説明

電圧制御回路および電圧制御方法

【課題】リーク電流を低減し一定電圧を長時間にわたって保持することのできる電圧制御回路を提供する。
【解決手段】
複数の容量と、前記各容量に対応して設けられ前記各容量を所定のノードに選択的に接続する第1のスイッチと、リセット信号に応じて前記ノードをリセットし、該リセット信号が供給されないときにバックバイアスがかけられるリセットトランジスタとを含む。これにより、リーク電流を最小にし、一定電圧を長時間保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧制御回路および半導体装置に関する。より特定すれば、正確に一定電圧に制御できる電圧制御回路およびこれを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体記憶装置においては、メモリセルトランジスタのゲートに電荷注入するプログラム動作によりデータを書き込み、メモリセルトランジスタのゲートから電荷除去するイレーズ動作によってデータを消去する。このプログラム動作及びイレーズ動作は、メモリセルトランジスタのゲート、ドレイン、ソースの各端子に、各動作に応じた所定の電圧を印加することで実行される。
【0003】
ゲートに電荷を注入したり或いはゲートから電荷を抜き取るためには、一般に不揮発性半導体記憶装置外部から供給される外部電源電圧よりも高い電圧が必要とされ、この高電圧は、不揮発性半導体記憶装置内部の昇圧回路により外部電源電圧を昇圧することで生成される。昇圧回路により生成された昇圧電圧は、メモリセルアレイ回路におけるイレーズ動作或いはプログラム動作に伴い電流が消費されると、電流消費の影響により電位が下降してしまう。従って、昇圧電圧をモニターして、所定の電位が保たれているか否かを随時チェックする必要がある。この目的のために電圧制御回路が用いられる。このような電圧制御回路を用いた従来技術として特許文献1および特許文献2記載のものが提案されている。
【0004】
また電圧制御回路には、高電圧の制御のために容量分割回路を用いるものがある。図1は、従来の容量分割回路を含む電圧制御回路の示す図である。図1に示されるように、従来の電圧制御回路1は、PMOSトランジスタ2、NMOSトランジスタ3乃至5、比較回路6、選択トランジスタ7乃至12、キャパシターCAおよびCB、キャパシターCC乃至CC32を含む。ここで、キャパシターCCの容量はCC、キャパシターCCk(例えばCC16)の容量はk×CC(例えば16CC)である。符号13は内部昇圧回路を示す。選択トランジスタ7乃至12はNMOSトランジスタにより構成される。Cparaは選択トランジスタ7乃至12のソース・ドレインジャンクション寄生容量(以下、単に「ジャンクション寄生容量」という)を示す。
【0005】
キャパシターCC乃至CC32は、選択トランジスタ7乃至12を介してノードN1に接続されている。分割電圧VPPDIVは、昇圧電圧VPPを容量分割して生成される。
この分割電圧VPPDIVが比較回路6の入力となる。比較回路6は、リファレンス電圧VREFおよび分割電圧VPPDIVを比較し、信号Voutを出力する。分割電圧VPPDIVがリファレンス電圧VREFより高い場合には、信号Voutが例えばHighになり、昇圧電位が高すぎるのでディスチャージ動作により電圧を下降させるよう制御が行われる。
【0006】
ステッププログラム方式では選択トランジスタ7乃至12のゲートを制御する信号SEL1乃至SEL6がバイナリーにカウントされていき、等ステップで昇圧電圧VPPが上がっていく。ここで、昇圧電圧VPPのターゲットとされる電圧は、理想的な回路を想定すると以下の式(1)のように計算される。
【0007】
VPP=VREF(1+(CB+(CC+2CC+・・・・))/CA) ・・・(1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本国特許公開公報 特開平6−259979号公報
【特許文献2】米国特許公報 特許5291446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、選択トランジスタ7乃至12のジャンクション寄生容量をCparaとすると、実際に生成される昇圧電圧VPPは以下の式(2)の通りとなる。
【0010】
VPP=VREF(1+(CB+(CC+2CC+・・・・)+Cpara)/CA) ・・・(2)
