説明

障壁冗長構成要素を有する相互接続構造体および相互接続構造体を形成する方法

【課題】障壁冗長構成要素を有する相互接続構造体と、相互接続構造体を形成する方法とを提供する。
【解決手段】導電性ライン20の部分の上にバイア拡散障壁30が存在する。導電性ライン20の上で障壁30がない部分に存在する導電性材料54は、導電性ライン拡散障壁22とバイア拡散障壁30との間の電気的経路を提供する。従って、導電性材料54、導電性ライン拡散障壁22およびバイア拡散障壁30を用いて、内部障壁冗長構成要素が形成される。障壁冗長構成要素によって提供されるこの電気的経路によって、バイア底部のEM不良から生じる突然の回路開放を回避することができる。従って、監視デバイスによってEM不良が検出された後、チップ交換またはシステム操作調節のために十分な時間を提供する障壁冗長構成要素が相互接続構造体に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造体と、半導体構造体を製造する方法とに関する。より詳しくは、本発明は、監視デバイスによってエレクトロマイグレーション不良が検出された後、突然の開路を回避する障壁冗長構成要素を備える相互接続構造体に関する。本発明は、上記で述べた構成要素を備える相互接続構造体を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスは、半導体基板の上に作製された集積回路を形成する複数の回路を備える。通常、複雑な信号路のネットワークが配線され、基板の表面の上に分布する回路素子を結線する。デバイス上のこれらの信号を効率的に配線するために、例えば単一または二重ダマシン配線構造体などの複数レベルまたは多層構造体の形成が求められる。銅Cu系相互接続は、複雑な半導体チップの上の多数のトランジスタの間でアルミニウムAl系相互接続と比較して高速の信号伝達を提供するので、一般に、配線構造体はCuを含む。
【0003】
一般的な相互接続構造体の内部では、半導体基板に垂直に金属バイアが設けられ、半導体基板に平行に金属ラインが設けられる。現在のIC製品チップでは、二酸化シリコンより小さな誘電率を有する誘電体材料の中に金属ラインおよび金属バイア(導電性構成要素の例)を埋め込むことによって、信号速度をさらに加速することと、隣り合った金属配線間の信号(「クロストーク」として知られる)を減らすこととを実現する。
【0004】
一般的な相互接続構造体では、動作中の半導体デバイスの内部のコンタクト・バイアの下で空洞蓄積がしばしば観測される。空洞蓄積が起ると、比抵抗が増加するために信号伝達速度が低下し、最終的には、空洞サイズがコンタクト区域全体に達するや否や回路が開くので、望ましくない。この空洞蓄積の問題を図1に示す。詳しくは、図1は、従来技術相互接続構造体の断面SEM(走査電子顕微鏡像)画像であり、空洞蓄積の問題の例を示している。
【0005】
上記で述べた不良は、コンタクト区域での電流密度が発散することが原因であり、導電性相互接続の内部のエレクトロマイグレーション(EM)不良の現象に帰結する。現在の半導体デバイスの構成要素サイズが小さくなるにつれてEMはさらに深刻化し、開路が起きるまでの蓄積時間は短くなる一方である。
【0006】
次に、図2、図3のAおよび図3のBを参照して、前述の問題をさらに説明する。詳しくは、上部コンタクト・バイアと下部金属ラインとが同程度の臨界寸法サイズを有する場合、バイアの側壁の周りの拡散障壁113は、図2の領域112に示すように、下部金属ラインの側壁の上の拡散障壁114と接触する。障壁間コンタクト、すなわち障壁冗長は、エレクトロマイグレーション不良が起こったとき電気的経路を提供し、突然の完全開路を回避する。しかし、そうでない場合、図2の区域111で、コンタクト・バイアのサイズが下部金属ラインより小さいとき、通常のプロセスでは障壁冗長構成要素を利用することはできない。この場合、エレクトロマイグレーション不良が起こるや否や回路は壊れてしまう。図3のAと図3のBとに、平面図による区域111と112との間の比較をそれぞれ示す。図に示したように、上記で述べたEM不良は、相互接続構造体が狭幅ラインの場合ではなく、広幅ラインの場合に起る。用語「広幅ライン」は、ラインの寸法が上部バイア接触より広い場合、すなわち図3のAのD/d>1の場合を記述するために用いられる。この場合は図2の区域111に示される。用語「狭幅ライン」は、金属ラインが上部バイア接触と実質的に同じであるか、または狭い場合、すなわち図3のBのD/d≦1の場合を記述するために用いられる。この場合は図2の区域112に示される。
【0007】
