説明

酸化珪素系薄膜の製造方法、酸化珪素系薄膜及び薄膜形成用原料

【課題】 膜質及び生産性において、酸化珪素系薄膜製造に適する薄膜製造プロセスを提供すること。
【解決手段】 トリス(エチルメチルアミノ)シランを含有してなる薄膜形成用原料を気化させて得たトリス(エチルメチルアミノ)シランを含有する蒸気を系内の基体上に導入し、該基体上に珪素含有薄膜層を形成した後、系内のガスを排気してから該系内に酸化性ガスを導入し、該珪素含有薄膜層に該酸化性ガス及び熱を作用させて、先に形成した珪素含有薄膜から酸化珪素系薄膜を製造する薄膜製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリス(エチルメチルアミノ)シランを気化させた蒸気を用いた酸化珪素系薄膜の製造方法、該製造方法により製造された酸化珪素系薄膜、及び該製造方法に用いる薄膜形成用原料に関する。該製造方法により製造された酸化珪素系薄膜は、電子部品部材及び光学ガラス部材に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
酸化珪素系薄膜は、LSI等の電子部品の部材として使用されている。例えば、酸化珪素薄膜は、層下又は層間の絶縁膜として使用されており、アルミニウムシリケート、ハフニウムシリケート及びジルコニウムシリケートは、高誘電体キャパシタ、強誘電体キャパシタ、ゲート絶縁膜に使用されている。これらの薄膜の製造方法としては、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能である等の多くの長所を有しているので、Chemical Vapor Deposition法(以下、CVD法と記載することもある)及びAtomic Layer Deposition法(以下、ALD法と記載することもある)が検討されている。
【0003】
また、酸化珪素系薄膜製造用のCVDプレカーサとして、H4-nSi(NR12nで表されるアミノシラン系化合物を用いたCVD法が、特許文献1及び特許文献2に報告されている。また、非特許文献1には、CVDによるHigh−kゲートの酸化珪素プレカーサとして、HSi(NEtMe)3が例示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−284350号公報
【特許文献2】特開2002−93804号公報
【非特許文献1】Mat. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 716 (2002) B2.11 113-117
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LSIの部材としての酸化珪素系薄膜には、膜質及び生産性の向上が必要とされている。例えば、膜質については、膜中への残留カーボンの問題があり、生産性については、成膜速度及び薄膜組成のコントロールの問題がある。これらの点においては、プレカーサと薄膜製造のプロセスとの組み合わせの選択が重要となる。また、ハフニウムシリケート等の複合酸化物薄膜を製造する場合には、プレカーサの組み合わせも重要である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、膜質及び生産性において、酸化珪素系薄膜製造に適する薄膜製造プロセスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、検討を重ねた結果、トリス(エチルメチルアミノ)シランをプレカーサに用いたALD法が酸化珪素系薄膜の製造に適することを知見し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、トリス(エチルメチルアミノ)シランを含有してなる薄膜形成用原料を気化させて得たトリス(エチルメチルアミノ)シランを含有する蒸気を系内の基体上に導入し、該基体上に珪素含有薄膜層を形成した後、系内のガスを排気してから該系内に酸化性ガスを導入し、該珪素含有薄膜層に該酸化性ガス及び熱を作用させて、先に形成した珪素含有薄膜から酸化珪素系薄膜を製造する薄膜製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記薄膜製造方法により製造された酸化珪素系薄膜を提供するものである。
また、本発明は、上記薄膜製造方法に使用するトリス(エチルメチルアミノ)シランを含有してなる薄膜形成用原料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、膜質が良好な酸化珪素系薄膜を、優れた生産性で製造可能な薄膜製造方法を提供することができる。該薄膜製造方法は、成膜速度及び薄膜組成のコントロールに優れており、また、該薄膜製造方法により製造された酸化珪素系薄膜は、膜中の残留カーボンが極めて少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の薄膜製造方法により製造される酸化珪素系薄膜の種類としては、酸化珪素薄膜、酸化窒化珪素薄膜、珪素成分と他の金属元素との複合酸化物薄膜、及び珪素成分と他の金属元素との複合酸化窒化物薄膜が挙げられる。該複合酸化物薄膜又は該複合酸化窒化物薄膜において、珪素に対する他の金属元素の含有割合は、薄膜の用途等に応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、上限は好ましくはモル基準で20倍である。
【0011】
本発明の薄膜製造方法は、珪素プレカーサとしてトリス(エチルメチルアミノ)シランを用いること以外は、従来のALD法に準じて行なうことができる。
まず、プレカーサであるトリス(エチルメチルアミノ)シランを気化させ、系内(堆積反応部)の基体上に導入する〔原料導入工程〕。その方法としては、プレカーサであるトリス(エチルメチルアミノ)シランのみからなる薄膜形成用原料、又はトリス(エチルメチルアミノ)シラン及び後述の有機溶媒等を含有する薄膜形成用原料を、原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に堆積反応部へと導入する気体輸送法、上記原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、堆積反応部へと導入する液体輸送法が挙げられる。