この選択トランジスタ7乃至12のジャンクション寄生容量Cparaはレイアウトに起因するため、この容量を考慮してターゲット電圧を合わせ込む事は非常に困難である。この選択トランジスタのジャンクション寄生容量Cparaは前述の通りに選択トランジスタが多くなればなるほど大きくなる。例えば、ノードN1に3CCの容量をつけるケースでは、信号SEL1とSEL2をHigh(トランジスタ7と8はオン)にし、その他のトランジスタはオフである。すると、ノードN1には使用しないキャパシターCC4乃至CC32に対する4つのオフトランジスタのジャンクション容量すべてが付加されてしまう。このため、従来の電圧制御回路では、mv単位の正確さで一定電圧に制御し、保持することは困難である。したがって、正確に昇圧電圧VPPを制御できなくなる。
【0011】
また、トータルのキャパシターが増加しているため、リセットトランジスタ3も大きくなり、オフ状態のリーク電流のために、分割電圧が長時間一定に保持されないという問題もある。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、正確に一定電圧を制御し保持することができる電圧制御回路および半導体装置を提供することを目的とする。また、分割電圧を長時間一定に保持できる電圧制御回路および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の容量と、前記各容量に対応して設けられ前記各容量を所定のノードに選択的に接続する第1のスイッチと、リセット信号に応じて前記ノードをリセットし、該リセット信号が供給されないときにバックバイアスがかけられるリセットトランジスタとを含む電圧制御回路である。本発明によれば、ノードに接続されたリセットトランジスタにバックバイアスをかける事によりリーク電流を最小にし、一定電圧を長時間保持することができる。
【0014】
本発明は、上記構成において、前記各第1のスイッチは、外部電位を昇圧した電位がゲートに供給されるトランジスタから構成される。本発明によれば、トランジスタのジャンクション容量を更に小さくして、正確に一定電圧を制御し保持することができる。また上記構成において、前記リセットトランジスタのゲートは、外部電位を昇圧した電位が供給される。
【0015】
本発明は更に、複数のキャパシタにそれぞれ設けられ、前記複数のキャパシタを所定のノードに選択的に接続する複数の第1のスイッチを制御するステップと、リセット信号に応答して前記所定のノードをリセットするリセットトランジスタを、リセット信号がないときにバックバイアスするステップとを有する方法を含む。この構成において、前記複数の第1及び第2のスイッチのそれぞれに含まれるトランジスタのゲートを、外部電圧を昇圧することで得られる電位に設定するステップを更に有する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、正確に一定電圧を制御し保持することができる電圧制御回路および半導体装置を提供することができる。また、分割電圧を長時間一定に保持できる電圧制御回路および半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の容量分割回路を含む電圧制御回路の示す図である。
【図2】本実施例に係る半導体装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例に係る電圧制御回路を示す図である。
【図4】本実施例に係る比較回路を示す図である。
【図5】本実施例に係る内部昇圧回路を示す図である。
【図6】信号PHI1乃至PHI2Bのクロック波形である。
【図7】本実施例に係る電圧シフト回路を示す図である。
【図8】本実施例に係る電圧制御回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0019】
図2は、本実施例による半導体装置の概略構成を示すブロック図である。図2に示されるように、半導体装置20は、コントロール回路21、コマンドレジスタ22、I/Oコントロール回路23、アドレスレジスタ24、ステータスレジスタ25、メモリセルアレイ26、ローアドレスデコーダ27、ローアドレスバッファ28、コラムデコーダ29、データレジスタ30、センスアンプ31、コラムアドレスバッファ32、ロジックコントロール33、及びレディ/ビジーレジスタ34、内部昇圧回路35、電圧制御回路36、内部昇圧回路100、電圧制御回路101を含む。
【0020】
半導体装置20は、単独でパッケージされたフラッシュメモリ等の半導体記憶装置であってもよいし、システムLSIのように半導体装置の一部として組み込まれたものであってもよい。ロジックコントロール33は、チップイネーブル/CE、コマンドラッチイネーブルCLE、アドレスラッチイネーブルALE、ライトイネーブル/WE、リードイネーブル/RE、ライトプロテクト/WP、スペアエリアイネーブル/SE等の制御信号を外部から受け取り、これらの制御信号に基づいてロジックコントロール信号をコントロール回路21に供給する。
【0021】
