説明

コールドスタート燃料制御システム

【課題】コールドスタートにおいて燃料供給システムのインジェクタへの液化石油ガス(LPG)の供給を制御する燃料制御システムを提供する。
【解決手段】燃料制御システム102は、LPGの圧力調整器106とLPGの圧力が圧力調整器106のノミナル(呼び)設定圧力値を下回る場合にインジェクタ108への燃料を絞るコールドスタート燃料制御弁116とを含む。コールドスタート燃料制御弁116は燃料ロックオフ弁118と並列または直列に設けられてもよい。システムは、LPGの圧力がノミナル設定圧力値を下回る場合に限定的な個別の量のLPGをインジェクタ108へ供給して、インジェクタ108によりエンジン100内に噴射される前にLPGを気化するように構成される。また、コールドスタートでない通常運転におけるコールドスタート燃料制御弁116の作動についても提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2010年3月5日に出願された米国特許仮出願第61/311092号の利益を請求し、その教示および開示の全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は燃料制御システムに関し、詳細には内燃エンジンのコールドスタートを改善するように構成される燃料制御システムに関し、さらに詳細には液化石油ガス(LPG)を用いる内燃エンジンの燃料制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
液化石油ガス(LPG)は、モービル(移動体)への応用において、飽和液体状態でタンクまたはボトルに貯蔵されることが多く、この燃料は液体として燃料制御システムに供給される。システムに供給される液体の圧力は、タンク内の燃料の温度および燃料の組成に直接的に依拠する。
【0004】
タンクの圧力がシステムのノミナル(呼び)設定値(例えば、通常作動において燃料インジェクタ(噴射器)に供給される圧力)よりも低い場合、燃料インジェクタの上流に位置する圧力調整器は作動しない。これは、この圧力が、圧力調整器がそこまで燃料の圧力を低下するように構成されたノミナル設定値よりも既に低いからである。したがって、液体燃料はインジェクタに導入されるが、燃焼室内の燃料混合気が極めて燃料リッチであるため、エンジンは始動することができない。この問題は、大抵のLPG燃料が蒸気密度より約150〜200倍大きな液体密度を有するという事実によって深刻化する。
【0005】
このことは、燃料中に高い量のブタンが存在し、外気温度が低く、燃料温度が低く、エンジン温度が低く、および/または高圧のインジェクション(噴射)システムが用いられる場合に、一般的に問題となる。したがって、寒い冬の数ヶ月にわたって屋外に車両が保管される場合には特に問題となる。
【0006】
従来より、この問題を解決する方法は、燃料システムのノミナル(呼び)圧力設定値をタンク内の燃料の蒸気圧力より低い値に調節することである。既存のシステムにおいては、手動で燃料の圧力設定を調節することによりこれを行うことができる。しかしながら、システムがこの手動の調整法を用いる場合には、圧力の低下による燃料の流れの制限、システムの圧力の低下による過渡応答の劣化、燃料制御の劣化、システムのシール(密閉)性能の喪失等に起因する最大エンジンパワーの減少等のシステム性能への悪影響を避けるために、システムハードウェアが燃料の流れを増大するための他の変更(すなわち、システムへの付加的なインジェクタ(噴射器)、より大きなインジェクタや他の付加的なハードウェアの追加)が必要となる場合がある。
【0007】
本発明の実施の形態は、標準的な条件下での作動において燃料の圧力がシステムのノミナル(呼び)圧力設定値を下回る場合に、内燃機関のコールドスタートを開始するために燃料システムのノミナル圧力設定値を調節する必要性を回避するシステムを提供する。
【発明の概要】
【0008】
上記の観点から、本発明の実施の形態は、LPGタンクからエンジンに供給される燃料を制御するための新しくかつ改良された液化石油ガス(LPG)燃料制御システムであって、当該技術分野に現存する一以上の問題を克服する燃料制御システムを提供する。このシステムは、下流のインジェクタ(噴射器)をLPGが通過する前にLPGを気化できないことに起因してエンジン内に液体(のLPG)が氾濫することを避けることができる改良されたコールドスタート作動を提供する。
【0009】
本発明の一の実施の形態によれば、システムは、液体燃料の流れを制限することにより、異なる燃料混合となるように自動的に補正をおこなうことで、コールドスタート作動においてノミナル(呼び)燃料圧力設定から独立した所定の燃料圧力設定値を得ることができる。また、このような実施の形態によれば、システム、特にシステムを通過する燃料の温度の上昇による燃料の流れの増加のような条件(環境)の変化にシステム性能を最適化させて適合させることができる。他のインジェクション(噴射)システムであれば、全ての作動範囲にわたる所望のシステム性能を実現するために、システムの圧力設定の手動による変更、および潜在的には他のハードウェア構成が必要となるだろう。
【0010】
一の実施の形態では、システムは、液体LPGの圧力を調整してLPGを気化するために、コールドスタート作動において、圧力調整器の流体的に上流に位置するコールドスタート燃料制御弁を利用して、下流のシステム、詳細には、インジェクタ(噴射器)への液体LPGの供給を絞る(制限する)。
【0011】
特定の実施の形態では、システムは、コールドスタート燃料制御弁と直列または並列に連結された燃料ロックオフ弁を含んでもよい。燃料ロックオフ弁は、典型的には、システムの電子コントローラにより全開位置または全閉位置のみに制御される。特定の実施の形態では、燃料ロックオフ弁は第1の流れの面積を有する第1のオリフィスを有し、コールドスタート燃料制御弁は第1の流れの面積よりも小さい第2の流れの面積を有する第2のオリフィスを有する。さらに特定の実施の形態では、第2の流れの面積を画成する第2のオリフィスの直径より約2から6倍までの範囲で大きく設けられた第1のオリフィスの直径により画成される第1の流れの面積を有する。
【0012】
一の実施の形態では、第1の流れの面積は約0.2から0.3インチまでの間の範囲の値に設けられた第1の直径により画成され、第2の流れの面積は約0.05から0.1インチまでの間の範囲の値に設けられた第2の直径により画成される。
【0013】
