説明

GPSの精度を自動的に向上するナビゲーション装置

本発明は、位置測定装置から位置情報を受信するように構成されるプロセッサを具備するナビゲーション装置に関する。プロセッサは、運動検出器から運動情報を受信し、前記運動情報を使用して前記装置が静止中であるかを判定するように更に構成される。装置が静止中であると判定された場合、プロセッサは、装置が静止中である期間に位置測定システムから受信される連続した位置に関する情報を使用してある期間にわたる平均位置を計算する。平均位置は、ユーザに命令を与える等のナビゲーションの目的で使用される。静止中に平均することにより、更に適切な命令を与えるために使用される更に正確な位置が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置の精度を自動的に向上するナビゲーション装置に関する。更に本発明は、ナビゲーション命令を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム)に基づく従来のナビゲーション装置は周知であり、車載ナビゲーションシステムとして広く採用されている。そのようなGPSに基づくナビゲーション装置は、外部(又は内部)GPS受信機に機能接続する際に地球上の位置を判定できる演算装置に関係する。更に演算装置は、演算装置のユーザにより入力される出発地の住所と目的地の住所との間のルートを判定できる。通常、演算装置は、地図データベースから出発地の住所の場所と目的地の住所の場所との間の「最善」又は「最適」なルートを計算することがソフトウェアにより可能になる。「最善」又は「最適」なルートは、所定の基準に基づいて判定され、必ずしも最速又は最短のルートである必要はない。
【0003】
ナビゲーション装置は、通常は車両のダッシュボードに搭載されるが、車両に搭載されたコンピュータ又は自動車のラジオの一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置は、PDA又は電話機等のハンドヘルドシステム(の一部)であってもよい。
【0004】
GPS受信機から得られる位置情報を使用することにより、演算装置は、定期的に位置を判定し、車両の現在の位置をユーザに対して表示できる。ナビゲーション装置は、地図データを格納するメモリデバイス及び地図データの選択部分を表示するディスプレイを具備してもよい。
【0005】
更にナビゲーション装置は、ディスプレイ上に表示される且つ/又はスピーカからの可聴信号として生成される適切なナビゲーション指示により、決定されたルートをどのように進むかを案内する(ナビゲートする)ことができる(例えば、「100m先を左折する」)。遂行されるべき動作を示す図形(例えば、前方を左折することを示す左矢印)は、ステータスバーに表示され、地図自体には該当する分岐点/曲がり角等に重ね合わされる。
【0006】
運転者がナビゲーションシステムにより計算されたルートに沿って自動車を運転している時に、運転者がルートの再計算を開始できるようにする車載ナビゲーションシステムが使用可能であることは周知である。これは、車両が建築工事又は交通渋滞に直面した場合に有用である。
【0007】
ナビゲーション装置により展開されるルート計算アルゴリズムの種類をユーザが選択できることも周知であり、例えば、「通常」モード及び「高速」モード(最短時間でルートを計算し、通常モードほど多くのルートを調査しない)から選択する。
【0008】
また、ユーザが規定した基準でルートを計算できることが周知である。例えばユーザは、景色のよいルートが装置により計算されることを好む場合がある。装置のソフトウェアは、種々のルートを計算し、例えば景色が美しい所としてタグ付けされる地点情報(POIとして周知である)をルートに沿って最も多く含むルートを更に有利に重み付けする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既存のGPS受信機は、限定された精度で地球上の位置を判定できる。一般にGPS受信機は、約10〜20mの誤差、あるいは装置が多くの建物又は高い建物のある都市部にあるか又は山間部にあるために衛星と通信できない場合にはそれ以上の誤差を含む位置情報を毎秒受信する。この誤差は、系統的な静的誤差成分(天候及び大気の状態による)及び変動する誤差成分(通信システムのノイズによる)から構成される。変動する誤差成分のために、GPS受信機は自身が毎秒変化する位置にいるように検出するだろう。GPS受信機のそれら不正確な測定値は、そのようなGPS受信機を使用するナビゲーション装置の精度に直接影響を与える。
