説明

長繊維強化樹脂ストランドの製造装置

【課題】従来に比べ高速の引取速度、例えば40m/分を上回る引取速度にて長繊維強化樹脂ストランドを製造することができるようにすること。
【解決手段】含浸ヘッド9の下流側に冷却装置12と撚りローラ16A,16Bとをこの順に備え、強化用繊維束2に含浸ヘッド9により溶融樹脂を含浸させるとともに、樹脂含浸強化用繊維束に撚りローラ16A,16Bによる撚りを付与し、長繊維強化樹脂ストランド4を製造する装置において、強化用繊維束2を一対の加熱ローラ220,230に交互に複数回巻き掛けることで加熱することにより、予め加熱された強化用繊維束2が含浸ヘッド9に連続的に導かれるようにした加熱ローラ装置200と、加熱ローラ220,230に巻き掛けられる強化用繊維束2に対してバックテンションを付与するバックテンション付与装置とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長繊維強化樹脂ストランドの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長尺の長繊維強化樹脂ストランドを例えば3〜15mm程度に切断したペレット(長繊維強化樹脂ペレット)を用いた射出成形品は、自動車内装部材(コンソールボックス、インストルメントパネル等)、自動車外装部材(バンパ、フェンダー等)、電子機器部材(ノートパソコン、携帯電話等)のハウジングなどに使用されるものである。
【0003】
本出願人は、含浸ヘッドから撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる長繊維強化樹脂ストランドを連続して引き取り、長繊維強化樹脂ストランドを製造する方法として、先に特開平5−169445号公報(特許文献1)に示されるものを提案している(従来技術1)。この従来技術1について図12を用いて説明する。図12は従来方法の実施に用いられる長繊維強化樹脂ストランドの製造装置の構成説明図である。
【0004】
従来技術1は、強化用繊維と樹脂との密着性の高い長繊維強化樹脂ストランドを製造するようにしたものである。溶融樹脂材料52は押出機56より含浸ヘッド(クロスヘッド)55内へ連続供給される。該含浸ヘッド55の出側には賦形ダイ59、冷却器60、撚りローラ(クロスローラキャプスタンとも呼ばれている)61a,61b、引抜きローラ62が順に配設され、該含浸ヘッド55内には強化用繊維束をジクザグ走行させて解繊し含浸性を高めるためのスプレダー(含浸用ローラ)58が設けられている。
【0005】
そして、強化用繊維51,51…は含浸ヘッド55内で溶融樹脂材料52中に浸漬され、樹脂含浸された後、賦形ダイ59によって賦形されてその断面形状が定められ、冷却器60において冷却硬化される。撚りローラ61a,61bは一対のゴム製ローラであって、互いに逆回転駆動されるように構成されている。また、これら撚りローラ61a,61bは水平面内で逆方向に傾けて配設されており、これら撚りローラ61a,61bの交差部で長繊維強化樹脂ストランド53を挟持して矢印方向へ引抜くことにより、該長繊維強化樹脂ストランド53は軸心を中心として回転される。これによって冷却器60と含浸ヘッド55内の最下流側のスプレダー58aの間で撚りが付与される。そして、撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる長繊維強化樹脂ストランド53は、引抜きローラ62より離れた位置に設けられたペレタイザー(ストランドカッター)63でカットされるようになっている。
【0006】
このように、従来技術1では、強化用繊維束が撚られつつ樹脂含浸が行われるので、強化用繊維と樹脂材料を強固に密着させることができる。また、樹脂含浸強化用繊維束に撚りを掛けた状態でこれを引き取るようにしたものであるから、繊維のケバを撚りの中に取り込むようにしてこれを賦形ダイ外に引き出す作用が発揮されて、樹脂含浸強化用繊維束に撚りを付与しないものに比べると、含浸ヘッド内で生じたケバが賦形ダイに詰まり難いので、長繊維強化樹脂ストランドの引取速度を高めることができる。
【0007】
ところが、さらに高速の引取速度にて長繊維強化樹脂ストランドを製造しようとすると、含浸ヘッド内を引き取られて走行する強化用繊維束に作用する張力が大きくなって断線が発生し、30〜40m/分の引取速度が限界であった。
【0008】
また、先に本出願人は、含浸ヘッドから撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる長繊維強化樹脂ストランドを連続して引き取り、長繊維強化樹脂ストランドを製造する方法において、強化用繊維束に溶融合成樹脂を十分に含浸させるために、含浸ヘッド内で強化用繊維束の開繊を行って樹脂含浸を促進する部分の合成樹脂を特に加熱するようにした方法を提案している(従来技術2:特開平6−254850号公報(特許文献2))。この場合、前記加熱を実施するために含浸ヘッド内の含浸用ローラとして、例えば熱水導入型の含浸用ローラを用いている。
【0009】