一の実施の形態では、システムは、コールドスタート燃料制御弁および少なくとも1つのLPGの特性を検知するための少なくとも1つのセンサに作動可能に接続されたコントローラを含む。コントローラはLPGの特性に基づいてコールドスタート燃料制御弁を作動可能に制御する。特定の実施の形態では、コントローラはコールドスタート燃料制御弁の下流側のLPGの温度および圧力を検知する温度センサおよび圧力センサに接続される。さらに特定の実施の形態では、コントローラはエンジン冷却液温度センサに接続される。コントローラは、コールドスタート燃料制御弁の下流側の温度および圧力とエンジン冷却液の温度とに基づいてコールドスタート燃料制御弁を制御する。コントローラは、LPGの温度および圧力とエンジン冷却液の温度とがそれぞれの閾値を下回る場合にのみコールドスタートアシストモードで作動するように構成される。
【0014】
一の実施の形態では、圧力調整器の下流側に少なくとも1つのLPGインジェクタ(噴射器)が配置され、温度センサおよび圧力センサはLPGインジェクタの上流に配置される。1つ以上のインジェクタを含むインジェクタ配列を用いてもよい。
【0015】
一の実施の形態では、システムは、圧力調整器の下流側に少なくとも1つのLPGインジェクタ(噴射器)を含む。コントローラはコールドスタートアシストモードを有して構成される。コントローラは個別の量(離散量、不連続量)のLPGがコールドスタート燃料制御弁を通過することを許容する所定の時間の期間、コールドスタート燃料制御弁を開くように構成される。コントローラは、その後、LPGインジェクタとコールドスタート燃料制御弁との間のLPGの圧力が所定のコールドスタート最小圧力値を下回って低下するまでコールドスタート燃料制御弁が閉じられるように構成される。コントローラは、コントローラがコールドスタート燃料制御弁を閉じたときに、コールドスタート燃料制御弁を再度開いて第2の個別の量のLPGがコールドスタート燃料制御弁を通過することを許容するように構成される。個別の量のLPGはコールドスタート条件(環境)のLPGの気化を許容するために十分に低い圧力を維持するように十分に少量に構成される。(コールドスタート条件は、LPGの圧力調整器を通過する際にLPGが気化しないような、LPGの圧力調整器が作動しない状態に置かれる条件をいう)。インジェクタを通過する前に気化される、個別の量のLPGが位置するシステムの一部分は、サンプリング(抽出)部分と呼ばれることがある。
【0016】
他の実施の形態では、コールドスタート燃料制御弁の作動は、エンジンの通常作動において連続的に行われてもよい。このような実施の形態では、コールドスタート燃料制御弁は、こうした通常作動において、LPGの圧力を制御するように機能し、したがってLPGの圧力調整器の必要性を排除する。好ましくは、このような実施の形態は、他の実施の形態におけるLPGの圧力調整器の熱交換器部分と同じ機能を果たす熱交換器を含む。
【0017】
圧力調整器およびこの圧力調整器の上流に位置するコールドスタート燃料制御弁を有する燃料制御システムを用いて、液化石油ガスにより作動するエンジンを始動する方法は、以下のステップを含む。最初に、システムはLPGの温度および圧力をサンプリング(抽出)してコールドスタートアシストが必要かどうか判断する。これはLPGの温度および圧力の両方がそれぞれの所定の閾値を下回る場合に決定される。また、方法は、コールドスタートアシストが必要である場合に、コールドスタート燃料制御弁の下流のシステムのインジェクタ(噴射器)配列に個別の量(離散量、不連続量)のLPGのみを供給するステップを含む。これにより、システムがインジェクタ配列に液体LPGを供給することを防止する。インジェクタ配列、すなわちコールドスタートアシスト燃料制御弁の下流に個別の量のLPGを供給するこのステップは、LPGの温度および圧力をサンプリングしてコールドスタートアシストが必要かどうかを判断する目的でLPGを供給するために用いてもよい。
【0018】
コールドスタートアシスト作動において、方法は、また、インジェクタ(噴射器)配列に供給される個別の量(離散量、不連続量)のLPGの圧力をモニタ(監視)するステップと、その後、インジェクタ配列に供給される個別の量のLPGの圧力が所定のコールドスタート最小圧力値を下回る場合にインジェクタ配列に第2の個別の量のLPGを供給するステップとを含む。
【0019】
方法は、LPGの温度および圧力をサンプリング(抽出)するステップにおいて、エンジン冷却液の温度をサンプリングするステップと、エンジン冷却液の温度がエンジン冷却液の温度の閾値を下回る場合に、コールドスタートアシストが必要であると判断するステップとをさらに含む。
【0020】
本発明の付加的な方法では、コールドスタートアシストが必要であると判断した後に、LPGの温度および圧力をサンプリング(抽出)するステップを含むことができる。さらに特定の方法は、LPGの温度または圧力のいずれかがそれぞれの閾値を上回る場合に、コールドスタートアシストを終了するステップを含むことができる。エンジン冷却液の温度がモニタ(監視)される場合は、LPGの温度、LPGの圧力またはエンジン冷却液の温度のいずれかがそれぞれの閾値を上回る場合に、コールドスタートアシストを終了することができる。
【0021】
LPGの温度および圧力のこのサンプリング(抽出)を行うことで、システムは、液体燃料の流れを制限することにより、異なる燃料混合となるように自動的に補正をおこなうことで、LPGの圧力調整器によって与えられたノミナル(呼び)燃料圧力設定から独立した所定のコールドスタート燃料圧力設定値を得ることができる。また、これにより、蒸気圧力等のLPGの特性における変化を分析することでシステム性能を最適化するように、システムを条件(環境)の変化に適合させることができる。
【0022】
他の実施の形態では、エンジンのコールドスタートの初期において行われる方法を、エンジンの通常運転において連続的に行うことができる。このような方法では、コールドスタート燃料制御弁の作動がLPGの圧力を制御することから、LPGの圧力調整器を排除することができる。
【0023】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付図面を併せ見れば、以下の詳細な説明によりさらに明らかになるであろう。
【0024】
本明細書に組み入れられ、本明細書の一部分を形成する添付図面は、本発明の複数の態様を例示し、記述とともに、本発明の原理の説明に資する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態による燃料制御システムに連結されるエンジンの第1の実施の形態であって、燃料ロックオフ弁と直列に設けられたコールドスタート燃料制御弁を有する、コールドスタートアシストを提供する実施の形態の概略図である。
