説明

PFETチャネルSiGeを有する金属ゲート及び高k誘電体デバイス

【課題】SiGeから成るチャネルを有し、金属ゲート及び高kゲート誘電体を有するPFETを提供する。
【解決手段】Si表面上にSiGe層10をエピタキシャル成長させ、SiGe層の上に、高k誘電体及び金属をブランケット配置し、ゲートスタックを形成した後、NFET側のゲート誘電体、及びSiGe層を除去し、第2の高k誘電体53及び第2の金属52を配置する。PFETは、SiGeチヤネル10の上の高k誘電体を有するゲート誘電体、金属を有するゲート及び、シリサイドを有するソース、ドレインから成る。NFETは、第2の高k誘電体53、第二の金属52を有するゲート及び、シリサイドを有するソース、ドレインからなる。基板表面上のエピタキシャルSiGe層は、PFETのチヤネルのみに形成される。PFET及びNFETデバイス・パラメータは、各ゲート誘電体及びゲートスタックの組成によって別個に最適化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスに関する。より具体的には、PFETデバイス用の金属ゲート、高k誘電体、及びチャネルSiGeを有するFETデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
FET(電界効果トランジスタ)デバイスが縮小するにつれ、技術はより複雑になり、1つの継続的なデバイス世代から次の世代へと期待される性能改善を維持するために、デバイス構造体の変更及び新規の製造方法が必要となる。PFET及びNFETデバイスに対するデバイス・パラメータを別個に最適化することにより、性能を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、PFET及びNFETデバイスのデバイス・パラメータを独立に最適化することによりFETデバイスの性能を向上させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
回路構造体を製造する方法を開示する。本方法は、ブランケット・エピタキシャル成長を用いてSi表面上にSiGe層を堆積させることを含む。SiGe層の上に、高k誘電体及び金属を含む第1のシーケンスの層をブランケット配置する。次に、この第1のシーケンスの層をNFETデバイス及びPFETデバイスの両方のゲートスタック及びゲート絶縁体に組み込む。この第1のシーケンスの層は、PFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすように選択される。本方法はさらに、NFETデバイス内のゲートスタック、ゲート誘電体、及びゲート誘電体の真下にあるSiGe層を除去することを含む。次に、第2の高k誘電体及び第2の金属を含む第2のシーケンスの層を配置することにより、NFETデバイスを再形成する。第2のシーケンスの層は、NFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすように選択される。
【0005】
回路構造体も開示される。PFETデバイスは、高k誘電体を有するゲート誘電体、金属を有するゲートスタック、p型ソース/ドレイン、及びp型ソース/ドレインの上に形成されたシリサイド層を有する。同様にNFETデバイスも、高k誘電体を有するゲート誘電体、金属を有するゲートスタック、n型ソース/ドレイン、及びn型ソース/ドレインの上に形成されたシリサイド層を含む。エピタキシャルSiGeは、PFETゲート誘電体の真下にあってこれに直接接触し、シリサイド層はp型ソース/ドレインの上に形成され、シリサイド層はn型ソース/ドレインの上に形成され、且つ、NFETデバイス及びPFETデバイスの両方の側壁スペーサの真下にあってこれに直接接触する。エピタキシャルSiGeは、NFETゲート誘電体の真下には存在しない。PFET及びNFETのデバイス・パラメータは、それらのゲート誘電体及びゲートスタックの組成により独立に最適化される。
【0006】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】回路構造体を製造する方法の実施形態における初期段階の概略断面図を示す。
【図2】SiGeのブランケット・エピタキシャル成長を示す。
【図3】第1のシーケンスの層を配置した後の製造状態を示す。
【図4】第1のシーケンスの層のPFET及びNFETデバイスの両方への組み込みを示す。
【図5】シリサイド堆積を含むさらなる処理を示す。
【図6】支持層の堆積及び平坦化を示す。
【図7】SiGe層を含むNFETデバイスの部分が除去された、本方法の一実施形態における段階を示す。
【図8】再形成されたNFETデバイスを有する、本開示の一実施形態における回路構造体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
