説明

酸化窒素による美容治療、前記治療を実施する装置、及びその製造方法

【解決課題】 暦年齢、環境要因、乾癬、皮膚炎、ざ瘡、セルライトのような皮膚の生理的機能の変化、並びにウイルス及び/又は細菌攻撃により引き起こされる美容上の障害の美容治療を可能にする、美容治療の方法及びその装置が提供される。
【解決手段】装置は、美容治療を受ける領域に接触するように配置された酸化窒素(NO)溶出ポリマーを、酸化窒素の美容用量が前記酸化窒素溶出ポリマーから前記領域に溶出するように含む。酸化窒素(NO)溶出ポリマーは担体材料と一体化し、これにより、前記担体材料が使用時に酸化窒素(NO)の前記美容用量の溶出を調節及び制御する。更に、前記装置の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に酸化窒素(NO)の使用を伴う美容治療の分野に関する。より詳細には、本発明は、美容目的での酸化窒素(NO)の使用を伴う、前記治療を実施する装置及び前記装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の社会において、ヒトの生理的な外観を改善する製品に対する需要が増えている。
【0003】
暦年齢、環境要因、皮膚の生理的機能の変化、乾癬、皮膚炎、セルライト、ウイルス及び/又は細菌攻撃は、ヒトの外観に美容上望ましくない方法で影響を与える幾つかの要因である。
【0004】
上記で記述した変質の多くは、皮膚の外側の表皮層における変化により引き起こされ、一方、他は、真皮の下層部分での変化により引き起こされる。例えば、暦年齢及び太陽放射線のような環境要因への長時間の暴露は、真皮が構造的及び機能的変化を受けるような方法で真皮に影響を与え、その結果、弾力性の喪失、しわの形成、水分保持能力の喪失、脂肪の不均一な分布、セルライト及びたるみのような加齢した皮膚の特徴の多くをもたらす。
【0005】
これらの要因に共通した一つのことは、これらが、影響を受けた組織における血液灌流の喪失により得られることである。
【0006】
ウイルス及び細菌攻撃も、損傷を受けた美容的外観をもたらすことができる。そのようなウイルス又は細菌攻撃の例は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトヘルペスウイルス6型(exanthum subitum及びroseola infantum)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV−8)のようなヘルペス、おそらくHHV−8により生じたカポジ肉腫、ウイルスにより引き起こされたverruca vulgaris、verruca planae、verruca seborroica、糸状いぼ、モザイクいぼなどのような尖形コンジローマ又はいぼ、及びポックスウイルスにより生じた軟体物である。そのような攻撃は、多く場合、瘢痕のような美容的に許容されない皮膚の欠陥をもたらす。
【0007】
invers psoriasis、psoriasis guttata、psoriasis pustulosaなどのような乾癬は、Streptococcusの感染の結果として表れうる皮膚の炎症反応である。この障害は自然治癒性の障害ではなく、乾癬に罹患している人が、この障害が彼/彼女の外観を醜くするか、又は望ましくない方法で影響を与えていると感じると、治療を受けなければならない。乾癬の治療は、副腎皮質ステロイドのような抗炎症性物質に限定されている。この種類の治療は、多くの場合、皮膚萎縮、毛細血管拡張、脈理、多毛、しゅさ及び皮膚炎のような副作用を伴う。
【0008】
皮膚炎は、人を醜くするか、又は人の外観に悪影響を与えうる別の皮膚障害である。
【0009】
暦年齢、環境要因、皮膚の生理的機能の変化に関する従来の技術には、ヒドロキシ酸、レチノイド、バリアー破壊剤、テープストリッピング、溶媒抽出などのような多数の生理学的、化学的及び機械的な方法が含まれる。これらの方法は、皮膚の刺激、皮膚毒性、高濃度の高価な成分の必要性、皮膚の最適pH値に適合しないpH値、特定の化合物又は組成物が毒性であるかどうかを確立するための長く煩わしい試験などのような多様な欠点を示す。更に、従来技術の美容法の大部分は皮膚損傷の発生を誘導し、それは一連の修復機構をもたらす。したがって、皮膚が刺激を受けたままでいる数週間又は数か月のような期間が存在し、その後、耐性が始まり、刺激は減少する。
【0010】
現時点まで、暦年齢のような生理学的要因、環境要因、乾癬、皮膚炎、セルライトなどのような皮膚の生理的機能と、ウイルス及び細菌攻撃との両方から由来する美容的に望ましくない障害を同時に治療及び予防する能力を有する方法、組成物、化合物などは存在しない。
【0011】
酸化窒素(NO)は、多くの細胞機能に関わる反応性の高い分子である。事実、酸化窒素は、免疫系において重要な役割を果たし、マクロファージにより、真菌、ウイルス、細菌などのような多数の病原体、及び一般的な微生物の侵入に対して自らを保護するためにエフェクター分子として利用される。この治癒の改善は、部分的に、血小板の活性化又は凝集を阻害するNOにより引き起こされ、また、移植片の部位で炎症過程の低減を起こすNOにより引き起こされる。
【0012】
NOは、抗病原性、特に抗ウイルス効果を有することも知られており、更にNOは、適切な濃度で細胞毒性及び細胞増殖抑制性であるように、抗癌効果を有し、すなわち幾つかある効果のうちで特に腫瘍破壊性及び殺菌性効果を有する。NOは、例えば、白血病又はリンパ腫の患者からのヒトの血液学的に悪性な細胞に細胞毒性効果を有し、それによって、NOを、細胞が従来の抗癌薬に耐性を持つようになっても、そのような血液疾患を治療する化学療法剤として使用することができる。NOのこの抗病原性及び抗腫瘍性効果を、本発明は、副作用を有することなく美容目的に利用する。
【0013】
しかし、NOの短い半減期のために、ウイルス性、細菌、ウイルス、真菌又は酵母菌感染をNOで治療することは今まで非常に困難であった。これは、NOは実際には高濃度で毒性であり、多すぎる量で体に適用される場合には悪影響を有するからである。
【0014】
またNOは、実際には血管拡張剤であり、多すぎる量のNOは、例えば、循環系の完全な崩壊を引き起こす。一方、NOは、いったん放出されると、ほんの一瞬から数秒までの非常に短い半減期を有する。したがって、NOの短い半減期及び毒性に起因する投与制限は、今までは、抗病原体及び抗腫瘍治療の分野でのNOの使用における制限要因であった。
【0015】
最近になって、研究は、水と接触すると酸化窒素を放出する能力を有するポリマーに向けられている。そのようなポリマーは、例えば、L−PEI(線状ポリエチレンイミン)及びB−PEI(分岐状ポリエチレンイミン)のようなポリアルキレンイミンであり、これらのポリマーは、酸化窒素を放出した後、天然生成物と生体適合性であるという利点を有する。
【0016】
NO溶出ポリマーの他の例は、米国特許第5,770,645号で提示され、ここで、ポリマーの1200原子量単位あたり少なくとも1つのNOX基で誘導体化されているポリマーが開示されており、Xは1又は2である。一つの例はS−ニトロシル化ポリマーであり、ポリチオール化ポリマーをニトロシル化剤と、遊離チオール基をニトロシル化するのに適切な条件下で反応させて調製される。
【0017】
アクロン大学は、移植片のような体内に永久に移植される医療装置の表面にナノ紡糸できるNO溶出L−PEI分子を開発し、そのような装置を移植する場合に治癒過程の有意な改善及び炎症の低減を示した。米国特許第6,737,447号によると、医療装置用の被覆は、線状ポリ(エチレンイミン)−ジアゼニウムジオレートのナノ繊維を使用した酸化窒素送達を提供する。線状ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレートは、組織及び臓器に制御された方法で酸化窒素(NO)を放出して、治癒過程を助け、かつ傷害の危険性のある組織が傷害を受けることを予防する。
【0018】
しかし、米国特許第6,737,447号の文脈における「制御された」の意味は、酸化窒素が時間をかけて被覆から溶出するという事実のみに対して向けられている。したがって、米国特許第6,737,447号に関する「制御された」の解釈は、本発明の「調節している」の意味と異なる。本発明による「調節する」は、酸化窒素の溶出を変え、それによって異なる溶出特性を達成する可能性として解釈されることを意図している。
【0019】
線状ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレートのナノ繊維の電界紡糸は、医療装置の周囲にある組織に美容目的でNOの治療レベルを送達し、同時に、装置の特性の変質を最小限にする。ナノ繊維が小型で質量単位あたりの表面積が大きいので、ナノ繊維被覆は、質量単位あたり相当に大きい表面積をもたらし、同時に、装置の他の特性の変化を最小限にする。
【0020】
しかし、この開示は、NOの使用による、生理学的要因、乾癬及び皮膚炎のような障害、並びにウイルス及び/又は細菌攻撃の美容治療に関する本発明の技術の改善に関して両方とも記載していない。
【0021】
