説明

CB2受容体を調節する化合物

一般式(I)の化合物が開示されている。本発明に従う化合物はCB2受容体に結合し、CB2のアゴニストであり、炎症の治療に有用である。また、アゴニストであるこれらの化合物は疼痛の治療にも有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[出願データ]
本願は、2007年11月7日に出願された米国仮出願番号60/986,004に基づき優先権を主張する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、CB2受容体を調節する新規化合物及び、該化合物の薬剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[背景技術情報]
カンナビノイドは、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)(大麻草としても知られる)で見出される約60種の異なる化合物のグループであり、カンナビノール、カンナビジオール及びΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)が最も代表的な分子である。カンナビス属の治療的使用は、中国の古代王朝にまで遡ることができ、食欲不振、嘔吐、けいれん、生理痛、痙性からリウマチに至るまで様々な病気に用いられてきた。カンナビス属の長い歴史は、様々な調合薬の発展をもたらしてきた。例えば、それぞれTHC及びそのアナログであるナビロンをベースとするマリノル(Marinol)及びセサメット(Cesamet)は、抗吐剤及び食欲増進剤として用いられている。その臨床的利点にもかかわらず、カンナビスの治療的使用は、幻覚、耽溺(addiction)及び依存性を含む精神活性作用により制限されている。「Mechoulam R,ed.Cannabinoids as Therapeutic Agents,Boca Raton,FL;CRC Press,1986」は、カンナビスの医学的使用の概説を提供する。
【0004】
カンナビノイドの生理作用は、少なくとも2種類のGタンパク質共役受容体であるCB1及びCB2によって仲介される。オートラジオグラフィ研究によると、CB1受容体は主に中枢神経系、特に大脳皮質、海馬、大脳基底核及び小脳で発現する。CB1受容体は、生殖器系、及び免疫系組織を含む他の末梢組織においてもより低レベルで見出される。CB1受容体は、シナプス前ニューロン(pre−synaptic neurons)からの神経伝達物質の放出を制御し、陶酔(euphoric)作用や、THC誘導性のリングカタレプシー(THC−induced ring−catalepsy)、ハイポモービリティ(hypomobility)及び低体温症(hypothermia)などの、カンナビスの他の中枢神経系作用のほとんどを仲介すると信じられている。これらの作用は、CB1遺伝子が欠失しているマウスにおいては完全に存在しないことが見出された(Zimmer et al.,Increased mortality,hypoactivity,and hypoalgesia in cannabinoid CB1 receptor knockout mice.Proc Natl Acad Sci USA.(1999)96:5780−5785.)。
【0005】
CB2受容体は免疫系においてほとんど排他的に見出され、脾臓において最も大きな密度で見出される。免疫細胞におけるCB2の発現レベルは、CB1よりも約10〜100倍高いと推定される。免疫系中で、CB2は、B細胞、NK細胞、単球、小グリア細胞、好中球、T細胞、樹状細胞及びマスト細胞を含む様々な細胞タイプで見出されており、幅広い範囲の免疫機能がCB2モジュレータ(調節因子)を介して制御され得ることを示唆している(Klein et al.,The cannabinoid system and immune system.J Leukoc Biol(2003)74:486−496)。このことは、THCの免疫調節作用がCB2欠損マウスでは存在しないという知見によって支持されている(Bicklet et al.,Immunomodulation by cannabinoid is absent in mice deficient for the cannabinoid CB2 receptor.Eur J Pharmacol(2000)396:141−149)。CB2選択的リガンドが開発され、様々な炎症性環境におけるその効能がテストされてきた。例えば、炎症の動物モデルにおいて、CB2選択的アゴニスト、インバースアゴニスト及びアンタゴニストが炎症抑制に効果的であることが示された(Hanus et al.,HU−308:a specific agonist for CB(2),a peripheral cannabinoid receptor.Proc Natl Acad Sci USA.(1999)96:14228−14233,Ueda et al.,Involvement of cannabinoid CB(2)receptor−mediated response and efficacy of cannabinoid CB(2)receptor inverse agonist,JTE−907,in cutaneous inflammation in mice.Eur J Pharmacol.(2005)520:164−171,及びSmith et al.,The anti−inflammatory activities of cannabinoid receptor ligands in mouse peritonitis models Eur J Pharmacol.(2001)432:107−119.)。また、CB2選択的アゴニストは、多発性硬化症の動物モデルにおいて疾病重症度及び痙性を抑制する(Baker et al.,Cannabinoids control spasticity and tremor in a multiple sclerosis model.Nature(2000)404:84−87.Arevalo−Martin et al.,Therapeutic action of cannabinoids in a murine model of multiple sclerosis J Neurosci.(2003)23:2511−2516.)。総合すると、これらの結果は、炎症性要素を有する病状の治療にCB2受容体モジュレータを用いることが出来るという考えを支持する。
【0006】
炎症に加えて、CB2アゴニストは疼痛及び嘔吐を抑制することが示されている。例えば、CB2選択的アゴニストは、熱又は他の刺激によって誘導される疼痛応答を鈍らせる(Malan et al.,CB2 cannabinoid receptor−mediated peripheral antinociception.Pain.(2001)93:239−45、及びNackley et al.,Selective activation of cannabinoid CB(2)receptors suppresses spinal fos protein expression and pain behavior in a rat model of inflammation.Neuroscience(2003)119:747−57.)。CB2の活性化により、神経障害性疼痛応答が抑制されることも実証されている(Ibrahim et al.,Activation of CB2 cannabinoid receptors by AM1241 inhibits experimental neuropathic pain:pain inhibition by receptors not present in the CNS.Proc Natl Acad Sci USA.(2003)100:10529−33.)。最後に、脳においてCB2が見出せなかった過去のデータに反して、最近の論文では、脾臓の約1.5%のレベルで脳でCB2が発現されていることが実証された。この論文によると、CB2の活性化は、内在性カンナビノイドの制吐作用に関与する(Van Sickle et al.,Identification and functional characterization of brainstem cannabinoid CB2 receptors.Science.2005 310:329−332.)。上述の結果により、CB2アゴニストは炎症、神経障害性疼痛、嘔吐の治療に用いることが出来るということが確認される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、CB2受容体に結合し調節する新規化合物を提供する。本発明はまた、これらの化合物の治療量を投与することによって炎症を治療する方法及び医薬組成物を提供する。最後に、本発明は、CB2アゴニストである新規化合物の治療量を投与することによって疼痛を治療する方法及び医薬組成物を提供する。
【0008】
[発明の詳細な説明]
最も広い一般的態様において、本発明は下記式の化合物、又はその化合物の製薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
【化1】