相互接続構造体のEM抵抗を改善する方法を提供するために、多くの研究努力が捧げられた。これらの努力には、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4が含まれる。EM抵抗を改善する方法は知られているが、上記で述べた相互接続構造体の広幅ラインの空洞問題は、これまで認識されておらず、従って従来技術ではこの問題を軽減するための適切な解決策はまったく知られていない。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,515,368号
【特許文献2】米国特許第6,365,503号、
【特許文献3】米国特許第6,096,637号
【特許文献4】米国特許第5,770,519号
【特許文献5】米国特許出願第11/306,985号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑みて、EM不良が原因になって起る突然の開路を回避することができる構成要素を備える相互接続構造体を提供することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エレクトロマイグレーション(EM)不良の後の突然の開路を回避することができる障壁冗長構成要素を備える相互接続構造体、ならびに相互接続構造体を形成する方法を提供する。本発明によれば、障壁冗長構成要素は、例えば、広幅ライン領域、狭幅ライン領域またはそれらの任意の組み合わせを含む相互接続構造体のあらかじめ選択された場所の内部に配置される。広幅ライン領域の中だけに存在するとき、障壁冗長構成要素は、臨界最大値で金属と金属との間の短絡を回避することができる。
【0011】
本発明によれば、障壁冗長構成要素は、導電性ラインの拡散障壁と上部バイアの拡散障壁との間に配置されて導電性ラインの拡散障壁と上部バイアの拡散障壁とに接触する導電性材料を備える。本発明の障壁冗長構成要素が存在すると、バイアの側壁の周りのバイア拡散障壁と下部導電性ラインの側壁の周りの導電性ライン拡散障壁との間に電気的経路が作り出される。本発明の障壁冗長構成要素によって作り出されるこの電気的経路によって、バイアの底部におけるEM不良によって生じる突然の開路を回避することができる。相互接続構造体の内部に本発明の障壁冗長構成要素が存在すると、EM不良が検出された後、チップ交換またはシステム動作調整のための十分な時間が確保される。特許文献5の2006年1月18日出願の「オンチップ・エレクトロマイグレーション監視システム」と題する別発明は、米国特許商標局内で係属中であり、進歩した半導体製品の中で本発明とともに使用されると考えられる。
【0012】
全体として、本発明の相互接続構造体は、
上部相互接続レベルの中に配置された導電性被充填バイアであって、バイア拡散障壁で囲まれた側壁を有する導電性被充填バイアと、
下部相互接続レベルの中に配置され、導電性被充填バイアに接続された導電性ラインであって、導電性ラインは導電性ライン拡散障壁で囲まれた側壁を有し、バイア拡散障壁は導電性ライン拡散障壁と直接接触していない導電性ラインと、
導電性ライン拡散障壁とバイア拡散障壁との間に配置されて導電性ライン拡散障壁とバイア拡散障壁とに接触し、それによって、導電性被充填バイアの側壁の周りのバイア拡散障壁と、導電性ラインの側壁の周りの導電性ライン拡散障壁との間に電気的経路を作り出す導電性材料と
を備える。
【0013】
本発明によれば、上部相互接続レベルと下部相互接続レベルとの間に、誘電体キャッピング層が配置される。この誘電体キャッピング層が一般にバイア接点の側壁と接触し、従って、下部相互接続レベルの導電性ラインの上にある程度延在する従来技術相互接続構造体とは異なり、本発明の相互接続構造体の中の誘電体キャッピング層は、導電性材料が配置されている導電性ラインと接触もせず、導電性ラインの上に延在もしない。誘電体キャッピング層は、導電性材料が存在する区域のバイア接触の側壁と接触しない点にさらに注意すること。
【0014】
本発明の一実施態様では、
上部相互接続レベルの中に配置された導電性被充填バイアであって、バイア拡散障壁に囲まれた側壁を有する導電性被充填バイアと、
下部相互接続レベルの中に配置され、導電性被充填バイアに接続されたCu導電性ラインであって、Cu導電性ラインは導電性ライン拡散障壁で囲まれた側壁を有し、バイア拡散障壁は導電性ライン拡散障壁と直接接触していないCu導電性ラインと、
導電性ライン拡散障壁とバイア拡散障壁との間に配置されて導電性ライン拡散障壁とバイア拡散障壁とに接触し、それによって、導電性被充填バイアの側壁の周りのバイア拡散障壁と導電性ラインの側壁の周りの導電性ライン拡散障壁との間に電気的経路を作り出す導電性材料と、
を備える相互接続構造体が提供される。
【0015】
上記で示したように、本発明は、障壁冗長構成要素が選択的に内部に導入され、バイアの側壁と導電性ラインの側壁との周りの電気的経路を提供する、上記で述べた相互接続構造体を製造する方法も提供する。
【0016】
全体として、本発明の方法は、
