説明

スピンMOSトランジスタを用いた不揮発性メモリ回路

【課題】MTJ素子を用いた不揮発性メモリ回路では、電源立ち上げ時にMTJ素子の抵抗値によりメモリの記憶内容が決まる。しかしながら、電源電圧が低いときはMOSトランジスタの抵抗が非常に大きいため、MTJ素子の抵抗値の影響が非常に小さい。そのため、電源電圧が低いときにMOSトランジスタの抵抗値のばらつきにより誤動作を引き起こしやすく、高い信頼性が得られない。信頼性の高い不揮発性メモリ回路を提供することを可能にする。
【解決手段】6トランジスタ(11,12,15,16、21,22)で構成されるメモリセルにおいて、トランジスタ12及びトランジスタ16をn型スピンMOSトランジスタとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンMOSトランジスタを用いた不揮発性メモリ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の微細化技術の進展に伴い、LSI(Large Scale Integration)の消費電力が大きくなり、半導体メモリの待機時の消費電力が無視できなくなっている。LSIにおいて使用しない部分は電源を切断し、使用する部分だけ電源を入れるパワーゲーティング技術が使用される。半導体のCMOS技術によってメモリ回路を作製する場合、情報を記憶するメモリとして揮発性のSRAM(Static Random Access Memory)が用いられる。SRAMは揮発性のため、待機時にも電源を切断できないため消費電力が大きくなる。また、SRAMは揮発性のために突然の電源の切断のときにメモリ情報が消失してしまう。大量のSRAMを使用している場合、動作をしていないときでもリーク電流による消費電力が大きくなってしまう。そのため、低消費電力化および高集積化しにくい回路となる。更に、SRAMは電源を切ると情報が失われてしまう揮発性メモリであるため、電源投入をする毎に外部メモリに蓄えていた情報を書き込む必要がある。このため、電源投入時に手間と時間がかかるという課題がある。また、電源切断時に情報を蓄えておくための外部メモリを確保しておく必要があり、外部メモリのために消費電力および容積が必要になるという問題がある。このため、システム全体での高集積化および低消費電力化を妨げる要因の一つとなっている。
【0003】
現在の半導体技術を基にした不揮発性メモリ回路として、抵抗変化型の不揮発性メモリが提案されている。抵抗変化型の不揮発性メモリは、電源を立ち上げたときに半導体メモリであるSRAMに情報を記憶させる。不揮発性メモリは電源を切っても情報が蓄えられているので、読出しまたは書き込み動作をしないときは電源を切断することができる。すなわち、LSIに不揮発性メモリを用いると容易にパワーゲーティングが行える。そのため、抵抗変化型の不揮発性メモリが注目されている。
【0004】
近年、電子のスピン自由度を利用したスピンエレクトロニクスデバイスの研究開発が盛んに行われている。トンネル磁気抵抗効果(TMR)を基礎とする研究開発が盛んに行われ、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)やハードディスクドライブ(HDD)の再生ヘッドなどに応用されるに至っている。さらに、半導体と強磁性体とを結合したスピントランジスタが注目されている。
【0005】
強磁性体は不揮発性のメモリ機能を持つことができるため、不揮発性メモリとして使用すれば、パワーゲーティング技術やメモリのバックアップに応用することが期待される。不揮発性メモリとして強磁性トンネル接合(MTJ)素子を用いた不揮発性メモリ回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−52879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の不揮発性メモリ回路においては、MTJ素子がインバーターループ内にMOSトランジスタと直列に接続されるため、動作マージンが大幅に下がり、高い信頼性が得られない。
【0008】
また、MTJ素子を用いた不揮発性メモリ回路では、電源立ち上げ時にMTJ素子の抵抗値によりメモリの記憶内容が決まる。しかしながら、電源電圧が低いときはMOSトランジスタの抵抗が非常に大きいため、MTJ素子の抵抗値の影響が非常に小さい。そのため、電源電圧が低いときにMOSトランジスタの抵抗値のばらつきにより誤動作を引き起こしやすく、高い信頼性が得られない。
【0009】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであって、信頼性の高い不揮発性メモリ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様による不揮発性メモリ回路は、ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型MOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型スピンMOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型スピンMOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のn型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のn型MOSトランジスタと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の態様による不揮発性メモリ回路は、ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型スピンMOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型スピンMOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型スピンMOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型スピンMOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型スピンMOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型スピンMOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のp型MOSトランジスタと、を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の態様による不揮発性メモリ回路は、ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型MOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のn型スピンMOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のn型スピンMOSトランジスタと、を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の態様による不揮発性メモリ回路は、ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型MOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型MOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のp型スピンMOSトランジスタと、ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のp型スピンMOSトランジスタと、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、信頼性の高い不揮発性メモリ回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態による不揮発性メモリ回路のメモリセルを示す回路図。
