説明

電子デバイスおよびその製造方法、並びに、上記電子デバイスを備えたセンサーシステム

【課題】発光素子と受光素子とのペアを備えて微細化が可能である。
【解決手段】対をなす発光素子11と受光素子12とは共に微細な棒状の素子であり、微細な棒状発光素子11から放出された光を微細な棒状受光素子12で受光することによって、微細な棒状受光素子12の電気特性が変化する。こうして、微細な棒状発光素子11と微細な棒状受光素子12との対を非常に微細にして、電子デバイス10を非常に微細化することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微細な棒状発光素子および微細な受光素子を備えた電子デバイスおよびその製造方法、並びに、上記電子デバイスを備えたセンサーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子と受光素子とを備えた電子デバイスとして、特開2011‐29467号公報(特許文献1)に開示されたフォトカプラがある。このフォトカプラは、図44に示すように、入力された電気信号を光信号に変換するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)3を、リードフレーム1に固定すると共に、配線5aによりリードフレーム1に電気的に接続する。また、光信号を電気信号に変換して出力する受光素子4を、リードフレーム2に固定すると共に、配線5bによりリードフレーム2に電気的に接続する。そして、リードフレーム1とリードフレーム2とを離間して配置し、LED3と受光素子4とを包含する透光部6を形成する。さらに、透光部6の表面にレーザ光を照射して凹凸形状を形成し、透光部6を包含するパッケージ7を形成して構成されている。
【0003】
上記構成のフォトカプラでは、リードフレーム1を通して外部から入力された信号によってLED3が点灯され、その光を受光素子4で受光する。そして、受光した光によって受光素子4の電気特性が変化し、その変化をリードフレーム2を通して取り出すことができる。
【0004】
しかしながら、上記従来のフォトカプラには、以下のような問題がある。すなわち、LED3でなる発光素子および受光素子4は半導体ウェハ上に形成された素子をダイシング技術によって切り出して作成され、それらの大きさは通常数百ミクロン角である。また、上記発光素子および上記受光素子の実装は、上記特許文献1に開示されているように、通常のボンディング技術を用いて行われる。さらに、上記発光素子と上記受光素子との間隔は、このような実装技術の精度を考慮して設定しなければならない。そのため、上記発光素子および上記受光素子の対が必要とする空間のサイズは、数ミリメートルに達するのが普通であり、上記従来のフォトカプラ等の電子デバイスの微細化を阻害し、上記電子デバイスの応用の範囲を限定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011‐29467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の第1の課題は、発光素子と受光素子とのペアを備えて、微細化が可能であり、且つ応用範囲が広い電子デバイス、および、その製造方法を提供することにある。
【0007】
また、第2の課題は、上記電子デバイスを備えたセンサーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の電子デバイスは、
直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状体を有すると共に、光を放出する棒状発光素子と、
直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状体を有すると共に、上記棒状発光素子から放出された光を受光する棒状受光素子と
を備えたことを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、光を放出する発光素子と、この発光素子と対を成して上記発光素子から放出された光を受光する受光素子とにおいて、上記発光素子を、直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状体を有する棒状発光素子としている。また、上記受光素子を、直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状体を有する棒状受光素子としている。
【0010】
このように、上記発光素子を、通常のLEDチップと比しても充分に小さい棒状発光素子とする一方、上記受光素子を、通常のフォトダイオード,フォトトランジスタおよびフォトコンダクタと比しても充分に小さい棒状受光素子としているので、上記発光素子と上記受光素子との対を非常に微細にすることが可能である。したがって、上記発光素子と上記受光素子との対を含む電子デバイスをも非常に微細化することが可能である。
【0011】
すなわち、この発明によれば、従来のLEDチップと受光素子との対では実現できない広い応用が可能になる。さらには、上記棒状発光素子が非常に小さいため、本電子デバイスの主たる電力消費源である発光素子の消費電力が小さい。したがって、本電子デバイスの消費電力を著しく低減することが可能になる。
【0012】
さらに、上記発光素子と上記受光素子とは、共に非常に小さな棒状素子であるので、上記作用効果を奏しつつ上記受光素子の感度を良好にして、本電子デバイスの性能を高くすることが可能になる。
【0013】
また、1実施の形態の電子デバイスでは、
上記棒状発光素子および上記棒状受光素子は、同一の基板上に配置されている。
【0014】
この実施の形態によれば、上記棒状発光素子および上記棒状受光素子を微細な領域に配置することが可能になるため、本電子デバイスをさらに微細化することが可能になる。また、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子との距離を近づけることができるので、上記棒状発光素子の光量をさらに小さくしても、上記棒状受光素子の感度を保つことができる。したがって、本電子デバイスの消費電力をさらに低減することができる。また、上記棒状発光素子の光量を小さくする代わりに、上記棒状発光素子あるいは上記棒状受光素子のサイズを小さくすることも可能である。その場合には、本電子デバイスをさらに微細化することができる。
【0015】
また、1実施の形態の電子デバイスでは、
上記棒状受光素子は、第1導電型の半導体と第2導電型の半導体とが接合された半導体素子である。
【0016】
この実施の形態によれば、上記棒状発光素子を点灯した場合と消灯した場合とにおける上記棒状受光素子に流れる電流値の比を大きくすることができるので好ましい。特に、上記棒状発光素子を消灯した場合に上記棒状受光素子を流れる電流値を極めて小さくすることができる。したがって、例えば、上記棒状受光素子と電源との間に設けられる抵抗素子の抵抗値を大きくすることができるので、本電子デバイスを低消費電力化することが可能になる。
【0017】
また、1実施の形態の電子デバイスでは、
上記棒状受光素子は、上記棒状発光素子から放出された光の強弱に応じて電気特性が変化して、上記棒状発光素子から放出された光の強度が予め設定された設定強度を超えると第1の出力状態となる一方、上記設定強度以下になると上記第1の出力状態とは異なる第2の出力状態となるスイッチの機能を有している。
【0018】
この実施の形態によれば、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子との対はフォトカプラとしての機能を有する。したがって、従来のフォトカプラに比べて非常に微細なフォトカプラを実現することができる。
【0019】
また、1実施の形態の電子デバイスでは、
上記棒状発光素子から放出されて上記棒状受光素子に到達する光の光路と交差すると共に、物体を含む流体が内部を流れる流路であって、上記光路との交差部は光が透過可能になっている流路と、
上記棒状受光素子から出力される受光量に応じた出力信号に基づいて、上記流路を通過した上記物体を検知するための回路と
を備えている。
【0020】
この実施の形態によれば、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子とは共に微細な棒状の素子であるので、上記棒状発光素子から放出された光が上記棒状受光素子に到達するまでの光路と交差する上記流路も微細に構成することができる。したがって、上記回路から出力される上記棒状受光素子からの受光量に応じた出力信号に基づいて、上記微細な流路における上記光路の箇所を通過する物体であって通常の(従来の)フォトインタラプタでは検知できないような微細な物体を検知して、上記微細な物体の数をカウントしたり、上記微細な物体の種類を特定したりすることが容易になる。
【0021】
さらに、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子とが共に微細な棒状の素子であるので、通常のフォトインタラプタに比べて検出部を極めて小さくすることが可能になる。さらには、本電子デバイスの主要な電力消費源である上記棒状発光素子が非常に小さいため、低消費電力化が可能になる。
【0022】
また、この発明の電子デバイスの製造方法は、
上記棒状発光素子および上記棒状受光素子が配置される上記基板上に、少なくとも第1の電極対と第2の電極対とを形成する電極対形成工程と、
上記電極対が形成された上記基板上に上記棒状発光素子を含む液体を導入すると共に、上記第1の電極対に交流電圧を印加して、上記第1の電極対における互いに対向する2つの電極の間で規定される位置に、上記棒状発光素子を配置させる発光素子配置工程と、
上記電極対が形成された上記基板上に上記棒状受光素子を含む液体を導入すると共に、上記第2の電極対に交流電圧を印加して、上記第2の電極対における互いに対向する2つの電極の間で規定される位置に、上記棒状受光素子を配置させる受光素子配置工程と
を含むことを特徴としている。
【0023】