内部に埋め込まれた少なくとも一つの導電性ラインを有する下部相互接続誘電体の表面の上に配置された誘電体キャッピング層を備える構造体であって、前記少なくとも一つの導電性ラインと前記下部相互接続誘電体とは、導電性ライン拡散障壁で分離されている構造体を提供する工程と、
前記少なくとも一つの導電性ラインの表面から前記誘電体キャッピング層を選択除去して、露出された表面を設ける工程と、
少なくとも一つの導電性ラインの露出された表面の上に導電性材料を形成する工程と、
前記少なくとも一つの導電性ラインより上に配置された少なくとも一つの導電性被充填バイアを有する上部相互接続誘電体を形成する工程であって、前記少なくとも一つの導電性被充填バイアはその側壁を被覆する障壁材料を有する工程と、
を含み、前記導電性材料は、前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁との間に配置されて前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁とに接触し、それによって、導電性被充填バイアの側壁の周りのバイア拡散障壁と導電性ラインの側壁の周りの導電性ライン拡散障壁との間に電気的経路を作り出す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、以下の説明と、本願に添付の図面を参照することによって、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、監視デバイスによってエレクトロマイグレーション不良が検出された後、突然の開路を回避する障壁冗長構成要素を備える相互接続構造体と、相互接続構造体を製造する方法とを提供する。
【0018】
本明細書中、下記でさらに詳しく参照される本願の図面は、例を示すために提供されるものであり、従って、一定の比率で描かれたものではない。
【0019】
基本プロセス・フローを説明する前に、以下の説明は本発明の好ましい実施態様の例を示しており、そのような好ましい実施態様の例では、障壁冗長構成要素は相互接続構造体の広幅ラインとともに配置されていることに注意すること。
【0020】
本発明のプロセス・フローは、図4に示す開始相互接続構造体10を準備することによって開始される。詳しくは、図4に示す開始相互接続構造体10は、誘電体キャッピング層14が上に配置された下部相互接続レベル12を備える。下部相互接続レベル12は、一つ以上の半導体デバイスを備える半導体基板の上に配置されていてもよく、少なくとも一つの導電性ライン20を有する第一の誘電体材料18を備える。導電性ライン20は、導電性ライン拡散障壁22によって第一の誘電体材料18から分離されている。
【0021】
図4に示す開始相互接続構造体10は、当分野で公知の標準的な相互接続プロセス加工を利用して作製される。例えば、最初に第一の誘電体材料18を基板(示されていない)の表面に塗布することによって、開始相互接続構造体10を形成してもよい。図には示していないが、基板は、半導体材料、絶縁材料、導電性材料またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。基板が半導体材料で構成されるとき、Si、SiGe、SiGeC、SiC、Ge合金、GaAs、InAs、InPおよび他のIII族/V族またはII族/VI族化合物半導体などの任意の半導体を用いてもよい。これら列挙した種類の半導体に加えて、本発明は、半導体基板が例えばSi/SiGe、Si/SiC、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)またはシリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SGOI)などの層状半導体である場合も包含する。
【0022】
基板が絶縁材料であるとき、絶縁材料は、有機絶縁体、無機絶縁体または多層を含むそれらの組み合わせであってもよい。基板が導体材料であるとき、基板は、例えばポリSi、元素状金属、元素状金属の合金、金属シリサイド、金属窒化物または多層を含むそれらの組み合わせを含んでもよい。基板が半導体材料を含むとき、例えば、相補的金属酸化物半導体(CMOS)デバイスなどの一つ以上の半導体デバイスを基板の上に作製してもよい。
【0023】
下部相互接続レベル12の第一の誘電体材料18は、無機誘電体または有機誘電体を含む任意のレベル間またはレベル内誘電体を含んでもよい。第一の誘電体材料18は、多孔質体であってもよく、あるいは非多孔質体であってもよい。第一の誘電体材料18として用いることができる適当な誘電体のいくつかの例は、SiO、シルセスキオキサン類、Si、C、OおよびHの原子を含むCでドーピングされた酸化物(すなわちオルガノシリケート類)、熱硬化性ポリアリーレンエーテルまたはそれらの多層構造を含むが、それらに限定されない。本願の用語「ポリアリーレン」は、結合、縮合環または例えば酸素、硫黄、スルホン、スルホキシド、カルボニルおよび類似基などの不活性結合基によって連結されているアリール部分または不活性置換アリール部分を表すために用いられる。
