説明

電池及び電池の製造方法並びにこの電池を搭載した車両

【課題】ケース部材内に収容された発電要素の一方の電極と接続してなる一方、ケース部材の外部まで延出してなる端子部材とを備える電池において、扁平端子部の向きを適切に選択した端子部材を備える電池及び、そのような電池の製造方法並びに、この電池を搭載した車両を提供する。
【解決手段】電池100は、発電要素120、これを内部に収容してなるケース部材110、ケース部材110内で、発電要素120の正極と接続してなる一方、ケース部材110の外部まで延出してなる正極端子部材160を備える。この正極端子部材160のうち、ケース部材110の外部に露出する正極端子露出部161は、円筒状の正極第1圧縮予定部162を自身の端子部軸線Pに直交する第1特定方向DP1に圧縮変形して、端子部軸線Pに直交する断面を扁平状にしてなる正極扁平端子部163を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池及び電池の製造方法並びにこの電池を搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポータブル機器や携帯機器などの電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として、様々な二次電池が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された薄型電池は、電極体(発電要素)、平板状の集電端子(端子部材)及びラミネート外装体(ケース部材)を有している。この薄型電池のうち、ラミネート外装体は、電気絶縁性を有する外側樹脂層と、防湿性を有するアルミニウム層と、電気絶縁性及び熱溶着性を有する内側樹脂層とからなるシート材料を一体に成形してなる。このラミネート外装体は、内側樹脂層同士が突き合わされるようにして電極体を包み込み、1枚のシート材料を半分に折り曲げられてなり、この内側樹脂層の端縁同士を熱溶着して液密に封止している。
また、集電端子は、アルミニウム、銅等の導電性材料からなり、円柱状の部材を押圧して扁平状に押し潰し、角部を曲面にして作製されている。この集電端子は、その一端を電極体に接続し、集電端子の一部に被膜した集電端子熱溶着樹脂をラミネート外装体の内側樹脂層の端縁同士の間に挟み込みこのまま熱溶着した状態で、他端側の露出部(端子露出部)をラミネート外装体の外部に露出している。この露出部は、外部接続端子と接続できるようになっている。
【特許文献1】特開2000−285903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような電池を、例えば、電気自動車やハイブリッドカー等の電源として用いる場合など、複数の電池を連結させて用いる場合には、隣り合う電池の端子部材の端子露出部同士を繋いだり、外部と接続するために、バスバなどの外部接続端子が用いられる。また、電池の中には、扁平な形状の端子部材を電池の外部に突出させたものがある。このものでは、ここに外部端子部材を締結し、他の電池等と接続する。このような電池では、自身の端子部材の端子露出部は、その向きが固定されている。
しかし、連結する他の電池との位置関係や、接続する外部接続端子の形状などに応じて、同形の電池ではあるが、端子露出部の向きのみを変えた電池を用いたい場合がある。しかるに、電池同士の連結の際、端子部材の端子露出部の向きを自由に変えることができないため、端子露出部の向きに合わせて、外部接続端子の位置や向きを調整したり、接続に適した形状の外部接続端子を別途形成して、端子露出部と外部接続端子とを接続していた。このため、端子露出部と外部接続端子との接続が面倒であったり、別形状の外部接続端子を別途用意する必要が生じていた。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、ケース部材内に収容された発電要素の一方の電極と接続してなる一方、ケース部材の外部まで延出してなる端子部材とを備える電池において、扁平端子部の向きを適切に選択した端子部材を備える電池及び、そのような電池の製造方法並びに、この電池を搭載した車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その解決手段は、発電要素と、上記発電要素を内部に収容してなるケース部材と、金属からなり、上記ケース部材内で、上記発電要素の一方の電極と接続してなる一方、上記ケース部材の外部まで延出してなる端子部材と、を備える電池であって、上記端子部材のうち、上記ケース部材の外部に露出する端子露出部は、円筒状の第1圧縮予定部を自身の端子部軸線に直交する第1特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなる扁平端子部を含む電池である。
【0007】
本発明の電池では、円筒状の第1圧縮予定部を第1特定方向に圧縮変形して扁平端子部としてなるので、圧縮方向(第1特定方向)をこの第1圧縮予定部の端子部軸線周りに変更することで、扁平端子部の向きを選択できる。
このため、他の部分の構成は同一で、扁平端子部の向きのみを適切に選択した電池を容易に作り得る。したがって、本発明の電池の端子部材に外部接続端子を接続するにあたり、扁平端子部を適切な向きとした電池を容易に提供できる。
【0008】
また、この電池では、圧縮に際して、容易に変形させて扁平端子部を形成できる。
さらに、扁平端子部のうち、端子部軸線に直交する幅方向寸法は、円筒状の第1圧縮予定部の径に対し最大で1.5倍程度に拡げることができる。このため、この扁平端子部では、円筒形のままよりもバスバその他の外部接続端子と広い面積で接触させられるので、低抵抗の接続が可能となる。
【0009】
なお、本発明の電池は、発電要素がケース部材の内部に収容され、この発電要素の一方の電極に端子部材が接続し、ケース部材の外部まで延出してなる電池である。具体的には、例えば、金属製や樹脂製で外形直方体または円柱形状等のケース部材内に、発電要素が収納され、このケース部材を貫通して端子部材の端子露出部が延出して露出しているタイプの電池が挙げられる。その他、例えば、樹脂シートや、樹脂シートと金属シートとを重ねたラミネートシート等のシート材をケース部材として用い、このようなケース部材の内部に発電要素を収納し、重ね合わされたシート材同士の間から端子部材の端子露出部が外部に延出して露出しているタイプの電池も挙げられる。
【0010】
また、金属製や樹脂製のケース部材としては、発電要素を内部に収容するケース本体部材と、このケース本体部材を閉塞する封口部材とからなるケース部材が挙げられる。このようなケース部材を用いる場合、端子部材が貫通して延出するのが、ケース本体部材及び封口部材のいずれでも用いることができる。
【0011】
また、扁平端子部としては、円筒状の圧縮予定部をその端子部軸線に直交する方向に圧縮変形して、この軸線に直交する断面が扁平状とされていれば良く、円筒状の第1圧縮予定部を変形させた、扁平とされた2枚の板状部分が互いに重なり合った状態まで圧縮したもののほか、内部に空間を残こして変形させても良い。
【0012】
さらに、上述の電池であって、前記扁平端子部は、表裏二面の扁平面を有し、上記二面の扁平面は、その前記端子部軸線に直交する断面が、いずれも外側に突出する弧状とされ、上記二面の扁平面が幅方向の両端で互いに近接すると共に、上記幅方向の中央部分で互いに離間してなる形態を有し、上記二面の扁平面の上記中央部分をそれぞれ貫通してなり、外部接続端子との接続のためのボルトを挿通させる貫通孔を含む電池とすると良い。
【0013】
本発明の電池では、表裏二面の扁平面が幅方向の中央部分で互いに離間した形態であり、しかも貫通孔を有しているので、この貫通孔にボルトを挿通させナット等で締め付けて、外部接続端子を扁平端子部に当接させて締結すると、二つの扁平面が離間しようとする弾性力が生じ、この扁平面がスプリングワッシャの作用を果たす。このため、ボルト等が緩むのが効果的に防止される。
【0014】
なお、扁平端子部と外部接続端子との締結手法としては、ボルトを扁平端子部の貫通孔を挿通して、外部接続端子に形成された雌ネジ孔と螺合させて扁平端子部と外部接続端子とを締結する手法や、ボルトを、扁平端子部の貫通孔と、外部接続端子に設けた貫通孔とに挿通させて、このボルトとナットとの螺合により、扁平端子部と外部接続端子とを締結する手法等が挙げられる。
【0015】
さらに、上述のいずれかの電池であって、前記端子部材は、前記ケース部材と直接または間接に密着して、上記ケース部材との間を封止してなる封止部を有し、上記端子部材のうち、少なくとも、上記封止部から前記扁平端子部までは、一体の部材であって、前記第1圧縮予定部を変形させる前の状態において、上記端子部材のうち、少なくとも、上記封止部から上記第1圧縮予定部までが、円筒状とされた部材を用いてなる電池とすると良い。