上記構成によれば、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子とを、簡易に且つ極めて接近した位置に配置することができる。したがって、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子との対を非常に微細にし、非常に微細化された電子デバイスを簡易な製造方法で提供することができる。
【0024】
また、1実施の形態の電子デバイスの製造方法では、
上記棒状発光素子および上記棒状受光素子のうちの少なくとも一方は、一端側と他端側とが夫々異なる極性を有する有極性素子であり、
上記第1の電極対と上記第2の電極対とのうち上記有極性素子が配置される電極対に印加される上記交流電圧には、直流電圧が重畳されており、
上記有極性素子が配置される電極対における互いに対向する2つの電極の間で規定される位置に配置される上記有極性素子の両端の向きが、上記電極対に印加される上記直流電圧によって定められる。
【0025】
この実施の形態によれば、上記棒状発光素子あるいは上記棒状受光素子が極性を有する有極性素子であっても、上記極性の向きを含めて正しい向きに上記有極性素子を上記基板上に配値することができる。したがって、上記有極性素子を含む複雑で高度な電子デバイスを簡易な製造方法で提供することができる。
【0026】
また、この発明のセンサーシステムは、
上記この発明の電子デバイスを有するセンサー部を備えたことを特徴としている。
【0027】
上記構成によれば、上記センサー部において、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子との間に設けられた上記流路は微細に構成されている。したがって、上記センサー部によって、上記微細な流路を流れる微細な物体を検知することができる。さらに、上記センサー部を極めて小さくできるので、様々な場所に上記センサーを設置することが可能になる。したがって、本センサーシステムの利用範囲を広めることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上より明らかなように、この発明の電子デバイスは、光を放出する発光素子とこの発光素子から放出された光を受光する受光素子との対において、上記発光素子を、直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状発光素子とする一方、上記受光素子を、直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状受光素子とするので、上記発光素子を通常のLEDチップと比しても充分に小さく、上記受光素子を通常のフォトダイオード,フォトトランジスタおよびフォトコンダクタと比しても充分に小さくできる。したがって、上記発光素子と上記受光素子との対を非常に微細にすることができ、上記発光素子と上記受光素子との対を含む電子デバイスを非常に微細化することができる。
【0029】
すなわち、この発明によれば、従来のLEDチップと受光素子との対を含む電子デバイスでは実現できないような広い応用が可能になる。さらに、上記棒状発光素子が非常に小さいため本電子デバイスの主たる電力消費源である発光素子の消費電力を小さくできる。したがって、本電子デバイスの消費電力を著しく低減することができる。
【0030】
また、この発明の電子デバイスの製造方法は、電極対が形成された基板上に上記棒状発光素子を含む液体を導入すると共に、第1の電極対に交流電圧を印加して、上記棒状発光素子を配置させる一方、上記基板上に上記棒状受光素子を含む液体を導入すると共に、第2の電極対に交流電圧を印加して、上記棒状受光素子を配置させるので、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子とを、簡易に且つ極めて接近した位置に配置することができる。
【0031】
したがって、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子との対を非常に微細にし、非常に微細化された電子デバイスを簡易な製造方法で提供することができる。
【0032】
また、この発明のセンサーシステムは、上記この発明の電子デバイスを有するセンサー部において、上記棒状発光素子と上記棒状受光素子との間に設けられた上記流路は微細に構成されているので、上記センサー部によって、上記微細な流路を流れる通常のフォトインタラプタでは検知できないような微細な物体を検知することができる。
【0033】
さらに、上記センサー部を極めて小さくできるので、様々な場所に上記センサーを設置することが可能になる。したがって、本センサーシステムの利用範囲を広めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の第1実施の形態の電子デバイスにおける回路図である。
【図2】図1に示す電子デバイスにおける概略平面図である。
【図3】図2における微細な棒状発光素子の構造を示す概略図である。
【図4】図2における微細な棒状受光素子の構造を示す概略図である。
【図5】図2における微細な棒状抵抗素子の構造を示す概略図である。
【図6】第2実施の形態の電子デバイスにおける回路図である。
【図7】第3実施の形態の電子デバイスにおける回路図である。
【図8】図3に示す電子デバイスにおける概略平面図である。
【図9】図8における微細な棒状受光素子の構造を示す概略図である。
【図10】第4実施の形態の電子デバイスにおける回路図である。
【図11】図10に示す電子デバイスにおける概略平面図である。
【図12】図11における微細な棒状発光素子の構造を示す概略図である。
【図13】図11における微細な棒状増幅素子の構造を示す概略図である。
【図14】第5実施の形態の電子デバイスにおける回路図である。
【図15】図14に示す電子デバイスにおける概略平面図である。
【図16】図15におけるA‐A'矢視断面図である。
【図17】図15における微細な棒状受光素子の構造を示す概略図である。
【図18】微細な棒状受光素子(フォトダイオード)の形成手順を示す図である。
【図19】図18に続く形成手順を示す図である。
【図20】図19に続く形成手順を示す図である。
【図21】図20に続く形成手順を示す図である。
【図22】図21に続く形成手順を示す図である。
【図23】図22に続く形成手順を示す図である。
【図24】図23に続く形成手順を示す図である。
【図25】図24に続く形成手順を示す図である。
【図26】微細な棒状増幅素子(電界効果トランジスタ)の形成手順を示す図である。
【図27】図26に続く形成手順を示す図である。
【図28】図27に続く形成手順を示す図である。
【図29】微細な棒状発光素子(発光ダイオード)の形成手順を示す図である。
【図30】図29に続く形成手順を示す図である。
【図31】図30に続く形成手順を示す図である。
【図32】図31に続く形成手順を示す図である。
【図33】図32に続く形成手順を示す図である。
【図34】図15に示す電子デバイスの形成手順を示す図である。
【図35】図34に続く形成手順を示す図である。
【図36】図35に続く形成手順を示す図である。
【図37】図36に続く形成手順を示す図である。
【図38】図37に続く形成手順を示す図である。
【図39】図38に続く形成手順を示す図である。
【図40】図39に続く形成手順を示す図である。
【図41】図40に続く形成手順を示す図である。
【図42】図41に続く形成手順を示す図である。
【図43】この発明のセンサーシステムにおけるブロック図である。
【図44】従来のフォトカプラの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0036】
先ず、この発明に用いられる微細な棒状発光素子および微細な棒状受光素子について簡単に説明する。
【0037】
上記微細な棒状発光素子および微細な棒状受光素子は、所謂ナノワイヤをベースとしてデバイス化されたものである。その好ましい直径は、例えば微細な棒状発光素子の場合は1nm〜500nmである。また、通常、長さは直径よりもはるかに大きく、好ましくは10nm〜50μmであり、マイクロメートルサイズであってもよい。
【0038】
しかしながら、この発明に用いる微細な棒状発光素子および微細な棒状受光素子は、通常の発光素子(LEDチップ)や受光素子に比べて十分に小さいサイズの棒状の発光素子および棒状の受光素子であればよく、直径が10μm以下であり、長さが500μm以下であるものを含んでいる。
【0039】
・第1実施の形態
本実施の形態の電子デバイスは、発光する機能を有する微細な棒状発光素子と、上記微細な棒状発光素子が放出した光を受光するセンサーとしての機能を有する微細な棒状受光素子とを備えている。
【0040】
図1は、本実施の形態の電子デバイスにおける回路図である。図2は、本実施の形態の電子デバイスにおける概略平面図である。図3〜図5は、本実施の形態の電子デバイスにおける上記微細な棒状発光素子,上記微細な棒状受光素子および微細な棒状抵抗素子の構造を説明するための概略図である。
【0041】
図1〜図5に示すように、本電子デバイス10は、微細な棒状発光素子11と微細な棒状受光素子12との対でなるフォトカプラ13を含んでいる。そして、発光ダイオードでなる微細な棒状発光素子11、フォトダイオードでなる微細な棒状受光素子12、及び、微細な棒状抵抗素子14は、基板15上に横倒しで配置されている。そして、基板15上には、端子16〜端子20が形成されている。また、基板15上には、配線21が形成されており、各端子16〜20と各素子との間および各素子間を電気的に接続している。
【0042】
上記微細な棒状発光素子(発光ダイオード)11は、長手方向にP型半導体領域22およびN型半導体領域23が接続されて構成されている。そして、P型半導体領域22は配線21を介して端子16に接続され、N型半導体領域23は配線21を介して端子17に接続されている。端子16は微細な棒状発光素子11を駆動するための正極となり、端子17は負極となる。
【0043】