【図2】メモリセルに記憶された情報の状態を判定するための第1の方法を示すタイミングチャート。
【図3】メモリセルに記憶された情報の状態を判定するための第1の方法を示すタイミングチャート。
【図4】図4(a)は第1実施形態における電源立ち上げ時のシミュレーション結果を示す図、図4(b)は比較例における電源立ち上げ時のシミュレーション結果を示す図。
【図5】第1実施形態の比較例による不揮発性メモリ回路のメモリセルを示す回路図。
【図6】第1実施形態における書き込み方法の第1具体例を説明するタイミングチャート。
【図7】パストランジスタとスピンMOSトランジスタとの接続点の電圧を説明する特性図。
【図8】第1実施形態における書き込み方法の第2具体例を説明するタイミングチャート。
【図9】第2実施形態による不揮発性メモリ回路のメモリセルを示す回路図。
【図10】第2実施形態における書き込み方法を説明するタイミングチャート。
【図11】第3実施形態による不揮発性メモリ回路のメモリセルを示す回路図。
【図12】第3実施形態における書き込み方法を説明するタイミングチャート。
【図13】第4実施形態による不揮発性メモリ回路のメモリセルを示す回路図。
【図14】第4実施形態における書き込み方法を説明するタイミングチャート。
【図15】第5実施形態の不揮発性メモリ回路を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、図面は模式的なものであり、各部分の大きさ、各電圧の高さおよび各時間の長さ、部分間の大きさの比率、電圧間の比率、時間の間隔などは現実のものとは異なる。また、図面の相互間においても、同じ部分を指す場合であっても、互いの寸法や比率が異なって示されている部分もある。
【0017】
また、信号の電圧において、高電圧をHレベル、低電圧をLレベルとする。Hレベルは、電源電圧Vddの半分より高い電圧を表し、Lレベルは、電源電圧Vddの半分より低い電圧を表す。
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による不揮発性メモリ回路のメモリセルを図1に示す。この実施形態の不揮発性メモリ回路は、メモリセル1を備え、このメモリセル1は、メモリ部10と、n型MOSトランジスタからなる2つのパストランジスタ21、22とを備えている。
【0019】
メモリ部10は、p型MOSトランジスタ11、15と、n型スピンMOSトランジスタ12、16とを備えている。p型MOSトランジスタ15は、p型MOSトランジスタ11と略同じ電気的特性を有し、n型スピンMOSトランジスタ16は、n型スピンMOSトランジスタ12と略同じ電気的特性を有している。ここで、「略同じ電気的特性を有している」とは、同じサイズのトランジスタの電気的特性がスペックによって決まる許容範囲にあることを意味する。
【0020】
スピンMOSトランジスタ(スピンMOSFETともいう。以降同じ。)は、通常のMOSトランジスタ(MOSFET)構造のソース電極およびドレイン電極にそれぞれ強磁性層を備えている。ソース電極およびドレイン電極に設けられた2つの強磁性層の磁化の向きによりスピンMOSトランジスタの特性が異なり、かつメモリ機能を有している。すなわち、ソース電極およびドレイン電極に設けられた2つの強磁性層の互いの磁化の向きにより、2つの強磁性層間の抵抗値が異なる。ソース電極およびドレイン電極に設けられた2つの強磁性層の一方は他方に比べて、ソース電極とドレイン電極間にスピン偏極した電流を流した場合に磁化の向きが反転し易く、磁化フリー層(またはフリー層)と呼ばれ、他方は磁化の向きが反転しにくく、磁化固定層(またはピン層)と呼ばれる。このスピンMOSトランジスタにおけるソース電極およびドレイン電極の強磁性層の磁化の向きは略平行か略反平行のいずれかになっており、これに応じて2つの強磁性層間の抵抗も低抵抗状態か高抵抗状態になっている。なお、ソース電極またはドレイン電極の強磁性層が非磁性層を挟んで強磁性層が積層された積層構造を有する場合における磁化の向きは、ソース電極またはドレイン電極が形成される半導体基板または半導体層に最も近い強磁性層の磁化の向きを意味する。
【0021】
p型MOSトランジスタ11、15のそれぞれのソースはノード31に接続され、n型スピンMOSトランジスタ12、16のそれぞれのソースはノード32に接続されている。p型MOSトランジスタ11およびn型スピンMOSトランジスタ12のそれぞれのドレインはノード33に接続され、p型MOSトランジスタ15およびn型スピンMOSトランジスタ16のそれぞれのドレインはノード34に接続されている。また、p型MOSトランジスタ11およびn型スピンMOSトランジスタ12のそれぞれのゲートはノード34に接続され、p型MOSトランジスタ15およびn型スピンMOSトランジスタ16のそれぞれのゲートはノード33に接続されている。
【0022】
パストランジスタ21、22は、略同じ電気的特性を有している。パストランジスタ21のソースおよびドレインの一方はノード33に接続され、他方はノード51に接続されている。パストランジスタ22のソースおよびドレインの一方はノード34に接続され、他方はノード52に接続されている。また、パストランジスタ21、22のそれぞれのゲートはノード41に接続されている。ノード41はメモリセル1を選択するための配線、例えばワード線に接続され、ノード51、52はメモリセル1に記憶された情報が読み出される配線、例えば2つのビット線に接続されている。
【0023】
なお、本実施形態においては、2つのスピンMOSトランジスタ12、16は、一方のスピンMOSトランジスタが低抵抗状態で、他方のスピンMOSトランジスタが高抵抗状態であるように設定されている。例えば、以降の説明においては、スピンMOSトランジスタ12が高抵抗状態、スピンMOSトランジスタ16が低抵抗状態となるように設定している。
【0024】
次に、電源を投入した場合における第1実施形態のメモリセル1の立ち上がり動作特性を、図2を参照して説明する。ノード31の電圧をVsp、ノード32の電圧をVg、ノード33の電圧をV1、ノード34の電圧をV2とする。図2の横軸は時間を表わし、縦軸は電圧を示す。
【0025】
ノード31からノード32までの間に流れる電流は、スピンMOSトランジスタ12を流れる経路と、スピンMOSトランジスタ16を流れる経路の2通りの電流経路がある。上述したように、本実施形態においては、スピンMOSトランジスタ12が高抵抗状態であり、スピンMOSトランジスタ16が低抵抗状態であるように設定されているため、スピンMOSトランジスタ12を通る経路は電流が流れにくく、スピンMOSトランジスタ16を通る経路は電流が流れ易い。
【0026】
図2において、ノード31に供給される電圧Vspをほぼ電源電圧Vddになるように設定する。そして、立ち上がり時に、ノード32に供給される電圧Vgが電源電圧Vddから徐々に下げ、略一定値(基準電圧GND)になるようにする。なお、電圧降下は3×10V/sより遅い速度で行うことが好ましい。ノード32の電圧Vgが動作開始から略一定値になるまでの時間をτ2とする。供給電圧Vgを下げていく過程で、ノード33、34の電圧V1、V2は徐々に電圧差が大きくなる。動作開始から電圧V1とV2の電圧差が大きくなり始める時間をτ1とする。
【0027】
メモリ部10に記憶された情報の状態を時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1はHレベル(高電圧レベル)となり、ノード34の電圧V2はLレベル(低電圧レベル)となる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ部10に記憶された情報の状態は変わらない。
【0028】
