説明

セキュリティシステム

【課題】セキュリティシステムの信頼性を高める。
【解決手段】パスワード判別手段12には、正規のパスワードおよびNGパスワードを記憶する記憶手段14が接続されている。この記憶手段14には、ワード設定手段15にて設定される正規のパスワードとともに、ユーザーが他人により不正利用する際に使用すると考えられるNGパスワードが記憶される。前記入力されたパスワードが正規のパスワードであるかどうかを判別する際に、パスワード判別手段12において、記憶手段14より正規のパスワードおよびNGパスワードが読み込まれ、それらと前記入力されたパスワードとが比較され、判別される。信号出力手段13は、NGパスワードであるか不正なパスワードであるかに応じて異なる信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報処理技術の分野では、コンピュータシステム等の情報処理資源や、特定のデータ等へのアクセスを制限する方法として、パスワードにてユーザー認証を行うことが広く知られている。
【0003】
そのようなパスワードを利用するシステムは、その手軽さから金融機関のATM、クレジットカード、電子錠などの多岐多様にわたって利用されている。
【0004】
しかしながら、ユーザーは一般に覚えやすいパスワードを設定するため、「生年月日」や「電話番号」を使用することが多く、カードを盗まれた場合などにおいて、そのパスワードが、盗難犯に簡単に知られてしまうおそれがあった。また、パスワードの入力を何度か間違うと、操作ができなくなるものも存在していたが、些細な入力ミスの場合もあり、操作できなくなると不便であった。
【0005】
そこで、パスワードによってセキュリティを保持するセキュリティシステムであって、正規のパスワードを記憶するパスワード記憶手段と、不正入力される可能性のある一ないし複数のブービー番号を記憶するブービー番号記憶手段と、番号を入力するための入力手段と、該入力手段により入力された番号と、前記パスワード記憶手段に記憶されているパスワード、または/および前記ブービー番号記憶手段に記憶されているブービー番号とを照合する番号判別手段と、該番号判別手段による照合の結果、入力番号がパスワードと一致した場合は正常であると判断し、所定の装置に対して正常対応動作を命令する一方、入力番号がブービー番号と一致した場合は異常であると判断し、所定の装置に対して異常対応動作を命令する制御手段と、を備えてなるものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1記載の技術によれば、不正入力される可能性がある番号(例えば真正者の生年月日や電話番号等)をブービー番号に設定しておけば、盗難犯などの不正者がその番号を入力した場合、システムは異常であると判断し、警報や施錠等の異常対応動作を命令する。一方、真正者が、自己のパスワードを1文字入力ミスするなどして些細な入力ミスを行っても、システムは特に異常対応動作を命令することはない。従って、不正者による一般的な不正入力を禁止することができるとともに、真正者の些細な入力ミスを許容することができる。
【特許文献1】特開2005−150925号公報(段落0026〜0048および図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の技術では、入力された番号が、正規なパスワードおよびブービー番号以外の場合は、些細な入力ミスとして、システムは特に異常対応動作を命令することはないが、些細な入力ミスでない場合もあり、セキュリティシステムの信頼性が十分とはいえない。
【0008】
本発明は、セキュリティシステムの信頼性を、より高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、パスワードを入力する入力手段と、この入力手段を通じて入力されたパスワードが正規のパスワードであるか否かを判別するパスワード判別手段と、このパスワード判別手段よりの信号を受け、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に所定の装置に動作許可信号を出力する信号出力手段とを備えるセキュリティシステムにおいて、前記正規のパスワードとともに、他人により不正利用される際に他人が使用するとユーザーが考えるNGパスワードを設定するワード設定手段と、前記ワード設定手段にて設定された正規のパスワードおよびNGパスワードを記憶する記憶手段とを備え、前記パスワード判別手段は、前記入力されたパスワードが前記正規のパスワードでない場合に、前記入力されたパスワードが、NGパスワードであるか、あるいは前記正規のパスワードおよびNGパスワード以外の不正なパスワードであるかを判別し、前記信号出力手段は、NGパスワードであるか不正なパスワードであるかに応じて異なる信号を出力する構成とされていることを特徴とする。ここで、「NGパスワード」は、任意に、1つ以上をユーザーが設定する。「不正なパスワード」とは、前記正規のパスワードおよびNGパスワード以外のパスワードで、操作間違いで入力されたパスワードなどが該当する。
【0010】
このようにすれば、明らかに悪意があると判断され緊急性を要するNGパスワードが入力された場合と、ユーザー本人が間違えて入力する場合を含む不正なパスワードが入力された場合とで、信号出力手段が異なる信号を出力するようにしているので、緊急性を要するNGパスワードが入力された場合と、それほど緊急性を必要としない不正なパスワードが入力された場合とで、緊急性の程度に応じて防犯動作を変更することができる。
【0011】
請求項2に記載のように、さらに、前記入力手段によるパスワードの入力状態を撮影可能である防犯カメラ手段と、ユーザーが携帯する携帯端末とを備え、前記信号出力手段は、前記入力されたパスワードが不正なパスワードであると判別された場合には、前記携帯端末に、ユーザーの注意を喚起する警戒通報とともに前記防犯カメラ手段にて撮影した画像情報を送信する構成とされている構成とすることもできる。ここで、警戒通報と画像情報との送信は、ユーザー本人が間違えてパスワードを入力してしまうことも考えられるため、不正なパスワードが入力されてから前記送信の動作を行なうまでの入力回数は任意に設定が可能である。例えば、不正入力許容回数を3回と設定しておけば、3回までの入力ミスでは前記送信の動作が実行されないことになる。
