説明

シクロアルキルアミン誘導体

本発明は、式(I)(式中、Rは、明細書及び特許請求の範囲に定義したとおりである)で示される化合物、及び薬学的に許容され得るその塩に関する。該化合物は、DPP−IVに関連する疾患(例えば、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、及び耐糖能障害)の治療及び/又は予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なシクロアルキルアミン誘導体、その製造、及び医薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
特に本発明は、式(I):
【0003】
【化17】

【0004】
[式中、
は、
【0005】
【化18】

【0006】
(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、又はハロゲンから選択され;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)から選択され;
nは、0、1、又は2である]で示される、治療に使用するための化合物、及び薬学的に許容され得るその塩に関する。
【0007】
酵素:ジペプチジルペプチダーゼIV(EC.3.4.14.5、以後、DPP−IVと略す)は、複数のホルモンの活性の調節に関与する。特にDPP−IVは、インスリンの産生及び分泌の最も強力な刺激物質の1種であるグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)を効率的かつ迅速に分解する。DPP−IVを阻害すると、内因性GLP−1の効果が増強され、血漿中インスリン濃度が高められる。耐糖能障害及び2型糖尿病の患者では、血漿中インスリン濃度が高ければ、危険な高血糖が緩和され、従って組織損傷のリスクが低減する。その結果、DPP−IV阻害剤は、耐糖能障害及び2型糖尿病の処置のための候補薬として示唆された(例えば、Villhauer, WO98/19998)。他の関連する当該分野の技術は、WO99/38501、DE19616486、DE19834591、WO01/40180、WO01/55105、US6110949、WO00/34241、及びUS6011155に見出すことができる。
【0008】
更にDPP−IVは、T細胞免疫応答の発生及び調整に寄与する。DPP−IV(CD26としても知られる)は、T細胞活性化分子として、そしてケモカイン機能の調節物質として、免疫調節において肝要な役割を有し、こうして、免疫を介した疾患及び自己免疫疾患の病理生理学におけるDPP−IVの役割が示唆された(Hosano O. et al., Modern Rheumatology 2003, 13(3), 199-204)。自己免疫疾患、HIV関連疾患及び癌の場合、DPP−IVの異常な発現が見出される。DPP−IVの天然の基質は、一般に、免疫調節、精神/神経調整、及び生理学的工程に関与する(Boonacker E.; Van Noorden C. J. F, European Journal of Cell Biology 2003, 82(2), 53-73)。その上、DPP−IVと重要な核蛋白質:トポイソメラーゼαとの相関が存在することが示された(Aytac U., Dang, N. H., Current Drug Targets: Immune, Endocrine and Metabolic Disorders 2004, 4(1), 11-18)。こうしてDPP−IV阻害剤は、DPP−IVが関与する様々な疾患を処置する医薬として有用となる可能性がある。
【0009】
我々は、血漿中グルコースレベルを非常に効率的に低下させる新規なDPP−IV阻害剤を見出した。結果として、本発明の化合物は、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、及び/又は耐糖能障害に加え、ならびにDPP−IVにより正常に不活性化されるペプチドの作用を増幅させることが治療的利益を与える他の状態の治療及び/又は予防に有用である。加えて本発明の化合物は、肥満、代謝症候群、β細胞保護、自己免疫疾患(例えば炎症性腸疾患、硬化性軸索周囲性脳炎、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、扁平苔癬、及び/又は良性前立腺肥大)の治療及び/又は予防に用いることもできる。該化合物は、AIDS(後天性免疫不全症候群)の予防、又は転移の予防、特に乳癌及び前立腺癌の肺への転移を予防するのにも有用となり得る。更に本発明の化合物は、利尿薬として、そして高血圧の治療及び/又は予防に用いることができる。
【0010】
意外にも本発明の化合物は、例えば薬物動態及び生物学的利用度に関して、当該技術分野で公知の他のDPP−IV阻害剤に比較して、改善された治療的及び薬理学的性質を示す。
【0011】
本発明の目的は、式Iで示される化合物、それらの薬学的に許容され得る塩そのもの、薬学的活性物質としてのそれら、それらの製造、式Iで示される化合物に基づく医薬、それらの製造、ならびに前述の種類の疾病を管理もしくは予防する際の、及び/又は対応する医薬を製造するための、本発明の式Iで示される化合物の使用である。
【0012】
他に断りがなければ、本明細書の本発明を記載するために用いた様々な用語の意義及び範囲を例示及び定義するために、以下の定義を示す。
【0013】
本明細書において、用語「低級」は、炭素原子1〜6個、好ましくは1〜4個からなる基を意味するために用いる。
【0014】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指し、フッ素、臭素及び塩素が好ましい。最も好ましいハロゲンは、塩素である。
【0015】
用語「アルキル」は、単独か又は他の基と組み合わされて、炭素原子1〜20個、好ましくは炭素原子1〜16個、より好ましくは炭素原子1〜10個の分枝鎖又は直鎖一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。用語「低級アルキル」は、単独か又は他の基と組み合わされて、炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個の分枝鎖又は直鎖一価アルキル基を指す。この用語は、更に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、2−エチルブチルなどの基を例とする。好ましい低級アルキル残基は、メチル及びエチルであり、メチルが特に好ましい。
【0016】
用語「ハロゲン化低級アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個が、ハロゲン原子(好ましくはフルオロ又はクロロ、最も好ましくはフルオロ)により置換されている、低級アルキル基を指す。とりわけ好ましいハロゲン化低級アルキル基は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、及びクロロメチルであり、フルオロメチルが特に好ましい。
【0017】
用語「アルコキシ」は、R′がアルキルである、基:R′−O−を指す。用語「低級アルコキシ」は、R′が低級アルキルである、基:R′−O−を指す。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ及びヘキシルオキシであり、メトキシが特に好ましい。
【0018】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、式(I)で示される化合物の、無機酸又は有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸など)での塩であって、生きた有機体に対し非毒性の塩を包含する。酸での好ましい塩は、ギ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、及びメタンスルホン酸塩であり、塩酸塩が特に好ましい。
【0019】
一つの実施形態において、本発明は、式(I)
【0020】
【化19】

【0021】
[式中、
は、
【0022】
【化20】

【0023】
(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択され;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)から選択され;
nは、0、1、又は2である]を有する、治療に使用するための化合物及び薬学的に許容され得るその塩に関する。
【0024】
一つの更なる実施形態において、本発明は、Rが、
【0025】
【化21】