I/Oコントロール回路23は、入出力信号I/O0乃至I/O7を外部とやり取りする。I/Oコントロール回路23は、アドレス信号、データ信号、コマンド信号を外部から受け取り、アドレス信号をアドレスレジスタ24に、データ信号をデータレジスタ30に、コマンド信号をコマンドレジスタ22に供給する。アドレスレジスタ24は、ローアドレスをローアドレスバッファ28に供給し、コラムアドレスをコラムアドレスバッファ32に供給する。
【0022】
コントロール回路21は、ロジックコントロール33からのロジックコントロール信号を受け取ると共に、コマンドレジスタ22からコマンドを受け取り、これらのロジックコントロール信号及びコマンドに基づいてステートマシンとして動作し、半導体装置20の各部の動作を制御する。コントロール回路21は、アドレスレジスタ24の指示するメモリセルアレイ26のアドレスからデータを読み出すために、メモリセルアレイ26、ローアドレスデコーダ27、コラムデコーダ29等を制御する。
【0023】
また、コントロール回路21は、メモリセルアレイ26の書き込みアドレスにデータを書き込むために、メモリセルアレイ26、ローアドレスデコーダ27、コラムデコーダ29等を制御する。また、コントロール回路21は、メモリセルアレイ26の指定された領域を所定単位で一括消去するために、メモリセルアレイ26、ローアドレスデコーダ27、コラムデコーダ29等を制御する。
【0024】
メモリセルアレイ26は、複数の異なるしきい値を持つメモリセルトランジスタの配列、ワード線、ビット線等を含み、各メモリセルトランジスタにデータを記憶する。データ読み出し時には、活性化ワード線で指定されるメモリセルからのデータが、ビット線に読み出される。プログラム或いはイレーズ時には、ワード線及びビット線をそれぞれの動作に応じた適当な電位に設定することで、メモリセルに対する電荷注入或いは電荷抜き取りの動作を実行する。
【0025】
センスアンプ31はコントロール回路21の制御の下で動作し、ローアドレスデコーダ27及びコラムデコーダ29による指定に応じてメモリセルアレイ26から供給されるデータの電流を、基準電流と比較することでデータが0であるか1であるかの判定を行う。この判定結果は読み出しデータとしてデータレジスタ30に格納され、更にデータレジスタ30からI/Oコントロール回路23に供給される。
【0026】
またプログラム動作及びイレーズ動作に伴うベリファイ動作は、ローアドレスデコーダ27及びコラムデコーダ29による指定に応じてメモリセルアレイ26から供給されるデータの電流を、プログラムベリファイ用及びイレーズベリファイ用の基準電流と比較することで行われる。プログラム動作においては、データレジスタ30に書き込みデータが格納され、このデータに基づいてメモリセルアレイ26のワード線及びビット線を適当な電位に設定することで、メモリセルに対する電荷注入を実行する。ステータスレジスタ25は、半導体装置20の動作に関するステータス情報を格納するレジスタであり、このレジスタ内容をI/Oコントロール回路23を介して外部から読み出すことで、デバイスがレディ状態であるか、書込み保護モードであるか、又はプログラム/消去動作中かを判断することが出来る。またレディ/ビジーレジスタ34は、デバイスがレディ状態であるかビジー状態であるかを示すフラグを格納し、これに応じてレディ/ビジー信号が外部に出力される。
【0027】
内部昇圧回路35は、外部電位に基づいてプログラム動作及びイレーズ動作に用いられる昇圧電圧VPPを発生する回路である。内部昇圧回路35が発生した昇圧電圧VPPは、ローアドレスデコーダ27やメモリセルアレイ26等に供給されると共に、電圧制御回路36に供給される。電圧制御回路36は、内部昇圧回路35が生成する昇圧電位VPPをモニターし、昇圧電位VPPが所定の電位を維持するように内部昇圧回路35を制御する。例えば昇圧電位が所定の電位よりも高い場合には、電圧降圧回路を動作させ、昇圧電位をディスチャージ動作により降圧する。
【0028】
内部昇圧回路100は、例えば3vの外部電位VCCに基づいて9vの昇圧電位VDDを生成するものである。この昇圧電圧VDDは、コラムデコーダ29および電圧制御回路36の選択トランジスタに供給される。電圧制御回路101は、内部昇圧回路100が生成する昇圧電位VDDをモニターし、昇圧電位VDDが所定の電位を維持するように内部昇圧回路100を制御する。
【0029】
次に電圧制御回路36について説明する。図3は実施例による電圧制御回路36を示す図である。図3に示されるように、電圧制御回路36は、PMOSトランジスタ50、NMOSトランジスタ51乃至53、比較回路54、インバータ55、選択トランジスタ56乃至66、キャパシターCAおよびCB、キャパシターCC乃至CC32、回路67および68を含む。電圧制御回路36は、昇圧した電圧VPPを容量により分割し、それをリファレンス電圧と比較し昇圧電圧を一定電圧に制御しかつ保持する回路である。
