オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ、オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路
【課題】入力電圧範囲を広くしても線形性能の優れ、かつトランスコンダクタンス値精度の優れたOTA、OTAを用いたフィルタ回路を提供する。
【解決手段】I−V変換器と、内部抵抗素子の抵抗値に比例する増幅率でI−V変換器の出力電流を増幅する電流制御回路1、2とによってOTAを構成する。そして、電流制御回路1、2を、入力電流が入力されるドレイン、第1制御電圧が供給されるゲートを有するMOSトランジスタ10、出力電流が出力されるドレインを有するMOSトランジスタ13、第2制御電圧が供給されるゲートを有するMOSトランジスタ11、MOSトランジスタ10のドレインと接続される非反転入力端子、MOSトランジスタ13のゲートと接続される出力端子、MOSトランジスタ13のソース及びMOSトランジスタ11のドレインと接続される反転入力端子を有する差動増幅器12によって構成する。
【解決手段】I−V変換器と、内部抵抗素子の抵抗値に比例する増幅率でI−V変換器の出力電流を増幅する電流制御回路1、2とによってOTAを構成する。そして、電流制御回路1、2を、入力電流が入力されるドレイン、第1制御電圧が供給されるゲートを有するMOSトランジスタ10、出力電流が出力されるドレインを有するMOSトランジスタ13、第2制御電圧が供給されるゲートを有するMOSトランジスタ11、MOSトランジスタ10のドレインと接続される非反転入力端子、MOSトランジスタ13のゲートと接続される出力端子、MOSトランジスタ13のソース及びMOSトランジスタ11のドレインと接続される反転入力端子を有する差動増幅器12によって構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ(Operational Transconductance Amplifier:通常OTAと記述されるので以下ではOTAと記す)と、OTAと容量素子(C)とを組み合わせた、高速動作可能で、入力電圧範囲が広くて線形性能の優れたオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路(以下、OTA−Cフィルタと記す)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルタ回路(以下、単にフィルタとも記す)は、多種多様な構成のものが提案されており、それぞれが目的及び仕様によって使い分けられている。例えば、アクティブフィルタはオペアンプ、抵抗、容量からなるが、チップ上に形成される抵抗、容量素子の特性のばらつき、温度変動の影響を受けるため所望の周波数特性を得られない。デジタルフィルタやSCF(Switched-Capacitor Filter :スイッチトキャパシタフィルタ)はサンプリング動作するため高速動作に適さない。また、OTA−Cフィルタ(Gm−Cフィルタとも記す)は高速動作に適するが、大信号処理に不適であるという問題がある。このOTA−CフィルタはOTAと容量から構成され、従来多くの種類のOTAが提案されてきた。
【0003】
図10は、代表的なOTAを説明するための図である。図示したOTAは、MOSトランジスタ112、113からなる一対の入力MOSトランジスタと、MOSトランジスタ110、111からなる一対のロードMOSトランジスタと、電流源の機能を有するMOSトランジスタ114からなる。この入力トランジスタのゲート端子対115、116に入力電圧Vinを供給することで出力端子対117、118から出力電流Ioutが出力される。この入力電圧Vinと出力電流Ioutとの関係は、式(1)のように記述できる(非特許文献1)。
【0004】
Iout=(K・Io)0.5Vin{1−(K・Vin2)/(4・Io)}0.5 …式(1)
ここで、式(1)中のKは、式(2)で示されるようにMOSトランジスタの性能を表すパラメータ、IoはMOSトランジスタに流れる電流である。
K=μ・Cox・(W/L) …式(2)
式(2)中に示したμ、Cox、W、Lは、それぞれMOSトランジスタの移動度、単位面積あたりのゲート容量、チャネル幅、チャネル長である。また電流Ioは、Kとオーバードライブ電圧Vovを用いて式(3)のように表すことができる。
Io=K・Vov2 …式(3)
ここで、オーバードライブ電圧Vovは、式(4)のように、MOSトランジスタのゲート・ソース間電圧Vgsから閾値電圧Vthを減算した値を指すものである。
Vov=Vgs−Vth …式(4)
【0005】
上記した式(1)は、式(3)、式(4)を用いて式(5)のように表すことができる。
Iout=(K・Io)0.5Vin{1−Vin2/(4・Vov2)}0.5 …式(5)
ここで、入力電圧Vinがオーバードライブ電圧Vovに比べて十分小さい場合には、式(5)は式(6)のように表すことができる。
Iout=gm・Vin …式(6)
式(6)において、gmは式(7)で表されるような比例定数であり、図10のOTA回路のトランスコンダクタンス値であり、かつ、入力MOSトランジスタ112、113のトランスコンダクタンス値でもある。
gm=(K・Io)0.5 …式(7)
【0006】
すなわち、出力電流Ioutは入力電圧Vinに比例しており、図10に示したOTAと容量素子(C)とを組み合わせることでOTA−Cフィルタを実現できる。しかしながら、入力信号Vinが大きい場合、例えばVinがVovの値に対して無視できない程度に大きくなると、式(5)からもわかるように、出力電流Ioutと入力電圧Vinとの線形関係が成り立たなくなる。このような場合には、OTA−Cフィルタで所望の周波数特性が得られなくなるという問題がある。通常、Vovの値は0.3〜0.7V程度であるので、線形性を保つことができる入力電圧範囲は非常に小さくなる。
【0007】
図11は、広い入力電圧にわたって線形性能を保つことができるOTAを示した図である。図示したOTAは、カプリオ・クワッドと呼ばれる回路で、例えば、特許文献1、非特許文献2に記載されている。図11に示した回路は、MOSトランジスタ132、133からなる一対の入力MOSトランジスタ、一対のMOSトランジスタ134、135、一対の電流源136、137、そのゲート端子142に同相レベルを制御するための信号が供給される一対のMOSトランジスタ130、131、抵抗素子143から構成される。
MOSトランジスタ130、131のゲートに信号を入力する信号の入力端子138、139、出力端子140、141、MOSトランジスタ134、135のゲートとドレインとが接続する接続ノード144、145、抵抗素子143の両側の端子146、147を図中に示す。
【0008】
次に、図11に示した回路の入力電圧Vinに対する、出力端子140、141から出力される出力電流Ioutの振る舞いについて説明する。
図11に示した符号を用い、抵抗143の両端子146、147の電圧V146、V147は以下のように表すことができる。
V147=V138−Vgs132−Vgs135 …式(8)
V146=V139−Vgs133−Vgs134 …式(9)
【0009】
式(8)、(9)中のV138、V139は、それぞれ入力端子138、139の端子電圧を示す。Vgs132、Vgs135、Vgs133、Vgs134は、それぞれMOSトランジスタ132、135、133、134のゲート・ソース間電圧である。MOSトランジスタ132〜135のサイズはいずれも同じ値であるとする。すなわち、MOSトランジスタ132〜135に同じ電流が流れる場合は、MOSトランジスタ132〜135ゲート・ソース間電圧が同じになる。MOSトランジスタ132、134には常に同じ電流が流れるので、
Vgs132=Vgs134 …式(10)
が成り立つ。
【0010】
また、同様に、MOSトランジスタ133、135には常に同じ電流が流れるので、
Vgs133=Vgs135 …式(11)
が成り立つ。入力電圧Vin=V138−V139と、式(8)〜(11)を用いて、抵抗素子143の両端にかかる電圧を計算すると、その電圧は式(12)のようにいつも入力電圧Vinに等しくなる。
V147−V146=Vin …式(12)
したがって、抵抗素子143に流れる電流I143は式(13)のようになる。
I143=Vin/R …式(13)
【0011】
式(13)中のRは抵抗143の抵抗値である。MOSトランジスタ130、131を流れる電流と電流源136、137を流れる電流はそれぞれ等しいので、出力電流Ioutは、式(14)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
Iout=I140−I141=I143=Vin/R …式(14)
このように、出力電流Ioutは入力電圧Vinの値に正確に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。図11のOTAは、入力電圧Vinを出力電流Ioutに変換するので、V−I変換器と呼ぶこともできる。OTA、V−I変換器のどちらの名称で呼ぶかは、一般にその機能に応じて使い分けているが基本的な機能は同じである。
【0012】
図12は、従来のOTA−Cフィルタを説明するための回路図である。図12において、41〜44はGm値がそれぞれGm1〜Gm4であるOTAである。45、46は容量値がC1、C2である容量素子、49、50は差動として入力信号が入力される入力端子対、51、52は差動として低域通過フィルタ(LPF)出力信号が出力される出力端子対、53、54は帯域通過フィルタ(BPF)出力信号が出力される出力端子対である。
【0013】
図12に示したOTA−Cフィルタは、一般に双2次型OTA−Cフィルタとして知られていて、低域通過フィルタ出力信号が出力される端子対51、52におけるフィルタ周波数特性を表す伝達関数H(s)は式(40)で表すことができる。
H(s)=(Gm1・Gm2)/(C1・C2)/
[s2+s(Gm4/C1)+[Gm2・Gm3/(C1・C2)]] …式(15)
このように、Gm1〜Gm4、容量C1、C2によって任意の特性のフィルタを実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−92266号公報 段落0017〜0018
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】R.R.Torrance著 IEEE Transactions on Circuits and Systems、 32巻、11号、1097ページ。1985年。論文タイトル「High-Frequency CMOS Continuous-Time Filters」
【非特許文献2】R. Caprio著 IEE Electron. Lett、9巻、6号、147〜148ページ、1973年。論文タイトル「Precision differential Voltage-Current Convertor」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
既に説明したように、図10に示したOTAは線形性能の点で問題がある。一方、図11に示したOTAは、優れた線形性能を有するが、図11のOTAのトランスコンダクタンス値は抵抗素子143の抵抗値Rに依存する。この抵抗素子143としては、ICチップ上に形成される抵抗素子と外付けされる抵抗素子のいずれかを選択できる。
一般にICチップ上に形成される抵抗素子は、ポリ抵抗や拡散抵抗を利用する、ICチップ上において形成された抵抗素子(以下、内部抵抗素子ともいう)であるが、いずれの場合も、その抵抗値は製造ばらつき及び温度依存性を有するため20〜40%程度の変動がある。このため、図11のようなOTAを用いて精度の良いトランスコンダクタンス値を実現することができなかった。
【0017】
また、トランスコンダクタンス値の精度を上げるために外付け抵抗素子を用いると、抵抗値の変動という問題は避けることができるが、チップ上に設けられたOTAの数だけ外付け抵抗素子を必要とするため、ICのピン数増加、実装コスト増加という問題がある。さらに、外付け抵抗素子をOTA本体の回路の端子に取り付けるためにボンディングすることによって生じるパッド等の寄生容量、あるいは実装基板の寄生容量が少なくとも3〜5pF程度存在するので、高速性能を発揮することができないという問題がある。
【0018】
また図12のようなOTAを用いたOTA−Cフィルタの場合、一般に知られている図10、図11のOTA等含めてOTAなら如何なる種類のものであっても、図12に示したOTA−CフィルタのOTAに用いることができる。ただし、図10のOTAを用いた場合は、抵抗素子に線形性能が悪いICチップ上において設けられた内部抵抗素子を使用すると、抵抗素子の抵抗値の変動分だけ周波数特性が変動する。
また、図11のOTAを用いた場合は、線形性能は良く、図11のOTAにおいて外付け抵抗素子を使用する場合は、周波数特性精度は良いが、OTAの数だけ外付け抵抗が必要となる。このため、ピン数増加、実装コスト増加という問題がある。さらにボンディングパッド及び実装基板の寄生容量が少なくとも3〜5pF程度存在するので、高速フィルタを実現できないという問題がある。
【0019】
また図12のようなOTAを用いたOTA−Cフィルタの場合、一般に知られている図10、図11のOTA等含めてOTAなら如何なる種類のものを、図12のOTA−CフィルタのOTAに用いることができる。例えば、図10のOTAを用いた場合は、線形性能が悪いという問題があるし、また図11のOTAを用いた場合は、線形性能は良いが、図11のOTAの抵抗として内蔵抵抗を使用すると抵抗値の変動分だけ周波数特性が変動する。また、外付け抵抗を使用する場合は、周波数特性精度は良いが、OTAの数だけ外付け抵抗が必要となるため、ピン数増加、実装コスト増加という問題がある。さらにボンディングパッド並びに実装基板の寄生容量が少なくとも3〜5pF程度存在するので、高速フィルタを実現できないという問題がある。
【0020】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、従来のOTA回路に比べてトランスコンダクタンス値の精度が高く、入力電圧範囲を広くしても線形性能の優れたオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを提供することを目的とする。そしてこのオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いて高速動作が可能で、入力電圧範囲が広くてかつ線形性能の優れ、さらに周波数特性精度の優れた、オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記した本発明の課題を解決するため、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、入力端子(例えば図1に示した入力端子138、139)と、出力端子(例えば図1に示した端子140、141)と、少なくとも1つのICチップ上において形成された第1内部抵抗素子(例えば図1に示した抵抗素子143)と、を備え、増幅率が前記第1内部抵抗素子の抵抗値の逆数である電圧−電流変換器(例えば図1に示したI−V変換器8)と、前記電圧−電流変換器の出力端子から出力される出力電流を入力し、前記第1内部抵抗素子の抵抗値に比例する増幅率で増幅する電流増幅器(例えば図1に示した電流制御回路1、2)と、を備え、前記電流増幅器は、入力電流が入力されるドレイン端子と、第1制御電圧が供給されるゲート端子と、を有する第1MOSトランジスタ(例えば図2に示したMOSトランジスタ10)と、出力電流が出力されるドレイン端子を有する第2MOSトランジスタ(例えば図2に示したMOSトランジスタ13)と、第2制御電圧が供給されるゲート端子を有する第3MOSトランジスタ(例えば図2に示したMOSトランジスタ11)と、前記第1MOSトランジスタのドレイン端子と接続される非反転入力端子と、前記第2MOSトランジスタのゲート端子と接続される出力端子と、前記第2MOSトランジスタのソース端子及び前記第3MOSトランジスタのドレイン端子と接続される反転入力端子と、を有する第1差動増幅器(例えば図2に示した差動増幅器12)と、を備えてなり、前記第1制御電圧及び前記第2制御電圧は、前記電流増幅器の増幅率を実現する値の電圧であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記第1MOSトランジスタ及び前記第3MOSトランジスタは、そのドレイン・ソース間電圧がそのゲート・ソース間電圧に比べて十分に小さく、線形領域において動作していることが好ましい。
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記第1制御電圧を生成する第1制御電圧発生回路(例えば図2に示した電圧源16、図3に示した回路28)と、前記第2制御電圧を生成する第2制御電圧発生回路(例えば図2に示した電圧源17、図3に示した回路38)と、をさらに含み、前記第1制御電圧発生回路は、前記電圧―電流変換器に含まれる前記第1内部抵抗素子と同じプロセスで製造された第2内部抵抗素子(例えば図3に示した抵抗素子23)を備え、当該第2内部抵抗素子の一端が第1電圧源(例えば図3に示したVss)に接続し、他端が第2差動増幅器(例えば図3に示した差動増幅器22)の非反転入力端子(例えば図3に示した非反転入力端子26)に接続するとともに、第4MOSトランジスタ(例えば図3に示したMOSトランジスタ21)のドレイン端子と接続し、前記第2差動増幅器の反転入力端子が第3基準電圧(例えば図3に示した電圧源27)に接続され、前記第2差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第1制御電圧を出力するための端子に接続しており、前記第2制御電圧発生回路(例えば図3に示した回路38)は、前記ICチップに外付けされた基準抵抗素子(例えば図3に示した抵抗素子33)を備え、当該基準抵抗素子の一端が第2電圧源(例えば図3に示したVss)に接続し、他端が第3差動増幅器(例えば図3に示した差動増幅器32)の非反転入力端子に接続するとともに、第5MOSトランジスタ(例えば図3に示したMOSトランジスタ31)のドレイン端子と接続し、前記第3差動増幅器の反転入力端子が第4基準電圧(例えば図3に示した電圧源37)に接続され、前記第3差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第2制御電圧を出力するための端子に接続されることが好ましい。
