説明

スクリーン印刷方法および電子部品の装着方法

【課題】孔を有する支持体の前記孔の周縁部から孔の内壁面、好ましくは支持体の裏面側にまでわたって接着剤を塗着する印刷方法を提供する。また、前記の印刷方法を利用して、支持体の孔の周縁部から裏面側にわたって導電性接着剤を塗着し、支持体の裏面側から前記孔の周縁部に電子部品を装着する方法を提供する。
【解決手段】孔101を有する支持体100の一方の面側に、印刷マスクを使用して、接着剤102を印刷することにより、前記孔の周縁部から少なくとも孔の内壁面にわたる部分に接着剤を塗着する方法で、前記印刷マスクが、支持体の孔に対応して、当該孔の開口端に沿うように配列した複数の開口部112からなる開口部群を有し、前記開口部が当該孔の開口端の外側から孔内にまたがるように形成されているメタルマスク110からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷方法、さらに詳しくは、孔を有する支持体の前記孔の周縁部から孔の内壁面にわたって接着剤を印刷する方法に関する。本発明は、また、前記の印刷方法を利用して、支持体の前記孔の周縁部に電子部品を装着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリーン印刷は、各種電子・電気機器の部品の製造において、プリント基板へ電子部品を表面実装する際のはんだペーストの印刷を始め、部品の装着のために基板ないし支持体に接着剤を塗布するのに広く利用されている。しかし、スクリーン印刷は、平坦な支持体の表面に印刷するのに利用されるものであって、支持体の孔の内壁面やその内壁面から支持体の裏面側にまで接着剤を塗着するような利用は全く考えられていなかった。
部品の実装に際しても、基板の表面にあらかじめ障害物が装着されている場合は、もはや基板表面にスクリーン印刷を利用して接着剤を塗着することはできない。
【0003】
最近、クリーンなエネルギー源としての光電変換装置に、球状のp型半導体の表面にn型半導体層を形成した球状の光電変換素子を用いたものが検討されている。この光電変換装置は、直径1mm前後の小さな球状素子を用いることにより、光電変換部全体の平均厚みを薄くし、原料Siの使用量を軽減するものである。この種の光電変換装置としては、多数の凹部を有する支持体の各凹部内に、直径1mm前後の球状の光電変換素子を取り付け、凹部内面を反射鏡として働かせるものが知られている(特許文献1および2など)。このような構成によれば、素子の材料、特に高価なSiの使用量を低減するとともに、反射鏡の作用により、素子に直接照射される光の4〜6倍の光を素子に照射できるので、光の有効利用ができるなどの利点を有する。
【0004】
この種の光電変換素子では、支持体の凹部の底に孔を有し、この孔の縁部に導電性接着剤により球状の素子を固定する構造がとられる。素子は、その表面の第2半導体層が前記の導電性接着剤により第2導電体層を兼ねる支持体に接続される。一方、表面を研削して第1半導体の露出部を設け、ここに第1半導体の電極が形成される。この電極は、支持体の孔をとおして支持体とは絶縁された第1導電体層に電気的に接続される。
このような構造の光電変換装置を組み立てるに際し、スクリーン印刷などの印刷法によって、支持体の凹部に設けられた孔の周縁部に導電性接着剤を塗着することができない。そこで、手作業により、支持体の凹部内側からその底部の微細な孔の周縁部に接着剤を塗布しているのが現状である。手作業では、効率が悪い上に所定量の接着剤を正確な部位に塗着するのが困難である。
【特許文献1】特開2002−164554号公報
【特許文献2】特開2004−63564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上に鑑み、孔を有する支持体の前記孔の周縁部から孔の内壁面、好ましくは支持体の裏面側にまでわたって接着剤を塗着する印刷方法を提供することを目的とする。
本発明は、また、前記の印刷方法を利用して、支持体の孔の周縁部から孔の内壁面にわたって導電性接着剤を塗着し、支持体の前記孔の周縁部に電子部品を装着する方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前記の印刷方法を利用して、支持体の孔の周縁部から裏面側にわたって導電性接着剤を塗着し、支持体の裏面側から前記孔の周縁部に電子部品を装着する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、孔を有する支持体の一方の面側に、メタルマスクの開口部をとおして接着剤を印刷することにより、前記孔の周縁部から少なくとも前記孔の内壁面にわたる部分に接着剤を塗着するスクリーン印刷方法に関する。