上記微細な棒状受光素子(フォトダイオード)12は、長手方向にP型半導体領域24,I型半導体領域(真性領域)26およびN型半導体領域25がこの順に接続されて構成されている。そして、P型半導体領域24は配線21を介して端子20に接続されている。また、N型半導体領域25は配線21を介して、端子19および微細な棒状抵抗素子14の一端に接続されている。尚、微細な棒状抵抗素子14の他端は、配線21を介して端子18に接続されている。ここで、端子18は高電位端子、端子20は低電位端子、端子19は出力端子となる。
【0044】
上記微細な棒状受光素子(フォトダイオード)12は、基板15上に、微細な棒状発光素子11と対向するように配置されている。こうすることによって、微細な棒状受光素子12は、微細な棒状発光素子11が放出した光を受光することができる。すなわち、微細な棒状発光素子11と微細な棒状受光素子12とで発光素子‐受光素子対13を構成しており、この発光素子‐受光素子対13自身でフォトカプラを構成するのである。
【0045】
上記微細な棒状抵抗素子14の抵抗値は、通常、微細な棒状発光素子11が消灯状態の場合の微細な棒状受光素子12の抵抗値よりも小さく、微細な棒状発光素子11が点灯状態の場合の微細な棒状受光素子12の抵抗値よりも大きく設定する。こうすることによって、例えば、微細な棒状発光素子11が消灯状態の場合には、端子(出力端子)19の電位が高電位となり、微細な棒状発光素子11が点灯状態になると、端子19の電位が低下する。
【0046】
上記微細な棒状発光素子11は、GaAsP系,GaP系,GaAlAs系,AlGaInP系およびInGaN系等を用いることができる。図2および図3においては、微細な棒状発光素子11はP型半導体領域22およびN型半導体領域23の2接続構造としているが、実際には高効率発光化のために多接続構造を有していても差し支えない。例えば、AlGaInP系を用いる場合には、p型AlInPクラッド層,AlGaInP活性層,n型AlInPクラッド層およびn型GaAs層をこの順に接続したものを用いることができる。また、InGaN系を用いる場合は、p型GaNクラッド層,InGaN活性層およびn型GaNクラッド層をこの順に接続したものを用いることができる。さらには、活性層を複数積層して多重量子井戸構造としてもよい。
【0047】
上記微細な棒状発光素子11のサイズは、例えば、直径が200nmであり、長さが10μmである。しかしながら、微細な棒状発光素子11のサイズはこれに限らず、直径は1nm〜10μm、長さは10nm〜500μmとすることができる。より好ましくは、十分な光量が得られ、且つ通常のLEDチップに比べて極めて小さい、直径が100nm〜500nm、長さが1μm〜50μmである。
【0048】
上記微細な棒状受光素子12は上述のごとくフォトダイオードであり、例えば、シリコン,ゲルマニウム,InGaAsおよび硫化鉛を用いることができる。材料の選択は、微細な棒状発光素子11が発光する光を吸収できるものから行う。微細な棒状受光素子12の構造は、図4に示すように、P型半導体領域24とN型半導体領域25との間にI型半導体領域(真性領域)26を設けることが、感度が上がるため好ましい。また、P型半導体領域24とN型半導体領域25とを、I型半導体領域(真性領域)26を介さずに直接接合させて形成しても良い。
【0049】
また、上記微細な棒状受光素子12のサイズは、例えば、直径が200nmであり、長さが10μmである。しかしながら、微細な棒状受光素子12のサイズはこれに限らず、直径は1nm〜10μm、長さは10nm〜500μmとすることができる。より好ましくは、十分な受光感度が得られ、且つ通常のフォトダイオードに比べて極めて小さい、直径が200nm〜1μm、長さが1μm〜50μmである。
【0050】
上記微細な棒状抵抗素子14は、図5に示すように、均一な材質からなるナノワイヤ27で構成される。ナノワイヤ27は、例えば、シリコン,ゲルマニウムおよびカーボンナノチューブのような半導体,酸化金属および金属を用いることができる。ここで、微細な棒状抵抗素子14の材料として半導体を選んだ場合には、導電型を与える不純物濃度を変えることによって、抵抗率を調節することができる。無論、ナノワイヤ27の直径と長さとによって、適切な抵抗値を選択することが可能である。尚、微細な棒状抵抗素子14を用いる代わりに、通常の抵抗素子を用いることも可能である。
【0051】
上記微細な棒状抵抗素子14のサイズは、抵抗率を調節することにより、微細な棒状発光素子11や微細な棒状受光素子12と同程度にすることができる。
【0052】
上記基板15としては、ガラスおよび樹脂等の絶縁性基板を用いることができる。さらに、基板15として、絶縁膜をコーティングした金属や半導体を用いても良い。
【0053】
上記基板15上に形成される端子16〜端子20および配線21としては、金,銀,銅,アルミニウム,タングステンおよび導電性を与える不純物を高濃度にドープしたポリシリコン等の半導体を用いることができる。
【0054】
本実施の形態における電子デバイス10は、発光素子11と受光素子12とが共に微細な棒状の素子であり、これらの素子が対をなし、微細な棒状発光素子11から放出された光を微細な棒状受光素子12で受光することによって、微細な棒状受光素子12の電気特性が変化する。そのため、微細な棒状発光素子11と微細な棒状受光素子12との対を非常に微細にすることが可能であり、電子デバイス10を非常に微細化することが可能になる。さらに、他の実施の形態に示すように、従来のLEDチップと受光素子との対では実現できない広い応用が可能となる。さらには、微細な棒状発光素子11が非常に小さいために、電子デバイス10の主たる電力消費源である微細な棒状発光素子11の消費電力が小さい。したがって、電子デバイス10の消費電力を著しく低減することが可能になる。
【0055】
さらにまた、上記発光素子11のみを微細な棒状の素子とするのではなく、受光素子12をも微細な棒状の素子とすることによって、以下のような効果を奏することができる。
【0056】
今、仮に、発光素子のみを微細な棒状の素子とし、受光素子を通常のサイズ(例えば、1mm角程度)の素子とする。その場合、上記受光素子において光に感応する部分も相応のサイズ(1mm程度)を有することになる。そのような場合、微細な棒状の発光素子と通常のサイズの受光素子とを十分に接近させて配置させたとしても、上記受光素子の光に感応する部分の一部は、必然的に上記発光素子から相当程度(例えば、0.5mm〜1mm)離れてしまうことになる。上記発光素子は微細であり、その発光強度が弱いことを狭慮すると、上記発光素子から放出された光は通常のサイズの受光素子の光に感応する部分を満遍なく照らすことができない。したがって、微細な棒状の発光素子と通常のサイズの受光素子の組合せでは、電子デバイスの性能を十分に高くすることはできないのである。
【0057】
これに対して、本実施の形態における電子デバイス10においては、微細な棒状の発光素子11と微細な棒状の受光素子12とを組み合わせている。したがって、上述のような問題を起こすことなく、受光素子12の感度を良好にして、電子デバイス10の性能を高くすることができるのである。
【0058】
尚、上記発光素子11と受光素子12とは共に棒状であるから、図2に示すように、2つの棒状の素子を基板上で平行に並べる(対向させる)ことによって、発光する部分と受光する部分とを特に接近させて配置することが容易に可能になる。
【0059】
本実施の形態の電子デバイス10のように、微細な棒状発光素子11が放出した光の強弱に応じて微細な棒状受光素子12の電気特性が変化する場合には、微細な棒状発光素子11が放出した光の強度が予め設定された設定強度を超えると、微細な棒状受光素子12の出力が予め定められた基準値を超える第1の出力状態(オン状態)となる一方、微細な棒状発光素子11が放出した光の強度が上記設定強度以下になると、微細な棒状受光素子12の出力が上記基準値以下になる第2の出力状態(オフ状態)となるように機能させることができる。
【0060】
このように、上記電子デバイス10が微細な棒状発光素子11が放出した光の強弱に応じて、微細な棒状受光素子12がオン状態あるいはオフ状態となるスイッチの機能を有する場合には、発光素子11と受光素子12との対はフォトカプラ13としての機能を有することとなり、従来のフォトカプラに比べて非常に微細なフォトカプラが実現する。
【0061】
また、本実施の形態のごとく、上記微細な棒状発光素子11と微細な棒状受光素子12とを同一基板15上に配置するのが好ましい。これにより、微細な棒状発光素子11と微細な棒状受光素子12とを微細な領域に配置することが可能になるため、電子デバイス10をさらに微細化することが可能になる。また、微細な棒状発光素子11と微細な棒状受光素子12との距離を近づけることができるので、微細な棒状発光素子11の光量をさらに小さくしても、微細な棒状受光素子12の感度を保つことができる。したがって、電子デバイス10の消費電力を更に低減することができる。尚、微細な棒状発光素子11の光量を小さくする代わりに、微細な棒状発光素子11のサイズを小さくし、あるいは、微細な棒状受光素子12のサイズを小さくすることも可能である。こうした場合、電子デバイス10をさらに微細化することができる。
【0062】
また、本実施の形態のように、上記微細な棒状受光素子12は、第1導電型の半導体と第2導電型の半導体との接合を有する半導体素子であることが好ましい。
【0063】
上記微細な棒状受光素子12がこのような構成である場合には、微細な棒状発光素子11を点灯した場合と消灯した場合とに、微細な棒状受光素子12に流れる夫々の電流値の比を大きくすることができるので好ましい。特に、微細な棒状発光素子11を消灯した場合に微細な棒状受光素子12に流れる電流値を極めて小さくすることができる。例えば、本実施の形態の電子デバイス10の場合には、微細な棒状抵抗素子14の抵抗値を高くすることができるので、電子デバイス10を低消費電力化することが可能になる。
【0064】
・第2実施の形態
図6は、本実施の形態の電子デバイスにおける回路図である。
【0065】
本実施の形態における電子デバイス30は、上記第1実施の形態における電子デバイス10の場合と同様に、発光する機能を有する微細な棒状発光素子と、上記微細な棒状発光素子が放出した光を受光するセンサーとしての機能を有する微細な棒状受光素子とを備えている。
