説明

エポキシ樹脂を調製するためのオリゴマー性ハロゲン化鎖延長剤

(a)過剰のハロゲン化フェノール化合物と;(b)ハロゲン化エポキシ樹脂との;(c)溶媒の存在下での反応生成物を含むオリゴマー性ハロゲン化鎖延長剤組成物;並びにオリゴマー性ハロゲン化鎖延長剤組成物とエポキシ樹脂との反応生成物を含むハロゲン化エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリゴマー性ハロゲン化鎖延長剤組成物の製造方法、及びそのような鎖延長剤の反応生成物に関し、このような反応生成物は、次いで耐熱性エポキシ樹脂組成物の製造に使用可能である。このような耐熱性エポキシ樹脂は、例えば電気積層板用途、例えばプリント配線板の製造に有用である。
【背景技術】
【0002】
電気積層板の熱的性能の指標としては数種類が一般的に使用されている。これらの中の1つは、硬化した樹脂のガラス転移温度(T)である。別の尺度の1つは、硬化した熱樹脂の分解温度(T)であり、これは熱重量分析(TGA)を使用して測定される。第3の指標は「T260」として公知で、これは260℃に加熱した場合に積層板の分解が開始するのに要する時間である。類似の指標の1つが「T288」であり、これは288℃における分解時間を測定するものである。関連する第4の指標は、はんだ耐熱性であり、これは、288℃の溶融はんだ中に浸漬した場合に積層板が層間剥離し始めるのに要する時間である。
【0003】
最近、工業規格では、電子デバイスの組み立てに無鉛はんだを使用することが規定され始めた。無鉛はんだは、通常、従来の鉛系はんだよりも高温で溶融する。従って、これらのはんだの使用は、エレクティカル(electical)積層板の樹脂相の熱安定性がより要求されることになる。従来の樹脂では、これらのさらなる熱的条件を満たすことができない。
【0004】
より優れた熱安定性が必要とされるもう一つの状況は、多層板の製造である。これらは、プリプレグ層を使用して、あらかじめ加工した薄い板を互いに接合させることによって形成される。この作業は、数回くり返して行う場合がある。各作業において、板全体に対して、徹底した熱硬化サイクルが行われる。その結果、層の数が多いほど、内層の板に対する熱的影響が大きくなる。
【0005】
従って、積層板が必要な熱的性質を示すことが可能となる樹脂を提供することが望ましい。310℃以上のTを示す積層板が、当産業における標準となると予想される。T260値は、少なくとも15分、好ましくは少なくとも30分となるべきであるが、1時間又はそれ以上の値が特に望ましい。5分を超えるT288値も望まれる。Tは、130℃又はそれ以上、好ましくは少なくとも150℃となるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの熱的性質は、樹脂及び積層板の他の望ましい特性を犠牲にして実現することはできない。樹脂は、容易に加工する必要があり、積層ステップ中に許容できる流動特性を有する必要があり、寸法安定性の積層板を製造するために要求される必要な物理的性質を有する必要がある。
【0007】
エポキシ樹脂は、電気積層板の製造に広く使用されている。これらの樹脂は、必要な熱的性質を樹脂に付与するために臭素化されることが多い。このような臭素化エポキシ樹脂組成物の一例が、Kohnoらの米国特許第5,405,931号明細書に記載されている。この特許に記載されている方法では、末端フェノール基を有するオリゴマーが、過剰のハロゲン化フェノール化合物とハロゲン化フェノール化合物のグリシジルエーテルとを反応させることによって調製される。このオリゴマー化反応は、出発物質の溶融物中で行われる。このオリゴマーを別のエポキシ樹脂でアドバンス化し、続いて硬化させることで電気積層板のポリマー相が形成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも1種類のエポキシド反応性化合物と少なくとも1種類のハロゲン化エポキシ樹脂とを含有する反応混合物を溶媒の存在下で形成することと、上記反応混合物を、上記溶媒中のオリゴマー組成物の溶液を形成するのに十分な条件にさらすこととを含む方法であって、上記オリゴマー組成物が末端エポキシド反応性基を含有する方法に関する。
【0009】
本発明は、(1)末端エポキシド反応性基を有するハロゲン化オリゴマー組成物の溶液と、(2)エポキシ樹脂との混合物を形成することと、上記混合物を、アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を形成するのに十分な条件にさらすこととを含む方法にも関する。本発明は、少なくとも1種類のエポキシ硬化剤を使用して反応させることによって、アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることをさらに含む方法にも関する。
【0010】
本発明は、ハロゲン化オリゴマー組成物の溶媒中の溶液であって、上記オリゴマー組成物が末端エポキシド反応性基を有する溶液にも関する。本発明は、溶媒、ハロゲン化オリゴマー組成物、少なくとも1種類のエポキシ樹脂、及び少なくとも1種類のエポキシ硬化剤を含むワニスも含んでいる。
【0011】
他の点において本発明は、オリゴマー組成物と過剰の少なくとも1種類のエポキシ樹脂との反応によって形成されたアドバンストハロゲン化エポキシ樹脂、及びアドバンストハロゲン化エポキシ樹脂と少なくとも1種類のエポキシ硬化剤との反応によって形成された硬化エポキシ樹脂に関する。
【0012】
本発明は、アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂から調製されたワニスにも関する。このワニスは、アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂以外に、少なくとも1種類のエポキシ硬化剤、少なくとも1種類の追加のエポキシ樹脂、抑制剤、例えばホウ酸を含有することができる。本発明は、さらに別の一態様においては、アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を、場合により少なくとも1種類の他のエポキシ樹脂とともに含む樹脂相を有するプリプレグ(prepreg)に関する。本発明はさらに、アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂(場合により少なくとも1種類の他のエポキシ樹脂とともに)、又はハロゲン化オリゴマーと少なくとも1種類のエポキシ樹脂との混合物を、少なくとも1種類のエポキシ硬化剤の使用によって硬化させることによって製造された樹脂相を有する樹脂でコーティングされた箔又は電気積層板にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のオリゴマー組成物の形成方法は、本発明のオリゴマー組成物を使用して製造した硬化エポキシ樹脂の熱的性質に対して非常に大きな影響を与えうることが分かった。本発明の方法を使用すると、特に良好な熱的性質を有する硬化エポキシ樹脂を形成することができる。特に、15分を超え、場合により1時間を超えるT260値を有する電気積層板が、本発明により調製された。300℃を超えるT値が得られた。本発明の硬化エポキシ樹脂は、他の望ましい特性、例えば、良好な物理的性質(特に、良好な靱性とともに高T)、良好な流動制御性、及び良好な接着性なども有する。
【0014】
本発明のオリゴマー組成物は、少なくとも1種類のエポキシド反応性化合物をハロゲン化エポキシ樹脂と溶媒の存在下で反応させることによって生成される。このエポキシド反応性化合物は、ハロゲン化されていてもよいし、ハロゲン化されていなくてもよい。1又はそれ以上の非ハロゲン化エポキシド反応性化合物と1又はそれ以上のハロゲン化エポキシド反応性化合物との混合物を使用することができる。同様に、1又はそれ以上の非ハロゲン化エポキシ樹脂をハロゲン化エポキシ樹脂とともに使用することもできる。本発明のオリゴマー組成物は、溶媒中の混和性混合物の形態で生成される。
【0015】
本発明のオリゴマー組成物は末端エポキシド反応性基を含有する。さらに、本発明のオリゴマー組成物は、残留エポキシド基を含有することもできる。オリゴマー組成物が残留エポキシド基を含有する場合、エポキシド反応性基の当量と残留エポキシド基の当量との比が少なくとも1:1となるべきである。この比は好ましくは少なくとも2:1である。この比は、あらゆる大きな値であってよく、理論的にはエポキシド基の数が0に近づくと無限大に近づく。この比の実際的な上限の1つは100:1である。この比のより典型的な範囲の1つは2:1から30:1である。この比がこの範囲の下端、例えば2:1から8:1の範囲内にある場合、そのオリゴマー組成物から製造された積層板のTが幾分高くなる傾向にあるが、T、T260、及びT288の値はわずかに低くなることがある。
【0016】