【0024】
典型的には、第一の誘電体材料18は約4.0以下の誘電率を有し、約2.8以下の誘電率がより典型的である。一般に、これらの誘電体を用いると、4.0より高い誘電率を有する誘電体材料と比較して寄生クロストークが低くなる。第一の誘電体材料18の厚さは、用いられる誘電体材料ならびに下部相互接続レベル12の中の誘電体の正確な数によって変化させてもよい。典型的には、通常の相互接続構造体の場合、第一の誘電体材料18は約200から約450nmの厚さを有する。
【0025】
下部相互接続レベル12は、第一の誘電体材料18の中に埋め込まれた(すなわち内部に配置された)少なくとも一つの導電性ライン20も有する。導電性ライン20は、第一の誘電体材料18から導電性ライン拡散障壁(すなわち導電性ライン20用の拡散障壁)22で分離された導電性領域を含む。形成される導電性ライン20の幅は変化させてもよく、そのため、導電性ライン20のいくつかは他の導電性ラインより広い。導電性ライン20は、リソグラフィー(すなわち、第一の誘電体材料の表面にフォトレジストを塗布すること、フォトレジストを所望のパターンの放射に露光させることおよび通常のレジスト現像液を利用して露光させたフォトレジストを現像すること)と、第一の誘電体材料18の中に開口部をエッチング(ドライ・エッチングまたはウェット・エッチング)することと、エッチングされた領域に導電性ライン拡散障壁22、次いで導電性材料を充填して導電性領域を形成することと、によって形成される。導電性ライン拡散障壁22は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、W、WN、CoWP、または導電性材料が拡散して通り抜けることを防ぐために役立たせることができる任意のその他の材料を含んでもよく、例えば原子層堆積(ALD)法、化学的気相堆積(CVD)法、プラズマ促進化学的気相堆積(PECVD)法、物理的気相堆積(PVD)法、スパッタリング法、化学的溶液堆積法またはめっき法などの堆積プロセスによって形成される。
【0026】
導電性ライン拡散障壁22の厚さは、析出プロセスの手段そのものならびに使用される材料によって変化させてもよい。典型的には、導電性ライン拡散障壁22は約4から約40nmの厚さを有し、約7から約20nmの厚さがより典型的である。
【0027】
導電性ライン拡散障壁22形成に続いて、第一の誘電体材料18の中の開口部の残存する領域を導電性材料で充填して導電性ライン20を形成する。導電性ライン20を形成する際に用いられる導電材料は、例えば、ポリSi、導電性金属、少なくとも一つの導電性金属を含む合金、導電性金属シリサイドまたはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、導電性ライン20を形成する際に用いられる導電材料は、Cu、WまたはAlなどの導電性の金属であり、本発明においてはCuまたはCu合金(AlCuなどの)が非常に好ましい。導電性材料は、CVD法、PECVD法、スパッタリング法、化学的溶液堆積法またはめっき法を含むが、それらに限定されない従来の堆積プロセスを利用して、第一の誘電体材料18の中の残存する開口部の中に充填される。堆積後、例えば、化学的機械研摩(CMP)法などの従来の平坦化プロセスを用いて、導電性ライン拡散障壁22と導電性ライン20とのそれぞれが第一の誘電体材料18の上部表面と実質的に同一平面上にある上部表面を有する構造体を提供することができる。
【0028】
少なくとも一つの導電性ライン20を形成した後、例えばCVD法、PECVD法、化学的溶液堆積法または蒸着法などの従来の堆積プロセスを利用して、下層相互接続レベル12の表面の上(第一の誘電体層18と導電性ライン20との上を含む)に誘電体キャッピング層14を形成する。誘電体キャッピング層14は、例えばSiC、SiNH、SiO、炭素をドーピングされた酸化物、窒素および水素をドーピングされたシリコン炭化物SiC(N,H)またはそれらの多層などの任意の適当な誘電体キャッピング材料を含む。誘電体キャッピング層14の厚さは、誘電体キャッピング層を形成するために用いられる技法ならびに層の材料構成によって変化させてもよい。典型的には、誘電体キャッピング層14は約15から約55nmの厚さを有し、約25から約45nmの厚さがより典型的である。
【0029】