したがって、美容上の障害の治療及び/又は予防にための、改善され、より有益な方法及び装置が望まれている。これらの美容上の障害は、暦年齢、環境要因、皮膚の生理的機能の変化、乾癬、皮膚炎、セルライト、ウイルス及び/又は細菌攻撃により引き起こされる美容上の障害を含む。方法及び装置が、活性医薬物質に対して耐性を発生しないことが望ましく、好ましくは美容治療の間は、局所皮膚刺激又は接触アレルギー反応、皮膚毒性、高濃度の高価な成分の必要性、皮膚の最適pH値に適合しないpH値、特定の化合物又は組成物が毒性であるかどうかを確立するための長く煩わしい試験、皮膚萎縮、毛細血管拡張、脈理、多毛、しゅさ、皮膚炎などを起こさないか又は最小限にしか起こさないことが有益であり、特に、外観の目標改善を可能にする方法及び装置が有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって本発明は、好ましくは、添付の特許請求の範囲に従って有益な美容治療、前記美容治療用の装置、後者の製造方法及び酸化窒素の使用を提供することによって、当該技術分野での上記で確認された1つ以上の欠陥及び単一の欠点又はそれらのあらゆる組み合わせを緩和、軽減又は除去し、とりわけ、上記で記述された問題を解決することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一つの態様によると、暦年齢、環境要因、乾癬、皮膚炎、セルライトのような皮膚の生理的機能の変化、並びにウイルス及び/又は細菌攻撃、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトヘルペスウイルス6型(exanthum subitum及びroseola infantum)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV−8)のようなヘルペス、おそらくHHV−8により生じたカポジ肉腫、ウイルスにより引き起こされたverruca vulgaris、verruca planae、verruca seborroica、糸状いぼ、モザイクいぼなどのようないぼ、及びポックスウイルスにより生じた軟体物によりひき起こされる美容上の障害の標的治療を可能にする美容治療が提供される。美容方法は、治療領域に接触するように配置された酸化窒素(NO)溶出ポリマーを、酸化窒素の美容用量が前記酸化窒素溶出ポリマーから前記領域に溶出するように適用することを含む。
【0024】
本発明の別の態様によると、暦年齢、環境要因、乾癬、皮膚炎、セルライトのような皮膚の生理的機能の変化、並びにウイルス及び/又は細菌攻撃、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトヘルペスウイルス6型(exanthum subitum及びroseola infantum)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV−8)のようなヘルペス、おそらくHHV−8により生じたカポジ肉腫、ウイルスにより引き起こされたverruca vulgaris、verruca planae、verruca seborroica、糸状いぼ、モザイクいぼなどのようないぼ、及びポックスウイルスにより生じた軟体物によりひき起こされる美容上の障害の標的治療を可能にする装置が提供される。装置は、治療領域に接触するように配置された酸化窒素(NO)溶出ポリマーを、酸化窒素の美容用量が前記酸化窒素溶出ポリマーから前記領域に溶出するように含む。
【0025】
本発明の別の態様によると、そのような美容治療装置の製造方法が提供され、その方法は、暦年齢、環境要因、乾癬、皮膚炎、セルライトのような皮膚の生理的機能の変化、並びにウイルス及び/又は細菌攻撃、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトヘルペスウイルス6型(exanthum subitum及びroseola infantum)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV−8)のようなヘルペス、おそらくHHV−8により生じたカポジ肉腫、ウイルスにより引き起こされたverruca vulgaris、verruca planae、verruca seborroica、糸状いぼ、モザイクいぼなどのようないぼ、及びポックスウイルスにより生じた軟体物によりひき起こされる美容上の障害の標的治療を可能にする装置を形成する方法である。その方法は、ナノ繊維、繊維、ナノ粒子又は微小球のような複数個の酸化窒素溶出ポリマー粒子を選択すること、及び前記酸化窒素溶出粒子を、前記装置に含まれるサック/シース又はテープ/コーティングに展開することを含む。あるいは、NO溶出粒子は、軟膏、クリーム、ゲル又は泡と混合される。
【0026】
本発明は、美容治療を受ける領域のNOへの標的暴露を提供し、それによって血液灌流及び血管拡張が増加し、それによって栄養素の供給が増加し、同時に抗ウイルス及び抗菌作用が達成されることで、少なくとも従来技術に対して利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明が可能なこれら及び他の態様、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施態様の記載により明らかになり解明される。
以下の記載は、例えば、暦年齢、環境要因、ざ瘡、乾癬、皮膚炎、セルライトのような皮膚の生理的機能の変化、ウイルス及び/又は細菌攻撃、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトヘルペスウイルス6型(exanthum subitum及びroseola infantum)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV−8)のようなヘルペス、おそらくHHV−8により生じたカポジ肉腫、ウイルスにより引き起こされたverruca vulgaris、verruca planae、verruca seborroica、糸状いぼ、モザイクいぼなどのようないぼ、及びポックスウイルスにより生じた軟体物によりひき起こされる美容上の障害の標的治療を可能にする装置に適用可能な本発明の実施態様に焦点を当てる。
【0028】
酸化窒素(一酸化窒素、NO)に関して、その生理学的及び薬学的役割は、大きな注目を集め、したがって研究されてきた。NOは、基剤としてアルギニンから酸化窒素シンターゼ(NOS)により合成される。NOSは、正常な状態の生体でも存在する構成酵素cNOSと、特定の刺激に対して大量に産生する誘導酵素iNOSに分類される。cNOSにより産生されるNOの濃度と比較すると、iNOSにより産生されるNOの濃度は2〜3オーダー高く、iNOSは、極めて大量のNOを産生することが知られている。
【0029】
iNOSによる産生の場合のように、大量のNOの生成の場合では、NOが活性酸素と反応して、外来性微生物及び癌細胞を攻撃するが、炎症及び組織傷害も引き起こすことが知られている。一方、cNOSによる産生の場合のように、少量のNOの生成の場合では、NOは、血管拡張作用、血液循環の改善、抗血小板凝集作用、抗菌作用、抗癌作用、消化管での吸収の促進、腎機能調節、神経伝達作用、勃起(生殖)、学習、食欲などのような、環状GMP(cGMP)を介して生体に多様な保護作用を行う。今まで、NOSの酵素活性のインヒビターは、生体で大量に生成されるNOに起因すると考えられる炎症及び組織傷害を防止する目的で調べられている。しかし、NOS(特にcNOS)の酵素活性(又は発現量)の促進は、NOSの酵素活性を促進し、かつNOを適切に産生することによって生体で多様な保護作用を示す目的では調べられていない。
【0030】
最近になって、研究は、水と接触すると酸化窒素を放出する能力を有するポリマーに向けられている。そのようなポリマーは、例えば、L−PEI(線状ポリエチレンイミン)及びB−PEI(分岐状ポリエチレンイミン)のようなポリアルキレンイミンであり、これらのポリマーは、生体適合性であるという利点を有する。別の利点は、NOが、望ましくない副作用をもたらしうるあらゆる二次生成物なしに放出されるということである。NOは、副産物又は分解生成物なしに放出される。
【0031】
本発明のポリマーは、電界紡糸、空気紡糸、ガス紡糸、湿潤紡糸、乾燥紡糸、溶融紡糸又はゲル紡糸により製造することができる。電界紡糸は、浮遊ポリマーが電荷される方法である。特性電圧で、ポリマーの微細噴流が、印加電界と噴流により担時される電荷との相互作用により生成される引張力に反応して、表面から放出される。この方法は、ナノ繊維のようなポリマー繊維の束を生成する。このポリマー繊維の噴流を、処理される表面に向けることができる。
【0032】
更に、米国特許第6,382,526号、同第6,520,425号及び同第6,695,992号は、そのようなポリマー繊維の製造方法及び機器を開示する。これらの技術は、一般に、繊維を形成することができる液体及び/又は溶液の、繊維形成産業で空気紡糸としても知られているガス流紡糸に基づいている。
【0033】
NO溶出ポリマーの他の例は、米国特許第5,770,645号で提示され、ここで、ポリマーの1200原子量単位あたり少なくとも1つのNOX基で誘導体化されているポリマーが開示されており、Xは1又は2である。一つの例はS−ニトロシル化ポリマーであり、ポリチオール化ポリマーをニトロシル化剤と、遊離チオール基をニトロシル化するのに適切な条件下で反応させて調製される。
【0034】
アクロン大学は、移植片のような永久に移植される医療装置の表面にナノ紡糸できるNO溶出L−PEI分子を開発し、そのような装置を移植する場合に治癒過程の有意な改善及び炎症の低減を示した。米国特許第6,737,447号によると、医療装置用の被覆は、線状ポリ(エチレンイミン)−ジアゼニウムジオレートのナノ繊維を使用した酸化窒素送達を提供する。線状ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレートは、酸化窒素(NO)を制御された方法で放出する。
【0035】
しかし、米国特許第6,737,447号の文脈における「制御された」の意味は、酸化窒素が時間をかけて被覆から溶出する、すなわち、酸化窒素が一度に溶出しないという事実のみに対して向けられている。したがって、米国特許第6,737,447号に関する「制御された」の解釈は、本発明の「調節している」の意味と異なる。本発明による「調節する又は制御する」は、酸化窒素の溶出を変え、それによって異なる溶出特性を達成する可能性として解釈されることを意図している。
【0036】
