説明

電子用途用の架橋性疎水性組成物

【課題】電子デバイス構造を保護するための組成物の提供。
【解決手段】吸水率が2%以下のエポキシ含有環状オレフィン樹脂と、吸水率が2%以下の1種または複数のフェノール樹脂と、エポキシ触媒と、任意選択で、電気絶縁性充填剤、消泡剤および着色剤のうち1種または複数と、1種または複数の有機溶媒とを含む組成物が提供される。これらの組成物は封止材として有用であり、190℃以下の硬化温度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物およびこのような組成物の保護コーティングのための使用に関する。一実施形態では、プリント配線基板加工用化学薬品にさらされることから、また環境的な保護のために、電子デバイス構造、特に箔上焼成(fired−on−foil)埋め込みセラミックコンデンサを保護するためにこれらの組成物が使用される。
【背景技術】
【0002】
電子回路には、抵抗器、コンデンサ、インダクタなどの受動電子部品が必要とされる。最近の傾向としては、受動電子部品が有機プリント回路板(PCB)に埋め込まれるかまたは組み込まれている。コンデンサのプリント回路板内への埋め込みを実践することにより、回路寸法の低減および回路性能の向上が可能となる。しかしながら、埋め込みコンデンサは、高収率や高性能など他の要件と共に高い信頼性要件を満たさなければならない。信頼性要件を満たすことは、加速寿命試験にパスすることを含む。このような加速寿命試験の1つは、埋め込みコンデンサを含む回路を、5ボルト(V)のバイアス下85℃、相対湿度85%に1000時間さらすことである。絶縁抵抗のどんな著しい低下も故障となる。
【0003】
プリント回路板に埋め込まれた高キャパシタンスセラミックコンデンサは、減結合用途に特に有用である。高キャパシタンスセラミックコンデンサは、「箔上焼成」技術によって形成することができる。箔上焼成コンデンサは、Feltenの特許文献1に記載されている厚膜プロセスまたはBorlandらの特許文献2に記載されている厚膜プロセスから形成することができる。
【0004】
箔上焼成厚膜セラミックコンデンサは、金属箔基板上に厚膜コンデンサの誘電体材料を堆積させ、その後、厚膜コンデンサの誘電体層の上に最上銅電極を堆積させ、続いて、窒素雰囲気中900〜950℃で10分のピーク時間などの銅圧膜焼成条件下で焼成することによって形成される。
【0005】
コンデンサの誘電体材料は、減結合に適した高キャパシタンスで小さいコンデンサの作製を可能にするために焼成後に高い誘電率(K)を有すべきである。高い誘電率の厚膜コンデンサの誘電体は、高誘電率の粉末(「機能相」)をガラス粉末と混合し、この混合物を厚膜スクリーン印刷媒体に分散させることによって形成される。
【0006】
厚膜誘電体材料の焼成中、誘電体材料のガラス成分は、ピーク焼成温度に到達する前に軟化して流動し、融合し、機能相を封止し、最終的にモノリシックセラミック/銅電極膜を形成する。
【0007】
次いで、箔上焼成コンデンサを含む箔をプリプレグ誘電体層に積層し、内層を形成するためにコンデンサ部品を下に向け、金属箔をエッチングしてコンデンサの箔電極および任意の関連する回路を形成することができる。これで、箔上焼成コンデンサを含む内層を、従来のプリント配線板の方法によって多層プリント配線板に組み込むことができる。
【0008】
焼成したセラミックコンデンサ層は、多少多孔性を含有することがあり、扱いが悪いために曲げ力を受けた場合に、微小割れ(microcrack)が生じることがある。このような多孔性および微小割れにより、水分がセラミック構造に浸透してしまうことがあり、加速寿命試験でバイアスおよび温度にさらされた場合に、絶縁抵抗が低下し、故障をもたらすことがある。
【0009】
プリント回路板作製プロセスにおいて、箔上焼成コンデンサを含む箔は、苛性のフォトレジスト剥離用化学薬品ならびにブラウンオキサイドまたはブラックオキサイド処理にさらされることもある。この処理は、多くの場合、銅箔のプリプレグへの付着力を向上させるために使用される。この処理は、高温で、苛性溶液および酸性溶液に銅箔を複数回さらすことで構成される。これらの化学薬品は、コンデンサの誘電体ガラスおよびドーパントを腐食し、部分的に溶解させることがある。このような損傷は、しばしば誘電体上にイオン表面堆積物をもたらし、このことは、コンデンサが湿気にさらされた場合に絶縁抵抗の低下を招く。このような低下は、コンデンサの加速寿命試験をも危うくする。
【0010】
これらの問題を解決するための手法が必要である。埋め込み受動部品を改善するための様々な手法が試されてきた。埋め込み抵抗器を強化するために使用される封止材組成物の例は、Feltenの特許文献3に見ることができる。埋め込み抵抗器を保護するための封止材組成物のさらなる例は、特許文献4(EL0538)に見られる。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6317023号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0011857号明細書
【特許文献3】米国特許第6860000号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/754348号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示される組成物は、吸水率が2%以下のエポキシ含有環状オレフィン樹脂と、吸水率が2%以下の1種または複数のフェノール樹脂と、エポキシ触媒と、任意選択で、1種または複数の電気絶縁性充填剤、消泡剤および着色剤と、1種または複数の有機溶媒とを含む。これらの組成物の硬化温度は、190℃以下である。
【0013】
また、開示の組成物の封止材(encapsulant)で被覆され、プリント配線板または集積回路(IC)パッケージ構造体に埋め込まれた箔上焼成セラミックコンデンサも開示される。前記封止材は、プリント配線板への埋め込み前後に水分およびプリント配線板用化学薬品からコンデンサを保護し、前記埋め込みコンデンサ構造体は、5Vの直流バイアス下85℃、相対湿度85%で行われる1000時間の加速寿命試験に合格する。
【0014】
吸水率が2%以下のエポキシ含有環状オレフィン樹脂と、エポキシ触媒と、任意選択で、1種または複数の電気絶縁性充填剤、消泡剤および着色剤と、有機溶媒とを含む組成物も開示される。これらの組成物の硬化温度は、190℃以下である。
【0015】
本発明は、箔上焼成セラミックコンデンサを封止する方法も対象とする。この方法は、吸水率が2%以下のエポキシ含有環状オレフィン樹脂と、吸水率が2%以下の1種または複数のフェノール樹脂と、エポキシ触媒と、任意選択で、1種または複数の無機電気絶縁性充填剤、消泡剤および着色剤と、1種または複数の有機溶媒とを混合して未硬化組成物を提供するステップと、この未硬化組成物を適用して箔上焼成セラミックコンデンサを被覆するステップと、適用した組成物を190℃以下の温度で硬化させるステップとを含む。
【0016】
有機材料を含有する本発明の組成物は、封止材として他の任意の電子部品に適用することができ、あるいは無機電気絶縁性充填剤、消泡剤および着色剤と混合し、封止材として任意の電子部品に適用することができる。
【0017】
慣例によれば、図面の様々な特徴は、必ずしも原寸に比例して示されてはいない。本発明の諸実施形態をより明確に示すために、様々な特徴の寸法が拡大または縮小されていることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
開示される組成物は、吸水率が2%以下のエポキシ含有環状オレフィン樹脂と、吸水率が2%以下の1種または複数のフェノール樹脂と、エポキシ触媒と、有機溶媒と、任意選択で、1種または複数の無機電気絶縁性充填剤、消泡剤および着色剤色素とを含む。吸水量は、当業者には既知の方法であるASTM D−570によって決定される。
【0019】
封止材で被覆され、プリント配線板に埋め込まれた箔上焼成セラミックコンデンサも開示される。封止材の処理および加工は、プリント配線板およびICパッケージのプロセスと適合するように設計され、構造体への埋め込み前後に水分およびプリント配線板作製用化学薬品から箔上焼成コンデンサを保護する。前記封止材を箔上焼成セラミックコンデンサに適用することにより、プリント配線板内に埋め込まれたコンデンサが、5Vの直流バイアス下85℃、相対湿度85%で行われる1000時間の加速寿命試験に合格することが可能となる。
【0020】
最も安定なポリマーマトリックスは、吸水率が2%以下、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下と低い架橋性樹脂を用いて実現されることが出願人により見出された。組成物中で使用される吸水率が1%以下のポリマーは、硬化した材料に好ましい保護特性を提供する傾向にある。
【0021】
本発明の架橋性組成物の使用は、対応する非架橋性ポリマーに優る重要な性能上の利点を提供する。ポリマーが熱硬化中に架橋剤と架橋する能力は、硬化したコーティング組成物の結合剤マトリックスを安定化させ、Tgを上昇させ、耐薬品性を増大させ、または熱安定性を増大させることができる。
【0022】
架橋性組成物は、エポキシ含有環状オレフィン樹脂、特にエポキシで改質したポリノルボルネン(Epoxy−PNB)、ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含むことになる。組成物中で使用される、Promerus社からAvatrel(商標)2390として入手可能なEpoxy−PNB樹脂、またはジシクロペンタジエンエポキシ樹脂が、1%以下の吸水率を有することが好ましい。
【0023】
本発明の組成物は、式Iおよび式IIの分子単位を含むEpoxy−PNBポリマーを含むことができる。
【0024】
【化1】

