説明

キノリノン誘導体

式(I)
【化1】


[式中、Rはシアノであり、RはH、C1−6アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルアミノでありかつ前記C1−6アルキル基は置換されていてもよく、XはCHまたはNであり、Rは各々が置換されていないか或は置換されているフェニルもしくはピリジルであり、RはH、C1−6アルキル、(C1−6アルキルカルボニルアミノ)C1−6アルキル−、Ar、場合により置換されていてもよいチエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、−OPO(OH)、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、−Y−R、−Y−Alk−Rまたは−Y−Alk−Y−Rであり、RはH、ハロ、ヒドロキシまたはC1−6アルキルオキシであるか或はRとRが−O−CH−O−を形成しており、YはOまたはNRであり、YはOまたはNRであり、Alkは二価のC1−6アルキルであり、Rはピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−(C1−6アルキルカルボニル)ピペラジニル、ピリジルまたはイミダゾリルであり、RはH、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルであり、RおよびRはHまたはC1−6アルキルであり、Arは場合により置換されていてもよいフェニルである]で表されるHIV阻害性化合物(これらの立体異性体形態物、製薬学的に許容される塩および製薬学的に許容される溶媒和物を包含)、前記化合物(I)を有効成分として含有して成る製薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキノリノンおよび1,8−ナフチリジノン誘導体、それを抗HIV剤として用いることおよびそのような化合物を含有させた製薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は後天性免疫不全症候群(エイズ)の病因であり、これには2種類の異なる型、即ちHIV−1およびHIV−2が同定されている。本明細書では以降、そのような型の両方を一般的に表す目的で用語HIVを用いる。HIVに感染している患者が現在受けている治療は、多種の薬剤、例えば逆転写酵素阻害剤(RTI)、プロテアーゼ阻害剤(PI)および侵入阻害剤などの組み合わせを用いた治療である。RTIには数種、即ちヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、例えばジドブジン、ジダノシン、ザルシバチン、スタブジン、アバカビルおよびラミブジンなど、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、例えばネビラピン、デラビルジンおよびエファビレンズなど、およびヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NtRTI)、例えばテノフォビルなどが存在する。
【0003】
そのような抗レトロウイルス薬が成功裏に適用されているにも拘らず、それらは共通した制限、即ちHIVウイルスの中の標的酵素が変異を公知薬剤のいずれもそのような変異HIVウイルスに対して示す効果が低くなるか或は有効でなくなりさえするような様式で起こし得ると言った制限を有する。即ち、言い換えれば、HIVウイルスが如何なる利用可能な薬剤に対して作り出す耐性が高くなり続け、かつそのような耐性の発生が治療が失敗する主要な原因である。その上、新しく感染した人にも耐性ウイルスが持ち込まれる結果としてそのような薬剤による治療を受けていない患者に対する治療任意選択がひどく制限されることも分かってきている。特に、現在用いられているNNRTIはNNRTI結合部位を取り巻くアミノ酸が変異を起こすことが理由でそのような現象を起こし易い。従って、HIV逆転写酵素を標的にし、耐性の発生を遅らせることができかつ幅広いスペクトルのHIV変異株に対して有効である新しい型のHIV阻害剤が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、従来技術の化合物とは構造的に異なり、野生型HIVに対してばかりでなく多様な変異HIVウイルス(現在入手可能な逆転写酵素阻害剤に対して耐性を示す変異HIVウイルスを包含)に対しても活性を示す新規な一連の化合物を提供するものである。
【0005】
従って、1つの面において、本発明は式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
は、シアノであり、
は、H、C1−6アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルアミノであり、かつ前記C1−6アルキル基はヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル−カルボニルアミノ−、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ−、ピリジル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニルまたは4−(C1−6アルキル−カルボニル)ピペラジニルで置換されており、
は、CHまたはNであり、
は、各々がC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチルから各々独立して選択される1または2個の置換基で置換されているか或は置換されていなくてもよいフェニルもしくはピリジルであるか、或はRはベンゾオキサジアゾール、またはNがC1−6アルキルで置換されているベンゾオキサゾロンであり、Rは、H、C1−6アルキル、(C1−6アルキルカルボニルアミノ)C1−6アルキル−、Ar、チエニル、カルボキシルで置換されているチエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、−OPO(OH)、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、式−Y−R、−Y−Alk−Rまたは式−Y−Alk−Y−Rで表される基であり、
は、H、ハロ、ヒドロキシまたはC1−6アルキルオキシであるか、或は
とRが一緒になって二価基−O−CH−O−を形成しており、
は、OまたはNRであり、
は、OまたはNRであり、
Alkは、二価のC1−6アルキルであり、
は、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−(C1−6アルキルカルボニル)ピペラジニル、ピリジルまたはイミダゾリルであり、
は、H、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルであり、
は、HまたはC1−6アルキルであり、
は、HまたはC1−6アルキルであり、
Arは、場合によりC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ、カルボキシル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノカルボニルおよびC1−6アルキル、これはアミノ、ヒドロキシ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、[(モノ−もしくはジC1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル]カルボニルアミノまたはC1−6アルキルスルホニルアミノで置換されている、から各々独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである]
で表される化合物、これらの立体異性体形態物、製薬学的に許容される塩および製薬学的に許容される溶媒和物を包含する、に関する。
【0008】
用語「C1−4アルキル」は、基または基の一部として、炭素原子数が1から4の直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−メチル−プロピルなどを定義するものである。用語「C1−6アルキル」は、基または基の一部として、炭素原子数が1から6の直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基、例えばC1−4アルキルで定義した基および1−ペンチル、2−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチルブチル、3−メチルペンチルなどを定義するものである。C1−6アルキルの中でC1−4アルキル基に興味が持たれる。
【0009】
基Alkは二価のC1−4アルキルまたはC1−6アルキルを表し、これらは他の様式でまたC1−4アルカンジイルまたはC1−6アルカンジイルとも呼ばれ得る。用語「二
価のC1−6アルキル」または「C1−6アルカンジイル」は、炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝鎖飽和二価炭化水素基、例えばメチレン、1,2−エタンジイルもしくは1,2−エチレン、1,3−プロパンジイルもしくは1,3−プロピレン、1,2−プロパンジイルもしくは1,2−プロピレン、1,4−ブタンジイルもしくは1,4−ブチレン、1,3−ブタンジイルもしくは1,3−ブチレン、1,2−ブタンジイルもしくは1,2−ブチレン、1,5−ペンタンジイルもしくは1,5−ペンチレン、1,6−ヘキサンジイルもしくは1,6−ヘキシレンなどを定義するものであり、これにはまたアルキリデン基、例えばエチリデン、プロピリデンなども含まれる。用語「二価のC1−4アルキル」または「C1−4アルカンジイル」は、炭素原子数が1から4の類似直鎖もしくは分枝鎖飽和二価炭化水素基を定義するものである。その二価のC1−4アルキルまたはC1−6アルキルが2個のヘテロ原子と結合している場合、R、RおよびRが水素以外ではない限り、前記ヘテロ原子は好適には同じ炭素原子には結合していない。特に二価のC2−4アルキルまたは二価のC2−6アルキル基に興味が持たれる。
【0010】
用語「C2−6アルケニル」は、基または基の一部として、飽和炭素−炭素結合を有しかつ二重結合を少なくとも1個有する炭素原子数が2から6の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばエテニル(もしくはビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(もしくはアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ペンテニルなどを定義するものである。二重結合を1個有するC2−6アルケニルが好適である。C2−6アルケニル基の中でC2−4アルケニル基に興味が持たれる。用語「C3−6アルケニル」はC2−6アルケニルと同様であるが、炭素原子数が3から6の不飽和炭化水素基に制限される。C3−6アルケニルがヘテロ原子と結合している場合、そのヘテロ原子と結合している炭素原子は好適には飽和である。
【0011】
用語「C2−6アルキニル」は、基または基の一部として、飽和炭素−炭素結合を有しかつ三重結合を少なくとも1個有する炭素原子数が2から6の直鎖および分枝鎖炭化水素基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、2−メチル−2−ブチニル、2−メチル−2−ペンチニルなどを定義するものである。三重結合を1個有するC2−6アルキニルが好適である。C2−6アルキニル基の中でC2−4アルキニル基に興味が持たれる。用語「C3−6アルキニル」はC2−6アルキニルと同様であるが、炭素原子数が3から6の不飽和炭化水素基に制限される。C3−6アルキニルがヘテロ原子と結合している場合、そのヘテロ原子と結合している炭素原子は好適には飽和である。
【0012】
用語「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードの総称である。用語「H」は水素を表す。用語「カルボキシル」は基−COOHを指す。
【0013】
用語「ポリハロC1−6アルキル」は、基または基の一部(例えばポリハロC1−6アルコキシのように)として、モノ−もしくはポリハロ置換されているC1−6アルキル、特に1、2、3、4、5、6またはそれ以上のハロ原子で置換されているC1−6アルキル、例えば1個以上のフルオロ原子で置換されているメチルもしくはエチル、例えばジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルなどであるとして定義する。トリフルオロメチルが好適である。また、パーフルオロC1−6アルキル基も含まれ、これは全ての水素原子がフルオロ原子に置き換わっているC1−6アルキル基、例えばペンタフルオロエチルなどである。ポリハロC1−6アルキルの定義の範囲内のアルキル基にハロゲン原子が2個以上結合している場合、そのハロゲン原子は同じまたは異なってもよい。
【0014】
様々の複素環のいろいろな異性体も本明細書および請求項全体に渡って用いる如き定義の範囲内であり得ることを注目すべきである。例えば、トリアゾールは1,2,4−トリアゾール、1,3,4−トリアゾールまたは1,2,3−トリアゾールであってもよく、同様にピロールは1H−ピロールまたは2H−ピロールであってもよい。
【0015】
また、前記定義で用いた如何なる分子部分上の基の位置(radical position)もそれが化学的に安定である限り前記部分上の如何なる位置であってもよいことも注目すべきである。例えば、ピリジンには2−ピリジン、3−ピリジンおよび4−ピリジンが含まれ、ペンチルには1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルが含まれる。Rはピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−(C1−6アルキルカルボニル)ピペラジニル、ピリジルまたはイミダゾリルであるが、これらの環は各々分子の残りと窒素原子または炭素原子を通して連結していてもよい。
【0016】
不明確さを回避する目的で、前記定義の中の基のいくつかでは、その基を分子の残りと連結させている結合をダッシュで示し、例えば(C1−6アルキルカルボニルアミノ)C1−6アルキル−は、その基が右側のC1−6アルキル部分の炭素原子を通して連結していることを意味する。基ベンゾオキサジアゾールまたはNがC1−6アルキルで置換されているベンゾオキサゾロンはそれぞれ
【0017】
【化2】

【0018】
で描写可能であり、ここで、破線は、各基を分子の残りと連結させている結合を表し、そしてRはC1−6アルキルを表す。1つの態様におけるそのような基はベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール、例えばベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール−5−イルおよびベンゾ[1,2,5]オキサジアゾール−6−イルなど、または3−C1−6アルキル−2−オキソ−3H−ベンゾオキサゾリル、例えば3−C1−6アルキル−2−オキソ−3H−ベンゾオキサゾール−5−イルおよび3−C1−6アルキル−2−オキソ−3H−ベンゾオキサゾール−6−イルなどである。
【0019】
いずれかの変項、例えばハロ(ゲン)またはC1−6アルキルがいずれかの分子部分に2回以上存在する場合、各定義は独立している。
【0020】
式(I)で表される化合物の塩を治療で用いる場合の塩は対イオンが製薬学的または生理学的に許容される塩である。しかしながら、また、製薬学的に許容されない対イオンを有する塩も例えば式(I)で表される製薬学的に許容される化合物を製造または精製する時などに使用可能である。塩が製薬学的に許容されるか或は許容されないかに拘わらず、あらゆる塩を本発明の範囲内に包含させる。
【0021】
本発明の化合物が形成し得る製薬学的に許容されるか或は生理学的に許容される付加塩形態物の調製は、便利に、適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸など、硫酸、ヘミ硫酸、硝酸、燐酸など、または有機酸、例えば酢酸、アスパラギン酸、ドデシル硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼン
スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などを用いて実施可能である。逆に、前記酸付加塩形態物を適切な塩基で処理することで遊離塩基形態物に変化させることも可能である。
【0022】
また、酸性プロトンを含有する式(I)で表される化合物を適切な有機および無機塩基で処理することで無毒の金属もしくはアミン付加塩基塩形態物に変化させることも可能である。適切な塩基塩形態物には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩など、およびアミノ酸との塩、例えばアルギニン、リシンなどとの塩が含まれる。逆に、前記塩基付加塩形態物を適切な酸で処理することで遊離酸形態物に変化させることも可能である。
【0023】
用語「製薬学的に許容される溶媒和物」には、本発明の化合物が形成し得る製薬学的に許容される水化物および溶媒付加形態物が含まれる。そのような形態物の例は、例えば水化物、アルコラート、例えばメタノラート、エタノラート、プロパノラートなどである。
【0024】
本化合物はまた互変異性体形態でも存在し得る。そのような形態を本明細書および請求項に示す式に明確には示さなかったが、それらも本発明の範囲内に包含させることを意図する。例えば、XがNであってもよくそしてRがXに隣接して置換されているヒドロキシであってもよい場合、以下に示すように、ヒドロキシピリジン部分がこれの互変異性体形態と平衡状態で生じ得る。
【0025】
【化3】

【0026】
本明細書で用いる如き用語「立体化学異性体形態物」は、本発明の化合物が持ち得る同じ配列の結合で結合している同じ原子で構成されてはいるが交換不能な異なる三次元構造を有する可能なあらゆる化合物を定義するものである。特に記述することも指示することもない限り、ある化合物の化学的表示は、当該化合物が持ち得る可能なあらゆる立体化学的異性体形態の混合物を包含する。そのような混合物は当該化合物の基本的分子構造を有するあらゆるジアステレオマーおよび/または鏡像異性体を含有している可能性がある。高純度の形態または互いの混合物(如何なるラセミ混合物もラセミ体も包含)の形態の両方の本発明の化合物のあらゆる立体化学的異性体形態を本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0027】
本明細書に挙げる如き化合物および中間体の高純度の立体異性体形態物を、前記化合物もしくは中間体と同じ基本的分子構造を有する他の鏡像異性体もしくはジアステレオマー形態物を実質的に含有しない異性体であるとして定義する。特に、用語「立体異性体的に高純度」は、立体異性体過剰度が少なくとも80%(即ち、ある異性体が最小限で90%でありかつ可能な他の異性体が最大で10%)から立体異性体過剰度が100%(即ち、ある異性体が100%でその他がゼロ)に及ぶ化合物もしくは中間体、より特別には立体異性体過剰度が90%から100%、更により特別には立体異性体過剰度が94%から100%、最も特別には立体異性体過剰度が97%から100%に及ぶ化合物もしくは中間体に関する。用語「鏡像異性体的に高純度」および「ジアステレオマー的に高純度」も同様な様式で理解されるべきであるが、この場合にはそれぞれ当該混合物の鏡像異性体過剰度およびジアステレオマー過剰度に関する。
【0028】
当該技術分野で公知の手順を適用することで本発明の化合物および中間体の高純度の立体異性体形態物を得ることができる。例えば、光学活性酸もしくは塩基を用いてそれらのジアステレオマー塩を生じさせてそれを選択的に結晶化させることを通して、鏡像異性体を互いから分離することができる。その例は酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンホスルホン酸(camphosulfonic acid)である。別法として、キラル固定相を用いたクロマトグラフィー技術で鏡像異性体を分離することも可能である。また、相当する高純度の立体化学異性体形態の適切な出発材料を用いることでもそのような高純度の立体化学異性体形態物を生じさせることができるが、但し反応が立体特異的に起こることを条件とする。特定の立体異性体が望まれる場合、好適には、立体特異的調製方法を用いて前記化合物の合成を行う。そのような方法では有利に鏡像異性体的に高純度の出発材料を用いる。
【0029】
通常の方法を用いて式(I)のジアステレオマーラセミ体を個別に得ることができる。有利に使用可能な適切な物理的分離方法は、例えば選択的結晶化およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーなどである。
【0030】
また、本発明に本発明の化合物に存在する原子の如何なる同位元素も包含させることも意図する。例えば水素の同位元素にはトリチウムおよびデュテリウムが含まれ、そして炭素の同位元素にはC−13およびC−14が含まれる。
【0031】
用語「式(I)で表される化合物」、「本化合物」、「本発明の化合物」または相当する用語のいずれかおよび同様に用語「式(I)で表される化合物のサブグループ」、「本化合物のサブグループ」、「本発明の化合物のサブグループ」または相当する用語のいずれかを本明細書の上および本明細書の以下で用いる時にはいつでも、それに一般式(I)で表される化合物または一般式(I)で表される化合物のサブグループ(立体異性体ばかりでなくそれらの塩および溶媒和物も包含)を包含させることを意味する。
【0032】
特に明記しない限り、環原子の番号付けは下記の通りである:
【0033】
【化4】