【0012】
このようにすれば、入力されたパスワードが不正なパスワードであると判別された場合には、NGパスワードが入力された場合に比べて緊急性を必要としないと考えられるので、ユーザーが指定した任意の携帯端末(例えば、携帯電話)に、ユーザーの注意を喚起するための警戒通報が送信される。さらに、防犯カメラ手段からWEB経由で、前記防犯カメラ手段にて撮影した画像情報が携帯端末に転送される。これにより、ユーザーは不正なパスワードが入力されたことと、それを入力した操作者とが同時にわかることになる。これによって、携帯端末の保持者は、犯罪行為であるか、単なる間違いによる行為であるかが直ちに判断することができ、次の行為に速やかに移行することができる。
【0013】
請求項3に記載のように、前記所定の装置は、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に解錠される電子錠で、前記携帯端末は、前記警戒通報とともに画像情報を受信した場合には、ユーザーが前記画像情報を確認し、前記電子錠の解錠信号あるいは施錠維持信号を送信可能な構成とされることが望ましい。
【0014】
このようにすれば、前記画像情報に基づく情報を確認したユーザーがその携帯端末を操作することで、電子錠の解錠、施錠維持、威嚇、通報等の処置を行なうことができる。
【0015】
請求項4に記載のように、前記所定の装置は、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に解錠される電子錠で、前記信号出力手段は、前記入力されたパスワードがNGパスワードであると判別された場合には、警察あるいは警備会社への通報を出力し、前記電子錠に対し施錠状態を維持させる信号を出力する構成とすることができる。ここで、警察あるいは警備会社への通報に加えて、その通報をユーザーの携帯端末に転送するようにしてもよいのは、もちろんであり、その場合には、単に施錠状態を維持させるだけでなく、マスターキーを差込む等の機械的動作をしないと解錠できなくする等の措置をとるようにすることもできる。
【0016】
このようにすれば、前記入力されたパスワードがNGパスワードであると判別された場合には、緊急性を要するので、直ちに、信号出力手段によって、警察あるいは警備会社への通報が出力され、前記電子錠に対し施錠状態を維持させる信号が出力される。
【0017】
例えば、ATMが設置されている部屋の出入り口のドアに設けた電子錠であれば、NGパスワードが入力された場合には、前記で入り口の電子錠を施錠し、犯人の逃走を阻害することができる。この例の場合には、併せてキャッシュカードを無効とし、警報器を鳴らす等の防犯動作を行なうことも可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明は、明らかに悪意があると判断され緊急性を要するNGパスワードが入力された場合と、ユーザー本人が間違えて入力する場合を含む不正なパスワードが入力された場合とで、信号出力手段が異なる信号を出力するようにしているので、緊急性を要するNGパスワードが入力された場合と、それほど緊急性を必要としない不正なパスワードが入力された場合とで、緊急性の程度に応じて防犯動作を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0020】
図1は本発明に係るセキュリティシステムの概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、本発明に係るセキュリティシステム1は、パスワードを入力する入力手段11と、この入力手段11を通じて入力されたパスワードが正規のパスワードであるか否かを判別するパスワード判別手段12と、このパスワード判別手段12よりの信号を受け、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に所定の装置である電子錠21に動作許可信号を出力する信号出力手段13とを備える。この電子錠21は、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に解錠されるように構成されている。
【0022】
パスワード判別手段12には、正規のパスワードおよびNGパスワードを記憶する記憶手段14が接続されている。この記憶手段14には、ワード設定手段15にて設定される正規のパスワードとともに、他人により不正利用される際に他人が使用するとユーザーが考えるNGパスワードが記憶される。前記入力されたパスワードが正規のパスワードであるかどうかを判別する際に、パスワード判別手段12において、記憶手段14より正規のパスワードおよびNGパスワードが読み込まれ、それらと前記入力されたパスワードとが比較され、判別される。
【0023】
つまり、パスワード判別手段12は、前記入力されたパスワードが正規のパスワードでない場合に、前記入力されたパスワードが、NGパスワードであるか、あるいは正規のパスワードおよびNGパスワード以外の不正なパスワードであるかを判別することになる。
【0024】
信号出力手段13は、NGパスワードであるか不正なパスワードであるかに応じて異なる信号を出力する構成とされている。なお、不正なパスワードの場合には、その入力回数をカウンタ16にてカウントし、3回以上不正なパスワードが入力された場合に、送信する構成としてもよい。
【0025】
また、入力手段11付近には、入力手段11によるパスワードの入力状態を撮影可能である防犯カメラ手段22が設けられている。そして、この防犯カメラ手段22にて入力手段11付近を撮影した画像情報が、信号出力手段13に入力されるようになっている。この画像情報は、アンテナ17を通じて、ユーザーが携帯する携帯端末23に転送できるように構成されている。つまり、信号出力手段13は、前記入力されたパスワードが不正なパスワードであると判別された場合には、携帯端末23に、ユーザーの注意を喚起する警戒通報とともに防犯カメラ手段22にて撮影した画像情報を送信する構成とされている。
