説明

電子部品

【課題】気密性の高い封止が可能で、かつ小型化が可能な電子部品を提供すること。
【解決手段】本発明は、絶縁性基板10と、絶縁性基板10上にフリップチップ実装されたデバイスチップ20と、パターン32の上面とデバイスチップ20の下面との間に隙間を有するようにデバイスチップ20の側面に沿って絶縁性基板10上に設けられたパターン32と、パターン32の上面とデバイスチップ20の下面との間の隙間に埋め込まれ、かつ絶縁性基板10の上面とデバイスチップ20の下面との間に空隙26が形成されるように、デバイスチップ20およびパターン32の側面を覆うSOG酸化膜30と、を具備する電子部品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品に関し、特に絶縁性基板上にデバイスチップがフリップチップ実装された電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタやFBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)フィルタ等の動作領域が振動するデバイスチップは、振動が抑制されないように実装される。このため、デバイスチップ表面の動作領域には空隙が接するようにパッケージに実装される。
【0003】
図1は特許文献1および2に記載された電子部品を説明するための図である。図1を参照に、キャビティ78を有するパッケージ基板70の底面には配線パターン12、内部配線14および外部接続端子16が設けられている。デバイスチップ20は配線パターン12にバンプ28を用いフリップチップ実装されている。パッケージ基板70は封止用メタル76と半田74を用い蓋72がされる。これにより、デバイスチップ20は気密封止される。デバイスチップ20の下面に形成された櫛型電極等の動作領域22はキャビティ78により形成された空隙に接している。
【0004】
図2は、特許文献3に記載された電子部品を説明するための図である。図2を参照に、絶縁性基板10には配線パターン12、内部配線14および外部接続端子16が設けられている。配線パターン12にデバイスチップ20がフリップチップ実装されている。デバイスチップ20の上面および側面を覆い、デバイスチップ20の下面が空隙26に接するように封止樹脂60が形成されている。
【0005】
図3は、特許文献4に記載された電子部品を説明するための図である。図2の封止樹脂60の代わりにSOG(Spin on Grass)酸化膜62が形成されている。
【0006】
図4は、特許文献5に記載された電子部品を説明するための図である。図4を参照に、絶縁性基板10上には、デバイスチップ20に沿ってパターン32が設けられている。
【特許文献1】特開2001−53577号公報
【特許文献2】特開2001−110946号公報
【特許文献3】米国特許7183124号明細書
【特許文献4】特開平2−186662号公報
【特許文献5】特開2005−86615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、動作領域22が空隙に接するようにデバイスチップ20を実装した電子部品が多く提供されている。しかしながら、図1に示した特許文献1および2の技術においては、キャビティ78を有するパッケージ基板70にデバイスチップ20を実装するため、電子部品の小型化が難しい。図2に示した特許文献3の技術においては、封止樹脂60を用いデバイスチップ20を封止するため、空隙26の気密性が低いという課題がある。図3に示した特許文献4の技術においては、SOG酸化膜62を用いデバイスチップ20を封止するため、図2に比べ気密性を高めることができる。しかしながら、SOG酸化膜62は粘度が低いため、デバイスチップ20を封止する際に、SOG酸化膜62が動作領域22表面に達するおそれがある。図4に示した特許文献5の技術においては、パターン32を設けるため、電子部品の小型化が難しい。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、気密性の高い封止が可能で、かつ小型化が可能な電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上にフリップチップ実装されたデバイスチップと、パターンの上面と前記デバイスチップの下面との間に隙間を有するように前記デバイスチップの側面に沿って前記絶縁性基板上に設けられた前記パターンと、前記パターンの上面と前記デバイスチップの下面との間の隙間に埋め込まれ、かつ前記絶縁性基板の上面と前記デバイスチップの下面との間に空隙が形成されるように、前記デバイスチップおよび前記パターンの側面を覆うSOG酸化膜と、を具備することを特徴とする電子部品である。本発明によれば、気密性の高い封止が可能で、かつ小型化が可能な電子部品を提供することができる。
【0010】
上記構成において、上視面において、前記パターンと前記デバイスチップとは重なり部分を有する構成とすることができる。この構成によれば、電子部品をより小型化することができる。
【0011】
上記構成において、前記SOG酸化膜を覆う被覆層を具備する構成とすることができる。この構成によれば、SOG酸化膜を硬化させる際に空隙中の空気が膨張し、SOG酸化膜が破壊されることを抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記パターンの上面に対向する前記デバイスチップの下面の領域に設けられ、下面が前記SOG酸化膜で覆われた金属膜を具備する構成とすることができる。この構成によれば、SOG酸化膜が空隙内に流れ込むことをより抑制することができる。