【0034】
本発明の1つの態様は、下記:
(a)Rがシアノであるか、
(b)RがH、C1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノであるか、
(c)XがCHまたはNであるか、
(d)Rが各々がC1−6アルキル、ニトロおよびハロから選択される1または2個の置換基で置換されているか或は置換されていなくてもよいフェニルもしくはピリジルであるか、
(e)RがH、C1−6アルキル、フェニル、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、−OPO(OH)、アミノ、式−Y−R、−Y−Alk−Rで表される基または式−Y−Alk−Y−Rで表される基であり、かつRがH、ヒドロキシ
またはC1−6アルキルオキシであるか、或はRとRが一緒になって二価基−O−CH−O−を形成しているか、
(f)YがOまたはNRであるか、
(g)YがOまたはNRであるか、
(h)Alkが二価のC1−6アルキルであるか、
(i)Rがピロリジニルまたはピペリジニルであるか、
(j)RがHまたはC1−6アルキルであるか、
(k)RがHまたはC1−6アルキルであるか、
(l)RがHまたはC1−6アルキルであるか、或は
(m)RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、4−C1−6アルキルピペラジンを形成している、
の中の1つ以上が当てはまる式(I)で表される化合物を包含する。
【0035】
本発明のさらなる態様は、下記:
(a)RがH、C1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルアミノであり、かつ前記C1−6アルキル基がヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ−、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ−、ピリジル、イミダゾリル、ピロリジニルで置換されているか、
(b)Rが各々がC1−6アルキル、ニトロ、シアノ、ハロから選択される1または2個の置換基で置換されているか或は置換されていなくてもよいフェニルもしくはピリジルであるか、或はRがベンゾオキサジアゾール、またはNがC1−6アルキルで置換されているベンゾオキサゾロンであるか、
(c)RがH、C1−6アルキル、Ar、チエニル、カルボキシルで置換されているチエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、−OPO(OH)、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、式−Y−R、−Y−Alk−Rまたは式−Y−Alk−Y−Rで表される基であるか、
(d)RがH、ハロ、ヒドロキシまたはC1−6アルキルオキシであるか、或は
(e)RとRが一緒になって二価基−O−CH−O−を形成しているか、
(f)Rがピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピリジルまたはイミダゾリルであるか、
(g)RがH、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルであるか、
(h)RがHまたはC1−6アルキルであるか、
(i)RがHまたはC1−6アルキルであるか、或は
(j)Arが場合によりC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノカルボニルおよびC1−6アルキル、これはアミノ、ヒドロキシ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、[(モノ−もしくはジC1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル]カルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノで置換されている、から各々独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、
の中の1つ以上が当てはまる式(I)で表される化合物またはこれらのサブグループのいずれも包含する。
【0036】
本発明の態様は、下記:
(a)RがC1−6アルキルまたはアミノであるか、
(b−1)XがCHであるか、或は(b−2)XがNであるか、
(c)Rがニトロで置換されているフェニルであるか、或はRがハロで置換されてい
るピリジルであるか、
(d)Rが7位に位置する置換基であるか、
(e)Rが6位に位置する置換基であるか、
(f)YがOまたはNHであるか、
(g)YがOまたはNRであるか、
(h)Alkが二価のC1−4アルキルであるか、或はより特別には−Y−Alk−R中のAlkがメチレンであるか、−Y−Alk−Y−R中のAlkが二価のC2−4アルキルであるか、
(i)Rがピロリジニルであるか、
(j)RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン、モルホリンを形成している、
の中の1つ以上が当てはまる式(I)で表される化合物または式(I)で表される化合物サブグループのいずれかである。
【0037】
1つの態様におけるArは、場合により本明細書に示す如き置換基1または2個で置換されていてもよいフェニルである。別の態様におけるArは、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノカルボニルおよびC1−6アルキル、これはアミノ、ヒドロキシ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、[(モノ−もしくはジC1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル]カルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノで置換されている、で置換されておりかつ場合によりC1−6アルキル、ハロおよびヒドロキシから選択される更に1個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0038】
式(I)で表される化合物または本明細書に記述する方法で用いる中間体の特別なサブグループは、Rがニトロおよびハロから独立して選択される1または2個の置換基で置換されているフェニルであり、特にRがニトロで置換されているフェニルであり、より特別にはRが4−ニトロフェニルであるサブグループである。さらなる態様におけるRは、ハロ、特にクロロで置換されているピリジルであり、より特別にはRは基
【0039】
【化5】

【0040】
であり、これは2−クロロ−ピリジン−5−イルもしくは6−クロロ−3−ピリジニルとして表示可能である。さらなる態様におけるRは、シアノとC1−6アルキルで置換されているフェニルであり、特にRは4−シアノと3−C1−6アルキルで置換されているフェニルであり、より特別にはRは3−メチル−4−シアノフェニルである。
【0041】
式(I)で表される化合物の範囲内のさらなるサブグループは、Rが7位に位置する置換基でありそしてRが6位に位置する置換基である化合物を包含するサブグループである。
【0042】
本発明の化合物の特別なサブグループは、式(I)で表される化合物が酸付加塩形態物として存在する式(I)で表される化合物または本明細書に示すサブグループのいずれかである。特にトリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、しゅう酸塩、酢酸塩およびクエン酸塩である付加塩形態物に興味が持たれる。
【0043】
本発明の化合物は抗レトロウイルス特性を示し、特にそれらはHIVに対して活性を示す。特に、式(I)で表される化合物は、HIV逆転写酵素の阻害剤である。一般に、本発明の化合物は、EC50とCC50の間の比率で測定して良好な選択性を示しかつ耐性変異体株に対して良好な活性を示しかつ多剤耐性株に対してさえ良好な活性を示す。現在用いられているHIV逆転写酵素(「RT」)阻害剤は、RT酵素が変化する原因になる変異が理由で効果を失い、その結果として、その阻害剤とRT酵素の相互作用が有効でなくなることで、そのウイルスがそのRT阻害剤に対してあまり「感受性」を示さなくなってしまう。RT阻害剤がもはや有効でなくなった変異体を「耐性変異体」と呼ぶ。「多剤耐性」は、変異体が他の複数のHIV RT阻害剤に対して耐性を示す状態である。ある変異体がある特別なHIV RT阻害剤に対して示す耐性は、変異HIV RTを用いて測定した時にHIV RT阻害剤が示すEC50と野生型HIV RTを用いて測定した時に同じHIV RT阻害剤が示すEC50の比率で表される。この比率はまた「フォールドチェンジ」インレジスタンス(”fold change” in resistance)(FR)とも呼ばれる。EC50値は、HIVに感染させて工学処理した細胞の蛍光を50%低下させるに必要な化合物量を表す値である。
【0044】
病院内で発生する変異体の多くはネビラピン、エファビレンズ、デラビルジンの如き市販のHIV NNRTIに対して100以上のフォールドレジスタンスを示す。HIV逆転写酵素の臨床的に関連した変異体は、コドン位置100、103および181の所に変異を有することで特徴づけ可能である。本明細書で用いる如きコドン位置は、蛋白質配列の中のアミノ酸の位置を意味する。位置100、103および181の所の変異は非ヌクレオシド系RT阻害剤に関係している。
【0045】
興味の持たれる化合物は、少なくとも1種の変異HIV逆転写酵素に対して0.01から100の範囲、特に0.1から30の範囲、より特別には0.1から20の範囲、更に特別には0.1から10の範囲のフォールドレジスタンスを示す式(I)で表される化合物である。HIV逆転写酵素のアミノ酸配列の中の100、103および181から選択した位置に野生型配列と比較して少なくとも1個または少なくとも2個の変異を持つHIV種に対して0.01から100の範囲、特に0.1から30の範囲、より特別には0.1から20の範囲、更に特別には0.1から10の範囲のフォールドレジスタンスを示す式(I)で表される化合物に興味が持たれる。
【0046】
式(I)で表される化合物は、一般に、現在利用可能なNNRTI、例えばネビラピン、エファビレンズ、デラビルジンなどに対して耐性を示す変異株に対して活性を示す。本発明の化合物はRT阻害剤と競合し、かつ更に燐酸ヌクレオシド、例えばATPなどと一緒に投与した時に向上した活性を示す点でユニークな作用機構を通して相互作用する。従って、本発明の化合物は現在利用可能なRTIと一緒にしたHIV薬剤組み合わせとして使用可能である。
【0047】
本発明の化合物はHIV感染が理由で現れる他の病気を治療する目的でも使用可能であり、そのような病気には血小板減少症、カポジ肉腫および進行性脱髄で特徴づけられる中枢神経系感染(結果として認知症および進行性構音障害、運動失調および見当識障害などの如き症状が現れる)が含まれる。本発明の化合物に関係してそれを用いることで治療可能な更に他の病気には末梢神経障害、進行性全身性リンパ節腫(PGL)およびエイズ関連症候群(ARC)が含まれる。
【0048】
本発明の化合物は有益な薬理学的特性、特にHIVに対抗する活性を有することから、上述した病気に対抗する薬剤としてか或はそれの予防で使用可能である。前記薬剤としての使用または治療方法は、HIVに感染した被験体にHIVに関連した病気を防除するに有効な量で全身投与することを含んで成る。
【0049】
本発明は、さらなる面において、式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかを薬剤として用いることに関する。別の面において、本発明は、式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかをHIV感染またはHIV感染に関連した病気を予防、治療または防除する薬剤を製造する目的で用いることに関する。
【0050】
別の面において、本発明は、式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかをHIV、特に変異HIV逆転写酵素、より特別には多剤耐性変異HIV逆転写酵素を有するHIVの複製を阻害するに有用な薬剤を製造する目的で用いることに関する。
【0051】
本発明は、更に別の面において、式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかをHIVウイルスの逆転写酵素が変異を起こした、特に多剤耐性変異HIV逆転写酵素を有するHIVウイルスによる感染に関連した病気を予防、治療または防除するに有用な薬剤を製造する時に用いることに関する。
【0052】
式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれもまたヒトにおけるHIV感染または感染に関連した病気を予防、治療または防除する方法で用いるにも有用であり、この方法は、前記哺乳動物に式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかを有効な量で投与することを含んで成る。
【0053】
別の面において、式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれも変異HIVによる感染またはヒトが変異HIVに感染することに関連した病気を予防、治療または防除する方法で用いるに有用であり、この方法は、前記哺乳動物に式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかを有効な量で投与することを含んで成る。
【0054】
別の面において、式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれも多剤耐性HIVによる感染またはヒトが多剤耐性HIVに感染することに関連した病気を予防、治療または防除する方法で用いるに有用であり、この方法は、前記哺乳動物に式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかを有効な量で投与することを含んで成る。
【0055】
更に別の面において、式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれもHIV、特に変異HIV逆転写酵素、より特別には多剤耐性変異HIV逆転写酵素を有するHIVの複製を阻害する方法で用いるに有用であり、この方法は、それを必要としているヒトに式(I)で表される化合物またはこれのサブグループのいずれかを有効な量で投与することを含んで成る。
【0056】
本発明の化合物を製造するいろいろな合成手順を以下に記述する。これらの手順では、反応生成物を単離してもよく、そして必要ならば、当該技術分野で一般に公知の方法、例えば抽出、結晶化、磨り潰し(trituration)およびクロマトグラフィーなどに従って更に精製してもよい。
【0057】
が水素またはC1−6アルキルである(このRをR2aで表す)式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−a)で表す]の調製は、アニリンもしくはアミノピリジン誘導体(II)とシアノ酢酸エステル(III)を以下の反応スキームに示すようにして反応させることで実施可能である:
【0058】
【化6】

【0059】
前記および以下の反応スキームに示すR2a、R、RおよびRはこの上で示した通りであり、ZはOまたはN−Rであり、そして中間体(III)におけるRはC1−4アルキルであり、特にRはメチルまたはエチルである。これらのスキームに示すRおよびRは、反応条件がこの置換基のいろいろな意味の中のいくらかまたは全部の存在を許容する場合に存在していてもよい。ある場合、例えばRがヒドロキシまたはハロである場合、そのような置換基は反応中に妨害を起こす可能性があり、この置換基のそのような意味は排除されるべきである。
【0060】
式(II)で表されるアニリンもしくはアミノピリジン誘導体の調製は、ベンズアルデヒドもしくはピリジニルアルデヒド(IV)、例えばα−ブロモベンズアルデヒドなどと芳香族アミンAr−NH(III)を反応させることで実施可能であり、そしてそのようにして得た中間体(II−a)を場合により相当するアルデヒド(II−b)に変化させてもよい。(II−a)またはアルデヒド(II−b)のいずれかとシアノ酢酸エステル(III)を上述したようにして反応させてもよい。以下のスキームに示すR、RおよびRはこの上に示した通りであり、そしてLgはこの上に示した如き脱離基R2aである:
【0061】
【化7】

【0062】
基Lgは適切な如何なる脱離基であってもよく、例えばハロ、スルホネート基、例えばメシレート、トシレート、ブロシレート、トリフレートなどであってもよい。1つの態様におけるLgはLgであり、これはハロ、特にクロロ、ブロモ、ヨード、または疑似ハロ基、例えばトリフレート(もしくはトリフルオロメタンスルホネート)基などである。
【0063】
(IV)と(V)から(II−a)を生じさせる変換はアリールアミノ化反応であり、この反応では芳香族ハライドもしくは疑似ハライド(例えばトリフレート)とアミンを反応させる。1つの態様におけるそのようなアリールアミノ化反応はBuchwald−Hartwig型の反応であり、この反応は、芳香族ハライドもしくは疑似ハライドとアミンを触媒、特にパラジウム触媒の存在下で反応させることを含んで成る。適切なパラジウム触媒はパラジウムホスフィン錯体、例えばパラジウムキサントフォス錯体、特にPd(キサントフォス)[キサントフォスは9,9’−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテンである]、DPPFとパラジウムの錯体、例えば(DPPF)PdCl[DPPFは1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンである]、パ
ラジウムと1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイルビス(ジフェニルホスフィン)(BINAP)の錯体[これはそのまま使用可能であるか或はインシトゥで調製可能であり、例えばパラジウム塩もしくはパラジウム錯体、例えば酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))または(パラジウム)(ジベンジリデンアセトン)(Pd(dba))などとBINAPを反応させることなどで調製可能である]などである。前記BINAP配位子をラセミ形態で用いることも可能である。この反応は適切な溶媒、例えば芳香族炭化水素、例えばトルエンなど、またはエーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、メチルTHF、ジオキサンなど中で塩基、例えばアルカリ金属の炭酸塩もしくは燐酸塩、例えば炭酸もしくは燐酸のNaもしくはK塩、または特にCsCOなど、アルコキサイド塩基、特にアルカリ金属のC1−6アルコキサイド、例えばナトリウムもしくはカリウムt−ブトキサド(NaOtBuまたはKOtBu)など、または有機塩基、例えば1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)または第三級アミン(例えばトリエチルアミン)などを存在、特に炭酸セシウムを存在させて実施可能である。
【0064】
式(II−a)で表される中間体から相当する式(II−b)で表されるアルデヒドを生じさせる変換は、前者に酸水溶液、例えばHClもしくはHBr水溶液などを用いた処理を受けさせることで実施可能である。ある場合には、式(II−a)で表される中間体から式(II−b)で表される中間体が生じる変換が(IV)と(V)の反応物を処理している時に起こるであろう。この反応が終了した時点で(IV)と(V)の反応の反応混合物に酸水溶液を添加、例えばHCl水溶液などを添加することで塩基性成分、例えば未反応のR−NH(V)などを除去してもよい。この洗浄段階によってエナミン(II−a)が加水分解を起こしてアルデヒド(II−b)が生じ得る。この加水分解は置換基に応じて速度が相対的に遅いことで(II−a)と(II−b)の混合物がもたらされる可能性があるか、或は相対的に速いことで(II−b)がもたらされる可能性がある。その酸性にした反応媒体に中間体(II−a)が不溶な時にはその結果として(II−a)が沈澱を起こすことで(II−b)が生じる加水分解がほとんどか或は全く起こらないことを確認した一方、その酸性にした反応媒体に中間体(II−a)が可溶な場合には加水分解が起こることを確認した。その酸性にした反応媒体中で(II−a)が示す溶解性は、選択する媒体および置換基の性質に依存する。
【0065】
(II−a)と(II−b)の混合物が得られる場合、前記混合物を(III)と反応させることで所望の最終生成物(I−a)を生じさせてもよい。
【0066】
(II)とシアノ酢酸エステル(III)から最終生成物(I−a)を生じさせる縮合は反応に不活性な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなど、エーテル、例えばTHFなど、双極性で非プロトン性の溶媒、例えばDMA、DMF、DMSO、NMPなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルムなど、芳香族炭化水素、例えばトルエンなど、グリコール、例えばエチレングリコールなど中で塩基、例えばアミン、例えばピペリジン、ピロリジン、モルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPE)などを存在させて実施可能である。
【0067】
また、式(IV)で表される中間体が有するアルデヒド官能に保護を例えばアセタールなどとして受けさせることも可能であり、そのようにして得た式
【0068】
【化8】

