説明

電気光学装置、電子機器、および実装構造体

【課題】 ICが直接あるいは可撓性基板を介して実装された基板に割れが発生しているか否かを容易に診断可能な実装構造体、この実装構造体を備えた電気光学装置、およびこの電気光学装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】 電気光学装置1aにおいて、素子基板10に基板割れが発生せず、基板割れ診断用導電パターン83が切断していない場合には、診断部58からバンプ55に出力された信号は、そのまま、パッド45、基板割れ診断用導電パターン83、パッド46、バンプ56を経由して診断部58に入力される。これに対して、素子基板10に基板割れが発生し、基板割れ診断用導電パターン83が切断している場合には、診断部58からバンプ55に出力された信号は、バンプ56から診断部58に入力されないことになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、この電気光学装置を備えた電子機器、実装体が被実装体に実装された実装構造体に関するものである。さらに詳しくは、電気光学装置および実装構造体に対する診断技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型液晶装置などの電気光学装置は、電気光学物質を保持する電気光学装置用基板に駆動用ICおよび可撓性基板が実装された実装構造体として構成されており、駆動用ICから出力された信号、あるいは駆動用ICから出力された信号に基づいて生成された信号で各画素を駆動している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、電気光学装置用基板あるいは可撓性基板には駆動用ICの他に、電源IC、EPROM、バックライト用のLED駆動用ICなどが実装されることもあるが、これらのICのいずれかに不具合が発生しても、その原因追求には多大な手間がかかる。そこで、IC内に自己診断機能を付加することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−57677号公報
【特許文献2】特開平5−315418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電気光学装置などにおいて、電気光学装置用基板はガラス基板などの剛性基板により構成されており、このような基板に割れが発生すると、各種信号線が切断してしまい、表示に不具合が発生する。しかしながら、このような接続不良は、特許文献2に記載の技術のようにICに自己診断機能を内蔵させても発見することができないという問題点がある。
【0005】
また、電気光学装置用基板あるいは可撓性基板に複数のICが実装されている場合、複数のICの各々に自己診断機能を内蔵させると、複数のICの各々から自己診断結果を出力させる必要があり、回路構成が著しく複雑になってしまうという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ICが直接あるいは配線基板を介して実装された基板に割れが発生しているか否かを容易に診断可能な電気光学装置、この電気光学装置を備えた電子機器、および実装構造体を提供することにある。
【0007】
次に本発明の課題は、複数のICが実装されている場合でも、簡素な構成で複数のICの診断を容易に行うことのできる電気光学装置、この電気光学装置を備えた電子機器、および実装構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、電気光学物質を保持する第1の基板と、複数の第1の端子を備えた第1のICとを備え、前記第1の基板には、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線が形成されているとともに、前記第1のICが実装されている電気光学装置において、前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、第1の基板に割れが発生し、基板割れ診断用導電パターンが切断した場合には、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない状態となる。従って、基板割れ診断手段は、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続している場合には基板割れが発生していないと診断でき、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない場合には基板割れが発生したと診断でき、その診断結果を基板割れ診断結果出力手段によって出力できる。従って、電気光学装置に不具合が発生したとき、その原因が第1の基板の基板割れにあるか否かを容易に判断できる。
【0010】
本発明の別の形態では、電気光学物質を保持する第1の基板と、複数の第1の端子を備え、第1のICが実装された配線基板とを備え、前記第1の基板には、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線が形成されているとともに、前記配線基板が実装されている電気光学装置において、前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、第1の基板に割れが発生し、基板割れ診断用導電パターンが切断した場合には、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない状態となる。従って、基板割れ診断手段は、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続している場合には基板割れが発生していないと診断でき、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない場合には基板割れが発生したと診断でき、その診断結果を基板割れ診断結果出力手段によって出力できる。従って、電気光学装置に不具合が発生したとき、その原因が第1の基板の基板割れにあるか否かを容易に判断できる。
【0012】
本発明において、前記配線基板は、例えば可撓性基板であり、前記第1の基板は、例えば剛性基板である。
【0013】