この従来技術2によると、含浸ヘッド内に常温の強化用繊維束が導入されることによる溶融合成樹脂の温度低下を抑制することができ、その結果、含浸ヘッド内での溶融合成樹脂粘度の上昇を抑制できる。これにより、含浸ヘッド内を引き取られて走行する強化用繊維束の張力の上昇を抑制して、長繊維強化樹脂ストランドの引取速度の高速化が期待できる。
【0010】
ところが、本発明者らの実験によると、従来技術2では、長繊維強化樹脂ストランドの引取速度が40m/分を上回ると、強化用繊維束への溶融樹脂の含浸度合いが悪化するとともに、含浸ヘッド内を走行する強化用繊維束の張力が上昇することによる断線が発生することがわかった。
【0011】
そこで、本発明者らは、含浸ヘッド内にて樹脂含浸を促進する部分の合成樹脂を加熱するのではなく、含浸ヘッドに導入される強化用繊維束を予め加熱しておくようにすればよいのではないかと考えた。なお、先に本出願人が提案した前記特開平6−254850号公報には、必要であれば含浸ヘッドに導入される強化用繊維を予熱しておくことも可能でありとあるものの、その実施のための手段については示されていない。
【0012】
一方、特開平5−162135号公報(特許文献3)には、連続した強化繊維を引き取りながら、溶融した熱可塑性樹脂を被覆させ、含浸させて繊維強化熱可塑性樹脂構造体を製造する方法であって、強化繊維に溶融した熱可塑性樹脂を被覆、含浸するに先立ち、熱風式予熱炉により、強化繊維を熱可塑性樹脂の溶融温度以上に予熱することにより、強化繊維への溶融した熱可塑性樹脂の含浸を促進することで引取速度を高めるようにした、繊維強化熱可塑性樹脂構造体の製造方法が示されている(従来技術3)。
【0013】
この従来技術3では、強化繊維(ガラスロービング繊維)を熱風式予熱炉に導入して約300℃に加熱するとともに、18m/分の引取速度にて帯状の繊維強化熱可塑性樹脂構造体(ガラス繊維強化ナイロン6/6)を得るようにした例が示されている。
【0014】
また、特開平7−251437号公報(特許文献4)には、長繊維強化熱可塑性複合材料を製造するに際し、連続補強繊維に熱可塑性樹脂を付着させるに先立ち、連続補強繊維を予熱処理装置に導入して予め加熱しておくようにした、長繊維強化熱可塑性複合材料の製造方法が示されている(従来技術4)。
【0015】
この従来技術4では、熱風方式又は赤外線放射方式の予熱処理装置を用い、繊維 /樹脂の組合せが、例えば、ガラス繊維/ポリプロピレン樹脂の場合、予熱処理温度(加熱処理温度):120〜230℃、予熱処理時間(加熱処理時間):10秒〜1分にて連続補強繊維を予め加熱することが示されている。そして、実施例では、200℃にてガラス繊維を加熱処理(予熱処理)し、20m/分の引取速度にてテープ状の長繊維強化熱可塑性複合材料を得ることが示されている。
【0016】
しかしながら、前記従来技術3,4では、強化用繊維束に溶融樹脂を含浸させるに先立って、引き取られて走行している連続した強化用繊維束を加熱するに際し、強化用繊維束の水平方向に延びる長い走行路が必要な熱風方式のなどの非接触加熱によるものであるから、引取速度(生産速度)の高速化を図る場合、より長尺の加熱装置(予熱装置)を設置するための大きなスペースが必要となり、このことが障害となる。
【0017】
【特許文献1】特開平5−169445号公報(段落番号[0010]、図1)
【特許文献2】特開平6−254850号公報(段落番号[0008]〜[0021]、図1〜図3)
【特許文献3】特開平5−162135号公報(段落番号[0006],[0019],[0020]、図1)
【特許文献4】特開平7−251437号公報(段落番号[0013],[0059],[0060]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで本願発明の課題は、含浸ヘッドから撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる長繊維強化樹脂ストランドを連続して引き取り、長繊維強化樹脂ストランドを製造するに際し、従来に比べ高速の引取速度(生産速度)、例えば40m/分を上回る引取速度にて長繊維強化樹脂ストランドを製造することができるとともに、含浸ヘッドに連続的に導かれる強化用繊維束を引取速度の高速化のために予め加熱しておく装置の設置スペースが小さくてすむようにした、長繊維強化樹脂ストランドの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0020】
請求項1の発明は、上流側より長尺の強化用繊維束が連続的に導入される含浸ヘッドを備えるとともに、前記含浸ヘッドの下流側に冷却装置と撚りローラとをこの順に備え、前記含浸ヘッドにより前記強化用繊維束に溶融樹脂を含浸させるとともに、樹脂含浸強化用繊維束に前記撚りローラによる撚りを付与し、前記含浸ヘッドからの撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる長繊維強化樹脂ストランドを前記冷却装置にて冷却水中で冷却し、連続して引き取ることにより、長繊維強化樹脂ストランドを製造する装置において、少なくとも2つの加熱ローラを有して前記含浸ヘッドの上流側に設けられ、強化用繊維束を少なくとも2つの前記加熱ローラに交互に複数回巻き掛けることで該加熱ローラに接触させて加熱することにより、予め加熱された強化用繊維束が前記含浸ヘッドに連続的に導かれるようにした加熱ローラ装置と、前記加熱ローラ装置の上流側に設けられ、前記加熱ローラに巻き掛けられる強化用繊維束に対してバックテンションを付与するバックテンション付与装置と、を備えていることを特徴とする長繊維強化樹脂ストランドの製造装置である。