ここに用いるメタルマスクは、前記支持体の孔に対応して、当該孔の開口端に沿うように配列した複数の開口部からなる開口部群を有し、前記開口部が当該孔の開口端の外側から孔内にまたがる部分に対応するように形成されている。このメタルマスクを支持体の一方の面側にセットし、前記メタルマスクの開口部をとおして前記支持体に接着剤を印刷することにより、前記孔に対応して、当該孔の周縁部から少なくとも前記孔の内壁面にわたる接着剤の塗着部を、前記孔の開口端に沿って複数箇所形成する。
【0007】
本発明者らは、このメタルマスクを使用して接着剤をスクリーン印刷すると、接着剤の一部は支持体の孔の周縁部に転移され、これと連なっている接着剤のその他の部分は、その重力によるものか接着剤の収縮力によるものか、あるいは他の理由によるものかは明らかでないが、孔の内壁面から支持体の裏面側にわたる部分へ付着できることを見いだした。
孔の内壁面から支持体の裏面側にわたる部分へ接着剤を付着させるには、前記メタルマスクの開口部における、前記支持体の孔の開口端から孔内にわたる部分の寸法が、前記支持体の孔を有する部分の厚さ以上に相当する寸法であることが好ましい。
【0008】
本発明の電子部品の装着方法は、前記印刷方法により、支持体の一方の面側から接着剤を印刷することにより、支持体の電子部品を装着しようとする孔に対応して、当該孔の周縁部から孔の内壁面にわたる接着剤の塗着部を、前記孔の開口端に沿って複数箇所形成し、前記支持体の前記接着剤に接するように電子部品を装着する。
この方法によると、電子部品が、支持体の孔に嵌合する嵌合部を有するものであるとき、孔の内壁面に塗着されている接着剤により部品と支持体との結合力を向上することができる。
【0009】
本発明は、また、前記のスクリーン印刷方法により、支持体の一方の面側から接着剤を印刷することにより、支持体の電子部品を装着しようとする孔に対応して、当該孔の周縁部から前記支持体の他方の面の周縁部にわたる接着剤の塗着部を、前記孔の開口端に沿って複数箇所形成し、前記支持体の他方の面側から前記接着剤に接するように電子部品を装着することを特徴とする電子部品の装着方法を提供する。
【0010】
本発明は、さらに、
(1)第1の面側に多数の凹部を隣接して有するとともに前記凹部の底に孔を有し、少なくとも前記凹部の内面が導電性を有する支持体、並びに球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層を備え、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有する光電変換素子を準備する工程、
(2)前記支持体の孔に対応して、当該孔の開口端に沿うように配列した複数の開口部からなる開口部群を有し、前記開口部が当該孔の開口端の外側から孔内にまたがる部分に対応するように形成されているメタルマスクを前記支持体の第1の面とは反対側の第2の面側にセットし、前記メタルマスクの開口部をとおして前記支持体に導電性接着剤を印刷することにより、前記孔に対応して、支持体の第2の面側における当該孔の周縁部から第1の面側における周縁部にわたる導電性接着剤の塗着部を、前記孔の開口端に沿って複数箇所形成する工程、および
(3)前記光電変換素子をその第1半導体の露出部が前記孔から支持体の第2の面側に臨み、第2半導体層が前記導電性接着剤に接するように、前記支持体に第1の面側から装着する工程
を有する電子部品の装着方法を提供する。
【0011】
本発明の方法によると、支持体の第1の面側に凹凸や障害物があり、スクリーン印刷できない場合においても、支持体の第2の面側から接着剤を印刷し、第1の面側から電子部品を装着することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、支持体の一方の面から孔の内壁面にかけて接着剤を塗着することができる。したがって、支持体の孔に嵌合する嵌合部を有する電子部品の装着に有用である。また、本発明によれば、支持体の一方の面から他方の面にかけて接着剤を塗着することができる。したがって、支持体の片方の面に凹凸や障害物があっても他方の面から印刷することにより、支持体の所望の面に接着剤を塗着することができる。
本発明によれば、電子部品の実装の自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はスクリーン印刷に用いるメタルマスクの要部の平面図、図2はそのメタルマスクを用いて支持体に接着剤を印刷しようとするところを示す要部の縦断面図、図3は接着剤を印刷した後の支持体およびこれに装着する電子部品を示す縦断面図である。