【0016】
本発明の電池では、端子部材のうち、少なくとも、封止部から扁平端子部までは、一体の部材からなる。しかも、第1圧縮予定部を変形させる前の状態において、少なくとも、封止部から扁平端子部までが円筒形つまり、第1圧縮予定部と同形である。つまり、第1圧縮予定部を変形させる前の状態では、封止部から扁平端子部までの部分は、一本の円筒形状をなしている。
したがって、端子部材とケース部材の封止は、円環状の封止部とケース部材との間で行われるので、例えば、封止部が矩形状であるなど角部がある場合の封止に比して、端子部材の封止部とケース部材との間で生じる応力の偏在などが無く、均一に封止できる。
しかも、少なくとも、封止部から扁平端子部までの部分は一体であるので、構造の簡単な電池となる。
【0017】
さらに、上述の電池であって、前記端子部材は、前記ケース部材内に位置するケース内配置部を有し、上記ケース内配置部は、円筒状の第2圧縮予定部を自身の端子部軸線に直交する第2特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなり、前記発電要素の一方の電極と接続してなる扁平電極接続部を含み、上記端子部材のうち、少なくとも、上記扁平電極接続部から前記扁平端子部までは、一体の部材であって、前記第1圧縮予定部及び上記第2圧縮予定部を変形させる前の状態において、少なくとも上記第2圧縮予定部から上記第1圧縮予定部までが、円筒状とされた部材を用いてなる電池とすると良い。
【0018】
本発明の電池では、円筒状の第2圧縮予定部を変形させた扁平電極接続部で、一方の電極と接続するので、変形させたことにより、一方の電極との接続のための面積を広く取ることができる。また、扁平端子部の圧縮変形の向き(第1特定方向)に拘わらず、第2特定方向を選択して圧縮してなるので、第2特定方向を一方の電極との接続に適した方向とすることで、一方の電極を適切に接続した電池となし得る。
【0019】
また、端子部材のうち、少なくとも、扁平電極接続部から扁平端子部までは、一体の部材からなる。しかも、第1圧縮予定部及び第2圧縮予定部を変形させる前の状態において、第2圧縮予定部から上記第1圧縮予定部までが、円筒状である。
したがって、この端子部材は、第1,第2圧縮予定部を変形させる前の状態では、第2圧縮予定部から、封止部を越えて第1圧縮予定部まで、一本の円筒形状をなしている。
このように、端子部材は、少なくとも扁平電極接続部から扁平端子部まで、一体であるので、さらに構造の簡単な電池となる。
【0020】
他の解決手段は、発電要素と、上記発電要素を内部に収容してなるケース部材と、円筒状の金属材を成形してなる端子部材であって、上記ケース部材の外部に位置し、上記端子部材の一部を、自身の端子部軸線に直交する第1特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなる扁平端子部、及び、上記ケース部材内に配置され、上記端子部材の他の一部を、上記端子部軸線に直交する第2特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなり、上記発電要素の一方の電極と接続してなる扁平電極接続部を含む端子部材と、を備える電池である。
【0021】
本発明の電池は、発電要素、これを内部に収容してなるケース部材、及び、円筒状の金属材を成形してなる端子部材を備えている。この端子部材は、ケース部材の外部に位置し、自身の一部を、自身の端子部軸線に直交する第1特定方向に圧縮変形して、端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなる扁平端子部を含む。また、この端子部材は、ケース部材内に配置され、自身の他の一部を、端子部軸線に直交する第2特定方向に圧縮変形して、端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなり、発電要素の一方の電極と接続してなる扁平電極接続部を含む。
この電池では、元々は円筒状の金属材である端子部材を用いながらも、第1特定方向に圧縮変形して扁平端子部を形成しているので、圧縮方向(第1特定方向)を端子部軸線周りに変更することで、扁平端子部の向きを選択できる。また、扁平端子部を形成しているので、外部接続端子との接続に当たり、接触面積を大きく取ることができる。
さらに、第2特定方向に圧縮変形して扁平電極接続部を形成しているので、圧縮方向(第2特定方向)を端子部軸線周りに変更することで、扁平電極接続部の向きを選択できる。また、扁平電極接続部を形成しているので、発電要素との接続に当たり、発電要素の一方の電極との接続の面積を大きく取ることができる。
しかも、扁平電極接続部の向きを、扁平端子部の向きに拘わらず選択できるので、発電要素との接続に適した向きを持つ扁平電極接続部となし得る。
【0022】
さらに、上述の電池であって、前記端子部材は、円環状で、前記ケース部材と直接または間接に密着して、上記ケース部材との間を封止してなる封止部を有する電池とすると良い。
【0023】
本発明の電池では、端子部材とケース部材の封止が、円環状の封止部とケース部材とで行われるので、例えば、矩形状など角部がある端子部材を用いた場合に比して、端子部材の封止部とケース部材との間で生じる応力の偏在などが無く、均一に封止でき、電池内の気密性が高い電池となる。
【0024】
さらに他の解決手段は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電池を搭載してなる車両である。
【0025】
本発明の車両では、端子部材に扁平端子部を含むなど前述の電池を搭載しているので、電池の扁平端子部の向きを適切に選択して、他の電池との連結や外部接続端子との接続を容易にし、コンパクトとしたり、安価とした車両とすることができる。
なお、車両としては、例えば、電気自動車、ハイブリッドカーのほか、フォークリフト、電動車いす、電動アシスト自転車、電動スクータ等の車両が挙げられる。
【0026】
さらに他の解決手段は、発電要素と、上記発電要素を内部に収容してなるケース部材と、金属からなり、上記ケース部材内で、上記発電要素の一方の電極と接続してなる一方、上記ケース部材の外部まで延出してなる端子部材と、を備え、上記端子部材のうち、上記ケース部材の外部に露出する端子露出部は、自身の端子部軸線に直交する断面が扁平状である扁平端子部を含む電池の製造方法であって、円筒状の第1圧縮予定部を上記端子部軸線に直交する第1特定方向に圧縮変形して、上記扁平端子部を形成する第1扁平化工程を有する電池の製造方法である。
【0027】
本発明の電池の製造方法では、第1扁平化工程で、円筒状の第1圧縮予定部を圧縮変形して扁平端子部とするので、圧縮方向をこの第1圧縮予定部の端子部軸線周りに変更することで、扁平端子部の向きを選択できる。
したがって、扁平端子部の向きについての自由度が高く、他の部分の構成は同一で、扁平端子部の向きのみを変更した電池を容易に作り得る。これにより、各電池の用途、配置等に応じ、外部接続部材との接続にも適した向きとした扁平端子部を持つ電池を容易に製造できる。さらに、第1扁平化工程で、円筒状の第1圧縮予定部を圧縮変形して扁平端子部とするので、扁平端子部の向きに応じて、各形態の端子部材を予め製造しておく必要がなく、共通の端子部材から、向きの異なる扁平端子部を持つ端子部材を製作できるから、端子部材、更には電池に掛る製造コストを安価にすることができる。
【0028】
さらに、上述の電池の製造方法であって、前記第1扁平化工程では、前記扁平端子部を、表裏二面の扁平面の前記端子部軸線に直交する断面が、いずれも外側に突出する弧状として、上記二面の扁平面が幅方向の両端で近接すると共に、上記幅方向の中央部分で互いに離間してなる形態に成形し、上記第1扁平化工程の後に、上記二面の扁平面の上記中央部分に、外部接続端子との接続のためのボルトを挿通させる貫通孔を形成する貫通孔形成工程を有する電池の製造方法とすると良い。
【0029】
本発明の電池の製造方法によれば、表裏二面の扁平面を幅方向の中央部分で互いに離間した形態に成形し、しかも、この中央部分に貫通孔を形成している。このため、この貫通孔にボルトを挿通させ、外部接続端子を扁平端子部に当接させ、ナット等で締結すると、二つの扁平面が離間しようとする弾性力が生じるようになる。これにより、この扁平面がスプリングワッシャの作用を果たして、ボルト等が緩むのが効果的に防止された電池が得られる。
しかも、第1扁平化工程の後に貫通孔形成工程を行うので、2つの扁平面にあける貫通孔の位置を揃え易い。
【0030】
さらに、請求項8または請求項9に記載の電池の製造方法であって、前記端子部材は、前記ケース部材内に位置するケース内配置部を有し、上記ケース内配置部は、自身の端子部軸線に直交する断面が扁平状であり、前記発電要素の一方の電極と接続してなる扁平電極接続部を含み、円筒状の第2圧縮予定部を上記端子部軸線に直交する第2特定方向に圧縮変形して、上記扁平電極接続部を形成する第2扁平化工程を有する電池の製造方法とすると良い。