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1記載の長繊維強化樹脂ストランドの製造装置において、前記加熱ローラは、強化用繊維束を案内する溝として、ローラ外周部にローラ回転軸方向に並列する複数の円周溝を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の長繊維強化樹脂ストランドの製造装置は、含浸ヘッドの上流側に、少なくとも2つの加熱ローラを有する加熱ローラ装置を備え、さらに、この加熱ローラ装置の上流側に、前記加熱ローラに巻き掛けられる強化用繊維束に対してバックテンションを付与するバックテンション付与装置を備えている。これにより、強化用繊維束は、バックテンション付与装置によってバックテンションがかけられた状態で、加熱ローラ装置の例えば上下に配された少なくとも2つの前記加熱ローラに交互に複数回巻き掛けられることにより、加熱されている該加熱ローラに密着接触しながら走行し、常温でなく予め加熱された状態で含浸ヘッドに連続的に導かれる。
【0023】
したがって、強化用繊維束の引取速度を高速化しても、含浸ヘッド内における溶融樹脂の温度低下を抑制できることで強化用繊維束に溶融樹脂を十分に含浸させることができるとともに、含浸ヘッド内での溶融樹脂粘度の上昇を抑制できることで含浸ヘッド内を走行する強化用繊維束(樹脂含浸強化用繊維束)の張力の上昇を抑制することができる。よって、従来に比べ高速の引取速度(生産速度)、例えば40m/分を上回る引取速度にて長繊維強化樹脂ストランドを製造することができるとともに、引取速度の高速化のための前記加熱ローラ装置の設置スペースが小さくてすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態による長繊維強化樹脂ストランドの製造装置の全体構成を示す構成説明図である。
【0025】
図1に示すように、複数個のボビン、この例では3つのボビン5A〜5Cそれぞれからの強化用繊維(ロービング)1は加熱ローラ装置200の入側ガイド201によって強化用繊維束2としてまとめられ、この強化用繊維束2が、強化用繊維束2を予め加熱しておくために、上下に配された一対の加熱ローラ220,230を備えた加熱ローラ装置200に導かれる。ボビン5A〜5Cには、それぞれ、強化用繊維バックテンション付与装置100A〜100Cが備えられており、これにより、強化用繊維束2は、バックテンションがかけられながら、一対の加熱ローラ220,230に交互に複数回巻き掛けられることにより、加熱されている加熱ローラ220,230に密着して接触することで接触加熱されるようになっている。
【0026】
この加熱ローラ装置200の直ぐ下流側に、スクリュ8を内蔵する押出機7が設けられるとともに、この押出機7から溶融樹脂(溶融した熱可塑性樹脂)3が連続供給され、かつ、加熱ローラ装置200からの予め加熱された強化用繊維束2が導かれる含浸ヘッド(溶融樹脂浴容器)9が設けられている。この含浸ヘッド9の内には、連続的に供給される強化用繊維束2に溶融樹脂3を含浸させるための複数個の含浸ローラ(開繊・含浸用ローラ)10が配設されている。含浸ヘッド9の出口には、含浸ヘッド9から引き取られる、撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる高温の長繊維強化樹脂ストランド4の賦形(賦型)を行う賦形ダイ11が取り付けられている。
【0027】
そして、この賦形ダイ11が取り付けられた含浸ヘッド9の下流側には、含浸ヘッド9からの高温の長繊維強化樹脂ストランド4を冷却水中で冷却する冷却装置12が設けられている。また、この冷却装置12の直ぐ下流側には、撚りローラ16A,16Bが設けられている。なお、この本実施形態の製造装置によって製造され、撚りローラ16A,16Bの下流側に導かれた長繊維強化樹脂ストランド4は、撚りローラ16A,16Bの下流側にあるペレタイザー(ストランドカッター)30で切断されてペレット化されるようになっている。
【0028】
図2は図1における強化用繊維バックテンション付与装置を示す概略構成図である。
【0029】
図2に示すように、強化用繊維1が巻き取られてなるボビン5Aの回転軸の一端部に回転ドラム体5bが固定されている。この回転ドラム体5bの外周面に半周にわたって巻き掛けられた帯状シュー部材101の一端側は、他端側のフックが固定された引張コイルばね102の一端側のフックに連結されている。103は、モータ103aによってねじ軸(図示省略)を回転させて昇降ナット部103bを上下方向に移動させるバックテンション調節用スライダである。そして、帯状シュー部材101の他端側は、バックテンション調節用スライダ103の前記昇降ナット部103bに連結されている。
【0030】