【0023】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、ゲート端子に第1入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第1出力端子がドレイン端子に接続される第11MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ132)と、ゲート端子に第2入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第2出力端子がドレイン端子に接続される第12MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ133)と、ドレイン端子が、前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのドレインに接続する第13MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ134)と、ドレイン端子が、前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのドレインに接続する第14MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ135)と、を含み、前記第13MOSトランジスタのソース端子が、第1電流源(例えば図1に示した電流源136)に接続するとともに前記ICチップ上において形成された第11内部抵抗素子(例えば図1に示した抵抗素子143)の一方の端子に接続し、前記第14MOSトランジスタのソース端子が、第2電流源(例えば図1に示した電流源137)に接続するとともに前記第11内部抵抗素子の他方の端子に接続されることが好ましい。
【0024】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、ゲート端子に第11入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第11出力信号が出力される第11出力端子がドレイン端子に接続される第21MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ132)と、ゲート端子に第12入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第12出力信号が出力される第12出力端子がドレイン端子に接続される第22MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ133)と、ドレイン端子が、前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのドレインに接続する第23MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ134)と、ドレイン端子が、前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのドレインに接続する第24MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ135)と、を含み、前記第23MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第21内部抵抗素子(例えば図4に示した抵抗素子148)の一方の端子に接続し、前記第24MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第22内部抵抗素子(例えば図4に示した抵抗素子149)の一方の端子に接続されることが望ましい。
【0025】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第31MOSトランジスタ(例えば図5に示したMOSトランジスタ62)のソース端子及び第31電流源(例えば図5に示した電流源64)に接続するとともに、ICチップ上において形成された第31内部抵抗素子(例えば図5に示した抵抗素子68)の一方の端子に接続し、出力端子が前記第31MOSトランジスタのゲート端子に接続する第31差動増幅器(例えば図5に示した差動増幅器66)と、非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子が第32MOSトランジスタ(例えば図5に示したMOSトランジスタ63)のソース端子及び第32電流源(例えば図5に示した電流源65)に接続するとともに、前記第31内部抵抗素子の他方の端子に接続し、出力端子が前記第32MOSトランジスタのゲート端子に接続する第32差動増幅器(例えば図5に示した差動増幅器67)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第31出力端子が前記第31MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第32出力端子が前記第32MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることが望ましい。
【0026】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第41MOSトランジスタ(例えば図6に示したMOSトランジスタ62)のソース端子及びICチップ上において形成された第41内部抵抗素子(例えば図6に示した内部抵抗素子73)の一方の端子に接続し、出力端子が前記第41MOSトランジスタのゲート端子に接続する第41差動増幅器(例えば図6に示した差動増幅器66)と、非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子に第42MOSトランジスタ(例えば図6に示したMOSトランジスタ63)のソース端子及びICチップ上において形成された第42内部抵抗素子(例えば図6に示した内部抵抗素子74)の一方の端子に接続し、出力端子が前記第42MOSトランジスタのゲート端子に接続する第42差動増幅器(例えば図6に示した差動増幅器67)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第41出力端子が前記第41MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第42出力端子が前記第42MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることが望ましい。
【0027】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器は、ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第51電流源(例えば図7に示した電流源95)が接続し、ソース端子が第52MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ82)のソース端子及び第52電流源(例えば図7に示した電流源84)に接続するとともにICチップ上において形成された第51内部抵抗素子(例えば図7に示した抵抗素子88)の一方の端子に接続する第51MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ93)と、入力端子が前記51MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第52MOSトランジスタのゲートに接続した第51インバータ(例えば図7に示したインバータ86)と、ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第53電流源(例えば図7に示したMOSトランジスタ96)が接続し、ソース端子に第54MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ83)のソース端子及び第54電流源(例えば図7に示した電流源85)に接続するとともに前記第51内部抵抗素子の他方の端子に接続する第53MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ94)と、入力端子が前記53MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第54MOSトランジスタのゲート端子に接続した第52インバータ(例えば図7に示したインバータ87)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第51出力端子が前記第52MOSトランジスタのドレイン端子と接続し、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第52出力端子が前記第54MOSトランジスタのドレイン端子と接続されることが望ましい。
【0028】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器は、ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第61電流源(例えば図8に示した電流源95)が接続し、ソース端子に第62MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ82)のソース端子及びICチップ上において形成された第62内部抵抗素子(例えば図8に示した内部抵抗素子97)の一方の端子に接続する第61MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ93)と、入力端子が前記61MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第62MOSトランジスタのゲートに接続した第61インバータ(例えば図8に示したインバータ86)と、ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第62電流源(例えば図8に示した電流源96)が接続され、ソース端子に第64MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ83)のソース端子及びICチップ上において形成された第63内部抵抗素子(例えば図8に示した内部抵抗素子98)の一方の端子に接続する第63MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ94)と、入力端子が前記63MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第64MOSトランジスタのゲートに接続した第62インバータ(例えば図8に示したインバータ87)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される前記電圧―電流変換器の第61出力端子が前記第62MOSトランジスタのドレイン端子と接続され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第62出力端子が前記第64MOSトランジスタのドレイン端子と接続されることが望ましい。
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路は、上記したいずれかに記載された前記オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプと、容量素子(例えば図9に示した容量素子45、46)と、を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、トランスコンダクタンス値が製造変動及び温度変動の影響を直接受けるOTAとトランスコンダクタンス値の製造変動及び温度変動の影響を排除する電流増幅器を組み合わせて用いているため、トランスコンダクタンス値が製造変動、温度変動の影響を受けない入力電圧範囲の広い直線性の優れたOTAを実現することができる。また、このOTAを容量と組み合わせて用いることで周波数特性精度が高く、高速でかつ直線性の優れたOTA−Cフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態1のOTAを説明するための回路図である。
【図2】本発明の実施形態1に使用する電流制御回路を説明するための回路図である。
【図3】図2の電流制御回路に用いる制御電圧発生回路図である。
【図4】実施形態2を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図5】実施形態3を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図6】実施形態3−2を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図7】実施形態4を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図8】実施形態4−2を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図9】本発明の実施形態5のOTA−Cフィルタを説明するための回路図である。
【図10】従来のOTA回路図である。
【図11】従来のOTA回路図であり、かつ実施形態1に用いる電圧−電流変換器である。
【図12】従来のOTA−Cフィルタを説明するための回路図である
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態1乃至5について、図面を用いて説明する。
(実施形態1)
実施形態1のOTAを、図1を用いて説明する。図1は点線で囲まれた電圧−電流変換器(以下、V−I変換器と記す)8と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2、さらにMOSトランジスタ3、4から構成されている。電流制御回路1、2は全く同じ回路である。点線で囲まれたV−I変換器8は、図11に示した従来のOTAからMOSトランジスタ130、131を取り除いた部分に相当する。
なお、図1のV−I変換器8をOTAと称することもできるが、V−I変換器8と電流制御回路1、2を組み合わせたOTAと区別するために、以下の説明では図1のV−I変換器8のことをOTAと称さず、OTA本体とも記す。
【0032】
次に、図1のOTAの動作説明を行う。なお、V−I変換器8は既に説明しているのである程度割愛する。また、図1に示した素子や端子のうち、図11に示した素子や端子と同じものには同じ番号を付している。図1のOTAには、入力信号として電圧VinがV−I変換器8の入力端子である端子138、139に入力される。入力された電圧信号Vinは、電流信号I1に変換される。電流信号I1は、端子140、141から電流制御回路1、2へ入力され、電流制御回路1、2でA倍された後に、OTAの出力端子5、6から出力電流I2として出力される。
【0033】
MOSトランジスタ3、4は、出力端子5、6の電圧の同相レベルを制御するためのものであり、同相レベル制御信号はMOSトランジスタ3、4のゲート端子7から供給される。V−I変換器8の出力電流は、図11で説明したように、V−I変換器8における電流の変換に使用される抵抗素子143の製造変動と温度変動の影響を受けている。V−I変換器8からの出力電流I1は、電流制御回路1、2に入力されて、その電流値がA倍になるように制御された後に端子5、6からV−I変換器8の抵抗素子143による変動の影響が排除された出力電流I2として出力される。
図1のV−I変換器の変換係数は、式(14)で示したように、チップ上に形成された抵抗素子の抵抗値Rの逆数になる。このため、入力電圧Vinと図1の出力端子5、6から出力される出力電流I2の関係は、式(14)を用いて、式(16)のようになる。
I2=I1・A=(1/R)・A・Vin …式(16)
【0034】
次に、電流制御回路1、2について図2を用いて説明する。前述したように、電流制御回路は、同様の構成を有しているため、図2には電流制御回路1、2の一方のみを図示し、他方の説明に代えるものとする。
図2に示した電流制御回路1、2は、MOSトランジスタ10、11、13と差動増幅器12とMOSトランジスタ10、11のゲート端子に制御電圧VC1、VC2を供給するための電圧源16、17から構成される。MOSトランジスタ10、11のゲート・ソース間電圧Vgsから閾値電圧Vthを引いた値である(Vgs―Vth)は、ドレイン・ソース間電圧Vdsに比べて高いものとする。この場合、MOSトランジスタ10、11のVgsに対するドレイン・ソース電流Ids特性は、線形動作領域としてよく知られている式(17)で示すことができる。
【0035】
Ids=2K・(Vgs−Vth−0.5Vds)・Vds …式(17)
式(17)において、Kは、前記した式(2)によって表される。また、式(2)中の、W、L、μ、Coxは、それぞれMOSトランジスタ10、11のチャネル幅、チャネル長、移動度、単位面積あたりのゲート容量である。また、VthはMOSトランジスタ10、11のしきい値電圧である。式(17)によると、(Vgs−Vth)がVdsに比べ十分大きいとき、式(17)を式(18)のように近似することができる。このとき、IdsはVdsに比例することになり、線形領域で動作することがわかる。
Ids=2K・(Vgs−Vth)・Vds …式(18)
換言すると、(Vgs−Vth)がVdsに比べ十分大きい場合、MOSトランジスタ10、11の抵抗値は、以下の式(19)で示すような抵抗素子の抵抗値Rと同じである。
R=1/{2K・(Vgs−Vth)} …式(19)
式(19)からもわかるように、抵抗値RはMOSトランジスタのゲートに供給される電圧Vgsによって制御することができる。
【0036】
次に、図2に示した電流制御回路1の動作について説明する。
入力電流I14は、端子14から供給されてMOSトランジスタ10を通り、正電源端子19へ流れる。また出力電流I15は、端子15からMOSトランジスタ13とMOSトランジスタ11を通り、正電源端子19へ流れる。
線形領域で動作しているMOSトランジスタ10、11の抵抗値をそれぞれR10、R11とする。この場合、端子14、18の電圧は、オームの法則からそれぞれVdd−I14・R10、Vdd−I15・R11となる。ここで、Vddは正電源電圧である。
【0037】
