説明

X線分析方法及びX線分析装置

【課題】 分析対象の試料等の被測定物の表面における変位量測定等の形状測定を簡素な構成でかつ迅速に行なう変位計測方法、変位計測装置を提供する。また、精度よくかつ迅速に試料のX線分析を行うX線分析方法及びX線分析装置を提供する。
【解決手段】
この変位計測方法は、被測定物2の表面2aにラインレーザビーム照射部1からラインレーザビームを照射し表面からの反射ビームを受光することで表面の変位を測定するステップと、被測定物とラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させるステップと、を含み、変位測定と回転とを繰り返すことによりラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことで、精度のよい測定を短時間で行うことができる。または、連続的に相対回転させながら変位測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の表面の変位測定を精度よくかつ迅速に行うことのできる変位計測方法、変位計測装置、この変位計測方法を用いたX線分析方法及びX線分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光X線分析装置の使用用途の一つとして工場等の管理分析についての使用があり、この工場の管理分析では製品の生産工程と対応して多数の試料について分析が行われる。このため、日々行われる蛍光X線分析を迅速に行うことが生産性の向上のために求められている。
【0003】
一方、蛍光X線分析は分析試料の表面形状、高さ形状に差があると、X線強度に影響を与え、分析値が変動してしまい、精度のよい蛍光X線分析を行うことができない問題があった。これに対し、本願の発明者らは、先に、分析対象の試料の分析面形状に基づいてX線強度の補正を行うことで精度の良い蛍光X線分析が可能な蛍光X線分析装置を提案した(特願2000−273020)。
【0004】
ところが、蛍光X線分析の前に行う従来の変位計による形状測定によれば、次のような問題があった。
(1)変位計または試料をXYステージを用いてX軸、Y軸またはZ軸をそれぞれに駆動させて計測を行なうために、駆動部が多く、計測時間がかかる。その結果、蛍光X線分析に時間を要し、生産性が低下してしまう。
(2)軸の駆動個所が多いため、計測器のメンテナンス個所が多くなり、保守または設置時の軸等の調整が複雑になる。
【0005】
特開平7−260440号公報は、被測定物の立体的な外形形状を正確に測定するために異なる高さに複数のレーザ変位計を配置したアームを被測定部の周りに回転させる測定方法を開示するが、かかる測定方法では試料の表面形状を測定することはできない。
【0006】
また、特開平7−253307号公報は、回転台に取り付けられたレーザ変位計を回転させながらレーザ光を照射しその反射光でブロックの凹面の変位を測定する方法を開示するが、凹面全体を測定するには回転数が多くなりまたレーザ変位計を移動させる必要があり、測定に時間がかかるとともに駆動部が多くなり、保守が大変である。
【0007】
また、特開2000−337835公報は、レンズを回転台に載せて回転しながらレーザ変位計からレーザ光を照射してレンズの偏肉量を測定する方法を開示するが、同様にレンズ全体を測定するには回転数が多くなりまたレーザ変位計を移動させる必要があり、測定に時間がかかるとともに駆動部が多くなり、保守が大変である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、分析対象の試料等の被測定物の表面における変位量測定等の形状測定を簡素な構成でかつ迅速に行なうことができる変位計測方法、変位計測装置を提供することを目的とする。また、この変位計測方法及び変位計測装置を用いて精度よくかつ迅速に試料のX線分析を行うことができるX線分析方法及びX線分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による変位計測方法は、被測定物の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定する変位計測方法であって、前記被測定物と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させながら前記測定を行うことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする。
【0010】
この変位計測方法によれば、表面の変位測定をラインレーザビームを用いて行うので測定精度が向上するとともに、被測定物と照射部とを相対的に回転させながらラインレーザビームにより測定を行うので、ラインレーザビームに対応する線状領域よりも大きな領域を短時間で測定することができ、迅速な測定が可能となる。例えば、ラインレーザビームの長さを直径とした円状領域についての変位測定が被測定物を半回転させるだけで完了するので、短時間で測定ができる。
【0011】
この場合、前記被測定物と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に連続回転させながら所定時間内における変位量変化を測定することで、その所定時間に測定された測定値の平均変位量を求めることができる。
【0012】
また、本発明による別の変位計測方法は、被測定物の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するステップと、前記被測定物と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させるステップと、を含み、前記変位測定と前記回転とを繰り返すことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする。
【0013】
この変位計測方法によれば、表面の変位測定をラインレーザビームを用いて行うので測定精度が向上するとともに、ラインレーザビームによる1ライン分の測定後に被測定物を相対回転させて次の1ライン分の測定を行うことを繰り返すので、ラインレーザビームに対応する線状領域よりも大きな領域を短時間で測定することができ、迅速な測定が可能となる。例えば、ラインレーザビームの長さを直径とした円状領域についての変位測定が被測定物を半回転させるだけで完了するので、短時間で測定ができる。
【0014】
前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがほぼ一致しているときには、被測定物の回転中心軸を中心としラインレーザビームの長さを直径とした円状領域についての変位測定が被測定物を半回転させるだけで完了する。
【0015】
また、前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがずれているときには、より大きな領域について変位測定が可能となり、例えば、ラインレーザビームが被測定物の円状領域の半径に相当するように設定することで、その円状領域についての変位測定が被測定物を一回転させるだけで完了し、ラインレーザビームの2倍の直径の円状領域を測定できる。