式中、
1は、C1-10アルキル、C3-10シクロアルキル−C0-2アルキル−又はヘテロ環−C0-2アルキル−であって、前記ヘテロ環はテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、スルホンアリル(sulfonalyl)、テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキセタニルから選択され、各々のR1はハロゲン、C1-5アルキル、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ及びC1-6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
2は水素又はC1-5アルキルであり;
あるいは、
1及びR2は、R1及びR2が結合するN原子とともに、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい3〜6員環のヘテロ環を形成し;
3はメチル、エチル又はイソプロピルであり;
4は水素又はメチルであり;
あるいは
3及びR4は、R3及びR4が結合する炭素原子と共に、3〜4員環のシクロアルキル環を形成し;
5はアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよいC1-10アルキルであり、あるいは
5は、フラニル、ピラニル、ベンゾオキザゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、それぞれ独立してC1-6アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、炭素環及びヘテロアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよく;
ただし、R2が水素の場合にはR1はアリールではないことを条件とする。
【0010】
第一のより下位の包括的態様において、本発明は、
1が、C1-10アルキル、C3-10シクロアルキル−C0-2アルキル−又はヘテロ環−C0-2アルキル−であって、前記ヘテロ環はテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、スルホンアリル(sulfonalyl)、テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキセタニルから選択され、各R1はハロゲン、C1-5アルキル、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ及びC1-6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
2が水素又はC1-5アルキルであり;
あるいはR1及びR2が、R1及びR2が結合するN原子とともに、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい3〜6員環のヘテロ環を形成し;
3がメチル、エチル又はイソプロピルであり;
4が水素又はメチルであり;
あるいは
3及びR4が、R3及びR4が結合する炭素原子と共に、3〜4員環のシクロアルキル環を形成し;
5が、フラニル、ピラニル、ベンゾオキザゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、それぞれ独立してC1-6アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、炭素環及びヘテロアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよい、
ことを特徴とする、前記式Iの化合物を提供する。
【0011】
更により下位の包括的態様において、本発明は、
1が、C1-5アルキル、C3-6シクロアルキル−C0-2アルキル−又はヘテロ環−C0-2アルキル−であって、前記ヘテロ環はテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、スルホンアリル(sulfonalyl)、テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキセタニル及びモルホリニルから選択され、各R1は独立してハロゲン、C1-5アルキル、C3-6シクロアルキル、ヒドロキシ及びC1-6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
1及びR2が、R1及びR2が結合するN原子と共に、モルホリニル、ピペリジニル、アゼチジニル又はピロリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、ピペラジニルを形成し、各々C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
5がフラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、各R5置換基は更に、C1-5アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、フェニル、C3-10シクロアルキル、フラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル及びベンゾチアゾリルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的又は完全にハロゲン化されていてもよい、
ことを特徴とする、前記式Iの化合物を提供する。
【0012】
更により下位の包括的態様において、本発明は、
1がC1-5アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキルメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル又はモルホリニルであって、各々独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
5がフラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、各R5置換基は更に、C1-5アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、フェニル、C3-6シクロアルキル及びピリジニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的又は完全にハロゲン化されていてもよい、
ことを特徴とする、前記式Iの化合物を提供する。
【0013】
更により下位の包括的態様において、本発明は、
1がC1-5アルキル、C3-6シクロアルキル、シクロヘキシルメチル又はテトラヒドロピラニルであって、各々独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル及びC1-4アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
1及びR2が、R1及びR2が結合するN原子と共に、モルホリニル、ピペリジニル、アゼチジニル又はピロリジニルを形成し、各々C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、
ことを特徴とする、前記式Iの化合物を提供する。
【0014】
更により下位の包括的態様において、本発明は、
1がC1-5アルキル、C3-6シクロアルキル又はテトラヒドロピラニルであって、各々独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ及びC3-6シクロアルキルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、
ことを特徴とする、前記式Iの化合物を提供する。
【0015】
他のより下位の包括的態様において、本発明は下記の式Iの化合物、又はその化合物の製薬学的に許容される塩を提供する。
【化2】

上記式(I)中、
【化3】

上記構造は、下記表1のA欄の群から選択され、
【化4】

上記構造は、下記表1のB欄の群から選択される。
【0016】
【表1】





【0017】
他の実施態様において、本発明は、当技術分野において知られている一般的なスキーム、実施例及び方法を考慮して製造できる、下記表2の化合物、又はその化合物の製薬学的に許容される塩を提供する。
【0018】
【表2】

