説明

高温イオン注入装置、および高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する方法

【課題】イオン注入ターゲットチャンバの現在温度、圧力を維持しながら、ウェハプレートをロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に連続して搬入する装置、方法を提供する。
【解決手段】半導体デバイス製造装置は、ロードロックチャンバ105と、ロードロックチャンバ内の搬入アセンブリ125と、ロードロックチャンバに気密封止して連結されたイオン注入ターゲットチャンバ120とを含む。ロードロックチャンバには、複数のウェハプレート110が格納される。各ウェハプレートは、その上に少なくとも1つの半導体ウェハ115を含む。イオン注入ターゲットチャンバは、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハ中にイオン種を注入するように構成される。搬入アセンブリは、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを、ロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、半導体デバイスに関し、より詳細には、半導体デバイスを製造するためのイオン注入装置、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入(ion implantation)は、ウェハに特定のドーパントを加えることによって、半導体ウェハの電子的特性を変化させるために使用することができる半導体デバイス製造技術である。より詳細には、従来のイオン注入では、ウェハ中に注入すべき所望のイオン種をイオン化し、所定の運動エネルギーまで加速させ、イオンビームとして、イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入された半導体ウェハの表面に向けて当てることができる。この所定の運動エネルギーに基づいて、所望のイオン種を半導体ウェハ中にある深さまで浸透させることができる。このように、イオンを半導体ウェハ中に埋め込む(すなわち、注入する)ことができ、それによって、半導体ウェハの電気的特性を変えることができる。
【0003】
いくつかの材料では、比較的高温(例えば、1800℃まで)でのイオン注入によって、損傷回復、構造改変、化学反応の増大、および/または注入元素の拡散強化などのいくつかの利点を実現することができる。例えば、炭化ケイ素(SiC)基板中への高温イオン注入は、室温でのイオン注入に比べて、注入種の活性化効率の向上、注入層のシート抵抗の低下、キャリヤ移動度の高速化、および/または、炭化ケイ素基板に対する損傷の低減を実現することができる。イオン注入は、通常、真空で実施されるので、比較的高い温度を実現するために、いくつかの方法が使用されている。例えば、タングステンワイヤおよび/またはグラファイトフィルムなどの抵抗発熱体を用いて、イオン注入ターゲットチャンバ内のかかる温度上昇を実現することができる。また、タングステンランプを用いてイオン注入ターゲットチャンバ内の温度を上昇させることもできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体ウェハ製造では、半導体ウェハは、イオン注入チャンバに隣接するロードロックチャンバ内のウェハ保持プレート上に格納することができる。各ウェハ保持プレートは、その上にある1つ(または複数)の半導体ウェハ中にイオン注入するために、ロードロックチャンバからイオン注入チャンバ内に個々に搬入(load)することができ、イオン注入が完了すると、ロードロックチャンバ内に搬出(unload)して戻すことができる。したがって、現在あるウェハプレートを搬出し、次のウェハプレートをチャンバ内に搬入するには、イオン注入ターゲットチャンバを開ける必要が生じ得る。より詳細には、チャンバ圧力および温度を降下させて現在あるウェハプレートを搬出し、次のウェハプレートを搬入し、次いで次のウェハプレート上にある半導体ウェハ中に注入するために所望の圧力および/または温度まで再び上昇させることとなり得る。これは、時間のかかる工程となり得、イオン注入システムのスループット時間に影響を及ぼし得る。
【0005】
また、従来のイオン注入システムにおける、比較的高温でのイオン注入では、石英(quartz)ウェハ保持プレートを用いて半導体ウェハを保持することができる。半導体ウェハは、石英ロッドから形成されたクリップによって石英ウェハ保持プレートに取り付けることができる。しかし、この石英クリップは、石英プレートを溶融させることによって石英プレートに取り付けられることがあり、その結果、石英プレートに反りが生じ得る。また、石英クリップは、注入すべき半導体ウェハのかなりの領域をマスクするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、半導体デバイス製造装置は、ロードロックチャンバ(load lock chamber)と、ロードロックチャンバ内の搬入アセンブリと、ロードロックチャンバに気密封止して連結されたイオン注入ターゲットチャンバとを含む。ロードロックチャンバは、複数のウェハプレートを格納するように構成されている。各ウェハプレートは、その上に少なくとも1つの半導体ウェハをそれぞれ含む。イオン注入ターゲットチャンバは、その中に現在搬入されている、複数のウェハプレートの1つの上にある半導体ウェハ中にイオン種を注入するように構成されている。搬入アセンブリはまた、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを、ロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成されている。例えば、搬入アセンブリは、イオン注入ターゲットチャンバ内の基準点となる現在温度をほぼ維持しながら、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを、ロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成することができる。また、この搬入アセンブリは、イオン注入ターゲットチャンバを減圧せずに、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを搬入するように構成することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、搬入アセンブリはさらに、イオン注入ターゲットチャンバの温度および/または圧力をほぼ維持しながら、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートを、イオン注入ターゲットチャンバからロードロックチャンバ内に搬出するように構成することができる。搬入アセンブリは、その上にある半導体ウェハ中へのイオン種の注入に応答して、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートを搬出するように構成することができる。
【0008】
他の実施形態では、イオン注入ターゲットチャンバは、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある半導体ウェハ中に、第1の所望のイオン種を注入するように構成することができる。さらに、イオン注入ターゲットチャンバは、その中への、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートの搬入に応答して、その複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートの上にある半導体ウェハ中に、第2の所望のイオン種を注入するように構成することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、半導体デバイス製造装置はまた、ロードロックチャンバ内に、複数のウェハプレートを保持するように構成されたカセットを含むことができる。より詳細には、このカセットは、複数のウェハプレートのそれぞれを保持するように構成された複数の溝(grooves)を含むことができる。これら複数の溝は、カセットから複数のウェハプレートを搬入かつ/または搬出しやすくするように構成された摩擦の少ない表面で被覆することができる。
【0010】
他の実施形態では、半導体デバイス製造装置は、ロードロックチャンバ内にカセット前進アセンブリ(cassette advancing assembly)をさらに含むことができる。このカセット前進アセンブリは、複数のウェハプレートを搬入アセンブリに連続して供給するように構成することができる。より詳細には、このカセット前進アセンブリは、第1の軸に沿ってカセットを移動させて、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを搬入アセンブリに供給するように構成されたカセット移動アーム(cassette movement arm)を含むことができる。さらに、この搬入アセンブリは、細長い搬入アーム(elongated loading arm)を含むことができる。この細長い搬入アームは、第1の軸にほぼ垂直な第2の軸に沿って移動して、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを、ロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ロードロックチャンバは、細長い搬入アームを収容するように構成された第1の細長い部分と、カセット移動アームを収容するように構成された第2の細長い部分とを含むことができる。ロードロックチャンバの外側の、その第1および/または第2の細長い部分に隣接する少なくとも1つの磁石は、細長い搬入アームおよび/またはカセット移動アームを磁気的に作動させて、イオン注入ターゲットチャンバを減圧せずにそれらのアームを移動させることが可能となるように構成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、ロードロックチャンバは、イオン注入ターゲットチャンバの現在温度に基づいて、その中の複数のウェハプレートのうちの少なくとも次のウェハプレートの予熱を可能とするように構成することができる。例えば、ロードロックチャンバは、ウェハプレートの1つまたは複数を予熱するように構成された発熱体(heating element)をその中に含むことができる。