仮に、端子14の電圧が端子18よりも低い場合は、差動増幅器12の出力は低くなり、その結果端子18の電圧は低くなる。また逆に、端子14の電圧が端子18よりも高い場合は、差動増幅器12の出力は高くなり、その結果端子18の電圧は高くなる。このようにして差動増幅器12の利得が十分高い場合は、端子14と端子18の電圧は等しくなる。このような関係は、式(20)で表すことができる。
I14・R10=I15・R11 …式(20)
【0038】
式(20)を式(21)のように書き換えると、入力電流に対する出力電流の比、すなわち電流増幅率Aは式(22)のように、(R10/R11)となる。
I2=(R10/R11)・I1 …式(21)
A=(R10/R11) …式(22)
ここで、図2に示した電圧源17の電圧VC2を変化させると、式(19)によりMOSトランジスタ11の抵抗値R11が変化する。このため、式(22)で与えられる電流増幅率Aも、抵抗値R11の変化に伴って変化する。すなわち、図2において、電圧源17の電圧を制御することで、図2に示した回路を電流制御回路とすることができる。
【0039】
同様にして、電圧源16の電圧を変化させても電流増幅率Aを変化させることができる。このように、本発明のOTAの電流制御回路では電圧源16または電圧源17のいずれか一方または両方を制御することで、図1のV−I変換器8の変換係数に表れる1/Rの製造変動と温度変動を補償して、図1のOTAの出力端子5の電流は製造変動、温度変動の影響のないものにするものである。
次に電圧源16、17の具体的な回路を図3に示す。なお、電圧源16、17は図2のMOSトランジスタ10、11のゲート端子に電圧を供給して電流増幅率を制御するので、以降、制御電圧発生回路とも称する。制御電圧発生回路は、図2の電圧VC1を生成する電圧源16に相当する回路28と電圧VC2を生成する電圧源17に相当する回路38からなる。
【0040】
回路28は、MOSトランジスタ21、抵抗素子23、差動増幅器22と電圧Vaを反転入力端子25に供給する電圧源27から構成される。抵抗素子23は、IC上に形成された抵抗素子であり、図1のV−I変換器8の抵抗素子143と同じ種類の抵抗素子である。なお、ここでいう「同じ種類の抵抗」とは、同じ製造工程で形成された抵抗であって、同じ製造工程で形成されているので、抵抗素子間での製造ばらつき、温度変動は存在しない。
【0041】
抵抗素子23の抵抗値をR1とする。図1の抵抗素子143と図3の抵抗素子23は、同じ種類の抵抗素子であるので、製造ばらつき、温度変動によってそれぞれの値が変動しても、抵抗値の比R1/Rはいつも一定である。
回路38は、MOSトランジスタ31、抵抗素子33、差動増幅器32と電圧Vbを端子35に供給する電圧源37から構成される。抵抗素子33は基準抵抗素子であり、例えばICに外付けされるものである。したがって、抵抗素子23のように製造変動、温度変動の影響を受けることなくいつも所定の抵抗値R2となっている。したがって、抵抗素子33はICに外付けによって実現される。
【0042】
次に、図3に示した電圧源16、17の動作について説明する。回路28と回路38は、似ているので先ず回路28を詳細に説明する。
差動増幅器22の非反転入力端子26に供給される電圧V26が、反転入力端子25に供給される電圧V25よりも低い場合、差動増幅器22の出力電圧VC1は低くなる。この出力電圧VC1は、MOSトランジスタ21のゲート端子に供給されていて、MOSトランジスタ21と抵抗素子23とで、インバータを構成している。このとき、インバータの出力に相当する非反転入力端子26の電圧は反転して高くなる。
【0043】
また、逆に差動増幅器22の非反転入力端子26に供給される電圧V26が、反転入力端子25に供給される電圧V25よりも高い場合、差動増幅器22の出力電圧VC1は高くなる。この出力電圧VC1は、MOSトランジスタ21のゲート端子に供給されていて、MOSトランジスタ21と抵抗素子23とで、インバータを構成している。このとき、インバータの出力に相当する非反転入力端子26の電圧は反転して低くなる。このように、差動増幅器22、MOSトランジスタ21、抵抗素子23は負帰還回路を形成しているので、差動増幅器22のゲインが十分高ければ、非反転入力端子26の電圧V26と反転入力端子25の電圧Vaは等しくなる。
【0044】
ここで、MOSトランジスタ21のゲート・ソース間電圧が十分大きくて線形領域になるようにしてあれば、MOSトランジスタ21は抵抗値がR21である抵抗素子として動作する。一方、MOSトランジスタ21と抵抗素子23は電圧Vddが供給される正電源端子30と電圧Vssが供給される負電源端子29の間に挿入されているので、それぞれ同じ電流が流れていて、オームの法則より式(23)が成り立つ。
(Vdd−Va)/R21=(Va−Vss)R1 …式(23)
式(23)より、抵抗値R21は式(24)で示すことができる。
R21=R1・(Vdd−Va)/(Va−Vss) …式(24)
【0045】
回路28において生成された電圧VC1は、MOSトランジスタ21のゲートに供給されるとともに図2のMOSトランジスタ10のゲートにも供給される。ここで、説明を簡単にするため、MOSトランジスタ10、21のサイズが同じであるものとする。このとき、MOSトランジスタ10、21の抵抗値R10とR21は、MOSトランジスタ10、21のゲート電圧が同じであるので同じ値になる。
また、回路38についても同じようにしてMOSトランジスタの抵抗値R31は、式(25)で与えられる。
R31=R2・(Vdd−Vb)/(Vb−Vss) …式(25)
【0046】
回路38で生成した電圧VC2は、MOSトランジスタ31のゲートに供給されるとともに、図2のMOSトランジスタ11のゲートにも供給される。ここで説明を簡単にするためにMOSトランジスタ11、31のサイズが同じであるものとする。このとき、MOSトランジスタ11、31の抵抗値R11とR31は、MOSトランジスタ11、31のゲート電圧が同じであるので同じ値になる。
したがって、式(22)で示した図2の電流制御回路1、2の電流増幅率Aは式(24)、式(25)より、式(26)のようになる。
A=(R10/R11)=(R21/R31)
=(R1/R2)・(Vdd−Va)(Vb−Vss)/(Va−Vss)
/(Vdd−Vb) …式(26)
【0047】
式(26)より、Va、Vbが一定なら、(R1/R2)以外の項はいつも一定になる。したがって、図1のOTA回路の入力電圧Vinに対する出力電流I2は、式(16)と式(26)より式(27)のように表すことができる。
I2=Vin・(R1/R2)・(1/R)・B …式(27)
ただし、式(27)中のBは式(28)で表される定数である。
B=(Vdd−Va)(Vb−Vss)/(Va−Vss)/(Vdd−Vb) …式(28)
さらに、式(27)、式(28)を式(29)、式(30)のように記述できる。
I2=Vin・D …式(29)
D=(R1/R2)・(1/R)・B …式(30)
【0048】
すなわち、図1の回路はトランスコンダタクタンス値がDであるようなOTA回路ということができる。式(29)、式(30)で、R1、RはIC上に形成される抵抗素子の抵抗値であるので、その比はいつも一定であり、またR2は製造変動、温度変動の影響を受けることのない基準抵抗素子の抵抗値である。このため、図1のOTAのトランスコンダクタンス値Dは製造変動、温度変動に関係なくいつも一定である。
【0049】
図1のOTAは、図11のOTAの特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のない、いつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。また、このような実施形態1にれば、後に図示するように、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。さらに、この外付け抵抗素子は、OTA本体とは切り離された別の制御電圧発生回路に形成されるので、抵抗素子の取付けに伴うボンディングパッド、及び実装基板の寄生容量がOTAの高速性能に悪影響を及ぼすことはない。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0050】
(実施形態2)
実施形態2のOTAを、図4を用いて説明する。なお、図4のうち、実施形態1の説明に用いた図1に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。
図4は点線で囲まれたV−I変換器480と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4とから構成されている。図4と図1の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器480において、図1の抵抗素子143を除去し、OTAの電流源136、137の代わりに抵抗値がRである抵抗素子148、149を設けた点であり、他の部分は全て同じである。
【0051】
次に、図4のOTAの動作説明を行う。図4の回路の入力端子138、139から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器480の出力端子140、141から電流制御回路1、2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。入力端子138、139の端子電圧V138、V139、端子146,147の端子電圧V146、V147、と入力電圧Vinとの関係は、図11と同様にして式(31)を得る。
V146−V147=V138−V139=Vin …式(31)
【0052】
また、抵抗素子148、抵抗素子149に流れる電流I148、I149は式(32)、式(33)のようになる。
I148=V146/R …式(32)
I149=V147/R …式(33)
Rは抵抗素子148、149の抵抗値である。端子140、141間の差電流としての出力電流I40は、抵抗素子148、149の差電流でもあるので、式(31)、(32)(33)より式(34)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I146−I147=(V146−V147)/R=Vin/R …式(34)
【0053】
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(34)に表れる抵抗素子148、149の抵抗値は製造変動、温度変動の影響を受ける。そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態2のOTAは、図11のOTAの特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0054】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0055】
(実施形態3)
実施形態3のOTAを、図5を用いて説明する。なお、図5において、実施形態1の図1に示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略すものとする。図5は点線で囲まれたV−I変換器580と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4から構成されている。図5と図1の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器580にある。すなわち、実施形態3のV−I変換器580は、差動増幅器66、67と電流源64、65とMOSトランジスタ62、63と抵抗素子68から構成されている。
【0056】
次に、図5のOTAの動作説明を行う。図5の回路の入力端子69、70から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器580の出力端子60、61から電流制御回路1、2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。差動増幅器66と電流源64とMOSトランジスタ62は、差動増幅器66の出力から、MOSトランジスタ62を通して差動増幅器66の反転入力端子を通る負帰還回路を形成している。
【0057】
このような場合、差動増幅器66のゲインが十分高ければ、差動増幅器66の反転入力端子71(MOSトランジスタ62のソース端子と共通)の電圧V71は非反転入力端子69の電圧V69に等しくなる。同様に、差動増幅器67の反転入力端子72の電圧V72は非反転入力端子70の電圧V70に等しくなる。入力端子69、70の端子電圧V69、V70と端子71、72の端子電圧をV71、V72及び入力電圧Vinとの関係は、図11と同様にして式(35)によって表される。
V71−V72=V69−V70=Vin …式(35)
したがって、抵抗素子68に流れる電流I68は式(36)のようになる。
I68=Vin/R …式(36)
【0058】
Rは抵抗素子68の抵抗値である。端子60、61間の差電流となる出力電流I40は、MOSトランジスタ62、63の差電流であり、すなわち抵抗素子68を流れる電流でもあるので、式(35)、(36)より式(37)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I68=Vin/R …式(37)
このように、出力電流I40は入力電圧Vinの値に確実に比例するので、実施形態3のOTAは、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、実施形態1のI−V変換器8と同様に式(37)に表れる抵抗素子68の抵抗値はIC上に形成されているので、製造変動、温度変動の影響を受ける。
【0059】
そして、実施形態1で説明した図1のOTAと同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態3のOTAは、図5のV−I変換器580の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0060】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0061】
(実施形態3−2)
実施形態3−2のOTAを、図6を用いて説明する。なお、図6のうち、実施形態3の説明に用いた図5に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。
図6は点線で囲まれたV−I変換器780と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4とから構成されている。図6と図5の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器780において、図5の抵抗素子68を除去し、OTAの電流源64、65の代わりに抵抗値がRである抵抗素子73、74を設けた点であり、他の部分は全て同じである。
【0062】
次に、図6のOTAの動作説明を行う。図6の回路の入力端子69、70から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器780の出力端子60、61から電流制御回路1,2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。入力端子69、70の端子電圧V69、V70、端子71,72の端子電圧V71、V72、と入力電圧Vinとの関係は、図5と同様にして式(51)を得る。
V71−V72=V69−V70=Vin …式(51)
【0063】
また、抵抗素子73、抵抗素子74に流れる電流I73、I74は式(52)、式(53)のようになる。
I73=V71/R …式(52)
I74=V72/R …式(53)
Rは抵抗素子73、74の抵抗値である。端子60、61間の差電流としての出力電流I40は、抵抗素子73、74の差電流でもあるので、式(51)、(52)、(53)より式(54)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I73−I74=(V71−V72)/R=Vin/R …式(54)
【0064】
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(52)、(53)に表れる抵抗素子73、74の抵抗値は製造変動、温度変動の影響を受ける。そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態3−2のOTAは、図6のV−I変換器780の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0065】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0066】
(実施形態4)
実施形態4のOTAを、図7を用いて説明する。なお、図7のうち、実施形態1の説明に用いた図1に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。図7は、V−I変換器680と電流増幅率がAである電流制御回路1、2、さらにMOSトランジスタ3、4から構成されている。図7と図1の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器680にある。すなわち、V−I変換器680は、インバータ86、87と電流源84、85、95、96とMOSトランジスタ93、94、82、83と抵抗素子88から構成されている。
【0067】
次に、図7のOTAの動作説明を行う。図7の回路の入力端子89、90から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器680の出力端子80、81から電流制御回路1、2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについては、特開2005−057535号公報に詳細に記載されているので、結果のみを以下に記す。それによると、入力端子89、90の端子電圧V89、V90と、端子91、92の端子電圧V91、V92と、入力電圧Vinとの関係は、MOSトランジスタ93、94に同じ電流値の電流が電流源95、96から供給されているので、図11と同様に、式(38)のように表される。
V91−V92=V89−V90=Vin …式(38)
【0068】
したがって、抵抗素子88に流れる電流I88は式(39)のようになる。
I88=Vin/R …式(39)
Rは抵抗素子88の抵抗値である。端子80、81間の差電流としての出力電流I40は、MOSトランジスタ82、83の差電流であり、すなわち抵抗素子88を流れる電流でもあるので、式(38)、(39)より式(40)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I88=Vin/R …式(40)
