説明

サービス提供システム

【課題】現在位置に応じた、有用性が高い情報をユーザに提供するサービス提供システムを提供する。
【解決手段】複数配置された標識1にQRコードの形式で記憶された配置位置情報を携帯端末2が読み取り、読み取った複数の配置位置情報を携帯端末2が履歴情報として記憶し、携帯端末2は配置位置情報を基にサーバ装置4にアクセスする際に、携帯端末2固有のID情報と、履歴情報とをサーバ装置4に送信し、サーバ装置4は履歴情報を基に携帯端末2に送信するサービス情報を選択或いは生成し、携帯端末2に選択或いは生成されたサービス情報を送信して携帯端末2がこれを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在位置情報に応じたサービスを提供するサービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等、携帯型の電子機器の普及に伴い、外出先において所定の方法により現在位置情報を取得した電子機器に対して、取得した現在位置情報を基にした様々な関連情報を提供するサービスが普及しつつある。
様々な関連情報としては、例えば、現在位置周辺の地図情報や、現在位置近傍の店舗案内情報等が挙げられる。
【0003】
なお、現在位置を取得する所定の方法としては、例えばGPS(global positioning system:全地球測位システム)がある。
GPSは、複数のGPS衛星と通信を行い、衛星の軌道と、衛星に搭載された原子時計の時刻のデータを含む電波信号を受信し、受信した電波の時間差によりそれぞれの衛星との相対的な距離差を算出し、その軌跡である双曲面の交点を求める事で現在地の情報を得る技術である。
しかし、GPSを利用する際に屋内等、上空が開けていない場所では、複数のGPS衛星とうまく通信を行うことができず、現在位置情報を得ることができない、或いは、現在位置測定の精度が大きく低下してしまう。従って、屋内等、GPSを利用した現在位置情報取得を行うことができない(行いにくい)環境下では、現在位置情報に関連した様々な情報を携帯電子機器に提供するサービスの信頼度が低下し、実際の現在位置とは異なる位置に関連する情報が提供されてしまう、といった事態が生じていた。
このような事態を解消する技術として、例えば特許文献1〜3に開示された技術がある。
【特許文献1】特開2005−341369号公報
【特許文献2】特開2006−258605号公報
【特許文献3】特開2005−241265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、街頭の各所に、所在地の情報が含まれるともに、その所在地に関連した情報を提供するネットワークサイトあるいはインターネット上のウェブページへアクセスするためのURLが含まれている2次元バーコードからなる標識を設置し、利用者が、カメラ付き携帯電話機を用いて標識を撮影して2次元バーコードを読み取り、URLで示されるサイトに接続することにより、現在位置に関連した情報を入手することができる位置情報システムが開示されている。
【0005】
特許文献2には、携帯端末にて2次元バーコードを読み取って現在位置情報を検出し、目的地を示す2次元バーコードを読み取って目的地の位置情報を検出して指定する第1の目的地指定手段と、目的地を文字入力にて指定する第2の目的地指定手段とを備えて、いずれかの手段にて目的地を指定し、携帯端末にネットワークを介して接続されたサーバにて道路ネットワークを参照して経路検索を行ない、得られた経路情報を携帯端末に表示する経路情報案内システムが開示されている。
【0006】
特許文献3には、予め決められた場所に配置された2次元バーコード等の記録媒体から、3次元位置情報を2次元バーコード読取部で読み取り、この3次元位置情報に対応したナビゲーション情報、例えば3次元地図情報、経路情報、スポットの説明情報等をナビゲーション情報記憶部から読出し、画像表示部、および音声変換部によって、現在位置、進行経路、スポットの説明等を、携帯端末装置の所持者に知らせ、3次元のナビゲーションを行う3次元ナビゲーションシステムが開示されている。
【0007】
すなわち、上述した従来技術では、予め現在位置情報(あるいは現在位置情報へのリンク情報)を有して設置された2次元バーコード等を携帯電子機器の読み取り装置にて読み取ることにより、現在位置情報を取得している。
【0008】
しかし、2次元バーコード等によりGPSを利用せずに現在位置情報及び、現在位置に関する情報を取得できたとしても、この情報は現在位置周辺の狭い範囲の情報であり、ユーザにとってはそれほど有用ではない、という不利益がある。