引張コイルばね102の元に戻ろうとする力によって帯状シュー部材101が回転ドラム体5bに押付けられることで、撚りローラ16A,16Bによる引き取りによってボビン5Aから引き出される強化用繊維1に対してバックテンションが付与されるようになっている。昇降ナット部103bを上下方向に移動させることで帯状シュー部材101による押付け力を増減することにより、強化用繊維1にかけるバックテンションを調節できるようになっている。
【0031】
前記の帯状シュー部材101、引張コイルばね102及びバックテンション調節用スライダ103により、ボビン5Aからの強化用繊維1にバックテンションをかける強化用繊維バックテンション付与装置100Aが構成されている。また、ボビン5Bからの強化用繊維1にバックテンションをかける強化用繊維バックテンション付与装置100B、及び、ボビン5Cからの強化用繊維1にバックテンションをかける強化用繊維バックテンション付与装置100Cは、強化用繊維バックテンション付与装置100Aと同一の構成である。そして、これらの強化用繊維バックテンション付与装置100A〜100Cにより、加熱ローラ220,230に巻き掛けられる強化用繊維束2にバックテンションを付与するバックテンション付与装置が構成されている。
【0032】
図3は図1における加熱ローラ装置の構成を示す正面図、図4は図3に示す加熱ローラ装置のB矢視方向からの構成説明のための側面図、図5は図3に示す加熱ローラ装置の背面図、図6は図3のA−A断面における構成を説明するための図である。
【0033】
図3〜図6において、202は中空四角柱状の支持フレームである。この支持フレーム202は、床面に固定されたベース体の上部ベースプレート203の上面に起立姿勢で固定されている。この支持フレーム202に、一対の加熱ローラ220,230が上下に所定間隔を隔てて位置される状態で回転可能に取り付けられている。
【0034】
まず、加熱ローラ220,230について説明する。上側の加熱ローラ220は、加熱ローラ本体と加熱ローラ支持体とにより構成されている。加熱ローラ本体は、所定幅の環形状で形成された外周部221に円環形板状のリブ部222を一体形成し(アルミニウム合金製)、このものにボス部223をボルト締めにて結合するとともに、リブ部222の片側の面に、発熱線が装着された円環形板状をなすヒータ(リングヒータ)224を固定してなるものである。前記外周部221には、強化用繊維束2を案内する溝として、ローラ回転軸方向に並列する複数の円周溝、本例では10本の円周溝225が形成されており、溝付き加熱ローラをなしている。また、加熱ローラ支持体は、加熱ローラ本体の前記ボス部223にキーを用いて結合された加熱ローラ回転軸226と、加熱ローラ本体と一体に回転するこの加熱ローラ回転軸226を両端部に装着された軸受にて回転自在に支持して収容する円筒状の軸受ケース227とにより構成されている。この上側の加熱ローラ220の軸受ケース227が、取り付け部材を介して支持フレーム202に固定されている。
【0035】
下側の加熱ローラ230は、前記上側の加熱ローラ220と同一構成であって、加熱ローラ本体と加熱ローラ支持体とにより構成されている。加熱ローラ本体は、外周部231に円環形板状のリブ部232を一体形成し(アルミニウム合金製)、このものにボス部233をボルト締めにて結合するとともに、リブ部232の片側の面に、発熱線が装着された円環形板状をなすヒータ234を固定してなるものである。前記外周部231には、強化用繊維束2を案内する溝として、ローラ回転軸方向に並列する複数の円周溝、本例では9本の円周溝235が形成されており、溝付き加熱ローラをなしている。また、加熱ローラ支持体は、加熱ローラ本体の前記ボス部233にキーを用いて結合された加熱ローラ回転軸236と、加熱ローラ本体と一体に回転するこの加熱ローラ回転軸236を両端部に装着された軸受にて回転自在に支持して収容する円筒状の軸受ケース237とにより構成されている。この下側の加熱ローラ230の軸受ケース237が、取り付け部材を介して支持フレーム202に固定されている。なお、図示省略しているが、強化用繊維束2の導入部分と導出部分が開放された状態で加熱ローラ220,230を取り囲む加熱ローラ用カバーが備えられている。
【0036】
そして、バックテンションがかけられた状態で導かれた強化用繊維束2は、上側の加熱ローラ220の図4における左端の円周溝225を四分の一周して下降→下側の加熱ローラ230の図4における左端の円周溝235を半周して上昇→上側の加熱ローラ220の図4における左端の次の円周溝225を半周して下降→下側の加熱ローラ230の図4における左端の次の円周溝235を半周して上昇、というように加熱ローラ220,230に交互に巻き掛けられ、上側の加熱ローラ220の図4における右端の円周溝225を四分の一周してから含浸ヘッド9へ導かれるようになっている。なお、図3においては、各ボビン5A〜5Cからの各強化用繊維1をまとめて強化用繊維束2として上側の加熱ローラ220に案内する入側ガイド201(図1参照)は、図示省略してある。
【0037】
