説明

セリン/トレオニンキナーゼを調節または制御するための化合物、その調製のための方法、医薬組成物、化合物の使用、方法ならびにセリン/トレオニンキナーゼ調節剤

本発明の主題は、セリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼを調節または制御するための化合物、その調製のための方法、医薬組成物、化合物の使用、方法ならびにセリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼ調節剤である。本発明は、医薬品として優れた特性を有するキナーゼ阻害活性を備えた新規な小分子化合物、その製造方法およびその使用方法に関する。具体的には、本発明は、優れた薬理作用を示し、病状、特に、これらに限定されないが白血病および固形腫瘍などのセリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼに依存するがんの治療に有用である、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害特性を有するテトラハロゲン化ベンズイミダゾールの新規な誘導体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、セリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼを調節または制御するための化合物、その調製のための方法、医薬組成物、化合物の使用、方法ならびにセリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼ調節剤に関する。したがって、本発明はとりわけ、医薬品として優れた特性を備えたキナーゼ阻害活性を有する新規な小分子化合物、その製造方法およびその使用に関する。特に、本発明は、セリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害特性を備えたテトラハロゲン化ベンズイミダゾールの新規な誘導体であって、そのキナーゼが好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼからなる群から選択され、その誘導体がとりわけ優れた薬理作用を示し、特にセリン/トレオニンキナーゼに依存するがん、例えば白血病、リンパ腫および固形腫瘍などの病状の治療に有用な誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
キナーゼは、他のタンパク質にリン酸基を化学的に付加する(リン酸化と称されるプロセス)ことによってそのタンパク質を修飾する酵素である。標的とされたタンパク質のリン酸化は、その活性の機能的変化をもたらすだけでなく、他のタンパク質との会合、輸送(traffiking)および細胞内局在化を修飾することもできる。キナーゼによって、すべてのタンパク質の最大で30%を修飾することができると推定されている。このため、キナーゼは細胞経路の大部分、特にシグナル伝達に関与する細胞経路の主要制御因子である。キナーゼは現在、最も興味深くかつ最も広範に研究されている薬物標的の1つである。現在追求されている治療的阻害のための新規なキナーゼ標的の中で、PIMキナーゼは明らかに、最も興味深い新たな分子標的の1つである。セリン−トレオニンキナーゼのPIMファミリーは、細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たし、細胞生存、炎症、細胞運動およびストレス応答に関与する経路に寄与する3つの高度に相同なタンパク質PIM−1、−2および−3を含む。
【0003】
およそ15年前、PIM−1遺伝子は、腫瘍形成(tumorogenesis)に関与する新規な遺伝子を見出そうとして設計された実験において、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)のプロウイルス挿入部位として特定された。これらの発見によって、PIM−1が、癌原遺伝子であり悪性形質転換の過程における重要な立役者であることが確立された(Nagarajanら、1986年)。ヒトにおいては、PIM−1遺伝子は染色体6p21.1〜p21.31に位置する(Zakut-Houriら、1987年)。PIM−1遺伝子は約5kbからなり、6つのエクソンと5つのイントロンを含む。そのcDNAは、マウス対応物に対して94%の相同性を有する313コドンのオープンリーディングフレームを含む。RNA転写物は2.9キロベース(kb)の長さである(Sarisら、1991年)。この遺伝子の発見のすぐ後に、PIM−1タンパク質は、CAMKキナーゼ(カルシウム/カルモデュリン制御キナーゼのグループ)に属するセリン/トレオニンキナーゼと特定された(Sarisら、1991年;Reevesら、1990年)。PIM−1タンパク質は、ATPアンカー、キナーゼドメインおよび活性部位を含む。ヒトおよびマウスにおいては、選択的開始コドン(44kDaおよび33kDa)と関連する2つの形態のPIM−1が存在する。両方の形態とも比較的短い半減期を有するが、44kDaアイソフォームはより安定なようである。PIM−1キナーゼの活性は細胞の細胞質、核画分および膜において見出される。2つのアイソフォームは異なる細胞内局在性を有する。44kDaは主に原形質膜に存在し、33kDaは細胞核および細胞質に存在する。2005年に得られたPIM−1の結晶構造より、PIM−1が構成的に活性なキナーゼであり、AktまたはMAPKキナーゼのような他の多くのキナーゼとは対照的に、PIM−1はそのキナーゼ活性のために追加的なリン酸化を必要としないが、このタンパク質のリン酸化はその安定性に寄与できることが明らかになっている(Qianら、2005a;Qianら、2005b)。得られた結晶構造によって、PIM−1キナーゼドメインの異常な構造的特徴の発見も可能になった。最も顕著なことには、ヒンジ領域は特に興味深い2つの特徴、すなわち挿入残基ならびにプロリン残基(Pro123)を示す。これらは一緒になって、他のタンパク質キナーゼと全く異なるATP−および阻害剤結合領域を形成する。PIM−1キナーゼの基質認識配列は、選択的ペプチドマッピングによって特定されている((K/R)3−X−S/T−XまたはR/K−R/K−R−R/K−X−S/T−Xである。ここで、Xは小さい側鎖を有するが塩基性でも酸性でもないアミノ酸(aa)残基である)(Pengら、2007年)。発癌性形質転換およびがん発生におけるPIM−1関与の分子機構に関して、細胞周期進行の刺激、mTOR経路の同時活性化、アポトーシスの阻害、c−Mycの転写同時活性化、薬物耐性の促進および細胞移動のような、PIM−1キナーゼによって制御されるいくつかの過程を指摘することができるが、転移PIMキナーゼ過剰発現は、びまん性B細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病および急性骨髄性白血病などの造血器悪性腫瘍から前立腺がんおよび膵臓がんなどの固形腫瘍に及ぶ様々な種類のがんにおいて報告されている。PIM−1遺伝子の変異の獲得は、濾胞性リンパ腫(FL)およびB−慢性リンパ球性白血病(B−CLL)のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)への組織学的転換に関連した分子機構の1つである可能性がある(Rossiら、2006年)。PIM−1遺伝子の変異は、AIDS関連非ホジキンリンパ腫(Gaidanoら、2003年)、HCV感染B細胞NHL患者(Libraら、2005年)、中枢神経系リンパ腫(PCNSL)(Montesinos-Rongenら、2004年)、節外性DLBCL症例および原発性皮膚辺縁帯B細胞リンパ腫(PCMZL)(Deutschら、2009;Deutschら、2007年)、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(PMLBCL)(Martelliら、2008年)の場合にも検出されている。PIM−1キナーゼは、エプスタイン・バーウイルス感染B細胞において上方調節され、そこで、増殖形質転換および感染B細胞の不死化に必須のEBNA2タンパク質の転写活性を増進させる。PIM−1キナーゼのこの作用機序は、不死化B細胞が悪性形質転換を受け易いようにする可能性がある(Rainioら、2005年)。Amsonによって1989年に実施された初期研究は、PIM−1キナーゼの33kDaアイソフォームが、分析したサンプル(分析した70の造血器悪性腫瘍(51の患者および19の細胞系)のうち)の約30%において過剰発現しており、これは、骨髄性およびリンパ球性急性白血病の発症におけるこのキナーゼの役割を指すことを示している(Amsonら、1989年)。この発見は、種々のヒト臨床白血病ならびに骨髄およびリンパ球細胞系における高いレベルのPIM−1キナーゼを示す様々な他の研究においてさらに確認されている(Meekerら、1990年)。例えば、PIM−1キナーゼは白血病誘発に関わっており、このキナーゼの異常な発現レベルは、Runx転写因子のリン酸化および活性化によって悪性形質転換に関係している可能性がある(Ahoら、2006年;Kimら、2008年)。染色体転座および点変異は十分に裏付けされており、RUNX白血病においてよくある遺伝子変化である(Pentherら、2002年;Osato and Ito、2005年)。PIM−1はまた、急性骨髄性白血病(AML)の発症においても重要な役割を果たすようである。いくつかの報告により、FLT3(Fms様チロシンキナーゼ3)キナーゼによる下流シグナル伝達におけるPIM−1キナーゼの役割が指摘されている。受容体チロシンキナーゼFLT3の内部直列重複(ITD)変異を構成的に活性化させることは白血病誘発において重要な役割を果たしており、その存在は、AMLにおける不良な予後と関係する。構成的なFLT3シグナル伝達は白血病細胞におけるPIM−1レベルを上方調節し、FLT3の膜近傍ドメインは、この上方調節に求められる重要なドメインである(Kimら、2005年;Vuら、2009年)。興味深いことに、この下流シグナル伝達は、STAT5、AktおよびMAPKシグナル伝達から独立しているようである。