【0026】
【図2】図2は、本発明の実施の形態による燃料制御システムに連結されるエンジンの第2の実施の形態であって、燃料ロックオフ弁と並列に設けられたコールドスタート燃料制御弁を有する、コールドスタートアシストを提供する実施の形態の概略図である。
【0027】
【図3】図3は、本発明の実施の形態によるエンジンの始動開始の際に図1および図2の燃料制御システムが行う種々のステップを示す簡略化したフローチャートである。
【0028】
【図4】図4は、本発明の実施の形態による燃料制御システムに連結されるエンジンの第3の実施の形態であって、コールドスタートアシストを提供すると共に、独立した圧力調整器を有することなくコールドスタート燃料制御弁によりエンジンの通常運転を調整するように構成された実施の形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、ある好ましい実施の形態と関連付けて説明されるが、それら実施の形態に限定する意図はない。反対に、意図するところは、全ての代替物、変形、および均等物を、特許請求の範囲に定義されているように本発明の精神と範囲の内に含まれるものとして、カバーすることである。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態による燃料制御システム102を有するエンジン100の例示的な実施の形態の概略図である。燃料制御システム102は、エンジンの性能を最大化するように、貯蔵タンク104(ボトルとも呼ぶ)からエンジン100への燃料の供給を制御する。これは、燃料の温度、燃料の圧力、エンジンの温度、クランクシャフトのポジション(位置/角度)、吸気マニホールドの圧力等の種々のエンジンパラメータに基づき最適な空気/燃料比を提供することにより実現される。図示の実施の形態では、エンジン100に供給される主な燃料はタンク104に貯蔵される液化石油ガス(LPG)である。
【0031】
本システムは、LPGを用いるコールドスタートエンジンに関する長年にわたる問題を克服するように構成される。より詳細には、このシステムでは、LPGが燃料インジェクタ(噴射器)108、110に供給される前にLPGの気化を促進するために、コールドスタートにおいてLPGの圧力調整器106のノミナル(呼び)設定圧力値を低い値に調節する必要性が回避される。
【0032】
本システムの燃料インジェクタ(噴射器)108、110は、液体のLPGではなく、上流の気化したLPGの燃料の流れを制御するように構成される。これは、特に液体のLPGは気化したLPGの約200倍の密度を有することに起因する。したがって、インジェクタは気化したLPGを用いて作動するように構成される。インジェクタが同じ体積の液体LPGを噴射する場合には、200倍過大なLPGをスロットルボディ112内に噴射することとなり、極めて高度に燃料リッチな燃料混合気が発生し、エンジン100内で燃料が燃焼せず、エンジン100の運転を妨げてしまう。
【0033】
この簡単な序論を踏まえ、図1に示すシステムの作動をより詳しく説明する。
【0034】
燃料制御システム102は、エンジンパラメータおよび他のシステムパラメータをモニタ(監視)し、さらにこれらのパラメータに基づきエンジン100の作動を制御する複数のセンサおよびデバイス(装置)に接続される電子制御ユニット(ECU)114を含む。図示の実施の形態におけるECU114の特別な機能の一は、LPGのエンジン100への供給率、または、そもそも燃料のエンジン100への供給を可能とするかどうかを制御することである。本発明の図示の実施の形態の燃料制御システム102、詳細にはECU114はコールドスタート条件においてエンジン100の始動を補助するコールドスタートアシストモードを有するように構成される。
【0035】
この目的のため、燃料制御システム102は、ECU(電子制御ユニット)114に作動可能に連結されるとともに、ECU114により制御されるコールドスタート燃料制御弁116を含む。このコールドスタート燃料制御弁116は、以下により詳しく説明するように、コールドスタート作動において燃料の流れを制御するために用いられる。燃料ロックオフ弁118は、コールドスタート燃料制御弁116の下流に直列に配置される。この燃料ロックオフ弁118は、エンジンの停止、または安全上の理由により、タンク104からエンジン100への燃料の流れを迅速かつ完全に遮断するための手段を提供する目的で用いられる。
【0036】
典型的な配置においては、燃料ロックオフ弁118は、コールドスタート燃料制御弁116のオリフィスの直径より2から6倍までの範囲で大きいオリフィスの直径を有し、結果として4から36倍までの範囲で大きい流れの面積(流路断面積)を有する。例えば、一の実施の形態では、燃料ロックオフ弁118のオリフィスの直径は約0.2インチから0.3インチまでの範囲の値に設けられ、より好ましくは約0.25インチに設けられる一方で、コールドスタート燃料制御弁116は、約0.05インチから0.1インチまでの範囲の値のオリフィスの直径を有するように設けられ、より好ましくは約0.0625インチのオリフィスの直径を有するように設けられる。
【0037】
燃料ロックオフ弁118とコールドスタート燃料制御弁116とのさらに異なる点は、燃料ロックオフ弁118は、典型的には、全開または全閉のみで作動する二状態弁(オンオフ弁)として構成される一方で、コールドスタート燃料制御弁116は、燃料ロックオフ弁118の場合のように単に全く流さないか、最大に流すかという構成を取るのではなく、全開と全閉との間の複数の状態で作動して弁を通過する燃料の流れを調節するように構成される。
【0038】
コールドスタート燃料制御弁116と燃料ロックオフ弁118との両方が、LPGの圧力調整器106と燃料タンク104との間に介設される。図示するように、このシステムにおいて双方の弁116、118は直列に設けられる。したがって、タンクからエンジン100に流れる全てのLPGは、双方の弁116、118を通過することとなる。インジェクタ(噴射器)108、110は、概略的に示す目的でスロットルボディ112の外側に図示されている。さらに、インジェクタ108、110は、LPGの圧力調整器106とスロットルボディ112とを流体連通する燃料管(燃料流れ配管)120を介して、LPGの圧力調整器106に流体連通される。LPGが空気と混合された後、燃料混合気は吸気マニホールド122を通ってエンジンへ流れる。
【0039】