本発明のエポキシド反応性化合物は、エポキシ樹脂よりも化学量論的に過剰で使用されることで、オリゴマー組成物が製造される。出発物質のモル比は、オリゴマー組成物の数平均分子量が600から4000となり、重量平均分子量が1200から10,000となるように選択される。好ましい数平均分子量の1つは700から3200であり、好ましい重量平均分子量の1つは1500から7000である。特に好ましい数平均分子量の1つは800から1600であり、特に好ましい重量平均分子量の1つは1500から3500である。これらの分子量値は、オリゴマー組成物中に存在しうるあらゆる未反応のエポキシド反応性化合物の寄与を含んでいる。
【0017】
ヒドロキシル当量は、適切には300から2000、好ましくは500から1000である。エポキシド当量は一般に高く、典型的には少なくとも1200、好ましくは1400から10,000である。
【0018】
本発明のオリゴマー組成物は、典型的には、種々の重合度を有する化合物の混合物を含む。通常、この組成物は、過剰に使用されるために、ある量の未反応出発物質、主としてエポキシド反応性化合物も含有する。一部のエポキシ官能性種が前述にように存在しうるが、未反応エポキシ化合物は存在するとしても非常に少量で存在する。オリゴマー組成物が二官能性出発物質(これが好ましい)から製造される場合、エポキシド反応性化合物は非常に過剰(エポキシド基の当量数の少なくとも2倍)で使用され、反応は出発物質中のエポキシド基の大部分が消費されるまで続けられ、オリゴマーの重量の大部分は、エポキシド反応性化合物から誘導されるN個の繰り返し単位と、エポキシ樹脂から誘導されるN−1個の繰り返し単位とを含有する分子からなる。Nは2から50の範囲となることができるが、好ましくは主として2から10、最も好ましくは主として2から5である。好ましいオリゴマー組成物は、Nの値が2又は3に相当する分子がオリゴマーの重量(固形分を基準とし、存在しうるすべての溶媒は排除される)の少なくとも48%を構成する組成物である。Nの値が2又は3に相当する分子は、好ましくはオリゴマーの48から75重量%を構成する。本発明のオリゴマー組成物は、最大30重量%の未反応エポキシド反応性出発化合物を含有することができ、この場合も固形分を基準としている。
【0019】
エポキシド反応性化合物がより少ない量で使用される場合、又は反応が長く続けられない場合、オリゴマーは、より広範囲の化学種、例えば未反応エポキシド反応性化合物、少量の未反応ハロゲン化エポキシ樹脂、及びある範囲のオリゴマー化反応生成物などを含有する傾向にある。オリゴマー化反応生成物としては、一般に、エポキシ基を有さない分子、エポキシド反応性基を有さない分子、並びにエポキシ基及びエポキシド反応性基の両方を有する種々の重合度の分子が挙げられる。
【0020】
本発明のオリゴマー組成物は、10から60重量%、特に25から55重量%、特に35から55重量%のハロゲン原子を含有することができる。ハロゲン原子は好ましくは塩素、より好ましくは臭素である。塩素と臭素との混合物を使用することもできる。
【0021】
オリゴマーを製造するための適切なハロゲン化エポキシド反応性化合物の1つは、少なくとも1つのハロゲン原子及び少なくとも2つのエポキシド反応性基/1分子を含有する。ハロゲン原子は好ましくは塩素及び/又は臭素であり、最も好ましくは臭素である。この化合物は好ましくは厳密に2つのエポキシド反応性基を1分子当たりに含有する。
【0022】
エポキシド反応性基は、隣接エポキシドと反応して共有結合を形成する官能基である。このような基としてはフェノール基、イソシアネート基、カルボン酸基、アミノ基、又はカーボネート基が挙げられるが、アミノ基はあまり好ましくない。フェノール類が好ましい。フェノール性ヒドロキシル基は、芳香環炭素原子に直接結合しているあらゆるヒドロキシル基である。
【0023】
適切なハロゲン化エポキシド反応性化合物としては構造(I)
【化1】

で表される化合物が挙げられ、上式中、各Lは独立にエポキシド反応性基を表し、Yはハロゲン原子を表し、各zは独立に1から4の数を表し、Dは、適切には1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1から3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基、−S−、−S−S−、−SO−、−SO、−CO−、−CO−、あるいは−O−である。好ましいハロゲン化エポキシド反応性化合物は、各Lが−OHであるハロゲン化フェノール化合物である。ハロゲン化フェノール化合物の例としては、モノ−、ジ−、トリ−、及びテトラクロロ置換、並びにモノ−、ジ−、トリ−、及びテトラブロモ置換された二価フェノール、例えばビスフェノールA、ビスフェノールK、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びビスフェノールAD、並びにそれらの混合物が挙げられる。テトラブロモ置換ビスフェノールが特に好ましい。
【0024】
本発明のオリゴマーの製造に有用となる適切な非ハロゲン化エポキシド反応性化合物は、好ましくは、この場合各zが0となることを除けば構造(I)に対応する。例としては、二価フェノール、例えばビスフェノールA、ビスフェノールK、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びビスフェノールAD、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0025】
3つ又はそれ以上のフェノール基を有するエポキシド反応性化合物(ハロゲン化又は非ハロゲン化のいずれの場合も)、例えばテトラフェノールエタンもオリゴマーの製造に使用することができるが、これらは通常、少量、例えばエポキシド反応性化合物の全重量の5%以下で使用される。
【0026】
本発明のエポキシド反応性化合物(ハロゲン化されている場合又はされていない場合のいずれも)は、好ましくは2重量%未満、特に1重量%未満の窒素を含有する。これらは窒素を含有しないことが最も好ましい。
【0027】
本発明のオリゴマー組成物の製造に使用されるハロゲン化エポキシ樹脂は、少なくとも1つのハロゲン原子と、2つ又はそれ以上、好ましくは厳密に2つのエポキシド基を1分子当たりに含有する。前述と同様に、ハロゲン原子は、好ましくは塩素及び/又は臭素であり、最も好ましくは臭素である。ハロゲン原子は好ましくは芳香環の炭素原子に結合している。
【0028】
本発明のオリゴマー組成物の製造に使用されるハロゲン化エポキシ樹脂は、飽和又は不飽和の脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式の化合物であってよい。これは、1又はそれ以上の置換基、例えば低級アルキルで置換されていてもよい。ハロゲン化エポキシ樹脂は、150から3,500、好ましくは160から1000、より好ましくは170から500のエポキシ当量を有することができる。適切なハロゲン化エポキシ樹脂は、例えば、米国特許第4,251,594号明細書、第4,661,568号明細書、第4,710,429号明細書、第4,713,137号明細書、及び第4,868,059号明細書、並びに1967年にニューヨークのマグローヒル(McGraw-Hill, New York)より出版されたH.リー(Lee)及びK.ネビル(Neville)によるエポキシ樹脂ハンドブック(The Handbook of Epoxy Resins)に記載されている。
【0029】
好ましい種類の1つのハロゲン化エポキシ樹脂は、多価フェノールのジグリシジルエーテルである。適切なエポキシ樹脂としては、構造(II)
【化2】

で表される樹脂が挙げられ、上式中、各Yは独立にハロゲン原子であり、各Dは、構造(I)に対して前述したものと同じ二価の基であり、mは1、2、3、又は4であってよく、pは0から5、特に0から2の数である。ハロゲン化エポキシ樹脂の例としては、二価フェノール、例えばビスフェノールA、ビスフェノールK、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びビスフェノールAD、並びにそれらの混合物のモノ−、ジ−、トリ−、及びテトラクロロ置換、並びにモノ−、ジ−、トリ−、及びテトラブロモ置換されたジグリシジルエーテルが挙げられる。テトラブロモ置換エポキシ樹脂が特に好ましい。テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びその誘導体は、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)より商標名D.E.R.(登録商標)542及びD.E.R.(登録商標)560で市販されている。
【0030】