【0069】
で表されるアセタール化合物を(V)と反応させてもよい。(IV−a)中の基RおよびRはC1−4アルキル、例えばメチルまたはエチルなどを表すか、或はRとRが一緒になってエチレンまたはプロピレンを形成している。そのアセタール基の導入および除去は当該技術分野で公知の手順に従って実施可能であり、例えばそのアルデヒドと所望のアルコールもしくはジオールを酸の存在下で反応させながら水を除去することでそれを導入することができそしてそのアセタールに酸水溶液を用いた処理を受けさせるか或はアセタール交換反応をケトン溶媒、例えばアセトンなどの存在下で起こさせることでそれを除去することができる。
【0070】
Lgがハロである式(IV)もしくは(IV−a)で表される中間体は商業的に入手可能であるか或は公知方法を用いて調製可能である。例えば、Lgがブロモである中間体(IV)の調製は、場合により置換されていてもよいベンズアルデヒドと臭素化剤を反応、例えば前記ベンズアルデヒドを塩基(例えばブチルリチウムおよびトリメチルエチレンジアミン)と反応させた後にCBrと反応させることなどで実施可能である。式(IV)で表される他の誘導体の調製もハロ基の代わりに他の脱離基を用いることで実施可能である。
【0071】
式(I−a)で表される化合物、特にR2aがC1−6アルキルである化合物の調製は、アニリン誘導体(VI)とシアノ酢酸(III)を反応させることで式(VII)で表されるシアノアセチルアニリド誘導体を得そして次にそれを環化させてシアノキノリノン(VIII)を生じさせた後に後者にN−アリール化を以下の反応スキームに例示するようにして受けさせることで実施可能である。(VI)と(III)の反応は、アミド基を生じさせるに適した反応条件を基にしてそのような基を生じさせることを伴う。例えば、(III)と(VI)をカップリング剤、例えばカルボジイミド(DCC、EEDQ、IIDQまたはN−3−ジメチルアミノプロピル−N’−エチルカルボジイミドもしくはEDC)、N,N’カルボニルジイミダゾール(CDI)などを用いて場合により触媒、例えばヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)などを存在させて反応に不活性な溶媒、例えばハロゲン置換炭化水素、例えばCHClなど、またはエーテル、例えばTHFなど中で反応させてもよい。
【0072】
【化9】

【0073】
(VIII)のN−アリール化では、反応体R−W{ここで、Rはこの上に示した通りであり、そしてWはボロン酸[即ちWが−B(OH)]またはボロン酸エステル[即ちWが−B(OR)](ここで、Rはアルキルまたはアルキレンであり、例えばRはメチル、エチルまたはエチレンである)などの如き基である}を用いる。この反応を銅塩、特に酢酸銅(II)の存在下で実施してもよく、そしてその反応混合物に塩基、特に第三級アミンまたは第三級アミンの混合物、例えばピリジンまたはトリエチルアミンまたは両方の混合物などを添加してもよい。適切な溶媒、例えばDMF、DMA、ジクロロメタンなどを添加してもよいか、或はピリジンを溶媒として用いることも可能である。
【0074】
が水素である式(I)で表される化合物[この化合物を式(I−b)で表す]の調製は、式(X)で表されるベンズアルデヒドもしくはピリジルアルデヒドとシアノアセチルアミド(IX)を縮合させることで実施可能である。(X)中のLgは、(VI)と(III)の反応に関連してこの上に示した如くである。
【0075】
【化10】

【0076】
(IX)と(X)の反応は、Buchwald−Hartwig縮合を実施した後直ちに(I−b)を環化させることを伴い、これを(IV)と(V)の反応に関連して上述した如きBuchwald−Hartwig縮合反応の反応条件、特にキサントフォス、Pd(dba)およびCsCOを用いて実施する。この反応をRがハロ、例えばクロロまたはブロモである式(I)で表される化合物を用いて実施すると、そのハロ基が使用する塩基(例えばCsCO)の影響下でヒドロキシ基に置き換わり得ることでRがOHである化合物(I−a)がもたらされ得る。XがNでありそしてその結果として生じるヒドロキシ基がそのNに隣接して位置する場合、その結果として以下のスキームに概略を示すように相当する環式アミド(I−b−1)がもたらされ得る
【0077】
【化11】

【0078】
シアノアセチルアミド(IX)の調製は、アミンR−NH(XI)とシアノ酢酸(XII)のカップリングをアミド結合形成反応、例えばこの上に記述した反応条件を使用、例えばカルボジイミドカップリング剤、例えばEDCなどをHOBTの存在下で用いることなどで起こさせることで実施可能である。
【0079】
【化12】

【0080】
がアミノである式(I)で表される化合物、即ち化合物(I−c)の調製は、Rが上述した如くであるアルキルシアノアセテート(III)とアニリン誘導体(XV)を反応させることで実施可能である。この(XV)と(III)の縮合を強塩基、例えばアルカリ金属の水素化物、例えばNaHなどを存在させて反応に不活性な溶媒、例えばエーテル、例えばTHFなど中で実施する。その出発材料(XV)の調製は、中間体(XIII)とR−Lg(XIV)(ここで、Lgは脱離基であり、これは上述した如くであり、特にフルオロである)を反応させて中間体(XV)を得ることで実施可能である。
【0081】
【化13】

【0082】
出発材料(XV)をまたLgがこの上に示した如き脱離基である、好適にはLgがフルオロである中間体(XVI)とR−NHを強塩基、例えばアルカリ金属のアルコキサイド、例えばKOtBuなどを存在させて反応に不活性な溶媒、例えば双極性の非プロトン性溶媒、例えばDMSOなど中で反応させることで得ることも可能である。
【0083】
【化14】

【0084】
がHである式(I)で表される化合物、即ち化合物(I−d)の調製は、キノリニルアルデヒド(XVII)とヒドロキシルアミンを用いて出発してシアノキノリノン(XVIII)を生じさせた後にそれにR−Lgを用いたアリール化を上述した如き手順に従って受けさせることで実施可能である。
【0085】
【化15】

【0086】
がヒドロキシである式(I)で表される化合物、即ち化合物(I−e)の調製は、フェニルもしくはピリジンカルボン酸(XXI)を用いて実施可能である。その後者から活性エステル、例えばHOBtエステルなどを生じさせる変換をカップリング用反応体、例えばカルボジイミド(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、DCC)などを用いて適切な溶媒、例えばエーテル(例えばTHF)またはハロゲン置換炭化水素(例えばCHCl)など中で実施する。アルキルシアノ酢酸(III)に強塩基、例えばアルカリ金属の水素化物(例えばNaH)などを用いた処理を適切な溶媒、例えば(XXI)で表される活性エステルの調製で用いた溶媒など中で受けさせることで(III)をこれのアニオン形態に変化させた後、その後者と(XXI)で表される活性エステルを環化条件下で反応させることで(I−e)を生じさせる。
【0087】
【化16】

【0088】
出発フェニルもしくはピリジンカルボン酸(XXI)を、Lgがこの上に示した如く
であるフェニルもしくはピリジルシアニド(XIX)とR−NHを上述した如き反応条件を用いたBuchwald−Hartwigアリール化反応で反応させて中間体(XX)を生じさせることを通して得る。次に、その後者に加水分解を塩基水溶液、例えばアルカリ金属水酸化物の水溶液(例えばKOHのエタノール溶液)などを用いて受けさせることで相当するカルボン酸(XXI)を生じさせる。その結果として得た塩から相当する酸を生じさせる変換を弱酸、例えばしゅう酸などを用いて起こさせる。
【0089】
式(I−e)で表される化合物の調製をまた中間体(IX)とアリールカルボニルハライド(XXII)、特にアリールカルボニルクロライドを強塩基、例えばアルカリ金属の水素化物、例えば水素化ナトリウムなどの存在下で縮合させることで実施することも可能である。
【0090】
【化17】

【0091】
その結果として得た化合物(I−e)をRがいろいろな官能基であり得るいろいろな類似物に変化させることができる。化合物(I−a−6)が有するヒドロキシ基を脱離基、例えばスルホニルオキシ基、例えばトリフレート基など、または特にハロ基、例えばクロロまたはブロモなどにする変換は、出発化合物(I−c)をハロゲン化スルホニルまたはハロゲン化剤、例えばPOClなどと反応させることで実施可能である。そのような反応でLgがこの上に示した脱離基である中間体(XXIII)が生じ、それをRがアミノもしくは置換アミノである式(I)で表される化合物に変化させることができる。この場合、(XXIII)をアンモニアまたはいろいろなアミンと以下の反応スキームに概略を示すようにして反応させて化合物(I−f)または(I−g)を生じさせる必要がある。
【0092】
【化18】

【0093】
2cは、H、または場合によりヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ−、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ−、ピリジル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニルまたは4−(C1−6アルキルカルボニル)−ピペラジニルで置換されていてもよいC1−6アルキルである。各R2bは独立してC1−6アルキルである。この上に示した反応スキームは特にRが4−メチル−3−シアノフェニルである場合に適する。(XIX)から(I−a−7)を生じさせる変換におけるRは好適にはクロロ以外である。R2aがHの場合にはアンモニアを用いて(XIX)から(I−a−8)を生じさせる反応を起こさせる。
【0094】
Lgがハロを表す中間体(XIX)に脱ハロゲンを例えばZnを用いて酢酸の存在下で受けさせることで化合物(I−h)[これはRがHである化合物(I)である]を生じさせることができる(この上に示したスキームを参照)。
【0095】
この上に示した反応のいくつかを用いてRが基LgでありかつLgがこの上に定義した通り、特にブロモまたはトリフレート基である式(I)で表される化合物[この式(I)で表される化合物を本明細書では以降(I−i)で表す]を生じさせることができる。後者にさらなる誘導化を以下の反応スキームに概略を示すようにして受けさせることも可能であり、それは、芳香族もしくは複素環式ホウ酸もしくはホウ酸エステル(ボロン酸エステル)を用いた鈴木カップリングを伴う。このスキームにおける基Arは、この上に示した通りであり、そしてHetは、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリルまたはチアゾリルである。
【0096】
この鈴木カップリングをPd触媒、例えばPd(PPh、ジCl−ビス(トリトリルホスフィノ)−Pd(II)などおよび塩基、例えばアルカリ金属の炭酸塩もしくは水素炭酸塩、例えばNaHCO、NaCOなどの存在下で実施する。Het基の中のいくつかは保護を必要とする官能基、例えばイミノ基などを含有する可能性があり、例えばHetがピロリルの場合などに含有する可能性がある。そのようなイミノ基に適した保護基は、穏やかな条件下で除去可能な保護基、例えばトリアルキルシリル基、例えばトリ(イソプロピル)シリル基などであり、これはフッ化物、例えばアルカリ金属のフッ化物、例えばCsFなどを用いて除去可能である。ある場合には、そのトリアルキルシリル保護化合物をシリカゲルと接触、例えば生成物を精製する時などに接触させると、その保護基は早くも除去される可能性がある。そのような保護/脱保護手順を以下の反応スキームに例示し、ここで、Pgは保護基、特に上述した保護基の中の1つを表す。
【0097】
【化19】

【0098】
また、式(I−i)で表される化合物にアリール化もしくはヘテロアリール化をトリアルキル錫誘導体、例えばトリブチル錫誘導体などを用いたスティル(Stille)反応を用いて受けさせることも可能である。この反応をPd触媒、例えばPd(PPhなどの存在下で実施する。
【0099】
【化20】

【0100】
また、式(I−i)で表される化合物から相当するアミノ誘導体を生じさせる変換もそれをアンモニアまたはアミンと上述した反応条件を用いたBuchwald−Hartwig反応、例えばPd(dba)およびBINAPをKOtBuの存在下で用いることなどで反応させることで実施可能である。
【0101】
【化21】

【0102】
前記および以下のスキームに示すR基に
【0103】
【化22】

【0104】
官能基を持たせてもよく、これは例えばBOC基などで保護可能であり、そしてその基を後で酸性条件、例えばHClまたはCFCOOHなどを用いた条件下で除去する。
【0105】
がArである式(I)で表される化合物のアリール基にアミノC1−6アルキル側鎖を置換基として持たせることも可能である。その側鎖にアシル化を化合物(I−j−1)を用いて出発してそれを酸もしくは酸ハライドと反応させることによるアミド結合形成反応を用いて受けさせることも可能である。この反応を以下のスキームに例示し、これはアミド基の形成に関して上述した手順に従って実施可能であり、例えばカルボン酸を出発材料として用いかつカップリング剤、例えばEDCなどをHOBtの存在下で用いることなどで実施可能である。
【0106】
【化23】

【0107】
前記スキームおよび他の反応スキームに示す各Alkは、独立して、二価のC1−6アルキル基を表し、そしてRおよびRは各々独立してC1−6アルキルを表す。
【0108】
また、式(I−i)で表される化合物をいろいろなエーテル誘導体に変化させることも可能である。このような反応では、(I−i)中のLg基をエーテル基にする変換をアルコールPg−Y−Alk−OH[ここで、PGはN−もしくはO−保護基、例えばYが窒素の場合にはt−ブチルオキシカルボニルであるか、或はYが酸素の場合にはアセチ
ルまたはt−ブチル基である]を用いたエーテル形成反応を用いて起こさせる。Pg−Y−Alk−OH中のヒドロキシ基を脱離基に置き換えることができ、この反応体Pg−Y−Alk−Lgを化合物(I−i)と反応させる。このエーテル形成反応をまたMitsunobu反応条件、即ちトリフェニルホスフィンPPhとアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)の混合物を用いて実施することも可能である。
【0109】
【化24】

【0110】
また、式(I)で表される化合物を官能基変換で互いに変化させることも可能である。Rおよび/またはRがメトキシである式(I)で表される化合物からRおよび/またはRがヒドロキシである類似物を生じさせる変換は脱メチル用反応体、例えばBBrまたはピリジン・HClなどを用いることで実施可能である。後者の場合には、出発メトキシ化合物を塩酸ピリジニウム中で加熱する。
【0111】
【化25】

【0112】
がヒドロキシである式(I)で表される化合物[この化合物を本明細書では式(I−o−2)で表す]をRが脱離基である類似化合物、例えば上述した化合物(I−i)に変化させてもよく、その後に、それをRがいろいろな基である式(I)で表される化合物にこの上に例示した手順を用いて変化させる。出発ヒドロキシ化合物をスルホン酸のハロゲン化物もしくは無水物で処理することでヒドロキシであるR基をスルホネート、例えばメシレート、トシレート、トリフルオロメチルスルホネート(トリフレート)などに変換させてもよいか、或はそれをハロゲン化剤、例えばPOClなどで処理することでハロゲン化物に変化させてもよい。
【0113】
【化26】

【0114】
また、Rがヒドロキシである式(I)で表される化合物と他のアルコールのカップリングをエーテル形成反応手順、例えばアゾジジカルボン酸ジエチルもしくはジイソプロピル(DEADまたはDIAD)をトリフェニルホスフィンの存在下で用いるMitsunobu反応を用いた手順などで起こさせることも可能である。このエーテル形成反応はまた適切なアルキルハライドを塩基の存在下で反応させることを利用したO−アルキル化であってもよい。また、Rがヒドロキシである式(I)で表される化合物から相当する燐酸塩を生じさせる変換もそれをPOClと反応させた後に加水分解を起こさせることで実施可能である。
【0115】
【化27】

【0116】
この上に記述したMitsunobu反応手順または脱離基で置換されているアルキル反応体を用いたO−アルキル化手順を用いてエーテル誘導体を生じさせる時の出発材料として式(I−o−2)で表される化合物を用いることができる。
【0117】
【化28】

【0118】
この上のスキームに示したPgはN−保護基、例えばBOCなどを表し、これの除去は上述したようにして実施可能である。
【0119】
【化29】

【0120】
この上のスキームに示したPgはO−保護基、例えばアセチルなどであり、これの除去を酸(例えばHCl水溶液)を用いて実施する。
【0121】
化合物(I−i)をアンモニアまたはアミンと反応させると相当するアミノ化合物が生じる。1つの態様におけるアミンはベンジルアミンまたは置換ベンジルアミン、例えば4−メトキシ−ベンジルアミンなどであり、そして後でそのベンジル基を除去する。その結果として得たアミノ置換化合物(I−r)をピロリル(I−r−1)、イミダゾリル(I−r−2)またはトリアゾリル(I−r−3)で置換されている化合物を調製する時の出発材料として用いることができる。
【0122】
【化30】