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に確実に比例するので、実施形態4のOTAは、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(40)に表れる抵抗素子88の抵抗値はIC上に形成されるので製造変動、温度変動の影響を受ける。
【0069】
そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態4のOTAは、図7のV−I変換器680の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
また複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0070】
(実施形態4−2)
実施形態4−2のOTAを、図8を用いて説明する。なお、図8のうち、実施形態4の説明に用いた図7に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。
図8は点線で囲まれたV−I変換器880と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4とから構成されている。図8と図7の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器880において、図7の抵抗素子88を除去し、OTAの電流源84、85の代わりに抵抗値がRである抵抗素子97、98を設けた点であり、他の部分は全て同じである。
【0071】
次に、図8のOTAの動作説明を行う。図8の回路の入力端子89、90から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器880の出力端子80、81から電流制御回路1,2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。入力端子89、90の端子電圧V89、V90、端子91、92の端子電圧V91、V92、と入力電圧Vinとの関係は、図7と同様にして式(61)を得る。
V91−V92=V89−V90=Vin …式(61)
【0072】
また、抵抗素子97、抵抗素子98に流れる電流I97、I98は式(62)、式(63)のようになる。
I97=V91/R …式(62)
I98=V92/R …式(63)
Rは抵抗素子97、98の抵抗値である。端子80、81間の差電流としての出力電流I40は、抵抗素子97、98の差電流でもあるので、式(61)、(62)、(63)より式(64)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I97−I98=(V91−V92)/R=Vin/R …式(64)
【0073】
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(62)、(63)に表れる抵抗素子97、98の抵抗値は製造変動、温度変動の影響を受ける。そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態4−2のOTAは、図8のV−I変換器880の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0074】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0075】
(実施形態5)
次に、実施形態1から実施形態4に示したOTAを用いたOTA−Cフィルタの実施形態を、図9を用いて説明する。図9において、図12に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。図9において、41〜44はGm値がそれぞれGm1〜Gm4であるOTA、45、46は容量値がC1、C2である容量素子、49、50は差動として入力信号が入力される入力端子対、51、52は差動として低域通過フィルタ(LPF)出力信号が出力される出力端子対、53、54は帯域通過フィルタ(BPF)出力信号が出力される出力端子対、47は電流制御回路に制御信号を供給するための図3に示した制御電圧発生回路であり、その回路は図3と同じものを用いることができる。制御電圧VC1とVC2は、OTA41〜44へ共通に供給されている。
【0076】
図9において、制御電圧発生回路47を除いた回路48は、図12で説明したように一般に双2次型OTA−Cフィルタとして知られていて、低域通過フィルタ信号を出力する端子対51、52におけるフィルタ周波数特性を表す伝達関数H(s)は式(15)と同じ式(41)で表すことができる。
H(s)=(Gm1・Gm2)/(C1・C2)/
[s2+s(Gm4/C1)+[Gm2・Gm3/(C1・C2)]] (41)
【0077】
このように、図9のフィルタの特性も、図12のフィルタと同様にGm1〜Gm4、容量C1、C2によって任意の特性のフィルタを実現することができる。図9に示したOTA−CフィルタのOTAとしては、図1、図4〜図8に示すOTAを用いることができる。例えば、図9のOTA−Cフィルタにおいて、Gm1〜Gm4には図1に示したOTAを用いることができる。OTAの回路における電流制御回路1、2には、図2に示した回路を用いることができ、図2に用いられている電圧源16、17からの制御信号は、図3と同じものである制御電圧発生回路47から供給される。
【0078】
このような実施形態5のOTA−Cフィルタは、Gm1〜Gm4として図1のOTAを用いているので、広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有している。また、4個のOTAには制御電圧発生回路47から電流制御回路へ共通の信号が供給されている。すなわち、図9のOTA−Cフィルタはフィルタの次数がいくら増加しても外付け抵抗素子を1つ設けるだけで済む。このような実施形態5では、本来OTA−Cフィルタが有する高速性能に加えて、広い入力電圧範囲に亘って優れた直線性を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0079】
さらに、この外付け抵抗素子は、OTA本体とは切り離された別の回路である電圧発生回路に設けられるので、外付け抵抗素子を設けるためのボンディングパッド、及び実装基板の寄生容量が、OTAの高速性能に悪影響を及ぼすことはない。またOTAとして、図1、図4〜8に示したいずれのOTAを用いても同様に優れた効果を供することができる。
また、実施形態5では、OTA−Cフィルタの実施形態として、図9のような双2次型フィルタを用いて説明したが、実施形態5は、このような構成に限定されるものではない。例えば、実施形態5のOTA−Cフィルタは、リープフロッグ型フィルタや状態変数型フィルタ等、実施形態1〜4、3−2、4−2のOTAを用いた様々なタイプのOTA−Cフィルタとしても構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のOTAは、線形性能が優れているので高速で精度の高いOTA−Cフィルタ設計に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1、2 電流制御回路
3、4、10、11、13、21、31、62、63、82、83、93、94、132、133、134、135 MOSトランジスタ
入力端子 138、139
140、141 出力端子
8、480、580、680 V−I変換器
12、22、32、66、67 差動増幅器
16、17、27、37 電圧源
23、33、68、73、74、88、97、98、143、148、149 抵抗素子
28、38、48 回路
47 制御電圧発生回路
64、65、84、85、136、137 電流源
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ(Operational Transconductance Amplifier:通常OTAと記述されるので以下ではOTAと記す)と、OTAと容量素子(C)とを組み合わせた、高速動作可能で、入力電圧範囲が広くて線形性能の優れたオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路(以下、OTA−Cフィルタと記す)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フィルタ回路(以下、単にフィルタとも記す)は、多種多様な構成のものが提案されており、それぞれが目的及び仕様によって使い分けられている。例えば、アクティブフィルタはオペアンプ、抵抗、容量からなるが、チップ上に形成される抵抗、容量素子の特性のばらつき、温度変動の影響を受けるため所望の周波数特性を得られない。デジタルフィルタやSCF(Switched-Capacitor Filter :スイッチトキャパシタフィルタ)はサンプリング動作するため高速動作に適さない。また、OTA−Cフィルタ(Gm−Cフィルタとも記す)は高速動作に適するが、大信号処理に不適であるという問題がある。このOTA−CフィルタはOTAと容量から構成され、従来多くの種類のOTAが提案されてきた。
【0003】
図10は、代表的なOTAを説明するための図である。図示したOTAは、MOSトランジスタ112、113からなる一対の入力MOSトランジスタと、MOSトランジスタ110、111からなる一対のロードMOSトランジスタと、電流源の機能を有するMOSトランジスタ114からなる。この入力トランジスタのゲート端子対115、116に入力電圧Vinを供給することで出力端子対117、118から出力電流Ioutが出力される。この入力電圧Vinと出力電流Ioutとの関係は、式(1)のように記述できる(非特許文献1)。
【0004】
Iout=(K・Io)0.5Vin{1−(K・Vin2)/(4・Io)}0.5 …式(1)
ここで、式(1)中のKは、式(2)で示されるようにMOSトランジスタの性能を表すパラメータ、IoはMOSトランジスタに流れる電流である。
K=μ・Cox・(W/L) …式(2)
式(2)中に示したμ、Cox、W、Lは、それぞれMOSトランジスタの移動度、単位面積あたりのゲート容量、チャネル幅、チャネル長である。また電流Ioは、Kとオーバードライブ電圧Vovを用いて式(3)のように表すことができる。
Io=K・Vov2 …式(3)
ここで、オーバードライブ電圧Vovは、式(4)のように、MOSトランジスタのゲート・ソース間電圧Vgsから閾値電圧Vthを減算した値を指すものである。
Vov=Vgs−Vth …式(4)
【0005】
上記した式(1)は、式(3)、式(4)を用いて式(5)のように表すことができる。
Iout=(K・Io)0.5Vin{1−Vin2/(4・Vov2)}0.5 …式(5)
ここで、入力電圧Vinがオーバードライブ電圧Vovに比べて十分小さい場合には、式(5)は式(6)のように表すことができる。
Iout=gm・Vin …式(6)
式(6)において、gmは式(7)で表されるような比例定数であり、図10のOTA回路のトランスコンダクタンス値であり、かつ、入力MOSトランジスタ112、113のトランスコンダクタンス値でもある。
gm=(K・Io)0.5 …式(7)
【0006】
すなわち、出力電流Ioutは入力電圧Vinに比例しており、図10に示したOTAと容量素子(C)とを組み合わせることでOTA−Cフィルタを実現できる。しかしながら、入力信号Vinが大きい場合、例えばVinがVovの値に対して無視できない程度に大きくなると、式(5)からもわかるように、出力電流Ioutと入力電圧Vinとの線形関係が成り立たなくなる。このような場合には、OTA−Cフィルタで所望の周波数特性が得られなくなるという問題がある。通常、Vovの値は0.3〜0.7V程度であるので、線形性を保つことができる入力電圧範囲は非常に小さくなる。
【0007】
図11は、広い入力電圧にわたって線形性能を保つことができるOTAを示した図である。図示したOTAは、カプリオ・クワッドと呼ばれる回路で、例えば、特許文献1、非特許文献2に記載されている。図11に示した回路は、MOSトランジスタ132、133からなる一対の入力MOSトランジスタ、一対のMOSトランジスタ134、135、一対の電流源136、137、そのゲート端子142に同相レベルを制御するための信号が供給される一対のMOSトランジスタ130、131、抵抗素子143から構成される。
MOSトランジスタ130、131のゲートに信号を入力する信号の入力端子138、139、出力端子140、141、MOSトランジスタ134、135のゲートとドレインとが接続する接続ノード144、145、抵抗素子143の両側の端子146、147を図中に示す。
【0008】
次に、図11に示した回路の入力電圧Vinに対する、出力端子140、141から出力される出力電流Ioutの振る舞いについて説明する。
図11に示した符号を用い、抵抗143の両端子146、147の電圧V146、V147は以下のように表すことができる。
V147=V138−Vgs132−Vgs135 …式(8)
V146=V139−Vgs133−Vgs134 …式(9)
【0009】
式(8)、(9)中のV138、V139は、それぞれ入力端子138、139の端子電圧を示す。Vgs132、Vgs135、Vgs133、Vgs134は、それぞれMOSトランジスタ132、135、133、134のゲート・ソース間電圧である。MOSトランジスタ132〜135のサイズはいずれも同じ値であるとする。すなわち、MOSトランジスタ132〜135に同じ電流が流れる場合は、MOSトランジスタ132〜135ゲート・ソース間電圧が同じになる。MOSトランジスタ132、134には常に同じ電流が流れるので、
Vgs132=Vgs134 …式(10)
が成り立つ。
【0010】
また、同様に、MOSトランジスタ133、135には常に同じ電流が流れるので、
Vgs133=Vgs135 …式(11)
が成り立つ。入力電圧Vin=V138−V139と、式(8)〜(11)を用いて、抵抗素子143の両端にかかる電圧を計算すると、その電圧は式(12)のようにいつも入力電圧Vinに等しくなる。
V147−V146=Vin …式(12)
したがって、抵抗素子143に流れる電流I143は式(13)のようになる。
I143=Vin/R …式(13)
【0011】
式(13)中のRは抵抗143の抵抗値である。MOSトランジスタ130、131を流れる電流と電流源136、137を流れる電流はそれぞれ等しいので、出力電流Ioutは、式(14)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
Iout=I140−I141=I143=Vin/R …式(14)
このように、出力電流Ioutは入力電圧Vinの値に正確に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。図11のOTAは、入力電圧Vinを出力電流Ioutに変換するので、V−I変換器と呼ぶこともできる。OTA、V−I変換器のどちらの名称で呼ぶかは、一般にその機能に応じて使い分けているが基本的な機能は同じである。
【0012】
図12は、従来のOTA−Cフィルタを説明するための回路図である。図12において、41〜44はGm値がそれぞれGm1〜Gm4であるOTAである。45、46は容量値がC1、C2である容量素子、49、50は差動として入力信号が入力される入力端子対、51、52は差動として低域通過フィルタ(LPF)出力信号が出力される出力端子対、53、54は帯域通過フィルタ(BPF)出力信号が出力される出力端子対である。
【0013】
図12に示したOTA−Cフィルタは、一般に双2次型OTA−Cフィルタとして知られていて、低域通過フィルタ出力信号が出力される端子対51、52におけるフィルタ周波数特性を表す伝達関数H(s)は式(40)で表すことができる。
H(s)=(Gm1・Gm2)/(C1・C2)/
[s2+s(Gm4/C1)+[Gm2・Gm3/(C1・C2)]] …式(15)
このように、Gm1〜Gm4、容量C1、C2によって任意の特性のフィルタを実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−92266号公報 段落0017〜0018
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】R.R.Torrance著 IEEE Transactions on Circuits and Systems、 32巻、11号、1097ページ。1985年。論文タイトル「High-Frequency CMOS Continuous-Time Filters」
【非特許文献2】R. Caprio著 IEE Electron. Lett、9巻、6号、147〜148ページ、1973年。論文タイトル「Precision differential Voltage-Current Convertor」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
既に説明したように、図10に示したOTAは線形性能の点で問題がある。一方、図11に示したOTAは、優れた線形性能を有するが、図11のOTAのトランスコンダクタンス値は抵抗素子143の抵抗値Rに依存する。この抵抗素子143としては、ICチップ上に形成される抵抗素子と外付けされる抵抗素子のいずれかを選択できる。
一般にICチップ上に形成される抵抗素子は、ポリ抵抗や拡散抵抗を利用する、ICチップ上において形成された抵抗素子(以下、内部抵抗素子ともいう)であるが、いずれの場合も、その抵抗値は製造ばらつき及び温度依存性を有するため20〜40%程度の変動がある。このため、図11のようなOTAを用いて精度の良いトランスコンダクタンス値を実現することができなかった。
【0017】
また、トランスコンダクタンス値の精度を上げるために外付け抵抗素子を用いると、抵抗値の変動という問題は避けることができるが、チップ上に設けられたOTAの数だけ外付け抵抗素子を必要とするため、ICのピン数増加、実装コスト増加という問題がある。さらに、外付け抵抗素子をOTA本体の回路の端子に取り付けるためにボンディングすることによって生じるパッド等の寄生容量、あるいは実装基板の寄生容量が少なくとも3〜5pF程度存在するので、高速性能を発揮することができないという問題がある。
【0018】