PIM−1キナーゼの上方調節はFLT3シグナル伝達によって誘発される増殖および抗アポトーシス経路に寄与しており、作用の主要抗アポトーシス機序はPIM−1依存性Badリン酸化である(Kimら、2006年)。FLT3と同様に、PIM−1キナーゼは、Bcr−Abl融合タンパク質によっても上方調節され、慢性骨髄性白血病の主な原因である。Bcr/AblキナーゼのHckキナーゼ(造血性細胞キナーゼ)とのSH3/SH2媒介相互作用は、Hckの活性化および重要なTyr699残基上でのSTAT5Bのリン酸化をもたらす。活性化されたSTAT5Bは、Bcr/Ablによって媒介されるインビトロでの形質転換およびインビボでの白血病誘発に必須の重要因子である、PIM−1キナーゼおよびA1タンパク質のような下流エフェクターの発現を刺激する(Klejmanら、2002年;Nieborowska-Skorskaら、2002年)。PIM−1の阻害が、がん細胞におけるBcr/Abl媒介形質転換を克服するのに十分でないようであるのに対して、Adamらによる素晴らしい研究によって、PIM−1およびPIM−2はここで重複した役割を果たし、2つのキナーゼの同時標的化は、小分子チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を克服するための興味ある治療選択肢である可能性があることが示されている(NosakaおよびKitamura、2002年;Adamら、2006年)。前立腺がんの発症におけるPIM−1キナーゼの関与はこの数年にわたって広範囲に研究されてきており、臨床上の重要性および治療指標のための理論的根拠のいくつかの例が提供されている。2001年にすでにマイクロアレイスクリーンにおいて、PIM−1発現はその疾患の臨床成績と相関することが示されており、血清中のPSAレベルについての標準的な診断検査より優れたマーカーであることが示唆されている(Dhanasekaranら、2001年)。これはさらに、他のグループによって行われた研究で確認されている(Cibullら、2006年;Xuら、2005年;Thompsonら、2003年;Valdmanら、2004年)。ヒト前立腺がん細胞におけるPIM−1の過剰発現は、有糸分裂の紡錘体チェックポイント、中心体増幅、染色体のミスアグレゲーション(misaggregation)および倍数性を覆すことによって、ゲノムの不安定性を誘発させる。PIM−1キナーゼが不死化された非腫瘍形成性のヒト細胞において過剰発現すると、これらの細胞は腫瘍形成性になる(Rohら、2008年;Rohら、2003年)。Zemskovaおよびその同僚らによる非常に興味深い発見は、前立腺がん治療におけるPIM−1キナーゼ阻害剤の追加的な使用を支持している。驚くべきことに、標準的治療であるドセタキセルを用いた前立腺がん細胞の治療は、STAT3リン酸化およびPIM−1遺伝子の転写上方調節を誘発する。ノックダウンおよび阻害剤実験で示されているように、PIM−1キナーゼの発現は、ドセタキセル治療後のこれらの細胞の生存に不可欠である。このデータは、ドセタキセル耐性を有する患者での併用療法における新規な小分子キナーゼ阻害剤のさらなる試験を支持している(Zemskovaら、2008年)。Beierらによる広範囲な研究において、非腫瘍性組織と比較して細胞について実施された免疫組織化学実験では、侵襲性頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC)の98%(41/42)においてPIM−1タンパク質の過剰発現が示されている。この研究は、原発腫瘍および転移バイオプシーを用いて繰り返されており、PIM−1発現の組織学的腫瘍とのほぼ有意な相関関係を示し、HNSCC発症におけるPIM−1の役割を明確に示している(Beierら、2007年)。この発見と合わせて、PIM−1の中程度または高度の発現および核局在化は、頭頸部の扁平上皮細胞がんにおける放射線応答の予測とも関連している(Peltolaら、2009年)。
【0004】
PIM−2はPIMキナーゼファミリーの第2のメンバーである。機能的に、PIM−2はAkt/mTOR経路と重なるが、独立に制御されることが注目されている。PIM−2とAkt1キナーゼはどちらも、Cotキナーゼのリン酸化によってNFκB依存型転写を制御する(Kaneら、2002年;Hammermanら、2004年)。PIM−2発現は高いレベルのNF−κB活性を維持し、PIM−2によるNF−κB活性化はその抗アポトーシス機能のために必要であることが示されている。さらに、これらのデータは、NFκBのCot依存型活性化が、受容体開始キナーゼカスケードの直接的な結果としてより、PIM−2の転写誘導によって起こり得ることを示唆している。いくつかの報告によってPIM−2は、腫瘍形成の推進においてPIM−1をある程度置き換えるかまたはそれと協働することができることが示されている。両方のキナーゼはBadタンパク質のようなその標的の一部を共有するので、それらはどちらも、アポトーシスの誘発を阻止する生存促進性キナーゼとして作用する(Yanら、2003年;Ahoら、2004年)。PIM−1とPIM−2はどちらも上流シグナル伝達(FLT3またはBcr−Ablシグナル伝達など)によって転写的に誘発されるのでそれらは協働することができ、これはv−Abl癌遺伝子によるB細胞の悪性形質転換に必須である(Chenら、2008年)。PIM−1と同様に、PIM−2とc−Mycトランス遺伝子の同時発現は悪性形質転換を誘発する(Allenら、1997年)。文献に示されているように、PIM−1とPIM−2の両方についての細胞周期阻害に対する影響も細胞増殖および細胞周期の進行の加速に相乗作用を与えるようであるが、細胞周期制御の分子機構はPIM−1キナーゼについてだけしか詳細に記載されていない(Daiら、2005年;Chenら、2005年)。しかし、2つのキナーゼ間にはやはり差異があるようである。低酸素症についての最近の文献は、固形腫瘍形成および化学耐性におけるその新しい役割を指摘しているが、PIM−2キナーゼについての同様の報告は知られておらず、この役割は詳しく検討される必要がある。他方Tamburiniによる最近の文献において、重要な4EBP1転写因子のリン酸化(セリンS65上の)におけるPIM−2の役割について特に強調されている(Tamburiniら、2009年)。この文献に示されているように、臨床サンプルにおけるPIM−1の発現は上記発見と相関しておらず、これは4EBP1リン酸化の制御、タンパク質合成の制御および悪性形質転換の促進におけるPIM−1およびPIM−2の重複しない役割についての証拠を提供している。同様の発見はFoxおよびその同僚らによってすでに報告されていて、Akt/mTOR経路から独立した翻訳の制御におけるPIM−2キナーゼの重要な役割が強調されており、特に急性骨髄性白血病における新たな治療法の開発のための魅力的な選択肢として、PIM−1キナーゼの阻害が指摘されている(Foxら、2003年)。
【0005】
PIM−1と同様に、いくつかのヒト腫瘍型においてPIM−2の過剰発現が文献で確認されている。特徴的な報告の1つは、肝細胞癌(HCC)の腫瘍形成におけるPIM−2の関与である(Gongら、2008年)。ヒト肝臓がん組織およびHepG2細胞(ヒト肝細胞肝臓癌細胞系)において、PIM−2遺伝子発現およびそのタンパク質レベルが研究されている。両方の場合、PIM−2遺伝子およびタンパク質の発現は、不死化肝細胞系L02の場合より高度であり、これは腫瘍バイオマーカーとしてのその役割を示している。他の実験により、PIM−2発現およびそのキナーゼ活性はIL−3依存性であるが、そのアポトーシス阻害の役割はIL−3非依存性であることが示されている。PIM−2によるアポトーシスに対する保護はグルコース依存性であり、その結果、高いグルコースおよび成長因子の濃度で取り囲まれたインビボで成長する肝細胞は、PIM−2を発現するのに好都合な条件を有するが、グルコース欠乏するとアポトーシスを防止することができないことも分かっている。したがって、肝細胞において過剰発現されると、PIM−2は腫瘍形成において重要な因子である可能性がある。
【0006】
PIM−3(Kid−1(脱分極によって誘発されたキナーゼ)としても公知である)はPIMキナーゼファミリーの第3のメンバーである。PIM−2およびPIM−1と同様に、PIM−3は、Badのリン酸化によるアポトーシスを生存促進的な仕方で阻止するように作用する。しかし、PIM−1/2と対照的に、PIM−3は、Ser112残基に対してそれほど特異的ではないようであり、好ましいことに、Ser136、Ser155およびSer170をリン酸化する(Macdonaldら、2006年)。PIM−3は、Ser136残基をリン酸化するのに最も効果的なキナーゼであり、これは、続くリン酸化工程および抗アポトーシスBcl−XLタンパク質との相互作用に必須のようである。したがって、BadのPIMリン酸化は、14−3−3結合およびBcl−XL結合の阻害を促進することが分かった。PIM−1と同様に、PIM−3は血管形成および血管新生(angiogenesis)を促進するのにも関与しているようである(Zippoら、2004年;Zhangら、2009b)。血管新生は、既存の血管からの新たな血管の成長を含む生理学的過程である。血管新生は通常転移に先行するので、この特徴は腫瘍形成において重要な役割を果たす。血管新生は成長および発達にける正常な過程であるが、これは、休止状態から悪性状態への腫瘍の転移における基本的な工程でもある。PIM−3は、内皮細胞においてmRNAとタンパク質レベルの両方で高度に発現され、そのタンパク質は、細胞の接着および拡散過程に関与するキナーゼである細胞葉状仮足焦点キナーゼ(cellular lamelliopodia focal kinase)(FAK)で共局在化することが分かっている。FAKは一般に焦点接着として公知の構造で配置され;これらの構造は細胞外マトリックスを細胞質細胞骨格と連結させる多タンパク質構造である。これは、細胞間の焦点接着動力学で関与メンバーとしてリクルートされ、運動性および細胞生存において役割を有する。FAKはチロシンキナーゼ活性も有しており、これは当初、癌遺伝子タンパク質のための基質として特定されたものである。アクチンマイクロフィラメントを破壊するサイトカラシンDで処理した後、PIM−3は葉状仮足から分散してきた。これは、PIM−3の細胞骨格との強い相互作用を示唆している。さらに、siRNAによるPIM−3のノックダウンは、内皮細胞遊走、スプラウトの増殖および形成に大きな影響を及ぼしている。この発見に照らすと、PIM−3キナーゼは血管新生のための新規な阻害剤のための新規で有望な標的のようである。