【0123】
この上に示した手順のいずれにおいても、基RまたはRとRを保護しそして後でそのような保護基を除去するのが好ましい可能性がある。これは前記基がヒドロキシもしくはヒドロキシ置換基またはアミノもしくはアミノ置換基である場合に推奨され得る。アミノに適した保護基には、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニルが含まれ、ヒドロキシに適した保護基には、ベンジル、t−ブチルまたはエステルもしくはカルバメート基が含まれる。そのような保護基の除去は酸もしくは塩基を用いた加水分解または接触水添で実施可能である。
【0124】
この上に示した反応で用いた出発材料R−Lgは、商業的に入手可能であるか或は当該技術分野で公知の方法を用いて調製可能である。
【0125】
式(I)で表される化合物の調製で用いた出発材料は、公知化合物またはこれらの類似物のいずれかであり、これらは商業的に入手可能であるか或は当該技術分野で公知の方法を用いて調製可能である。
【0126】
本発明の化合物をそのまま用いることも可能ではあるが、好適には、製薬学的組成物の形態で用いる。このように、さらなる面において、本発明は、式(I)で表される化合物を有効成分として有効な量で含有することに加えて担体を含有する製薬学的組成物に関し、そのような担体には通常の製薬学的に無毒の賦形剤および助剤が含まれ得る。本製薬学的組成物の式(I)で表される化合物の含有量を通常は0.1から90重量%にする。本製薬学的組成物の調製は当業者に本質的に公知の様式で実施可能である。この目的で、式
(I)で表される化合物を1種以上の固体状もしくは液状担体(これには製薬学的賦形剤および/または助剤が含まれ得る)と一緒に必要ならば他の製薬学的に有効な化合物と組み合わせることで適切な投与形態物もしくは投薬形態物にする。
【0127】
本発明に従う化合物を含有させた調合薬(pharmaceuticals)は経口、非経口、例えば静脈内、直腸、吸入または局所投与可能であり、好適な投与は個々の症例、例えば治療すべき障害の個々の過程などに依存する。経口投与が好適である。
【0128】
当業者は専門の知識を基にして所望の製薬学的製剤に適した助剤を周知している。溶媒に加えてまたゲル形成剤、座薬基材、錠剤助剤および他の活性化合物用担体、抗酸化剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、香り矯正剤(flavor corrigents)、防腐剤、可溶化剤、デポット(depot)徐放製剤効果を達成する作用剤、緩衝剤物質または着色剤なども有用である。
【0129】
また、1種以上の追加的抗レトロウイルス性化合物と式(I)で表される化合物の組み合わせを薬剤として用いることも可能である。このように、本発明は、また、(a)式(I)で表される化合物および(b)1種以上の追加的抗レトロウイルス性化合物を抗HIV治療で同時、個別または逐次的に用いる目的で組み合わせ製剤として含有する製品にも関する。様々な薬剤を製薬学的に許容される担体と一緒に単一の製剤として一緒にしてもよい。前記他の抗レトロウイルス性化合物は、公知の抗レトロウイルス性化合物のいずれであってもよく、例えばスラミン、ペンタミジン、チモペンチン、カスタノスペルミン、デキストラン(硫酸デキストラン)、フォスカルネット−ナトリウム(ホスホノ蟻酸トリナトリウム);ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、例えばジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(zalcitabine)(ddC)、ラミブジン(3TC)、スタブジン(d4T)、エムトリシタビン(FTC)、アバカビル(ABC)、D−D4FC[Reverset(商標)]、アロブジン(MIV−310)、アムドキソビル(DAPD)、エルブシタビン(ACH−126,443)など;非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、例えばデラルビジン(DLV)、エファビレンズ(EFV)、ネビラピン(NVP)、カプラビリン(CPV)、カラノリドA、TMC120、エトラビリン(TMC125)、TMC278、BMS−561390、DPC−083など;ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(NtRTI)、例えばテノフォビル(TDF)およびテノフォルビルジソプロキシルフマレートなど;トランス活性化蛋白質の阻害剤、例えばTAT阻害剤、例えばRO−5−3335など;REV阻害剤;プロテアーゼ阻害剤、例えばリトナビル(RTV)、サキナビル(SQV)、ロピナビル(ABT−378またはLPV)、インジナビル(IDV)、アムプレナビル(VX−478)、TMC−126、BMS−232632、VX−175、DMP−323、DMP−450(モゼナビル)、ネルフィナビル(AG−1343)、アタザナビル(BMS
232,632)、パリナビル、TMC−114、RO033−4649、ホサムプレナビル(GW433908またはVX−175)、P−1946、BMS 186,318、SC−55389a、L−756,423、チプラナビル(PNU−140690)、BILA 1096 BS、U−140690など;侵入阻害剤[これには融合阻害剤(例えばT−20、T−1249)、付着阻害剤およびコレセプター阻害剤が含まれ、後者にはCCR5拮抗薬およびCXR4拮抗薬(例えばAMD−3100)が含まれ、侵入阻害剤の例はエンフビルチド(ENF)、GSK−873,140、PRO−542、SCH−417,690、TNX−355、マラビロック(UK−427,857)である];成熟阻害剤、例えばPA−457(Panacos Pharmaceuticals)など;ウイルスインテグラーゼの阻害剤;リボヌクレオチド還元酵素阻害剤(細胞阻害剤)、例えばヒドロキシ尿素などであり得る。
【0130】
また、本発明の化合物を免疫賦活剤(immunomodulators)(例えばブ
ロピリミン、抗−ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2、メチオニンエンケファリン、インターフェロンアルファおよびナルトレキソン)に加えて抗生物質(例えばペンタミジンイソチオレート)、サイトカイン(例えばTh2)サイトカイン調節剤、ケモカインまたはケモカインの調節剤、ケモカイン受容体(例えばCCR5、CXCR4)、ケモカイン受容体の調節剤またはホルモン(例えば成長ホルモン)と一緒に組み合わせて投与することでHIV感染およびそれの症状を軽減、防除またはなくすことも可能である。そのような組み合わせ治療薬はいろいろな製剤の状態で同時にか、逐次的にか或は互いに独立して投与可能である。別法として、そのような組み合わせを単一の製剤として投与することも可能であり、それによって、有効成分が前記製剤から同時または個別に放出されるようにする。
【0131】
また、本発明の化合物を当該薬剤を個人に投与した後に起こる代謝を調節する調節剤と組み合わせて投与することも可能である。そのような調節剤には、シトクロム、例えばシトクロムP450の所の代謝を妨害する化合物が含まれる。シトクロムP450のイソ酵素が数種存在していて、それらの中の1つがシトクロムP450 3A4であることが知られている。リトナビルがシトクロムP450による代謝の調節剤の例である。そのような組み合わせ治療薬をいろいろな製剤の状態で同時、逐次的または互いに独立して投与してもよい。別法として、そのような組み合わせを単一の製剤として投与することも可能であり、それによって、有効成分が前記製剤から同時または個別に放出されるようにする。そのような調節剤の投与は本発明の化合物と同じまたは異なる比率で実施可能である。本発明の化合物に対する前記調節剤の重量比(調節剤:本発明の化合物)を好適には1:1以下、より好適には前記比率を1:3以下、適切には前記比率を1:10以下、より適切には前記比率を1:30以下にする。
【0132】
本発明の化合物を経口投与形態にする場合、これを適切な添加剤、例えば賦形剤、安定剤または不活性希釈剤などと混合した後、通常方法で適切な投与形態物、例えば錠剤、被覆錠剤、硬質カプセル、水溶液、アルコール溶液または油溶液などにする。適切な不活性担体の例はアラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、燐酸カリウム、ラクトース、グルコースまたは澱粉、特にコーンスターチである。この場合の調製は乾燥した粒子または湿った粒子の両方として実施可能である。適切な油状賦形剤または溶媒は植物もしくは動物油、例えばヒマワリ油またはタラ肝油などである。水溶液またはアルコール溶液に適した溶媒は水、エタノール、糖溶液またはこれらの混合物である。また、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールも他の投与形態物用のさらなる助剤として用いるに有用である。
【0133】
本活性化合物を皮下または静脈内投与する場合、望まれるならば、それをそれ用の通常の物質、例えば可溶化剤、乳化剤またはさらなる助剤と一緒にして溶液、懸濁液または乳液にする。また、前記式(I)で表される化合物に凍結乾燥を受けさせることも可能であり、その得た凍結乾燥品を例えば注射または輸液用製剤を生じさせる目的で用いてもよい。適切な溶媒は、例えば水、生理学的食塩溶液またはアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロールなどに加えてまた糖溶液、例えばグルコースまたはマンニトール溶液などであるか、或はこの挙げたいろいろな溶媒の混合物である。
【0134】
エーロゾルまたはスプレーの形態で投与するに適した製薬学的製剤は、例えば前記式(I)で表される化合物またはこれの生理学的に許容される塩を製薬学的に許容される溶媒、例えばエタノールまたは水または前記溶媒の混合物などに入れることで生じさせた溶液、懸濁液または乳液などである。必要ならば、そのような製剤にまた追加的に他の製薬学的賦形剤、例えば界面活性剤、乳化剤および安定剤などばかりでなく噴射剤などを含有させることも可能である。そのような製剤に通常は本活性化合物を約0.1から50%、特に約0.3から3重量%の濃度で含有させる。
【0135】
前記式(I)で表される化合物が製薬学的組成物中で示す溶解度および/または安定性を向上させる目的で、α−、β−またはγ−シクロデキストリンまたはこれらの誘導体を用いるのが有利であり得る。また、共溶媒、例えばアルコールなども前記式(I)で表される化合物が製薬学的組成物中で示す溶解性および/または安定性を向上させる可能性がある。水性組成物の調製では、本主題化合物の付加塩の方が高い水溶性を示すことから明らかにより適切である。
【0136】
適切なシクロデキストリンはα−、β−またはγ−シクロデキストリン(CD)、またはシクロデキストリンのアンヒドログルコース単位が有するヒドロキシ基の1個以上がC1−6アルキル、特にメチル、エチルまたはイソプロピルなどで置換(例えば無作為にメチル化されたβ−CDなど);ヒドロキシC1−6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはヒドロキシブチル;カルボキシC1−6アルキル、特にカルボキシルメチルまたはカルボキシルエチル;C1−6アルキルカルボニル、特にアセチル;C1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキルまたはカルボキシC1−6アルキルオキシC1−6アルキル、特にカルボキシメトキシプロピルまたはカルボキシエトキシプロピル;C1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル、特に2−アセチルオキシプロピルで置換されているそれらのエーテルおよび混合エーテルである。錯化剤および/または可溶化剤として、β−CD、無作為にメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD、2−ヒドロキシプロピル−γ−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)が特に注目に価する。
【0137】
用語「混合エーテル」は、シクロデキストリンが有する少なくとも2個のヒドロキシ基がいろいろな基、例えばヒドロキシプロピルおよびヒドロキシエチルなどでエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を表す。
【0138】
本化合物をシクロデキストリンまたはこれの誘導体と組み合わせて調製する興味の持たれる方法がヨーロッパ特許出願公開第721,331に記述されている。そこに記述されている製剤は抗菌・カビ性の有効成分を用いて調製されているが、それらは本発明の化合物を調製する時にも等しく興味が持たれる。そこに記述されている製剤は特に経口投与に適し、抗菌・カビ剤を有効成分として含有し、シクロデキストリンまたはこれの誘導体を可溶化剤として充分な量で含有し、水性の酸性媒体を多量の液状担体として含有しかつ当該組成物の調製を非常に簡潔にするアルコール系共溶媒を含有して成る。
【0139】
本発明の化合物が製薬学的組成物中で示す溶解性を向上させる他の便利な方法がWO 94/05263、WO 98/42318、ヨーロッパ特許出願公開第499,299およびWO 97/44014(全部引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0140】
より詳細には、本化合物を(a)式(I)で表される化合物と(b)1種以上の製薬学的に許容される水溶性重合体を含んで成る固体状分散体で構成されている粒子を治療的に有効な量で含んで成る製薬学的組成物の状態に調製してもよい。
【0141】
用語「固体状分散体」は、少なくとも2種類の成分を含んで成っていて一方の成分が他の成分1種または2種以上の全体に渡って多少ともむらなく分散している固体状態の系を定義することを意味する。前記成分の分散体がその系が化学的および物理的に全体に渡って均一または均質であるか或は1相で構成されているような状態の時、そのような固体状分散体は「固溶体」と呼ばれる。固溶体が好適な物理的系である、と言うのは、その中に入っている成分を一般にそれが投与された有機体が容易に生体内で利用することができる
からである。用語「固体状分散体」に、また、固溶体に比べて均質度が低い分散体も包含させることを意味する。そのような分散体は化学的および物理的に全体に渡って均一ではないか或は相を2相以上含んで成る。
【0142】
そのような粒子に入れる水溶性重合体は便利にこれを2%の水溶液として溶液が20℃になるように溶解させた時に1から100mPa.sの見かけ粘度を示す重合体である。好適な水溶液重合体はヒドロキシプロピルメチルセルロース、即ちHPMCである。メトキシ置換度が約0.8から約2.5でヒドロキシプロピルモル置換度が約0.05から約3.0のHPMCは一般に水に溶解する。メトキシ置換度は、セルロース分子が有するアンヒドログルコース単位当たりに存在するメチルエーテル基の平均数を指す。ヒドロキシ−プロピルモル置換度は、セルロース分子が有するアンヒドログルコース単位の各々が反応したプロピレンオキサイドの平均モル数を指す。
【0143】
本明細書の上で定義した如き粒子の調製は、最初に当該成分の固体状分散体を生じさせた後に場合により前記分散体を粉砕または製粉することで実施可能である。固体状分散体を製造する技術はいろいろ存在し、それには溶融押出し加工、噴霧乾燥および溶液蒸発が含まれる。
【0144】
更に、本化合物をナノ粒子の形態に調製するのも便利であり得、それの表面に表面修飾剤を有効平均粒径が1000nm未満に維持されるほどの量で吸着させる。有用な表面修飾剤には、抗レトロウイルス薬の表面に物理的に接着するが抗レトロウイルス薬と化学的には結合しない表面修飾剤が含まれると考えている。
【0145】
適切な表面修飾剤は好適には公知の製薬学的有機および無機賦形剤から選択可能である。そのような賦形剤にはいろいろな重合体、低分子量のオリゴマー、天然産物および界面活性剤が含まれる。好適な表面修飾剤には非イオン性およびアニオン性界面活性剤が含まれる。
【0146】
本発明の化合物を親水性重合体の中に混合しそしてその混合物を被膜として小型ビードの上に付着させることも可能である。1つの態様におけるビードは中心の円形もしくは球形中心部、親水性重合体と抗レトロウイルス薬の被膜および密封被覆用重合体層を含んで成る。前記ビードの中の中心部として用いるに適した材料は多様であるが、但し前記材料が製薬学的に許容されかつ適切な寸法および堅さを有することを条件とする。そのような材料の例は重合体、無機物質、有機物質、糖およびこれらの誘導体である。そのようにして得た被覆ビードは良好な生物学的利用能を有しかつ経口剤形の調製で用いるに適する。
【0147】
投与経路は被験体の状態、共薬物療法(co−medication)などに依存し得る。
【0148】
本化合物またはこれの生理学的に許容される塩1種または2種以上を投与する量は個々の症例に依存するが、一般に、効果が最適になるように個々の症例の状態に適合させるべきである。従って、それは勿論投与の頻度および治療または予防の目的で各症例で用いる化合物の効力および作用期間に依存するばかりでなくまた感染および症状の性質およびひどさおよび治療すべきヒトまたは動物の性、年齢、体重、共療法および個人の反応そして治療が急を要するか或は予防であるかに依存する。式(I)で表される化合物を体重が約75kgの患者に投与する場合の1日当たりの用量は一般に1mgから3g、好適には3mgから1g、より好適には5mgから0.5gである。この用量を個々の投薬の形態でか或は数回に分割した形態、例えば2、3または4回に分割した個々の投薬の形態で投与してもよい。
【実施例】
【0149】
以下の実施例に式(I)で表される化合物、これらの製造および薬理学的特性を例示するが、本発明の範囲の限定として解釈されるべきでない。本明細書でいくつか用いるショートカットはいずれも当該技術分野で一般に慣習としての意味を有し、例えば「DMSO」はジメチルスルホキサイドであり、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドであり、「THF」はテトラヒドロフランである。
【0150】
実施例1:スキームA:
【化31】

【0151】
2−ブロモベンズアルデヒド(A.1)(1当量、27.02ミリモル、5.00g)とエチレングリコール(1.1当量、29ミリモル、1.80g)とp−トルエンスルホン酸(0.05当量、1.34ミリモル、0.23g)をトルエン(40ml)に入れることで生じさせた混合物をDean−Stark条件下で出発材料が残存しなくなる(反応をTLCで監視)まで還流に加熱した。室温に冷却後、飽和NaHCO水溶液を加えて、その混合物に酢酸エチルを用いた抽出を受けさせた。その有機抽出液を一緒にし、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮することでA.2を得た。H−NMR(δ、CDCl):4.04−4.17(4H、m)、6.10(1H、s)、7.21(1H、td、J=7.7、1.6Hz)、7.33(1H、t、J=7.5Hz)、7.56(1H、d、J=7.5Hz)、7.60(1H、dd、J=7.7、1.6Hz)ppm
【0152】
粉砕したCsCO(1.4当量、12.28ミリモル、4.00g)とrac−2,2’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−1,1’−ビナフチル((rac)−BINAP)(0.3当量、2.57ミリモル、1.60g)とPd(ジベンジリデンアセトン)(Pd(dba))(0.1当量、0.046ミリモル、0.042g)を無
水トルエン(25ml)に入れることで生じさせた混合物をAr雰囲気下で150℃に10分間加熱した。室温に冷却後、4−ニトロアニリン(1.2当量、10.14ミリモル、1.40g)およびA.2(1当量、8.73ミリモル、2.00g)を加えた。その混合物を115℃で26時間撹拌した。その反応混合物を蒸発乾固させた後、そのまま次の段階で用いた。
【0153】
A.3(1当量、8.73ミリモル、2.50g)をアセトン(85ml)に入れることで生じさせた溶液に濃HCl水溶液(5ml)を加えた。その反応混合物を55℃で1.5時間撹拌した。室温に冷却後、溶媒をある程度蒸発させ、水を加えた後、ジクロロメタンを用いた抽出を実施した。その有機抽出液を一緒にし、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘプタンを8:2)で精製することでA.4を得た。H−NMR(δ、CDCl):7.06−7.10(1H、m)、7.35(2H、d、J=9.1Hz)、7.52−7.54(2H、m)、7.68−7.70(1H、m)、8.23(2H、d、J=9.1Hz)、9.95(1H、s)、10.34(1H、s(br))ppm
【0154】
化合物A.4(1当量、2.06ミリモル、0.50g)とシアノ酢酸エチル(1.2当量、2.48ミリモル、0.28g)とピペリジン(0.1当量、0.21ミリモル、0.018g)をイソプロパノール(20ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で24時間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にイソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで1を得た(0.17g、収率=29%、純度(LC)=94%)。
【0155】
実施例2:スキームB1:
【化32】

