説明

カラー画像形成装置

【課題】定着後の紙上においてトナーの載り量を正確に補正すること。
【解決手段】現像手段には現像電圧を印加する現像電圧印加手段と前記現像電圧印加手段の出力電圧を制御する現像電圧制御手段を有し、若しくは転写手段には転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と前記転写バイアス印加手段の出力バイアスを制御する転写バイアス制御手段を有し、紙上に数個のトナー量補正用パッチを有するテストチャートを印字し、定着後のパッチ表面を正反射光センサユニット40及び乱反射光センサユニット50によりモニタする。検知結果を現像バイアス若しくは転写バイアスに反映し、トナー量を補正するカラー画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色材を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置は、使用環境やプリント枚数など様々な条件によって、像形成に係る部材の抵抗値やトナーの帯電量等が変動してしまうため、トナー量が変動する場合がある。
【0003】
トナー量が変動した場合、所望する色味の画像をプリント出来ないばかりでなく、例えばトナー量が過多の場合次のような画質問題を招く可能性がある。転写プロセスにおいては転写電流不足による転写不良や電荷保持力不足によってトナーが周囲に飛び散って(飛び散り)しまう問題がある。また定着プロセスにおいては定着性が悪化し、定着不良が発生する問題がある。
【0004】
そのため電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置において、トナー量の変動を最小限に抑制することは重要課題となっている。
【0005】
カラー画像形成装置において各色のトナー量の変動を検知し補正する方法として、従来より幾つかの方法が開発されてきた。
【0006】
特開平11-65237、特開2003-270901及び特開2004-125988では、感光体または像担持体上にテストチャートの検知用未定着トナー像を試験的に作像し、そのトナー量を反射式の光学式センサ(濃度センサ)で検知し、その検知結果から露光手段による露光量、現像手段による現像電圧等の画像形成条件にフィードバックする画像濃度制御によって補正を行い、安定したトナー量を供給可能にしている。この方法は記録材を必要とせず、未定着時のトナーを用いるため補正に用いたトナーを容易に回収でき、また場合によっては再利用することが可能なため、従来より多くの画像形成装置において用いられてきた方法である。
【特許文献1】特開平11-65237号公報
【特許文献2】特開2003-270901号公報
【特許文献3】特開2004-125988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来技術には下記の課題があった。
【0008】
前記従来技術(特開平11-65237、特開2003-270901及び特開2004-125988)の場合、感光体や像担持体上の未定着トナーによる検知用画像からトナー量を計測し、その検知結果を露光、現像プロセスなどの画像形成条件にフィードバックしてトナー量補正(制御)を行っているため、その後工程である記録材への転写プロセスにおけるトナー量変動を考慮し、補正することは非常に困難である。具体的には感光体や像担持体から記録材への転写時には、プリント枚数や環境などの使用条件によって転写部材の抵抗が変動するため、同様の電圧を印加した場合でも転写性が変化し記録材上でのトナー量が変動するという問題が発生する場合がある。
【0009】
前述したようにトナー量が変動した場合転写不良や定着不良等の画質問題を招く可能性があるため解決する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段による現像電圧を印加することによりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段により前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記現像手段には前記現像電圧を印加する現像電圧印加手段と、前記現像電圧印加手段の出力電圧を制御する現像電圧制御手段を有し、
前記画像形成装置の前記記録材の搬送路における前記定着ニップ部より下流側に、
第1の光源及び前記記録材に対し前記第1の光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段、
及び前記光源とは異なる第2の光源及び前記第2の光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記現像電圧制御手段の出力値を補正することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段による現像電圧を印加することによりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段により前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記現像手段には前記現像電圧を印加する現像電圧印加手段と、前記現像電圧印加手段の出力電圧を制御する現像電圧制御手段を有し、