O−ニトロシル化基を含むポリマーも、可能な酸化窒素溶出ポリマーである。したがって、本発明の一つの実施態様において、酸化窒素溶出ポリマーは、ジアゼニウムジオレート基、S−ニトロシル化基及びO−ニトロシル化基又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0037】
本発明のなお別の実施態様において、前記酸化窒素溶出ポリマーは、L−PEI−NO(線状ポリ(エチレンイミン)ジアゼニウムジオレート)のようなポリ(アルキレンイミン)ジアゼニウムジオレート)であり、ここで前記酸化窒素溶出ポリマーは、ジアゼニウムジオレート基を介して酸化窒素が装填されており、かつ治療部位で酸化窒素を放出するように配置されている。
【0038】
適切な酸化窒素溶出ポリマーの幾つかの他の例は、ミノセルロース、アミノデキストラン、キトサン、アミノ化キトサン、ポリエチレンイミン、PEI−セルロース、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリウレタン、ポリ(ブタンジオールスペルメート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリペプチド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)及びポリジメチルシロキサン、又はこれらの任意の組み合わせからなる群より選択され、記載のポリマーは、多糖主鎖又はセルロース主鎖のような不活性主鎖にグラフトされている。
【0039】
本発明のさらに別の実施態様において、酸化窒素溶出ポリマーは、O−誘導体化NONOateであることができる。この種類のポリマーには、多くの場合、酸化窒素を放出するために酵素反応が必要である。
【0040】
酸化窒素溶出ポリマーとして適切でありうるポリマーを記載する他の方法は、L−PEIのような第二級アミン基(=N−H)を含むポリマー、又はアミノセルロースのような第二級アミン(=N−H)を側鎖として有するポリマーである。
【0041】
一つの実施態様において、装置は、NO溶出ポリマーの繊維、ナノ粒子又は微小球の形態であり、繊維、ナノ粒子又は微小球は、ゲル、クリーム又は泡と一体化しており、スメア構造又は圧縮構造のいずれかであることができる。
【0042】
なお別の実施態様において、粉末、ナノ粒子又は微小球のような酸化窒素溶出ポリマーを泡に組み込むことができる。泡は、プロトン供与体の、酸化窒素溶出ポリマーへの輸送を促進する連続気泡構造を有することができる。泡は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿、ポリオレフィン及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせのようなあらゆる適切なポリマーであることができる。
【0043】
別の実施態様において、装置は、クリーム、ゲル又はこの2つの組み合わせの形態である。酸化窒素溶出ポリマーはプロトン供与体により活性化されるので、酸化窒素溶出ポリマーは、酸化窒素の溶出を始めたいときまで、すなわち装置を使用するまで、プロトン供与体から離しておかなければならない。このことを達成する一つの方法は、2個の別々の容器を有するシリンジを有することである。容器のうちの一方は、プロトン供与体に基づくゲルを含有し、他方の容器は、酸化窒素溶出ポリマーを含む非プロトン供与体に基づくゲルを含有する。シリンジ様装置を使用すると、2つのゲルがシリンジから絞り出されて一緒に混合され、ここで第1のゲル中のプロトン供与体が、第2のゲル中の酸化窒素溶出ポリマーと接触し、酸化窒素の溶出が始まる。これは、2つの成分が美容治療部位への投与によって内蔵型単位から都合よく混合されることを意味する。
【0044】
これらの繊維、ナノ粒子又は微小球を、本発明に含まれるNO溶出ポリマー、例えば、L−PEI(線状ポリエチレンイミン)及びB−PEI(分岐ポリエチレンイミン)のようなポリアルキレンイミンから形成することができ、これらのポリマーは、酸化窒素を放出した後、生体適合性であるという利点を有する。これらを、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせのようなあらゆる適切な担体材料に封入することもできる。
【0045】
本発明の文脈において、用語「封入する」は、泡、フィルム、ナノ繊維又は繊維の不織マット、NO溶出ポリマーを固定する能力のある他の材料のような三次元マトリックスに酸化窒素溶出ポリマーを固定する、又は窒素溶出ポリマーをあらゆる適切な材料で包むと解釈されることが意図される。
【0046】
一つの実施態様によると、装置は、NOを皮膚又は唇に特に容易に適用できる口紅様装置の形態である。あるいは、ゲル、クリーム又は泡は、体への容易な適用のために皮膚用軟膏、クリーム又はローションの形態、例えば、容易な適用のためにスプレーボトル又はチューブの形態である。
【0047】
本発明の装置は、顔、首、肩、手、腕、背中、胸、腹、臀部、大腿、生殖器、下肢及び/又は足のような美容的外観の改善が必要な体の任意の部分のような、治療を受ける領域に適用される。ヘルペス、ざ瘡、しわ、たるみ、弾力性の喪失、水分保持能力の喪失、脂肪の不均一な分布により引き起こされるか又はそれらに関連する美容上の欠陥の治療では顔、及びセルライトの治療では大腿のように、人体の幾つかの場所が大多数の人々にとって特に関心がある。これらの顔の部分が一般的に人々の最も大きな関心を集めているが、本発明は、これらにいかようにも限定されるものではない。
【0048】
本発明のゲル、クリーム又は泡が適用されると、NOの溶出は、水のようなプロトン供与をあらゆる可能な方法により添加することによって開始される。これは、例えば、水浸漬パッチを前記ゲル、ゲル、クリーム若しくは泡に適用するか、或いは前記ゲル、クリーム若しくは泡を水により噴霧するか又はそれらを水に浸すことによって達成することができる。
【0049】
NO溶出ポリマーが治療を受ける領域にNOを溶出すると、血液灌流及び血管拡張が増加し、それによって目的の組織への栄養素の供給の増加が達成されることにより、美容効果が得られる。増加した血液灌流及び血管拡張は、本発明の別の実施態様では、他のスキンケア製品と組み合わせたときに改善された効果をもたらす。したがって、この相乗効果は本発明の範囲内である。
【0050】
繊維、ナノ粒子、又は微小球は、ヒドロゲルと一体化することもでき、使用前に直接混合する。
【0051】
この実施態様は、治療を受ける領域におけるNOのより近接な溶出のため、皮膚の嚢状空洞及び隅に浸透できるという利点を有する。
【0052】
別の実施態様において、図1A及び1Bによると、本発明の装置は、ラテックス又はゴムのサック/シースの形態であり、前記サック/シースは、L−PEI(線状ポリエチレンイミン)及びB−PEI(分岐ポリエチレンイミン)のようなポリアルキレンイミンのような上記のNO溶出ポリマーのいずれかのナノフィラメントで覆われており、これらのポリマーは、酸化窒素を放出した後、生体適合性であるという利点を有する。図1Aは、そのようなサック/シースの巻き込み形態10を示し、巻き付け形態11で例示的な足指に装着する。図1Bは、そのようなサック/シースの巻き込み形態14を示し、巻き付け形態15で例示的な指に装着する。持続性サックは、例えば、サック/シースの巻き込み形態10、14が、サック/シースが使用前に包装されているパッケージにNO放出要因、例えば水分が最終的に入り込むとしても、NO放出材料を安全に包むので、保存及び輸送の間、使用が意図される前の望ましくないNO放出に対して保護を提供するという利点を有する。
【0053】
本発明の別の実施態様において、サック/シースは、内側がL−PEIのナノフィラメントで被覆されている。
【0054】
このサック/シースは、前記サック/シースを治療を受ける大腿、腕、首、頭、足などを覆って巻き付けるのに適切なサイズのような、あらゆる適切なサイズであることができる。これらのサイズは、例えば、人口における人の異なる体の部分の異なるサイズによって小型、中型、及び大型サイズのサック/シースに変わることができる。サック/シースは、美容治療を得ることができるように、図2Cで示されているようなソックス24若しくは足用サック/シースのような足を覆うのに適切大きさを有することもできるか、又は、体の他の特定の部分を覆うのに適切大きさを有することもできる。一つの実施態様によると、サック/シースは、NO溶出ナノ繊維で被覆されている。別の実施態様によると、サック/シースは、例えば電界又はガス噴流紡糸により作製されるナノフィラメント製であるか又はそれを含む。更なる実施態様によると、サック/シースは、使用時にNOを溶出する微小球を含む。好ましくは上記の3つの実施態様は、NOが装填されたL−PEI材料を用いる。NO放出の活性化は、足の汗、使用直前にサック/シースに噴霧された水、又は活性化により、例えばバックへの押し付け、したがって破裂により水を放出するように構成された水バッグにより達成することができる(下記を参照すること)。
【0055】
特定の実施態様のNO溶出サック/シースが分泌された汗の形態で水分により処理されるか又は水分と接触すると、NO溶出サック/シースは、治療を受ける領域にNOを放出し始める。あるいは、装置は、NO放出を制御又は活性化するために、適用又は使用の直前にプロトン供与体により湿気を与えられるか又は湿潤される。
【0056】
別の実施態様において、サック/シースは、上記のように内側がNO溶出ナノ粒子又は微小球により覆われる。
【0057】
この実施態様のナノ粒子又は微小球が汗の形態の分泌水分とサック/シースの内部で接触したとき、これらは治療を受ける領域にNOを溶出し始める。
【0058】
なお別の実施態様において、サック/シースは、小型のプロトン供与体バッグ又は密閉プロトン供与体スポンジを含有する。このプロトン供与体バッグ又は密閉プロトン供与体スポンジを使用して、NO溶融ナノ粒子又は微小球からのNOの溶出を活性化する。プロトン供与体バッグ又は密閉プロトン供与体スポンジを、本発明のサック/シースの先端に配置することができる。容易に汗をかかない人には、この実施態様の使用が役立つ場合がある。
