説明

高放熱型電子部品収納用パッケージ

【課題】メタライズ膜とセラミック枠体の接合強度が高いと共に、セラミック枠体の反りの発生を防止でき、メタライズ膜とNiめっき被膜の界面強度が高く、接合体の接合信頼性の高い高放熱型電子部品収納用パッケージを提供する。
【解決手段】ヒートシンク板11と、セラミック枠体12と、外部接続端子13を有する高放熱型電子部品収納用パッケージ10において、ヒートシンク板11と外部接続端子13に接合するセラミック枠体12の当接部分に設けられるメタライズ膜14が第1と第2のメタライズ膜14a、14bの2層構造からなり、セラミック枠体12に設けられる第1のメタライズ膜14aがW、Mo、又はこれらの両方を含む高融点金属にセラミック枠体12を構成するセラミック粉末を含有してなり、この上面に設けられる第2のメタライズ膜14bがセラミック粉末を含有しない高融点金属からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波用等の半導体素子や、コンデンサ等の電子部品を載置でき、この電子部品からの高発熱を放熱させるためのヒートシンク板と、電子部品を囲繞できるようにしてヒートシンク板に接合し、電子部品を気密に封止させるための窓枠状のセラミック枠体と、このセラミック枠体に接合して電子部品と外部との電気的導通状態を形成するための外部接続端子を備える高放熱型電子部品収納用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、RF(Radio Frequency)基地局用等のシリコンや、ガリウム砒素電界効果トランジスタ等の高周波、高出力の半導体素子や、この半導体素子の近傍に同時に実装されるコンデンサ等の電子部品は、作動時の発熱が大きいので、発生する熱を大気中に良好に放散させなければ、装置を正常に作動させることができなくなる恐れがある。そこで、発熱量の大きい電子部品を実装するための高放熱型電子部品収納用パッケージは、電子部品の高周波の領域での電気特性を悪化させないために、電子部品を搭載するための領域が、略長方形状をした高放熱特性を有する金属板からなるヒートシンク板上にセラミック製窓枠状のセラミック枠体の一方の主面を接合し電子部品を囲繞できるようにして搭載領域を形成している。そして、電子部品が搭載される高放熱型電子部品収納用パッケージは、セラミック枠体の他方の主面である上面に接合された外部接続端子を介して電子部品との高周波信号の入出力ができるようにしている。また、高放熱型電子部品収納用パッケージは、電子部品が実装された後、セラミック枠体、及びセラミック枠体に接合された外部接続端子の上面部分に蓋体を接合することで搭載領域内の電子部品を気密に封止するようになっている。
【0003】
図3(A)、(B)に示すように、従来の高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、ヒートシンク板51にセラミックと熱膨張係数が近似し、しかも熱伝導率の高い、例えば、クラッド状に貼り合わせたCu(銅)/Cu−Mo(モリブデン)/Cu等のような接合金属板や、ポーラス状のW(タングステン)にCuを含浸させたCu−W等のような複合金属板等を用いている。また、高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、セラミック枠体52に熱伝導率の比較的高いAl(アルミナ)等からなるセラミック基材を用いている。更に、高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、外部接続端子53にセラミックと熱膨張係数が近似するFe(鉄)−Ni(ニッケル)−Co(コバルト)系合金や、Fe−Ni系合金等からなる金属板を用いている。
【0004】
この高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、セラミック枠体52の一方の主面側の全面にW、Mo、あるいはこれら両方を含むメタライズ膜54と、他方の主面側の外部接続端子53が当接される面にW、Mo、あるいはこれら両方を含むメタライズ膜54aが形成されている。そして、高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、ヒートシンク板51と、セラミック枠体52の一方の主面側のメタライズ膜54に形成されたNiめっき被膜55との間をAg(銀)Cuろう等のろう材56で接合している。また、高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、外部接続端子53と、セラミック枠体52の他方の主面側のメタライズ膜54aに形成されたNiめっき被膜55aとの間をAgCuろう等のろう材56aで接合している。接合後の高放熱型電子部品収納用パッケージ50には、外部に露出するヒートシンク板51とセラミック枠体52及び外部接続端子53の金属表面にNi及びAu(金)めっき被膜(図示せず)を施している。また、高放熱型電子部品収納用パッケージ50には、ヒートシンク板51の長手方向の両端部にヒートシンク板51からの熱を更に外部に放熱させるための基台にねじ止めして固定するための切り欠きや、貫通孔等からなる取付部57を設けている。