【0013】
上記構成において、前記デバイスチップの下面に対向する前記絶縁性基板の領域上に、前記デバイスチップの下面と離間して設けられた受動素子を具備する構成とすることができる。受動素子を設けた場合、空隙の高さが大きくなるため、SOG酸化膜が空隙に流入しやすくなる。上記構成によれば、SOG酸化膜の空隙への流入をより抑制することができる。
【0014】
上記構成において、前記デバイスチップは、前記絶縁基板上に設けられた嵩上げ部を介しフリップチップ実装されている構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記デバイスチップは互いに隣接する複数のデバイスチップを含み、前記複数のデバイスチップの間の前記絶縁性基板上に金属パターンを具備する構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記金属パターンは、前記金属パターンの上面と前記複数のデバイスチップの下面との間に隙間を有するように設けられ、前記SOG酸化膜は、前記金属パターンの上面と前記複数のデバイスチップの下面との間の隙間に埋め込まれるように設けられている構成とすることができる。この構成によれば、デバイスチップ間の電気的干渉を抑制することができる。
【0017】
上記構成において、前記金属パターンの上面と前記複数のデバイスチップの下面とは接している構成とすることができる。
【0018】
上記構成において、前記金属パターンは前記複数のデバイスチップの下面より高く設けられている構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記金属パターンは、所定の固定電位に接続されている構成とすることができる。
【0020】
上記構成において、前記デバイスチップは、SAWフィルタまたはFBARフィルタである構成とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、気密性の高い封止が可能で、かつ小型化が可能な電子部品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照に本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0023】
図5(a)は実施例1に係る電子部品の断面図である。図5(a)を参照に、セラミック等からなる絶縁性基板10の上面には配線パターン12が設けられている。絶縁性基板10の下面には外部接続端子16が設けられている。絶縁性基板10の内部には配線パターン12と外部接続端子16とを接続する内部配線14が設けられている。下面に動作領域22を有するデバイスチップ20が絶縁性基板10上にフリップチップ実装されている。すなわち、デバイスチップ20はバンプ28を介し配線パターン12と接続される。パターン32は、上面がデバイスチップ20の下面との間に隙間を有するように絶縁性基板10上に設けられている。SOG酸化膜30は、デバイスチップ20およびパターン32の側面を覆うように設けられている。さらに、SOG酸化膜30は、パターン32の上面とデバイスチップ20の下面との間の隙間に埋め込まれ、かつ絶縁性基板10の上面とデバイスチップ20の下面との間に空隙26が形成されるように形成されている。
【0024】
図5(b)は実施例1に係る電子部品の上面からデバイスチップ20およびパターン32を透視した図である。図5(b)を参照に、パターン32は、デバイスチップ20の側面に沿って絶縁性基板10上に設けられている。実施例1では、パターン32はデバイスチップ20の外周縁に沿ってリング状に形成されている。しかしながら、後述する図7(a)において、SOGがデバイスチップ20の動作領域22下に流入しない程度であれば、デバイスチップ20の外周縁のうち一部にはパターン32が形成されていなくともよい。
【0025】
図6(a)から図7(b)を参照に、実施例1に係る電子部品の製造方法について説明する。図6(a)を参照に、セラミッック等からなる絶縁性基板10は、CuやAu等の金属からなる配線パターン12、内部配線14および外部接続端子16を有している。図6(b)を参照に、絶縁性基板10上に例えばエポキシ樹脂からなる感光性樹脂を塗布する。露光、現像することにより、所望の高さのパターン32を形成する。パターン32は例えばメッキ法を用い金属膜で形成することもできる。図6(c)を参照に、デバイスチップ20を動作領域22が下になるように絶縁性基板10上にバンプ28を用いフリップチップ実装する。このとき、パターン32の高さをバンプ28の高さより低くすることで、パターン32がフリップチップ実装の障害となることを抑制することができる。
【0026】
図7(a)を参照に、スプレー法を用いデバイスチップ20を覆うようにSOGを塗布する。加熱処理を行い、SOGをキュアする。これにより、SOGはSOG酸化膜30となる。以上により、デバイスチップ20と絶縁性基板10との間に空隙26を有するようにデバイスチップ20を封止することができる。SOGは、スピンコートで塗布することもできるが、凹凸の多い面にSOGを均一に塗布するためスプレー法を用いることが好ましい。加熱処理には、オーブン炉やランプアニールを用いることができる。しかし、加熱時に空隙26内の空気が膨張し、SOG酸化膜30を破壊させないため、ランプアニールを用いることが好ましい。図7(b)を参照に、SOG酸化膜30および絶縁性基板10をダイシング法を用い切断し、電子部品を個片化する。以上により、実施例1に係る電子部品が完成する。