【0025】
式中、R1は水素および(C1−C10)アルキルから独立して選択される。用語「アルキル」には、直鎖状、分鎖状または環状の1から10個の炭素を有するアルキル基が含まれる。アルキル基の例示的なリストには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチル、ならびに式IIの分子単位によって示されるような架橋性部位を有するPNBポリマーが含まれる。
【0026】
【化2】

【0027】
式中、R2は架橋性ペンダント型エポキシ基であり、Epoxy−PNBポリマーにおける式Iの分子単位に対する式IIの分子単位のモル比は、0より大きく約0.4まで、あるいは0より大きく約0.2までである。PNBポリマーにおける架橋性エポキシ基は、組成物を硬化するときに、ポリマーが本発明の組成物中の1種または複数の架橋剤と架橋することができる部位を提供する。硬化した材料を改良するためには、PNBポリマーの架橋性部位は少量しか必要ない。たとえば、組成物は、上に定義したようにモル比が0より大きく約0.1までであるEpoxy−PNBポリマーを含むことができる。
【0028】
吸水率が2%以下のフェノール樹脂には、エポキシと反応して有効な耐湿性材料を提供することが求められる。架橋性ポリマーと共に使用することができる熱架橋剤として有用なフェノール樹脂の例示的なリストには、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂およびフェノール類と縮合したシクロオレフィンの樹脂が含まれる。Borden社からDurite(登録商標)ESD−1819として入手可能なジシクロペンタジエンフェノール樹脂は、以下の式で示される。
【0029】
【化3】