次に、ヒータ224,234への電力供給とヒータ温度調節について説明する。回転する上側の加熱ローラ220の前記ヒータ224には、図示しない第1加熱用電源からの配線が接続されたスリップリング206,206を介して該第1加熱用電源から電力が供給されるようになっている。スリップリング206,206は、前記支持フレーム202に取付け部材を介して固定されるスリップリング用ブラケット205に支持されている。また同様に、回転する加熱ローラ230の前記ヒータ234には、スリップリング207,207を介して図示しない第2加熱用電源から電力が供給されるようになっている。スリップリング207,207は、前記スリップリング用ブラケット205に支持されている。
【0038】
また、204は、加熱ローラ220,230の背面に位置して前記支持フレーム202に固定された取付けプレートである。208は、上側の加熱ローラ220のリブ部222に臨ませて取付けプレート204に取り付けられ、加熱ローラ220の温度を測定するための非接触式の放射温度計であり、同様に、209は、加熱ローラ230のリブ部232に臨ませて取付けプレート204に取り付けられ、下側の加熱ローラ230の温度を測定するための非接触式の放射温度計である(図5,図6参照)。
【0039】
温度調節器(制御盤)210は、放射温度計208から与えられる温度測定値情報に基づいて、上側の加熱ローラ220の温度が目標設定値になるように前記第1加熱用電源から前記ヒータ224へ供給される電力を制御するとともに、放射温度計209から与えられる温度測定値情報に基づいて、下側の加熱ローラ230の温度が目標設定値になるように前記第2加熱用電源から前記ヒータ234へ供給される電力を制御するものである。
【0040】
次に、この加熱ローラ装置から引き出される強化用繊維束2の張力調整を行うパウダーブレーキについて説明する。図4,図5に示すように、上側の加熱ローラ220の加熱ローラ回転軸226に連結されたスプロケット211と、支持フレーム202に固定された電磁式のパウダーブレーキ214の回転軸に連結されたスプロケット212との間にはチェーン213が掛け渡されている。パウダーブレーキ214によるブレーキ力を加減することで、含浸ヘッド9へ導かれる強化用繊維束2の張力を適切な値に調節できるようになっている。215はパウダーブレーキ制御盤である。
【0041】
次に、前記の冷却装置12について説明する。図7は図1における冷却装置の構成を概略的に示す平面図、図8は図7のA−A断面図である。
【0042】
冷却装置12は、上側が開放可能な蓋付きの箱状をなし、冷却水を貯留し、含浸ヘッド9から引き取られて水平方向に走行する長繊維強化樹脂ストランド4を冷却水中を通過させる冷却水槽13と、冷却水槽13内に長繊維強化樹脂ストランド4の走行方向に沿って上流側から下流側にわたって所定の間隔をあけて、かつ、長繊維強化樹脂ストランド4の走行路を挟むように千鳥配置され、冷却水中で長繊維強化樹脂ストランド4に向けて水を噴射する複数個の水噴射ノズル14と、これらの水噴射ノズル14に加圧水を供給するための加圧水供給管15とを備えている。
【0043】
また、冷却水槽13の冷却水槽端部板13a,13aには、樹脂含浸強化用繊維束が通過可能なようにU字形切欠開口(図示省略)が設けられている。冷却水槽13内の冷却水が、冷却水槽端部板13a,13aのU字形切欠開口からこぼれ落ちるが、冷却水槽13内には加圧水供給管15より水噴射ノズル14を通して冷却水が供給され、水位を一定に保持するようになっている。なお、水噴射ノズル以外に別途に設けた冷却水槽内に冷却水を供給する供給口から冷却水を供給して、水位を一定に保つようにしてもよい。そして、冷却水槽端部板13a,13aの下側には、冷却水槽13からの冷却水を返送し循環させるための図示しないポンプ、ドレン容器及びドレン配管が設けられている。
【0044】
このように、含浸ヘッド9と撚りローラ16A,16Bとの間に、冷却装置14として、含浸ヘッド9から引き取られる高温の長繊維強化樹脂ストランド4が冷却水中を水平方向に走行する冷却水槽13内に、長繊維強化樹脂ストランド4の走行方向に沿って間隔をあけて複数個設けられ、冷却水中で長繊維強化樹脂ストランド4に向けて水を噴射する水噴射ノズル14を備えている。
【0045】
したがって、これらの水噴射ノズル14が水を噴射することで発生する水流によって冷却水槽内の冷却水を攪拌することにより、入側から出側にわたって冷却水中を走行する長繊維強化樹脂ストランド4に、連続的に新たな冷却水流を導き与えて接触させることで、水噴射ノズル14を備えない冷却水槽に比べて、長繊維強化樹脂ストランド4と冷却水との熱交換を効率良く行って長繊維強化樹脂ストランド4に対する冷却速度を高めることができる。
【0046】
次に、前記の撚りローラ16A,16Bについて説明する。図9は図1における撚りローラの説明図である。
【0047】
一対の撚りローラ16A,16Bは、それぞれの回転軸線を平行な平面(水平面)上に保持し、かつ、該回転軸線を交差させた状態で冷却装置14からの長繊維強化樹脂ストランド4を挟むように対向配置されている。つまり、図9における上側の撚りローラ16Aの回転軸線と下側の撚りローラ16Bの回転軸線とは、長繊維強化樹脂ストランド4の引き取り方向(走行方向)と直交する向きでなく、平面視において引き取り方向に対して互いに相反する方向に、かつ同角度をなして所定角度ずれた向きに設定されている。また、金属製の上側の撚りローラ16Aは、ローラ表面(ローラ外周面)全体にわたってローレット加工による凹凸16Aaが形成されている。同様に,金属製の下側の撚りローラ16Bは、ローラ表面(ローラ外周面)全体にわたってローレット加工による凹凸16Baが形成されている。