【0027】
図8(a)および図8(b)は、それぞれ比較例1および実施例1に係るデバイスチップ20の端部周辺の断面図である。図8(a)を参照に、比較例1においては、パターン32の上面がデバイスチップ20の下面より高く形成されている。このため、パターン32は、デバイスチップ20の外側に形成される。一方、図8(b)を参照に、実施例1においては、デバイスチップ20の下面よりパターン32の上面が低いため、図5(b)のように、上視面において、パターン32とデバイスチップ20とは重なり部分を有するように配置することができる。
【0028】
比較例1においては、パターン32を設けることにより、図8(a)のようにパターン32の幅L2分、電子部品が大きくなる。一方、実施例2においては、パターン32とデバイスチップ20とを重なるように配置することにより、パターン32を設けることによる電子部品の大型化をパターン32の幅L2より小さいL1とすることができる。このように、実施例1においては、電子部品の小型化が可能となる。
【0029】
また、実施例1では、デバイスチップ20の下面とパターン32の上面とが高さH1離間していても、図7(a)のSOG塗布の際、SOGの表面張力により、SOGがデバイスチップ20下の空隙26内に流入することを抑制することができる。これにより、気密性の高い封止が可能となる。
【0030】
なお、パターン32の高さは例えば50μm、デバイスチップ20の絶縁性基板10の上面からの高さは例えば60μm、デバイスチップ20の下面とパターン32の上面との距離は例えば10μmとすることができる。
【0031】
以上のように、実施例1によれば、SOG酸化膜30を用い、デバイスチップ20を封止しているため、気密性を高めることができる。また、パターン32がデバイスチップ20の側面に沿って設けられているため、SOG酸化膜30を形成する際に、SOGがデバイスチップ20の動作領域22下に流入することを抑制することができる。さらに、図8(a)に示した比較例1に比べ、パターン32の上面とデバイスチップ20の下面とが離間しているため、電子部品を小型化することができる。
【実施例2】
【0032】
実施例2はデバイスチップ下面の外周縁に金属膜を有する例である。図9(a)は実施例2に係る電子部品の断面図であり、図9(b)は実施例1に係る電子部品の上面からデバイスチップ20、CuまたはAu等の金属膜24およびパターン32を透視した図である。図9(a)を参照に、パターン32の上面に対向するデバイスチップ20の下面の領域に金属膜24が設けられている。金属膜24は、下面がSOG酸化膜30で覆われている。図9(b)を参照に、金属膜24は、デバイスチップ20の外周縁に沿ってリング状に設けられている。デバイスチップ20の外周縁のうち一部には金属膜24が形成されていなくともよい。その他の構成は実施例1の図5(a)および図5(b)と同じであり説明を省略する。
【0033】
実施例2によれば、金属膜24はSOGの濡れ性がよいため、図7(a)においてSOGを塗布した際に、SOGが空隙26内に流れ込むことをより抑制することができる。
【実施例3】
【0034】
実施例3は絶縁性基板上に受動素子を有する例である。図10は実施例3に係る電子部品の断面図である。図10を参照に、デバイスチップ20の下面に対向する絶縁性基板10上に受動素子34が形成されている。受動素子34は、デバイスチップ20の下面と離間して設けられている。受動素子34としては、例えばCu等の金属から形成されたインダクタ、金属膜、絶縁膜および金属膜が積層し形成されたMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタ等を設けることができる。このように、受動素子34としてキャパシタおよびインダクタの少なくとも1つを設けることができる。
【0035】
デバイスチップ20と絶縁性基板10との間に受動素子34を形成することにより、電子部品を小型化することができる。しかしながら、空隙26の高さが大きくなるため、SOGが空隙26に流入しやすくなる。よって、パターン32を設けることが有効である。
【0036】
さらに、絶縁性基板10上に例えばCu等のメッキ金属からなる嵩上げ部38が設けられ、デバイスチップ20は、絶縁性基板10に嵩上げ部38を介しフリップチップ実装されていることが好ましい。これにより、空隙26の高さが大きい場合も、バンプ28の大きさを大きくすることなく、デバイスチップ20を絶縁性基板10にフリップチップ実装することができる。これにより、電子部品の小型化が可能となる。
【実施例4】
【0037】
実施例4は、前記SOG酸化膜を覆う被覆層を有する例である。図11は実施例4に係る電子部品の断面図である。図11を参照に、SOG酸化膜30を覆う樹脂からなる被覆層40が設けられている。その他の構成は実施例1の図5(a)と同じであり説明を省略する。被覆層40の形成方法は、図7(a)のSOG塗布後にシート状のポリイミドフィルムをSOG上に配置する。加熱処理することにより、被覆層40の硬化とSOGの硬化を行う。被覆層40は、片面配線のポリイミドフィルムを用いることもできる。ガラスエポキシ系フィルムを用いることもできる。