【0156】
2’−アミノアセトフェノン(B1.1)(1当量、10ミリモル、1.35g)とシアノ酢酸(1.5当量、15ミリモル、1.28g)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(0.1当量、1ミリモル、0.135g)をTHF(40ml)に入れることで生じさせた溶液にAr雰囲気下で塩酸N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)(1.80当量、18ミリモル、3.45g)を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した後、減圧下で濃縮した。その結果として得た粗反応生成物をそのまま次の段階で用いた。
【0157】
B1.2をエタノール(30ml)に入れることで生じさせた溶液にトリエチルアミン(1.5当量、13.8ミリモル、1.40g)を加えた。その反応混合物を還流温度で1時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にエタノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで化合物B1.3を得た(1.60g、収率=B1.1から出発して94%)。
【0158】
化合物B1.3(1当量、1ミリモル、0.184g)と4−ニトロフェニルホウ素酸(2当量、2ミリモル、0.334g)と酢酸銅(II)(2当量、2ミリモル、0.363g)とピリジン(2当量、2ミリモル、0.158g)とトリエチルアミン(2当量、2ミリモル、0.202g)と過剰量のモレキュラーシーブ(粉末、4Å)をジクロロメタン(3ml)に入れることで生じさせた懸濁液を室温で一晩撹拌した。その反応混合物をジクロロメタンで希釈した後、デカライトの上に置いて濾過した。その濾液を飽和NaHCO水溶液そして水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、減圧下で濃縮した。アセトニトリルを加えた後、その結果として生じた懸濁液を還流温度で10分間撹拌した。室温に冷却後、沈澱物を濾過で取り出すことで化合物7を得た(0.018g、収率=6%、純度(LC)=93%)。
【0159】
実施例3:スキームB2:
【化33】

【0160】
B2.1(1当量、23ミリモル、5.0g)をアセトン(230ml)に入れることで生じさせた溶液に逐次的に炭酸カリウム(1.5当量、35ミリモル、5.0g)そしてヨードメタン(1.2当量、28ミリモル、4.0g)を加えた後、その混合物を室温で4時間撹拌した。アセトン溶媒を減圧下である程度濃縮し、その混合物を1NのHCl水溶液に注ぎ、濾過した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでピンク色の粉末であるB2.2を得た(4.22g、収率=79%、純度(LC)=99%)。
【0161】
化合物B2.2(1当量、17ミリモル、3.8g)とビス(ピナコラト)ジホウ素(1.1当量、18ミリモル、4.7g)と酢酸カリウム(2当量、33ミリモル、3.3g)とトランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.03当量、0.5ミリモル、0.41g)をジオキサン(180ml)に入れることで生じさせた混合物をAr下100℃で7時間撹拌した。水を加えた後、その水層にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた。その有機層をMgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:ジクロロメタン)で精製することで白色の粉末であるB2.3を得た(3.7g、収率=81%、純度(LC)=81%)。
【0162】
化合物B2.3(1当量、17ミリモル、3.8g)と過ヨウ素酸ナトリウム(1.1当量、18ミリモル、4.7g)と酢酸アンモニウム(2当量、33ミリモル、3.3g)をTHF/HOが1:1の混合物(130ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で6時間撹拌した。その反応混合物に水を加えた後、その水層に酢酸エチルを用いた抽出を受けさせた。この抽出中に生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでB2.4を得た。その有機層をMgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した後、前記沈澱物と一緒にそのまま次の段階で用いた。
【0163】
B2.6の合成をB2.5を用いてArch.Pharm.Pharm.Med.Chem.334、117−120(2001)に記述されているようにして実施した。
【0164】
化合物B2.6(1当量、0.588ミリモル、0.100g)とB2.4(24当量、14.1ミリモル、1.362g)と酢酸銅(II)(13当量、7.929ミリモル、1.440g)とピリジン(24当量、14.1ミリモル、1.116g)とトリエチルアミン(24当量、14.1ミリモル、1.428g)と過剰量の粉末状モレキュラーシーブ(4Å)をジクロロメタン(6ml)に入れることで生じさせた懸濁液を室温で1週間撹拌した。その反応混合物をジクロロメタンで希釈した後、濾過した。その濾液に水を加え、その水層にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせ、その有機層を一緒にして逐次的に1MのHCl水溶液そして水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、減圧下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを99:1)で精製することで8を得た(0.044g、収率=23%、純度(LC)=98%)。
【0165】
H−NMR(δ、DMSO−D6):3.43(3H、s)、6.64(1H、d、J〜8Hz)、7.27(1H、dd、J=8.3、1.9Hz)、7.37(1H、t、J〜8Hz)、7.50(1H、d、J=8.3Hz)、7.52(1H、d、J=1.9Hz)、7.56−7.64(1H、m)、7.90(1H、dd、J〜8、1.2Hz),8.95(1H、s)ppm
【0166】
実施例4:スキームC1:
【化34】

【0167】
トリメチルエチレンジアミン(TMEDA)(1.1当量、162ミリモル、17.0g)を無水THF(80ml)に入れることで生じさせた溶液を−20℃で撹拌しながらこれにn−BuLi(1当量、147ミリモル、59ml、2.5M)を滴下した。15分後にp−アニスアルデヒド(C1.1)(1当量、147ミリモル、20.0g)を加え、その混合物を15分間撹拌した後、n−ブチルリチウム(n−BuLi)(3当量、441ミリモル、176ml、2.5M)を滴下した。その反応混合物を0℃で20時間撹拌した。その溶液を−78℃に冷却し、四臭化炭素(2.7当量、397ミリモル、131.6g)を加えた後、その溶液を室温に温めた。10%のHCl水溶液を加えた後、ジクロロメタンを用いた抽出を実施した。その有機抽出液を一緒にして飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、水そして食塩水で洗浄した。その有機相をMgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチルを9:1)で精製することで化合物C1.2を白色の固体としてを得た(8g、収率=25%)。H−NMR(δ、DMSO−D6):3.89(3H、s)、7.13(1H、dd、J=8.7、2.4Hz)、7.35(1H、d、J=2.4Hz)、7.83(1H、d、J=8.7Hz)、10.10(1H、s)ppm
【0168】
CsCO(0.5当量、10.7ミリモル、10.7g)と(rac)−BINAP(0.18当量、4.19ミリモル、2.6g)とPd(dba)(0.06当量、1.4ミリモル、1.3g)を無水トルエン(230ml)に入れることで生じさせた混合物をAr雰囲気下で100℃に10分間加熱した。室温に冷却後、4−ニトロアニリン(2.1当量、48.8ミリモル、6.7g)およびC1.2(1.0当量、23.3ミリモル、5.0g)を加えた。その反応混合物を100℃で70時間撹拌した後、ジクロロメタンで希釈し、そして3MのHCl水溶液で4−ニトロアニリンがもはや存在しなくなるまで数回洗浄した。その有機相をMgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その粗生成物をフィルターの上に置いてメタノールで洗浄することでC1.3(5.3g
)を得て、それをさらなる精製無しに用いた。H−NMR(δ、DMSO−D6):3.86(3H、s)、6.80(1H、dd、J=8.7、2.3Hz)、6.99(1H、d、J=2.3Hz)、7.40(2H、d、J=9.2Hz)、7.83(1H、d、J=8.7Hz)、8.19(2H、d、J=9.2Hz)、9.90(1H、s)、10.16(1H、s)ppm
【0169】
アルデヒドC1.3(1当量、19.4ミリモル、5.3g)とシアノ酢酸エチル(1.2当量、23.3ミリモル、2.6g)とピペリジン(1当量、19.4ミリモル、1.7g)をイソプロパノール(190ml)に入れることで生じさせた混合物を60℃で29時間撹拌した。室温に冷却後、沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にメタノール、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄した。その沈澱物の再結晶化を6:4のメタノール/DMSOを用いて実施することで9を得た(2.3g、収率=C1.2から出発して31%、純度(LC)=99%)。
【0170】
塩酸ピリジン(6当量、35.22ミリモル、4.07g)と化合物9(1当量、5.87ミリモル、1.89g)を一緒に混合した後、マイクロ波(100ワット、220℃)下で220℃に10分間加熱した。その反応混合物を60℃に冷却し、水を加えた後、その結果として生じた懸濁液を30分間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に飽和NaHCO水溶液、水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで10を白色の固体として得た(1.63g、収率=90%、純度(LC)=99%)。
【0171】
実施例5:スキームC2:
【化35】

【0172】
10をジクロロメタン(100ml)に入れることで生じさせた溶液を冷却しながらこ
れにトリエチルアミン(2.3当量、22.73ミリモル、2.30g)および無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.3当量、12.41ミリモル、3.50g)を加えた。その反応混合物を室温で2時間撹拌した後、1MのHCl水溶液を用いて反応を消滅させた。その有機層を分離し、1MのHCl水溶液そして飽和NaHCOで洗浄し、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチルを6:4)で精製することでC2.1を得た(3.05g、収率=71%)。H−NMR(δ、CDCl):6.57(1H、d、J=2.2Hz)、7.26−7.29(1H、m)、7.53(2H、d、J=8.9Hz)、7.85(1H、d、J=8.7Hz)、8.38(1H、s)、8.54(2H、d、J=8.8Hz)ppm
【0173】
CsCO(1.4当量、0.32ミリモル、0.104g)と(rac)−BINAP(0.3当量、0.07ミリモル、0.043g)とPd(dba)(0.1当量、0.02ミリモル、0.021g)を無水ジオキサン(3ml)に入れることで生じさせた混合物をAr雰囲気下で100℃に10分間加熱した後、それを室温に冷却した。(R)−(+)−N−Boc−3−アミノピロリジン(1.0当量、0.23ミリモル、0.042g)およびC2.1(1.0当量、0.23ミリモル、0.100g)を加えた後、その混合物を100℃で出発材料が残存しなくなるまで撹拌した。この反応の進行をLCMSで監視した。溶媒を減圧下で除去した後、その結果として得た残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを99:1)にかけることでC2.2を得た(0.081g、収率=75%)。
【0174】
C2.2(1当量、0.17ミリモル、0.081g)をイソプロパノール中5MのHCl溶液(3ml)に入れることで生じさせた懸濁液を室温で3.5時間撹拌した。その反応混合物を真空下で濃縮することで11の塩酸塩を得た(0.059g、収率=92%、純度(LC)=93%)。
【0175】
実施例6:スキームC3:
【化36】

【0176】
粉砕したCsCO(1.4当量、0.48ミリモル、0.157g)と(rac)−BINAP(0.3当量、0.1ミリモル、0.064g)とPd(dba)(0.1当量、0.03ミリモル、0.031g)を無水ジオキサン(3ml)に入れることで生じさせた混合物をAr雰囲気下で100℃に10分間加熱した。室温に冷却後、化合物C2.1(1当量、0.34ミリモル、0.150g)および4−メトキシベンジルアミン(1当量、0.34ミリモル、0.047g)を加え、その反応混合物を100℃で出発材料が残存しなくなるまで撹拌した。反応の進行をLCMSで監視した。水を加え、沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にイソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでC3.1を得た(0.117g、収率=80%、純度(LC)=94%)。
【0177】
C3.1(1当量、0.24ミリモル、0.100g)をトリフルオロ酢酸(4ml)に入れることで生じさせた懸濁液を室温で3時間撹拌した。その反応混合物に水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、10%のNaOH水溶
液、水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで24を得た(0.060g、収率=84%、純度(LC)=90%)。
【0178】
化合物24(1当量、0.21ミリモル、0.064g)を酢酸(2ml)に入れることで生じさせた溶液に2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン(1当量、0.21ミリモル、0.028g)を酢酸(1ml)に入れることで生じさせた溶液を滴下した。その反応混合物を90℃に1時間加熱した。室温に冷却後、水を加えた後、ジクロロメタンを用いた抽出を実施した。その有機抽出液を一緒にし、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを99:1)で精製することで25を得た(0.074g、収率=24%、純度(LC)=88%)。
【0179】
24をピリジン(3ml)に入れることで生じさせた溶液にsym−ジホルミルヒドラジン(3当量、0.98ミリモル、0.086g)、トリメチルシリルクロライド(15当量、4.99ミリモル、0.62ml)およびトリエチルアミン(7当量、2.29ミリモル、0.32ml)を加えた。その反応混合物を100℃で5日間撹拌し、ジクロロメタンで希釈した後、3MのHCl溶液で洗浄した。その水相をNaCOで塩基性にした後、ジクロロメタンを用いた抽出を実施した。その有機抽出液を一緒にし、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを19:1)で精製することで26を得た(0.006g、収率=5%、純度(LC)=95%)。
【0180】
24(1当量、0.33ミリモル、0.100g)とグリオキサール(4.9当量、1.6ミリモル、0.18ml)をメタノール(10ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で4時間撹拌した。塩化アンモニウム(8.8当量、2.87ミリモル、0.154g)、ホルムアルデヒド(8.8当量、2.87ミリモル、0.233g(37%))およびメタノール(5ml)を加えた。その混合物を還流温度で1時間撹拌した。燐酸(0.204ml(85%))を10分かけて加え、その混合物を還流温度で5日間撹拌した後、ジクロロメタンで希釈し、そして3MのHCl溶液で洗浄した。その水相をNaCOで塩基性にした後、ジクロロメタンを用いた抽出を実施した。その有機抽出液を一緒にし、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを19:1)で精製することで27を得た(0.008g、収率=6%、純度(LC)=94%)。
【0181】
実施例7:スキームC4:
【化37】

【0182】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)(0.05当量、0.01ミリモル、0.013g)と化合物C2.1(1当量、0.23ミリモル
、0.100g)をジオキサン(5ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で30分間撹拌した。フェニルホウ素酸(1.5当量、0.34ミリモル、0.042g)をエタノール(2ml)に入れることで生じさせた溶液を加えた後直ちに飽和NaHCO水溶液(2ml)を加えた。その不均一な溶液を還流温度で3.5時間撹拌した。室温に冷却後、沈澱物を濾過で取り出した後、メタノールそしてジクロロメタンで洗浄した。その濾液を減圧下で濃縮した。その結果として得た残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)で精製することで28を得た(0.058g、収率=69%、純度(LC)=90%)。
【0183】
実施例8:スキームC5:
【化38】

【0184】
アルコール10(1当量、0.33ミリモル、0.100g)と(S)−1−Boc−3−ピロリジノール(1.5当量、0.49ミリモル、0.098g)とトリフェニルホスフィン(PPh)(1.5当量、0.49ミリモル、0.128g)を無水トルエン(3ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃に冷却した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(1.5当量、0.49ミリモル、0.098g)を滴下した後の反応混合物を室温で27時間撹拌した。水を加えた後、ジクロロメタンを用いた抽出を実施した。その有機相を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを199:1)で精製することでC5.1を得た(0.155g、収率=97%)。
【0185】
C5.1(1当量、0.32ミリモル、0.155g)をイソプロパノール中5MのHCl溶液(3ml)に入れることで生じさせた懸濁液を室温で3.5時間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にイソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで51の塩酸塩を得た(0.027g、収率=20%、純度(LC)=93%)。
【0186】
実施例9:スキームC6:
【化39】

【0187】
化合物10(1当量、0.33ミリモル、0.100g)をジクロロメタン(3ml)とピリジン(5滴)に入れることで生じさせた懸濁液にオキシ塩化燐(10当量、3.26ミリモル、0.499g)を滴下した。その反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、その結果として得た残留物を冷水に入れて懸濁させた。その反応生成物を遠心分離にかけることで沈澱を起こさせた後、水を傾斜法で除去した。この手順を冷水を用いて1回そしてイソプロパノールを用いて2回繰り返した。化合物70(0.021g、収率=27%、純度(LC)=96%)を真空オーブンに入れて更に乾燥させた。
【0188】
実施例10:スキームC7:
【化40】

【0189】
10(1当量、1.67ミリモル、0.50g)と1−ブロモ−2−クロロエタン(3当量、4.88ミリモル、0.70g)と炭酸カリウム(5当量、8.14ミリモル、1.12g)をDMF(20ml)に入れることで生じさせた混合物を100℃で1.5時間撹拌した。室温に冷却後、その反応混合物をガラスフィルターの上に置いて濾過した。その濾液を減圧下で濃縮した。その結果として得た残留物をフィルターの上に置いて水そしてイソプロパノールで洗浄することで化合物C7.1(0.420g、収率=70%)を得て、それをさらなる精製無しに用いた。
【0190】
化合物C7.1(1当量、0.27ミリモル、100mg)とエタノールアミン(5当量、1.35ミリモル、83mg)をDMSO(6ml)に入れることで生じさせた混合
物を100℃で15時間撹拌した。室温に冷却後、水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した。その沈澱物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを19:1)で精製することで化合物71を得た(29mg、収率=27、純度(LC)=99%)。
【0191】
実施例11:スキームC8:
【化41】

【0192】
化合物10(1当量、0.33ミリモル、0.100g)と酢酸2−ブロモエチル(2当量、0.65ミリモル、0.109g)と炭酸カリウム(3当量、0.98ミリモル、0.135g)をDMF(5ml)に入れることで生じさせた混合物を60℃に7時間加熱した。その反応物を室温に冷却した後、水を加えた。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄した。その粗生成物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを99:1)で更に精製することで化合物C8.1を得た(62mg、収率=48%)。
【0193】
C8.1(1当量、0.16ミリモル、0.062g)を濃HCl水溶液(3ml)に入れることで生じさせた懸濁液を室温で75時間撹拌した。その反応混合物を減圧下で濃縮した。その結果として得た残留物をフィルターの上に置いて逐次的にメタノール、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで75を得た(0.039g、収率=70%、純度(LC)=80%)。
【0194】
実施例12:スキームC9:
【化42】