電界効果トランジスタ(FET)が電子技術分野において周知のものであることが理解される。FETの標準的な構成要素は、ソース、ドレイン、ソースとドレインの間の本体、及びゲートである。ゲートは本体の上にあり、ソースとドレインの間の本体内に導電性チャネルを誘導することができる。通常の用語で言えば、チャネルは本体によりホストされる。ゲートは、典型的には、ゲート絶縁体又はゲート誘電体により本体から分離される。チャネル内の「オン状態」電流が電子によって又は正孔によって運ばれるかどうかに応じて、FETは、2つの種類、すなわち、NFET又はPFETになる。(異なる用語では、NFET及びPFETデバイスは、NMOS及びPMOSデバイスと呼ばれることが多い)。NFET及びPFETデバイスは、多くの場合、回路内で一緒に用いられることも理解される。このようなNFET、PFETの組合せ回路は、アナログ回路、或いは、典型的にはCMOS構成に結合されるデジタル回路に応用することができる。
【0009】
NFET、PFET及びCMOSの製造は当技術分野において非常に良く確立されている。当業者には既知であるように、それらの処理には多数のステップが含まれ、各ステップは実際的に際限のない変形物を有することができることを理解されたい。本開示の実施形態に対しては、あらゆる種類の既知の処理技術がデバイスを製造するのに使用可能であり、本発明の実施形態に関連するプロセスステップだけを詳細に説明することを理解されたい。
【0010】
マイクロエレクトロニクスの最も一般的な材料はシリコン(Si)であり、又はさらに広く言えば、Siベースの材料である。Siベースの材料は、Siと同じ基本的な技術的内容において種々のSiの合金である。マイクロエレクトロニクスにとって重要なこうしたSiベースの材料は、例えば、シリコンゲルマニウム(SiGe)のような周期表のIV族の他の元素とSiの合金である。本開示の実施形態におけるデバイスは、SiGeの可能な応用を含み得ることが分かるので、典型的には、Siデバイステクノロジーの技術の一部分である。
【0011】
50nm未満のゲート長の形態における、先進的な深いサブミクロン(deeply submicron)のデバイスにおいては、同じ回路構造体内のNFET及びPFETデバイスの両方のパラメータを最適化することが非常に望ましい。最適化を特に必要とする1つのパラメータは、デバイスのしきい値である。高性能の小型FETデバイスは、正確なしきい値電圧の制御を必要とする。動作電圧が1V未満まで減少するとき、しきい値電圧もまた減少しなければならず、しきい値変動はより許容度が小さくなる。先進的なデバイスには、高kゲート誘電体及び金属ゲートを用いることができる。異なるゲート誘電体又は異なるゲート材料のようなあらゆる要素は、しきい値電圧に影響を及ぼし得る。
【0012】
1つの型のデバイスのしきい値を有利に変化させることができるプロセス又は材料が、同時に、他の型のデバイスのしきい値に悪影響を及ぼす可能性がある。回路構造体を製造する上で、各々の型のデバイスのパラメータを別々に最適化できることが望ましい。
【0013】
PFETデバイスに有利であることが見出された1つの技術は、SiGeチャネル領域を有することである。PFET内のSiGeチャネルは、しきい値を最適化する助けとなり、より優れたキャリア移動度をもたらすことができる。NFETに対しては、SiGeチャネルは望ましくない。本開示の実施形態では、PFETデバイスに対してSiGeを使用するが、NFETデバイスに対しては使用を避ける。本開示の実施形態におけるSiGeは、初めにブランケット堆積され、後でNFETチャネル領域から除去される。
【0014】
図1は、回路構造体を製造するための開示される方法の実施形態における初期段階の概略断面図を示す。この図は、Si主面39を有する基板30を示す。基板30は、例えば、バルクSi、又は完全に空乏化した若しくは部分的に空乏化した半導体オン・インシュレータ(SOI)、又は制限なく任意の他の型の、電子技術分野で既知の任意の型のものとすることができる。Si主面39において、図中のNFET及びPFETという単語で示すように、NFETデバイス用及びPFETデバイス用の部分を画定する。多くの場合、これに限られるものではないが、そのような画定は分離構造体99を用いて実現される。図は浅いトレンチ99の分離方式を示すが、これは当技術分野で使用可能な典型的な先進的分離技術である。このような浅いトレンチは、回路構造体のNFET及びPFETの部分を画定して分離することができる。図1は、波状の破線の境界で示すように、例えば、典型的には、電子チップのような回路構造体全体のごく一部のみとすることができる部分を示す。典型的には、これに限られるものではないが、ウェル98はNFET及びPFET部分内に製造され、PFETデバイスの場合にはNウェルとなり、NFETデバイスの場合にはPウェルとなる。