【0066】
図6に示すように、本電子デバイス30は、微細な棒状発光素子31と微細な棒状受光素子32との対でなるフォトカプラ33を含んでいる。尚、微細な棒状発光素子31は、上記第1実施の形態における微細な棒状発光素子11と同じ構造を有する発光ダイオードである。そして、発光ダイオードでなる微細な棒状発光素子31のアノード(P型半導体領域)は端子34と接続されており、カソード(N型半導体領域)は端子35と接続されている。端子34は微細な棒状発光素子31を駆動するための正極となり、端子35は負極となる。
【0067】
上記微細な棒状受光素子32は、上記第1実施の形態における微細な棒状受光素子12と同じ構造を有するフォトダイオードである。そして、フォトダイオードでなる微細な棒状受光素子32のカソード(N型半導体領域)は端子36に接続され、アノード(P型半導体領域)はオペアンプ37の反転入力(−)および微細な棒状抵抗素子38の一端に接続されている。さらに、微細な棒状抵抗素子38の他端はオペアンプ37の出力と共に端子39に接続されている。また、オペアンプ37の非反転入力(+)は端子40に接続されている。尚、微細な棒状抵抗素子38は、上記第1実施の形態における微細な棒状抵抗素子14と同じ構造を有する抵抗素子である。
【0068】
上記端子36は高電位端子、端子40は低電位端子、端子39は出力端子となる。尚、図示はしないが、オペアンプ37には、電源用として別途正電圧と負電圧を与えている。以上より明らかなように、オペアンプ37は反転増幅回路を構成している。
【0069】
上記微細な棒状受光素子(フォトダイオード)32は、基板(図示せず)上に微細な棒状発光素子31と対向するように配置されている。これにより、微細な棒状受光素子32は、微細な棒状発光素子31が放出した光を受光することができる。すなわち、微細な棒状発光素子31と微細な棒状受光素子32とで発光素子‐受光素子対33を構成しており、この発光素子‐受光素子対33自身でフォトカプラを構成するのである。
【0070】
上記微細な棒状発光素子31が消灯状態の場合には、端子39からは出力電圧V=0が出力される。微細な棒状発光素子32が点灯状態の場合には、微細な棒状受光素子32に流れる電流をIとすると、端子39にはV=−I×Rが出力される。ここで、Rは微細な棒状抵抗素子38の抵抗値である。
【0071】
本実施の形態における電子デバイス30は、微細な棒状受光素子32の出力をオペアンプ37で増幅している。したがって、フォトカプラとしての動作をより広帯域で行うことが可能となる。
【0072】
尚、上記オペアンプ37は、ICや通常の素子の組み合わせによって構成することもできるが、その一部または全部を微細な棒状素子の組み合わせによって構成し、微細な棒状受光素子32等の微細な棒状素子と共に同一基板上に配置してもよい。この場合、微細な棒状受光素子32の出力を長い配線を介して次段に入力する必要がないため、遅延を低減して更に広帯域動作が可能となる。また、微細な棒状抵抗素子38を用いる代わりに、通常の抵抗素子を用いることも可能である。
【0073】
・第3実施の形態
本実施の形態の電子デバイスは、上記第1実施の形態の電子デバイス10の場合と同様に、発光する機能を有する微細な棒状発光素子と、上記微細な棒状発光素子が放出した光を受光するセンサーとしての機能を有する微細な棒状受光素子とを備えている。
【0074】
図7は、本実施の形態の電子デバイス50における回路図である。図8は、本実施の形態の電子デバイス50における概略平面図である。図9は、本実施の形態の電子デバイス50における微細な棒状受光素子の構造を示す概略図である。
【0075】
本実施の形態における電子デバイス50が、上記第1実施の形態における電子デバイス10と異なる点は、微細な棒状発光素子51と共にフォトカプラ53を構成する微細な棒状受光素子52がフォトトランジスタからなる点のみである。そして、その他の微細な棒状発光素子51,微細な棒状抵抗素子54,端子56〜端子60の構成は、上記第1実施の形態における微細な棒状発光素子11,微細な棒状抵抗素子14,端子16〜端子20と同様である。したがって、微細な棒状受光素子52以外の詳細な説明は省略する。
【0076】
上記微細な棒状受光素子52は、図9に示すように、長手方向にN型半導体領域61,P型半導体領域63およびN型半導体領域62がこの順に接続されて、NPN型のバイポーラトランジスタ構造を有するフォトトランジスタ素子を構成している。この微細な棒状受光素子52としては、PNP型のバイポーラトランジスタ構造を用いても良い。
【0077】
上記微細な棒状受光素子(フォトトランジスタ)52は、図8に示すように、基板55上に、微細な棒状発光素子51と対向するように配置されている。こうすることによって、微細な棒状受光素子52は、微細な棒状発光素子51が放出した光を受光することができる。すなわち、微細な棒状発光素子51と微細な棒状受光素子52とで発光素子‐受光素子対53を構成しており、この発光素子‐受光素子対53自身でフォトカプラを構成するのである。
【0078】
尚、図8において、上記微細な棒状発光素子(発光ダイオード)51は、長手方向にP型半導体領域64およびN型半導体領域65が接続されて構成されている。また、微細な棒状抵抗素子54は、ナノワイヤ66で構成されている。また、67は配線である。
【0079】
上記微細な棒状受光素子52は上述のごとくフォトトランジスタであり、例えば、シリコン,ゲルマニウム,InGaAsおよび硫化鉛を用いることができる。材料の選択は、微細な棒状発光素子51が発光する光を吸収できるものから行う。フォトトランジスタである微細な棒状受光素子52は、それ自身が増幅作用を有するため、上記第1実施の形態および上記第2実施の形態のごとくフォトダイオードで構成した場合に比べて、遥かに感度が高いという利点を有している。
【0080】
また、上記微細な棒状受光素子52のサイズは、例えば、直径が200nmであり、長さが10μmである。しかしながら、微細な棒状受光素子52のサイズはこれに限らず、直径は1nm〜10μm、長さは10nm〜500μmとすることができる。より好ましくは、十分な受光感度が得られ、且つ通常のフォトトランジスタに比べて極めて小さい、直径が20nm〜1μm、長さが1μm〜50μmである。
【0081】
・第4実施の形態
本実施の形態の電子デバイスは、上記第1実施の形態における電子デバイス10の場合と同様に、発光する機能を有する微細な棒状発光素子と、上記微細な棒状発光素子が放出した光を受光するセンサーとしての機能を有する微細な棒状受光素子とを備えている。
【0082】
図10は、本実施の形態の電子デバイス70における回路図である。図11は、本実施の形態の電子デバイス70における概略平面図である。図12および図13は、本実施の形態の電子デバイス70における上記微細な棒状発光素子および微細な棒状増幅素子の構造を説明するための概略図である。
【0083】
図10〜図13に示すように、微細な棒状発光素子(発光ダイオード)71,微細な棒状受光素子72,第1の微細な棒状抵抗素子74および第2の微細な棒状抵抗素子75は、基板76上に横倒しで配置されている。基板76上には、端子77〜端子81が形成されている。また、基板76上には配線82が形成されており、各端子77〜81と各素子との間および各素子間を電気的に接続している。
【0084】
上記微細な棒状発光素子(発光ダイオード)71は、図12に示すように、N型の半導体コア83をP型の半導体シェル84で囲んで構成されており、その一端ではN型の半導体コア83が露出している。そして、P型の半導体シェル84は配線82を介して端子77に接続され、N型の半導体コア83は配線82を介して端子78に接続されている。端子77は微細な棒状発光素子71を駆動するための正極となり、端子78は負極となる。
【0085】
上記微細な棒状受光素子(フォトトランジスタ)72は、上記第3実施の形態における微細な棒状受光素子52と同じ構造を有するフォトトランジスタであり、第1の微細な棒状抵抗素子74および第2の微細な棒状抵抗素子75は、上記第1実施の形態における微細な棒状抵抗素子14と同じ構造を有する抵抗素子である。
【0086】
また、微細な棒状増幅素子85は電界効果トランジスタであり、図13に示すように、長手方向にソース領域あるいはドレイン領域となるN型半導体領域86と、チャネル領域となるP型半導体領域88と、ドレイン領域あるいはソース領域となるN型半導体領域87とが、この順に接続されている。そして、チャネル領域となるP型半導体領域88は、ゲート絶縁膜となるインナーシェル89およびゲート電極となるアウターシェル90で覆われている。
【0087】
上記微細な棒状受光素子72は、長手方向にP型半導体領域91,N型半導体領域92,P型半導体領域93がこの順に接続されて、PNP型のバイポーラトランジスタ構造のフォトトランジスタ素子を構成している。そして、P型半導体領域91は、配線82を介して、微細な棒状増幅素子85のN型半導体領域87および端子79に接続されている。さらに、P型半導体領域93は、配線82を介して、微細な棒状増幅素子85のアウターシェル(ゲート電極)90および第1の微細な棒状抵抗素子74の一端に接続されている。
【0088】
また、上記微細な棒状増幅素子85のN型半導体領域86は配線82を介して、第2の微細な棒状抵抗素子75の一端および端子80に接続されている。第1の微細な棒状抵抗素子74の他端は配線82を介して、第2の微細な棒状抵抗素子75の他端および端子81に接続されている。ここで、端子79は高電位端子、端子81は低電位端子、端子80は出力端子となる。
【0089】
上記微細な棒状受光素子(フォトトランジスタ)72は、基板76上に、微細な棒状発光素子71と対向するように配置されている。こうすることによって、微細な棒状受光素子72は、微細な棒状発光素子71が放出した光を受光することができる。すなわち、微細な棒状発光素子71と微細な棒状受光素子72とで発光素子‐受光素子対73を構成しており、この発光素子‐受光素子対73自身でフォトカプラを構成するのである。
【0090】