また図12のようなOTAを用いたOTA−Cフィルタの場合、一般に知られている図10、図11のOTA等含めてOTAなら如何なる種類のものであっても、図12に示したOTA−CフィルタのOTAに用いることができる。ただし、図10のOTAを用いた場合は、抵抗素子に線形性能が悪いICチップ上において設けられた内部抵抗素子を使用すると、抵抗素子の抵抗値の変動分だけ周波数特性が変動する。
また、図11のOTAを用いた場合は、線形性能は良く、図11のOTAにおいて外付け抵抗素子を使用する場合は、周波数特性精度は良いが、OTAの数だけ外付け抵抗が必要となる。このため、ピン数増加、実装コスト増加という問題がある。さらにボンディングパッド及び実装基板の寄生容量が少なくとも3〜5pF程度存在するので、高速フィルタを実現できないという問題がある。
【0019】
また図12のようなOTAを用いたOTA−Cフィルタの場合、一般に知られている図10、図11のOTA等含めてOTAなら如何なる種類のものを、図12のOTA−CフィルタのOTAに用いることができる。例えば、図10のOTAを用いた場合は、線形性能が悪いという問題があるし、また図11のOTAを用いた場合は、線形性能は良いが、図11のOTAの抵抗として内蔵抵抗を使用すると抵抗値の変動分だけ周波数特性が変動する。また、外付け抵抗を使用する場合は、周波数特性精度は良いが、OTAの数だけ外付け抵抗が必要となるため、ピン数増加、実装コスト増加という問題がある。さらにボンディングパッド並びに実装基板の寄生容量が少なくとも3〜5pF程度存在するので、高速フィルタを実現できないという問題がある。
【0020】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、従来のOTA回路に比べてトランスコンダクタンス値の精度が高く、入力電圧範囲を広くしても線形性能の優れたオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを提供することを目的とする。そしてこのオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いて高速動作が可能で、入力電圧範囲が広くてかつ線形性能の優れ、さらに周波数特性精度の優れた、オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記した本発明の課題を解決するため、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、入力端子(例えば図1に示した入力端子138、139)と、出力端子(例えば図1に示した端子140、141)と、少なくとも1つのICチップ上において形成された第1内部抵抗素子(例えば図1に示した抵抗素子143)と、を備え、増幅率が前記第1内部抵抗素子の抵抗値の逆数である電圧−電流変換器(例えば図1に示したI−V変換器8)と、前記電圧−電流変換器の出力端子から出力される出力電流を入力し、前記第1内部抵抗素子の抵抗値に比例する増幅率で増幅する電流増幅器(例えば図1に示した電流制御回路1、2)と、を備え、前記電流増幅器は、入力電流が入力されるドレイン端子と、第1制御電圧が供給されるゲート端子と、を有する第1MOSトランジスタ(例えば図2に示したMOSトランジスタ10)と、出力電流が出力されるドレイン端子を有する第2MOSトランジスタ(例えば図2に示したMOSトランジスタ13)と、第2制御電圧が供給されるゲート端子を有する第3MOSトランジスタ(例えば図2に示したMOSトランジスタ11)と、前記第1MOSトランジスタのドレイン端子と接続される非反転入力端子と、前記第2MOSトランジスタのゲート端子と接続される出力端子と、前記第2MOSトランジスタのソース端子及び前記第3MOSトランジスタのドレイン端子と接続される反転入力端子と、を有する第1差動増幅器(例えば図2に示した差動増幅器12)と、を備えてなり、前記第1制御電圧及び前記第2制御電圧は、前記電流増幅器の増幅率を実現する値の電圧であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記第1MOSトランジスタ及び前記第3MOSトランジスタは、そのドレイン・ソース間電圧がそのゲート・ソース間電圧に比べて十分に小さく、線形領域において動作していることが好ましい。
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記第1制御電圧を生成する第1制御電圧発生回路(例えば図2に示した電圧源16、図3に示した回路28)と、前記第2制御電圧を生成する第2制御電圧発生回路(例えば図2に示した電圧源17、図3に示した回路38)と、をさらに含み、前記第1制御電圧発生回路は、前記電圧―電流変換器に含まれる前記第1内部抵抗素子と同じプロセスで製造された第2内部抵抗素子(例えば図3に示した抵抗素子23)を備え、当該第2内部抵抗素子の一端が第1電圧源(例えば図3に示したVss)に接続し、他端が第2差動増幅器(例えば図3に示した差動増幅器22)の非反転入力端子(例えば図3に示した非反転入力端子26)に接続するとともに、第4MOSトランジスタ(例えば図3に示したMOSトランジスタ21)のドレイン端子と接続し、前記第2差動増幅器の反転入力端子が第3基準電圧(例えば図3に示した電圧源27)に接続され、前記第2差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第1制御電圧を出力するための端子に接続しており、前記第2制御電圧発生回路(例えば図3に示した回路38)は、前記ICチップに外付けされた基準抵抗素子(例えば図3に示した抵抗素子33)を備え、当該基準抵抗素子の一端が第2電圧源(例えば図3に示したVss)に接続し、他端が第3差動増幅器(例えば図3に示した差動増幅器32)の非反転入力端子に接続するとともに、第5MOSトランジスタ(例えば図3に示したMOSトランジスタ31)のドレイン端子と接続し、前記第3差動増幅器の反転入力端子が第4基準電圧(例えば図3に示した電圧源37)に接続され、前記第3差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第2制御電圧を出力するための端子に接続されることが好ましい。
【0023】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、ゲート端子に第1入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第1出力端子がドレイン端子に接続される第11MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ132)と、ゲート端子に第2入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第2出力端子がドレイン端子に接続される第12MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ133)と、ドレイン端子が、前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのドレインに接続する第13MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ134)と、ドレイン端子が、前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのドレインに接続する第14MOSトランジスタ(例えば図1に示したMOSトランジスタ135)と、を含み、前記第13MOSトランジスタのソース端子が、第1電流源(例えば図1に示した電流源136)に接続するとともに前記ICチップ上において形成された第11内部抵抗素子(例えば図1に示した抵抗素子143)の一方の端子に接続し、前記第14MOSトランジスタのソース端子が、第2電流源(例えば図1に示した電流源137)に接続するとともに前記第11内部抵抗素子の他方の端子に接続されることが好ましい。
【0024】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、ゲート端子に第11入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第11出力信号が出力される第11出力端子がドレイン端子に接続される第21MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ132)と、ゲート端子に第12入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第12出力信号が出力される第12出力端子がドレイン端子に接続される第22MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ133)と、ドレイン端子が、前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのドレインに接続する第23MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ134)と、ドレイン端子が、前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのドレインに接続する第24MOSトランジスタ(例えば図4に示したMOSトランジスタ135)と、を含み、前記第23MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第21内部抵抗素子(例えば図4に示した抵抗素子148)の一方の端子に接続し、前記第24MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第22内部抵抗素子(例えば図4に示した抵抗素子149)の一方の端子に接続されることが望ましい。
【0025】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第31MOSトランジスタ(例えば図5に示したMOSトランジスタ62)のソース端子及び第31電流源(例えば図5に示した電流源64)に接続するとともに、ICチップ上において形成された第31内部抵抗素子(例えば図5に示した抵抗素子68)の一方の端子に接続し、出力端子が前記第31MOSトランジスタのゲート端子に接続する第31差動増幅器(例えば図5に示した差動増幅器66)と、非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子が第32MOSトランジスタ(例えば図5に示したMOSトランジスタ63)のソース端子及び第32電流源(例えば図5に示した電流源65)に接続するとともに、前記第31内部抵抗素子の他方の端子に接続し、出力端子が前記第32MOSトランジスタのゲート端子に接続する第32差動増幅器(例えば図5に示した差動増幅器67)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第31出力端子が前記第31MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第32出力端子が前記第32MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることが望ましい。
【0026】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器が、非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第41MOSトランジスタ(例えば図6に示したMOSトランジスタ62)のソース端子及びICチップ上において形成された第41内部抵抗素子(例えば図6に示した内部抵抗素子73)の一方の端子に接続し、出力端子が前記第41MOSトランジスタのゲート端子に接続する第41差動増幅器(例えば図6に示した差動増幅器66)と、非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子に第42MOSトランジスタ(例えば図6に示したMOSトランジスタ63)のソース端子及びICチップ上において形成された第42内部抵抗素子(例えば図6に示した内部抵抗素子74)の一方の端子に接続し、出力端子が前記第42MOSトランジスタのゲート端子に接続する第42差動増幅器(例えば図6に示した差動増幅器67)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第41出力端子が前記第41MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第42出力端子が前記第42MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることが望ましい。
【0027】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器は、ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第51電流源(例えば図7に示した電流源95)が接続し、ソース端子が第52MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ82)のソース端子及び第52電流源(例えば図7に示した電流源84)に接続するとともにICチップ上において形成された第51内部抵抗素子(例えば図7に示した抵抗素子88)の一方の端子に接続する第51MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ93)と、入力端子が前記51MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第52MOSトランジスタのゲートに接続した第51インバータ(例えば図7に示したインバータ86)と、ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第53電流源(例えば図7に示したMOSトランジスタ96)が接続し、ソース端子に第54MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ83)のソース端子及び第54電流源(例えば図7に示した電流源85)に接続するとともに前記第51内部抵抗素子の他方の端子に接続する第53MOSトランジスタ(例えば図7に示したMOSトランジスタ94)と、入力端子が前記53MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第54MOSトランジスタのゲート端子に接続した第52インバータ(例えば図7に示したインバータ87)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第51出力端子が前記第52MOSトランジスタのドレイン端子と接続し、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第52出力端子が前記第54MOSトランジスタのドレイン端子と接続されることが望ましい。
【0028】
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプは、上記した発明において、前記電圧−電流変換器は、ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第61電流源(例えば図8に示した電流源95)が接続し、ソース端子に第62MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ82)のソース端子及びICチップ上において形成された第62内部抵抗素子(例えば図8に示した内部抵抗素子97)の一方の端子に接続する第61MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ93)と、入力端子が前記61MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第62MOSトランジスタのゲートに接続した第61インバータ(例えば図8に示したインバータ86)と、ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第62電流源(例えば図8に示した電流源96)が接続され、ソース端子に第64MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ83)のソース端子及びICチップ上において形成された第63内部抵抗素子(例えば図8に示した内部抵抗素子98)の一方の端子に接続する第63MOSトランジスタ(例えば図8に示したMOSトランジスタ94)と、入力端子が前記63MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第64MOSトランジスタのゲートに接続した第62インバータ(例えば図8に示したインバータ87)と、を含み、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される前記電圧―電流変換器の第61出力端子が前記第62MOSトランジスタのドレイン端子と接続され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第62出力端子が前記第64MOSトランジスタのドレイン端子と接続されることが望ましい。
また、本発明のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路は、上記したいずれかに記載された前記オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプと、容量素子(例えば図9に示した容量素子45、46)と、を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、トランスコンダクタンス値が製造変動及び温度変動の影響を直接受けるOTAとトランスコンダクタンス値の製造変動及び温度変動の影響を排除する電流増幅器を組み合わせて用いているため、トランスコンダクタンス値が製造変動、温度変動の影響を受けない入力電圧範囲の広い直線性の優れたOTAを実現することができる。また、このOTAを容量と組み合わせて用いることで周波数特性精度が高く、高速でかつ直線性の優れたOTA−Cフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態1のOTAを説明するための回路図である。
【図2】本発明の実施形態1に使用する電流制御回路を説明するための回路図である。
【図3】図2の電流制御回路に用いる制御電圧発生回路図である。