いくつかの実施の形態では、燃料管(燃料流れ配管)120は、インジェクタ(噴射器)とLPGの圧力調整器106との間に介設される分配ブロック(燃料レールとも呼ぶ)に連結されるか、その一部として形成してもよい。燃料は、次いで、そのような分配ブロックからインジェクタへ流れる。インジェクタは、スロットルボディ112またはスロットルボディ112の上に設けられたアダプタに取り付けてもよい。
【0040】
LPGの圧力調整器106からインジェクタ(噴射器)108、110への流路は、収集サンプ(収集溜まり)136の形で示す液体アキュームレータを含んでもよい。この液体アキュームレータは、LPGの圧力調整器106とインジェクタ108、110との間の流路の体積を増大して、コールドスタートアシスト作動において液体LPGの気化を補助する。他の実施の形態では、この液体アキュームレータは凝集フィルタのような他の形態を取ってもよい。好ましくは、液体アキュームレータは、また、液体LPGがインジェクタ108、110への流路に沿って流れることを防止するように構成および配置される。液体アキュームレータは、ドレイン弁または様々な定期メンテナンスにおいてアキュームレータを空にする他の手段を含んでもよい。
【0041】
コールドスタートの主な問題は、LPGの温度が下がると蒸気圧力も下がることである。コールドスタート作動においては、LPGの蒸気圧力がLPGの圧力調整器106のノミナル(呼び)設定圧力値を下回り、前述のように、LPGの圧力調整器106がLPGを蒸気に気化する目的で作動できないことがある。したがって、LPGは液体の状態で容易にLPGの圧力調整器106を通過して、スロットルボディ112、より詳細には、インジェクタ(噴射器)108、110へと流れ、そこで前述の燃料リッチ問題を引き起こす。
【0042】
本発明の一の実施の形態では、システムは、エンジン冷却液温度センサ126と共に燃料圧力センサおよび燃料温度センサ(燃料圧力/温度センサ124として図示する)を用いて、コールドスタートアシストが必要かどうかを判断する。コールドスタートアシストが必要な場合、本システムは、以下により詳しく説明するように、システムに流入する液体LPGを絞る(スロットリングする、制限する)ことによりこのコールドスタート問題に対処する。
【0043】
液体LPGのスロットリング(絞り、制限)では、コールドスタート燃料制御弁116を制御することにより、燃料の圧力は所定のコールドスタート設定値へと制御され、このスロットリングは必要がなくなるまで行われる。このスロットリングは、制限された個別の量(離散量、不連続量)の液体LPGがコールドスタート燃料制御弁116を繰り返し通過することを許容することにより達成される。
【0044】
ECU(電子制御ユニット)114はコールドスタート作動を開始し、コールドスタート作動において、燃料の温度および圧力とエンジン冷却液の温度とに基づいてコールドスタート燃料制御弁116を制御する。一の実施の形態では、例えば、エンジン冷却液の温度、燃料の温度または燃料の圧力等の関係するパラメータの検出値のいずれかが所定の値よりも大きい場合、システムはコールドスタートアシストモードには入らず、LPGの圧力調整器106のノミナル(呼び)設定圧力値に基づいてLPGの圧力調整器106を用いてLPGの気化を制御する通常作動を行う。
【0045】
しかしながら、関係する全てのパラメータが所定の閾値を下回る場合、システムはコールドスタートアシストモードを用いて作動を始める。エンジン100がコールドスタートアシストモードを介して始動され、作動すると、LPGの圧力調整器106内の熱交換器は液体LPGを加熱することができる。エンジン100が十分に温まり、LPGの圧力調整器106内の熱交換器が燃料の温度を適切に上昇させることが可能となり、LPGの蒸気圧力がLPGの圧力調整器106のノミナル(呼び)設定圧力値よりも高くなると、コールドスタートアシストは必要がなくなる。
【0046】
コールドスタートアシストモードにおいて、ECU(電子制御ユニット)114はコールドスタート燃料制御弁116を制御することで、制限された量の、典型的には個別の量(離散量、不連続量)の液体がコールドスタート燃料制御弁116を通過することを許容して、インジェクタ(噴射器)108、110とコールドスタート燃料制御弁116との間に位置するシステムの一部分内に送る。コールドスタートアシストにおいて、LPGが液体状態のままに留まることを防止するため、コールドスタート燃料制御弁116よりも下流のシステム内における所定のコールドスタート圧力は過大であるべきではない。このコールドスタート圧力は、LPGの蒸気圧力およびLPGの圧力調整器106のノミナル(呼び)設定圧力よりも低く設けられる。
【0047】
図2は、本発明の他の実施の形態の概略図である。この実施の形態は、コールドスタート燃料制御弁216および燃料ロックオフ弁218が互いに並列な位置に設けられ、LPGが、システムの特定の作動モードに従い、コールドスタート燃料制御弁216または燃料ロックオフ弁218のいずれかを通って独立的に供給され得ることを除いて、前述の実施の形態と実質的に同様のものである。
【0048】
この並列配置では、通常の、コールドスタートアシストでない作動において、コールドスタート燃料制御弁216の小さなオリフィスに起因する過度の流れの制限によるエンジンパワーの何らかの低下の影響を受けることなく、コールドスタート燃料制御弁216を独立的に構成できるという利点を有する。この構成では、コールドスタート燃料制御弁216は、十分な流れにより所望の最大レベルのエンジンパワーを得る目的のために、十分な制御分解能を有する必要はない。コールドスタート燃料制御弁216は、コールドスタートアシストモードのためだけに構成され、したがってそれに最適化される。
【0049】
このシステムの作動において、燃料ロックオフ弁218はコールドスタート作動の全期間において閉じられたままとされ、燃料制御システム202が、コールドスタートアシストの起動は必要ない、またはもはや必要でないと判断した後にのみ開かれる。燃料ロックオフ弁218は、コールドスタート作動において、LPGがコールドスタート燃料制御弁216を迂回してシステムの下流部分を液体LPGで満たしてしまうことを防止するため、通常作動になるまで閉じられたままとされる。エンジン100が十分に温まると、燃料ロックオフ弁218が開き、システムへの標準の燃料の流れを許容し、コールドスタート燃料制御弁216は所望に応じて開状態または閉状態としておくことができる。好ましい実施の形態では、燃料ロックオフ弁218を閉じることでエンジン停止作動が行われるように、コールドスタート燃料制御弁216は閉じられる。
【0050】