【0005】
上記の高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、セラミック枠体52と、ヒートシンク板51や外部接続端子53の金属部材とをAgCuろう56、56aで接合させるためにセラミック枠体52と、これに設けられるメタライズ膜54、54aとの接合強度を確保することが必要となっている。そこで、セラミック枠体52に設けられるメタライズ膜54、54aは、W粒径や、Mo粒径を粗くして、セラミック基材とこれと同時焼成して形成される高融点金属とのアンカー効果が高められるようにしたり、メタライズ膜54、54a自体の厚みを厚くしてAgCuろう56、56aとの応力緩和が計れるようにしている。
【0006】
しかしながら、上記のセラミック枠体52は、メタライズ膜54、54aのW粒径や、Mo粒径を粗くしたり、メタライズ膜54、54aの厚みを厚くするとセラミック基材と高融点金属の同時焼成時の収縮差によって反りが発生し易くなるという問題がある。そして、このようなセラミック枠体52を用いる高放熱型電子部品収納用パッケージ50は、ヒートシンク板51や、外部接続端子53のAgCuろう56,56aを介しての接合に接合信頼性の低下が発生するという問題がある。これを改善させるために、セラミック枠体52は、焼成前のメタライズ中にセラミック枠体52を構成するセラミック基材、例えば、Alからなるセラミック粉末を添加させ、同時焼成時のメタライズの焼結タイミングをセラミックの焼結タイミングに近付けるようにして収縮差を小さくし反りの発生を抑えるようにしている。
【0007】
金属部材とろう材を介して接合するためのセラミック部材には、セラミック焼成体であるセラミック基板表面に当接してMo及びNiを含有する下層のメタライズ膜を備えると共に、このメタライズ膜上面に中間層を介して又は中間層を介さずに、Niと、Cu又はMn(マンガン)とを含有する上層の合金層を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−336055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述したような従来の高放熱型電子部品収納用パッケージは、次のような問題がある。
(1)焼成前のメタライズ中にセラミック枠体を構成するセラミック基材、例えば、Alからなるセラミック粉末を添加させて形成したメタライズ膜は、メタライズ膜の表面にセラミック粒子が外部に露出する部分が存在することとなる。このようなメタライズ膜の上面にNiめっき被膜を形成する場合には、大きなセラミック粒子の外部に露出する部分がNiめっき被膜の存在しないピンホールや、全体としての大、小多くのセラミック粒子の外部への露出によってメタライズ膜とNiめっき被膜との界面強度の低下が発生している。
(2)特開2005−336055号公報で開示されるセラミック部材は、例え、これに設けられるNiめっき被膜を必要としないメタライズ膜と、金属部材との間でろう材を介しての接合が可能であっても、メタライズ膜がセラミック焼成体の表面に焼き付けるものであり、セラミックと高融点金属を同時焼成するものではないので、高熱が発生する電子部品からの激しい熱歪みに耐えることができる充分な接合強度ではなく、接合信頼性の低いものとなっている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、メタライズ膜とセラミック枠体の接合強度が高いと共に、セラミック枠体の反りの発生を防止でき、メタライズ膜とNiめっき被膜の界面強度が高く、ヒートシンク板及び外部接続端子とセラミック枠体との接合信頼性の高い高放熱型電子部品収納用パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的に沿う本発明に係る高放熱型電子部品収納用パッケージは、載置する電子部品からの発熱を放熱させるためのヒートシンク板と、ヒートシンク板の電子部品の搭載領域を囲繞できるように一方の主面を接合して電子部品を中空状態に気密封止を可能とするための窓枠状のセラミック枠体と、セラミック枠体の他方の主面の接合部に接合して電子部品と外部との電気的導通を可能とするための金属板からなる外部接続端子を有する高放熱型電子部品収納用パッケージにおいて、ヒートシンク板と外部接続端子にろう材を介して接合するセラミック枠体の当接部分に設けられるメタライズ膜がセラミックと同時焼成して形成される第1と第2のメタライズ膜の2層構造からなり、セラミック枠体に当接して設けられる第1のメタライズ膜がW、Mo、又はこれらの両方を含む高融点金属にセラミック枠体を構成するセラミック粉末を含有してなり、第1のメタライズ膜の上面に設けられる第2のメタライズ膜がセラミック粉末を含有しない高融点金属からなる。