上述の説明と異なり、図1に示すスピンMOSトランジスタ12を低抵抗状態、スピンMOSトランジスタ16を高抵抗状態に設定する。すると、上記と同様の手順により動作させた場合、メモリ部10に記憶された情報の状態を時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1がLレベルとなり、ノード34の電圧V2がHレベルとなる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ部10に記憶された情報の状態は変わらない。
【0029】
このように、本実施形態のメモリセルは、スピンMOSトランジスタ12、16の抵抗状態により、2値のメモリ状態を取ることが可能となり、2値の不揮発性メモリセルとなる。
【0030】
上記の説明では、メモリ部10に記憶された情報の状態を判定するために、ノード31の電圧Vspを電源電圧Vddに固定し、ノード32の電圧Vgを電源電圧Vddから基準電圧GNDまで下げる方法を用いた。しかし、図3に示すように、ノード32の電圧Vgを基準電圧GNDに固定し、ノード31の電圧Vspを基準電圧GNDから電源電圧Vddまで上げる、という方法を用いても構わない。この場合も、電圧上昇は3×10V/sより遅い速度で行うことが好ましい。
【0031】
本実施形態によるメモリセルと、比較例によるメモリセルの電源立ち上げ時のシミュレーション結果を図4(a)、4(b)にそれぞれ示す。この比較例のメモリセルは、図5に示すように、本実施形態のメモリセル1においてn型スピンMOSトランジスタ12、16を通常のn型MOSトランジスタ13、17に置き換えるとともに、MOSトランジスタ13とノード32との間にMTJ素子14を設け、MOSトランジスタ17とノード32との間にMTJ素子18を設けた構成を有している。なお、MOSトランジスタ13、17は略同一の電気特性を有し、MTJ素子14、18は略同一の電気特性を有している。図4(a)、4(b)からわかるように、本実施形態は、比較例に比べて、電圧差が大きくなり始める時間τ1が小さいため、メモリ部10に記憶された情報の状態が早く安定し、素子の特性ばらつきや電気的ノイズに対して安定な不揮発性メモリ回路となる。
【0032】
本実施形態において、スピン注入磁化反転(Spin torque transfer switching)によりスピンMOSトランジスタ12、16の抵抗状態を決めるために、スピンMOSトランジスタ12、16に、フリー層の磁化が反転することの可能な電流(磁化反転電流)以上の電流を流す。低抵抗状態にするための磁化反転電流の向きは、高抵抗状態にするための磁化反転電流の向きとは逆向きとなる。そのため、スピンMOSトランジスタ12、16に両方向の電流を流すことが必要になる。通常のMOSトランジスタにおいては、電流を流す向きは一方向だけであるが、本実施形態の不揮発性メモリ回路においては、スピンMOSトランジスタ12、16に両方向の電流を流すことが可能となる。
【0033】
次に、本実施形態のメモリセル1の書き込み方法を、図6を参照して説明する。
【0034】
図6は、スピンMOSトランジスタ12およびスピンMOSトランジスタ16にスピン注入磁化反転させるための波形図を示す。図6において、図2に示すノード51の電圧をVbit1、ノード52の電圧をVbit2、ノード32の電圧Vg、スピンMOSトランジスタ12を流れる電流をI1、スピンMOSトランジスタ16を流れる電流をI2とする。なお、電流I1および電流I2は、スピンMOSトランジスタからノード32に電流が流れる向きをそれぞれ正とする。図6の横軸は時間を表わし、縦軸は各電圧を表わす。
【0035】
ノード41には電源電圧Vddが印加され、ノード51の電圧Vbit1およびノード32の電圧Vgは最初に基準電圧GNDとし、ノード52の電圧Vbit2を電源電圧Vddとする。すると、ノード34の電圧V2が電源電圧Vdd、ノード33の電圧V1が基準電圧GNDになり安定する。
【0036】
その後、図6に示すように、ノード51の電圧Vbit1を電源電圧Vddとする(時刻t1)。すると、ノード51からパストランジスタ21およびスピンMOSトランジスタ12を通ってノード32に電流I1が流れ、電源電圧Vddがパストランジスタ21と、スピンMOSトランジスタ12に直列に印加される。ノード33の電圧V1は、図7に示すようにパストランジスタ21とスピンMOSトランジスタ12のIds−Vds特性により決まる。このため、ノード33の電圧V1はスピンMOSトランジスタ16の閾値電圧Vthに比べて小さい電圧となる。ここで、IdsはMOSトランジスタのソース−ドレイン間の電流、VdsはMOSトランジスタのソース−ドレイン間の電圧を表す。電圧V1がスピンMOSトランジスタ16の閾値電圧Vthに比べて小さい電圧となりかつノード33がスピンMOSトランジスタ16のゲートに接続されているため、スピンMOSトランジスタ16はOFF状態となり、ノード34の電圧V2は電源電圧Vddに近い、高い電圧に維持される。このとき、p型MOSトランジスタ11のゲートに印加される電圧V2が、電源電圧Vddに近い高電圧のため、p型MOSトランジスタ15にほとんど電流が流れない。
【0037】
次に、ノード52の電圧Vbit2を基準電圧GNDとする(図6の時刻t2)。すると、スピンMOSトランジスタ12には電流が流れなくなる。その後、ノード32の電圧Vgを電源電圧Vddとする(図6の時刻t3)。すると、ノード32からスピンMOSトランジスタ16およびパストランジスタ22を通ってノード52に負の電流I2が流れる。その後、ノード32の電圧Vgを基準電圧GNDとする(図6の時刻t4)。すると、スピンMOSトランジスタ16には電流が流れなくなる。
【0038】
上記の方法により、スピンMOSトランジスタ12に正の電流I2、スピンMOSトランジスタ16に負の電流I2を流すことができるため、スピン注入磁化反転によりスピンMOSトランジスタ12、16の抵抗状態を決めること、すなわち書き込みを行うことができる。なお、図6における電圧Vbit1と電圧Vbit2に印加する電圧を入れ替えると、スピンMOSトランジスタ12に負の電流I1、スピンMOSトランジスタ16に正の電流I2を流すことができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態ではn型スピンMOSトランジスタ12およびn型スピンMOSトランジスタ16に逆向きの磁化反転電流を流すことができるため、スピンMOSトランジスタ12とスピンMOSトランジスタ16の抵抗状態を相補的にすることができる。
【0040】
本実施形態では、図6に示すように、n型スピンMOSトランジスタ16にスピン注入電流を流し始めるときに、過渡的に絶対値の大きな負の電流が流れる。スピン注入磁化反転においては、ピン層からフリー層にスピン注入電流を流す向きの方が大きな磁化反転電流を要するため、ソース電極の強磁性層がピン層、ドレイン電極の強磁性層がフリー層となるようにスピンMOSトランジスタを構成することが、より望ましい。
【0041】
上記書き込み方法では、各ノードに印加する電圧を電源電圧Vddと基準電圧GNDを用いて、スピン注入電流を流した。この方法においては、大きな電流を流すために電圧の異なる電源を用意しなくてすみ、電源回路が小さく、高集積化に向いた方法となる。
【0042】
上記書き込み方法では、電源電圧Vddを用いたが、電源電圧Vddより高い電圧をノード51、52、32に印加しても構わない。また、上記の書き込み方式では、基準電圧GNDを用いたが、基準電圧GNDより低い電圧をノード51、52、32に印加しても構わない。
【0043】