【0010】
精度が改善されたナビゲーション装置を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の1つの面によると、位置測定装置から位置情報を受信するように構成されるプロセッサを具備するナビゲーション装置が提供される。プロセッサは、更に、
・運動検出器から運動情報を受信し、
・運動情報を使用して、ナビゲーション装置が静止中であるかを判定し、
装置が静止中であると判定された場合は、
・装置が静止中である期間に位置測定装置から継続的に受信される位置に関する情報を使用してある期間にわたる平均位置を計算し、
・ナビゲーションの目的で平均位置を使用するように構成される。
【0012】
継続的に受信された位置を平均することにより、プロセッサはナビゲーション装置の位置の精度を向上できる。
【0013】
一実施形態において、プロセッサは、ナビゲーション装置が静止中であると判定されるとナビゲーション装置の全て又は一部の機能性をオフにするように構成される。その結果、ナビゲーション装置は節電される。
【0014】
運動情報は、車両速度測定装置により生成される速度情報を含んでもよい。そのような速度センサは既に自動車に存在する可能性があるため、自動車が静止中であるかを判断するために追加の成分は必要ない。
【0015】
運動情報は、ジャイロスコープ、加速度計、カメラ又は磁力計により生成されるデータを更に含んでもよい。それら全ての装置は、装置及びそのような装置を載せた車両が静止中であるかを判定するために使用される。
【0016】
更に本発明は、上述のナビゲーション装置を具備する自動車、オートバイ、船舶又は航空機等の乗り物に関する。
【0017】
本発明の別の面において、ナビゲーション装置を使用してナビゲーション方向を提供する方法が提供される。この方法は、
・運動検出器から運動情報を受信することと、
・運動情報を使用して、ナビゲーション装置が静止中であるかを判定することと、
ナビゲーション装置が静止中であると判定された場合は、
・ナビゲーション装置が静止中である期間に前記位置測定装置から受信される連続した位置に関する情報を使用してある期間にわたる平均位置を計算し、
・ナビゲーションの目的で前記平均位置を使用することとを有する。
【0018】
方法は、ナビゲーション装置が静止中であると判定されるとナビゲーション装置の全て又は一部の機能性をオフにすることを更に含んでもよい。
【0019】
別の面において、コンピュータ構成にロードされた時に上述の方法を実行する機能をコンピュータ構成に与えるコンピュータプログラムが提供される。
【0020】
最後に、上述のコンピュータプログラムを含むデータ記憶媒体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。図中、対応する図中記号は対応する部分を示す。
図1は、算術演算を行なうプロセッサユニット11を具備するナビゲーション装置10の一実施形態を示す概略ブロック図である。プロセッサユニット11は、ハードディスク12、読み出し専用メモリ(ROM)13、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)14及びランダムアクセスメモリ(RAM)15等の命令及びデータを格納する記憶装置と通信するように構成される。記憶装置は地図データを含んでもよい。この地図データは、2次元地図データ(緯度及び経度)であってもよいが、第3の次元(高度)を含んでもよい。地図データは、ガソリンスタンド、地点情報に関する情報等の追加の情報を更に含んでもよい。また、地図データは、道路沿いの建物及び物体の形状に関する情報を含んでもよい。
【0022】
プロセッサユニット11は、キーボード16及びマウス17等の1つ以上の入力装置と通信するように構成されてもよい。キーボード16は、例えばタッチスクリーンであるディスプレイ18に提供される仮想キーボードであってもよい。プロセッサユニット11は、ディスプレイ18、スピーカ24、及び例えばフロッピディスク20又はCDROM21を読み取るための1つ以上の読み取り装置19等の1つ以上の出力装置と通信するように更に構成されてもよい。ディスプレイ18は、従来のコンピュータディスプレイ(例えば、LCD)であってもよく、あるいは計測データを自動車のフロントガラスに投影するために使用されるヘッドアップディスプレイ等の投影型ディスプレイであってもよい。ディスプレイ18は、タッチスクリーンとして機能するように構成されるディスプレイであってもよい。タッチスクリーンは、ユーザが指でディスプレイ18に触れることにより命令及び/又は情報を入力することを可能にする。