本発明において、電気光学装置が液晶装置などである場合、前記第1の基板に前記電気光学物質を挟んで対向する第2の基板を備えている。
【0014】
この場合、前記第1および第2の基板はそれぞれ基板間導通端子を備え、基板間導電材を挟んで貼り合わされていることにより、双方の前記基板間導通端子同士が電気的に接続されており、当該第1および第2の基板のうち、第1の基板のみに前記第2の基板割れ診断用端子対が形成され、前記基板割れ診断用導電パターンは、前記第1および第2の基板の双方に形成されているとともに、前記第1および第2の基板に形成された基板割れ診断用導電パターン同士は、前記第2の基板割れ診断用端子対の間で直列に電気的接続するように前記基板間導電材および前記基板間導通端子によって基板間導通していることが好ましい。このように構成すると、貼り合せた2枚の基板の双方について基板割れの有無を診断できる。
【0015】
本発明において、前記第1の基板あるいは前記第2の基板には、1つないし2つ以上の第2のICが実装され、前記第1のICには、前記第2のICから当該第2のICが正常に動作可能か否かに係わる情報が入力されるとともに、当該第1のICからは、前記情報あるいは当該情報に基づく前記第2のICの診断結果が出力されることが好ましい。このように構成すると、複数のICが実装されている場合でも、複数のICの各々に自己診断機能を内蔵させる必要がなく、複数のICの各々から自己診断結果を出力させる必要がない。それ故、簡素な回路構成で複数のICに対する診断を行うことができる。
【0016】
本発明において、前記複数の配線には、例えば、前記ICから出力された信号が印加される。
【0017】
本発明を適用した電気光学装置は、モバイルコンピュータや携帯電話機などといった携帯用電子機器や、直視型表示装置や投射型表示装置などといった電子機器に用いられる。
【0018】
本発明は、電気光学装置の他、各種の実装構造体に適用できる。すなわち、本発明では、複数の第1の端子を備えた第1のICと、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線を備え、前記第1のICが実装された第1の基板とを有する実装構造体において、前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明では、第1の基板に割れが発生し、基板割れ診断用導電パターンが切断した場合には、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない状態となる。従って、基板割れ診断手段は、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続している場合には基板割れが発生していないと診断でき、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない場合には基板割れが発生したと診断でき、その診断結果を基板割れ診断結果出力手段によって出力できる。従って、実装構造体に不具合が発生したとき、その原因が第1の基板の基板割れにあるか否かを容易に判断できる。
【0020】
本発明の別の形態では、複数の第1の端子を備え、第1のICが実装された配線基板と、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線を備え、前記配線基板が実装された第1の基板とを有する実装構造体において、前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明では、第1の基板に割れが発生し、基板割れ診断用導電パターンが切断した場合には、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない状態となる。従って、基板割れ診断手段は、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続している場合には基板割れが発生していないと診断でき、第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続していない場合には基板割れが発生したと診断でき、その診断結果を基板割れ診断結果出力手段によって出力できる。従って、実装構造体に不具合が発生したとき、その原因が第1の基板の基板割れにあるか否かを容易に判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
[実施の形態1]
(電気光学装置の全体構成)
図1は、電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。図2(A)、(B)は、本発明を適用した電気光学装置を対向基板の側からみた概略斜視図、およびこの電気光学装置を画素電極を通る部分でY方向に切断したときの断面図である。
【0024】
図1に示す電気光学装置1aは、画素スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode/薄膜ダイオード素子)を用いたアクティブマトリクス型液晶装置であり、交差する2方向をX方向およびY方向としたとき、画像表示領域2では、複数の走査線51aがX方向(行方向)に延び、複数のデータ線52aがY方向(列方向)に延びている。電気光学装置1aの画像表示領域2には、走査線51aとデータ線52aとの各交差点に対応する各位置には画素53aが形成され、多数の画素53aがマトリクス状に配列されている。これらの画素53aでは、液晶層54aと、画素スイッチング用のTFD素子56aとが直列に接続されている。各走査線51aは走査線駆動回路57aによって駆動され、各データ線52aはデータ線駆動回路58aによって駆動される。
【0025】
このような電気光学装置1aを構成するにあたっては、図2(A)、(B)に示すように、素子基板10(電気光学装置用基板/第1の基板)と対向基板20(電気光学装置用基板/第2の基板)とをシール材30によって貼り合わせるとともに、両基板とシール材30とによって囲まれた領域内に電気光学物質としての液晶19を封入する。シール材30は、対向基板20の外周縁に沿って略長方形の枠状に形成されるが、液晶19を封入するために一部が開口している。このため、液晶19の封入後にその開口部分が封止材31によって封止される。
【0026】