次に、図4に例を示した構造体の上に、少なくとも一つの開口部52を有するパターン形成されたフォトレジスト50を設ける。パターン形成されたフォトレジスト50を備えるこの構造体は、例えば図5に示される。パターン形成されたフォトレジスト50は、最初に、図4に示した開始構造体10にブランケット・フォトレジスト層を塗布することによって形成される。ブランケット・フォトレジスト層は、任意の従来のフォトレジスト材料(ポジ型、ネガ型またはハイブリッド型)を含み、例えば、スピン・オンコーティング、化学的気相堆積(CVD)法および物理的気相堆積法を含む任意の従来の堆積手段を利用して形成される。塗布されるフォトレジスト材料の厚さは、従来の範囲内であり、本発明を実践する上で重要ではない。フォトレジストのブランケット層を開始構造体10に塗布した後、ブランケット・フォトレジスト層をリソグラフィー・プロセスで処理する。リソグラフィー・プロセスは、レジストを所望の放射パターンに露光し、露光されたレジストを従来のレジスト現像液を利用して現像することを含む。図5に示したように、フォトレジスト層中に形成される少なくとも一つの開口部52は、相対的に広い導電性ライン20の上に配置される。広幅導電性ラインは、図5に示した構造体の区域211に配置されている。
【0030】
パターン形成されたフォトレジスト50を設けた後、誘電体キャッピング層14の材料に選択的なエッチング・プロセスを利用して、少なくとも一つの開口部52の中の誘電体キャッピング層14の露出された部分を除去し、導電性ライン20の表面の上で停止する。通常、反応性イオン・エッチングなどのドライ・エッチング・プロセスを利用する。化学的ウェット・エッチング・プロセスを利用することによって少なくとも開口部52の中の露出された誘電体キャッピング層14を開口させることを実行してもよい。これで、区域211の導電性ライン20の部分が露出されたことが観測される。
【0031】
図6は、パターン形成されたフォトレジスト50を構造体から除去した後の図5の構造体の例を示す。任意の従来のレジスト・ストリッピング・プロセスを用いて、パターン形成されたフォトレジスト50を構造体から除去してもよい。図6は、区域211における導電性ライン20の上の導電性材料54の選択的堆積の例を示す。本発明のこの実施態様で使用される選択的に堆積される導電性材料54は、エレクトロマイグレーション抵抗(すなわち拡散障壁)特性を有する任意の材料を含む。導電性材料20と誘電体キャップ材料14との間の選択性のため、導電性材料54は、露出された導電性ライン20表面の上にだけ堆積することができるが、誘電体キャップ材料14表面の上に堆積することはできない。導電性材料54は、Co、Co含有合金、例えばCo(W、P、B、Mo、Re)、またはその他の材料で構成されるとよい。本発明のこの実施態様の堆積プロセスは、電気めっき、無電解めっき、またはその他の同様な堆積法によって実行するとよい。導電性材料54の厚さは、堆積プロセスの手段そのものならびに使用される材料によって変化させてもよい。典型的には、導電性材料54は約4から約40nmの堆積終了時厚さを有し、約7から約20nmの厚さがより典型的である。図6に例を示したように、導電性材料54は、区域211において導電性ライン20の露出された表面の上に配置される。本発明のこの時点で、一般に、常にではないが、導電性材料54は、誘電体キャップ層14の上部表面より実質的に下になる上部表面を有する。
【0032】
導電性材料堆積を実行する代わりの方法は、図7に示す「非選択的」方法である。詳しくは、図7は、区域211における導電性ライン20の露出された表面の上、ならびに誘電体キャッピング層14の残存する部分の上に導電性材料54が形成された後の構造体の例を示す。本発明のこの実施態様で使用される導電性材料54は、エレクトロマイグレーション抵抗(すなわち拡散障壁)特性を有する任意の材料を含む。本発明のこの実施態様のための導電性材料54に適する材料は、導電性ライン拡散障壁22と同じまたは異なる材料を含む。導電性材料54は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、W、WN、CoWP、または導電性材料が拡散して通り抜けることを防ぐ障壁として役立つ任意の他の材料を含んでもよく、例えば、原子層堆積(ALD)法、化学的気相堆積(CVD)法、プラズマ促進化学的気相堆積(PECVD)法、物理的気相堆積(PVD)法、スパッタリング法、化学的溶液堆積法またはめっき法などの非選択的堆積プロセスによって形成される。さまざまな非選択的方法の中でPVPが好ましい。導電性材料54の厚さは、非選択的堆積プロセスの手段そのものならびに使用される材料によって変化させてもよい。典型的には、本発明のこの非選択的実施態様の場合、導電性材料54は約20から約60nmの堆積終了時厚さを有し、約30から約50nmの厚さがより典型的である。
【0033】
図8は、誘電体キャッピング層14をエッチング停止層として用いる平坦化工程によって図7の構造体を処理した後の例を示す。図8の例のように、区域211における導電性ライン20の露出された表面の上に、残存する導電性材料54が配置される。本発明のこの時点で、一般に、常にではないが、残存する導電性材料54は、誘電体キャップ層14の上部表面と実質的に同一平面になる上部表面を有する。