【0059】
本発明の別の実施態様において、酸化窒素溶出ポリマーは、マイクロカプセル化プロトン供与体と共に及び/又は組み合わされて提供される。
【0060】
これは、例えば、最初に、水又は水含有液体のようなプロトン供与体を含有するマイクロカプセルを最新技術で製造することによって実施される。これらのマイクロカプセルを次にNO溶出ポリマーに適用する。マイクロカプセルの、NO溶出ポリマーへの適用は、例えば、パターン糊付けのような糊付けにより、又は代わりにNO溶出ポリマーを前記マイクロカプセルの上に紡糸することにより、実施することができる。このようにして、NO溶出ポリマー及びマイクロカプセル化プロトン供与体を含む装置又はシステムが製造される。装置又はシステムが標的領域に適用されると、装置又はシステムは、圧縮又は圧搾される。前記圧縮又は圧搾は、マイクロカプセルの破壊をもたらす。したがって、NO溶出ポリマーがプロトン供与体に暴露され、NO溶出ポリマーからのNO溶出が標的領域で開始される。本発明の別の実施態様において、マイクロカプセルの中のプロトン供与体は、マイクロカプセルが破裂するまでマイクロカプセルを加熱するか又は剪断することにより放出される。
【0061】
なお別の実施態様において、マイクロカプセルはフィルム、テープ又はシースに形成される。その後、NO溶出ポリマーのフィルム、テープ又はシースが、マイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースの上に糊付けされる。好ましくは、NO溶出ポリマーのフィルム、テープ又はシースは、マイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースの上にパターン化された方法で糊付けされる。得られたパターンは、糊のない場所を含み、マイクロカプセルが圧縮又は圧搾により破壊されると、糊のない場所において、プロトン供与体がNO溶出ポリマーへ輸送される。プロトン供与体がNO溶出ポリマーと接触すると、NOの溶出が始まる。したがって、マイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースと、NO溶出ポリマーとの組み合わせを、標的領域に適用することができる。その後、この組み合わせが圧縮又は圧搾され、その結果、標的領域がNO暴露される。
【0062】
なお別の実施態様において、NO溶出ポリマーは、プロトン供与体を含有するマイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースの上に直接紡糸される。マイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースと、紡糸されたNO溶出ポリマーとの組み合わせを、標的領域に適用することができる。その後、この組み合わせが圧縮又は圧搾され、その結果、標的領域がNO暴露される。
【0063】
本発明のなお別の実施態様において、装置又はシステムには、活性化インジケータが提供される。この活性化インジケータは、マイクロカプセルが十分に破壊されたとき、したがって、NO溶出ポリマーが、NOの有効量を溶出するのに十分なプロトン供与体に付されたときを示す。この活性化インジケータは、例えば、マイクロカプセルの中に閉じ込められているプロトン供与体を着色することによって得ることができる。マイクロカプセルが破壊されたとき、着色プロトン供与体は、マイクロカプセルから流出し、色により可視化され、同時にNO溶出ポリマーを効果的に湿潤する。活性化インジケータを得る別の方法は、材料中でマイクロカプセルを製造することを選択すること、又はマイクロカプセルが壊れたときに音を出すように前記マイクロカプセルの壁厚を選択することである。マイクロカプセルに含有されるプロトン供与体の中に芳香剤を混合することも可能である。この結果、装置又はシステムの使用者は、プロトン供与体がマイクロカプセルからその破壊の後で流出したとき、芳香を嗅ぐことができる。
【0064】
別の実施態様において、水と接触すると色を変える物質を、本発明の装置の実施態様に組み込むことができる。したがって、水カプセル又は水バッグが壊れると、材料が色を変え、それによって材料が活性化したことを示す。これは、そのような装置の使用可能な期間を延ばすために、続いて起こる美容治療装置の異なる領域の活性化も含むこともできる。
【0065】
本発明の別の実施態様において、装置又はシステムは、標的NO溶出を一方向にのみ向けることを可能にする。この種類の実施態様において、本発明の装置の一面は、酸化窒素に対して低い透過性を有するか又は透過性を有さない。これは、本発明の装置の一面にNOに透過性のない材料を適用することによって達成することができる。そのような材料は、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせのような一般的なプラスチックを含む群から選択することができる。この実施態様は、NO溶出ポリマー、例えば、L−PEI(又は酸化窒素溶出ポリマー及び下記でより詳細に説明される担体材料)が、本発明の、例えば記述されたプラスチック、ラテックス又は綿の装置の表面に電界又はガス噴流紡糸することができるので、製造することも容易である。
【0066】
さらに別の実施態様において、装置には、装置の第1の側面に酸化窒素に透過性の1つの膜、及び前記装置の第2の側面に酸化窒素に対して低い透過性を有するか又は透過性を実質的に有さない別の膜が提供される。この実施態様は、溶出を装置の前記第1の側面に向かわせ、同時に酸化窒素の溶出が前記第2の側面で実質的に妨げられている可能性を提供する。したがって、より多い量の酸化窒素が、治療が意図されている領域に到達し、装置をより効果的にする。
【0067】
酸化窒素溶出ポリマーの活性化は、前記ポリマーを適切なプロトン供与体と接触させることによって達成することができる。一つの実施態様において、プロトン供与体は、水、体液(血液、リンパ液、胆汁など)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、フェノール、ナフトール、ポリオールなど)、水性酸性緩衝剤(ホスフェート、スクシネート、カーボネート、アセテート、ホルメート、プロピオネート、ブチレート、脂肪酸及びアミノ酸など)又はこれらの任意の組み合わせを含む群より選択することができる。
【0068】
界面活性剤をプロトン供与体に添加することによって、装置の湿潤を促進することができる。界面活性剤は、表面張力を低下させ、活性化流体が装置の全体を通して容易に輸送される。
【0069】
装置のさらに別の実施態様において、前記装置を、ポルウレタン又はポリエチレンの、図2A又は2Bのテープ22又はコーティング20の形態に製造することができる。このポリウレタンテープ又はコーティングを、美容治療を受ける領域に、容易に巻き付ける又は適用することができる。少なくとも体の部分に面している側面は、NO溶出ナノ粒子若しくは微小球、又はNO溶出L−PEIのナノフィラメントで覆われている。これらの粒子又はフィラメントが汗の形態の水分とテープ又はコーティングの内側で接触すると、NOの溶出が始まる。外側のテープ又はコーティングが気密層を有する場合、放出されたNOによる標的向け治療が実現可能である。
【0070】
特定の実施態様では、気体透過性層を美容治療領域に向けて提供することができる。この気体透過性層は、更に、Gore-Tex(登録商標)又は同様の材料で作製されたもののように、液体透過性であるこができる。この方法で、標的領域を、最終的に使用されるNO放出活性化液に対して乾燥を保ち、美容装置の使用者にさらなる快適さを提供する。
【0071】
本発明の別の実施態様において、前記装置は、図3のパッチ/パッド30の形態であり、このパッチ/パッドは、美容治療を受ける顔、腕、手、大腿、背中、腹、首、又は本発明のサック/シースで覆うことが難しい他の領域に適用するのに適している。このパッチ/パッド30は、皮膚に付着する材料のような、あらゆる適切な付着方法により貼り付けられる。
【0072】
当然のことながら、本発明の別の実施態様において、パッチ/パッド又はテープ/コーティングを、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせのような他のあらゆる適切な材料により製造することができる。NO溶出ポリマーを、本発明の実施態様の全てにおけるこれらの材料のいずれかと一体化すること、それと一緒に紡糸すること、又はその上に紡糸することができる。
【0073】
別の実施態様において、これらのナノ粒子又は微小球を、治療を受ける領域で可溶性フィルムが汗の形態の、又は水バッグから、又は密閉水スポンジからの水分と接触したときに目的の領域でNOを溶出するため、本発明のサック/シース又はテープ/コーティングの内側で崩壊する可溶性フィルムと一体化することができる。
【0074】
治療を受ける領域に配置されたとき、本発明の装置は、暦年齢、環境要因、皮膚の生理的機能の変化、乾癬、皮膚炎、セルライト、ウイルス及び/又は細菌攻撃、例えば、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトヘルペスウイルス6型(exanthum subitum及びroseola infantum)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV−8)のようなヘルペス、おそらくHHV−8により生じたカポジ肉腫、ウイルスにより引き起こされたverruca vulgaris、verruca planae、verruca seborroica、糸状いぼ、モザイクいぼなどのようないぼ、及びポックスウイルスにより生じた軟体物によりひき起こされる美容上の障害の予防及び治療を提供する。