【0016】
なお、上述の変位測定と回転とを同期して繰り返しながら実行することで更に効率的な測定ができる。
【0017】
また、本発明による変位計測装置は、被測定物の表面にラインレーザビームを照射する照射手段と、前記表面からの反射ビームを受光する受光手段と、前記被測定物と前記照射手段とを相対的に回転させる回転手段と、前記表面からの反射ビームを前記受光手段で受光することで前記表面の変位を測定する測定手段と、を備え、前記回転手段による回転を行いながら前記測定手段による測定を行うことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする。
【0018】
この変位計測装置によれば、表面の変位測定をラインレーザビームを用いて行うので測定精度が向上するとともに、被測定物と照射手段とを相対的に回転させながらラインレーザビームにより測定を行うので、ラインレーザビームに対応する線状領域よりも大きな領域を短時間で測定することができ、迅速な測定が可能となる。また、変位計測装置の駆動軸としては、回転手段の回転駆動軸だけで構成可能であるので、効率的かつ迅速に測定が可能であるとともに、装置の構成が簡単で、モータ、ギア等の部品点数が少なく安価に装置を構成できる。また、駆動部分が少ないため保守点検が容易である。
【0019】
この場合、前記回転手段により前記被測定物と前記照射手段とを相対的に連続回転させながら前記測定手段が所定時間内における変位量変化を測定することで、その所定時間に測定された測定値の平均変位量を求めることができる。
【0020】
また、本発明による別の変位計測装置は、被測定物の表面にラインレーザビームを照射する照射手段と、前記表面からの反射ビームを受光する受光手段と、前記被測定物と前記照射手段とを相対的に回転させる回転手段と、前記表面からの反射ビームを前記受光手段で受光することで前記表面の変位を測定する測定手段と、を備え、前記測定手段による測定と前記回転手段による回転とを繰り返すことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする。
【0021】
この変位計測装置によれば、表面の変位測定をラインレーザビームを用いて行うので測定精度が向上するとともに、ラインレーザビームによる1ライン分の測定後に被測定物を相対回転させて次の1ライン分の測定を行うことを繰り返すので、ラインレーザビームに対応する線状領域よりも大きな領域を短時間で測定することができ、迅速な測定が可能となる。また、変位計測装置の駆動軸としては、回転手段の回転駆動軸だけで構成可能であるので、効率的かつ迅速に測定が可能であるとともに、装置の構成が簡単で、モータ、ギア等の部品点数が少なく安価に装置を構成できる。また、駆動部分が少ないため保守点検が容易である。
【0022】
この場合、前記ラインレーザビームによる測定が終了すると前記測定手段から信号を発生し、この信号に同期して前記回転手段が回転するように構成することで、測定と回転とが同期して繰り返されることで更に効率的な測定ができる。
【0023】
また、ラインビーム式レーザ変位計を備え、このラインビーム式レーザ変位計が前記照射手段と前記受光手段とを含むように構成できる。
【0024】
また、本発明によるX線分析方法は、分析対象の試料の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定する際に、前記試料と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させながら前記変位測定を行うことで前記表面の所定領域において変位測定を行うステップと、前記変位を測定した試料についてX線分析を行うステップと、前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正するステップと、を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明による別のX線分析方法は、分析対象の試料の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定し、前記試料と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させてから前記変位測定を行うことを繰り返すことで前記表面の所定領域において変位測定を行うステップと、前記変位を測定した試料についてX線分析を行うステップと、前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正するステップと、を含むことを特徴とする。
【0026】
上述の各X線分析方法によれば、試料表面の変位測定をラインレーザビームを用いて行うので試料表面の変位測定精度が向上するとともに、試料を相対回転させながら測定を連続的に行うか、または、試料を相対回転させて測定を繰り返し行うので、迅速に変位測定ができる。このため、その試料についてのX線分析結果を精度よく得られた変位測定結果に基づいて補正できるので、精度のよいX線分析を行うことができ、また迅速に変位測定を行うことができるので、X線分析を全体として迅速に行うことができる。従って、生産性を向上させることができる。
【0027】
上述の各X線分析方法では、前記試料のX線分析のステップの実行後に、前記X線分析を行った試料について前記変位測定のステップを実行するようにしてもよい。
【0028】
また、上述のX線分析方法は、前記試料を試料受渡位置に移動させるステップと、前記試料を前記試料受渡位置からX線分析のためのX線分析位置まで移動させるステップと、前記X線分析のステップの実行後に前記試料を前記試料受渡位置まで移動させるステップと、前記X線分析を行っている間に次の試料を前記試料受渡位置に移動させるステップと、を含むことが好ましく、試料のX線分析が終了すると、次の別の試料についてのX線分析を直ちに行うことができるので、生産性よくX線分析を行うことができる。
【0029】
また、前記試料を試料受渡位置に移動させるステップと、前記試料を前記試料受渡位置からX線分析のための予備室に移動させるステップと、前記予備室を真空排気してから前記試料をX線分析位置まで移動させるステップと、前記X線分析のステップの実行後に前記試料を前記X線分析位置から前記予備室まで移動させるステップと、前記予備室から前記試料を前記試料受渡位置まで移動させるステップと、前記X線分析を行っている間に次の試料を前記試料受渡位置から前記予備室まで移動させるステップと、を含み、前記X線分析を行った試料を前記X線分析位置から前記予備室まで移動させるステップと前記次の試料を前記予備室から前記X線分析位置まで移動させるステップとをほぼ同時に行うことが好ましい。これにより、予備室を介して試料の受渡しを行う場合でも、試料のX線分析が終了すると、次の別の試料についてのX線分析を直ちに行うことができるので、生産性よくX線分析を行うことができる。
【0030】