また、上記書き込み方法では、スピンMOSトランジスタ12に正の電流を流す手順を先にしたが、図8に示すように負の電流を流す手順を先に行ってもかまわない。すなわち、ノード41に電源電圧Vddを印加し、ノード51の電圧Vbit1を電源電圧Vddに、ノード52の電圧Vbit2を基準電圧GNDにする。この状態で、ノード32の電圧Vgを電源電圧Vddにすると(図8の時刻t1)、ノード32からスピンMOSトランジスタ16およびパストランジスタ22を通ってノード52に負の電流I2が流れる。その後、ノード32の電圧Vgを基準電圧GNDにすると(図8の時刻t2)、スピンMOSトランジスタ16には電流I2が流れなくなる。次に、ノード51の電圧Vbit1を基準電圧GND、ノード52の電圧Vbit2を電源電圧Vddにした後、ノード51の電圧Vbit1を電源電圧Vddにすると(図8の時刻t3)、ノード51、パストランジスタ21およびスピンMOSトランジスタ12を通ってノード32に正の電流I1が流れる。この電流I1は、ノード51の電圧Vbit1を基準電圧GNDにすることにより、流れなくなる。
【0044】
以上説明したように、第1実施形態によれば、不揮発性メモリ素子としてスピンMOSトランジスタを用いているので、MTJ素子を用いた場合と異なり、動作マージンの低下を抑制することができるとともにMOSトランジスタの抵抗値のばらつきによる誤動作を抑制することができる。
【0045】
また、第1実施形態によれば、スピンMOSトランジスタを同一プロセスにより作製することにより、電気特性のばらつきを非常に小さくすることが可能になるため、高い歩留りの不揮発性メモリ回路を得ることができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による不揮発性メモリ回路を図9に示す。第2実施形態の不揮発性メモリ回路は、メモリセル1Aを備えている。このメモリセル1Aは、図1に示す第1実施形態のメモリセル1において、メモリ部10をメモリ部10Aに置き換えるとともに、n型のMOSトランジスタからなるパストランジスタ21、22をp型MOSトランジスタからなるパストランジスタ21A、22Aに置き換えた構成となっている。メモリ部10Aは、第1実施形態のメモリ部10において、p型MOSトランジスタ11、15をp型スピンMOSトランジスタ11A、15Aに置き換えるとともに、n型スピンMOSトランジスタ12、16をn型MOSトランジスタ12A、16Aに置き換えた構成となっている。p型スピンMOSトランジスタ11A、15Aは略同じ電気特性を有し、n型MOSトランジスタ12A、16Aは略同じ電気特性を有している。また、パストランジスタ21A、22Aは略同じ電気特性を有している。
【0047】
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、スピンMOSトランジスタ11AおよびスピンMOSトランジスタ15Aは、一方が低抵抗状態で、他方が高抵抗状態であるように設定されている。例えば、電源の立ち上がりにおいて、スピンMOSトランジスタ11Aを低抵抗状態に設定し、スピンMOSトランジスタ15Aを高抵抗状態に設定する。そして、図2に示す場合と同様の方法で電圧を印加する。すなわち、ノード31、32の電圧Vsp、Vgを電源電圧Vddにし、その後、ノード31の電圧Vspを徐々に基準電圧GNDに引き下げる。メモリ部10Aに記憶された情報の状態を、時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1はHレベルとなり、ノード34の電圧V2はLレベルとなる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ部10Aに記憶された情報の状態は変わらない。
【0048】
なお、スピンMOSトランジスタ11Aが高抵抗状態、スピンMOSトランジスタ15Aが低抵抗状態に設定し、図3に示す場合と同様の方法により動作をさせた場合において、時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1がLレベルとなり、ノード34の電圧V2がHレベルとなる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ部10Aに記憶された情報の状態は変わらない。
【0049】
このように、第2実施形態のメモリセル1Aは、スピンMOSトランジスタ11A、15Aの抵抗状態により、2値のメモリ状態を取ることが可能となり、2値の不揮発性メモリとなる。
【0050】
上記の説明では、メモリ部10Aに記憶された情報の状態を判定するために、ノード31の電圧Vspを電源電圧Vddに固定し、ノード32の電圧Vgを電源電圧Vddから基準電圧GNDまで下げる方法を用いた。しかし、図3に示すように、ノード32の電圧Vgを基準電圧GNDに固定し、ノード31の電圧Vspを基準電圧GNDから電源電圧Vddまで上げる、という方法を用いても構わない。
【0051】
第2実施形態も第1実施形態と同様に、供給される電圧が低くても抵抗状態に変化を生じるスピンMOSトランジスタを用いているため、電圧差が大きくなり始める時間τ1を短くすることが可能となり、メモリ部10Aに記憶された情報の状態が早く安定する。そのため、電気的ノイズに対して安定な不揮発性メモリ回路となる。
【0052】
次に、第2実施形態のメモリセル1Aの書き込み方法を、図10を参照して説明する。図10は、第2実施形態のメモリセル1Aの書き込み方法を説明するタイミングチャートである。
【0053】
図10において、スピンMOSトランジスタ11Aを流れる電流をI3とし、スピンMOSトランジスタ15Aを流れる電流をI4とする。その他の符号は第1実施形態と同様とする。なお、電流I3および電流I4は、ノード31からスピンMOSトランジスタ11A、15Aに流れる向きをそれぞれ正とする。
【0054】
まず、ノード41には基準電圧GNDが印加され、ノード31の電圧Vspおよびノード51の電圧Vbit1は電源電圧Vddとし、ノード52の電圧Vbit2を基準電圧GNDとする。すると、ノード33の電圧V1が電源電圧Vdd、ノード34の電圧V2が基準電圧GNDになり安定する。
【0055】
その後、図10に示すように、ノード51の電圧Vbit1を基準電圧GNDとする(時刻t1)。すると、ノード31からスピンMOSトランジスタ11Aおよびパストランジスタ21Aを通ってノード51に電流I3が流れ、電源電圧VddがスピンMOSトランジスタ11Aとパストランジスタ21Aに直列に印加される。ノード34の電圧V2は、第1実施形態と同様に、スピンMOSトランジスタ11Aの閾値電圧Vthに比べて小さい電圧となりかつノード34がスピンMOSトランジスタ11Aのゲートに接続されているため、スピンMOSトランジスタ11AはON状態となり、ノード34の電圧V2は基準電圧GNDに近い、低い電圧に維持される。このとき、n型MOSトランジスタ12Aのゲートに印加される電圧V2が、基準電圧GNDに近い低電圧のため、n型MOSトランジスタ12Aにほとんど電流が流れない。
【0056】
次に、ノード52の電圧Vbit2を電源電圧Vddとする(図10の時刻t2)。すると、スピンMOSトランジスタ11Aには電流が流れなくなる。その後、ノード31の電圧Vspを基準電圧GNDとする(図10の時刻t3)。すると、ノード52からパストランジスタ22AおよびスピンMOSトランジスタ15Aを通ってノード31に負の電流I4が流れる。その後、ノード31の電圧Vspを電源電圧Vddとする(図10の時刻t4)。すると、スピンMOSトランジスタ15Aには電流が流れなくなる。
【0057】
このような書き込み方法により、スピンMOSトランジスタ11Aに正の電流I3、スピンMOSトランジスタ15Aに負の電流I4を流すことができるため、スピン注入磁化反転によりスピンMOSトランジスタ11A、15Aの抵抗状態を決めること、すなわち書き込みを行うことができる。なお、図10におけるノード51の電圧Vbit1とノード52の電圧Vbit2を入れ替えると、スピンMOSトランジスタ11Aに負の電流、スピンMOSトランジスタ15Aに正の電流を流すことができる。
【0058】
以上説明したように、第2実施形態においては、スピンMOSトランジスタ11AおよびスピンMOSトランジスタ15Aに逆向きのスピン注入磁化反転電流を流すことができるため、スピンMOSトランジスタ11AとスピンMOSトランジスタ15Aの抵抗状態を相補的にすることができる。
