説明

電子部品の樹脂封止成形方法及び装置

【課題】電子部品9の樹脂封止成形装置の大型化を抑え、樹脂成形品の品質向上と生産性を向上させ、更に、樹脂材料16の歩留まりを向上させる。
【解決手段】成形装置を上型6と下型7及び中間型5とを含む三型構造とし、上型6と中間型5との接合面に複数枚の樹脂封止前基板8を同時に並設してセットさせる基板セット部5dを構成する。また、上型に上型キャビティ6aを設け、中間型5に下型キャビティ5bを設け、下型キャビティ5bに中間型5の下面に連通するゲート5cを穿設する。更に、下型7の外周に下型嵌合ブロック11を嵌装させて下型7の上面と下型嵌合ブロック11の内周面とにより樹脂材料供給部12を構成する。樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料はゲート5cを通して上下両キャビティ5b・6a内に、直接、加圧移送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体リードフレームや半導体基板等の基板上に装着された半導体チップ等の電子部品を樹脂材料にて封止成形する樹脂封止成形方法と、この方法を実施するための装置に関し、より詳細には、該樹脂封止成形装置の全体形状の大型化や複雑化を避けると共に、使用される樹脂材料を少なくして歩留まりを向上させることができる電子部品の樹脂封止成形方法及び装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形用の上型と下型及び該上型と下型との両型間に配設した中間型とを含む三型構造の樹脂封止成形装置を用いて基板上に装着した電子部品を樹脂材料にて封止成形することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この三型構造を備えた電子部品の樹脂封止成形装置は、図10(1) に示すように、基板Aを中間型BのキャビティC部の所定位置(凹所D)に供給セットし、次に、中間型Bの上面及び下面の各位置に設定したパーティングライン(P.L) 面に上型Eと下型Fとを接合させた状態で型締めし、次に、下型FのポットG部で樹脂成形温度にまで加熱して溶融化させた樹脂材料HをプランジャIにて加圧し、且つ、該溶融樹脂材料を下型のランナーJ及び中間型のゲートKを含む樹脂通路を通してキャビティC内に移送・注入することにより、該キャビティ内に嵌合セットした基板A上の電子部品Lを樹脂材料Hにて封止成形することができる。
【0004】
しかしながら、このとき、キャビティC部の形状に対応した形状として成形される樹脂成形体Mは、図10(2) に示すように、基板上の電子部品Lを封止するパッケージとして利用されるが、樹脂成形時においては樹脂材料Hの移送通路部として必要不可欠であった樹脂通路(ランナJ及びゲートK)内に残存する樹脂成形体Nの部分は、樹脂成形後においては不要なものとして廃棄されることになる。
また、下型Fには多数個のポットG部が配設されており、更に、これらのポットG部には更に複数本の樹脂通路が各々連通接続された状態にある。
従って、このような従来装置の型構造においては装置の全体形状を必然的に大型化させたり、型構造若しくは型構成を複雑化させる要因となっている。更に、このような多くの樹脂通路の存在が樹脂材料の歩留まりを低下させることになると云った問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−324118号公報(図2、図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、成形装置の全体形状が大型化或は複雑化されるのを抑えると共に、樹脂封止成形品の品質向上と生産性を向上させ、更に、樹脂材料の歩留まりを向上させることができる電子部品の樹脂封止成形方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上型6と下型7及び前記上型6と下型7との間に配設した中間型5とを含む三型構造の樹脂封止成形装置を用いて樹脂封止前基板8上に装着した電子部品9を樹脂材料16にて封止成形する方法であって、
前記三型における上型6と中間型5、及び、前記中間型5と下型7との型間を離反させる三型の型開工程と、
前記型開工程の後に、前記上型6と前記中間型5との間に設けた基板セット部5dに複数枚の樹脂封止前基板8を同時に並設してセットする複数枚の樹脂封止前基板並設セット工程と、
前記型開工程の後に、前記下型7に設けた樹脂材料供給部12に樹脂材料16を供給する樹脂材料の供給工程と、
前記下型7の樹脂材料供給部12内に供給した樹脂材料16を加熱して溶融化する樹脂材料の加熱溶融化工程と、
前記樹脂封止前基板8の並設セット工程の後に、前記上型6と前記中間型5とを型締めして前記上型6と中間型5との間に複数枚の樹脂封止前基板8を挟圧し、且つ、前記各樹脂封止前基板8上の電子部品9を前記上型6に設けた上型キャビティ6a部と中間型5に設けた下型キャビティ5b部に嵌合セットする前記上型と中間型との型締工程と、
前記上型6と中間型5との型締工程の後に、前記中間型5と前記下型7とを型締めする前記中間型と下型との型締工程と、
前記上型6と中間型5及び下型7の三型を接合させる完全型締工程と、