【0030】
組成物中での架橋性Epoxy−PNBポリマーの使用は、対応する非架橋性PNBポリマーに優る重要な性能上の利点を提供することができることも出願人により認められた。Epoxy−PNBポリマーが熱硬化中に架橋剤と架橋する能力は、硬化したコーティング組成物の結合剤マトリックスを安定化させ、Tgを上昇させ、耐薬品性を増大させ、または熱安定性を増大させることができる。
【0031】
周囲温度では反応性のないエポキシ触媒の使用は、使用前の架橋性組成物に安定性を提供するために重要である。この触媒は、熱硬化中にエポキシがフェノールと反応するように触媒活性をもたらす。これらの要件を満たす触媒はジメチルベンジルアミンであり、これらの要件を満たす潜在性触媒は、ジメチルベンジルアミンと酢酸との反応生成物であるジメチルベンジルアンモニウムアセテートである。
【0032】
これらの組成物は有機溶媒を含む。溶媒または溶媒混合物の選択は、1つには組成物中で使用する反応性樹脂に依存することになる。選択された任意の溶媒または溶媒混合物は、樹脂を溶解させなければならず、かつ、たとえば低温にさらされた場合に分離しやすくあってはならない。溶媒の例示的なリストは、テルピネオール、エーテルアルコール、環式アルコール、酢酸エーテル、エーテル、アセテート、環状ラクトンおよび芳香族エーテルからなる群から選択される。
【0033】
大部分の封止材組成物は、配合組成物をスクリーン印刷することによって基板または部品に適用されるが、ステンシル印刷、ディスペンシング(dispsensing)、光画像形成された(photoimaged)パターン、そうでなければ予め形成されたパターンへのドクターブレード、あるいは当業者に既知の他の技法が可能である。
【0034】
厚膜封止材ペーストは、容易に印刷することができるよう、適切な特性を提供するように配合されなければならない。したがって、厚膜封止材組成物は、樹脂に加えて、スクリーン印刷に適した有機溶媒と、消泡剤、着色剤および微細無機充填剤の任意選択の添加剤とを含む。消泡剤は、封止材を印刷した後に、閉じ込められた気泡を除去するのに役立つ。印刷後の消泡にはシリコーンを含有する有機消泡剤が特に適していることが、出願人により見出された。微細無機充填剤は、ある程度のチキソトロピーをペーストに与え、これによりスクリーン印刷のレオロジーが改善される。この目的にはヒュームドシリカが特に適していることが、出願人により見出された。自動レジストレーション能を向上させるために着色剤を添加することもできる。このような着色剤は、たとえば有機染料組成物でよい。組成物は、非常に微細な外観(feature)を伴う使用のために封止材を光画定する(photodefine)ための感光性ポリマーを含むこともできる。有機溶媒は、これらの固体および基板の適切な湿潤性を提供すべきであり、長いスクリーン寿命および優れた乾燥速度が提供されるよう十分に高い沸点を有するべきである。有機溶媒は、ポリマーと共に、十分な安定度で微細な不溶性無機充填剤を分散させる働きをする。本発明のスクリーン印刷可能なペースト組成物にはテルピネオールが特に適していることが、出願人により見出された。
【0035】
一般に、厚膜組成物は、混合され次いで3本ロールミルでブレンドされる。ペーストは、通常適切な分散度に到達するまで増大する圧力レベルで3パス以上ロールミル処理される。ロールミル処理の後、溶媒の添加によってペーストを印刷粘度要件に配合することができる。
【0036】
ペーストまたは液体組成物の硬化は、対流加熱、強制空気対流加熱、気相凝結加熱、伝導加熱、赤外線加熱、誘導加熱または当業者に既知の他の技法を含め任意の標準的な硬化方法によって実現される。
【0037】
該ポリマーが本発明の組成物にもたらす1つの利点は、比較的低い硬化温度である。組成物は、適当な期間にわたって190℃以下の温度により硬化させることができる。これは、プリント配線板のプロセスと適合し、銅箔の酸化あるいは部品の特性の損傷または低下を避ける際に特に有利である。
【0038】
190℃の温度は、硬化プロファイルにおいて到達することができる最高温度ではないことを理解されたい。たとえば、最大約270℃までのピーク温度を用いて短い赤外線硬化により組成物を硬化することもできる。用語「短い赤外線硬化」は、数秒から数分の範囲の期間にわたる高温スパイクによる硬化プロファイルの提供と定義される。
【0039】
該ポリマーが本発明の組成物にもたらす別の利点は、プリント配線板またはICパッケージ基板の積層プロセスを用いてプリプレグに接着させた場合の比較的高いプリプレグへの付着力である。これにより、信頼性のある積層プロセス、ならびに後のプロセスにおけるまたは使用中のデラミネーションを防ぐのに十分な付着力が可能となる。
【0040】
本発明の封止材ペースト組成物は、さらに1種または複数の金属付着剤を含むことができる。好ましい金属付着剤は、ポリヒドロキシフェニルエーテル、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドおよび2−メルカプトベンズイミダゾール(2−MB)からなる群から選択される。
【0041】
本発明の組成物を溶液中に提供し、半導体ストレスバッファ、相互接続誘電体、接着パッド再配分用保護膜(たとえば、対スクラッチ保護、パッシベーション、エッチングマスク等)、およびはんだバンプアンダーフィル(underfill)としてICおよびウエハレベルの実装において使用することもできる。該組成物によってもたらされる1つの利点は、190℃未満の低い硬化温度または短い赤外線硬化による270℃のピーク温度での短い継続時間である。現在の実装では、約300℃±25℃の硬化温度が必要となっている。
【0042】
述べたように、本発明の組成物は多くの用途で有用である。任意の電子部品、電気部品または非電気部品の保護として組成物を使用することができる。たとえば、組成物は、半導体接合コーティング、半導体ストレスバッファ、相互接続誘電体、接着パッド再配分用保護膜、半導体の「グラブ・トップ(glob top)」保護封止、またははんだバンプアンダーフィルの分野では、集積回路パッケージ、ウエハレベルのパッケージおよびハイブリッド回路の用途において有用であることがある。さらには、電池自動車の点火コイル、コンデンサ、フィルタ、モジュール、電位差計、感圧装置、抵抗器、スイッチ、センサ、変圧器、電圧調整器、LEDのチップキャリアおよびチップモジュール用LEDコーティングなどの照明用途、シーリング接続する医療用埋め込み型装置、ならびに太陽電池のコーティングにおいて組成物が有用であることがある。
【0043】
本発明の組成物の試験および比較例で使用する試験手順は以下のとおりである。
【実施例】
【0044】
絶縁抵抗
コンデンサの絶縁抵抗は、Hewlett Packard社の高抵抗測定器を用いて測定する。
【0045】
温湿度バイアス(THB)試験
プリント配線板に埋め込まれたセラミックコンデンサのTHB試験は、プリント配線板を環境室に設置し、85℃、85%の相対湿度および5Vの直流バイアスにコンデンサをさらすことを含む。コンデンサの絶縁抵抗を24時間ごとにモニタする。コンデンサの故障を、50メガオーム(MΩ)未満の絶縁抵抗を示すコンデンサと定義する。
【0046】
ブラウンオキサイド試験
以下の一連のステップにより、被験デバイスをアトテック・ブラウンオキサイド処理(Atotech brown oxide treatment)する。(1)40℃の4〜8%H2SO4溶液に60秒浸漬、(2)室温で軟水に120秒浸漬、(3)60℃の3〜4%NaOHおよび5〜10%アミンの溶液に240秒浸漬、(4)室温で軟水に120秒浸漬、(5)添加剤を有する40℃のH22およびH2SO4の塩基20ml/Lに120秒浸漬、(6)40℃のパートA280ml/LおよびパートB40ml/Lの溶液に120秒間浸漬、および(7)室温で480秒間脱イオン水に浸漬。
【0047】
次いで、試験後にコンデンサの絶縁抵抗を測定する。故障を、50MΩ未満を示すコンデンサと定義する。
【0048】
ブラックオキサイド試験
ブラックオキサイドプロセスの性質および範囲は、上述のブラウンオキサイドの手順と同様であるが、従来のブラックオキサイドプロセスにおける酸性および塩基性溶液は、30%の高濃度を有することができる。したがって、30%の硫酸溶液および30%の苛性溶液にそれぞれ2分および5分の露出時間さらした後に、封止した誘電体の信頼性を評価した。
【0049】
耐食性試験
封止材のサンプルを銅箔にコーティングし、銅箔の封止材でコーティングされた側を60℃に加熱した3%のNaCl水溶液に接触させる固定具に、硬化したサンプルを設置する。この試験中、2Vおよび3Vの直流バイアスをそれぞれ印加する。10時間の試験時間中、耐食性(Rp)を周期的にモニタする。
【0050】
水透過試験
封止材のサンプルを銅箔にコーティングし、銅箔の封止材でコーティングされた側を60℃に加熱した3%のNaCl水溶液に接触させる固定具に、硬化したサンプルを設置する。この試験中はバイアスを印加しない。10時間の試験時間中、キャパシタンスの増加によって示される水透過速度を周期的にモニタした。
【0051】
以下の用語集は、使用する成分ごとの名称および略称のリストを含む。
PNB オハイオ州BrecksvilleのPromerus LLC社製ポリノルボルネンAppear−3000B;Tg:330℃、吸水率:0.03%
Epoxy−PNB オハイオ州BrecksvilleのPromerus LLC社製エポキシ含有ポリノルボルネン;Mw:74,000、Mn:30,100
Durite ESD−1819 ケンタッキー州LouisvilleのBorden Chemical,Inc.社製ジシクロペンタジエンフェノール樹脂
ヒュームドシリカ Degussaなど、いくつかの供給源から得られる高表面積シリカ
オルガノシロキサン消泡剤 Wacker Silicones Corp.社から得られる消泡剤SWS−203
【0052】
(実施例1)
以下の組成および手順に従って封止材組成物を調製した。
材料 重量%
固体50.0%でジブチルカルビトールに
前もって溶解させたEpoxy−PNB 23.37
固体50.0%でジブチルカルビトールに
前もって溶解させたESD−1819 23.37
N,N−ジメチルベンジルアンモニウムアセテート 0.47
二酸化チタン粉末 31.67
アルミナ粉末 21.12
【0053】
混合物を、1ミル(mil)のギャップで、それぞれ0、50、100、200、250および300psiの3パスロールミル処理して、よく分散したペーストを得た。
【0054】
市販の96%アルミナ基板上のコンデンサを封止材組成物によって覆い、選択した化学薬品に対する封止材の耐性を決定するための試験用媒体として使用した。図1Aから図1Gに模式的に示すような以下のやり方で試験用媒体を作製した。
【0055】
図1Aに示すように、アルミナ基板上に電極材料(DuPont Electronics社から得られるEP320)をスクリーン印刷して、電極パターン120を形成した。図1Bに示すように、電極の面積は0.3インチ×0.3インチで、後の段階で電極との接続を可能にする突起「フィンガ」を含んでいた。この電極パターンを120℃で10分間乾燥させ、窒素雰囲気下の銅厚膜焼成条件下930℃で焼成した。
【0056】
図1Cに示すように、電極上に誘電体材料(DuPont Electronics社から得られるEP310)をスクリーン印刷して、誘電体層130を形成した。この誘電体層の面積は約0.33インチ×0.33インチで、突起フィンガを除いた電極全体を覆っていた。この第1の誘電体を、120℃で10分間乾燥させた。次いで、第2の誘電体層を適用し、やはり同じ条件を用いて乾燥させた。この誘電体パターンの平面図を図1Dに示す。
【0057】
図1Eに示すように、第2の誘電体層の上に銅ペーストEP320を印刷して、電極パターン140を形成した。この電極は、0.3インチ×0.3インチであったが、アルミナ基板の上にまで延びる突起フィンガを含んでいた。この銅ペーストを120℃で10分間乾燥させた。
【0058】
次いで、第1の誘電体層、第2の誘電体層および銅ペースト電極を、銅厚膜焼成条件下930℃で同時焼成した。
【0059】
図1Fに示すパターンを用い、2つのフィンガを除いたコンデンサの電極および誘電体全体の上に、400メッシュのスクリーンを通して封止材組成物をスクリーン印刷して、0.4インチ×0.4インチの封止材層150を形成した。この封止材層を120℃で10分間乾燥させた。もう一つの封止材層を印刷し、120℃で10分間乾燥させた。最終的なスタックの側面図を図1Gに示す。次いで、これら2つの封止材層を、窒素下、強制通風炉内170℃で1時間ベーキングし、その後、最大230℃まで上昇させ5分間保持した。封止材の最終的な硬化厚さは約10ミクロンであった。
【0060】
水透過試験では、封止材膜のキャパシタンスが、>450分の浸漬時間中不変のままであった。耐食性試験では、耐食性(Rp)が、9時間の浸漬時間後も不変のままであった。封止材の付着力を測定したところ、銅配線の上では2.2ポンド/インチ、コンデンサの誘電体の上では3.0ポンド/インチであった。
【0061】
(実施例2)
以下の成分およびプロセスを用いて封止材組成物を調製した。
エポキシ媒体の調製
成分:
テルピネオール 300g
Avatrel2390エポキシ樹脂(AV2390) 200g
1リットルの樹脂反応がまに、加熱ジャケット、機械的撹拌機、窒素パージ、温度計および添加口を取り付けた。この反応がまにテルピネオールを加え、40℃まで加熱した。テルピネオールが40℃に達した後、添加口を通して撹拌している溶媒にエポキシを添加した。添加完了後、粉末は徐々に溶解して、中程度の粘度の無色透明の溶液が得られた。ポリマーの完全な溶解には約2時間かかった。次いで、この媒体を室温まで冷却し、反応器から取り出した。既知量の媒体を150℃で2時間加熱することによって、完成媒体の固形分を分析した。この方法によって、固形分は40.33%であると決定された。媒体の粘度は、ブルックフィールド粘度計2HA、ユーティリティカップおよび14番のスピンドルを用いて、10rpmで53.2PaSであることも決定された。
【0062】
フェノール媒体の調製
成分:
テルピネオール 300g
Durite ESD−1819フェノール樹脂(ESD1819) 200g
樹脂反応がまに、加熱マントル、機械的撹拌機、窒素パージ、温度計および添加口を取り付けた。この反応がまにテルピネオールを加え、80℃まで加熱した。フェノール樹脂をすり鉢とすりこぎで粉砕し、次いで、撹拌しながらテルピネオールに添加した。添加完了後、粉末は徐々に溶解して、中程度の粘度の暗赤色溶液が得られた。ポリマーの完全な溶解には約1時間かかった。次いで、この媒体を室温まで冷却し、反応器から取り出した。既知量の媒体を150℃で2時間加熱することによって、完成媒体の固形分を分析した。この方法によって、固形分は40.74%であると決定された。媒体の粘度は、ブルックフィールド粘度計2HA、ユーティリティカップおよび14番のスピンドルを用いて、10rpmで53.6PaSであることも決定された。
【0063】
Degussa R7200ヒュームドシリカを16%含有する封止材ペーストの調製:
成分:
エポキシ媒体 12.4g
フェノール媒体 12.4g
Degussa R7200ヒュームドシリカ 5.0g
テルピネオール 2.4g
オルガノシロキサン消泡剤 0.2g
ベンジルジメチルアンモニウムアセテート 0.1g
【0064】
エポキシ媒体、フェノール媒体、オルガノシロキサンおよび触媒を、適切な容器内で混合し、これらの成分を均質化するために約5分間手撹拌した。次いで、手撹拌しながら3つの均等なアリコートでシリカを加え、続いて各添加の間に低速撹拌で真空混合した。シリカの添加完了後、粗製ペーストを中速撹拌で15分間真空混合した。混合後、このペーストを、以下のスケジュールに従って3本ロールミル処理した。
【0065】
【表1】