【0059】
上記書き込み方法では、電源電圧Vddを用いたが、電源電圧Vddより高い電圧をノード51、52、31に印加しても構わない。また、上記書き込み方法では、基準電圧GNDを用いたが、GNDより低い電圧をノード51、52、31に印加しても構わない。
【0060】
なお、上記書き込み方法では、スピンMOSトランジスタ11Aに正の電流を流す手順を先にしたが、負の電流を流す手順を先に行ってもかまわない。
【0061】
以上説明したように、第2実施形態によれば、不揮発性メモリ素子としてスピンMOSトランジスタを用いているので、MTJ素子を用いた場合と異なり、動作マージンの低下を抑制することができるとともにMOSトランジスタの抵抗値のばらつきによる誤動作を抑制することができる。
【0062】
また、第2実施形態によれば、スピンMOSトランジスタを同一プロセスにより作製することにより、電気特性のばらつきが非常に小さくすることが可能になるため、高い歩留りの不揮発性メモリ回路を得ることができる。
【0063】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による不揮発性メモリ回路を図11に示す。第3実施形態の不揮発性メモリ回路は、メモリセル1Bを備えている。このメモリセル1Bは、図1に示す第1実施形態の不揮発性メモリセル1において、メモリ部10をメモリ部10Bに置き換えるとともに、n型MOSトランジスタからなるパストランジスタ21、22をn型スピンMOSトランジスタからなるパストランジスタ21B、22Bに置き換えた構成となっている。メモリ部10Bは、第1実施形態のメモリ部10において、n型スピンMOSトランジスタ12、16をn型MOSトランジスタ12A、16Aに置き換えた構成となっている。n型スピンMOSトランジスタ21B、22Bは略同じ電気特性を有し、n型MOSトランジスタ12A、16Aは略同じ電気特性を有している。
【0064】
第3実施形態においても、スピンMOSトランジスタ21BおよびスピンMOSトランジスタ22Bは、一方が低抵抗状態で、他方が高抵抗状態であるように設定されている。
【0065】
次に、第3実施形態における電源の立ち上がりの動作を説明する。まず、ノード41の電圧を電源電圧Vddにし、ノード51の電圧Vbit1およびノード52Vbit2は基準電圧GNDとする。
【0066】
続いて、図3に示す場合と同様に、ノード32の電圧Vgを基準電圧GNDに固定し、ノード31の電圧Vspを基準電圧GNDから電源電圧Vddまで上げる。スピンMOSトランジスタ21Bが高抵抗状態で、スピンMOSトランジスタ22Bが低抵抗状態であるように設定した場合、第1実施形態の図3に示す場合と同様に、ノード33の電圧V1とノード34の電圧V2の電圧差が徐々に大きくなる。時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1がHレベルとなり、ノード34の電圧V2がLレベルとなる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ状態は変わらない。
【0067】
なお、スピンMOSトランジスタ21Bを低抵抗状態、スピンMOSトランジスタ22Bを高抵抗状態に設定し、上記と同様の手順により動作をさせた場合において、時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1がLレベルとなり、ノード34の電圧V2がHレベルとなる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ状態は変わらない。
【0068】
このように第3実施形態の不揮発性メモリ回路は、スピンMOSトランジスタ21B、22Bの抵抗状態により、2値のメモリ状態を取ることが可能となり、2値の不揮発性メモリ回路となる。すなわち、この第3実施形態においては、スピンMOSトランジスタからなるパストランジスタ21B、22Bはメモリ部10Bとともにメモリとしても機能する。
【0069】
第3実施形態も第1実施形態と同様に、供給される電圧が低くても抵抗状態の変化があるスピンMOSトランジスタを用いているため、電圧差が大きくなり始める時間τ1を短くすることが可能となり、不揮発性メモリ回路はメモリ状態が早く安定する。そのため、電気的ノイズに対して安定な不揮発性メモリ回路となる。
【0070】
次に、第3実施形態によるメモリセル1Bの書き込み方法を、図12を参照して説明する。図12は、第3実施形態のメモリセル1Bの書き込み方法を説明するタイミングチャートである。
【0071】
図11において、スピンMOSトランジスタ21Bを流れる電流をI5とし、スピンMOSトランジスタ22Bを流れる電流をI6とする。その他の符号は第1実施形態と同様とする。なお、電流I5は、ノード51からスピンMOSトランジスタ21Bを通ってノード33に流れる向きを正とし、電流I6は、ノード52からスピンMOSトランジスタ22Bを通ってノード34に流れる向きを正とする。
【0072】
まず、ノード41の電圧を電源電圧Vddとし、ノード31の電圧Vspを電源電圧Vddとし、ノード32の電圧Vgを基準電圧GNDとする。その後、ノード51の電圧Vbit1を基準電圧GNDとし、ノード52の電圧Vbit2を電源電圧Vddとする(図12参照)。この状態では、スピンMOSトランジスタ21B、22BはON状態である。また、ノード33が低電圧、ノード34が高電圧であるため、p型MOSトランジスタ11はOFF状態、n型MOSトランジスタ12AはON状態、p型MOSトランジスタ15はON状態、n型MOSトランジスタ16AはOFF状態となる。このため、スピンMOSトランジスタ21B、22Bには、電流が流れない。続いて、ノード51の電圧Vbit1を電源電圧Vddに引き上げると、ノード51からスピンMOSトランジスタ21Bおよびn型MOSトランジスタ12Aを通ってノード32に正の電流I5が流れる(図12の時刻t1)。このとき、第1実施形態で説明したと同様に、ノード33の電圧V1はn型MOSトランジスタ16Aの閾値電圧より低くなり、n型MOSトランジスタ16AはOFF状態を維持し、MOSトランジスタ16AおよびスピンMOSトランジスタ22Bには電流が流れない。なお、この第3実施形態においては、図7に示すMOSトランジスタとスピンMOSトランジスタのIds−Vds特性は入れ替わっている。すなわち、図7に示す上のグラフがMOSトランジスタ12Aの特性を示し、下のグラフがスピンMOSトランジスタ21Bの特性を示す。その後、ノード51の電圧Vbit1を基準電圧GNDに引き下げると、スピンMOSトランジスタ21Bに電流が流れなくなる(図12の時刻t2)。このとき、p型MOSトランジスタ11およびn型MOSトランジスタ16AはOFF状態でp型MOSトランジスタ15およびn型MOSトランジスタ12AはON状態を維持している。この状態で、ノード52の電圧Vbit2を基準電圧GNDに引き下げると、ノード31からp型MOSトランジスタ15およびスピンMOSトランジスタ22Bを通ってノード52に負の電流I6が流れる(図12の時刻t3)。このとき、ノード33の電圧V1は基準電圧GNDに近い電圧となりn型MOSトランジスタ16AはOFF状態であり、n型MOSトランジスタ16Aには電流が流れない。また、p型MOSトランジスタ15はON状態であるので、ノード34の電圧V2は電源電圧Vddに近い電圧となり、p型MOSトランジスタ11はOFF状態となって、n型MOSトランジスタ12Aには電流が流れない。その後、ノード52の電圧Vbit2を電源電圧Vddに引き上げると、スピンMOSトランジスタ22Bに電流が流れなくなる(図12の時刻t4)。
【0073】
このような書き込み方法により、スピンMOSトランジスタ21Bに正の電流I5を流し、スピンMOSトランジスタ22Bに負の電流I6を流すことが可能となり、書き込みを行うことができる。なお、図12におけるノード51の電圧Vbit1とノード52の電圧Vbit2を入れ替えると、スピンMOSトランジスタ21Bに負の電流、スピンMOSトランジスタ22Bに正の電流を流すことができる。