なお、上述の試料の表面の変位測定の終了後、次の試料について変位測定を行うことができるが、上述のように、かかる測定を迅速に行うことができるので、X線分析を行っている間に次の試料を試料受渡位置からX線分析位置または予備室まで移動させるステップを迅速にかつタイミングよく実行でき、その結果、上述の両動作をほぼ同時に実行できるようになる。
【0031】
また、前記試料の表面の高さ変位情報と前記X線分析におけるX線強度との関係情報を予め求めておき、前記表面の変位計測結果から得た前記試料の表面高さ変位情報に基づいて前記X線強度を補正することが好ましい。これにより、試料の表面形状に起因するX線分析の結果のばらつきを精度よく補正できる。
【0032】
また、本発明によるX線分析装置は、分析対象の試料の表面にラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するラインビーム式レーザ変位計と、前記試料と前記レーザ変位計とを相対的に回転させる回転手段と、前記回転を行いながら前記変位測定を行うことで前記表面の所定領域において変位測定を行う測定手段と、前記試料についてX線分析を行うX線分析手段と、前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0033】
また、本発明による別のX線分析装置は、分析対象の試料の表面にラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するラインビーム式レーザ変位計と、前記試料と前記レーザ変位計とを相対的に回転させる回転手段と、前記変位測定と前記回転とを繰り返すことで前記表面の所定領域において変位測定を行う測定手段と、前記試料についてX線分析を行うX線分析手段と、前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0034】
上述の各X線分析装置によれば、試料表面の変位測定をラインレーザビームを用いて行うので試料表面の変位測定精度が向上するとともに、試料を相対回転させながら測定を連続的に行うか、または、試料を相対回転させて測定を繰り返し行うので、迅速に変位測定ができる。このため、その試料についてのX線分析結果を精度よく得られた変位測定結果に基づいて補正できるので、精度のよいX線分析を行うことができ、また迅速に変位測定を行うことができるので、X線分析を全体として迅速に行うことができる。従って、生産性を向上させることができる。なお、上述の各X線分析装置では、同一試料について変位測定後にX線分析を行うことができ、また、その逆の順序で行うこともできる。
【0035】
上述のX線分析装置は、前記X線分析手段がX線照射を行うX線分析室と、前記試料を試料受渡位置から前記X線分析室まで移動させる移動手段と、を備え、前記試料が前記X線分析室にある間に次の試料を前記試料受渡位置に移動させ、前記移動手段が前記X線分析を行った試料を前記X線分析室から前記試料受渡位置まで移動させる動作と前記次の試料を前記試料受渡位置から前記X線分析室まで移動させる動作とをほぼ同時に行うように構成することが好ましい。これにより、試料のX線分析が終了すると、次の別の試料についてのX線分析を直ちに行うことができるので、生産性よくX線分析を行うことができる。
【0036】
上述のX線分析装置は、前記X線分析手段がX線分析を行うX線分析室と、前記試料を試料受渡位置からX線分析のための予備室に移動させる第1の移動手段と、前記予備室を真空排気してから前記試料を前記X線分析室まで移動させる第2の移動手段と、を更に備え、前記試料が前記X線分析室にある間に前記第1の移動手段が次の試料を前記予備室に移動させ、前記第2の移動手段が前記X線分析を行った試料を前記X線分析室から前記予備室まで移動させる動作と前記次の試料を前記予備室から前記X線分析室まで移動させる動作とをほぼ同時に行うように構成することが好ましい。これにより、予備室を介して試料の受渡しを行う場合でも、試料のX線分析が終了すると、次の別の試料についてのX線分析を直ちに行うことができるので、生産性よくX線分析を行うことができる。
【0037】
また、前記試料の表面の高さ変位情報と前記X線分析におけるX線強度との関係情報を記憶する記憶手段を備え、前記補正手段が前記表面の変位計測結果から得た前記試料の表面高さ変位情報と前記記憶手段に記憶された関係情報とにより前記X線強度を補正することが好ましい。これにより、試料の表面形状に起因するX線分析の結果のばらつきを精度よく補正できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、被測定物の表面における変位量測定等の形状測定を簡素な構成でかつ迅速に行なうことができる変位計測方法、変位計測装置を提供できる。また、かかる変位計測方法及び変位計測装置を用いて精度よくかつ迅速に試料のX線分析を行うことができるX線分析方法及びX線分析装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明による第1及び第2の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0040】
〈第1の実施の形態〉
【0041】
図1は本発明の実施の形態を示す変位計測装置の全体構成を概略的に示す図であり、図2は図1の変位計測装置の測定範囲を説明するための側面図(a)及び平面図(b)であり、図3は図1の変位計測装置の変位計と被測定物との位置関係を示す側面図(a)及び平面図(b)であり、図4は図1の変位計測装置の変位計と被測定物との別の位置関係を示す側面図である。
【0042】
図1に示すように、変位計測装置は、ラインビーム式レーザ変位計1と、ラインビーム式レーザ変位計1を制御しかつ得られた測定データを処理する制御装置6と、ラインビーム式レーザ変位計1からラインレーザビームが照射される被測定物である分析対象の試料2を保持するホルダ3と、試料2をホルダ3とともに回転させる回転台4と、回転台4をギアを経由して回転させるパルスモータ(ステップモータ)5とを備える。
【0043】
ラインビーム式レーザ変位計1は、試料2の表面2aにラインレーザビームを照射するラインビーム照射部と、その表面2aからのライン反射ビームを受光するライン受光センサとを有する。図2(a)のように、ラインビーム式レーザ変位計1から線状のラインレーザビームを照射し、表面2aからの反射ビームを受光することで、図2(b)のように、表面2a上のビーム幅wに相当する線状領域8においてラインビーム式レーザ変位計1と試料2の表面2aとの間の距離を精度よく測定でき、この測定距離に基づいて表面2aにおける凹凸による微小な変位、即ち、微少な表面形状を測定することができる。
【0044】
ホルダ3は、図1のように、内部に円板形状の試料2をコイルばね3aにより押し当て部材3bとマスク3cとの間に挟み、マスク3cの外周端面3dに対し押し付けるようにして保持し固定しており、回転台4上に載置され、パルスモータ5の回転により回転する。
【0045】