【図4】実施形態2を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図5】実施形態3を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図6】実施形態3−2を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図7】実施形態4を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図8】実施形態4−2を説明するための本発明のOTA回路図である。
【図9】本発明の実施形態5のOTA−Cフィルタを説明するための回路図である。
【図10】従来のOTA回路図である。
【図11】従来のOTA回路図であり、かつ実施形態1に用いる電圧−電流変換器である。
【図12】従来のOTA−Cフィルタを説明するための回路図である
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態1乃至5について、図面を用いて説明する。
(実施形態1)
実施形態1のOTAを、図1を用いて説明する。図1は点線で囲まれた電圧−電流変換器(以下、V−I変換器と記す)8と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2、さらにMOSトランジスタ3、4から構成されている。電流制御回路1、2は全く同じ回路である。点線で囲まれたV−I変換器8は、図11に示した従来のOTAからMOSトランジスタ130、131を取り除いた部分に相当する。
なお、図1のV−I変換器8をOTAと称することもできるが、V−I変換器8と電流制御回路1、2を組み合わせたOTAと区別するために、以下の説明では図1のV−I変換器8のことをOTAと称さず、OTA本体とも記す。
【0032】
次に、図1のOTAの動作説明を行う。なお、V−I変換器8は既に説明しているのである程度割愛する。また、図1に示した素子や端子のうち、図11に示した素子や端子と同じものには同じ番号を付している。図1のOTAには、入力信号として電圧VinがV−I変換器8の入力端子である端子138、139に入力される。入力された電圧信号Vinは、電流信号I1に変換される。電流信号I1は、端子140、141から電流制御回路1、2へ入力され、電流制御回路1、2でA倍された後に、OTAの出力端子5、6から出力電流I2として出力される。
【0033】
MOSトランジスタ3、4は、出力端子5、6の電圧の同相レベルを制御するためのものであり、同相レベル制御信号はMOSトランジスタ3、4のゲート端子7から供給される。V−I変換器8の出力電流は、図11で説明したように、V−I変換器8における電流の変換に使用される抵抗素子143の製造変動と温度変動の影響を受けている。V−I変換器8からの出力電流I1は、電流制御回路1、2に入力されて、その電流値がA倍になるように制御された後に端子5、6からV−I変換器8の抵抗素子143による変動の影響が排除された出力電流I2として出力される。
図1のV−I変換器の変換係数は、式(14)で示したように、チップ上に形成された抵抗素子の抵抗値Rの逆数になる。このため、入力電圧Vinと図1の出力端子5、6から出力される出力電流I2の関係は、式(14)を用いて、式(16)のようになる。
I2=I1・A=(1/R)・A・Vin …式(16)
【0034】
次に、電流制御回路1、2について図2を用いて説明する。前述したように、電流制御回路は、同様の構成を有しているため、図2には電流制御回路1、2の一方のみを図示し、他方の説明に代えるものとする。
図2に示した電流制御回路1、2は、MOSトランジスタ10、11、13と差動増幅器12とMOSトランジスタ10、11のゲート端子に制御電圧VC1、VC2を供給するための電圧源16、17から構成される。MOSトランジスタ10、11のゲート・ソース間電圧Vgsから閾値電圧Vthを引いた値である(Vgs―Vth)は、ドレイン・ソース間電圧Vdsに比べて高いものとする。この場合、MOSトランジスタ10、11のVgsに対するドレイン・ソース電流Ids特性は、線形動作領域としてよく知られている式(17)で示すことができる。
【0035】
Ids=2K・(Vgs−Vth−0.5Vds)・Vds …式(17)
式(17)において、Kは、前記した式(2)によって表される。また、式(2)中の、W、L、μ、Coxは、それぞれMOSトランジスタ10、11のチャネル幅、チャネル長、移動度、単位面積あたりのゲート容量である。また、VthはMOSトランジスタ10、11のしきい値電圧である。式(17)によると、(Vgs−Vth)がVdsに比べ十分大きいとき、式(17)を式(18)のように近似することができる。このとき、IdsはVdsに比例することになり、線形領域で動作することがわかる。
Ids=2K・(Vgs−Vth)・Vds …式(18)
換言すると、(Vgs−Vth)がVdsに比べ十分大きい場合、MOSトランジスタ10、11の抵抗値は、以下の式(19)で示すような抵抗素子の抵抗値Rと同じである。
R=1/{2K・(Vgs−Vth)} …式(19)
式(19)からもわかるように、抵抗値RはMOSトランジスタのゲートに供給される電圧Vgsによって制御することができる。
【0036】
次に、図2に示した電流制御回路1の動作について説明する。
入力電流I14は、端子14から供給されてMOSトランジスタ10を通り、正電源端子19へ流れる。また出力電流I15は、端子15からMOSトランジスタ13とMOSトランジスタ11を通り、正電源端子19へ流れる。
線形領域で動作しているMOSトランジスタ10、11の抵抗値をそれぞれR10、R11とする。この場合、端子14、18の電圧は、オームの法則からそれぞれVdd−I14・R10、Vdd−I15・R11となる。ここで、Vddは正電源電圧である。
【0037】
仮に、端子14の電圧が端子18よりも低い場合は、差動増幅器12の出力は低くなり、その結果端子18の電圧は低くなる。また逆に、端子14の電圧が端子18よりも高い場合は、差動増幅器12の出力は高くなり、その結果端子18の電圧は高くなる。このようにして差動増幅器12の利得が十分高い場合は、端子14と端子18の電圧は等しくなる。このような関係は、式(20)で表すことができる。
I14・R10=I15・R11 …式(20)
【0038】
式(20)を式(21)のように書き換えると、入力電流に対する出力電流の比、すなわち電流増幅率Aは式(22)のように、(R10/R11)となる。
I2=(R10/R11)・I1 …式(21)
A=(R10/R11) …式(22)
ここで、図2に示した電圧源17の電圧VC2を変化させると、式(19)によりMOSトランジスタ11の抵抗値R11が変化する。このため、式(22)で与えられる電流増幅率Aも、抵抗値R11の変化に伴って変化する。すなわち、図2において、電圧源17の電圧を制御することで、図2に示した回路を電流制御回路とすることができる。
【0039】
同様にして、電圧源16の電圧を変化させても電流増幅率Aを変化させることができる。このように、本発明のOTAの電流制御回路では電圧源16または電圧源17のいずれか一方または両方を制御することで、図1のV−I変換器8の変換係数に表れる1/Rの製造変動と温度変動を補償して、図1のOTAの出力端子5の電流は製造変動、温度変動の影響のないものにするものである。
次に電圧源16、17の具体的な回路を図3に示す。なお、電圧源16、17は図2のMOSトランジスタ10、11のゲート端子に電圧を供給して電流増幅率を制御するので、以降、制御電圧発生回路とも称する。制御電圧発生回路は、図2の電圧VC1を生成する電圧源16に相当する回路28と電圧VC2を生成する電圧源17に相当する回路38からなる。
【0040】
回路28は、MOSトランジスタ21、抵抗素子23、差動増幅器22と電圧Vaを反転入力端子25に供給する電圧源27から構成される。抵抗素子23は、IC上に形成された抵抗素子であり、図1のV−I変換器8の抵抗素子143と同じ種類の抵抗素子である。なお、ここでいう「同じ種類の抵抗」とは、同じ製造工程で形成された抵抗であって、同じ製造工程で形成されているので、抵抗素子間での製造ばらつき、温度変動は存在しない。
【0041】
抵抗素子23の抵抗値をR1とする。図1の抵抗素子143と図3の抵抗素子23は、同じ種類の抵抗素子であるので、製造ばらつき、温度変動によってそれぞれの値が変動しても、抵抗値の比R1/Rはいつも一定である。
回路38は、MOSトランジスタ31、抵抗素子33、差動増幅器32と電圧Vbを端子35に供給する電圧源37から構成される。抵抗素子33は基準抵抗素子であり、例えばICに外付けされるものである。したがって、抵抗素子23のように製造変動、温度変動の影響を受けることなくいつも所定の抵抗値R2となっている。したがって、抵抗素子33はICに外付けによって実現される。
【0042】
次に、図3に示した電圧源16、17の動作について説明する。回路28と回路38は、似ているので先ず回路28を詳細に説明する。
差動増幅器22の非反転入力端子26に供給される電圧V26が、反転入力端子25に供給される電圧V25よりも低い場合、差動増幅器22の出力電圧VC1は低くなる。この出力電圧VC1は、MOSトランジスタ21のゲート端子に供給されていて、MOSトランジスタ21と抵抗素子23とで、インバータを構成している。このとき、インバータの出力に相当する非反転入力端子26の電圧は反転して高くなる。
【0043】
また、逆に差動増幅器22の非反転入力端子26に供給される電圧V26が、反転入力端子25に供給される電圧V25よりも高い場合、差動増幅器22の出力電圧VC1は高くなる。この出力電圧VC1は、MOSトランジスタ21のゲート端子に供給されていて、MOSトランジスタ21と抵抗素子23とで、インバータを構成している。このとき、インバータの出力に相当する非反転入力端子26の電圧は反転して低くなる。このように、差動増幅器22、MOSトランジスタ21、抵抗素子23は負帰還回路を形成しているので、差動増幅器22のゲインが十分高ければ、非反転入力端子26の電圧V26と反転入力端子25の電圧Vaは等しくなる。
【0044】
ここで、MOSトランジスタ21のゲート・ソース間電圧が十分大きくて線形領域になるようにしてあれば、MOSトランジスタ21は抵抗値がR21である抵抗素子として動作する。一方、MOSトランジスタ21と抵抗素子23は電圧Vddが供給される正電源端子30と電圧Vssが供給される負電源端子29の間に挿入されているので、それぞれ同じ電流が流れていて、オームの法則より式(23)が成り立つ。
(Vdd−Va)/R21=(Va−Vss)R1 …式(23)
式(23)より、抵抗値R21は式(24)で示すことができる。
R21=R1・(Vdd−Va)/(Va−Vss) …式(24)
【0045】
回路28において生成された電圧VC1は、MOSトランジスタ21のゲートに供給されるとともに図2のMOSトランジスタ10のゲートにも供給される。ここで、説明を簡単にするため、MOSトランジスタ10、21のサイズが同じであるものとする。このとき、MOSトランジスタ10、21の抵抗値R10とR21は、MOSトランジスタ10、21のゲート電圧が同じであるので同じ値になる。
また、回路38についても同じようにしてMOSトランジスタの抵抗値R31は、式(25)で与えられる。
R31=R2・(Vdd−Vb)/(Vb−Vss) …式(25)
【0046】
回路38で生成した電圧VC2は、MOSトランジスタ31のゲートに供給されるとともに、図2のMOSトランジスタ11のゲートにも供給される。ここで説明を簡単にするためにMOSトランジスタ11、31のサイズが同じであるものとする。このとき、MOSトランジスタ11、31の抵抗値R11とR31は、MOSトランジスタ11、31のゲート電圧が同じであるので同じ値になる。
したがって、式(22)で示した図2の電流制御回路1、2の電流増幅率Aは式(24)、式(25)より、式(26)のようになる。
A=(R10/R11)=(R21/R31)
=(R1/R2)・(Vdd−Va)(Vb−Vss)/(Va−Vss)
/(Vdd−Vb) …式(26)
【0047】
式(26)より、Va、Vbが一定なら、(R1/R2)以外の項はいつも一定になる。したがって、図1のOTA回路の入力電圧Vinに対する出力電流I2は、式(16)と式(26)より式(27)のように表すことができる。
I2=Vin・(R1/R2)・(1/R)・B …式(27)
ただし、式(27)中のBは式(28)で表される定数である。
B=(Vdd−Va)(Vb−Vss)/(Va−Vss)/(Vdd−Vb) …式(28)
さらに、式(27)、式(28)を式(29)、式(30)のように記述できる。
I2=Vin・D …式(29)
D=(R1/R2)・(1/R)・B …式(30)
【0048】
すなわち、図1の回路はトランスコンダタクタンス値がDであるようなOTA回路ということができる。式(29)、式(30)で、R1、RはIC上に形成される抵抗素子の抵抗値であるので、その比はいつも一定であり、またR2は製造変動、温度変動の影響を受けることのない基準抵抗素子の抵抗値である。このため、図1のOTAのトランスコンダクタンス値Dは製造変動、温度変動に関係なくいつも一定である。
【0049】
図1のOTAは、図11のOTAの特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のない、いつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。また、このような実施形態1にれば、後に図示するように、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。さらに、この外付け抵抗素子は、OTA本体とは切り離された別の制御電圧発生回路に形成されるので、抵抗素子の取付けに伴うボンディングパッド、及び実装基板の寄生容量がOTAの高速性能に悪影響を及ぼすことはない。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0050】
(実施形態2)
実施形態2のOTAを、図4を用いて説明する。なお、図4のうち、実施形態1の説明に用いた図1に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。
図4は点線で囲まれたV−I変換器480と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4とから構成されている。図4と図1の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器480において、図1の抵抗素子143を除去し、OTAの電流源136、137の代わりに抵抗値がRである抵抗素子148、149を設けた点であり、他の部分は全て同じである。
【0051】
次に、図4のOTAの動作説明を行う。図4の回路の入力端子138、139から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器480の出力端子140、141から電流制御回路1、2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。入力端子138、139の端子電圧V138、V139、端子146,147の端子電圧V146、V147、と入力電圧Vinとの関係は、図11と同様にして式(31)を得る。
V146−V147=V138−V139=Vin …式(31)
【0052】
また、抵抗素子148、抵抗素子149に流れる電流I148、I149は式(32)、式(33)のようになる。
I148=V146/R …式(32)
I149=V147/R …式(33)
Rは抵抗素子148、149の抵抗値である。端子140、141間の差電流としての出力電流I40は、抵抗素子148、149の差電流でもあるので、式(31)、(32)(33)より式(34)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I146−I147=(V146−V147)/R=Vin/R …式(34)
【0053】
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(34)に表れる抵抗素子148、149の抵抗値は製造変動、温度変動の影響を受ける。そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態2のOTAは、図11のOTAの特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0054】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0055】
(実施形態3)
実施形態3のOTAを、図5を用いて説明する。なお、図5において、実施形態1の図1に示した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を一部略すものとする。図5は点線で囲まれたV−I変換器580と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4から構成されている。図5と図1の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器580にある。すなわち、実施形態3のV−I変換器580は、差動増幅器66、67と電流源64、65とMOSトランジスタ62、63と抵抗素子68から構成されている。
【0056】
次に、図5のOTAの動作説明を行う。図5の回路の入力端子69、70から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器580の出力端子60、61から電流制御回路1、2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。差動増幅器66と電流源64とMOSトランジスタ62は、差動増幅器66の出力から、MOSトランジスタ62を通して差動増幅器66の反転入力端子を通る負帰還回路を形成している。
【0057】
このような場合、差動増幅器66のゲインが十分高ければ、差動増幅器66の反転入力端子71(MOSトランジスタ62のソース端子と共通)の電圧V71は非反転入力端子69の電圧V69に等しくなる。同様に、差動増幅器67の反転入力端子72の電圧V72は非反転入力端子70の電圧V70に等しくなる。入力端子69、70の端子電圧V69、V70と端子71、72の端子電圧をV71、V72及び入力電圧Vinとの関係は、図11と同様にして式(35)によって表される。