【0007】
PIM−3過剰発現はいくつかのヒトがん、主に消化管がん、結腸がんまたは肝臓がんのような固形腫瘍において観察されており、ここで、PIM−3の発現もやはり予後不良マーカーであるようであるが、膵臓腺癌の発症におけるその役割はより詳細に研究されている(Popivanovaら、2007年;Zhengら、2008年)。PIM−3は膵臓の悪性病変において発現するが、正常な膵臓組織においては発現しないことが分かっている(Liら、2006年)。この発見と一致して、PIM−3mRNAおよびタンパク質は、試験されたすべてのヒト膵臓がん細胞系において構成的に発現されている。PIM−1mRNAレベルのノックダウンは細胞のアポトーシスをもたらした。これは、膵臓がん細胞系でのアポトーシスの阻害におけるPIM−3の重要な役割を証明している。他の実験によって、膵臓細胞系におけるPIM−3の発現は、Ets−1タンパク質と、−249bpと−183bpの間のヒトPIM−3遺伝子の5’−隣接領域との結合によって制御されることが示されている(Liら、2009年)。Ets−1転写因子の過剰発現は、PIM−3キナーゼの転写および翻訳を刺激することができた。こうした観察は、転写因子Ets−1が異常なPIM−3発現を誘発し、次いでヒト膵臓がん細胞におけるアポトーシスを阻止することができることを示している。PIM−3ががん発生における新しい役割をもつキナーゼであるという事実にもかかわらず、上記した結果は、PIM−3が、腫瘍形成においていかに重要で多様な役割を果たすことができるかと関係しており、がん治療のためのPIM−3阻害剤のさらなる開発に対する理論的根拠を提供している。
【0008】
CLKキナーゼは、Lammer二重特異性キナーゼサブファミリーに属しており、セリン、トレオニンおよびチロシンをリン酸化する。このファミリーは4つのメンバー(Clk1/StyおよびClk2〜4)からなる。CLKは二重特異性キナーゼであり、これらはチロシン残基でそれ自体を自己リン酸化する能力を有しているが、もっぱらセリン/トレオニン残基のみでその基質をリン酸化する。これらのキナーゼは、スプライセオソームの重要成分である、ASF/SF2、SRp40およびSRp55などのスプライセオソーム(splicesosomes)複合体のセリンおよび高アルギニン型(SR)タンパク質をリン酸化する(SoretおよびTazi、2003年;StojdlおよびBell、1999年)。選択的スプライシングは、タンパク質多様性を生み出すのに重要な機序である。所与のタンパク質の異なるスプライスバリアントは、異なっているが、拮抗性でもある生物学的機能を示すことができる。したがって、多細胞生物における細胞過程の複雑な組織化を確実にするために、その合成の適切な制御が必要である。構成的かまたは選択的なスプライシングの精度を変える機序はヒトの発病、特に腫瘍発生および進行に対して重大な影響を及ぼす可能性がある(Hagiwara、2005年)。
【0009】
これまで、Clkキナーゼは組織因子、VEGF受容体およびPKCβIIキナーゼなどのごく僅かな遺伝子の選択的スプライシングの制御に関わっていることが示されている。Clkがむしろ有益な役割を有しており抗血管形成的な仕方で作用して抗血管形成形態のVEGF−bの形成をもたらすようであるVEGFスプライシングを別とすると、がん発生におけるその役割についての文献での直接的な証拠は存在しない。しかし、それらが赤白血病などのがんにおいて役割を果たすことができることを示す間接的な報告が存在する。Garcia-Sacristanによる2005年からの研究において、Clk/STYならびにファミリーの他のメンバー(clk2、clk3およびclk4)は、HMBA誘発赤白血病細胞分化の際に上方調節されることが示されている(Garcia-Sacristanら、2005年)。Jiangらによる最近の論文では、インスリンに応答してAkt2はClk/Styのリン酸化をもたらし、次いでこれは、Akt2と協働してSRタンパク質リン酸化を変えることが示されている(Jiangら、2009年)。糖尿病におけるその重要性の他に、PKCβスプライシングに対するClk阻害剤の影響はがん治療において重要である可能性がある。PKCβは、いくつかの仕方で腫瘍形成に寄与できるという証拠がある。腫瘍細胞に対する直接的な影響に加えて、PKCβは炎症および血管新生などの腫瘍宿主機序に関与している。PKCβIIの高度の発現は結腸がん発生における初期の事象であるようであり、腸におけるPKCβIIのトランスジェニック過剰発現はβカテニン/Apcシグナル伝達経路を活性化することによって、上皮細胞における過剰増殖および侵襲性の表現型を誘発する。Abramsの研究により、PKCβIIアイソフォームの過剰発現はCLL(慢性リンパ球性白血病)細胞の特徴であり、この酵素の活性はBCR結合に応答するCLL細胞に強く相関することが実証されている。
【0010】
ハロゲンで置換されたベンズイミダゾール誘導体は、IRAK、CK2、DYRK、HIPKおよびPIMキナーゼのタンパク質キナーゼ阻害剤としてこれまで記載されている(WO03/030902A1;WO2005/092866;Gianoncelliら、2009年;Paganoら、2008年および2004年;Andrzejewskaら、2003年)。Paganoらによる論文では、そこに記載されている技術は、開鎖を形成する一群の原子で置換されたテトラブロモベンズイミダゾール化合物の部類について教示している。式AおよびBで表される本発明の実施形態は、飽和、不飽和または芳香族であってよい炭素環および複素環の群から選択される環状置換基の新規性を加える。これはPaganoら、2004年によって教示されてはいない(Paganoら、2004年によるスキーム1および表1を参照されたい)。とりわけ式AおよびBで表される本明細書で説明する本発明はさらに、構造活性関係において見られる顕著な差によってPaganoら、2008年の発見と区別される。Paganoらは、N−1上の置換基が水素以外である場合、K10とK15およびK25とK40のような化合物対の比較から推定することができるように、PIM1受容体結合活性は比較的弱いものであることを教示している(Paganoら、2008年、表S2を参照されたい)。これに対して、本発明の発明者らは、とりわけ、R1が例えばエチルまたはイソプロピル(化合物AおよびB)である場合、PIM1活性は同等かまたはそれより良好であり、そうした化合物は、インビトロおよびインビボでのがん細胞の増殖を阻害するかまたは逆転させることができることを実証した。Battistuttaら、2005年およびBortolatoら、2007年による論文は、Paganoら、(2004年および2008年)に記載されているのと同じ部類のテトラブロモベンズイミダゾール化合物に言及しているが、何ら新規のものを教示していない。ただ1つの例外は、Bortolatoらによる、本発明の範囲内では記載されていない、硫黄が結合したニトロベンゼン置換基を含むテトラブロモベンズイミダゾールCK2阻害剤である(Battistuttaら、2005年;Bortolatoら、2007年)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主題は、従来公開されている化合物と比較してより強力な抗がん活性を有し、かつセリン/トレオニンキナーゼに対して改善された効力および特異性を有するテトラハロゲン化ベンズイミダゾールの新規な誘導体を提供することである。本発明は、従来報告されておらず、CDK、FLT、HIPK、CLK、PKG、Haspin、MER、TAO、MNKおよびTRKキナーゼのグループに属するテトラハロゲン化ベンズイミダゾールの新規なキナーゼ標的としての他のグループのキナーゼについても報告する。これらのキナーゼは、本発明者らの知る限りではこれまで文献に記載されていない、テトラハロゲン化ベンズイミダゾールの新規な標的である。したがって、従来技術により提供されている例(Paganoら、2008年、Biochem.Jなど)は、1μMで試験したとき、DMATおよびTBBはCDK2/サイクリンA活性を阻害しないことを教示している(上記出版物の表1)。その一方、本発明の発明者らは、とりわけ、本発明による化合物は、これらに限定されないがCDKキナーゼ類(本出願の表5に示すような)で例示されるキナーゼを阻害するのにより強力な活性を発揮することを示すことができた。テトラハロゲン化ベンズイミダゾールのこれらの新規な標的の阻害は、これらの化合物の予想外の改善された抗がん活性に寄与することができる。さらに、本発明の化合物は、改善された溶解性、物学的利用能および代謝的安定性を発揮し、したがって、がんおよび免疫障害などの疾患の医薬開発およびその治療に非常に有望である。
【0012】
驚くべきことに、とりわけ、本発明の化合物および薬学的に許容されるその組成物はPIMキナーゼファミリーだけでなく、CDK、FLT、HIPK、CLK、PKG、Haspin、MER、TAO、MNKおよびTRKキナーゼなどの他のキナーゼの効果的な阻害剤であることを見出した。これらの化合物は、新生物細胞のパネルで試験したとき、改善されたインビトロでの細胞毒性も発揮する。2つまたは3つを超える新生物細胞系について一般に10μM未満のED50値に達していない従来技術で公開されているテトラブロモベンズイミダゾール誘導体とは対照的に、本出願で提供する化合物は、血液学的な由来と固形腫瘍由来の両方の少なくとも5つの異なる新生物細胞系において、10μMより低いED50値で規定される良好な細胞毒性を示す。この特徴は、とりわけ、例えば様々ながんのタイプを治療するための本出願による化合物のより広い治療指標を可能にする。さらに、テトラブロモベンズイミダゾールのさらなる医薬開発および医学的用途を付与する技術的特徴の1つは、生理溶液および7超のpHでのその非常に低い溶解性であり、この特徴は、本発明による化合物についても改善される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、とりわけ式(A)および(B)の化合物:
【0014】
【化1】