【0030】
キャパシターCAおよびCBは、一端がノードN1に接続され、キャパシターCAの他端はPMOSトランジスタ50を介して昇圧電圧(VPP)線に接続され、キャパシターCBの他端は接地電圧線に接続されている。キャパシターCAおよびCBが、昇圧電圧線(第1の端子)が受け取る昇圧電位(第1の電位)VPPを分割することによりノードN1に分割電位VPPDIVを生成する分割回路を構成する。キャパシターCAは、分割電位VPPDIVの高電圧側に配置され、キャパシターCBは、分割電位VPPDIVの低電圧側に配置されている。なお、キャパシターCAおよびCBに代えて抵抗を用いてもよい。キャパシターCC乃至CC32は、選択トランジスタ56乃至66を介してノードN1に接続されている。ここで、キャパシターCCの容量はCC、キャパシターCCk(例えばCC16)の容量はk×CC(例えば16CC)である。したがって、複数のキャパシターは最小の容量値を持つキャパシターCCのべき乗の容量値を持つキャパシターを含んでいる。
【0031】
選択トランジスタ56乃至66はNMOSトランジスタで構成されている。選択トランジスタ56乃至61は、キャパシターCC乃至CC32のうち使用するキャパシターだけをノードN1に接続するものである。また選択トランジスタ62乃至66は、選択トランジスタ56乃至61のうち使用するトランジスタだけをノードN1に接続するよう配置されている。例えば、キャパシターCCを選択する選択トランジスタ56は、対応する選択トランジスタ62を介してノードN1に接続され、キャパシターCC2を選択する選択トランジスタ57は、対応する選択トランジスタ63および選択トランジスタ62を介してノードN1に接続されている。容量3CCをノードN1につけるケースでは、トランジスタ56、57、62、63がオンであり、他の選択トランジスタはオフとなるが、ノードN1にはオフトランジスタとしてはトランジスタ64のみのジャンクション容量が付加され、他のオフトランジスタの容量は付加されない。このように、選択トランジスタ56乃至61のジャンクション寄生容量Cparaによる影響を最小限にできる。選択トランジスタ56乃至66のゲートは、信号SEL1乃至SEL6または信号SELG1乃至SELG5により制御されている。信号SEL1乃至SEL6はコントロール回路21から供給される。
【0032】
回路67および68は、キャパシターCC乃至CC32の中からノードN1に接続するキャパシターを選択するために、選択トランジスタ56乃至61に供給される第1の制御信号SEL1乃至SEL6から選択トランジスタ62乃至66に供給される第2の制御信号SELG1乃至SELG5を生成する回路である。回路67は、NOR回路671乃至673、インバータ674乃至676を含む。インバータ674は、信号SEL5および信号SEL6をNOR回路671でNOR処理された信号を受けて信号SELG5を生成する。インバータ675は信号SELG5および信号SEL4をNOR回路672でNOR処理された信号を受けて信号SELG4を生成する。インバータ676は、信号SELG4および信号SEL3をNOR回路673でNOR処理された信号を受けて信号SELG3を生成する。
【0033】
回路68は、NOR回路681および682、インバータ683および684を含む。インバータ683は信号SELG3および信号SEL2をNOR回路681でNOR処理された信号を受けて信号SELG2を生成する。インバータ684は信号SELG2および信号SEL1をNOR回路682でNOR処理された信号を受けて信号SELG1を生成する。制御信号SEL1乃至SEL6または制御信号SELG1乃至制御信号SELG5を変化させ、ノードN1にキャパシターCC乃至CC32を接続することで、付加された容量値に応じて分割電圧VPPDIVは下降する。
【0034】
キャパシターCCをノードN1に接続する場合、選択トランジスタ56および62をオンにする。キャパシターCCおよびCC2をノードN2に接続する場合、選択トランジスタ56、57、62および63をオンにする。さらに、キャパシターCC乃至CC4をノードN1に接続する場合、選択トランジスタ56、57、58、62、63および64をオンにする。キャパシターCC乃至CC32をノードN1に接続するには、同様に選択トランジスタ56乃至66をオンにする。本実施例では、キャパシターCCのみ選択、すなわち信号SEL1と信号SELG1のみHighの場合に選択トランジスタのジャンクション寄生容量Cparaは、最小となり、キャパシターCC16またはCC32のみを選択、すなわち信号SEL60及び信号SELG62乃至66または信号SEL61乃至66をHighとする場合にジャンクション寄生容量Cparaは、最大となる。また、全てのキャパシターCC乃至CC32が選択されたケースでは、たとえ選択トランジスタがすべて選択されても、使用されるキャパシターの総容量がかなり大きいために、相対的に寄生容量の影響が見えにくくなる。すなわち、使用されるキャパシターの総容量が大きくなるにつれて許容できる選択トランジスタのジャンクション寄生容量Cparaの値も大きくなる。