【0074】
以上説明したように、第3実施形態においては、スピンMOSトランジスタ21BおよびスピンMOSトランジスタ21Bに逆向きのスピン注入磁化反転電流を流すことができるため、スピンMOSトランジスタ21BとスピンMOSトランジスタ21Bの抵抗状態を相補的にすることができる。
【0075】
なお、第3実施形態の書き込み方法では、ノード51、ノード52、およびノード31に電源電圧Vddを印加したが、電源電圧Vddより高い電圧を印加してもよい。また、第3実施形態の書き込み方法では、ノード51、ノード52、およびノード32に基準電圧GNDを印加したが、基準電圧GNDより低い電圧を印加してもよい。
【0076】
また、上記書き込み方法では、スピンMOSトランジスタ21Bに正の電流を流す手順を先にしたが、スピンMOSトランジスタ22Bに負の電流を流す手順を先に行ってもかまわない。
【0077】
以上説明したように、第3実施形態によれば、不揮発性メモリ素子としてスピンMOSトランジスタを用いているので、MTJ素子を用いた場合と異なり、動作マージンの低下を抑制することができるとともにMOSトランジスタの抵抗値のばらつきによる誤動作を抑制することができる。
【0078】
また、第3実施形態によれば、スピンMOSトランジスタがインバーターループの外側にあるため、メモリの動作マージンを下げる要因が更に小さくなり、容易に大きな動作マージンを得ることができる。
【0079】
また、第3実施形態によれば、スピンMOSトランジスタ21B、22Bを同一プロセスにより作製することにより、電気特性のばらつきが非常に小さいために、高い歩留りの不揮発性メモリ回路を得ることができる。
【0080】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による不揮発性メモリ回路を図13に示す。第4実施形態の不揮発性メモリ回路は、メモリセル1Cを備えている。このメモリセル1Cは、図11に示す第3実施形態のメモリセル1Bにおいて、n型スピンMOSトランジスタからなるパストランジスタ21B、22Bをp型スピンMOSトランジスタからなるパストランジスタ21C、22Cに置き換えた構成となっている。p型スピンMOSトランジスタ21C、22Cは略同じ電気特性を有している。
【0081】
なお、第4実施形態においても、スピンMOSトランジスタ21CおよびスピンMOSトランジスタ22Cは、一方が低抵抗状態で、他方が高抵抗状態であるように設定されている。
【0082】
次に、第4実施形態のメモリセル1Cにおける電源の立ち上がりの動作を説明する。まず、ノード41の電圧を基準電圧GNDにする。続いて、ノード51の電圧Vbit1およびノード52の電圧Vbit2を電源電圧Vddとする。図2に示すように、ノード31の電圧Vspを電源電圧Vddに固定し、ノード32の電圧Vgを電源電圧Vddから基準電圧GNDまで下げる。
【0083】
第4実施形態において、スピンMOSトランジスタ21Cが低抵抗状態で、スピンMOSトランジスタ22Cが高抵抗状態であるように設定した場合、図2に示す場合と同様にノード33の電圧V1とノード34の電圧V2の電圧差が徐々に大きくなる。時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1がHレベルとなり、ノード34の電圧V2がLレベルとなる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ状態は変わらない。
【0084】
また第4実施形態において、スピンMOSトランジスタ21Cが高抵抗状態、スピンMOSトランジスタ22Cが抵抗状態に設定し、図2に示す場合と同様の手順により動作をさせた場合において、時間τ2以降に判定すると、ノード33の電圧V1がLレベルとなり、ノード34の電圧V2がHレベルとなる。電源を切断し、再度電源を立ち上げた場合にもこのメモリ状態は変わらない。
【0085】
このように、第4実施形態のメモリセル1Cは、スピンMOSトランジスタ21C、22Cの抵抗状態により、2値のメモリ状態をとることが可能となり、2値の不揮発性メモリセルとなる。すなわち、この第4実施形態においては、スピンMOSトランジスタからなるパストランジスタ21C、22Cはメモリ部10Bとともにメモリとしても機能する。
【0086】
また、第4実施形態によれば、供給される電圧が低い電圧でも抵抗状態の変化があるスピンMOSトランジスタを用いているため、電圧差が大きくなり始める時間τ1を小さくすることが可能となり、メモリ状態が早く安定する。そのため、電気的ノイズに対して安定な不揮発性メモリ回路となる。
【0087】
次に、第4実施形態のメモリセル1Cの書き込み方法を、図14を参照して説明する。図14は、第4実施形態のメモリセル1Cの書き込み方法を説明するタイミングチャートである。
【0088】
図13において、スピンMOSトランジスタ21Cを流れる電流をI7とし、スピンMOSトランジスタ22Cを流れる電流をI8とする。その他の符号は第1実施形態と同様とする。なお、電流I7は、ノード33からスピンMOSトランジスタ21Cを通ってノード51に流れる向きを正とし、電流I8は、ノード34からスピンMOSトランジスタ22Cを通ってノード52に流れる向きを正とする。
【0089】
まず、ノード41の電圧を基準電圧GNDとし、ノード31の電圧Vspを電源電圧Vddとし、ノード32の電圧Vgを基準電圧GNDとする。その後、ノード51の電圧Vbit1を電源電圧Vddとし、ノード52の電圧Vbit2を基準電圧GNDとする(図14参照)。続いて、ノード51の電圧Vbit1を基準電圧GNDに引き下げると、ノード31からp型MOSトランジスタ11およびスピンMOSトランジスタ21Cを通ってノード51に正の電流I7が流れる(図14の時刻t1)。このとき、ノード34の電圧V2は低くMOSトランジスタ12AはOFF状態となり、MOSトランジスタ12Aには電流が流れない。また、ノード33の電圧V1は電源電圧Vddに近い高電圧となるため、p型MOSトランジスタ15はOFF状態となり、p型MOSトランジスタ15にはほとんど電流が流れない。その後、ノード51の電圧Vbit1を電源電圧Vddに引き上げると、スピンMOSトランジスタ21Cに電流が流れなくなる(図14の時刻t2)。次に、ノード52の電圧Vbit2を電源電圧Vddに引き上げると、ノード52からスピンMOSトランジスタ22Cおよびn型MOSトランジスタ16Aを通ってノード32に負の電流I8が流れる(図14の時刻t3)。このとき、ノード33の電圧V1は電源電圧Vddに近い高電圧となりMOSトランジスタ15はOFF状態となって、MOSトランジスタ15には電流が流れない。また、ノード34の電圧V2はMOSトランジスタ12Aの閾値電圧よりも低い電圧となるため、n型MOSトランジスタ12Aにはほとんど電流が流れない。その後、ノード52の電圧Vbit2を基準電圧GNDに引き下げると、スピンMOSトランジスタ22Cに電流が流れなくなる(図14の時刻t4)。
【0090】
このように、ノード51に電圧Vbit1およびノード52に電圧Vbit2を図14に示すような手順で高電圧と低電圧を印加することにより、スピンMOSトランジスタ21Cに正の電流I7を流し、スピンMOSトランジスタ22Cに負の電流I8を流すことが可能となり、情報を書き込むことができる。なお、図14におけるノード51の電圧Vbit1とノード52の電圧Vbit2を入れ替えると、スピンMOSトランジスタ21Cに負の電流、スピンMOSトランジスタ22Cに正の電流を流すことができる。
【0091】
第4実施形態の書き込み方法においては、ノード51、52、およびノード31に電源電圧Vddを印加したが、電源電圧Vddより高い電圧を印加してもよい。
【0092】
また、第4実施形態の書き込み方法では、ノード51、52、およびノード32に基準電圧GNDを印加したが、基準電圧GNDより低い電圧を印加してもよい。