上記微細な棒状受光素子72の出力は微細な棒状増幅素子85のゲート電極90に入力され、微細な棒状増幅素子85のN型半導体領域86からの出力が端子80に現れる。したがって、微細な棒状発光素子71が消灯状態の場合には、端子(出力端子)80の電位が低電位となり、微細な棒状発光素子71が点灯状態になると、端子80が高電位となる。
【0091】
上記微細な棒状発光素子71は、GaAsP系,GaP系,GaAlAs系,AlGaInP系およびInGaN系等を用いることができる。図12においては、微細な棒状発光素子71はN型の半導体コア83およびP型の半導体シェル84の2層構造としているが、実際には高効率発光化のために多層構造を有していても差し支えない。例えば、InGaN系を用いる場合には、N型の半導体コア,InGaN活性層シェルおよびP型の半導体シェルをこの順に積層したものを用いることができる。さらには、活性層を複数積層して活性層シェルを多重量子井戸構造としてもよい。
【0092】
上記微細な棒状発光素子71は、側面が発光するので、そのサイズに比して発光強度を強くすることが可能である。そのため、微細な棒状発光素子71をさらに小さくして本電子デバイス70を微細化することが可能になる。また、微細な棒状発光素子71を小さくする代わりに、単位発光層面積当たりの発光強度を弱くすれば、微細な棒状発光素子71の発光効率が向上し、本電子デバイス70を低消費電力化することが可能である。
【0093】
上記微細な棒状発光素子71のサイズは、例えば、直径が200nmであり、長さが10μmである。しかしながら、微細な棒状発光素子71のサイズはこれに限らず、直径は1nm〜10μm、長さは10nm〜500μmとすることができる。より好ましくは、十分な光量が得られ、且つ通常のLEDチップに比べて極めて小さい、直径が100nm〜500nm、長さが1μm〜50μmである。
【0094】
電界効果トランジスタである上記微細な棒状増幅素子85は、例えばシリコン,GaAsおよびGaNを用いることができる。微細な棒状増幅素子の他の例としては、バイポーラトランジスタがある。
【0095】
上記微細な棒状増幅素子85のサイズは、例えば、直径が200nmであり、長さが10μmである。しかしながら、微細な棒状増幅素子85のサイズはこれに限らず、直径は1nm〜10μm、長さは10nm〜500μmとすることができる。より好ましくは、十分な出力が得られ、且つ通常の単体の電界効果トランジスタに比べて極めて小さい、直径が200nm〜1μm、長さが1μm〜50μmである。
【0096】
上記第1の微細な棒状抵抗素子74は、均一な材質からなるナノワイヤ94で構成されている。また、第2の微細な棒状抵抗素子75は、均一な材質からなるナノワイヤ95で構成されている。
【0097】
本実施の形態の電子デバイス70は、微細な棒状受光素子72の出力を、微細な棒状増幅素子85で増幅している。したがって、フォトカプラ73としての動作をより広帯域で行うことが可能になる。
【0098】
・第5実施の形態
本実施の形態の電子デバイスは、上記第1実施の形態における電子デバイス10の場合と同様に、発光する機能を有する微細な棒状発光素子と、上記微細な棒状発光素子が放出した光を受光するセンサーとしての機能を有する微細な棒状受光素子とを備えている。さらに、上記微細な棒状発光素子から放出されて上記微細な棒状受光素子に到達する光の光路と略直交するように流路を配置し、上記微細な棒状受光素子が受光した光の強度によって、上記流路における上記光路の箇所を通過する物体を検知するよう構成している。
【0099】
図14は、本実施の形態の電子デバイス100における回路図であり、微細な流路の模式図が付け加えられている。図15は、本実施の形態の電子デバイス100における概略平面図である。図16は、図15におけるA‐A'矢視断面図である。図17は、本実施の形態の電子デバイス100における微細な棒状受光素子の構造を説明するための概略図である。
【0100】
図14〜図16に示すように、微細な棒状発光素子(発光ダイオード)101,微細な棒状受光素子(フォトコンダクタ)102および微細な棒状抵抗素子103は、基板104上に横倒しで配置されている。また、基板104上には、端子105〜端子109が形成されている。また、基板104上には配線110が形成されており、各端子105〜109と各素子との間および各素子間を電気的に接続している。
【0101】
上記微細な棒状発光素子101は、上記第1実施の形態における微細な棒状発光素子11と同じ構造を有する発光ダイオードである。そして、発光ダイオードでなる微細な棒状発光素子101のアノード(P型半導体領域)111は端子105に接続される一方、カソード(N型半導体領域)112は端子106に接続されている。端子105は微細な棒状発光素子101を駆動するための正極となり、端子106負極となる。
【0102】
上記微細な棒状受光素子(フォトコンダクタ)102は、図17に示すように均一な材質のナノワイヤ113からなり、光を受光すると抵抗が下がるデバイスである。微細な棒状受光素子102の一端は、配線110を介して端子109に接続されており、他端は、配線110を介して端子108および微細な棒状抵抗素子103の一端に接続されている。また、微細な棒状抵抗素子103の他端は、配線110を介して端子107に接続されている。ここで、端子107は高電位端子、端子109は低電位端子、端子108は出力端子となる。
【0103】
上記微細な棒状抵抗素子103は、上記第1実施の形態における微細な棒状抵抗素子14と同じ構造を有する抵抗素子であり、均一な材質からなるナノワイヤ114で構成される。
【0104】
上記微細な棒状発光素子101と微細な棒状受光素子102との間には、流路(チャネル)115が配置されている。この流路115は、基板104上に貼り付けられたPDMS(ポリジメチルシロキサン)膜116に形成された溝で構成されている。この流路115は、例えば、幅と高さとが100nm〜50μmである。
【0105】
上記流路115の壁には光を吸収する塗装117がなされているが、微細な棒状発光素子101と微細な棒状受光素子102とが互いに対向する部分においては塗装117がなされておらず、光を透過する窓部118が形成されている。
【0106】
上記微細な棒状発光素子101を点灯状態にしたまま、この流路115内に光を散乱する微細な物体119あるいは光を吸収する微細な物体120を含んだ流体を流した場合には、微細な物体119,120が窓部118を通過する際に微細な棒状受光素子102に届く光量が減少する。そこで、端子108の電圧をモニターすることによって、微細な物体119,120の数をカウントすることができる。さらには、微細な物体119と微細な物体120との形状,大きさあるいは光の吸収率が異なる場合は、端子108の電圧変動を解析することにより、その種類を分類することも可能である。
【0107】
すなわち、本実施の形態においては、上記配線110,棒状抵抗素子103および端子107〜109で、特許請求の範囲における上記「物体を検知するための回路」を構成しているのである。
【0108】
上記流路115を流れて、微細な棒状発光素子101と微細な棒状受光素子102との対で検知される微細な物体119,120としては、通常の(従来の)フォトインタラプタでは検知できないような「花粉,ウィルス,血球等の生体、空気中を漂う微細な砂粒子やほこり、微細金属粒や小麦粉等の爆発性のある粉塵」等がある。
【0109】
上記微細な棒状受光素子102はフォトコンダクタであり、例えば、シリコン,ゲルマニウム,InGaAs,HgCdTeおよびInSbを用いることができる。材料の選択は、微細な棒状発光素子101が発光する光を吸収できるものから行う。
【0110】
また、上記微細な棒状受光素子102のサイズは、例えば、直径が200nmであり、長さが10μmである。しかしながら、微細な棒状受光素子102のサイズはこれに限定されるものではなく、直径は1nm〜10μm、長さは10nm〜500μmとすることができる。より好ましくは、十分な受光感度が得られ、且つ通常のフォトコンダクタに比べて極めて小さい、直径が200nm〜1μm、長さが1μm〜50μmである。
【0111】
尚、上記微細な棒状受光素子102としては、フォトコンダクタの代わりに微細な棒状のフォトダイオードやフォトトランジスタを用いれば、暗電流を小さくすることができるのでさらに好ましい。
【0112】
さらに、上記微細な棒状受光素子102の出力を受ける次段として、微細な棒状の増幅素子や増幅回路を設けてもよい。
【0113】
以上のごとく、本実施の形態の電子デバイス100は、発光素子101と受光素子102とが共に微細な棒状の素子であるため、発光素子101が放出した光が受光素子102に届くまでの光路上に設けられる流路115を微細なものとすることができる。したがって、微細な流路115を通過する「花粉,ウィルス,血球等の生体、空気中を漂う微細な砂粒子やほこり、微細金属粒や小麦粉等の爆発性のある粉塵」等の微細な物体119,120の数をカウントし、種類を特定することが容易になる。また、発光素子101と受光素子102とが共に微細な棒状の素子であるため、通常のフォトインタラプタに比べて検出部を極めて小さくすることが可能である。さらには、本電子デバイス100の主要な電力消費源である発光素子101が非常に小さいため、低消費電力化が可能である。
【0114】
・第6実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態〜上記第5実施の形態における電子デバイス10〜電子デバイス100の製造方法における各電子デバイスに共通する製造方法に関する。
【0115】
(1)電子デバイスの製造手順
先ず、上記第1実施の形態〜上記第5実施の形態における電子デバイス10〜電子デバイス100を製造する手順を説明する。
【0116】
上記第1実施の形態〜上記第5実施の形態における電子デバイス10〜電子デバイス100は、何れも微細な棒状素子が基板上に配置され、さらに配線されることによって製造される。より具体的には、微細な棒状素子を基板上で多数形成した後、それらの微細な棒状素子を上記基板から切り離す。次に、切り離された棒状素子を上記基板とは別の本来の基板上の所定の位置に配列し、配線するのである。
【0117】
以下に、上記微細な棒状素子の形成方法と、上記微細な棒状素子の基板上への配列方法とについて、詳細に説明する。