図1および図2に示す両方の実施の形態では、ガソリンとLPGとの両方で運転することができるハイブリッド(混成)システムとして図示しているが、本発明の実施の形態は厳密にLPG専用とされるシステムに用いられてもよいことを注意されたい。したがって、これらの図は例示の目的で用いられるものであり、限定を目的とするものと捉えるべきではない。さらに、図1および図2の概略図は、スロットルボディ・インジェクション(噴射)システムを利用するシステムの概略を示すが、この発明の他の実施の形態では、セントラル(中央)スロットルボディ・インジェクション(噴射)を用いない、ポートインジェクション(噴射)システムを用いてもよい。
【0051】
いくつかの実施の形態では、例えば、図1に示すものと同様の実施の形態では、コールドスタート燃料制御弁116は、コールドスタート環境においてエンジン100を始動するために十分な制御分解能を有するように構成されるが、この実施の形態におけるコールドスタート燃料制御弁116は燃料ロックオフ弁118と直列に設けられているため、最大エンジンパワーに達するために十分な燃料の流れを通常作動において許容できなくてはならない。
【0052】
コールドスタート燃料制御弁116は、小さなオリフィスを有する電磁弁またはプロポーショナル(比例)アクチュエータのいずれかであってもよい。しかしながら、この概念は電磁弁またはプロポーショナル(比例)アクチュエータに限定されず、システムに流入する液体の量について必要な制御をおこなうことができる任意の種類の弁を用いてもよい。
【0053】
いくつかの実施の形態では、コールドスタート燃料制御弁116を図1に示す燃料ロックオフ弁の代わりに用いてもよい。しかしながら、他の実施の形態では、容易に適合可能な現存のシステムが本発明のコールドスタートアシストを含むことができるならば、電磁弁/アクチュエータは、図1に示す燃料ロックオフ弁118のすぐ上流、または、図2に示すようにこれと並列に配置される。これは、コールドスタートアシストの(提供)に必要な流れの変化をもたらすために十分な分解能または制御性を有さない燃料ロックオフ弁またはコントローラ(制御装置)を有するシステムにおいて特に有用である。
【0054】
好ましい実施の形態では、燃料圧力/温度センサ124はLPGの圧力調整器106の下流であってインジェクタ(噴射器)108、110の上流に配置される。これにより、システムに付加的なセンサを加える必要がなく、これらのセンサを既に含む標準的なシステムを使用することができる。しかしながら、他の実施の形態では、LPGに関する情報を収集するいくつかのセンサがコールドスタート燃料制御弁116の上流に設けられてもよい。
【0055】
コールドスタート燃料制御弁116を通過することを許容される個別の量(離散量、不連続量)の液体LPGは、検知されるエンジンパラメータ、詳細には、センサ124により検知される燃料の温度および燃料の圧力ならびにセンサ126により検知されるエンジン冷却液の温度の3つの主要なパラメータに基づいて変更することができる。より詳細には、燃料の温度の上昇、および/またはエンジン冷却液の温度の上昇に従い、より多くの液体LPGがコールドスタート燃料制御弁116を通過できるように許容してもよい。
【0056】
ここで図3に移り、本発明の前述のシステムの作動を説明する。最初に、ステップ300においてエンジンの点火の開始が試行される。典型的には、これは操作者がキーをオン(例えば、図1および図2の点火スイッチ130において)に入れるときに行われる。以下のステップでは、システムはコールドスタートアシストモードが必要かどうか調べる。
【0057】
具体的には、ステップ302において、ECU(電子制御ユニット)114は燃料ロックオフ弁118(図1の実施の形態におけるものであって、図2の実施の形態のものではない)を開き、次いで、または同時にコールドスタート燃料制御弁116を開いて少量の液体LPGをこれより下流のシステムに流入させ、または噴射する。次いで、ステップ304において、システムは、エンジンセンサと共に燃料圧力/温度センサ124および/または冷却液温度センサ126を用いて、特定のエンジンおよび燃料のパラメータまたは特性をサンプリング(抽出)する。次いで、ステップ306において、これらの値は、コールドスタートアシストが必要かどうかを判断するために所定の閾値と比較される。
【0058】
パラメータのいずれかがそのパラメータの閾値よりも大きい場合、システムはコールドスタートアシストが必要ではないと判断し、ステップ308に示すように通常作動を行う。図1の実施の形態では、コールドスタート燃料制御弁116および燃料ロックオフ弁118の両方が開く。図2の実施の形態では、コールドスタート燃料制御弁216は閉じられたままであり(あるいは、前述のように開いてもよい)、燃料ロックオフ弁218は開かれる。
【0059】
しかしながら、ステップ306において、全てのパラメータが所定の閾値を下回る、すなわち、燃料の温度が低すぎる、燃料の圧力が低すぎる、および一の実施の形態では、エンジン冷却液の温度が低すぎる、と判断される場合には、システムはコールドスタートアシストモードは必要であると判断する。
【0060】
いくつかの実施の形態では、また、ステップ310に示すように、燃料ロックオフ弁118および/またはコールドスタート燃料制御弁116は所定の時間の期間、無効化され、ステップ302においてサンプリング(抽出)の間システムに流入した可能性がある全ての液体をシステムが取り除くことができるようにエンジンが回転される。しかしながら、これは全ての実施の形態において必要とされるわけではない。
【0061】
コールドスタートアシストモードでは、ステップ312においてシステムはLPGの圧力をモニタ(監視)し、最小値より低い場合には、ECU(電子制御ユニット)114はステップ316においてコールドスタート燃料制御弁116を制御して、システムの下流部分への液体LPGを絞る(制限する)。図1の実施の形態では、燃料ロックオフ弁118はコールドスタート燃料制御弁116と直列に設けられているため、これも開く。一の実施の形態では、システムの下流部分への液体LPGを絞る(スロットリングする、制限する)ことにより、圧力を所望のコールドスタート設定圧力値に維持するように、コールドスタート燃料制御弁116は開閉して燃料圧力を制御する(例えば、システムの下流部分への液体LPGの少量の噴射を繰り返すことによる)。
【0062】
