説明

スピントランスファー発振器構造およびその形成方法

【課題】 MAMR用途において、低電流密度下で磁界生成層(FGL)を発振させ得るスピントランスファー発振器(STO)構造を得る。
【解決手段】
主磁極20とライトシールド26との間に形成されるSTO構造に、垂直磁気異方性(PMA)を有する2つのアシスト層27a,32を設ける。このSTO構造は、シード層21/スピン注入層(SIL)22/第1のスペーサ層23/第1のPMAアシスト層27a/複合FGL40/第2のスペーサ31/第2のPMAアシスト層32/キャップ層25なる構成を有する。複合FGL40は、下部FGL27bと、上部FGL29と、これらの間の中間結合層28とからなるシンセティック反強磁性構造を有する。SIL22および2つのPMAアシスト層27a,32は、それぞれ、(CoFe/Ni)x 等からなる積層体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピントロニクス素子に係わり、特に、スピントランスファーモーメント効果(spin transfer momentum effect )を利用してマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR:microwave assisted magnetic recording )用途における書込動作をアシストすることにより、記録媒体の保磁力を大幅に下回るヘッド磁界による書き込みを可能とするスピントランスファー発振器構造およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗効果ランダムアクセスメモリ(MRAM:magnetoresistive random access memory )は、シリコンCMOS技術と、磁気トンネル接合(MTJ:magnetic tunnel junction)技術とを組み合わせたものであり、SRAM、DRAM、およびフラッシュメモリ等の既存の半導体メモリに対して大いに競争力を有する主要な新技術である。同様に、C.Slonczewski による非特許文献1に記載のスピントランスファー(スピントルクまたはSTT)磁化スイッチングは、STT−MRAM等のギガビット規模のスピントロニクス素子に応用できる可能性があることから、多大な関心を呼んでいる。最近では、J-G.Zhu らによる非特許文献2において、スピントランスファー発振器と呼ばれる別のスピントロニクス素子が発表されている。このスピントランスファー発振器は、スピントランスファーモーメント効果(spin transfer momentum effect )を利用することにより、垂直記録構造において、媒体保磁力を大幅に下回るヘッド磁界による書き込みを可能とするものである。
【0003】
垂直磁気異方性(PMA:perpendicular magnetic anisotropy )を有する材料は、磁気記録用途および光磁気記録用途において特に重要である。PMAを有するスピントロニクス素子は、熱的安定性要件を満たすとともに、低スイッチング電流密度を有するだけでなく、セルについてアスペクト比の制限がない点で、面内異方性に基づくMRAM素子と比較して有利である。したがって、PMAに基づくスピンバルブ構造は、将来的なMRAM用途や他のスピントロニクス素子のための主要な課題の一つである高記録密度化に必要なサイズ縮小を可能にするものである。非特許文献3に記載の理論的表現によれば、垂直磁気デバイスは、同一の磁気異方性磁界を用いた面内磁気デバイスよりも低いスイッチング電流を実現する可能性を有すると予測されている。
【0004】
メモリセルの寸法が減少すると、より大きな磁気異方性が必要となる。熱安定性係数は、メモリセルの体積に比例するからである。一般に、PMA材料は、NiFeやCoFeB等の従来の面内軟磁性材料よりも大きな磁気異方性を有する。したがって、PMAを備えた磁気デバイスは、低いスイッチング電流および高い熱的安定性を実現する上で有利である。
【0005】
J/G.Zhu 等による非特許文献2に記載されているように、PMA材料は、MAMRに用いるものとして検討されてきた。垂直記録構造において、媒体保磁力を大きく下回るヘッド磁界での書き込みのメカニズムが提案されている。
【0006】
図1は、非特許文献2から引用した図であり、交流磁界アシスト垂直ヘッドデザインを表す。上部のキャプション19は、マイクロ波周波数方式において、局部交流磁界を生成するための垂直スピントランスファー駆動発振器(STO:spin transfer oscillator)を表す。
【0007】
キャプション19には、下部電極11a、上部電極11b、垂直方向の磁化を有するリファレンス層12(スピン注入層SIL)、金属性スペーサ層13、および発振積層体14が図示されている。発振積層体14は、磁界生成層(FGL:field generation layer)14aと、容易軸14cを有し垂直異方性を有する層14bとからなる。上側のキャプション19に示した交流磁界生成器は、図の下側に示したデバイスを90°回転させたものである。図の下側に示したように、STOデバイスは、書込用磁極17とトレーリングシールド18との間に配置されている。書込用磁極は、軟磁性下地層15を有する磁性媒体16の表面を横切って移動する。リファレンス層12は、注入電流(I)のスピン偏極をもたらす。磁界生成層14aと層14bとは、強磁性交換結合している。この技術が成熟していくに伴い、リファレンス層および発振積層体に用いる材料も向上させる必要がある。
【0008】
特許文献1には、各積層が非連続の磁性相が非磁性相に囲まれた複合体からなる垂直磁気媒体が記載されている。製造方法には、複合層に対する熱処理、またはなんらかの表面処理を含んでもよい。
【0009】
現在のデバイスにおいて1平方センチメートルあたり1×108 Aのレベルを下回る電流密度の使用を可能とする、より強いFGL発振を生成するためには、MAMR技術をさらに向上させる必要がある。それにより、電力使用や信頼性における性能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,128,987号明細書
【0011】
【非特許文献1】C. Slonczewski著、「Current driven excitation of magnetic multilayers 」、J. Magn. Magn. Mater. 、1996年、第159巻、L1−L7
【非特許文献2】J-G. Zhu等著、「Microwave Assisted Magnetic Recording 」、IEEE Trans. on Magnetics、2008年、第44巻、第1号、p125−131
【非特許文献3】S. Mangin 等著、「Current-induced magnetization reversal in nanopillars with perpendicular anisotropy 」、Nat. Mater. 、2006年、5,210
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の目的は、現在のMAMR方式よりも低い電流密度およびバイアス電圧下において、より強いFGL発振を可能とする、MAMR用途のスピントランスファー発振器(STO:spin transfer oscillator)およびその形成方法を提供することにある。
【0013】