【0118】
(2)微細な棒状素子の形成方法
ここでは、微細な棒状素子の形成方法について、3通りの方法を説明する。
【0119】
第1の方法
上記微細な棒状素子の形成方法のうちの第1の方法として、上記第1実施の形態における微細な棒状受光素子(フォトダイオード)12の形成方法を例に挙げて説明する。
【0120】
上記微細な棒状受光素子12は、PIN構造を有しており、シリコンからなるとする。尚、上記第2実施の形態における微細な棒状受光素子(フォトダイオード)32も同様の方法で形成することができる。また、上記各実施の形態における微細な棒状発光素子(発光ダイオード)11,31,51,101、微細な棒状受光素子(フォトトランジスタ)52,72も、適切な材料を用いて適切な不純物プロファイルを形成することにより、同様の方法で形成することができる。また、微細な棒状受光素子(フォトコンダクタ)102、微細な棒状抵抗素子14,38,54,74,75,103は、PN接合を有していないが、棒状素子全体に渡って一様な不純物プロファイルを与えるなどすれば、やはり同様な方法で形成することができる。
【0121】
先ず、図18に示すように、シリコン基板121を準備する。
【0122】
次に、図19に示すように、開口部が設けられたシリコン酸化膜122をシリコン基板121上に形成する。具体的には、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、シリコン基板121上に例えば100nmの厚さでシリコン酸化膜を成膜する。その後、フォトリソグラフィ工程によって、上記シリコン酸化膜に、例えば200nmの大きさの開口部をパターニングしてシリコン基板121表面の一部を露出させて、シリコン酸化膜122を形成する。
【0123】
次に、図20に示すように、金からなる金属触媒粒123を、シリコン酸化膜122の開口部であってシリコン基板121が露出している部分に形成する。具体的には、パターニングされたシリコン酸化膜122が形成されたシリコン基板121上の全面に、例えば厚さ3nmの金をスパッタにより成膜し、900℃程度でアニールすることによって金を凝集させればよい。
【0124】
次に、図21に示すように、上記シリコン酸化膜122の開口部から露出しているシリコン基板121上に、CVD装置を用いて、例えば3μmの長さにp型シリコンをVLS(Vapor Liquid Solid)成長させてP型半導体領域124を形成する。成長温度は800℃程度であり、成長ガスとしてシランを用い、キャリアガスとして水素を用い、導電性を与える不純物を含むガスとしてジボランを用いる。
【0125】
次に、図22に示すように、上記導電性を与える不純物を含むガス(ジボラン)の供給を停止してさらに成長を続け、例えば3μmの長さに無ドープ(イントリンシック)シリコンを成長させてI型半導体領域(真性領域)125を形成する。
【0126】
次に、図23に示すように、上記導電性を与える不純物を含むガスとしてホスフィンを流してさらに成長を続け、例えば3μmの長さにn型シリコンを成長させてN型半導体領域126を形成する。こうして、長さ方向にP型半導体領域124,I型半導体領域125およびN型半導体領域126が順に並んだシリコンワイヤが形成される。
【0127】
次に、図24に示すように、上記シリコン酸化膜122および金属触媒粒123を夫々ウェットエッチングにより除去し、最後に、図25に示すように、シリコン基板121とその表面上に形成された棒状の構造物とを水等の液体中に浸し、超音波を照射することによって、上記棒状の構造物をシリコン基板121から切り離す。こうしてシリコン基板121から切り離された個々の棒状の構造物は、上記第1実施の形態において、長手方向にP型半導体領域24,I型半導体領域26およびN型半導体領域25がこの順で接続されてフォトダイオードの機能を有する微細な棒状受光素子12となる。
【0128】
第2の方法
上記微細な棒状素子の形成方法のうちの第2の方法として、上記第4実施の形態における微細な棒状増幅素子(電界効果トランジスタ)85の形成方法を例に挙げて説明する。
【0129】
上記微細な棒状増幅素子85は、NPN構造を有しており、シリコンからなるとする。
【0130】
先ず、図26に示すように、シリコン基板127上に、根元側から長さ方向にN型半導体領域128,P型半導体領域129およびN型半導体領域130がこの順に接続されたシリコンワイヤを形成する。このシリコンワイヤは、上記第1の方法と同様にして形成すればよい。尚、シリコンワイヤの太さは、例えば200nmとし、長さは、例えば10μmとする。
【0131】
次に、図27に示すように、上記N型半導体領域128,P型半導体領域129およびN型半導体領域130の表面に、ゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜131を、例えば10nmの厚さで形成する。シリコン酸化膜131は、CVD法により形成するか、N型半導体領域128,P型半導体領域129およびN型半導体領域130の表面を熱酸化することによって形成することができる。次に、シリコン酸化膜131の表面に、ゲート電極となるN型に高濃度ドープしたポリシリコン膜132を、CVD法によって形成する。ポリシリコン膜132の厚さは、例えば50nmとする。
【0132】
最後に、図28に示すように、上記シリコン基板127とその表面上に形成した棒状の構造物を水等の液体中に浸し、超音波を照射することによって、上記棒状の構造物をシリコン基板127から切り離す。こうしてシリコン基板127から切り離された個々の棒状の構造物は、上記第4実施の形態において、長手方向にN型半導体領域86とP型半導体領域88とN型半導体領域87とがこの順に接続されると共に、P型半導体領域88がゲート絶縁膜となるインナーシェル89およびゲート電極となるアウターシェル90で覆われて電界効果トランジスタの機能を有する微細な棒状増幅素子85となる。
【0133】
ところで、図28の微細な棒状増幅素子85は、N型半導体領域86(128),87(130)に対して配線をする必要があるので、図13に示すように、両端部においてゲート絶縁膜89(131)およびゲート電極90(132)を剥いておく必要がある。そのため、棒状増幅素子85の両端部の領域133および領域134において、シリコン酸化膜131およびポリシリコン膜132を除去しなければならない。そこで、この両端部の領域133,134の除去は、微細な棒状増幅素子85を基板127とは別の本来の基板76上の所定の位置に配列した後、配線を行う前に、適切なエッチングマスクを形成したうえでエッチングで除去することによって行うのである。
【0134】
第3の方法
上記微細な棒状素子の形成方法のうちの第3の方法として、上記第4実施の形態における微細な棒状発光素子(発光ダイオード)71の形成方法を例に挙げて説明する。
【0135】
上記微細な棒状発光素子71は、N型のGaNコア83とP型のGaNシェル84とを有し、N型のGaNコア83とP型のGaNシェル84との間には、InGaNシェル(発光層)が形成されているものとする。
【0136】
このような棒状発光素子は、上記第2の方法と類似している上記VLS法とMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法とを組み合わせた方法で形成することもできるが、ここではエッチングとMOCVD法とを組み合わせた方法で形成する場合を例に説明する。
【0137】
先ず、図29に示すように、サファイア基板135の表面上にn型GaN膜136を形成する。n型GaN膜136は、MOCVD装置で、例えば10μmの厚さで成膜する。
【0138】
次に、図30に示すように、上記n型GaN膜136にシリコン酸化膜を堆積し、フォトリソグラフィ工程によってパターニングして、シリコン酸化膜からなるハードマスク137を形成する。上記シリコン酸化膜は、CVD法によって、例えば1μmの厚さで堆積する。また、シリコン酸化膜からなるハードマスク137は、例えば直径が1μmの円形,三角形,四角形あるいは六角形等に形成する。
【0139】
次に、図31に示すように、上記シリコン酸化膜からなるハードマスク137をマスクとして、非等方的なドライエッチングによって、n型GaN膜136をエッチングして、n型GaNからなる棒状の半導体138を形成する。尚、ハードマスク137の断面形状を変えることによって、棒状の半導体138の断面形状を自由に変えることができる。したがって、例えば、n型GaN膜136をその表面がc面になるように成長させれば、ハードマスク137の断面形状を三角形にすることによって、棒状の半導体138の全ての側面を非極性面(a面やm面)にすることができる。
【0140】
ここで、上記n型GaNからなる棒状の半導体138が形成されたサファイア基板135をアニール処理することが好ましい。その場合のアニール温度は、例えば700℃〜900℃以下である。これにより、n型GaNからなる棒状の半導体138の結晶欠陥を回復させて、結晶性を改善することができる。
【0141】
あるいは、上記n型GaNからなる棒状の半導体138が形成されたサファイア基板135を、例えば150℃の熱リン酸に浸して、上記エッチングによって生じた結晶欠陥層を選択的に除去することが好ましい。この場合も、n型GaNからなる棒状の半導体138の結晶欠陥を回復させて、結晶性を改善することができる。
【0142】
次に、図32に示すように、上記n型GaNからなる棒状の半導体138の側面および上面に、例えば200nmの厚さでn型GaN膜139を形成する。このn型GaN膜139は、棒状の半導体138と一体となってN型のGaNコア83となる。
【0143】
このように、上記n型GaNからなる棒状の半導体138の側面および上面に改めてn型GaN膜139を形成することによって、均一で結晶性のよいn型GaN結晶を表面に露出させることができる。特に、本第3の方法の手順では棒状の半導体138はエッチングによって形成されているためエッチングダメージを受けており、n型GaN膜139を形成することによって半導体表面の結晶欠陥を減らす効果が大きい。
【0144】