【0026】
(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択される;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で)である、治療に使用するための式(I)で示される化合物に関する。
【0027】
は、好ましくは、水素、低級アルキル、又はハロゲンの意義を有し、より好ましくは、水素、メチル又は塩素の意義を有する。
【0028】
、R、R及びRは、好ましくは、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択される。最も好ましい低級アルキルはメチルであり、最も好ましい低級アルコキシはメトキシであり、最も好ましいハロゲンはフッ素、塩素及び臭素から選択される。
【0029】
一つの好ましい実施形態において、R、R、R及びRは水素であり、Rは低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンであり、より好ましくは、メチル、メトキシ、又は塩素である。
【0030】
別の一つの好ましい実施形態において、R、R、R及びRは水素であり、Rは低級アルキル又はハロゲンであり、より好ましくは、メチル、フッ素、塩素又は臭素である。
【0031】
別の好ましい実施形態において、R、R及びRは水素であり、R及びRはそれぞれ独立して、低級アルキル又はハロゲンであり、より好ましくは、メチル、フッ素、又は塩素である。
【0032】
更に、別の好ましい実施形態において、R、R及びRは水素であり、R及びRはそれぞれ独立して、低級アルキル又はハロゲンであり、より好ましくは、メチル又は塩素である。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、Rが、
【0034】
【化22】

【0035】
(式中、Rは、低級アルキルである)である、治療に使用するための式(I)で示される化合物に関する。
【0036】
好ましい低級アルキル残基:Rは、メチル及びエチルであり、メチルが特に好ましい。
【0037】
別の実施形態おいて、本発明は、Rが、
【0038】
【化23】

【0039】
(式中、Rは、低級アルキルである)である、治療に使用するための式(I)で示される化合物に関する。
【0040】
好ましい低級アルキル残基:Rは、メチルである。
【0041】
別の実施形態において、本発明は、Rが、
【0042】
【化24】

【0043】
(式中、Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;ならびに
mは、1又は2である)である、治療に使用するための式(I)で示される化合物に関する。
【0044】
一つの好ましい実施形態において、Xは>SOであり、R、R10、R11及びR12は水素であり、mは2である。
【0045】
別の好ましい実施形態において、Xは>C=Oであり、R及びR11は一緒になって二重結合を形成し、R10及びR12は水素であり、mは2である。
【0046】
別の好ましい実施形態において、Xは>C=Oであり、R及びR11は水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し、R10は低級アルキル、好ましくはメチルであり、R12は水素であり、mは1又は2であり、より好ましくは1である。
【0047】
治療に使用するための式Iで示される好ましい化合物は、nが1である、化合物である。
【0048】
nが2である式Iで示される化合物も、治療に使用するために好ましい。
【0049】
治療に使用するための、一般式Iで示される好ましい化合物は、
(trans)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−o−トリル−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−o−トリル−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−メトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis/trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロペンチルアミン、
(trans)−2−(3−メチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−ピペリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−ピロリジン−2−オン
からなる群から選択される化合物、及び薬学的に許容され得るそれらの塩である。
【0050】
式Iで示される化合物は、不斉炭素原子を2個以上有し、光学的に純粋な鏡像体、ジアステレオマーの混合物、ラセミ体、又はジアステレオ異性体ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。本発明は、これらの形態の全てを包含する。
【0051】
好ましい実施形態において、シクロアルキルアミン構造のRと1位のアミノ基とは、trans配置、即ち
【0052】
【化25】

【0053】
である。
【0054】
好ましい実施形態において、シクロアルキルアミン構造のRと1位のアミノ基とは、cis配置、即ち
【0055】
【化26】

【0056】
である。
【0057】
本発明における一般式(I)で示される化合物が、官能基で誘導体化して誘導体を提供し、それがインビボで親化合物に戻り得ることは、理解されるであろう。
【0058】
本発明は、また、式(I):
【0059】
【化27】

【0060】
[式中、
は、
【0061】
【化28】

【0062】
(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、又はハロゲンから選択され;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)から選択され;
nは、0、1、又は2である]で示される化合物、及び薬学的に許容され得るその塩に関する、
但し、以下の化合物を除くことを条件とする:
2−(m−トリル)−シクロヘキシルアミン、2−(p−トリル)−シクロヘキシルアミン、2−(o−トリル)−シクロヘキシルアミン、2−(2−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、2−(3−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、2−(4−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、2−(2−ブロモフェニル)−シクロヘキシルアミン、2−(o−トリル)−シクロペンチルアミン、2−(p−トリル)−シクロペンチルアミン、2−(4−クロロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(3−フルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(4−フルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(4−ブロモフェニル)−シクロペンチルアミン、及び2−(4−tert−ブチルフェニル)−シクロペンチルアミン。
【0063】
2−(m−トリル)−シクロヘキシルアミン及び2−(p−トリル)−シクロヘキシルアミンは、J. Chem. Soc. 1956, 4280-4283に、フェナントリジン誘導体の合成の中間体として記載されている。それらのプロトン磁気共鳴スペクトルの研究に関連して、2−(o−トリル)−シクロヘキシルアミン、2−(p−トリル)−シクロヘキシルアミン、2−(2−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、2−(3−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、及び2−(4−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミンの異性体全ての合成が、J. Org. Chem. 1962, 27, 3006-3010に開示されている。J. Org. Chem. 1971, 36, 3046-3048には、2−(2−ブロモフェニル)−シクロヘキシルアミンの異性体全ての合成及びそれらのNMRスペクトルが記載されている。
【0064】
2−(o−トリル)−シクロペンチルアミンは、β3アドレノレセプターアゴニストとして有用なアミノヒドロキシアルキルベンゾチアゾロンの製造用の反応体として、WO2004/016601から公知である。2−(p−トリル)−シクロペンチルアミン、2−(4−クロロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(3−フルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(4−フルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、2−(4−ブロモフェニル)−シクロペンチルアミン、及び2−(4−tert−ブチルフェニル)−シクロペンチルアミンは、グルタミン酸受容体機能を強化する活性を有するN−(フェニルシクロペンチル)スルホンアミドを合成する際の中間体として、WO2001/042203に開示されている。
【0065】
式Iで示される好ましい化合物は、Rが、
【0066】
【化29】