【0013】
他の実施形態では、複数のウェハプレートのうちの少なくとも1つは、その上にある少なくとも1つの半導体ウェハの下に、そこを貫通して延びる開口を含むことができる。この開口は、少なくとも1つの半導体ウェハの寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法(dimension)を有することができる。さらに、イオン注入ターゲットチャンバは、その中に現在搬入されている、複数のウェハプレートのうちの1つの上にある半導体ウェハを、その複数のウェハプレートのうちの1つの開口から加熱するように構成された発熱体を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数のウェハプレートのうちの少なくとも1つは、その中の開口の外周に隣接する複数の孔と、それらの複数の孔のそれぞれからそれぞれ延びる複数のワイヤクリップ(wire clips)とをさらに含むことができる。複数のワイヤクリップは、少なくとも1つの半導体ウェハを、開口に隣接してウェハプレートに取外し可能に取り付けるように構成することができる。
【0015】
他の実施形態では、搬入アセンブリは、そこから延びる鍵部を有する細長いアームを含むことができ、複数のウェハプレートのうちの少なくとも1つは、その一端に、搬入アセンブリの鍵部と対合可能に嵌合する(matably interface)ように適合された鍵穴を含むことができる。したがって、搬入アセンブリの細長いアームは、そこから延びる鍵部を鍵穴中に係止させて、複数のウェハプレートのうちの少なくとも1つを細長いアームに固定するように回転可能とすることができる。こうすることによって、複数のウェハプレートのうちの少なくとも1つを、イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入しやすくすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、半導体デバイス製造装置はまた、イオン注入ターゲットチャンバの壁に窓を含むことができる。この窓は、イオン注入ターゲットチャンバ内の、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある半導体ウェハの熱放射率の測定を十分可能とする透明度を有することができる。例えば、この窓は、約8ミクロン波長までの範囲の赤外光に対して透明度を有するフッ化カルシウム(CaF2)で形成することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、半導体デバイス製造装置は、その上に半導体ウェハを保持するように構成されたウェハ保持プレートと、ウェハ保持プレートに取外し可能に取り付けられた複数のクリップとを含む。これらの複数のクリップは、半導体ウェハをウェハ保持プレートに取外し可能に取り付けるように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、ウェハ保持プレートは、その上にある半導体ウェハの外周に隣接する複数の孔をその中に含むことができる。複数のクリップは、それらの複数の孔のそれぞれからそれぞれ延びることができる。ウェハ保持プレートは、第1の材料で形成することができ、複数のクリップは、第1の材料よりも優れた可撓性(flexibility)を有する第2の材料で形成することができる。例えば、ウェハ保持プレートは、石英プレートとすることができ、複数のクリップは、タンタル(Ta)ワイヤクリップとすることができる。
【0019】
他の実施形態では、複数のクリップは、半導体ウェハとの熱接触および/または化学反応を低減するように寸法設定し、構成することができる。例えば、複数のクリップは、約0.5mm未満の直径を有する複数のワイヤクリップとすることができる。さらに、複数の孔は、複数のクリップのそれぞれについて少なくとも2つの孔を含むことができ、複数のワイヤクリップは、それらの少なくとも2つの孔を通り抜けて、それらの複数のワイヤクリップをウェハ保持プレートに固定するようにそれぞれ構成することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の孔は、半導体ウェハの外周に隣接する第1および第2の孔を含むことができる。第1および第2の孔は、半導体ウェハの中心に対して約180度未満で離隔させることができる。
【0021】
他の実施形態では、複数の孔は、半導体ウェハの外周に隣接する第1、第2、および第3の孔を含むことができる。第1および第2の孔は、半導体ウェハの中心に対して約180度離隔させることができる。第3の孔は、第1の孔と第2の孔との間とすることができ、それらの孔から、半導体ウェハの中心に対して約90度それぞれ離隔させることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、ウェハ保持プレートは、半導体ウェハの下に、そこを貫通して延びる開口をさらに含むことができる。この開口は、半導体ウェハの寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法を有することができる。ウェハ保持プレート中のこの開口は、そこから半導体ウェハを直接加熱することが可能となるように寸法設定し、構成することができる。例えば、ウェハ保持プレートの開口は、半導体ウェハの直径よりも小さいが、それとほぼ同様の直径を有することができる。
【0023】
他の実施形態では、ウェハ保持プレートは、その一端に鍵穴を含むことができる。この鍵穴は、ウェハ保持プレートをイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成された搬入アセンブリと対合可能に嵌合するように適合させることができる。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、半導体デバイスを製造する方法は、複数のウェハプレートの1つを、ロードロックチャンバから、ロードロックチャンバに気密封止して連結されたイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入することを含む。複数のウェハプレートは、その上に少なくとも1つの半導体ウェハをそれぞれ含む。イオン注入ターゲットチャンバ内の、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある少なくとも1つの半導体ウェハ中に、所望のイオン種を、所望の温度および/または圧力で注入する。所望のイオン種の注入に応答して、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートが、ロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入される。例えば、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートは、イオン注入ターゲットチャンバ内の基準点となる現在温度をほぼ維持しながら搬入することができる。また、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートは、イオン注入ターゲットチャンバを減圧せずに搬入することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートは、その中への所望のイオン種の注入に応答して、イオン注入ターゲットチャンバからロードロックチャンバ内に搬出することができる。複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートは、イオン注入ターゲットチャンバの現在温度および/または圧力をほぼ維持しながら搬出することができる。
【0026】
他の実施形態では、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある半導体ウェハ中に、第1の所望のイオン種を注入することができる。複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートの、イオン注入ターゲットチャンバ内への搬入に応答して、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートの上にある半導体ウェハ中に、第2の所望のイオン種を注入することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートをイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入する前に、そのロードロックチャンバ内にある複数のウェハのうちの次のウェハを予熱することができる。
【0028】