【0066】
次いで、撹拌しながらテルピネオールを完成ペーストに加えて、ペーストの粘度を修正し、ペーストをスクリーン印刷に適したものにした。
【0067】
コンデンサの電極および誘電体の上に、図1Fに示すパターン150を用い400メッシュのスクリーンを通して封止材組成物をスクリーン印刷した。この封止材組成物を120℃で10分間乾燥させた。別の封止材層を印刷し、120℃で60分間乾燥させた。次いで、これら2つの封止材層を空気中170℃で90分間硬化させ、その後、空気中200℃で15分の短い「スパイク」硬化を行った。封止材の最終的な硬化厚さは、約10ミクロンであった。
【0068】
封止後、コンデンサの平均キャパシタンスは42.5nF、平均損失係数は1.5%、平均絶縁抵抗は1.2ギガオーム(GΩ)であった。次いで、これらの試験片を室温で5%の硫酸溶液に6分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、42.8nF、1.5%および1.1GΩであった。
【0069】
また、3平方インチの封止材ペーストを6平方インチ・1オンスの銅板上に印刷し硬化させて、上述の耐食性試験に適した欠陥のないコーティングを得た。2Vおよび3Vの直流バイアス下、これらのコーティングを3%のNaCl溶液に12時間さらした。この試験中、耐食性は0.01Hzで7×109Ωcm2よりも高いままであった。
【0070】
(実施例3)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−530ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例2に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0071】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。封止後、コンデンサの平均キャパシタンスは39.2nF、平均損失係数は1.5%、平均絶縁抵抗は2.3GΩであった。次いで、これらの試験片を室温で5%の硫酸溶液に6分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、42.3nF、1.5%および2.6GΩであった。
【0072】
(実施例4)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot CAB−OHS−5ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例2に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0073】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。封止後、コンデンサの平均キャパシタンスは39.9nF、平均損失係数は1.6%、平均絶縁抵抗は3.1GΩであった。次いで、これらの試験片を室温で5%の硫酸溶液に6分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、40.3nF、1.6%および2.8GΩであった。
【0074】
(実施例5)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−500ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例2に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0075】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。封止後、コンデンサの平均キャパシタンスは40.2nF、平均損失係数は1.5%、平均絶縁抵抗は2.2GΩであった。次いで、これらの試験片を室温で5%の硫酸溶液に6分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、41.8nF、1.5%および2.4GΩであった。
【0076】
(実施例6)
Degussa R7200ヒュームドシリカを13重量%含有する以下の組成の封止材を、実施例2で概説した手順に従って作製した。
エポキシ媒体 40g
フェノール媒体 14.2g
Degussa R7200ヒュームドシリカ 8.1g
テルピネオール 2.4g
オルガノシロキサン消泡剤 0.31g
ベンジルジメチルアンモニウムアセテート 0.15g
【0077】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。封止後、コンデンサの平均キャパシタンスは40.4nF、平均損失係数は1.5%、平均絶縁抵抗は3.2GΩであった。次いで、これらの試験片を室温で5%の硫酸溶液に6分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、40.8nF、1.5%および2.9GΩであった。
【0078】
(実施例7)
Degussa R7200ヒュームドシリカを8重量%含有する以下の組成の封止材を、実施例2で概説した手順に従って作製した。
エポキシ媒体 12.4g
フェノール媒体 12.4g
Degussa R7200ヒュームドシリカ 2.4g
オルガノシロキサン消泡剤 0.2g
ベンジルジメチルアンモニウムアセテート 0.12g
【0079】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。封止後、コンデンサの平均キャパシタンスは35.1nF、平均損失係数は1.5%、平均絶縁抵抗は2.0GΩであった。次いで、これらの試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、35.7nF、1.6%および2.0GΩであった。
【0080】
(実施例8)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−530ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例7に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0081】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。封止後、個々の誘電体の平均キャパシタンスは35.5nF、平均損失係数は1.5%、平均絶縁抵抗は3.0GΩであった。次いで、これらの試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、36.3nF、1.6%および1.9GΩであった。
【0082】
(実施例9)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot CAB−OHS−5ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例7に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0083】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し、硬化させた。封止後、個々の誘電体の平均キャパシタンスは35.5nF、平均損失係数は1.4%、平均絶縁抵抗は3.6GΩであった。次いで、これらの試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、36.3nF、1.5%および2.4GΩであった。
【0084】
また、3平方インチの封止材ペーストを6平方インチ・1オンスの銅板上に印刷し硬化させて、上述の耐食性試験に適した欠陥のないコーティングを得た。2Vおよび3Vの直流バイアス下、これらのコーティングを3%のNaCl溶液に12時間さらした。この試験中、耐食性は0.01Hzで7×109Ωcm2よりも高いままであった。
【0085】
(実施例10)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−500ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例7に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0086】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。封止後、個々の誘電体の平均キャパシタンスは33nF、平均損失係数は1.4%、平均絶縁抵抗は3.3GΩであった。次いで、これらの試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。酸処理後、平均キャパシタンス、平均損失係数および平均絶縁抵抗はそれぞれ、33.8nF、1.5%および2.2GΩであった。
【0087】
(実施例11)
Degussa R7200ヒュームドシリカを8重量%含有する以下の組成の封止材を、実施例2で概説した手順に従って作製した。
エポキシ媒体 40.0g
フェノール媒体 14.2g
Degussa R7200ヒュームドシリカ 4.9g
オルガノシロキサン消泡剤 0.36g
ベンジルジメチルアンモニウムアセテート 0.13g
【0088】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化した。強酸および強塩基の存在下での封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0089】
【表2】