【0067】
(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択される;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で)である、化合物である。
【0068】
は、好ましくは、水素、低級アルキル、又はハロゲンの意義を有し、より好ましくは、水素、メチル又は塩素の意義を有する。
【0069】
、R、R及びRは、好ましくは、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択される。最も好ましい低級アルキルはメチルであり、最も好ましい低級アルコキシはメトキシであり、最も好ましいハロゲンはフッ素、塩素及び臭素から選択される。
【0070】
一つの好ましい実施形態において、R、R、R及びRは水素であり、Rは低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンであり、より好ましくは、メチル、メトキシ、又は塩素である。
【0071】
別の好ましい実施形態において、R、R、R及びRは水素であり、Rは低級アルキル又はハロゲンであり、より好ましくは、メチル、フッ素、塩素又は臭素である。
【0072】
別の好ましい実施形態において、R、R及びRは水素であり、R及びRはそれぞれ独立して、低級アルキル又はハロゲンであり、より好ましくは、メチル、フッ素、又は塩素である。
【0073】
更に、別の好ましい実施形態において、R、R及びRは水素であり、R及びRはそれぞれ独立して低級アルキル又はハロゲンであり、より好ましくはメチル又は塩素である。
【0074】
更に本発明の式Iで示される好ましい化合物は、Rが、
【0075】
【化30】

【0076】
(式中、Rは、低級アルキルである)である、化合物である。
【0077】
好ましい低級アルキル残基:Rは、メチル及びエチルであり、メチルが特に好ましい。
【0078】
本発明の別の実施形態おいて、式Iで示される化合物は、Rが、
【0079】
【化31】

【0080】
(式中、Rは、低級アルキルである)である、化合物である。
【0081】
好ましい低級アルキル残基:Rは、メチルである。
【0082】
同じく好ましいのは、Rが、
【0083】
【化32】

【0084】
(式中、Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;ならびに
mは、1又は2である)である、本発明の式(I)で示される化合物である。
【0085】
一つの好ましい実施形態において、Xは>SOであり、R、R10、R11及びR12は水素であり、mは2である。
【0086】
別の好ましい実施形態において、Xは>C=Oであり、R及びR11は一緒になって二重結合を形成し、R10及びR12は水素であり、mは2である。
【0087】
別の好ましい実施形態において、Xは>C=Oであり、R及びR11は水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し、R10は低級アルキル、好ましくはメチルであり、R12は水素であり、mは1又は2、より好ましくは1である。
【0088】
式Iで示される好ましい化合物は、nが1である、化合物である。
【0089】
nが2である式Iで示される化合物。
【0090】
一般式Iで示される特に好ましい化合物は:
(trans)−2−(2−メトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis/trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロペンチルアミン、
(trans)−2−(3−メチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−ピペリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−ピロリジン−2−オン
からなる群から選択される化合物、及び薬学的に許容され得るそれらの塩である。
【0091】
本発明は、式Iで示される化合物の製造方法にも関する。
【0092】
一般に、式Iで示される化合物は、
a)式II:
【0093】
【化33】

【0094】
(式中、R及びnは、先に定義したとおりである)で示されるケトンの還元アミノ化によるか、又は
b)式III:
【0095】
【化34】

【0096】
(式中、R及びnは、先に定義したとおりであり、Rは、アミノ保護基である)で示されるカルバミン酸エステルの脱保護による、
のいずれかにより得ることができる。
【0097】
は、適切なアミノ保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Z又はCbz)、アリルオキシカルボニル(Aloc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、及び好ましくはtert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0098】
式(I)で示される化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法により製造することができる。各反応ステップの適切な反応条件は、当業者に公知である。出発材料は、市販されているか、あるいは以下に示す方法もしくは実施例に示す方法と類似の方法により、又は当該技術分野で公知の方法のいずれかにより製造することができる。
【0099】
本発明の化合物は、以下のスキームに示すとおり製造することができる:
【0100】
一般式Ia(式中、Rは、炭素原子を介してシクロアルカン核に結合する)で示される化合物は、当該技術分野で公知の方法(例えば、好ましくは酢酸アンモニウム及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元アミノ化による)により、ケトン:IIから合成する(スキーム1)。
【0101】
一般式IIで示されるケトンは、当該技術分野で公知の方法を用いた酸化(好ましくはDess Martin試薬を用いること)により、各アルコールから得ることができる。アルコールそのものは、当該技術分野で公知の方法により、好ましくは有機金属試薬(例えば、適切な有機リチウム試薬)又は適切なGrignard試薬を使用して、各エポキシドから得ることができる。
【0102】
【化35】

【0103】
一般式Ib(式中、Rは、窒素原子を介してシクロアルカン核に結合する)で示される化合物は、当該技術分野で公知の方法によりカルバミン酸エステル:IIIから合成することができる。Rが、tert−ブトキシカルボニルである場合、反応は、好ましくは、ジオキサン中の塩化水素の存在下で、又はジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸を用いて、実行する。カルバミン酸エステル:IIIは、当該技術分野で公知の方法を用いて、加水分解及び続くCurtius転位により、カルボン酸エステル:IVから得ることができる(スキーム2)。
【0104】
【化36】


は適切には、メチル又はエチルである;Rは、ベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、及び好ましくはtert−ブトキシカルボニルなどの、適切なアミノ保護基である。
【0105】
ラクタム又はスルタム誘導体:Icの合成は、以下のスキーム3に示すとおり、シクロアルキルアミン:Vから出発する。塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下、Vを酸塩化物、又は塩化スルホニル:VIIと反応させて、アミド又はスルホンアミド:Vを得る。その後、場合によりヨウ化ナトリウムの存在下、溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド)中の塩基(例えば水素化ナトリウム)を用いて、Vの環化によりIcを得る。カルバミン酸エステルは、スキーム2に示すとおり遊離アミンに変換することができる。
【0106】
【化37】