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の高放熱型電子部品収納用パッケージは、ヒートシンク板と外部接続端子にろう材を介して接合するセラミック枠体の当接部分に設けられるメタライズ膜がセラミックと同時焼成して形成される第1と第2のメタライズ膜の2層構造からなり、セラミック枠体に当接して設けられる第1のメタライズ膜がW、Mo、又はこれらの両方を含む高融点金属にセラミック枠体を構成するセラミック粉末を含有してなり、第1のメタライズ膜の上面に設けられる第2のメタライズ膜がセラミック粉末を含有しない高融点金属からなるので、2層構造の内のセラミック粉末を含有する第1のメタライズ膜によってセラミックと高融点金属の同時焼成時の焼結タイミングを近似させることができ、メタライズ膜とセラミックの接合強度を確保しながらセラミック枠体の反りの発生を抑制することができる。また、この高放熱型電子部品収納用パッケージは、2層構造の内のセラミック粉末を含有しない第2のメタライズ膜によって表面にセラミック粒子の外部への露出をなくしてメタライズ膜とNiめっき被膜との界面強度の低下を防止できる。更に、この高放熱型電子部品収納用パッケージは、セラミック枠体の反りの発生を防止できることで、セラミック枠体をヒートシンク板に、また、外部接続端子をセラミック枠体に正確に接合することができ、接合信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る高放熱型電子部品収納用パッケージの平面図、A−A’線縦断面図である。
【図2】同高放熱型電子部品収納用パッケージに電子部品が実装される状態の説明図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ従来の高放熱型電子部品収納用パッケージの平面図、B−B’線縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る高放熱型電子部品収納用パッケージ10は、載置する電子部品21(図2参照)から発生する高温、且つ大量の熱を放熱させるための高放熱特性を備えた略長方形板状の金属板からなるヒートシンク板11を有している。電子部品21には、例えば、RF基地局用のシリコンや、ガリウム砒素電界効果トランジスタ等の高周波、高出力の半導体素子や、この近傍に併設して実装されるコンデンサ等がある。そして、電子部品21は、これから発生する高温、且つ大量の発熱をヒートシンク板11上に直接載置接合させることで速やかに外部に放熱させることができるようにし、電子部品21の高周波の領域での電気特性の悪化を防止できるようにしている。このヒートシンク板11には、熱膨張係数をセラミックの熱膨張係数と近似させ、熱伝導率の高い高放熱特性を有する、例えば、ポーラス状のWにCuを含浸させたりして作製されるCu−W系の複合金属板や、CuとMoからなるCu−Mo系の合金金属板や、Cu−Mo系複合金属板の両面にCu板をクラッドしたCu/Cu−Mo/Cu等の接合金属板等を用いている。
【0014】
なお、ヒートシンク板11は、放熱特性を向上させるために、熱伝導率の優れるCuの比率を高めたものを用いることが有効であるが、Cuは熱膨張係数が高いので、後述するセラミック枠体12との熱膨張係数の整合性を図るためのCu以外の材料選定や、Cuと他の金属との板材としての構造が重要となる。そして、ヒートシンク板11は、切削加工や、粉末冶金等の手法を用いて、実質的に長方形状に形成されている。なお、因みに、ヒートシンク板11がCu−Wの場合は、熱伝導率が220W/m・K程度、熱膨張係数が7.8×10−6/K(30〜800℃)程度であり、Cu/Cu−Mo/Cu(厚さ比率=2:3:2)の場合は、熱伝導率が260W/m・K程度、熱膨張係数が9.2×10−6/K(30〜800℃)程度であるので、接合体の許容反りと許容放熱特性に合わせて材料の選定がなされている。
【0015】