【0009】
本発明は、上述した不利益を解消するために、現在位置に応じた、有用性が高い情報をユーザに提供するサービス提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、第1の発明のサービス提供システムは、各地点に配置された、配置された位置に応じた情報であるサービス情報へのリンク情報を含む配置位置情報を2次元コードの形式で記憶した複数の標識と、前記標識を読み取り、2次元コードの形式で記憶されたリンク情報を取得する携帯端末と、通信ネットワークと、前記サービス情報を記憶し、前記通信ネットワークを介して前記携帯端末と通信を行い、前記サービス情報を前記携帯端末に提供するサーバ装置と、を有し、前記サーバ装置は、前記携帯端末が取得した配置位置情報の履歴を基に、当該履歴に応じた前記サービス情報を前記携帯端末に対して提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現在位置に応じた、有用性が高い情報をユーザに提供するサービス提供システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態のサービス提供システム100について説明する。
図1は、サービス提供システム100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、サービス提供システム100は、標識1、携帯端末2、通信ネットワーク3、サーバ装置4を有するように構成される。
【0013】
標識1は、その標識の設置された地点に関する情報を含む2次元バーコードである。標識1は、例えば、街中においては電柱や塀、建物の壁に、或いは店舗内等の屋内においては、各売り場やブースの壁等に配置されている。標識1として利用される2次元バーコードとしては、例えばISO(ISO/IEC18004)或いはJIS(JIS-X-0510)にて規格制定されたQRコードがある。
【0014】
QRコードは、2値(例えば白と黒)のうちのいずれかを有するドット(セルと呼ばれる)を縦横に同数だけ並べて構成される2次元バーコードの一種である。QRコードは、1から40までの複数のバージョン(種類)を有し、それぞれ大きさが異なる。バージョン1が21×21セル、バージョン40が177×177セルの大きさであり、バージョンが1つ増えるごとに大きさが縦横4セルずつ大きくなる。QRコードでは、バージョンが大きければ大きいほど記憶可能なデータ容量が大きくなる。
【0015】
本実施形態のサービス提供システム100内には、上述したQRコード等の2次元バーコードで構成される標識1が複数配置されている。それぞれの標識1には、それぞれの標識が配置された位置に関する情報が記憶されている。以下では、標識1に記憶された標識1が配置された位置に関する情報を配置位置情報と称する。
すなわち、標識1には、配置位置情報として、例えば、住所情報(○○市○○町○丁目○番○号、等)、経緯度情報(北緯××度、東経××度、等)、フロア情報(例えば屋内に標識1が複数配置された場合;△館△階、等)、場所名情報(屋内に標識1が複数配置された場合に、標識1が配置された場所の名前に関する情報;例えば、野菜売り場、企業ブース、等)等が記憶されている。
同時に、標識1には、配置位置情報として、標識1が配置された位置に対応した(関連した)情報(例えば、標識1の配置された位置近傍の店舗の広告等;以下サービス情報と称する)を提供するインターネット上のウェブページへのリンク情報であるURI(Uniform Resource Identifier)が記憶されている。ここで、サービス情報は、後述するサーバ装置4に記憶されており、上述したURIはサーバ装置4内のサービス情報を提供するウェブページに対するリンク情報である。
なお、一般的に2次元バーコードに記憶される情報は文字の形式の情報であるため、上述した配置位置情報とそれに対応したURIとは文字列として標識1に記憶される。
【0016】
携帯端末2は、携帯電話機、無線通信機を取り付けたPDA(Personal Digital Assistant)等、無線通信が可能な携帯電子機器である。携帯端末2は、カメラ機能等、標識1の2次元バーコードを読み取り可能な機能を有しており、読み取った2次元バーコードを解析・復号して、2次元バーコードに記憶された、標識1の配置位置情報を取得することができる。