【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】

【0024】

【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】

【0034】
上記化合物の中で、以下の化合物が好ましいCB2アゴニストである。
【0035】
【表3】





【0036】
本願中の上記に開示した全化合物において、命名が構造と矛盾する場合には、当該化合物は構造により定義されるものとする。
【0037】
本発明は、従来の賦形剤及び/又は担体と組み合わせてもよい、活性物質として1種以上の式(I)の化合物、又はその製薬学的に許容できる誘導体を含む医薬品にも関する。
【0038】
本発明の化合物は、該化合物を同位体で標識した形態をも含む。本発明の組み合わせの同位体で標識された形態の活性剤は、前記活性剤と同一であるが、前記活性剤の1個以上の原子が、自然界で通常見出される前記原子の原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子に置き換わっている。商業上容易に入手でき、十分に確立された手順に従って本発明の組み合わせの活性剤に組み込むことのできる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素の同位体が挙げられ、例えば、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clである。1個以上の前記同位体及び/若しくは他の原子の他の同位体を含む、本発明の組み合わせの活性剤、そのプロドラッグ、又はそれらの製薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内に含まれる。
【0039】
本発明には、ラセミ化合物、ラセミ化合物の混合物、単一の鏡像異性体(エナンチオマー)、ジアステレオマー混合物及び単一のジアステレオマーとして生じ得る1個以上の不斉炭素原子を有する上記化合物の使用が含まれる。異性体は、鏡像異性体及びジアステレオマーであると定義されるものとする。これらの化合物の全異性体型は、明確に本願発明に含まれる。各々の不斉炭素(stereogenic carbon)はR若しくはS配置、又は当該配置の組み合わせで存在する。
【0040】
式(I)の化合物には複数の互変異性型で存在し得るものがある。本発明は、あらゆる互変異性体を用いた方法を含むものである。
【0041】
本明細書で用いられている全ての用語は、別段の指定のない限り、その技術分野において知られている通常の意味で理解されるものとする。たとえば、「C1-4アルコキシ」は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など、末端の酸素原子を有する炭素数1〜4のアルキル基(C1-4アルキル)である。全てのアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、構造的に可能であって特段の指定のない限り、分岐しているもの又は分岐していないものとする。その他のより具体的な定義は以下の通りである。
【0042】
炭素環は、炭素数3〜12の炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香族環系であっても非芳香族環系であってもよい。非芳香族環系は、モノ又はポリ不飽和であってもよい。非限定的な好ましい炭素環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル及びベンゾシクロヘプテニルが挙げられる。シクロブタニル及びシクロブチルなどのシクロアルキルに関する特定の用語は、置き換え可能で用いられるものとする。
【0043】
「ヘテロ環」とは、飽和若しくは不飽和のどちらであってもよい、安定的な非芳香族4〜8員環(好ましくは5若しくは6員環)の単環基、又は非芳香族8〜11員環の二環式ヘテロ環基を意味する。各々のヘテロ環は、炭素原子と、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1個以上、好ましくは1〜4個のヘテロ原子とからなる。ヘテロ環は、当該環のいかなる原子により結合されて、安定的な構造を作り出していてもよい。
【0044】
「ヘテロアリール」とは、N、O及びSなどのヘテロ原子を1〜4個含む、芳香族5〜8員環の単環又は8〜11員環の二環を意味するものとする。
【0045】
特段の記載がない限り、ヘテロ環及びヘテロアリールには、例えば、フラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、チエニル、チアジアゾリル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、プリニル、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル及びベンゾジオキソリルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本明細書において「ヘテロ原子」とは、酸素原子(O)、窒素原子(N)、硫黄原子(S)及びリン原子(P)などの炭素原子以外の原子を意味するものとする。
【0047】
全てのアルキル基又は炭素鎖において、1以上の炭素原子はヘテロ原子O、S又はNに取り換えられていてもよく、Nが置換されない場合、それはNHであるものとし、ヘテロ原子は、分岐若しくは非分岐の炭素鎖中の末端の炭素原子若しくは内部の炭素原子のいずれに取って換わってもよいものとする。そのような基は、上記のように、オキソ基のような基により置換され、アルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソなどの非限定的な定義になり得る。
【0048】
本明細書において用いられる「アリール」とは、本明細書で定義された芳香族炭素環又はヘテロアリールを意味するものとする。別段の指定がない限り、各々のアリール基又はヘテロアリール基には、部分的若しくは完全に水素化された誘導体が含まれる。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニル及びテトラヒドロキノリニルを含んでもよく、ナフチルは、テトラヒドラナフチル(tetrahydranaphthyl)などの水素化誘導体を含んでもよい。本明細書に記載されたアリール及びヘテロアリール化合物の、その他の部分的又は完全に水素化された誘導体は、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって明らかであろう。
【0049】
本明細書において用いられているように、「窒素原子」及び「硫黄原子」はあらゆる酸化型の窒素原子及び硫黄原子、並びに、四級型のあらゆる塩基性窒素原子を含む。例えば、−S−C1-6アルキル基に関しては、特段の指定がない限り、−S(O)−C1-6アルキル及び−S(O)2−C1-6アルキルを含むものとする。
【0050】
「アルキル」とは、炭素数1〜10の飽和脂肪族基、又は炭素数2〜12のモノ不飽和若しくはポリ不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。モノ又はポリ不飽和脂肪族炭化水素基は、それぞれ、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を有する。「アルキル」とは、分岐鎖及び非分岐鎖のアルキル基の両方を意味する。「アルク(alk)」又は「アルキル(alkyl)」の接頭辞を用いるあらゆる合成語は、上記「アルキル」の定義に従うアナログを意味するものとする。例えば、「アルコキシ」、「アルキチオ」などの用語は、酸素原子又は硫黄原子を介して第2基と結合したアルキル基を意味する。「アルカノイル」とは、カルボニル基(C=O)と結合したアルキル基を意味する。
【0051】
本明細書において用いられる「ハロゲン」とは、臭素原子、塩素原子、フッ素原子又はヨウ素原子、好ましくはフッ素原子を意味するものとする。「部分的又は完全にハロゲン化された」、「部分的又は完全にフッ素化された」、「1以上のハロゲン原子で置換された」という定義としては、1以上の炭素原子上のモノ、ジ又はトリハロ誘導体が挙げられる。アルキル基に対する非限定的な例としては、−CH2CHF2、−CF3などが挙げられる。
【0052】
本明細書において記載される、アルキル、炭素環、ヘテロ環若しくはヘテロアリール、又はこれらのアナログは、部分的又は完全にハロゲン化されていてもよいものとする。
【0053】
本発明の化合物は、当業者には明らかなように、「化学的に安定」であると考えられるもののみである。例えば、「ダングリング(dangling)原子価」や「カルボアニオン」を有する化合物は、本明細書で開示された発明方法により意図されている化合物ではない。
【0054】
本発明は、式(I)の化合物の製薬学的に許容できる誘導体を含む。「製薬学的に許容できる誘導体」とは、あらゆる製薬学的に許容できる塩若しくはエステル;又は患者に投与することにより、本発明に有用な化合物を(直接的若しくは間接的に)提供することのできるあらゆる他の化合物;又は、それらの薬理学的に活性のある代謝産物若しくは薬理学的に活性のある残留物を意味する。薬理学的に活性のある代謝産物とは、酵素的に又は化学的に代謝され得る本発明のあらゆる化合物を意味するものとする。例として、式(I)の化合物の水酸化又は酸化誘導体が挙げられる。
【0055】
製薬学的に許容できる塩としては、製薬学的に許容できる無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものが挙げられる。好ましい酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸(toluene−p−sulfuric)、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸(naphthalene−p−sulfuric)及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は製薬学的に許容されないが、当該化合物及びその薬理学的に許容できる酸付加の塩を得る際の中間体として有用な塩を用意するのに用いられてもよい。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(ナトリウムなど)の塩、アルカリ土類金属(マグネシウムなど)の塩、アンモニウム塩及びN−(C1−C4アルキル)4+塩が挙げられる。
【0056】
また、式(I)の化合物のプロドラッグを用いることも本発明の範囲に含まれる。プロドラッグには、単純な化学的変換により変化して本発明の化合物を作り出す化合物が含まれる。単純な化学的変換には加水分解、酸化及び還元が含まれる。特に、プロドラッグを患者に投与すると、当該プロドラッグが上記に開示した化合物に変換されて、これにより所望の薬理学的効果を与えてもよい。
【0057】
式Iの化合物は、本発明の一部をも構成する下記の一般的合成方法を用いて製造されてもよい。
【0058】
[一般的合成方法]
本発明は、式(I)の化合物の製造方法をも提供する。全ての方法において、別段の指定がない限り、下記式中のR1、R2、R3、R4及びR5は、上記本発明の式(I)におけるR1、R2、R3、R4及びR5の意味を有するものとする。
最適反応条件及び反応時間は、使用する特定の試薬に応じて変化してもよい。別段の指定がない限り、溶剤、温度、圧力及びその他の反応条件は当業者により容易に選択されてよい。具体的な手順は、合成例のセクションの中で提供されている。一般的に、必要に応じて、反応の進み具合を薄層クロマトグラフィ(TLC)によりモニターしてもよく、中間体及び生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィー及び/又は再結晶によって精製してもよい。
以下の例は一例であって、当業者によって認識されるように、具体的な試薬や条件は過度の実験をすることなく個々の化合物の必要に応じて改良することが出来る。以下の方法において用いられる出発物質及び中間体は、市場で入手できるものであってもよく、当業者によって市場で入手可能な物質から容易に製造されるものであってもよい。
当該技術分野で周知の方法や下記実施例に例証された方法により式(I)の初期生成物をさらに改良して、本発明の他の化合物を製造してもよい。
【0059】
式(I)の化合物は、スキーム1に概略される方法により合成されてもよい。
【0060】
【化5】