は、ベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、及び好ましくはtert−ブトキシカルボニルなどの、適切なアミノ保護基である;Halは、ハロゲン、好ましくは塩素である。
【0107】
式Ic(式中、R及びR10は、二重結合を形成し、Xは、>C=Oである)で示される不飽和ラクタムは、スキーム4によりシクロアルキルアミン:VIから合成することができる。こうして、ハロゲン化アルケニル:IXによるVIのアルキル化(塩基、例えばトリエチルアミンの存在下)、及び続くハロゲン化アシル:IXを用いたアシル化(塩基、例えばトリエチルアミンの存在下)により、アミド:VIIIを得る。その後、ルテニウム触媒(例えばビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド)及び場合によりLewis酸(例えばオルトチタン酸テトライソプロピル)を用いて、化合物:VIIIを閉環メタセシス(Acc. Chem. Res. 2001, 34, 18)に供してIdを得る。カルバミン酸エステルは、スキーム2に示すとおり遊離アミンに変換することができる。
【0108】
【化38】


は、ベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、及び好ましくはtert−ブトキシカルボニルなどの、適切なアミノ保護基である;Halは、ハロゲン、好ましくは塩素である。
【0109】
更に本発明は、先に定義した方法により製造した、先に定義した式(I)で示される化合物に関する。
【0110】
先に記載したとおり、本発明の式Iで示される化合物は、DPP−IVに関連する疾患(例えば、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満、及び/又は代謝症候群、好ましくはインスリン非依存性糖尿病及び/又は耐糖能障害)の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護用の医薬として用いることができる。その上、本発明の化合物は、利尿剤として、又は高血圧の治療及び/又は予防に用いることができる。
【0111】
それゆえ本発明は、式I:
【0112】
【化39】

【0113】
[式中、
は、
【0114】
【化40】

【0115】
(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択され;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)から選択され;
nは、0、1、又は2である]で示される化合物又は薬学的に許容され得るその塩、ならびに薬学的に許容され得る担体及び/又は佐剤を含む、医薬組成物にも関する。
【0116】
更に本発明は、治療活性物質、特にDPP−IVに関連する疾患(例えば、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満、及び/又は代謝症候群)の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護用の治療活性物質として使用され、好ましくはインスリン非依存性糖尿病及び/又は耐糖能障害の治療及び/又は予防用の治療活性物質として使用するための、先に定義した化合物に関する。その上、本発明は、利尿剤として、又は高血圧の治療及び/もしくは予防用の治療活性物質として使用するための先に定義した化合物に関する。
【0117】
別の実施形態において、本発明は、先に定義した化合物をヒト又は動物に投与することを含む、DPP−IVに関連する疾患(例えば、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満、及び/又は代謝症候群)の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護、好ましくはインスリン非依存性糖尿病及び/又は耐糖能障害の治療及び/又は予防の方法に関する。更に本発明は、疾患が高血圧であるか、又は利尿薬が有益な効果を有する、先に定義した治療及び/又は予防の方法に関する。
【0118】
本発明は、更に、DPP−IVに関連する疾患(例えば、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満、及び/又は代謝症候群)の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護、好ましくはインスリン非依存性糖尿病及び/又は耐糖能障害の治療及び/又は予防のための、先に定義した化合物の使用に関する。更に本発明は、疾患が高血圧である先に定義した使用、又は利尿薬としての使用に関する。
【0119】
加えて本発明は、DPP−IVに関連する疾患(例えば、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、肥満、及び/又は代謝症候群)の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護、好ましくはインスリン非依存性糖尿病及び/又は耐糖能障害の治療及び/又は予防のための医薬を製造するための、先に定義した化合物の使用に関する。そのような医薬は、先に定義した化合物を含む。更に本発明は、疾患が高血圧である先に定義した使用、又は利尿薬を製造するための使用に関する。
【0120】
先に定義した方法及び使用に関して、以下の疾患は、好ましい実施形態に関する:糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、肥満、及び/又は代謝症候群あるいはβ細胞保護、好ましくはインスリン非依存性糖尿病及び/又は耐糖能障害。
【0121】
式Iで示される化合物の活性を測定するために、以下のテストを実施した。
【0122】
DPP−IV阻害剤の活性を、ヒト血漿プール由来の天然ヒトDPP−IV、又は組換えヒトDPP−IVを用いてテストした。異なる提供者から得られたヒトクエン酸血漿をプールして、滅菌条件下、0.2ミクロン膜で濾過して、アリコット1mlを急速冷凍(shock frozen)して、使用するまで−120℃で貯蔵した。比色DPP−IVアッセイではアッセイ全容量100μl中にヒト血漿5〜10μlを、蛍光アッセイではヒト血漿1.0μlを、酵素供給源として用いた。N−末端及び膜透過ドメインについて制限したアミノ酸31〜766個のヒトDPP−IV配列のcDNAを、Pichia pastorisにクローニングした。ヒトDPP−IVを発現させて、サイズ排除ならびに陰イオン及び陽イオンクロマトグラフィーなどの従来のカラムクロマトグラフィーを用いて培地から精製した。Coomassieブルー・SDS-PAGEの最終的な酵素調製の純度は、95%を超えていた。比色DPP−IVアッセイではアッセイ全容量100μl中にrec.−hDPP−IV 20ngを、蛍光アッセイではrec.−hDPP−IV 2ngを、酵素供給源として用いた。
【0123】
蛍光アッセイでは、Ala−Pro−7−アミド−4−トリフルオロメチルクマリン(Calbiochem No 125510)を基質として用いた。10%DMF/HO中の20mM原液を、使用するまで−20℃で貯蔵した。IC50測定では、最終的な基質濃度50μMを用いた。K、Vmax、Kとしての反応速度パラメータを決定するアッセイでは、基質濃度を10μM〜500μMで変動させた。
【0124】
比色アッセイでは、H−Ala−Pro−pNA.HCl(Bachem L-1115)を基質として用いた。10%MeOH/HO中の10mM原液を、使用するまで−20℃で貯蔵した。IC50測定では、最終的な基質濃度200μMを用いた。K、Vmax、Kとしての反応速度パラメータを決定するアッセイでは、基質濃度を100μM〜2000μMで変動させた。
【0125】
Perkin Elmer Luminescence Spectrometer LS 50Bにて、励起波長400nm及び発光波長505nmで、15秒毎に10〜30分間連続して蛍光を検出した。最適線形回帰により、初速度定数を計算した。
【0126】
比色測定用基質から遊離したpNAの吸収を、405nmのPackard SpectraCountにて、2分毎に30〜120分間連続して検出した。最適線形回帰により、初速度定数を計算した。
【0127】
DPP−IV活性アッセイを、37℃の96ウエルプレートでアッセイ全容量100μlで実施した。アッセイ緩衝液は、0.1mg/ml BSA及び100mM NaClを含む50mM Tris/HCl(pH7.8)で構成された。テスト化合物を100%DMSOに溶解し、10%DMSO/HOに所望の濃度に希釈した。アッセイ液中の最終的なDMSO濃度は、1%(v/v)であった。この濃度では、DMSOによる酵素の不活性化は、5%未満であった。化合物は、酵素と共にプレインキュベーションしたもの(37℃で10分間)と、していないものがあった。酵素反応は、基質処理で開始し、その後、直ちに混合する。
【0128】
テスト化合物のIC50測定値は、少なくとも5種の異なる化合物濃度のDPP−IV阻害の非線形最適回帰により計算した。酵素反応の反応速度パラメータは、少なくとも5種の異なる基質濃度及び少なくとも5種の異なるテスト化合物濃度で計算した。
【0129】
本発明の化合物は、以下の表に示すとおり、0.1μM〜50μM、より好ましくは0.1μM〜1μMのIC50値を示した。
【0130】
【表1】