支持体100は孔101を有しており、この孔101の部分に接着剤により電子部品103を装着するものとする。接着剤を印刷するためのメタルマスク110は、支持体100の孔101の開口端に沿うように配列された6個の開口部112からなる開口部群111を有している。開口部112は、支持体100の孔101の開口端の外側から孔内にまたがる部分に対応する形状を有している。
【0014】
版枠(図示しない)にて支持されたメタルマスク110を図2のように支持体100上にセットし、スキージ115をメタルマスク110の表面上を図矢印のように移動させ、メタルマスク110の開口部112をとおして支持体100上に、ペースト状の接着剤102を印刷する。開口部112のうち、孔101の開口端の外側に対応する部分の接着剤は、孔101の周縁部上に転移される。前記の転移された部分に連なっている他の接着剤の部分は、孔101内へ落ち込み、さらにその末端部分は支持体100の裏面側に付着する。こうして図3に示すように、メタルマスク110の開口部112から支持体100上へ移される接着剤は、孔101の表側の周縁部から孔101の内壁面および裏面の周縁部にわたって、102で示されるように、支持体に塗着される。このようにして孔の開口端に沿って複数に分割されて接着剤102が支持体に塗着される。
【0015】
このように、孔101の開口端に沿って、孔101の表側の周縁部から裏面の周縁部にわたって適切な量の接着剤の塗着部を形成するには、後述のように、メタルマスク110の開口部112は、支持体100の孔101の開口端の外側に対応する部分の寸法d1、孔101内に対応する部分の寸法d2、メタルマスク110の厚さ、および支持体の孔101を有する部分の厚さを適切に設定することが望ましい。しかし、d2は、支持体の孔101の内壁面から支持体の裏面側に塗着される部分の長さと必ずしも同じにする必要はない。d2の方が小さい場合でも、接着剤は支持体の裏面側にまで塗着されることがある。これは、以下の理論に拘束されるのを好むものではないが、印刷時にd1に対応する部分の接着剤が支持体に接着し、d2に対応する部分の接着剤が支持体に転移される過程において重力により下方に伸び、そのために接着剤の塗着部がd2のそれより長くなるものと思われる。
【0016】
支持体100の孔101の部分に装着する電子部品103は、孔101に嵌合する径小部104を有している。この電子部品103をその径小部104が孔101に嵌合するように、支持体の表側から装着すれば、支持体の表側に塗着されている接着剤が電子部品の径大部下端に接着するとともに、孔101の内壁面に塗着されている接着剤が径小部104の外周面に接着する。したがって、電子部品は接着剤により強固に支持体に固定される。
【0017】
本発明によると、電子部品を支持体100の裏面側から装着することもできる。すなわち、支持体の裏面側に既に電子部品が装着されていたり、支持体そのものの凹凸などにより、支持体の裏面側にスクリーン印刷ができない事情がある場合、支持体の表側から接着剤をスクリーン印刷することにより、支持体の裏面側にも接着剤を塗着することができる。この支持体100の裏面に塗着される個々の接着剤の量は、支持体の表面側に塗着する場合に比べて少なくとも、孔の内壁面に塗着された接着剤を合わせると、支持体の裏面側に電子部品を接着するには十分な量とすることができる。したがって、電子部品103を図3とは逆に、すなわち、径小部104を上にして、電子部品103を支持体の下側から装着することができる。
【0018】
図1〜3においては、支持体に設ける孔は円形であり、メタルマスクに設ける開口部も円形とした。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。支持体の部品装着用の孔は、正方形、長方形、半円形など電子部品の形状に合うものであれば適用可能である。同様に、メタルマスクの開口部も種々の形状をとりうるが、支持体の孔の開口端の外側に対応する部分と、孔に対応する部分とは、ほぼ同じ形状とするのがよい。後者を極端に大きくすると、接着剤を印刷したとき、支持体に付着せずに脱落することがある。メタルマスクの開口部は、あまり大きいと、接着剤は支持体に塗着できずに大部分が支持体から落下してしまう。開口部112の大きさは直径0.1〜4mmが適当である。
【0019】
ここに用いる支持体100は、あまり厚みが大きいと、接着剤を裏面側にまで塗着することができない。接着剤を裏面側にまで塗着するには、支持体の厚みは、0.05〜1mmが適当である。接着剤を支持体の孔の内壁面に付着させる場合は、支持体の厚みは特に限定されない。しかし、接着剤を塗着できる範囲は、孔の深さ2mm程度までが適当である。
本発明で用いる接着剤は、常温において粘性および流動性を有し、その塗布層を乾燥または加熱することにより固化し、支持体と電子部品とを接着できるものであればいずれでもよい。