他の実施形態では、イオン注入ターゲットチャンバ内の、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある半導体ウェハを、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートにある開口から加熱することができる。この開口は、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある少なくとも1つの半導体ウェハの下に位置することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある半導体ウェハの熱放射率を、イオン注入ターゲットチャンバのフッ化カルシウム(CaF2)窓を介して測定することができる。測定された熱放射率は、半導体ウェハの現在の表面温度に相関し得る。
【0030】
本発明の上記その他の特徴は、本発明の好ましい実施形態および代替実施形態のどちらも説明する以下の詳細な説明および添付の図面を考慮すると、当業者には明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照しながら、本発明を以下でより完全に説明する。しかし、本発明は、本明細書に記載する実施形態のみに限定されるものと解釈すべきではない。そうではなく、以下の実施形態は、この開示を網羅的かつ完璧なものとし、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために示すものである。図面では、層および領域の厚さは、分かりやすいように誇張してある。同じ番号は、全体を通して同じ要素を指す。
【0032】
本明細書では、「第1の」、「第2の」などの用語を用いて様々な要素を説明することがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきものではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用するにすぎない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。
【0033】
本明細書において本発明の説明に使用する用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものではない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲では、単数形「1つの(a, an)」、および「その(the)」は、文脈において別段の明白な指示がない限り、複数形も同様に含むものである。また、本明細書では、「および/または(and/or)」は、列挙された関連する品目の1つまたは複数の考えられ得る任意の、およびあらゆる組合せを指し、包含するものであることが理解されよう。さらに、用語「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」は、本明細書では、記載された特徴、実体物(integer)、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、実体物、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことが理解されよう。
【0034】
本発明の理想化された実施形態の概略図である断面図を参照しながら、本発明の実施形態を本明細書にて説明する。したがって、例えば、製造技術および/または製造公差の結果による、例示の図の形状からの変形形態が予想されるものである。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に記載の特定の領域形状に限られるものと解釈すべきではなく、例えば製造から生じる形状の偏差も含むものである。例えば、長方形ウィルとして例示する注入領域は、典型的には、丸まった、または湾曲した形状を有し、かつ/または、その縁部では、注入領域から非注入領域への二元変化(binary change)ではなく、注入濃度の傾斜(gradient)を有する。同様に、注入によって形成される埋込み領域は、その埋込み領域と、注入がそこから行われる表面との間の領域に幾分かの注入をもたらすことになり得る。したがって、図に示す領域は概略的な性質のものであり、それらの形状は、デバイスの実際の領域形状を示すものではなく、また、本発明の範囲を限定するものでもない。
【0035】
本発明の実施形態を開示する際に使用する用語は全て、別段の定義がない限り、技術的および科学的用語を含めて、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有し、必ずしも本発明が記載された時期に知られている特定の定義のみに限定されるものではない。したがって、これらの用語は、かかる時期以後に生成された等価な用語を含み得る。さらに、一般に使用されている辞書に定義されているものなどの用語は、本明細書および関連技術の例における意味と一致する意味を有するものとして解釈すべきであり、本明細書にて明白にそのように定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈すべきものではないことが理解されよう。本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、および他の引用文献は全て、その全体が参照により組み込まれる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態は、ウェハ保持プレートの搬入と搬出の間で、イオン注入ターゲットチャンバの温度および/または圧力を降下させなければならないことが、イオン注入工程のスループットにおける制限要因となり得るという製造観点からの認識から生じたものである。したがって、本発明の実施形態は、イオン注入ターゲットチャンバを開けずに、半導体ウェハをターゲットチャンバ内に連続して搬入する能力を有する、イオン注入用の高温ステージを実現することができる。したがって、各ウェハを搬入する間、イオン注入ターゲットチャンバの圧力および/または温度を降下させずに、半導体ウェハをチャンバ内に搬入することができる。言い換えれば、本発明の実施形態は、前のウェハの注入直後に、ウェハの冷却および/またはイオン注入ターゲットチャンバの排気なしに、高温ステージに次のウェハを搬入する能力を実現することができる。したがって、イオン注入装置のスループットを向上させることができる。より詳細には、高温注入用のイオン注入装置のスループットは、本発明のいくつかの実施形態によれば、4から10倍まで増大させることができる。
【0037】
図1A〜1Dは、本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入用の例示的な装置および方法を示す。まず図1Aを参照すると、高温イオン注入装置100は、ロードロックチャンバ105と、ロードロックチャンバ105に気密封止して連結されたイオン注入ターゲットチャンバ120と、ロードロックチャンバ105内の搬入アセンブリ125とを含む。ロードロックチャンバ105は、その中に複数のウェハプレート110を格納するように構成されている。ウェハプレート110はそれぞれ、その上に少なくとも1つの半導体ウェハ115を含む。ロードロックチャンバ105はまた、複数のウェハプレート110を保持するように構成されたカセット130を格納するように構成することができる。
【0038】
図1Bに示すように、イオン注入ターゲットチャンバ120は、所望のイオン種150を、所望の温度および/または圧力で、ウェハプレート110のうちの現在搬入されているウェハプレート110a上の半導体ウェハ115a中に注入するように構成されている。より詳細には、イオン注入ターゲットチャンバ120は、真空まで減圧することができ、現在搬入されている半導体ウェハ115aの組成および/または注入すべき特定のイオン種に基づいて、所望の温度を実現するように構成された発熱体145を含むことができる。例えば、発熱体145は、真空を中断せずにイオン注入ターゲットチャンバ120内部のウェハを加熱するように構成された赤外線または石英ランプとすることができる。さらに、現在搬入されているウェハプレート110aは、半導体ウェハ115aの下にそこを貫通して延びる開口(図示せず)を含むことができる。この開口は、ウェハプレート110aの開口から半導体ウェハ115aを加熱することが可能となるように、半導体ウェハ115aよりも小さい少なくとも1つの寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、発熱体145は、現在搬入されているウェハプレート110a上の半導体ウェハ115aを、ウェハプレート110aの開口から加熱してイオン注入を促進するように構成することができ、これについては図5A〜5Cを参照して以下でさらに説明する。
【0039】
ロードロックチャンバ105はまた、イオン注入ターゲットチャンバ120への連結を介して、その中に格納されたウェハプレート110の1つまたは複数を予熱することが可能となるように構成することができる。例えば、複数のウェハプレート110のうちの次のウェハプレートを、発熱体145から発せられる赤外線によって予熱することができる。さらに、ロードロックチャンバ105は、ロードロックチャンバ105の内部に格納されたウェハプレート110の1つまたは複数を、ウェハプレート110をイオン注入ターゲットチャンバ120内に搬入する前に予熱して、熱衝撃を低減かつ/または回避するように構成された発熱体146を含むことができる。例えば、ロードロックチャンバ105内のウェハプレート110を、室温を上回るが、現在搬入されているウェハプレート110aの温度を下回る温度まで予熱することができる。いくつかの例では、搬入/搬出工程の間、発熱体145を作動停止させずに、予熱済みウェハプレートをイオン注入ターゲットチャンバ120内に搬入することができる。ロードロックチャンバ105内の発熱体146は、タングステンワイヤおよび/またはグラファイトフィルムなどの抵抗発熱体とすることができる。