【0023】
スピーカ24は、ナビゲーション装置10の一部として形成されてもよい。ナビゲーション装置10が車載ナビゲーション装置として使用される場合、ナビゲーション装置10は、自動車のラジオ及びボードコンピュータ等のスピーカを使用してもよい。
【0024】
プロセッサユニット11は、ナビゲーション装置10の位置に関する情報を提供するGPS受信機等の位置測定装置23と通信するように更に構成されてもよい。本実施形態によると、位置測定装置23はGPSに基づく位置測定装置23である。しかし、ナビゲーション装置10は、任意の種類の位置検知技術を実現してもよく、GPSに限定されないことが理解されるだろう。従って、ナビゲーション装置10は、欧州のガリレオシステム等の他の種類のGNSS(グローバルナビゲーションサテライトシステム)を使用して実現できる。同様に、ナビゲーション装置10は、衛星を使用する位置/速度システムに限定されず、地上ビーコン又は装置が地理的な場所を判定することを可能にする任意の他の種類のシステムを使用して同様に展開される。
【0025】
しかし、当業者に周知の更なる及び/又は他の記憶装置、入力装置及び読み取り装置が提供されてもよいことが理解されるべきである。更に、それら装置のうち1つ以上の装置は、必要に応じてプロセッサユニット11から物理的に遠く離れて配置されてもよい。プロセッサユニット11は1つのボックスで示されるが、当業者には周知であるように、互いに遠く離れて配置され且つ1つの主プロセッサにより制御されるか又は同時に機能するいくつかの処理ユニットを含んでもよい。
【0026】
ナビゲーション装置10は、コンピュータシステムとして示されるが、本明細書で説明される機能を実行するように構成されるアナログ及び/又はデジタル及び/又はソフトウェア技術を使用する任意の信号処理システムであってもよい。ナビゲーション装置10は、複数の構成要素から構成されるものとして図1に示すが、単一の装置として形成されてもよいことが理解されるだろう。
【0027】
ナビゲーション装置10は、Navigatorと呼ばれるTomTom B.V.のナビゲーションソフトウェア等のナビゲーションソフトウェアを使用してもよい。ナビゲータソフトウェアは、CompaqiPaq等のタッチスクリーンの(すなわち、スタイラスで制御される)PocketPC搭載PDA装置、並びに一体型GPS受信機23を有する装置上で動作してもよい。組み合わされたPDA及びGPS受信機システムは、車載ナビゲーションシステムとして使用されるように設計される。実施形態は、一体型GPS受信機/コンピュータ/ディスプレイを有する装置、あるいは車両以外による使用(例えば、歩行者)又は自動車以外の車両(例えば、航空機)のために設計された装置等のナビゲーション装置10の任意の他の構成で実現されてもよい。
【0028】
図2は、上述のようなナビゲーション装置10の機能ディスプレイ18の一例を示す。
【0029】
ナビゲータソフトウェアは、ナビゲーション装置10上で動作する場合、ナビゲーション装置10に、図2に示すような通常のナビゲーションモード画面をディスプレイ18上へ表示させる。このビューは、テキスト、記号、音声ガイダンス及び動画地図の組合せを使用して運転命令を提供することができる。重要なユーザインタフェース要素は、3D地図が画面の殆どを占有することである。尚、その地図は2D地図として示されてもよい。
【0030】
地図は、ナビゲーション装置10が動く方向が常に「上」になるように回転されたナビゲーション装置10の位置及びその周囲を示す。ステータスバー2は、例えば、画面の下1/4にわたって設けられる。ナビゲーション装置10の現在の場所(ナビゲーション装置10自体が従来のGPS位置探索を使用して判定する)及びその姿勢(移動する方向から推測される)は、位置の矢印3により示される。装置により計算されたルート4(メモリデバイス11、12、13、14、15の地図データベースに格納された地図データに適用されるメモリデバイス11、12、13、14、15に格納されたルート計算アルゴリズムを使用して計算されたルート)は、陰影をつけた経路で示される。ルート4において、全ての主な動作(例えば、角、交差点、ロータリー等を曲がる)は、ルート4に重なる矢印5により概略的に示される。ステータスバー2は、左側に次の動作6(ここでは、右折)を示す概略的なアイコンを更に含む。ステータスバー2は、装置により計算されたルート全体のデータベース(すなわち、利用されるルートを規定する全ての道路及び関連する動作のリスト)から抽出される次の動作までの距離(すなわち、右折−ここでは距離は190メートル)を更に示す。ステータスバー2は、現在の道路名8、到着までの推定時間9(ここでは、35分)、実際の推定到着時間28(4:50pm)及び目的地までの距離29(31.6Km)を更に示す。ステータスバー2は、移動電話と同様の信号強度指標でGPS信号強度等の追加の情報を更に示してもよい。