本発明の第2の目的は、磁界生成層(FGL)における飽和磁化膜厚値Mst(=飽和磁化Ms×膜厚t)を増加させることによって、MAMR用途での書込動作をアシストするのに十分な大きさの磁界をもたらすこと、すなわち、従来用いられていたものよりも大きな飽和磁化膜厚Mstを有するFGLを発振状態にまで励起し、現在のデバイスで実現される300×103 /4π[A/m]ないし600×103 /4π[A/m]よりも大幅に大きな磁束(交流磁界)をもたらすことを可能とするSTO構造およびその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記の目的は、シード層と、少なくとも2つの、垂直磁気異方性(PMA)を有する(CoFe/Ni)x 等の積層構造とを含むことによって、隣接する磁界生成層(FGL)内の発振を向上させる多層磁性積層体としてのSTO構造によって達成される。
【0015】
本発明のSTO構造は、シード層、SIL、FGL、キャップ層、および2つのPMAアシスト層によって構成される。第1のPMAアシスト層はFGLの例えば下面に隣接し、第2のPMAアシスト層はFGLの例えば上面に隣接する。全ての実施の形態において、SILと第1のPMAアシスト層との間にはスペーサ層が挿設されている。スペーサ層としては、CPP方式の巨大磁気抵抗効果(GMR:giant magnetoresistive)構成の場合はCuが用いられ、トンネル磁気抵抗効果(TMR:tunneling magnetoresistive)構成の場合は、MgO,AlOx,TiOx,ZnOのうちの1つが用いられる。
【0016】
本発明の第1の態様は、ボトム型のSTO構造に関する。この形態において、FGLは面内磁化方向が互いに逆向きであるFeCo等からなる2つの強磁性層が中間結合層によって分離されてなるシンセティック反強磁性(SyAF:synthetic anti-ferromagnetic)構成の複合FGLである。このボトム型のSTO構造は、シード層/SIL/第1のスペーサ層/第1のPMAアシスト層/複合FGL/第2のスペーサ層/第2のPMAアシスト層/キャップ層という構成によって表される。
【0017】
第1および第2のPMAアシスト層ならびにSILは、それぞれ、(CoFe/Ni)x 等の積層構造を有することが好ましい。ここで、x(=n,m,p)は、SILにおいては5以上50以下、第1のPMAアシスト層においては5以上30以下、第2のPMAアシスト層においては7以上10以下である。2つのPMAアシスト層はFGLに対して同様のアシスト効果を有すると考えられる。すなわち、2つのPMAアシスト層は等しく、FGLの面内磁化を部分的に傾けさせ、垂直成分を含むようにすることができると考えられる。
【0018】
この場合、複合FGL内の下部FeCo層の厚さは、上部FeCo層の厚さよりも大きいことが好ましい。第1のPMAアシスト層は、隣接する複合FGL内の下部FeCo層と強く磁気結合している。よって、FGLの異方性は、積層面に対して垂直方向に部分的に傾けられ、SyAF構成のFGL構造全体が低電流密度下において容易に発振可能となる。
【0019】
第2の態様は、トップ型のSTO構造に関する。このトップ型STO構造において、SILはSTO積層体の最上部にあるキャップ層に隣接し、FGLはシンセティック反強磁性(SyAF)構造を有する複合FGLである。
【0020】
このSTOの膜構成は、シード層/第2のPMAアシスト層/第2のスペーサ層/複合FGL/第1のPMAアシスト層/第1のスペーサ層/SIL/キャップ層によって表される。複合FGL内の下部FeCo層の厚さは上部FeCo層の厚さよりも小さいことが好ましい。また、第1のPMAアシスト層は、複合FGL内の厚い方のFeCo層と強く結合している。よって、複合FGLの磁化は積層面に対して垂直方向に向かって傾けられる。
【0021】
第3の態様は、ボトム型のSTO構造に関するものであるが、上記第1の態様とは異なり、FGLが、面内磁化方向を有するFeCo等の単層の強磁性層単層からなり、また、第2のPMAアシスト層が、いわゆるシンセティック構造(synthetic structure )を有する。この場合のシンセティック構造は、互いに逆向きの垂直磁化を有する2つのCoFe/Ni等の積層体を中間結合層によって分離して配置したものである。
【0022】
このSTOの膜構成は、シード層/SIL/第1のスペーサ層/第1のPMAアシスト層/FGL/第2のスペーサ層/第2のPMAアシスト層/キャップ層である。この構成において、第2のPMAアシスト層のうちの下部(CoFe/Ni)q 積層体は第2のスペーサ層によってFGLから分離されており、他方、上部(CoFe/Ni)p 積層体は、キャップ層と接触している。ここで、pおよびqは括弧内の積層ユニットの積層数を示し、pはqよりも大きい。一般に、pは7以上10以下の整数であり、qは3以上6以下の整数である。
【0023】
SILは、例えば[Co100-y Fey ]/Ni]x なる積層構造を有する。このSILにおけるFeの組成比yは0(純Coの場合)以上90以下である。第1のスペーサ層は、CPP−GMR構成の場合はCu等であり、TMR構成においては金属酸化物である。また、第2のスペーサ層はCuであることが好ましい。
【0024】
なお、上部(CoFe/Ni)p 積層体における括弧内の積層ユニットは、例えば(Co/Pt)または(Co/Pd)のような、高い異方性磁界Hkと低い飽和磁化Msとを有する他のPMA材料によって置き換えてもよい。
【0025】
本態様においては、第1のPMAアシスト層、および第2のPMAアシスト層のうちの下部(CoFe/Ni)q 積層体の双方がFGLをアシストし、一部にPMA特性を有する磁化を実現する。他方、上部(CoFe/Ni)p 積層体は、単に、下部(CoFe/Ni)q 積層体の磁化配向を確実なものにするために用いられる。
【0026】
第4の態様は、トップ型のSTO構造を有する点を除き、第3の態様と同様の層構成である。その構成は、シード層/第2のPMAアシスト層/第2のスペーサ層/FGL/第1のPMAアシスト層/第1のスペーサ層/SIL/キャップ層である。この場合、シンセティック層である第2のPMAアシスト層のうちの(CoFe/Ni)p 積層体はシード層に隣接し、(CoFe/Ni)q 積層体は第2のスペーサ層によってFGLから分離している。第1のPMAアシスト層、および第2のPMAアシスト層のうちの上部(CoFe/Ni)q 積層体の双方がFGLに作用し、部分的PMA特性が達成される。他方、下部(CoFe/Ni)p 積層体は、単に、上部(CoFe/Ni)q 積層体の磁化配向を確実なものにするために用いられる。
【0027】
なお、本出願は、本出願人によりなされた以下の出願と関連するものであり、それらのすべてが参照されて本出願に組み入れられるべきである。
米国特許出願公開第2009/0257151号
2009年6月24日出願の米国特許出願第12/456935号
2009年10月26日出願の米国特許出願第12/589614号
2010年5月28日出願の米国特許出願第12/802091号
2010年11月5日出願の米国特許出願第12/927083号
【発明の効果】
【0028】
本発明のスピントランスファー発振器構造によれば、高い垂直磁気異方性(PMA)を有する積層体を磁界生成層(FGL)の上面および下面に配置することにより磁界生成層の面内磁化方向を傾斜させ、積層面に対して垂直な成分を一部に含むようにしたので、より低い電流密度およびバイアス電圧下において、より強いFGL発振が可能となる。また、従来と同じ電流密度下であれば、より大きな面内磁気モーメントを有する磁界生成層を発振状態に至らせ、大幅に大きな交流磁界を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来技術の参照例に係る交流磁界アシスト垂直ヘッドデザインを有するMAMRヘッドを表す模式図である。
【図2A】ボトムSIL型である従来のSTO構造(SILはスペーサ層によってFGLから分離)を表す断面図である。
【図2B】トップSIL型である従来のSTO構造(SILはスペーサ層によってFGLから分離)を表す断面図である。