【0015】
図2は、製造方法の一ステップである、完了したSiGeのブランケット・エピタキシャル成長を示す。以下の全ての図面は、同じ発展していく構造体の図を示すので、多くの要素が図面ごとに繰り返される。各図面によって表される変化を強調し、混乱を避けるために、前の図面に関して説明された要素については、表示番号が省略されていることが多い。従って、例えば、図2は、全ての浅いトレンチ又はウェルに対しては、表示番号を表示していない。これらの要素は、図1から明らかに認識可能である。
【0016】
図2は、ブランケット・エピタキシャル成長を用いて、NFET及びPFETの部分の上にSiGe10層を堆積させた後の製造状態を示す。「ブランケット」という用語は、どの部分もマスキングせずに堆積を実施することを意味する。SiGe10は、Si主面39の上にエピタキシャルに成長させる。従って、エピタキシャルSiGeは、Si主面39の上にあり、これと直接接触している。エピタキシャル堆積は選択的である可能性があり、その結果、SiGeは普通、Si主面39の上だけに見られる。他の表面、例えば、露出したトレンチ99の表面は、SiGeがないままである。Si上へのSiGeのブランケット・エピタキシャル堆積は、当技術分野において一般的に知られている。本開示の種々の実施形態において、SiGe10層の厚さは、約1nmから30nmまでの間、或いは、より典型的には約10nmから20nmまでの間にすることができる。
【0017】
構造体を説明する際に、「エピタキシャル」という形容詞は、典型的には、特定の材料がエピタキシャルに堆積されたことを示すのに用いる。エピタキシャル堆積の構造的な結果は、堆積された材料及びホスト材料がその共通の境界において同じ対称性及び結晶配向を有することである。「エピタキシャル関係」、「エピタキシャルに」、「エピタキシ」、「エピ」、「エピタキシャル成長」などのような、用い得るさらに別の用語は、それらの慣例的な用法として境界を横切る結晶の連続性を意味する。
【0018】
図3は、SiGe10層を覆う第1のシーケンスの層15をブランケット配置した後の製造を示す。例えば、限定を意図したものではなく、化学(CVD)気相堆積などの、このような配置のための技術が当技術分野で知られている。この第1のシーケンスの層15は、デバイス構造体の目的の詳細、及びプロセスの複雑さを容認する際の選択されたトレードオフに応じて、多数の個々の層で構成することができる。本発明の代表的な実施形態において、第1のシーケンスの層15は、第1の高k誘電体11層、及び第1の金属12層を有する。第1の高k誘電体11層は、全露出表面を覆うことができ、SiGe10に最も近い層である。第1の高k誘電体11層は、SiGe10と直接接触することが多いが、必ずしもその必要はない。幾つかの実施形態において、例えば、薄い酸化物層を、SiGe10と第1の高k誘電体11層との間に存在させることができる。第1の金属12層は、第1の高k誘電体11層の上にあり、それらは直接接触していてもよい。
【0019】
図3における第1のシーケンスの層15の表現は、2つの付加的な層を示す。ポリシリコン13層、及び典型的にはSiNの保護カバー14層である。これら2つは、それらが本発明の典型的な実施形態の部分であるゆえに示される。しかしながら、前述のように、表示された順番での第1の高k誘電体11層及び第1の金属12層とは別に、第1のシーケンスの層15は、図3に示したより多くの又はより少ない層を含むことができる。
【0020】
本発明の代表的な実施形態の場合、SiGe10、及び、第1のシーケンスの層15内の種々の層の材料及び厚さに関する選択は、すべて、PFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすために役立つ。このような最適化が最も重要となり得るパラメータは、デバイスのしきい値である。SiGe10の組成、第1の高k誘電体11及び第1の金属12の材料、それらの厚さ、並びに、層を調整する可能な付加的しきい値との相互作用を、PMOSデバイスの所望のしきい値をもたらすように選択することができる。所望のしきい値の正確な値は、可能的には0.1Vから−0.4V(マイナス0.4V)までの間、より典型的には、−0.1Vから−0.3Vまでの間で変化させることができる。所望のPFETしきい値の正確な値は、製造される回路構造体が実現すると考えられる特定の機能によって決まり得る。それはまた、ゲート長、電源電圧などのようなさらに別のデバイス特性によっても決まり得る。これらの多くはそれら自体で相互依存している。所望の値を実現するのに考慮することができるPFETデバイスのさらに別のデバイス・パラメータには、限定を意図したものではなく、正孔移動度、ゲート容量、フリンジング容量、PFETの消費電力などがある。