【0031】
本発明の電池の製造方法では、第2扁平化工程で、円筒状の第2圧縮予定部を圧縮変形して扁平電極接続部とするので、圧縮方向をこの第2圧縮予定部の端子部軸線周りに変更することで、扁平電極接続部の向きを選択できる。
したがって、第1特定方向に拘わらず、発電要素との接続に適した向きを持つ扁平電極接続部を容易に製造できる。さらに、第2扁平化工程で、円筒状の第2圧縮予定部を圧縮変形して扁平電極接続部とするので、発電要素の電極との接続の面積を大きくとることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
本実施形態に係る電池100は、電気自動車やハイブリッドカー用の駆動電源として用いられる、例えば、ニッケル水素二次蓄電池やリチウムイオン二次電池などの二次電池である。この電池100は、図1に示すように、外形が略直方体形状の角型単電池である。
この電池100は、直方体形状をなす電池容器本体111及びこれを閉塞する封口蓋115からなるケース部材110、このケース部材110内に収容された発電要素120、正極端子部材160及び負極端子部材260等から構成されている。正極端子部材160及び負極端子部材260は、ケース部材110内で発電要素120の正電極及び負電極とそれぞれ接続され、ケース部材110の外部まで延出している。電池100のうち、電池容器本体111の内部には、電解液(図示しない)が注入されている。
【0034】
ケース部材110のうち電池容器本体111は、金属からなり、図1〜図3に示すように、平板状で長方形状の第1側壁111aと、これと平行で同形状の第2側壁111bとを有する。また、この電池容器本体111は、第1側壁111aの短辺と第2側壁111bの短辺とを結ぶ平板状で長方形状の第3側壁111c及び第4側壁111dを有する。また、この電池容器本体111は、第1側壁111aの長辺と第2側壁111bの長辺とを結ぶ平板状で長方形状の底壁111eを有する。
この電池容器本体111は、挿入側(図2中、上方側)に開口112を有し、この開口112から後述する発電要素120と、正極端子部材160及び負極端子部材260の一部とが電池容器本体111の内部に収容できるようになっている。
【0035】
ケース部材110のうち封口蓋115は、金属からなり、図2及び図3に示すように、電池容器本体111における第1側壁111a及び第2側壁111bに沿った長辺と、第3側壁111c及び第4側壁111dに沿った短辺とに沿う各辺を持つ長方形状の平板である。この封口蓋115は、第1側壁111aの長辺に沿った長手方向に所定の間隔で離間した正極端子挿通孔116H及び負極端子挿通孔117Hと、これらの間に位置する弁孔118Hとを有している。
【0036】
この封口蓋115は、電池容器本体111内に後述する発電要素120を収容した後に、電池容器本体111の開口112を液密に閉塞する。また、弁孔118Hは、金属製の安全弁190により、電池ケース110の外部側から封止されている。
【0037】
電池100のうち、発電要素120は、いずれも帯状であり、アルミニウムからなる正電極板131、銅からなる負電極板231、及び、合成樹脂からなるセパレータ151を捲回してなる。この発電要素120は、その軸線Oに沿った方向(図2において左右方向)の一端部(図2において右端部)に、正電極板131の一部のみが渦巻状に重なって露出する正電極板露出部132を有している。また、これとは逆にこの発電要素120の他方端部(図2において左端部)に、負電極板231の一部のみが渦巻状に重なって露出する負電極板露出部232を有している。
なお、正電極板131のうち、正電極板露出部132を除く部分には、正極活物質を含む正極合材が塗工されている。同様に、負電極板231のうち、負電極板露出部232を除く部分には、負極活物質を含む負極合材が塗工されている。
【0038】
発電要素120のうち、正電極板露出部132の一部は、図3に示すように、発電要素120の厚み方向(図3の左右方向)に圧縮されて互いに隙間なく重なり合った正極板固着部133となっている。この正極板固着部133は、後述する正極端子部材160のうち、扁平電極接続部173の裏扁平面173bの一部に溶接されており、正極扁平端子部163と導通している。
同様に、負電極板露出部232の一部も、発電要素120の厚み方向(図3の左右方向)に圧縮されて互いに隙間なく重なり合った負極板固着部233となっている。この負極板固着部233は、後述する負極端子部材260のうち、扁平電極接続部273の裏扁平面273bの一部に溶接されており、負極扁平端子部263と導通している。
【0039】
電池100のうち、正極端子部材160は、アルミニウムからなり、1本の円筒状のパイプである円筒状部材178(図8参照)を成形してなる。この正極端子部材160は、図2に示すように、電池ケース110の外部に露出して配置される正極端子露出部161、電池ケース110の内部に配置される正極側ケース内配置部171、及び、これらの間に位置する正極封止部165を有する一体の部材である。
【0040】
この正極端子部材160のうち、正極端子露出部161は、図4及び図6に示すように、このうち、端子部軸線Pに直交する断面が扁平状である正極扁平端子部163を含む。この正極扁平端子部163は、後に詳述する正極第1圧縮予定部162を端子部軸線Pに直交する第1特定方向(本実施形態では、電池容器本体111の第1側壁111aと第2側壁111bとの間を結ぶ方向、図3中左右方向)DP1に圧縮変形されてなる。この正極扁平端子部163は、表扁平面163a及びこれの反対側に位置する裏扁平面163bを有している。この表扁平面163a及び裏扁平面163bの端子部軸線Pに直交する断面は、いずれも外側に突出する弧状とされ、表扁平面163a及び裏扁平面163bが幅方向(図6中、上下方向)の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分164a,164bで互いに離間してなる形態となっている。この正極扁平端子部163には、表扁平面163a及び裏扁平面163bの中央部分164a,164bをそれぞれ貫通し、後述するバスバ200との接続のためのボルト211を挿通させる貫通孔163H(163aH,163bH)が穿孔されている。
【0041】
また、正極扁平電極接続部173は、正極端子露出部161とは反対側に位置している。この正極扁平電極接続部173は、後に詳述する正極第2圧縮予定部172を端子部軸線Pに直交する第2特定方向DP2に圧縮変形してなり、端子部軸線Pに直交する断面が扁平状となっている。なお、本実施形態では、正極第2圧縮予定部172を圧縮変形させる第2特定方向DP2は、第1特定方向DP1と同じ方向に選択してある。
この正極扁平電極接続部173は、表扁平面173a及びこれの反対側に位置する裏扁平面173bを有している。この表扁平面173a及び裏扁平面173bは、十分に圧縮変形されているため、これら表裏二面173a,173bが互いにほぼ平行になるように、この表扁平面173a及び裏扁平面173bのうち、幅方向(図4中、左上−右下方向)の中央部分174a,174bが互いに接した形態となっている(図3参照)。
また、この正極扁平電極接続部173は、前述したように、その表扁平面173aの一部と発電要素120の正電極板露出部132の正極板固着部133とを溶接することにより、発電要素120の正電極板露出部132に導通している(図2及び図3参照)。
【0042】
また、正極扁平電極接続部173の端部(図4中、下方)には、例えば、溶接等により正極端子封止部175が設けられ、表扁平面173aと裏扁平面173bとの間にできる隙間を塞いでいる。
これにより、電解液が正極端子部材160の内部(表扁平面173aと裏扁平面173bとの間の隙間等)を通じてケース部材110の外部へ漏洩することが防止できる。
【0043】
正極端子部材160のうち、正極封止部165は、円環状の部分であり、封口蓋115の正極端子挿通孔116H内を挿通している。この正極封止部165と正極端子挿通孔116Hとの間は、樹脂からなるリング状の正極シール部材180を介して封止されている。これにより、正極端子部材160は、封口蓋115と電気的に絶縁された状態で、かつ、正極端子露出部161を封口蓋115の外部に向けて延出させた形態で、封口蓋115(ケース部材110)に液密に保持される。
【0044】
一方、負極端子部材260(図4参照)は、銅からなり、円筒状のパイプである円筒状部材278(図8参照)を成形してなる。この負極端子部材260は、図2に示すように、電池ケース110の外部に露出して配置される負極端子露出部261、電池ケース110の内部に配置される負極側ケース内配置部271、及び、これらの間に位置する負極封止部265を有する一体の部材である。