これは、エンジンセンサおよび燃料圧力/温度センサ124が、コールドスタート燃料圧力制御は必要ではなくなった、すなわち、ステップ312においてLPGの圧力がコールドスタート最小圧力値の閾値を上回ることを示すまで続けられる。このような時点で、LPGの圧力調整器106は圧力制御を引き継ぎ、ステップ308に示すように、システムはノミナル(呼び)設定圧力値に基づき通常に挙動(作動)する。これは、典型的には、エンジン100のエンジン冷却液がひとたび十分に温まり、液体LPGに十分な熱交換を提供し、LPGの圧力調整器106内のLPGを気化することができるようになると行われる。
【0063】
以上の説明から当業者には明らかなように、コールドスタートアシストにおいて、コールドスタート燃料制御弁116は、コールドスタート燃料制御弁116より下流側であってインジェクタ(噴射器)108、110より上流側のシステムへ、少量の個別の量(離散量、不連続量)の液体LPGが繰り返し流入することを許容するように作動する。一の実施の形態では、この期間において、インジェクタ108、110は標準の作動条件でECU(電子制御ユニット)114を介して作動する。より詳細には、インジェクタ108、110は燃料をエンジン100に供給する必要に応じて(典型的には、パルス幅変調を用いて)開閉される。
【0064】
このコールドスタートアシストにおいて、コールドスタート燃料制御弁116は、各所定量の液体LPGがコールドスタート燃料制御弁116を通過して、システムの下流部分に噴射された後、閉じられたままとされる。これにより、システムの下流部分が液体LPGで満たされてシステム内に(液体LPGが)氾濫することを防止する。コールドスタート燃料制御弁116が開かれたままであった場合、システムの下流部分内のLPGの圧力はタンク圧力に到達する。あいにく、コールドスタート条件における液体LPGの蒸気圧力に対してタンク圧力は高すぎるため、タンク圧力は、インジェクタ(噴射器)108、110の上流のシステム内で液体LPGの気化を妨げてしまう。
【0065】
コールドスタート燃料制御弁116が閉じていると共にエンジン100を運転している状態で、インジェクタ(噴射器)108、110は、燃料を蒸気の状態でエンジン100に供給できるように開閉作動する。エンジン100に燃料が供給されると、コールドスタート燃料制御弁116の下流のシステム内において所定の個別の量(離散量、不連続量)のLPGが気化し、インジェクタ108、110を通り抜け、エンジン100に使用される。液体アキュームレータは、標準のシステムに比べてより大きな体積を提供することにより液体LPGの気化を促進するように補助する。ECU(電子制御ユニット)114は、ステップ312について前述したように、システムのこの下流部分内におけるLPGのシステムパラメータ、最も典型的には、圧力をモニタ(監視)し続ける。
【0066】
ECU(電子制御ユニット)114が、コールドスタートアシストを続けることが必要であり、システムのこの下流部分内における圧力が、例えば、ステップ312について前述したようにコールドスタート最小圧力値を下回るほど、下がり過ぎていると判断する場合に、ECU114はコールドスタート燃料制御弁116を再度開かせる。これにより、他の個別の量(離散量、不連続量)の液体LPGがシステムの下流部分に噴射される(ステップ316)。この際、再び、液体LPGの氾濫、または液体LPGの気化を妨げる条件を避けるため、限定的な個別の量のLPGのみがシステムの下流部分に流れることが許容される。この過程は、ECU114がコールドスタートアシストがもはや必要でないと判断するまで連続して繰り返される(すなわち、コールドスタート燃料制御弁が開閉される)。
【0067】
図3では、LPGの圧力がコールスタート最小圧力値を上回る場合にのみ、システムはパラメータをサンプリング(抽出)し、コールドスタートアシストの継続が必要かどうかを判断するように示している。しかしながら、関係するパラメータが閾値を越える時にはいつでも通常作動が開始するように、ECU(電子制御ユニット)114はこれを独立的にモニタ(監視)することができる。
【0068】
図4は、独立して設けられるLPGの圧力調整器を必要とせず、コールドスタート燃料制御弁116を、前述のコールドスタートアシストを行うためだけでなく、エンジンの始動後に継続される通常作動においてLPGの圧力を制御するためにも利用する本発明のさらなる実施の形態を示す。このような実施の形態では、コールドスタート燃料制御弁116を利用して、コールドスタートでない(非コールドスタートの)、通常作動において、前述のコールドスタート作動と同様に、検知されるエンジンパラメータに基づいてLPGの圧力を所定の設定値へと制御する。
【0069】
しかしながら、前述の実施の形態における作動とは異なり、先の実施の形態のような圧力調整器は設けられないため、ECU(電子制御ユニット)114はコールドスタート燃料制御弁116を完全にオン状態に(固定)する(それにより、図1のLPGの圧力調整器106にLPGの圧力を制御させる)決定を行うことはない。その代わりに、ECU(電子制御ユニット)114はコールドスタート燃料制御弁116を制御することで、制限された量の、典型的には個別の量(離散量、不連続量)の液体がコールドスタート燃料制御弁116を通過することを許容して、インジェクタ(噴射器)108、110とコールドスタート燃料制御弁116との間に位置する、システムの一部分内に送る。この圧力が検知され、ECU114はコールドスタート燃料制御弁116の絞り(スロットリング、制限)率を調節して圧力を所定レベルに維持する。一の実施の形態では、システムは熱交換器406を含み、これは前述の図1の圧力調整器106の熱交換器部分と同様に機能する。
【0070】
本明細書中で引用する公報、特許出願および特許を含むすべての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、引用して組み込むかのように、また、その全体を本明細書に記載するかのように、引用して組み込まれる。
【0071】
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数および複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」および「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例または例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0072】
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正および均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