【0021】
上の考察に基づくと、異なる条件は異なる最適化の選択を必要とし得ることが明らかである。しかしながら、本発明の多くの典型的な実施形態において、第1の高k誘電体11にはHfOを選択することができ、第1の金属12にはTiNの金属化合物を選択することができる。他の可能な選択は、第1の高k誘電体11に対しては、HfSiO、HfSiON、ZrOなどとすることができ、第1の金属12については、TaN、Al、W、HfNなどとすることができる。SIGe10層の組成は、10%から40%までの間のGe、又は、より典型的には15%から30%までの間のGeとすることができる。
【0022】
図4は、第1のシーケンスの層15のPFET及びNFETデバイスの両方への組み込みを示す。デバイス製造は、当技術分野で既知の方式で、図3及び図4に示す回路構造体の状態の間で進めることができる。第1のシーケンスの層15はパターン化しており、ここではPFET及びNFETデバイスに対して同一の役割を果たす。第1の高k誘電体11層は、含めるか、或いは第1のゲート誘電体の全体、即ち、両方の型のデバイスのゲート誘電体22とすることができる。第1の金属12層は、両方の型のデバイスの第1のゲートスタック、即ちゲートスタック21内に見られる。本発明の典型的な実施形態において、NFET及びPFETデバイスの両方に対してゲートスタック21の長さは約5nmから50nmまでの間とすることができる。SiGe10層は、ゲートの画定及びパターン化の間、所定の位置に残る。
【0023】
図5は、シリサイド堆積を含むさらなる処理を示す。デバイス製造は、図4及び図5に示す回路構造体の状態の間で、当技術分野で既知の方式で進めることができる。NFETソース/ドレイン31及びPFETソース/ドレイン32の両方が作成されている。両方の型のデバイスのソース/ドレインは、当技術分野で知られているように、これらの要素自体が複雑な構造体であり得るので、記号を使って示す。NFETスペーサ34及びPFETスペーサ33もまた作成されている。
【0024】
図5はまた、シリサイド形成が行われたことも示す。両方の型のデバイスのソース/ドレインは、典型的には単独の処理ステップでシリサイド化35されている。異なる型のデバイスに属する第1及び第2のシリサイド層と呼ぶことができるが、これらのシリサイドは、本質的には全てのソース/ドレイン上で同じであり、それゆえに共通の表示番号を使用することで、それらの性質を表す。これらのいわゆる接合部シリサイド35は、両方の型のデバイス内のSiGe10層に接触している。これは、デバイスの電極に対する接触抵抗を低くするので有利である。先進的な小型デバイス電極においては、接触抵抗が問題になる。シリサイドの下にSiGeを有することは、接触抵抗を低くする1つの方法であることが知られている。本発明の実施形態においてSiGe10層はブランケット堆積させるので、これはPFETデバイスにおけるだけでなく、NFETデバイスにおいても同様である。PFETチャネルに対するSiGeの以前の使用は、PFET部分に対するSiGeエピタキシによって実施され、本発明の実施形態とは対照的に、NFETデバイスに対する接触抵抗を低くする利点は見送られた。電子技術分野には既知の多くのシリサイドが存在する。本開示の実施形態に用いることのできる典型的なシリサイドはNiSiである。
【0025】
図5は、PFETゲートスタックがまたシリサイド化37されたことを示す。シリサイド化の前に、第1のシーケンスの層15の保護カバー層14からパターン化された典型的にはSiNの保護キャップ層14’がNFETデバイスの所定の場所に残り、一方、同じ層がPFETデバイスからは除去されている。従って、ソース/ドレインのシリサイド35を形成する同じステップにおいて、PFETデバイスのゲートスタックもまたシリサイド化37することができる。PFETゲートスタック上のシリサイド37は、本発明の実施形態に対しては随意的なものであるが、いくつかの有用な目的を有する。このようなシリサイド層37は抵抗を低くし、さらなる処理の間、下にある層を保護する。
【0026】
図6は、支持層36の堆積及び平坦化を示す。デバイス製造において、ゲート構造体の完了後、いわゆる層間誘電体(ILD)層を加えることが多い。本発明の実施形態において、このような層の役割は主として、接合部の上の主にシリサイド35を保護することである。支持層36は、シリサイド化された接合部及び回路構造体の他の部分の上でのさらなる処理の間、不要な層の堆積を防ぐ。このような堆積される層は、後から除去するのが難しい。支持層36は、低誘電率の酸化物材料とすることができ、回路構造体内に永続的にとどまることができる。しかし、代替物を用いることができ、例えば、支持層36は、フォトレジスト、又は反射防止コーティング材料のような別の自己平坦化膜、又はスピンオン誘電体とすることができる。これらの代替物は次の処理の間に除去することができる。いかなる場合にも、支持層36は、典型的には化学/機械研磨(CMP)の既知の手段により平坦化することができる。このような平坦化により、支持層36はNFETデバイスの第1のゲートスタックの頂面16と同じ高さにすることができる。