そして、携帯端末2は、システム内に複数配置された標識1を複数読み取った場合には、複数の標識1から取得した配置位置情報を取得した順番(時系列順)に履歴として管理し、履歴情報としてこれを管理する。履歴情報は、すなわち、どの標識1を読み取ったか、の情報と、標識1を読み取った時刻情報とを含んでいる。
携帯端末2は、標識1を読み取ることにより取得した、標識1の配置位置情報に記載されたURIを基に、通信ネットワーク3を介してサーバ装置4と通信を行う。この際、携帯端末は、上述した履歴情報をサーバ装置に送信する。そして、サーバ装置4からサービス情報(標識1が配置された位置に関連・対応した情報)を提供するウェブページのページデータを取得し、表示する。このサービス情報は、サーバ装置4が、携帯端末2の送信した履歴情報を基に選択した(或いは生成した)サービス情報であり、携帯端末2は、配置位置情報として取得したURIによってサーバ装置4に接続することにより、サーバ装置4からサービス情報を取得することができる。
なお、図1は携帯端末2が1つのみ図示されているが、本実施形態のサービス提供システム100では、複数の携帯端末2が通信ネットワーク3を介してサーバ装置4と通信を行っても良い。この場合、それぞれの携帯端末2は固有のID番号を有しており、サーバ装置4との通信時には、ID番号を送信することによりサーバ装置にどの携帯端末2との通信を行っているかを認識させる。
【0017】
通信ネットワーク3は、例えば携帯電話網等の無線通信ネットワークであり、携帯端末2とサーバ装置4との通信を仲介する。
サーバ装置4は、携帯端末2が標識1を読み取ることにより取得した、標識1の配置位置情報(URI)を基に、当該URIに応じたウェブページデータを送信する。このウェブページデータには、携帯端末2が送信してきた履歴情報に応じたサービス情報が含まれている。ここで、サービス情報とは、例えば配置位置周辺の地図情報や、配置位置周辺に存在する店舗に関する情報(店舗名、取扱商品情報、安売り情報やクーポン等)、配置位置が屋内であった場合には、配置位置周辺の売り場・ブースに関する情報等である。サーバ装置4は、履歴情報を基に、携帯端末2のユーザにとって有用であると思われるサービス情報を選択(或いは新規に作成)し、携帯端末2に送信することによって、よりユーザに有用なサービス情報を提供することができる。
【0018】
上述したように、本実施形態のサービス提供システム100においては、システム内に複数配置された標識1を携帯端末2が読み取ることによって、標識1から配置位置情報を取得し、配置位置情報を基に通信ネットワーク3を介してサーバ装置4と通信を行いこれまでに読み取った標識1の履歴に関する情報である履歴情報を送信し、サーバ装置から履歴情報に応じたサービス情報を取得して表示することにより、標識1を読み取った履歴に対応した情報をユーザに提供する。
【0019】
なお、本発明では、サービス提供システムが提供するサービス情報の内容、配置位置情報の内容及び形式、また、サービス情報の内容及び形式については限定しない。すなわち、本実施形態のサービス提供システム100では、システムを提供するシステム管理者がどのようなサービスを提供するか、によって、上述した配置位置情報、履歴情報に対応したサービス情報は変化する。
また、サーバ装置4が履歴情報を基に、履歴情報に応じたサービス情報を決定する際の決定方法についても、本発明では限定しない。提供するサービスによって、履歴情報に応じたサービスの決定方法は変化する。
以下、システム管理者が提供するサービスと、配置位置情報、履歴情報に応じたサービス情報の具体例について説明する。
【0020】
サービス提供システム100が提供するサービスの例としては、例えば、美術館内の案内サービスがある。すなわち、美術館において、現在どの作品を鑑賞しているか、どのような順序で展示された作品を見て回ればよいか、を来館者(携帯端末2のユーザ)に報知するサービスである。このような場合、各作品付近、例えば、作品の載った台座や、壁に掛けられた作品の近くの壁に標識1を配置する。標識1には、配置位置情報、すなわちこの場合は美術館内での作品の位置情報(例えば、作品毎にナンバリングし、そのナンバーを位置情報とすればよい)が記憶されている。さらに、配置位置情報として、例えばその標識1が配置された作品に関する詳しい情報、すなわち作品名、作者名、来歴、作者に関する説明等の情報(サービス情報)が記載されたウェブページへのリンク情報(URI)が記憶されていても良い。
【0021】
また、携帯端末2は、ユーザがどの作品に配置された標識1を読み取ったか、を履歴情報として記憶・管理する。携帯端末2がサーバ装置に配置位置情報を送信する際に、履歴情報も同時に送信され、サーバ装置4は履歴情報を基に、例えばユーザが好む作品の傾向を判定し、その判定結果に従って携帯端末2に送信するサービス情報を変更する。