【0131】
式Iの化合物及び/又はそれらの薬学的に許容しうる塩は、薬剤として、例えば、経腸、非経口又は局所投与の医薬製剤の形態で使用することができる。これらは、例えば、経口的に、例としては錠剤、コーティング剤、糖皮剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で、経腸的に、例としては坐剤の剤形で、非経口的に、例としては注射用液剤又は注入用液剤の剤形で、或いは局所的に、例としては軟膏、クリーム剤又は油剤の剤形で投与することができる。経口投与が好ましい。
【0132】
医薬製剤の製造は、式Iの記載された化合物及び/又はそれらの薬学的に許容されうる塩を、場合により他の治療上有用な物質と組み合わせて、適切であり、非毒性であり、不活性であり、治療上適合性のある固体又は液体担体材料、及び所望であれば通常の医薬佐剤と一緒にガレヌス製剤にする、当業者に周知であろう方法により実施することができる。
【0133】
適切な担体材料は、無機担体材料のみならず、有機担体材料でもある。従って、例えば、乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩が、錠剤、コーティング錠、糖皮錠及び硬ゼラチンカプセル剤の担体材料として使用できる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な担体材料は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、並びに半固形及び液状ポリオールである(しかし活性物質の性質によっては、軟ゼラチンカプセル剤の場合には、担体を必要としないこともある)。液剤及びシロップ剤の製造に適切な担体材料は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖等である。注射剤に適切な担体材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール及び植物油である。坐剤に適切な担体材料は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、及び半液体又は液体ポリオールである。局所用製剤に適切な担体材料は、グリセリド、半合成及び合成グリセリド、硬化油、液体ロウ、流動パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコール及びセルロース誘導体である。
【0134】
通常の安定剤、防腐剤、湿潤剤及び乳化剤、稠度向上剤、風味向上剤、浸透圧を変更する塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤及びマスキング剤、並びに酸化防止剤が医薬佐剤として考慮される。
【0135】
式Iの化合物の用量は、抑制されるべき疾患、患者の年齢及び個別の状態、並びに投与形態に応じて広範囲に変更でき、当然それぞれの特定の症例における個別の要件に適合されるであろう。成人患者では、約1mg〜約1000mg、特に約1mg〜約100mgの1日量が考慮される。疾患の重篤度および正確な薬物動態学的プロフィールに応じて、化合物を、1または複数回の一日投与量、例えば、1〜3単位の投与量で投与することができる。
【0136】
医薬製剤は、好都合には、式Iの化合物を約1〜500mg、好ましくは1〜100mg含有する。
【0137】
下記の実施例は、本発明を更に詳細に説明するために役立つ。しかし、これらは本発明の範囲をどのようにも制限することを意図しない。
【実施例】
【0138】
実施例1及び2
(trans)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン及び(cis)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン
THF中の1−ブロモ−3−メチル−ベンゼンの溶液に−78℃で、nBuLi(THF中の1.6M、12.4ml)の溶液を滴下し、反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。その後、7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタン(3.4g)を反応混合物にゆっくりと加え、続いて三フッ化ホウ素エーテラート(2.5ml)を加えた。反応混合物を−78℃で更に2時間撹拌した後、それを室温まで温めた。次に溶液を塩化アンモニウム溶液(25ml)で処理し、相を分離し、次に酢酸エチルで2回抽出した。次に合わせた有機抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。次に残渣を、カラムクロマトグラフィーにより精製して、(cis/trans)2−o−トリル−シクロヘキサノール2.9g、MS(EI)190.1(M)を得た。
【0139】
ジクロロメタン(30ml)中の(cis/trans)2−o−トリル−シクロヘキサノール(1g)に、デス・マーチン・ペルヨージナン(Dess-Martin periodinane)(Aldrich 27,462-3)を室温で加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した後、ジエチルエーテルを加えた。溶媒の容量を、減圧下で最初の量の約1/4まで減少した。更なるジエチルエーテル(87ml)を加え、該溶液を、10%チオ硫酸ナトリウム溶液(87ml)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(87ml)、ブライン(100ml)及び水(100ml)で洗浄した。次に有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。次に残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、2−o−トリル−シクロヘキサノン0.54g、MS(EI)188.2(M)を得た。
【0140】
メタノール(30ml)中の2−o−トリル−シクロヘキサノン(0.22g)に、酢酸アンモニウム(0.90g)を加え、反応物を室温で16時間撹拌した。その後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(91mg)を反応混合物に加え、10分間撹拌した。次に反応混合物をNaHCOの飽和水溶液で処理し、酢酸エチル(2×50ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、(cis)2−m−トリル−シクロヘキシルアミン(35mg)、MS(ISP)190.3(M+H)及び(trans)2−m−トリル−シクロヘキシルアミン、MS(ISP)190.3(MH)。を得た。
【0141】
下記実施例は、実施例1及び2と同様にして調製した:
【0142】
【表2】