【図2a】FGLとスペーサ層との間にPMAアシスト層を挿入し図2Aにおける多層積層体を変形することによって改良したボトムSIL型のSTO構造を示す断面図である。
【図2b】FGLとスペーサ層との間にPMAアシスト層を挿入し図2Bにおける多層積層体を変形することによって改良したトップSIL型のSTO構造を示す断面図である。
【図3A】MAMRに用いられる理想的なボトムSIL型STO構造(FGLは、FGLの上面および下面のそれぞれに隣接し互いに逆向きの磁化方向を有する2つのPMAアシスト層を有する)を表す断面図である。
【図3B】MAMRに用いられる理想的なトップSIL型STO構造(FGLは、FGLの上面および下面のそれぞれに隣接し互いに逆向きの磁化方向を有する2つのPMAアシスト層を有する)を表す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るボトム型STO構造(シンセティックFGLの下面に隣接する第1のPMAアシスト層と、シンセティックFGL上面に形成された、スペーサ層および第2のPMAアシスト層からなる積層体とを含む)を表す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るトップ型STO構造(シンセティックFGLの上面に隣接する第1のPMAアシスト層と、シード層とシンセティックFGL下面との間に形成された、第2のPMAアシスト層およびスペーサ層からなる積層体とを含む)を表す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るボトム型STO構造(FGLの下面に隣接する第1のPMAアシスト層と、FGL上面に形成された、スペーサ層およびシンセティック構成の第2のPMAアシスト層からなる積層体とを含む)を表す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るトップ型STO構造(FGLの上面に隣接する第1のPMAアシスト層と、シード層とFGL下面との間に形成された、スペーサ層およびシンセティック構成の第2のPMAアシスト層からなる積層体とを含む)を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本実施の形態は、高垂直磁気異方性(PMA)を有する積層体を磁界生成層(FGL)の上面および下面に配置することによって、FGLの面内磁化方向を傾斜させ、面に対して垂直な成分を含むようにし、それにより低いバイアス電圧値においてより強いFGL発振を可能とするスピントランスファー発振器(STO)に関するものである。
【0031】
本実施の形態例におけるPMA積層体は、Co/Ni層、またはCoFe/Ni層によって構成されているが、当業者であれば、MAMR、MRAM、センサ、および他の磁気デバイス内に形成されるSTO構造におけるPMA層として、Co/NiFe、またはCoFe/NiFe等の他の積層体を用いてもよいことがわかるであろう。
【0032】
例えば、(CoFe/Ni)x なる積層における積層数“x”は、(CoFe/Ni)層の数を示す。積層数を示すために、x以外の文字を用いる場合もある。「磁化」および「磁気モーメント」という用語は互いに置き換え可能なものとして使用する。なお、FeCoは鉄をより多く含む合金を表し、CoFeは一般にCoをより多く含む合金を表すものとする。
【0033】
本出願人は、関連する米国特許出願公開第2009/0257151号において、MRAM用途における、PMAを有するCo/Ni多層構造の利点について開示した。このような構造では、(Co/Ni)x なる積層構造(xは5〜50)の磁気異方性は、Co原子およびNi原子の3d電子および4s電子のスピン軌道相互作用から生じる。このような相互作用によって、[111]配向結晶軸に関して異方性を有する軌道モーメントが生じると共に、スピンモーメントと軌道モーメントとのアライメントが行われる。
【0034】
米国特許出願第12/589614号には、(Coz Fe(100-z) /Ni)x および関連する積層構造について、同様のPMAによる作用が記載されている。PMAは、Ta/M1/M2、またはTa/M1なる構成の複合シード層を用いることによって向上する。ここで、M1は、Ru,Ti,Zr,Hf,NiCr,NiFeCr等のfcc[111]またはhcp(六方最密充填)[001]結晶方位を有する金属または合金であり、M2は、Cu,Ti,Pd,W,Rh,Au,またはAgである。但し、M2はM1と同じではない。複合シード層におけるTa層、M1層、およびM2層は、その上を覆う層の[111]構造を増強するために重要である。具体的には、Ta/Ti/Cu、およびTa/Ru/Cuなるシード層は、その上を覆う多層積層体のPMAおよび保磁力Hcを特に効果的に増強することがわかっている。Ta/Ru/Cuなるシード層において、Taの厚さは0.5nm〜5nm、Ruの厚さは0.5nm〜10nm、Cuの厚さは0.1nm〜10nmであることが好ましい。M1がRuである場合は、Cuを削除し、Ta/Ruなるシード層構成としてもよい。この場合、Taの厚さは0.5nm〜5nm以下、Ruの厚さは2nm〜10nmである。あるいは、Ta/Ru/Cuなる積層体をTa/CuまたはTa/NiCrなる積層体によって置き換えてもよい。この場合、Taの厚さは0.5nm〜5nm、Cuの厚さは2nm〜5nm、NiCrの厚さは4nm〜10nmが好ましい。
【0035】
(Co/Ni)x または(Coz Fe(100-z) /Ni)x なる積層体からなる多層積層体等は、従来用いられていた(Co/Pt)および(Co/Pd)なる積層と比較して、特定の用途において、スピン偏極の増加、コストの低減、飽和磁化膜厚Mstの増加などの優れた特性を有する。さらに、関連する米国特許出願第12/802091号に記載されているように、隣接する層間の界面を向上させる表面改質技術を1つ以上用いることにより、積層体の保磁力Hc成分を増加させることができる。
【0036】
本出願人は、関連する米国特許出願第12/927083号において、FGLに隣接したPMAアシスト層を1つ用いることによって、FGL発振を向上させ、FMR周波数を30GHzよりも大きくすることを開示した。この改良されたボトム型STOでは、FGLの下にPMAアシスト層を成膜し、他方、改良されたトップ型STOにおいては、FGLの上面の上にPMAアシスト層を形成する。例えば、ボトム型STOの構造は、シード層/SIL/スペーサ層/PMAアシスト層/FGL/キャップ層によって表される(図2a)。この構造では、PMAアシスト層を有していない、以前のSTO構造(図2A)と比較すると、発振周波数における特性が大幅に向上している。
【0037】
図2Aに示した従来のSTO構造は、シード層/SIL/スペーサ層/FGL/キャップ層によって表される。すなわち、このボトムSIL構成では、主磁極20の上に、シード層21、SIL22、Cuからなるスペーサ層23、FGL24、およびキャップ層25がこの順に形成される。この構成は、キャップ層25の上面と接触するライトシールド26を有する。
【0038】
一方、図2aにおける改良されたボトム型STOでは、この図の右側に隣接するキャプションに示すように、PMAアシスト層27aは、FGL27b (面内磁化)の下面と、FGL27とSIL22とを分離するスペーサ層23との間に形成される。このように、FGL27は、PMAアシスト層27aおよびFGL27によって構成される。PMAアシスト層27aは、FGL27bに対してアシスト効果を示し、その結果、FGL27の磁化が部分的に傾斜し、面に対して垂直な成分を含むようになる。それにより、低電流密度下におけるFGL発振が可能となる。
【0039】