ハロゲン化エポキシ樹脂及び非ハロゲン化エポキシ樹脂の混合物を使用して本発明のオリゴマーを製造することができる。適切な非ハロゲン化エポキシ樹脂としては、例えば、多価フェノール化合物、例えばレソルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラメチルビフェノール、脂肪族グリコールのジグリシジルエーテル、及びポリエーテルグリコールのジグリシジルエーテル、例えばC2−24アルキレングリコール及びポリ(エチレンオキシド)又はポリ(プロピレンオキシド)グリコールのジグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(エポキシノバラック(novalac)樹脂)、フェノール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂、及びジシクロペンタジエン−置換フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
適切な多価フェノール化合物のジグリシジルエーテルは、mが0の場合の前述の式IIで表されるものに対応する。多くは市販されており、例えばビスフェノールA樹脂のジグリシジルエーテルは、例えばザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより名称D.E.R.(登録商標)330、D.E.R.(登録商標)331、D.E.R.(登録商標)332、D.E.R.(登録商標)383、D.E.R.(登録商標)661、及びD.E.R.(登録商標)662樹脂で販売されている。
【0032】
非ハロゲン化エポキシ樹脂として有用な市販のポリグリコールのジグリシジルエーテルとしては、D.E.R.(登録商標)732及びD.E.R.(登録商標)736としてザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより販売されるものが挙げられる。
【0033】
エポキシノボラック樹脂を非ハロゲン化エポキシ樹脂として使用できるが、2.0を超えるエポキシド官能性を有するのであまり好ましくない傾向にある。このような樹脂は、D.E.N.(登録商標)354、D.E.N.(登録商標)431、D.E.N.(登録商標)438、及びD.E.N(登録商標)439としてザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0034】
別の適切な追加のエポキシ樹脂は脂環式エポキシドである。脂環式エポキシドの1つは、炭素環内の2つの隣接する原子に結合したエポキシ酸素を有する飽和炭素環を含み、以下の構造III:
【化3】

で表され、上式中、Rは脂肪族、脂環式、及び/又は芳香族の基であり、nは1から10、好ましくは2から4の数である。nが1の場合、上記脂環式エポキシドはモノエポキシドとなる。ジ−又はポリエポキシドは、nが2又はそれ以上の場合に形成される。モノ−、ジ−、及び/又はポリエポキシドの混合物を使用することができる。米国特許第3,686,359号明細書に記載されるような脂環式エポキシ樹脂を本発明において使用することができる。特に対象となる脂環式エポキシ樹脂は、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル)−3,4−エポキシ−シクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、及びそれらの混合物である。
【0035】
別の適切なエポキシ樹脂としては、米国特許第5,112,932号明細書に記載されるようなオキサゾリドン含有化合物が挙げられる。さらに、D.E.R.(登録商標)592及びD.E.R.(登録商標)6508(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー)として市販されるものなどのアドバンストエポキシ−イソシアネートコポリマーを使用することができる。
【0036】
非ハロゲン化樹脂は、好ましくは各mが0である構造IIに対応する。非ハロゲン化エポキシ樹脂の例としては、二価フェノール、例えばビスフェノールA、ビスフェノールK、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びビスフェノールAD、並びにそれらの混合物のジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0037】
ハロゲン化エポキシ樹脂、及び使用される場合の追加のエポキシ樹脂は、好ましくは主として二官能性である。より高い官能性のエポキシ樹脂(ハロゲン化されているか、されていないかのいずれか)を使用して本発明のオリゴマーを製造する場合、それらは、好ましくは少量、例えばオリゴマー組成物の製造に使用されるエポキシ樹脂の全重量の5重量%までの量で使用される。
【0038】
エポキシド反応性化合物及びエポキシ樹脂は、溶媒の存在下で反応が行われる。この溶媒は、オリゴマー化反応の温度で反応物質及びオリゴマー組成物が溶解性となる材料である。この溶媒は、オリゴマー組成物の製造に使用されるエポキシド反応性化合物及びエポキシ樹脂に対して、オリゴマー化反応の条件下では反応性ではない。溶媒(又は、混合物が使用される場合には溶媒混合物)は、好ましくは、オリゴマー化反応の実施に使用される温度に少なくとも等しい沸点、好ましくはそれよりも高い沸点を有する。100から150℃の沸点が特に適切である。適切な溶媒としては、例えば、グリコールエーテル、例えばエチレングリコールメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル;グリコールエーテルエステル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングルシオル(glycyol)モノメチルエーテルアセテート;ポリエチレンオキシドエーテル及びポリプロピレンオキシドエーテル;ポリエチレンオキシドエーテルエステル及びポリプロピレンオキシドエーテルエステル;アミド、例えばN,N−ジメチルホルムアミド;芳香族炭化水素トルエン及びキシレン;脂肪族炭化水素;環状エーテル;ハロゲン化炭化水素;及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられ、これは、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーよりそれぞれダワノール(DOWANOL)(登録商標)PMA及びダワノール(登録商標)PMとして市販されている。これらは、単独で使用することもでき、別の溶媒、例えばメチルエチルケトンと併用することもできる。
【0039】
溶媒は、溶媒及び出発物質(すなわちエポキシド反応性化合物及びエポキシ樹脂)を合わせた重量の少なくとも5%を構成する量で存在する。好ましくは、溶媒は、混合物の重量の10から75%を構成し、より好ましくは混合物の重量の15から60%を構成する。
【0040】
本発明のオリゴマー組成物は、溶媒と、出発エポキシド反応性化合物と、出発エポキシ樹脂との混合物をそれぞれの溶融温度よりも高温まで上昇させ、エポキシ樹脂上のエポキシ基が消費されるまでそれらを反応させることによって形成される。反応条件が実現されるときに溶媒が存在するのであれば、任意の順序で出発物質を混合することができる。この反応は、100℃から200℃、好ましくは110℃から180℃の温度で、0.3から4時間、好ましくは1から3時間の時間行うことができる。
【0041】
反応の進行は、エポキシ含有率を監視することによって追跡することができる。この反応は、反応混合物のエポキシ含有率が少なくとも半分減少するまで続けるべきであり、エポキシ含有率が測定可能な量を下回るまで続けることができる。エポキシド含有率が0.3%未満(反応性出発物質の重量が基準)に減少するまで反応を進行させると、その結果得られるオリゴマー組成物はエポキシド反応性基対エポキシ基の比が大きくなる。エポキシド含有率が0.3から3.0%まで減少すると、エポキシド反応性基対エポキシ基の比が小さくなる。多くの場合これによって、オリゴマー組成物から製造した積層板のTが上昇し、オリゴマーの製造の反応時間が短縮される効果が得られる。
【0042】