素子基板10および対向基板20は、ガラスや石英などの光透過性を有する板状部材である。素子基板10の内側(液晶19の側)表面には、上述した複数のデータ線52a、画素スイッチング用のTFD素子(図示せず)、画素電極34a、および配向膜(図示せず)などが形成される。一方、対向基板20の内側の面上には複数の走査線51aが形成され、走査線51aの表面側に配向膜(図示せず)が形成されている。
【0027】
なお、実際には、素子基板10および対向基板20の外側の表面に、入射光を偏光させるための偏光板や、干渉色を補償するための位相差板などが適宜、貼着される。また、カラー表示を行う場合には、対向基板20に対して、画素電極34aと対向する領域に、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のカラーフィルタ(図示せず)が所定の配列で形成され、画素電極34aに対向しない領域にはブラックマトリクス(図示せず)が形成される。さらに、カラーフィルタおよびブラックマトリクスを形成した表面には、その平坦化および保護のために平坦化層がコーティングされ、この平坦化層の表面に走査線51aが形成されるが、本発明とは直接の関係がないため、それらの図示および説明を省略する。
【0028】
本形態の電気光学装置1aでは、素子基板10と対向基板20とをシール材30によって貼り合わせた状態で、素子基板10は、シール材30の外周縁から一方の側に張り出した張り出し領域10aを有しており、この張り出し領域10aには、データ線52aと一体の配線パターン8、および基板間導通を介して走査線51aに電気的に接続する配線パターン8が延びている。基板間導通を行うにあたっては、シール材30として、導電性を有する多数の導通粒子が分散された樹脂が用いられている。ここで、導通粒子は、例えば金属のメッキが施されたプラスチックの粒子や、導電性を有する樹脂の粒子であり、素子基板10および対向基板20の各々に形成された基板間導通端子同士(配線パターンの端部同士)を導通させる機能を備えている。このため、本形態では、素子基板10のみに対して、データ線52aに対して画像信号を出力するとともに、走査線51aに走査信号を出力する駆動用IC5(第1のIC)がCOG実装され、可撓性基板7(配線基板)が接続されている。すなわち、素子基板の張り出し領域10aにIC実装領域50が形成され、このIC実装領域50に対して駆動用IC5が実装されている。また、素子基板10の張り出し領域10aにおいて、IC実装領域50よりもさらに基板縁11の側には、基板接続領域70が形成され、この基板接続領域70に可撓性基板7が接続されている。なお、可撓性基板7には、電源IC、EPROM、バックライト用のLED駆動用ICなどの付加機能用IC6(第2のIC)が複数、実装されている。また、可撓性基板7には、電子機器本体との接続を行うためのコネクタ9も実装されている。
【0029】
(接続状態診断機能の構成)
図3および図4はそれぞれ、本発明を適用した電気光学装置の各構成要素のうち、自己診断のための構成を抜き出して示す説明図である。
【0030】
図3および図4において、電気光学装置1aでは、駆動用IC5は、複数のバンプ(第1の端子)を備える一方、素子基板10は、IC実装領域に多数のパッド(第2の端子)を備えており、駆動用IC5の各バンプが各々、素子基板10の各パッドに異方性導電材を介しての圧着などの方法で接続される。
【0031】
本形態では、駆動用IC5の複数のバンプのうち、その能動面(端子形成面)の両端部に位置するバンプ51、52、53、54は、駆動用ICのバンプと素子基板10のバッドとの接続状態を診断するためのバンプであり、バンプ51とバンプ52とは第1の接続状態診断用端子対を形成し、バンプ53とバンプ54も第1の接続状態診断用端子対を形成している。
【0032】
これに対して、素子基板10に形成されている複数のパッドのうち、バンプ51およびバンプ52からなる第1の接続状態診断用端子対が接続されるパッド41、42は、第2の接続状態診断用端子対として構成され、バンプ53およびバンプ54からなる第1の接続状態診断用端子対が接続されるパッド43、44も、第2の接続状態診断用端子対として構成されている。また、パッド41、42同士は、素子基板10に形成された接続状態診断用導電パターン81で接続され、パッド43、44同士は、素子基板10に形成された接続状態診断用導電パターン82で接続されている。このような接続状態診断用導電パターン81、82は、データ線52aと同時形成されたものである。
【0033】
駆動用IC5には、診断部58が形成されており、この診断部58は、接続状態診断手段として、バンプ52、54に所定の信号を出力するとともに、バンプ51、53からの信号が入力される。従って、バンプ51とパッド41との間、およびバンプ52とパッド42との間の双方で接続状態(圧着状態)が良好であれば、診断部58からバンプ52に出力された信号は、そのまま、パッド42、接続状態診断用導電パターン81、パッド41、バンプ51を経由して診断部58に入力される。これに対して、バンプ51とパッド41との間、あるいはバンプ52とパッド42との間のいずれかに接続不良が発生していれば、診断部58からバンプ52に出力された信号は、バンプ51から診断部58に入力されないことになる。同様に、バンプ53とパッド43との間、およびバンプ54とパッド44との間の双方で接続状態が良好であれば、診断部58からバンプ54に出力された信号は、そのまま、パッド44、接続状態診断用導電パターン82、パッド43、バンプ53を経由して診断部58に入力される。これに対して、バンプ53とパッド43との間、あるいは、バンプ54とパッド44との間のいずれかに接続不良が発生していれば、診断部58からバンプ54に出力された信号は、バンプ53から診断部58に入力されないことになる。
【0034】
従って、診断部58は、バンプとパッドとの接続状態を診断することができ、その診断結果については、診断結果出力部59が接続状態診断結果出力手段として可撓性基板7のコネクタ9を介して外部に出力することができる。また、診断部58は、バンプとパッドとの接続状態の診断結果をデータ線52aに出力して、画像表示領域2に表示することもできる。それ故、電気光学装置1aに不具合が発生したとき、その原因が素子基板10に対する駆動用IC5の実装にあるか否かを容易に判断できる。
【0035】