また、接着剤は、適当な粘度を有することが好ましい。メタルマスクを用いた通常のスクリーン印刷では、100〜200Pa・s程度のものが用いられるが、本発明では5〜100Pa・s、より好ましくは5〜50Pa・sのものが用いられる。
【0020】
次に、電子部品を装着する実施の形態として、球状の光電変換素子を支持体に装着して光電変換装置を作製する例を説明する。
図4は球状の光電変換素子を組み込むための支持体の平面図、図5は図4のV−V線断面図、図6は支持体に導電性接着剤を塗着するためのメタルスクリーンの要部の平面図である。
光電変換素子6は、図7および図8に示すように、球状の第1半導体1およびその表面を被覆する第2半導体層2からなり、表面の一部を研削することにより第2半導体層の開口部3に囲まれた第1半導体の露出面4を有している。この露出面には電極5が形成されている。
【0021】
この素子を組み込む支持体10は、0.2mm程度の厚みのアルミニウム箔からなり、正六角形に開口した凹部11を隣接して多数有するように加工されている。この支持体は、素子6の第2半導体層2と電気的に接続される第2導電体層を兼ねている。凹部11の底には孔12を有しており、この孔12の縁部に、導電性接着剤により素子6が固定される。これによって、素子6は支持体10に物理的に固定されるとともに第2半導体層2が支持体10に電気的に接続される。
【0022】
素子6を支持体10の凹部に装着するための導電性接着剤を凹部11の孔12の周縁部に塗着する方法を以下に説明する。素子を装着するための接着剤の塗着部は、支持体の凹部11の底にあるので、通常のスクリーン印刷によっては接着剤を塗着することはできない。
本実施の形態においては、支持体10の裏面側にスクリーン印刷により接着剤を塗着する。スクリーン印刷に用いるメタルマスク20は、図6に示すように、支持体10の孔12に対応して、孔12の開口端に沿うように配列された6個の開口部22からなる開口部群21を有している。開口部21は、支持体10の孔12の開口端の外側から孔内にまたがる部分に対応する形状を有している。この例では、支持体10は孔を有する部分の厚みが0.12mmで、孔12の直径は0.85mm、メタルマスク20は厚みが50μmで、開口部22の直径0.3mmである。開口部22の中心が支持体10の孔12の開口端上に位置するように、支持体の裏面側にメタルマスク20がセットされる。
【0023】
上記のメタルマスクを用いて、25℃においてペースト状の導電性接着剤を支持体10の裏面に印刷したところ、図9に示すように、孔12の周縁部から孔の内壁面および凹部11の内面にまたがって導電性接着剤が6カ所に塗着された。ここに用いた導電性接着剤は、エポキシ系接着剤にAg粉を導電材として混合したもので、25℃における粘度は20Pa・sであった。
そこで、支持体10の凹部11内へ素子6をその電極5を有する部分が孔12内に位置するように押しつけ、150℃で30分間加熱処理すると、素子6は支持体10にしっかりと固定された。なお、図示しないが、素子6を支持体10に装着するに際しては、多数の素子を支持体の凹部に対応するように位置決めした治具により支持体の凹部に押しつけるようにした。
【0024】
このようにして凹部11の底部に素子6を固定した支持体10は、図11に示すように、裏面側に絶縁性の樹脂塗料を流延し、固化させることにより、電気絶縁層14を形成する。次に、レーザトリミングなどにより絶縁層14に開口部15を形成し、素子の電極5を露出させる。次いで、開口部15に、例えば樹脂をバインダーとする導電性ペーストを充填するとともに、素子6の電極5を相互に並列に接続する第1導電体層16を形成する。こうして、支持体10に固定された素子6は、その第1半導体1の電極5が第1導電体層14に、第2半導体層2が支持体10にそれぞれ接続された光電変換装置が作製される。
【0025】
図12は、支持体10にその裏面側から導電性接着剤を塗着するためのメタルマスクの変形例を示す。このメタルマスク30は、支持体の孔12の開口端に沿って4個の開口部32からなる開口部群31を有している。開口部32は、支持体の孔12の周縁部から孔12内にまたがる部分に対応して、弧状となっている。これによっても光電変換素子を接着するに足る量の接着剤を支持体に塗着することができた。
【0026】