前記記録材の搬送路の前記定着ニップ部より下流側に、
光源及び前記記録材に対し前記光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段及び前記光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、
前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記現像電圧制御手段の出力値を補正することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段によりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段による転写バイアスを印加することにより前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記転写手段には転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、前記転写バイアス印加手段の出力バイアスを制御する転写バイアス制御手段を有し、
前記画像形成装置の前記記録材の搬送路における前記定着ニップ部より下流側に、
第1の光源及び前記記録材に対し前記第1の光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段、
及び前記光源とは異なる第2の光源及び前記第2の光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記転写バイアス制御手段の出力値を補正することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段によりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段による転写バイアスを印加することにより前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記転写手段には転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、前記転写バイアス印加手段の出力電圧を制御する転写バイアス制御手段を有し、
前記画像形成装置の前記記録材の搬送路における前記定着ニップ部より下流側に、
光源及び前記記録材に対し前記光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段及び前記光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、
前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記転写バイアス制御手段の出力値を補正することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、
請求項1または3に記載のカラー画像形成装置において、前記第1の光源には波長450〜750nmに出力強度のピークを持つ白色光源を用いることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、
請求項2または4に記載のカラー画像形成装置において、前記光源には波長450〜750nmに出力強度のピークを持つ白色光源を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば上記手段・制御を有する画像形成装置を用いることにより、感光体や像担持体から記録材への転写性の変動を検知してトナー量補正を行うことが可能となるため、記録材上でのトナー量を安定化させることができ、その結果としてトナー量の変動による転写不良・定着不良などの画質問題を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明に適した実施の形態について詳しく説明する。
【実施例1】
【0018】
まず本発明の第一の実施形態に係るカラー画像形成装置を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るカラー画像形成装置の全体構成を示す断面図である。この装置は、図示のように、電子写真方式のカラー画像形成装置の一例である中間転写体26を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置である。本カラー画像形成装置は、図1に示す画像形成部と図示しない画像処理部から構成される。
【0020】