【0045】
この負極端子部材260のうち、負極端子露出部261は、図4及び図6に示すように、このうち、端子部軸線Nに直交する断面が扁平状である負極扁平端子部263を含む。この負極扁平端子部263は、後に詳述する負極第1圧縮予定部262を端子部軸線Nに直交する第1特定方向(本実施形態では、電池容器本体111の第1側壁111aと第2側壁111bとの間を結ぶ方向、図3中左右方向)DN1に圧縮変形されてなる。
この負極扁平端子部263は、表扁平面263a及びこれの反対側に位置する裏扁平面263bを有している。この表扁平面263a及び裏扁平面263bの端子部軸線Nに直交する断面は、いずれも外側に突出する弧状とされ、表扁平面263a及び裏扁平面263bが幅方向(図6中、上下方向)の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分264a,264bで互いに離間してなる形態となっている。この負極扁平端子部263には、表扁平面263a及び裏扁平面263bの中央部分264a,264bをそれぞれ貫通し、後述するバスバ200との接続のためのボルト211を挿通させる貫通孔263H(263aH,263bH)が穿孔されている。
【0046】
また、負極扁平電極接続部273は、負極端子露出部261とは反対側に位置している。この負極扁平電極接続部273は、後に詳述する負極第2圧縮予定部272を端子部軸線Nに直交する第2特定方向DN2に圧縮変形されてなり、端子部軸線Nに直交する断面が扁平状となっている。なお、本実施形態では、負極第2圧縮予定部272を圧縮変形させる第2特定方向DN2は、第1特定方向DN1と同じ方向に選択してある。
この負極扁平電極接続部273は、表扁平面273a及びこれの反対側に位置する裏扁平面273bを有している。この表扁平面273a及び裏扁平面273bは、十分に圧縮変形されているため、これら表裏二面273a,273bが互いにほぼ平行になるように、この表扁平面273a及び裏扁平面273bのうち、幅方向(図4中、左上−右下方向)の中央部分274a,274bが互いに接した形態となっている(図3参照)。また、この負極扁平電極接続部273は、前述したように、その扁平面273aの一部と発電要素120の負電極板露出部232の負極板固着部233とを溶接することにより、発電要素120の負電極板露出部232に導通している(図2及び図3参照)。
【0047】
また、負極扁平電極接続部273の端部(図4中、下方)には、溶接等により負極端子封止部275が設けられ、正極端子封止部175と同様に、表扁平面273aと裏扁平面273bとの間にできる隙間を塞いでいる。これにより、電解液が負極端子部材260の内部(表扁平面273aと裏扁平面273bとの間の隙間等)を通じてケース部材110の外部へ漏洩することが防止できる。
【0048】
負極端子部材260のうち、負極封止部265は、円環状の部分であり、封口蓋115の負極端子挿通孔117H内を挿通している。この負極封止部265と負極端子挿通孔117Hとの間は、樹脂からなるリング状の負極シール部材280で封止されている。これにより、負極端子部材260は、封口蓋115と電気的に絶縁された状態で、かつ、負極端子露出部261を封口蓋115の外部に向けて延出させた形態で、封口蓋115(ケース部材110)に液密に保持される。
【0049】
なお、本実施形態においては、円筒状部材178,278が本発明の金属材に対応し、正極端子部材160及び負極端子部材260が端子部材に対応し、正極端子露出部161及び負極端子露出部261が端子露出部に対応し、正極扁平端子部163及び負極扁平端子部263が扁平端子部に対応する。また、正極封止部165及び負極封止部265が封止部に対応し、正極側ケース内配置部171及び負極側ケース内配置部271がケース内配置部に対応し、正極扁平電極接続部173及び負極扁平電極接続部273が扁平電極接続部に対応する。
【0050】
次に、本実施形態に係る電池100同士を連結するために用いるバスバ200について、図7を用いて説明する。
このバスバ200は、金属からなり、図7に示すように、第1接続部201及びこれに平行な第2接続部202、及び、これらを結ぶ連結部203を有するコ字状の部材である。なお、このバスバ200は本発明の外部接続端子に対応する。
【0051】
バスバ200のうち、第1接続部201は、電池100の正極端子部材160の正極扁平端子部163と締結され、この正極扁平端子部163と電気的に接続する部位である。この第1接続部201には、第1貫通孔201Hが穿孔されている。
一方、第2接続部202は、電池100の負極端子部材260の負極扁平端子部263と締結され、負極扁平端子部263と電気的に接続する部位である。この第2接続部202には、第2貫通孔202Hが穿孔されている。
【0052】
バスバ200のうち、連結部203は、所定幅を有する平板状であり、第1接続部201と第2接続部202とを結んでいる。このバスバ200では、第1接続部201と第2接続部202との間隔は、電池100,100同士を隣り合って配置したときに、その一方の電池100の正極扁平端子部163と他方の電池100の負極扁平端子部263との間の距離を考慮した距離となっている。
【0053】
次に、複数の電池100によって構成される電池モジュール10について、図5及び図6を用いて説明する。
本実施形態では、電池モジュール10は、複数の電池100を列置して構成されている。なお、図5では、4つの電池100についてのみ図示している。この電池モジュール10に含まれる電池100,100同士は、隣り合って配置された電池100,100の正極(正極扁平端子部163)と負極(負極扁平端子部263)とが交互に反対側に位置するように、かつ、互いに平行に列置されている。
【0054】
具体的には、この電池モジュール10において、各電池100,100は、電池容器本体111の第1側壁111a,111a同士、及び、第2側壁111b,111b同士が交互に対向するように、配置されている。
そして、隣り合って配置された電池100,100のうち、一の電池100の正極扁平端子部163と他の電池100の負極扁平端子部263とをバスバ200で接続することにより、各電池100(図5では電池100A〜100D)が、互いに直列に連結されている。
【0055】
具体的には、バスバ200の第1接続部201が一の電池100の正極扁平端子部163に、第2接続部202が、他の電池100の負極扁平端子部263に、それぞれ、締結されている。
さらに具体的に説明する。バズバ200の第1接続部201と電池100(例えば、100B)の正極扁平端子部163とが当接され、図6に示すように、座金213を挿通したボルト211が正極扁平端子部163の貫通孔163H及び第1接続部201の第1貫通孔201Hに挿通されている。このボルト211はナット212と螺合され、第1接続部201と正極扁平端子部163とが締結されている。
また、バスバ200の第2接続部202と電池100(例えば、100A)の負極扁平端子部263とが当接されている(図6参照)。そして、座金213を挿通したボルト211が負極扁平端子部263の貫通孔263Hから第2接続部201の第2貫通孔202Hに挿通され、このボルト211とナット212との螺合により、第2接続部202と負極扁平端子部263とが締結されている。
【0056】
前述したように、本実施形態の電池モジュール10に用いる電池100は、正極端子部材160のうち、正極端子露出部161に扁平な正極扁平端子部163を有している。この正極扁平端子部163は、電池容器本体111の第1側壁111aと第2側壁111bとの間を結ぶ方向を第1特定方向DP1(図1参照)として、この方向に円筒状部材178の正極第1圧縮予定部162を圧縮変形したものである。
また、負極端子部材260のうち、負極端子露出部261にも扁平な負極扁平端子部263を有している。この負極扁平端子部263も、正極扁平端子部163と同様に、第1特定方向DN1に円筒状部材278の負極第1圧縮予定部262を圧縮変形したものである。このため、図7に示す形態のバスバ200を用いて、この第1接続部201を各電池100の正極扁平端子部163に、第2接続部202を各電池100の負極扁平端子部263に、それぞれ当接させることにより、容易に各電池100の正極扁平端子部163と負極扁平端子部263とを接続することができる。
【0057】
この電池100では、正極扁平端子部163は、表扁平面163a及び裏扁平面163bの端子部軸線Pに直交する断面が、いずれも外側に突出する弧状とされ、表扁平面163a及び裏扁平面163bが幅方向の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分164a,164bで互いに離間した形状とされている。しかも、この中央部分174a,174bに貫通孔163Hを有している。