【0075】
本発明の別の実施態様において、装置は、NO溶出を一方向にのみ向けることを可能にする。この種類に実施態様において、サック/シース又はテープ/コーティングの一面は、NOに対して非透過性である。これは、サック/シース又はテープ/コーティングの一面にNOに透過性のない材料を適用することによって達成することができる。そのような材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせのような一般的なプラスチックを含む群から選択することができる。この実施態様は、NO溶出ポリマー、例えば、L−PEIナノ繊維が、例えば記述されたプラスチック、ラテックス又は綿のサック/シースの表面に電界又はガス噴流紡糸することができるので、製造することも容易である。NO溶出ポリマーを、包装、輸送の間及び使用前に機械的(ポリマーの摩耗)、化学的(使用前の装置の水分不活性化)などの外的影響から保護するために、製造の後でサックの場合では巻き込むことができ、シースの場合では裏返しにすることができる。
【0076】
なお別の実施態様において、NO溶出装置は、薬剤溶出パッチの効果増強体として作用し、すなわち、装置は追加の作用物質、例えば医薬、ビタミン、ニコチン、ニトログリセリン、ジクロフェナクなどを含む。この実施態様は、有意な価値のある2つの治療を1つの治療に組み合わせる利点を有する装置を表す。
【0077】
したがって、NOが装置から溶出すると、そのような装置により相乗効果を達成することができる。NOは、組み合わせた化合物を有する装置が作動すると、領域に対して血管拡張効果を有する。血管が拡張した組織は、特定の医薬に対してより敏感になり、したがって医療調合剤によりより容易に治療され、さらには、NOは、それに加えて抗炎症、抗菌などの作用を有する。したがって、予想外の驚くべき効果的な治療が提供される。
【0078】
ポリマーからのNO溶出による美容治療を、美容治療を増強するために、他の作用物質、例えば剥離剤、湿潤剤、脱色若しくは着色促進剤、抗グリコシル化剤、5αレダクターゼインヒビター、リシル及び/若しくはプロリルヒドロキシラーゼインヒビター、真皮若しくは表皮高分子の合成を刺激する及び/又はその崩壊を防止する作用物質、ケラチノサイト増殖及び/若しくは分化を刺激する作用物質、筋弛緩剤、更なる抗菌剤、緊張剤、汚染防止剤若しくはフリーラジカルスカベンジャー、又はこれらの組み合わせと組み合わせることもできる。
【0079】
好ましくは、NO溶出ポリマーは、例えば皮膚、睫毛及び爪を含むケラチン物質への局所適用のために適切な形態で調製及び提供される。NO溶出ポリマー組成物の美容用途は、例えば、そのようなケラチン物質の外観を改善するための使用である。美容治療には、しわ及び小じわ、並びに/又は皮膚のきめ、張り及び/若しくは弾力性の喪失、並びに/又は暗い顔色、並びに/又は細孔の拡大、並びに/又は皮膚若しくは毛髪の色素沈着障害、並びに/又は皮膚の乾燥、並びに/又は過脂漏症、並びに/又は敏感肌、並びに/又は最終的な脱毛及び/若しくは禿頭を予防又は治療するための使用のような多様な分野が含まれる。NO溶出ポリマーを含む組成物又は調製物は、上記のケラチン物質への局所適用に適切な、生体適合性の及び/又は生理学的に許容される媒質として提供されるべきである。適切な形態には、潤いを与えるクリーム、老化防止クリーム、表皮剥脱調製物も含まれる。用途の代替的な分野は、色素斑点、特に加齢斑点を美容的に消すことである。更に、ざ瘡により引き起こされる美容上の皮膚欠陥を、本発明の特定の実施態様による装置での局所治療によって美容的に治療することができる。微生物のコロニー形成及び炎症を、例えばNOの細菌耐性を誘発することなく、抗炎症性潜在能力及び/又は抗菌性潜在能力により、ざ瘡に曝された皮膚の外観を改善するために取り除くことができる。
【0080】
世界中で最も一般的な感染の一つは、いぼウイルスとして一般的に知られているヒトパピローマウイルス(HPV)により引き起こされる。これは、皮膚に感染する顕微鏡的ウイルス粒子であり、いぼ又は尖形コンジローマを引き起こす。いぼ/尖形コンジローマは、単一のこぶとして、又は一部はカリフラワー構造を有する菌株群として表れる。HPV(いぼ)ウイルスの多くの株又は種類が存在する。いぼウイルスは、肛門、膣及び陰茎又はその周りを含む男性及び女性の生殖器領域においても見られ、別名、肛門いぼ、膣いぼ及び陰茎いぼとして知られている。
【0081】
尖形コンジローマ及びHPVは、深刻な健康上の問題である。女性にとって、尖形コンジローマ(膣)は、子宮頚癌、並びに他の種類の生殖器の癌と関連してきた。男性の尖形コンジローマ及び女性の尖形コンジローマは、同様に癌をもたらすことができる。男性の尖形コンジローマは極めて一般的であり、尖形コンジローマは女性にとっても同様に一般的である。したがって、存在を認識したら尖形コンジローマを直ぐに治療することが極めて重要である。尖形コンジローマが取り除かれるまで、他人との性的接触又は皮膚と皮膚の接触を避けるべきであり、そうでなければ、HPVウイルスを移す大きな危険性又は他人が尖形コンジローマに感染する可能性もある。本明細書に記載される装置は、そのようないぼを有利に治療的に処置することができる。しかし、本出願は、そのようないぼの美容上の副作用、例えばいぼのある間又はそれを取り除いた後に形成される瘢痕に向けられている。本発明の幾つかの実施態様の装置を、例えば綿棒を使用して尖形コンジローマ又は通常のいぼに局所的に適用することができる。
【0082】
特定の実施態様は、美容的な瘢痕低減をもたらすことができる。
【0083】
勃起不全又はEDは、勃起を達成することが完全に不能であること、勃起を行う能力が一貫していないこと、又は僅かな時間の勃起しか維持することができない傾向があることができる。これらのばらつきは、EDを定義すること及びその発症を推定することを困難にする。推定は、使用する定義によって1千5百万人から3千万人の範囲である。国立外来医療調査(National Ambulatory Medical Care Survey)(NAMCS)によると、1985年では米国の男性1,000人あたり、7.7人が医師の診察を受けた。1999年までには、その率は、ほぼ3倍の22.3人になった。推定するには、真空装置及び注入薬剤のような治療がより広範囲に入手可能になり、勃起不全を話題にすることが受け入れられるにしたがって、増加は徐々に起こった。おそらく、公になった最も大きな進展は、1998年3月の経口薬クエン酸シルデナフィル(Viagra)の導入であった。新薬についてのNAMCSデータは、1999年には医師の診察でViagraの記述が推定260万件あることを示し、これらの記述の3分の一は、ED以外の診断で来診したときに生じた。
【0084】
高齢の男性において、EDは、通常、疾患、傷害又は薬剤の副作用のような身体的な原因を有する。陰茎において神経障害を起こすか又は血流を損なうあらゆる疾患が、EDを引き起こす可能性を有する。発症は年齢と共に増加し、40歳の男性では約5%、65歳の男性では15〜25%がEDを経験している。
【0085】
陰茎の内部構造は、陰茎の中を通る2つの円筒形の血管組織体(海綿体)、尿道(尿及び射精液を放出する管)、尿道を囲んでいる勃起組織、2本の大動脈、並びに幾つかの静脈及び神経から構成されている。陰茎の最長部分は幹であり、その末端は頭部又は陰茎亀頭である。排尿及び射精を可能にする亀頭の先端の開口部は道である。勃起の生理学的過程は、脳の中で始まり、神経及び血管系が関係する。脳の中の神経伝達物質(例えば、エピネフリン、アセチルコリン、酸化窒素)は、それを開始する化学物質の一部である。物理的又は精神的な刺激(覚醒)が、神経から血管系にメッセージを伝達させ、陰茎に著しい血流をもたらす。陰茎の2本の動脈は、勃起組織及び海綿体に血液を供給し、それらは、血流及び血圧の増加の結果、充血及び膨張する。血液は、硬直を維持するために陰茎に留まらなければならないので、勃起組織は、勃起の間に陰茎を離れる血流を妨げるためにしっかりと締めている線維性弾性被包(膜)により包まれている。刺激が終了すると、又は射精の後では、陰茎における圧力が減少し、血液が解放され、陰茎は正常な形状に戻る。
【0086】
EDを治療する通常の方法は、選択的酵素インヒビター、例えばシルデナフィル(Viagra(商標))、塩酸バルデナフィル(Levitra(商標))、タダラフィル(Cialis(商標))及びヨヒンビン(Yohimbine(商標))を含む勃起不全の治療に使用される経口薬剤である。選択的酵素インヒビターは、EDを治療するには1日1回まで摂取することができる。これらは、勃起の減少を促進する酵素を阻害することにより部分的な勃起を改善し、陰茎の平滑筋を弛緩させて海綿体への血流を可能にする、環状グアノシン一リン酸(cGMP、代謝における化学因子)のレベルを増加する。しかし、硝酸塩薬剤(胸痛を治療するために使用する)を摂取している患者及びαブロッカー(高血圧及び良性前立腺肥大症を治療するために使用する)を摂取している患者は、選択的酵素インヒビターを摂取するべきではない。過去6か月以内に心臓発作又は卒中を有する男性及び性的活動が勧められない特定の医療条件(非制御高血圧、重篤な低血圧又は肝臓疾患、不安定狭心症)のある男性は、Cialis(商標)を摂取するべきではない。薬剤の用量は、腎臓又は肝臓疾患のある患者では制限されるべきである。Viagra(商標)は、体によって急速に吸収及び処理され、通常、性交の30分から1時間前に摂取される。結果は、勃起不全の原因に応じて変わり、研究は、Viagraが常に効果的ではなく、例えば、真性糖尿病を持つ勃起不全の男性の57%及び根治的前立腺摘除の43%で30分以内に役に立ち、勃起を達成する能力を36時間まで増強することを示した。選択的酵素インヒビターの一般的な副作用には、頭痛、顔及び首の赤面(潮紅)、消化不良及び鼻閉が含まれる。Cialis(商標)は、筋肉痛及び背部痛を引き起こす場合がある。Yohimbineは、僅かな率の男性で勃起を改善する。それは、勃起に関連する副交感神経系を刺激し、リビドーを増加することができる。作用するか否かを決定するのに6〜8週間前に医薬を摂取する必要がある。Yohimbineは刺激効果を有し、副作用には、心拍数及び血圧の上昇、軽度のめまい、神経質及び過敏が含まれる。Yohimbineの効果は十分には研究されていないが、幾つかの研究は、10%〜20%の男性がこの薬剤による治療に反応することを示唆している。