具体的には、例えばユーザが、時刻t1に版画A、時刻t2に水彩画B、時刻t3に水墨画C、時刻t4に水彩画D、時刻t5に油絵E、時刻t6に水彩画Fのそれぞれに配置された標識1を読み取った(時刻t1〜t6の順に時間が経過している)場合について説明する。
この場合、例えば、サーバ装置4は、このユーザは水彩画を複数回鑑賞しているため、水彩画を好んでいると判定し、水彩画に関する情報を選択・生成してサービス情報として当該ユーザの携帯端末2に送信する。ここで、水彩画に関する情報とは、例えば、館内に展示されている水彩画の作品名、作者、展示位置、或いは、携帯端末2から送信された配置位置情報から判明する携帯端末2の現在位置を基に、現在位置から最寄りかつ未鑑賞の水彩画の展示位置までの案内図等である。
携帯端末2は、配置位置情報に記載されたURIを基にサーバ装置4にアクセスすることにより、上述したサービス情報が含まれるウェブページデータを取得することができる。
【0022】
サービス提供システム100が提供するサービスの他の例としては、大型量販店における売り場案内サービスを行う場合がある。郊外に建てられた大型量販店は、広大な売り場面積を有することがあり、現在どのような商品の売り場にいるのか、所望の商品を購入するためにはどの売り場に行けばよいのか、をユーザが把握しにくい、という事態がしばしば生じる。これを解決するために、売り場ごとに標識1を配置し、標識1に配置位置情報、すなわち店舗全体における売り場の情報、例えば、○館○階の○○売り場といった情報と、サーバ装置4にアクセスするためのURIを予め記憶させておく。このURIは、例えば売り場に関する付加情報、例えば安売り情報や、クーポン券のダウンロードサイトへのリンク情報、或いは同種の商品の売り場案内情報等へのリンク情報といったサービス情報へのリンク情報である。
ここで、例えばユーザが、時刻t11にG館1階の日用品売り場、時刻t12にG館1階の大工道具売り場、時刻t13にG館2階の衣料品売り場、時刻t14にG館2階の寝具売り場、時刻t15にG館3階のAV機器売り場において標識1を読み取った場合、履歴情報として、上記の履歴が携帯端末2からサーバ装置4に送信される。
サーバ装置4は、送信された履歴情報を基に、ユーザはG館において次第に上層階へと移動している、と判定し、G館3階及び4階の売り場に関するサービス情報を当該ユーザの携帯端末2に送信する。すなわち、G館3階及び4階にある売り場にて扱っている商品、安売り情報や、クーポン券のダウンロードサイトへのリンク情報、或いは同種の商品の売り場案内情報等をサービス情報として選択・生成し、携帯端末2に送信する。
【0023】
なお、サーバ装置4が履歴情報を基に携帯端末2に送信するサービス情報を変化させる例について上述したが、例えば、履歴情報を基に、ユーザの移動方向を算出し、これに応じて携帯端末2に送信するサービス情報を選択しても良い。また、例えば、履歴情報を基に、ユーザの移動速度を算出し、これに応じて携帯端末2に送信するサービス情報を選択・作成しても良い。また、履歴情報、ユーザの移動方向、移動速度を基に提供するサービス情報を選択・生成する方法については、本発明では限定しない。
【0024】
以下、上述したサービス提供システム100を実現するための構成例について説明する。
図2は、標識1の一例を示す図である。
図2に示すように、標識1はQRコードの形式で描かれている。
図2に示した標識1には、一例として、配置位置情報として、「日用品売り場」という位置の名称と、この配置位置に関連するサービス情報へのリンク情報であるURIが記憶されている。すなわち、本実施形態のサービス提供システム100においては、このような標識1が量販店の日用品売り場に配置されている。
【0025】
図3は、携帯端末2の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、携帯端末2は、カメラ21、通信部22、記憶部23、表示部24、操作部25、音声処理部26、制御部27を有する。
カメラ21は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子からなり、レンズを通過した光を撮像素子が光電変換し、カラーフィルタによって色情報を取得して画像データとして出力するデジタルカメラモジュールである。
また、カメラ21は、QRコードを含む画像データを撮影した場合に、QRコードを解析する解析部211を有する。解析部211は、カメラ21が撮影したQRコードを含む画像データ内のQRコードの部位を解析し、テキストデータの形式に変換する。変換されたテキストデータは、配置位置情報であり、後述する記憶部23の一時記憶部231に記憶される。
