説明

ステージ装置

【課題】安定してY軸移動体を移動させることができるステージ装置を提供すること。
【解決手段】ステージ装置1Aは、X軸移動体6と、X軸固定子51、及びX軸可動子52を有するX軸シャフトモータ5と、Y軸移動体4と、Y軸固定子、及びY軸可動子を有するY軸シャフトモータ3とを備え、X軸固定子51の一端部51aが第1Y軸移動体4aに固定され、X軸固定子51の他端部51bが第2Y軸移動体4bにX軸固定子51のX軸方向の伸長を許容するように連結されている。これにより、X軸移動体6の駆動に伴いX軸固定子51が熱膨張した場合に、X軸固定子51の伸長が他端部51b側で解放される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のステージ装置としては、例えば下記特許文献1に記載されているように、定盤上をX軸方向に移動するX軸移動体と、X軸方向に沿った軸状のX軸固定子及びX軸移動体に設けられたX軸可動子を有するX軸シャフトモータと、定盤上をY軸方向に移動するY軸移動体と、Y軸方向に沿った軸状のY軸固定子及びY軸移動体に設けられたY軸可動子を有するY軸シャフトモータとを備えたものが知られている。このステージ装置では、X軸固定子がY軸移動体に固定されており、Y軸移動体がX軸固定子と共に定盤上を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−101427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のようなステージ装置では、X軸移動体の駆動でX軸シャフトモータに発生する熱によりX軸固定子が熱膨張してX軸方向に伸び、このX軸固定子の伸びによりY軸固定子に反りや歪が生じるおそれがある。そのため、上記のようなステージ装置では、場合によっては、Y軸移動体の移動の精度が低下し、Y軸移動体を安定して移動させることが困難となるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、安定してY軸移動体を移動させることができるステージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステージ装置は、定盤上をX軸方向に移動するX軸移動体と、X軸方向に沿った軸状のX軸固定子、及びX軸移動体に設けられたX軸可動子を有し、X軸移動体をX軸方向に駆動するためのX軸シャフトモータと、定盤上をX軸固定子と共にY軸方向に移動するY軸移動体と、Y軸方向に沿った軸状のY軸固定子、及びY軸移動体に設けられたY軸可動子を有し、Y軸移動体をY軸方向に駆動するためのY軸シャフトモータとを備え、X軸固定子の一端部は、Y軸移動体に固定され、X軸固定子の他端部は、X軸固定子のX軸方向の伸長を許容するようにY軸移動体に連結されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、X軸固定子の一端部がY軸移動体に固定され、X軸固定子の他端部が当該X軸固定子のX軸方向の伸長を許容するようにY軸移動体に連結されている。このため、X軸移動体の駆動に伴いX軸固定子が熱膨張した場合に、X軸固定子の伸長を他端部側で解放することができる。従って、熱膨張によらず、安定してY軸移動体を移動させることができる。
【0008】
また、X軸固定子の他端部は、当該他端部をX軸方向に非拘束で且つX軸方向以外の方向に拘束する連結部材によってY軸移動体に連結されており、X軸方向においてX軸固定子の他端部とY軸移動体との間には、隙間が設けられていることが好ましい。この場合、X軸固定子の伸長を解放し安定してY軸移動体を移動させるという上記作用効果を、好適に発揮させることができる。
【0009】
このとき、連結部材は、X軸固定子の他端部を把持する把持部材と、把持部材のX軸方向の移動をガイドするガイド部材と、Y軸移動体に固定されガイド部材を保持する保持部材とを有する構成にすることができる。
【0010】
また、Y軸移動体のY軸方向の移動をガイドするY軸ガイドを備え、Y軸ガイドは、Y軸移動体においてX軸固定子の他端部が連結された側に設けられていることが好ましい。この場合、Y軸ガイドによってY軸移動体のY軸方向の移動をガイドすることが可能となる。これに加え、X軸固定子の他端部がX軸方向に解放されていることから、X軸移動体の駆動によりX軸固定子に加わる反力がY軸ガイドに伝播しにくくなるため、一層安定してY軸移動体を移動させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安定してY軸移動体を移動させることができるステージ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るステージ装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すステージ装置におけるX軸固定子の解放側の端部を示す拡大斜視図である。