V71−V72=V69−V70=Vin …式(35)
したがって、抵抗素子68に流れる電流I68は式(36)のようになる。
I68=Vin/R …式(36)
【0058】
Rは抵抗素子68の抵抗値である。端子60、61間の差電流となる出力電流I40は、MOSトランジスタ62、63の差電流であり、すなわち抵抗素子68を流れる電流でもあるので、式(35)、(36)より式(37)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I68=Vin/R …式(37)
このように、出力電流I40は入力電圧Vinの値に確実に比例するので、実施形態3のOTAは、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、実施形態1のI−V変換器8と同様に式(37)に表れる抵抗素子68の抵抗値はIC上に形成されているので、製造変動、温度変動の影響を受ける。
【0059】
そして、実施形態1で説明した図1のOTAと同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態3のOTAは、図5のV−I変換器580の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0060】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0061】
(実施形態3−2)
実施形態3−2のOTAを、図6を用いて説明する。なお、図6のうち、実施形態3の説明に用いた図5に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。
図6は点線で囲まれたV−I変換器780と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4とから構成されている。図6と図5の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器780において、図5の抵抗素子68を除去し、OTAの電流源64、65の代わりに抵抗値がRである抵抗素子73、74を設けた点であり、他の部分は全て同じである。
【0062】
次に、図6のOTAの動作説明を行う。図6の回路の入力端子69、70から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器780の出力端子60、61から電流制御回路1,2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。入力端子69、70の端子電圧V69、V70、端子71,72の端子電圧V71、V72、と入力電圧Vinとの関係は、図5と同様にして式(51)を得る。
V71−V72=V69−V70=Vin …式(51)
【0063】
また、抵抗素子73、抵抗素子74に流れる電流I73、I74は式(52)、式(53)のようになる。
I73=V71/R …式(52)
I74=V72/R …式(53)
Rは抵抗素子73、74の抵抗値である。端子60、61間の差電流としての出力電流I40は、抵抗素子73、74の差電流でもあるので、式(51)、(52)、(53)より式(54)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I73−I74=(V71−V72)/R=Vin/R …式(54)
【0064】
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(52)、(53)に表れる抵抗素子73、74の抵抗値は製造変動、温度変動の影響を受ける。そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態3−2のOTAは、図6のV−I変換器780の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0065】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0066】
(実施形態4)
実施形態4のOTAを、図7を用いて説明する。なお、図7のうち、実施形態1の説明に用いた図1に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。図7は、V−I変換器680と電流増幅率がAである電流制御回路1、2、さらにMOSトランジスタ3、4から構成されている。図7と図1の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器680にある。すなわち、V−I変換器680は、インバータ86、87と電流源84、85、95、96とMOSトランジスタ93、94、82、83と抵抗素子88から構成されている。
【0067】
次に、図7のOTAの動作説明を行う。図7の回路の入力端子89、90から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器680の出力端子80、81から電流制御回路1、2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについては、特開2005−057535号公報に詳細に記載されているので、結果のみを以下に記す。それによると、入力端子89、90の端子電圧V89、V90と、端子91、92の端子電圧V91、V92と、入力電圧Vinとの関係は、MOSトランジスタ93、94に同じ電流値の電流が電流源95、96から供給されているので、図11と同様に、式(38)のように表される。
V91−V92=V89−V90=Vin …式(38)
【0068】
したがって、抵抗素子88に流れる電流I88は式(39)のようになる。
I88=Vin/R …式(39)
Rは抵抗素子88の抵抗値である。端子80、81間の差電流としての出力電流I40は、MOSトランジスタ82、83の差電流であり、すなわち抵抗素子88を流れる電流でもあるので、式(38)、(39)より式(40)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I88=Vin/R …式(40)
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に確実に比例するので、実施形態4のOTAは、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(40)に表れる抵抗素子88の抵抗値はIC上に形成されるので製造変動、温度変動の影響を受ける。
【0069】
そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態4のOTAは、図7のV−I変換器680の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
また複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0070】
(実施形態4−2)
実施形態4−2のOTAを、図8を用いて説明する。なお、図8のうち、実施形態4の説明に用いた図7に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。
図8は点線で囲まれたV−I変換器880と、電流増幅率がAである電流制御回路1、2と、MOSトランジスタ3、4とから構成されている。図8と図7の相違点は、点線で囲まれたV−I変換器880において、図7の抵抗素子88を除去し、OTAの電流源84、85の代わりに抵抗値がRである抵抗素子97、98を設けた点であり、他の部分は全て同じである。
【0071】
次に、図8のOTAの動作説明を行う。図8の回路の入力端子89、90から入力される入力電圧Vinに対するV−I変換器880の出力端子80、81から電流制御回路1,2へ出力される差電流としての出力電流I40の振る舞いについて説明する。入力端子89、90の端子電圧V89、V90、端子91、92の端子電圧V91、V92、と入力電圧Vinとの関係は、図7と同様にして式(61)を得る。
V91−V92=V89−V90=Vin …式(61)
【0072】
また、抵抗素子97、抵抗素子98に流れる電流I97、I98は式(62)、式(63)のようになる。
I97=V91/R …式(62)
I98=V92/R …式(63)
Rは抵抗素子97、98の抵抗値である。端子80、81間の差電流としての出力電流I40は、抵抗素子97、98の差電流でもあるので、式(61)、(62)、(63)より式(64)に示すように入力電圧Vinを抵抗値Rで割った値になる。
I40=I97−I98=(V91−V92)/R=Vin/R …式(64)
【0073】
このように出力電流I40は入力電圧Vinの値に比例するので、入力電圧が広い場合でも格段に優れた線形性能を有する。しかし、図1のV−I変換器8と同様に式(62)、(63)に表れる抵抗素子97、98の抵抗値は製造変動、温度変動の影響を受ける。そして、実施形態1の図1の場合と同じように電流制御回路1、2の作用によってOTAの出力端子5、6に現れる出力電流は、式(29)、式(30)と同じになる。すなわち実施形態4−2のOTAは、図8のV−I変換器880の特徴である広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに電流制御回路1、2を追加したことで製造変動、温度変動の影響のないいつも一定のトランスコンダクタンス値を有するという特徴がある。
【0074】
また、複数のOTAを用いる場合でも制御電圧発生回路を共通化できるので、外付け抵抗素子は1つで済む。このようなOTAを用いてOTA−Cフィルタを設計すると、高速性能を保ちつつ1つだけの外付け抵抗素子を追加するだけで広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0075】
(実施形態5)
次に、実施形態1から実施形態4に示したOTAを用いたOTA−Cフィルタの実施形態を、図9を用いて説明する。図9において、図12に示した構成と同様の構成については同様の符号を付して示し、その説明を一部略すものとする。図9において、41〜44はGm値がそれぞれGm1〜Gm4であるOTA、45、46は容量値がC1、C2である容量素子、49、50は差動として入力信号が入力される入力端子対、51、52は差動として低域通過フィルタ(LPF)出力信号が出力される出力端子対、53、54は帯域通過フィルタ(BPF)出力信号が出力される出力端子対、47は電流制御回路に制御信号を供給するための図3に示した制御電圧発生回路であり、その回路は図3と同じものを用いることができる。制御電圧VC1とVC2は、OTA41〜44へ共通に供給されている。
【0076】
図9において、制御電圧発生回路47を除いた回路48は、図12で説明したように一般に双2次型OTA−Cフィルタとして知られていて、低域通過フィルタ信号を出力する端子対51、52におけるフィルタ周波数特性を表す伝達関数H(s)は式(15)と同じ式(41)で表すことができる。
H(s)=(Gm1・Gm2)/(C1・C2)/
[s2+s(Gm4/C1)+[Gm2・Gm3/(C1・C2)]] (41)
【0077】
このように、図9のフィルタの特性も、図12のフィルタと同様にGm1〜Gm4、容量C1、C2によって任意の特性のフィルタを実現することができる。図9に示したOTA−CフィルタのOTAとしては、図1、図4〜図8に示すOTAを用いることができる。例えば、図9のOTA−Cフィルタにおいて、Gm1〜Gm4には図1に示したOTAを用いることができる。OTAの回路における電流制御回路1、2には、図2に示した回路を用いることができ、図2に用いられている電圧源16、17からの制御信号は、図3と同じものである制御電圧発生回路47から供給される。
【0078】
このような実施形態5のOTA−Cフィルタは、Gm1〜Gm4として図1のOTAを用いているので、広い入力電圧範囲にわたって直線性の優れた性能を有している。また、4個のOTAには制御電圧発生回路47から電流制御回路へ共通の信号が供給されている。すなわち、図9のOTA−Cフィルタはフィルタの次数がいくら増加しても外付け抵抗素子を1つ設けるだけで済む。このような実施形態5では、本来OTA−Cフィルタが有する高速性能に加えて、広い入力電圧範囲に亘って優れた直線性を有し、さらに周波数特性精度の優れたフィルタを提供することができる。
【0079】
さらに、この外付け抵抗素子は、OTA本体とは切り離された別の回路である電圧発生回路に設けられるので、外付け抵抗素子を設けるためのボンディングパッド、及び実装基板の寄生容量が、OTAの高速性能に悪影響を及ぼすことはない。またOTAとして、図1、図4〜8に示したいずれのOTAを用いても同様に優れた効果を供することができる。
また、実施形態5では、OTA−Cフィルタの実施形態として、図9のような双2次型フィルタを用いて説明したが、実施形態5は、このような構成に限定されるものではない。例えば、実施形態5のOTA−Cフィルタは、リープフロッグ型フィルタや状態変数型フィルタ等、実施形態1〜4、3−2、4−2のOTAを用いた様々なタイプのOTA−Cフィルタとしても構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のOTAは、線形性能が優れているので高速で精度の高いOTA−Cフィルタ設計に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1、2 電流制御回路
3、4、10、11、13、21、31、62、63、82、83、93、94、132、133、134、135 MOSトランジスタ
入力端子 138、139
140、141 出力端子
8、480、580、680 V−I変換器
12、22、32、66、67 差動増幅器
16、17、27、37 電圧源
23、33、68、73、74、88、97、98、143、148、149 抵抗素子
28、38、48 回路
47 制御電圧発生回路
64、65、84、85、136、137 電流源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と、出力端子と、少なくとも1つのICチップ上において形成された第1内部抵抗素子と、を備え、増幅率が前記第1内部抵抗素子の抵抗値の逆数である電圧−電流変換器と、
前記電圧−電流変換器の出力端子から出力される出力電流を入力し、前記第1内部抵抗素子の抵抗値に比例する増幅率で増幅する電流増幅器と、を備え、
前記電流増幅器は、
入力電流が入力されるドレイン端子と、第1制御電圧が供給されるゲート端子と、を有する第1MOSトランジスタと、
出力電流が出力されるドレイン端子を有する第2MOSトランジスタと、
第2制御電圧が供給されるゲート端子を有する第3MOSトランジスタと、
前記第1MOSトランジスタのドレイン端子と接続される非反転入力端子と、前記第2MOSトランジスタのゲート端子と接続される出力端子と、前記第2MOSトランジスタのソース端子及び前記第3MOSトランジスタのドレイン端子と接続される反転入力端子と、を有する第1差動増幅器と、を備えてなり、
前記第1制御電圧及び前記第2制御電圧は、前記電流増幅器の増幅率を実現する値の電圧であることを特徴とするオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項2】
前記第1MOSトランジスタ及び前記第3MOSトランジスタは、そのドレイン・ソース間電圧がそのゲート・ソース間電圧に比べて十分に小さく、線形領域において動作していることを特徴とする請求項1に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項3】
前記第1制御電圧を生成する第1制御電圧発生回路と、前記第2制御電圧を生成する第2制御電圧発生回路と、をさらに含み、
前記第1制御電圧発生回路は、
前記電圧―電流変換器に含まれる前記第1内部抵抗素子と同じプロセスで製造された第2内部抵抗素子を備え、当該第2内部抵抗素子の一端が第1電圧源に接続し、他端が第2差動増幅器の非反転入力端子に接続するとともに、第4MOSトランジスタのドレイン端子と接続し、前記第2差動増幅器の反転入力端子が第3基準電圧に接続され、前記第2差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第1制御電圧を出力するための端子に接続しており、
前記第2制御電圧発生回路は、
前記ICチップに外付けされた基準抵抗素子を備え、当該基準抵抗素子の一端が第2電圧源に接続し、他端が第3差動増幅器の非反転入力端子に接続するとともに、第5MOSトランジスタのドレイン端子と接続し、前記第3差動増幅器の反転入力端子が第4基準電圧に接続され、前記第3差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第2制御電圧を出力するための端子に接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項4】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第1入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第1出力端子がドレイン端子に接続される第11MOSトランジスタと、
ゲート端子に第2入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第2出力端子がドレイン端子に接続される第12MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのドレインに接続する第13MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのドレインに接続する第14MOSトランジスタと、を含み、
前記第13MOSトランジスタのソース端子が、第1電流源に接続するとともに前記ICチップ上において形成された第11内部抵抗素子の一方の端子に接続され、
前記第14MOSトランジスタのソース端子が、第2電流源に接続するとともに前記第11内部抵抗素子の他方の端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項5】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第11入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第11出力信号が出力される第11出力端子がドレイン端子に接続される第21MOSトランジスタと、