上記のように、支持体10の裏面側からのスクリーン印刷により、支持体10の孔12の周縁部から孔12の内壁面および凹部11の内面にまたがって導電性接着剤の塗着部を形成するには、支持体10の孔12およびメタルマスクの開口部の寸法と位置に関しての適切な関連性が必要である。これを図2を参照して説明すると、メタルマスク110の開口部112は、支持体100の孔101の開口端の外側に対応する部分の寸法d1に対して、孔101内に対応する部分の寸法d2が大きすぎたり、d1がd2に対して小さすぎたり、さらには、メタルマスク110の厚さtが厚すぎたりすると、接着剤を印刷したときに支持体に付着せずに脱落し易い。また、メタルマスクの厚さtが薄すぎると、孔の内壁から裏面側にかけて、十分な厚みで接着剤が塗着されず、したがって、支持体に素子を確実に固定することができない。また、支持体の裏面側において孔の周縁部に塗着された接着剤は、素子を支持体に接続するためには不要なので、d1の部分は、d2の部分を脱落させない範囲内にとどめることが望ましい。
【0027】
1、d2、tなどの寸法が適切に設定された条件下で、支持体に塗布された接着剤のうち、d2に対応する部分の接着剤により、支持体の孔の内壁面から支持体の表面側における孔の周縁部にかけて、接着剤の塗着層が形成される。このように限られた量の接着剤により上記のような塗着層を形成するためには、支持体の孔を有する部分の厚さT(孔の深さ)を適切に設定することが望ましい。すなわち、Tが大きすぎると、支持体の表面側における孔の周縁部にまで接着剤が塗布されない。また、Tが小さすぎると、支持体の表面側における孔の周縁部に過分に接着剤が塗布される。そのため、支持体の凹部の内面が反射鏡として十分に機能しなくなる。
【0028】
本発明者らは、上記の考え方を基本にして、上記光電変換装置に用いる球状の光電変換素子の直径を0.5〜2mm、支持体の孔の深さTを0.05〜0.45mmにそれぞれ変化させて検討した。その結果、支持体の裏面側における孔の周縁部から凹部の内面の周縁部にわたり適切な導電性ペーストの塗着部を形成するためには、支持体の孔の深さTが0.08〜0.40mmであり、メタルマスクの開口部は、図2のd1部分の寸法が0.025〜0.25mm、d2に相当する部分の寸法が0.08〜0.35mmであり、かつ、メタルマスクの厚みが0.02〜0.20mmとするのが適切であることが明らかになった。
ここに示したd1およびd2の値は、メタルマスクの開口部が円形の場合の最大値であり、例えば図12に示す開口部のように、支持体の孔の開口端に沿って同じ幅を有する開口部を設けるのがよい場合もある。
【0029】
また、この場合に用いる接着剤は、Ag、Al、CuおよびNiよりなる群から選ばれた少なくとも1種の導電材を含み、バインダーのエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などを含む樹脂型の導電性接着剤、並びに、前記の導電材、バインダーのガラスフリット、および粘着材の有機ビヒクルなどを含むガラスフリット型の導電性接着剤が好ましい。
さらに、これら導電性接着剤の粘度は、5〜50Ps・sであることが好ましい。粘度が低すぎると、支持体の孔の表面側における周縁部に塗布された接着剤が凹部内面まで流動して拡がり、反射鏡としての機能が損なわれる。また、粘度が高すぎると、接着剤はメタルマスクから支持体側へ転移しにくくなるか、またはメタルマスクから転移しても接着剤は支持体の孔の内壁面から表面側へ塗着され難い。ここに用いた粘度は、JIS K7117−2に準拠して、円錐平板型回転粘度計により、25℃で測定した値である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のスクリーン印刷方法によれば、支持体の片方の面に凹凸や障害物があっても他方の面から支持体の所望の面に接着剤を塗着することができる。したがって、本発明は、電子部品の実装などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】スクリーン印刷に用いるメタルマスクの例を示す要部の平面図である。
【図2】図1のメタルマスクを用いて支持体に接着剤を印刷しようとするところを示す要部の縦断面図である。
【図3】接着剤を印刷した後の支持体の縦断面図である。
【図4】球状の光電変換素子を組み込むための支持体の平面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】支持体に導電性接着剤を塗着するためのメタルスクリーンの要部の平面図である。
【図7】球状の光電変換素子の底面図である。
【図8】球状の光電変換素子の縦断面図である。
【図9】図6の支持体に導電性の接着剤を塗着した状態を示す縦断面図である。
【図10】光電変換素子を固定した支持体を示す縦断面図である。
【図11】光電変換装置を示す縦断面図である。
【図12】支持体に導電性接着剤を塗着するためのメタルスクリーンの他の例を示す要部の平面図である。
【符号の説明】
【0032】
6 光電変換素子
10 支持体
11 凹部
12 孔
13 導電性接着剤