前記完全型締工程の後に、前記下型7の樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料16aを加圧すると共に、この溶融樹脂材料を前記中間型に穿設したゲート5cを通して、前記上型6と中間型5との間に設けた各キャビティ5b・6b内に各々注入充填させる電子部品の樹脂封止成形工程と、
前記電子部品の樹脂封止成形工程の後に、前記上型6と前記中間型5とを型開きすると共に、前記上型6のキャビティ6a内から樹脂封止済基板8a(樹脂成形体16b)を離型させる上型と基板との離型工程と、
前記電子部品の樹脂封止成形工程の後に、前記中間型5と前記下型7とを型開きして前記中間型5のゲート5cと前記樹脂封止済基板8aの樹脂成形体16bとを切断分離するゲートカット工程と、
前記ゲートカット工程の後に、前記下型7と中間型5との間から廃棄樹脂16cを型外に搬出する廃棄樹脂排出工程と、
前記ゲートカット工程の後に、前記下型7の突出ピン7cにて前記樹脂封止済基板8a及び樹脂成形体16bとを中間型5の上面に突出して離型する成形品の離型工程と、
前記成形品の離型工程の後に、前記上型6と中間型5との間から成形品(樹脂封止済基板8a)を型外に取り出す成形品取出工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明における前記上型6と中間型5との間を接近させると共に、前記中間型5の基板セット部5dに並設セットした各樹脂封止前基板8の上面と上型6の下面との間に、通気可能な間隙を残した状態で前記上型6と中間型5とを型締めする上型と中間型との中間型締工程と、
前記上型6と中間型5との中間型締工程の状態で、前記中間型5と前記下型7とを型締めする前記中間型と下型との型締工程と、
前記上型6と中間型5及び下型7との三型の型締時に、上型6の上型キャビティ6a部内と、中間型5の下型キャビティ5b部内とゲート5c部、及び、下型7の樹脂材料供給部12内とを含む型内空間部を減圧する型内減圧工程とを更に含むことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、上型6と下型7及び前記上型6と下型7との間に配設した中間型5とを含む三型構造を備えた電子部品の樹脂封止成形装置であって、
前記上型の取付部3には、下面に電子部品9を樹脂封止成形する上型キャビティ6a部を形成した上型6と、前記上型キャビティ6a内の樹脂成形体16bを離型させる離型機構10とを配設し、
また、前記上型6の下部には上下駆動機構5aを介して前記中間型5を上下動可能に配設すると共に、前記中間型5の上面における前記上型キャビティ6a部との対向部位には電子部品を樹脂封止成形する下型キャビティ5b部を設け、更に、前記各下型キャビティ5b部には中間型5の下面に連通するゲート5cを穿設し、
また、前記中間型5の下部となる下部プレート4には、上下駆動機構7aを介して前記下型7を上下動可能に配設すると共に、前記下型7の外周に下型嵌合ブロック11を嵌装させ且つ前記下型7の上面と前記下型嵌合ブロック11の内周面とによって樹脂材料供給部12を構成し、
また、上下駆動機構11aを介して前記下型嵌合ブロック11を上下動可能に配設すると共に、前記中間型5に対して弾性押上力を加える弾性部材4aを配設し、
更に、前記上型6の下面と前記中間型5の上面との接合面に、複数枚の樹脂封止前基板8を同時に並設してセットさせる基板セット部5dを構成したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明における前記下型7を上動させて前記樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料16aを加圧移送する樹脂加圧移送機構を構成したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明における前記上型6と前記中間型5との接合面に構成した基板セット部5dの外方周囲となる部位に前記上型6と中間型5との型締時において外気を遮断するシール部材6bを配設すると共に、前記中間型5と前記下型嵌合ブロック11との接合面となる部位に前記中間型5と下型嵌合ブロック11との型締時において外気を遮断するシール部材5fを配設し、更に、前記上型6と中間型5及び下型7との三型の型締時に、上型6の上型キャビティ6a部内と、中間型5の下型キャビティ5b部内とゲート5c部及び下型7の樹脂材料供給部12内とを含む型内空間部を減圧する型内減圧機構を配設して構成したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の発明における前記上型キャビティ部内の樹脂成形体16bを離型させる離型機構10を離型フイルム機構にて構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び請求項3に記載の発明によれば、下型7側に配設した単一の樹脂材料供給部12に、直接、樹脂材料16を投入・供給することができるので樹脂材料供給工程を効率良く行うことができると共に、装置形状の大型化及び複雑化を抑えることができる。
