説明

クロスフローを有するエピタキシャルチャンバ

本明細書では、基板を処理するための方法および装置が提供される。いくつかの実施形態において、基板を処理するための装置は、中に基板の処理面をプロセスチャンバ内の所望の位置に支持するための基板支持体を有するプロセスチャンバと、基板の処理面上に第1の方向に第1のプロセスガスを提供するための第1の吸入口と、基板の処理面上に第1の方向と異なる第2の方向に第2のプロセスガスを提供するための第2の吸入口であって、基板支持体の中心軸に関して第1の方向と第2の方向の間で測定される方位角が最大約145度である第2の吸入口と、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスをプロセスチャンバから排気するために第1の吸入口の反対側に配置された排気口とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、基板を処理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の層のエピタキシャル堆積などの、いくつかのプロセスにおいて、プロセスガスが、基板表面にわたって同じ方向に流される場合がある。例えば、基板表面上にエピタキシャル層を成長させるために、プロセスチャンバの両端に配置された吸入口と排気口の間の基板表面にわたって、1つまたは複数のプロセスガスが流される場合がある。
【0003】
典型的には、従来の見識では、温度が膜厚を制御するための断然優勢な変数であるとされている。そのために、基板上に堆積される膜厚の制御を試みるために、基板および/またはプロセス環境の温度制御が使用される。
【0004】
本発明者は、基板を処理するための改善された方法および装置を、本明細書で提供している。
【発明の概要】
【0005】
本明細書において、基板を処理するための方法および装置が提供される。いくつかの実施形態において、基板を処理するための装置は、中に基板の処理面をプロセスチャンバ内の所望の位置に支持するための基板支持体を有するプロセスチャンバと、基板の処理面上に第1の方向に第1のプロセスガスを提供するための第1の吸入口と、基板の処理面上に第1の方向と異なる第2の方向に第2のプロセスガスを提供するための第2の吸入口であって、基板支持体の中心軸に関して第1の方向と第2の方向の間で測定される方位角が最大約145度である第2の吸入口と、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスをプロセスチャンバから排気するために第1の吸入口の反対側に配置された排気口とを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、基板上に層を堆積させるための方法は、基板の処理面にわたって、第1の方向に第1のプロセスガスを流すステップと、基板の処理面にわたって、第1の方向とは異なる第2の方向に第2のプロセスガスを流すステップであって、基板の中心軸に関して第1の方向と第2の方向の間で測定される方位角が最大約145度であるステップと、基板上に、少なくとも部分的に第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの流れの相互作用から形成される層を堆積させるステップとを含む。他の実施形態および変形形態は、以下に詳細な説明の中で開示される。
【0007】
本発明の実施形態は、上で簡単に要約され下で詳細に議論されるが、添付された図面に示された本発明の例証的な実施形態を参照することにより理解することができる。しかし、本発明が他の同様に有効な実施形態を容認し得るので、添付された図面が本発明の典型的な実施形態だけを図示しており、したがって添付された図面は本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバの概略側面図である。
【図2A】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバの概略上面図である。
【図2B】本発明のいくつかの実施形態による吸入口を示す図である。
【図2C】本発明のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバの概略側面図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態による、基板上に層を堆積させるための方法の流れ図である。
【図4】図3に示された方法による、基板上に堆積された層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解しやすくするために、可能な場合は、図に共通な同一の要素を指定するために、同一の参照番号が使用されている。図は一定の縮尺で描かれておらず、見やすいように簡略化される場合がある。一実施形態の要素および特徴は、さらなる記述なしに、他の実施形態に有利に組み込まれ得ることが意図される。
【0010】
基板上に層を堆積させるための方法および装置が、本明細書で開示される。従来のプロセスの期間に、基板表面上に成長したエピタキシャル層に、望ましくない厚さの不均一性および/または組成上の不均一性が、まだ存在する場合があることを、発明者は観察した。より小さい限界寸法および/またはより高度な組成上のローディングにおいて、そのような厚さおよび組成物中の不均一性が、さらに望ましくないことになる可能性があることを、発明者はさらに観察した。本明細書に開示の本発明の方法および装置の実施形態は、有利なことに、堆積のために使用されるプロセスガス間の流れの相互作用を生成することによって、堆積された層の中の厚さの不均一性および/または組成上の不均一性を克服することができる。本発明の方法および装置は、堆積された層の中の欠陥/粒子形成をさらに減少させ、堆積された層の厚さおよび/または組成物および/または結晶化度の調整を可能にする。