【0090】
(実施例12)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−530ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例11に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0091】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。強酸および強塩基の存在下で封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0092】
【表3】

【0093】
(実施例13)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot CAB−OHS−5ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例11に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0094】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。強酸および強塩基の存在下で封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0095】
また、3平方インチの封止材ペーストを6平方インチ・1オンスの銅板上に印刷し硬化させて、上述の耐食性試験に適した欠陥のないコーティングを得た。2Vおよび3Vの直流バイアス下、これらのコーティングを3%のNaCl溶液に12時間さらした。この試験中、耐食性は0.01Hzで7×109Ωcm2よりも高いままであった。
【0096】
【表4】

【0097】
(実施例14)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−500ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例11に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0098】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。強酸および強塩基の存在下で封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0099】
また、3平方インチの封止材ペーストを6平方インチ・1オンスの銅板上に印刷し硬化させて、上述の耐食性試験に適した欠陥のないコーティングを得た。2Vおよび3Vの直流バイアス下、これらのコーティングを3%のNaCl溶液に12時間さらした。この試験中、耐食性は0.01Hzで7×109Ωcm2よりも高いままであった。
【0100】
【表5】

【0101】
(実施例15)
Degussa R7200ヒュームドシリカを2重量%含有する以下の組成の封止材を、実施例2で概説した手順に従って作製した。
エポキシ媒体 40.0g
フェノール媒体 14.2g
Degussa R7200ヒュームドシリカ 1.2g
オルガノシロキサン消泡剤 0.36g
ベンジルジメチルアンモニウムアセテート 0.13g
【0102】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。強酸および強塩基の存在下で封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0103】
【表6】

【0104】
(実施例16)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−530ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例15に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0105】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。強酸および強塩基の存在下で封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0106】
【表7】

【0107】
(実施例17)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot CAB−OHS−5ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例15に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0108】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。強酸および強塩基の存在下で封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0109】
【表8】

【0110】
(実施例18)
Degussa R7200ヒュームドシリカの代わりにCabot Cab−O−Sil TS−500ヒュームドシリカを使用した以外は、実施例15に記載の組成と同じ組成で封止材を作製した。この封止材は、実施例2で概説した手順に従って作製した。
【0111】
実施例2で説明したように、アルミナ基板上に作製したコンデンサの上に、この封止材を印刷し硬化させた。強酸および強塩基の存在下で封止材の安定性を評価するために、次いで選択した試験片を45℃の30%硫酸溶液に2分間浸漬し、脱イオン水ですすいだ後120℃で30分間乾燥させた。追加の試験片を、60℃の30%水酸化ナトリウム溶液に5分間さらした。さらした後、これらの試験片も脱イオン水ですすぎ、試験前に乾燥させた。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0112】
【表9】

【0113】
(実施例19−比較例)
Avatrelエポキシ樹脂を、SU−8(ビスフェノールAベースResolution Products社製エポキシ化フェノール樹脂)で置き換えることによって、組成が実施例14と同一であるペーストを調製した。SD−1819フェノール樹脂を、やはりResolution Products社製の標準的なフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、Epikote154で置き換えた。これら選択した樹脂の溶解度を向上させるために、溶媒テルピネオールもブチルカルビトールに取り替えた。レシピの詳細を以下に示す。
SU−8エポキシ樹脂 5.0g
Epikote154フェノール樹脂 5.0g
ブチルカルビトールアセテート溶媒 14.8g
Cabot Cab−O−Sil TS−500ヒュームドシリカ 2.4g
オルガノシロキサン加工助剤 0.2g
ベンジルジメチルアンモニウムアセテート 0.12g
【0114】
このペーストを、実施例2に示すように印刷し、硬化させ、かつ評価した。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0115】
【表10】

【0116】
また、3平方インチの封止材ペーストを6平方インチ・1オンスの銅板上に印刷し硬化させて、上述の耐食性試験に適した欠陥のないコーティングを得た。2Vおよび3Vの直流バイアス下、これらのコーティングを3%のNaCl溶液に12時間さらした。この試験中、耐食性は、0.01Hzで7×109Ωcm2より大きい値から7×105Ωcm2に低下し、標準以下の封止材であることを示した。
【0117】
(実施例20−比較例)
Avatrelエポキシ樹脂を、SU−8(ビスフェノールAベースResolution Products社製エポキシ化フェノール樹脂)で置き換えることによって、組成が実施例14と同一であるペーストを調製した。SD−1819フェノール樹脂を、やはりResolution Products社製のEpikote156で知られる従来のクレゾールノボラック樹脂で置き換えた。これらの選択した樹脂の溶解度を向上させるために、溶媒テルピネオールもブチルカルビトールに取り替えた。成分の詳細なリストを以下にまとめる。
SU−8エポキシ樹脂 5.0g
Epon164クレゾールノボラック樹脂 5.0g
ブチルカルビトールアセテート溶媒 14.8g
Cabot Cab−O−Sil TS−500ヒュームドシリカ 2.4g
オルガノシロキサン加工助剤 0.2g
ベンジルジメチルアンモニウムアセテート 0.12g
【0118】
このペーストを、実施例2に示すように印刷し、硬化させ、かつ評価した。以下の表には、酸および塩基にさらす前後のコンデンサの特性がまとめてある。
【0119】
【表11】