同様に、図2bに示す改良されたトップSIL構成は、図2Bに示す従来のトップSIL構造と比較して、向上した特性を有する。なお、全ての層はボトムSIL構造において用いたものを踏襲しており、それらを積層する順番のみが異なっている。
従来の積層体(図2B)は、主磁極20の上に、シード層21、FGL24、スペーサ層23、SIL22、およびキャップ層25をこの順に形成したものである。
【0040】
一方、改良型(図2b)においては、FGL24が、面内磁化を有する下部FGL27bと、下部FGL27bの上面の上に成膜された上部PMAアシスト層27aとからなる複合FGL27によって置き換えられている。比較データを得るために作製したSTO積層体において、シード層21はTa/Ru/Cu、SIL22は[FeCo0.2/Ni0.6]15、FGL24およびFGL27bはFeCo、キャップ層25はRu/Ta/Ru、PMAアシスト層27aは[FeCo0.2/Ni0.6]10である。ここで、FeCo層の厚さはいずれも0.2nmであり、Ni層の厚さはいずれも0.6nmである。SIL22の積層数は15であり、PMAアシスト層27aの積層数は10である。
【0041】
FGL発振をより向上させる理想的ケースを考えたときには、図3(A)に示すように、2つのPMAアシスト層を有し、一方をFGLの下に、他方をFGLの上面の上に形成することが望ましい。この図に示すように、理想的なボトムSIL型STO(ボトム型STO)構造は、シード層/SIL/スペーサ層/第1のPMAアシスト層/FGL/第2のPMAアシスト層/キャップ層なる構成を有する。第1および第2のPMAアシスト層27a,27nは、互いに反対方向の磁化を有するとともに、それぞれ、FGL27bの表面と接触している。すなわち、PMAアシスト層27aが正の異方性磁界Hkとして働くとともに、PMAアシスト層27nが負の異方性磁界Hkとして働くという条件下において、FGL27bの発振に対する、PMAアシスト層のアシスト効果が最大となる。
【0042】
しかしながら、負の異方性磁界層を形成することは非常に困難であるため、複合FGL37は、現在の技術では実現不可能である。同様に、トップSIL構造(図3B)の複合FGL38も、現在の方法ではPMAアシスト層27nを形成することができないため、現実的ではない。それゆえ、FGLに作用する2つのPMA層から得られる付加的なアシスト効果を実現するためには、入手可能な材料と現実的な成膜方法を用いた代替アプローチが必要である。
【0043】
以下、図3Aおよび図3Bに示したSTO構造を変形させたことにより見出された、さらなる発見を開示する。これによれば、従来用いられている電流密度と同様の電流密度において、より強いFGL発振をもたらすという利点が得られる。すなわち、FGLの上面および下面の双方にPMAアシスト層が隣接することとなるように第2のPMAアシスト層を設けることにより、特定の周波数におけるFGL発振が、従来のSTO方式よりも低い電流密度下において達成される。このような性能向上を実現するために、2つのPMAアシスト層をSTO構造内に含む様々な実施の形態を以下に記載する。
【0044】
図4は、本発明の第1の実施の形態を表すものである。本実施の形態は、ボトム型STO(SILを下部に配置)構造に関する。この構造において、FGLは、互いに反対方向の磁化を有しFeCo等からなる2つの強磁性層が、Ru,Ir,またはRhからなる中間結合層によって分離されてなるシンセティック反強磁性(SyAF)構成を有する。
【0045】
本実施の形態例においては、主磁極20の上に、シード層21、SIL22、第1のスペーサ層23、第1のPMAアシスト層27a、複合FGL40、第2のスペーサ層31、第2のPMAアシスト層32、およびキャップ層25が、この順に形成され、キャップ層25の上にライトシールド26が形成されている。ライトシールド26は、トレーリングシールドであることが好ましい。
【0046】
シード層21は、Ta/Ru/CuまたはTa/Ti/Cuなる構成であることが好ましいが、関連する米国特許出願第12/589614号に記載の他の材料を用いてもよい。1つの態様として、基板と接触している下部Ta層の厚さは0.5nm〜5nmであり、好ましくは1nmである。Ti層の厚さは0.5nm〜5nmであり、好ましくは3nmである。Cu層の厚さは0.1nm〜10nmであり、好ましくは2nm〜3nmである。STOの全ての層は、アネルバ製のスパッタ蒸着装置等によって形成可能である。
【0047】
関連する米国特許出願第12/802091号に記載されているように、SIL22を堆積する前に、シード層に対して、プラズマ処理(PT:plasma treatment)および自然酸化(NOX:natural oxidation )を含む1以上の処理を施し、シード層21の上面がより滑らかになるようにしてもよい。これにより、続いて堆積するSIL22の(Co/Ni)または(CoFe/Ni)なる層との間に、より良い界面が形成され、このことにより、SIL22の垂直磁気異方性がより高くなる。
【0048】
リファレンス層としてのSIL22は、PMAを有するとともに、(Co/Ni)n 、または(Co(100-z) Fez /Ni)n なる積層構造を有する層であることが好ましい。ここで、zは0〜90であることが好ましい。また、積層数nは5〜50、好ましくは10〜30である。積層体であるSIL22に含まれる複数のCoまたはCoFe層のそれぞれの厚さ(t1)は0.05nm〜0.5であり、好ましくは0.15nm〜0.3nmである。積層体であるリファレンス層に含まれる複数のNi層のそれぞれの厚さ(t2)は、0.2nm〜1nmであり、好ましくは0.35nm〜0.8nmである。Ni層の厚さt2は、CoまたはCoFe層の厚さt1よりも大きいことが好ましい。隣接するCo層とNi層との間、またはCoFe層とNi層との間のスピン軌道相互作用を最適化するためには、t2はt1の2倍であることがより好ましい。1つの態様として、t1が0.2nm以下である場合には、CoまたはCoFe層は“最稠密”層であると考えられ、必ずしも[111]結晶方位を有する必要はない。
【0049】
本発明はまた、積層構造を有するSIL22が[Co(t1)/NiFe(t2)]n ,[Co(t1)/NiCo(t2)]n ,[CoFe(t1)/NiFe(t2)]n ,または[CoFe(t1)/NiCo(t2)]n によって表される構成を有する実施の形態も含む。ここで、NiCo層およびNiFe層内のCoおよびFeの含有量はそれぞれ0〜50原子%であり、積層数nは5〜30である。
【0050】
あるいは、SIL22は(CoFeR/Ni)n なる積層構造を有するものであってもよい。ここで、Rは、Ru,Rh,Pd,Ti,Zr,Hf,Ni,Cr,Mg,Mn,またはCu等の金属である。CoFeR合金におけるRの含有量は10原子%未満であり、CoFeR層の厚さはt1である。
【0051】
さらに他の実施の形態として、SILは、[CoFe(t1)/Pt(t2)]n ,[CoFe(t1)/Pd(t2)]n ,[CoFe(t1)/Ir(t2)]n ,またはCoPt,FePt,CoPd,FePd,TbFe(Co)等の他のPMA材料によって構成されてもよい。
【0052】
積層構造を有するSILまたはPMAアシスト層内の各層は、低いパワーと高い圧力とを伴ったスパッタ蒸着法を用いて成膜することが重要である。これにより、例えば、Co層とNi層との間の界面、またはCoFe層とNi層との間の界面を保つことができる。不活性ガス圧を実質的に100sccmより大きくなるまで増加させることは、保磁力Hcの大幅強化において重要な役割を有することを発見した。よって、上記のように、(Co/Ni)x ,(Co(100-z) Fez /Ni)x ,または他の積層体を成膜する間、100sccm〜500sccmの超高圧Arを用いることによって、保磁力を30%以上増加させることができる。