【0011】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、プロセスチャンバ100の概略側面図を示す。プロセスチャンバ100は、Santa Clara、Calif.のApplied Materials、Inc.から入手可能な、RP EPI(登録商標)リアクタ、またはエピタキシャルシリコン堆積プロセスを実施するよう適合された、任意の好適な半導体プロセスチャンバなどの、市販されているプロセスチャンバから改変することができる。プロセスチャンバ100は、上で議論したようにエピタキシャルシリコン堆積プロセスを実施するように適合されてもよく、チャンバ本体110、ならびに基板支持体124の周りに配置された、第1の吸入口114、第2の吸入口170、および排気口118を例証的に備える。第1の吸入口114および排気口118は、基板支持体124の対向する側に配置される。第2の吸入口170は、第2のプロセスガスを第1の吸入口114によって提供される第1のプロセスガスに対して角度をもって提供するために第1の吸入口114に対して構成される。プロセスチャンバ100の上面図を図示する図2Aを参照して、以下で説明される、第2の吸入口170および第1の吸入口114は、チャンバのいずれかの側に最大約145度の方位角202だけ離すことができる。プロセスチャンバ100は、以下により詳細に議論される、支持システム130およびコントローラ140をさらに含む。
【0012】
チャンバ本体110は、一般に、上部102、下部104、および筐体120を含む。上部102は下部104上に配置され、リッド106、クランプリング108、ライナ116、ベースプレート112、1つまたは複数の上側ランプ136および1つまたは複数の下側ランプ138、ならびに上側高温計156を含む。一実施形態において、リッド106はドーム様のフォームファクタを有するが、他のフォームファクタを有するリッド(例えば、平坦なリッドまたはリバースカーブリッド)も意図される。下部104は、第1の吸入口114、第2の吸入口170および排気口118と結合され、ベースプレートアセンブリ121、下側ドーム132、基板支持体124、前加熱リング122、基板リフトアセンブリ160、基板支持体アセンブリ164、1つまたは複数の上側ランプ152および1つまたは複数の下側ランプ154、ならびに下側高温計158を備える。前加熱リング122など、プロセスチャンバの特定の構成要素を記述するために、用語「リング」が使用されているが、これらの構成要素の形状は円形である必要はなく、限定するものではないが、矩形、多角形、長円形などを含む任意の形状を含むことができることが意図される。
【0013】
図2Aは、チャンバ100の概略上面図を示す。図示されるように、第1の吸入口114、第2の吸入口170、および排気口118は、基板支持体124の周りに配置される。排気口118は、基板支持体124の第1の吸入口114から反対側に配置することができる(例えば、排気口118および第1の吸入口114は、お互いとほぼ位置合わせされる)。第2の吸入口170は、基板支持体124の周りに配置されてもよく、いくつかの実施形態においては(図示されるように)、排気口118または第1の吸入口114のどちらとも対向しない。しかし、図2Aにおける第2の吸入口170の位置付けは、単に例示であって、以下で議論されるように、基板支持体124の周りの他の位置が可能である。
【0014】
第1の吸入口114は、第1のプロセスガスを、基板125の処理面上に第1の方向208に提供するよう構成される。本明細書において使用されるとき、用語プロセスガスは、単一のガスと複数のガスの混合物の両方のことを言う。また、本明細書において使用されるとき、用語「方向」は、プロセスガスが吸入口を出る方向を意味する。いくつかの実施形態において、第1の方向208は、基板125の処理面に平行であり、全体的に対向する排気口118へと向けられる。
【0015】
第1の吸入口114は、そこを通って第1のプロセスガスが提供される、単一の口を備えることができ(図示せず)、または第1の複数の2次的な入口210を備えることができる。いくつかの実施形態において、第1の複数の2次的な入口210の数は、最大約5個の入口であるが、より多くの2次的な入口またはより少ない2次的な入口が提供され得る(例えば、1つまたは複数)。各2次的な入口210は、例えばいくつかのプロセスガスの混合物であり得る、第1のプロセスガスを提供することができる。別法として、1つまたは複数の2次的な入口210は、少なくとも1つの他の2次的な入口210と異なる、1つまたは複数のプロセスガスを提供することができる。いくつかの実施形態において、プロセスガスは、第1の吸入口114を出た後、実質的に均一に混合して、第1のプロセスガスを形成することができる。いくつかの実施形態において、第1のプロセスガスが故意に不均一な組成物を有するように、プロセスガスが第1の吸入口114を出た後、全体的に一緒に混合しない場合がある。各2次的な入口210における、流量、プロセスガス組成物などは、独立に制御することができる。いくつかの実施形態において、以下に議論されるように、例えば、第2の吸入口170によって提供される第2のプロセスガスとの、所望の流れの相互作用を達成するために、2次的な入口210のいくつかは、処理期間に、アイドル状態または律動的に動かすことができる。さらに、第1の吸入口114が単一の口を備える実施形態において、単一の口は、上で議論されたのと同じ理論のために、律動的に動かすことができる。