式中、
は、出現ごとにハロゲンでから独立に選択される。前記ハロゲン基はF、ClまたはBrと定義される。
は、C、CHおよびNから選択される。
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
nは、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
nは、飽和もしくは不飽和または芳香族である5員、6員、7員もしくは8員の炭素環または複素環を形成するように、1、2、3または4である。
とZは一緒になって、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよく、H、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチルから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されていてよい、4員、5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環である縮合環を独立に形成することができる。前記4〜7員複素環基は、N、OおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む。
は、H、メチル、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、スルホンアミド、−(C2〜6アルキル)Rならびに飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素である。前記−(C2〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、オキソ、アミノアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホンアミド、アミジン、−Y(C1〜6アルキル)RおよびRからなる群から選択され、ただし、R上の結合点は炭素である。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシル、ニトリルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜9員単環式または二環式炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜9員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は、出現ごとに独立に、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホン、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は、存在しないか、または出現ごとに独立に−C(O)−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)O−、−C(NH)NH−からなる群から選択される。
【0015】
【化2】

式中、
は、存在しないか、またはメチレン、カルボニル、チオカルボニルもしくはスルホニルである。
は、存在しないか、または分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシル、アミノ、−(C1〜6アルキル)アミノアルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つもしくは複数の置換基でさらに置換されていてもよい−(C1〜6アルキル)N(C1〜6アルキル)−または−(C1〜6アルキル)R−である。
は、出現ごとにハロゲンから独立に選択される。前記ハロゲン基はF、ClまたはBrと定義される。
は、C、CHおよびNから選択され、ただし、AとAがどちらも存在しない場合、ZはCまたはCHである。
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
nは、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよい5員、6員、7員もしくは8員の炭素環または複素環を形成するように、1、2、3または4である。
とZは一緒になって、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよく、H、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい4員、5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環である縮合環を独立に形成していてもよい。前記4〜7員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む。
は、存在しないか、またはH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アミノアルキルアミン、アルコキシ、アミノアルキルアミン、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチルであり、ただし、Z、ZおよびZは存在しない。
は、出現ごとに独立にH、メチル、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、スルホンアミド、−(C2〜6アルキル)Rならびに飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素である。前記−(C2〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、オキソ、アミノアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホンアミド、アミジン、−Y(C1〜6アルキル)RおよびRからなる群から選択され、ただし、R上の結合点は炭素である。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシル、ニトリルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜9員単環式または二環式炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜9員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は、出現ごとに独立に、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホン、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は、存在しないか、または出現ごとに独立に−C(O)−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)O−、−C(NH)NH−からなる群から選択される。
【0016】
ここで、以下の構造は、式(A)および(B)から排除される。
2−アミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−メチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−エタノールアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−イソプロピルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−(2−ヒドロキシプロピルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール
2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−ベンゾイミダゾール
2−イソプロピルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1メチル−ベンゾイミダゾール
2−(メチル(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)アミノ)エタノール
(2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモベンゾイミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステル
(2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモベンゾイミダゾール−1−イル)−酢酸。
【0017】
好ましい実施形態では、nは、5員の炭素環または複素環を形成するように、1である。他の好ましい実施形態では、nは、6員の炭素環または複素環を形成するように、2である。さらに他の好ましい実施形態では、nは、5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環を形成するように、1、2または3から選択される。
【0018】
他の好ましい実施形態では、ZとZは一緒になって、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよく、上記に示したように置換されていてよい5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環である縮合環を独立に形成していてよい。さらに他の好ましい実施形態では、ZとZは一緒になって、5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環であり飽和もしくは不飽和または芳香族であってよく上記に示したように置換されていてよい第2の縮合環を形成していてよい。
【0019】
他の好ましい実施形態では、Rは、出現ごとにH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、好ましくは飽和、不飽和または芳香族であり上記に示したように置換されていてよい単環式5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から独立に選択される。
【0020】
他の好ましい実施形態では、Aは存在しないか、または分岐状であってよく、オキソ、ヒドロキシル、アミノ、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてよい−(C1〜6アルキル)R−である。さらに他の好ましい実施形態では、Aは存在しないか、または、上記で示したように分岐状であって置換されていてよい−(C1〜6アルキル)−である。
【0021】
以下において、上記したような式(A)の特に好ましい化合物に関する本発明の好ましい実施形態を列挙する。
【0022】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、Z、Z、Zおよびnが飽和もしくは不飽和または芳香族であってよい置換もしくは非置換6員の炭素環または複素環が形成されるように選択される式(A)の化合物に関する。好ましくは、前記置換もしくは非置換炭素環または複素環は飽和されている。
【0023】
他の好ましい実施形態では、本発明は、Z、Z、Zおよびnが飽和もしくは不飽和または芳香族であってよい置換もしくは非置換6員複素環が形成されるように選択される式(A)の化合物に関する。好ましくは、前記置換もしくは非置換複素環は飽和されている。より好ましくは、前記複素環は2個のN−ヘテロ原子を含む。さらにより好ましくは、前記複素環は置換されていないか、または、好ましくはRに相当する1つの置換基だけで置換されている。
【0024】
他の好ましい実施形態では、本発明は、Z、Z、Zおよびnが置換もしくは非置換ピペラジンに相当する置換もしくは非置換6員複素環が形成されるように選択される、式(A)の化合物に関する。したがってそうした実施形態においては、ZはNであり、ZはCHRであり、nは2であり、Z(1)はCHRであり、Z(2)はNRである。
【0025】
上記したすべての実施形態において、Rは、出現ごとにHであるか、または少なくとも1つの出現において−Y(C1〜6アルキル)Rであることが好ましい。前記実施形態において、Rが少なくとも1つの出現において−Y(C1〜6アルキル)Rである場合、−Yは存在せず、Rは6員置換もしくは非置換炭素環または複素環基、好ましくは置換もしくは非置換ピペラジンであることが好ましい。RがHまたは−Y(C1〜6アルキル)Rであることがさらに好ましい。前記実施形態において、Rが−Y(C1〜6アルキル)Rである場合、−Yは存在せず、Rは6員置換もしくは非置換炭素環または複素環基、好ましくは置換もしくは非置換ピペラジン、より好ましくは非置換ピペラジンであることが好ましい。上記した実施形態のうちの特に好ましい実施形態は、すべての出現においてRとRがどちらもHである化合物に関する。
【0026】
上記実施形態のすべてにおいて、すべての出現においてXがF、ClまたはBrから選択されることがさらに好ましい。Brは特に好ましい。
【0027】
上記実施形態のすべてにおいて、RがH、メチル、(C2〜6アルキル)Rおよび飽和5〜6員炭素環基から選択されることも好ましい。Hは特に好ましい。前記実施形態においてRが(C2〜6アルキル)Rである場合、RがHであり、前記アルキルが置換もしくは非置換エチル、プロピル、イソプロピルおよびブチルから選択され、前記アルキルが置換されていないことが好ましく、最も好ましくはそれが非置換エチルまたはイソプロピルであることが特に好ましい。
【0028】
本発明の他の目的は、とりわけ、化合物(A)および/または(B)を含む医薬組成物に関する。前記他の目的は、以下の詳細な説明において言及される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、MV411細胞において、化合物20で、ウエスタンブロットの各レーンの上に示した濃度で4時間および24時間処置した後の左側(発現対照としてのPim1、p−4EBP1、c−myc、および陰性対照チューブリンとして)に示したバイオマーカーの阻害を示す図である。Sはスニチニブに相当する。示したバイオマーカーに対する標準的な抗体をウエスタンブロット法で使用した。
【図2】図2は、化合物20、359および416で処置した後のMV411腫瘍成長の進行を示す図である。実験の詳細は実施例13において説明する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下は本明細書で使用される用語についての定義のリストである。
「アルキル」は1〜15個の炭素原子、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖である。しかし、「アルキル」という用語の関連での炭素原子の数の表示は、表示した数の炭素原子を有する炭化水素鎖を指すことは当業者に明らかである。したがって、例えば「C1〜6アルキル」は、前記炭化水素鎖が1〜6個の炭素原子を有することを意味する。「アルケニル」は、少なくとも1つ(好ましくは1つだけ)の炭素−炭素二重結合を有し、2〜15個の炭素原子、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有する炭化水素鎖である。「アルキニル」は、少なくとも1つ(好ましくは1つだけ)の炭素−炭素三重結合を有し、2〜15個の炭素原子、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜4個の炭素原子を有する炭化水素鎖である。アルキル、アルケニルおよびアルキニル鎖(集合的に「炭化水素鎖」と称する)は直鎖状であっても分岐状であってもよく、置換されていなくても置換されていてもよい。好ましい分岐状アルキル、アルケニルおよびアルキニル鎖は1つまたは2つの分岐、好ましくは1つの分岐を有する。好ましい鎖はアルキルである。アルキル、アルケニルおよびアルキニル炭化水素鎖はそれぞれ、置換されていなくてもまた1〜4個の置換基で置換されていてもよい。置換されている場合、好ましい鎖はモノ−、ジ−またはトリ置換されている。アルキル、アルケニルおよびアルキニル炭化水素鎖はそれぞれ、ハロ、ヒドロキシ、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ(例えば、アセトキシ)、カルボキシ、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、スピロ環、アミノ、アミド、アシルアミノ、ケト、チオケト、シアノまたはその任意の組合せで置換されていてよい。好ましい炭化水素基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ビニル、アリルおよびブテニルが含まれる。
【0031】
やはり本明細書で言及される「低級」アルキル、アルケニルまたはアルキニル部分(例えば、「低級アルキル」)は、アルキルの場合1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む鎖であり、アルケニルおよびアルキニルの場合2〜6個、好ましくは2〜4個の炭素原子を含む鎖である。
【0032】
「アリール」は芳香族炭化水素環である。アリール環は単環式または縮合二環式環系である。単環式アリール環はその環中に6個の炭素原子を含む。単環式アリール環はフェニル環とも称される。二環式アリール環は、その環中に8〜17個の炭素原子、好ましくは9〜12個の炭素原子を含む。二環式アリール環は一方の環がアリールであり、他方の環がアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである環系を含む。好ましい二環式アリール環は、5員、6員もしくは7員環と縮合した5員、6員または7員環を含む。アリール環は置換されていなくても、またその環上で1〜4個の置換基で置換されていてよい。アリールは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アリールオキシ、アルコキシ、ヘテロアルキルオキシ、カルバミル、ハロアルキル、メチレンジオキシ、ヘテロアリールオキシまたはその任意の組合せで置換されていてよい。好ましいアリール環には、ナフチル、トリル、キシリルおよびフェニルが含まれる。最も好ましいアリール環基はフェニルである。
【0033】
「シクロアルキル」は飽和または不飽和炭化水素環である。シクロアルキル環は芳香族ではない。シクロアルキル環は単環式であっても、縮合型、スピロ型または橋かけ型二環式環系であってもよい。単環式シクロアルキル環は、その環中に約3〜約9個の炭素原子、好ましくは3〜7個の炭素原子を含む。二環式シクロアルキル環は、その環中に7〜17個の炭素原子、好ましくは7〜12個の炭素原子を含む。好ましい二環式シクロアルキル環は、5員、6員または7員環と縮合した4員、5員、6員または7員環を含む。シクロアルキル環は置換されていなくても、またその環上で1〜4個の置換基で置換されていてもよい。シクロアルキルは、ハロ、シアノ、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、ケト、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシまたはその任意の組合せで置換されていてよい。好ましいシクロアルキル環には、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0034】
「ヘテロ原子」は窒素、硫黄または酸素原子である。2個以上のヘテロ原子を含む基は異なるヘテロ原子を含むことができる。
【0035】
「ヘテロアルキル」は、炭素と少なくとも1個のヘテロ原子を含み、そこで2個のヘテロ原子は隣接していない飽和または不飽和鎖である。ヘテロアルキル鎖は、その鎖中に2〜15個、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜5個のメンバー原子(炭素およびヘテロ原子)を含む。例えば、アルコキシ(すなわち、−O−アルキルまたは−O−ヘテロアルキル)基はヘテロアルキルに含まれる。ヘテロアルキル鎖は直鎖状であっても分岐状であってもよい。好ましい分岐状ヘテロアルキルは1つまたは2つの分岐、好ましくは1つの分岐を有する。好ましいヘテロアルキルは飽和されている。不飽和ヘテロアルキルは1つもしくは複数の炭素−炭素二重結合および/または1つもしくは複数の炭素−炭素三重結合を有する。好ましい不飽和ヘテロアルキルは、1つもしくは2つの二重結合または1つの三重結合を有し、より好ましくは1つの二重結合を有する。ヘテロアルキル鎖は置換されていなくてもまた1〜4個の置換基で置換されていてもよい。好ましい置換ヘテロアルキルは一置換、二置換または三置換されている。ヘテロアルキルは、低級アルキル、ハロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシルオキシ、カルボキシ、単環式アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、スピロ環、アミノ、アシルアミノ、アミド、ケト、チオケト、シアノまたはその任意の組合せで置換されていてよい。
【0036】
「ヘテロアリール」は、その環中に炭素原子および1〜約6個のヘテロ原子を含む芳香環である。ヘテロアリール環は単環式または縮合二環式環系である。単環式ヘテロアリール環は、その環中に約5〜約9個のメンバー原子(炭素およびヘテロ原子)、好ましくは5または6個のメンバー原子を含む。二環式ヘテロアリール環は、その環中に8〜17個のメンバー原子、好ましくは8〜12個のメンバー60原子を含む。二環式ヘテロアリール環は、一方の環がヘテロアリールであり、他方の環がアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである環系を含む。好ましい二環式ヘテロアリール環系は5員、6員もしくは7員環と縮合した5員、6員もしくは7員環を含む。ヘテロアリール環は置換されていなくても、またその環上で1〜4個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリールは、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシ、アミノ、アシルアミノ、アルキル、ヘテロアルキル、フェニル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシまたはその任意の組合せで置換されていてよい。
【0037】
好ましいヘテロアリール環には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる。
【0038】
【化3】