また、本形態において、駆動用IC5は、その能動面の両端部の各々に第1の接続状態診断用端子としてのバンプ51、52、53、54を備えているため、素子基板10に対する駆動用IC5の実装状態を確実に診断できる。すなわち、駆動用IC5を実装した場合、その両端部で不具合が発生しやすいので、この両端部に第1の接続状態診断用端子対(バンプ51、52、53、54)を配置すれば、素子基板10に対する駆動用IC5の実装状態を確実に診断できる。
【0036】
なお、このような接続状態の診断結果は、所定のランプを点灯させるなどの方法で報知できる。また、接続状態の診断は、ユーザの指示(操作)により開始する構成の他、定期的に自己診断を自動的に開始する構成を採用することができる。
【0037】
(基板割れ診断機能の構成)
本形態の電気光学装置1aでは、素子基板10としてガラス基板が用いられ、製造途中、あるいは製造後、外部からの衝撃で素子基板10が割れることがある。そこで、本形態では、以下に説明するように、素子基板10に割れが発生したか否かを自己診断できるように構成してある。
【0038】
すなわち、本形態の電気光学装置1aでは、まず、駆動用IC5の複数のバンプのうち、その能動面(端子形成面)の両端部に位置するバンプ55、56は、素子基板10の割れを診断するためのバンプであり、バンプ55とバンプ56とは第1の基板割れ診断用端子対を形成している。
【0039】
これに対して、素子基板10に形成されている複数のパッドのうち、バンプ55およびバンプ56からなる第1の基板割れ診断用端子対が接続されるパッド45、46は、第2の基板割れ診断用端子対として構成されている。また、パッド45、46同士は、素子基板10の外周縁に沿って形成された細い基板割れ診断用導電パターン83で接続されている。このような基板割れ診断用導電パターン83は、データ線52aと同時形成されたものである。
【0040】
また、駆動用IC5の診断部58は、基板割れ診断手段として、バンプ55に所定の信号を出力するとともに、バンプ56からの信号が入力されるようになっている。従って、素子基板10に基板割れが発生せず、基板割れ診断用導電パターン83が切断していない場合には、診断部58からバンプ55に出力された信号は、そのまま、パッド45、基板割れ診断用導電パターン83、パッド46、バンプ56を経由して診断部58に入力される。これに対して、素子基板10に基板割れが発生し、基板割れ診断用導電パターン83が切断している場合には、診断部58からバンプ55に出力された信号は、バンプ56から診断部58に入力されないことになる。
【0041】
従って、診断部58は、基板割れ診断用導電パターン83が切断しているか否かに基づいて、素子基板10に割れがあるか否かを診断することができ、その診断結果については、診断結果出力部59が基板割れ診断結果出力手段として可撓性基板7のコネクタ9を介して外部に出力することができる。また、診断部58は、基板割れの診断結果をデータ線52aに出力して、画像表示領域2に表示することもできる。それ故、電気光学装置1aに不具合が発生したとき、その原因が素子基板10の割れに起因するデータ線52aや走査線51aの断線であるか否かを容易に判断できる。
【0042】
なお、このような基板割れの診断結果は、所定のランプを点灯させるなどの方法で報知できる。また、基板割れの診断は、ユーザの指示(操作)により開始する構成の他、定期的に自己診断を自動的に開始する構成を採用することができる。
【0043】
(ICの自己診断機能の構成)
本形態の電気光学装置1aでは、素子基板10に駆動用IC5が実装され、可撓性基板7には、電源IC、EPROM、バックライト用のLED駆動用ICなどの付加機能用IC6が複数、実装されている。
【0044】
ここで、駆動用IC5には診断部58が構成され、診断結果出力部59も構成されている。そこで、本形態では、外部から可撓性基板7のコネクタ9を介して駆動用IC5にICの診断を行う旨の指令があったとき、駆動用IC5の診断部58は、各付加機能用IC6に対して、現在の動作状態、これまでの動作履歴など、各付加機能用IC6が正常に動作可能か否かに係わる情報を駆動用IC5に出力せよとの指令信号を出力する。その結果、付加機能用IC6は、それらの信号を駆動用IC5に出力し、駆動用IC5の診断部58は、その情報、あるいはこれらの情報に基づく付加機能用IC6の診断結果、および駆動用IC5自身の現在の動作状態、これまでの動作履歴など、正常に動作可能か否かに係わる情報、あるいはこれらの情報に基づく駆動用IC5自身の診断結果を診断結果出力部59から可撓性基板7のコネクタ9を介して外部に出力することができる。また、診断部58は、付加機能用IC6に関する情報をデータ線52aに出力して、画像表示領域2に表示することもできる。それ故、電気光学装置1aに不具合が発生したとき、その原因が付加機能用IC6にあるか否かを容易に判断できる。
【0045】
また、複数の付加機能用IC6が実装されている場合でも、複数の付加機能用IC6の各々に自己診断機能を内蔵させる必要がなく、かつ、複数の付加機能用IC6の各々に診断結果を出力させる必要がない。それ故、簡素な回路構成で複数のIC5、6に対する診断を行うことができる。なお、外部と駆動用IC5の信号伝達は、従来から形成されているデータバスなどをそのまま利用でき、かつ、駆動用IC5と付加機能用IC6との信号伝達は、従来から形成されている信号線などをそのまま利用できるので、大幅が設計変更を必要としないという利点もある。
【0046】
なお、ICの自己診断結果は、所定のランプを点灯させるなどの方法で報知できる。また、ICの自己診断は、ユーザの指示(操作)により開始する構成の他、定期的に自己診断を自動的に開始する構成を採用することができる。
【0047】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の各構成要素のうち、自己診断のための構成を抜き出して示す説明図である。なお、本形態の電気光学装置は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する機能を有する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0048】