【0016】
第2の吸入口170は、第1の吸入口114についての設計と、実質的に同様であり得る。第2の吸入口170は、第1の方向208と異なる第2の方向212に、第2のプロセスガスを提供するように構成される。第2の吸入口170は、(図1に概略的に示されるように)単一の口を備えることができる。別法として、第2の吸入口170は、第2の複数の2次的な入口214を備えることができる。各2次的な入口214は、例えばいくつかのプロセスガスの混合物であり得る、第2のプロセスガスを提供することができる。別法として、1つまたは複数の2次的な入口214は、少なくとも1つの他の2次的な入口214と異なる、1つまたは複数のプロセスガスを提供することができる。いくつかの実施形態において、プロセスガスは、第2の吸入口170を出た後、実質的に均一に混合して、第2のプロセスガスを形成することができる。いくつかの実施形態において、第2のプロセスガスが故意に不均一な組成物を有するように、プロセスガスが第2の吸入口170を出た後、全体的に一緒に混合しない場合がある。各2次的な入口210における、流量、プロセスガス組成物などは、独立に制御すことができる。いくつかの実施形態において、例えば、第1の吸入口114によって提供される第1のプロセスガスとの所望の流れの相互作用を達成するために、第2の吸入口170または2次的な入口214のいくつかまたは全ては、処理期間に、アイドル状態または律動的に動かすことができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、第1の吸入口114の第1の方向208と第2の吸入口170の第2の方向212の間の関係は、少なくとも部分的には、方位角202によって規定することができる。方位角202は、基板支持体124の中心軸200に対して第1の方向208と第2の方向212の間で測定される。方位角202は、最大約145度、または約0度から約145度の間であり得る。いくつかの実施形態において、線204により示されるように、方位角202は90度未満でよく、その結果、第2の吸入口170は排気口118よりも第1の吸入口114により近く近接する位置になる。いくつかの実施形態において、線206により示されるように、方位角202は90度より大きくてよく、その結果、第2の吸入口170は第1の吸入口114よりも排気口118により近く近接する位置になる。いくつかの実施形態において、図2Aに図示されるように、方位角202は約90度である。方位角202は、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの間に所望の量のクロスフロー相互作用を提供するように選択することができる。
【0018】
第1の方向208および第2の方向212の一方または両方は、基板125の処理面に実質的に平行であっても、(図2Bに示されるように)基板125の処理面に対して角度があってもよい。図2Bに図示されるように、第1の吸入口114は、第1の方向208が基板125の処理面に対して角度があるように配向される1つまたは複数の2次的な入口210を有することができる。第2の吸入口170(図2Bに示さず)は、第2の方向212が基板125の処理面に対して角度があるように、1つまたは複数の2次的な入口214を配向する同様の構成を有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、第2の方向212は、基板表面に対して角度を設けられてもよく、第1の方向208は、基板表面に平行である。そのような実施形態において、方位角202は、(線206により示されるように)最大約145度であり得る。そのような実施形態の一具体例(図示せず)では、方位角がゼロ度である。したがって、第1の吸入口114および第2の吸入口170は、垂直に整列されて配置され、例えばお互いの上に積み重ねられ、または単一のユニットに一体化することができる。そのような実施形態において、基板表面に対し、第2の方向212が角度のある配向であり、第1の方向208が平行な配向であるために、(第1の方向208と第2の方向212の間の方位角202がゼロ度であるにも関わらず)第1の方向208および第2の方向212は、依然として異なる。したがって、流れの相互作用が、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの間に生じることができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、方位角が、第1の方向208および第2の方向212の間の違いを規定する。例えば、第1の方向208および第2の方向212が両方とも基板表面に平行である場合、第1の方向208と第2の方向212が異なるように方位角202は非ゼロであり、したがって流れの相互作用が達成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、図2Cに図示されるように、第1の吸入口114は、基板125の処理面上の第1の高さ216に配置されてもよく、第2の吸入口は、基板125の処理面上の第2の高さ218に配置されてもよい。第1の高さ216および第2の高さ218は、調整可能であり、例えば、各高さが、チャンバ100内で基板125を処理する前に設定されてもよく、または各吸入口114、170が可動プラットフォーム(図示せず)上に設けられてもよく、または第1の高さ216および第2の高さ218を調整するために、基板支持体アセンブリ164が中心軸200に沿って動かされてもよい(例えば、ここで基板支持体アセンブリ164は、様々な処理面に基板125を置くために垂直に移動可能である)。いくつかの実施形態において、第2の吸入口170の第2の高さ216は、第1の吸入口114の第1の高さ218より高い。そのような実施形態において、第2の方向212は基板表面(図2Cに図示せず)に対し平行または角度がある場合がある。