【0039】
「C1〜6アルキル」は直鎖状、分岐状または環状であり、飽和または不飽和である。
【0040】
「ハロゲン」はフッ素、塩素または臭素である。
【0041】
「アミノアルキル」は−NH(C1〜6アルキル)もしくは−N(C1〜6アルキル)または四級化アミン、すなわち−N(C1〜6アルキル)である。
【0042】
「アルコキシ」は−O(C1〜6アルキル)である。
【0043】
「カルボン酸」は−C(O)OHである。
【0044】
「カルボキシ」は−C(O)O−である。
【0045】
「カルボキシエステル」は−C(O)O(C1〜6アルキル)である。
【0046】
「カルボキサミド」は−C(O)NH−または−C(O)N(C1〜6アルキル)−である。
【0047】
「カルバメート」は−OC(O)NH−または−OC(O)N(C1〜6アルキル)−である。
【0048】
「スルホン酸」は−S(O)OHである。
【0049】
「スルホンアミド」は−S(O)NHまたは−S(O)N(C1〜6アルキル)−である。
【0050】
「オキソ」は−O−である。
【0051】
「カルボニル」は−C(O)−である。
【0052】
「アミノアルキルアミン」は−NH(C1〜6アルキル)NH(C1〜6アルキル)または−NH(C1〜6アルキル)N(C1〜6アルキル)である。
【0053】
「アミノアルキルアルコキシ」は−NH(C1〜6アルキル)O(C1〜6アルキル)、−O(C1〜6アルキル)NH(C1〜6アルキル)または−O(C1〜6アルキル)N(C1〜6アルキル)である。
【0054】
「アミジン」は−C(NH)NHである。
【0055】
「ニトリル」は−CNである。
【0056】
「スルホン」は、任意選択で−(C1〜6アルキル)S(O)(C1〜6)アルキルの環状構造である。
【0057】
「ヘテロシクロアルキル」は、その環中に炭素原子(複数)および1〜約4個(好ましくは1〜3個)のヘテロ原子を含む飽和または不飽和環である。ヘテロシクロアルキル環は芳香族ではない。ヘテロシクロアルキル環は単環式または縮合型、橋かけ型もしくはスピロ型二環式環系である。単環式ヘテロシクロアルキル環は、その環中に約3〜約9個のメンバー原子(炭素およびヘテロ原子)、好ましくは5〜7個のメンバー原子を含む。二環式ヘテロシクロアルキル環は、その環中に7〜17個のメンバー原子、好ましくは7〜12個のメンバー原子を含む。二環式ヘテロシクロアルキル環は約7〜約17個の環原子、好ましくは7〜12個の環原子を含む。二環式ヘテロシクロアルキル環は縮合型、スピロ型または橋かけ型環系であってよい。好ましい二環式ヘテロシクロアルキル環は5員、6員もしくは7員環と縮合した5員、6員もしくは7員環を含む。ヘテロシクロアルキル環は置換されていなくても、またその環上で1〜4個の置換基で置換されていてよい。ヘテロシクロアルキルは、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、カルボキシ、ケト、チオケト、アミノ、アシルアミノ、アシル、アミド、アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、アルコキシ、アリールオキシまたはその任意の組合せで置換されていてよい。ヘテロシクロアルキル上の好ましい置換基にはハロおよびハロアルキルが含まれる。好ましいヘテロシクロアルキル環には、これらに限定されないが、以下のものが含まれる。
【0058】
【化4】