【0048】
また、この実施形態では、一対の撚りローラ16A,16Bは、両方ともに回転駆動されるように構成されている。そして、この一対の撚りローラ16A,16Bは、樹脂含浸強化用繊維束に撚りを付与する機能を有し、かつ、本製造装置における引き取り機能を有していることから、撚りローラ16A,16Bの下流側に、別途、引取機を設けなくてすむものである。なお、撚りローラ16A,16Bからストランドカッターまでの設置距離が長くなるような場合や、割れやすいストランドを高速で引き取りたい場合などには、撚りローラ16A,16Bの下流側に引取機として撚りローラ16A,16Bと同様の構成を有する一対の引取りローラを設けてもよい。
【0049】
このように、一対の撚りローラ16A,16Bは、金属製であって、そのローラ表面に凹凸16Aa,16Baを形成してある。したがって、金属製の撚りローラ16A,16Bと長繊維強化樹脂ストランド4との間の摩擦係数が大きくなるため、冷却装置14による長繊維強化樹脂ストランド4の冷却効果と相俟って、確実に長繊維強化樹脂ストランド4の滑りを発生させることなく、長繊維強化樹脂ストランド4に撚りを与えることができる。また、金属製の撚りローラであるから、ゴム製の撚りローラよりも摩耗し難く長寿命であるため、長繊維強化樹脂ストランド4に滑りを発生させることなく、長期間にわたって引き取りを行うことができる。
【0050】
次に、このように構成される長繊維強化樹脂ストランドの製造装置による長繊維強化樹脂ストランドの製造について説明する。ボビン5A〜5Cから繰り出された強化用繊維1からなる強化用繊維束2は、強化用繊維バックテンション付与装置100A〜100Cによるバックテンションがかけられながら、加熱用ローラ装置200の上下に配された一対の加熱用ローラ220,230に導かれ、加熱用ローラ220,230に交互に複数回(本例では9ターン)巻き掛けられることで接触加熱によって昇温された状態で、含浸ヘッド9内に導かれる。強化用繊維束2は、押出機7から供給された高温の溶融樹脂3が充満されている含浸ヘッド9内の各含浸ローラ10を通過している過程で樹脂含浸を受け、樹脂含浸強化用繊維束となされる。また、この樹脂含浸強化用繊維束は、撚りローラ16A,16Bによる撚り動作によって含浸ヘッド9内の下流側の含浸ローラ10を出発点として撚りが生成・成長する。このように、含浸ヘッド9により強化用繊維束2に押出機9から供給された溶融樹脂3を含浸させるとともに、撚りローラ16A,16Bによる撚り動作によって樹脂含浸強化用繊維束に撚りを付与し、含浸ヘッド9から撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる長繊維強化樹脂ストランド4が連続的に引き取られる。
【0051】
そして、含浸ヘッド9から賦形ダイ13を経て連続的に引き取られる高温の長繊維強化樹脂ストランド4は、冷却装置14へ導かれ、冷却水槽13内の冷却水中を走行し、かつ、その走行路を挟むように千鳥配置された水噴射ノズル14からの水流を受けることにより冷却硬化されて、撚りローラ16A,16Bへと導かれる。冷却装置14からの冷却が施された長繊維強化樹脂ストランド4に対して、撚りローラ16A,16Bにより、撚り動作と引き取りとが行われる。そして、撚りローラ16A,16Bの下流側に導かれた長繊維強化樹脂ストランド4は、撚りローラ16A,16Bの下流側にあるペレタイザー30で切断されてペレット化されるようになっている。
【0052】
このように、本実施形態による長繊維強化樹脂ストランドの製造装置は、含浸ヘッド9の上流側に、一対の加熱ローラ220,230を有する加熱ローラ装置200を備え、さらに、この加熱ローラ装置200の上流側に、加熱ローラ220,230に巻き掛けられる強化用繊維束2に対してバックテンションを付与する、強化用繊維バックテンション付与装置100A〜100Cからなるバックテンション付与装置を備えている。これにより、強化用繊維束2は、前記バックテンション付与装置によってバックテンションがかけられた状態で、上下に配された一対の加熱ローラ220,230に交互に複数回巻き掛けられることにより、ヒータ224,234によって加熱されている該加熱ローラ220,230に密着接触しながら走行し、常温でなく予め加熱された状態で含浸ヘッド9に連続的に導かれる。
【0053】
したがって、強化用繊維束2の引取速度を高速化しても、含浸ヘッド9内における溶融樹脂の温度低下を抑制できることで強化用繊維束2に溶融樹脂を十分に含浸させることができるとともに、含浸ヘッド9内での溶融樹脂粘度の上昇を抑制できることで含浸ヘッド内を走行する強化用繊維束(樹脂含浸強化用繊維束)の張力の上昇を抑制することができる。よって、従来に比べ高速の引取速度(生産速度)、例えば40m/分を上回る引取速度にて長繊維強化樹脂ストランドを製造することができるとともに、引取速度の高速化のための加熱ローラ装置220の設置スペースが小さくてすむ。