【0061】
スキーム1で説明されるように、好適溶媒中における式IIのブロモエステルとチオ酢酸カリウムなどの試薬との反応により、式IIIのスルファニル化合物が得られる。式IIIのスルファニル化合物と塩素との反応により、対応する塩化スルフィニルが得られる。好適な溶媒中における該塩化スルフィニルとアミンR12NHとの反応により、式IVの化合物が得られる。メタ−クロロ過安息香酸などの酸化剤で式IVの化合物を酸化することにより、対応する式Vのスルホンが得られる。好適な溶媒中においてトリメチルシロキシカリウム(potassium trimethylsilanolate)などの試薬で該スルホンVを加水分解することにより、対応する式VIの酸が得られる。
式VIの酸を塩化チオニル又は塩化オキサリルと反応させることにより対応する酸塩化物が得られ、その後、好適な塩基存在下、好適な溶媒中で該酸塩化物をアミンR5NH2と反応させることにより、式(I)の化合物が得られる。
あるいは、標準的な結合条件下で式VIの酸をアミンR5NH2と結合させることにより、式(I)の化合物を得てもよい。当技術分野において知られている標準的なペプチド結合反応(例えば、「M.Bodanszky,1984,The Practice of Peptide Synthesis,Springer−Verlag」を参照)をこれらの合成に用いてもよい。好適な結合条件の例としては、DMFなどの好適な溶媒中の該カルボン酸溶液を、EDC、HOBT、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基で処理し、その後所望のアミンで処理することが挙げられる。
【0062】
当該技術分野で周知の方法や下記実施例で例証された方法により式(I)の初期生成物をさらに改良して、本発明の他の化合物を製造してもよい。
【実施例】
【0063】
[実験手順]
<<方法>>
<N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−2−シクロペンチルスルファモイル−2−メチル−プロピオンアミドの合成(表4の実施例5)>
【0064】
【化6】

【0065】
(工程1:2−(アセチルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルの合成)
室温でN,N−ジメチルホルムアミド(500mL)中のエチルα−ブロモイソブチラート(62g、0.32mol)の溶液に、チオ酢酸カリウム(72g、0.63mol)を添加する。この反応を16時間攪拌し、減圧下で濃縮する。残渣を2Mの塩酸水溶液(500mL)で希釈し、エチルアセタート(3×500mL)で抽出する。有機フラクションをまとめて、ブライン(300mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過を行い、減圧下で濃縮する。ヘプタン/ジクロロメタンで溶出しながらシリカ上でのクロマトグラフィーを行って精製することにより、2−(アセチルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを得る(m/z191[M+H+])。
【0066】
(工程2:2−(アゼチジン−1−スルフィニル)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルの合成)
10℃で10分間、ジクロロメタン(50mL)と水(50mL)中の2−アセチルスルファニル−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(5.0g、26mmol)の二相混合物を介して塩化ガスを泡立てる。その後、有機相を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。塩化スルフィニル粗生成物をジクロロメタン(50mL)に再溶解させ、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.58mL、26mmol)及びアゼチジン(1.5g、26mmol)を導入する。この反応を室温で1時間攪拌した後、減圧下で濃縮する。酢酸エチル/ヘプタンで溶出しながらシリカ上でのクロマトグラフィーを行って精製することにより、2−(アゼチジン−1−スルフィニル)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを得る(m/z220[M+H+])。
【0067】
同様の手順を用いて、表4に記載のスルフィンアミドを合成する。
【0068】
【表4】





【0069】
(工程3:2−(アゼチジン−1−スルホニル)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルの合成)
室温でジクロロメタン(100mL)の2−(アゼチジン−1−スルフィニル)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(4.62g、21mmol)の溶液に、メタ−クロロ過安息香酸(5.46g、32mmol)を添加する。Ambersep 900−OH樹脂(2.9g)を導入する前に、この反応を1時間攪拌する。この懸濁液を2時間振とうした後、濾過する。減圧下で濾液を濃縮し、残渣をジクロロメタン(50mL)に再溶解させ、重炭酸ナトリウム飽和溶液(50mL)で洗浄し、減圧下でこの溶媒を濃縮して、オレンジ色のオイルとして2−(アゼチジン−1−スルホニル)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルを得る。このオイルを別途精製することなく用いる(m/z236[M+H+])。
【0070】
同様の手順を用いて、表5に記載のスルホンアミドを合成する。
【0071】
【表5】





【0072】
(工程4:2−(アゼチジン−1−スルホニル)−2−メチル−プロピオン酸の合成)
室温で、テトラヒドロフラン(200mL)中の2−(アゼチジン−1−スルホニル)−2−メチルプロピオン酸エチルエステル(5.0g、21mmol)の溶液に、トリメチルシロキシカリウム(8.2g、64mmol)を添加する。この反応を1時間攪拌する。その後、この混合液を1N塩酸水溶液(50mL)で希釈し、ジクロロメタン(250mL)で抽出する。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、白色固体として2−(アゼチジン−1−スルホニル)−2−メチル−プロピオン酸を得る(m/z208[M+H+])。
【0073】
同様の手順を用いて、表6に記載のカルボン酸を合成する。
【0074】
【表6】