以下、図1を用いて、電子写真方式のカラー画像形成装置における、画像形成部の動作を説明する。画像形成部は、画像処理部が変換した露光時間に基づいて点灯させる露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成し、この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録材11へ転写し、その記録材11上の多色トナー像を定着させるもので、給紙部5、4色(YMCK)分並列配置したステーション毎の感光ドラム(20Y、20M、20C、20K)、帯電ローラ(21Y、21M、21C、21K)、スキャナ(22Y、22M、22C、22K)、トナーカートリッジ(23Y、23M、23C、23K)、現像ローラ(24Y、24M、24C、24K)があり、さらに1次転写ローラ(25Y、25M、25C、25K)、中間転写体26、2次転写ローラ27、クリーニング手段28、定着装置30、現像電圧制御回路1、2次転写電圧制御回路2、及び反射光センサユニットAによって構成されている。
【0021】
前記感光ドラム20Y、20M、20C、20Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するもので、駆動モータは感光ドラム20Y、20M、20C、20Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。
【0022】
帯電手段として、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光ドラム20Y、20M、20C、20Kを帯電させるための4個の帯電ローラ21Y、21M、21C、21Kを備える構成である。各帯電ローラ21Y、21M、21C、21Kにより感光ドラム20Y、20M、20C、20K表面には電荷がチャージされる。
【0023】
感光ドラム20Y、20M、20C、20Kへの露光光はスキャナ部22Y、22M、22C、22Kから送られ、感光ドラム20Y、20M、20C、20Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成されるように構成されている。
【0024】
前記静電潜像をトナー像として可視化するために、現像手段としてステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う4個の現像ローラ24Y、24M、24C、24Kがあり、現像ローラ24Y、24M、24C、24Kに対して現像電圧制御回路1により所望の値に制御された高圧電源(HV)による現像電圧を印加することにより、トナー像が感光ドラム20Y、20M、20C、20K上に形成される。
【0025】
中間転写体26は、感光ドラム20Y、20M、20C、20K及び1次転写ローラ25Y、25M、25C、25Kに接触しており、カラー画像形成時に時計周り方向に1次転写ローラ25Y、25M、25C、25Kの回転に伴って回転し、感光ドラム20Y、20M、20C、20K上に形成された単色トナー像が転写される。
【0026】
中間転写体26上のトナー像は、中間転写体26と2次転写ローラ27が接触して記録材11を狭持搬送し、2次転写電圧制御回路2によって所望の値に制御された高圧電源(HV)による2次転写電圧を印加することにより、記録材11上に転写される。
【0027】
尚本実施例において、中間転写体26は周長880mmのポリイミド製の単層樹脂ベルトである。また、ベルトの抵抗調整のために適量のカーボン微粒子が樹脂内に分散されており、表面色は黒色である。更に、中間転写体26の表面は、平滑度が高く光沢性を有している。
【0028】
定着装置30は、記録材11を搬送させながら、転写された多色トナー像を溶融定着させるものであり、図1に示すように記録材11を加熱する定着ローラ31と記録材11を定着ローラ31に圧接させるための加圧ローラ32を備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれハロゲンヒータ33、34が内蔵されている。すなわち、多色トナー像を保持した記録材11は定着ローラ31と加圧ローラ32により搬送されるとともに、熱及び圧力を加えられ、トナーが表面に定着される。
【0029】
トナー像定着後の記録材11は、その後図示しない排出ローラによって図示しない排紙トレイに排出して画像形成動作を終了する。
【0030】
クリーニング手段28は、中間転写体26上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体26上に形成された4色の多色トナー像を記録材11に転写した後の廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
【0031】
次に本実施例の特徴である反射光センサユニットについて説明する。
【0032】
反射光センサユニットは図1に示すように記録材搬送方向において定着装置30よりも下流側のAの位置に設置されており、正・乱反射光量を検知することにより定着後の記録材上のトナー量を検知している。また本実施例の画像形成装置においては、記録材11の通紙基準は、カセット給紙部5aからの給紙・搬送も、手差し給紙部5bからの給紙・搬送も記録材中心の中央基準であり、反射光センサユニットについても記録材搬送方向の記録材中心に対応して配置されている。
【0033】
次に本実施例における反射光センサユニットの構成を図2(a)に示す。照射光の正反射光をモニタする正反射光センサユニット40及び乱反射光をモニタする乱反射光センサユニット50により構成されている。記録材搬送方向において上流側に正反射光センサユニット40、下流側に乱反射光センサユニット50が配置されている。