【0054】
前記図1に示す製造装置を用いて、長繊維強化樹脂ストランドの製造実験を行った。
【0055】
加熱ローラ220,230の加熱ローラ本体は、直径:約250mm、外周部221の幅:約100mmである。一対の加熱ローラ220,230の加熱ローラ回転軸間の距離は、約400mmである。
【0056】
冷却却装置12の冷却水槽13の長さは2mである。水噴射ノズル14については、長繊維強化樹脂ストランド走行路を挟む一方側(図7における下側)の列に20個、他方側(図7における上側)の列に20個を、ストランド走行路に対して千鳥配置した。ストランド走行方向における隣り合う水噴射ノズル14同士の中心線間距離は70mmである。撚りローラ16A,16Bは、両方ともに回転駆動される機構であり、SKD11(合金工具鋼)調質材を焼入れしたものからなり、ローレット加工によりローラ表面全体にアヤメピッチ1mmの凹凸を形成してある。
【0057】
強化用繊維としてガラス繊維、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを使用し、ストランド外径2.4mmの長繊維強化樹脂ストランドを製造する実験を行った。その結果、含浸ヘッド9に加熱ローラ220,230によって予め加熱しておいた強化用繊維束2が導かれるようにした場合、最高引取速度:90m/分という(それ以上、引取速度は上げなかったが)従来と比較にならないほど高速で引き取りを行うことができた。この場合、含浸ヘッド9へ導かれる強化用繊維束2の温度は、160〜200℃とした。一方、加熱ローラ220,230による加熱を施さない場合(比較例)、最高引取速度:40m/分であった。引取速度が40m/分を超えたあたりで、溶融樹脂粘度の上昇に起因して含浸ヘッド9内を走行する強化用繊維束の張力が大きく上昇し、引き取りを行うことができなかった。
【0058】
図10は本発明に係るバックテンション付与装置の他の例を説明するための図である。
【0059】
図10において、111はボビン5Aの回転軸5aに連結され、撚りローラ16A,16Bによる強化用繊維1の引き取りに応じてボビン5Aを回転駆動するボビン駆動モータである。また、112及び113は固定ガイドローラ、114は上下に移動可能なダンサーローラである。115はダンサーローラ位置検出器であり、ダンサーローラ114の上下の動きを回転角度として検出する回転型のポテンショメータを用いて構成されている。加熱ローラ装置200の入側ガイド201に向かう強化用繊維1に所定のバックテンションがかかるようにしたときの位置が、ダンサーローラ114の基準位置として設定されている。
【0060】
そして、ダンサーローラ位置検出器115によるダンサーローラ114の位置信号が与えられるテンションコントローラ116からの指令により、ダンサーローラ114の位置が基準位置より下がってくるとホビン駆動モータ111の回転速度が減速され、基準位置より上になると回転速度が増速されることにより、強化用繊維1に所定のバックテンションが付与されるようになっている。なお、ボビン駆動モータ111に代えて、ボビン5Aの回転軸5aに結合されるパウダーブレーキを設置し、ダンサーローラ114の位置が基準位置より下がってくるとブレーキを強め、基準位置より上になるとブレーキを弱めるようにしてもよい。
【0061】
前記のボビン駆動モータ111、固定ガイドローラ112,113、ダンサーローラ114、ダンサーローラ位置検出器115及びテンションコントローラ116により、ボビン5Aからの強化用繊維1にバックテンションをかける強化用繊維バックテンション付与装置110Aが構成されている。また、他のボビン5B,5Cそれぞれからの強化用繊維1にバックテンションをかける強化用繊維バックテンション付与装置110B,110Cは、強化用繊維バックテンション付与装置110Aと同一の構成である。そして、これらの強化用繊維バックテンション付与装置110A〜110Cにより、加熱ローラ220,230に巻き掛けられる強化用繊維束2にバックテンションを付与するバックテンション付与装置が構成されている。
【0062】
図11は本発明に係るバックテンション付与装置の他の例を説明するための図である。
【0063】
図11において、6Aは容器内に落とし込まれて円筒状に巻回された長尺の強化用繊維1が収容されてなる強化用繊維収納容器である。強化用繊維収納容器6Aから引き出された強化用繊維1は、複数のガイドバー121によってジクザクに走行することでバックテンションがかけられ、バックテンションがかけられた状態で加熱ローラ装置200の一対の加熱ローラ220,230へ導かれる。
【0064】
前記の複数のガイドバー121により、強化用繊維収納容器6Aからの強化用繊維1にバックテンションをかける強化用繊維バックテンション付与装置120Aが構成されている。また、他の強化用繊維収納容器6B,6Cそれぞれからの強化用繊維1にバックテンションをかける強化用繊維バックテンション付与装置120B,120Cは、強化用繊維バックテンション付与装置120Aと同一の構成である。そして、これらの強化用繊維バックテンション付与装置120A〜120Cにより、加熱ローラ220,230に巻き掛けられる強化用繊維束2にバックテンションを付与するバックテンション付与装置が構成されている。