【0031】
上述したように、ナビゲーション装置10は、ユーザがナビゲーションメニュー(不図示)を呼び出すことを可能にするタッチスクリーン等の入力装置を具備してもよい。このメニューから、他のナビゲーション機能が開始されたり、制御されたりする。非常に容易に呼び出される(例えば、地図の表示からメニュー画面まで1ステップである)メニュー画面からナビゲーション機能を選択することを可能にすることにより、ユーザ対話が非常に簡単化されて高速且つ容易になる。ナビゲーションメニューは、ユーザが目的地を入力するオプションを含む。
【0032】
ナビゲーション装置10自体の実際の物理的な構造は、一体型GPS受信機23又は外部GPS受信機からのGPSデータ供給があること以外は任意の従来のハンドヘルドコンピュータと本質的に異ならない。従って、メモリデバイス12、13、14、15は、ルート計算アルゴリズム、地図データベース及びユーザインタフェースソフトウェアを格納する。プロセッサユニット12は、ユーザ入力(例えば、出発地及び目的地の住所を入力するためのタッチスクリーンを用いた入力、並びに全ての他の制御入力)を解釈及び処理し、最適なルートを計算するためにルート計算アルゴリズムを展開する。ここで「最適」とは、最短時間又は最短距離、あるいは他のユーザに関係する要素等の基準を参照してもよい。
【0033】
更に詳細には、ユーザは、タッチスクリーン18、キーボード16等の提供された入力装置を使用して、ナビゲーション装置10上で実行するナビゲーションソフトウェアに要求する目的地を入力する。ユーザは、移動ルートを計算する方法を選択する。ルートを非常に迅速に計算するがルートが最短ではない可能性のある「高速」モード;全ての可能なルートを調べ且つ最短のルートを見つけるが計算時間がより長い「フル」モード等の種々のモードが提供される。例えば、特に美しい眺めとしてマーク付けされた殆どのPOI(地点情報)を通過する景色のよいルート、子供が興味を持つ可能性のある殆どのPOIを通過するルート、あるいは分岐点が最も少ないルートをユーザが定義する等、他のオプションが可能である。
【0034】
ナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10が他のナビゲーション装置10、パーソナルコンピュータ、サーバ等のリモートシステムとネットワーク27を介して通信するのを可能にする入出力装置25を更に具備してもよい。ネットワーク27は、LAN、WAN、Bluetooth、インターネット及びイントラネット等の任意の種類のネットワーク27であってもよい。通信は、有線であってもよく又は無線であってもよい。無線通信リンクは、例えばRF信号(無線周波数)及びRFネットワークを使用してもよい。
【0035】
道路自体は、ナビゲーション装置10上で実行するナビゲーションソフトウェアの一部である(あるいは、ソフトウェアによりアクセスされる)地図データベースにおいて、線、すなわちベクトル(例えば、始点、終点、道路の方向であり、道路全体は、各々が始点/終点方向パラメータにより一意に規定される多数の部分から構成される)として記述される。地図は、そのような道路ベクトル、地点情報(POI)、道路名、公園の境界や川の境界等の他の地理的特徴の集合であり、それらは全てベクトルとして規定される。全ての地図の特徴(例えば、道路ベクトル、POI等)は、GPS座標系に対応するか又は関連する座標系で規定され、GPSシステムを介して判定される装置の位置を地図に示される関連する道路に配置することを可能にする。
【0036】