【0053】
さらに、前述のNOX処理を施すことによって、PMA多層積層体内の1以上の(Co/Ni)または(CoFe/Ni)層の表面を改良するようにしてもよい。これによれば、NOX処理によって形成されたOSL(酸素サーフェクタント層)によって、複合シード層と(Co/Ni)層または(CoFe/Ni)層との間の界面だけでなく、PMA多層積層体内の隣り合う(Co/Ni)層間、または隣り合う(CoFe/Ni)層間の界面をも改良することができる。
【0054】
SIL22の上には、非磁性スペーサ層23(第1のスペーサ層)が形成されている。CPPーGMR用途の実施の形態の場合、スペーサ層23は、Cu、または他の高導電性金属もしくは高伝導性金属合金によって構成され、その厚さは0.5nm〜3nmである。本発明はまた、当業者であれば理解できるように、金属の経路を備えた誘電体層が2つの金属層(すなわちCu層)に挟まれてなる電流狭窄経路(CCP:current confining path)構造のスペーサ層23を含むGMR用途の実施の形態にも適用可能である。あるいは、TMR用途においては、スペーサ層23は、MgO,AlOx,TiOx,ZnO,もしくは他の金属酸化物または金属窒化物などの誘電体材料によって構成される。
【0055】
スペーサ層23の上には、第1のPMAアシスト層27aが形成されている。この第1のPMAアシスト層27aは、上記した(Co/Ni)m ,(CoFe/Ni)m ,(Co/NiFe)m ,(CoFe/NiCo)m ,(Co/NiCo)m ,または(CoFe/NiFe)m のうちの1つの積層構造を有する。ここで、mは5〜30程度であり、5〜20であることが好ましい。
【0056】
第1のPMAアシスト層27aの上には、厚さが10nm〜20nmの下部FGL27b、中間結合層28、および厚さ5nm未満の上部FGL29からなる複合FGL40が設けられている。中間結合層28には、厚さが0.7nm〜0.8nm程度のRu等が用いられる。下部FGL27bおよび上部FGL29は、FeCo等からなることが好ましい。但し、FeCoの合金等の大きい飽和磁化膜厚値Mstを有する他の材料を用いてもよい。
【0057】
複合FGL40の上面には、第2のスペーサ層31が形成される。第2のスペーサ層31はCuからなることが好ましい。
【0058】
第2のスペーサ層31の上には、第2のPMAアシスト層32が形成される。この第2のPMAアシスト層32は、第1のPMAアシスト層27aについて述べた上記組成のうちの1つから選択される。ただし、積層数はmではなく、pとする。例えば、第1のPMAアシスト層27aは(CoFe/Ni)m 、第2のPMAアシスト層32は(CoFe/Ni)p である。ここで、積層数pは7〜10である。あるいは、第2のPMAアシスト層32は、(Co/Ni)p ,(Co/NiFe)p ,(Co/NiCo)p ,(CoFe/NiFe)p ,または(CoFe/NiCo)p のうちの1つであってもよい。
【0059】
第1のPMAアシスト層27aおよび第2のPMAアシスト層32は、複合FGL40に対してアシスト効果を有すると考えられる。第1のPMAアシスト層27aは、複合FGL40における下部FGL27bの磁化(磁気モーメント)を垂直方向に向けて一部傾斜させる。第2のPMAアシスト層32は、スペーサ層31によって上部FGL29から分離しているため、第2のPMAアシスト層32の上部FGL29に対する磁気的影響は、上部FGL29をその本来の面内磁化方向から部分的に傾斜させるには十分ではない場合もある。しかしながら、本実施の形態では、第2のPMAアシスト層32と上部FGL29との間の磁気結合が、上部FGL29の面内磁化の少なくとも一部を傾斜させて垂直成分を含むようにするのに足る大きさを有するものであることも予想される。
【0060】
第2のPMAアシスト層32の上には、キャップ層25が形成される。このキャップ層25は、Ru/Ta/Ru,Ru/Taなる積層体、またはこの技術分野で用いられる他のキャップ層材料により構成される。STO積層体内の全ての層を形成した後、150°C〜300°C、好ましくは180°C〜250°Cの温度下で、0.5時間〜5時間にわたってアニール処理を施す。
【0061】
図5は、第2の実施の形態を表すものである。本実施の形態は、トップ型STO構造に関する。本実施の形態は、成膜の順番が異なっている点を除き、第1の実施の形態における層構成と同じである。具体的には、本実施の形態のSTO積層体は、シード層/第2のPMAアシスト層/第2のスペーサ層/複合FGL/第1のPMAアシスト層/第1のスペーサ層/SIL/キャップ層なる構成によって表される。ここで複合FGL41は、下部FGL29、上部FGL27b、および中間結合層28を含むシンセティック反強磁性(SyAF)構成の複合層である。なお、より薄い方の下部FGL29は第2のスペーサ層31の上面と接触し、より厚い方の上部FGL27bは第1のPMAアシスト層27aと接触する。第1の実施の形態と同様に、第1のPMAアシスト層27aおよび第2のPMAアシスト層32は、それぞれ、上部FGL27bおよび下部FGL29の磁化を、積層面と垂直な方向に一部傾斜させ、それにより、PMAアシスト層が1つの場合と比べて、より低い電流密度下においてFGL41の発振状態を促進することができる。
【0062】
図6は、第3の実施の形態を表すものである。本実施の形態は、第1の実施の形態を変形したものである。具体的には、複合(SyAF)FGL40に代えて、厚さ10nm〜20nmの単一のFGL27bが設けられている。また、第2のPMAアシスト層32に代えて、シンセティックPMA構造42が設けられている。このシンセティックPMA構造42は、第2のスペーサ層31と接触する下部PMA層33(第2のPMA層)と、この下部PMA層33と逆向きの磁気モーメントを有するとともにキャップ層25の下面と接触する上部PMA層32(第1のPMA層)と、上部PMA層32と下部PMA層33との間に形成された中間結合層34とから構成されている。ここで、上部PMA層32および下部PMA層33が有する互いに逆向きの磁化方向は、中間結合層34を介した反強磁性結合によって生じるものであり、下部PMA層33がもともと負の異方性磁界Hk値を有しているわけではない。
【0063】
中間結合層34はRu,Ir,またはRhのうちのいずれかである。下部PMA層33は、(CoFe/Ni)q ,(Co/Ni)q ,(CoFe/NiFe)q ,(CoFe/NiCo)q ,(Co/NiFe)q ,または(Co/NiCo)q なる組成を有する。ここで積層数qは3〜6である。上部PMA層32は、上記図4の場合と同様の組成を有し、(CoFe/Ni)p ,(Co/Ni)p ,(Co/NiFe)p ,(Co/NiCo)p ,(CoFe/NiFe)p ,または(CoFe/NiCo)p のうちの1つである。その積層数pは7〜10(但し、p>q)である。したがって、上部PMA層32(第1のPMA層)は下部PMA層33(第2のPMA層)よりも厚い。なお、上部PMA層32は(Co/Pt)s または(Co/Pd)s なる積層構造(積層数sは1より大きな整数)であってもよい。
【0064】
本実施の形態では、基体としての主磁極20の上に、シード層21、SIL22、第1のスペーサ層23、第1のPMAアシスト層27a、FGL27b、第2のスペーサ層31、シンセティックPMA構造42(複合層である第2のPMAアシスト層)、およびキャップ層25がこの順に形成されている。第1のPMAアシスト層27aと、(第2のスペーサ層31の厚さにもよるが)下部PMA層33の双方が、FGL27bの磁化を積層面と垂直な方向に一部傾斜させるアシスト効果をFGL27bに付与すると考えられる。ここで、上部PMA層32は、下部PMA層33の磁化配向を確実なものにするために用いられる。