【0022】
図1に戻って、基板支持体アセンブリ164は、一般に、基板支持体124と結合される複数の支持ピン166を有する支持ブラケット134を含む。基板リフトアセンブリ160は、基板リフトシャフト126、および基板リフトシャフト126のそれぞれのパッド127上に選択的に載っている複数のリフトピンモジュール161を備える。一実施形態において、リフトピンモジュール161は、基板支持体124内の第1の開口162を通って移動可能に配置される、リフトピン128のオプションの上部を備える。動作において、基板リフトシャフト126は、リフトピン128と係合するよう動かされる。係合したとき、リフトピン128は、基板125を基板支持体124の上に上げる、または基板125を基板支持体124上に下げることができる。
【0023】
基板支持体124は、基板支持体アセンブリ164と結合する、リフト機構172および回転機構174をさらに含む。リフト機構172は、中心軸200に沿って基板支持体124を動かすために使用することができる。回転機構174は、中心軸200の周りで基板支持体124を回転させるために使用することができる。
【0024】
処理の期間、基板125は、基板支持体124上に配置される。ランプ136、ランプ138、ランプ152、およびランプ154は、赤外(IR)放射(すなわち、熱)の源であり、動作において、基板125にわたって、所定の温度分布を生成する。リッド106、クランプリング116、および下側ドーム132は、石英から形成される。しかし、他のIRについて透明でプロセス互換性のある材料も、これらの構成要素を形成するために使用することができる。
【0025】
支持システム130は、プロセスチャンバ100内の所定のプロセス(例えば、エピタキシャルシリコン膜を成長すること)を実行および監視するために使用される構成要素を含む。そのような構成要素は、一般に、プロセスチャンバ100の様々なサブシステム(例えば、ガスパネル(複数可)、ガス分配コンジット、真空サブシステムおよび排気サブシステムなど)およびデバイス(例えば、電力供給装置、プロセス制御機器など)を含む。これらの構成要素は、当業者にはよく知られており、明確にするために、図面から省略されている。
【0026】
コントローラ140は、一般に、中央演算処理装置(CPU)142、メモリ144、支持回路146を備え、(図1に示されるように)プロセスチャンバ100および支持システム130に直接、または別法として、プロセスチャンバおよび/または支持システムに関連するコンピュータ(またはコントローラ)を介して、結合され制御する。
【0027】
本発明のチャンバ100が上で説明された。しかし、本発明者によって、チャンバの他の実施形態が、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの間のクロスフロー相互作用を生成するため考案された。例えば、チャンバ100は、示されるような第2の吸入口170の代わりに、第2の排気口(図示せず)を含むよう構成することができる。例えば、第1の流れの方向208および第2の流れの方向212の間の関係を方位角202が規定するやり方と同様に、第2の排気口の位置が方位角202によって規定され得る。そのような例において、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの両方が、第1の吸入口114から流されることがあり、第1の吸入口に対して第1の排気口と第2の排気口が非対称であることによって、流れの相互作用が生成され得る。
【0028】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、基板上に層を堆積させるための方法の流れ図を示す。方法300は、上で説明されたチャンバ100の実施形態に関連し、下で説明される。
【0029】
方法300は、基板125などの基板を準備することにより、302で始まる。基板125は、結晶シリコン(例えば、Si<100>またはSi<111>)、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープされたポリシリコンまたは非ドープポリシリコン、ドープされたシリコンウエハまたは非ドープシリコンウエハ、パターン形成されたウエハまたは未パターン形成ウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガラス、サファイアなどの好適な材料を含むことができる。さらに、基板125は、複数の層を備え、または例えば、トランジスタ、フラッシュメモリデバイスなどの、部分的に製作されたデバイスを含むことができる。
【0030】
304において、第1のプロセスガスは、基板125の処理面にわたって、例えば第1の方向208といった、第1の方向に流され得る。第1のプロセスガスは、第1の吸入口114からまたは2次的な入口210の1つまたは複数から第1の方向208に、処理面にわたって、排気口118に向かって流され得る。第1のプロセスガスは、第1の吸入口114から、処理面に平行にまたは処理面に角度をもって、第1の方向208に流され得る。
【0031】