【符号の説明】
【0073】
100 エンジン
102 燃料制御システム
104 貯蔵タンク(ボトル)
106 圧力調整器
108 燃料インジェクタ(噴射器)
110 燃料インジェクタ(噴射器)
112 スロットルボディ
114 電子制御ユニット(ECU)(コントローラ)
116 コールドスタート燃料制御弁
118 燃料ロックオフ弁
120 燃料管(燃料流れ配管)
122 吸気マニホールド
124 燃料圧力/温度センサ
126 エンジン冷却液温度センサ
130 点火スイッチ
136 液体アキュームレータ(収集サンプ(収集溜まり))
202 燃料制御システム
216 コールドスタート燃料制御弁
218 燃料ロックオフ弁
300 点火開始
302 コールドスタート燃料制御弁から個別の量の液体LPGを噴射する
304 センサを用いてエンジンおよび燃料のパラメータをサンプリングする
306 パラメータが閾値を上回るかどうか判断する
308 燃料ロックオフ弁を開いて通常作動をおこなう
310 燃料ロックオフ弁およびコールドスタート燃料制御弁を閉じてエンジンを始動
312 LPGの圧力をモニタ(最小圧力値との比較)
316 コールドスタート燃料制御弁から個別の量の液体LPGを噴射する
406 熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LPGタンクからエンジンへ供給される燃料を制御する液化石油ガス(LPG)燃料制御システムであって:
圧力調整器と;
前記圧力調整器の上流側において前記圧力調整器と流体連通されたコールドスタート燃料制御弁とを備える;
燃料制御システム。
【請求項2】
前記圧力調整器の上流側において前記圧力調整器に流体連通された燃料ロックオフ弁をさらに備える、請求項1に記載の燃料制御システム。
【請求項3】
前記燃料ロックオフ弁は第1の流れの面積を有する第1のオリフィスを有し、前記コールドスタート燃料制御弁は前記第1の流れの面積よりも小さい第2の流れの面積を有する第2のオリフィスを有する、請求項2に記載の燃料制御システム。
【請求項4】
第1の直径により画成される前記第1の流れの面積は、第2の直径により画成される前記第2の流れの面積より約4から36倍までの範囲で大きく設けられた、請求項3に記載の燃料制御システム。
【請求項5】
前記第1の流れの面積は約0.2から0.3インチまでの範囲の値に設けられた第1の直径により画成され、前記第2の流れの面積は約0.05から0.1インチまでの範囲の値に設けられた第2の直径により画成される、請求項3に記載の燃料制御システム。
【請求項6】
前記燃料ロックオフ弁と前記コールドスタート燃料制御弁とは並列に配置される、請求項2に記載の燃料制御システム。
【請求項7】
前記燃料ロックオフ弁と前記コールドスタート燃料制御弁とは直列に配置される、請求項2に記載の燃料制御システム。
【請求項8】
前記燃料ロックオフ弁は前記圧力調整器と前記コールドスタート燃料制御弁との流体的に間の位置に介設される、請求項7に記載の燃料制御システム。
【請求項9】
前記コールドスタート燃料制御弁および少なくとも1つの前記LPGの特性を検知するための少なくとも1つのセンサに作動可能に接続されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは前記LPGの特性に基づいて前記コールドスタート燃料制御弁を制御するようにプログラムされた、請求項1に記載の燃料制御システム。
【請求項10】
前記コントローラは前記コールドスタート燃料制御弁の下流側の温度および圧力を検知する温度センサおよび圧力センサに接続された、請求項9に記載の燃料制御システム。
【請求項11】
前記コントローラはエンジン冷却液温度センサにさらに接続され、前記コントローラは、前記コールドスタート燃料制御弁の下流側の温度および圧力と前記エンジン冷却液の温度とに基づいて前記コールドスタート燃料制御弁を制御するようにプログラムされた、請求項10に記載の燃料制御システム。
【請求項12】
前記圧力調整器の下流側に少なくとも1つのLPGインジェクタをさらに備え、前記コントローラはコールドスタートアシストモードを有するように構成され、前記コントローラは、個別の量のLPGが前記コールドスタート燃料制御弁を通過することを許容する所定の時間の期間、前記コールドスタート燃料制御弁を開くように構成され、前記コントローラは、その後、前記LPGインジェクタと前記コールドスタート燃料制御弁との間の前記LPGの圧力が所定のコールドスタート最小圧力値を下回って低下するまで前記コールドスタート燃料制御弁が閉状態に維持されるように構成され、前記コントローラが前記コールドスタート燃料制御弁を閉じた後に、前記コントローラは前記コールドスタート燃料制御弁を再度開いて第2の個別の量のLPGが前記コールドスタート燃料制御弁を通過することを許容するように構成され、前記LPGの個別の量は前記LPGの気化を許容するために前記圧力を十分に低く維持するように十分に少量に構成された、請求項10に記載の燃料制御システム。
【請求項13】
前記コールドスタート燃料制御弁に作動可能に接続されるコントローラと前記LPGの特性を検知するセンサとをさらに備え、前記コントローラは前記LPGの特性に基づいて前記コールドスタート燃料制御弁を作動可能に制御し、前記コントローラは前記燃料ロックオフ弁に作動可能に接続され、コールドスタートアシストモードの間、前記コントローラは前記燃料ロックオフ弁を閉状態に維持する、請求項6に記載の燃料制御システム。
【請求項14】
前記コールドスタート燃料制御弁に作動可能に接続されるコントローラと前記LPGの特性を検知するセンサとをさらに備え、前記コントローラは前記LPGの特性に基づいて前記コールドスタート燃料制御弁を作動可能に制御し、前記コントローラは前記燃料ロックオフ弁に作動可能に接続され、コールドスタートアシストモードの間、前記コントローラは前記燃料ロックオフ弁を開状態に維持する、請求項7に記載の燃料制御システム。
【請求項15】
前記圧力調整器の下流側に少なくとも1つのLPGインジェクタを備え、前記温度センサおよび前記圧力センサは前記インジェクタの上流側に設けられた、請求項10に記載の燃料制御システム。
【請求項16】
前記コールドスタートアシストモードは、前記LPGの蒸気圧力が前記圧力調整器のノミナル設定圧力値を下回る場合に行われる、請求項12に記載の燃料制御システム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記コールドスタート燃料制御弁の下流における前記LPGの温度、前記コールドスタート燃料制御弁の下流における前記LPGの圧力、または前記エンジン冷却液の温度のうち少なくとも1つが閾値を越えるまで、前記コールドスタート燃料制御弁と前記少なくとも1つのインジェクタとの間に前記個別の量のLPGの噴射を繰り返すように構成された、請求項12に記載の燃料制御システム。