【0026】
通信部22は、通信ネットワーク3を介してサーバ装置4と各種データの送受信を行う。各種データとは、例えば、後述する制御部27の制御により実行される音声通話処理や、メール送受信処理等に使用される音声データ、メールデータ、メールの添付データ、インターネット閲覧のためのウェブページデータ、画像データ等の他、カメラ21が標識1を撮影し解析部211がQRコードを解析して取得した配置位置情報、配置位置情報とともに送信されるID情報、履歴情報、配置位置情報に応じてサーバ装置4が送信するサービス情報である。
【0027】
記憶部23は、携帯端末2の各動作に使用される各種データを記憶する。各種データとは、例えば、通信部22が通信ネットワークを介して受信したメールや、音声データ、画像データ、また携帯端末2の各処理(音声通話処理、メール送受信処理、インターネット閲覧処理、音楽再生処理等)アプリケーション等のプログラムや動作に必要なデータの類である。
さらに、記憶部23は一時記憶部231、ID情報記憶部232、履歴情報記憶部233を有する。
一時記憶部231は、カメラ21の解析部211が標識1から取得した配置位置情報を一時的に記憶する。一時的とは、例えば、配置位置情報が通信部22によってサーバ装置4に送信されるまで(好適にはサーバ装置4が配置位置情報を基にしたサービス情報を受信するまで)の間、一時記憶部231が配置位置情報を保持していることを意味している。
ID情報記憶部232は、携帯端末2に固有のID番号を記憶している。携帯端末2からサーバ装置4に配置位置情報が送信される際に、ID番号が同時に送信され、これによってサーバ装置4は携帯端末2を個別に認識する。
履歴情報記憶部233は、携帯端末2が読み取った標識1の履歴に関する履歴情報を記憶する。履歴情報は、例えば、標識1を読み取った時刻と、その時刻に読み取った標識1の配置位置情報とをセットにして記憶していくことにより生成される。
【0028】
表示部24は、例えば液晶や有機EL(Electro-Luminescence)等のディスプレイを有する表示デバイスであり、携帯端末2の動作に関する様々な表示を行う。すなわち、表示部24は、例えば、音声通話時の画面(通話相手の情報や通話時間等)、メール編集画面・閲覧画面、ウェブページ閲覧画面、待ち受け画面等の表示を行う。
また、表示部24は、通信部22が送信した履歴情報に応じてサーバ装置4から送信されたサービス情報を含むウェブページデータを表示する。
【0029】
操作部25は、テンキーやボタン、スイッチ等の操作デバイスであり、携帯端末2の各種動作時にユーザの操作を受け付けて制御部27に出力する。
音声処理部26は、音声を入出力するための処理を行う。すなわち、音声処理部26は、後述する制御部27の制御に従って、携帯端末2の音声入出力時、すなわち、通話時、音楽再生機能動作時等に、入力或いは出力された音声データをデコード或いはエンコード、D/A変換等の音声処理を行って出力する。また、音声処理部26は、サーバ装置4から受信したサービス情報に音声データが含まれていた場合には、これを再生する。
【0030】
制御部27は、携帯端末2の動作を統括的に制御する。すなわち、携帯端末2の各種動作時、例えば、音声通話処理、メール作成処理、メール送受信処理、インターネット閲覧処理等に、携帯端末2の上述した各構成を制御してその動作を行わせる処理を実行する。
また、制御部27は、携帯端末2のユーザがサービス提供システム100を利用する際には、カメラ21に標識1を撮影させ、解析部211に標識1のQRコードの解析をさせて配置位置情報を取得し、取得した配置位置情報を一時記憶部231に一時記憶させる。標識1から配置位置情報を取得するたびに、取得した時刻と取得した配置位置情報とを履歴情報として記憶部23の履歴情報記憶部233に記憶させる。そして、通信部22にID情報と履歴情報とを対応付けてサーバ装置4に対して送信させる。また、通信部22に送信した履歴情報に対応したサービス情報をサーバ装置4から受信させ、受信したサービス情報を表示部24に表示させたり、音声処理部26に再生させたりする。
【0031】
次に、サーバ装置4の構成例について説明する。
図4は、サーバ装置4の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、サーバ装置4は、通信部41、記憶部42、制御部43を有する。