パルスモータ5は、制御装置6がラインビーム式レーザ変位計1で試料2の表面2aの線状領域8における測定の終了に同期してパルス信号を発生し、このパルス信号により微小角度だけ回転するようになっている。かかる微小角の回転後に表面2aで次の線状領域8の測定を行うことを繰り返して、回転台4及びホルダ3がパルスモータ5により半回転することで試料2の表面2aにおける線状領域8の幅wを直径とする、図2(b)の破線で示す円状領域8aについて測定を完了することができる。
【0046】
また、ラインビーム式レーザ変位計1と回転台4との位置は、回転台4の回転中心軸とラインビーム式レーザ変位計1のビーム幅wの中心とが図1の一点鎖線で示す中心軸7に一致するように調整でき、また、回転台4の平面とラインビーム照射部及びライン受光センサとが互いに平行となるようにその平行度が調整できるようになっている。この中心軸7と試料2の中心cとを一致させるように回転台4におけるホルダ3の位置を調整することにより、図2(b)、図3(a)のように試料2の中心cを中心とした半径w/2の円状領域8aについて測定を行うことができる。
【0047】
表面形状の計測結果は、制御装置6内の演算部での演算処理により最大値、最小値及び平均値を得てこれらを制御装置6の表示部6aに表示し、また外部に出力信号として出力するとともに、制御装置6の記憶部に記憶し格納することができる。
【0048】
図1〜図3の変位計測装置の動作について説明すると、ラインビーム式レーザ変位計1に対して平行度が保たれた回転台4の上にホルダ3に収められ固定された試料2を載せる。このとき、試料の中心cが図1の中心軸7と合うように調整する。なお、回転台4に対してホルダ3内の試料2の表面2aは平行度が保たれている。
【0049】
次に、ビームライン式レーザ変位計1からラインレーザビームを試料2の表面2aに照射してラインレーザビームによる1ライン分の変位測定を行ない、この計測が終了すると、これに同期して制御装置6から発生するパルス信号でパルスモータ5が所定の微小角だけ回転し、ホルダ3とともに試料2も回転する。
【0050】
同様にして、ビームライン式レーザ変位計1により次の測定を行い、パルス信号を発生させ回転台4を回転させることを繰り返す。このようなラインレーザビーム一本分の形状計測及びその形状測定に同期したパルスモータ5の微小回転を試料2が半回転するまで繰り返して行う。試料2の表面2aにおいてラインレーザビームの幅wに対応する直径の円状領域8a内の全体の形状を測定でき、その表面形状の計測結果を制御装置6の表示部6aに表示し、また制御装置6の記憶部に記憶させる。
【0051】
以上の図1〜図3のような変位計測装置によれば、試料2の表面2aにおける変位測定をレーザビームを用いて行うので通常の光ビームの場合と比べて測定精度が向上するとともに、ラインレーザビームによる測定後に試料2を回転させることを繰り返しながら行うので短時間で測定が終了し迅速に測定ができる。
【0052】
また、図1〜図3の変位計測装置のパルスモータを連続回転するアナログ式のモータに置き換えてもよく、この場合、試料2を連続的に回転させながら所定時間で変位量変化を測定し、その所定時間内に測定された測定値の平均を求めることにより、試料2の平均表面変位量を求めることができるので、上述と同様に短時間で測定が終了し迅速に測定ができる。
【0053】
従来の点発光の光ビームによるXYステージを用いた変位計測装置では、XYステージでX方向に微少量だけずらしながら一点づづ測定し、X方向の1ライン分が終了すると、Y方向に微少量ずらして再びX方向に一点づづ測定することを繰り返して行うので、きわめて時間を要していたのに対し、本実施の形態の変位計測装置によれば、ラインレーザビームで1ライン分の測定(ビーム幅wに対応する)を即座に行い、この1ライン分の測定の終了に同期して試料2を回転させて連続的に測定を行うことができるので、きわめて短時間に測定を行うことができる。または、アナログ式のモータで試料2を連続的に回転させながらラインレーザビームで測定を行うことができるので、きわめて短時間に測定を行うことができる。
【0054】
また、蛍光X線分析用のホルダ3で試料2を覆うようにして配置されるマスク3cは、図2(b)の一点鎖線に示すように、通常、円形状であり、従来のXYステージで各軸方向に矩形状の図3(b)の破線で示す領域10で計測を行なう場合と比べると、図3(b)のように円状領域8aで計測を行なった方が矩形状領域10の隅部10aの不要な部分で計測を行わないので、効率的で短時間計測が可能となる。
【0055】
また、変位計測装置の駆動軸としては、パルスモータ5と回転台4との間の回転軸だけであるので、装置構成が簡単で、モータ、ギア等の部品点数が少なく安価に装置を構成できるとともに、駆動部分が少ないため保守点検が容易となる。
【0056】
なお、ラインレーザビームで1ライン分の測定に要する時間はほぼ一定であるので、制御装置6からのパルス信号の発生の時間間隔は、この測定時間よりもわずかに長く設定しておくことで、簡単にパルスモータ5の回転時間間隔を制御できる。また、1ライン分の測定時間に合わせてパルス信号の発生のタイミングを調整することで、その計測の目的に応じた制御が可能となる。
【0057】
次に、図4により、より大きな面積の領域を測定するためにビームライン式レーザ変位計1の位置を中心軸7に対しずらして配置した例について説明する。図4のように、試料2よりも大きな面積の試料9の回転中心c’(中心軸7と一致する)にラインレーザビームの端を合わせるようにビームライン式レーザ変位計1の位置を調整する。この状態で、ラインレーザビームで1ライン分の測定を行いながら上述のようにパルスモータ5で回転させ、試料9が1回転することで、試料9の表面9a上のラインレーザビーム幅wを半径とし中心c’を中心とするする円状領域の全体について測定を行うことができる。図4の配置により、図3の場合と比べて2倍の直径の円状領域について測定を行うことができる。
【0058】
〈第2の実施の形態〉
【0059】
次に、図5、図6により、図1〜図3の変位計測装置を用いた蛍光X線分析装置について説明する。図5は第2の実施の形態による蛍光X線分析装置の概略的構成を示す要部の側断面図であり、図6は図5の蛍光X線分析装置の動作を示すフローチャートである。
【0060】
図5に示すように、蛍光X線分析装置は、試料2をそれぞれ保持した複数のホルダ3(図1)を公転可能に保持するターンテーブル11と、ターンテーブル11を回転させるモータ12と、ターンテーブル11上の試料受渡位置20に対しホルダ3を把持し搬送するためのアーム部13aを有するアーム搬送部13と、搬送部13により搬送されたホルダ3を一時的に保管し内部が配管14aを通して真空排気される予備室14とを備える。
【0061】
また、図5の蛍光X線分析装置は、ホルダ3を予備室14と蛍光X線分析位置21との間を移動させる間に保持する保持部材16と、ホルダ3を移動させるときに保持する保持部材16を予備室14と蛍光X線分析位置21との間を搬送するための搬送部15と、配管17aを通して真空排気される蛍光X線分析室17と、蛍光X線分析室17内の蛍光X線分析位置21にあるホルダ3の試料2の表面2aに対しX線を照射するX線管18と、X線管18からの試料2に対するX線照射で表面2aから発生する蛍光X線の強度を検出し分光分析を行う分光室19と、を備える。