【0195】
化合物C2.1(1当量、0.34ミリモル、0.150g)と5−トリブチルスタナ
ニル−チアゾール(1.1当量、0.38ミリモル、0.141g)と塩化リチウム(3当量、1.02ミリモル、0.043g)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)(0.02当量、0.006ミリモル、0.008g)をジオキサン(5ml)に入れることで生じさせた混合物を85℃に4時間加熱した。室温に冷却後、その反応混合物に水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水そしてエタノールで洗浄することで77を得た(0.087g、収率=65%、純度(LC)=97%)。
【0196】
実施例13:スキームC10:
【化43】

【0197】
m−アニスアルデヒドC10.1(1当量、22ミリモル、3.0g)をジクロロメタン(25ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃で撹拌しながらこれにBr(1当量、22ミリモル、1.1ml)をジクロロメタン(5ml)に入れて2.5時間かけて滴下した。その反応混合物を一晩かけて室温にした。溶媒を蒸発させた後、その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチルを99:1)で精製することでC10.2を得た(4.7g、収率=73%)。H−NMR(δ、CDCl):3.85(3H、s)、7.04(1H、dd、J=8.8、3.2Hz)、7.42(1H、d、J=3.2Hz)、7.53(1H、d、J=8.8Hz)、10.32(1H、s)ppm
【0198】
CsCO(1.4当量、65ミリモル、21g)と(rac)−BINAP(0.24当量、11ミリモル、6.9g)とPd(dba)(0.08当量、3.7ミリモル、3.4g)を無水トルエン(500ml)に入れることで生じさせた混合物をAr雰囲気下で80℃に30分間加熱した。室温に冷却後、4−ニトロアニリン(2.1当量、98ミリモル、13g)およびC10.2(1当量、47ミリモル、10g)を加えた
。その反応混合物を100℃で24時間撹拌した。その反応混合物を蒸発乾固させた後、そのまま次の段階で用いた。
【0199】
C10.3(1当量、47ミリモル、18g)とシアノ酢酸エチル(10当量、465ミリモル、53g)とピペリジン(10当量、465ミリモル、40g)をエチレングリコール(500ml)に入れることで生じさせた混合物を100℃で4時間撹拌した。室温に冷却後、沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水そしてメタノールで洗浄した。その沈澱物の再結晶化を1:1のメタノール/DMSOを用いて実施することで83を得た(7.6g、収率=51%、純度(LC)=95%)。
【0200】
塩酸ピリジン(6当量、47ミリモル、5.4g)と化合物83(1当量、7.8ミリモル、2.5g)を一緒に混合した後、200℃に3時間加熱した。その反応混合物を60℃に冷却し、水を加えた後、その結果として生じた懸濁液を30分間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に飽和NaHCO水溶液、水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでC10.4を白色の固体として得た(2.02g、収率=84%)。
【0201】
フェノール誘導体C10.4(1当量、0.33ミリモル、0.100g)と3−(Boc−アミノ)−1−プロパノール(1.5当量、0.49ミリモル、0.085g)とポリスチレン−トリフェニルホスフィン(PS−PPh)(3当量、0.98ミリモル、0.491g(充填率=1.99ミリモル/g)を無水テトラヒドロフラン(10ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃に冷却した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(1.5当量、0.49ミリモル、0.098g)を滴下した後の反応混合物を室温で15時間撹拌した。その反応混合物を濾過した後、逐次的にN,N−ジメチルホルムアミドそしてメタノールで洗浄した。その濾液を蒸発乾固させることでC10.5を得た(0.050g、収率=33%)。
【0202】
C10.5(1当量、0.11ミリモル、0.050g)をイソプロパノール中の5MのHCl溶液(3ml)と混合した後、その結果として生じた懸濁液を室温で2時間撹拌した。イソプロパノールを蒸発させた後、ジクロロメタンを加えた。沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にイソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで84の塩酸塩を得た(0.039g、収率=57%、純度(LC)=93%)。
【0203】
実施例14:スキームD:
【化44】

【0204】
化合物D.1の合成をこの上で9に関して記述した様式と同様な様式で実施した。
【0205】
D.1(1当量、2.25ミリモル、0.700g)をジクロロメタン(12ml)に
入れることで生じさせた0℃の溶液に三臭化ホウ素(8当量、17.97ミリモル、4.501g)を滴下した。その反応混合物を室温で40時間撹拌した。水を加え、沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで化合物91を得た(0.170g、収率=25%、純度(LC)=95%)。
【0206】
アルコール7(1当量、0.34ミリモル、0.100g)と3−(Boc−アミノ)−1−プロパノール(1.5当量、0.5ミリモル、0.088g)とポリスチレン−トリフェニルホスフィン(PS−PPh)(3当量、1.01ミリモル、0.506g(充填率=1.99ミリモル/g)を無水テトラヒドロフラン(10ml)に入れることで生じさせた溶液を0℃に冷却した。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(1.5当量、0.5ミリモル、0.102g)を滴下した後の反応混合物を室温で19時間撹拌した。その反応混合物を濾過した後、逐次的にN,N−ジメチルホルムアミドそしてメタノールで洗浄した。その濾液を蒸発乾固させることでD.2を得た(0.050g、収率=33%)。
【0207】
D.2(1当量、0.11ミリモル、0.050g)をイソプロパノール中の5MのHCl溶液(3ml)と混合した後、その結果として生じた懸濁液を室温で6時間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にイソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで92の塩酸塩を得た(0.020g、収率=46%、純度(LC)=90%)。
【0208】
実施例15:スキームE:
【化45】

【0209】
オーブンで乾燥させておいたフラスコに(rac)−BINAP(0.24当量、12
.42ミリモル、7.72g)、Pd(dba)(0.08当量、4.14ミリモル、3.78g)、粉砕したCsCO(1.4当量、72.9ミリモル、23.8g)および無水トルエン(250ml)を仕込んだ。前記フラスコをArでフラッシュ洗浄した後、隔壁で密封した。その反応混合物を80℃に30分間加熱した後、室温に冷却した。6−ブロモベラトルアルデヒド(E.1)(1当量、51.7ミリモル、12.7g)および4−ニトロアニリン(2.1当量、109ミリモル、15.0g)を加えた後の反応混合物を100℃で出発材料がもはや残存しなくなるまで撹拌した(反応をLCMSで監視した)。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、逐次的にトルエン、ジクロロメタン、水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで化合物E.2をオレンジ色の粉末として得た(17.0g、収率=78%)。H−NMR(δ、DMSO−D6):3.84(6H、s)、6.90−6.93(3H、m)、7.39(2H、d、J=8.9Hz)、7.56(1H、s)、8.01(2H、d、J=9.2Hz)、8.25(2H、d、J=8.9Hz)、8.66(1H、s)ppm
【0210】
化合物E.2(1当量、40.2ミリモル、17.0g)とシアノ酢酸エチル(2当量、80.5ミリモル、9.1g)とピペリジン(2当量、80.5ミリモル、9.1g)をイソプロパノール(150ml)に入れることで生じさせた混合物を50℃で3.5時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的にイソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで化合物93を暗緑色の粉末として得た(11.4g、収率=77%、純度(LC)=95%)。
【0211】
塩酸ピリジン(10当量、298.9ミリモル、34.6g)と化合物93(1当量、29.9ミリモル、10.5g)を一緒に混合した後、マイクロ波(20ワット、220℃)下で220℃に15分間加熱した。その反応混合物を60℃に冷却し、水を加えた後、その結果として生じた懸濁液を30分間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に飽和NaHCO水溶液、水そしてイソプロパノールで洗浄した。粗生成物の再結晶化を1:1のメタノール/DMSOを用いて実施することで94を得た(4.1g、収率=41%、純度(LC)=95%)。
【0212】
実施例16:スキームF1:
【化46】

【0213】
4−ニトロアニリン(1当量、72.4ミリモル、10.00g)とシアノ酢酸(1.3当量、94.17ミリモル、8.01g)とHOBT(0.1当量、7.24ミリモル、0.98g)とEDC(1.5当量、108.5ミリモル、20.80g)をTHF(550ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で16時間撹拌した。その反応混合物に蒸発乾固を受けさせ、水を加えた後、沈澱物を濾過で取り出した。その沈澱物を逐次的にイソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでF1.1を得た(14.15g、収率=95%)。H−NMR(δ、DMSO−D6):4.01(2H、s)、7.80(2H、d、J=2.0Hz)、8.26(2H、d、J=2.0Hz)
、10.91(1H、s)ppm
【0214】
アルデヒドF1.1(1当量、3.53ミリモル、0.50g)と2−クロロピリジン−3−カルボアルデヒド(1当量、3.53ミリモル、0.73g)とCsCO(1.4当量、4.98ミリモル、1.62g)とPd(dba)(0.01当量、0.04ミリモル、0.032g)とキサントフォス(0.03当量、0.11ミリモル、0.061g)をDMF(35ml)に入れることで生じさせた混合物をAr雰囲気下120℃で2.5時間撹拌した。室温に冷却後、その反応混合物に水を加えた後、沈澱物を濾過で取り出した。その沈澱物の再結晶化をTHFを用いて実施することで99を得た(0.038g、収率=3%、純度(LC)=87%)。
【0215】
実施例17:スキームF2:
【化47】

【0216】
F1.1(1当量、5.11ミリモル、1.05g)と2,6−ジクロロ−3−ホルミルピリジン(1当量、5.11ミリモル、0.90g)とCsCO(1.4当量、7.21ミリモル、2.35g)とPd(dba)(0.01当量、0.05ミリモル、0.047g)とキサントフォス(0.03当量、0.15ミリモル、0.089g)をDMF(50ml)に入れることで生じさせた混合物をAr雰囲気下120℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、その反応混合物に1MのHCl水溶液を加えた後、沈澱物を濾過で取り出した。その沈澱物を逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで100を得た(0.74g、収率=47%、純度(LC)=87%)。
【0217】
実施例18:スキームG1:
【化48】

【0218】
アントラニロニトリル(G1.1)(1当量、8.5ミリモル、1.0g)と1−フル
オロ−4−ニトロベンゼン(1当量、8.5ミリモル、1.2g)をDMSO(3ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにカリウムt−ブトキサド(2.1当量、18ミリモル、2.0g)を加えた。その反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、0.5MのHCl水溶液そして水で洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで化合物G1.2を黄色の粉末として得た(1.8g、収率=85%)。
【0219】
化合物G1.2(1当量、1.25ミリモル、0.300g)をTHF(5ml)に入れることで生じさせた溶液にAr雰囲気下で水素化ナトリウム(5当量、6.25ミリモル、0.250g(60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。シアノ酢酸エチル(6当量、7.52ミリモル、0.852g)を加えた後の反応混合物を86時間還流させた。冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させた。その結果として得た残留物をガラスフィルターの上に置いて、0.5MのHCl水溶液、飽和NaHCO水溶液、イソプロパノールそしてメタノールで洗浄した。粗生成物をメタノールに入れて懸濁させた後、還流温度に10分間加熱した。室温に冷却後、沈澱物を濾過で取り出すことで化合物101を得た(0.070g、収率=18%、純度(LC)=99%)。
【0220】
実施例19:スキームG2:
【化49】

【0221】
4−クロロ−2−フルオロベンゾニトリル(G2.1)(1当量、6.43ミリモル、1.0g)と3−アミノ−6−クロロピリジン(1当量、6.43ミリモル、0.826g)をDMSO(3ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにカリウムt−ブトキサド(2.1当量、13.5ミリモル、1.51g)を加えた。その反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでG2.2を得た(1.17g、収率=69%)。
【0222】
化合物G2.2(1当量、4.4ミリモル、1.173g)をTHF(40ml)に入れることで生じさせた溶液にAr雰囲気下で水素化ナトリウム(5当量、22ミリモル、0.890g(60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。シアノ酢酸エチル(5当量、22ミリモル、2.5g)を加えた後の反応混合物を6日間還流させた。冷却後、水を加え、その混合物を室温で0.5時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄した後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを9:1)で更に精製することで化合物103を得た(0.808g、収率=53%、純度(LC)=98%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):6.45(1H、d、J=1.9Hz)、7.21(1H、dd、J=8.8、1.9Hz)、7.60(1H、d、J=8.4Hz)、7.77(1H、dd、J=8.4、2.5Hz)、8.07(2H、s(br))、8
.12(1H、d、J=8.8Hz)、8.26(1H、d、J=2.5Hz)ppm。
【0223】
実施例20:スキームG3:
【化50】

【0224】
化合物118(収率=70%)の調製をG3.1およびp−ニトロアニリン(G3.2による:収率=55%)を用いて実施例19に示した反応条件と同じ反応条件を用いることで実施した。
【0225】
118(1当量、0.26ミリモル、0.100g)を5mlのジオキサンに入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)(0.05当量、0.013ミリモル、0.015g)を加えた。その溶液を室温で0.5時間撹拌した。次に、チオフェン−2−ホウ素酸(1.5当量、0.389ミリモル、0.050g)を3mlのエタノールに入れて希釈して加えた後、直ちに飽和NaHCO水溶液を3ml加えた。その不均一な溶液を還流下で0.5時間撹拌した。水を加えた後の混合物を室温で0.5時間撹拌した。生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水そしてエタノールで洗浄した。その残留物をTHFに溶解させ、デカライトの上に置いて濾過した後、真空下で濃縮することで化合物119を得た(0.022g、収率=22%、純度(LC)=92%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):6.60(1H、d、J=1.7Hz)、7.10(1H、dd、J=5.1、3.7Hz)、7.50(1H、dd、J=3.7、1.0Hz)、7.59(1H、dd、J=5.1、1.0Hz)、7.63(1H、dd、J=8.6、1.7Hz)、7.72(2H、dd、J=7.0、2.0Hz)、8.18(2H、s(br))、8.33(1H、d、J=8.6Hz)、8.47(2H、dd、J=7.0、2.0Hz)ppm。
【0226】
実施例21:スキームG4:
【化51】

【0227】
4−ブロモ−2−フルオロベンゾニトリル(G4.1)(1当量、49ミリモル、10.0g)と5−アミノ−2−メチルベンゾニトリル(1当量、49ミリモル、6.7g)をDMSO(60ml)に入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれにカリウムt−ブトキサド(2.1当量、104ミリモル、12.0g)を加えた。その反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでG4.2を得た(9.9g、収率=64%)。
【0228】
化合物G4.2(1当量、32ミリモル、9.9g)をTHF(250ml)に入れることで生じさせた溶液にAr雰囲気下で水素化ナトリウム(7当量、222ミリモル、8.9g(60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。シアノ酢酸エチル(7当量、222ミリモル、25.0g)を加えた後の反応混合物を18日間還流させた。溶媒を減圧下で濃縮した後、水を加えた。その混合物を室温で1時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄した後、THFを用いた再結晶化を2回実施することで化合物121を得た(7.0g、収率=58%、純度(LC)=99%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.60(3H、s)、6.60(1H、d、J=1.8Hz)、7.49(1H、dd、J=8.7、1.8Hz)、7.60(1H、d、J=8.2、2.1Hz)、7.69(1H、d、J=8.2Hz)、7.87(1H、d、J=2.1Hz)、8.15(2H、s(br))、8.22(1H、d、J=8.7Hz)ppm。
【0229】
化合物121(1当量、1.319ミリモル、0.500g)を13mlのジオキサンに入れることで生じさせた溶液を撹拌しながらこれに3−(アセトアミドメチル)フェニ
ルホウ素酸(1.5当量、1.978ミリモル、0.382g)および炭酸ナトリウム(3当量、3.956ミリモル、0.419g)を加えた。その不均一な溶液を80℃で撹拌した後、Ar下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)(0.05当量、0.066ミリモル、0.076g)に続いて水を数滴加えた。その混合物をAr下100℃で24時間撹拌した。水を加えた後の混合物を室温で0.5時間撹拌した。生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水そしてイソプロパノールで洗浄した。その沈澱物をエタノール(125ml)に入れて加熱し、その温溶液をデカライトの上に置いて濾過した後、その濾液を減圧下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを96:4)で精製することで化合物122を得た(0.118g、収率=20%、純度(LC)=98%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):1.84(3H、s)、2.60(3H、s)、4.15−4.35(2H、m)、6.63(1H、s)、7.26(1H、d、J〜6Hz)、7.31(1H、s)、7.33−7.42(2H、m)、7.57(1H、dd、J=8.5、1.1Hz)、7.64(1H、dd、J=8.3、1.9Hz)、7.69(1H、d、J=8.3Hz)、7.91(1H、d、J=1.9Hz)、8.13(2H、s(br))、8.31(1H、t、J〜6Hz)、8.38(1H、d、J=8.5Hz)ppm。
【0230】
121(1当量、0.791ミリモル、0.300g)と2−(トリブチルスタニル)ピリジン(1.1当量、0.87ミリモル、0.320g)と塩化リチウム(1当量、0.791ミリモル、0.335g)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)(0.05当量、0.04ミリモル、0.046g)の混合物を5mlのジオキサンに溶解させてAr下で85℃で一晩加熱した。水を加えた後の混合物を室温で0.5時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、逐次的に水そしてエタノールで洗浄した後、THF/CHCNの混合物(120ml)を用いた再結晶化を実施した。その得た混合物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノールを9:1)で精製することで化合物123を得た(0.145g、収率=48%、純度(LC)=99%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.62(3H、s)、7.29(1H、s)、7.37(1H、t、J〜5Hz)、7.65(1H、dd、J=8.2、1.9Hz)、7.71(1H、d、J=8.2Hz)、7.88(1H、t、J〜8Hz)、7.91−7.98(3H、m)、8.17(2H、s(br))、8.41(1H、t、J〜8Hz)、8.59(1H、d、J〜5Hz)ppm。
【0231】
実施例22:スキームH:
【化52】