ルート計算は、ナビゲーションソフトウェアの一部である複雑なアルゴリズムを使用する。アルゴリズムは、大量の潜在的に異なるルートに得点をつけるために適用される。ナビゲーションソフトウェアは、景色のよいルート、歴史博物館及びスピードカメラなしを含むユーザが規定したフルモードスキャンのような基準(又は装置のデフォルト)に対してそれらルートを評価する。規定された基準に最もよく適合するルートは、プロセッサユニット11により計算され、ベクトル、道路名及びベクトルの終点で行なわれる動作のシーケンス(例えば、100メートル先でx通りを左折する等、ルートの各道路に沿う所定の距離に対応する)としてメモリデバイス12、13、14、15のデータベースに格納される。
【0037】
既存のナビゲーション装置は、例えば装置の位置を判定するためにGPS衛星を使用する。そのような位置測定システムのノイズのために、ナビゲーション装置の精度は限定される。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態を示す。図1において、ナビゲーション装置10のプロセッサ11は、特別な運動検出器30から運動情報を受信するように構成される。本発明によると、プロセッサ11は、運動情報を使用してナビゲーション装置11(及びナビゲーション装置が固定される車両)が静止中であるかを判定し、装置10が静止中であると判定された場合は、装置が静止中である期間にGPS受信機23等の位置測定装置23から受信される連続した位置に関する情報を使用して、ある期間にわたる平均位置を計算し、ナビゲーションの目的で前記平均位置を使用するように構成される。尚、平均は2つの位置を使用すれば計算され得る。精度を向上するために、その期間全体を使用する必要はない。
【0039】
例えばGPS受信機23がナビゲーション装置10の位置を判定するために使用される場合、プロセッサ11は約10mの精度の位置情報を受信する。プロセッサ11は、運動検出器30から運動情報を受信するように構成される。運動情報は自動車の速度値を含んでもよいが、ナビゲーション装置10の内部又はナビゲーション装置10上に構成されるジャイロスコープの向きの値を更に含んでもよい。プロセッサ11は、ナビゲーション装置が静止中であるかを判定するためにこの運動情報を使用するように構成される。運動値(又はジャイロスコープの場合は運動値の差)は、例えば閾値と比較される。その閾値を下回る場合、運動していないと判断される。プロセッサ11により装置10が静止中であることが判定された場合、プロセッサ11は現在の位置の精度を向上するための手順を開始する。ナビゲーション装置10が静止中である期間、プロセッサ11はGPS受信機23からある期間にわたりいくつかの位置の値を受信する。プロセッサ11は、ある期間にわたり平均位置を計算する。通常、この平均位置はGPSシステムにより判定される1つの特定の測定位置より正確である。この更に正確な位置は、ナビゲーションの目的でプロセッサ11により使用される。この更に正確な位置は、例えば前回使用した位置を補正するために使用される。この更に正確な位置は、例えば画面18上の地図を更新するため又はルートを再計算するために使用される。これは、例えばそのようなナビゲーション装置を装備した自動車が交差点にいる時に特に関係する。この場合、周知のナビゲーション装置にとって、自動車がいる道路が不明である可能性がある。誤った仮定をした場合、周知のナビゲーション装置は自動車を誤った方向にナビゲートするだろう。本発明に係る装置は、平均時間に依存して約4〜6mの向上した精度を有する。当業者には明らかであるように、ナビゲーション装置の静止時間が長いと、平均時間も長くなる。平均を計算するために更に多くの位置が使用されると、計算される位置は更に高精度になる。尚、ある特定の外れ値(すなわち、明らかな測定誤差)は除去されてもよく、平均位置の計算において使用されないのが好ましい。
【0040】
第2の主な実施形態において、プロセッサ11は、静止中であることが判定されるとスリープモードに入るように構成される。スリープモードにおいて、プロセッサは、運動検出器30から到着する運動情報の受信以外の全て又は一部のナビゲーション装置10の機能性をオフにしてもよい。スリープモードにおいて、プロセッサ11の処理頻度は減少されるため、費やされる電力はより少なくなる。GPS受信機23は、スリープモードの間電源が切られずに自身の位置を測定し続けることが可能であり、プロセッサ11は、上述のような平均手順を継続することが可能である。電力を節約するために、スリープモード中のGPS測定の頻度はより少なくてもよい。プロセッサ11は、GPS受信機からGPSの位置を受信する度に一時的に起動し、そのデータを処理して再びスリープモードに戻るようにしてもよい。
【0041】