【0075】
(工程5:2−(アゼチジン−1−スルホニル)−N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−2−メチル−プロピオンアミドの合成)
2−(アゼチジン−1−スルホニル)−2−メチル−プロピオン酸(75mg、0.36mmol)を含むフラスコに、塩化チオニル(2.5mL)を添加する。得られた溶液を60℃に加熱したまま2時間維持する。その後、この混合液を室温に冷却し、減圧下で濃縮する。この粗酸塩化物を別途精製することなく用いる。
室温で、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(75mL、0.43mmol)を含むジクロロメタン(1mL)中の3−アミノ−5−tert−ブチルイソオキサゾール(50mg、0.36mmol)の溶液に、前記酸塩化物(約0.36mmol)をジクロロメタン(1mL)中の溶液として添加する。この反応を2時間攪拌した後、減圧下で濃縮する。分取HPLCで精製することにより、2−(アゼチジン−1−スルホニル)−N−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−2−メチル−プロピオンアミドを得る。
【0076】
同様の手順に従って、表7に記載された例を製造する。
【0077】
【表7】

【0078】


【0079】


【0080】


【0081】


【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】
[生物学的特性の評価]
下記のアッセイを用いて、前記式Iの化合物の生物学的特性を評価した。
【0089】
<A.ヒトのCB1及びCB2受容体結合:>
(実験方法:)
ヒトCB2受容体cDNAを安定的にトランスフェクトしたHEK293EBNA細胞から作られたCB2メンブレンを購入した(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)。ヒトCB1受容体とGα16cDNAを安定的に共トランスフェクトしたHEK細胞からCB1メンブレンを単離した。該メンブレン調製品を、50mMのトリス(pH7.5)、2.5mMのEDTA、及び5mMのMgCl2、0.8%の脂肪酸フリーの牛血清アルブミンを含むアッセイバッファー中で、室温で4時間、シンチレーションビーズ(Ysi−ポリ−L−リシンSPAビーズ;GEヘルスケア社製)と結合させた。結合しなかったメンブレンをアッセイバッファー中で洗浄して除去した。1ウェル当たり15μgのメンブレン(CB2)又は1ウェル当たり2.5μg(CB1)及び1ウェル当たり1mgのSPAビーズの量で、メンブレン−ビーズ混合物を96ウェルのアッセイプレートに添加した。0.25%DMSO(最終濃度)を含む1×10-5M〜1×10-10Mの範囲内の用量−反応濃度で、化合物を前記メンブレン−ビーズ混合物に添加した。1.5nM(CB2)又は2.5nM(CB1)の最終濃度で3H−CP55940(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)を添加することにより、競争反応が開始した。該反応は室温で18時間インキュベートされ、トップカウントNXTプレートリーダー(TopCount NXT plate reader)で読み取った。1.25μMのWin55212(シグマ社製)の非存在下及び存在下において、全結合及び非特異的結合を求めた。XLFit4.1の4パラメータ論理モデルを用いて、放射活性標識されたリガンドが受容体に特異的に結合するのを50%阻害する化合物の濃度として、各化合物に対するIC50値を計算した。Cheng−Prussofの式(Cheng−Prussof equation)を用いて、IC50値を阻害係数(Ki)に変換した。
【0090】
<B.CB2R介在性のcAMP合成の調節:>
以下の実験方法に従って、本発明の化合物のCB2アゴニスト又はインバースアゴニスト活性を評価した。上記の結合アッセイによってCB2に結合すると示されたが、このアッセイによりCB2R−介在性のcAMP合成調節を示さなかった化合物は、CB2アンタゴニストであると推測された。
【0091】
(実験方法:)
ヒトCB2Rを発現するCHO細胞(ユーロスクリーン社製(Euroscreen))を、1ウェル当たり5000細胞の密度で384ウェルプレート内に入れて、37℃で一晩インキュベートした。培地を除いた後、1mMのIBMX、0.25%のBSA及び10μMのフォルスコリン(Forskolin)を含む刺激バッファー中で希釈されたテスト化合物で、前記細胞を処理した。このアッセイを37℃で30分間インキュベートした。細胞を溶解し、製造会社のプロトコルに従いながらDiscoverX−XS cAMPキットを用いてcAMP濃度を測定した。この状況において、アゴニストはフォルスコリン誘導性のcAMP産生を減少させるであろうし、インバースアゴニストはフォルスコリン誘導性のcAMP産生を更に増加させるであろう。アゴニストのEC50を以下のようにして求めた。1μMのCP55940によって抑制されたcAMPのレベルに対する、フォルスコリンによって産生されたcAMPの最大量を100%と規定する。各テスト化合物のEC50値を、フォルスコリン刺激性のcAMP合成の50%が抑制される濃度として決定した。4パラメータ論理モデル(XLfit4.0のモデル205)を用いてデータを分析した。
【0092】
<C.CB1R介在性のcAMP合成の調節:>
以下の実験方法に従って、本発明の化合物のCB1アゴニスト又はインバースアゴニスト活性を評価した。上記の結合アッセイによってCB1に結合すると示されたが、このアッセイによりCB1R−介在性のcAMP合成調節を示さなかった化合物は、CB1アンタゴニストであると推測された。
【0093】
(実験方法:)
ヒトCB1Rを発現するCHO細胞(ユーロスクリーン社製(Euroscreen))を、1ウェル当たり5000細胞の密度で384ウェルプレート内に入れて、37℃で一晩インキュベートした。培地を除いた後、1mMのIBMX、0.25%のBSA及び10μMのフォルスコリン(Forskolin)を含む刺激バッファー中で希釈されたテスト化合物で、前記細胞を処理した。このアッセイを37℃で30分間インキュベートした。細胞を溶解し、製造会社のプロトコルに従いながらDiscoverX−XS cAMPキットを用いてcAMP濃度を測定した。この状況において、アゴニストはフォルスコリン誘導性のcAMP産生を減少させるであろうし、インバースアゴニストはフォルスコリン誘導性のcAMP産生を更に増加させるであろう。アゴニストのEC50を以下のようにして求めた。1μMのCP55940によって抑制されたcAMPのレベルに対する、フォルスコリンによって産生されたcAMPの最大量を100%と規定する。各テスト化合物のEC50値を、フォルスコリン刺激性のcAMP合成の50%が抑制される濃度として決定した。4パラメータ論理モデル(XLfit4.0のモデル205)を用いてデータを分析した。
【0094】
[アゴニスト活性を有する化合物]
上記アッセイを用いることにより、アゴニスト活性を示し、従って、疼痛の治療及び炎症の治療に特に適した化合物を見出した。
【0095】
[治療的用途]
上記アッセイによって実証され得るように、本発明の化合物はCB2受容体機能を調節するのに有益である。この事実により、これらの化合物は、CB2受容体機能を介する病態及び病状、又はCB2受容体機能を調節することで恩恵を受ける病態及び病状を治療する治療的用途を有する。
【0096】
本発明の化合物はCB2受容体機能を調節するため、有用な抗炎症活性及び免疫抑制活性を有し、病態及び病状を治療するための薬剤、特に以下に述べる医薬組成物の形態の薬剤として患者に用いることができる。
【0097】
前記の通り、CB2アゴニストである化合物は、疼痛の治療に用いることも出来る。
【0098】
本発明に従うアゴニスト化合物は、炎症プロセスを伴う以下の病態又は兆候の治療用薬剤として患者に用いることが出来る。
【0099】
(i)肺疾患: 例えば、ぜんそく、気管支炎、アレルギー性鼻炎、肺気腫、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、ハト飼育者疾患(pigeon fancier’s disease)、農夫肺(farmer’s lung)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ぜんそく(アレルギー性ぜんそく(アトピー性若しくは非アトピー性)、運動誘発性気管支収縮、職業性ぜんそく、ウイルス性若しくは細菌性のぜんそく増悪、他の非アレルギー性ぜんそく、及び喘鳴幼児症候群(wheezy−infant syndrome)を含む)、塵肺症(アルミニウム肺症(aluminosis)、炭粉沈着症(anthracosis)、石綿症(asbestosis)、石肺症(chalicosis)、チローシス(ptilosis)、鉄沈着症(siderosis)、珪肺症(silicosis)、タバコ症(tabacosis )及び綿肺症(byssinosis)を含む);
【0100】
(ii)リウマチ疾患、自己免疫疾患又は筋骨格疾患(musculoskeletal diseases): あらゆる形態のリウマチ疾患、特に関節リウマチ、急性リウマチ熱及びリウマチ性多発筋痛;反応性関節炎;リウマチ性軟部組織疾患(rheumatic soft tissue diseases);他起源の炎症性軟部組織疾患(inflammatory soft tissue diseases of other genesis);退行性関節疾患(関節症(arthroses))における関節炎症状;腱炎、滑液包炎、変形性関節症、外傷性関節炎;あらゆる起源の膠原線維症(collagenoses of any genesis)、例えば全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、スティル病(Still disease)、フェルティ症候群;並びに、骨粗しょう症及び他の骨吸収疾患(bone resorption diseases);
【0101】
(iii)アレルギー性疾患: あらゆる形態のアレルギー反応、例えば、血管神経性浮腫(angioneurotic edema)、枯草熱、昆虫刺傷、薬剤や血液誘導体(blood derivatives)、造影剤などに対するアレルギー反応、アナフィラキシーショック(アナフィラキシー)、じんましん、血管神経性浮腫、及び接触性皮膚炎;
【0102】
(iv)血管疾患: 結節性汎動脈炎(panarteritis nodosa)、結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa)、結節性動脈周囲炎(periarteritis nodosa)、側頭動脈炎(arteritis temporalis)、ウェグナー肉芽腫症(Wegner granulomatosis)、巨細胞動脈炎(giant cell arthritis)、アテローム性動脈硬化症、再かん流傷害(reperfusion injury)及び結節性紅斑(erythema nodosum);
【0103】
(v)皮膚疾患: 例えば、皮膚炎、乾癬;日焼け、熱傷(やけど)、湿疹;
【0104】
(iv)腎疾患: 例えば、ネフローゼ症候群;及び糸球体腎炎などのあらゆる形態の腎炎;膵炎;
【0105】
(vii)肝疾患: 例えば、急性肝細胞分解(acute liver cell disintegration);例えばウイルス性、毒物性、薬剤誘導性などの様々な起源の急性肝炎;及び慢性活動性(chronically aggressive)及び/又は慢性間欠性の肝炎;
【0106】