【0034】
正反射光センサユニット40の照射光源にはスポット径が2mmの白色LED41を用い、光検知手段にはRGBオンチップフィルタ付きの電荷蓄積型センサ42を用いている。白色LED41を記録材11上のテストチャートのパッチに対して画像面に対して垂直方向を0度とした場合、斜め45度の位置から照射し、その正反射の位置である−45度の位置に電荷蓄積型センサ42を配置して正反射光成分の強度を検知する。電荷蓄積型センサ42のRGBフィルタはテストチャートのパッチ色と補色関係にあるものを用い、パッチ色がイエローの場合はフィルタにB(ブルー)を用い、パッチ色がマゼンタの場合はフィルタにG(グリーン)、パッチ色がシアンの場合はフィルタにR(レッド)を用いた。またパッチ色がBkの場合はフィルタを用いていない。本実施例では正反射光センサユニット40の光源として白色LED41を用いているが、例えば赤色LEDを用いることも可能である。
【0035】
乱反射光センサユニット50の照射光源にはスポット径が2mmの白色LED51を用い、光検知手段としてRGBオンチップフィルタ付きの電荷蓄積型センサ52を用いている。白色LED51を記録材11上のテストチャートのパッチに対して斜め45度より白色光を入射させ、画像面に対して垂直方向(0度方向)への乱反射光強度を電荷蓄積型センサ52により検知している。電荷蓄積型センサ52のRGBフィルタはテストチャートのパッチ色と補色関係にあるものを用い、パッチ色がイエローの場合はフィルタにB(ブルー)を用い、パッチ色がマゼンタの場合はフィルタにG(グリーン)、パッチ色がシアンの場合はフィルタにR(レッド)を用いた。またパッチ色がBkの場合はフィルタを用いていない。色トナー(YMC)はそれぞれ異なった波長成分の光を吸収するため、光源に白色光を用い、補色関係の色のフィルタを用いることで、それぞれの色トナー(YMC)の乱反射光成分を検知することが可能となる。
【0036】
本実施例では正反射光検知用の正反射光センサユニットと乱反射光検知用の乱反射光センサユニットが別体でありそれぞれに光源と光検知センサが1つずつあるが、図2(b)のように1つの光源に対して、正反射光検知用と乱反射光検知用の2つの光検知センサで構成することも可能である。
【0037】
又、本実施例では、装置内に温湿度センサ90が設けられており、装置本体の置かれている雰囲気の測定を行う。反射光センサユニットと温湿度センサは制御部Dに接続され、それぞれの測定データは制御部D内のCPU100に取り込まれる。温湿度センサの測定データは、一例として温度t(℃)と相対湿度φ(%RH)とから、空気中の水分量x(1kgあたりの空気中の水分量、g/kg)を求め、これを環境データとして用いることができる。因みに、xの値は760mmHg(101325Pa)の大気圧下において、30℃、80%RHで21.5g、15℃、10%RHで1.1g、25℃、60%RHで11.8gとなる。
【0038】
次に本実施例の特徴である最大トナー量制御(以後Dmax制御)について説明する。本制御により定着後の記録材のテストチャート画像から従来より正確にトナー量補正を行い、従来よりも転写不良・定着不良の少ない、安定した画質を得ることが可能となる。
【0039】
先ず、本実施例の画像形成装置本体の電源投入或いは電源投入時からの経過時間、プリント枚数、ホストコンピュータF(不図示)やユーザーからの指示等の適当なタイミングを制御部D内のCPU100が検出すると、CPU100はDmax制御をスタートさせる。次にCPU100は制御部DのROM110からDmax制御用の各色の現像電圧及びDmax制御の制御目標値を読み出す。その後、CPU100は画像形成装置本体の初期動作を開始すると共に感光ドラム20Y、20M、20C、20Kを所定の帯電電圧でそれぞれ帯電する。
【0040】
次に、制御部DのCPU100は、予め記録されているテストチャートのパッチの画像データをスキャナ22Yに送り、感光ドラム20Y上に回転方向に沿って同一の画像データでTY1〜TY5の五つのパッチの潜像を形成する。これらの潜像は現像電圧制御回路1により、先ずTY1のパッチはVY1、TY2はVY2、TY3はVY3、TY4はVY4、TY5はVY5の現像電圧(VY1<VY2<VY3<VY4<VY5)でそれぞれ現像される。感光ドラム20Y上に形成されたパッチTY1〜TY5のトナー像は、感光ドラム20Yと1次転写ローラ25Yとの間の電圧印加により中間転写体26上に転写される。そして、イエロー(Y)に続いてマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のパッチも同様に形成し、さらに中間転写体26上のトナー像は中間転写体26と2次転写ローラ27との間の電圧印加により記録材11上へ転写され、記録材11上のトナー像は定着装置30によって定着され、記録材11上には、図3に示すようにパッチが形成される。また図3においてTY0、TM0、TC0、TBk0はトナー無し時の測定ポイントであり、下地である記録材自身の正・乱反射光成分を検知する。これらのパッチTY0〜TY5、TM0〜TM5、TC0〜TC5、TBk0〜TBk5を正反射光センサユニット40及び乱反射光センサユニット50により測定した結果をそれぞれDa及びDbとし、測定結果Da及びDbは制御部D内のRAM110に書き込まれる。