【0143】
実施例26
(trans)−2−(3−メチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン
a) trans−[2−(3−ホルミル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ピリジン(0.5ml)及び酢酸(0.82ml)中のtrans−(2−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(Tetrahedron Lett. 2000, 41, 9607;400mg、1.87mmol)及び2,5−ジメトキシ−3−テトラヒドロフランカルボキシアルデヒド(365mg、2.05mmol)の溶液を、100℃で4.5時間加熱した。冷却後、反応混合物を、酢酸エチルと10%クエン酸水溶液とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発した。クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチルの勾配)に付して、標記化合物(334mg、61%)を得た。オフホワイトの固体、MS(ISP)293.3(MH)
【0144】
b) trans−2−(3−メチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン
トリエチルシラン(368mg、3.16mmol)を、トリフルオロ酢酸(5.1ml)中trans−[2−(3−ホルミル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(330mg、1.13mmol)の溶液に0℃で加え、次に90分後、反応混合物を蒸発し、酢酸エチルと2Mナトリウムヒドロキシド水溶液とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発した。クロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH/NHOH 90:10:0.25)に付して、標記化合物(163mg、81%)を得た。黄色の油状物、MS(ISP)179.1(MH)
【0145】
実施例27
trans−2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン
a) trans−[2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
メチルマグネシウムクロリド溶液(テトラヒドロフラン中の3M、0.23ml、0.68mmol)を、テトラヒドロフラン(2ml)中のtrans−[2−(3−ホルミル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(実施例26a、100mg、0.34mmol)の溶液に−78℃で加え、次に3.5時間後、反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発した。この粗物質(103mg)をジクロロメタン(2ml)に溶解し、トリエチルシラン(58mg、0.50mmol)及びトリフルオロ酢酸(190mg、1.67mmol)で処理した。反応混合物を3時間かけて0℃にし、次に蒸発し、残渣をクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチルの勾配)に付して、標記化合物(27mg、28%)を得た。黄色の固体、MS(ISP)293.2(MH)
【0146】
b) trans−2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン
塩酸溶液(1,4−ジオキサン中の4M)中のtrans−[2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(24mg、82μmol)の溶液を、室温で90分間撹拌し、次に蒸発した。残渣をCHCl/MeOH/NHOH 90:10:0.25に取り、溶液を減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH/NHOH 90:10:0.25)に付して、標記化合物(5mg、32%)を得た。明黄色の固体、MS(ISP)193.4(MH)
【0147】
実施例28
trans−2−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−シクロヘキシルアミン
a) trans−[2−(4−クロロ−ブタン−1−スルホニルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
4−クロロブタンスルホニルクロリド(178mg、0.93mmol)を、ジクロロメタン(2ml)中のtrans−(2−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.93mmol)及びトリエチルアミン(94mg、0.93mmol)の溶液に0℃で加え、反応混合物を3時間かけて室温にし、次にジクロロメタンと10%クエン酸水溶液とに分配した。有機層を1M炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発した。クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチルの勾配)に付して、標記化合物(130mg、38%)を得た。オフホワイトの固体、MS(ISP)367.2(M−H)
【0148】
b) trans−2−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−シクロヘキシルアミン
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散体、15mg、0.38mmol)を、trans−[2−(4−クロロ−ブタン−1−スルホニルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(125mg、0.34mmol)及びヨウ化ナトリウム(51mg、0.34mmol)の溶液に0℃で加え、反応混合物を室温で24時間撹拌し、次に水素化ナトリウム(15mg、0.38mmol)の別の部分を加え、反応混合物を60℃で3時間加熱した。冷却後、溶液をヘプタン/酢酸エチル(1:1)と水とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、蒸発し、クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチルの勾配)に付した。標記化合物を、この物質から実施例27bの一般法に従って得た。オフホワイトの固体、MS(ISP)233.1(MH)
【0149】
実施例29
trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン
a) trans−(2−ブタ−3−エニルアミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
標記化合物を、実施例30aの一般法に従って、trans−(2−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル及び4−ブロモ−1−ブテンから生成した。褐色の固体、MS(ISP)269.3(M+H)
【0150】
b) trans−[2−(アクリロイル−ブタ−3−エニル−アミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
アクリロイルクロリド(47mg、0.50mmol)を、ジクロロメタン(3ml)中のtrans−(2−ブタ−3−エニルアミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(123mg、0.46mmol)及びトリエチルアミン(51mg、0.51mmol)の溶液に0℃で加え、反応混合物を3時間かけて室温にした。ジクロロメタンと10%クエン酸水溶液とに分配した後、有機層を1M炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発した。クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチルの勾配)に付して、標記化合物(103mg、70%)を得た。明黄色の固体、MS(ISP)323.3(MH)
【0151】
c) trans−[2−(6−オキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド(13mg、16μmol)を、ジクロロメタン(2.5ml)中のtrans−[2−(アクリロイル−ブタ−3−エニル−アミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(50mg、0.16mmol)及びオルトチタン酸テトライソプロピル(8.8mg、31μmol)の溶液に加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に溶媒を蒸発し、残渣をクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチルの勾配)に付して、標記化合物(44mg、96%)を生成した。オフホワイトの固体、MS(ISP)295.2(MH)
【0152】
d) trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン
標記化合物を、実施例27bの一般法に従って、trans−[2−(6−オキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルから生成した。明黄色の液体、MS(ISP)195.3(MH)
【0153】
実施例30
trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−l,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン
a) trans−[2−(2−メチル−アリルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
臭化メタリル(139mg、1.03mmol)を、テトラヒドロフラン(4ml)中のtrans−(2−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.93mmol)及びトリエチルアミン(113mg、1.12mmol)の溶液に0℃で加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次に酢酸エチルと1Mナトリウムヒドロキシド水溶液とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)し、蒸発した。クロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH/NHOH 90:10:0.25)に付して、標記化合物(177mg、71%)を得た。橙色の固体、MS(ISP)269.3(MH)