【0232】
オーブンで乾燥させておいたフラスコに(rac)−BINAP(0.02当量、1.31ミリモル、0.816g)、酢酸パラジウム(II)(0.02当量、1.31ミリモル、0.294g)およびトルエン(400ml)を仕込んだ後、Arでフラッシュ洗浄した。その混合物を室温で30分間撹拌した。その結果として得た溶液を2−クロロ−6−メチル−3−ピリジンカルボニトリル(H.1)(1当量、65.5ミリモル、10.0g)と4−ニトロアニリン(1.2当量、78.6ミリモル、10.9g)とKCO(20当量、1310ミリモル、181g)の混合物に加えた。その反応混合物をN下で還流に20時間加熱した。冷却後、酢酸エチルを加え、その反応混合物をセライトの上に置いて濾過した後、その濾液に蒸発を減圧下である程度受けさせた。濃縮を実施すると生成物が沈澱してきた。その沈澱物を濾過で単離し、トルエンで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで化合物H.2を得た(5.10g、収率=31%)。
【0233】
水酸化カリウム(5当量、100ミリモル、5.63g)をエタノール(180ml)と水(20ml)に入れることで生じさせた溶液に化合物H.2(1当量、20.1ミリモル、5.10g)を加えた。その反応混合物を76時間還流させた。室温に冷却後、沈澱物を濾過で取り出した後、エタノールで洗浄することで化合物H.3のカリウム塩を得た(5.30g、収率=81%)。そのカリウム塩(16.3ミリモル、5.30g)を水(400ml)に入れることで生じさせた溶液をしゅう酸でpHが4になるまで処理した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、水で洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで化合物H.3を得た(2.91g、収率=50%)。
【0234】
化合物H.3(1当量、10.2ミリモル、2.80g)とHOBT(1.2当量、12.3ミリモル、1.66g)をTHF(50ml)に入れることで生じさせた混合物を
撹拌しながらこれにN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.2当量、12.3ミリモル、2.54g)をTHFに入れることで生じさせた溶液を滴下した。その反応混合物をAr雰囲気下室温で2時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、THFで洗浄した。その濾液を減圧下で濃縮することでH.3の粗ベンゾトリアゾールエステルを得た。
【0235】
シアノ酢酸エチル(1当量、10.2ミリモル、1.16g)を無水THF(10ml)に入れることで生じさせた溶液にAr雰囲気下で水素化ナトリウム(2当量、20.5ミリモル、0.820g(60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で1時間撹拌した。前記H.3のベンゾトリアゾールエステルを加えた後の混合物を更に10時間撹拌した。その反応混合物を冷却(0℃)して、これに水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、THFで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで粗化合物H.4を得た(3.90g、収率=71%)。
【0236】
化合物H.4(1当量、4.65ミリモル、2.50g)をPOCl(20ml)に入れることで生じさせた溶液をN雰囲気下で5時間還流させた後、減圧下で濃縮した。ペースト状の残留物に氷水を加え、その結果として生じた懸濁液を30分間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出し、水で洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させた。粗生成物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)で精製することで化合物H.5を得た(0.330g、収率=21%)。
【0237】
化合物H.5(1当量、0.293ミリモル、0.100g)とジメチルアミン(34当量、10ミリモル、5ml(THF中2M))の混合物を60℃に5分間加熱した。室温に冷却後、その反応混合物を減圧下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/THFを99:1)で精製することで化合物127を得た(0.052g、収率=50%、純度(LC)=99%)。
【0238】
実施例25:スキームI:
【化53】

【0239】
F1.1(1当量、49ミリモル、10.0g)を300mlのTHFに入れることで生じさせた室温の溶液にNaH(4当量、195ミリモル、7.8g(油中60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で15分間撹拌した後、塩化2−フルオロベンゾイル(1.05当量、51ミリモル、8.1g)を150mlのTHFに入れることで生じさせた溶液を0℃で滴下した。その混合物を室温で2時間撹拌した後、還流温度に一晩加熱した。溶媒を真空下で濃縮した後、その残留物に水を加えた。その有機層に水を用いた抽出を2回受けさせ、その水層を一緒にして濃塩酸で酸性にすることでpH=1にした。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでI.1を得た(12.87g、収率=82%
、純度(LC)=95%)。
【0240】
I.1(1当量、23ミリモル、7.0g)をPOCl(25当量、570ミリモル、87.0g)に入れることで生じさせた懸濁液をアルゴン下100℃で一晩撹拌した。余分なPOClを留出させた後、その残留物を水と混合した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、飽和NaCO水溶液、水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでI.2を得た(6.35g、収率=77%、純度(LC)=90%)。
【0241】
化合物I.2(1当量、0.307ミリモル、0.100g)を5mlの無水THFと混合した。その懸濁液にN−(2−アミノエチル)ピロリジン(5当量、1.535ミリモル、0.175g)を加えた後、室温で2時間撹拌した。水を加えた後の混合物を室温で0.5時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで化合物130を得た(0.073g、収率=55%、純度(LC)=93%)。
H−NMR(δ、CDCl):1.77−2.00(4H、m)、2.50−2.75(4H、m)、2.75−3.00(2H、m)、3.90−4.20(2H、m)、6.60(1H、d、J〜8Hz)、7.05−7.57(5H、m)、7.63(1H、d、J〜8Hz)、8.44(2H、d、J=8.5Hz)ppm。
【0242】
実施例26:スキームJ:
【化54】

【0243】
5−アミノ−2−メチルベンゾニトリル(1当量、113ミリモル、15.0g)とシアノ酢酸(1.3当量、148ミリモル、13.0g)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.1当量、11ミリモル、1.5g)とN−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N’−エチルカルボジイミド(1.5当量、170ミリモル、33.0g)をTHF(1,000ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で4時間撹拌した。その反応混合物に蒸発乾固を受けさせ、水を加えた後、沈澱物を濾過で取り出した。その沈澱物を逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでJ.1を得た(19.80g、収率=88%)。
【0244】
J.1(1当量、25ミリモル、5.0g)を200mlのTHFに入れることで生じさせた室温の溶液にNaH(3.5当量、88ミリモル、3.5g(油中60%))を分
割して加えた。その反応混合物を室温で30分間撹拌した後、塩化2−フルオロ−4−メトキシベンゾイル(1.05当量、26ミリモル、5.0g)を50mlのTHFに入れることで生じさせた溶液を0℃で滴下した。その混合物を室温で1時間撹拌した後、還流温度に5時間加熱した。溶媒を真空下で濃縮した後、水そして3NのHCl溶液をpH=1になるまで加えた。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでJ.2(8.55g)を得て、それをそのまま次の段階で用いた。
【0245】
J.2(1当量、26ミリモル、8.55g)をPOCl(25当量、645ミリモル、99.0g)に入れることで生じさせた懸濁液をアルゴン下100℃で一晩撹拌した。POClを留出させた後、その残留物を水と一緒にして磨り潰した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでJ.3(7.4g)を得て、それをそのまま次の段階で用いた。
【0246】
化合物J.3(1当量、1.43ミリモル、0.5g)をメタノール中7NのNH溶液(10ml)と混合した後、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮した後、その粗残留物を30mlのアセトニトリルに入れて還流下に加熱した。室温に冷却後、沈澱物を濾過で取り出した後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチルを8:2)で更に精製することで145を得た(0.156g、収率=31%、純度(LC)=95%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.61(3H、s)、3.69(3H、s)、5.85(1H、d、J=2.4Hz)、6.96(1H、dd、J=9.1、2.4Hz)、7.58(1H、dd、J=8.2、2.2Hz)、7.69(1H、d、J=8.2Hz)、7.85(1H、d、J=2.2Hz)、7.98(2H、s(br))、8.25(1H、d、J=9.1Hz)ppm。
【0247】
化合物J.3(1当量、11ミリモル、4.0g)とZn(20メッシュの粒状)(10当量、114ミリモル、7.5g)を酢酸に入れて混合した後、80℃で一晩撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、THFそしてメタノールで洗浄した。その有機画分を一緒にしてこれに水を加えた後、その混合物にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた(3回)。その有機画分を一緒にして飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチルを95:5)で精製することで146を得た(1.6g、収率=42%、純度(LC)=94%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.61(3H、s)、3.71(3H、s)、5.93(1H、d、J=2.3Hz)、7.06(1H、dd、J=8.8、2.3Hz)、7.67(1H、dd、J=8.2、2.1Hz)、7.74(1H、d、J=8.2Hz)、7.86(1H、d、J=8.8Hz)、7.94(1H、d、J=2.1Hz)、8.83(1H、s)ppm。
【0248】
化合物146(1当量、0.776ミリモル、0.263g)と塩酸ピリジン(60当量、46.54ミリモル、5.378g)を一緒に混合した後、その反応混合物を密封型槽に入れて180℃に8時間加熱した。冷却後の反応混合物に水を加え、沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、飽和NaHCO水溶液、水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでJ.4を得た(0.133g、収率=50%、純度(LC)=88%)。
【0249】
J.4(1当量、0.441ミリモル、0.133g)を5mlの無水THFに入れることで生じさせた溶液にトリフェニルホスフィン(5当量、2.207ミリモル、0.5
79g)および3−ジメチルアミノ−1−プロパノール(7.6当量、3.355ミリモル、0.346g)を加えた。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(3.5当量、1.545ミリモル、0.312g)をゆっくり加えた後の反応混合物を室温で4日間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを95:5)で精製した。その結果として得た生成物をエタノールに入れて還流させ、室温に冷却した後、沈澱物を濾過で取り出し、そして逐次的にエタノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することで147を得た(0.082g、収率=44%、純度(LC)=92%)。
【0250】
J.4(1当量、2.489ミリモル、0.750g)を25mlのDMFに入れることで生じさせた溶液に1,3−ジブロモプロパン(1.3当量、3.236ミリモル、0.653g)および炭酸カリウム(1.3当量、3.236ミリモル、0.447g)を加えた後、その反応混合物を90℃で1時間撹拌した。水を加え、沈澱物を濾過で取り出し、水そしてイソプロパノールで洗浄した後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/エタノールを99:1)で更に精製することでJ.5を得た(0.580g、収率=33%、純度(LC)=60%)。
【0251】
J.5(1当量、0.824ミリモル、0.580g)を8mlのDMFに入れることで生じさせた溶液にピロリジン(5当量、4.121ミリモル、0.293g)を加えた後、その反応混合物を100℃で2時間撹拌した。室温に冷却後、水を加え、そしてジクロロメタンを用いて生成物を抽出した。その有機層を一緒にして、それに1NのHCl水溶液を用いた抽出を3回受けさせた。その水層を一緒にしてNaHCOで塩基性にした後、ジクロロメタンを用いた抽出を実施した。その有機層をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを9:1)で精製することで148を得た(0.096g、収率=27%、純度(LC)=95%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):1.65(4H、p、J=3.2)、1.79(2H、p、J〜7Hz)、2.30−2.39(4H、m)、2.42(2H、t、J〜7Hz)、2.61(3H、s)、3.90−4.04(2H、m)、5.90(1H、d、J=2.3Hz)、7.06(1H、dd、J=88、2.3Hz)、7.67(1H、dd、J=8.2、2.2Hz)、7.74(1H、d、J=8.2Hz)、7.85(1H、d、J=8.8Hz)、7.95(1H、d、J=2.2Hz)、8.83(1H、s Hz)ppm。
【0252】
実施例27:スキームK1:
【化55】

【0253】
J.1(1当量、81.3ミリモル、16.2g)を500mlのTHFに入れることで生じさせた室温の溶液にNaH(3.5当量、284.6ミリモル、11.4g(油中60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で30分間撹拌した後、0℃に冷却した。塩化2−フルオロ−4−ブロモベンゾイル(1.1当量、89.45ミリモル、21.2g)を50mlのTHFに入れることで生じさせた溶液を0℃で滴下した。その混合物を室温で1時間撹拌した後、還流温度に一晩加熱した。水をいくらか添加することで余分な水素化ナトリウムを分解させた。溶媒を真空下で濃縮した後、水そして3NのHCl溶液をpH=1になるまで加えた。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでK1.1を得た(29.6g、収率=96%)。
【0254】
K1.1(1当量、77.8ミリモル、29.6g)をPOCl(10当量、778ミリモル、119g)に入れることで生じさせた懸濁液を100℃で一晩撹拌した。POClを留出させた後、その残留物を水と一緒にして磨り潰した(注:発熱反応)。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでK1.2を得た(26.5g、収率=85%)。
【0255】
化合物K1.2(1当量、69.3ミリモル、27.6g)とZn(20メッシュの粒状)(10当量、693ミリモル、41.6g)を酢酸(400ml)に入れて混合した後、80℃で一晩撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、その残留物をTHF(500ml)と混合することで反応生成物を溶解させた。塩を濾過で除去した。その濾液に水を加えた後、その混合物にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた(3回)。その有機画分を一緒にして飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮することで149を得た(15g、収率=55%、純度(LC)=93%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.62(3H、s)、6.73(1H、s)、7.60(1H、d、J=1.58Hz)、7.70(1H、d、J=1.92Hz)、7.75(1H、d、J=8.2Hz)、7.85(1H、d、J=8.4Hz)、7.95(1H、d、J=1.76Hz)、8.96(1H、s)
【0256】
実施例28:スキームK2:
【化56】

【0257】
149(0.96ミリモル、0.350g)を20mlのジオキサンに入れることで生じさせた混合物に1−(トリイソプロピルシリル)−1H−ピロール−3−ホウ素酸(1.5当量、1.44ミリモル、0.385g)、炭酸ナトリウム(3当量、2.9ミリモル、0.306g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.05当量、0.048ミリモル、0.055g)および水を数滴加えた後、その混合物を100℃に一晩加熱した。水を加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄した。その粗中間体K2.1をシリカゲル使用フラッシュクロマトグラフィーにかけてジクロロメタン/メタノール(99:1)を用いて更に精製することで脱シリル生成物150を得た(0.112g、収率=32%、純度(LC)=98%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.64(3H、s)、6.22(1H、d、J=1.62Hz)、6.55(1H、s)、6.79(1H、d、J=2.24Hz)、7.29(1H、s)、7.61(1H、d、J=8.27Hz)、7.71(1H、d、J=1.95Hz)、7.77(1H、d、J=8.18Hz)、7.8(1H、d、J=8.29Hz)、7.98(1H、d、J=1.87Hz)、8.82(1H、s)ppm。
【0258】
実施例29:スキームK3:
【化57】

【0259】
化合物149(1当量、0.9ミリモル、0.327g)とN−(3−アミノプロピル)ピロリジン(1.2当量、1.1ミリモル、0.140g)とカリウムt−ブトキサド(1.5当量、1.4ミリモル、0.150g)とPd(dba)(0.5当量、0.46ミリモル、0.042g)とBINAP(0.5当量、0.46ミリモル、0.028g)の混合物を20mlのトルエンに入れてAr下85℃で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、その残留物を調製用HPLCで精製することで化合物157を得た(0.032g、収率=8.1%、純度(LC)=95%)。
【0260】
実施例30:スキームK4:
【化58】

【0261】
化合物149(1当量、13.7ミリモル、5.0g)と塩酸3−(アミノメチル)フェニルホウ素酸(1.5当量、20.6ミリモル、3.86g)と炭酸ナトリウム(3当量、41.2ミリモル、2.47g)とビス(トリ−オルソトルイルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(0.1当量、1.37ミリモル、0.42g)をジオキサン(50ml)に入れて混合した。水を10滴加えた後の混合物をAr雰囲気下100℃で一晩撹拌した。溶媒を真空下で濃縮し、その残留物を水と一緒にして磨り潰し、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、水そしてイソプロパノールで洗浄した。生成物をシリカゲル使用クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを99:1)で更に精製することで化合物K4.1を得た(1.8g、収率=27%、純度(LC)=81%)。
【0262】
K4.1(1当量、1.037ミリモル、0.500g、純度81%)と塩酸N,N−ジメチルグリシン(1.3当量、1.348ミリモル、0.188g)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.1当量、0.104ミリモル、0.014g)とN−(3−(ジメチルアミノ)−N’−エチルカルボジイミド(1.5当量、1.556ミリモル、0.298g)をTHF(10ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で一晩撹拌した。その反応混合物に蒸発乾固を減圧下で受けさせた後、飽和NaHCO水溶液を塩基性のpHになるまで加えた。沈澱物を濾過で取り出し、水と混合し、ジクロロメタンを用いた抽出を実施し、その有機層を一緒ににして水で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、
真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを99:1)で更に精製することで158を得た(0.170g、収率=33%、純度(LC)=95%)。
H−NMR(δ、CDCl3−D6):2.23(6H、s)、2.69(3H、s)、2.69(3H、s)、3.00(2H、s)、4.50(2H、d、J=6.1Hz)、6.78(1H、s)、7.28(1H、d、J〜8Hz)、7.31−7.44(3H、m)、7.47(1H、d、J〜8Hz)、7.50−7.70(4H、m)、7.76(1H、d、J〜8Hz)、8.37(1H、s)ppm。
【0263】
実施例31:スキームK5:
【化59】