【0040】
次に図1Cを参照すると、搬入アセンブリ125は、ウェハプレート110のうちの次のウェハプレートを、ロードロックチャンバ105からイオン注入ターゲットチャンバ120内に搬入するように構成されている。より詳細には、搬入アセンブリ125は、イオン注入チャンバ120内の現在搬入されている半導体ウェハ115a中へのイオン種150の注入に応答して、現在搬入されているウェハプレート110aを、イオン注入ターゲットチャンバ120からロードロックチャンバ105内に搬出するように構成されている。搬入アセンブリ125は、イオン注入ターゲットチャンバ120内の温度および/または圧力をほぼ維持しながら、現在搬入されているウェハプレート110aを搬出するように構成されている。より詳細には、搬入アセンブリ125は、現在搬入されているウェハプレート110aを、イオン注入ターゲットチャンバ120からロードロックチャンバ105内のカセット130に搬出して戻すように構成された細長い搬入アーム125aを含む。搬入アセンブリ125の細長い搬入アーム125aはまた、ウェハプレート110のうちの次のウェハプレート110dを、ロードロックチャンバ105内のカセット130からイオン注入ターゲットチャンバ120内に搬入するように構成されている。
【0041】
より詳細には、図1Dに示すように、ロードロックチャンバ105内のカセット前進アセンブリ135が、カセット130内のウェハプレート110を搬入アセンブリ125に連続してもたらすように構成されている。このカセット前進アセンブリ135は、第1の軸139に沿ってカセットを移動させて、ウェハプレート110のうちの次のウェハプレート110dを搬入アセンブリ125にもたらすように構成されたカセット移動アーム135aを含む。搬入アセンブリ125の細長い搬入アーム125aは、第1の軸139にほぼ垂直な第2の軸129に沿って移動して、次のウェハプレート110dを、ロードロックチャンバ105内のカセット130からイオン注入ターゲットチャンバ120内に搬入するように構成されている。次のウェハプレート110dの搬入に応答して、イオン種170がその上にある半導体ウェハ115d中に注入される。
【0042】
搬入アセンブリ125は、イオン注入ターゲットチャンバ120を減圧せずに、次のウェハプレート110dを、ロードロックチャンバ105内のカセット130からイオン注入ターゲットチャンバ120内に搬入するように構成されている。例えば、真空を中断せずに、次のウェハプレート110dを、ロードロックチャンバ105からイオン注入ターゲットチャンバ120内に搬入することができる。したがって、ターゲットチャンバ120内の所与の基準点となる温度もまた、ほぼ維持することができる。言い換えれば、イオン注入ターゲットチャンバ120を開けずに次のウェハプレート110dを搬入することができるので、搬入/搬出工程の間、チャンバ120内の温度および/または圧力の変動を比較的少なくすることができる。
【0043】
例えば、図1Dをさらに参照すると、ロードロックチャンバ105は、搬入アセンブリ125の細長い搬入アーム125aを収容するように構成された第1の細長い部分106と、カセット前進アセンブリ135のカセット移動アーム135aを収容するように構成された第2の細長い部分107とを含むことができる。1つまたは複数の磁気マニピュレータ(manipulator)140をロードロックチャンバ105の外側に、第1の細長い部分106および/または第2の細長い部分107に隣接して配置することができる。これらの磁気マニピュレータ140は、搬入アセンブリ125の細長い搬入アーム125aおよび/またはカセット前進アセンブリ135のカセット移動アーム135aを磁気的に作動させて、イオン注入ターゲットチャンバ120を減圧せずにそれらのアームの移動を誘起するように構成することができる。
【0044】
したがって、その上に半導体ウェハ115を含んだウェハプレート110を、イオン注入ターゲットチャンバ120を冷却および/または排気せずに、ロードロックチャンバ105から、ロードロックチャンバ105に気密封止して連結されたイオン注入ターゲットチャンバ120内に連続して(または指定されたいかなる順序でも)搬入することができる。したがって、イオン注入ターゲットチャンバ120内の温度および圧力をほぼ維持することができ、次のウェハプレート110d上の次の半導体ウェハ115dを続けて搬入し、現在搬入されているウェハプレート110a上の現在搬入されている半導体ウェハ115aの注入直後に注入することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態による装置100のスループットを、各ウェハプレートの搬入間で所望の温度および/または圧力を回復させるのに20分以上必要となり得る従来の装置のスループットに比べて増大させることができる。
【0045】
図1A〜1Dにさらに示すように、イオン注入ターゲットチャンバ120は、現在搬入されているウェハプレート110a上の半導体ウェハ115a中に第1の所望のイオン種150を注入し、次のウェハプレート110d上の半導体ウェハ115d中に第2の所望のイオン種170を注入するように構成することができる。例えば、n型イオンをウェハ115a中に注入してn型デバイスを形成することができ、一方、p型イオンを半導体ウェハ115d中に注入してp型デバイスを形成することができる。また、n型およびp型イオンの両方を同じウェハ中に注入することもできる。さらに、イオン注入ターゲットチャンバ120内の注入条件は、現在搬入されているウェハの組成および/または注入すべき所望のイオン種に基づいて調整することができる。言い換えれば、第1の所望のイオン種150を第1の温度および/または圧力でウェハ115a中に注入することができ、一方、第2の所望のイオン種170を、第1のものとは異なる第2の温度および/または圧力でウェハ115d中に注入することができる。また、ロードロックチャンバ105とイオン注入ターゲットチャンバ120とは気密封止して連結されているので、現在搬入されているウェハプレート110aを搬出する間、かつ/または、次のウェハプレート110dをイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入する間も、温度および/または圧力を調整することができる。
【0046】
さらに、イオン注入ターゲットチャンバ120は、イオン注入ターゲットチャンバ120の壁に窓160を含むことができる。窓160は、ウェハプレート110d上の半導体ウェハ115dなどの、イオン注入ターゲットチャンバ120内のウェハプレート上にある半導体ウェハの熱放射率の測定を十分可能とする透明度を有することができる。例えば、窓160は、約8ミクロン波長までの範囲の赤外光に対して透明度を有するフッ化カルシウム(CaF2)窓とすることができる。測定された半導体ウェハの熱放射率は、半導体ウェハの現在の表面温度と直接相関し得る。例えば、イオン注入工程の間、イオンビームによって半導体ウェハの表面が加熱され、それによって、表面温度が、注入に所望の、かつ/または最適な温度よりも高く変動することがある。したがって、イオン注入中に窓160を介して測定した半導体ウェハの熱放射率に基づいて、ウェハの表面温度を直接求め、即時に調整することができる。例えば、イオン注入ターゲットチャンバ120内の発熱体145は、ウェハの表面温度の変動を保障するように即時に調整することができ、これによって、半導体ウェハ中へのイオン注入を促進し、かつ/またはイオン注入条件の最適化を可能とすることができる。
【0047】
図1Aから1Dは、本発明のいくつかの実施形態による高温イオン注入用の例示的な装置および方法を示しているが、本発明は、かかる構成のみに限られるものではなく、本明細書に記載の動作を実行することが可能などのような構成も含むものであることが理解されよう。例えば、カセット130の代わりに、複数のウェハプレートをイオン注入ターゲットチャンバ120内に連続して搬入するように構成された回転ホイール上に複数のウェハプレートを格納することもできよう。
【0048】
図2Aは、本発明のいくつかの実施形態による、複数のウェハプレート210を保持するように構成されたカセット230を示す、図1Aの線2−2’に沿った断面図である。カセット230およびウェハプレート210は、図1A〜1Dに示すカセット130およびウェハプレート110にそれぞれ対応し得る。図2Aに示すように、カセット230は、複数のウェハプレート210のそれぞれを保持するように構成された複数の溝205を含む。溝205は、ウェハプレート210をカセット230から搬入し、かつ/または搬出しやすいように構成された、摩擦の少ない表面206で被覆されている。例えば、この摩擦の少ない表面206は、Teflon(登録商標)ポリマー、および/または当技術分野で周知の低摩擦材料であってよい。したがって、溝205によって、ウェハプレート210をカセット230から、図1A〜1Dのイオン注入ターゲットチャンバ120などのイオン注入ターゲットチャンバ内に摺動可能に前進させることが可能となる。同様に、この溝205によって、現在搬入されているウェハプレートを、図1A〜1Dの搬入アセンブリ125などの搬入アセンブリによって、イオン注入ターゲットチャンバからカセット230内に摺動可能に後退させることが可能となる。
【0049】