オリゴマー化は好ましくは、エポキシド基とフェノール基との反応のための1又はそれ以上の触媒の存在下で行われる。適切なこのような触媒は、例えば、米国特許第3,306,872号明細書、第3,341,580号明細書、第3,379,684号明細書、第3,477,990号明細書、第3,547,881号明細書、第3,637,590号明細書、第3,843,605号明細書、第3,948,855号明細書、第3,956,237号明細書、第4,048,141号明細書、第4,093,650号明細書、第4,131,633号明細書、第4,132,706号明細書、第4,171,420号明細書、第4,177,216号明細書、第4,302,574号明細書、第4,320,222号明細書、第4,358,578号明細書、第4,366,295号明細書、及び第4,389,520号明細書に記載されている。適切な触媒の例は、イミダゾール、例えば2−メチルイミダゾール;2−エチル−4−メチルイミダゾール;2−フェニルイミダゾール 第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びトリブチルアミン;ホスホニウム塩、例えばエチルトリフェニルホスホニウムクロライド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、及びエチルトリフェニルホスホニウムアセテート;アンモニウム塩、例えばベンジルトリメチルアンモニウムクロライド及びベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド;並びにそれらの混合物である。使用される触媒の量は、オリゴマーの製造に使用されるエポキシド反応性化合物及びエポキシ樹脂の全重量を基準にして、一般に0.001から2重量%の範囲であり、好ましくは0.01から1重量%の範囲である。
【0043】
この方法で調製されたオリゴマー組成物は、驚くべきことに、有機溶媒、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルに対して優れた溶解性を示す。米国特許第5,405,931号明細書に記載されるような溶融反応方法で製造される類似のオリゴマー組成物は、不透明の溶液を形成する傾向にあり、これは静置すると相分離することが多く、これは、このオリゴマー組成物がある程度不溶性分画を含有することを示している。
【0044】
本発明のハロゲン化オリゴマー組成物は、アドバンストエポキシ樹脂の鎖延長剤又は架橋剤として有用である。これは、反応性又は非反応性添加剤、例えば難燃剤として熱可塑性樹脂中に使用することもできる。
【0045】
電気積層板の作製に有用な高耐熱性ハロゲン化エポキシ樹脂組成物を製造するために、本発明のオリゴマー組成物を少なくとも1種類の追加のエポキシ樹脂と反応させてアドバンスト樹脂を形成し、次に1又はそれ以上のエポキシ硬化剤を使用してこれを硬化させることができる。
【0046】
追加のエポキシ樹脂は、平均で1個を超えるエポキシ基を1分子当たりに有する。好ましくは2つ又はそれ以上のエポキシ基/1分子を含有し、より好ましくは2個を超えるエポキシ基/1分子を有する。
【0047】
追加のエポキシ樹脂は、本発明のオリゴマー組成物の製造に使用されるものと同じエポキシ樹脂であってもよいし、又は異なる樹脂であってもよい。アドバンス化ステップ中は、より高い官能性のエポキシ樹脂が許容されうる。この樹脂は、追加のエポキシ樹脂中にハロゲン原子が存在すると、エポキシ硬化剤及び/又は触媒との望ましくない反応を引き起こしうるため、ハロゲン化されていないことが好ましい。追加のエポキシ樹脂は、2又はそれ以上、好ましくは少なくとも2.5、及びより好ましくは少なくとも3の平均エポキシド官能性を有することができる。より高い官能性のエポキシ樹脂をこのステップで使用することで、より高い架橋密度を有する硬化樹脂が得られ、これによってより良好な熱的性質が得られる傾向にある。適切なエポキシ樹脂としては、フェノール化合物、例えばレソルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、及びビスフェノールKのグリシジルエーテルが挙げられる。平均で2個を超えるエポキシ基/1分子を有する好ましい追加のエポキシ樹脂としては、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、フェノールホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、及びそれらの混合物が挙げられる。低粘度樹脂が望ましい場合には、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンが好ましい。価格対性能比を考慮すると、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、及びビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、又はこれらのエポキシ樹脂の混合物が追加のエポキシ樹脂として関心が持たれる。
【0048】
エポキシノボラック樹脂は追加のエポキシ樹脂として特に関心が持たれる。これらの樹脂は、適切にはエポキシ当量が150から250、特に160から210である。このような樹脂は、D.E.N(登録商標)354、D.E.N(登録商標)431、D.E.N.(登録商標)438及びD.E.N.(登録商標)439としてザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0049】
ハロゲン化オリゴマー組成物と追加のエポキシ樹脂との比は、所望のエポキシ当量及び所望のハロゲン含有率を有するエポキシ末端アドバンスト樹脂が形成されるように選択される。エポキシ末端材料を得るためには、化学量論的に過剰の追加のエポキシ樹脂が必要となる。アドバンスト樹脂のエポキシ当量は、150から10,000又はそれ以上、好ましくは150から2000、及び特に150から400とすることができる。アドバンスト樹脂のハロゲン含有率は、適切には10から35重量%、好ましくは12から23重量%、最も好ましくは14から18重量%である。
【0050】
本発明のアドバンスト樹脂は、オリゴマー組成物及び追加のエポキシ樹脂の混合物を適切な触媒の存在下で加熱することによって好都合に調製される。アドバンス化反応を行う前に溶媒をハロゲン化オリゴマーから除去する必要はなく、実際この溶媒が存在するままであることが好ましい。希望するなら追加の溶媒が存在することができるが、反応温度において蒸発する揮発性材料は好ましくは回避される。所望のエポキシ当量が得られるまでこの反応が続けられる。アドバンスト材料は、未反応の追加のエポキシ樹脂と、ハロゲン化オリゴマー組成物/追加のエポキシ樹脂の反応生成物との混合物を含むことができる。
【0051】
適切な反応条件は、オリゴマー組成物の調製に関して説明したものとほぼ同じである。
【0052】
この結果得られたアドバンストエポキシ樹脂は、単独で、又は1又はそれ以上の他のエポキシ樹脂とのブレンドのいずれかとして、種々のエポキシ樹脂用途に適切である。特に興味深い用途の1つは電気積層板の作製である。この用途では、典型的には、アドバンストエポキシ樹脂を適切な溶媒中に希釈することによってワニスが調製される。このワニスは、硬化反応のための少なくとも1種類のエポキシ硬化剤及び少なくとも1種類の触媒も含有する。
【0053】
使用される個別の硬化剤は特に重要ではないので、多種多様の硬化剤を使用することができる。しかし、硬化剤の選択が、硬化した樹脂の熱的性質に影響を与える場合がある。このようなものとしては、アミン硬化剤、例えばジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、及びジアミノジフェニルスルホン;無水物、例えば無水ヘキサヒドロキシフタル酸、スチレン−無水マレイン酸のコポリマー;フェノール系硬化剤、例えばフェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック;並びにそれらの混合物が挙げられる。本発明において有用な他の硬化剤が米国特許出願公開第2004/0101689号明細書に記載されている。使用される硬化剤の量は、アドバンスト樹脂中のエポキシ成分の1エポキシ当量当たり、通常0.3から1.5当量の範囲、特に0.8から1.2当量の範囲である。
【0054】
同様に、広範囲の触媒をワニス組成物中に使用することができ、例えばオリゴマーの調製に関して前述したものを使用することができる。適切な触媒量も、同様に前述の通りである。
【0055】
本発明のワニスは溶媒又は溶媒混合物を含む。エポキシ樹脂組成物に使用される溶媒は、前述のオリゴマー組成物の調製に使用されるものと同じ材料であってもよいし、又は異なる材料であってもよい。特に、溶媒は通常、硬化プロセス中に除去されるので、低沸点溶媒をワニス中に使用することができる。
【0056】
本発明のワニスは、反応性の制御を促進するためと、場合により硬化系のガラス転移温度を上昇させるために抑制剤を含有することもできる。適切なこのような抑制剤としては、ルイス酸、例えば米国特許第5,314,720号明細書及び第6,613,639号明細書に記載されるようなホウ酸、酸化ホウ素、及びホウ素エステルが挙げられる。
【0057】
本発明のワニスは、他の添加剤、例えば顔料、染料、フィラー、界面活性剤、流動性改良剤、難燃剤、及びそれらの混合物を含むこともできる。
【0058】
あるいは、ワニスは、類似の方法で、ハロゲン化エポキシド反応性オリゴマーと、ハロゲン化アドバンストエポキシ樹脂の代わりの(又はこれに加えて)エポキシ樹脂との混合物を使用して調製することもできる。このようなワニス充填物(varnish fill)は、前述の少なくとも1種類のエポキシ硬化剤も含有し、前述の他の添加剤(例えば触媒)を含有することもできる。