【0012】
次に、堆積反応部に導入したプレカーサにより、基体上に珪素含有薄膜を成膜させる〔珪素含有薄膜成膜工程〕。このときに、基体を加熱するか、堆積反応部を加熱して、熱を加えてもよい。この工程で成膜される珪素含有薄膜は、プレカーサ薄膜又はプレカーサが分解及び/若しくは反応して生成した薄膜であり、純粋な酸化珪素系薄膜とは異なる組成を有する。本工程が行なわれる温度が、50℃より小さいと最終的に得られる酸化珪素系薄膜中に残留カーボンが多く含まれる場合があり、500℃を超えても、最終的に得られる膜質の向上は見られないので、基体又は堆積反応部は、50℃〜500℃に加熱することが好ましく、100℃〜500℃がより好ましい。
【0013】
次に、堆積反応部から、未反応のプレカーサ蒸気や副成したガスを排気する〔排気工程〕。未反応のプレカーサ蒸気や副成したガスは、堆積反応部から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。減圧する場合の減圧度は、20000Pa〜10Paが好ましい。
【0014】
次に、堆積反応部に酸化性ガスを導入し、該酸化性ガス及び熱の作用により、先の珪素含有薄膜成膜工程で得た珪素含有薄膜から酸化珪素系薄膜を製造する〔酸化珪素系薄膜製造工程〕。本工程において珪素含有薄膜に作用させる熱の温度は、100℃より小さいと酸化珪素系薄膜中に残留カーボンが多く含まれる場合があり、500℃を超えた温度にしても、酸化珪素系薄膜の膜質の向上は見られないので、100℃〜500℃が好ましい。また、珪素含有薄膜に熱を作用させるには、基体又は堆積反応部全体を加熱すればよく、好ましくは100℃〜500℃に加熱する。
【0015】
本発明の薄膜製造方法においては、上記の原料導入工程、珪素含有薄膜成膜工程、排気工程及び酸化珪素系薄膜製造工程からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、このサイクルを、必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい。この場合、1サイクル行なった後、上記排気工程と同様にして、堆積反応部から未反応のプレカーサ蒸気及び酸化性ガスや副成したガスを排気した後、次の1サイクルを行なうことが好ましい。
【0016】
また、本発明の薄膜製造方法においては、プラズマ、光、電圧等のエネルギーを印加してもよい。これらのエネルギーを印加する時期は、特に限定されず、例えば、原料導入工程におけるプレカーサ蒸気導入時、珪素含有薄膜成膜工程又は酸化珪素系薄膜製造工程における加温時、排気工程における系内の排気時、酸化珪素系薄膜製造工程における酸化性ガス導入時でもよく、上記の各工程の間でもよい。
【0017】
本発明の薄膜製造方法において、珪素含有薄膜成膜工程における珪素含有薄膜の成膜時の圧力、及び酸化珪素系薄膜製造工程における反応圧力は、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000Pa〜10Paが好ましい。
【0018】
また、本発明の薄膜製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な膜質を得るために不活性雰囲気下又は酸化性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、400〜1200℃、特に500〜800℃が好ましい。
【0019】
本発明の薄膜製造方法に使用される上記酸化性ガスとしては、酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上使用することができる。膜中の残留カーボンを一層低減する事ができるので、上記酸化性ガスとしては、オゾンを含有するものを使用するのが好ましい。
【0020】
また、酸化窒化珪素薄膜や、珪素と他の金属元素との複合酸化窒化物薄膜を得る場合は、窒素プラズマ処理、アンモニア雰囲気でのアニール処理等により、薄膜成分に窒素を導入する。これらの処理は、所望の膜厚を得るために上記サイクルにより薄膜堆積を複数回繰り返すときには、各回毎に行ってもよく、複数回繰り返した後に行ってもよい。
【0021】
本発明の薄膜製造方法においては、プレカーサとして、トリス(エチルメチルアミノ)シランを用いる。該トリス(エチルメチルアミノ)シランは、酸化性ガスとプレカーサとの反応を一括で行う通常のCVD法による酸化珪素系薄膜の製造方法においては、残留カーボンの問題があり、さらには十分な成膜速度が得られず生産性に劣る場合があるが、ALD法による本発明の薄膜製造方法においては、これらの問題は生じない。
【0022】
尚、上記トリス(エチルメチルアミノ)シランと類似の構造を有するトリス(ジメチルアミノ)シランは、蒸気圧が大きいが、膜付きが悪く生産性に劣り、特にテトラキス(ジアルキルアミノ)ハフニウムやテトラキス(ジアルキル)ジルコニウムと併用してハフニウムシリケート、ジルコニウムシリケート、窒化ハフニウムシリケート、窒化ジルコニウムシリケート等のハフニウムやジルコニウムを含有する酸化珪素系薄膜を製造する際には、得られる薄膜の珪素含有量が不足するので、所望の組成の薄膜を得るために過剰の珪素プレカーサが必要となる。そのため、過剰プレカーサ由来の装置汚染が起こり、メンテナンス作業の頻度が多くなる問題がある。
また、上記トリス(エチルメチルアミノ)シランと類似の構造を有するトリス(ジエチルアミノ)シランは、残留カーボンが多く、得られる薄膜の膜質に劣る問題がある。
【0023】
本発明の薄膜製造方法に使用し得る珪素以外の金属元素のプレカーサとしては、周知一般の化合物を使用することができる。