【0059】
アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル基は上述したようにヒドロキシ、アミノおよびアミド基で置換されていてよいが、以下のものは本発明では考慮しない。
エノール(二重結合を担持する炭素と結合したOH)。
二重結合を担持する炭素と結合したアミノ基(ビニル性アミドを除く)。
単一の炭素と結合した2つ以上のヒドロキシ、アミノまたはアミド(2個の窒素原子が単一の炭素原子と結合しており、かつ3個のすべての原子がヘテロシクロアルキル環内のメンバー原子である場合を除く)。
炭素(これと結合したヘテロ原子も有する)と結合したヒドロキシ、アミノまたはアミド。
炭素(これと結合したハロゲンも有する)と結合したヒドロキシ、アミノまたはアミド。
【0060】
本明細書で開示する化合物のいくつかは、1つまたは複数の不斉中心を有することができ、したがって、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび他の立体異性体をもたらすことができる。
【0061】
本発明は、別段の指定のない限り、そうした可能なすべての形態ならびにそのラセミ体および分割された形態およびその混合物を包含することも意味するものとする。本明細書で説明する化合物がオレフィン系二重結合または幾何学的非対称の他の中心を含み、別段の指定がない場合、E型幾何異性体とZ型幾何異性の両方を含むものとする。すべての互変異性体も本発明によって包含されるものとする。
【0062】
本明細書で用いる「立体異性体」という用語は、空間におけるその原子の位置付けだけが異なる個々の分子のすべての異性体のための一般用語である。これは鏡像異性体、およびそれが互いに鏡像でない2つ以上のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を含む。「キラル中心」という用語は、それに異なる4つの基が結合している炭素原子を指す。「鏡像異性体」または「鏡像異性体の」という用語は、その鏡像に重ね合わせることができず、したがって光学的に活性である分子を指し、その鏡像異性体は偏光面を1つの方向に回転させ、その鏡像は偏光面を反対の方向に回転させる。「ラセミ化合物(の)」という用語は、光学的に不活性である等量の鏡像異性体の混合物を指す。「分割」という用語は、分子の2つの鏡像異性体のうちの1つの分離、濃縮または減少を指す。
【0063】
本明細書および特許請求の範囲で用いるような単数形の「a」および「an」は、文脈において明らかな別段の記述のない限り、対応する複数形も含むものとする。
【0064】
本発明の関連において「約(about)」および「おおよそ(approximately)」という用語は、問題となっている特徴の技術的効果をさらに確実にするために当業者が理解するであろう精度の隔たりを表すものである。この用語は一般に、示された数値からの±10%、好ましくは±5%の偏差を表す。
【0065】
「含む(comprising)」という用語は限定的なものではないことを理解する必要がある。本発明のため、「からなる(consisting of)」という用語は、「含む(comprising of)」という用語の好ましい実施形態であるものとする。以下においてあるグループが少なくとも特定の数の実施形態を含むと定義されている場合、これは、好ましくはこれらの実施形態だけからなるグループを包含することも意味する。
【0066】
本発明は、本明細書で説明する化合物の薬学的に許容されるプロドラッグおよびそうした薬学的に許容されるプロドラッグを用いる方法にも関する。「プロドラッグ」という用語は、対象への投与の後に加溶媒分解もしくは酵素的切断などの化学的または生理学的プロセスによるかまたは生理学的条件下で、その化合物をインビボでもたらす指定された化合物の前駆体を意味する(例えば、生理学的pHに置かれるとプロドラッグは本発明の化合物に転換される)。「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、非毒性で生物学的に許容されるか、または対象へ投与するのに生物学的に適しているプロドラッグである。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための例示的な手順は例えば、“Design of Prodrugs”、ed. H. Bundgaard、Elsevier、1985年に記載されている。
【0067】
本発明はまた、本発明の化合物の薬学的に活性な代謝産物および本発明の方法におけるそうした代謝産物の使用にも関する。「薬学的に活性な代謝産物」は、体内での代謝による本発明の化合物またはその塩の薬理学的に活性な産物を意味する。化合物のプロドラッグおよび活性代謝産物は、当業界で公知かまたは利用可能な慣行的技術を用いて決定することができる。
【0068】
好ましくは、その化合物は表1および2から選択される。
【0069】
【表1】