【0035】
本実施例では、場合によっては従来例よりもノードN1に接続される選択トランジスタの数は多くなるが、トランジスタのジャンクション容量はオンしている時はオフしているときに比べて遥かに小さいため、オン状態である選択トランジスタの増加による昇圧電圧VPPへの影響は比較的小さい。これにより長時間昇圧電圧VPPを保持することも、本発明の構成により可能となる。
【0036】
更に、本実施では、ノードN1に接続されたリセットトランジスタ51にバックバイアスをかけることにより、電圧を制御且つ保持している期間にノードN1より接地電圧線VSSに流れるリーク電流を抑えている。このリセットトランジスタ51は、リセット信号に応じてノードN1をリセットし、リセット信号が供給されないときにバックバイアスがかけられる。mv単位の正確さで昇圧電圧VPPを長時間保持するためには、このリーク電流を最小限に抑えることは非常に効果的である。また、選択トランジスタ56乃至66のゲートは、例えば3vの外部電位VCCを昇圧した9vの昇圧電位VDDにより制御される。この昇圧電位VDDは内部昇圧回路100から図7に示す電圧シフト回路102と図3の回路67、68の電源として供給される。コントロール回路21からのVCCレベルの信号SELは電圧シフト回路102の入力INに入力され、VDDレベルの信号SELが生成される。その信号SELからさらに、VDDレベルの信号SELGが生成される。このように、選択トランジスタ56乃至66のゲートを3vの電源電圧VCCを昇圧した9vの昇圧電圧VDDにより制御することで、選択トランジスタ56乃至66のジャンクション容量を更に小さくできる。また、リセットトランジスタ51のゲートも、外部電位VCCを昇圧した昇圧電位により制御されるようにしてもよい。
【0037】
比較回路54は、リファレンス電圧VREFおよび分割電圧VPPDIVを比較し、信号Voutを出力する。分割電圧VPPDIVがリファレンス電圧VREFより高い場合には、信号Voutが例えばHighになり、昇圧電位が高すぎるのでディスチャージ動作により電圧を下降させるよう制御が行われる。分割電圧VPPDIVがリファレンス電圧VREFに等しくなるように帰還制御する。
【0038】
次に比較回路54について説明する。図4は、本実施例に係る比較回路54を示している。図4に示されるように、比較回路54は、PMOSトランジスタ541乃至546、NMOSトランジスタ547乃至551およびインバータ552乃至574を含む。NMOSトランジスタ550が図3の分割電位VPPDIVを受ける入力トランジスタである。この構成において、分割電位VPPDIVがリファレンス電位VREFより高い場合には、差動増幅動作により出力電位VoutがHighになる。
【0039】
次に内部昇圧回路35について説明する。図5は、本実施例に係る内部昇圧回路35を示している。図6は信号PHI1乃至PHI2Bのクロック波形である。図5に示されるように、内部昇圧回路35は、キャパシター363乃至370を含む。
【0040】
図中のクロック波形のように、信号PHI1、信号PHI2、信号PHI1A乃至信号PHI2Aは、キャパシター363乃至370の一方の電極に入力される。各々の位相を少しずらすことで、より効率の良い昇圧動作を可能としている。
【0041】
各基本ポンプセルは、一対のキャパシター363および364、365および366、367および368、369および370と、3つのNMOSトランジスタ350乃至352、353乃至355、356乃至358、359乃至361を含む。最初の段の基本ポンプセルから最終段の基本ポンプセルまで昇圧動作が繰り返され、電流の逆流を防止するためのトランジスタ362を経て、出力から高電圧high_voltageが出力される。
【0042】
次に電圧制御回路101について説明する。図8は電圧制御回路101を示す図である。図8に示されるように、電圧制御回路101は、PMOSトランジスタ102および113、NMOSトランジスタ103乃至105、比較回路106、選択トランジスタ107乃至112、キャパシターCAおよびCB、キャパシターCC乃至CC32を含む。電圧制御回路101は、内部昇圧回路100および電圧シフト回路120に接続されている。なお、図2では電圧シフト回路120は省略している。