珪素以外の金属元素のプレカーサは、トリス(エチルメチルアミノ)シランを含有する薄膜形成用原料とは別個に、珪素以外の金属元素のプレカーサを含有する薄膜形成用原料とし、本発明の薄膜製造方法に供することができる。この場合、これらの薄膜形成用原料は、各々独立で気化、供給する。尚、珪素以外の金属元素のプレカーサを含有する薄膜形成用原料は、トリス(エチルメチルアミノ)シランを含有する薄膜形成用原料に準じて調製することができる。
また、珪素以外の金属元素のプレカーサは、上記トリス(エチルメチルアミノ)シランと共に薄膜形成用原料中に含有させ、気化、供給してもよい。
いずれの場合も、珪素以外の金属元素のプレカーサの使用量は、目的とする薄膜の組成に応じて適宜選択することができる。
【0024】
上記の珪素以外の元素のプレカーサとしては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物及び有機アミン化合物等の有機配位子として用いられる化合物からなる群から選択される一種類又は二種類以上と、金属元素との化合物が挙げられる。上記の珪素以外の元素のプレカーサの金属種としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
【0025】
上記の有機配位子として用いられるアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、第3ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第3アミルアルコール等のアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−第2ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノール等のエーテルアルコール類、N,N−ジメチルアミノエタノール、1,1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、1,1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール等のジアルキルアミノアルコール類が挙げられる。
【0026】
上記の有機配位子として用いられるグリコール化合物としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
【0027】
上記の有機配位子として用いられるβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、5−メチルヘプタン−2,4−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6−トリメチルヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、2,2,6−トリメチルオクタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルオクタン−3,5−ジオン、2,2−ジメチル−6−エチルオクタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルオクタン−3,5−ジオン、2,9−ジメチルノナン−4,6−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ノナンジオン、2−メチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン、2,2−ジメチル−6−エチルデカン−3,5−ジオン等のアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオン等のフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオン等のエーテル置換β−ジケトン類が挙げられる。
【0028】
上記の有機配位子として用いられるシクロペンタジエン化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、第3ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられる。
【0029】
上記の有機配位子として用いられる有機アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、第2ブチルアミン、第3ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン、ビス(トリメチルシリル)アミン等が挙げられる。
【0030】
本発明の薄膜製造方法により、珪素成分とジルコニウムとの複合酸化物薄膜又は複合酸化窒化物薄膜を製造する場合、ジルコニウムプレカーサとしては、テトラキス(ジアルキルアミノ)ハフニウム、特に、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウムを用いることが好ましい。また、本発明の薄膜製造方法により、珪素成分とハフニウムとの複合酸化物薄膜又は複合酸化窒化物薄膜を製造する場合、ハフニウムプレカーサとしては、テトラキス(ジアルキルアミノ)ハフニウム、特に、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウムを用いることが好ましい。
【0031】
本発明の薄膜形成用原料は、本発明の薄膜製造方法に用いられるもので、トリス(エチルメチルアミノ)シランそのもの、又はこれを含有してなる組成物である。組成物である場合、トリス(エチルメチルアミノ)シラン以外の成分としては、例えば有機溶媒が挙げられる。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジンが挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点及び引火点との関係等により、単独で又は二種類以上の混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中におけるプレカーサ成分の合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