【0027】
図7は、SiGe層を含むNFETデバイスの部分が除去された、本方法の一実施形態における段階を示す。所定の位置に支持層36があるので、NFETデバイスから以前に堆積させた第1のシーケンスの層15の材料を安全に除去することができる。PFETゲートスタックの上層はシリサイド化37することができ、これがNFETゲートスタックの除去の間、PFETゲートスタックを保護することになる。これらの除去は、当技術分野において既知のエッチング法に従う。次に、再び既知の方法で、SiGe10をNFETデバイスのゲート位置の真下から除去する。SiGe10及び第1のシーケンスの層15の組成は、PFETの観点から最適化された。そのような要素が所定の位置にあると、しきい値のようなNFETパラメータは最適からは程遠いので、この除去はNFETデバイスの改良を可能にする。ここでNFETゲートスタックの所定の位置にボイドを有するので、NFETスペーサ34の内面41も露出する。これらの内面41は互いに向き合い、Si主面39に対して実質的に垂直である。
【0028】
図8は、本開示の一実施形態における、再形成したNFETデバイスを有する回路構造体を示す。第2の高k誘電体53及び第2の金属52を含む第2のシーケンスの層51を配置することができる。以前の第1のシーケンスの層と同様に、堆積させた第2のシーケンスの層は、第2のゲート誘電体及び第2のゲートスタックを有するNFETデバイスを形成又は再形成する。第2のシーケンスの層は、第2の高k誘電体53及び第2の金属52を超えてさらなる層を含むことができる。第2のシーケンスの層の材料は、NFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすように選択される。また、NFETデバイスのチャネル内にSiGe10を有さないことは、所望のしきい値を可能にし、そしてより優れた電子キャリア移動度を可能にする。NFETデバイスの所望のしきい値の正確な値は、典型的には−0.1V(マイナス0.1V)から0.4V、より典型的には0.1Vから0.3Vの間で変化させることができる。所望のNFETしきい値の正確な値は、製造される回路構造体が実現すると想定される特定の機能に依存し得る。それは、ゲート長、電源電圧などのようなさらなるデバイス特性にも依存し得る。これらの多くはそれら自体で相互依存している。所望の値を実現するために考慮することができるNFETデバイスのさらなるデバイス・パラメータには、限定を意図したものではなく、電子移動度、ゲート容量、フリンジング容量、NFET消費電力などがある。
【0029】
本発明の代表的な実施形態において、第2の高k誘電体53は、第1の高k誘電体11と同じ材料から選択することができ、第2の金属52は、La(ランタン)、LaO、HfNなどのような当技術分野において既知のNFET材料とすることができる。
【0030】
第2の高k誘電体53及び第2の金属52を含むNFETデバイスを再形成する層は、典型的には、既知の方法によりブランケット堆積させることができる。このような堆積の後、回路構造体に再びCMPを施して、以前に平坦化された表面から不要な材料を除去することができる。
【0031】
説明した処理方法の実施形態から明らかであり、また図8に示すように、エピタキシャルSiGe10は、Si主面39を覆ってこれに直接接触する。さらに、エピタキシャルSiGe10は、PFETゲート誘電体22の真下にあってこれに直接接触し、第1及び第2のシリサイド層35は、p型ソース/ドレイン32及びn型ソース/ドレイン31の上に形成される。また、典型的な実施形態において、エピタキシャルSiGe10は、PFETデバイス及びNFETデバイスの両方の側壁スペーサ33、34の真下にあってそれらに直接接触する。しかしながら、SiGe10はNFETデバイスの高kゲート誘電体53の真下には存在しない。さらに、NFETデバイスを再形成するのに実施される処理は、第2の高k誘電体53がNFETの側壁スペーサの内面41を完全に覆うという点で、その痕跡を残す。
【0032】
本発明の代表的な実施形態において、上述の回路構造体は、CMOS構造体であるものとして特徴付けられる。
【0033】
上述の詳細な説明において、本発明が特定の実施形態に関連して説明された。しかしながら、当業者であれば、以下の特許請求の範囲で説明する本発明の範囲から逸脱せずに、種々の修正及び変更を行うことができることを理解する。従って、詳細な説明及び図面は、限定を意図したものではなく例証的なものと考えられるべきであり、全てのそのような修正物は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0034】