【0264】
149(0.961ミリモル、0.350g)と2−(トリブチルスタニル)ピリジン(1当量、0.961ミリモル、0.425g)と塩化リチウム(3当量、2.88ミリモル、0.122g)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.02当量、0.019ミリモル、0.022g)の混合物を20mlのジオキサンに入れてAr下85℃で一晩撹拌した。水およびエタノールを加え、その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、水、エタノールそしてジイソプロピルエーテルで洗浄した。生成物を短いシリカゲル路の上に置いてジクロロメタンとメタノールを用いて濾過することで更に精製した。溶媒を減圧下で蒸発させることで化合物159を白色の粉末として得た(0.265g、収率=75.3%、純度(LC)=99%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.64(3H、s)、7.35(1H、s)、7.38−7.71(1H、m)、7.74−7.79(2H、m)、7.88−7.93(2H、m)、8.02−8.08(3H、m)、8.62(1H、d、J=4.50Hz)、9.01(1H、s)
【0265】
実施例32:スキームL:
【化60】

【0266】
J.1(1当量、25ミリモル、5.00g)を200mlのTHFに入れることで生じさせた室温の溶液にNaH(4当量、100ミリモル、4.00g(油中60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で30分間撹拌した後、塩化2−フルオロ−4−クロロベンゾイル(1.05当量、26ミリモル、5.10g)を50mlのTHFに入れることで生じさせた溶液を0℃で滴下した。その混合物を室温で1時間撹拌した後、還流温度に一晩加熱した。溶媒を真空下で濃縮した後、水そして3NのHCl溶液をpH=1になるまで加えた。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでL.1(8.5g)を得て、そのまま次の段階で用いた。
【0267】
L.1(1当量、6ミリモル、2.00g)をPOCl(25当量、149ミリモル、23.00g)に入れることで生じさせた懸濁液をAr下100℃で一晩撹拌した。POClを留出させた後、その残留物を水と一緒にして磨り潰した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでL.2(1.24g)を得て、そのまま次の段階で用いた。
【0268】
化合物L.2(1当量、1.41ミリモル、0.500g)とZn(20メッシュの粒状)(10当量、14.12ミリモル、0.923g)を酢酸に入れて混合した後、80℃で2日間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、ジクロロメタンで洗浄した。その有機画分を一緒にしてこれに水を加えた後、その混合物にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた(3回)。その有機画分を一緒にして飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチルを9:1)で精製することで161を得た(0.155g、収率=31%、純度(LC)=95%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.62(3H、s)、6.60(1H、d、J〜2Hz)、7.47(1H、dd、J=8.3、〜2Hz)、7.69(1H、dd、J=8.3、〜2Hz)、7.75(1H、d、J=8.3Hz)、7.93−7.95(2H、m)、8.96(1H、s)ppm。
【0269】
化合物L.2(1当量、0.847ミリモル、0.300g)をメタノール中7NのNH溶液(10ml)と一緒に混合した後、室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で濃縮した後、その粗残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチルを9:1)で精製することで162を得た(0.110g、収率=38%、純度(LC)=99%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.60(3H、s)、6.46(1H、d、J=1.9Hz)、7.37(1H、dd、J=8.8、1.9Hz)、7.59(1H、dd、J=8.3、2.1Hz)、7.68(1H、d、J=8.3Hz)、7.86(1H、d、J=2.1Hz)、8.17(2H、s(br))、8.30(1H、d、J=8.8Hz)ppm。
【0270】
実施例33:スキームM:
【化61】

【0271】
J.1(1当量、25ミリモル、5.00g)を200mlのTHFに入れることで生じさせた室温の溶液にNaH(4当量、100ミリモル、4.00g(油中60%))を分割して加えた。その反応混合物を室温で30分間撹拌した後、塩化2−フルオロ−ベンゾイル(1.05当量、24ミリモル、4.20g)を50mlのTHFに入れることで生じさせた溶液を0℃で滴下した。その混合物を室温で1時間撹拌した後、還流温度に一晩加熱した。溶媒を真空下で濃縮した後、水そして3NのHCl溶液をpH=1になるまで加えた。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでM.1(7.6g)を得て、そのまま次の段階で用いた。
【0272】
M.1(1当量、25ミリモル、7.50g)をPOCl(25当量、622ミリモル、95.00g)に入れることで生じさせた懸濁液をAr下100℃で一晩撹拌した。POClを留出させた後、その残留物を水と一緒にして磨り潰した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出した後、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄することでM.2(5.20g)を得て、そのまま次の段階で用いた。
【0273】
化合物M.2(1当量、2.189ミリモル、0.700g)とZn(20メッシュの粒状)(10当量、21.89ミリモル、1.432g)を酢酸に入れて混合した後、80℃で2時間撹拌した。沈澱物を濾過で取り出した後、ジクロロメタン、THFそしてメタノールで洗浄した。その有機画分を一緒にしてこれに水を加えた後、その混合物にジクロロメタンを用いた抽出を受けさせた(3回)。その有機画分を一緒にして飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物の再結晶化をエタノールを用いて実施した後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタンが100%)によるさらなる精製を実施することで163を得た(0.250g、収率=39%、純度(LC)=98%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.61(3H、s)、6.63(1H、d、J〜8Hz)、7.38(1H、t、J〜8Hz)、7.59−7.64(1H、m)、7.68(1H、dd、J〜8、2.1Hz)、7.74(1H、d、J〜8Hz)、7.91(1H、dd、J〜8、〜2Hz)、7.96(1H、d、J〜2Hz)、8.96(1H、s)ppm。
【0274】
エチレンジアミン(10当量、3.127ミリモル、0.188g)と化合物M.2(1当量、0.313ミリモル、0.100g)を2mlのDMFに入れて混合した後、室温で2時間撹拌した。水を加えた後の混合物を室温で0.5時間撹拌した。その結果として生じた沈澱物を濾過で取り出し、逐次的に水、イソプロパノールそしてイソプロピルエーテルで洗浄した後、シリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノールを9:1)で更に精製することで164を得た(0.037g、収率=34%、純度(LC)=100%)。
H−NMR(δ、DMSO−D6):2.59(3H、s)、2.90−3.00(2H、m)、3.82(1H、t、J=6.3Hz)、6.51(1H、d、J〜8Hz)、7.29(1H、t、J〜8Hz)、7.49(1H、t、J〜8Hz)、7.57(1H、dd、J=8.2、2.2Hz)、7.68(1H、d、J=8.2Hz)、7.85(1H、d、J=2.2Hz)、8.24(1H、d、J〜8Hz)ppm。
【0275】
以下の表に、この上に示した合成スキームと同様なスキームで調製した本発明の化合物の例を示す。これらの表の中の縦列「合成方法」は、この上に示した実施例に例示した合成スキームを指し、例えば合成方法Aは実施例1に例示した方法である。破線は、示すフラグメントを分子の残りと連結させている結合を表す。
【0276】
【表1】

【0277】
【表2】

【0278】
【表3】

【0279】
【表4】

【0280】
【表5】

【0281】
【表6】

【0282】
【表7】

【0283】
【表8】

【0284】
【表9】

【0285】
【表10】

【0286】
【表11】

【0287】
【表12】

【0288】
【表13】

【0289】
【表14】

【0290】
【表15】

【0291】
【表16】

【0292】
【表17】

【0293】
【表18】

【0294】
【表19】

【0295】
以下に、この上に示した表に挙げた如き化合物番号で識別する本発明のいろいろな化合物を相当するNMRデータと一緒に示す。
【0296】
【表20】

【0297】
【表21】

【0298】
【表22】

【0299】
【表23】

【0300】
【表24】

【0301】
【表25】

【0302】
【表26】

【0303】
【表27】

【0304】
抗ウイルス分析EGFP
本発明の化合物に抗ウイルス活性に関する試験を細胞検定で受けさせ、この検定を以下の手順に従って実施した。
【0305】
ヒトT細胞株MT4に緑色蛍光蛋白質(GFP)およびHIV特異的プロモーターであるHIV−1の長い末端反復(LTR)を用いた工学処理を受けさせた。その細胞株をMT4 LTR−EGFPと表示し、これを調査化合物が示す抗HIV活性をインビトロで評価する目的で用いることができる。HIV−1に感染した細胞では、LTRプロモータ
ーを上方調節して最終的にGFPレポーター産生の刺激をもたらすTat蛋白質が産生され、それによって、進行中のHIV感染を蛍光光度的に測定することができる。同様にして、MT4細胞にGFPおよび構成的サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによる工学処理も受けさせた。この細胞株をMT4 CMV−EGFPと表示し、これを調査化合物が示す細胞毒性をインビトロで評価する目的で用いることができる。この細胞株中のGFP濃度は感染したMT4 LTR−EGFP細胞のそれに匹敵する。調査化合物が細胞毒性を示す場合、模擬感染MT4 CMV−EGFP細胞のGFP濃度が減少する。
【0306】
有効濃度値、例えば50%有効濃度(EC50)などを測定することができ、それらを通常はμMで表す。EC50値は、試験化合物がHIV感染細胞の蛍光を50%減少させる濃度であると定義する。50%細胞毒性濃度(μMで表すCC50)は、試験化合物が模擬感染細胞の蛍光を50%減少させる濃度であると定義する。EC50に対するCC50の比率が選択率指数(SI)であると定義し、これは阻害剤が示す抗HIV活性の選択率の指標である。HIV−1の感染および細胞毒性の最終的な監視を走査顕微鏡を用いて実施する。画像を分析することでウイルス感染を非常に高感度に検出することができる。測定を細胞壊死(これは一般に感染から約5日後に起こる)前に実施し、特に測定を感染から3日後に実施する。
【0307】
以下の表5に、本発明の選択したいろいろな化合物が示したEC50値(ミクロモル/リットルで表す)を野生型HIV−IIIB株と対比させて示す。
【0308】
【表28】

【0309】
【表29】

【0310】
【表30】

【0311】
【表31】

【0312】
製剤
カプセル
化合物1をエタノールと塩化メチレンの混合物に溶解させ、そしてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(5mPa.s)をエタノールに溶解させる。両方の溶液を化合物/重合体の重量/重量比が1/3になるように混合した後、その混合物に噴霧乾燥を標準的噴霧乾燥装置を用いて受けさせる。その後、その噴霧乾燥を受けさせた粉末、即ち固体状分散体を投与用カプセルの中に充填する。1カプセル中の薬剤充填量を使用するカプセルの大きさに応じてそれが50から100mgの範囲になるように選択する。同じ手順に従って、式(I)で表される他の化合物のカプセル製剤も調製することができる。
【0313】
膜被覆錠剤
錠剤中心部の調製
化合物1が1000gでラクトースが2280gで澱粉が1000gの混合物を充分に混合した後、25gのドデシル硫酸ナトリウムと50gのポリビニルピロリドンを約1000mlの水に入れることで生じさせた溶液で湿らせる。その湿らせた粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させた後、再びふるいにかける。次に、微結晶性セルロースを1000gおよび水添植物油を75g加える。その全体を充分に混合した後、圧縮して錠剤にすることで、各々が有効成分を100mg含有する錠剤を10,000個得る。
【0314】
被覆
10gのメチルセルロースを75mlの変性エタノールに入れることで生じさせた溶液に5gのエチルセルロースを150mlのジクロロメタンに入れることで生じさせた溶液を加える。次に、ジクロロメタンを75mlおよび1,2,3−プロパントリオールを2.5ml加える。10gのポリエチレングリコールを溶融させた後、75mlのジクロロメタンに溶解させる。後者の溶液を前者に加えた後、オクタデカン酸マグネシウムを2.5g、ポリビニルピロリドンを5gおよび濃カラー懸濁液を30ml加えて、その全体を均一にする。被覆装置を用いて、そのようにして得た混合物で前記錠剤中心部を被覆する。
【0315】
同じ手順に従って、式(I)で表される他の化合物の錠剤製剤も調製することができる


【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体異性体形態物、製薬学的に許容される塩および製薬学的に許容される溶媒和物を包含する式(I):
【化1】

[式中、
は、シアノであり、
は、H、C1−6アルキル、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルアミノであり、かつ前記C1−6アルキル基はヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキル−カルボニルアミノ−、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ−、ピリジル、イミダゾリル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニルまたは4−(C1−6アルキル−カルボニル)ピペラジニルで置換されており、
は、CHまたはNであり、
は、各々がC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチルから各々独立して選択される1または2個の置換基で置換されているか或は置換されていなくてもよいフェニルもしくはピリジルであるか、或はRはベンゾオキサジアゾール、またはNがC1−6アルキルで置換されているベンゾオキサゾロンであり、Rは、H、C1−6アルキル、(C1−6アルキルカルボニルアミノ)C1−6アルキル−、Ar、チエニル、カルボキシルで置換されているチエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、−OPO(OH)、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、式−Y−R、−Y−Alk−Rまたは式−Y−Alk−Y−Rで表される基であり、
は、H、ハロ、ヒドロキシまたはC1−6アルキルオキシであるか、或は
とRが一緒になって二価基−O−CH−O−を形成しており、
は、OまたはNRであり、
は、OまたはNRであり、
Alkは、二価のC1−6アルキルであり、
は、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、4−C1−6アルキルピペラジニル、4−(C1−6アルキルカルボニル)ピペラジニル、ピリジルまたはイミダゾリルであり、
は、H、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルであり、
は、HまたはC1−6アルキルであり、
は、HまたはC1−6アルキルであり、
Arは、場合によりC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ、カルボキシル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノカルボニルおよびC1−6アルキル、これはアミノ、ヒドロキシ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、[(モノ−もしくはジC1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル]カルボニルアミノまたはC1−6アルキルスルホニルアミノで置換されている、から各々独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルで
ある]
で表される化合物。
【請求項2】
下記:
(a)RがH、C1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルアミノであり、かつ前記C1−6アルキル基がヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ−、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノ−、ピリジル、イミダゾリル、ピロリジニルで置換されているか、
(b)Rが各々がC1−6アルキル、ニトロ、シアノ、ハロから選択される1または2個の置換基で置換されているか或は置換されていなくてもよいフェニルもしくはピリジルであるか、或はRがベンゾオキサジアゾール、またはNがC1−6アルキルで置換されているベンゾオキサゾロンであるか、
(c)RがH、C1−6アルキル、Ar、チエニル、カルボキシルで置換されているチエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ハロ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、−OPO(OH)、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、式−Y−R、−Y−Alk−Rまたは式−Y−Alk−Y−Rで表される基であるか、
(d)RがH、ハロ、ヒドロキシまたはC1−6アルキルオキシであるか、或は
(e)RとRが一緒になって二価基−O−CH−O−を形成しているか、
(f)Rがピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピリジルまたはイミダゾリルであるか、
(g)RがH、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルであるか、
(h)RがHまたはC1−6アルキルであるか、
(i)RがHまたはC1−6アルキルであるか、或は
(j)Arが場合によりC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノカルボニルおよびC1−6アルキル、これはアミノ、ヒドロキシ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、[(モノ−もしくはジC1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル]カルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノで置換されている、から各々独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、
の中の1つ以上が当てはまる請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記:
(a)RがC1−6アルキルまたはアミノであるか、
(c)Rがニトロで置換されているフェニルであるか、或はRがハロで置換されているピリジルであるか、
(d)Rが7位に位置する置換基であるか、
(e)Rが6位に位置する置換基であるか、
(f)YがOまたはNHであるか、
(g)YがOまたはNRであるか、
(h)Alkが二価のC1−4アルキルであるか、或はより特別には−Y−Alk−R中のAlkがメチレンであるか、−Y−Alk−Y−R中のAlkが二価のC2−4アルキルであるか、
(i)Rがピロリジニルであるか、
(j)RとRがこれらが結合している窒素原子と一緒になってピロリジン、ピペリジン、モルホリンを形成している、
の中の1つ以上が当てはまる請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
ArがC1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニル、モノ−もしくはジC1−6アルキルアミノカルボニルおよびC1−6アルキル、これはアミノ、ヒドロキシ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、[(モノ−もしくはジC1−6アルキル)アミノ−C1−6アルキル]カルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノで置換されている、で置換されておりかつ場合によりC1−6アルキル、ハロおよびヒドロキシから選択される更に1個の置換基で置換されていてもよいフェニルである請求項1−3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
がニトロで置換されているフェニル、ハロで置換されているピリジル、シアノとC1−6アルキルで置換されているフェニルである請求項1−3のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
が7位に位置する置換基でありそしてRが6位に位置する置換基である請求項1−5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
がOまたはNHでありそしてYがOまたはNRである請求項1−5のいずれか記載の化合物。
【請求項8】
−Y−Alk−R中のAlkがメチレンでありそして−Y−Alk−Y−R中のAlkが二価のC2−4アルキルである請求項1−6のいずれか記載の化合物。
【請求項9】
がピロリジニル、ピペリジニルまたはモルホリニルである請求項1−7のいずれか記載の化合物。
【請求項10】
請求項1−9のいずれか記載の式(I)で表される化合物を有効成分として含有して成る製薬学的組成物。

【公表番号】特表2010−504945(P2010−504945A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529709(P2009−529709)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060289
【国際公開番号】WO2008/037784
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】