【0154】
b) trans−{2−[アクリロイル−(2−メチル−アリル)−アミノ]−シクロヘキシル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
標記化合物を、実施例29bの一般法に従って、trans−[2−(2−メチル−アリルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル及びアクリロイルクロリドから生成した。オフホワイトの固体、MS(ISP)323.3(MH)
【0155】
c) trans−[2−(4−メチル−2−オキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
標記化合物を、実施例31cの一般法に従って、trans−{2−[アクリロイル−(2−メチル−アリル)−アミノ]−シクロヘキシル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルから生成した。黒色の固体、MS(ISP)295.2(MH)
【0156】
d) trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−l,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン
標記化合物を、実施例27bの一般法に従って、trans−[2−(4−メチル−2−オキソ−2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルから生成した。黄色の固体、MS(ISP)195.2(MH)
【0157】
実施例31
trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン
a) trans−[2−(3−メチル−ブタ−3−エニルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0158】
標記化合物を、実施例30aの一般法に従って、trans−(2−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル及び4−ブロモ−2−メチル−1−ブテン(J. Org. Chem. 1997, 62, 1536)から生成した。褐色の固体、MS(ISP)283.3(MH)
【0159】
b) trans−{2−[アクリロイル−(3−メチル−ブタ−3−エニル)−アミノ]−シクロヘキシル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
標記化合物を、実施例29bの一般法に従って、trans−[2−(3−メチル−ブタ−3−エニルアミノ)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル及びアクリロイルクロリドから生成した。オフホワイトの固体、MS(ISP)337.4(MH)
【0160】
c) trans−[2−(4−メチル−6−オキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ジクロロ(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(フェニルメチレン)−(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(54mg、63μmol)を、クロロホルム(11ml)中のtrans−{2−[アクリロイル−(3−メチル−ブタ−3−エニル)−アミノ]−シクロヘキシル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(212mg、0.63mmol)及びオルトチタン酸テトライソプロピル(36mg、0.13mmol)の溶液に加え、反応混合物を72時間加熱還流した。次に溶媒を蒸発し、残渣を、クロマトグラフィー(SiO、ヘプタン−酢酸エチルの勾配)に付して、標記化合物(120mg、62%)を生成した。オフホワイトの固体、MS(ISP)309.1(MH)
【0161】
d) trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン
標記化合物を、実施例27bの一般法に従って、trans−[2−(4−メチル−6−オキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルから生成した。褐色の液体、MS(ISP)209.2(MH)
【0162】
実施例32
trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−ピペリジン−2−オン
標記化合物を、実施例28の一般法に従って、trans−(2−アミノ−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル及び5−クロロバレロイルクロリドから生成した。無色の液体、MS(ISP)197.2(MH)
【0163】
実施例33
1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−ピロリジン−2−オン
a) cis−2−(4−クロロ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
cis−2−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチルの調製例:
cis−2−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチル塩酸塩(750mg)を、1N NaOH(pH=12)に懸濁した。水層をCHClで抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発して、粗cis−2−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチル(570mg)を得た。
【0164】
粗cis−2−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチル(570mg)を、アルゴン下、CHCl(15ml)に溶解し、氷浴を用いて0℃まで冷却した。次にトリエチルアミン(0.51ml)を10分間かけて滴下した。次に混合物を30分間撹拌し、次に4−クロロ−3−メチル−ブチリルクロリド(568mg)で処理し、Chem. Ber., 97, 1964, 2544-2550に従って10分間かけて滴下して合成した;白色の懸濁液を得た。得られた混合物を室温までにし、30分間撹拌した。混合物を氷/ブラインに注ぎ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 7:3)により精製して、生成物を、1:1のエピマーの混合物として、明黄色の油状物(913mg)として得た。MS(ESI):290.1(M)。
【0165】
b) trans−2−(4−メチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
cis−2−(4−クロロ−3−メチル−ブチリルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(895mg)を、アルゴン下、無水DMF(20ml)に室温で溶解した。ヨウ化ナトリウム(463mg)及び水素化ナトリウム(55%)(270mg)を加えた;白色の懸濁液を得た。次に混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、飽和NHCl溶液を含有する氷/水に注ぎ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH 95/5/0.5)により精製して、生成物を、1:1のエピマーの混合物として、明黄色の液体(402mg)として得た。MS(ESI):254.1(M)。
【0166】
c) trans−2−(4−メチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−シクロヘキサンカルボン酸
trans−2−(4−メチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(395mg)を、無水THF(15ml)に溶解し、1N水酸化リチウム溶液(5.12ml)を加えた。得られた混合物を一晩還流した。反応混合物を室温まで冷却し、次に濃HCl(1.80ml)を加えた(pH=2)。混合物を蒸発し、次にトルエンで希釈し、蒸発して水を除去した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/MeOH 85/15)により精製して、生成物を、1:1のエピマーの混合物として、明黄色の泡状物(435g)として得た。MS(ESI):224.3(M)。
【0167】
d) trans−2−(4−メチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸ベンジルエステル
trans−2−(4−メチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−シクロヘキサンカルボン酸(100mg)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(183mg)、ベンジルアルコール(0.686ml)及びトリエチルアミン(0.062ml)を、無水トルエン(1.0ml)に溶解し、次に混合物を80℃まで一晩加熱した。次に反応混合物を直接蒸発した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/ヘプタン 80/20)により精製して、化合物を1:1のエピマーの混合物として、白色の泡状物(42mg)として得た。MS(ESI):331.2(M)。
【0168】
e) trans−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−ピロリジン−2−オン
無水エタノール(4.0ml)中のtrans−[2−(4−メチル−2−オキソ−ピロリジン−1−イル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸ベンジルエステル(34mg)の溶液に、10%パラジウム担持炭(5mg)を加えた。水素雰囲気を、排気/ガス導入を繰り返して導入した。懸濁液を一晩激しく撹拌した。触媒をdicaliteで濾過して除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NH 93/7/0.5)により、生成物を、1:1のエピマーの混合物として、無色の液体(15mg)として得た。MS(ESI):197.3(M)。
【0169】
製剤例
実施例A
下記の成分を含有するフィルムコーティング剤は常法により製造することができる:
【0170】
【表3】