【0062】
また、予備室14とX線分析室17との間に、両室14と17を隔離しかつ連通させるように図5の矢印のように移動可能な移動部材14bが設けられており、予備室14は真空排気するときに移動部材14bで密閉され、X線分析室17との間でホルダ3を移動させるときに移動部材14bで開放されるようになっている。
【0063】
図5の蛍光X線分析装置は、更に、図1と同様の変位計測装置を備え、ターンテーブル11上の変位量測定位置22にあるホルダ3に保持された試料2の表面2aにビームライン式レーザ変位計1からラインレーザビームを照射することで上述のように表面2aにおける変位量を測定できるようになっている。
【0064】
次に、図5の蛍光X線分析装置による分析工程S01〜S14について図6を参照して説明する。まず、蛍光X線分析用の試料2を保持したホルダ3をターンテーブル11上の図5の変位量測定位置22にセットし(S01)、この変位量測定位置22で搬送を待機している間に回転台4上にあるホルダ3の試料2の表面(分析面)2aについて上述と同等にして変位量(表面高さ)の測定を行い、その変位量測定値を図1の制御装置6の記憶部に記憶し格納する(S02)。
【0065】
次に、ターンテーブル11をモータ12で回転させ、変位量測定を行った試料2をホルダ3とともに図5の試料受渡位置20に移動させる(S03)。次に、搬送アーム部13でホルダ3を把持してアーム部13aが回動しホルダ3を予備室14内に移動させた(S04)後に、移動部材14bにより密閉された状態の予備室14内の真空排気を行う(S05)。
【0066】
なお、工程S02の変位量測定後に、次の分析すべき試料2があるかどうかを判断し(S13)、次の試料2があるときには、同様にして搬送待機位置22で変位量測定が行われる。
【0067】
次に、予備室14が所定の圧力まで真空排気されると、移動部材14bが開放され、予備室14内で保持部材16に保持されたホルダ3が真空排気された蛍光X線分析室17内で搬送部15の駆動により回動して蛍光X線分析位置21に移動する(S06)。この蛍光X線分析位置21でホルダ3の試料2の表面2aに対しX線管18からX線が照射され、このX線照射で表面2aから発生した蛍光X線が分光室19に向かい、分光室19でそのX線強度が検出されて分光分析される(S07)。
【0068】
上述のようにして得られた分析データを工程S02で測定し記憶された試料2の表面(分析面)2aの変位量(表面高さ)に基づいて補正してから(S11)、分析データとして出力する(S12)。
【0069】
上述の工程S11における補正の例を図7により説明する。図7は、元素Pbの分析時における試料2の分析面2aの平均高さとX線強度との関係を実験的に求め、この関係を図7の近似式により表したものである。図7のように、工程S02の測定で得た変位量(表面高さ)から所定領域内における平均高さzを求め、図7の近似式で平均高さzに対応するX線強度sを求め、このX線強度sを補正されたX線強度とする。なお、図7のような近似式が図1の制御装置6の記憶部に記憶されている。
【0070】
上述の図7のような関係データを分析対象の各元素ごとに予め求めておき、各元素ごとに補正することで、試料2に含まれる各元素成分についての分析データを得ることができる。このとき、分析面2aの変位量(高さ)を精度よく測定できるので、精度よく補正された分析データを得ることができる。
【0071】
また、上述のX線強度測定(S07)が終了すると、その分析の終了した試料2を保持するホルダ3を搬送部材16の搬送部15による回動で予備室14へ移動させ(S08)、次に、搬送アーム部13でホルダ3を把持してアーム部13aが回動し、ターンテーブル11上の試料受渡位置20に移動させる(S09)。次に、ターンテーブル11を回動させて分析の終了した試料2を保持するホルダ3を排出する(S10)。
【0072】
一方、X線強度測定の工程S07の間に、次の分析すべき試料2があるか判断し(S14)、次の試料2があるときには、上述の工程S08の前に、次の試料2を予備室14に同様にして移動させ予備室14を真空排気しておく(S04,S05)。その後、蛍光X線分析室17内で保持部材16に保持されたホルダ3が搬送部15の回動により蛍光X線分析位置21に移動する(S06)。この搬送部15の回動は、上述の分析の終了した試料2のホルダ3を排出するときの工程S08における搬送部15の回動と同じ工程でなされるので、試料の分析のための搬送と分析後の試料の回収とを効率的に行うことができる。
【0073】
上述のようにして蛍光X線分析位置21に移動した次の試料2について同様にしてX線分析を行う。このようにして、多数の分析試料2について次々にX線分析を行うことができる。
【0074】
なお、上述の次の分析すべき試料2があるかの判断工程S14は、先に行った同様の工程S13の判断結果を援用してもよく、また、次の試料2についての工程S04,S05の実行を先の試料2の工程S06とともに開始するようにしてもよい。
【0075】
以上のように、図5の蛍光X線分析装置によれば、図1の変位計測装置で試料2の表面(分析面)2aの変位量(表面高さ)の測定を精度よくかつ短時間に行うことができ、X線強度測定結果を精度よく得られた変位測定結果に基づいて補正できるので精度のよいX線分析を行うことができるとともに、迅速に変位測定を行うことができるのでX線分析を全体として迅速に行うことができる。従って、生産性よくX線分析を実行できる。
【0076】
例えば、X線分析に要する時間が試料1個当たり2〜3分程度であり、本実施の形態では1個の試料の変位量の測定時間が従来の変位計測装置では5〜10分程度であったのに対し30秒程度にでき、変位量測定時間をX線分析時間よりもかなり短くでき、多数の試料についてのX線分析工程に要する時間を大幅に短縮することができる。これにより、製品の生産工程に付随して行われる分析管理を効率的に短縮して実行することができるので、生産性を向上できる。
【0077】
また、図1の変位計測装置では、試料2をホルダ3で保持し固定した状態でその分析面2aの表面高さ(変位量)を測定でき、その測定した同じ状態で蛍光X線分析を行うので、精度よくX線強度を補正することができる。
【0078】
次に、図5の蛍光X線分析装置による別の分析工程S21〜S35について図8を参照して説明する。この分析工程は、最初に試料のX線分析を行い、その後その試料の変位量測定を行うものである。まず、蛍光X線分析用の試料2を保持したホルダ3をターンテーブル11上にセットし(S21)、試料2をホルダ3とともに図5の試料受渡位置20に移動させる(S22)。次に、搬送アーム部13で予備室14内に移動させた(S23)後に、予備室14内の真空排気を行う(S24)。なお、工程S22の試料受渡位置20への移動後に、次の分析すべき試料2がある場合(S34)、次の試料2をターンテーブル11上にセットする。
【0079】