また、樹脂封止成形工程においては、単一の樹脂材料供給部12内における溶融樹脂材料16aを中間型5のゲート5cを通して各キャビティ5b・6a内へ直ちに注入させることができる。このため、複数の樹脂材料供給用ポットや多数の樹脂通路部を備える従来の型構造の場合のように多数の廃棄樹脂が発生しないので樹脂材料の歩留まりを向上させることができる。更に、この樹脂封止成形工程においては、各キャビティ5b・6a内へ溶融樹脂材料16aを同時に且つ均等な圧力にて注入・充填させることができるので、各々のキャビティ部における樹脂成形条件を同一に設定することができる。従って、各々のキャビティ部において均一な製品を成形することが可能となる。
また、上型6の下面と中間型5の上面との接合面に複数枚の樹脂封止前基板8を同時に且つ並設してセットさせるようにしたので、一回の成形サイクルにおける製品の取り数を増加することが可能となるため生産性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項2及び請求項5に記載の発明によれば、電子部品9の樹脂封止成形を減圧状態下(真空状態下)において行うことができる。
このため、上型6の上型キャビティ6a部内と、中間型5の下型キャビティ5b部内とゲート部5c及び下型の樹脂材料供給部12内とを含む型内空間部内を減圧して、この型内空間部内に残留するエア17を型外へ排除した状態で電子部品9の樹脂封止成形を行うことが可能となる。従って、樹脂封止成形体にボイド(気泡)等が形成されるのを、より確実に防止することができ、高品質を備えた電子部品の樹脂封止成形品を成形することができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明によれば、樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料16aを各キャビティ5b・6a側へ加圧移送する際の樹脂注入圧力を型締圧力としても利用できるので、樹脂封止成形装置における全体的な型締圧力の低減化を図ることができる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明によれば、少なくとも上型キャビティ部に離型フイルムを張設した状態で樹脂封止成形を行うことができるので、上型キャビティ部への樹脂付着や上型キャビティから樹脂成形体16bを取り出す際の離型不良を効率良く防止できる、所謂、離型フイルム機構を配設した樹脂封止成形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明に係る電子部品の樹脂封止成形装置の概略全体正面図で、各樹脂成形型の型開状態を示している。
【図2】図2は図1に対応する樹脂封止成形装置の要部を示す拡大縦断正面図である。
【図3】図3は図2に対応する樹脂封止成形装置の要部を示しており、図3(1) はその下型部分の要部を示す縦断正面図、図3(2) は下型部分の概略平面図である。
【図4】図4は図2に対応する樹脂封止成形装置の要部を示す縦断正面図で、図4(1) は上型と中間型との間に基板をセットする場合の説明図、図4(2) は基板セット後に上型と中間型とを予備的に型締めすると共に、下型の樹脂材料供給部12内に樹脂材料を供給する場合の説明図である。
【図5】図5は図4に対応する樹脂封止成形装置の要部を示す縦断正面図で、図5(1) は下型の樹脂材料供給部内における溶融樹脂材料の説明図、図5(2) は中間型と下型とを型締めすると共に、型内空間部を減圧する場合の説明図である。
【図6】図6は図5に対応する樹脂封止成形装置の要部を示す縦断正面図で、図6(1) は各樹脂成形型を完全に型締めした状態を示しており、図6(2) は各キャビティ部への樹脂注入状態を示している。
【図7】図7は図6に対応する樹脂封止成形装置の要部を示す縦断正面図で、図7(1) は上型と中間型とを予備的に型開きした状態を示しており、図7(2) は中間型と下型とを予備的に型開きした状態を示している。
【図8】図8は図7に対応する樹脂封止成形装置の要部を示す縦断正面図で、図8(1) 及び図8(2) は廃棄樹脂を型外へ搬出する場合の説明図である。
【図9】図9は図8に対応する樹脂封止成形装置の要部を示す縦断正面図で、図9(1) 及び図9(2) は樹脂封止成形品を型外へ取り出す場合の説明図である。
【図10】図10は従来技術における樹脂封止成形装置の要部を示す縦断正面図で、図10(1) は各樹脂成形型の型締状態を示しており、図10(2) は各樹脂成形型の型開状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1乃至図9に示す本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、電子部品の樹脂封止成形装置の全体構成を概略的に示している。
この樹脂封止成形装置の基本的な構造は、装置の機台1と、機台1上に立設したガイド用のポスト2と、ポスト2の上端部に配置した上型取付部3と、機台1上に配置した下部プレート4と、上型取付部3と下部プレート4との間の位置において上下駆動機構5aにて上下動可能な状態に配置した中間型5と、上型取付部3と中間型5との間に配置した上型6と、中間型5と下部プレート4との間の位置において上下駆動機構7aにて上下動可能な状態に配置した下型7とを備えている。
【0020】
また、図2に示すように、上型6の下面には樹脂封止前基板8上の電子部品9を樹脂封止成形する上型キャビティ6aを配設している。