【0043】
分割電圧VDDDIVは、昇圧電圧VDDを容量分割して生成される。この分割電圧VDDDIVが比較回路106の入力となる。比較回路106は、リファレンス電圧VREFおよび分割電圧VPPDIVを比較し、信号Voutを出力する。分割電圧VDDDIVがリファレンス電圧VREFより高い場合には、信号力Voutが例えばHighになり、昇圧電位が高すぎるのでディスチャージ動作により電圧を下降させるよう制御が行われる。PMOSトランジスタ113のゲートは電圧シフト回路120により制御される。この電圧シフト回路120は図7で示した電圧シフト回路102と同様に構成されている。すなわち、電圧シフト回路120はPMOSトランジスタ250および251、NMOSトランジスタ252および253、インバータ254および255を含む。
【0044】
上述した電圧制御回路36の選択トランジスタ56乃至66のゲートは、PMOSトランジスタ113からの昇圧電圧VDDにより制御される。このように、電圧制御回路36の選択トランジスタ56乃至66のゲートを例えば3vの電源電圧VCCよりも高い9vの昇圧電圧VDDで制御することで、選択トランジスタ56乃至66のジャンクション容量を更に小さくすることができる。なお、内部昇圧回路100は、図5で示した内部昇圧回路35と同様に構成できるため説明を省略する。
【0045】
本実施例によれば、以下の効果を有する。昇圧電圧VPPはプログラムや消去など多目的に使用されるため、様々な電圧値に制御される。特に多値メモリセルを有する品種では、プログラム時の昇圧電圧VPPをパルス毎にステップで上げていく手法などが多用されるため、分割電圧VPPDIVに付加されるキャパシターやその選択トランジスタが数多く必要となってきている。ここで、選択トランジスタの数が多ければ多いほど、選択トランジスタのジャンクション寄生容量のために昇圧電圧VPPが計算値と合わなくなり、また選択トランジスタのジャンクションリークにより長時間昇圧電圧VPPを一定に保持することがますます困難になってくる。
【0046】
キャパシターの総容量が増加すればそれをリセットするトランジスタのサイズも大きくしなければならず、リセットトランジスタのオフ状態の微少リーク電流は長時間昇圧電圧VPPを保持することを更に困難にする。本発明では、選択トランジスタの数を接続方法の工夫により最小とし、寄生容量やジャンクションリークの問題を解決した。また、リセットトランジスタにはオフ状態にバックバイアスをかけ、リーク電流を最小とすることにより長時間昇圧電圧VPPを保持することができる。
【0047】
なお、キャパシターCC乃至CC32、トランジスタ56乃至61、トランジスタ62乃至66が、請求の範囲における容量、第1のスイッチ、第2のスイッチにそれぞれ対応する。
【0048】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容量と、
前記各容量に対応して設けられ前記各容量を所定のノードに選択的に接続する第1のスイッチと、
リセット信号に応じて前記ノードをリセットし、該リセット信号が供給されないときにバックバイアスがかけられるリセットトランジスタとを含む、電圧制御回路。
【請求項2】
前記各第1のスイッチは、外部電位を昇圧した電位がゲートに供給されるトランジスタから構成される請求項1記載の電圧制御回路。
【請求項3】
前記リセットトランジスタのゲートは、外部電位を昇圧した電位が供給される請求項2記載の電圧制御回路。
【請求項4】
複数のキャパシタにそれぞれ設けられ、前記複数のキャパシタを所定のノードに選択的に接続する複数の第1のスイッチを制御するステップと、
リセット信号に応答して前記所定のノードをリセットするリセットトランジスタを、リセット信号がないときにバックバイアスするステップとを有する、方法。
【請求項5】
前記複数の第1及び第2のスイッチのそれぞれに含まれるトランジスタのゲートを、外部電圧を昇圧することで得られる電位に設定するステップを更に有する請求項1から4のいずれか一項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−3265(P2011−3265A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181058(P2010−181058)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【分割の表示】特願2006−527593(P2006−527593)の分割
【原出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(504378124)スパンション エルエルシー (229)
【Fターム(参考)】