このため、この貫通孔163Hにボルト211を挿通させナット212で締め付けて、バスバ200の第1接続部201を正極扁平端子部163の表扁平面163a(または裏平面163b)に当接させて締結した電池モジュール10では、正極扁平端子部163に表扁平面163aと裏扁平面163bとを離間させようとする弾性力が生じ、ボルト211とナット212との締結が緩むのが効果的に防止される。
【0058】
同様に、負極扁平端子部263も、表扁平面263a及び裏扁平面263bの端子部軸線Nに直交する断面が、いずれも外側に突出する弧状とされ、表扁平面263a及び裏扁平面263bが幅方向の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分264a,264bで互いに離間した形状とされている。しかも、この中央部分274a,274bに貫通孔263Hを有している。
このため、この貫通孔263Hにボルト211を挿通させナット212で締め付けて、バスバ200の第2接続部201を負極扁平端子部263の表扁平面263a(または裏平面263b)に当接させて締結した電池モジュール10では、、負極扁平端子部263に表扁平面263aと裏扁平面263bとを離間させようとする弾性力が生じ、ボルト211とナット212との締結が緩むのが効果的に防止される。
【0059】
本実施形態の電池100では、正極端子部材160及び負極端子部材260を形成するにあたり、円筒状のパイプである円筒状部材178,278を用いている(図8〜図11参照)。このため、正極第1圧縮予定部162、負極第1圧縮予定部262をそれぞれ第1特定方向DP1,DN1に変形させることで容易に正極扁平端子部163、負極扁平端子部263を形成できる。
しかも、扁平な正極扁平端子部163,負極扁平端子部263は、変形前の円筒形の円筒状部材178,278よりも、バスバ200の第1,第2接続部201,202と、それぞれ広い面積で接触させることができ、低抵抗での接続が可能となる。
【0060】
なお、前述したように、本実施形態では、正極扁平端子部163のうち、表扁平面163a及び裏扁平面163bの端子部軸線Pに直交する断面を、いずれも外側に突出する弧状とし、表扁平面163a及び裏扁平面163bが幅方向の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分164a,164bで互いに離間してなる形態とした。また、負極扁平端子部263のうち、表扁平面263a及び裏扁平面263bの端子部軸線Nに直交する断面を、いずれも外側に突出する弧状とし、表扁平面263a及び裏扁平面263bが幅方向の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分264a,264bで互いに離間してなる形態とした。
但し、正極第1圧縮予定部162,負極第1圧縮予定部262をさらに強く圧縮して、扁平端子部の二面の扁平面を、それらの中央部分が互いに当接し合うまで変形させれば、扁平端子部のうち軸線に直交する幅方向寸法を、円筒状の正極第1圧縮予定部162,負極第1圧縮予定部262の径に対し最大で1.5倍程度にまで拡げることができる。
【0061】
また、本実施形態の電池100では、正極端子部材160と封口蓋115の封止は、円環状の正極封止部165と封口蓋115とで行われるので、例えば、矩形状など角部がある部材を用いて封止する場合に比して、正極封止部165と封口蓋115との間で応力の偏在などが生じ難く、均一に封止できる。
しかも、正極封止部165から正極扁平端子部163まで、さらには正極扁平電極接続部173から正極扁平端子部163まで一体の正極端子部材160からなっているので、構造の簡単な電池100となる。
【0062】
同様に、負極端子部材260と封口蓋115の封止も、円環状の負極封止部265と封口蓋115とで行われるので、例えば、矩形状など角部がある部材を用いて封止する場合に比して、負極封止部265と封口蓋115との間で応力の偏在などが生じ難く、均一に封止できる。
しかも、負極封止部265から負極扁平端子部263まで、さらには負極扁平電極接続部273から負極扁平端子部263まで一体の負極端子部材260からなっているので、構造の簡単な電池100となる。
【0063】
次に、電池100の製造方法について図8〜図11を用いて説明する。
ただし、この電池100において、正極端子部材160及び負極端子部材260の製造方法以外は、公知の手法によれば良いので、正極端子部材160及び負極端子部材260の製造に関する第1扁平化工程、第2扁平化工程及び貫通孔形成工程を中心に説明し、その他は簡略に説明する。
【0064】
まず、図8に示すように、いずれも所定径を有する円筒状のパイプで、アルミニウムからなる円筒状部材178、及び、銅からなる円筒状部材278を準備する。リング状のシール部材180,280の内部に円筒状部材178,278をそれぞれ挿入する。
【0065】
この後、円筒状部材178と共に円筒状部材178を封口蓋115の正極端子挿通孔116Hに挿入する。また、同様に、円筒状部材278と共に円筒状部材278を封口蓋115の負極端子挿通孔117Hに挿入する。
【0066】
円筒状部材178のうち、封口蓋115及びシール部材180を境にして、図8中、封口蓋115より上方を、後に正極端子部材160に成形された状態において正極端子露出部161となるケース外相当部178Uとする。これとは反対側を、正極ケース内配置出部171となるケース内相当部178Nとする。また、このケース外相当部178Uの先端(上端)部を正極第1圧縮予定部162とし、ケース内相当部178Nの先端(下端)部を正極第2圧縮予定部172とする。
同様に、円筒状部材278のうち、封口蓋115及びシール部材280を境にして、図8中、封口蓋115より上方を、後に負極端子部材260に成形された状態において負極端子露出部261となるケース外相当部278Uとする。これとは反対側を、負極ケース内配置出部271となるケース内相当部278Nとする。また、このケース外相当部278Uの先端(上端)部を負極第1圧縮予定部262とし、ケース内相当部278Nの先端(下端)部を負極第2圧縮予定部272とする。
【0067】
次いで、第2扁平化工程について説明する。
第1の実施形態に係る電池100では、図2及び図3に示すように、発電要素120の正電極板固着部133と正極端子部材160の正極扁平電極接続部173とは、電池容器本体111の第1側壁111aに直交する向き(第2特定方向DP2)に重ねて接続されている。また、負電極板固着部233と負極端子部材260の負極扁平電極接続部273も、電池容器本体111の第1側壁111aに直交する向き(第2特定方向DN2)に重ねて接続されている。
そこで、第2扁平化工程では、図9に示すように、プレス装置により、図8に示す正極第2圧縮予定部172、負極第2圧縮予定部272を、自身の端子部軸線P、Nに直交する第2特定方向DP2,DN2にそれぞれ圧縮変形させて、正極扁平電極接続部173、負極扁平電極接続部273を形成する。
【0068】
さらに具体的には、正極扁平電極接続部173において、表扁平面173aと裏扁平面173bとの表裏二面が互いにほぼ平行になるように、正極第2圧縮予定部172を、表扁平面173a及び裏扁平面173bのうちの幅方向の中央部分174が互いに接する形態になるまで変形させる。
また、負極扁平電極接続部273において、表扁平面273aと裏扁平面273bとの表裏二面が互いにほぼ平行になるように、負極第2圧縮予定部272を、表扁平面273a及び裏扁平面273bのうちの幅方向の中央部分274が互いに接する形態になるまで変形させる。
【0069】
次いで、第1扁平化工程について説明する。
前述したように、第1の実施形態に係る電池100を複数連結した電池モジュール10では、隣り合って配置された電池100,100の連結にコ字型のバスバ200を用いている(図5〜図7参照)。
そこで、第1扁平化工程では、このバスバ200を用いて、正極端子部材160と負極端子部材260とを適切かつ容易に接続できるように、扁平な正極扁平端子部163及び負極扁平端子部263の向きを選択する。具体的には、図10に示すように、プレス装置を用いて、円筒形の正極第1圧縮予定部162,負極第1圧縮予定部262(図8参照)を、自身の端子部軸線P,Nに直交する第1特定方向DP1,DN1にそれぞれ圧縮変形させて、正極扁平端子部163及び負極扁平端子部263を形成する(図3参照)。
【0070】
さらに具体的は、正極扁平端子部163において、表扁平面163a及び裏扁平面163bの端子部軸線Pに直交する断面は、いずれも外側に突出する弧状とされ、表扁平面163a及び裏扁平面163bが幅方向(図6中、上下方向)の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分164a,164bで互いに離間した形態となるまで、正極第1圧縮予定部162を変形させる。