【0059】
電気積層板を作製するために、上記ワニスを基材又はウェブの中に含浸させる。含浸させて得られた基材は、例えば80℃から200℃、好ましくは100℃から200℃で0.5分から60分、好ましくは0.5分から30分乾燥させることで溶媒が除去されて、プリプレグが形成される。乾燥条件は、樹脂の硬化を最小限にするよう選択される。本発明において使用される基材としては、例えば、ガラスクロス、ガラスファイバー、ガラスペーパー、炭素繊維、炭素繊維マット、紙、並びにアラミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、及び他の熱安定性ポリマー繊維の類似の基材が挙げられる。
【0060】
得られたプリプレグは所望のサイズに切断される。切断したプリプレグの複数の部分(例えば、2から10枚)を積み重ね、圧力及び高温を加えることによって、例えば、10から50Kg/cm、及び130℃から220℃を0.5から3時間加えることによって積層して樹脂を硬化させることで積層板が得られる。導電性材料を使用することで、導電層が積層板上に形成される。本発明において使用される適切な導電性材料としては、例えば、導電性金属、例えば銅、金、銀、白金、及びアルミニウムが挙げられる。
【0061】
上述のように製造された電気積層板は、電気装置又は電子装置用のメタルクラッド積層板及び多層プリント回路板として使用することができる。
【0062】
溶媒中で調製されたハロゲン化オリゴマーを使用すると、硬化樹脂及び結果として得られる積層板の熱的性質が改善されることが分かった。一般に、本発明の積層板のTgは130℃から220℃、好ましくは140℃から190℃、より好ましくは150℃から190℃である。
【0063】
本発明のエポキシ樹脂組成物を使用して作製された積層板も高いT値を示す傾向にあるが、これらは個別の出発物質の選択に依存して非常に大きく変動しうる。Tは、熱重量分析(TGA)によって測定される熱分解温度を意味する。このサンプルは、10℃/分の速度で加熱され、サンプルの重量が追跡される。T値は、サンプルが元の重量から5重量%減少した温度である。
【0064】
多くの場合、300℃から400℃、好ましくは320℃から380℃、より好ましくは330℃から370℃のT値を得ることができる。
【0065】
T260は、熱重量分析(TMA)によって測定される。このサンプルは、260℃に加熱され、熱分解の結果生じるサンプル厚さの測定可能な変化が検出される時点までその温度で維持される。T260値は、好ましくは少なくとも15分、より好ましくは少なくとも30分、特に60分又はそれ以上である。T288は、サンプルが288℃に加熱されることを除けば同じ方法で測定される。5分又はそれ以上のT288値が好ましい。
【0066】
はんだディップは、どのように電気積層板がはんだ付け条件に耐えられるかの指標の1つが得られる迅速試験である。積層板は、288℃の溶融無鉛はんだ中に浸漬される。樹脂の分解により層間剥離が生じるまで、サンプルがはんだ中に維持される。分解が始まる時間がはんだディップ値である。少なくとも100秒のはんだディップ値が好ましい。
【0067】
本発明は、D及びDによって示されるように非常に低い誘電特性を有する積層板を形成することもできる。本発明により作製された積層板は、多くの場合、1MHzにおけるDが4.3、好ましくは4.2未満、より好ましくは4.0未満である。本発明の積層板のDは、1MHzにおいて、多くの場合、0.020未満、好ましくは0.015未満、より好ましくは0.010未満である。
【0068】
本発明により作製された積層板は、層間剥離に対して抵抗性となる傾向もある。
【0069】
本発明のハロゲン化オリゴマーは、金属箔、例えば銅箔のための接着剤コーティング中の一成分として使用することもできる。一実施形態においては、このコーティング組成物は、ハロゲン化オリゴマー、少なくとも1種類のエポキシ樹脂、及び少なくとも1種類のエポキシ硬化剤を含む。別の一実施形態においては、このコーティング組成物は、前述のアドバンストハロゲン化エポキシ樹脂、場合により少なくとも1種類の追加のエポキシ樹脂、及び少なくとも1種類のエポキシ硬化剤を含む。コーティングを金属箔上に適用し硬化させる方法は、例えば米国特許第6,432,541号明細書に記載されている。
【0070】
以下の実施例及び比較サンプルを参照しながら、本発明をより詳細に説明するが、これらが限定であると解釈すべきではない。特に明記しない限り、すべての部数及び%値は重量を基準としている。
【0071】
以下の実施例中に使用される種々の用語及び材料の名称は以下のように説明される。
【0072】
D.E.R.(登録商標)330エポキシ樹脂は、エポキシ当量(EEW)が180のビスフェノールAのジグリシジルエーテルであり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0073】
D.E.N.(登録商標)438は、エポキシ当量が180のフェノールノボラックエポキシ樹脂であり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0074】
D.E.R.(登録商標)560は、エポキシ当量が452のビスフェノールA臭素化ジグリシジルエーテルであり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能である。
【0075】
D.E.R.(登録商標)592A80は、臭素化アドバンストエポキシ樹脂であり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0076】
「TBBA」はテトラブロモビスフェノール−Aを意味する。
【0077】
D.E.R.(登録商標)542は、エポキシ当量が330の臭素化エポキシ樹脂であり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0078】
SD 500 Cは、ビスフェノールAノボラックであり、ボーデン・ケミカル・カンパニー(Borden Chemical Company)より販売されている。
【0079】
ダワノール(登録商標)PMAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0080】
ダワノール(登録商標)PMは、プロピレングリコールモノメチルエーテルであり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより市販されている。
【0081】
以下の実施例における種々の測定で使用した種々の実験的試験及び分析方法は以下の通りである:
DSCは、示差走査熱量測定法を意味する。Tは、DSCによる中間点のTであり、フィルムの場合は10℃/分、積層板の場合は20℃/分の加熱速度を使用して測定される。
【0082】
DMTAは、動的機械熱分析を意味する。Tは、280℃まで10℃/分の加熱速度において10Hzの振動速度で測定される。
【0083】
樹脂のストロークキュア反応性は、樹脂溶液を触媒及び硬化剤と混合して、それらを170℃のホットプレートの表面上で反応させることによって測定される。反応性は、ゲル化に要する経過時間として報告される。
【実施例】
【0084】
(実施例1及び2並びに比較例A及びB)
28.8部のD.E.R.(登録商標)542エポキシ樹脂、71.2部のTBBA、及び42.8部のダワノール(登録商標)PMAを、機械的撹拌機、加熱ジャケット、窒素入口、及びコンデンサーを取り付けた1リットルガラス反応器に投入することによって、オリゴマー実施例1を調製した。この反応器内容物を110℃に加熱して樹脂溶液を形成した。エポキシ樹脂及びTBBAの総重量を基準にして1500ppmのエチルトリフェニルホスホニウムアセテート触媒を樹脂溶液に加えた。次に、この溶液を130℃に加熱し、エポキシ含有率が0.5%未満に減少するまでその温度を維持した(約90から120分)。追加のダワノール(登録商標)PMAを加えて、得られた樹脂溶液を冷却した。オリゴマー実施例A中のフェノール基対残留エポキシド基の比は約20:1であった。
【0085】
出発物質の比率が表1に示される通りであることを除けば、同じ方法でオリゴマー実施例2を調製した。オリゴマー実施例A中のフェノール基対残留エポキシド基の比率は20:1を超えた。
【0086】
28.8部のD.E.R.542エポキシ樹脂及び71.2部のTBBAを反応器に投入することによって比較サンプルAを調製した。この反応混合物を150℃に加熱し、透明液体が形成されるまで窒素雰囲気下で撹拌した。1500ppmのエチルトリフェニルホスホニウムアセテート触媒を加え、触媒添加中は170℃未満となるように温度を制御した。次にこの混合物を150℃まで冷却し、その温度を1時間維持した。次に、得られた臭素化フェノールオリゴマーを冷却すると、固体として薄片状になった。