この上型キャビティ6aは、上型6の下面と中間型5の上面との接合面(P.L 面)に、後述する複数枚の樹脂封止前基板8を同時に並設してセットするための基板セット部5dを構成することから、この基板セット部5dに並設してセットした各樹脂封止前基板8上の電子部品9を各々嵌装することができる数を配設している。
また、この基板セット部5dの外方周囲となる部位には上型6と中間型5との型締時において外気を遮断するシール部材6bと、このシール部材6bによるシール範囲を減圧するための真空ポンプ等を含む適宜な減圧機構(図示なし)側と接続させた吸気孔6cとを配設している。
【0021】
また、上型6の上面には各上型キャビティ6a内にて成形された樹脂成形体16bを離型させる離型機構10を配設している。
この離型機構10は、各上型キャビティ6a内の樹脂成形体16bを下方へ突き出すための突出ピン10aと、該各突出ピンを同時に押し下げるための弾性部材10bと、各突出ピン10aの下端面を上型キャビティ6aの内底面と同じ高さとなる所定の高さ位置にまで押し上げるためのリターンピン10cとを備えている。
なお、このような突出ピンによる離型機構10に替えて、少なくとも各上型キャビティ6a部に離型フイルムを張設して樹脂成形を行う、所謂、離型フイルム機構(図示なし)を採用するようにしても差し支えない。この場合は、各上型キャビティ6a部に樹脂材料が付着しないので、該キャビティ内の樹脂成形体16bを、より効率良く取り出すことができると共に、成形装置の小型化と構成簡略化を図ることができると云った利点がある。
【0022】
また、中間型5は上型6の下部において上下駆動機構5aにて上下動可能な状態で配置すると共に、各上型キャビティ6aと対向する中間型5の上面には電子部品を樹脂封止成形する下型キャビティ5bを形成し、更に、各下型キャビティ5bの各々には中間型5の下面に連通するゲート5cを穿設している。
また、上型6の下面との接合面(P.L 面)となる中間型5の上面には、複数枚の樹脂封止前基板8を同時に並設してセットするための基板セット部5dを設けている。
更に、この基板セット部5dにおける中間型5の上面には複数枚の樹脂封止前基板8を所定の位置に案内して並設セットするための複数の位置決ピン5eを立設しているが、これらの位置決ピン5eは、上型6と中間型5との型締時において、上型6の下面に設けた複数の係合孔6d内に各々嵌入するに設定している。
【0023】
また、中間型5のゲート5cの外方周囲となる部位には中間型5と下型7との型締時において外気を遮断するシール部材5fを配設している。
【0024】
また、下部プレート4上に設けた下型7は、上下駆動機構7aにて上下動可能な状態で配置している。
また、この下型7の外周には、下型嵌合ブロック11を嵌装させると共に、該下型嵌合ブロック11は上下駆動機構11aにて上下動可能な状態に設けている。
更に、この下型7の上面と下型嵌合ブロック11の内周面とから成る空間部は樹脂材料供給部12として構成することができる。
また、下型嵌合ブロック11の内周面に嵌合された状態にある下型7をその上下駆動機構7aにて上動させると、該下型は樹脂材料供給部12内に投入供給された樹脂材料16(図4参照)を上方へ移送するように加圧することができる。
従って、この構造は、樹脂材料供給部12内の樹脂材料16、若しくは、樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料16aを加圧移送するための樹脂加圧移送機構(図6参照)を構成している。
【0025】
また、下型7の上面には、所謂、アンダーカット部7bを形成すると共に、樹脂封止済基板8aを上方へ突き出すための突出ピン7cを支持し、且つ、樹脂材料供給部12内の樹脂材料との接触を防止するための支持ブロック7dとを設けている(図3参照)。
なお、この支持ブロック7dは、下型7と中間型5との型締時において、中間型5に設けた係合部5gに嵌入するように設定されている(図6参照)。
【0026】
また、下部プレート4の上面には、下型7(下型嵌合ブロック11)と中間型5との型締時において、中間型5を押し上げるように作用させる弾性部材4aを配設している(図6(2) 参照)。
なお、この弾性部材4aの弾性は、上型6側の離型機構10における弾性部材10bの弾性よりも弱くなるように設定してある。
従って、下部プレート4側の弾性部材4aが中間型5を介して上型6側の離型機構10に加えられても中間型5に対する弾性部材10bの弾性押下作用を阻害しないように構成している。
【0027】
また、上型6と中間型5及び下型7との三型を型締めした時に、上型6における各上型キャビティ6a部内と、中間型5の各下型キャビティ5b部内とゲート部5c及び下型7の樹脂材料供給部12内とを含む型内空間部内を減圧する型内減圧機構(図示なし)を配設している。
【0028】
なお、図中の符号13は、上型6と中間型5との間を所定の位置にまで離反させる型開時において、上型6と中間型5との型面間に樹脂封止前基板8を供給するための基板供給機構を示している。
また、同符号14は、上型6と中間型5との型開時において、上型6と中間型5との型面間から樹脂封止済基板8aを外部へ搬出するための製品搬出機構を示している。
また、同符号15は、中間型5と下型7(及び、下型嵌合ブロック11)との型開時において、中間型5と下型7との型面間からパウダー状や顆粒状の樹脂材料16を投入・供給するための樹脂材料供給機構を示している。
【0029】
次に、図1乃至図9を参照して、基板上の電子部品を樹脂封止成形する場合について説明する。