【0038】
図12は実施例4の変形例に係る電子部品の断面図である。図12を参照に、被覆層42としてコバール合金が用いられている。その他の構成は図11と同じであり説明を省略する。被覆層42の形成方法は、図7(a)のSOG塗布後にシート状のコバール合金フィルムをSOG上に配置する。熱圧着により、SOGを覆う被覆層42を形成する。加熱処理することにより、SOGの硬化を行う。被覆層42として金属材料を用いることもできる。また、被覆層42は、メッキ法により形成することもできる。
【0039】
実施例4およびその変形例によれば、SOGの加熱処理の際に、SOGを被覆層40または42が覆っている。これにより、SOG硬化の際に空隙26中の空気が膨張し、SOG酸化膜30が破壊されることを抑制することができる。
【実施例5】
【0040】
実施例5は、分波器の例である。図13(a)および図13(b)はそれぞれ実施例5および比較例5に係る電子部品の断面図である。図13(a)を参照に、絶縁性基板10上に複数のデバイスチップ20aおよび20bがフリップチップ実装されている。デバイスチップ20aは送信用フィルタチップであり、デバイスチップ20bは受信用フィルタチップである。隣接するデバイスチップ20aおよび20bの間の絶縁性基板10上にはCuからなる金属パターン50が設けられている。金属パターン50の上面はSOG酸化膜30が覆っている。金属パターン50は、隣接するデバイスチップ20間に沿って設けられている。金属パターン50は、配線パターン12、内部配線14および外部接続端子16を介し、固定電位に接続されている。その他の構成は、実施例1と同じであり説明を省略する。
【0041】
図13(b)を参照に、比較例5に係る電子部品においては、金属パターンの代わりに、パターン32と同じエポキシ樹脂からなる樹脂パターン52が形成されている。
【0042】
図14(a)は、実施例5および比較例5における送信用フィルタおよび受信フィルタの通過特性のシミュレーション結果である。図14(b)は、送信用フィルタと受信用フィルタのアイソレーション特性を示している。なお、送信用フィルタチップであるデバイスチップ20aとしてFBARフィルタ、受信用フィルタチップであるデバイスチップ20bとしてSAWフィルタを用いた。実施例5および比較例5における空隙の高さは約60μm、パターン32、金属パターン50および樹脂パターン52の高さは約50μm、デバイスチップ20aおよび20bの間隔L4は約75μm、金属パターン50または樹脂パターン52とデバイスチップ20aまたは20bとの重なりL3は約50μmである。金属パターン50は接地されている。
【0043】
図14(a)を参照に、実施例5では、送信帯域および低周波領域での抑圧特性が比較例5より向上している。図14(b)を参照に、実施例5では、送信帯域におけるアイソレーションが比較例5より向上している。
【0044】
SOG酸化膜30を用い複数のデバイスチップ20aおよび20bを封止する構造では、デバイスチップ20aおよび20b同士の電気的干渉により特性が劣化する。例えば、比較例5の例では、抑圧特性およびアイソレーション特性が劣化する。実施例5によれば、金属パターン50が隣接する複数のデバイスチップ20aおよび20bの間の絶縁性基板10上に配置されている。これにより、デバイスチップ20aおよび20b間の電気的干渉を抑制することができる。
【0045】
送信用フィルタおよび受信用フィルタはそれぞれSAWフィルタ、FBARフィルタのいずれでもよい。SAWフィルタを用いた場合は、デバイスチップ20はニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウム等の圧電基板であり、FBARフィルタの場合はデバイスチップ20はシリコン基板、酸化シリコン基板等である。
【0046】
図15(a)〜(c)は、実施例5とその変形例のデバイスチップ20aおよび20bの間付近の断面図である。図15(a)を参照に、金属パターン50は、金属パターン50の上面と複数のデバイスチップ20aおよび20bの下面に隙間を有するように設けられている。SOG酸化膜30は、金属パターン50の上面と複数のデバイスチップ20aおよび20bの下面との間の隙間に埋め込まれるように設けられている。これにより、金属パターン50の高さH2がデバイスチップ20aおよび20bの下面の高さH3より低いため、金属パターン50の幅L5をデバイスチップ20aおよび20bの隙間L4より広くすることができる。また、後述する図15(b)および図15(c)に比べ、デバイスチップ20aおよび20bのフリップチップ実装が容易となる。金属パターン50の高さH2を配線パターン12の高さH6より高くすることにより、デバイスチップ20aおよび20b間の電気的干渉をより抑制することができる。
【0047】
図15(b)を参照に、金属パターン50aの上面と複数のデバイスチップ20aおよび20bの下面とは接している。これにより、デバイスチップ20aおよび20b間の電気的干渉をより抑制することができる。
【0048】
図15(c)を参照に、金属パターン50bは複数のデバイスチップ20aおよび20bの下面より高く設けられている。これにより、デバイスチップ20aおよび20b間の電気的干渉をより抑制することができる。
【0049】