【0120】
(実施例21)
試験構造として使用するために、以下のプロセスを用いて箔上焼成コンデンサを作製した。図2Aに示すように、1オンスの銅箔210に、銅ペーストEP320(DuPont Electronics社から得られる)をプレプリントとして箔に塗布してパターン215を形成することによって、前処理を施し、銅厚膜焼成条件下930℃で焼成した。各プレプリントパターンは、約1.67cm×1.67cmであった。プレプリントの平面図を図2Bに示す。
【0121】
図2Cに示すように、前処理した箔のプレプリント上に、誘電体材料(DuPont Electronics社から得られるEP310)をスクリーン印刷してパターン220を形成した。この誘電体層の面積は、1.22cm×1.22cmで、プレプリントのパターンの範囲内であった。第1の誘電体層を120℃で10分間乾燥させた。次いで、第2の誘電体層を塗布し、やはり同じ条件を用いて乾燥させた。
【0122】
図2Dに示すように、第2の誘電体層の上であってかつ誘電体の面積の範囲内に、銅ペーストEP320を印刷して電極パターン230を形成し、120℃で10分間乾燥させた。電極の面積は0.9cm×0.9cmであった。
【0123】
次いで、第1の誘電体層、第2の誘電体層および銅ペースト電極を、銅厚膜焼成条件下930℃で同時焼成した。
【0124】
実施例2に記載の封止材組成物を、165メッシュのスクリーンを通してコンデンサの上に印刷して、図2Eに示すパターンを用いた封止材層240を形成した。この封止材を、様々なプロファイルを用いて乾燥し硬化した。硬化した封止材の厚さは、約13ミクロンであった。この構造の平面図を図2Fに示す。この箔の部品側を、375°F、400psiで90分間1080BT樹脂プリプレグ250に積層して、図2Gに示す構造を形成した。このプリプレグの封止材への付着力を、IPC−TM650付着性試験2.4.9番を用いて試験した。付着力の結果を以下に示す。
【0125】
【表12】