図5に示す電気光学装置1aでは、実施の形態1で説明したように、第1の基板としての素子基板10と、第2の基板としての対向基板20が基板間導電材を挟んで貼り合わされていることにより、双方の基板間導通端子同士が電気的に接続されている。本形態では、素子基板10および対向基板20のうち、素子基板10のみに、駆動用IC5および可撓性基板7が実装され、かつ、第2の基板割れ診断用端子対としてのパッド45、46が形成されているが、対向基板20の割れも検出可能に構成してある。
【0049】
すなわち、素子基板10には、まず、第2の基板割れ診断用端子対としてのパッド45、46が隣接する位置に形成されている。
また、素子基板10には、その外周縁に沿って基板割れ診断用導電パターン83が形成されており、その一方の端部はパッド45に接続され、他方の端部は基板間導通端子84になっている。また、素子基板10には、中継用の基板割れ診断用導電パターン89が形成されており、その一方の端部はパッド46に接続され、他方の端部は基板間導通端子85になっている。
【0050】
これに対して、対向基板20にも、その外周縁に沿って基板割れ診断用導電パターン86が形成されている。ここで、基板割れ診断用導電パターン86の一方の端部は、素子基板10の基板間導通端子84と重なる位置で基板間導通端子87になっており、他方の端部は、素子基板10の基板間導通端子85と重なる位置で基板間導通端子88になっている。
【0051】
従って、素子基板10と対向基板20を基板間導電材を挟んで貼り合わせたとき、対向基板20の基板間導通端子87、88はそれぞれ、素子基板10の基板間導通端子84、85と電気的に接続する。その結果、基板割れ診断用導電パターン83、86同士は、第2の基板割れ診断用端子対としてのパッド45、46の間で直列に電気的接続することになる。
【0052】
それ故、実施の形態1で説明したように、駆動用IC5の診断部58が、基板割れ診断手段として、バンプ55に所定の信号を出力した際、素子基板10および対向基板20に基板割れが発生せず、基板割れ診断用導電パターン83、86のいずれにも切断が発生していない場合には、診断部58からバンプ55に出力された信号は、そのまま、パッド45、基板割れ診断用導電パターン83、基板間導通端子84、87、基板割れ診断用導電パターン86、基板間導通端子88、85、基板割れ診断用導電パターン89、パッド46、バンプ56を経由して診断部58に入力される。これに対して、素子基板10あるいは対向基板20に基板割れが発生し、基板割れ診断用導電パターン83、86のいずれかに切断が発生している場合には、診断部58からバンプ55に出力された信号は、バンプ56から診断部58に入力されないことになる。従って、診断部58は、基板割れ診断用導電パターン83、86が切断しているか否かに基づいて、素子基板10または対向基板20に割れがあるか否かを診断することができ、その診断結果については、診断結果出力部59が基板割れ診断結果出力手段として可撓性基板7のコネクタ9を介して外部に出力することができる。また、診断部58は、基板割れの診断結果をデータ線52aに出力して、画像表示領域2に表示することもできる。それ故、電気光学装置1aに不具合が発生したとき、その原因が素子基板10あるいは対向基板20の割れに起因するデータ線52aや走査線51aの断線であるか否かを容易に判断できる。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
[実施の形態3]
図6は、本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の各構成要素のうち、自己診断のための構成を抜き出して示す説明図である。なお、実施の形態1、2は、駆動用IC5が素子基板10にCOG実装されている例であったが、本形態では、駆動用IC5が可撓性基板7にCOF実装されている例である。但し、本形態の電気光学装置は、基本的な構成が実施の形態1と同様であるため、共通する機能を有する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0054】
図6に示すように、本形態の電気光学装置1aでは、駆動用IC5(第1のIC)、付加機能用IC6(第2のIC)、コネクタ9が実装された可撓性基板7(配線基板)が素子基板10(第1の基板)に実装されている。従って、可撓性基板7には、素子基板10との実装用の端子(第1の端子)が複数形成され、素子基板10の基板接続領域70には、可撓性基板7との接続用のパッド(第2の端子)が多数形成されている。
【0055】
本形態では、可撓性基板7の複数のバンプのうち、両端側に位置する端子71、72、73、74は、可撓性基板7の端子と素子基板10のバッドとの接続状態を診断するための端子であり、端子71と端子72とは第1の接続状態診断用端子対を形成し、端子73と端子74も第1の接続状態診断用端子対を形成している。
【0056】
これに対して、素子基板10に形成されている複数のパッドのうち、端子71および端子72からなる第1の接続状態診断用端子対が接続されるパッド41′、42′は、第2の接続状態診断用端子対として構成され、端子73および端子74からなる第1の接続状態診断用端子対が接続されるパッド43′、44′も、第2の接続状態診断用端子対として構成されている。また、パッド41′、42′同士は、素子基板10に形成された接続状態診断用導電パターン81′で接続され、パッド43′、44′同士は、素子基板10に形成された接続状態診断用導電パターン82′で接続されている。このような接続状態診断用導電パターン81′、82′は、データ線52aと同時形成されたものである。
【0057】
なお、駆動用IC5には、実施の形態1と同様、診断部58が形成されており、この診断部58は、接続状態診断手段として、端子72、74に所定の信号を出力するとともに、端子71、73からの信号が入力される。従って、端子71とパッド41′との間、および端子72とパッド42′との間の双方で接続状態が良好であれば、診断部58から端子72に出力された信号は、そのまま、パッド42′、接続状態診断用導電パターン81′、パッド41′、端子71を経由して診断部58に入力される。これに対して、端子71とパッド41′との間、あるいは、端子72とパッド42′との間のいずれかに接続不良が発生していれば、診断部58から端子52′に出力された信号は、端子71から診断部58に入力されないことになる。同様に、端子73とパッド43′との間、および端子74とパッド44′との間の双方で接続状態が良好であれば、診断部58から端子74に出力された信号は、そのまま、パッド44′、接続状態診断用導電パターン82′、パッド43′、端子73を経由して診断部58に入力される。これに対して、端子73とパッド43′との間、あるいは、端子74とパッド44′との間のいずれかに接続不良が発生していれば、診断部58から端子74に出力された信号は、端子73から診断部58に入力されないことになる。