図2Bは、本発明のいくつかの実施形態によるウェハプレート210aと、ウェハプレート210aを搬入し、かつ/または搬出するための搬入アセンブリ225とをさらに示す平面図である。搬入アセンブリ225は、図1A〜1Dの搬入アセンブリ125に対応し得、一方、ウェハプレート210aは、図1A〜1Dの複数のウェハプレート110の1つに対応し得る。ここで図2Bを参照すると、搬入アセンブリ225の一端が、ウェハ保持プレート210aの一端と対合可能に嵌合するように適合されている。より詳細には、搬入アセンブリ225は、細長いアーム225aを含み、その細長いアーム225aの端部226から延びる鍵部238を有する。ウェハプレート210aは、その一端216に、搬入アセンブリ225の鍵部238と対合可能に嵌合するように適合された鍵穴248を含む。鍵部238および/または鍵穴248もまた、Teflon(登録商標)ポリマーおよび/または他の低摩擦材料などの摩擦の少ない表面で被覆することができる。
【0050】
図2Bをさらに参照すると、搬入アセンブリ225の細長いアーム225aは、鍵部238をウェハプレート210aにある鍵穴248内に「係止させる(lock)」ように、その長手軸に沿って(矢印217で示すように)回転可能である。したがって、ウェハプレート210aを細長いアーム225に固定して、ウェハプレート210aを、ロードロックチャンバ内の格納カセットからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入しやすくすることができる。ウェハプレート210aをイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入した後、細長いアーム225aを回転させて、鍵部238をウェハプレート210aの鍵穴248から係止解除(unlock)することができ、それによって、細長いアーム225aをロードロックチャンバ内に後退させることが可能となり、したがって、ウェハプレート210a上の半導体ウェハ215aにイオン注入を実施することができるようになる。イオン注入後、細長いアーム225aを、イオン注入ターゲットチャンバ内に延ばして戻すことができ、ここで、アーム225aの端部226から延びる鍵部238を鍵穴248内に再度挿入し、係止させて、ウェハプレート210aをイオン注入ターゲットチャンバからロードロックチャンバ内の格納カセット内に搬出して戻しやすくすることができる。細長いアーム225aは、半導体ウェハ215aのイオン注入の間、イオン注入ターゲットチャンバ内のウェハプレート210aに取り付けたままにはしない。したがって、ウェハプレート210aの、イオン注入ターゲットチャンバへの、および/またはそこからの搬入および/または搬出は、図1A〜1Dを参照しながら上述したように、イオン注入ターゲットチャンバの圧力および/または温度をほぼ維持しながら実施することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、鍵部238は、ウェハプレート210aを搬出する間だけ、鍵穴248に係止させることができる。言い換えれば、ウェハプレート210の搬入の間は、鍵部238を鍵穴248に挿入することができるが、鍵穴248内で回転または係止させなくてもよく、したがって、細長いアーム225aは、ウェハプレートに210a固定されずに、ウェハプレート210aをイオン注入ターゲットチャンバ内に押し込むことになる。したがって、図2Aのカセット230内の隣接するウェハプレートを保持する溝205同士の間隔は、鍵部238の形状に基づき、鍵部238をそれらの間で、その長手軸に沿った現在の回転角度に関わらず延ばし、かつ/または後退させることができるように制限されることになる。また、図2Bには、「L」形鍵部238および「T」形鍵穴248として示されているが、鍵部238および/または鍵穴248の形状は、対合可能に嵌合するどのような組合せを使用してもウェハプレート210aを搬入アセンブリ225に固定することができることを理解されたい。
【0052】
図3Aおよび3Bは、本発明のいくつかの実施形態による半導体デバイスを製造する際に使用できるウェハ保持プレート310を示す平面図である。いくつかの実施形態では、ウェハ保持プレート310は、図1A〜1Dに示す複数のウェハプレート110の1つに対応し得る。ここで図3Aを参照すると、ウェハ保持プレート310は、その上に少なくとも1つの半導体ウェハ315を保持するように構成されている。より詳細には、ウェハ保持プレート310は、ウェハ保持プレート310に取外し可能に取り付けられる複数のクリップ317を含む。クリップ317は、半導体ウェハ315をウェハ保持プレート310に取外し可能に取り付けるように構成されている。例えば、クリップ317は、ウェハ保持プレート310の、半導体ウェハ315の外周320に隣接する複数の孔319から延びて、ウェハ315をウェハ保持プレート310に取外し可能に固定することができる。さらに、クリップ317をウェハ保持プレート310の端部周辺に固定し、半導体ウェハ315の外周に跨って延ばして、ウェハ315をウェハ保持プレート310に取外し可能に挟持することもできる。
【0053】
ウェハ保持プレート310は、第1の材料で形成することができ、クリップ317は、第1の材料よりも優れた可撓性を有する第2の材料で形成することができる。例えば、ウェハ保持プレート310は石英で作製することができ、クリップ317は、タンタル(Ta)で形成することができる。本質的に可撓性であることに加えて、タンタル(Ta)は、比較的高い融点(約3000℃)を有し、これは、本発明の実施形態による高温イオン注入に適し得る。したがって、クリップ317は、イオン注入工程の比較的高い温度に耐えるように構成することができる。また、ウェハ保持プレート310が、半導体ウェハ315の外周320に隣接する複数の孔319を含む場合、クリップ317をそれらの孔319を通り抜けるほど十分可撓にして、半導体ウェハ315をウェハ保持プレート310に固定することができる。クリップ317は、半導体ウェハ315との熱接触および/または化学反応を低減するように寸法設定し、構成することができる。例えば、半導体ウェハ315が炭化ケイ素ウェハ(SiC)である場合、クリップ317は、SiC結晶との化学反応を回避するようにタンタル(Ta)で形成することができる。クリップ317はまた、ウェハ315のマスクされる領域を縮小し、より一様なイオン注入が可能となるように構成することができる。例えば、クリップ317は、約0.5mm未満、例えば0.2mmの直径を有するワイヤクリップとすることができる。
【0054】
図3Aを参照すると、イオン注入中、ウェハ保持プレート310はほぼ垂直に向けられることがあり、したがって、半導体ウェハ315は、十分に固定されていなければウェハ保持プレート310から滑り落ちることになり得る。半導体ウェハ315をかかる向きでウェハ保持プレート310に固定するには、少なくとも2つのクリップ317が必要となり得る。より詳細には、ウェハ保持プレート310は、半導体ウェハ315の外周320に隣接し、かつ半導体ウェハ315の中心に対して約180°未満で離隔された第1および第2の孔319xおよび319yを含むことができる。したがって、ウェハ保持プレート310の第1および第2の孔319xおよび319yからそれぞれ延びる2つのクリップ317によって、ほぼ垂直の向きで使用する間、半導体ウェハ315をウェハ保持プレート310に十分固定することができる。
【0055】
一方、半導体ウェハ315は、図3Bに示すように、少なくとも3つのクリップ317を使用して、ウェハ保持プレート310に、よりしっかりと取り付けることもできる。より詳細には、第1および第2の孔319aおよび319bを、半導体ウェハ315の外周320に隣接し、かつ半導体ウェハ315の中心に対して約180°離隔させてウェハ保持プレートに設けることができ、半導体ウェハ315の外周に隣接する第3の孔319cを、第1および第2の孔319aと319bとの間に、それらの第1および第2の孔319aおよび319bから、半導体ウェハ315の中心に対してそれぞれ約90°離隔させて設けることができる。したがって、ウェハ保持プレート310の第1、第2、および第3の孔319a、319b、および319cからそれぞれ延びる3つのクリップ317を用いて、イオン注入工程の間、およびウェハ保持プレート310をロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入かつ/または搬出する間、半導体ウェハ315をウェハ保持プレート310に十分固定することができる。ウェハ保持プレート310はまた、図2Bを参照して上述したように、その一端に、ウェハ保持プレートをイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成された搬入アセンブリと対合可能に嵌合するように適合された鍵穴(図示せず)を含むことができる。
【0056】
また、図3Aおよび3Bは、半導体ウェハ315をウェハ保持プレート310に取外し可能に取り付けるための、2つのクリップ、および3つのクリップの使用をそれぞれ示しているが、より多数、またはより少数のクリップ317を使用してもよいことを理解されたい。また、上記では、イオン注入中にウェハ保持プレート310を垂直に向ける場合に関して主に説明したが、ウェハ保持プレート310は、イオン注入工程の間、イオンビームに対して垂直または他のどのような角度にも向けることができることに留意されたい。
【0057】