【請求項18】
LPGタンクからエンジンへ供給される燃料を制御する液化石油ガス(LPG)燃料制御システムであって:
コールドスタート燃料制御弁と;
前記コールドスタート燃料制御弁の下流に設けられたインジェクタと;
前記LPGの温度を検知する第1の温度センサと;
前記LPGの圧力を検知する圧力センサと;
前記第1の温度センサ、前記圧力センサ、および前記コールドスタート燃料制御弁に接続されたコントローラであって、第1の個別の量のLPGを前記システムのサンプリング部分に噴射するように構成され、前記システムの前記サンプリング部分は前記コールドスタート燃料制御弁と前記インジェクタとの間に設けられた、コントローラとを備える;
燃料制御システム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記パラメータが閾値を下回るとコールドスタートアシストモードで作動するように構成され、前記システムの前記サンプリング部分内の圧力がコールドスタート最小圧力値を下回る場合に前記コールドスタート燃料制御弁を開いて第2の個別の量のLPGを前記システムの前記サンプリング部分内に噴射する、請求項18に記載の燃料制御システム。
【請求項20】
前記コールドスタート燃料制御弁と前記サンプリング部分との間に介設される圧力調整器をさらに備え、前記コントローラは、前記LPGの圧力または前記LPGの温度のうち少なくとも1つがそれぞれの所定の閾値をひとたび越えると、前記コールドスタート燃料制御弁を開き、前記圧力調整器に前記LPGの圧力を調整させるように構成される、請求項19に記載の燃料制御システム。
【請求項21】
前記コントローラは、前記パラメータが閾値を上回ると非コールドスタートアシストモードで作動するように構成され、前記コールドスタート燃料制御弁を絞って、前記システムの前記サンプリング部分内の圧力を所定の閾値に維持するために前記システムの前記サンプリング部分内へ個別の量のLPGを噴射する、請求項18に記載の燃料制御システム。
【請求項22】
前記コールドスタート燃料制御弁と前記サンプリング部分との間に介設される熱交換器をさらに備え、前記コントローラは、前記コールドスタート燃料制御弁を絞って、前記LPGの圧力を調整するように構成される、請求項21に記載の燃料制御システム。
【請求項23】
前記コントローラは、前記コールドスタート燃料制御弁を絞って、前記LPGの圧力を調整するように構成される、請求項21に記載の燃料制御システム。
【請求項24】
燃料制御システムを用いて液化石油ガス(LPG)により作動するエンジンを始動する方法であって:
前記LPGの温度および圧力をサンプリングするステップと;
前記LPGの温度および圧力の両方がそれぞれの所定の閾値を下回る場合に、コールドスタートアシストが必要であると判断するステップと;
液体の前記LPGのインジェクタ配列への供給を避けるためにコールドスタートアシストが必要である場合に、コールドスタート燃料制御弁の下流の前記システムの前記インジェクタ配列に個別の量の前記LPGのみを供給するステップとを備える;
方法。
【請求項25】
前記インジェクタ配列に供給される前記個別の量のLPGの圧力をモニタするステップと、その後、前記インジェクタ配列に供給される前記個別の量のLPGの圧力が所定のコールドスタート最小圧力値を下回る場合に前記インジェクタ配列に第2の個別の量のLPGを供給するステップとをさらに備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記LPGの温度および圧力をサンプリングするステップにおいて、前記エンジン冷却液の温度をサンプリングするステップと、前記エンジン冷却液の温度が前記エンジン冷却液の温度の閾値を下回る場合に、コールドスタートアシストが必要であると判断するステップとをさらに備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コールドスタートアシストが必要であると判断した後に、前記LPGの温度および圧力をサンプリングするステップをさらに備える、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記燃料制御システムは圧力調整器を含み、前記LPGの温度または圧力のいずれかが前記それぞれの閾値を上回る場合に、前記コールドスタートアシストを終了するステップをさらに備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記燃料制御システムは圧力調整器を含み、前記LPGの温度、前記LPGの圧力、または前記エンジン冷却液の温度のいずれかが前記それぞれの閾値を上回る場合に、前記コールドスタートアシストを終了するステップをさらに備える、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記LPGの温度または圧力のうち少なくとも1つが前記それぞれの所定の閾値を上回る場合に、コールドスタートは必要でないと判断するステップと;
前記コールドスタート燃料制御弁を絞り、前記コールドスタート燃料制御弁の下流に位置する前記システムのインジェクタ配列に個別の量の前記LPGのみを供給して、前記インジェクタ配列に対する前記LPGの圧力を所定の閾値に制御するステップとをさらに備える;
請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−185269(P2011−185269A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−47511(P2011−47511)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(503400008)ウッドワード,インコーポレーテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】Woodward,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 E. Drake Road, P.O. Box 1519, Fort Collins, Colorado 80525, United States of America
【Fターム(参考)】