【0087】
出発物質の比率が表1に示される通りであることを除けば、比較サンプルAと同じ方法で比較サンプルBを調製した。
【0088】
フェノール当量、150℃における溶融粘度、T(DSCによる)、ダワノール(登録商標)PMA溶媒に対する溶解性、分子量、及び生成物の分布を、実施例1及び2並びに比較サンプルA及びBのそれぞれについて測定した。結果を表1に示す。
【表1】

【0089】
表1にまとめた結果から、オリゴマーの調製方法が、オリゴマーの組成物及び性質に影響することが分かる。M及びフェノール当量は本質的に変化しないままであるが、M、M、及び多分散性は大きく低下している。粘度も大きく低下している。実施例1及び2の生成に使用した溶媒調製方法では、形成された高分子量(4:3)付加体の量は少ない。溶媒調製方法で生成される場合、そのオリゴマーのTも低くなる。
【0090】
(実施例3から10)
表2に示す出発物質の比率を使用して、ハロゲン化オリゴマー実施例1及び2の調製に対して記載の一般的方法と同じ方法でオリゴマー実施例3を調製した。
【0091】
TBBA/D.E.R.542混合物を反応させた後、少量の非ハロゲン化エポキシ樹脂D.E.R.(登録商標)330を加えて反応させ、オリゴマーの分子量を増加させたことを除けば、オリゴマー実施例1及び2と同じ方法でオリゴマー実施例4を調製した。出発物質の比率は表2に示す通りであった。
【0092】
表2に示す出発物質の比率を使用して、オリゴマー実施例4と同じ方法でオリゴマー実施例5を調製した。
【0093】
表2に示す出発物質の比率を使用して、実施例1及び2に対しての記載の一般的方法と同じ方法でオリゴマー実施例6を調製した。
【0094】
D.E.R.(登録商標)542及び非ハロゲン化エポキシ樹脂(D.E.R.(登録商標)330)の混合物を使用してオリゴマーを製造したことを除けば、実施例1及び2に対しての記載の一般的方法と同じ方法でオリゴマー実施例7及び8を調製した。出発物質の比率は表2に示す通りであった。
【0095】
D.E.R.(登録商標)560ハロゲン化エポキシ樹脂、TBBA、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーのダワノール(登録商標)PM)を、機械的撹拌機、加熱ジャケット、窒素入口、及びコンデンサーを取り付けた1リットルガラス反応器に投入することによって、オリゴマー実施例9を調製した。反応器内容物を90℃に加熱して樹脂溶液を形成した。エポキシ樹脂及びTBBAの総重量を基準にして1500ppmのエチルトリフェニルホスホニウムアセテート触媒を樹脂溶液に加えた。次に、この溶液を110℃に加熱し、エポキシ含有率が0.5%未満に減少するまでその温度を維持した(約240から300分)。出発物質の比率は表2に示す通りであった。
【0096】
少量の非ハロゲン化樹脂(D.E.R.(登録商標)330)を他の反応物質とともに加えたことを除けばオリゴマー実施例9と同じ方法でオリゴマー実施例10を作製した。出発物質の比率は表2に示す通りであった。
【0097】
それぞれの場合でオリゴマー組成物を形成した後、D.E.N438エポキシノバラック(novalac)樹脂を表2に示す量で加え、その混合物を110℃に加熱した。エチルトリフェニルホスホニウムアセテート触媒を表2に示す量で加え、その混合物を140℃(実施例9及び10は110℃)に加熱し、記載のエポキシ当量が得られるまでその温度を維持した。次に、表2に示されるように追加の溶媒を加えた。
【0098】
得られたアドバンスト樹脂の当量、臭素含有率、及び%固形分を表2に示した。
【表2】

【0099】
別々にアドバンストエポキシ樹脂の実施例3から10を硬化剤溶液、ホウ酸溶液、及び触媒溶液と室温で60分間混合することによってワニスを調製した。硬化剤溶液は、ジシアンジアミド(10重量%)を室温で、ダワノール(商標)PM(45重量%)及びジメチルホルムアミド(45重量%)と混合することによって調製した。ホウ酸溶液は、ホウ酸(20重量%)を室温でメタノール(80重量%)と混合することによって調製した。触媒溶液は、2−エチル,4−メチルイミダゾール(20重量%)又は2−フェニルイミダゾール(20重量%)を室温でメタノール(80重量%)と混合することによって調製した。ビスフェノールAノボラック溶液は、(43%)のビスフェノールAノボラック樹脂をダワノール(登録商標)PMA(28.5重量%)及びメチルエチルケトン(28.5重量%)と室温で混合することによって調製した。アドバンストエポキシ樹脂6、9、及び10を使用して調製したワニスは、テトラフェノールエタン(1,1,2,2−テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン)をさらに含む。ワニス例3−2、7、及び8は、ビスフェノールAノボラック(ボーデン・ケミカルのSD−500C)樹脂溶液を、ジシアンジアミド硬化剤溶液の代わりに使用して硬化させた。ワニスの製造に使用した種々の成分の比率を表3に示した。
【0100】
171℃のホットプレートの表面上でワニスを加熱し、ワニスがゲル化するのに要する時間を測定することによって、ワニスの反応性を評価した。結果を表3に示した。
【0101】
比較のため、100重量部の市販の臭素化アドバンストエポキシ樹脂を使用してワニス(比較サンプルC−1)を調製した。このワニスは、3.2部のジシアンジアミド及び0.1部の2−エチル−4−メチルイミダゾールも含有した。このワニスの反応性を表3に示した。
【表3】

【0102】
ガラスクロス基材(ポルシェ・テクスタイル,バジニール,Fr−38300 ブルゴアン−ジャリュー・フランス(Porcher Textile, Badinierea,Fr-38300 Bourgoin-Jallieu France)又はインテグラス・テクスティルGmbH,ウルム/ドナウ,ドイツ(Interglas Textil GmbH,Ulm/Donau,Germany)のタイプ7628)を使用して、浸漬法によって上記ワニス配合物からプリプレグを作製した。含浸させた基材は、3mの水平オーブンを有するカラトシュ(CARATSCH)(商標)パイロットトリーター(スイスのブレムガルデンのカラトシュAG(Caratsch AG,Bremgarten,Switzerland)製造)に170から175℃の空気温度及び1から1.6m/分の巻き取り速度で通過させた。
【0103】
方法IPC−L−109B、IPC−TM−650:2.3.16(米国イリノイ州リンカーンウッドの電子回路相互接続パッケージ協会(Institute for Interconnecting and Packaging Electronic Circuits,Lincolnwood,Illinois,USA)より入手可能)に準拠して、プリプレグの製造前後のガラスクロスの10cm×10cmのシートの重量を測定することによって各プリプレグの樹脂含有率を測定した。この結果は以下の表4に示す通りであった。
【0104】
各プリプレグの8枚のシートを外層上の銅箔のシートとともに交互層にレイアップし、続いて加圧下で加熱して電気積層板を形成した。積層板の性質は以下の表4に示す通りであった。
【表4】

【0105】
表4のデータより、本発明の組成物から作製したプリプレグ及び積層板が、比較例から作製したものよりもはるかに優れた熱安定性(T260、はんだディップ、T)を示したことが分かる。実施例3−3及び4−2から10−2の硬化積層板のTは比較サンプルよりも高かった。サンプル3−2のTは比較サンプルのTよりも幾分低いが、これは異なる硬化剤を使用したためである。異なる硬化剤を使用したにもかかわらず、実施例7−2及び8−2のTが比較サンプルのTより高いことに注目されたい。
【0106】
(実施例11)
752.8部のD.E.R.(登録商標)560エポキシ樹脂、1350.2部のTBBA、及び1402部のダワノール(登録商標)PMを、機械的撹拌機、加熱ジャケット、窒素入口、及びコンデンサーを取り付けた10リットルの鋼製反応器に投入することによって、オリゴマー実施例11を調製した。この反応器内容物を100℃に加熱して樹脂溶液を形成した。エポキシ樹脂及びTBBAの総重量を基準にして3.1部のエチルトリフェニルホスホニウムアセテート触媒を樹脂溶液に加えた。次に、この溶液を110℃に加熱し、反応性出発物質の重量を基準にしたエポキシ含有率が2.5%に減少するまで50分間その温度を維持した。次に、溶液を60℃まで冷却して、溶液のオリゴマー実施例11を生成した。オリゴマー例11中のフェノール基対残留エポキシド基の比は約3.75:1であった。
【0107】