(viii)消化器疾患: 例えば、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、限局性腸炎(クローン病)、潰瘍性大腸炎;胃炎;アフタ性潰瘍、セリアック病、限局性回腸炎(regional ileitis)、胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease);
【0107】
(ix)神経保護(neuroprotection): 例えば、脳卒中(stroke)に伴う神経変性;心停止;肺バイパス(pulmonary bypass);外傷性脳損傷;脊髄損傷などの治療における神経保護;
【0108】
(x)眼疾患: アレルギー性角膜炎、ブドウ膜炎若しくは結膜炎;眼瞼炎;視神経炎(neuritis nervi optici);脈絡膜炎;緑内障及び交感性眼炎;
【0109】
(xi)耳、鼻及び喉(ENT)領域の疾患: 例えば、耳鳴;アレルギー性鼻炎若しくは枯草熱;接触湿疹若しくは感染などにより引き起こされる外耳炎;及び中耳炎;
【0110】
(xii)精神疾患: 例えば、脳浮腫、特に腫瘍関連の脳浮腫;多発性硬化症;急性脳脊髄炎(acute encephalomyelitis);髄膜炎;急性脊髄損傷;外傷;認知症、特に変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病;パーキンソン病及びクロイツフェルト・ヤコブ病;ハンチントン舞踏病、ピック病;運動ニューロン疾患を含む)、血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む)及び頭蓋内占拠性病変に関連する認知症;感染及び関連する病状(HIV感染を含む);ギラン・バレー症候群;重症筋無力症;脳卒中;並びに、点頭てんかん(nodding spasms)などの様々な形態の発作;
【0111】
(xiii)血液疾患: 後天性溶血性貧血;再生不良性貧血、及び突発性血小板減少症;
【0112】
(xiv)腫瘍疾患: 急性リンパ性白血病;ホジキン病、悪性リンパ腫;リンパ肉芽腫症;リンパ肉腫;固形悪性腫瘍;広範な転移(extensive metastases);
【0113】
(xv)内分泌疾患: 内分泌眼症(endocrine ophthalmopathy);内分泌眼窩症(endocrine orbitopathia);甲状腺クリーゼ(thyrotoxic crisis);ドケルバン甲状腺炎(Thyroiditis de Quervain);橋本甲状腺炎;バセドウ病(Morbus Basedow);肉芽腫性甲状腺炎;リンパ腫性甲状腺腫(struma lymphomatosa);及びグレーブス病;I型糖尿病(インスリン依存性糖尿病);
【0114】
(xvi)臓器及び組織移植及び移植片対宿主疾患;
【0115】
(xvii)深刻なショック状態、例えば敗血性ショック、アナフィラキシーショック、及び全身性炎症反応症候群(SIRS);
【0116】
(xviii)歯痛、周術期の疼痛、術後の疼痛、外傷痛、筋肉痛、熱傷した皮膚の痛み、日焼け、三叉神経痛、日焼けなどの急性疼痛;消化管若しくは子宮のけいれん、疝痛;
【0117】
(xix)慢性骨盤痛、膵炎、消化性潰瘍、間質性膀胱炎、腎疝痛、アンギナ(angina)、月経困難症(dysmenorrhoea)、月経(menstruation)、婦人科痛(gynaecological pain)、過敏性腸症候群(IBS)、非潰瘍性消化不良(non−ulcer dyspepsia)、非心臓性胸痛(non−cardiac chest pain)、又は心筋虚血に関連する痛み、などの内臓痛;
【0118】
(xx)下背部痛、非帯状疱疹神経痛(non−herpetic neuralgia)、帯状疱疹後神経痛(post herpetic neuralgia)、糖尿病性神経障害、神経損傷、後天性免疫不全症候群(AIDS)関連の神経障害痛、頭部外傷、痛みを伴う外傷性単神経障害(painful traumatic mononeuropathy)、毒及び化学療法誘導性の疼痛、幻肢痛、痛みを伴う多発性神経障害(painful polyneuropathy)、視床症候群(thalamic pain syndrome)、脳卒中後疼痛、中枢神経系損傷、術後疼痛(post surgical pain)、断端痛(stump pain)、反復運動痛(repetitive motion pain)、乳腺切除後症候群によって引き起こされる疼痛(pain induced by post mastectomy syndrome)、多発性硬化症、神経根引き抜き損傷(root avulsions)、開胸術後症候群(postthoracotomy syndrome)、痛覚過敏及び異痛に関連する神経障害痛、などの神経障害痛;
【0119】
(xxi)変形性関節症(osteoarthritis)、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎(teno−synovitis)、痛風、外陰部痛(vulvodynia)、筋筋膜痛(myofascial pain)(筋損傷、線維筋痛)、腱炎(tendonitis)、変形性関節症、若年性関節炎、脊椎炎、通風性関節炎、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis)、筋骨格痛(muscoskeletal pain)、線維筋痛、捻挫(sprains)及び筋違い(strains)、交感神経依存性疼痛(sympathetically maintained pain)、筋炎、片頭痛に関連する痛み、歯痛、インフルエンザ及び風邪などの他のウイルス感染、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、などの疾患によって引き起こされる又はこれらの疾患に関連する炎症性/侵害受容性疼痛(inflammatory/nociceptive pain);
【0120】
(xxii)リンパ性白血病;ホジキン病、悪性リンパ腫;リンパ肉芽腫症;リンパ肉腫;固形悪性腫瘍;広範な転移、などの腫瘍によって引き起こされる又はこれらの腫瘍に関連する癌性疼痛;
【0121】
(xxiii)群発性頭痛、前兆のある片頭痛及び前兆のない片頭痛、緊張型頭痛、異なる起源の頭痛、並びに、予防的使用及び急性使用を含む頭痛疾患、などの頭痛;
【0122】
(xxiv)経皮経管冠動脈形成術後の再狭窄、急性及び慢性疼痛、アテローム性動脈硬化症、再かん流傷害、鬱血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に続発する多臓器損傷、血液透析、白血球フェレーシス及び顆粒球輸血に関連する壊死性腸炎及び症候群、サルコイドーシス、歯肉炎、発熱、熱傷や捻挫若しくは骨折に関連する外傷に起因する浮腫、脳浮腫及び血管性浮腫、並びに、糖尿病性血管障害や糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、後毛細血管抵抗若しくは膵島炎に関連する糖尿病性症状(例えば、高血糖、利尿、タンパク尿、亜硝酸塩増加、及び尿中カリクレイン排せつ)などの糖尿病、を含む様々な他の病態又は病状。
【0123】
他の適応症には以下のものが含まれる:てんかん、敗血性ショック(例えば抗血液量減少及び/又は抗血圧降下の薬剤として)、癌、敗血症、骨粗しょう症、良性前立腺過形成(benign prostatic hyperplasia)及び過活動ぼうこう(hyperactive bladder)、そう痒症(pruritis)、白斑、一般的な消化器疾患、呼吸器、尿生殖器、消化器若しくは血管領域での内臓運動障害、創傷(wounds)、熱傷、組織損傷、術後発熱、そう痒(Itching)に関連する症候群。
【0124】
ヒトの治療に有用であるのに加えて、これらの化合物は、哺乳類、げっ歯類などを含む、ペット、珍しい動物(exotic animals)及び家畜(farm animals)の獣医学的治療にも有用である。
【0125】
上記疾患及び病状の治療に関し、一般的に、治療的に有効な用量は、本発明の化合物の1投与につき、体重1kg当たり約0.01mg〜約100mgの範囲内であり、好ましくは1投与につき体重1kg当たり約0.1mg〜約20mgである。例えば、70kgの人間に投与する場合には、投与量範囲は、本発明の化合物の1投与当たり約0.7mg〜約7000mgであり、好ましくは1投与当たり約7.0mg〜約1400mgである。 最適な投与レベル及びパターンを決定するために、ある程度の所定の用量最適化を要してもよい。当該活性成分は、1日に1〜6回投与してもよい。
【0126】
[一般的投与及び医薬組成物]
医薬品として用いられる場合、一般的に、本発明の化合物は医薬組成物の形態で投与される。そのような組成物は、医薬業界でよく知られた手順を用いて製造することができ、少なくとも1種の本発明の化合物を含む。本発明の化合物は単独で投与されてもよく、本発明の化合物の安定性を高める補助剤、特定の実施態様において該化合物を含む医薬組成物の投与を容易にする補助剤、溶解性や分散性を高める補助剤、阻害活性を高める補助剤、補助的治療をもたらす補助剤などと組み合わせて投与されてもよい。本発明に従う化合物は、単独で用いられてもよく、本発明に従う他の活性物質と併せて用いられてもよいが、さらに他の薬理学的に活性な物質と併せてもよい。一般的に、本発明の化合物は、治療的又は製薬学的に有効な量で投与されるが、診断目的又は他の目的のためにより少量で投与されてもよい。
【0127】
純粋な形で又は適切な医薬組成物での本発明の化合物の投与は、一般に認められた医薬組成物の投与形式を用いて行うことが出来る。従って、投与は、例えば、錠剤、坐薬、丸剤(pills)、軟カプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、粉末、溶液、懸濁液、エアロゾルなどの、固体、半固体、凍結乾燥粉末又は液体剤形の形態(好ましくは正確な用量を簡単に投与するのに適した単位剤形)で、例えば、経口投与、口腔投与(buccally)(舌下投与など)、経鼻投与、非経口投与(parenterally)、局所投与、経皮投与、経膣投与又は直腸内投与であってよい。当該医薬組成物は、一般的に、従来の医薬担体又は賦形剤(excipient)及び活性剤としての本発明の化合物を含み、さらに他の薬剤、医薬品、担体、補助剤、希釈剤、ビヒクル(vehicles)、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。そのような製薬学的に許容できる賦形剤、担体又は添加剤、及び、様々な形式又は投与用の医薬組成物の製造方法は、当業者によく知られている。当該技術の現状は、以下の文献から明らかである:「Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,A.Gennaro(ed.),Lippincott Williams & Wilkins,2000;Handbook of Pharmaceutical Additives,Michael & Irene Ash(eds.),Gower,1995;Handbook of Pharmaceutical Excipients,A.H.Kibbe(ed.),American Pharmaceutical Ass’n,2000;H.C.Ansel and N.G.Popovish,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,5th ed.,Lea and Febiger,1990」。これらは各々、当該技術の現状をよく説明するために全体を参照することにより本明細書に援用される。
【0128】
当業者であれば、特定の製剤に用いられる本発明の化合物の形態であって、該製剤が効果的であるのに必要な適切な物理的特性(例えば水溶性)を有する(例えば塩)本発明の化合物の形態が選択されると予想するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその化合物の製薬学的に許容される塩:
【化1】