また、この高放熱型電子部品収納用パッケージ10は、電子部品21の搭載領域が囲繞できるようにヒートシンク板11の上面に、一方の主面をろう材、例えば、BAg−8(Agが72%と、残部がCuからなる共晶合金)等のAgCuろうで接合して電子部品21を中空状態に気密封止を可能とするための窓枠状のセラミック枠体12を有している。この高放熱型電子部品収納用パッケージ10には、ヒートシンク板11とセラミック枠体12との接合によって、セラミック枠体12の窓枠状の内周側壁面と、ヒートシンク板11の上面とで電子部品21を搭載するための搭載領域が形成されている。このセラミック枠体12には、通常、熱伝導率が比較的高く放熱性のあるAl(アルミナ)や、AlN(窒化アルミニウム)等からなるセラミックが用いられている。
【0016】
このセラミック枠体12がセラミックの一例であるAlからなる場合には、先ず、Al粉末にマグネシア、シリカ、カルシア等の焼結助剤を適当量加えた粉末に、ジオクチルフタレート等の可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダー、及びトルエン、キシレン、アルコール類等の溶剤を加え、十分に混練し、脱泡して粘度2000〜40000cpsのスラリーを作製している。次いで、このスラリーからは、ドクターブレード法等によって、例えば、厚み0.25mmのロール状のシートを形成し、適当なサイズの矩形状に切断したセラミックグリーンシートを作製している。そして、セラミック枠体12は、このセラミックグリーンシートに導体印刷パターンを形成し、窓枠状になるように成形した後、焼成して形成されるようになっている。
【0017】
上記の高放熱型電子部品収納用パッケージ10は、セラミック枠体12の他方の主面である上面の接合部にろう材、例えば、BAg−8等のAgCuろうで接合して、電子部品21と外部との電気的導通を可能とするための金属板からなるリードフレーム形状の外部接続端子13を有している。この外部接続端子13には、KV(Fe−Ni−Co系合金、商品名「Kovar(コバール)」)や、42アロイ(Fe−Ni系合金)等のセラミックと熱膨張係数が近似する金属部材からなり、切削加工や、エッチング加工や、打ち抜き加工等で1つの高放熱型電子部品収納用パッケージ10に設ける複数の外部接続端子13をタイバー部で支え持つようにしたリードフレーム形状に形成されている。なお、因みに、KVの熱膨張係数は、5.3×10−6/K程度であり、セラミックの熱膨張係数、例えば、Alの熱膨張係数の6.7×10−6/K程度に近似させている。
【0018】
本発明の一実施の形態に係る高放熱型電子部品収納用パッケージ10には、ヒートシンク板11と外部接続端子13にろう材を介して接合するセラミック枠体12の当接部分にセラミックと同時焼成して形成されるメタライズ膜14が2層構造で設けられている。この2層構造のメタライズ膜14は、セラミック枠体12に当接して設けられる第1のメタライズ膜14aと、第1のメタライズ膜14aの上面に設けられる第2のメタライズ膜14bからなっている。第1のメタライズ膜14aは、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、又はこれらの両方を含む高融点金属にセラミック枠体12を構成するセラミック粉末を含有した形態からなっている。この第1のメタライズ膜14aは、これに含有するセラミック粉末の平均粒径が1.0〜3.0μm程度で、高融点金属に外掛けで15〜25wt%程度添加させて形成されている。一方、第2のメタライズ膜14bは、第1のメタライズ膜14aに含有する上記のセラミック粉末を含有しない高融点金属のみからなっている。第1のメタライズ膜14aと第2のメタライズ膜14bがWと、Moの両方を含む高融点金属の場合には、通常、これらの混合比率がWを95〜97wt%、Moを3〜5wt%として形成されている。
【0019】
第1のメタライズ膜14a、及び第2のメタライズ膜14bの形成は、セラミック枠体12を形成するためのセラミックグリーンシートにW、Mo、又はこれらの両方を含む高融点金属にセラミック枠体12を構成するセラミック粉末を含有する導体ペーストを用いてスクリーン印刷して、先ず、第1のメタライズ膜14a用の導体印刷パターンを形成している。次いで、この第1のメタライズ膜14a用の導体印刷パターンの上面には、セラミック枠体12を構成するセラミック粉末を含有しないW、Mo、又はこれらの両方を含む高融点金属からなる導体ペーストを用いてスクリーン印刷して、第2のメタライズ膜14b用の導体印刷パターンを形成している。次いで、セラミックグリーンシート、高融点金属、及びセラミック粉末を含有する高融点金属は、還元雰囲気中の1500〜1600℃程度の高温で同時焼成して、第1のメタライズ膜14a、及び第2のメタライズ膜14bを備えたセラミック枠体12を形成している。
【0020】