スリープモード中にプロセッサ11が所定の閾値を超える運動値を受信した場合、プロセッサ11は、通常のナビゲーションモードに切り替わる。通常のナビゲーションモードにおいて、ナビゲーション装置10は、画面18上に情報を表示し且つ/又は音声によりナビゲーションメッセージをユーザに与える。
【0042】
運動検出器30は、ナビゲーション装置11の筺体内部に構成されてもよく、あるいは装置11の外部にあってもよい。いずれの場合においても、運動検出器30は、ナビゲーション装置10のプロセッサ11と通信するように構成される。プロセッサ11と運動検出器30との通信は、Bluetooth、WiFi、赤外線等を使用する無線又は有線で行なわれてもよい。運動検出器30は、例えば速度センサ30、ジャイロスコープ30、加速度計30であってもよく、あるいはそれらセンサの組合せであってもよい。速度センサ30は、車両の速度を測定するように構成された車両の車輪速度検出器であってもよい。この場合、ナビゲーション装置及び車両は同一の速度であると仮定される。ジャイロスコープ30は、ナビゲーション装置10の向きの変化を非常に正確に検出するように構成された装置である。加速度計30は、ナビゲーション装置10の加速度及び方向の変化を検出するのに特に有用である。更に、運動検出器30はカメラ30であってもよく、当業者には周知であるように、カメラ30はプロセッサ11と連携し、パターン比較ソフトウェアを使用して運動を検出するように構成される。プロセッサ11は、このパターン比較ソフトウェアを使用して、ナビゲーション装置10が静止中であるかを判定できる。更に別の実施形態において、運動検出器30は磁力計である。磁力計は、地上の磁力線の変化を測定するように構成され、動きを検出するのに他の外部情報を必要としない。
【0043】
GPS装置と異なり、上述の運動検出器23は、GPS衛星又はEGNOS、ガリレオ等のノイズのある外部システムからの入力を必要としない。これは、プロセッサ11が位置の精度を向上するために平均化を開始できるように、例えば自動車が静止中であることを判定するためにそれら運動検出器が使用され得ることを意味する。
【0044】
図3を参照すると、更に本発明は、上述のナビゲーション装置10を具備する自動車等の車両40に関する。一実施形態において、自動車40は、自動車40の速度を測定するように構成された速度センサ30を具備する。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態に係る方法の一例を示すフローチャートである。方法はステップ401で開始し、例えばナビゲーション装置10の電源はユーザにより投入される。次のステップ402において、装置10は目標位置をユーザから受信する。ステップ403において、装置10は位置情報をGPS受信機23から読み出す。この位置情報は、次のステップ404において使用される。ステップ404において、命令をユーザに与えること又は推奨ルートの一部を表示すること等の全ての種類のナビゲーション機能が実行され得る。その後ステップ405において、プロセッサ11は運動検出器30から入力を読み出す。調査406を参照すると、運動が検出された場合はステップ403に進み、装置10は次の位置情報を受信する。しかし、調査406において、装置10が移動していないと判断された場合、ステップ407が後続し、装置10はGPS受信機23から次の位置情報を受信する。GPSシステムにおけるノイズのために、装置が静止中であっても、この次の位置情報は先の位置情報とは僅かに異なる。ステップ408を参照すると、次の位置情報は先の位置情報と共に使用され、平均位置を計算する。殆どの場合、この平均位置はGPSシステムにより判定された単一の位置より正確である。平均位置はステップ404で使用される。ステップ404において、装置はナビゲーション情報をユーザに与える。
【0046】
本発明の特定の実施形態を上述したが、本発明が上述以外の方法で実施されてもよいことが理解されるだろう。例えば本発明は、上述のような方法を記述する機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム又はそのようなコンピュータプログラムを格納するデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク)の形態であってもよい。全てのソフトウェアコンポーネントがハードウェアコンポーネントとして形成されてもよいことは、当業者には理解されるだろう。
【0047】