【0087】
自己注射は、短い針を使用して薬剤を陰茎の側面から海綿体に直接注射することを含み、これは、少なくとも30分間から数時間続く勃起を生じる。そのような自己注射の副作用には、注射部位での感染、出血及び皮下出血、めまい、動悸及び潮紅が含まれる。持続勃起、すなわち6時間を超えて継続し、医療的な救援が必要な勃起の小さな危険性が存在する。注射を繰り返すことによって、勃起組織を傷つけ、勃起を更に損なう可能性がある。
【0088】
本明細書に記載されている装置は、上記の副作用なしに勃起不全を治療的に処置することができる。例えば、本明細書に記載されるサック、並びに他の実施態様、例えばゲル又はクリームは、この目的に好適である。しかし、本出願は、従来のED治療の可能性のある美容的な副作用、例えば自己注射による上記の瘢痕に向けられている。
【0089】
美容治療装置は、特定の実施態様によると、溶出ポリマーから酸化窒素(NO)を治療用量で、例えば0.001〜5000ppm、例えば0.01〜3000ppm、例えば0.1〜1000ppm、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100ppmで溶出する。この濃度は、どこで濃度が測定されるかに応じて非常に広範囲に変わることができる。濃度が実際のNO溶出ポリマーの近くで測定される場合、濃度は数千ppmの高さであることができ、一方、組織の内部の濃度の場合では、多くの場合、かなり低く、例えば1〜1000ppmである。
【0090】
酸化窒素溶出ポリマーからの酸化窒素の溶出を制御及び調節する3つの重要な要因は、プロトン供与体がジアゾリウムジオレート基のような酸化窒素溶出ポリマーにどれぐらい素早く接触するか、酸化窒素溶出ポリマーの周りの環境の酸性度、及び酸化窒素溶出ポリマーの周りの環境の温度(温度が高いほど酸化窒素の溶出を促進する)である。
【0091】
本発明の実施態様において、本発明の装置からのNO放出の時間間隔を制御又は調節することが適切な場合がある。これは、他のポリマー又は材料を前記装置と一体化することによって達成することができる。これらのポリマー又は材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせのようなあらゆる適切な材料又はポリマーから選択することができる。
【0092】
本発明の一つの実施態様において、L−PEI−NOのような酸化窒素溶出ポリマーを担体ポリマーと混合して、酸化窒素の溶出を減速又は延長する。また、別の実施態様において、酸化窒素溶出ポリマーを1つ以上の担体ポリマーと混合することができ、それによって溶出又は放出を、特定の必要性に適合するようにできる。そのような必要性は、例えば、酸化窒素溶出ポリマーの環境が疎水性である場合、第1の時間帯では低い溶出であり、酸化窒素溶出ポリマーの環境がより親水性に変わった場合、第2の時間帯ではより速い溶出であることができる。これは、生分解性ポリマーを使用して達成することができ、それによって第1の時間帯で低溶出を得て、その後、疎水性ポリマーが溶解すると、親水性ポリマーが酸化窒素のより高い溶出を提供する。したがって、より疎水性の担体ポリマーは、水又は体液のような活性化プロトン供与体が担体ポリマーに浸透するのが遅いので、酸化窒素のより遅い溶出をもたらす。一方、親水性ポリマーは反対方向に作用する。親水性ポリマーの一つの例はポリエチレンオキシドであり、疎水性ポリマーの一つの例はポリスチレンである。これらの担体ポリマーを、酸化窒素溶出ポリマーと混合し、次に電界紡糸して、適切な繊維にすることができる。当業者は、他のポリマーを同様の目的で使用することができることを知っている。図4は、2つの異なるポリマー混合物、酸性環境で親水性担体ポリマーと混合した酸化窒素溶出ポリマー(A)及び中性環境で疎水性担体ポリマーと混合した酸化窒素溶出ポリマー(B)の2つの溶出特性(NO濃度対時間)を示す。
【0093】
一つの実施態様において、この担体ポリマーは、疎水性又は親水性の特性を持つ別の材料に換えられる。したがって、本発明の文脈において、用語「担体材料」は、担体ポリマー及び疎水性又は親水性の特性を持つ他の材料を含むと理解されるべきである。幾つかの実施態様は、異なる放出特性を適切に組み込むために、異なるヒドロゲルを使用することを含むこともできる。
【0094】
本発明の別の実施態様において、L−PEI−NOのような酸化窒素溶出ポリマーからの酸化窒素の溶出は、プロトンの存在によって影響を受ける。これは、環境の酸性度が高いほど酸化窒素のより速い溶出をもたらすことを意味する。酸化窒素溶出ポリマー又は酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物を、アスコルビン酸溶液のような酸性流体により活性化することによって、酸化窒素の溶出を加速することができる。
【0095】
上記の担体ポリマー及び担体材料は、加えて、酸化窒素溶出の調節以外の特性に影響を与えることができる。そのような特性の一例は、機械的強度である。したがって、有利な装置を、特定の適用要件に従って製造することができる。
【0096】
担体ポリマー又は担体材料に関して、NO溶出ポリマーを、本発明の実施態様の全てにおけるこれらの材料のいずれかと一体化すること、それと一緒に紡糸すること、又はその上に紡糸することができる。この紡糸には、電界紡糸、空気紡糸、乾燥紡糸、湿潤紡糸、溶融紡糸及びゲル紡糸が含まれる。この方法によって、予め定義された酸化窒素溶出特性を有する、酸化窒素溶出ポリマー及び担体ポリマー又は担体材料を含むポリマー混合物の繊維を製造することができる。これらの特性を、異なる用途で異なる溶出特性に合うようにすることができる。
【0097】
本発明の装置におけるNO溶出ポリマーを、ヒドロ活性化銀のような銀と組み合わせることができる。銀と本発明の装置との一体化は、治癒過程に特別の増進をもたらす。好ましくは、銀は装置から銀イオンの形態で放出される。銀と装置との一体化は、幾つかの利点を提示することができる。そのような利点の一つの例は、銀は、酸化窒素溶出ポリマーが標的部位に酸化窒素の治療用量を溶出している間に、装置を細菌又はウイルスのない状態に保つことができる。
【0098】
酸化窒素溶出ポリマーは、前記に記載したように、第二級アミンを主鎖に又は側鎖として含むことができる。これは、良好な酸化窒素溶出ポリマーを作る。第二級アミンは、酸化窒素を装填するのを容易にする強力な陰電荷を有するべきである。窒素(N)よりも高い電気陰性度を有するリガンドが、第二級アミンに近接する、例えば隣接原子、例えば炭素原子に存在する場合、ポリマーに酸化窒素を装填することは非常に困難である。一方、窒素原子に対して電気陽性のリガンドが、第二級アミンに近接する、例えば隣接原子、例えば炭素原子に存在する場合、アミンの電気陰性度が増加し、それによって酸化窒素溶出ポリマーに酸化窒素を装填する可能性が増加する。
【0099】
本発明の一つの実施態様において、酸化窒素ポリマーを、塩によって安定化することができる。ジアゼニウムジオレート基のような酸化窒素溶出基は、通常、陰性であるので、カチオンのような陽性対イオンを使用して、酸化窒素溶出基を安定化することができる。このカチオンは、Na+、K+、Li+、Be2+、Ca2+、Mg2+、Ba2+及び/又はSr2+のような周期表の1族又は2族からの任意のカチオンを含む基から選択することができる。同じ酸化窒素溶出ポリマーの異なる塩は、異なる特性を有する。このような方法で、適切な塩(又はカチオン)を異なる目的のために選択することができる。カチオン安定化ポリマーの例は、L−PEI−NO−Na、すなわち、ナトリウムで安定化されたL−PEIジアゼニウムジオレート及びL−PEI−NO−Ca、すなわち、カルシウムで安定化されたL−PEIジアゼニウムジオレートである。
【0100】
本発明の別の実施態様は、酸化窒素溶出ポリマー又は酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物と、吸収剤とを混合することを含む。この実施態様は、ポリマー又はポリマー混合物が吸収剤を介して水又は体液のような活性化流体を非常に速く取り込むので、酸化窒素の加速された溶出の利点を提供する。一つの例では、80%(w/w)吸収剤が、酸化窒素溶出ポリマーと、又は酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物と混合され、別の実施態様では、10〜50%(w/w)吸収剤が、酸化窒素溶出ポリマーと、又は酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物と混合される。
【0101】
酸化窒素の溶出が水のようなプロトン供与体により活性化されるので、酸化窒素溶出ポリマー又は酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物と、前記プロトン供与体との接触を保つことが有利である場合がある。適応症が長期間の酸化窒素の溶出を必要とする場合、プロトン供与体と、酸化窒素溶出ポリマー又は酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物との接触を保つ可能性を提示するシステムが有利である。したがって、本発明のさらに別の実施態様において、酸化窒素の溶出は、吸収剤の添加によって調節することができる。吸収剤は、水のようなプロトン供与体を吸収し、プロトン供与体と酸化窒素溶出ポリマーとの密接な接触を長時間保つ。前記吸収剤は、ポリアクリレート、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、及び微晶質セルロース、綿及びデンプンを含む群から選択することができる。この吸収剤を充填剤として使用することもできる。この場合、前記充填剤は、酸化窒素溶出ポリマー又は前記酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物に望ましい感触をもたらす。