式中、
1は、C1-10アルキル、C3-10シクロアルキル−C0-2アルキル−又はヘテロ環−C0-2アルキル−であって、前記ヘテロ環はテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、スルホンアリル、テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキセタニルから選択され、各R1はハロゲン、C1-5アルキル、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ及びC1-6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
2は水素又はC1-5アルキルであり;
あるいはR1及びR2は、R1及びR2が結合するN原子とともに、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい3〜6員環のヘテロ環を形成し;
3はメチル、エチル又はイソプロピルであり;
4は水素又はメチルであり;
あるいは
3及びR4は、R3及びR4が結合する炭素原子と共に、3〜4員環のシクロアルキル環を形成し;
5はアリール又はヘテロアリールで置換されていてもよいC1-10アルキルであり、あるいは
5は、フラニル、ピラニル、ベンゾオキザゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、それぞれ独立してC1-6アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、炭素環及びヘテロアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよく;
ただし、R2が水素の場合にはR1はアリールではないことを条件とする。
【請求項2】
1が、C1-10アルキル、C3-10シクロアルキル−C0-2アルキル−又はヘテロ環−C0-2アルキル−であって、前記ヘテロ環はテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、スルホンアリル、テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキセタニルから選択され、各R1はハロゲン、C1-5アルキル、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ及びC1-6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
2が水素又はC1-5アルキルであり;
あるいは
1及びR2が、R1及びR2が結合するN原子とともに、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、ヒドロキシ、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい3〜6員環のヘテロ環を形成し;
3がメチル、エチル又はイソプロピルであり;
4が水素又はメチルであり;
あるいは
3及びR4が、R3及びR4が結合する炭素原子と共に、3〜4員環のシクロアルキル環を形成し;
5が、フラニル、ピラニル、ベンゾオキザゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、それぞれ独立してC1-6アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、炭素環及びヘテロアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的若しくは完全にハロゲン化されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、C1-5アルキル、C3-6シクロアルキル−C0-2アルキル−又はヘテロ環−C0-2アルキル−であって、前記ヘテロ環はテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロチエニル、スルホンアリル、テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソ−テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、オキセタニル及びモルホリニルから選択され、各R1は独立してハロゲン、C1-5アルキル、C3-6シクロアルキル、ヒドロキシ及びC1-6アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
1及びR2が、R1及びR2が結合するN原子と共に、モルホリニル、ピペリジニル、アゼチジニル又はピロリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、ピペラジニルを形成し、各々C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
5がフラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、各R5置換基は更に、C1-5アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、フェニル、C3-10シクロアルキル、フラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル及びベンゾチアゾリルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的又は完全にハロゲン化されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
1がC1-5アルキル、C3-6シクロアルキル、C3-6シクロアルキルメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル又はモルホリニルであって、各々独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル及びC1-3アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
5がフラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジニル又はベンゾチアゾリルであって、各R5置換基は更に、C1-5アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、シアノ、ハロゲン、フェニル、C3-6シクロアルキル及びピリジニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、各R5又は存在する場合にはその置換基は部分的又は完全にハロゲン化されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
1がC1-5アルキル、C3-6シクロアルキル、シクロヘキシルメチル又はテトラヒドロピラニルであって、各々独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル及びC1-4アルコキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
1及びR2が、R1及びR2が結合するN原子と共に、モルホリニル、ピペリジニル、アゼチジニル又はピロリジニルを形成し、各々C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、C3-6シクロアルキル、C1-3アルキルアミノカルボニル、C1-3ジアルキルアミノカルボニル、C1-3アルキルカルボニル、C1-3アルキルスルホニル及びハロゲンから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
1がC1-5アルキル、C3-6シクロアルキル又はテトラヒドロピラニルであって、各々独立して、ハロゲン、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ及びC3-6シクロアルキルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい、
ことを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式(I)の化合物、又はその化合物の製薬学的に許容される塩:
【化2】