【0041】
図4(a)は正反射光センサユニット40の測定結果であり、図4(b)は乱反射光センサユニット50の測定結果である。本実施例において現像電圧VY1〜VY5、VM1〜VM5、VC1〜VC5、VBk1〜VBk5は温湿度センサの測定データから算出された環境データを基に設定されており、図4に用いた例では現像電圧がVY1からVY5にかけて増加すると共にトナー量が単調増加する領域を選択している。図4は本実施例における反射光センサユニットによる検知時の反射面が(a)定着後のトナー表面の場合と(b)トナー無し記録材表面の場合の、入射光に対する、正・乱反射光のイメージ図であり、(a)定着後のトナー表面の方が(b)記録材表面に比べて反射面の平滑度が高いためより正反射光量が大きくなり、その結果、図5(a)では現像電圧が増加しトナー量が増加すると共に正反射光量Daが増加しており、また一方で図5(b)では現像電圧が増加しトナー量が増加すると共に乱反射光量Dbが増加している。
【0042】
また上記反射面の平滑度の変化はトナー量だけでなく、環境条件やプリント枚数等によって定着装置の定着性能が変化した場合にも発生する。図6はトナー量が同程度であり(a)は定着装置の定着性能が良好な場合、(b)は定着装置の定着性能が悪化した場合のイメージ図を示しており、(b)のように反射面であるトナー面が荒れている場合、(a)よりも正反射光量が減少し、乱反射光量が増加している。
【0043】
上述したように記録材上反射面の正・乱反射光量はトナー量や定着装置30の定着性能によって変動するため、本実施例では下式によって補正を行い、図4(c)に示す補正値Dcを求めた。
【0044】
【数1】

(1)式においてxは1〜5のパッチ番号を示し、DaYx、DaMx、DaCx、DaBkx及びDbYx、DbMx、DbCx、DbBkxはDaY0、DaM0、DaC0、DaBk0及びDbY0、DbM0、DbC0、DbBk0による積をとることにより記録材の下地補正を行った。またそれぞれ積の差をとることにより、記録材の平滑度による影響を補正した。
【0045】
所定のDmaxを得るため、補正値Dcを用いて必要な現像条件としての現像電圧の算出を行う。予め制御部DのCPU100に記憶されているイエローの制御目標値DTYを得るために、必要な現像電圧VTYはDTYを挟む現像電圧(この場合VY2、VY3)と補正値Dcを用いて下記のような直線補間によって求めることができる。
【0046】
図4(c)においてDcTYは制御部DのCPU100に記憶されている補正値Dcの目標値であり、DcY1<DcTY<DcY5の時、現像電圧の目標値は下式により算出され、その結果は現像バイアス制御回路1に反映される。
【0047】
【数2】

(2)式はDcY2<DcTY<DcY3の場合である。
【0048】
またDcTY<DcY1の時、現像電圧はVY1を選択し、DcTY>DcY5の時、現像電圧はVY5を選択する。
【0049】
同様にしてCPU100は、他色用の現像電圧VTM、VTC、VTBkも求め、これらの値を制御部D内のRAM110に書き込み、以後の画像形成にはこれらの現像電圧を用いる。
【0050】
上記Dmax制御によって補正された現像電圧によって感光ドラム20Y、20M、20C、20K上に現像されたトナー像は、上述したように1次転写プロセス、2次転写プロセスを経て記録材上に転写され、記録材は定着プロセスを経て画像形成装置外へ排出される。
【0051】
以上説明したように本実施例のように定着後の画像に対してトナー量載り量を検知することで、帯電プロセスから露光・現像・転写・定着など全てのプロセスによる影響を考慮してより正確に現像バイアスによるトナー量補正を行うことが可能となるため、記録材表面のトナー量変動による転写不良・定着不良などの画質不良を防止できる。
【実施例2】
【0052】
次に第二の実施形態について説明する。
【0053】
本実施例に用いた画像形成装置は実施例1と同様であり、最大トナー量補正(Dmax)の制御方法が異なる。トナー量の補正方法は定着後のパッチからトナー量検知を行い第一の実施形態では現像電圧に補正値を加えて行っていたが、第二の実施形態では2次転写電圧に補正値を加えて行う。
【0054】
制御部DのCPU100は、予め記録されているテストチャートのパッチの画像データをスキャナ22Yに送り、感光ドラム20Y上に回転方向に沿って同一の画像データでTY1〜TY5の五つのパッチの潜像を形成する。感光ドラム20Y上に形成されたパッチTY1〜TY5のトナー像は、感光ドラム20Yと1次転写ローラ25Yとの間の電圧印加により中間転写体26上に転写される。そして、イエロー(Y)に続いてマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のパッチも同様に形成し、さらに中間転写体26上のトナー像は中間転写体26と2次転写ローラ27との間の2次転写電圧制御回路2による2次転写電圧により、先ずTY1のパッチはV'Y1、TY2はV'Y2、TY3はV'Y3、TY4はV'Y4、TY5はV'Y5の現像電圧(V'Y1<V'Y2<V'Y3<V'Y4<V'Y5)でそれぞれ記録材上へ2次転写される。