さらに、本明細書で説明したいかなる構造体のいかなる特定の材料又はいかなる特定の寸法も例示としてだけのものである。さらに、当業者であれば理解するように、本明細書で説明した構造体は、それらの位置及び配向に関係なく同じ方法で作成するか又は用いることができる。従って、本明細書で用いる「の下に」、「頂部」、「側部」、「の上に」「の直下に」などのような用語及び語句は、構造体の種々の部分の互いに対する相対的位置及び配向を示し、外部の対象物に対するなんらかの特定の絶対的配向が必要又は要求されることを示唆するように意図したものではないことを理解すべきである。
【0035】
上述の詳細な説明は、処理ステップも説明する。このようなステップの順番は、異なる実施形態においては、上述の詳細な説明で詳しく説明した順序とは異なり得ることが理解される。従って、特許請求の範囲における処理ステップの順序付けは、例えば、「前に」又は「後に」といった形容詞によって特に指示しない限り、ステップの順番の固定された順序を示すものではなく、或いは、それを必要とするものでもない。
【0036】
利益、他の利点及び問題に対する解決法が、特定の実施形態に関して上述された。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決法、及び、いずれの利益、利点、又は解決法をも想起させ得る、或いはこれらをより顕著にさせ得るいかなる要素も、いずれかの又は全ての特許請求の範囲の重要で必要とされる又は本質的な特徴若しくは要素として解釈すべきではない。
【0037】
上記の教示に照らして、本発明の多くの修正物及び変形物が可能であり、当業者には明らかとなり得る。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定められる。
【符号の説明】
【0038】
10:SiGe
11:第1の高k誘電体
12:第1の金属
13:ポリシリコン
14:保護カバー
14’:保護キャップ層
15:第1のシーケンスの層
21:ゲートスタック
22:ゲート誘電体
30:基板
31:NFETソース/ドレイン
32:PFETソース/ドレイン
33:PFETスペーサ
34:NFETスペーサ
35、37:シリサイド
36:支持層
39:Si主面
41:内面
51:第2のシーケンスの層
52:第2の金属
53:第2の高k誘電体
98:ウェル
99:浅いトレンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路構造体を製造する方法であって、
基板のSi主面上にNFETデバイス用及びPFETデバイス用の部分を画定するステップと、
ブランケット・エピタキシャル成長を用いて前記部分の上にSiGe層を堆積させるステップと、
前記SiGe層の上に、第1の高k誘電体及び第1の金属を含む第1のシーケンスの層をブランケット配置するステップと、
前記第1のシーケンスの層を前記NFETデバイス及び前記PFETデバイスの両方に組み込むステップであって、前記第1の高k誘電体は第1のゲート誘電体に含まれ、前記第1の金属は第1のゲートスタックに含まれる、前記組み込むステップと、
前記NFETデバイス内の、前記第1のゲートスタック、前記第1のゲート誘電体、及び前記SiGe層を除去し、第2の高k誘電体及び第2の金属を含む第2のシーケンスの層を配置して、前記NFETデバイスの第2のゲート誘電体及び第2のゲートスタックを形成するステップと
を含み、
前記NFETデバイス及び前記PFETデバイスの両方の前記ゲートスタックは、5nmから50nmまでの間の選択した長さを有する、方法。
【請求項2】
前記NFETデバイス及び前記PFETデバイスの両方のソース/ドレイン領域の上に前記SiGe層に接触するシリサイドを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PFETデバイスにおいて、前記ソース/ドレイン領域の上に前記シリサイドを形成するのと同時に、前記第1のゲートスタックの頂部に前記シリサイドを形成するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記NFETデバイス内の前記第1のゲートスタックを除去する前に、ブランケット配置されて前記NFETデバイス内の前記第1のゲートスタックの頂面と同じ高さまで平坦化される層間誘電体(ILD)を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ILDを酸化物であるように選択するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシーケンスの層において、前記第1の高k誘電体がHfOを含むように、及び、前記第1の金属がTiNを含むように選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記部分の上に前記第2のシーケンスの層をブランケット配置することにより前記第2のシーケンスの層を前記配置するステップを実施し、前記NFETデバイス内の前記第2のゲートスタックの外側の前記第2のシーケンスの層を除去するように研磨するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のシーケンスの層において、前記第2の高k誘電体がHfOを含むように、及び、前記第2の金属がランタン(La)を含むように選択するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のシーケンスの層を前記PFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすように選択し、前記第2のシーケンスの層を前記NFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすように選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記NFET及び前記PFETデバイスの両方の前記所望のデバイス・パラメータ値としてしきい値電圧値を選択するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記回路構造体をCMOS回路となるように選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Si主面を有する基板と、
第1の高k誘電体を含むPFETゲート誘電体、第1の金属を含むPFETゲートスタック、p型ソース/ドレイン、及び前記p型ソース/ドレインの上に形成された第1のシリサイド層を含む、少なくとも1つのPFETデバイスと、
第2の高k誘電体を含むNFETゲート誘電体、第2の金属を含むNFETゲートスタック、n型ソース/ドレイン、及び前記n型ソース/ドレインの上に形成された第2のシリサイド層を含む、少なくとも1つのNFETデバイスと、
前記Si主面の上にあってこれに直接接触するエピタキシャルSiGeと、
を備え、
前記エピタキシャルSiGeは、前記PFETゲート誘電体の真下にあってこれに直接接触し、前記第1のシリサイド層は前記p型ソース/ドレインの上に形成され、前記第2のシリサイド層は前記n型ソース/ドレインの上に形成され、前記エピタキシャルSiGeは前記NFETゲート誘電体の真下には存在せず、
前記NFETゲートスタック及び前記PFETゲートスタックの両方は、5nmから50nmまでの間の長さを有する、回路構造体。
【請求項13】
前記第1のシリサイド層及び前記第2のシリサイドの材料組成は本質的に同一であり、前記PFETゲート誘電体及び前記PFETゲートスタックは、それに応じて前記PFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすように構成され、前記NFETゲート誘電体及び前記NFETゲートスタックは、それに応じて前記NFETデバイスの所望のデバイス・パラメータ値をもたらすように構成される、請求項12に記載の回路構造体。
【請求項14】
前記第1の高k誘電体はHfOを含み、前記第1の金属はTiNを含む、請求項12に記載の回路構造体。
【請求項15】
前記第2の高k誘電体はHfOを含み、前記第2の金属はランタン(La)を含む、請求項12に記載の回路構造体。
【請求項16】
前記NFETデバイス及び前記PFETデバイスの両方は側壁スペーサを備え、前記エピタキシャルSiGeは、前記NFETデバイス及び前記PFETデバイスの両方の前記側壁スペーサの真下にあってこれに直接接触する、請求項12に記載の回路構造体。
【請求項17】
前記NFET側壁スペーサは内面を有し、前記内面は互いに向き合い、前記Si主面に対して実質的に垂直であり、前記第2の高k誘電体は、前記NFET側壁スペーサの前記内側表面を完全に覆う、請求項16に記載の回路構造体。
【請求項18】
前記回路構造体はCMOS構造体であるものとして特徴付けられる、請求項12に記載の回路構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−66406(P2011−66406A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197286(P2010−197286)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】