D.E.N.(登録商標)438エポキシノバラック(novalac)のダワノール(登録商標)PM中の85重量%溶液7554.8部を、オリゴマー実施例11の溶液に加えた。得られた混合物を110℃に加熱し、反応性出発物質の重量を基準にしたエポキシ含有率が15.8%に減少するまで2.5時間その温度を維持した。別の56.2部のダワノール(登録商標)PM溶媒を次に加え、得られたアドバンストエポキシ樹脂溶液を35から40℃に冷却した。
【0108】
アドバンストエポキシ樹脂の実施例11を硬化剤溶液、ホウ酸溶液、及び触媒溶液と室温で60分間混合することによってワニスを調製した。硬化剤溶液は、フェノールノボラック樹脂、テトラフェノールエタン、メチルエチルケトン、及びダワノール(登録商標)PMを54:6:20:20の重量比で混合することによって調製した。ホウ酸溶液は、ホウ酸(20重量%)を室温でメタノール(80重量%)と混合することによって調製した。触媒溶液は、2−エチルイミダゾール(20重量%)をメタノール(80重量%)と混合することによって調製した。アドバンストエポキシ樹脂溶液、硬化剤溶液、ホウ酸溶液、及び触媒溶液は71.92:27.5:0.58:0.105の重量比で混合した。
【0109】
170℃のホットプレートの表面上でワニスのサンプルを加熱し、ワニスがゲル化するのに要する時間を測定することによって、ワニスの反応性を評価した。これらの条件下で、ワニスは194秒でゲル化した。
【0110】
実施例3から10に対して説明した方法で、このワニスを使用してプリプレグ及び積層板を作製した。このプリプレグのゲル化時間は56秒であった。この積層板のTは175から178℃であった。5%重量減温度のTは358℃であり、T288時間は28分であった。
【0111】
(実施例12)
896.5部のD.E.R.(登録商標)560エポキシ樹脂、1071.8部のTBBA、及び1312.2部のダワノール(登録商標)PMを、機械的撹拌機、加熱ジャケット、窒素入口、及びコンデンサーを取り付けた10リットルの鋼製反応器に投入することによって、オリゴマー実施例11を調製した。この反応器内容物を100℃に加熱して樹脂溶液を形成した。エポキシ樹脂及びTBBAの総重量を基準にして2.95部のエチルトリフェニルホスホニウムアセテート触媒を樹脂溶液に加えた。次に、この溶液を110℃に加熱し、反応性出発物質の重量を基準にしたエポキシ含有率が3%に減少するまで65分間その温度を維持した。次に、この溶液を60℃まで冷却して、溶液のオリゴマー実施例12を生成した。オリゴマー実施例12中のフェノール基対残留エポキシド基の比は約2.5:1であった。
【0112】
D.E.N.(登録商標)438エポキシノバラック(novalac)のダワノール(登録商標)PM中の85重量%溶液6422.5部を、オリゴマー実施例11の溶液に加えた。この得られた混合物を110℃に加熱し、反応性出発物質の重量を基準にしたエポキシ含有率が15.8%に減少するまで2.5時間その温度を維持した。この得られたアドバンストエポキシ樹脂溶液を35から40℃に冷却した。
【0113】
アドバンストエポキシ樹脂の実施例12を硬化剤溶液、ホウ酸溶液、及び触媒溶液と室温で60分間混合することによってワニスを調製した。硬化剤溶液は、ビスフェノールAノボラック樹脂、テトラフェノールエタン、メチルエチルケトン、及びダワノール(登録商標)PMを54:6:20:20の重量比で混合することによって調製した。ホウ酸溶液及び触媒溶液は実施例11に記載のように調製した。アドバンストエポキシ樹脂溶液、硬化剤溶液、ホウ酸溶液、及び触媒溶液は69:31:0.548:0.15の重量比で混合した。
【0114】
170℃のホットプレートの表面上でワニスのサンプルを加熱し、ワニスがゲル化するのに要する時間を測定することによって、ワニスの反応性を評価した。これらの条件下で、ワニスは217秒でゲル化した。
【0115】
実施例3から10に対して説明した方法で、このワニスを使用してプリプレグ及び積層板を作製した。このプリプレグのゲル化時間は77秒であった。積層板のTは181から183℃であった。5%重量減温度のTは352℃であり、T288時間は24分であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類のエポキシド反応性化合物と少なくとも1種類のハロゲン化エポキシ樹脂とを含有する反応混合物を溶媒の存在下で形成することと、前記反応混合物を、前記溶媒中のオリゴマー組成物の溶液を形成するのに十分な条件にさらすこととを含む方法であって、前記オリゴマー組成物が末端エポキシド反応性基を含有する方法。
【請求項2】
前記エポキシド反応性化合物が臭素化エポキシド反応性化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化エポキシ樹脂が少なくとも1つの臭素原子を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記臭素化エポキシド反応性化合物が、少なくとも2つのエポキシド反応性基と、芳香環上の炭素原子に結合した少なくとも1つの臭素原子とを有するフェノール化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化エポキシ樹脂が、芳香環の炭素原子に結合した少なくとも1つの臭素原子を含有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記オリゴマー組成物が残留エポキシド基も含有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記オリゴマー組成物中のエポキシド反応性基の当量と残留エポキシド基の当量との比が2:1から30:1である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴマー組成物中のエポキシド反応性基の当量と残留エポキシド基の当量との比が2:1から8:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反応混合物が少なくとも1種類の非ハロゲン化エポキシ樹脂をさらに含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反応混合物中の少なくとも95重量%の前記エポキシ樹脂が2個のエポキシ基/1分子を含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反応混合物が少なくとも1種類の非ハロゲン化エポキシ反応性化合物をさらに含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記オリゴマー組成物が10から60重量%のハロゲン原子を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記臭素化エポキシド反応性化合物が臭素化ビスフェノールであり、前記ハロゲン化エポキシ樹脂が、ハロゲン化ビスフェノールのジグリシジルエーテルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、前記溶媒、エポキシド反応性化合物、及びエポキシ樹脂の重量の合計の10から75%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記オリゴマー溶液を少なくとも1種類の追加のエポキシ樹脂と混合することと、アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を形成するのに十分な条件に前記混合物をさらすこととをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記追加のエポキシ樹脂がハロゲン化されていない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記追加のエポキシ樹脂の平均官能性が1分子当たり少なくとも2.0個のエポキシド基である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記追加のエポキシ樹脂が、多価フェノール化合物のグリシジルエーテル、脂肪族グリコールのジグリシジルエーテル、ポリエーテルグリコールのジグリシジルエーテル、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、シクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又はそれらのいずれかの2種類又はそれ以上の混合物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記追加のエポキシ樹脂が、レソルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールF又はビスフェノールKのグリシジルエーテルである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1種類のエポキシ硬化剤と反応させることによって前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種類のエポキシ硬化剤と反応させることによって前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