【0058】
従って、診断部58は、端子とパッドとの接続状態を診断することができ、その診断結果については、診断結果出力部59が接続状態診断結果出力手段として可撓性基板7のコネクタ9を介して外部に出力することができる。また、診断部58は、端子とパッドとの接続状態の診断結果をデータ線52aに出力して、画像表示領域2に表示することもできる。それ故、電気光学装置1aに不具合が発生したとき、その原因が素子基板10に対する可撓性基板7の実装にあるか否かを容易に判断できる。なお、可撓性基板7に対する端子71、72、73、74(第1の接続状態診断用端子対)の形成位置については両端に限らず、圧着方法によっては、長さ方向の中央領域などに形成してもよい。
【0059】
このように構成した電気光学装置1aにおいても、素子基板10に割れが発生したか否かを自己診断できるように構成してある。すなわち、本形態の電気光学装置1aでは、まず、可撓性基板7の複数の端子のうち、両端部に位置する端子75、76は、素子基板10の割れを診断するためのバンプであり、端子75と端子76とは第1の基板割れ診断用端子対を形成している。
【0060】
これに対して、素子基板10に形成されている複数のパッドのうち、端子75および端子76からなる第1の基板割れ診断用端子対が接続されるパッド45′、46′は、第2の基板割れ診断用端子対として構成されている。また、パッド45′、46′同士は、素子基板10の外周縁に沿って形成された細い基板割れ診断用導電パターン83で接続されている。このような基板割れ診断用導電パターン83は、データ線52aと同時形成されたものである。
【0061】
また、実施の形態1と同様、駆動用IC5の診断部58は、基板割れ診断手段として、端子75に所定の信号を出力するとともに、端子76からの信号が入力されるようになっている。従って、素子基板10に基板割れが発生せず、基板割れ診断用導電パターン83が切断していない場合には、診断部58から端子75に出力された信号は、そのまま、パッド45′、基板割れ診断用導電パターン83′、パッド46′、端子76を経由して診断部58に入力される。これに対して、素子基板10に基板割れが発生し、基板割れ診断用導電パターン83が切断している場合には、診断部58から端子75に出力された信号は、端子76から診断部58に入力されないことになる。
【0062】
従って、診断部58は、基板割れ診断用導電パターン83が切断しているか否かに基づいて、素子基板10に割れがあるか否かを診断することができ、その診断結果については、診断結果出力部59が基板割れ診断結果出力手段として可撓性基板7のコネクタ9を介して外部に出力することができる。また、診断部58は、基板割れの診断結果をデータ線52aに出力して、画像表示領域2に表示することもできる。それ故、電気光学装置1aに不具合が発生したとき、その原因が素子基板10の割れに起因するデータ線52aや走査線51aの断線であるか否かを容易に判断できる。
【0063】
なお、本形態の電気光学装置1aでも、ICの自己診断機能については実施の形態1と同様に構成することができる。
【0064】
[その他の実施の形態]
実施の形態1では、素子基板10および対向基板20のうちの一方のみに駆動用IC5および可撓性基板7が接続されている構成であったが、素子基板10および対向基板20の双方に駆動用ICおよび可撓性基板が接続される場合があり、このような場合には、素子基板10および対向基板20の双方に本発明を適用してもよい。
【0065】
また、上記形態は、アクティブマトリクス型液晶装置に本発明を適用した例であるが、パッシブマトリクス型液晶装置に本発明を適用してもよい。また、上記形態は、透過型のアクティブマトリクス型液晶装置に本発明を適用した例であるが、反射型あるいは半透過反射型のアクティブマトリクス型液晶装置に本発明を適用してもよい。さらに、図7および図8を参照して以下に示す電気光学装置に本発明を適用してもよい。
【0066】
図7は、画素スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型液晶装置からなる電気光学装置の構成を模式的に示すブロック図である。図8は、電気光学物質として電荷注入型の有機薄膜を用いたエレクトロルミネッセンス素子を備えたアクティブマトリクス型電気光学装置のブロック図である。
【0067】
図7に示すように、画素スイッチング素子としてTFTを用いたアクティブマトリクス型液晶装置からなる電気光学装置100bでは、マトリクス状に形成された複数の画素の各々に、画素電極109bを制御するための画素スイッチング用のTFT130bが形成されており、画像信号を供給するデータ線106bが当該TFT130bのソースに電気的に接続されている。データ線106bに書き込む画像信号は、データ線駆動回路102bから供給される。また、TFT130bのゲートには走査線131bが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線131bにパルス的に走査信号が走査線駆動回路103bから供給される。画素電極109bは、TFT130bのドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT130bを一定期間だけそのオン状態とすることにより、データ線106bから供給される画像信号を各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極109bを介して液晶に書き込まれた所定レベルのサブ画像信号は、対向基板(図省略)に形成された対向電極との間で一定期間保持される。ここで、保持されたサブ画像信号がリークするのを防ぐことを目的に、画素電極109bと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量170b(キャパシタ)を付加することがある。この蓄積容量170bによって、画素電極109bの電圧は、例えば、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い表示を行うことのできる電気光学装置が実現できる。なお、蓄積容量170bを形成する方法としては、容量を形成するための配線である容量線132bとの間に形成する場合、あるいは前段の走査線131bとの間に形成する場合もずれであってもよい。