【0102】
本発明の装置は、例えば、L−PEIの又はL−PEIを含むか若しくはL−PEIと組み合わせて配置される他のポリマーの電界紡糸により製造することができる。L−PEIは特性電圧で荷電され、L−PEIの微細噴流がL−PEIポリマー繊維の束として放出する。このポリマー繊維の噴流を、処理される表面に向けることができる。処理される表面は、例えば、本発明の装置に関して適切な任意の材料であることができる。次にL−PEIの電界紡糸繊維を前記材料の上に付着させ、L−PEIの被覆/層を本発明の装置の上に形成する。
【0103】
当然のことながら、他のNO溶出ポリマーを、上記に従って、本発明の装置の上に電界紡糸することが可能であり、同時にこれも本発明の範囲内である。
【0104】
一つの実施態様において、本発明のNO溶出ポリマーは、純粋なNO溶出ポリマー繊維を得ることができるように電界紡糸される。
【0105】
NO溶出ポリマーを他の適切なポリマーと一緒に電界紡糸することも、本発明の範囲内である。
【0106】
前記NO溶出ポリマー又は酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の混合物のガス流紡糸、空気紡糸、湿潤紡糸、乾燥紡糸、溶融紡糸又はゲル紡糸も、本発明の範囲内であり、紡糸粒子の適用が、印加される電荷に依存していないという利点を有する。したがって、ガス噴流又は空気紡糸は、特定の用途分野、例えば可燃性溶媒が存在するときには有利である。
【0107】
本発明の製造方法は、治療を受ける領域に対して大きな接触面のNO溶融ポリマー繊維、NO溶融ポリマーの有効な使用、及び本発明の装置を製造する費用効果の高い方法のような利点を提示する。
【0108】
本発明は、あらゆる適切な形態で適用することができる。本発明の実施態様の要素及び成分を、あらゆる適切な方法又は望ましい任意の組み合わせで、物理的、機能的及び論理的に適用することができる。事実、機能性は、単一の単位、複数個の単位、又は他の機能性単位の一部として適用することができる。
【0109】
本発明は、特定の実施態様を参照して上記に記載されてきたが、本明細書に記載された特定の形態に限定されることを意図しない。そうではなく、本発明は、添付の請求項によってのみ限定され、上記の特定のもの以外の実施態様も、添付の請求項の範囲内で同様に可能である。
【0110】
請求項において、用語「含む/含んでいる」は、他の要素又は工程の存在を除外するものではない。更に、個別に提示されているが、複数個の手段、要素又は方法の工程を適用することができる。加えて、個別の特徴が異なる請求項に含まれうるが、これらは可能であれば有利に組み合わせることができ、異なる請求項に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能及び/又は有利ではないことを意味しない。加えて、単数形の参照は、複数形を除外しない。用語「a」、「an」、「第1」、「第2」などは複数形を排除しない。請求項における参照符号は、例を明確にするためにのみ提供され、請求項の範囲をいかようにも制限するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1A−1B】本発明の装置の一つの実施態様のサック/シースの概略図である。
【図2A−2B】本発明の装置の一つの実施態様のテープ又はコーティングの概略図である。
【図2C】本発明の装置の一つの実施態様のソックスの概略図である。
【図3】本発明の装置の一つの実施態様のパッチ/パッドの概略図である。
【図4】酸化窒素溶出ポリマー及び担体材料の2つの異なる混合物の2つの異なる溶出特性を示すチャートである。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
しわ、セルライト、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む美容上の障害を体の美容治療部位で美容的に治療及び/又は予防するように構成された装置であって、前記装置が、前記治療及び/又は予防に使用されるとき、酸化窒素(NO)の美容用量を溶出するように構成された酸化窒素(NO)溶出ポリマーを含み、前記装置が、前記ポリマーが使用時に酸化窒素(NO)を溶出するとき、体内の又は体の上の前記美容標的部位を前記酸化窒素(NO)に暴露するように構成され、
前記酸化窒素(NO)溶出ポリマーが担体材料と一体化し、これにより、前記担体材料が使用時に酸化窒素(NO)の前記美容用量の溶出を調節及び制御することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記酸化窒素(NO)溶出ポリマーが、ジアゼニウムジオレート基、S−ニトロシル化基及びO−ニトロシル化基、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記酸化窒素(NO)溶出ポリマーが、しわ、セルライト、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む美容上の障害を治療するために、前記体の前記美容上の障害の前記美容治療部位で酸化窒素を溶出するように配置された、前記ジアゼニウムジオレート基、S−ニトロシル化基若しくはO−ニトロシル化基、又はこれらの任意の組み合わせを介して酸化窒素(NO)を装填された、L−PEI(線状ポリエチレンイミン)である、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記酸化窒素溶出ポリマーが、ミノセルロース、アミノデキストラン、キトサン、アミノ化キトサン、ポリエチレンイミン、PEI−セルロース、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリウレタン、ポリ(ブタンジオールスペルメート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリペプチド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)及びポリジメチルシロキサン、又はこれらの任意の組み合わせを含む群より選択され、記載のポリマーが、多糖主鎖又はセルロース主鎖のような不活性主鎖にグラフトされている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、しわ、セルライト、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む美容上の障害を治療するために、前記体に又は前記体上の前記美容上の障害の前記美容治療部位に適用するように適合される、サック/シース(10、14)、ソックス(24)、パッチ/パッド(30)及びテープ/コーティング(20、22)からなる群より選択される形態を有する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記サック/シース(10、14)、ソックス(24)、パッチ/パッド(30)又はテープ/コーティング(20、22)が、しわ、ざ瘡、セルライト、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む前記美容上の障害を治療するために、使用時に、体の前記美容上の障害の前記美容治療部位に前記酸化窒素(NO)を溶出するように構成された前記酸化窒素(NO)溶出ポリマーを含む、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
活性化されたときにプロトン供与体を前記装置に放出するように構成されたプロトン供与体バッグ、密閉プロトン供与体スポンジ又はマイクロカプセル化水のようなプロトン供与体担体部材を含み、前記ポリマーが、前記プロトン供与体に接触すると酸化窒素(NO)を溶出するように活性化可能である、請求項1〜6のいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記プロトン供与体が、水、血液、リンパ液、胆汁、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、フェノール、ナフトール、ポリオール、ホスフェート、スクシネート、カーボネート、アセテート、ホルメート、プロピオネート、ブチレート、脂肪酸及びアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、プロトン供与体に付されたときに部分的に崩壊可能である、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記ポリマーが、体の前記美容上の障害の前記部位の美容治療のために構成さたポリマーが銀を含む、請求項1又は7記載の装置。
【請求項11】
前記酸化窒素溶出ポリマーが、繊維、ナノ粒子又は微小球の形態で装置に含まれる、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記繊維、ナノ粒子又は微小球が、ゲル、クリーム、泡若しくはヒドロゲル、又はこれらの組み合わせと一体化している、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記ナノ粒子又は微小球が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される材料と一体化している、好ましくはそれらに封入されている、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記装置が、口紅様装置又は皮膚用軟膏、クリーム若しくはローションである、請求項11又は12記載の装置。