【0126】
コンデンサの上でのプリプレグへの付着力はかなり許容できるものであったことを示している。
【0127】
(実施例22および23−比較例)
有機封止材を使用しない箔上焼成セラミックコンデンサを有するプリント配線板を作製した。これらの箔上焼成コンデンサのうち一部をブラウンオキサイド処理し、一部は処理しなかった。これらプリント配線板は、以下に説明する方法に従って、また図3A〜図3Jに模式的に示すように作製した。
【0128】
図3Aに示すように、1オンスの銅箔310に、銅ペーストEP320(DuPont Electronics社から得られる)をプレプリント315として箔に塗布することによって、前処理を施し、銅厚膜焼成条件下930℃で焼成した。各プレプリントパターンは、約150mil×150milであった。各プレプリントを側面図で図3Aに、また平面図として図3Bに示す。
【0129】
図3Cに示すように、この前処理した箔のプレプリント上に誘電体材料(DuPont Electronics社から得られるEP310)をスクリーン印刷して、誘電体層320を形成した。この誘電体層の面積は、100mil×100milで、プレプリントのパターンの範囲内であった。第1の誘電体層を120℃で10分間乾燥させた。次いで、第2の誘電体層を適用し、やはり同じ条件を用いて乾燥させた。
【0130】
図3Dに示すように、第2の誘電体層の上及び部分的に銅箔の上に、銅ペーストEP320を印刷して電極層325を形成し、120℃で10分間乾燥させた。
【0131】
次いで、第1の誘電体層、第2の誘電体層および銅ペースト電極層を、銅厚膜焼成条件下930℃で同時焼成した。図3Eは、箔上コンデンサ構造の平面図である。
【0132】
ある場合には、銅箔のプリプレグへの付着力を高めるために、箔にブラウンオキサイドプロセスを施した。もう一方の場合には、積層前に箔にブラウンオキサイド処理を施さなかった。
【0133】
次いで、箔の箔上焼成コンデンサ側を、従来のプリント配線板積層条件を用いてFR4プリプレグ330と積層した。この積層材料に銅箔335も適用し、これにより図3Fに示す積層構造がもたらされた。
【0134】
図3Gを参照すると、積層後、箔にフォトレジストを塗布し、そして箔を画像形成し、アルカリエッチングプロセスを用いてエッチングし、標準的なプリント配線板加工条件を用いて残存フォトレジストが剥離された。このエッチングにより、最上箔に回路が形成され、また箔上焼成コンデンサを含む箔に、第1の電極310と第2の電極325との間の電気的接触を断って電極345および350を形成するトレンチ340が形成された。これにより、箔上焼成埋め込みコンデンサを有する内層パネルが形成された。図3Hは、この箔電極設計の平面図である。図3Iに示すように、この内層パネルを、追加のプリプレグ370および銅箔375を含むプリント配線板内に標準的な多層積層プロセスを用いて組み込んだ。図3Jに模式的に示すように、ビア380および385を開け、めっきを施し、外側の銅層をエッチングし、ニッケル/金めっきで仕上げて、コンデンサと接続される表面端子を形成した。
【0135】
これら埋め込みコンデンサの絶縁抵抗を測定したところ、値は50〜100GΩの範囲に及んでいた。
【0136】
ある場合にはブラウンオキサイドプロセスを施し、もう一方の場合にはブラウンオキサイドプロセスを施さなかった箔上焼成埋め込みコンデンサを含むプリント配線板を環境室に設置し、85℃、85%の相対湿度および5Vの直流バイアスにコンデンサをさらした。コンデンサの絶縁抵抗を24時間ごとにモニタした。コンデンサの故障を、50MΩ未満の絶縁抵抗を示すコンデンサと定義した。どちらの場合にも、コンデンサは24時間後に故障し始め、120時間後には、すべての構成のキャパシタの100%が故障した。
【0137】
(実施例24)
コンデンサの表面を覆うために有機封止材を用いる箔上焼成埋め込みセラミックコンデンサを有するプリント配線板を作製した。これらプリント配線板は、以下に説明する方法に従って、また図4A〜図4Lに模式的に示すように作製した。
【0138】
図4Aに示すように、1オンスの銅箔410に、銅ペーストEP320(DuPont Electronics社から得られる)をプレプリント415として箔に塗布することによって、前処理を施し、銅厚膜焼成条件下930℃で焼成した。各プレプリントパターンは、約150mil×150milであった。各プレプリントの平面図を図4Bに示す。
【0139】
図4Cに示すように、前処理した箔のプレプリント上に誘電体材料(DuPont Electronics社から得られるEP310)をスクリーン印刷して、誘電体層420を形成した。この誘電体層の面積は、100mil×100milで、プレプリントのパターンの範囲内であった。第1の誘電体層を120℃で10分間乾燥させた。次いで、第2の誘電体層を適用し、やはり同じ条件を用いて乾燥させた。
【0140】
図4Dに示すように、第2の誘電体層の上及び部分的に銅箔の上に、銅ペーストEP320を印刷して電極層425を形成し、120℃で10分間乾燥させた。
【0141】
次いで、第1の誘電体層、第2の誘電体層および銅ペースト電極層を、銅厚膜焼成条件下930℃で同時焼成した。図4Eは、箔上コンデンサ構造の平面図である。
【0142】
実施例2の封止材を、コンデンサの電極および誘電体の上に400メッシュのスクリーンを通してスクリーン印刷して、図4Fの側面図に、また図4Gの平面図に示すような封止材層430を形成した。それを120℃で15分間乾燥させた。別の封止材層を印刷し、120℃で60分間乾燥させた。次いで、これら2つの封止材層を170℃で90分間硬化させ、その後、200℃で15分の短い「スパイク」硬化を行った。
【0143】
次いで、箔の箔上焼成および有機封止材側を、従来のプリント配線板積層条件を用いてFR4プリプレグ435と積層した。積層前の銅箔に化学的なブラウンオキサイドまたはブラックオキサイド処理は適用しなかった。この積層材料に銅箔440も適用し、これにより図4Hに示す積層構造がもたらされた。
【0144】
図4Iを参照すると、積層後、箔にフォトレジストを塗布し、そして箔を画像形成し、アルカリエッチングプロセスによりエッチングし、標準的なプリント配線板加工条件を用いて残存フォトレジストが剥離された。このエッチングにより、箔上焼成コンデンサを含む箔に、トレンチ450が形成された。これにより、箔電極410と第2の電極425との間の電気的接触が断たれ、電極455および465ならびに箔上焼成埋め込みコンデンサを有する内層パネルが形成された。図4Jは、箔上焼成コンデンサを含む箔から形成された電極の平面図である。図4Kでは、この内層パネルを、標準的な多層積層プロセスを用いて追加のプリプレグ460および銅箔470と積層させることによって、プリント配線板内に組み込んだ。図4Lに模式的に示すように、ビア480および485を開け、めっきを施し、外側の銅層をエッチングし、ニッケル/金めっきで仕上げて、コンデンサと接続される表面端子を形成した。
【0145】
これらコンデンサの絶縁抵抗を測定したところ、値は50〜100GΩの範囲に及んでいた。
【0146】
このプリント配線板を環境室に設置し、85℃、85%の相対湿度および5Vの直流バイアスにコンデンサをさらした。コンデンサの絶縁抵抗を24時間ごとにモニタした。コンデンサの故障を、50MΩ未満の絶縁抵抗を示すコンデンサと定義した。コンデンサは、目立った絶縁抵抗の低下なしで1000時間存続した。
【0147】
(実施例25)
完全に埋め込むのではなくプリント配線板の外側の層上に、箔上焼成埋め込みセラミックコンデンサを有するプリント配線板を作製した。この場合、箔上焼成コンデンサの上及びエッチングしたトレンチ内に有機封止材を適用した。これらプリント配線板は、以下に説明する方法に従って、また図5A〜図5Mに示すように作製した。
【0148】
図5Aに示すように、1オンスの銅箔510に、銅ペーストEP320(DuPont Electronics社から得られる)をプレプリント515として箔に塗布することによって、前処理を施し、銅厚膜焼成条件下930℃で焼成した。このプレプリントは、銅箔全体を覆った。また平面図を模式的に図5Bに示す。
【0149】
図5Cに示すように、前処理した箔のプレプリント上に誘電体材料(DuPont Electronics社から得られるEP310)をスクリーン印刷して、誘電体層520を形成した。この誘電体層の面積は、約50mil×50milであった。第1の誘電体層を120℃で10分間乾燥させた。次いで、第2の誘電体層を塗布し、やはり同じ条件を用いて乾燥させた。
【0150】
図5Dに示すように、第2の誘電体層の上及び部分的にプレプリント銅箔の上に、銅ペーストEP320を印刷して電極層525を形成し、120℃で10分間乾燥させた。
【0151】
次いで、第1の誘電体層、第2の誘電体層および銅ペースト電極を、銅厚膜焼成条件下940℃で同時焼成した。図5Eは、このコンデンサ構造の平面図である。
【0152】
実施例2の封止材を、400メッシュのスクリーンを通してコンデンサの電極および誘電体の上にスクリーン印刷して、図5Fの側面図に、また図5Gの平面図に示すような封止材層530を形成した。それを120℃で10分間乾燥させた。別の封止材層を印刷し、120℃で60分間乾燥させた。次いで、これら2つの封止材層を150℃で90分間硬化させ、その後、200℃で15分の短い「スパイク」硬化を行った。
【0153】
銅箔のプリプレグ材料への付着力を高めるために、封止した箔上焼成コンデンサを含む銅箔にブラウンオキサイド処理を施した。
【0154】
図5Hに示すように、標準的なプリント配線板プロセスを用いてパターニングしエッチングしたプリプレグおよび銅箔を用いて内層構造540を別途作製した。
【0155】
次いで、封止した箔上焼成コンデンサを含む箔を、内層540と、追加の積層550および銅箔560とをFR4プリプレグで積層させて図5Iに示す構造を形成した。
【0156】
図5Jを参照すると、ビア580を開け、めっきを施し、外側の箔をアルカリエッチングプロセスによりエッチングし、ニッケル金めっきで仕上げた。このエッチングにより、最上箔に回路が形成され、かつ箔上焼成コンデンサを含む箔に、箔電極510と第2の電極525との間の電気的接触を断って電極575および576を形成するトレンチ570が形成された。図5Kは、箔上焼成コンデンサを含むエッチングされた箔の平面図である。
【0157】
図5Lを参照すると、外側の箔にトレンチ570を形成した後、180メッシュのスクリーンを用いて実施例2で使用した封止材をトレンチ内に印刷して、構造585を形成した。この封止材を120℃で10分間乾燥させた。トレンチが完全に充填され、トレンチを囲む銅箔の一部分が封止材によって被覆されることを確実にするために、同じ印刷条件を用いて第2の封止材の印刷を行った。この第2の層もまた、120℃で10分間乾燥させた。次いで、封止材を150℃で90分間硬化させ、その後、200℃で15分間のスパイク硬化を行った。この構造の平面図を図5Mに示す。
【0158】
最後に、はんだマスクを外表面に適用して、完成プリント回路板を形成した。
【0159】
これらコンデンサの絶縁抵抗を測定したところ、10GΩから50GΩよりも大きい値に及んでいた。
【0160】
このプリント配線板を環境室に設置し、85℃、85%の相対湿度および5Vの直流バイアスにコンデンサをさらした。コンデンサの絶縁抵抗を24時間ごとにモニタした。コンデンサの故障を、50MΩ未満の絶縁抵抗を示すコンデンサと定義した。すべてのコンデンサが、目立った絶縁抵抗の低下なしで1000時間存続した。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1A】パターンを形成するためにアルミナ基板上にスクリーン印刷された電気材料を示す図である。
【図1B】後の段階で接続を可能にする突起を示す図である。
【図1C】第1の誘電体層を形成するために電極130上にスクリーン印刷された誘電体材料を示す図であり、この第1の誘電体層の乾燥後、第2の誘電体層が塗布される。
【図1D】誘電体パターンを示す平面図である。
【図1E】第2の層の上に印刷された銅ペーストを示す図である。
【図1F】コンデンサの電極および誘電体の上にメッシュスクリーンを通して封止材パターンをスクリーン印刷する際に使用されるパターンを示す図である。
【図1G】封止材層のスクリーン印刷後の最終的なスタックを示す側面図である。
【図2A】16頁および17頁に記載のプロセスを用いて作製される箔上焼成コンデンサを示す図である。
【図2B】16頁および17頁に記載のプロセスを用いて作製される箔上焼成コンデンサを示す図である。
【図2C】16頁および17頁に記載のプロセスを用いて作製される箔上焼成コンデンサを示す図である。
【図2D】16頁および17頁に記載のプロセスを用いて作製される箔上焼成コンデンサを示す図である。
【図2E】16頁および17頁に記載のプロセスを用いて作製される箔上焼成コンデンサを示す図である。
【図2F】16頁および17頁に記載のプロセスを用いて作製される箔上焼成コンデンサを示す図である。
【図2G】16頁および17頁に記載のプロセスを用いて作製される箔上焼成コンデンサを示す図である。
【図3A】プレプリントとして銅箔に塗布され、その後焼成された銅ペースト示す側面図である。
【図3B】プレプリントパターンを示す平面図である。
【図3C】プレプリントに塗布された誘電体層を示す図である。
【図3D】第2の誘電体層の上に印刷された銅ペーストを示す図である。
【図3E】第1の誘電体、第2の誘電体および銅箔が塗布されて電極が形成された後の箔上コンデンサ構造を示す平面図である。
【図3F】箔上焼成コンデンサ側が積層され、その積層構造に銅箔が塗布された構造を示す図である。
【図3G】箔にフォトレジストが塗布され、箔が感光、エッチング、剥離された積層後の状態を示す図である。
【図3H】箔電極設計の平面図である。
【図3I】プリプレグおよび銅箔を含むプリント配線板内に組み込まれた内側パネルを示す図である。
【図3J】穿孔され、めっきされたビアと、エッチングされ、ニッケル/金めっきで仕上げられた外側の銅層とを示す図である。
【図4A】銅箔電極層上に銅ペーストを形成する際のステップを示す図である。
【図4B】銅箔電極層上に銅ペーストを形成する際のステップを示す図である。
【図4C】銅箔電極層上に銅ペーストを形成する際のステップを示す図である。
【図4D】銅箔電極層上に銅ペーストを形成する際のステップを示す図である。
【図4E】箔上コンデンサ構造の平面図である。
【図4F】封止材層の形成を示す側面図である。
【図4G】封止材層の形成を示す平面図である。
【図4H】箔上焼成コンデンサ側が積層され、その積層構造に銅箔が塗布された構造を示す図である。
【図4I】箔にフォトレジストが塗布され、箔が感光されエッチングされた積層後の状態を示す図である。
【図4J】箔上焼成コンデンサを含む箔から形成された電極の平面図である。
【図4K】プリプレグおよび銅箔との積層によってプリント配線板内に組み込まれた内層パネルを示す図である。
【図4L】穿孔され、めっきされたビアと、コンデンサと接続される表面端子が形成されるようにエッチングされ仕上げられた外側の銅層とを示す図である。
【図5A】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5B】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5C】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5D】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5E】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5F】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5G】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5H】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5I】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5J】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5K】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5L】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【図5M】プリント配線板を作製する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0162】
110 アルミナ基板
120 電極パターン
130 誘電体層
140 電極パターン
150 封止材層
210 銅箔
215 パターン
220 パターン
230 電極パターン
240 封止材層
250 プリプレグ
310 銅箔
315 プレプリント
320 誘電体層
325 電極層
330 プリプレグ
335 銅箔
340 トレンチ
345 電極
350 電極
370 プリプレグ
375 銅箔
380 ビア
385 ビア
410 銅箔
415 プレプリント
420 誘電体層
425 電極層
430 封止材層
435 プリプレグ
440 銅箔
450 トレンチ
455 電極
460 プリプレグ
465 電極
470 銅箔
480 ビア
485 ビア
510 銅箔
515 プレプリント
520 誘電体層
525 電極層
530 封止材層
540 内層構造
550 積層
560 銅箔
570 トレンチ
575 電極
576 電極
580 ビア
585 構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
吸水率が2%以下の1種または複数のエポキシ含有環状オレフィン樹脂と、
吸水率が2%以下の1種または複数のフェノール樹脂と、
エポキシ触媒と、
有機溶媒とを含む組成物であって、
前記エポキシ含有環状オレフィン樹脂は、式Iおよび式IIの分子単位を含むエポキシポリノルボルネンであり、
【化1】