その後、上記n型GaN膜139の側面および上面に、例えば5nmの厚さでInGaN膜からなる発光層140を形成する。さらに、発光層140の側面および上面に、例えば100nmの厚さでp型GaN膜からなるP型半導体シェル141を形成する。
【0145】
図示しないが、この後、上記P型半導体シェル141上に、さらにミストCVD等によってITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極からなるシェルを形成することが好ましい。そうした場合には、動作時にP型半導体シェル141の電位が一様になって微細な棒状発光素子71の発光効率を高くすることができる。
【0146】
最後に、図33に示すように、上記サファイア基板135とその表面上に形成された棒状の構造物とを水等の液体中に浸し、超音波を照射することによって、上記棒状の構造物をサファイア基板135から切り離す。こうしてサファイア基板135から切り離された個々の棒状の構造物は、上記第4実施の形態において、N型のGaNコア83とP型のGaNシェル84とを備えて発光ダイオードの機能を有する微細な棒状発光素子71となる。
【0147】
ところで、図33の微細な棒状発光素子71は、N型GaNコア83(138,139)に対して配線をする必要があるので、図12に示すように、一方の端部においてP型GaNシェル84(141)を剥いておく必要がある。そのため、微細な棒状発光素子71の領域142および領域143の何れか一方において、発光層140およびP型半導体シェル84(141)を除去しなければならない。そこで、この領域142あるいは領域143の除去は、微細な棒状発光素子71をサファイア基板135とは別の本来の基板76上の所定の位置に配列した後、配線を行う前に、適切なエッチングマスクを形成したうえでエッチングで除去することによって行うのである。
【0148】
(3)微細な棒状素子の基板上への配置方法
以上説明した微細な棒状素子の形成方法によって形成された種々の微細な棒状素子は、基板上の所定の位置に配置された後、配線が行われる。以下では、上記第5実施の形態における電子デバイス100を形成する方法を挙げて説明する。
【0149】
先ず、図34に示すように、表面に電極145〜150が形成された基板104を準備する。ここで、電極145〜150は、フォトリソグラフィあるいは印刷技術によって形成することができる。尚、図34では省略されているが、電極145〜150には外部から電位を与えられるように、パッドが形成されている。
【0150】
上記電極145と電極146、電極147と電極148、および、電極149と電極150は、夫々第1,第2および第3の電極対をなしている。そして、第1の電極対(電極145と電極146)の部分は、微細な棒状発光素子101が配置される位置を規定している。同様に、第2の電極対(電極147と電極148)の部分は、微細な棒状受光素子102が配置される位置を規定し、第3の電極対(電極149と電極150)の部分は微細な棒状抵抗素子103が配置される位置を規定している。
【0151】
次に、図35および図36に示すように、上記第3の電極対(電極149と電極150)の部分に、微細な棒状抵抗素子103を配置する(抵抗素子配置工程)。尚、図35および図36は、図34におけるB‐B'矢視断面図である。
【0152】
先ず、図35に示すように、上記基板104上に、微細な棒状抵抗素子103を含んだイソプロピルアルコール(IPA)151を薄く塗布する。IPA151に換えて、エチレングリコール,プロピレングリコール,メタノール,エタノール,アセトンの何れか一つ、あるいは、それらの混合物であってもよい。あるいは、IPA151に換えて、他の有機物からなる液体や水等を用いることができる。
【0153】
上記微細な棒状抵抗素子103を含むIPA151を塗布する厚さは、微細な棒状抵抗素子103を配置できるように、IPA151中で微細な棒状抵抗素子103が移動できる厚さである。つまり、IPA151を塗布する厚さは、微細な棒状抵抗素子103の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。ここで、塗布する厚さは薄すぎると微細な棒状抵抗素子103が移動し難くなり、厚すぎるとIPA151を乾燥する時間が長くなる。また、IPA151の量に対する微細な棒状抵抗素子103の量は、1×104本cm-3〜1×107本cm-3が好ましい。
【0154】
上記微細な棒状抵抗素子103を含むIPA151を塗布するために、微細な棒状抵抗素子103を配置させる領域の外周囲に枠を形成し、その枠内に微細な棒状抵抗素子103を含むIPA151を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、IPA151が粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。
【0155】
次に、図36に示すように、上記第3の電極対を形成する電極149と電極150との間に、例えば1Vの交流を印加する。第3の電極対に印加する交流電圧は0.1V〜10Vとすることができるが、0.1V以下の場合には微細な棒状抵抗素子103の配置が悪くなり、10V以上では電極間に流れる電流によってIPA151が好ましくない対流を起こす。したがって、1V〜5Vが好ましく、1V程度とするのがより好ましい。
【0156】
上記微細な棒状抵抗素子103が上記第3の電極対で規定される位置に配置される原理は、誘電泳動あるいは容量結合による引力で説明される。その結果、各電極149,150と微細な棒状抵抗素子103との間に引力が働き、微細な棒状抵抗素子103は、電極149,150間に生じる電気力線に沿うように向きを揃え、電極149,150に架橋するように配置される。
【0157】
また、上記電極149,150に与える交流電圧の周波数は10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが、微細な棒状抵抗素子103の配置が最も安定してより好ましい。さらに、電極149と電極150との間に印加する交流電圧は、正弦波に限らず、矩形波,三角波およびノコギリ波等の周期的に変動するものであればよい。
【0158】
尚、上記第1の電極対および第2の電極対には電圧を印加していないため、微細な棒状抵抗素子103は配置されない。したがって、微細な棒状抵抗素子103は、上記第3の電極対で規定される位置にのみ選択的に配置されるのである。
【0159】
次に、上記微細な棒状抵抗素子103を配置させた後の基板104を加熱することによってIPA151の液体を蒸発させて乾燥させ、微細な棒状抵抗素子103を電極149および電極150に架橋するように配置させて固着させる。
【0160】
次に、図37および図38に示すように、第1の電極対(電極145と電極146)の部分に、微細な棒状発光素子101を配置する(発光素子配置工程)。尚、図37および図38は、図34におけるC‐C'矢視断面図である。
【0161】
先ず、図37に示すように、上記基板104上に、微細な棒状発光素子101を含んだIPA152を薄く塗布する。
【0162】
ところで、上記微細な棒状発光素子101はPN接合を有するダイオードであり、極性を有する素子(有極性素子)である。そのため、例えば図37において、微細な棒状発光素子101は、P型半導体領域111を左に向け、N型半導体領域112を右に向けて配置されなければならない。もし、微細な棒状発光素子101が反対を向いて基板104上に配置された場合には、得られる電子デバイス100は不良となる。ところが、上記第3の電極対で規定される位置に微細な棒状抵抗素子103を配置する方法では、微細な棒状抵抗素子103が配置される2つの向きがとる確率は共に50%である。
【0163】
そこで、図38に示すように、上記第1の電極対における電極145および電極146には、交流電圧に重ねて直流電圧を印加するのである。微細な棒状発光素子101の接合部には空乏層が形成されているため、空乏層電荷が電気二重層を形成している。そして、P型半導体領域111側の空乏層は負に、N型半導体領域112側の空乏層は正に帯電している。この電気二重層は電気双極子モーメントを有しているため、電極145側を実質的に正電圧に、電極146側を実質的に負電圧にすることによって、微細な棒状発光素子101はP型半導体領域111を左側にして配置されるのである。
【0164】
尚、上記第2の電極対および第3の電極対には電圧を印加していないため、微細な棒状発光素子101は配置されない。したがって、微細な棒状発光素子101は、上記第1の電極対で規定される位置にのみ選択的に配置させるのである。
【0165】
次に、上記微細な棒状発光素子101を配置させた後の基板104を加熱することによって、IPA152の液体を蒸発させて乾燥させ、微細な棒状発光素子101を電極145および電極146に架橋するように配置させて固着させる。
【0166】
次に、図示しないが、上記第2の電極対(電極147と電極148)の部分に、微細な棒状受光素子102を配置する(受光素子配置工程)。微細な棒状受光素子102には極性がないので、上述した第3の電極対の対向部で規定される位置に微細な棒状抵抗素子103を配置する方法を用いればよい。
【0167】
この場合も、上記第1の電極対および第3の電極対には電圧を印加していないため、微細な棒状受光素子102は配置されない。したがって、微細な棒状受光素子102は、上記第2の電極対で規定される位置にのみ選択的に配置させるのである。
【0168】
次に、上記微細な棒状受光素子102を配置させた後の基板104を加熱することによって、上記IPAの液体を蒸発させて乾燥させ、微細な棒状受光素子102を電極147および電極148に架橋するように配置させて固着させる。
【0169】
以上、上述した3回の配置工程によって、図39に示すように、基板104上に、微細な棒状抵抗素子103,微細な棒状発光素子101および微細な棒状受光素子102が、夫々所定の位置に配置される。特に、有極性素子である微細な棒状発光素子101は、基板104上の所定の位置に、極性の向きを含めて正しく配置される。
【0170】