【0065】
図7は、第4の実施の形態を表すものである。本実施の形態は、トップ型STO構造に関する。本実施の形態は、成膜の順番が異なっている点を除き、第3の実施の形態における層構成と同じである。具体的には、本実施の形態のSTO積層体は、基体としての主磁極20の上に、シード層21、複合層である第2のPMAアシスト層43、第2のスペーサ層31、FGL27b、第1のPMAアシスト層27a、第1のスペーサ層23、SIL22、およびキャップ層25がこの順に形成されている。複合層である第2のPMAアシスト層43は、シード層21の上面と接触する下部PMA層32(第1のPMA層)と、中間結合層34と、第2のスペーサ層31と接触する上部PMA層33(第2のPMA層)とを有する。
【0066】
第3の実施の形態と同様に、第1のPMAアシスト層27aおよび上部PMA層33によって、FGL27bの磁化が積層面と垂直な方向に向かって一部傾斜する。これにより、PMAアシスト層が1つの場合と比べて、より低い電流密度下においてFGL27bの発振状態を促進することができる。なお、下部PMA層32は上部PMA層33の磁化配向を確実なものにするためだけに用いられる。
【0067】
当然ながら、すべての実施の形態において、FGL27bは、積層面と垂直な方向に流れる電流によって十分なスピントルクが印加されたときに容易軸(図示せず)に沿った方向から逆向き方向へと切り替わることができる磁気モーメントを有し、これにより、発振器層として機能する。SIL22は、FGL27bと強磁性結合している。SIL積層体の中のCo含有量は、PMAアシスト層積層体の中のCo含有量とは異なっていてもよく、それによって、上記の各実施の形態によってもたらされる利点が損なわれることはない。なお、積層構造を有するPMAアシスト層は、これとは別のシード層が存在しなくてもPMAを確立することができ、また、積層構造を有するSIL22における[111]配向以外の結晶構造を有してもよい。
【0068】
上記の各実施の形態において、STO構造の形成方法は、キャップ層25の成膜後のアニール工程を含む。アニール処理は、150°C〜300°C、好ましくは180°C〜250°Cの温度下で、0.5時間〜5時間にわたって行う。このようなアニーリングによって保磁力Hcを大幅に増加させることができる。その後、STO構造を、従来のリソグラフィおよびエッチング技術を含む周知の方法によってパターニングし、基板(図示せず)の上に複数のSTO素子を形成する。
【0069】
[実験例1]
本発明の第1の実施の形態に係るSTO構造の一例を作製した。その層構成は以下の通りである。
Ta1/Ru2/Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)n /Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)m /CoFe15/Ru0.8/FeCo3/Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)p /Ru1/Ta4/Ru3
【0070】
ここで、各元素または合金の後ろの数字は、その厚さをナノメートル(nm)で表したものである。以下の実験例においても同様である。また、p=5,m=10,n=7とした。シード層は、Ta/Ru/Cuなる構成であり、Ru/Ta/Ruはキャップ層である。(CoFe/Ni)p は第2のPMAアシスト層であり、(CoFe/Ni)m は第1のPMAアシスト層である。FeCo15およびFeCo3は、それぞれ、シンセティック構成の複合FGLにおける下部FGLおよび上部FGLである。(CoFe/Ni)n はSILである。
【0071】
[実験例2]
本発明の第2の実施の形態に係るSTO構造の一例を作製した。その層構成は以下の通りである。
Ta1/Ru2/Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)p /Cu2/CoFe3/Ru0.8/FeCo15/(CoFe0.2/Ni0.6)m /Cu2/(CoFe/Ni)n /Ru1/Ta4/Ru3
【0072】
ここで、p=10,m=7,n=15とした。シード層は、Ta/Ru/Cuなる構成であり、Ru/Ta/Ruはキャップ層である。(CoFe/Ni)p は第2のPMAアシスト層であり、(CoFe/Ni)m は第1のPMAアシスト層である。FeCo15およびFeCo3は、それぞれ、シンセティック構成の複合FGLにおける上部FGLおよび下部FGLである。(CoFe/Ni)n はSILである。
【0073】
[実験例3]
本発明の第3の実施の形態に係るSTO構造の一例を作製した。その層構成は以下の通りである。
Ta1/Ru2/Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)n /Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)m /FeCo15/Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)q /Ru0.8/(CoFe/Ni)p /Ru1/Ta4/Ru3
【0074】
ここで、p=10,q=5,m=10,n=15とした。シード層は、Ta/Ru/Cuなる構成である。他方、(CoFe/Ni)p および(CoFe/Ni)q は、それぞれ、シンセティック構成の第2のPMAアシスト層における上部PMA層および下部PMA層である。(CoFe/Ni)m は第1のPMAアシスト層であり、FeCo15はFGLである。(CoFe/Ni)n はSILであり、Ru/Ta/Ruなる積層はキャップ層である。
【0075】
[実験例4]
本発明の第4の実施の形態に係るSTO構造の一例を作製した。その層構成は以下の通りである。
Ta1/Ru2/Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)p /Ru0.8/(CoFe0.2/Ni0.6)q /Cu2/CoFe15/(CoFe0.2/Ni0.6)m /Cu2/(CoFe0.2/Ni0.6)n /Ru1/Ta4/Ru3
【0076】
ここで、p=10,q=5,m=10,n=15とした。シード層は、Ta/Ru/Cuなる構成である。他方、(CoFe/Ni)p および(CoFe/Ni)q は、それぞれ、シンセティック構成の第2のPMAアシスト層における下部PMA層および上部PMA層である。(CoFe/Ni)m は第1のPMAアシスト層であり、FeCoはFGLであり、(CoFe/Ni)n はSILであり、Ru/Ta/Ruはキャップ層である。
【0077】
本発明が従来のSTO構造よりも優れている点は、FGLの上面および下面の双方に隣接してPMA層を形成することによって、FGLに0または1つのPMAアシスト層しかを設けていなかった従来の構造に比べて、FGL発振を達成する上でより大きなアシスト効果を生じる点である。すなわち、十分小さい飽和磁化膜厚Mst値を有するFGLにおいて発振を確立するために従来用いられていたのと同じ電流密度下において、より大きな面内磁気モーメントを有するFGLを発振状態に至らせることができる。加えて、FGLは、MAMR用途における書き込み処理をアシストする磁束(交流磁界)をより多く供給することができる。
【0078】
もう1つの利点は、FGLの飽和磁化膜厚Mstの組成が同じであると仮定すると、本発明は、隣接するPMAアシスト層が0または1つである従来の構造よりも低い電流密度(より低いバイアス電圧)下において発振を生じさせることができる点である。電流密度が低下すると、電力使用量が低下し、信頼性が向上する。これは、TMR方式においてスペーサ層が金属酸化物である場合に顕著である。従来のSTO構造では、比較的高い電流密度によって破壊電圧を簡単に超えてしてしまう場合があるからである。