20 メタルマスク
21 開口部群
22 開口部
100 支持体
101 孔
102 接着剤
103 電子部品
105 スキージ
110 メタルマスク
111 開口部群
112 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を有する支持体の一方の面側に、前記支持体の孔に対応して、当該孔の開口端に沿うように配列した複数の開口部からなる開口部群を有し、前記開口部が当該孔の開口端の外側から孔内にまたがる部分に対応するように形成されているメタルマスクをセットし、前記メタルマスクの開口部をとおして前記支持体に接着剤を印刷することにより、前記孔に対応して、当該孔の周縁部から少なくとも前記孔の内壁面にわたる接着剤の塗着部を、前記孔の開口端に沿って複数箇所形成することを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項2】
前記メタルマスクの開口部における、前記支持体の孔の開口端から孔内にわたる部分の寸法が、前記支持体の孔を有する部分の厚さ以上に相当し、接着剤を前記支持体の他方の面における当該孔の周縁部にわたり塗着することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷方法。
【請求項3】
請求項1または2記載のスクリーン印刷方法により、支持体の一方の面側から接着剤を印刷することにより、支持体の電子部品を装着しようとする孔に対応して、当該孔の周縁部から少なくとも前記孔の内壁面にわたる接着剤の塗着部を、前記孔の開口端に沿って複数箇所形成し、前記支持体の前記接着剤に接するように電子部品を装着することを特徴とする電子部品の装着方法。
【請求項4】
前記接着剤の塗着部を前記支持体の一方の面側における当該孔の周縁部から他方の面側における当該孔の周縁部にわたり形成し、前記支持体の他方の面側から前記接着剤に接するように電子部品を装着することを特徴とする請求項3記載の電子部品の装着方法。
【請求項5】
(1)第1の面側に多数の凹部を隣接して有するとともに前記凹部の底に孔を有し、少なくとも前記凹部の内面が導電性を有する支持体、並びに球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層を備え、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有する光電変換素子を準備する工程、
(2)前記支持体の孔に対応して、当該孔の開口端に沿うように配列した複数の開口部からなる開口部群を有し、前記開口部が当該孔の開口端の外側から孔内にまたがる部分に対応するように形成されているメタルマスクを前記支持体の第1の面とは反対側の第2の面側にセットし、前記メタルマスクの開口部をとおして前記支持体に導電性接着剤を印刷することにより、前記孔に対応して、支持体の第2の面側における当該孔の周縁部から第1の面側における当該孔の周縁部にわたる導電性接着剤の塗着部を、前記孔の開口端に沿って複数箇所形成する工程、および
(3)前記光電変換素子をその第1半導体の露出部が前記孔から支持体の第2の面側に臨み、第2半導体層が前記導電性接着剤に接するように、前記支持体に第1の面側から装着する工程
を有する電子部品の装着方法。
【請求項6】
前記支持体の孔を有する部分の厚さが0.08〜0.40mmであり、前記メタルマスクの開口部の、前記第2の面における孔の開口端の外側に対応する部分の寸法が0.025〜0.25mm、前記第2の面における孔の開口端から孔内にわたる部分に対応する部分の寸法が0.08〜0.45mmであり、かつ、前記メタルマスクの厚みが0.02〜0.20mmである請求項5記載の電子部品の装着方法。
【請求項7】
前記導電性接着剤が、Ag、Al、CuおよびNiよりなる群から選ばれた少なくとも1種の導電材を含み、25℃における粘度が5〜50Ps・sである請求項5または6に記載の電子部品の装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−302962(P2006−302962A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118608(P2005−118608)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究に係る特許出願(平成16年度経済産業省近畿経済産業局地域新生コンソーシアム研究開発事業委託研究、産業再生法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(502139910)株式会社クリーンベンチャー二十一 (33)
【Fターム(参考)】