上記式(I)中、
【化3】

上記構造は、下記表1のA欄の群から選択され、
【化4】

上記構造は、下記表1のB欄の群から選択される。
【表1】







【請求項8】
下記から選択される化合物、又はその化合物の製薬学的に許容される塩。
【表2】











【請求項9】
下記から選択される化合物、又はその化合物の製薬学的に許容される塩。
【表3】



【請求項10】
請求項1に記載の化合物を治療的に有効な量含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物を治療的に有効な量患者に投与する工程を有することを特徴とする、疼痛の治療方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物を治療的に有効な量患者に投与する工程を有する、肺疾患、リウマチ疾患、自己免疫疾患、筋骨格疾患、アレルギー性疾患、アレルギー反応、血管疾患、皮膚疾患、腎疾患、肝疾患、消化器疾患、神経変性、眼疾患、耳、鼻及び喉の疾患、神経疾患、血液疾患、腫瘍、内分泌疾患、臓器及び組織移植及び移植片対宿主疾患、深刻なショック状態、急性疼痛、内臓痛、消化管若しくは子宮けいれん、疝痛、神経障害痛、炎症性及び侵害受容性疼痛、癌性疼痛、頭痛、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、再かん流傷害、鬱血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に続発する多臓器損傷、血液透析、白血球フェレーシス及び顆粒球輸血に関連する壊死性腸炎及び症候群、サルコイドーシス、歯肉炎、並びに発熱から選択される疾患又は病状の治療方法。

【公表番号】特表2011−503080(P2011−503080A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533162(P2010−533162)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/081680
【国際公開番号】WO2009/061652
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】