【0079】
本発明を、その好適な実施の形態を参照しながら具体的に示し説明したが、当業者であれば理解できるように、その態様や詳細については、本発明の精神と範囲から離れない限りにおいて種々に変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基体上に形成されたシード層と、
(b)垂直磁気異方性(PMA:perpendicular magnetic anisotropy )を有するスピン注入層(SIL:spin injection layer)と、
(c)第1の厚さを有する第1のFGL(磁界生成層,FGL:field generation layer)と、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2のFGLとが、互いに逆向きの面内方向磁気モーメントを有するとともに、中間結合層によって分離されるように設けられたシンセティック反強磁性(SyAF:synthetic anti-ferromagnetic)構成の複合FGLと、
(d)第1のFGLに隣接するとともに、第1のスペーサ層によって前記SILから分離された第1のPMAアシスト層と、
(e)第2のスペーサ層によって前記第2のFGLから分離された第2のPMAアシスト層と
を備え、
前記シード層、前記SIL、前記複合FGL、前記第1および第2のPMAアシスト層、ならびに第1および第2のスペーサ層を含む上記の層はすべて前記基体上の積層体内に形成されている
スピントランスファー発振器(STO:spin transfer oscillator)構造。
【請求項2】
前記シード層はTa/Ru/Cuなる構成(但し、前記Ta層の厚さは0.5nm以上5nm以下、前記Ru層の厚さは0.5nm以上10nm以下、前記Cu層の厚さは0.1nm以上10nm以下)を有する
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項3】
キャップ層をさらに備え、
前記シード層、前記SIL、前記第1のスペーサ層、前記第1のPMAアシスト層、前記複合FGL、前記第2のスペーサ層、前記第2のPMAアシスト層、および前記キャップ層は、この順に前記基体の上に形成されている
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項4】
キャップ層をさらに備え、
前記シード層、前記第2のPMAアシスト層、前記第2のスペーサ層、前記複合FGL、前記第1のPMAアシスト層、前記第1のスペーサ層、前記SIL、および前記キャップ層は、この順に前記基体の上に形成されている
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項5】
前記第1および第2のスペーサ層は銅(Cu)からなる
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項6】
前記第1のスペーサ層は金属酸化物からなり、前記第2のスペーサ層は銅(Cu)からなる
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項7】
前記複合FGLはFeCo/Ru/FeCoなる構成(但し、前記第1のFGLとしてのFeCoの前記第1の厚さは10nm以上20nm以下、第2のFGLとしてのFeCoの前記第2の厚さは5nm未満)を有する
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項8】
前記SILは、(Co/Ni)n ,(CoFe/Ni)n ,(Co/NiFe)n , (CoFe/NiCo)n ,(Co/NiCo)n ,(CoFe/NiFe)n ,(CoFe/Pt)n ,(CoFe/Pd)n ,(CoFe/Ir)n ,CoPt,FePt,CoPd,FePd,またはTbFe(Co)からなる(但し、nは括弧内積層体の繰り返し積層数であり、5以上50以下)
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項9】
前記第1のPMAアシスト層は、(Co/Ni)m ,(CoFe/Ni)m ,(Co/NiFe)m ,(CoFe/NiCo)m ,(Co/NiCo)m ,または(CoFe/NiFe)m からなり(但し、mは括弧内積層体の繰り返し積層数であり、5以上30以下)、
前記第2のPMAアシスト層は、(Co/Ni)p ,(CoFe/Ni)p ,(Co/NiFe)p ,(CoFe/NiCo)p ,Co/NiCo)p ,または(CoFe/NiFe)p からなる(但し、pは括弧内積層体の繰り返し積層数であり、7以上10以下)
請求項1に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項10】
前記キャップ層の上面の上に形成されたライトシールドをさらに備え、
前記基体はマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR:microwave assisted magnetic recording )デバイスにおける主磁極層である
請求項3に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項11】
(a)基体の上に形成されたシード層と、
(b)垂直磁気異方性(PMA)を有するスピン注入層(SIL)と、
(c)上面および下面を有するとともに、面内方向の磁気モーメントを有する磁界生成層(FGL)と、
(d)前記FGLの前記上面および下面のうちの一方に隣接するとともに、第1のスペーサ層によって前記SILから分離された第1のPMAアシスト層と、
(e)第2のスペーサ層によって前記FGLの前記上面および下面のうちの他方から分離された第2のPMAアシスト層と
を備え、
前記第2のPMAアシスト層は、第1の厚さを有する第1のPMA層と、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2のPMA層と、前記第1のPMA層と前記第2のPMA層との間に形成された中間結合層とによって構成されたシンセティック構造を有し、
前記シード層、前記SIL、前記FGL、前記第1および第2のPMAアシスト層、ならびに前記第1および第2のスペーサ層を含む上記の層はすべて前記基体上の積層体内に形成されている
スピントランスファー発振器(STO)構造。
【請求項12】
前記シード層はTa/Ru/Cuなる構成(但し、前記Ta層の厚さは0.5nm以上5nm以下、前記Ru層の厚さは0.5nm以上10nm以下、前記Cu層の厚さは0.1nm以上10nm以下)を有する
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項13】
キャップ層をさらに備え、
前記シード層、前記SIL、前記第1のスペーサ層、前記第1のPMAアシスト層、前記FGL、前記第2のスペーサ層、前記第2のPMAアシスト層、および前記キャップ層は、この順に前記基体の上に形成されている
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項14】
キャップ層をさらに備え、
前記シード層、前記第2のPMAアシスト層、前記第2のスペーサ層、前記FGL、前記第1のPMAアシスト層、前記第1のスペーサ層、前記SIL、および前記キャップ層は、この順に前記基体の上に形成されている
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項15】
前記第1および第2のスペーサ層は銅(Cu)からなる
