッキ膜131との化学的結合が生じ、ポリマー膜12へのメッキ膜131の付着力を高めることができる。
【0054】
次に、図2(e)に示すように、樹脂フィルム11を熱処理してポリマー膜12中のシロキサン結合(Si−O−Si)の反応を促進させ、樹脂フィルム11表面に、化学的、熱的及び電気的に安定性が高められたシロキサン樹脂からなるポリマー膜12と、ポリマー膜12表面に形成された金属膜13とを有する配線基板用フィルム基材10を作製する(熱処理)。熱処理の条件は、樹脂フィルム11及びポリマー膜12の種類により適宜選択されるが、通常、樹脂フィルム11に用いた樹脂材料の耐熱温度より低温において適当な時間行われる。例えば、樹脂フィルム11として液晶ポリマー(LCP)を用い、ポリマー膜12を市販のSOG溶液を用いて形成した場合は、温度200℃で30分間程度の熱処理が行われる。
【0055】
図2(e)において熱処理を行うことにより、ポリマー膜12と樹脂フィルム11との密着力が高まる。また、ポリマー膜12を構成するシロキサン樹脂は、無機シリカ薄膜と同様に高い耐熱性を示し、配線基板に必要とされる耐リフロー性を有する。さらに、吸湿性が低く、絶縁性質等の電気的性質が安定している。このため、液晶ポリマー(LCP)を用いて樹脂フィルム11を形成した場合は、液晶ポリマー(LCP)の高周波適正を損ねることがない。
【0056】
次に、フレキシブルプリント基板について説明する。
図3は、本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板を説明するための図である。尚、図3は、フレキシブルプリント基板の実際の大きさを表すものではない。
図3に示されたフレキシブルプリント基板20は、図1に示された配線基板用フィルム基材10の金属膜13をシード層として電気メッキを行うセミアディティブ法によって配線パターンを形成し、必要に応じて、電極端子形成、カバーレイ附与等の通常のプロセスを施して作製されたものである。フレキシブルプリント基板20は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム11と、樹脂フィルム11上に形成されたシロキサンポリマーを含むポリマー膜12と、ポリマー膜12上に形成された回路パターン16とを備えている。回路パターン16は、後述するように、ポリマー膜12を下地層としてメッキ処理により形成された金属膜13と、金属膜13をシード層として電気メッキ処理により形成されたメッキ層15とから構成されている。尚、金属膜13は、後述するように電気メッキ処理後にメッキ層15をエッチングマスクとして行われるエッチング処理により、メッキ層15が形成されない部分が除去されている。
【0057】
次に、フレキシブルプリント基板の作製方法について説明する。
図4は、本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板20の作製方法を説明するための図である。尚、図4は、フレキシブルプリント基板20の実際の大きさを表すものではない。
図4(a)に示すように、配線基板用フィルム基材10を調製した後(配線基板用フィルム基材の調製)、図4(b)に示すように、配線基板用フィルム基材10の金属膜13上に、例えば、ポジ型のフォトレジストを塗布し、レジスト膜14を形成する(フォトレジスト塗布)。塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ロール塗布、ブレードコート、アプリケータコート、バーコート、スクリーン印刷等が挙げられる。
【0058】
次に、図4(c)に示すように、フォトリソグラフィー処理により、レジスト膜14の回路パターンを形成を予定する部分のフォトレジストを除去する(フォトリソグラフィー処理)。即ち、露光装置(図示せず)を用いてレジスト膜14に回路パターンの潜像を形成し、現像を行ってレジスト膜14の回路パターンの形成を予定する部分を除去して、その部分に対応する金属膜13を露出させる。続いて、図4(d)に示すように、金属膜13の露出した部分を給電電極として電気メッキを行い、回路パターンの形成を予定する部分にメッキ層15を形成する(電気メッキ処理)。電気メッキは公知の方法が適用でき、例えば、硫酸銅メッキ、青化銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等が挙げられる。これらの中でも、メッキ液の取り扱い性、生産性、皮膜の特性などから硫酸銅メッキが好ましい。
【0059】
次に、図4(e)に示すように、例えば、アセトン等のケトン系剥離液等を用いてフォトレジストを除去し、回路パターンの形成を予定する部分の金属膜13を露出させる(レジスト除去)。続いて、図4(f)に示すようにエッチングを行い、回路パターンの形成を予定する部分の不要な金属膜13を除去し、回路パターンが形成されたフレキシブルプリント基板20を作製する。
上述したように、本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材10は、樹脂フィルム11の表面に、スパッタ等によりシード層を形成する工程を経ることなく、無電解メッキによる金属膜13が形成されている。このような配線基板用フィルム基材10を用いることにより、工程の簡素化、接着層の不要化及び連続プロセスが実現し、安価で高機能のフレキシブルプリント基板20を作製することができる。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例に基づき本実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
(テープ剥離試験)
予め調製した配線基板用フィルム基材のメッキ膜面に、幅15mm、長さ40mmの粘着テープを、接着面長さ20mmになるように貼り付け、その後、粘着テープの他端を引き上げて、そのときの剥離状況を目視で観察した。
【0061】
(実施例1)
厚さ50μmの液晶ポリマフィルム(株式会社クラレ製:Vecstar(登録商標) CT)上に、バーコートによりポリシロキサン溶液(日立化成工業株式会社製:層間絶縁膜用塗付材料HSG−7000)を塗布し、大気中で、温度200℃で3分間ベーキングし、厚さ400nmのポリマー膜下地層を形成した。次に、前処理として、このポリマー膜下地層の表面を大気プラズマ照射処理した後、液晶ポリマフィルムを無電解メッキ液(奥野製薬工業株式会社製:無電解ニッケル−ホウ素メッキ液トップケミアロイB)中に、温度55℃で2分間浸漬し、続いて、窒素雰囲気中で、温度200℃で5分間の熱処理を行い、ポリマー膜下地層上にNiメッキ膜を形成して、液晶ポリマフィルムを基材とした配線基板用フィルム基材を調製した。
このように調製した配線基板用フィルム基材のメッキ膜は、光沢のあるフラットな表面を有していた。また、テープ剥離試験の結果は、ポリマー膜下地層上に形成したNiメッキ膜の剥離が観察されず、高い付着強度を示した。
【0062】
(実施例2)
ポリシロキサン溶液として、シリカ超微粒子フィラーと有機SOGとのハイブリッド型SOG(触媒化成工業株式会社製:セラメート−LNT−025)を用いること以外は、実施例1と同様な操作を行い、液晶ポリマフィルムを基材とした配線基板用フィルム基材を調製した。