【0032】
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、トリス(エチルメチルアミノ)シランに安定性を付与するため、求核性試薬を含有させてもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類等が挙げられ、安定剤としてのこれらの求核性試薬の使用量は、プレカーサ1モルに対して好ましくは0.1モル〜10モル、さらに好ましくは1〜4モルである。
【0033】
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素等の不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が更に好ましい。また、水分は、薄膜形成用原料中でのパーティクル発生や、薄膜製造中におけるパーティクル発生の原因となるので、金属化合物、有機溶剤及び求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際に予めできる限り水分を取り除いたほうがよい。金属化合物、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
【0034】
また、本発明の薄膜形成用原料は、製造される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが更に好ましい。
【0035】
本発明の薄膜製造方法により製造される酸化珪素系薄膜の種類の具体例としては、酸化珪素、酸化窒化珪素、珪素−ジルコニウム複合酸化物(ジルコニウムシリケート)、珪素−ハフニウム複合酸化物(ハフニウムシリケート)、珪素−ジルコニウム複合酸化窒化物(窒化ジルコニウムシリケート)、珪素−ハフニウム複合酸化窒化物(窒化ハフニウムシリケート)、珪素−ビスマス−チタニウム複合酸化物、珪素−ハフニウム−アルミニウム複合酸化物、珪素−ハフニウム−希土類元素複合酸化物等が挙げられる。これらの酸化珪素系薄膜は、絶縁膜、高誘電キャパシタ膜、ゲート絶縁膜、ゲート膜、強誘電キャパシタ膜、コンデンサ膜、バリア膜等の電子部品部材、光ファイバ、光導波路、光増幅器、光スイッチ等の光学ガラス部材等に有用である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0037】
[実施例1]トリス(エチルメチルアミノ)シランを用いた酸化珪素薄膜の製造
トリス(エチルメチルアミノ)シランを薄膜形成用原料として用い、図1に示す装置を用いて、下記条件及び工程により、シリコンウエハ上に酸化珪素薄膜を製造した。得られた薄膜について、膜厚の測定、及びSIMS測定による薄膜中の不純物である残留カーボン量の測定を行った。結果を表1に記載する。
(条件)
原料温度:60℃、圧力:666Pa、キャリアガス:Ar;100sccm、酸化性ガス:オゾン;0.5sccm、反応温度(基板温度):450℃
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、60サイクル繰り返した。
(1)珪素プレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(2)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)酸化性ガスを導入し、系圧力133Paで2秒間反応させる。
(4)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
【0038】
[比較例1]トリス(エチルメチルアミノ)シランを用いた酸化珪素薄膜の製造
トリス(エチルメチルアミノ)シランを薄膜形成用原料として用い、図1に示す装置を用いて、プレカーサ蒸気及び酸化性ガスの反応を一括で行なう通常のCVD法により、下記条件でシリコンウエハ上に薄膜を製造した。得られた酸化珪素薄膜について、上記実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に記載する。
(条件)
原料温度:60℃、圧力:666Pa、キャリアガス:Ar;100sccm、酸化性ガス:オゾン;0.5sccm、反応温度(基板温度):450℃、成膜時間:20分
【0039】
[比較例2]トリス(ジエチルアミノ)シランを用いた酸化珪素薄膜の製造
トリス(ジエチルアミノ)シランを薄膜形成用原料として用い、図1に示す装置を用いて、下記条件及び工程により、シリコンウエハ上に薄膜を製造した。得られた酸化珪素薄膜について、上記実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に記載する。
(条件)
原料温度:80℃、圧力:666Pa、キャリアガス:Ar;100sccm、酸化性ガス:オゾン;0.5sccm、反応温度(基板温度):450℃
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、60サイクル繰り返した。
(1)珪素プレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(2)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)酸化性ガスを導入し、系圧力133Paで2秒間反応させる。
(4)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
【0040】
【表1】

【0041】
表1から明らかなように、トリス(エチルメチルアミノ)シランを用いても、通常のCVD法では、得られる酸化珪素薄膜の残留カーボン量は多い(比較例1)。また、ALD法を採用しても、トリスジエチルアミノシランを用いたのでは、得られる酸化珪素薄膜の残留カーボン量を充分に低減することはできない(比較例2)。