また、負極扁平端子部273において、表扁平面263a及び裏扁平面263bの端子部軸線Nに直交する断面は、いずれも外側に突出する弧状とされ、表扁平面263a及び裏扁平面263bが幅方向(図6中、上下方向)の両端で互いに近接すると共に、この幅方向の中央部分264a,264bで互いに離間した形態となるまで、負極第1圧縮予定部262を変形させる。
【0071】
なお、第1扁平化工程において、正極扁平端子部163や負極扁平端子部163を形成するにあたり、正極第1圧縮予定部162及び負極第1圧縮予定部262の圧縮変形による歪みが、正極封止部165及び負極封止部265にまで及ばないように、正極第1圧縮予定部162及び負極第1圧縮予定部262の位置(正極扁平端子部163,負極扁平端子部263の位置)を考慮しておくと良い。
また、第2扁平化工程においても、正極扁平電極接続部173や負極扁平電極接続部273を形成するにあたり、正極第2圧縮予定部172及び負極第2圧縮予定部272の圧縮変形による歪みが、正極封止部165及び負極封止部265にまで及ばないように、正極第2圧縮予定部172及び負極第2圧縮予定部272の位置(正極扁平電極接続部173,負極扁平電極接続部273の位置)を考慮しておくと良い。
【0072】
次いで、第1扁平化工程の後に、貫通孔形成工程を実施する。
この貫通孔形成工程では、図11に示すように、正極扁平端子部163において、表扁平面163a及び裏扁平面163bのうちの中央部分164a,164bに貫通孔163H(163aH,163bH)を穿孔する。また、負極扁平電極接続部263において、表扁平面263a及び裏扁平面263bのうちの中央部分264a,264bに貫通孔263H(263aH,263bH)を穿孔する。
【0073】
次いで、正極扁平電極接続部173の端部(図11中、下方)を溶接して正極端子封止部175を形成する。また、負極扁平電極接続部273の端部(図11中、下方)を溶接して負極端子封止部275を形成する。
また、正極シール部材180を加熱して樹脂を融かし、正極端子部材160の正極封止部165と封口蓋115の正極端子挿通孔116Hとの間を液密に封止する。また、負極シール部材280を加熱して樹脂を融かし、負極端子部材260の負極封止部265と封口蓋115の負極端子挿通孔117Hとの間を液密に封止する。
【0074】
次いで、正極扁平電極接続部173を、発電要素120のうち、正電極板捲回部132の正電極板固着部133に、負極扁平電極接続部273を負電極板捲回部232の負電極板固着部233に、それぞれ溶接する。この状態で、発電要素120を開口112から電池容器本体111の内部に収納し、封口蓋115で電池容器本体111の開口112を閉塞し、さらに、電池容器本体111と封口蓋115とを液密に溶接する。
かくして、電池100が完成する。
【0075】
第1の実施形態に係る電池100の製造方法では、第1扁平化工程で、円筒状の正極第1圧縮予定部162及び負極第1圧縮予定部262をそれぞれ圧縮変形して正極扁平端子部163や負極扁平端子部263を形成している。このため、圧縮方向DP1,DN1をこの正極第1圧縮予定部162,負極第1圧縮予定部262の端子部軸線P,N周りに変更することで、正極扁平端子部163,負極扁平端子部263の向きを選択できる。
したがって、他の部分の構成は同一で、正極扁平端子部163,負極扁平端子部263の向きのみを変更した電池100を容易に作り得る。これにより、各電池の用途、配置等に応じ、バスバ200との接続にも適した向きとした正極扁平端子部163,負極扁平端子部263を持つ電池100を容易に製造できる。
さらに、第1扁平化工程で、円筒状の正極第1圧縮予定部162及び負極第1圧縮予定部262をそれぞれ圧縮変形して正極扁平端子部163,負極扁平端子部263とするので、正極扁平端子部163,負極扁平端子部263の向きに応じて、各形態の正極端子部材160,負極端子部材260を予め製造しておく必要がない。これにより、共通の円筒状部材178,278から、向きの異なる正極扁平端子部163,負極扁平端子部263を持つ正極端子部材160,負極端子部材260を製作できるから、正極端子部材160,負極端子部材260、更には電池100に掛る製造コストを低減することができる。
【0076】
また、この電池100の製造方法によれば、正極端子部材160の正極扁平端子部163において、表扁平面163aと裏扁平面163bとを幅方向の中央部分164a,164bで互いに離間した形態に成形し、しかも、この中央部分164a,164bに貫通孔163Hを形成している。このため、この貫通孔163Hにボルト211を挿通させナット212で締め付けて、バスバ200の第1接続部201を正極扁平端子部163の表扁平面163a(または裏平面163b)に当接させて締結すると、表扁平面163aと裏扁平面163bとが離間しようとする弾性力が生じるようになる。
同様に、負極扁平端子部263において、表扁平面263aと裏扁平面263bとを幅方向の中央部分264a,264bで互いに離間した形態に成形し、しかも、この中央部分264a,264bに貫通孔263Hを形成している。このため、この貫通孔263Hにボルト211を挿通させナット212で締め付けて、バスバ200の第2接続部202を負極扁平端子部263の表扁平面263a(または裏平面263b)に当接させて締結すると、表扁平面263aと裏扁平面263bとが離間しようとする弾性力が生じるようになる。
これにより、表扁平面163a,263a及び裏扁平面163b,263bが、スプリングワッシャの作用を果たして、ボルト211等が緩むのが効果的に防止された電池100が得られる。
しかも、第1扁平化工程の後に貫通孔形成工程を行うので、表扁平面163aと裏扁平面163bとにあける貫通孔163aHと貫通孔163bHの位置及び、表扁平面263aと裏扁平面263bとにあける貫通孔263aHと貫通孔263bHの位置をそれぞれ揃え易い。
【0077】
さらに、この電池100の製造方法では、第2扁平化工程において、円筒状の正極第2圧縮予定部172を扁平に変形させるにあたり、第2圧縮方向DP2をこの正極第2圧縮予定部172の端子部軸線P周りに変更することで、正極扁平電極接続部173の向きを選択できる。
このため、各電池の用途、配置等に応じ、発電要素120の正極板固着部133との接続にも適した向きとした正極扁平電極接続部173を持つ電池100を容易に製造できる。さらに、第2扁平化工程で、正極扁平電極接続部173を形成するので、発電要素120の正極板固着部133との接続の向きに応じて、各形態の正極端子部材160を予め製造しておく必要がない。
同様に、円筒状の負極第2圧縮予定部272を変形させるにあたり、第2圧縮方向DN2をこの負極第2圧縮予定部272の端子部軸線N周りに変更することで、負極扁平電極接続部273の向きを選択できる。
このため、各電池の用途、配置等に応じ、発電要素120の負極板固着部233との接続にも適した向きとした負極扁平電極接続部273を持つ電池100を容易に製造できる。さらに、第2扁平化工程で、負極扁平電極接続部273を形成するので、発電要素120の負極板固着部233との接続の向きに応じて、各形態の負極端子部材260を予め製造しておく必要がない。
このように、共通の円筒状部材178,278から、向きの異なる正極扁平電極接続部173,負極扁平電極接続部273を持つ正極端子部材160,負極端子部材260を製作できるから、正極端子部材160,負極端子部材260、更には電池100に掛る製造コストを低減することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態について、図12及び図13を用いて説明する。
本実施形態に係る電池300は、前述の実施形態に係る電池100とは、これに用いる負極端子部材360の負極扁平端子部363の向きのみが異なり、それ以外の部分は同様である。したがって、第1の実施形態と同様な部分の説明は、省略あるいは簡素化し、異なる部分を中心に説明することとする。
【0079】
具体的には、第1の実施形態に係る電池100では、正極端子部材160及び負極端子部材260についての第1特定方向DP1,DN1(圧縮方向)を、いずれも電池容器本体111の第1側壁111aと第2側壁111bとの間を結ぶ方向とした。
これに対し、第2の実施形態に係る電池300では、正極端子部材160における第1特定方向DP1は、第1の実施形態と同方向であるものの、負極端子部材360における第1特定方向DN1を、第1特定方向DP1と直交する、電池容器本体111の第3側壁111cと第4側壁111dとの間を結ぶ方向としている。
これにより、この電池300では、負極端子部材360のうち、負極扁平端子部363の向きが正極扁平端子部163の向きとは90°異なっている。
【0080】