第1のプロセスガスは、1つまたは複数のプロセスガスを含むことができる。例えば、プロセスガスが、選択的エピタキシャル成長プロセスのためなど、堆積ガスおよび/またはエッチングガスを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1のプロセスガスは、1つまたは複数の堆積ガス、および任意選択で、ドーパント前駆体ガス、エッチャントガス、またはキャリアガスの1つまたは複数を含むことができる。堆積ガスは、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、ジクロロシラン(HSiCl)のうちの少なくとも1つなどのシリコン前駆体を含むことができる。ドーパント前駆体ガスは、ゲルマン(GeH)、ホスフィン(PH)、ジボラン(B)、アルシン(AsH)、またはメチルシラン(HCSiH)のうちの少なくとも1つを含むことができる。エッチャントガスは、メタン(CH)、塩化水素(HCl)、塩素(Cl)、またはフッ化水素(HF)のうちの少なくとも1つを含むことができる。キャリアガスは、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、または水素(H)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、例えばシリコンおよびゲルマニウムを含む層を堆積させるために、第1のプロセスガスは、ジクロロシラン(HSiCl)、ゲルマン(GeH)、ジボラン(B)、および水素(H)を含むことができる。いくつかの実施形態において、例えばシリコンの層を堆積させるために、第1のプロセスガスは、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、またはジクロロシラン(HSiCl)のうちの少なくとも1つ、ならびに塩化水素(HCl)および水素(H)を含むことができる。いくつかの実施形態において、例えば、堆積層がドープされたシリコンを含む場合、第1のプロセスガスは、上のガスを含んでもよく、ホスフィン(PH)、ジボラン(B)または、アルシン(AsH)のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、堆積層がシリコンおよび炭素を含む場合、第1のプロセスガスは、ジシラン(Si)、メチルシラン(HCSiH)、ゲルマン(GeH)、ホスフィン(PH)、および窒素(N)または水素(H)のうちの少なくとも1つを含む環境で、塩化水素(HCl)または塩素(Cl)うちの少なくとも1つを含むことができる。
【0033】
306において、第2のプロセスガスが、基板125の処理面にわたって、例えば第2の方向212といった、第2の方向に流され得る。チャンバ100の実施形態にしたがって上で議論したように、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの間に流れの相互作用を促進させるために、第2の方向212は、第1の方向208と異なる。第2の方向212は、非ゼロ方位角202によって、(図2Bに示されるように)第2のプロセスガスを基板表面に角度をもって提供することによって、またはその組合せによって、第1の方向208と相違させることができる。第1の方向208と第2の方向212の違いは、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの間の流れの相互作用を生み出すために使用されてもよく、このことが、基板の処理面にわたる、堆積された層の厚さの均一性および/または組成上の均一性を改善し得る。
【0034】
第2のプロセスガスは、第1のプロセスガスと同じであっても、または異なっていてもよい。第2のプロセスガスは、第1のプロセスガスに関して上で議論された任意のガスまたは上で議論されたガスの全ての組合せを含むことができる(例えば、堆積ガス、エッチャントガス、ドーパント前駆体ガス、およびキャリアガスの組合せ)。いくつかの実施形態において、例えば、選択的エピタキシャル成長プロセスの期間に、第2のプロセスガスは、エッチャントガス、堆積ガスまたはこの組合せを含むことができる。第2のプロセスガスは、第1のプロセスガスと交互に、周期的に、部分的に並行して、または並行して流され得る。いくつかの実施形態において、ステップ304とステップ306が並行して実施されるように、第2のプロセスガスが、第1のプロセスガスと同時に流され得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、例えば堆積された層の組成上の均一性を改善するために、第2のプロセスガスは第1のものと異なってよい(下の308で議論される)。いくつかの実施形態において、例えばシリコンおよびゲルマニウムを含む層を堆積させるために、第2のプロセスガスは、ジクロロシラン(HSiCl)、ゲルマン(GeH)、ジボラン(B)、塩化水素(HCl)、および水素(H)を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、例えば、第1のプロセスガスに触媒作用を及ぼす触媒ガスを提供することにより、第2のプロセスガスは、第1のプロセスガスと異なってよい。例えば、そのような触媒作用が、基板上に堆積された層の組成上の均一性および/または厚さを改善し得る。第2のプロセスガスは、触媒、および上に挙げられた、例えばシランおよび/またはゲルマンなど他のガスを含むことができる。例示的な触媒は、ゲルマン(GeH)を含むことができる。
【0037】