図4Aは、本発明のいくつかの実施形態によるウェハ保持プレート410aを示す、図3Bの線4A−4A’に沿った断面図である。ウェハ保持プレート410aは、図1A〜1Dに示すウェハプレート110の1つに対応し得る。図4Aに示すように、ウェハ保持プレート410aは、その上にある半導体ウェハ415の外周に隣接する複数の孔419を含む。クリップ417は、孔419からそれぞれ延びている。例えば、クリップ417は、孔419を通り抜けて、ワイヤクリップをウェハ保持プレート410aに固定するように構成された複数のワイヤクリップとすることができる。クリップ417のそれぞれについて、少なくとも2つの孔419を設けることができる。より詳細には、図4Aに示すように、各クリップ417について、3つの孔419’、419’’、および419’’’がウェハ保持プレート410aに設けてある。上述したように、クリップ417は、約0.5mm未満の直径を有するタンタル(Ta)ワイヤクリップとすることができる。したがって、各クリップ417は、ウェハ保持プレート410aの前面416aから孔419’を通り、ウェハ保持プレート410aの裏面416bに通り抜け、孔419’’を通ってウェハ保持プレート410aの前面416aに戻り、孔419’’’を通り再度ウェハ保持プレート410aの裏面416bに通り抜けて、クリップ417を定位置に固定することができる。したがって、クリップ417によって、半導体ウェハ415をウェハ保持プレート410に、しっかりと、しかし取外し可能に取り付けることができる。さらに、クリップ417は直径が比較的小さい(例えば0.2mm)ので、イオン注入工程の間、半導体ウェハ415の比較的小さい領域がマスクされることになり得る。
【0058】
図4Bは、本発明の他の実施形態によるウェハ保持プレート410bを示す、ウェハ保持プレート410aに関して同じ断面に沿った断面図である。ここで図4Bを参照すると、ウェハ保持プレート410bは、その上にある半導体ウェハ415の下に、ウェハ保持プレート410bを貫通して延びる開口420を含む。半導体ウェハ415は、図4Aを参照して上述したように、クリップ417によってウェハ保持プレート410bに固定されている。開口420は、半導体ウェハ415の寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法を有する。より詳細には、ウェハ保持プレート410bの開口420は、半導体ウェハ415の直径415dよりも小さいが、それとほぼ同様の直径420dを有する。ウェハ保持プレート410bの開口420は、開口420から半導体ウェハ415を直接加熱することが可能となるように寸法設定され、構成されている。例えば、イオン注入チャンバ内に搬入するときに、図1A〜1Dの発熱体145などの発熱体を、ウェハ保持プレート410bの下に配置し、それによって、イオン注入工程の間、開口420から半導体ウェハ415を直接加熱することができる。したがって、半導体ウェハ415の表面温度は、イオン注入工程の間、例えば、図1A〜1Dを参照しながら上述したように、イオン注入ターゲットチャンバの窓を介した半導体ウェハ415の熱放射率の測定に応答して直接調整することができる。したがって、ウェハ保持プレート410bの開口420によって、半導体ウェハ415中へのイオン注入の条件を改善し、かつ/または最適化することが可能となる。
【0059】
図5A〜5Cは、本発明のいくつかの実施形態による半導体デバイスを製造する装置および方法をさらに示している。ここで図5Aを参照すると、石英ウェハ保持プレート510が、石英プレート510の中心付近を貫通して延びる開口520を含んでいる。この開口520は、イオン注入のために石英ウェハ保持プレート510に取り付けられることになる半導体ウェハ515の直径515dよりも小さいが、それとほぼ同様の直径520dを有する。図5Bは、石英ウェハ保持プレート510の前面500bを示している。図5Bに示すように、半導体ウェハ515は、石英ウェハプレート510の前面500bにある開口520を覆って同心に配置され、3つのワイヤクリップ517によって石英ウェハ保持プレート510に取外し可能に取り付けられる。ワイヤクリップ517は、石英ウェハ保持プレート510の、ウェハ515の外周に隣接する複数の孔に通してあり、それによってイオン注入工程の間、ウェハ保持プレート510上の半導体ウェハ515をしっかりと保持している。したがって、矢印526で示すように、イオンビームによって半導体ウェハ515に注入することができる。イオン注入工程中の石英ウェハ保持プレート510の向きに応じて、より多数の、またはより少数のワイヤクリップ517を用いて半導体ウェハ515を石英ウェハ保持プレート510に取り付けることができる。
【0060】
図5Cは、石英ウェハ保持プレート510の裏面500cを示している。図5Cに示すように、石英ウェハ保持プレート510の開口520は、開口520から半導体ウェハ515を直接加熱することが可能となるように寸法設定され、構成されている。より詳細には、半導体ウェハ515の裏面515cは、イオン注入工程の間、矢印527で示すように、石英ウェハ保持プレート510の裏面500cにある開口520から加熱される。したがって、半導体ウェハ515を所望の温度までより迅速に加熱することができ、このため、半導体デバイス製造においてより高速なウェハ間サイクル時間(wafer-to-wafer cycle time)を可能とすることができる。
【0061】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、半導体デバイスを製造する方法の例示的な製造動作を示す流れ図である。ここで図6を参照すると、複数のウェハプレートの1つを、ロードロックチャンバから、ロードロックチャンバに気密封止して連結されたイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するブロック605から動作が始まる。各ウェハプレートは、ウェハプレートに取外し可能に取り付けられた少なくとも1つの半導体ウェハを含むことができる。ウェハプレートをイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入した後、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハを、半導体ウェハの下の、現在搬入されているウェハプレートの開口から加熱することができる。例えば、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハは、イオン注入ターゲットチャンバ内の、ウェハプレートの下にある発熱体によって、開口から所望の表面温度まで加熱することができる。現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハの表面温度は、その半導体ウェハの熱放射率に基づいて求めることができる。より具体的には、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハの熱放射率は、イオン注入ターゲットチャンバのフッ化カルシウム(CaF2)窓を介して、例えば、約8ミクロン波長までの範囲の赤外光を用いて測定することができる。測定された熱放射率は、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハの現在の表面温度に相関する。したがって、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハを、その中にイオン注入するのに適した所望の表面温度まで加熱することができる。
【0062】
610ブロックで、複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある半導体ウェハ中に、所望のイオン種を所望の温度および/または圧力で注入する。より詳細には、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハ中に、所望のイオン種を、真空で、注入すべきイオン種および/または半導体ウェハの組成に基づいた温度で注入することができる。所望のイオン種の注入に応答して、イオン注入ターゲットチャンバの現在温度および/または圧力をほぼ維持しながら、現在搬入されているウェハプレートを、イオン注入ターゲットチャンバからロードロックチャンバ内に搬出して戻すことができる。例えば、現在搬入されているウェハプレートを、気密封止して連結されたロードロックチャンバ内部の搬入アセンブリによって搬出することができ、したがって、イオン注入ターゲットチャンバを冷却および/または排気せずにウェハプレートを搬出することができる。さらに、ロードロックチャンバ内の複数のウェハプレートの1つまたは複数を、イオン注入ターゲットチャンバ内への搬入の間の熱衝撃を低減かつ/または回避するために必要となり得る所定の温度まで予熱することができる。例えば、ロードロックチャンバは、次のウェハプレートおよび/または複数のウェハプレートを予熱するように構成された発熱体を含むことができる。また、複数のウェハプレートの1つまたは複数を、イオン注入ターゲットチャンバ内の発熱体に基づいて予熱することができる。例えば、搬入すべき次のウェハプレートを、ロードロックチャンバとイオン注入チャンバとの間の連結点を介して発せられる発熱体からの赤外線によって予熱することができる。
【0063】
さらに図6を参照すると、ブロック615で、複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを、ロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入する。次のウェハプレートを、イオン注入ターゲットチャンバ内の現在温度をほぼ維持しながら、かつ/またはイオン注入ターゲットチャンバを減圧せずに、イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入することができる。したがって、ロードロックチャンバ内に格納された複数のウェハプレートは、各ウェハプレートの搬入および/または搬出の間に、チャンバを冷却および/または排気せずに、イオン注入ターゲットチャンバ内に連続して搬入してイオン注入することができ、それによって、製造工程のスループットを増大させることができる。さらに、現在搬入されているウェハプレート上にある半導体ウェハ中に、第1の所望のイオン種を第1の温度および/または圧力で注入することができ、イオン注入ターゲットチャンバ内への次のウェハプレートの搬入に応答して、次のウェハプレート上にある半導体ウェハ中に、第2の異なるイオン種を異なる温度および/または圧力で注入することができる。したがって、イオン注入ターゲットチャンバの温度および/または圧力は、注入すべきウェハおよび/または、次のウェハプレートを搬入する際の所望のイオン種に基づいて調整することができる。