上記説明は例示することを意図しており、限定することを意図しない。従って、以下に示す請求の範囲から逸脱せずに、上述した本発明に対して変更が行なわれてもよいことは当業者には明らかだろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、一実施形態に係るナビゲーション装置を概略的に示す概略ブロック図である。
【図2】図2は、ナビゲーション装置を概略的に示す概略図である。
【図3】図3は、一実施形態に係るナビゲーション装置を具備する自動車を示す図である。
【図4】図4は、一実施形態に係る方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置測定装置(23)から位置情報を受信するように構成されるプロセッサ(11)を具備するナビゲーション装置(10)であって、前記プロセッサ(11)は、更に、
・運動検出器(30)から運動情報を受信し、
・前記運動情報を使用して、前記ナビゲーション装置(10)が静止中であるかを判定し、
前記ナビゲーション装置(10)が静止中であると判定された場合は、
・前記ナビゲーション装置(10)が静止中の期間に前記位置測定装置(23)から継続的に受信される位置に関する情報を使用して、ある期間にわたる平均位置を計算し、
・ナビゲーションの目的で前記平均位置を使用するように構成されるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記プロセッサ(11)は、前記ナビゲーション装置(10)が静止中であると判定されると前記ナビゲーション装置(10)の全て又は一部の機能性をオフにするように構成される請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記運動情報は、車両速度測定装置(30)により生成される速度情報を含む請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記運動情報は、ジャイロスコープにより生成されるデータを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記運動情報は、加速度計により生成されるデータを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記運動情報は、カメラにより生成されるデータを含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記運動情報は、磁力計により生成されるデータを含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置(10)を具備する車両。
【請求項9】
ナビゲーション装置(10)を使用してナビゲーション指示を提供する方法であって、
・運動検出器(30)から運動情報を受信することと、
・前記運動情報を使用して、前記ナビゲーション装置(10)が静止中であるかを判定することと、
前記ナビゲーション装置(10)が静止中であると判定された場合は、
・前記ナビゲーション装置(10)が静止中である期間に位置測定装置(23)から継続的に受信される位置に関する情報を使用して、ある期間にわたる平均位置を計算し、
・ナビゲーションの目的で前記平均位置を使用することとを有する方法。
【請求項10】
・前記ナビゲーション装置(10)が静止中であると判定されると前記ナビゲーション装置(10)の全て又は一部の機能性をオフにすることを更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
コンピュータ構成にロードされた場合に請求項9又は10に記載の方法を実行する機能を前記コンピュータ構成に与えるコンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11記載のコンピュータプログラムを含むデータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−533692(P2009−533692A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506429(P2009−506429)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【国際出願番号】PCT/NL2006/050116
【国際公開番号】WO2008/054191
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】