308において、層400(図4に示される)は、少なくとも部分的に、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの流れの相互作用から、基板125の上に堆積される。いくつかの実施形態において、層400は約1ナノメートルから約10,000ナノメートルの間の厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、層400はシリコンおよびゲルマニウムを含む。層400中のゲルマニウムの濃度は、約5原子百分率から約100原子百分率(すなわち、ゲルマニウムのみ)の間であり得る。一特定の実施形態において、層400は、約25原子百分率から約45原子百分率の間のゲルマニウム濃度を有するシリコンゲルマニウム(SiGe)層である。
【0038】
上に記載したように、層400は、少なくとも部分的に、異なる流れの方向208、212に流される第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの間の流れの相互作用によって、堆積される。理論に束縛されることを望むものではないが、発明者は、例えば、約90度の方位角202を有するいくつかの構成で、基板の外周端に近接する堆積は、主に2つのプロセスガス間のクロスフロー相互作用を介して生じ、一方基板の中心に近接する(中心軸200に近い)堆積は、主に第1のプロセスガスを介して堆積され得ると考える。例えば、約ゼロ度の方位角202を有する他の構成において、堆積は、完全に第1のプロセスガスと第2のプロセスガスの間の流れの相互作用を介して生じ得る。
【0039】
層400は、1つまたは複数の処理方法によって堆積させることができる。例えば、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスの流量は、層400の厚さおよび/または組成物を調整するために変えることができる。さらに、流量は、層の結晶化度を調節するために変えることができる。例えば、より大きな流量では、層の結晶化度が改善し得る。他のプロセスの変形形態は、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスのうちの1つまたは両方が流れるときに、基板125を中心軸200の周りで回転させることおよび/または中心軸200に沿って動かすことを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスのうちの1つまたは両方が流れるときに、基板125が回転される。例えば、いくつかの実施形態において、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスのうちの1つまたは両方が流れるときに、各プロセスガスの流量を調節するために、基板125が中心軸200に沿って動かされる。
【0040】
層を堆積させる他の変形実施形態が可能である。例えば、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスが、交互のパターンまたは周期的なパターンのうちの1つで律動的に送られ得る。いくつかの実施形態において、第1の吸入口114と第2の吸入口170の一方または両方からの堆積ガスおよびエッチガスを交互に律動的に送ることにより、層の選択的エピタキシャル成長が実施され得る。さらに、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを律動的に送ることは、他の処理方法と組み合わせて行うことができる。例えば、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスのうちの1つまたは両方の第1のパルスが、中心軸200に沿った第1の基板位置で生じてもよく、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスのうちの1つまたは両方の第2のパルスが、中心軸200に沿った第2の基板位置で生じてもよい。さらに、律動的に送ることは、基板が中心軸200の周りで回転することと共に行われ得る。
【0041】
このように、基板上に層を堆積させるための方法および装置が、本明細書において開示された。本発明の方法および装置は、有利なことに、堆積のために使用されるプロセスガス間に流れの相互作用を生成することによって、堆積された層の厚さの不均一性および/または組成上の不均一性を克服する。本発明の方法および装置は、堆積された層の中の欠陥/粒子形成をさらに減少させ、堆積された層の厚さおよび/または組成物および/または結晶化度の調整を可能にする。
【0042】
上記が本発明の実施形態を対象とする一方、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態が、本発明の基本範囲から逸脱することなく考案され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための装置であって、
中に基板の処理面をプロセスチャンバ内の所望の位置に支持するための基板支持体を有するプロセスチャンバと、
前記基板の前記処理面上に第1の方向に第1のプロセスガスを提供するための第1の吸入口と、
前記基板の前記処理面上に前記第1の方向と異なる第2の方向に第2のプロセスガスを提供するための第2の吸入口であって、前記基板支持体の中心軸に対して前記第1の方向と前記第2の方向の間で測定される方位角が最大約145度である第2の吸入口と、
前記第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを前記プロセスチャンバから排気するために、前記第1の吸入口の反対側に配置された排気口と
を備える装置。
【請求項2】