【0034】
次に、最初に図6または図8に示した構造体の上部の露出された表面に(すなわち、キャッピング層14と残存する導電性材料54との上に)第二の誘電体材料24を塗布することによって、上部相互接続レベル16を形成する。第二の誘電体材料24は、下部相互接続レベル12の第一の誘電体材料18の誘電体材料と同じまたは異なる、好ましくは同じ誘電体材料を含むとよい。第一の誘電体材料18のためのプロセス加工技法および厚さ範囲をここで第二の誘電体材料24に適用してもよい。次に、上記で説明したように、リソグラフィーとエッチングとを利用して、第二の誘電体材料24の中に少なくとも一つの開口部を形成する。エッチングは、ドライ・エッチング・プロセス、ウェット化学エッチング・プロセスまたはそれらの組み合わせを含んでもよい。本明細書では、用語「ドライ・エッチング」を用いて反応性イオン・エッチング、イオン・ビーム・エッチング、プラズマ・エッチングまたはレーザ・アブレーションなどのエッチング技法を表す。
【0035】
一般に、少なくとも一つの開口部は、バイア開口部とライン開口部とを備える。バイア開口部は、第二の相互接続レベル16の中のライン開口部より下に配置されるが、第一の相互接続レベル12の中の導電性ライン20より上に配置される。バイア開口部とライン開口部とが形成される場合、相互接続レベル12とレベル16との間の電気的接触を確保するために、エッチング工程によって、導電性ライン20の上に位置する区域の誘電体キャッピング層14と導電性材料54との一部も除去する。
【0036】
次に、第二の誘電体材料24の上の露出された表面(開口部の中の壁表面を含む)の上にバイア拡散障壁30を形成することによって、拡散障壁特性を有するバイア拡散障壁30を設ける。バイア拡散障壁30は、導電性ライン拡散障壁22の材料と同じまたは異なる材料を含む。従って、バイア拡散障壁30は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、W、WN、CoWP、または導電性材料が拡散して通り抜けることを防ぐ障壁として役立つことができる任意のその他の材料を含んでもよい。多層積層拡散障壁を形成するこれらの材料の組み合わせも包含される。バイア拡散障壁30は、例えば原子層堆積(ALD)法、化学的気相堆積(CVD)法、プラズマ促進化学的気相堆積(PECVD)法、物理的気相堆積(PVD)法、スパッタリング法、化学的溶液堆積法またはめっき法などの堆積プロセスを利用して形成される。
【0037】
バイア拡散障壁30の厚さは、障壁の中の材料層の数、障壁を形成する際に用いられる技法ならびに拡散障壁それ自体の材料によって変化させてもよい。典型的には、バイア拡散障壁30は約4から約40nmの厚さを有し、約7から約20nmの厚さがより典型的である。
【0038】
バイア拡散障壁30を形成した後、オプションとしてめっきシード層(図には示していない)を形成してもよい。オプションではあるが、構造体の中にめっきシード層を含めて導電材料の成長を助けることは好ましい。これは、続いて、導電性の金属または金属合金が少なくとも一つの開口部の中に形成されるとき、特に言えることである。めっきシード層が存在するとき、本明細書中、下記でさらに詳しく説明する導電性材料38を形成する際に用いられるものなどの導電性の金属または金属合金を含むとよい。一般的に、導電性材料38がCuを含むとき、めっきシード層は、Cu、CuAl、CuIr、CuTa、CuRh、TaRuまたはCuのその他の合金、すなわちCu含有合金を含む。
【0039】
めっきシード層は、例えば、ALD法、CVD法、PECVD法、PVD法、化学的溶液堆積法および他の同様な堆積プロセスを含む従来の堆積プロセスによって形成される。めっきシード層の厚さは変化してもよく、当業者に公知の範囲内にある。一般的に、めっきシード層は約2から約80nmの厚さを有する。
【0040】
次に、少なくとも一つの開口部の中に相互接続導電材料38を形成する。相互接続導電性材料38は、導電性ライン20の導電性材料と同じまたは異なる、好ましくは同じ導電性材料を含むとよい。好ましくは、Cu、Al、Wまたはそれらの合金が用いられ、CuまたはAlCuが最も好ましい。導電性ライン20を形成する際に上記で説明したものと同じ堆積プロセス加工法を利用して導電性材料38を形成し、導電性材料の堆積に続いて、構造体を平坦化処理する。平坦化プロセスは、上部相互接続レベル16の上部水平表面より上に存在する拡散障壁30、めっきシード層および導電材料38を除去し、図9に示す構造体を提供する。
【0041】