式中、R1は独立して水素および(C1〜C10)アルキルから選択され、
【化2】

式中、R2は架橋性エポキシ基であり、式Iに対する式IIの分子単位のモル比は0より大きく約0.4までであることを特徴とする組成物。
【請求項2】
ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、およびフェノール類と縮合したシクロオレフィンの樹脂を含む1種または複数の架橋剤をさらに含み、
前記ジシクロペンタジエンフェノール樹脂は式IIIの構造を有し、
【化3】

前記エポキシ触媒は、ジメチルベンジルアミンまたはジメチルベンジルアンモニウムアセテートから選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エポキシ含有環状オレフィン樹脂は1%以下の吸水率を有し、前記フェノール樹脂は1%以下の吸水率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
無機機能性充填剤、消泡剤および着色剤のうちの1種または複数をさらに含み、前記無機機能性充填剤は、金属、金属化合物、ならびに二酸化チタン、アルミナ、タルクおよびヒュームドシリカからなる群から選択される電気絶縁性充填剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
短い赤外線硬化において最大270℃の硬化温度を有する、あるいは硬化プロファイルにおいて190℃以下の硬化温度を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
30%の硫酸および30%の水酸化ナトリウムに浸漬した場合のセラミックコンデンサの保護封止材としての使用方法であって、前記封止材は、前記コンデンサを越える2ポンド/インチより大きい剥離強度を示すことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項7】
湿気、高温および直流バイアスにさらす加速寿命試験中に1000時間よりも長時間の間、セラミックコンデンサの保護封止材としての使用することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項8】
エッチングしたトレンチを充填するための使用方法であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組成物の使用方法。
【請求項9】
集積回路の実装およびウエハレベルの実装における任意の電気部品または非電気部品の保護として、あるいは
半導体接合コーティング、
半導体ストレスバッファ、
相互接続誘電体、
はんだバンプアンダーフィル、
接着パッド再配分用保護膜、および
半導体の「グラブ・トップ」保護封止
として、またはそれらとしての部品としての使用であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項10】
封止材組成物を作製する方法であって、
吸水率が2%未満の1種または複数のエポキシ含有環状オレフィン樹脂と、
吸水率が2%以下の1種または複数のフェノール樹脂と、
エポキシ触媒と、
1種または複数の無機電気絶縁性充填剤、
消泡剤、および
有機溶媒とを混合して、
封止材組成物を提供するステップと;
前記封止材組成物を基板に塗布するステップと;
前記塗布した封止材組成物を、
短い赤外線硬化において最大270℃の硬化温度で、または
硬化プロファイルにおいて190℃以下の硬化温度で硬化させるステップとを含み、
前記エポキシ含有環状オレフィン樹脂は、エポキシポリノルボルネンからなる群から選択され、
前記架橋剤は、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂およびフェノール類と縮合したシクロオレフィンの樹脂またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図5M】
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【公開番号】特開2007−327035(P2007−327035A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−100464(P2007−100464)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】