なお、樹脂封止成形作業の開始前において、上型6と中間型5及び下型7(及び、下型嵌合ブロック11)とから構成する各成形型をヒータ(図示なし)によって所要の樹脂成形温度(例えば、180 ℃)以上に加熱した状態に準備する。
【0030】
まず、図4(1) に示すように、上下駆動機構(5a・7a)を介して、上型6と中間型5との間、及び、中間型5と下型7(及び、下型嵌合ブロック11)とを型開きする(三型の型開工程)。
次に、上型6と中間型5との間に基板供給機構13を移動させると共に、該基板供給機構に支持させた複数枚の樹脂封止前基板8を中間型5の上面に設けた基板セット部5dに同時に且つ並設してセットする(樹脂封止前基板の並設セット工程)。
【0031】
次に(樹脂封止前基板8の並設セット工程の後に)、上型6と中間型5とを型締めして上型6と中間型5との間に複数枚の樹脂封止前基板8を挟圧し、且つ、該各樹脂封止前基板上の電子部品9を上型6の上型キャビティ6a部と中間型5の下型キャビティ5b部に嵌合セットする上型6と中間型5との型締を行う(上型と中間型との型締工程)。
なお、この上型6と中間型5との型締工程を行う前に、予備的な中間型締工程を行うことができる。
即ち、図4(2) に示すように、上下駆動機構5aを介して、上型6と中間型5との間を接近させると共に、中間型5の基板セット部5dに並設セットした各樹脂封止前基板8の上面と上型6の下面との間に、通気可能な間隙を残した状態で該上型と中間型とを型締めする(中間型締工程)。
この上型と中間型との中間型締工程時においては、基板セット部5dの外方周囲となる部位に上型6のシール部材6bを押圧状に接合させることになるため、該シール部材によるシール範囲を外気と遮断する状態に設定することが可能となる。
また、この上型と中間型との中間型締工程の次に、又は、該中間型締工程と同時的に、中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)との間に樹脂材料供給機構15を移動させると共に、該樹脂材料供給機構を介して、下型7の上面と下型嵌合ブロック11の内周面とから構成される樹脂材料供給部12内に、所要量の樹脂材料16を投入して供給する(樹脂材料供給工程)。
【0032】
樹脂材料供給部12内に供給した樹脂材料16は、該樹脂材料供給部からの加熱作用を受けるので、図5(1) に示すように、樹脂材料供給部12内において該樹脂材料を順次に溶融化することができる(樹脂材料の加熱溶融化工程)。
なお、符号16aは溶融樹脂材料を示している。
この樹脂材料供給部12内における樹脂材料の加熱溶融化工程の次に、又は、該樹脂材料を加熱溶融化しながら、上下駆動機構7aを介して、中間型5の下面と下型7(下型嵌合ブロック11)の上面とを接合させる中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)との型締めを行う(中間型と下型との型締工程)。
この中間型と下型との型締時においては、図5(2) に示すように、中間型5のシール部材5fを下型嵌合ブロック11の上面に押圧状に接合させることができるので、該シール部材によって中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)との両型面間における通気状態を遮断することが可能となる。
また、図5(2) に示すように、上型6と中間型5との中間型締めを行い、且つ、中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)との型締めを行ったとき、上型6の上型キャビティ6a部内と、中間型5の下型キャビティ5b部内とゲート5c部及び下型の樹脂材料供給部12内とを含む型内空間部内を通気可能な状態に設定することができる。
従って、この状態で、減圧機構(図示なし)を作動させ、該型内空間部内のエア17を上型6の吸気孔6cを通して型外へ排気することができる(型内減圧工程)。
【0033】
次に、図6(1) に示すように、上下駆動機構(5a・7a)を介して、上型6と中間型5及び中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)との各型の完全型締めを行う(完全型締工程)。
この完全型締めは、図5(2) に示す上型6と中間型5との中間型締め状態から、離型機構10の弾性部材10bによる弾性押下力に抗して上型6と中間型5とを更に押圧状に接合させることにより、図6(1) に示すように、中間型5の基板セット部5dに並設セットした各樹脂封止前基板8の上面と上型6の下面とを接合させた状態を云う。
また、この完全型締時には、各樹脂封止前基板8の上面に装着した電子部品9を各上型キャビティ6a内に各々嵌合セットさせることができる。更に、このとき、離型機構10における突出ピン10aとリターンピン10cは同時に押し上げられることになるが、突出ピン10aの下端面は上型キャビティ6aの内底面と同じ高さ位置にまで押し上げられるように後退する。
【0034】
次に、図6(2) に示すように、下型7の樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料16aを加圧してこの溶融樹脂材料を中間型5に穿設したゲート5cを通して上型6と中間型5との間に設けた各キャビティ(5b・6a)内に各々注入充填させる電子部品の樹脂封止成形を行う(樹脂封止成形工程)。