【0070】
【表2】









【0071】
好ましくは、薬学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモン酸塩などからなる群から選択される。
【0072】
「薬学的に許容される塩」は、任意の酸性(例えば、カルボン酸)基で形成されたカチオン性塩または任意の塩基性(例えば、アミノ)基で形成されたアニオン性塩である。多くのそうした塩は、1987年9月11日公開の国際特許公開87/05297、Johnstonら(これを参照により本明細書に組み込む)に記載されているように当業界で公知である。好ましいカチオン性塩には、アルカリ金属塩(ナトリウムおよびカリウムなど)およびアルカリ土類金属塩(マグネシウムおよびカルシウムなど)ならびに有機塩が含まれる。好ましいアニオン性塩にはハライド(クロリド塩など)、スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩などが含まれる。
【0073】
そうした塩は当業者に十分理解されており、当業者は当業界の知見を考慮して任意の数の塩を調製することができる。さらに、当業者は溶解性、安定性、処方のし易さなどの理由で別の塩より優れた1つの塩を選ぶことができることを理解されたい。
【0074】
本発明の次の主題は、治療有効量の上記したような化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物および化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を任意選択で含む医薬組成物である。
【0075】
「組成物」という用語は、指定量の指定成分を含む生成物ならびに指定量の指定成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を含むものとする。本発明の活性薬剤を、単独かまたは1つもしくは複数の追加的な活性成分と組み合わせて用いて本発明の医薬組成物を処方する。本発明の医薬組成物は、有効量の少なくとも1つの本発明にしたがった活性薬剤を含む。製薬技術において公知であるように、少なくとも1つの薬学的に許容される担体を本発明による医薬組成物の実施形態において含むことができる。担体は、以下において添加剤とも表される。
【0076】
好ましくは、前記組成物は、化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を任意選択で含む。
【0077】
好ましくは、治療で提供される治療有効量は、治療の期間において少なくとも1日に1回、約0,01〜1,000mg/kgの量で投与される。
【0078】
本明細書で用いる「治療有効量」という用語は、疾患または障害の症状の緩和を含む研究者、獣医、医師または他の臨床医によって追求される組織系、動物またはヒトにおける生物学的または医学的応答を引き出す活性な化合物または医薬品の量を意味する。標的受容体の調節に言及する場合、「治療有効量」は、そうした受容体の活性に少なくとも影響を及ぼすのに十分な量を意味する。標的キナーゼの活性の測定は慣行的な分析手法で実施することができる。標的キナーゼの調節は、アッセイを含む様々なセッティングにおいて有用である。さらに、本発明の活性薬剤の有効な量または用量は、モデリング、用量漸増試験または臨床試験などの慣行的方法により、かつ、慣行的因子、例えば、投与または薬物送達の方式もしくは経路、薬剤の薬物動態、疾患、障害または状態の重症度および経過、対象のこれまで受けた治療または進行中の治療、対象の健康状態および薬物応答ならびに担当医師の判断を考慮することによって確定することができる。
【0079】
その量は患者のサイズ、年齢および応答パターン、その障害の重症度、担当医師の判断などによって変わってくる。
【0080】
好ましくは、前記組成物は、非経口、経膣、経直腸、経皮もしくは経口で、または耳鼻科学的スフィア(otolaryngologal sphere)を介して投与される。
【0081】
好ましくは、上記組成物は、香味剤、甘味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充てん剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤、錠剤−崩壊剤、発泡剤、湿潤剤カプセル化材、染料およびその混合物からなる群から選択される薬学的に許容される担体をさらに含み、担体は、滅菌されていてもいなくてもよい固体または液体担体から選択される。
【0082】
好ましくは、前記組成物は、香味剤、甘味剤、結合剤、賦形剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、充てん剤、流動促進剤、圧縮助剤、崩壊剤、発泡剤、染料、湿潤剤またはカプセル化材およびその混合物からなる群から選択される1つまたは複数の追加の薬学的に許容される担体を任意選択でさらに含み、担体は、滅菌されていてもいなくてもよい固体または液体担体から選択される。散剤では、担体および化合物は微粉化された固体である。錠剤では、前記化合物を、必要な圧縮特性を有する担体と適切な割合で混合し、所望の経常およびサイズで圧縮する。前記散剤および錠剤は0,1〜99重量%の化合物を含む。本発明の組成物で使用するのに適した固体担体には、これらに限定されないが、これらに限定されないが、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリジン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が含まれる。
【0083】
液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤を調製するのに適した任意の薬学的に許容される液体担体を本発明の組成物に用いることができる。その場合、その化合物を水、有機溶媒または薬学的に許容される油もしくは油脂またはその混合物などの薬学的に許容される液体担体中に溶解または懸濁する。前記液体組成物は、追加的またはそうでなしに、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味剤、香味剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘性調節剤、安定剤、浸透圧調節剤などの他の適切な医薬品添加物を含む。
【0084】
経口および非経口投与に適した液体担体の例には、特に、これらに限定されないが上記したセルロース誘導体のような添加物を含む水、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液、一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールもしくはその誘導体を含むアルコール、またはヤシ油、綿実油およびピーナッツ油などの油が含まれる。非経口投与のためには、担体はオレイン酸エチルまたはリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルであってもよい。
【0085】
好ましくは、前記組成物は、これらに限定されないが、筋肉内、腹腔内、静脈内、髄腔内もしくは皮下注射またはかん流を含む非経口投与に適した滅菌溶液または懸濁液である。
【0086】
好ましくは、医薬組成物は、丸薬、錠剤、カプセル剤、サシェイ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、トローチ剤、再構成用の散剤、崩壊性経口錠剤、フィルム剤、浸透圧制御放出カプセル剤、エリキシル剤、乳剤、シロップ剤、懸濁剤、チンキ剤ならびに吸入および噴霧または舌下投与のための液剤または散剤を含む、液体または固体組成物の形態である経口投与に適している。
【0087】
好ましくは、前記組成物は、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、塗布剤、ゲル剤、ペースト剤、フィルム剤、坐剤、かん腸剤およびペッサリー剤を含む、経皮、経直腸、経膣投与のための製剤である。
【0088】
好ましくは、前記組成物は、目、耳および鼻を介した投与のための製剤である。
【0089】
好ましくは、その組成物は、即時放出、持続放出または遅延放出用製剤である。
【0090】
好ましくは、治療有効量を、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎(osteitis deformians of the skull)、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫(chondromatous hanlartoma)、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫(Karposi's sarcoma)、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部(breast);ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑(moles dysplastic nevi)、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状の治療において提供する。したがって本明細書で提供するような「がん」、「新生物」または「新生物の」という用語は、これらに限定されないが上記に特定した状態のいずれか1つに罹った細胞を指す。
【0091】
好ましくは、これは特に、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、およびTRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼの調節または制御に関係する新生物による状態の予防または治療のためである。
【0092】
本出願で開示するセリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼ阻害剤は、これらに限定されないが、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病、多発性硬化症などの免疫障害を治療するためにも使用することができる。セリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼの阻害は、これに限定されないが、ヘルペスウイルス(herpesiviruse)よる感染症で例示される感染性疾患を治療するためにも使用することができる。
【0093】
本発明の次の主題は、治療有効量の上記の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み、任意選択で、化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を含む医薬組成物の調製のための式AおよびBの化合物の使用である。
【0094】
好ましくは、これは特に、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、およびTRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンおよびチロシンキナーゼの調節または制御に関係する新生物による状態または免疫状態の予防または治療のために使用される。
【0095】
好ましくは、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される新生物による状態を予防または治療するためである。
【0096】
本発明の次の主題は、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、およびTRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼを調節または制御する方法であって、セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼを、有効量の少なくとも1つの式AまたはBの化合物、その鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、または上記の式AおよびBの化合物の薬学的に許容される塩もしくは式AおよびBの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグもしくは式AおよびBの化合物の薬学的に活性な代謝産物に曝す方法である。
【0097】
好ましくは、セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼ、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、およびTRKキナーゼの群から選択されるキナーゼは、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状を有する対象中に存在する。
【0098】
本発明の次の主題は、キナーゼが好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、およびTRKキナーゼの群から選択され、そのキナーゼを有効量の少なくとも1つの式AおよびBの化合物、その鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、または上記したような式AおよびBの化合物の薬学的に許容される塩もしくは式AおよびBの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグもしくは式AおよびBの化合物の薬学的に活性な代謝産物に曝すことを特徴とする上記したようなセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼ調節剤である。
【0099】
好ましくは、セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼは、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNKおよびTRKキナーゼならびにそのアイソフォームの群から選択されるキナーゼであり、それは急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状を有する対象中に存在する。
【0100】
本発明の次の主題は、上記の化合物を調製するための方法であって、以下の反応スキーム1に示すような反応により、対応する非置換または置換2,4,5,6,7−ペンタブロモ−ベンズイミダゾールを高温で適切なアミンと反応させることを含み、その反応性置換基を任意選択で適切な保護基で保護し、得られた生成物を結晶化またはクロマトグラフィーによる精製にかけることを含むことを特徴とする方法である。
【0101】
【化5】

【0102】
反応スキーム1:非置換または置換2,4,5,6,7−ペンタハロゲン−ベンズイミダゾールを適切なアミンと反応させることによる化合物製造の合成経路。本開示の特定の実施形態を例示しているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な追加の変更を導入することができることは当業者に明らかである。したがって、本開示の趣旨および範囲内にあるそうしたすべての変更形態および修正形態は添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。
以下に、上記で定義した本発明の例示的な実施形態を示す。
【実施例】
【0103】
以下の具体的な実施例は本発明を例示し、本発明の理解を助けるために示されるものであり、後続する特許請求の範囲において示される本発明を決して限定しようとするものではなく、またそう解釈されるべきではない。
【0104】
本発明は、表1および2で例示される式AおよびBを含む化合物ならびにその薬学的に許容される塩および薬学的に許容されるプロドラッグに関する。
【0105】
一般的合成手順A
エタノール中に懸濁した1当量の2,4,5,6,7−ペンタブロモベンズイミダゾールの適切な誘導体を、密封管中、120℃で5当量の適切なアミンと一緒に5〜20時間加熱した。あるいは、反応をブタノール還流下で実施することができる。生成物を、結晶化またはフラッシュクロマトグラフィーを用いて単離した。
【0106】
一般的合成手順B
1当量の4,5,6,7−テトラブロモ−2−(ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールまたはN−(3−アミノプロピル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミンを、2当量のDIPEAと一緒にDMF中に懸濁させた。懸濁液を0℃に冷却し、次いで2当量の1H−ピラゾール−1−カルボキシミドアミドを加えた。反応混合物(RM)を4時間攪拌し、次いでNaOHを加えた。固体をろ過し、蒸留水で洗浄した。
【0107】
一般的合成手順C
1当量の4,5,6,7−テトラブロモ−2−(ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールを、2当量の適切なハロゲン誘導体および2当量のKCOと一緒にEtOHに懸濁させた。RMを2〜16時間還流させた。生成物を、結晶化またはフラッシュクロマトグラフィーを用いて単離した。
【0108】
一般的合成手順D
1当量のN1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)シクロヘキサン−1,2−ジアミンおよび1当量の適切なケトンまたはアルデヒド誘導体をDCE中に懸濁させ、次いで2当量のNaBH(OAc)および1当量のAcOHを加えた。溶液を室温で24時間攪拌した。生成物を、結晶化またはフラッシュクロマトグラフィーを用いて単離した。
【実施例1】
【0109】
ヒト慢性骨髄性白血病K562細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
1万個のヒト慢性骨髄性白血病K562の細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むIscove’sMDM培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例2】
【0110】
ヒト前立腺腺癌PC3細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
2000個のヒト前立腺腺癌PC3を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むF12K(Ham’s F12:RPMI 8226 1:1)培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例3】
【0111】
ヒト前立腺癌DU145細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
2000個のヒト前立腺癌DU145を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むDMEM培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例4】
【0112】
ヒト乳腺腺癌MCF7細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
2000個のヒト乳腺腺癌MCF7細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むDMEM培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例5】
【0113】
ヒト結腸直腸腺癌SW480細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
2000個のヒト結腸直腸腺癌SW480細胞を、5%ウシ胎仔血清(FCS)を含むDMEM/Ham’s F121:1培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例6】
【0114】
ヒト骨髄単球性、混合型白血病MV4−11細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
10000個のヒト骨髄単球性、混合型白血病MV4−11細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むIscove’sMDM培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例7】
【0115】
ヒト急性リンパ性白血病E6.1ジャーカット細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
20000個のヒト急性リンパ性白血病E6.1ジャーカット細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むRPMI8226培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例8】
【0116】
ヒト肝癌HepG2細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
2000個のヒト肝癌HepG2細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むDMEM培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例9】
【0117】
ヒト赤芽球性白血病(human erytroblast leukemia)HEL−92.1.7細胞についての成長阻害試験 − 結果を表4にまとめた。
10000個のヒト赤芽球性白血病HEL−92.1.7細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)を含むRPMI1640培地(培養媒体)を用いて96ウェルマイクロプレート(Corning Corp.社製)の各ウェル中に播種した。翌日、10mmol/Lの濃度で調製した各試験化合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を培養媒体でさらに希釈して所望の濃度にし(0.1、0.5、1、2.5、5および10micromol/L)、この希釈溶液を各ウェルに加えた。個々のウェルを5%二酸化炭素中、37℃で72時間さらに培養した。培養が完了した後、10μlのMTS(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−5−(カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩アッセイ(CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)を各ウェルに加え5%二酸化炭素中、37℃で2時間培養を実施した。マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて、各ウェルの吸光度を490nmで測定した。試験化合物が取り込まれていない細胞についての値を100%と指定した。これらの値を、各試験化合物を加えたウェルで得られた吸光度差と比較することによって、試験化合物で処理した後の細胞の生存率(生存率%)を計算した。
【実施例10】
【0118】
PIM1キナーゼについての発光キナーゼアッセイ − 結果を表4にまとめた。
キナーゼアッセイを発光Kinase−Glo(登録商標)(Promega)システムを用いて実施した。Kinase−Glo(登録商標)発光キナーゼアッセイプラットホームは、キナーゼ反応の後の溶液中に残るATPの量を定量することによって、キナーゼ活性を測定するための均一でハイスループットのスクリーニング方法を提供する。発光シグナルは存在するATPの量と相関し、キナーゼ活性と逆相関する。適切な量のキナーゼと基質の両方を96ウェル白色壁プレート中、反応緩衝液(8mM MOPS/NaOH、pH7.0、0.2mM EDTA、2mM MgCl)中で混合した。試験化合物をDMSOに希釈し、1μMでスタートした連続希釈液をプレートに加えた。反応を、1μMのATP溶液を加えて開始させ室温で25分間実施した。発光シグナルを、キナーゼ−Glo(登録商標)試薬を加えて検出し、マイクロプレート分光光度計(Synergy2マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek))を用いて測定した。IC50値を、GraphPad Prismソフトウェアを用いてS字形用量反応曲線(可変勾配)に当てはめることによって得た。
【0119】
反応条件を表3に示す。
【0120】
【表3】