このように調製した配線基板用フィルム基材のメッキ膜は、光沢のあるフラットな表面を有していた。また、テープ剥離試験の結果は、ポリマー膜下地層上に形成したNiメッキ膜の剥離が観察されず、高い付着強度を示した。
【0063】
(実施例3)
液晶ポリマフィルムに代えて、厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レ株式会社製:カプトン(登録商標))を用いること以外は、実施例1と同様な操作を行い、ポリイミドフィルムを基材とした配線基板用フィルム基材を調製した。
このように調製した配線基板用フィルム基材のメッキ膜は、光沢のあるフラットな表面を有していた。また、テープ剥離試験の結果は、ポリマー膜下地層上に形成したNiメッキ膜の剥離が観察されず、高い付着強度を示した。
【0064】
(実施例4)
前処理として、ポリマー膜下地層の表面を大気プラズマ照射処理を行うことに代えて、ポリマー膜下地層を有する液晶ポリマフィルムをアルカリ浴(1.3molNaOH)中に1分間浸漬して、ポリマー膜下地層の表面のアルカリ処理を行い、それ以外は、実施例1と同様な操作を行い、液晶ポリマフィルムを基材とした配線基板用フィルム基材を調製した。
このように調製した配線基板用フィルム基材のメッキ膜は、実施例1の場合と比較するとやや光沢が劣るもののフラットな表面を有していた。また、テープ剥離試験の結果は、ポリマー膜下地層上に形成したNiメッキ膜の剥離が観察されず、高い付着強度を示した。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材を説明するための図である。
【図2】本実施の形態が適用される配線基板用フィルム基材の作製方法を説明するための図である。
【図3】本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板を説明するための図である。
【図4】本実施の形態が適用されるフレキシブルプリント基板の作製方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
10…配線基板用フィルム基材、11…樹脂フィルム、12…ポリマー膜、13…金属膜、14…レジスト膜、15…メッキ層、16…回路パターン、20…フレキシブルプリント基板、121…SOG被膜、131…メッキ膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムの少なくとも片面に形成された、シロキサンポリマーを含むポリマー膜と、
前記ポリマー膜を下地層としてメッキ処理により形成された金属膜と、
を有することを特徴とする配線基板用フィルム基材。
【請求項2】
前記シロキサンポリマーは、シロキサン結合による三次元構造を有するシロキサン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材。
【請求項3】
前記ポリマー膜は、超微粒子のシリカ粒子を含有する前記シロキサンポリマーを含むことを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材。
【請求項4】
前記メッキ処理が、無電解メッキ処理であることを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が、液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の配線基板用フィルム基材。
【請求項7】
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムの少なくとも片面にシロキサンポリマーを含むポリマー膜を形成するポリマー膜形成ステップと、
ポリマー膜形成ステップにより形成された前記ポリマー膜を下地層として、メッキ処理により当該ポリマー膜上に金属膜を形成するメッキ処理ステップと、
を有することを特徴とする配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項8】
前記ポリマー膜形成ステップは、分子中に加水分解性基を有するシラン化合物の溶液を前記樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布し、当該シラン化合物の加水分解生成物を主成分とするシロキサン樹脂を形成することを特徴とする請求項7記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項9】
前記ポリマー膜形成ステップにおいて、所定の焼成温度より低温または所定の焼成時間より短時間で前記シロキサンポリマーを焼成し、前記メッキ処理ステップ後に、当該シロキサンポリマーを熱処理することを特徴とする請求項7記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項10】
前記メッキ処理ステップは、前記ポリマー膜と無電解メッキ液とを接触させることを特徴とする請求項7記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項11】
前記メッキ処理ステップ前に、前記ポリマー膜表面をアルカリ処理することを特徴とする請求項7記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項12】
前記メッキ処理ステップ前に、前記ポリマー膜表面をプラズマ処理することを特徴とする請求項7記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項13】
前記熱硬化性樹脂が、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項7記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項14】
前記熱可塑性樹脂が、液晶ポリマーであることを特徴とする請求項7記載の配線基板用フィルム基材の作製方法。
【請求項15】
配線基板用フィルム基材上に形成された配線パターンを有するフレキシブルプリント基板であって、
前記配線基板用フィルム基材は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの少なくとも片面に形成された、シロキサンポリマーを含むポリマー膜と、前記ポリマー膜を下地層として無電解メッキ処理により形成された金属膜と、を備え、
前記配線パターンは、前記金属膜をシード層として電気メッキ処理により形成されたものであることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項16】
前記樹脂フィルムが、液晶ポリマーから構成されることを特徴とする請求項15記載のフレキシブルプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−130877(P2006−130877A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325194(P2004−325194)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】