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項16】
前記第1のスペーサ層は金属酸化物からなり、前記第2のスペーサ層はCuからなる
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項17】
前記FGLは、厚さが10nm以上20nm以下であるFeCo、またはFeCoの合金からなる
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項18】
前記SILは、(Co/Ni)n ,(CoFe/Ni)n ,(Co/NiFe)n , (CoFe/NiCo)n ,(Co/NiCo)n ,(CoFe/NiFe)n ,(CoFe/Pt)n ,(CoFe/Pd)n ,(CoFe/Ir)n ,CoPt,FePt,CoPd,FePd,またはTbFe(Co)からなる(但し、nは括弧内積層体の繰り返し積層数であり、5以上50以下)
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項19】
前記第1のPMAアシスト層は、(Co/Ni)m ,(CoFe/Ni)m ,(Co/NiFe)m ,(CoFe/NiCo)m ,(Co/NiCo)m ,または(CoFe/NiFe)m からなる積層体である(但し、mは括弧内積層体の繰り返し積層数であり、5以上30以下)
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項20】
前記第1の厚さを有する前記第1のPMA層は、(Co/Ni)p ,(CoFe/Ni)p ,(Co/NiFe)p ,(CoFe/NiCo)p ,(Co/NiCo)p ,または(CoFe/NiFe)p からなる積層体(但し、pは括弧内積層体の繰り返し積層数であり、7以上10以下)であり、
前記第2の厚さを有する前記第2のPMA層は、(Co/Ni)q ,(CoFe/Ni)q ,(Co/NiFe)q ,(CoFe/NiCo)q ,(Co/NiCo)q ,または(CoFe/NiFe)q からなる積層体(但し、qは括弧内積層体の繰り返し積層数であり、3以上6以下)である
請求項11に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項21】
前記キャップ層の上面に形成されたライトシールドをさらに備え、
前記基体はマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR)デバイスにおける主磁極層である
請求項13に記載のスピントランスファー発振器構造。
【請求項22】
(a)基体の上に、Ta/M1(M1層はfcc[111]またはhcp[001]結晶方位を有する金属)またはTa/M1/M2(M2はM1と異なる金属)なる構成を有する複合シード層を形成する工程と、
(b)前記複合シード層の上に、
(1)垂直磁気異方性(PMA)を有するスピン注入層(SIL)と、
(2)第1の厚さを有する第1のFGLと、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2のFGLとが、互いに逆向きの面内方向磁気モーメントを有するとともに、中間結合層によって互いに分離されるように設けられたシンセティック反強磁性(SyAF)構成の複合磁界生成層(FGL)と、
(3)前記第1のFGLの表面に隣接するとともに、第1のスペーサ層によって前記SILから分離された第1のPMAアシスト層と、
(4)第2のスペーサ層によって前記第2のFGLから分離された第2のPMAアシスト層と、
(5)キャップ層と
を含む積層体を形成する工程と、
(c)前記シード層、前記キャップ層、および前記積層体をアニーリングする工程と
を含むスピントランスファー発振器構造の形成方法。
【請求項23】
前記アニーリングを、0.5時間以上5時間以下の時間にわたって、150°C以上300°C以下の温度で行う
請求項22記載の形成方法。
【請求項24】
前記基体は主磁極であり、
前記SIL、前記第1のスペーサ層、前記第1のPMAアシスト層、前記複合FGL、前記第2のスペーサ層、前記第2のPMAアシスト層、および前記キャップ層を、この順に前記シード層の上に形成し、その後、前記キャップ層の上にライトシールドを形成する
請求項22記載の形成方法。
【請求項25】
前記基体は主磁極であり、
前記第2のPMAアシスト層、前記第2のスペーサ層、前記複合FGL、前記第1のPMAアシスト層、前記第1のスペーサ層、前記SIL、および前記キャップ層を、この順に前記シード層の上に形成し、その後、前記キャップ層の上にライトシールドを形成する
請求項22記載の形成方法。
【請求項26】
(a)基体の上に、Ta/M1(M1層はfcc[111]またはhcp[001]結晶方位を有する金属)またはTa/M1/M2(M2はM1と異なる金属)なる構成を有する複合シード層を形成する工程と、
(b)前記複合シード層の上に、
(1)垂直磁気異方性(PMA)を有するスピン注入層(SIL)と、
(2)面内方向の磁気モーメントを有するとともに、上面および下面を有する磁界生成層(FGL)と、
(3)前記FGLの前記上面および下面のうちの一方に隣接するとともに、第1のスペーサ層によって前記SILから分離された第1のPMAアシスト層と、
(4)第1の厚さを有する第1のPMA層と、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する第2のPMA層と、前記第1のPMA層と前記第2のPMA層との間に形成された中間結合層とによって構成されたシンセティック構造を有し、第2のスペーサ層によって前記FGLの前記上面および下面のうちの他方から分離された第2のPMAアシスト層と、
(5)キャップ層と
を含む積層体を形成する工程と、
(c)前記シード層、前記キャップ層、および前記積層体をアニーリングする工程と
を含むスピントランスファー発振器構造の形成方法。
【請求項27】
前記アニーリングを、0.5時間以上5時間以下の時間にわたって、150°C以上300°C以下の温度で行う
請求項26記載のスピントランスファー発振器構造の形成方法。
【請求項28】
前記基体は主磁極であり、
前記SIL、前記第1のスペーサ層、前記第1のPMAアシスト層、前記FGL、前記第2のスペーサ層、前記第2のPMAアシスト層、および前記キャップ層を、この順に前記シード層の上に形成し、その後、前記キャップ層の上にライトシールドを形成する
請求項26記載のスピントランスファー発振器構造の形成方法。
【請求項29】
前記基体は主磁極であり、
前記第2のPMAアシスト層、前記第2のスペーサ層、前記FGL、前記第1のPMAアシスト層、前記第1のスペーサ層、前記SIL、および前記キャップ層を、この順に前記シード層の上に形成し、その後、前記キャップ層の上にライトシールドを形成する
請求項26記載のスピントランスファー発振器構造の形成方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2a】
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【図2B】
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【図2b】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−114441(P2012−114441A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255159(P2011−255159)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】