【0055】
感光ドラム20Y上に形成されたパッチTY1〜TY5のトナー像は、感光ドラム20Yと1次転写ローラ25Yとの間の電圧印加により中間転写体26上に転写される。そして、イエロー(Y)に続いてマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のパッチも同様に形成し、さらに中間転写体26上のトナー像は中間転写体26と2次転写ローラ27との間の電圧印加により記録材11上へ転写され、記録材11上のトナー像は定着装置30によって定着され、記録材11上には、第一の実施例と同様な図5に示すパッチが形成される。また図3においてTY0、TM0、TC0、TBk0はトナー無し時の測定ポイントであり、下地である記録材自身の正・乱反射光成分を検知する。これらのパッチTY0〜TY5、TM0〜TM5、TC0〜TC5、TBk0〜TBk5を正反射光センサユニット40及び乱反射光センサユニット50により測定した結果をそれぞれDa及びDbとし、測定結果Da及びDbは制御部D内のRAM110に書き込まれる。
【0056】
図7(a)は正反射光センサユニット40の測定結果であり、図7(b)は乱反射光センサユニット50の測定結果である。本実施例において2次転写電圧V'Y1〜V'Y5、V'M1〜V'M5、V'C1〜V'C5、V'Bk1〜V'Bk5は温湿度センサの測定データから算出された環境データを基に設定されており、例えば図7では2次転写電圧V'Y1〜V'Y5において、トナー量がピークになる領域を選択している。図7(c)におけるDcは第一の実施形態と同様に(1)式を用いて求めた。本実施例目標とする2次転写電圧V'TYは、V'Y1〜V'Y5において補正値Dcが最大となるものを選択した(図中はV'Y3)。その結果は2次転写バイアス制御回路2に反映される。
【0057】
同様にしてCPU100は、他色用の現像電圧V'TM、V'TC、V'TBkも求め、これらの値を制御部D内のRAM110に書き込み、以後の画像形成にはこれらの2次転写電圧を用いる。
【0058】
潜像・現像プロセスを経て現像されたトナー像は、1次転写プロセスによって中間転写体26に1次転写され、上記Dmax制御によって補正された2次転写電圧によってトナー像は中間転写体26から記録材11上へ2次転写され、定着プロセスを経て画像形成装置外へ排出される。
【0059】
本実施例において2次転写電圧印加手段として2次転写電圧制御回路及び高圧電源を用いたが、2次転写電圧印加手段として定電流制御回路を用い、2次転写電流を定電流制御を行うことも可能である。
【0060】
また本実施例では2次転写方式を用いる画像形成装置において述べたが、図8に示すように感光ドラムから直接記録材に転写する1次転写方式を用いる画像形成装置における、1次転写電圧に本実施例のDmax制御を用いることも可能である。
【0061】
以上説明したように本実施例のように定着後の画像に対してトナー量載り量を検知することで、帯電プロセスから露光・現像・転写・定着など全てのプロセスによる影響を考慮してより正確に2次転写バイアスによるトナー量補正を行うことが可能となるため、記録材表面のトナー量変動による転写不良・定着不良などの画質不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係る2次転写方式を用いるカラー画像形成装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態に係る正反射光センサユニット及び乱反射光センサユニットの構成図
【図3】本実施例に係る画像補正用テストチャートの模式図
【図4】トナー量検知時のトナー有無による正・乱反射光変化のイメージ図
【図5】トナー量検知時のパッチ表面の平滑性による正・乱反射光変化のイメージ図
【図6】第一の実施形態における正・乱反射センサの出力値及び補正値
【図7】第二の実施形態における正・乱反射センサの出力値及び補正値
【図8】1次転写方式を用いるカラー画像形成装置の断面図
【符号の説明】
【0063】
1 現像電圧制御回路
2 2次転写電圧制御回路
5 給紙部
11 記録材
20 感光ドラム
21 帯電ローラ
22 スキャナ
23 トナーカートリッジ
24 現像ローラ
25 1次転写ローラ
26 中間転写体
27 2次転写ローラ
28 クリーニング手段
30 定着部
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33、34 ハロゲンヒータ
40 正反射光センサユニット
41、51 白色LED
42、52 電荷蓄積型センサ
50 乱反射光センサユニット
90 温湿度センサ
100 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段による現像電圧を印加することによりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段により前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記現像手段には前記現像電圧を印加する現像電圧印加手段と、前記現像電圧印加手段の出力電圧を制御する現像電圧制御手段を有し、