次に、予備室14の真空排気後、保持部材16に保持されたホルダ3が予備室14から搬送部15により回動して蛍光X線分析位置21に移動する(S25)。蛍光X線分析位置21で試料2のX線強度測定を行う(S26)。その後、その分析の終了した試料2を保持するホルダ3を予備室14へ移動させ(S27)、次に、搬送アーム部13でホルダ3をターンテーブル11上の試料受渡位置20に移動させる(S28)。次に、ターンテーブル11を回動させて分析の終了した試料2を保持するホルダ3を変位量測定位置22へ移動させる(S29)。ホルダ3の試料2の表面(分析面)2aについて上述と同等にして変位量(表面高さ)の測定を行う(S30)。この測定された試料2の表面(分析面)2aの変位量(表面高さ)に基づいて工程S26で測定したX線強度を図7と同様にして補正してから(S31)、分析データとして出力する(S32)。測定の終了したホルダ3はターンテーブル11から排出される(S33)。
【0080】
一方、X線強度測定の工程S26の間に、次の分析すべき試料2があるか判断し(S35)、次の試料2があるときには、図6と同様に、次の試料2を予備室14から蛍光X線分析位置21に移動するが、この移動は、上述の分析の終了した試料2のホルダ3を蛍光X線分析位置21から移動させる工程と同時に行われるので、試料の分析のための搬送と分析後の試料の回収とを効率的に行うことができる。このようにして、ホルダ3内の試料を次々とX線分析することができる。
【0081】
以上のように図8の分析工程によれば、多数のホルダ3内の試料を効率的にX線分析することができ、その後、上述のようにきわめて短時間に試料の表面変位量を精度よく測定でき、X線強度測定結果を精度よく得られた変位測定結果に基づいて補正できるので、X線分析を精度よく行うことができかつX線分析を全体として迅速に行うことができる。従って、生産性よくX線分析を実行できる。
【0082】
以上のように本発明を実施の形態及び実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図1の変位計測装置では、被測定物を下方に変位計を上方に配置したが、上下逆でもよく、また両者を水平方向に配置してもよく、水平方向から傾いた傾斜方向に配置してもよい。また、被測定物としては、蛍光X線分析用の試料に限定されずに、表面での変位量や表面形状を測定する必要のある他の物であってもよいことは勿論である。また、図1では、被測定物を回転させたが、変位計を回転させるようにしてもよく、両方を回転させてもよい。
【0083】
また、図5、図6では、予備室がある蛍光X線分析装置を説明したが、本発明は予備室がない場合にも適用でき、この場合、試料のX線分析を行っている間に、次の試料の変位量測定と試料受渡位置への移動を完了させておくことが、上述のように変位量測定時間をX線分析時間よりもかなり短くできるために可能であり、従って、生産性よくX線分析を実行できる。
【0084】
また、蛍光X線分析装置における試料の搬送方式は、図5に示すもの以外であってもよいことは勿論であり、変位測定をした試料を保持するホルダを自動的に順々にX線分析室に搬送しつつ測定後のホルダを自動的に回収する方式が好ましく、他の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1の実施の形態による変位計測装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の変位計測装置の測定範囲を説明するための側面図(a)及び平面図(b)である。
【図3】図1の変位計測装置の変位計と被測定物との位置関係を示す側面図(a)及び平面図(b)である。
【図4】図1の変位計測装置の変位計と被測定物との別の位置関係を示す側面図であり、変位計を中心軸に対しずらして配置した図である。
【図5】第2の実施の形態による蛍光X線分析装置の概略的構成を示す要部の側断面図である。
【図6】図7の蛍光X線分析装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】蛍光X線分析結果を補正するための試料分析面の平均高さと蛍光X線強度との関係を示す図である。
【図8】図7の蛍光X線分析装置の別の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1…ラインビーム式レーザ変位計、2…試料(被測定物)、2a…試料2の表面、分析面、3…ホルダ、4…回転台、5…パルスモータ、6…制御部(測定手段)、7…中心軸、8…線状領域、8a…円状領域、13…アーム搬送部、14…予備室、15…搬送部、16…保持部材、17…蛍光X線分析室、18…X線管、19…分光室、20…試料受渡位置、21…蛍光X線分析位置、22…搬送待機位置、w…線状領域8におけるラインレーザビームの幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定する変位計測方法であって、
前記被測定物と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させながら前記測定を行うことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする変位計測方法。
【請求項2】
前記被測定物と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に連続回転させながら所定時間内における変位量変化を測定することを特徴とする請求項1に記載の変位計測方法。
【請求項3】
被測定物の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するステップと、前記被測定物と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させるステップと、を含み、前記変位測定と前記回転とを繰り返すことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする変位計測方法。
【請求項4】
前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがほぼ一致している請求項1、2または3に記載の変位計測方法。
【請求項5】
前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがずれている請求項1、2または3に記載の変位計測方法。
【請求項6】
被測定物の表面にラインレーザビームを照射する照射手段と、
前記表面からの反射ビームを受光する受光手段と、
前記被測定物と前記照射手段とを相対的に回転させる回転手段と、
前記表面からの反射ビームを前記受光手段で受光することで前記表面の変位を測定する測定手段と、を備え、
前記回転手段による回転を行いながら前記測定手段による測定を行うことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする変位計測装置。
【請求項7】
前記回転手段により前記被測定物と前記照射手段とを相対的に連続回転させながら前記測定手段が所定時間内における変位量変化を測定することを特徴とする請求項6に記載の変位計測装置。
【請求項8】