【0064】
したがって、本発明のいくつかの実施形態は、イオン注入ターゲットチャンバの現在温度および/または圧力をほぼ維持しながら、ウェハプレートをロードロックチャンバからイオン注入ターゲットチャンバ内に連続して搬入する装置および方法を提供する。したがって、各ウェハプレートの搬入と搬出の間で、ターゲットチャンバの温度および圧力を上昇および降下させずにイオン注入を実施することができる。したがって、イオン注入装置のスループットを増大させ、製造工程の効率を向上させることができる。
【0065】
図面および明細書では、本発明の典型的な実施形態を開示し、特定の用語を使用してきたが、これらは概括的かつ説明的な意味で使用したものにすぎず、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する装置および方法の概略図である。
【図1B】本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する装置および方法の概略図である。
【図1C】本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する装置および方法の概略図である。
【図1D】本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する装置および方法の概略図である。
【図2A】本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する装置内のカセットを示す、図1Aの線2−2’に沿った断面図である。
【図2B】本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する装置内のウェハプレートと、イオン注入ターゲットチャンバ内にウェハプレートを搬入するための細長い搬入アームとを示す拡大平面図である。
【図3A】本発明のいくつかの実施形態によるウェハ保持プレートの平面図である。
【図3B】本発明の他の実施形態によるウェハ保持プレートの平面図である。
【図4A】本発明のいくつかの実施形態によるウェハ保持プレートを示す、図3Bの線4A−4A’に沿った断面図である。
【図4B】本発明の他の実施形態によるウェハ保持プレートの断面図である。
【図5A】本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ保持プレートに取り付けられた半導体ウェハを加熱する装置および方法を示す平面図である。
【図5B】本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ保持プレートに取り付けられた半導体ウェハを加熱する装置および方法を示す平面図である。
【図5C】本発明のいくつかの実施形態による、ウェハ保持プレートに取り付けられた半導体ウェハを加熱する装置および方法を示す平面図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態による、高温イオン注入を用いて半導体デバイスを製造する例示的な動作を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に少なくとも1つの半導体ウェハをそれぞれ含む、複数のウェハプレートをその中に格納するように構成されたロードロックチャンバと、
前記ロードロックチャンバに気密封止して連結され、その中に現在搬入されている前記複数のウェハプレートの1つの上にある半導体ウェハ中にイオン種を注入するように構成されたイオン注入ターゲットチャンバと、
前記複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを、前記ロードロックチャンバから前記イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成された、前記ロードロックチャンバ内の搬入アセンブリとを備えることを特徴とする半導体デバイス製造装置。
【請求項2】
前記搬入アセンブリは、前記イオン注入ターゲットチャンバ内の基準点となる現在温度をほぼ維持しながら、前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートを、前記ロードロックチャンバから前記イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記搬入アセンブリは、前記イオン注入ターゲットチャンバを減圧せずに、前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートを、前記ロードロックチャンバから前記イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記搬入アセンブリはさらに、前記半導体ウェハ中への前記イオン種の注入に応答して、前記イオン注入ターゲットチャンバの温度および/または圧力をほぼ維持しながら、前記複数のウェハプレートのうちの前記現在搬入されているウェハプレートを、前記イオン注入ターゲットチャンバから前記ロードロックチャンバ内に搬出するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記イオン注入ターゲットチャンバは、前記複数のウェハプレートのうちの前記現在搬入されているウェハプレートの上にある前記半導体ウェハ中に第1の所望のイオン種を注入し、前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートの上にある半導体ウェハ中に第2の所望のイオン種を注入するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数のウェハプレートを保持するように構成された、前記ロードロックチャンバ内のカセットと、
前記複数のウェハプレートを前記搬入アセンブリに連続してもたらすように構成された、前記ロードロックチャンバ内のカセット前進アセンブリとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記カセットは、前記複数のウェハプレートのそれぞれを保持するように構成された複数の溝を備え、前記複数の溝は、前記カセットから前記複数のウェハプレートを搬入かつ/または搬出しやすくするように構成された摩擦の少ない表面で被覆されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記カセット前進アセンブリは、第1の軸に沿って前記カセットを移動させて、前記複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを前記搬入アセンブリにもたらすように構成されたカセット移動アームを備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記搬入アセンブリは、前記第1の軸にほぼ垂直な第2の軸に沿って移動して、前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートを、前記ロードロックチャンバから前記イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成された細長い搬入アームを備えることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ロードロックチャンバは、前記細長い搬入アームを収容するように構成された第1の細長い部分と、前記カセット移動アームを収容するように構成された第2の細長い部分とを含み、さらに、
前記ロードロックチャンバの外側に、前記第1および/または第2の細長い部分に隣接して、前記細長い搬入アームおよび/または前記カセット移動アームを磁気的に作動させて、前記イオン注入ターゲットチャンバを減圧せずにそれらのアームの移動を誘起するように構成された少なくとも1つの磁石を備えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ロードロックチャンバは、前記イオン注入ターゲットチャンバの現在温度に基づいて、その中の前記複数のウェハプレートのうちの少なくとも前記次のウェハプレートを予熱するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記複数のウェハプレートの1つまたは複数を予熱するように構成された、前記ロードロックチャンバ内の発熱体をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数のウェハプレートの少なくとも1つは、その上にある前記少なくとも1つの半導体ウェハの下に、そこを貫通して延びる開口を含み、前記開口は、前記少なくとも1つの半導体ウェハの寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記複数のウェハプレートの前記少なくとも1つは、その中に前記開口の外周に隣接する複数の孔と、前記複数の孔のそれぞれからそれぞれ延び、前記少なくとも1つの半導体ウェハを、前記開口に隣接してそこに取外し可能に取り付けるように構成された複数のワイヤクリップとをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