【0065】
なお、前記の実施形態では、2つの加熱ローラに強化用繊維束を交互に巻き掛けるものを説明したが、本発明による製造装置は、これに限らず、例えば3つ以上の加熱ローラを用いるものであってもよい。また、2つの加熱ローラを用いるものの場合、両加熱ローラに強化用繊維束をたすき掛け状態で交互に巻き掛けるようにしてもよく、こうすることで1巻き当りの接触長さを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態による長繊維強化樹脂ストランドの製造装置の全体構成を示す構成説明図である。
【図2】図1における強化用繊維バックテンション付与装置を示す概略構成図である。
【図3】図1における加熱ローラ装置の構成を示す正面図である。
【図4】図3に示す加熱ローラ装置のB矢視方向からの構成説明のための側面図である。
【図5】図3に示す加熱ローラ装置の背面図である。
【図6】図3のA−A断面における構成を説明するための図である。
【図7】図1における冷却装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】図1における撚りローラの説明図である。
【図10】本発明に係るバックテンション付与装置の他の例を説明するための図である。
【図11】本発明に係るバックテンション付与装置の他の例を説明するための図である。
【図12】従来方法の実施に用いられる長繊維強化樹脂ストランドの製造装置の構成説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1…強化用繊維
2…強化用繊維束
3…溶融樹脂
4…長繊維強化樹脂ストランド
5A〜5C…ボビン
6A〜6C…強化用繊維収納容器
7…押出機
8…スクリュ
9…含浸ヘッド
10…含浸ローラ
11…賦形ダイ
12…冷却装置
13…冷却水槽
14…水噴射ノズル
16A,16B…撚りローラ、16Aa,16Ba…凹凸
30…ペレタイザー(ストランドカッター)
100A〜100C…強化用繊維バックテンション付与装置
110A〜110C,120A〜120C…強化用繊維バックテンション付与装置
101…帯状シュー部材、
102…引張コイルばね
103…バックテンション調節用スライダ
111…ボビン駆動モータ
114…ダンサーローラ
115…ダンサーローラ位置検出器
116…テンションコントローラ
121…ガイドバー
200…加熱ローラ装置
201…入側ガイド
202…支持フレーム
206,207…スリップリング
208,209…放射温度計
210…温度調節器
211,212…スプロケット
213…チェーン
214…パウダーブレーキ
215…パウダーブレーキ制御盤
220,230…加熱ローラ
221,231外周部
222,232…リブ部
223,233…ボス部
224,234…ヒータ
225,235…円周溝
226,236…加熱ローラ回転軸
227,237…軸受ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側より長尺の強化用繊維束が連続的に導入される含浸ヘッドを備えるとともに、前記含浸ヘッドの下流側に冷却装置と撚りローラとをこの順に備え、前記含浸ヘッドにより前記強化用繊維束に溶融樹脂を含浸させるとともに、樹脂含浸強化用繊維束に前記撚りローラによる撚りを付与し、前記含浸ヘッドからの撚りが付与された樹脂含浸強化用繊維束からなる長繊維強化樹脂ストランドを前記冷却装置にて冷却水中で冷却し、連続して引き取ることにより、長繊維強化樹脂ストランドを製造する装置において、
少なくとも2つの加熱ローラを有して前記含浸ヘッドの上流側に設けられ、強化用繊維束を少なくとも2つの前記加熱ローラに交互に複数回巻き掛けることで該加熱ローラに接触させて加熱することにより、予め加熱された強化用繊維束が前記含浸ヘッドに連続的に導かれるようにした加熱ローラ装置と、前記加熱ローラ装置の上流側に設けられ、前記加熱ローラに巻き掛けられる強化用繊維束に対してバックテンションを付与するバックテンション付与装置と、を備えていることを特徴とする長繊維強化樹脂ストランドの製造装置。
【請求項2】
前記加熱ローラは、強化用繊維束を案内する溝として、ローラ外周部にローラ回転軸方向に並列する複数の円周溝を有していることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化樹脂ストランドの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−331110(P2007−331110A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161849(P2006−161849)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【特許番号】特許第3997252号(P3997252)
【特許公報発行日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】