通信部41は、携帯端末2との通信を行う。具体的には、通信部41は、後述する制御部43の制御に従って、通信ネットワーク3を介して携帯端末2からID情報、履歴情報を受信する。後述するサービス情報データベースからのサービス情報を携帯端末2に対して送信する。
【0032】
記憶部42は、サーバ装置4の各種動作に関する各種データを記憶する。記憶部42は、ID情報データベース(DB)421、履歴情報DB422、サービス情報DB423をさらに有する。
ID情報DB421は、通信ネットワーク3を介して通信部41が複数の携帯端末2から受信した、それぞれの携帯端末2に固有のID番号を含むID情報を記憶する。
履歴情報DB422は、通信ネットワーク3を介して通信部41が複数の携帯端末2から受信した、それぞれの携帯端末2の履歴情報(標識1を読み取った時間及び配置位置情報)を記憶する。
サービス情報DB423は、通信部41が携帯端末2に送信するサービス情報が記憶されている。サービス情報は、サービス提供システム100が提供するサービスの内容に応じて予め作成され記憶されている。
【0033】
制御部43は、サーバ装置4の動作を統括的に制御する。すなわち、制御部43は、配置位置情報のURIを基に携帯端末2がアクセスしてきた場合に、携帯端末2からID情報とこれに対応した履歴情報を通信部41に受信させ、ID情報をID情報DB421に、履歴情報を履歴情報DB422に記憶させる。そして、履歴情報に応じたサービス情報をサービス情報DB423に記憶された複数のサービス情報の中から選択し、選択されたサービス情報を通信部41にID情報に対応した携帯端末2に対して送信させる。なお、サービス情報DB423に記憶された複数のサービス情報の中から配置位置情報及び履歴情報に応じたサービス情報を選択するのではなく、サービス情報DB423に記憶されたサービス情報を基に、配置位置情報及び履歴情報に応じた新たなサービス情報をその都度新規に作成しても良い。さらに、履歴情報を基に携帯端末2の移動速度、あるいは移動方向を算出し、これらを基にサービス情報を選択・生成しても良い。
【0034】
次に、本実施形態のサービス提供システム100の全体的な処理の流れについて、図5に示すシーケンス図に従って説明する。
図5は、サービス提供システム100の処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
図5に示すように、携帯端末2がステップST201〜206、サーバ装置4がステップST401〜404までの工程を実行する。以下の説明では、時系列順に各構成の動作について説明するため、携帯端末2における工程とサーバ装置4における工程とが混在している。
【0035】
ステップST201:
携帯端末2は、標識1を読み取る。すなわち、携帯端末2のカメラ21は、標識1を含む画像データを生成する。
ステップST202:
携帯端末2の解析部211は、ステップST201において生成した標識1を含む画像データを基に、標識1の2次元バーコード(本実施形態ではQRコード)を解析し、2次元バーコードに記憶された配置位置情報を取得する。
【0036】
ステップST203:
携帯端末2の制御部27は、ステップST202において取得した配置位置情報により記憶部23の履歴情報記憶部233の履歴情報を更新する。すなわち、ステップST201におけるカメラ21が標識1を読み取った時刻と、ステップST202においては解析部211が取得した配置位置情報とを関連付け、履歴情報として履歴情報記憶部233に記憶させる。
ステップST204:
携帯端末2の制御部27は、ステップST202において取得した配置位置情報に記載されたURIを基に、通信部22を介してサーバ装置4にアクセスし、同時にユーザIDとこれに対応した履歴情報をサーバ装置4に送信する。
【0037】
ステップST401:
サーバ装置4の制御部43は、通信部41を介して携帯端末2がステップST204において送信したID情報及びこれに対応した履歴情報を取得する。
ステップST402:
サーバ装置4の制御部43は、ステップST401において取得したID情報をID情報DB421に、履歴情報を履歴情報DB422に書き込み記憶させる。
【0038】
ステップST403:
サーバ装置4の制御部43は、ステップST402において履歴情報DB422に記憶された履歴情報を基に、提供するサービス情報をサービス情報DB423に記憶されたサービス情報の中から選択する。或いは、サービス情報DB423に記憶されたサービス情報を基に、履歴情報に応じたサービス情報を新規に作成する。
ステップST404:
サーバ装置4の制御部43は、ステップST403において選択(生成)したサービス情報を通信部41を介して携帯端末2に送信する。
【0039】
ステップST205:
携帯端末2の制御部27は、ステップST404において送信されたサービス情報を通信部22を介して取得する。
ステップST206:
携帯端末2の制御部27は、ステップST205において取得したサービス情報を表示部24に表示させる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のサービス提供システム100によれば、複数配置された標識1にQRコードの形式で記憶された配置位置情報を携帯端末2が読み取り、読み取った複数の配置位置情報を携帯端末2が履歴情報として記憶し、携帯端末2は配置位置情報を基にサーバ装置4にアクセスする際に、携帯端末2固有のID情報と、履歴情報とをサーバ装置4に送信し、サーバ装置4は履歴情報を基に携帯端末2に送信するサービス情報を選択或いは生成し、携帯端末2に選択或いは生成されたサービス情報を送信して携帯端末2がこれを表示する。従って、携帯端末2のユーザに対してサーバ装置4が提供できるサービスがユーザごとにカスタマイズされたものになり、そのユーザに対してより有用なサービス情報を提供することができるようになる。
また、サーバ装置4は、履歴情報を基に、ユーザが移動する方向、移動速度等を算出してこれを基に携帯端末2に提供するサービスを選択或いは生成することができるので、よりユーザに対して有用なサービス情報を提供することができる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、携帯端末2が配置位置情報を取得した履歴を基に履歴情報を生成し、サーバ装置4が履歴情報を基に提供するサービス情報を選択或いは生成していたが、本発明はこれには限定されない。
すなわち、例えば、携帯端末2では履歴情報を生成せず、サーバ装置4が携帯端末2ごとの配置位置情報の履歴を収集して履歴情報を生成し、サーバ装置4がこの履歴情報を基にサービス情報を選択・生成し、これを携帯端末2に送信するようにしてもよい。
この場合には、携帯端末2の履歴情報記憶部233は必要なく、携帯端末2はサーバ装置4にID情報と履歴情報とを送信する代わりにID情報と配置位置情報とを送信し、サーバ装置4の制御部43は、取得した配置位置情報と、これを携帯端末2が取得した時間とから履歴情報を生成し、履歴情報DB422に記憶して、この履歴情報を基にサービス情報を選択・生成するようにすれば良い。
このようにすることによって、記憶容量が限られがちな携帯端末2の記憶部23に履歴情報を記憶する必要が無くなる、という更なる効果が得られる。
【0042】
或いは、携帯端末2において、サーバ装置4にアクセスする際のURIを配置位置情報の取得履歴を基に生成し、このURIを基に携帯端末2がサーバ装置4にアクセスするようにしても良い。すなわち、携帯端末2が配置位置情報の取得履歴を基に生成したURIは、履歴情報に応じたサービス情報を提供するウェブページデータへのリンク情報となっており、携帯端末2は、サーバ装置4にアクセスする際にユーザID及び履歴情報或いは配置位置情報を送信することなく、直接サービス情報を含むウェブページにアクセスすることができるため、サーバ装置4における履歴情報を基にサービス情報を選択・生成する処理を省略することができ、サービス情報をすばやく提供することができるとともに、サーバ装置4の構成を簡単にすることが可能になる、という更なる効果が得られる。
この際、携帯端末2のURI生成方法は、例えば、標識1から取得した配置位置情報としてのURIの一部を、取得した順に加算することにより、配置位置情報の取得履歴を反映したURIを生成する方法がある。
すなわち、携帯端末2の制御部27は、最初に取得したURIが
http://○○○.jp/000001
であり、その次に取得したURIが
http://○○○.jp/000002
であった場合には、URIの最後のスラッシュ以降の文字列を加算して、
http://○○○.jp/000003
というURIを生成する。生成されたURIは、ユーザが配置位置情報を取得した標識1の履歴に応じたサービス情報を提供するウェブページのURIとなっている。
このようにすることによって、携帯端末2の履歴情報記憶部233が必要なくなり、また、サーバ装置4でも履歴情報を基にサービス情報を選択・生成する処理を省略することができるので、サービス情報をユーザにすばやく提供することができるとともに、サーバ装置4の構成を簡単にすることが可能になる、という更なる効果が得られる。