【図3】図1に示すステージ装置におけるX軸固定子の解放側の端部を示す拡大平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るステージ装置におけるX軸固定子の解放側の端部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明のステージ装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、「上」「下」の語は、図面の上下方向に対応するものであり便宜的なものである。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係るステージ装置を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るステージ装置1Aは、例えば、半導体を検査するための半導体検査装置や、半導体を露光するための半導体露光装置等に使用されるものである。このステージ装置1Aは、定盤2、Y軸シャフトモータ3,3、Y軸移動体4、X軸シャフトモータ5,5、X軸移動体6及びテーブル部7を備えている。なお、「X軸方向」とは定盤2の上面2aに平行な任意の一方向であり、「Y軸方向」とは上面2aに平行且つX軸方向と垂直な方向である。
【0015】
定盤2は直方体状の石材から成り、その上面2aは平面加工が施されることにより平面度が高められている。また、定盤2におけるY軸方向に延在する側面のうち、後述のY軸ヨーエアベアリング43から空気が噴射される側面2bについても、平面加工が施されて平面度が高められている。
【0016】
Y軸シャフトモータ3,3は、Y軸移動体4を駆動させるためのものであり、それぞれY軸固定子31及びY軸可動子32を有している。
【0017】
Y軸固定子31は、その内部に複数の磁石を有しており、これら複数の磁石の同極同士が接合されて軸状を成している。このY軸固定子31は、定盤2の上面2a上でY軸方向に沿って延在している。一対のY軸固定子31,31は、定盤2の上面2aにおけるX軸方向両端部に並設されている。図1において紙面右上(以下、「一方」という)のY軸固定子31は、その両端部が定盤2の上面2aから上方に向けて突出した柱33,33によって固定されている。図1において紙面左下(以下、「他方」という)のY軸固定子31は、その両端部が定盤2の側面2bから上方に向けて突出した柱34,34によって固定されている。
【0018】
Y軸可動子32は、Y軸固定子31に沿って可動するものであり、Y軸固定子31に外挿されている。このY軸可動子32は、内部にY軸固定子31を取り囲むコイルを有しており、このコイルに電流を流すことで駆動される。
【0019】
Y軸移動体4は、第1Y軸移動体4a及び第2Y軸移動体4bを有している。第1Y軸移動体4a及び第2Y軸移動体4bは、それぞれブロック状を成している。第1Y軸移動体4aは一方のY軸可動子32に取り付けられており、第2Y軸移動体4bは他方のY軸可動子32に取り付けられている。これら第1Y軸移動体4a及び第2Y軸移動体4bは、後述のX軸固定子51,51によって互いに連結されている。そして、Y軸移動体4は、各Y軸可動子32を駆動することで定盤2の上面2a上をY軸方向に移動する。
【0020】
また、第2Y軸移動体4bには、Y軸移動体4のY軸方向の移動をガイドするY軸ガイド41が取り付けられている。このY軸ガイド41は、側板42と、Y軸ヨーエアベアリング43,43とを有している。
【0021】
側板42は、Y軸ヨーエアベアリング43、43を支持するための部材であり、直方体状を成している。この側板42は、その上部が第2Y軸移動体4bの下部に取り付けられており、定盤2の側面2bと対向する面42aを有している。
【0022】
Y軸ヨーエアベアリング43,43は、空気を噴射する気体静圧軸受として機能するものであり、側板42の面42aにY軸方向に互いに離間して取り付けられている。そして、Y軸ヨーエアベアリング43,43が定盤2の側面2bに向けて空気を噴射することで、Y軸移動体4の移動がガイドされる。
【0023】
また、第1Y軸移動体4a及び第2Y軸移動体4bの間には、X軸移動体6のX軸方向の移動をガイドするためのガイドレール44が連結されている。このガイドレール44は、X軸方向に延在しており、上方が開口したコ字状の断面を成している。ガイドレール44の一側面44aには、X軸移動体6のX軸方向の位置を検知するためのものとして、X軸方向に延在するリニアスケール45が取り付けられている。このリニアスケール45の測定基準は、当該リニアスケール45の他方側の端部、すなわちY軸ガイド41が設けられている側の端部に設定されている。
【0024】