このとき、中間型5と下型嵌合ブロック11とは接合されて型締め状態にあり、また、
両者間に介在させたシール部材5fによって該両者間における通気状態を遮断している。
従って、この状態で、溶融樹脂材料16aの加圧移送機構、即ち、上下駆動機構7aによる下型7の上動作用によって、樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料16aを中間型5のゲート5cを通して中間型5の下型キャビティ5b及び上型6の上型キャビティ6a内に直ちに且つスムーズに各々注入充填させることができる。
また、このとき、下型キャビティ5b及び上型キャビティ6a内の溶融樹脂材料16aには下型7の上動作用に基づく加圧力を各々同時に且つ均等に加えることができるので、各々のキャビティ内における成形条件を一定に且つ安定化させることができると共に、各々のキャビティ内において成形される樹脂封止成形体(製品)の品質を均一化することが可能となる。また、この溶融樹脂材料16aの加圧時において、下型7の樹脂材料供給部12内に残留することになる溶融樹脂材料16aの一部を下型7に設けたアンダーカット部7b内に進入させ且つ固化成形させることができる。
【0035】
なお、中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)との型締時において、下部プレート4の上面に設けた弾性部材4aの上端面を中間型5の下面に接合させることにより、該弾性部材の弾性が中間型5を押し上げるように作用させている。
また、上述したように、この弾性部材4aの弾性は、上型6側の離型機構10における弾性部材10bの弾性よりも弱くなるように設定してある。
従って、下部プレート4側の弾性部材4aが中間型5を介して上型6側の離型機構10に加えられても中間型5に対する弾性部材10bの弾性押下作用を阻害しないように構成している。
また、下型7が上動するとき、該下型に立設した各支持ブロック7dは中間型5に設けた係合部5gの各位置に各々係合し且つ該各係合部に各々嵌合させることができるので、該各支持ブロックの上下動作用を阻害することはない(図6(2) 参照)。
また、シール部材5fは溶融樹脂材料16aの一部を中間型5と下型嵌合ブロック11との両者間から型外へ流出するのを防止することができると共に、各支持ブロック7dと各係合部5gとの係合は溶融樹脂材料16aの一部が係合部5gを通して中間型5の上面に設けた基板セット部5d側へ流出するのを防止している。
【0036】
次に、上型6と中間型5とを型開きすると共に、該上型のキャビティ6a内から樹脂封止成形された基板8aを離型する(上型と基板との離型工程)。
この離型は、まず、上下駆動機構7aを介して、下部プレート4を下動させると、上型側の離型機構10における弾性部材10bの弾性が、下部プレート4側の弾性部材4aによる中間型5の押上作用に抗して、中間型5を押し下げることになる。
このとき、図6(2) 及び図7(1) に示すように、離型機構10における弾性部材10bの弾性押下力が該離型機構の全体を押下げることになる。従って、離型機構10の各突出ピン10aを各上型キャビティ6a内に各々進入させて、該各上型キャビティ内にて成形した樹脂成形体16bを下方へ突出すことができる。
【0037】
次に、中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)とを型開きして、中間型5のゲート5cと樹脂封止済基板8aに一体状に成形された樹脂成形体16bとを切断分離(ゲートカット)する(ゲートカット工程)。
ゲートカット工程は、樹脂成形後において不要となる廃棄樹脂16cの部分を樹脂封止済基板8aの樹脂成形体16bから切断して分離させるものであり、上下駆動機構7aを介して、下部プレート4を更に下動させることにより行うことができる。
即ち、図7(2) に示すように、下部プレート4側の弾性部材4aによる弾性押上力にて中間型5を押上げた状態において下部プレート4を更に下動させると、廃棄樹脂16cの部分はアンダーカット部7bを介して止着した下型7に伴って下動するため、樹脂封止済基板8aの樹脂成形体16bと廃棄樹脂16cとを中間型のゲート5cと下型キャビティ5bとの連通口の部位にて剪断することができる。従って、樹脂封止済基板8aの樹脂成形体16bと廃棄樹脂16cとを切断して分離させることができる。
【0038】
次に、下型7の樹脂材料供給部12から廃棄樹脂16cを突出すと共に、これを型外へ排出する。
廃棄樹脂16cは、図7(2) に示すように、下型7のアンダーカット部7bに保持されているため、図8(1) に示すように、下部プレート4を更に下動させると共に、上下駆動機構11aを介して、下型嵌合ブロック11を上動させることにより、廃棄樹脂16cを上方へ突出すことができる。
その後、又は、図8(2) に示すように、下型嵌合ブロック11を元位置にまで下動させた状態で、中間型5と下型7(下型嵌合ブロック11)との間に廃棄樹脂搬出機構18を移動すると共に、該廃棄樹脂搬出機構を介して、廃棄樹脂16cを係止し、且つ、その状態で該廃棄樹脂を型外に搬出する(廃棄樹脂排出工程)。
【0039】
次に、樹脂封止済基板8a(製品)を突出すと共に、これを型外へ取り出す。