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、サービス提供システム100の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、標識1の一例を示す図である。
【図3】図3は、携帯端末2の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、サーバ装置4の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、サービス提供システム100の処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0044】
100…サービス提供システム、1…標識、2…携帯端末、21…カメラ、211…解析部、22…通信部、23…記憶部、231…一時記憶部、232…ID情報記憶部、233…履歴情報記憶部、24…表示部、25…操作部、26…音声処理部、27…制御部、3…通信ネットワーク、4…サーバ装置、41…通信部、42…記憶部、43…制御部、421…ID情報DB、422…履歴情報DB、423…サービス情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地点に配置された、配置された位置に応じた情報であるサービス情報へのリンク情報を含む配置位置情報を2次元コードの形式で記憶した複数の標識と、
前記標識を読み取り、2次元コードの形式で記憶されたリンク情報を取得する携帯端末と、
通信ネットワークと、
前記サービス情報を記憶し、前記通信ネットワークを介して前記携帯端末と通信を行い、前記サービス情報を前記携帯端末に提供するサーバ装置と、
を有し、
前記サーバ装置は、前記携帯端末が取得した配置位置情報の履歴を基に、当該履歴に応じた前記サービス情報を前記携帯端末に対して提供する
サービス提供システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記複数の標識から取得した配置位置情報の履歴を履歴情報として記憶し、前記履歴情報を前記通信ネットワークを介して送信し、
前記サーバ装置は、前記履歴情報を基に、履歴に応じた前記サービス情報を前記携帯端末に提供する
請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項3】
複数の前記携帯端末
を有し、
前記複数の携帯端末は、それぞれ固有のID情報を記憶し、前記履歴情報と当該ID情報とを対応付けて前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記履歴情報を基に提供する前記サービス情報を決定し、当該履歴情報に対応する前記ID情報を送信した前記携帯端末に対して当該サービス情報を送信する
請求項2に記載のサービス提供システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記履歴情報を基に、当該履歴情報を送信した前記携帯端末の移動方向乃至移動速度を算出し、算出した前記移動方向乃至移動速度に応じた前記サービス情報を当該携帯端末に提供する
請求項3に記載のサービス提供システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、前記複数の標識から取得した配置位置情報を前記サーバ装置に送信し、
当該サーバ装置は、前記携帯端末から送信された前記配置位置情報を時系列順に記憶し、記憶した配置位置情報から当該携帯端末の取得した配置位置情報の履歴を取得し、当該履歴に応じた前記サービス情報を当該携帯端末に提供する
請求項1に記載のサービス提供システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記複数の標識から取得した配置位置情報に含まれる複数の前記リンク情報から新たなリンク情報を生成して当該新たなリンク情報を基に前記サーバ装置にアクセスし、
前記サーバ装置は、当該リンク情報に応じた前記サービス情報を前記携帯端末に提供する
請求項1に記載のサービス提供システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−250801(P2008−250801A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92933(P2007−92933)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【Fターム(参考)】