【請求項15】
前記ポリマーが、使用されるときに薬剤溶出パッチの効果増強体として作用するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項16】
前記担体材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、デンプン、セルロース、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、タンパク質に基づくポリマー、ゼラチン、生分解性ポリマー、綿及びラテックス、又はこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記担体材料がヒドロゲルである、請求項1記載の装置。
【請求項18】
酸化窒素溶出ポリマーがプロトン供与体により活性化可能であり、酸化窒素溶出ポリマーが、使用前に、酸化窒素の溶出を開始するまでプロトン供与体と別に保存されている、請求項1記載の装置。
【請求項19】
装置が2個の別々の容器を有するシリンジ型装置であり、第1の容器が、ゲルのようなプロトン供与体に基づくNO放出活性化剤を含有し、第2の容器が、酸化窒素溶出ポリマーを含む、非プロトン供与体に基づくゲルを含有し、シリンジ型装置が美容治療部位に投与されると混合を提供するように構成されている、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記酸化窒素溶出ポリマーが、第二級アミンを主鎖に含むか、又は第二級アミンを側鎖として含む、請求項1記載の装置。
【請求項21】
陽性リガンドが第二級アミンの隣接原子に位置している、請求項20記載の装置。
【請求項22】
吸収剤を含む、請求項1又は16記載の装置。
【請求項23】
前記吸収剤が、ポリアクリレート、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース(CMC)、微晶質セルロース、綿若しくはデンプン、又はこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される、請求項22記載の装置。
【請求項24】
カチオンを含み、前記カチオンが酸化窒素溶出ポリマーを安定化する、請求項1、16、21又は22記載の装置。
【請求項25】
前記カチオンが、Na+、K+、Li+、Be2+、Ca2+、Mg2+、Ba2+及び/若しくはSr2+、又はこれらの任意の組み合わせを含む群より選択される、請求項24記載の装置。
【請求項26】
例えば、しわ、セルライト、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む感染により引き起こされる美容上の障害を美容的に治療又は予防するようの構成された請求項1記載の装置の製造方法であって、
前記治療及び/又は予防に使用されるときに酸化窒素(NO)の美容用量を溶出するように構成された酸化窒素(NO)溶出ポリマーを選択すること、
酸化窒素(NO)の前記美容用量の溶出を調節及び制御するように構成された担体材料を選択すること、
NO溶出ポリマーを、前記担体材料が前記装置の使用時に酸化窒素(NO)の前記美容用量の溶出を調節及び制御するように、前記担体材料により、酸化窒素(NO)溶出材料に組み込むこと、及び
前記装置が、前記NO溶出ポリマーが使用時に酸化窒素(NO)を溶出するときに、体内の又は体の上の美容標的部位を前記酸化窒素に暴露するように構成されるように、前記酸化窒素溶出材料を適切な形態に展開するか、又は被覆として担体の上に展開して前記装置の少なくとも一部分を形成すること、を含む方法。
【請求項27】
前記展開が、NO溶出ポリマーの電界紡糸、空気紡糸、ガス紡糸、湿潤紡糸、乾燥紡糸、溶融紡糸又はゲル紡糸を含む、請求項26記載の製造方法。
【請求項28】
前記酸化窒素(NO)溶出ポリマーの前記選択が、複数個の酸化窒素(NO)溶出ポリマー粒子、好ましくはナノ繊維、ナノ粒子又は微小球を選択することを含む、請求項26又は27記載の製造方法。
【請求項29】
前記担体材料による前記NO溶出ポリマーの前記組み込みが、前記装置の酸化窒素溶出特性を予め定義するため、前記NO溶出ポリマーを前記担体材料と一体化すること、前記NO溶出ポリマーを前記担体材料と一緒に紡糸すること、又は前記NO溶出ポリマーを前記担体材料の上に乗せて紡糸することを含む、請求項26又は27記載の製造方法。
【請求項30】
銀を前記装置と一体化することを更に含む、請求項26記載の製造方法。
【請求項31】
プロトン供与体をマイクロカプセルの中に入れてマイクロカプセル化すること、及び
マイクロカプセルを前記酸化窒素(NO)溶出材料に適用すること
を更に含む、請求項26記載の製造方法。
【請求項32】
前記適用が、パターン糊付け、又は前記マイクロカプセルの上にNO溶出材料を紡糸することを含む、請求項31記載の製造方法。
【請求項33】
マイクロカプセルを第1のフィルム、テープ又はシースの形態にすること、
前記NO溶出材料を第2のフィルム、テープ又はシースの形態にすること、及び
マイクロカプセルの第1のフィルム、テープ又はシースを、前記NO溶出材料の第2のフィルム、テープ又はシースに糊付けすること
を含む、請求項31記載の製造方法。
【請求項34】
前記糊付けが、糊のない場所を含むパターンが得られるようなパターン糊付けを含む、請求項33記載の製造方法。
【請求項35】
マイクロカプセルを第1のフィルム、テープ又はシースの形態にすること、及びプロトン供与体を含有するマイクロカプセルのフィルム、テープ又はシースの上に、NO溶出材料を直接紡糸することを含む、請求項31記載の製造方法。
【請求項36】
NO溶出材料が前記プロトン供与体に付されてNOを溶出するように、マイクロカプセルが破壊されるときを示すように構成された、活性化インジケータを提供することを含む、請求項31記載の製造方法。
【請求項37】
活性化インジケータの前記提供が、マイクロカプセルの中に着色剤を提供することを含む、請求項36記載の製造方法。
【請求項38】
活性化インジケータの前記提供が、マイクロカプセルの材料を選択すること、又はマイクロカプセルが壊れるときに音を出す前記マイクロカプセルの壁厚を選択することを含む、請求項36記載の製造方法。
【請求項39】
活性化インジケータの前記提供が、マイクロカプセルの中に芳香材料を混合することを含む、請求項36記載の製造方法。
【請求項40】
活性化インジケータの前記提供が、プロトン供与体と接触したときに色を変える物質を提供することを含む、請求項36記載の製造方法。
【請求項41】
しわ、セルライト、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む美容上の障害の美容治療の装置の製造における酸化窒素(NO)溶出ポリマーの使用であって、
前記装置が、体の美容上の障害の部位で使用されるときに美容用量で前記溶出ポリマーから酸化窒素(NO)を溶出するように、酸化窒素が前記装置に装填されている
使用。
【請求項42】
前記美容用量が、0.001〜5000ppm、例えば0.01〜3000ppm、例えば0.1〜1000ppm、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100ppmである、請求項41記載の使用。
【請求項43】
しわ、セルライト、ざ瘡、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む美容上の障害を美容的に治療する方法であって、
前記美容治療で使用されるときに酸化窒素(NO)の美容用量を溶出するように構成された酸化窒素(NO)溶出ポリマーと、酸化窒素(NO)の前記治療用量の溶出を調節及び制御する担体材料とを含む装置を適用すること、及びそれにより
体の前記美容上の障害の前記美容治療部位を、前記ポリマーが、使用時に、前記酸化窒素溶出ポリマーから酸化窒素の美容用量を前記治療部位に溶出することにより酸化窒素(NO)を溶出したときに、前記酸化窒素に暴露すること、を含む方法。
【請求項44】
前記美容上の障害の前記部位が、体の顔、首、肩、背中、腕、手、腹、生殖器、大腿、下肢又は足を含む選択された体の領域であり、前記方法が、サック/シース、ソックス、パッチ/パッド及び/若しくはテープ/コーティング、又はゲル、クリーム、泡、若しくはヒドロゲル、又はこれらの組み合わせを、前記体の前記選択された体の領域に前記暴露のために適用することを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
酸化窒素の前記美容用量により、前記装置に含まれた美容治療物質の美容効果を増強することを含む、請求項43又は44記載の方法。
【請求項46】
体の美容治療部位で、しわ、セルライト、乾癬、皮膚炎、並びにヘルペス、カポジ肉腫、いぼのようなウイルス及び/若しくは細菌攻撃、並びに/又は軟体物を含む美容上の障害を美容的に治療及び/又は予防するための、酸化窒素(NO)の使用。
【請求項47】
美容的な瘢痕低減をもたらす酸化窒素(NO)の使用。

【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−534468(P2008−534468A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502364(P2008−502364)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050884
【国際公開番号】WO2006/100154
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507271798)ノーラブズ エービー (11)
【Fターム(参考)】