(l)末端エポキシド反応性基を有するハロゲン化オリゴマー組成物の溶液と、(2)エポキシ樹脂との混合物を形成することと、及びアドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を形成するのに十分な条件に前記混合物をさらすこととを含む方法。
【請求項23】
前記エポキシ樹脂がハロゲン化されていない、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記エポキシ樹脂の平均官能性が1分子当たり少なくとも2.0個のエポキシド基である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記追加のエポキシ樹脂が、多価フェノール化合物のグリシジルエーテル、脂肪族グリコールのジグリシジルエーテル、ポリエーテルグリコールのジグリシジルエーテル、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、シクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又はそれらのいずれかの2種類又はそれ以上の混合物である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記オリゴマー組成物が残留エポキシド基も含有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記オリゴマー組成物中のエポキシド反応性基の当量と残留エポキシド基の当量との比が2:1から30:1である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記オリゴマー組成物中のエポキシド反応性基の当量と残留エポキシド基の当量との比が2:1から8:1である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種類のエポキシ硬化剤と反応させることによって前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1種類のエポキシ硬化剤と反応させることによって前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも1種類のエポキシ硬化剤と反応させることによって前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1種類のエポキシ硬化剤と反応させることによって前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
ハロゲン化オリゴマー組成物の溶媒中の溶液であって、前記オリゴマー組成物が末端エポキシド反応性基を有する溶液。
【請求項34】
前記オリゴマー組成物が残留エポキシド基も含有する、請求項33に記載の溶液。
【請求項35】
前記オリゴマー組成物中のエポキシド反応性基の当量と残留エポキシド基の当量との比が2:1から30:1である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記オリゴマー組成物中のエポキシド反応性基の当量と残留エポキシド基の当量との比が2:1から8:1である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1により生成されたオリゴマー組成物の溶液と、エポキシ樹脂と、少なくとも1種類のエポキシ硬化剤とを含むワニス。
【請求項38】
請求項8により生成されたアドバンストハロゲン化エポキシ樹脂の溶液と、少なくとも1種類のエポキシ硬化剤とを含むワニス。
【請求項39】
請求項15により生成されたアドバンストハロゲン化エポキシ樹脂の溶液と、少なくとも1種類のエポキシ硬化剤とを含むワニス。
【請求項40】
少なくとも1種類の別のエポキシ樹脂をさらに含む、請求項37に記載のワニス。
【請求項41】
ホウ酸又はホウ素エステルをさらに含む、請求項40に記載のワニス。
【請求項42】
前記ハロゲン化アドバンストエポキシ樹脂を製造するために使用される前記追加のエポキシ樹脂が、多価フェノール化合物のグリシジルエーテル、脂肪族グリコールのジグリシジルエーテル、ポリエーテルグリコールのジグリシジルエーテル、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、シクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又はそれらのいずれかの2種類又はそれ以上の混合物である、請求項40に記載のワニス。
【請求項43】
請求項22により生成されたアドバンストハロゲン化エポキシ樹脂の溶液と、少なくとも1種類のエポキシ硬化剤とを含むワニス。
【請求項44】
少なくとも1種類の別のエポキシ樹脂をさらに含む、請求項43に記載のワニス。
【請求項45】
ホウ酸又はホウ素エステルをさらに含む、請求項43に記載のワニス。
【請求項46】
前記エポキシ樹脂が、多価フェノール化合物のグリシジルエーテル、脂肪族グリコールのジグリシジルエーテル、ポリエーテルグリコールのジグリシジルエーテル、クレゾール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、シクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、又はそれらのいずれかの2種類又はそれ以上の混合物である、請求項45に記載のワニス。
【請求項47】
請求項37に記載のワニスを含浸させた基材材料を含むプリプレグ。
【請求項48】
請求項38に記載のワニスを含浸させた基材材料を含むプリプレグ。
【請求項49】
請求項41に記載のワニスを含浸させた基材材料を含むプリプレグ。
【請求項50】
請求項43に記載のワニスを含浸させた基材材料を含むプリプレグ。
【請求項51】
前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂と少なくとも1種類のエポキシ硬化剤とを含有するワニスを形成することと、前記ワニスを基材に適用することと、前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を前記基材上で硬化させることとをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項52】
前記ワニスが複数の基材に適用され、前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させる前に前記基材が積み重ねられ、前記アドバンストハロゲン化エポキシ樹脂を硬化させることによって積層板が形成される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
金属導電層が、前記積層板の少なくとも1つの面に適用される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
硬化したエポキシ樹脂が含浸された基材を含む複合材料であって、Tが少なくとも140℃であり、Tが少なくとも315℃であり、T260が少なくとも5分であることを特徴とする複合材料。
【請求項55】
前記複合体の少なくとも1つの面に適用された金属導電層を有する、請求項54に記載の複合材料。
【請求項56】
請求項54に記載の複合材料を含むプリント配線板。
【請求項57】
が少なくとも170℃であり、Tが少なくとも330℃であり、T260が少なくとも60分であることを特徴とする請求項54に記載の複合材料。
【請求項58】
前記複合体の少なくとも1つの面に適用された金属導電層を有する、請求項57に記載の複合材料。
【請求項59】
請求項57に記載の複合材料を含むプリント配線板。
【請求項60】
請求項29により生成された硬化ハロゲン化エポキシ樹脂の表面上に接着された金属箔を含む、樹脂がコーティングされた箔。
【請求項61】
請求項51により生成された硬化ハロゲン化エポキシ樹脂が表面上にコーティングされた金属箔を含む、樹脂がコーティングされた箔。

【公表番号】特表2009−540049(P2009−540049A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514304(P2009−514304)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/012644
【国際公開番号】WO2007/145807
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】