実施例1〜5において、デバイスチップ20としてSAWフィルタまたはFBARフィルタを例に説明したが、その他のチップを用いることができる。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は特許文献1および2に係る電子部品の断面図である。
【図2】図2は特許文献3に係る電子部品の断面図である。
【図3】図3は特許文献4に係る電子部品の断面図である。
【図4】図4は特許文献5に係る電子部品の断面図である。
【図5】図5(a)は、実施例1に係る電子部品の断面図、図5(b)は透視図である。
【図6】図6(a)から図6(c)は実施例1に係る電子部品の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図7】図7(a)および図7(b)は実施例1に係る電子部品の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図8】図8(a)は比較例1に係る電子部品の断面図、図8(b)は実施例1に係る電子部品の断面図である。
【図9】図9(a)実施例2に係る電子部品の断面図、図9(b)は透視図である。
【図10】図10は実施例3に係る電子部品の断面図である。
【図11】図11は実施例4に係る電子部品の断面図である。
【図12】図12は実施例4の変形例に係る電子部品の断面図である。
【図13】図13(a)は実施例5に係る電子部品の断面図、図13(b)は比較例5に係る電子部品の断面図である。
【図14】図14(a)は通過特性、図14(b)はアイソレーション特性を示す図である。
【図15】図15(a)から図15(c)は実施例5およびその変形例に係る電子部品の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 絶縁性基板
20 デバイスチップ
22 動作領域
24 金属膜
26 空隙
30 SOG酸化膜
32 パターン
34 受動素子
38 嵩上げ部
40、42 被覆層
50 金属パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上にフリップチップ実装されたデバイスチップと、
パターンの上面と前記デバイスチップの下面との間に隙間を有するように前記デバイスチップの側面に沿って前記絶縁性基板上に設けられた前記パターンと、
前記パターンの上面と前記デバイスチップの下面との間の隙間に埋め込まれ、かつ前記絶縁性基板の上面と前記デバイスチップの下面との間に空隙が形成されるように、前記デバイスチップおよび前記パターンの側面を覆うSOG酸化膜と、
を具備することを特徴とする電子部品。
【請求項2】
上視面において、前記パターンと前記デバイスチップとは重なり部分を有することを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記SOG酸化膜を覆う被覆層を具備することを特徴とする請求項1または2記載の電子部品。
【請求項4】
前記パターンの上面に対向する前記デバイスチップの下面の領域に設けられ、下面が前記SOG酸化膜で覆われた金属膜を具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項5】
前記デバイスチップの下面に対向する前記絶縁性基板の領域上に、前記デバイスチップの下面と離間して設けられた受動素子を具備することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項6】
前記デバイスチップは、前記絶縁基板上に設けられた嵩上げ部を介しフリップチップ実装されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項7】
前記デバイスチップは互いに隣接する複数のデバイスチップを含み、
前記複数のデバイスチップの間の前記絶縁性基板上に金属パターンを具備することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項8】
前記金属パターンは、前記金属パターンの上面と前記複数のデバイスチップの下面との間に隙間を有するように設けられ、
前記SOG酸化膜は、前記金属パターンの上面と前記複数のデバイスチップの下面との間の隙間に埋め込まれるように設けられていることを特徴とする請求項7記載の電子部品。
【請求項9】
前記金属パターンの上面と前記複数のデバイスチップの下面とは接していることを特徴とする請求項7記載の電子部品。
【請求項10】
前記金属パターンは前記複数のデバイスチップの下面より高く設けられていることを特徴とする請求項7記載の電子部品。
【請求項11】
前記金属パターンは、所定の固定電位に接続されていることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項12】
前記デバイスチップは、SAWフィルタまたはFBARフィルタであることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−295625(P2009−295625A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144813(P2008−144813)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(398067270)富士通メディアデバイス株式会社 (198)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】