なお、この電池300は、前述した電池100と同様にして製造すればよく、図10を参照して説明した第1扁平化工程において、負極第1圧縮予定部を圧縮変形させる第1特定方向DN1を、上述の方向(図12参照)に変更すれば足りる。
【0081】
次に、本実施形態に係る電池300と前述の電池100とによって構成される電池モジュール10Tについて、図7及び図13を用いて説明する。
本実施形態の電池モジュール10Tは、複数の電池100を列置し、さらに、その端に電池300を列置して構成されている。なお、図13では、3つの電池100と1つの電池300についてのみ図示している。この電池モジュール10Tに含まれる電池100,100同士は、隣り合って配置された電池100,100の正極(正極扁平端子部163)と負極(負極扁平端子部263)とが交互に反対側に位置するように列置されている。また、電池300とこれに隣り合う電池100(図13では電池100G)とは、電池100の負極(負極扁平端子部263)と電池300の正極(正極扁平端子部163)とが同じ側に位置するように列置されている。
【0082】
この電池モジュール10Tのうち、隣り合って配置された電池100,100同士については、前述した電池モジュール10と同様、バスバ200を用いて接続しているので、詳細な説明は省略する。また、電池100Gと電池300も、電池100Gの負極扁平端子部263と電池300の正極扁平端子部163とを、同様に、バスバ200で接続している。これにより、各電池100,300(図13では電池100E〜100G,300)が、互いに直列に連結されている。
【0083】
一方、電池300のうち、負極端子部材360の負極扁平端子部363は、電池モジュール10Tの負電位を取り出す負極端子(総負極端子)として機能する。
この負極扁平端子部363は、電池100,300の列置方向(図13中、左下−右上方向)に延びる形状の外部接続端子220(図13において一点鎖線で示す)と接続する。この外部接続端子220は、列置方向に沿って延びる平板形状を有している。負極扁平端子部363には、この外部接続端子220が当接され、座金213を挿通したボルト211が外部接続端子220に形成した貫通孔(図示しない)及び負極扁平端子部363の貫通孔363Hに挿通されている。このボルト211はナット212と螺合されて、外部接続端子220は負極扁平端子部363に締結されている。
【0084】
このように、この電池モジュール10Tでは、電池100のほかに、負極扁平端子部363の向きを異ならせた電池300を用いたことにより、外部接続端子220とこの負極扁平端子部363との接続が容易にできている。このため、外部接続端子220と負極扁平端子部363との接続を容易にするため、外部接続端子の位置や形状を調整する、これらの間に適切な形状のバスバを介在させるなどの調整が不要となっている。
しかも、電池300は、電池100と負極扁平端子部363の向きが異なるのみであるので、両者の特性の違いを考慮する必要もない。また、電池300は、前述したように、前述した電池100の製造工程のうち、図10を参照して説明した第1扁平化工程において、負極第1圧縮予定部を圧縮変形させる第1特定方向DN1を、図12に示す方向に変更するだけで足りるので、1種類の円筒状部材278を用意しておけば、電池100及び300のいずれを製造する場合にも対応でき、製造容易である。
【0085】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態について、図14及び図15を用いて説明する。
本実施形態に係る車両1は、前述の第1,第2の実施形態に係る電池モジュール10,10T(電池100,300)を搭載してなる。したがって、車両1に関する内容を中心に説明し、第1,第2の実施形態と同様な部分の説明は、省略あるいは簡素化し、異なる部分を中心に説明することとする。
【0086】
本実施形態に係る車両1は、図14に示すように、エンジン3とフロントモータ4及びリヤモータ5との併用で駆動するハイブリッドカーである。この車両1は、車体2、エンジン3、これに取付られたフロントモータ4、リヤモータ5、ケーブル7及びバッテリパック6を有している。このバッテリパック6は、図14及び図15に示すように、車両1の車体2に取り付けられている。このバッテリパック6には、図15に示すように、前述した第1,第2の実施形態に係る電池モジュール10(図5参照)及び電池モジュール10T(図13参照)を複数(図15では、各1つのみ図示)が列置された構成となっている。このバッテリパック6は、ケーブル7によりフロントモータ4及びリヤモータ5と接続されている。
車両1は、バッテリパック6をフロントモータ4及びリヤモータ5の駆動用電源として、公知の手段によりエンジン3、フロントモータ4及びリヤモータ5で走行できるようになっている。
【0087】
前述したように、バッテリパック6内に有する電池モジュール10Tのうち、電池300における負極端子部材360の負極扁平端子部363の向きは、電池100,300の正極扁平端子部163や電池100の負極扁平端子部263の向きとは90°異なっている。
またこの負極扁平端子部363は、電池モジュール10Tさらにはバッテリパック6の負電位を取り出す総負極端子として機能するようにされており、外部接続端子220と接続されている。
【0088】
このように、本実施形態に係る車両1では、電池100として、正極扁平端子部163及び負極扁平端子部263の向きを、他の電池100及び電池300の正極扁平端子部163と、バスバ200を用いて容易に接続できる向き(図5及び図10参照)とした電池100を用いた。さらに、電池300として、負極扁平端子部363の向きを、外部接続端子220と直接容易に接続できる向き(図12及び図13参照)とした電池300を用いた。
これにより、電池100,100同士の連結や、電池100と電池300との連結のほか、この電池300と端子接続部220を有する外部接続端子220との接続を容易となり、バッテリパック6をコンパクトで安価とすることができ、さらに、バッテリパック6(電池300)との接続構造が簡単で、安価な車両1とすることができる。
【0089】
以上において、本発明を実施形態1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施形態1〜3に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、第1の実施形態では、バスバ200を用いて電池100を直列に連結した電池モジュール10を例示した。しかしながら、外部接続端子により電池を連結する数量、電池同士の連結形態は適宜変更可能である。
【0090】
また、第1の実施形態では、第2特定方向DP2,DN2と第1特定方向DP1,DN1とを、いずれも、電池容器本体111の第1側壁111aと第2側壁111bとの間を結ぶ方向とした。このため、正極扁平電極接続部173,負極扁平電極接続部273、正極扁平電極端子部163,負極扁平電極端子部163をいずれも同じ向きとなった。
しかしながら、第2特定方向は、第1の実施形態における第1特定方向と同じ方向に限らず、電池の発電要素との接続を考慮して種々その向きを選択可能である。
【0091】
また、第1の実施形態では、正極端子部材160,負極端子部材260の下端部(図4中、下端)に、それぞれ、正極端子封止部175,負極端子封止部275を設けて、正極端子部材160,負極端子部材260の内部を封止した。
しかしながら、端子部材内を通じた電池内外の封止は、例示した正極端子封止部175,負極端子封止部275による手法に限定されるものではなく、適宜の手法が適用可能である。
例えば、図16に示すように、負極端子部材260の負極扁平端子部263のうち、端子部軸線Nに沿う方向の上端部(図1中、上方)に、溶接等により負極端子封止部375を設けても良い。なお、このようにした場合には、負極扁平端子部263の貫通孔263Hとボルト211との間にできる隙間をシール部材380で液密に塞いで、電解液のケース部材110の外部への漏洩を防止すると良い。
【0092】
また、第3の実施形態では、車両1をハイブリッドカーとした。しかしながら、車両の種類は、例えば、電気自動車、フォークリフト、電動車いす、電動アシスト自転車、電動スクータ等の車両でも良い。
【0093】
また、第1の実施形態に係る電池100の製造方法では、第2扁平化工程で正極第2圧縮予定部172,負極第2圧縮予定部272を圧縮変形して正極扁平電極接続部173,負極扁平電極接続部273等を形成した。そして、この後、第1扁平化工程で正極第1圧縮予定部162,負極第1圧縮予定部262を圧縮変形させて正極扁平端子部163,負極扁平端子部263を形成した。