【0068】
このような構成の液晶装置でも、データ線駆動回路102bあるいは走査線駆動回路103bの全体あるいは一部が電気光学装置用基板にCOG実装あるいはCOF実装されたICに内蔵される場合がある。従って、このようなICの実装に本発明を適用してもよい。また、このような液晶装置でも、ガラス基板などに各構成要素が構成されるので、本発明に係る基板割れ診断のための構成を適用してもよい。
【0069】
図8に示すように、電荷注入型有機薄膜を用いたエレクトロルミネッセンス素子を備えたアクティブマトリクス型電気光学装置100pは、有機半導体膜に駆動電流が流れることによって発光するEL(エレクトロルミネッセンス)素子、またはLED(発光ダイオード)素子などの発光素子をTFTで駆動制御するアクティブマトリクス型の表示装置であり、このタイプの表示装置に用いられる発光素子はいずれも自己発光するため、バックライトを必要とせず、また、視野角依存性が少ないなどの利点がある。
【0070】
ここに示す電気光学装置100pでは、複数の走査線103pと、この走査線103pの延設方向に対して交差する方向に延設された複数のデータ線106pと、これらのデータ線106pに並列する複数の共通給電線123pと、データ線106pと走査線103pとの交差点に対応する画素115pとが構成されている。データ線106pに対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路101pが構成されている。走査線103pに対しては、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査線駆動回路104pが構成されている。また、画素115pの各々には、走査線103pを介して走査信号がゲート電極に供給される第1のTFT131pと、この第1のTFT131pを介してデータ線106pから供給される画像信号を保持する保持容量133pと、この保持容量133pによって保持された画像信号がゲート電極に供給される第2のTFT132pと、第2のTFT132pを介して共通給電線123pに電気的に接続したときに共通給電線123pから駆動電流が流れ込む発光素子140pとが構成されている。発光素子140pは、画素電極の上層側には、正孔注入層、有機エレクトロルミネッセンス材料層としての有機半導体膜、リチウム含有アルミニウム、カルシウムなどの金属膜からなる対向電極が積層された構成になっており、対向電極は、データ線106pなどを跨いで複数の画素115pにわたって形成されている。
【0071】
このような構成のエレクトロルミネッセンス型電気光学装置においても、データ線駆動回路101pあるいは走査線駆動回路104pの全体あるいは一部が電気光学装置用基板にCOG実装あるいはCOF実装されたICに内蔵される場合がある。従って、このようなICの実装に本発明を適用してもよい。また、このようなエレクトロルミネッセンス型電気光学装置でも、ガラス基板などに各構成要素が構成されるので、本発明に係る基板割れ診断のための構成を適用してもよい。
【0072】
また、上述した実施形態以外にも、電気光学装置として、プラズマディスプレイ装置、FED(フィールドエミッションディスプレイ)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管、液晶シャッター等を用いた小型テレビ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた装置などの各種の電気光学装置に適用できる。
【0073】
上記の電気光学装置は、モバイルコンピュータや携帯電話機などといった携帯用電子機器や、直視型表示装置や投射型表示装置などといった電子機器に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】画素スイッチング素子としてTFD素子を用いたアクティブマトリクス型液晶装置からなる電気光学装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】(A)、(B)は、本発明を適用した電気光学装置を対向基板の側からみた概略斜視図、およびこの電気光学装置を画素電極を通る部分でY方向に切断したときの断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の各構成要素のうち、自己診断のための構成を抜き出して示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電気光学装置の各構成要素のうち、自己診断のための構成を抜き出して平面的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る電気光学装置の各構成要素のうち、自己診断のための構成を抜き出して示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る電気光学装置の各構成要素のうち、自己診断のための構成を抜き出して示す説明図である。
【図7】画素スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリクス型液晶装置からなる電気光学装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図8】電気光学物質として電荷注入型の有機薄膜を用いたエレクトロルミネセンス素子を備えたアクティブマトリクス型表示装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