その中に現在搬入されている前記複数のウェハプレートの1つの上にある半導体ウェハを、前記複数のウェハプレートの前記1つにある前記開口から加熱するように構成された、前記イオン注入ターゲットチャンバ内の発熱体をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記搬入アセンブリは、そこから延びる鍵部を有する細長いアームを含み、前記複数のウェハプレートの前記少なくとも1つは、その一端に、前記搬入アセンブリの前記鍵部と対合可能に嵌合するように適合された鍵穴を含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記搬入アセンブリの前記細長いアームは、そこから延びる前記鍵部を前記鍵穴中に係止させて、前記複数のウェハプレートの前記少なくとも1つを前記細長いアームに固定し、それによって前記複数のウェハプレートの前記少なくとも1つを、前記イオンターゲットチャンバ内に搬入しやすくするように回転可能であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記イオン注入ターゲットチャンバの壁にあり、前記イオン注入ターゲットチャンバ内の、前記複数のウェハプレートのうちの前記現在搬入されているウェハプレートの上にある半導体ウェハの熱放射率の測定を十分可能とする透明度を有する窓をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記窓は、約8ミクロン波長までの範囲の赤外光に対して透明度を有するフッ化カルシウム(CaF2)を含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
その上に半導体ウェハを保持するように構成されたウェハ保持プレートと、
前記ウェハ保持プレートに取外し可能に取り付けられ、前記半導体ウェハを前記ウェハ保持プレートに取外し可能に取り付けるように構成された複数のクリップとを備えることを特徴とする半導体デバイス製造装置。
【請求項21】
前記ウェハ保持プレートは、その上にある前記半導体ウェハの外周に隣接する複数の孔をその中に含み、前記複数のクリップは、前記複数の孔のそれぞれからそれぞれ延びることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ウェハ保持プレートは、第1の材料を含み、前記複数のクリップは、前記第1の材料よりも優れた可撓性を有する第2の材料を含むことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記複数の孔は、前記複数のクリップのそれぞれについて少なくとも2つの孔を備え、前記複数のクリップは、前記少なくとも2つの孔を通り抜けて、前記複数のワイヤクリップを前記ウェハ保持プレートに固定するようにそれぞれ構成された複数のワイヤクリップを含むことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記複数のクリップは、前記半導体ウェハとの熱接触および/または化学反応を低減するように寸法設定され、構成されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記複数のクリップは、約0.5mm未満の直径を有する複数のワイヤクリップを含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記複数のクリップは、タンタル(Ta)ワイヤクリップを含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記複数の孔は、前記半導体ウェハの外周に隣接し、前記半導体ウェハの中心に対して約180度未満で離隔された第1および第2の孔を備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項28】
前記複数の孔は、前記半導体ウェハの外周に隣接し、前記半導体ウェハの中心に対して約180度離隔された第1および第2の孔と、前記半導体ウェハの前記外周に隣接し、前記第1の孔と第2の孔との間で、それらの孔から前記半導体ウェハの中心に対して約90度それぞれ離隔された第3の孔とを備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項29】
前記ウェハ保持プレートは、前記半導体ウェハの下に、そこを貫通して延びる開口をさらに含み、前記開口は、前記半導体ウェハの寸法よりも小さい少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項30】
前記ウェハ保持プレート中の前記開口は、そこから前記半導体ウェハを直接加熱することが可能となるように寸法設定され、構成されることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記ウェハ保持プレート中の前記開口は、前記半導体ウェハの直径よりも小さいが、それとほぼ同様の直径を有することを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記ウェハ保持プレートは、その一端に、前記ウェハ保持プレートを前記イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入するように構成された搬入アセンブリと対合可能に嵌合するように適合された鍵穴をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項33】
その上に少なくとも1つの半導体ウェハをそれぞれ含む複数のウェハプレートの1つを、ロードロックチャンバから、そこに気密封止して連結されたイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入すること、
前記イオン注入ターゲットチャンバ内の、前記複数のウェハプレートのうちの現在搬入されているウェハプレートの上にある前記少なくとも1つの半導体ウェハ中に、所望のイオン種を所望の温度および/または圧力で注入すること、および、
前記複数のウェハプレートのうちの次のウェハプレートを、前記ロードロックチャンバから前記イオン注入ターゲットチャンバ内に搬入することを含むことを特徴とする半導体デバイスを製造する方法。
【請求項34】
前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートを搬入することは、前記イオン注入ターゲットチャンバ内の基準点となる現在温度をほぼ維持しながら実施されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートを搬入することは、前記イオン注入ターゲットチャンバを減圧せずに実施されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記所望のイオン種を注入した後に、前記所望のイオン種の注入に応答して、前記イオン注入ターゲットチャンバの現在温度および/または圧力をほぼ維持しながら、前記複数のウェハプレートのうちの前記現在搬入されているウェハプレートを、前記イオン注入ターゲットチャンバから前記ロードロックチャンバ内に搬出することをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記所望のイオン種を注入することは、前記複数のウェハプレートのうちの前記現在搬入されているウェハプレートの上にある前記少なくとも1つの半導体ウェハ中に、第1の所望のイオン種を注入することを含み、さらに、
前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートの、前記イオン注入ターゲットチャンバ内への搬入に応答して、前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートの上にある少なくとも1つの半導体ウェハ中に、第2の所望のイオン種を注入することを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記複数のウェハプレートのうちの前記次のウェハプレートをイオン注入ターゲットチャンバ内に搬入する前に、前記ロードロックチャンバ内の、前記複数のウェハのうちの前記次のウェハプレートを予熱することをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記イオン注入ターゲットチャンバ内の、前記複数のウェハプレートのうちの前記現在搬入されているウェハプレートの上にある前記少なくとも1つの半導体ウェハを、前記少なくとも1つの半導体ウェハの下にある、前記複数のウェハプレートのうちの前記現在搬入されているウェハプレートにある開口から加熱することをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記イオン注入ターゲットチャンバ内の、現在搬入されている前記複数のウェハプレートの1つの上にある半導体ウェハの熱放射率を、前記イオン注入ターゲットチャンバのフッ化カルシウム(CaF2)窓を介して測定すること、および、前記測定された熱放射率を前記半導体ウェハの現在の表面温度に相関させることをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−21974(P2008−21974A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−139414(P2007−139414)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(592054856)クリー インコーポレイテッド (468)
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
【Fターム(参考)】