即ち、図9(1) に示すように、上下駆動機構7aを介して、下型7(下型嵌合ブロック11)を上動させると共に、下型7の突出ピン7cにより樹脂封止済基板8aを押上げて該樹脂封止済基板を中間型5の上面に突出す(成形品の離型工程)。
その後、図9(2) に示すように、上下駆動機構5aを介して、中間型5を下動させて上型6と中間型5とを型開きする(上型と中間型との型開工程)と共に、上型6と中間型5との間に製品搬出機構14を移動し、更に、該製品搬出機構を介して、中間型5の上面に突出された製品(樹脂封止済基板8a)を係止し、且つ、その状態で該製品を型外に搬出することができる(成形品取出工程)。
【0040】
この実施例の構成によれば、下型7側に配設した単一の樹脂材料供給部12に、直接、樹脂材料16を投入・供給することができるため、樹脂材料供給工程を効率良く行うことができると共に、装置形状の大型化及び複雑化を抑えることができる。
【0041】
また、単一の樹脂材料供給部12内における溶融樹脂材料16aを中間型のゲート5cを通して各キャビティ5b・6a内へ直ちに注入・充填させることができる。このため、複数の樹脂材料供給用ポットや多数の樹脂通路部を備える従来の型構造の場合のように多数の廃棄樹脂が発生しないので樹脂材料の歩留まりを向上させることができる。
【0042】
また、各キャビティ5b・6a内へ溶融樹脂材料16aを同時に且つ均等圧力にて注入・充填させることができるので、各々のキャビティ部における樹脂成形条件を同一に設定することができる。
従って、各々のキャビティ部において均一な製品を成形することができる。
【0043】
また、上型6の下面と中間型5の上面との接合面に複数枚の樹脂封止前基板8を同時に且つ並設してセットさせるようにしたので、一回の成形サイクルにおける製品の取り数を増加することが可能となる。
従って、この種製品の生産性を向上させることができる。
【0044】
また、電子部品の樹脂封止成形工程を減圧状態下(真空状態下)において行うことができるので、上型の上型キャビティ6a部内と、中間型の下型キャビティ5b部内とゲート5c部及び下型7の樹脂材料供給部12内とを含む型内空間部内に残留するエア17を型外へ排除した状態で該電子部品の樹脂封止成形を行うことが可能となる。
従って、樹脂成形体16bにボイド(気泡)等が形成されるのを、より確実に防止することができるため、高品質を備えた電子部品の樹脂封止成形品を成形することができる。
なお、上記した説明において、型内空間部を減圧状態下に設定する必要がない場合は、該型内減圧工程を省略することができる。
【0045】
また、樹脂材料供給部12内の溶融樹脂材料16aを各キャビティ5b・6a側へ加圧移送する際の樹脂注入圧力は型締圧力としても作用するので、樹脂封止成形装置における全体的な型締力の低減化を図ることができる。
【0046】
また、少なくとも上型キャビティ6a部に離型フイルムを張設した状態で樹脂封止成形を行うことができるので、上型キャビティ6a部への樹脂付着や上型キャビティ6aから樹脂成形体16bを取り出す際の離型不良を防止できる離型フイルム機構を上型6側に採用した樹脂封止成形装置を提供することができる。
【0047】
また、下型7に設けた樹脂材料供給部12に樹脂材料16を供給する樹脂材料供給工程と、上型6と中間型5との間に設けた基板セット部に複数枚の樹脂封止前基板8を同時に並列してセットする樹脂封止前基板の並設セット工程との各工程を行う順序は、使用する樹脂材料16の性状等によって前後に入れ替えて実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
樹脂封止前基板の表裏両面に対して樹脂成形体を固着一体化させることができるので、所謂、両面成形を必要とするその他の樹脂封止成形の用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 機 台
2 ポスト
3 上型取付部
4 下部プレート
4a 弾性部材
5 中間型
5a 上下駆動機構
5b 下型キャビティ
5c ゲート
5d 基板セット部
5e 位置決ピン
5f シール部材
5g 係合部
6 上 型
6a 上型キャビティ
6b シール部材
6c 吸気孔
6d 係合孔
7 下 型
7a 上下駆動機構
7b アンダーカット部
7c 突出ピン
7d 支持ブロック
8 樹脂封止前の基板
8a 樹脂封止済の基板
9 電子部品
10 離型機構
10a 突出ピン
10b 弾性部材
10c リターンピン
11 下型嵌合ブロック
11a 上下駆動機構
12 樹脂材料供給部
13 基板供給機構
14 製品搬出機構
15 樹脂材料供給機構
16 樹脂材料
16a 溶融樹脂材料
16b 樹脂成形体
16c 廃棄樹脂(カル・ランナ部)
17 エ ア
P.L 接合面(パーティングライン面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型と下型及び前記上型と下型との間に配設した中間型とを含む三型構造の樹脂封止成形装置を用いて樹脂封止前基板上に装着した電子部品を樹脂材料にて封止成形する方法であって、
前記三型における上型と中間型、及び、前記中間型と下型との型間を離反させる三型の型開工程と、
前記型開工程の後に、前記上型と前記中間型との間に設けた基板セット部に複数枚の樹脂封止前基板を同時に並設してセットする樹脂封止前基板の並設セット工程と、