前記画像形成装置の前記記録材の搬送路における前記定着ニップ部より下流側に、
第1の光源及び前記記録材に対し前記第1の光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段、
及び前記光源とは異なる第2の光源及び前記第2の光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記現像電圧制御手段の出力値を補正することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段による現像電圧を印加することによりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段により前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記現像手段には前記現像電圧を印加する現像電圧印加手段と、前記現像電圧印加手段の出力電圧を制御する現像電圧制御手段を有し、
前記記録材の搬送路の前記定着ニップ部より下流側に、
光源及び前記記録材に対し前記光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段及び前記光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、
前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記現像電圧制御手段の出力値を補正することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項3】
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段によりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段による転写バイアスを印加することにより前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記転写手段には転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、前記転写バイアス印加手段の出力バイアスを制御する転写バイアス制御手段を有し、
前記画像形成装置の前記記録材の搬送路における前記定着ニップ部より下流側に、
第1の光源及び前記記録材に対し前記第1の光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段、
及び前記光源とは異なる第2の光源及び前記第2の光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記転写バイアス制御手段の出力値を補正することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項4】
感光体を帯電する帯電手段と、前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像手段によりトナー像として現像し、前記トナー像を転写手段による転写バイアスを印加することにより前記記録材上へ転写し、少なくとも加熱源を有する加熱回転体と前記加熱回転体に圧接する加圧回転体により構成され前記加熱回転体と前記加圧回転体とが圧接する定着ニップ部によって前記記録材上に前記現像剤を定着させる定着手段を有するカラー画像形成装置において、
前記転写手段には転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段と、前記転写バイアス印加手段の出力電圧を制御する転写バイアス制御手段を有し、
前記画像形成装置の前記記録材の搬送路における前記定着ニップ部より下流側に、
光源及び前記記録材に対し前記光源による照射光を照射時の乱反射光成分を検知する乱反射光検知手段及び前記光源による照射光を照射時の正反射光成分を検知する正反射光検知手段を有し、
前記乱反射光検知手段及び正反射光検知手段の検知結果を基に前記転写バイアス制御手段の出力値を補正することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項5】
請求項1または3に記載のカラー画像形成装置において、前記第1の光源には波長450nm以上750nm以下に出力強度のピークを持つ白色光源を用いることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項6】
請求項2または4に記載のカラー画像形成装置において、前記光源には波長450nm以上750nm以下に出力強度のピークを持つ白色光源を用いることを特徴とするカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−292835(P2008−292835A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139363(P2007−139363)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】