【0171】
活性成分を篩にかけ、微晶質セルロースと混合し、混合物を水中のポリビニルピロリドンの溶液で造粒する。顆粒をグリコールデンプンナトリウム及びステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮して、それぞれ120又は350mgの核を得る。上記のフィルムの水溶液/懸濁液を核に塗布する。
【0172】
実施例B
下記の成分を含有するカプセル剤は常法により製造できる:
【0173】
【表4】

【0174】
成分を篩にかけ、混合し、サイズ2のカプセルに充填する。
【0175】
実施例C
注射剤は下記の組成を有することができる:
【0176】
【表5】

【0177】
活性成分を、ポリエチレングリコール400と注射用水(一部)の混合物に溶解する。酢酸によりpHを5.0に調整する。水の残量を加えて、容量を1.0mlに調整する。溶液を濾過し、適切な過剰量を使用してバイアルに充填し、滅菌する。
【0178】
実施例D
下記の成分を含有する軟ゼラチンカプセル剤は常法により製造できる:
【0179】
【表6】

【0180】
活性成分を、温かく溶融している他の成分に溶解し、混合物を適切な大きさの軟ゼラチンカプセルに充填する。充填された軟ゼラチンカプセル剤を、通常の手順に従って処理する。
【0181】
実施例E
下記の成分を含有するサッシェは常法により製造できる:
【0182】
【表7】

【0183】
活性成分を、乳糖、微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物と共に造粒する。顆粒をステアリン酸マグネシウム及び風味添加剤と混合し、サッシェに充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
は、
【化2】


(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択され;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)から選択され;
nは、0、1、又は2である]で示される、治療に使用するための化合物、及び薬学的に許容され得るその塩。
【請求項2】
が、
【化3】


(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択される;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で)である、治療に使用するための請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項3】
が、
【化4】


(式中、Rは、低級アルキルである)である、治療に使用するための請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項4】
が、
【化5】


(式中、Rは、低級アルキルである)である、治療に使用するための請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項5】
が、
【化6】


(式中、Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)である、治療に使用するための請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項6】
(trans)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−o−トリル−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−o−トリル−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−メトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis/trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロペンチルアミン、
(trans)−2−(3−メチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−ピペリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−ピロリジン−2−オン
から選択される、請求項1記載の治療に使用するための式Iで示される化合物、及び薬学的に許容され得るその塩。
【請求項7】
式(I):
【化7】


[式中、
は、
【化8】


(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、又はハロゲンから選択され;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)から選択され;
nは、0、1、又は2である]で示される化合物、及び薬学的に許容され得るその塩
(但し、以下の化合物:
2−(m−トリル)−シクロヘキシルアミン、
2−(p−トリル)−シクロヘキシルアミン、
2−(o−トリル)−シクロヘキシルアミン、
2−(2−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、
2−(3−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、
2−(p−クロロフェニル)−シクロヘキシルアミン、
2−(2−ブロモフェニル)−シクロヘキシルアミン、
2−(o−トリル)−シクロペンチルアミン、
2−(p−トリル)−シクロペンチルアミン、
2−(4−クロロフェニル)−シクロペンチルアミン、
2−(3,5−ジフルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、
2−(3−フルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、
2−(4−フルオロフェニル)−シクロペンチルアミン、
2−(4−ブロモフェニル)−シクロペンチルアミン、及び
2−(4−tert−ブチルフェニル)−シクロペンチルアミン
を除くことをさらに条件とする)。
【請求項8】
が、
【化9】


(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択される;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で)である、請求項7記載の式Iで示される化合物。
【請求項9】
が、
【化10】


(式中、Rは、低級アルキルである)である、請求項7記載の式Iで示される化合物。
【請求項10】
が、
【化11】


(式中、Rは、低級アルキルである)である、請求項7記載の式Iで示される化合物。
【請求項11】
が、
【化12】


(式中、Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)である、請求項7記載の式Iで示される化合物。
【請求項12】
(trans)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−m−トリル−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−o−トリル−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−o−トリル−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−メトキシ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−ブロモ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−5−メチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジメチル−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis/trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(2−フルオロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(3−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−クロロ−フェニル)−シクロヘキシルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(trans)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロヘプチルアミン、
(cis)−2−(2,5−ジクロロ−フェニル)−シクロペンチルアミン、
(trans)−2−(3−メチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(3−エチル−ピロール−1−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−2−(1,1−ジオキソ−[1,2]チアジナン−2−イル)−シクロヘキシルアミン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−1,5−ジヒドロ−ピロール−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−5,6−ジヒドロ−1H−ピリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−ピペリジン−2−オン、
(trans)−1−(2−アミノ−シクロヘキシル)−4−メチル−ピロリジン−2−オン
から選択される、請求項7記載の式Iで示される化合物、及び薬学的に許容され得るその塩。
【請求項13】
請求項7〜12記載の式Iで示される化合物の製造方法であって、
a)式II:
【化13】


(式中、R及びnは、請求項7に定義したとおりである)で示されるケトンの還元アミノ化、又は
b)式III:
【化14】


(式中、R及びnは、請求項7に定義したとおりであり、Rは、アミノ保護基である)で示されるカルバミン酸エステルの脱保護を含む、方法。
【請求項14】
先に定義した方法により製造される、請求項7に定義したとおりの式Iで示される化合物。
【請求項15】
式(I):
【化15】


[式中、
は、
【化16】


(式中、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンから選択され;但し、R、R、R、R及びRの全てが水素ではないという条件で;
は、低級アルキルであり;
は、低級アルキルであり;
Xは、>C=O又は>SOであり;
及びR11は、水素であるか、又は一緒になって二重結合を形成し;
10及びR12は、水素又は低級アルキルから独立して選択され;
mは、1又は2である)から選択され;及び
nは、0、1、又は2である]で示される化合物又は薬学的に許容され得るその塩:
ならびに薬学的に許容され得る担体及び/又は佐剤を含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項7〜12のいずれか記載の化合物、ならびに薬学的に許容され得る担体及び/又は佐剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
DPP−IVに関連する疾患の治療及び/又は予防用の治療活性物質として使用するための、請求項1〜12のいずれか記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜12のいずれか記載の化合物をヒト又は動物に投与することを含む、DPP−IVに関連する疾患(例えば、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、肥満、及び/又は代謝症候群)の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護の方法。
【請求項19】
DPP−IVに関連する疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項20】
糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、肥満、及び/又は代謝症候群の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護のための、請求項1〜12のいずれか記載の使用。
【請求項21】
DPP−IVに関連する疾患の治療及び/又は予防用の医薬を製造するための、請求項1〜12のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項22】
糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病、耐糖能障害、肥満、及び/又は代謝症候群の治療及び/又は予防あるいはβ細胞保護のための医薬を製造するための、請求項1〜12のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項23】
新規な化合物、工程、及び方法、ならびに実質的に先に記載したそのような化合物の使用。

【公表番号】特表2008−524279(P2008−524279A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547276(P2007−547276)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013433
【国際公開番号】WO2006/066770
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】