【0093】
また、上記の書き込み方法では、スピンMOSトランジスタ21C、21Dに正の電流を流す手順を先にしたが、負の電流を流す手順を先に行ってもかまわない。
【0094】
また、第4実施形態ではスピンMOSトランジスタ21CおよびスピンMOSトランジスタ22Cに逆向きの磁化反転電流を流すことができるため、スピンMOSトランジスタ21CとスピンMOSトランジスタ22Cの抵抗状態を相補的にすることができる。
【0095】
以上説明したように、第4実施形態によれば、不揮発性メモリ素子としてスピンMOSトランジスタを用いているので、MTJ素子を用いた場合と異なり、動作マージンの低下を抑制することができるとともにMOSトランジスタの抵抗値のばらつきによる誤動作を抑制することができる。
【0096】
また、第4実施形態によれば、スピンMOSトランジスタ21C、22Cがインバーターループの外側にあるため、メモリの動作マージンを下げる要因が更に小さくなり、容易に大きな動作マージンを得ることができる。
【0097】
また、第4実施形態によれば、スピンMOSトランジスタ21C、22Cを同一プロセスにより作製することにより、電気特性のばらつきが非常に小さくなり、高い歩留りの不揮発性メモリ回路を得ることができる。
【0098】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態による不揮発性メモリ回路を図15に示す。この第5実施形態の不揮発性メモリ回路は、マトリクス状に配列された複数のメモリセル1と、ワード線WLと、ビット線BL1、BL2と、デコーダ回路101、102と、ドライバー回路201と、シンカー回路202とを備えている。メモリセル1は、第1乃至第4実施形態のいずれかによる不揮発性メモリ回路のメモリセルと同じ構成となっている。ワード線WLは、各行に対応して設けられ、対応する行のメモリセル1のノード41およびデコーダ回路101、102に接続されている。ビット線BL1、BL2は、各列に対応して設けられ、対応する列のメモリセル1のノード51、52にそれぞれ接続される。
【0099】
デコーダ回路101、102は、マトリクス状に配列された複数のメモリセルの行の選択を、ワード線WLを選択することにより行う。また、メモリセル1に書き込みおよび読み出しを行うために、デコーダ回路101には、各行に対して2個の選択トランジスタ111、113が設けられ、デコーダ回路102には、各行に対して2個の選択トランジスタ112、114が設けられている。選択トランジスタ111は、ゲートがデコーダ回路101に接続され、ドレインが電源電圧Vddに接続され、ソースが対応する行のメモリセル1のノード31に接続される。選択トランジスタ113はゲートがデコーダ回路101に接続され、ソースが基準電圧GNDに接続され、ドレインが対応する行のメモリセル1のノード32に接続される。選択トランジスタ112は、ゲートがデコーダ回路102に接続され、ソースが基準電圧GNDに接続され、ドレインが対応する行のメモリセル1のノード31に接続される。選択トランジスタ114は、ゲートがデコーダ回路102に接続され、ドレインが電源電圧Vddに接続され、ソースが対応する行のメモリセル1のノード32に接続される。すなわち、選択トランジスタ111および選択トランジスタ112は、デコーダ回路101およびデコーダ回路102によってそれぞれ選択され、選択トランジスタ113および選択トランジスタ114は、デコーダ回路101およびデコーダ回路102によってそれぞれ選択される。
【0100】
ドライバー回路201およびシンカー回路202は、マトリクス状に配列された複数のメモリセル1の列を選択し、選択した列のビット線BL1、BL2に電流を流す。このため、ドライバー回路201には、各列に対応して2つの選択トランジスタ211、213が設けられ、シンカー回路202には、各列に対応して2つの選択トランジスタ212、214が設けられる。選択トランジスタ211は、ゲートがドライバー回路201に接続され、ドレインに高電圧(例えば、電源電圧Vdd以上)が印加され、ソースが対応する列のビット線BL1に接続される。選択トランジスタ213は、ゲートがドライバー回路201に接続され、ドレインに高電圧が印加され、ソースが対応する列のビット線BL2に接続される。また、選択トランジスタ212は、ゲートがシンカー回路202に接続され、ソースに低電圧(例えば、基準電圧GND以下)が印加され、ドレインが対応する列のビット線BL1に接続される。選択トランジスタ214は、ゲートがシンカー回路202に接続され、ソースに低電圧が印加され、ドレインが対応する列のビット線BL2に接続される。
【0101】
これらの選択トランジスタ111、112、113、114、211、212、213、214は、多数のメモリセル1に対して、非常に小さな面積を占める。
【0102】
なお、図15では、高電圧と低電圧を印加できるようにしてあるが、高電圧を電源電圧Vddとし、低電圧を基準電圧GNDとすると、小面積となるためより好ましい。
【0103】
第5実施形態によれば、メモリセル内にトランジスタ数を増やすことなく不揮発性メモリ回路を構成できるため、高集積化な不揮発性メモリ回路を得ることが可能となる。
【0104】
以上説明したように、第1乃至第5実施形態の各実施形態の不揮発性メモリ回路によれば、メモリセルにスピンMOSトランジスタを用いており、スピンMOSトランジスタは不揮発性メモリ機能を有しているため、読出し動作もしくは書き込み動作をしないときは、電源を切ることができる。そのため、低消費電力なメモリ回路を実現できる。また、メモリは不揮発性であり、電源投入する毎にメモリセルへの書き込みをしなくてすむという利点がある。不揮発性メモリであるために突然の電源が切断されてもメモリ情報を消失しないですむという利点がある。また、突然の電源が切断されてもメモリ情報が維持されているので、バックアップ用のメモリが不要となり、システム全体を小さくすることができる。
【0105】
これにより、各実施形態の不揮発性メモリ回路は、揮発性メモリのバックアップに利用するロジックインメモリに利用することができる。
【0106】
また、各実施形態の不揮発性メモリ回路は、パワーゲーティング技術を用いる回路のメモリに利用することができる。
【0107】
また、各実施形態の不揮発性メモリ回路は、FPGA(Field Programmable Gate Array)のコンフィギュレーションメモリとして利用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 メモリセル
1A メモリセル
1B メモリセル
1C メモリセル
10 メモリ部
10A メモリ部
10B メモリ部
11 p型MOSトランジスタ
11A p型スピンMOSトランジスタ
12 n型スピンMOSトランジスタ
12A n型MOSトランジスタ
15 p型MOSトランジスタ
15A p型スピンMOSトランジスタ
16 n型スピンMOSトランジスタ
16A n型MOSトランジスタ
21 n型MOSトランジスタ
21A p型MOSトランジスタ
21B n型スピンMOSトランジスタ
21C p型スピンMOSトランジスタ
22 n型MOSトランジスタ
22A p型MOSトランジスタ
22B n型スピンMOSトランジスタ
22C p型スピンMOSトランジスタ
31 ノード
32 ノード
41 ノード
51 ノード
52 ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型MOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型スピンMOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型スピンMOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のn型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のn型MOSトランジスタと、