前記方位角が約90度である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理面に対する前記第1の吸入口および前記第2の吸入口の一方または両方の高さが調整可能である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記処理面に対する前記第2の吸入口の高さが、前記処理面に対する前記第1の吸入口の高さよりも大きい、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記基板の前記処理面を前記処理面に垂直な軸に沿った複数の位置に支持するために、前記基板支持体が前記プロセスチャンバ内でさらに移動可能に配置される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の流れの方向が前記処理面に向けられる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の吸入口が、それぞれが前記第1のプロセスガスを送達可能な第1の複数の2次的な入口をさらに備え、かつ/または
前記第2の吸入口が、それぞれが前記第2のプロセスガスを送達可能な第2の複数の2次的な入口をさらに備える、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の複数の2次的な入口のうちの少なくとも1つの2次的な入口が、前記第1の複数の2次的な入口のうちの少なくとも1つの他の2次的な入口とは異なる組成物の前記第1のプロセスガスを提供することができ、および/または前記第2の複数の2次的な入口のうちの少なくとも1つの2次的な入口が、前記第2の複数の2次的な入口のうちの少なくとも1つの他の2次的な入口とは異なる組成物の前記第2のプロセスガスを提供することができる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の複数の2次的な入口および/または前記第2の複数の2次的な入口のうちの1つまたは複数の前記2次的な入口からのプロセスガスの流量が独立して調整可能である、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記基板支持体を前記中心軸の周りで回転させるように前記基板支持体に結合されている回転機構、および
前記基板支持体を前記中心軸に沿って動かすように前記基板支持体に結合されているリフト機構
のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項11】
基板上に層を堆積させるための方法であって、
基板の処理面にわたって第1の方向に第1のプロセスガスを流すステップと、
前記基板の前記処理面にわたって前記第1の方向とは異なる第2の方向に第2のプロセスガスを流すステップであって、前記基板の中心軸に対して前記第1の方向と前記第2の方向の間で測定される方位角が最大約145度であるステップと、
前記基板上に、少なくとも部分的に前記第1のプロセスガスと第2のプロセスガスのクロスフロー相互作用から形成される層を堆積させるステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記第1のプロセスガスと第2のプロセスガスとが同一でも異なってもよく、それぞれが、
シラン(SiH)、ジシラン(Si)、およびジクロロシラン(HSiCl)のうちの少なくとも1つを含む堆積ガスと、
メチルシラン(HCSiH)、ゲルマン(GeH)、ホスフィン(PH)、ジボラン(B)、およびアルシン(AsH)のうちの少なくとも1つを含むドーパント前駆体ガスと、
メタン(CH)、塩化水素(HCl)、塩素(Cl)、およびフッ化水素(HF)の1つまたは複数を含むエッチャントガスと、
窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、および水素(H)のうちの少なくとも1つを含むキャリアガスと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の流れの方向が前記処理面に対して角度を有する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスのうちの少なくとも1つを流すときに、前記基板を前記中心軸の周りで回転させるステップ、および/または
前記第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスのうちの少なくとも1つを流すときに、前記基板を前記中心軸に沿って動かすステップ
をさらに備える、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを、交互のパターンまたは周期的なパターンで律動的に送る、または前記第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを同時に流す、請求項11または12に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−507004(P2013−507004A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532245(P2012−532245)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/050593
【国際公開番号】WO2011/043961
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】