しかしながら、第1扁平化工程と第2扁平化工程との順序は、逆に、第1扁平化工程の後に第2扁平化工程を実施しても良く、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1の実施形態に係る電池を示す斜視図である。
【図2】図1のA―A矢視断面図である。
【図3】図1のB―B矢視断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る電池に用いた正極端子部材(負極端子部材)を示す斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る電池を連結して構成された電池モジュールの一部を示す斜視図である。
【図6】図5のC―C矢視断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る電池モジュールに用いたバスバを示す斜視図である。
【図8】第1の実施形態に係る電池の正極端子部材(負極端子部材)を成形するまでの各工程のうち、第2扁平化工程を実施する前の状態を説明するための説明図である。
【図9】第1の実施形態に係る電池の正極端子部材(負極端子部材)を成形するまでの各工程のうち、第2扁平化工程を説明するための説明図である。
【図10】第1の実施形態に係る電池の正極端子部材(負極端子部材)を成形するまでの各工程のうち、第1扁平化工程を説明するための説明図である。
【図11】第1の実施形態に係る電池の正極端子部材(負極端子部材)を成形するまでの各工程のうち、貫通孔形成工程を説明するための説明図である。
【図12】第2の実施形態に係る電池を示す斜視図である。
【図13】第2の実施形態に係る電池を連結して構成された電池モジュールの一部を示す斜視図である。
【図14】第3の実施形態に係る車両を示す斜視図である。
【図15】第3の実施形態に係る車両に搭載されたバッテリパックを示す斜視図である。
【図16】変形例に係る電池の負極端子部材を示す斜視図である。
【0095】
1 車両
100,300 電池
110 ケース部材
111 電池容器本体
115 封口蓋
120 発電要素
133 正電極板固着部
233 負電極板固着部
160 正極端子部材(端子部材)
161 正極端子露出部(端子露出部)
162 正極第1圧縮予定部(第1圧縮予定部)
163 正極扁平端子部(扁平端子部)
163H 貫通孔
163a 表扁平面
163b 裏扁平面
164a (表扁平面の)中央部分
164b (裏扁平面の)中央部分
165 正極封止部(封止部)
DP1 第1特定方向
171 正極ケース内配置部(ケース内配置部)
172 正極第2圧縮予定部(第2圧縮予定部)
173 正極扁平電極接続部(扁平電極接続部)
DP2 第2特定方向
178 円筒状部材(金属材)
260,360 負極端子部材(端子部材)
261 負極端子露出部(端子露出部)
262 負極第1圧縮予定部(第1圧縮予定部)
263,363 負極扁平端子部(扁平端子部)
263H 貫通孔
263a,363a 表扁平面
263b 裏扁平面
264a (表扁平面の)中央部分
264b (裏扁平面の)中央部分
271 負極ケース内配置部(ケース内配置部)
272 負極第2圧縮予定部(第2圧縮予定部)
273 負極扁平電極接続部(扁平電極接続部)
278 円筒状部材(金属材)
200 バスバ(外部接続端子)
211 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電要素と、
上記発電要素を内部に収容してなるケース部材と、
金属からなり、上記ケース部材内で、上記発電要素の一方の電極と接続してなる一方、上記ケース部材の外部まで延出してなる端子部材と、を備える
電池であって、
上記端子部材のうち、上記ケース部材の外部に露出する端子露出部は、
円筒状の第1圧縮予定部を自身の端子部軸線に直交する第1特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなる扁平端子部を含む
電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記扁平端子部は、
表裏二面の扁平面を有し、上記二面の扁平面は、その前記端子部軸線に直交する断面が、いずれも外側に突出する弧状とされ、
上記二面の扁平面が幅方向の両端で互いに近接すると共に、上記幅方向の中央部分で互いに離間してなる形態を有し、
上記二面の扁平面の上記中央部分をそれぞれ貫通してなり、外部接続端子との接続のためのボルトを挿通させる貫通孔を含む
電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2の記載の電池であって、
前記端子部材は、
前記ケース部材と直接または間接に密着して、上記ケース部材との間を封止してなる封止部を有し、
上記端子部材のうち、少なくとも、上記封止部から前記扁平端子部までは、一体の部材であって、
前記第1圧縮予定部を変形させる前の状態において、上記端子部材のうち、少なくとも、上記封止部から上記第1圧縮予定部までが、
円筒状とされた部材を用いてなる
電池。
【請求項4】
請求項3に記載の電池であって、
前記端子部材は、
前記ケース部材内に位置するケース内配置部を有し、
上記ケース内配置部は、
円筒状の第2圧縮予定部を自身の端子部軸線に直交する第2特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなり、前記発電要素の一方の電極と接続してなる扁平電極接続部を含み、
上記端子部材のうち、少なくとも、上記扁平電極接続部から前記扁平端子部までは、一体の部材であって、
前記第1圧縮予定部及び上記第2圧縮予定部を変形させる前の状態において、少なくとも上記第2圧縮予定部から上記第1圧縮予定部までが、
円筒状とされた部材を用いてなる
電池。
【請求項5】
発電要素と、
上記発電要素を内部に収容してなるケース部材と、
円筒状の金属材を成形してなる端子部材であって、
上記ケース部材の外部に位置し、上記端子部材の一部を、自身の端子部軸線に直交する第1特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなる扁平端子部、及び、
上記ケース部材内に配置され、上記端子部材の他の一部を、上記端子部軸線に直交する第2特定方向に圧縮変形して、上記端子部軸線に直交する断面を扁平状にしてなり、上記発電要素の一方の電極と接続してなる扁平電極接続部を含む
端子部材と、を備える
電池。
【請求項6】
請求項5に記載の電池であって、
前記端子部材は、
円環状で、前記ケース部材と直接または間接に密着して、上記ケース部材との間を封止してなる封止部を有する
電池。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電池を搭載してなる車両。
【請求項8】
発電要素と、
上記発電要素を内部に収容してなるケース部材と、
金属からなり、上記ケース部材内で、上記発電要素の一方の電極と接続してなる一方、上記ケース部材の外部まで延出してなる端子部材と、を備え、
上記端子部材のうち、上記ケース部材の外部に露出する端子露出部は、
自身の端子部軸線に直交する断面が扁平状である扁平端子部を含む
電池の製造方法であって、
円筒状の第1圧縮予定部を上記端子部軸線に直交する第1特定方向に圧縮変形して、上記扁平端子部を形成する第1扁平化工程を
有する
電池の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電池の製造方法であって、
前記第1扁平化工程では、
前記扁平端子部を、
表裏二面の扁平面の前記端子部軸線に直交する断面が、いずれも外側に突出する弧状として、
上記二面の扁平面が幅方向の両端で近接すると共に、上記幅方向の中央部分で互いに離間してなる形態に成形し、
上記第1扁平化工程の後に、上記二面の扁平面の上記中央部分に、外部接続端子との接続のためのボルトを挿通させる貫通孔を形成する貫通孔形成工程を有する
電池の製造方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の電池の製造方法であって、
前記端子部材は、
前記ケース部材内に位置するケース内配置部を有し、
上記ケース内配置部は、
自身の端子部軸線に直交する断面が扁平状であり、前記発電要素の一方の電極と接続してなる扁平電極接続部を含み、
円筒状の第2圧縮予定部を上記端子部軸線に直交する第2特定方向に圧縮変形して、上記扁平電極接続部を形成する第2扁平化工程を有する
電池の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−98012(P2008−98012A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279241(P2006−279241)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】