これに対し、トリス(エチルメチルアミノ)シランを用いALD法により製造した酸化珪素薄膜は、残留カーボン量が少ない(実施例1)。
【0042】
[実施例2]トリス(エチルメチルアミノ)シラン及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウムを用いたジルコニウムシリケート薄膜の製造
薄膜形成用原料として、トリス(エチルメチルアミノ)シラン(珪素原料)及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(ジルコニウム原料)を用い、図2に示す装置を用いて、下記条件及び工程により、シリコンウエハ上にジルコニウムシリケート薄膜を製造した。得られた薄膜について、蛍光X線測定によるSi/Zrモル比測定、及びSIMS測定による薄膜中の不純物である残留カーボン量の測定を行った。結果を表2に記載する。
(条件)
原料温度:ジルコニウム原料;140℃、珪素原料;60℃、圧力:667Pa、キャリアガス:Ar;100sccm、酸化性ガス:オゾン;10sccm、反応温度(基板温度):450℃
(工程)
下記(1)〜(6)からなる一連の工程を1サイクルとして、60サイクル繰り返した。
(1)珪素プレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(2)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)ジルコニウムプレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(4)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(5)酸化性ガスを導入し、系圧力133Paで2秒間反応させる。
(6)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
【0043】
[比較例3]トリス(ジメチルアミノ)シラン及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウムを用いたジルコニウムシリケート薄膜の製造
薄膜形成用原料としてトリス(ジメチルアミノ)シラン(珪素原料)及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(ジルコニウム原料)を用い、図2に示す装置を用いて、下記条件及び工程により、シリコンウエハ上にジルコニウムシリケート薄膜を製造した。得られた薄膜について、実施例2と同様の測定を行った。結果を表2に記載する。
(条件)
原料温度:ジルコニウム原料;140℃、珪素原料;50℃、圧力:667Pa、キャリアガス:Ar;100sccm、酸化性ガス:オゾン;10sccm、反応温度(基板温度):450℃
(工程)
下記(1)〜(6)からなる一連の工程を1サイクルとして、60サイクル繰り返した。
(1)珪素プレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(2)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)ジルコニウムプレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(4)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(5)酸化性ガスを導入し、系圧力133Paで2秒間反応させる。
(6)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
【0044】
【表2】

【0045】
表2から明らかなように、トリス(ジメチルアミノ)シランを用いた場合、得られる薄膜中の珪素含有量が低く、薄膜の組成制御性に劣っており、しかも、得られる薄膜中の残留カーボン量が多い(比較例3)。これに対し、トリス(エチルメチルアミノ)シランを用いた場合、得られる薄膜中の珪素含有量が不足することがなく、薄膜の組成制御性が良好であり、しかも、得られる薄膜中の残留カーボン量も少ない(実施例2)。
【0046】
[実施例3]トリス(エチルメチルアミノ)シラン及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウムを用いた窒化ハフニウムシリケート薄膜の製造
薄膜形成用原料として、トリス(エチルメチルアミノ)シラン(珪素原料)及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(ハフニウム原料)を用い、図2に示す装置を用いて、下記条件及び工程により、シリコンウエハ上に窒化ハフニウムシリケート薄膜を製造した。得られた薄膜について、蛍光X線測定によるSi/Hfモル比測定、及びSIMS測定による薄膜中の不純物である残留カーボン量の測定を行った。結果を表3に記載する。
(条件)
原料温度:ハフニウム原料;140℃、珪素原料;60℃、圧力:667Pa、キャリアガス:Ar;100sccm、酸化性ガス:オゾン;10sccm、反応温度(基板温度):450℃
(工程)
下記(1)〜(6)からなる一連の工程を1サイクルとして、60サイクル繰り返し、ハフニウムシリケート薄膜を形成させた後、ウエハをプラズマ処理装置に移し、RF出力230W、500℃で窒素プラズマ処理を行った。
(1)珪素プレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(2)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)ハフニウムプレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(4)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(5)酸化性ガスを導入し、系圧力133Paで2秒間反応させる。