被測定物の表面にラインレーザビームを照射する照射手段と、
前記表面からの反射ビームを受光する受光手段と、
前記被測定物と前記照射手段とを相対的に回転させる回転手段と、
前記表面からの反射ビームを前記受光手段で受光することで前記表面の変位を測定する測定手段と、を備え、
前記測定手段による測定と前記回転手段による回転とを繰り返すことで前記ラインレーザビームよりも広い領域の測定を行うことを特徴とする変位計測装置。
【請求項9】
前記ラインレーザビームによる測定が終了すると前記測定手段から信号を発生し、この信号に同期して前記回転手段が回転する請求項8に記載の変位計測装置。
【請求項10】
ラインビーム式レーザ変位計を備え、このラインビーム式レーザ変位計が前記照射手段と前記受光手段とを含む請求項6乃至9のいずれか1項に記載の変位計測装置。
【請求項11】
分析対象の試料の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定する際に、前記試料と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させながら前記変位測定を行うことで前記表面の所定領域において変位測定を行うステップと、
前記変位を測定した試料についてX線分析を行うステップと、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正するステップと、を含むことを特徴とするX線分析方法。
【請求項12】
分析対象の試料の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定し、前記試料と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させてから前記変位測定を行うことを繰り返すことで前記表面の所定領域において変位測定を行うステップと、
前記変位を測定した試料についてX線分析を行うステップと、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正するステップと、を含むことを特徴とするX線分析方法。
【請求項13】
前記試料のX線分析のステップの実行後に、前記X線分析を行った試料について前記変位測定のステップを実行することを特徴とする請求項11または12に記載のX線分析方法。
【請求項14】
前記試料を試料受渡位置に移動させるステップと、前記試料を前記試料受渡位置からX線分析のためのX線分析位置まで移動させるステップと、前記X線分析のステップの実行後に前記試料を前記試料受渡位置まで移動させるステップと、前記X線分析を行っている間に次の試料を前記試料受渡位置に移動させるステップと、を含むことを特徴とする請求項11,12または13に記載のX線分析方法。
【請求項15】
前記試料を試料受渡位置に移動させるステップと、前記試料を前記試料受渡位置からX線分析のための予備室に移動させるステップと、前記予備室を真空排気してから前記試料をX線分析位置まで移動させるステップと、前記X線分析のステップの実行後に前記試料を前記X線分析位置から前記予備室まで移動させるステップと、前記予備室から前記試料を前記試料受渡位置まで移動させるステップと、前記X線分析を行っている間に次の試料を前記試料受渡位置から前記予備室まで移動させるステップと、を含み、
前記X線分析を行った試料を前記X線分析位置から前記予備室まで移動させるステップと前記次の試料を前記予備室から前記X線分析位置まで移動させるステップとをほぼ同時に行うことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載のX線分析方法。
【請求項16】
前記試料の表面の高さ変位情報と前記X線分析におけるX線強度との関係情報を予め求めておき、前記表面の変位計測結果から得た前記試料の表面高さ変位情報に基づいて前記X線強度を補正する請求項11乃至15のいずれか1項に記載のX線分析方法。
【請求項17】
分析対象の試料の表面にラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するラインビーム式レーザ変位計と、
前記試料と前記レーザ変位計とを相対的に回転させる回転手段と、
前記回転を行いながら前記変位測定を行うことで前記表面の所定領域において変位測定を行う測定手段と、
前記試料についてX線分析を行うX線分析手段と、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正する補正手段と、を備えることを特徴とするX線分析装置。
【請求項18】
分析対象の試料の表面にラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するラインビーム式レーザ変位計と、
前記試料と前記レーザ変位計とを相対的に回転させる回転手段と、
前記変位測定と前記回転とを繰り返すことで前記表面の所定領域において変位測定を行う測定手段と、
前記試料についてX線分析を行うX線分析手段と、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正する補正手段と、を備えることを特徴とするX線分析装置。
【請求項19】
前記X線分析手段がX線照射を行うX線分析室と、
前記試料を試料受渡位置から前記X線分析室まで移動させる移動手段と、を備え、
前記試料が前記X線分析室にある間に次の試料を前記試料受渡位置に移動させ、
前記移動手段が前記X線分析を行った試料を前記X線分析室から前記試料受渡位置まで移動させる動作と前記次の試料を前記試料受渡位置から前記X線分析室まで移動させる動作とをほぼ同時に行うことを特徴とする請求項17または18に記載のX線分析装置。
【請求項20】
前記X線分析手段がX線照射を行うX線分析室と、
前記試料を試料受渡位置からX線分析のための予備室に移動させる第1の移動手段と、
前記予備室を真空排気してから前記試料を前記X線分析室まで移動させる第2の移動手段と、を備え、
前記試料が前記X線分析室にある間に前記第1の移動手段が次の試料を前記予備室に移動させ、
前記第2の移動手段が前記X線分析を行った試料を前記X線分析室から前記予備室まで移動させる動作と前記次の試料を前記予備室から前記X線分析室まで移動させる動作とをほぼ同時に行うことを特徴とする請求項17または18に記載のX線分析装置。
【請求項21】
前記試料の表面の高さ変位情報と前記X線分析におけるX線強度との関係情報を記憶する記憶手段を備え、
前記補正手段が前記表面の変位計測結果から得た前記試料の表面高さ変位情報と前記記憶手段に記憶された関係情報とにより前記X線強度を補正することを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1項に記載のX線分析装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象の試料の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定する際に、前記試料と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させながら前記変位測定を行うことで前記表面の所定領域において変位測定を行うステップと、