X軸シャフトモータ5,5は、X軸移動体6を駆動させるためのものであり、それぞれX軸固定子51及びX軸可動子52を有している。X軸固定子51及びX軸可動子52は、それぞれY軸固定子31及びY軸可動子32と同様な構成とされている。X軸固定子51は、第1Y軸移動体4a及び第2Y軸移動体4bの間に連結されてX軸方向に沿って延在している。一対のX軸固定子51,51は、Y軸方向に離間して配置されている。X軸可動子52は、X軸固定子51に外挿されており、X軸固定子51に沿って可動する。
【0025】
X軸移動体6は、定盤2の上面2a上をX軸方向に移動するものであり、第1X軸移動体6a及び第2X軸移動体6bを有している。第1X軸移動体6a及び第2X軸移動体6bは、それぞれ直方体状を成しており、それぞれX軸可動子52,52に取り付けられている。第1X軸移動体6a及び第2X軸移動体6bは、テーブル部7によって互いに連結されている。そして、X軸移動体6は、各X軸可動子52を駆動することで定盤2の上面2a上をX軸方向に移動する。
【0026】
テーブル部7は半導体等を設置するためのものであり、半導体等が設置される円盤状の部材を有している。
【0027】
なお、ステージ装置1Aでは、X軸移動体6を鉛直方向に支持するためのリフトエアベアリング100が、第1X軸移動体6aの下部に1つ、第2X軸移動体6bの下部に2つ取り付けられている。また、Y軸移動体4を鉛直方向に支持するためのリフトエアベアリング200が、第1Y軸移動体4aの下部に1つ、第2Y軸移動体4bの下部に2つ取り付けられている。
【0028】
次に、X軸固定子51とY軸移動体4との連結部分について詳細に説明する。
【0029】
X軸固定子51の一端部51aは、固定部材8によって第1Y軸移動体4aに固定されている。固定部材8は、上部固定部材8aと下部固定部材8bとを有している。
【0030】
上部固定部材8aは直方体状の部材であり、その下面にはX軸固定子51の半径と同程度の曲率半径を有する半円状の切欠きn1が設けられている。下部固定部材8bは、直方体状の部材の下部に突起を設けて成る部材であり、その上面にはX軸固定子51の半径と同程度の曲率半径を有する半円状の切欠きn2が設けられている。
【0031】
そして、固定部材8は、下部固定部材8bの突起を第1Y軸移動体4aに固定すると共に、上部固定部材8aの下面と下部固定部材8bの上面とを互いに対向させ、切欠きn1,n2内にX軸固定子51の一端部51aを挿入し、上部固定部材8a及び下部固定部材8bをボルトで締め付けることで、X軸固定子51の一端部51aと第1Y軸移動体4aとを全固定している。すなわち、X軸固定子51の一端部51aは、その軸線方向、径方向及び軸線回り回転方向のいずれの方向についても、第1Y軸移動体4aに対して固定されている。
【0032】
図2は、図1に示すステージ装置におけるX軸固定子の解放側の端部(他端部)を示す拡大斜視図である。図2に示すように、X軸固定子51の他端部51bは、連結部材9Aによって第2Y軸移動体4bに連結されている。連結部材9Aは、把持部材91、ガイド部材92,92及び保持部材93を有している。
【0033】
把持部材91は、X軸固定子51の他端部51bを把持するためのものであり、上部把持部材91a及び下部把持部材91bを有している。上部把持部材91aは直方体状の部材であり、その下面にはX軸固定子51の半径と同程度の曲率半径を有する半円状の切欠きn3が設けられている。下部把持部材91bは直方体状の部材であり、その上面にはX軸固定子51の半径と同程度の曲率半径を有する半円状の切欠きn4が設けられている。また、この下部把持部材91bの下面には、ガイド部材92,92を取り付けるためのものとして、Y軸方向両端部を所定深さ除去するようにして段差s,sが形成されている。
【0034】
そして、把持部材91は、上部把持部材91aの下面と下部把持部材91bの上面とを互いに対向させ、切欠きn3,n4内にX軸固定子51の他端部51bを挿入し、上部把持部材91a及び下部把持部材91bをボルトで締め付けることで、X軸固定子51の他端部51bを把持することが可能となっている。
【0035】
ガイド部材92,92は、把持部材91のX軸方向の移動をガイドするためのものであり、それぞれ下部把持部材91bの下面に設けられた段差s,sに固定され取り付けられている。このガイド部材92は直方体状を成し、その下面にはX軸方向のみに転がる複数の円筒ころ92aが取り付けられている。
【0036】
保持部材93は、第2Y軸移動体4bに固定されガイド部材92,92を保持するためのものである。この保持部材93は、平板93aとL字状のブラケット93bとを有している。平板93aはブラケット93bの上面に固定されており、ブラケット93bの側面は第2Y軸移動体4bの側面に固定されている。平板93aの上面には、円筒ころ92aを転動させるためのものとして、X軸方向に延在する溝93cが設けられている。そして、連結部材9Aは、平板93aの上面に円筒ころ92aが溝93cに沿って転がるようにガイド部材92を設置することで、把持部材91の移動がガイドされるようになっている。つまり、連結部材9Aは、X軸固定子51の他端部51bをX軸方向に非拘束で且つX軸方向以外の方向に拘束し、X軸固定子51のX軸方向の伸長を許容するようにX軸固定子51の他端部51bを第2Y軸移動体4bに連結している。