(6)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
【0047】
[比較例4]トリス(ジメチルアミノ)シラン及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウムを用いた窒化ハフニウムシリケート薄膜の製造
薄膜形成用原料として、トリス(ジメチルアミノ)シラン(珪素原料)及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(ハフニウム原料)を用い、図2に示す装置を用いて、下記条件及び工程により、シリコンウエハ上に窒化ハフニウムシリケート薄膜を製造した。得られた薄膜について、実施例3と同様の測定を行った。結果を表3に記載する。
(条件)
原料温度:ハフニウム原料;140℃、珪素原料;50℃、圧力:667Pa、キャリアガス:Ar;100sccm、酸化性ガス;オゾン;10sccm、反応温度(基板温度):450℃
(工程)
下記(1)〜(6)からなる一連の工程を1サイクルとして、60サイクル繰り返し、ハフニウムシリケート薄膜を形成させた後、ウエハをプラズマ処理装置に移し、RF出力230W、500℃で窒素プラズマ処理を行った。
(1)珪素プレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(2)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)ハフニウムプレカーサの蒸気を導入し、系圧力133Paで2秒間堆積させる。
(4)3秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(5)酸化性ガスを導入し、系圧力133Paで2秒間反応させる。
(6)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
【0048】
【表3】

【0049】
表3から明らかなように、トリス(ジメチルアミノ)シランを用いた場合、得られる薄膜中の珪素含有量が低く、薄膜の組成制御性に劣っており、しかも、得られる薄膜中の残留カーボン量が多い(比較例4)。これに対し、トリス(エチルメチルアミノ)シランを用いた場合、得られる薄膜中の珪素含有量が不足することがなく、薄膜の組成制御性が良好であり、しかも、得られる薄膜中の残留カーボン量も少ない(実施例3)。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の薄膜製造方法に用いられるALD装置の一例を示す概要図である。
【図2】図2は、本発明の薄膜製造方法に用いられるALD装置の他の一例を示す概要図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリス(エチルメチルアミノ)シランを含有してなる薄膜形成用原料を気化させて得たトリス(エチルメチルアミノ)シランを含有する蒸気を系内の基体上に導入し、該基体上に珪素含有薄膜層を形成した後、系内のガスを排気してから該系内に酸化性ガスを導入し、該珪素含有薄膜層に該酸化性ガス及び熱を作用させて、先に形成した珪素含有薄膜から酸化珪素系薄膜を製造する薄膜製造方法。
【請求項2】
上記酸化珪素系薄膜が、ハフニウム又はジルコニウムを含有する薄膜である請求項1に記載の薄膜製造方法。
【請求項3】
トリス(エチルメチルアミノ)シランを含有してなる薄膜形成用原料及びテトラキス(ジアルキルアミノ)ハフニウムを含有してなる薄膜形成用原料を気化させて得たトリス(エチルメチルアミノ)シラン及びテトラキス(ジアルキルアミノ)ハフニウムを含有する蒸気を系内の基体上に導入し、基体上に珪素及びハフニウムを含有する薄膜層を形成した後、系内を排気してから酸化性ガスを導入し、該薄膜層に該酸化性ガス及び熱を作用させて、先に形成した珪素及びハフニウムを含有する薄膜層からハフニウムを含有する酸化珪素系薄膜を製造する請求項2記載の薄膜製造方法。
【請求項4】
トリス(エチルメチルアミノ)シランを含有してなる薄膜形成用原料及びテトラキス(ジアルキルアミノ)ジルコニウムを含有してなる薄膜形成用原料を気化させて得たトリス(エチルメチルアミノ)シラン及びテトラキス(ジアルキルアミノ)ジルコニウムを含有する蒸気を系内の基体上に導入し、基体上に珪素及びジルコニウムを含有する薄膜層を形成した後、系内を排気してから酸化性ガスを導入し、該薄膜層に該酸化性ガス及び熱を作用させて、先に形成した珪素及びジルコニウムを含有する薄膜層からジルコニウムを含有する酸化珪素系薄膜を製造する請求項2記載の薄膜製造方法。
【請求項5】
上記酸化性ガスが、オゾンを含むガスである請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜製造方法。
【請求項6】
上記珪素含有薄膜層を基体上に形成するときに、上記基体又は上記系内を50℃〜500℃に加熱する請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜製造方法。
【請求項7】
上記珪素含有薄膜層に作用させる上記熱の温度が、100℃〜500℃である請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜製造方法により製造された酸化珪素系薄膜。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜製造方法に使用するトリス(エチルメチルアミノ)シランを含有してなる薄膜形成用原料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−316316(P2006−316316A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139758(P2005−139758)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】