1a 電気光学装置、5 駆動用IC(第1のIC)、6 付加機能用IC(第2のIC)、7 可撓性基板(配線基板)、10 素子基板(第1の基板、電気光学装置用基板)、20 対向基板(第2の基板、電気光学装置用基板)、41、41′、42、42′、43、43′、44、44′ パッド(第2の接続状態診断用端子対)、45、45′、46、46′ パッド(第2の基板割れ診断用端子対)、51、52、53、54 バンプ(第1の接続状態診断用端子対)、55、56 バンプ(第1の基板割れ診断用端子対)、58 診断部(診断手段)、59 診断結果出力部(診断結果出力手段)、71、72、73、74 端子(第1の接続状態診断用端子対)、81、82 接続状態診断用導電パターン、83、86 基板割れ診断用導電パターン、84、85、87、88 基板間導通端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学物質を保持する第1の基板と、複数の第1の端子を備えた第1のICとを備え、前記第1の基板には、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線が形成されているとともに、前記第1のICが実装されている電気光学装置において、
前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、
前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、
当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、
前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
電気光学物質を保持する第1の基板と、複数の第1の端子を備え、第1のICが実装された配線基板とを備え、前記第1の基板には、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線が形成されているとともに、前記配線基板が実装されている電気光学装置において、
前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、
前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、
当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、
前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項2において、前記配線基板は可撓性基板であり、前記第1の基板は剛性基板であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第1の基板に前記電気光学物質を挟んで対向する第2の基板を備えていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4において、前記第1および第2の基板はそれぞれ基板間導通端子を備え、基板間導電材を挟んで貼り合わされていることにより、双方の前記基板間導通端子同士が電気的に接続されており、
当該第1および第2の基板のうち、第1の基板のみに前記第2の基板割れ診断用端子対が形成され、
前記基板割れ診断用導電パターンは、前記第1および第2の基板の双方に形成されているとともに、前記第1および第2の基板に形成された基板割れ診断用導電パターン同士は、前記第2の基板割れ診断用端子対の間で直列に電気的接続するように前記基板間導電材および前記基板間導通端子によって基板間導通していることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項4または5において、前記第1の基板あるいは前記第2の基板には、1つないし2つ以上の第2のICが実装され、
前記第1のICには、前記第2のICから当該第2のICが正常に動作可能か否かに係わる情報が入力されるとともに、当該第1のICからは、前記情報あるいは当該情報に基づく前記第2のICの診断結果が出力されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記複数の配線には、前記ICから出力された信号が印加されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに規定する電気光学装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項9】
複数の第1の端子を備えた第1のICと、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線を備え、前記第1のICが実装された第1の基板とを有する実装構造体において、
前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、
前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、
当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、
前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする実装構造体。
【請求項10】
複数の第1の端子を備え、第1のICが実装された配線基板と、前記第1の端子が接続される複数の第2の端子および複数の配線を備え、前記配線基板が実装された第1の基板とを有する実装構造体において、
前記複数の第1の端子には、前記第1の基板の割れの有無を診断するための第1の基板割れ診断用端子対が含まれ、
前記複数の第2の端子には、前記第1の基板割れ診断用端子対が各々接続される第2の基板割れ診断用端子対が含まれ、
当該第2の基板割れ診断用端子対は、前記第1の基板上において当該第1の基板の外周縁に沿って引き回された基板割れ診断用導電パターンで接続され、
前記第1のICは、前記第1の基板割れ診断用端子対同士が電気的に接続しているか否かを診断する基板割れ診断手段と、該基板割れ診断手段による診断結果を出力する基板割れ診断結果出力手段とを備えていることを特徴とする実装構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−38988(P2006−38988A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215330(P2004−215330)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】