なお、第1のメタライズ膜14a用、及び第2のメタライズ膜14b用の導体印刷パターンは、外形が同一の形状からなり、ヒートシンク板11と接合させる側の導体印刷パターンをセラミック枠体12の一方の主面の全面に形成している。また、外部接続端子13を接合させる側の導体印刷パターンは、それぞれの外部接続端子13が電気的に短絡しないようにそれぞれが独立して外部接続端子13の接合部分に形成している。また、第1のメタライズ膜14a用、及び第2のメタライズ膜14b用の導体印刷パターンの厚みは、通常、第1のメタライズ膜14a用を20〜30μm、第2のメタライズ膜14b用を15〜25μm程度としている。
【0021】
第1のメタライズ膜14a、及び第2のメタライズ膜14bが形成されたセラミック枠体12は、第2のメタライズ膜14bの表面にNiや、NiCo等からなるNiめっき被膜15が形成された後、ヒートシンク板11や、外部接続端子13との間にAgCuろう等からなるろう材16を介して約780〜900℃で加熱してろう付け接合している。このヒートシンク板11とセラミック枠体12のろう付け接合と、セラミック枠体12と外部接続端子13のろう付け接合は、同時に行ってもよいし、それぞれを個別に行ってもよい。そして、図示しないが、ヒートシンク板11と、セラミック枠体12、及び外部接続端子13の接合体には、外部に露出する金属部分に、Niや、NiCo等からなるNiめっき被膜、及びNiめっき被膜の上面にAuめっき被膜が形成されて高放熱型電子部品収納用パッケージ10としている。なお、この高放熱型電子部品収納用パッケージ10は、ヒートシンク板11の長手方向の両端部に、基台(図示せず)等にねじ止め等して取り付けるための切り欠きや、貫通孔等からなる取付部17を有している。
【0022】
図2に示すように、高放熱型電子部品収納用パッケージ10は、搭載領域のヒートシンク板11の上面に電子部品21が接合され、電子部品21と外部接続端子13とがボンディングワイヤ22等で接続された後、樹脂や、セラミックや、金属等からなる蓋体23を樹脂や、ガラス等の接着材24で接着して電子部品21が中空状態で気密に封止されて、例えば、高周波用モジュール基板20等を形成している。この高周波用モジュール基板20は、電子部品21からの発熱をヒートシンク板11に放熱し、更に、外部に放熱させるための基台に、ヒートシンク板11に設けられている取付部17にねじ25を挿通させてねじ止めして固定される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の高放熱型電子部品収納用パッケージは、シリコンや、ガリウム砒素電界効果トランジスタ等の高周波、高出力で放熱性を考慮した薄型の半導体素子や、コンデンサ等の電子部品を実装して気密に封止した高周波用モジュール基板とし、例えば、RF(Radio Frequency)基地局用等のために用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
10:高放熱型電子部品収納用パッケージ、11:ヒートシンク板、12:セラミック枠体、13:外部接続端子、14:メタライズ膜、14a:第1のメタライズ膜、14b:第2のメタライズ膜、15:Niめっき被膜、16:ろう材、17:取付部、20:高周波用モジュール基板、21:電子部品、22:ボンディングワイヤ、23:蓋体、24:接着材、25:ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置する電子部品からの発熱を放熱させるためのヒートシンク板と、該ヒートシンク板の前記電子部品の搭載領域を囲繞できるように一方の主面を接合して前記電子部品を中空状態に気密封止を可能とするための窓枠状のセラミック枠体と、該セラミック枠体の他方の主面の接合部に接合して前記電子部品と外部との電気的導通を可能とするための金属板からなる外部接続端子を有する高放熱型電子部品収納用パッケージにおいて、
前記ヒートシンク板と前記外部接続端子にろう材を介して接合する前記セラミック枠体の当接部分に設けられるメタライズ膜がセラミックと同時焼成して形成される第1と第2のメタライズ膜の2層構造からなり、前記セラミック枠体に当接して設けられる前記第1のメタライズ膜がW、Mo、又はこれらの両方を含む高融点金属に前記セラミック枠体を構成するセラミック粉末を含有してなり、前記第1のメタライズ膜の上面に設けられる前記第2のメタライズ膜が前記セラミック粉末を含有しない前記高融点金属からなることを特徴とする高放熱型電子部品収納用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−35340(P2011−35340A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183034(P2009−183034)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(391039896)株式会社住友金属エレクトロデバイス (276)
【Fターム(参考)】