を備えていることを特徴とする不揮発性メモリ回路。
【請求項2】
前記第1の配線の電圧をHレベル、前記第2の配線の電圧をLレベル、前記第4の配線の電圧をHレベルに設定し、前記第3および第5の配線の一方の配線に印加する電圧をHレベルにし他方の配線に印加する電圧をLレベルにした後、前記一方の配線の電圧をLレベルにするかまたは前記他方の配線の電圧をHレベルにすることにより、前記第1および第2のn型スピンMOSトランジスタの一方に電流を流して前記一方のn型スピンMOSトランジスタに書き込みを行うことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ回路。
【請求項3】
前記第1の配線の電圧をHレベル、前記第2の配線の電圧をLレベル、前記第4の配線の電圧をHレベルに設定し、前記第3および第5の配線の一方の配線に印加する電圧をHレベルにし他方の配線に印加する電圧をLレベルにした後、前記第2の配線の電圧をHレベルにすることにより、前記第1および第2のn型スピンMOSトランジスタの一方に電流を流して前記一方のn型スピンMOSトランジスタに書き込みを行うことを特徴とする請求項1または2記載の不揮発性メモリ回路。
【請求項4】
ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型スピンMOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型スピンMOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型スピンMOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型スピンMOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型スピンMOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型スピンMOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型スピンMOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のp型MOSトランジスタと、
を備えていることを特徴とする不揮発性メモリ回路。
【請求項5】
前記第1の配線の電圧をHレベル、前記第2の配線の電圧をLレベル、前記第4の配線の電圧をLレベルに設定し、前記第3および第5の配線の一方の配線に印加する電圧をHレベルにし他方の配線に印加する電圧をLレベルにした後、前記一方の配線の電圧をLレベルにすることにより、前記第1および第2のp型スピンMOSトランジスタの一方に電流を流して前記一方のp型スピンMOSトランジスタに書き込みを行うことを特徴とする請求項4記載の不揮発性メモリ回路。
【請求項6】
前記第1の配線の電圧をHレベル、前記第2の配線の電圧をLレベル、前記第4の配線の電圧をLレベルに設定し、前記第3および第5の配線の一方の配線に印加する電圧をHレベルにし他方の配線に印加する電圧をLレベルにした後、前記第1の配線の電圧をLレベルにすることにより、前記第1および第2のp型スピンMOSトランジスタの一方に電流を流して前記一方のp型スピンMOSトランジスタに書き込みを行うことを特徴とする請求項4または5記載の不揮発性メモリ回路。
【請求項7】
ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型MOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のn型スピンMOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のn型スピンMOSトランジスタと、
を備えていることを特徴とする不揮発性メモリ回路。
【請求項8】
前記第1の配線の電圧をHレベル、前記第2の配線の電圧をLレベル、前記第4の配線の電圧をHレベルに設定し、前記第3および第5の配線の一方の配線に印加する電圧をHレベルにし他方の配線に印加する電圧をLレベルにした後、前記一方の配線の電圧をLレベルにするかまたは前記他方の配線の電圧をHレベルにすることにより、前記第1および第2のn型スピンMOSトランジスタの一方に電流を流して前記一方のn型スピンMOSトランジスタに書き込みを行うことを特徴とする請求項7記載の不揮発性メモリ回路。
【請求項9】
ソースおよびドレインのうちの一方である第1の電極と、他方である第2の電極とを有し前記第1の電極が第1の配線に接続された第1のp型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第3の電極と、他方である第4の電極とを有し前記第3の電極が前記第1の配線に接続され前記第4の電極が前記第1のp型MOSトランジスタのゲートに接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のp型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第5の電極と、他方である第6の電極とを有し前記第5の電極が第2の配線に接続され前記第6の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続されゲートが前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続された第1のn型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第7の電極と、他方である第8の電極とを有し前記第7の電極が前記第2の配線に接続され前記第8の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続されゲートが前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続された第2のn型MOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第9の電極と、他方である第10の電極とを有し前記第9の電極が前記第1のp型MOSトランジスタの前記第2の電極に接続され前記第10の電極が第3の配線に接続されゲートが第4の配線に接続された第1のp型スピンMOSトランジスタと、
ソースおよびドレインのうちの一方である第11の電極と、他方である第12の電極とを有し前記第11の電極が前記第2のp型MOSトランジスタの前記第4の電極に接続され前記第12の電極が第5の配線に接続されゲートが前記第4の配線に接続された第2のp型スピンMOSトランジスタと、
を備えていることを特徴とする不揮発性メモリ回路。
【請求項10】
前記第1の配線の電圧をHレベル、前記第2の配線の電圧をLレベル、前記第4の配線の電圧をLレベルに設定し、前記第3および第5の配線の一方の配線に印加する電圧をHレベルにし他方の配線に印加する電圧をLレベルにした後、前記一方の配線の電圧をLレベルにするかまたは前記他方の配線の電圧をHレベルにすることにより、前記第1および第2のp型スピンMOSトランジスタの一方に電流を流して前記一方のp型スピンMOSトランジスタに書き込みを行うことを特徴とする請求項9記載の不揮発性メモリ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−165258(P2011−165258A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25821(P2010−25821)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノテクノロジープログラム/ナノテク・先端部材実用化研究開発/高スピン偏極率材料を用いたスピンMOSFETの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】