ゲート端子に第12入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第12出力信号が出力される第12出力端子がドレイン端子に接続される第22MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのドレインに接続する第23MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのドレインに接続する第24MOSトランジスタと、を含み、
前記第23MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第21内部抵抗素子の一方の端子に接続され、
前記第24MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第22内部抵抗素子の一方の端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項6】
前記電圧−電流変換器は、
非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第31MOSトランジスタのソース端子及び第31電流源に接続するとともに、ICチップ上において形成された第31内部抵抗素子の一方の端子に接続し、出力端子が前記第31MOSトランジスタのゲート端子に接続する第31差動増幅器と、
非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子が第32MOSトランジスタのソース端子及び第32電流源に接続するとともに、前記第31内部抵抗素子の他方の端子に接続し、出力端子が前記第32MOSトランジスタのゲート端子に接続する第32差動増幅器と、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第31出力端子が前記第31MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第32出力端子が前記第32MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項7】
前記電圧−電流変換器は、
非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第41MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第41内部抵抗素子の一方の端子に接続し、出力端子が前記第41MOSトランジスタのゲート端子に接続する第41差動増幅器と、
非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子に第42MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第42内部抵抗素子の一方の端子に接続し、出力端子が前記第42MOSトランジスタのゲート端子に接続する第42差動増幅器と、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第41出力端子が前記第41MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第42出力端子が前記第42MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項8】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第51電流源が接続し、ソース端子が第52MOSトランジスタのソース端子及び第52電流源に接続するとともにICチップ上において形成された第51内部抵抗素子の一方の端子に接続する第51MOSトランジスタと、
入力端子が前記51MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第52MOSトランジスタのゲートに接続した第51インバータと、
ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第53電流源が接続し、ソース端子に第54MOSトランジスタのソース端子及び第54電流源に接続するとともに前記第51内部抵抗素子の他方の端子に接続する第53MOSトランジスタと、
入力端子が前記53MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第54MOSトランジスタのゲートに接続した第52インバータと、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第51出力端子が前記第52MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第52出力端子が前記第54MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項9】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第61電流源が接続し、ソース端子に第62MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第62内部抵抗素子の一方の端子に接続する第61MOSトランジスタと、
入力端子が前記61MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第62MOSトランジスタのゲートに接続した第61インバータと、
ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第62電流源が接続し、ソース端子に第64MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第63内部抵抗素子の一方の端子に接続する第63MOSトランジスタと、
入力端子が前記63MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第64MOSトランジスタのゲートに接続した第62インバータと、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第61出力端子が前記第62MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第62出力端子が前記第64MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載された前記オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプと容量素子と、を含むことを特徴とするオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路。
【請求項1】
入力端子と、出力端子と、少なくとも1つのICチップ上において形成された第1内部抵抗素子と、を備え、増幅率が前記第1内部抵抗素子の抵抗値の逆数である電圧−電流変換器と、
前記電圧−電流変換器の出力端子から出力される出力電流を入力し、前記第1内部抵抗素子の抵抗値に比例する増幅率で増幅する電流増幅器と、を備え、
前記電流増幅器は、
入力電流が入力されるドレイン端子と、第1制御電圧が供給されるゲート端子と、を有する第1MOSトランジスタと、
出力電流が出力されるドレイン端子を有する第2MOSトランジスタと、
第2制御電圧が供給されるゲート端子を有する第3MOSトランジスタと、
前記第1MOSトランジスタのドレイン端子と接続される非反転入力端子と、前記第2MOSトランジスタのゲート端子と接続される出力端子と、前記第2MOSトランジスタのソース端子及び前記第3MOSトランジスタのドレイン端子と接続される反転入力端子と、を有する第1差動増幅器と、を備えてなり、
前記第1制御電圧及び前記第2制御電圧は、前記電流増幅器の増幅率を実現する値の電圧であることを特徴とするオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項2】
前記第1MOSトランジスタ及び前記第3MOSトランジスタは、そのドレイン・ソース間電圧がそのゲート・ソース間電圧に比べて十分に小さく、線形領域において動作していることを特徴とする請求項1に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項3】
前記第1制御電圧を生成する第1制御電圧発生回路と、前記第2制御電圧を生成する第2制御電圧発生回路と、をさらに含み、
前記第1制御電圧発生回路は、
前記電圧―電流変換器に含まれる前記第1内部抵抗素子と同じプロセスで製造された第2内部抵抗素子を備え、当該第2内部抵抗素子の一端が第1電圧源に接続し、他端が第2差動増幅器の非反転入力端子に接続するとともに、第4MOSトランジスタのドレイン端子と接続し、前記第2差動増幅器の反転入力端子が第3基準電圧に接続され、前記第2差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第1制御電圧を出力するための端子に接続しており、
前記第2制御電圧発生回路は、
前記ICチップに外付けされた基準抵抗素子を備え、当該基準抵抗素子の一端が第2電圧源に接続し、他端が第3差動増幅器の非反転入力端子に接続するとともに、第5MOSトランジスタのドレイン端子と接続し、前記第3差動増幅器の反転入力端子が第4基準電圧に接続され、前記第3差動増幅器の出力が、前記第4MOSトランジスタのゲートに接続するとともに前記第2制御電圧を出力するための端子に接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項4】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第1入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第1出力端子がドレイン端子に接続される第11MOSトランジスタと、
ゲート端子に第2入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第2出力端子がドレイン端子に接続される第12MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第14MOSトランジスタのドレインに接続する第13MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第12MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第11MOSトランジスタのソース端子及び第13MOSトランジスタのドレインに接続する第14MOSトランジスタと、を含み、
前記第13MOSトランジスタのソース端子が、第1電流源に接続するとともに前記ICチップ上において形成された第11内部抵抗素子の一方の端子に接続され、
前記第14MOSトランジスタのソース端子が、第2電流源に接続するとともに前記第11内部抵抗素子の他方の端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項5】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第11入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第11出力信号が出力される第11出力端子がドレイン端子に接続される第21MOSトランジスタと、
ゲート端子に第12入力信号が入力され、前記電圧―電流変換器の第12出力信号が出力される第12出力端子がドレイン端子に接続される第22MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第24MOSトランジスタのドレインに接続する第23MOSトランジスタと、
ドレイン端子が、前記第22MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのゲート端子に接続し、ゲート端子が前記第21MOSトランジスタのソース端子及び第23MOSトランジスタのドレインに接続する第24MOSトランジスタと、を含み、
前記第23MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第21内部抵抗素子の一方の端子に接続され、
前記第24MOSトランジスタのソース端子が、ICチップ上において形成された第22内部抵抗素子の一方の端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項6】
前記電圧−電流変換器は、
非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第31MOSトランジスタのソース端子及び第31電流源に接続するとともに、ICチップ上において形成された第31内部抵抗素子の一方の端子に接続し、出力端子が前記第31MOSトランジスタのゲート端子に接続する第31差動増幅器と、
非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子が第32MOSトランジスタのソース端子及び第32電流源に接続するとともに、前記第31内部抵抗素子の他方の端子に接続し、出力端子が前記第32MOSトランジスタのゲート端子に接続する第32差動増幅器と、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第31出力端子が前記第31MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第32出力端子が前記第32MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項7】
前記電圧−電流変換器は、
非反転入力端子に第1入力信号が入力され、反転入力端子が第41MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第41内部抵抗素子の一方の端子に接続し、出力端子が前記第41MOSトランジスタのゲート端子に接続する第41差動増幅器と、
非反転入力端子に第2入力信号が入力され、反転入力端子に第42MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第42内部抵抗素子の一方の端子に接続し、出力端子が前記第42MOSトランジスタのゲート端子に接続する第42差動増幅器と、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第41出力端子が前記第41MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第42出力端子が前記第42MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項8】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第51電流源が接続し、ソース端子が第52MOSトランジスタのソース端子及び第52電流源に接続するとともにICチップ上において形成された第51内部抵抗素子の一方の端子に接続する第51MOSトランジスタと、
入力端子が前記51MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第52MOSトランジスタのゲートに接続した第51インバータと、
ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第53電流源が接続し、ソース端子に第54MOSトランジスタのソース端子及び第54電流源に接続するとともに前記第51内部抵抗素子の他方の端子に接続する第53MOSトランジスタと、
入力端子が前記53MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第54MOSトランジスタのゲートに接続した第52インバータと、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第51出力端子が前記第52MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第52出力端子が前記第54MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項9】
前記電圧−電流変換器は、
ゲート端子に第1入力信号が入力され、ドレイン端子に第61電流源が接続し、ソース端子に第62MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第62内部抵抗素子の一方の端子に接続する第61MOSトランジスタと、
入力端子が前記61MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第62MOSトランジスタのゲートに接続した第61インバータと、
ゲート端子に第2入力信号が入力され、ドレイン端子に第62電流源が接続し、ソース端子に第64MOSトランジスタのソース端子及びICチップ上において形成された第63内部抵抗素子の一方の端子に接続する第63MOSトランジスタと、
入力端子が前記63MOSトランジスタのドレイン端子に接続し、出力端子が前記第64MOSトランジスタのゲートに接続した第62インバータと、を含み、
前記電圧―電流変換器の第1出力信号が出力される第61出力端子が前記第62MOSトランジスタのドレイン端子に接続され、
前記電圧―電流変換器の第2出力信号が出力される第62出力端子が前記第64MOSトランジスタのドレイン端子に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載された前記オペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプと容量素子と、を含むことを特徴とするオペレイショナル・トランスコンダクタンス・アンプを用いたフィルタ回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−250286(P2011−250286A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122990(P2010−122990)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
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