【0026】
図2に示すように、上記のように構成すれば、入力手段11を通じてのパスワードの入力によりセキュリティ動作が開始され、まず、パスワード判別手段12において、前記入力されたパスワードと、記憶手段14に記憶されている正規のパスワードあるいはNGパスワードとを比較することにより、前記入力されたパスワードが、(i)正規のパスワードであるか、(ii)NGパスワードであるか、あるいは(iii)正規のパスワードおよびNGパスワード以外の不正なパスワードであるかを判別する処理が実行される(ステップS11)。
【0027】
つまり、正規のパスワードである場合には、解錠され(ステップS12)、そのまま終了する。正規のパスワードではない場合には、前記入力されたパスワードが、緊急性を要するNGパスワードであるか否かの判別が行われる(ステップS13)。
【0028】
NGパスワードであると判別された場合には、信号出力手段13は、緊急信号として、警察あるいは警備会社への通報を出力し、電子錠21に対し、解錠状態にあるときには施錠させる信号を、施錠状態にあるときにはその施錠状態を維持させる信号をそれぞれ出力する(ステップS14)。一方、正規のパスワードやNGパスワードではない不正なパスワードであると判別された場合には、時間的に余裕があると考えられるので、ユーザーの注意を喚起する警戒通報とともに防犯カメラ手段22による画像情報が携帯端末23に送信される(ステップS15)。
【0029】
そして、図3に示すように、携帯端末23は、前記警戒通報とともに画像情報を受信した場合(ステップS21,ステップS22)には、それらに基づきユーザーが異常事態の発生であるかどうかを判断する(ステップS23)。異常事態でなければ、携帯端末23から電子錠21の解錠信号を送信する(ステップS24)。一方、異常事態である場合には、通報の必要があるかどうか判定し(ステップS25)、警察あるいは警備会社への通報の必要があれば、通報を送信し(ステップS26)、必要がなければ、そのまま終了する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るセキュリティシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記セキュリティシステムでの処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】前記システムで用いられる携帯端末での処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0031】
1 セキュリティシステム
11 入力手段
12 パスワード判別手段
13 信号出力手段
14 記憶手段
15 ワード設定手段
16 カウンタ
21 電子錠
22 防犯カメラ手段
23 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスワードを入力する入力手段と、この入力手段を通じて入力されたパスワードが正規のパスワードであるか否かを判別するパスワード判別手段と、このパスワード判別手段よりの信号を受け、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に所定の装置に動作許可信号を出力する信号出力手段とを備えるセキュリティシステムにおいて、
前記正規のパスワードとともに、他人により不正利用される際に他人が使用するとユーザーが考えるNGパスワードを設定するワード設定手段と、
前記ワード設定手段にて設定された正規のパスワードおよびNGパスワードを記憶する記憶手段とを備え、
前記パスワード判別手段は、前記入力されたパスワードが前記正規のパスワードでない場合に、前記入力されたパスワードが、NGパスワードであるか、あるいは前記正規のパスワードおよびNGパスワード以外の不正なパスワードであるかを判別し、
前記信号出力手段は、NGパスワードであるか不正なパスワードであるかに応じて異なる信号を出力する構成とされていることを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項2】
前記入力手段によるパスワードの入力状態を撮影可能である防犯カメラ手段と、ユーザーが携帯する携帯端末とを備え、
前記信号出力手段は、前記入力されたパスワードが不正なパスワードであると判別された場合には、前記携帯端末に、ユーザーの注意を喚起する警戒通報とともに前記防犯カメラ手段にて撮影した画像情報を送信する構成とされていることを特徴とする請求項1記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
前記所定の装置は、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に解錠される電子錠で、
前記携帯端末は、前記警戒通報とともに画像情報を受信した場合には、ユーザーが前記画像情報を確認し、前記電子錠の解錠信号あるいは施錠維持信号を送信可能な構成とされることを特徴とする請求項2記載のセキュリティシステム。
【請求項4】
前記所定の装置は、前記入力されたパスワードが正規のパスワードである場合に解錠される電子錠で、
前記信号出力手段は、前記入力されたパスワードがNGパスワードであると判別された場合には、警察あるいは警備会社への通報を出力し、前記電子錠に対し施錠状態を維持させる信号を出力する構成とされることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−33772(P2008−33772A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208332(P2006−208332)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】