【0037】
図3は、図1に示すステージ装置におけるX軸固定子の解放側の端部(他端部)を示す拡大平面図である。図3に示すように、X軸方向において、X軸固定子51の他端部51bの端面と、第2Y軸移動体4bとの間には、隙間dが設けられている。これにより、X軸固定子51がX軸方向に伸長し把持部材91にX軸方向の力が作用した場合に、X軸固定子51の他端部51bと第2Y軸移動体4bとが干渉しないようになっており、把持部材91がX軸方向に移動することが可能となっている。
【0038】
このようなステージ装置1Aでは、Y軸可動子32,32を駆動することで、Y軸移動体4が定盤2の上面2a上をX軸固定子51,51、ひいてはX軸移動体6と共にY軸方向に移動し、これによりテーブル部7のY軸方向の位置が調整される。また、X軸可動子52,52を駆動することで、X軸移動体6が定盤2の上面2a上をX軸方向に移動し、これによりテーブル部7のX軸方向の位置が調整される。
【0039】
以上、本実施形態に係るステージ装置1Aでは、X軸固定子51の一端部51aは第1Y軸移動体4aに固定され、X軸固定子51の他端部51bは第2Y軸移動体4bにX軸固定子51のX軸方向の伸長を許容するように固定されている。このため、X軸移動体6の駆動に伴いX軸シャフトモータ5,5に発生した熱によりX軸固定子51が熱膨張した場合に、X軸固定子51の伸長を他端部51b側で解放することができ、X軸固定子51の伸びによりY軸固定子31に反りや歪が生じることが抑制される。従って、熱膨張によらず、安定してY軸移動体4を移動させることができる。
【0040】
また、本実施形態に係るステージ装置1Aでは、上述したように、X軸固定子51の他端部51bをX軸方向に非拘束で且つX軸方向以外の方向に拘束する連結部材9AによってX軸固定子51の他端部51bが第2Y軸移動体4bに連結されている。また、X軸固定子51の他端部51bと第2Y軸移動体4bとの間には、X軸方向の隙間dが設けられている。このため、X軸固定子51の伸長を解放して安定してY軸移動体4を移動させるという上記作用効果を簡易な構成で好適に発揮させることができる。
【0041】
また、本実施形態に係るステージ装置1Aは、上述したように、Y軸移動体4のY軸方向の移動をガイドするY軸ガイド41を備えている。このため、Y軸ガイド41によってY軸移動体4のY軸方向の移動をガイドすることが可能となる。
【0042】
ここで、X軸固定子51の他端部51bはX軸方向に解放されていることから、X軸移動体6の駆動によりX軸固定子51に加わる反力は、例えば、一端部51aから第1Y軸移動体6aに伝播し、さらにガイドレール44及び第2Y軸移動体4bを介して、Y軸ガイド41に伝播する。このように、本実施形態に係るステージ装置1Aでは、第2Y軸移動体4bにY軸ガイド41を設けている、すなわちY軸移動体4においてX軸固定子51の他端部51bが連結された側にY軸ガイド41を設けているため、第1Y軸移動体4aにY軸ガイド41を設ける、すなわちX軸固定子51の一端部51aが固定された側にY軸ガイド41を設ける場合に比して、X軸移動体6の駆動による反力のY軸ガイド41への伝播経路が長くなっており、当該反力がY軸ガイド41に伝播しにくくなっている。従って、Y軸ガイド41によるY軸移動体4の移動のガイドが好適に行われ、一層安定してY軸移動体4を移動させることができる。
【0043】
また、X軸移動体6の駆動による反力がY軸ガイド41に伝播しにくくなっているため、本実施形態のように、リニアスケール45の測定基準を当該リニアスケール45の他方側の端部、すなわちY軸ガイド41が設けられている側(Y軸移動体6においてX軸固定子51の他端部51bが連結された側)の端部に設定すると、当該測定基準が上記反力によってずれることが抑制される。従って、X軸移動体6のX軸方向の位置を正確に検知することができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態に係るステージ装置について説明する。
【0045】
図4は、本発明の第2実施形態に係るステージ装置におけるX軸固定子の解放側の端部を示す拡大平面図である。図4に示すように、本実施形態に係るステージ装置1Bが第1実施形態に係るステージ装置1Aと異なる点は、連結部材9A(図3参照)に代えて連結部材9Bを備えている点である。この連結部材9Bは、上記把持部材91、板ばね94,94及び板ばね保持部材95,95を有している。