前記型開工程の後に、前記下型に設けた樹脂材料供給部に樹脂材料を供給する樹脂材料の供給工程と、
前記下型の樹脂材料供給部内に供給した樹脂材料を加熱して溶融化する樹脂材料の加熱溶融化工程と、
前記樹脂封止前基板の並設セット工程の後に、前記上型と前記中間型とを型締めして前記上型と中間型との間に複数枚の樹脂封止前基板を挟圧し、且つ、前記各樹脂封止前基板上の電子部品を前記上型に設けた上型キャビティ部と中間型に設けた下型キャビティ部に嵌合セットする前記上型と中間型との型締工程と、
前記上型と中間型との型締工程の後に、前記中間型と前記下型とを型締めする前記中間型と下型との型締工程と、
前記上型と中間型及び下型の三型を接合させる完全型締工程と、
前記完全型締工程の後に、前記下型の樹脂材料供給部内の溶融樹脂材料を加圧すると共に、この溶融樹脂材料を前記中間型に穿設したゲートを通して、前記上型と中間型との間に設けた各キャビティ内に各々注入充填させる電子部品の樹脂封止成形工程と、
前記電子部品の樹脂封止成形工程の後に、前記上型と中間型とを型開きすると共に、前記上型のキャビティ内から樹脂封止済基板を離型させる上型と基板との離型工程と、
前記電子部品の樹脂封止成形工程の後に、前記中間型と前記下型とを型開きして前記中間型のゲートと前記樹脂封止済基板の樹脂成形体とを切断分離するゲートカット工程と、
前記ゲートカット工程の後に、前記下型と中間型との間から廃棄樹脂を型外に搬出する廃棄樹脂排出工程と、
前記ゲートカット工程の後に、前記下型の突出ピンにて前記樹脂封止済基板及び樹脂成形体とを中間型の上面に突出して離型する成形品の離型工程と、
前記成形品の離型工程の後に、前記上型と中間型との間から成形品を型外に取り出す成形品取出工程とを含む、電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項2】
前記上型と中間型との間を接近させると共に、前記中間型の基板セット部に並設セットした各樹脂封止前基板の上面と上型の下面との間に、通気可能な間隙を残した状態で前記上型と中間型とを型締めする上型と中間型との中間型締工程と、
前記上型と中間型との中間型締工程の状態で、前記中間型と前記下型とを型締めする前記中間型と下型との型締工程と、
前記上型と中間型及び下型との三型の型締時に、上型の上型キャビティ部内と、中間型の下型キャビティ部とゲート部、及び、下型の樹脂材料供給部内とを含む型内空間部を減圧する型内減圧工程とを更に含む、請求項1に記載の電子部品の樹脂封止成形方法。
【請求項3】
上型と下型及び前記上型と下型との間に配設した中間型とを含む三型構造を備えた電子部品の樹脂封止成形装置であって、
前記上型の取付部には、下面に電子部品を樹脂封止成形する上型キャビティ部を形成した上型と、前記上型キャビティ内の樹脂成形体を離型させる離型機構とを配設し、
また、前記上型の下部には上下駆動機構を介して前記中間型を上下動可能に配設すると共に、前記中間型の上面における前記上型キャビティ部との対向部位には電子部品を樹脂封止成形する下型キャビティ部を設け、更に、前記各下型キャビティ部には中間型の下面に連通するゲートを穿設し、
また、前記中間型の下部となる下部プレートには、上下駆動機構を介して前記下型を上下動可能に配設すると共に、前記下型の外周に下型嵌合ブロックを嵌装させ且つ前記下型の上面と前記下型嵌合ブロックの内周面とによって樹脂材料供給部を構成し、
また、上下駆動機構を介して前記下型嵌合ブロックを上下動可能に配設すると共に、前記中間型に対して弾性押上力を加える弾性部材を配設し、
更に、前記上型の下面と前記中間型の上面との接合面に、複数枚の樹脂封止前基板を同時に並設してセットさせる基板セット部を構成したことを特徴とする電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項4】
前記下型を上動させて前記樹脂材料供給部内の溶融樹脂材料を加圧移送する樹脂加圧移送機構を構成したことを特徴とする請求項3に記載の電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項5】
前記上型と前記中間型との接合面に構成した基板セット部の外方周囲となる部位に前記上型と中間型との型締時において外気を遮断するシール部材を配設すると共に、前記中間型と前記下型嵌合ブロックとの接合面となる部位に前記中間型と下型嵌合ブロックとの型締時において外気を遮断するシール部材を配設し、更に、前記上型と中間型及び下型との三型の型締時に、上型の上型キャビティ部内と、中間型の下型キャビティ部とゲート部及び下型の樹脂材料供給部とを含む型内空間部を減圧する型内減圧機構を配設して構成したことを特徴とする請求項3に記載の電子部品の樹脂封止成形装置。
【請求項6】
前記上型キャビティ部内の樹脂成形体を離型させる離型機構を離型フイルム機構にて構成したことを特徴とする請求項3に記載の電子部品の樹脂封止成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−204697(P2012−204697A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69014(P2011−69014)
【出願日】平成23年3月26日(2011.3.26)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】