前記変位を測定した試料についてX線分析を行うステップと、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正するステップと、を含むことを特徴とするX線分析方法。
【請求項2】
分析対象の試料の表面にラインレーザビーム照射部からラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定し、前記試料と前記ラインレーザビーム照射部とを相対的に回転させてから前記変位測定を行うことを繰り返すことで前記表面の所定領域において変位測定を行うステップと、
前記変位を測定した試料についてX線分析を行うステップと、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正するステップと、を含む
ことを特徴とするX線分析方法。
【請求項3】
前記試料のX線分析のステップの実行後に、前記X線分析を行った試料について前記変位測定のステップを実行することを特徴とする請求項1または2に記載のX線分析方法。
【請求項4】
前記試料を試料受渡位置に移動させるステップと、前記試料を前記試料受渡位置からX線分析のためのX線分析位置まで移動させるステップと、前記X線分析のステップの実行後に前記試料を前記試料受渡位置まで移動させるステップと、前記X線分析を行っている間に次の試料を前記試料受渡位置に移動させるステップと、を含むことを特徴とする請求項1,2または3に記載のX線分析方法。
【請求項5】
前記試料を試料受渡位置に移動させるステップと、前記試料を前記試料受渡位置からX線分析のための予備室に移動させるステップと、前記予備室を真空排気してから前記試料をX線分析位置まで移動させるステップと、前記X線分析のステップの実行後に前記試料を前記X線分析位置から前記予備室まで移動させるステップと、前記予備室から前記試料を前記試料受渡位置まで移動させるステップと、前記X線分析を行っている間に次の試料を前記試料受渡位置から前記予備室まで移動させるステップと、を含み、
前記X線分析を行った試料を前記X線分析位置から前記予備室まで移動させるステップと前記次の試料を前記予備室から前記X線分析位置まで移動させるステップとをほぼ同時に行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線分析方法。
【請求項6】
前記試料の表面の高さ変位情報と前記X線分析におけるX線強度との関係情報を予め求めておき、前記表面の変位計測結果から得た前記試料の表面高さ変位情報に基づいて前記X線強度を補正する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線分析方法。
【請求項7】
前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがほぼ一致している請求項1または2に記載のX線分析方法。
【請求項8】
前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがずれている請求項1または2に記載のX線分析方法。
【請求項9】
分析対象の試料の表面にラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するラインビーム式レーザ変位計と、
前記試料と前記レーザ変位計とを相対的に回転させる回転手段と、
前記回転を行いながら前記変位測定を行うことで前記表面の所定領域において変位測定を行う測定手段と、
前記試料についてX線分析を行うX線分析手段と、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正する補正手段と、を備え
ることを特徴とするX線分析装置。
【請求項10】
分析対象の試料の表面にラインレーザビームを照射し前記表面からの反射ビームを受光することで前記表面の変位を測定するラインビーム式レーザ変位計と、
前記試料と前記レーザ変位計とを相対的に回転させる回転手段と、
前記変位測定と前記回転とを繰り返すことで前記表面の所定領域において変位測定を行う測定手段と、
前記試料についてX線分析を行うX線分析手段と、
前記X線分析の結果を前記表面の変位計測結果に基づいて補正する補正手段と、を備え
ることを特徴とするX線分析装置。
【請求項11】
前記X線分析手段がX線照射を行うX線分析室と、
前記試料を試料受渡位置から前記X線分析室まで移動させる移動手段と、を備え、
前記試料が前記X線分析室にある間に次の試料を前記試料受渡位置に移動させ、
前記移動手段が前記X線分析を行った試料を前記X線分析室から前記試料受渡位置まで移動させる動作と前記次の試料を前記試料受渡位置から前記X線分析室まで移動させる動作とをほぼ同時に行うことを特徴とする請求項9または10に記載のX線分析装置。
【請求項12】
前記X線分析手段がX線照射を行うX線分析室と、
前記試料を試料受渡位置からX線分析のための予備室に移動させる第1の移動手段と、
前記予備室を真空排気してから前記試料を前記X線分析室まで移動させる第2の移動手段と、を備え、
前記試料が前記X線分析室にある間に前記第1の移動手段が次の試料を前記予備室に移動させ、
前記第2の移動手段が前記X線分析を行った試料を前記X線分析室から前記予備室まで移動させる動作と前記次の試料を前記予備室から前記X線分析室まで移動させる動作とをほぼ同時に行うことを特徴とする請求項9または10に記載のX線分析装置。
【請求項13】
前記試料の表面の高さ変位情報と前記X線分析におけるX線強度との関係情報を記憶する記憶手段を備え、
前記補正手段が前記表面の変位計測結果から得た前記試料の表面高さ変位情報と前記記憶手段に記憶された関係情報とにより前記X線強度を補正することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載のX線分析装置。
【請求項14】
前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがほぼ一致している請求項9または10に記載のX線分析装置。
【請求項15】
前記被測定物の回転中心軸と前記ラインレーザビームの長手方向の中心とがずれている請求項9または10に記載のX線分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−317465(P2006−317465A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212174(P2006−212174)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【分割の表示】特願2001−375623(P2001−375623)の分割
【原出願日】平成13年12月10日(2001.12.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】