次に、図40に示すように、上記基板104上に、端子105〜109および配線110を形成する。これにより、各端子105〜109と各素子101,102,103との間が電気的に正しく接続される。
【0171】
次に、図41に示すように、上記PDMS116に溝115を形成する。この溝115は微細な物体119,120を含んだ流体が流れる流路となる。そして、PDMS116の一部にマスクを形成して光を吸収する塗装117を流路115の壁に施し、その後マスクを除去することによって流路115の壁に光を透過する窓部118を形成する。
【0172】
最後に、図42に示すように、上記溝(流路)115が形成されたPDMS116を、微細な棒状素子の配置と配線とが完了した基板104上に圧着して、電子デバイス100が完成する。
【0173】
以上の上記電子デバイス100を製造する方法においては、少なくとも第1,第2の2つの電極対が形成された基板104上に、微細な棒状発光素子101を含んだIPA152の液体を導入し、上記第1の電極対に電圧を印加して微細な棒状発光素子101を上記第1の電極対を構成する電極145と電極146との対向部で規定される位置に配置させる発光素子配置工程と、基板104上に、微細な棒状受光素子102を含んだ上記IPAの液体を導入し、上記第2の電極対に電圧を印加して微細な棒状受光素子102を上記第2の電極対を構成する電極147と電極148との対向部で規定される位置に配列させる受光素子配置工程とを含んでいる。
【0174】
したがって、上記電子デバイス100を製造する方法で例示される微細な棒状素子の基板上への配置方法によれば、微細な棒状発光素子と微細な棒状受光素子とを、簡易に極めて接近させて配置することが可能である。したがって、発光素子と受光素子との対を非常に微細に構成し、電子デバイスを非常に微細化できる簡易な電子デバイスおよびその製造方法を提供することができる。
【0175】
この電子デバイスの製造方法においては、さらに、上記発光素子配置工程で配列される上記微細な棒状発光素子、および、上記受光素子配置工程で配列される上記微細な棒状受光素子の少なくとも1つが、一端および他端に夫々異なる極性を有する有極性素子である場合には、上記有極性素子を、上記一端および上記他端の位置関係を含めて所定の向きで上記基板上に配列するようにしている。
【0176】
このような電子デバイスの製造方法では、極めて微細な棒状素子が極性を有している場合であっても、上記基板上に極性の向きを含めて正しい向きで当該微細な棒状素子を配置できるため、微細な棒状素子を組み合わせた複雑で高度な回路を実現することができるのである。
【0177】
・第7実施の形態
本実施の形態は、上記第1実施の形態〜上記第5実施の形態における電子デバイス10〜電子デバイス100を備えたセンサーシステムに関する。図43は、本実施の形態のセンサーシステムのブロック図である。
【0178】
本実施の形態のセンサーシステム160は、センサー部161,演算部162および表示部163からなる。
【0179】
上記センサー部161としては、例えば、上記第5実施の形態の電子デバイス100を用いることができる。このセンサー部161には、少なくとも微小な棒状発光素子101と、この微小な棒状発光素子101が発する光を受光する微小な棒状受光素子102と、微小な棒状発光素子101が発した光が微小な棒状受光素子102に届くまでの光路上に設けられた流路115を備えている。そして、微細な棒状受光素子102が受光した光の強度によって、流路115を通過する物体を検知するように構成されている。
【0180】
また、上記センサー部161は、さらに、微小な棒状素子からなる増幅回路や演算回路を備えていても良い。
【0181】
上記演算部162は、センサー部161の微小な棒状受光素子102からの出力を受けて増幅や演算を行い、その結果を表示部163に出力する機能を有する。
【0182】
以上のごとく、本実施の形態のセンサーシステム160は、少なくとも微小な棒状発光素子101と、この微小な棒状発光素子101が発する光を受光する微小な棒状受光素子102とを備えているので、極めて微小な流路115を流れる微小な物体を検知することができる。
【0183】
上記微小な流路115を流れる検知対象としては、通常のフォトインタラプタでは検知できないような「花粉,ウィルス,血球等の生体、空気中を漂う微細な砂粒子やほこり、微細金属粒や小麦粉等の爆発性のある粉塵」等がある。
【0184】
また、本実施の形態のセンサーシステム160は、上記センサー部161を極めて小さく構成することができるため、例えば生体内等にセンサー部161を埋め込んで使用することも可能になる。
【符号の説明】
【0185】
10,30,50,70,100…電子デバイス、
11,31,51,71,101…微細な棒状発光素子(発光ダイオード)、
12,32…微細な棒状受光素子(フォトダイオード)、
13,33,53,73…フォトカプラ、
14,38,54,74,75,103…微細な棒状抵抗素子、
15,55,76,104…基板、
16〜20,34〜36,39,40,56〜60,77〜81,105〜109…端子、
21,67,82,110…配線、
22,24,63,64,88,91,93,111,124,129…P型半導体領域、
23,25,61,62,65,86,87,92,112,126,128,130…N型半導体領域、
26,125…I型半導体領域、
27,66,94,95,113,114…ナノワイヤ、
37…オペアンプ、
52,72…微細な棒状受光素子(フォトトランジスタ)、
83…半導体コア、
84…半導体シェル、
85…微細な棒状増幅素子(電界効果トランジスタ)、
89…インナーシェル(ゲート絶縁膜)、
90…アウターシェル(ゲート電極)、
102…微細な棒状受光素子(フォトコンダクタ)、
115…流路(チャネル)、
116…PDMS膜、
117…塗装、
118…窓部、
119,120…微細な物体、
121,127…シリコン基板、
131…シリコン酸化膜(ゲート絶縁膜)、
132…ポリシリコン膜(ゲート電極)、
135…サファイア基板、
138…棒状の半導体(n型GaN)、
139…n型GaN膜、
140…発光層、
141…P型半導体シェル、
145〜150…電極、
151,152…IPA、
160…センサーシステム、
161…センサー部、
162…演算部、
163…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状体を有すると共に、光を放出する棒状発光素子と、
直径が1nm以上且つ10μm以下であり、長さが10nm以上且つ500μm以下である棒状体を有すると共に、上記棒状発光素子から放出された光を受光する棒状受光素子と
を備えたことを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の電子デバイスにおいて、
上記棒状発光素子および上記棒状受光素子は、同一の基板上に配置されている
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載の電子デバイスにおいて、
上記棒状受光素子は、第1導電型の半導体と第2導電型の半導体とが接合された半導体素子である
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の電子デバイスにおいて、
上記棒状受光素子は、上記棒状発光素子から放出された光の強弱に応じて電気特性が変化して、上記棒状発光素子から放出された光の強度が予め設定された設定強度を超えると第1の出力状態となる一方、上記設定強度以下になると上記第1の出力状態とは異なる第2の出力状態となるスイッチの機能を有する
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の電子デバイスにおいて、
上記棒状発光素子から放出されて上記棒状受光素子に到達する光の光路と交差すると共に、物体を含む流体が内部を流れる流路であって、上記光路との交差部は光が透過可能になっている流路と、
上記棒状受光素子から出力される受光量に応じた出力信号に基づいて、上記流路を通過した上記物体を検知するための回路と
を備えたことを特徴とする電子デバイス。
【請求項6】
請求項2に記載の電子デバイスの製造方法であって、
上記棒状発光素子および上記棒状受光素子が配置される上記基板上に、少なくとも第1の電極対と第2の電極対とを形成する電極対形成工程と、
上記電極対が形成された上記基板上に上記棒状発光素子を含む液体を導入すると共に、上記第1の電極対に交流電圧を印加して、上記第1の電極対における互いに対向する2つの電極の間で規定される位置に、上記棒状発光素子を配置させる発光素子配置工程と、
上記電極対が形成された上記基板上に上記棒状受光素子を含む液体を導入すると共に、上記第2の電極対に交流電圧を印加して、上記第2の電極対における互いに対向する2つの電極の間で規定される位置に、上記棒状受光素子を配置させる受光素子配置工程と
を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電子デバイスの製造方法において、
上記棒状発光素子および上記棒状受光素子のうちの少なくとも一方は、一端側と他端側とが夫々異なる極性を有する有極性素子であり、
上記第1の電極対と上記第2の電極対とのうち上記有極性素子が配置される電極対に印加される上記交流電圧には、直流電圧が重畳されており、
上記有極性素子が配置される電極対における互いに対向する2つの電極の間で規定される位置に配置される上記有極性素子の両端の向きが、上記電極対に印加される上記直流電圧によって定められる
ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の電子デバイスを有するセンサー部を備えたことを特徴とするセンサーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2013−80864(P2013−80864A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221029(P2011−221029)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】