【0046】
板ばね94は、X軸方向がたわみ方向となるように構成され、X軸方向に弾性力を有している。この板ばね94のY軸方向の一端部は把持部材91に固定されている。一方、他端部は板ばね保持部材95に固定されている。
【0047】
板ばね保持部材95は、板ばね94を保持するものであり、直方体状を成している。この板ばね保持部材95は、第2Y軸移動体4bの側面に固定されている。
【0048】
ステージ装置1Bでは、X軸固定子51がX軸方向に伸長し把持部材91にX軸方向の力が作用した場合に、板ばね94が他の部品よりも先にX軸方向に弾性変形して把持部材91のX軸方向の移動をガイドし、これにより、X軸固定子51の伸長を解放させる。
【0049】
このようなステージ装置1Bが、第1実施形態に係るステージ装置1Aと同様な効果を奏することは言うまでもない。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態に係るステージ装置1Aでは、ガイド部材92として、円筒ころ92aを有する転がりガイドが用いられているが、これに代えて、滑りガイドや静圧ガイド等が用いられても良い。
【0051】
また、上記実施形態では、下部把持部材91bを直に第2Y軸移動体4bに固定すると共に、ボルトによる上部把持部材91aと下部把持部材91bとの締め付けを緩くして、X軸固定子51の他端部51bがX軸方向に十分滑るように調整することで、X軸固定子51の伸長を解放するように構成しても良い。要は、X軸固定子51の他端部51bが、X軸固定子51のX軸方向の伸長を許容するようにY軸移動体4に連結されていれば良い。
【0052】
また、上記実施形態においては、一対のX軸シャフトモータ5,5によってX軸移動体6を駆動しているが、1つ又は3つ以上のシャフトモータでX軸移動体6を駆動しても良い。また、上記実施形態においては、一対のY軸シャフトモータ3,3によってY軸移動体4を駆動しているが、1つ又は3つ以上のシャフトモータでY軸移動体4を駆動しても良い。1つのシャフトモータでY軸移動体4を駆動する場合には、例えば、第1Y軸移動体4aをX軸方向について拘束し且つY軸方向に非拘束とするガイドレール等を設ければ良い。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B…ステージ装置、2…定盤、3,3…Y軸シャフトモータ、4…Y軸移動体、5,5…X軸シャフトモータ、6…X軸移動体、9…連結部材、41…Y軸ガイド、91…把持部材、92…ガイド部材、93…保持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定盤上をX軸方向に移動するX軸移動体と、
前記X軸方向に沿った軸状のX軸固定子、及び前記X軸移動体に設けられたX軸可動子を有し、前記X軸移動体を前記X軸方向に駆動するためのX軸シャフトモータと、
前記定盤上を前記X軸固定子と共にY軸方向に移動するY軸移動体と、
前記Y軸方向に沿った軸状のY軸固定子、及び前記Y軸移動体に設けられたY軸可動子を有し、前記Y軸移動体を前記Y軸方向に駆動するためのY軸シャフトモータと、を備え、
前記X軸固定子の一端部は、前記Y軸移動体に固定され、
前記X軸固定子の他端部は、前記X軸固定子の前記X軸方向の伸長を許容するように前記Y軸移動体に連結されていること、
を特徴とするステージ装置。
【請求項2】
前記X軸固定子の前記他端部は、当該他端部を前記X軸方向に非拘束で且つ前記X軸方向以外の方向に拘束する連結部材によって前記Y軸移動体に連結されており、
前記X軸方向において前記X軸固定子の前記他端部と前記Y軸移動体との間には、隙間が設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載のステージ装置。
【請求項3】
前記連結部材は、
前記X軸固定子の前記他端部を把持する把持部材と、
前記把持部材の前記X軸方向の移動をガイドするガイド部材と、
前記Y軸移動体に固定され前記ガイド部材を保持する保持部材と、
を有することを特徴とする請求項2に記載のステージ装置。
【請求項4】
前記Y軸移動体の前記Y軸方向の移動をガイドするY軸ガイドを備え、
前記Y軸ガイドは、前記Y軸移動体において前記X軸固定子の前記他端部が連結された側に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のステージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−160663(P2012−160663A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21027(P2011−21027)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】