詳しくは、図9は、本発明の相互接続構造体の断面図の例を示す。図に示すように、導電性材料54は、導電性ライン拡散障壁22とバイア拡散障壁30との間の電気的経路を提供する。従って、例を示した構造体とともに導電性材料54、導電性ライン拡散障壁22およびバイア拡散障壁30を用いて、内部障壁冗長構成要素が形成される。障壁冗長構成要素によって提供されるこの電気的経路によって、バイア底部のEM不良から生じる突然の回路開放を回避することができる。従って、監視デバイスによってEM不良が検出された後、チップ交換またはシステム操作調節のために十分な時間を提供する障壁冗長構成要素が相互接続構造体に提供された。図10は、図9の区域211における平面図を示す。
【0042】
本発明のいくつかの実施態様では、上記のプロセス加工工程を用いて上記の例に示した狭幅ラインにこの同じ障壁冗長構成要素を提供することができる。この場合、障壁冗長構成要素は、相互接続構造体のこれらの区域で起り得る金属と金属との間の短絡を回避することができる。
【0043】
上記で説明した基本プロセス加工工程を繰り返して、図9に例を示した最も上の相互接続レベルの上にさらに多くの相互接続レベルを形成してもよい点に注意すべきである。
【0044】
図9に示した構造体は、閉じたバイア底部構造体が形成される本発明の一つの可能な実施態様を表している。閉じたバイア底部構造体では、導電性ライン20の部分の上にバイア拡散障壁30が存在する。開放バイア底部および係留バイア底部構造体も可能である。開放構造体は、上部相互接続レベルの他の素子を堆積する前に、イオン爆撃または別の同様な方向性エッチング・プロセスを利用して、バイアの底部からバイア拡散障壁30を除去することによって形成される。係留バイア底部構造体は、選択的エッチング・プロセスを利用して、最初に導電性ライン20中にくぼみをエッチングし、みぞ形構成要素を作り出すことによって形成される。上記で説明した第二の相互接続レベル16は、次に、上記で述べた技法の一つを利用することによって導電材料38で充填される。
【0045】
本発明の好ましい実施態様によって本発明を詳しく示し説明してきたが、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、前述およびその他の形式および詳細の変化を施すことができることは当業者に自明であるものとする。従って、本発明は、説明し、例を示した形式および詳細そのものに限定されず、請求項の範囲内に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】バイア底部における空洞形成を示す従来技術相互接続構造体の断面SEM画像である。
【図2】従来技術相互接続構造体の例を示す説明図(断面図)である。
【図3】Aは、図2に示した区域111の平面図である。Bは、図2に示した区域112の平面図である。
【図4】本発明の基本プロセス加工工程の例を示す説明図(断面図)である。
【図5】本発明の基本プロセス加工工程の例を示す説明図(断面図)である。
【図6】本発明の基本プロセス加工工程の例を示す説明図(断面図)である。
【図7】本発明の基本プロセス加工工程の例を示す説明図(断面図)である。
【図8】本発明の基本プロセス加工工程の例を示す説明図(断面図)である。
【図9】本発明の基本プロセス加工工程の例を示す説明図(断面図)である。
【図10】図9に示した区域211の平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続構造体であって、
上部相互接続レベルの中に配置された導電性被充填バイアであって、バイア拡散障壁で囲まれた側壁を有する導電性被充填バイアと、
下部相互接続レベルの中に配置され、前記導電性被充填バイアに接続された導電性ラインであって、前記導電性ラインは導電性ライン拡散障壁で囲まれた側壁を有し、前記バイア拡散障壁は前記導電性ライン拡散障壁と直接接触していない導電性ラインと、
前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁との間に配置されて前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁とに接触し、それによって、前記導電性被充填バイアの前記側壁の周りの前記バイア拡散障壁と、前記導電性ラインの前記側壁の周りの前記導電性ライン拡散障壁との間に電気的経路を作り出す導電性材料と、
を備える相互接続構造体。
【請求項2】
前記上部相互接続レベルと前記下部相互接続レベルとの間に部分的に配置された誘電体キャッピング層をさらに備え、前記誘電体キャッピング層は、前記導電性材料が配置されている前記導電性ラインと接触もせず、前記導電性ラインの上に延在もしない、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項3】
前記誘電体キャッピング層は、SiC、SiNH、SiO、炭素をドーピングされた酸化物、窒素および水素をドーピングされたシリコン炭化物SiC(N,H)またはそれらの多層構造体を含む、請求項2に記載の相互接続構造体。
【請求項4】
前記導電性被充填バイアと前記導電性ラインとは前記同じまたは異なる導電材料を含み、前記導電材料はポリSi、導電性金属、少なくとも一つの導電性金属を含む合金、導電性金属シリサイド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項5】
前記導電性被充填バイアと前記導電性ラインとは両方ともCuまたはCu含有合金を含む、請求項4に記載の相互接続構造体。
【請求項6】
前記導電性ライン拡散障壁、前記バイア拡散障壁および前記導電性材料は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、W、WNまたはCoWPからなる群から選ばれる前記同じまたは異なる材料を含む、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項7】
前記導電性被充填バイアは、前記下部導電性ラインと前記上部導電性ラインとの間の接点を提供する、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項8】
前記下部相互接続レベルと上部相互接続レベルとは約4.0以下の誘電率を有する誘電体を含む、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項9】
前記導電性材料は、誘電体キャッピング層の上部表面と実質的に同一平面上にある上部表面を有する、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項10】
前記導電性材料は、誘電体キャッピング層の上部表面より実質的に低い上部表面を有する、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項11】
前記少なくとも一つの導電性ラインは、前記上にある導電性被充填バイアの幅より大きな幅を有する広幅ラインである、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項12】
前記少なくとも一つの導電性ラインは、前記上にある導電性被充填バイアの幅と実質的に同じである幅を有する狭幅ラインである、請求項1に記載の相互接続構造体。
【請求項13】
相互接続構造体であって、
上部相互接続レベルの中に配置された導電性被充填バイアであって、バイア拡散障壁で囲まれた側壁を有する導電性被充填バイアと、
下部相互接続レベルの中に配置され、前記導電性被充填バイアに接続されたCu導電性ラインであって、前記Cu導電性ラインは導電性ライン拡散障壁で囲まれた側壁を有し、前記バイア拡散障壁は前記導電性ライン拡散障壁と直接接触していないCu導電性ラインと、
前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁との間に配置されて前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁とに接触し、それによって、前記導電性被充填バイアの前記側壁の周りの前記バイア拡散障壁と、前記導電性ラインの前記側壁の周りの前記導電性ライン拡散障壁との間に電気的経路を作り出す導電性材料と、
を備える相互接続構造体。
【請求項14】
相互接続構造体を形成する方法であって、
内部に埋め込まれた少なくとも一つの導電性ラインを有する下部相互接続誘電体の表面の上に配置された誘電体キャッピング層を備える構造体を設ける工程であって、前記少なくとも一つの導電性ラインと前記下部相互接続誘電体とは導電性ライン拡散障壁によって分離されている工程と、
前記少なくとも一つの導電性ラインの表面から前記誘電体キャッピング層を選択除去し、露出された表面を設ける工程と、
前記少なくとも一つの導電性ラインの前記露出された表面の上に導電性材料を形成する工程と、
前記少なくとも一つの導電性ラインより高い位置に配置された少なくとも一つの導電性被充填バイアを有する上部相互接続誘電体を形成する工程であって、前記少なくとも一つの導電性被充填バイアはその側壁を被覆する障壁材料を有する工程と、
を含み、前記導電性材料は、前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁との間に配置されて前記導電性ライン拡散障壁と前記バイア拡散障壁とに接触し、それによって、前記導電性被充填バイアの前記側壁の周りの前記バイア拡散障壁と前記導電性ラインの前記側壁の周りの前記導電性ライン拡散障壁との間に電気的経路を作り出す方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−251155(P2007−251155A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39112(P2007−39112)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】