【0121】
【表4】



【実施例11】
【0122】
キナーゼパネル結果
キナーゼパネルプロファイリングを、多数の異なる野生型および変異型キナーゼに対して小分子化合物をスクリーニングするためのハイスループット法であるMillipore’s KinaseProfiler(商標)サービスを用いて、Millipore(http://www.millipore.com/drugdiscovery/dd3/KinaseProfiler)で実施した。このキナーゼパネルは、化合物がペプチド基質のリン酸化を阻止する能力を定量的に測定する放射アッセイをベースにしている。放射をベースとしたろ過結合アッセイは、他の非放射法をそれと比較する「黄金律」と考えられる。このタイプのアッセイでは、キナーゼ反応を放射性ATP同位体の存在下で実施し、続いて最終放射性同位体標識生成物をフィルターと結合させる。反応を実施した後、未反応リン酸塩を洗い落とし、リン酸化された放射性基質のレベルを測定する。キナーゼ阻害の選択性は、この部類の化合物の治療用途における主要パラメーターの1つである。的を外れた阻害は、薬物開発および種々の病状の治療のための化合物の使用における主要な安全性および毒性の問題の1つであるが、この化合物によって示される効力および抗がん効果の理由の1つでもある。キナーゼ阻害剤のいくつかの例が文献に記載されており(それについてより詳細で広範な解析が示されている)、それによれば活性は主要標的と関係しないことが示されている。したがって、本出願において開示する代表的な化合物を、パネルキナーゼについて試験してPIMキナーゼ阻害における特異性を判定した。表5に代表的な化合物4,5,6,7−テトラブロモ−1−エチル−2−(ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(化合物416)についての選択性データを示す。表5に示されているように、1μM濃度で試験した場合、4,5,6,7−テトラブロモ−1−エチル−2−(ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールは、PIMキナーゼの強力な阻害剤であるだけでなく、他の一連のキナーゼに対しても活性を発揮したことが分かった。
【0123】
【表5】


【実施例12】
【0124】
タンパク質リン酸化のインビトロでの阻害
本発明者らは、化合物20によるMV4−11細胞に対するPIM−1キナーゼ阻害の効力を治療後4時間および24時間で検討した。PIM−1阻害の効力を、ウエスタンブロット法(図1)を用いて、その下流での標的タンパク質の発現およびリン酸化レベルの変化をもとにして評価した。陽性対照としてスニチニブを使用した。得られた結果をデンシトメトリーにより定量した後、細胞のIC50を評価した(表6)。この分析により、4時間および24時間後でのc−MYCの用量依存的阻害は4時間後が最も効率的であることが分かった。同様に別のバイオマーカー、p−4EBP1(Ser65)は用量依存および時間依存的阻害を示した。PIM−1およびチューブリンタンパク質レベルを対照として評価した。
【0125】
【表6】

【実施例13】
【0126】
インビボでの抗がん活性
化合物20、359および416の抗がん活性を、ヌードマウスに異種移植されたMV4−11細胞から得られた腫瘍について評価した。マウスに5*10の細胞を播種し、100mmに達するまで腫瘍容積を測定した。次いで、化合物を表7に示した用量で、経口(PO)で毎日(QD)21日間投与した。全試験を通して、腫瘍容積を測定し(図2)、腫瘍成長阻害(TGI)を計算した。治療の21日後、化合物20(用量150mg/kg、投与QD)、359および416は最も顕著な腫瘍成長阻害を示した(表7)。
【0127】
【表7】

【実施例14】
【0128】
pH7.4での化合物の溶解度比較−結果を表8にまとめる。
化合物ストック溶液をDMSO中、1000mMの終末濃度で調製した。試験する各化合物について、12の希釈液を調製して0.001〜1mMの濃度をカバーした。溶媒として0.2mMリン酸緩衝液(pH7.4)を使用した。溶液中のDMSOの終末濃度は%(v/v)であった。溶液を37℃、350rpmで24時間混合し、次いでインキュベートし、14500rpmで5分間遠心分離した。次いでサンプルを、C18カラムおよび水/アセトニトリル中のギ酸の0.2%溶液の移動相を用いてRP HPLCにより分析した。低濃度の溶液については化合物濃度に対するHPLCシグナル依存性は線形であり、より高い濃度で水平域に達する。溶解度を、そこで濃度曲線が水平域に達する点として(as the point as the point)測定した。選択した化合物の結果の例を表8に示す。一般に、テトラハロゲン化ベンズイミダゾールは難溶性の化合物であり、これは、通常用いられる投与経路および標準的な条件での首尾よい治療投与のためのチャンスを与えるものである。従来公開されているDMATで例示されるテトラブロモベンズイミダゾールと対照をなして、本出願で提供する特定の化合物は著しい水溶解度の増大を示す。溶解度は、化合物の薬物動態、浸透性に影響を及ぼし、したがってインビトロおよびインビボでの活性にも影響を及ぼす主要パラメーターの1つであるので、選択化合物の改善された溶解度は、PIMキナーゼに伴う病状の治療において効力の改善をもたらす驚くべき特徴である。
【0129】
【表8】

【0130】
本発明の好ましい実施形態は、以下のものに関する。
1.式(I)の化合物:
【0131】
【化6】

またはその鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、または薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるプロドラッグもしくは薬学的に活性な代謝産物(式中、
は、水素原子、置換もしくは非置換アルキルまたはシクロアルキル、置換もしくは非置換アルケニルまたはアルキニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアルキルまたはヘテロアリールからなる群から選択され;
およびRは、水素原子、置換もしくは非置換炭化水素鎖、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルからなる群から独立に選択され;
XおよびYは水素原子、置換もしくは非置換ヘテロアリール、グアニジニル、−NH、−NHR0またはN(R0)から独立に選択され、R0は置換もしくは非置換アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、かつ/またはXおよびYは3〜10個の原子を有する置換もしくは非置換複素環部も表すことができ、その環原子の少なくとも1つは窒素であるか、あるいは
とRは結合して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルを形成しており、
ただし、以下の構造:
2−アミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−メチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−エタノールアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−イソプロピルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−(2−ヒドロキシプロピルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−イソプロピルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1メチル−ベンゾイミダゾール;
2−(メチル(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)アミノ)エタノール;
(2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモベンゾイミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステル;
(2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモベンゾイミダゾール−1−イル)−酢酸は排除される)。
【0132】
2.Rが、水素原子、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択され;
がHであり、Rが−NH、−NH(C=NH)−NH、−NHR0、−N(R0)から選択されるYで置換されたC〜Cアルキルであり、R0が置換もしくは非置換アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表す
ことを特徴とする、1に記載の化合物。
【0133】
3.好ましくは、
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)エタン−1,2−ジアミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
1−(2−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)エチル)グアニジン;
1−(3−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イルアミノ)プロピル)グアニジン;
N1,N1−ジメチル−N3−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
N1,N1−ジメチル−N3−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ブタン−1,4−ジアミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ブタン−1,4−ジアミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ブタン−1,4−ジアミンから選択されることを特徴とする、1に記載の化合物。
【0134】
4.Rが、水素原子、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択され;
がHであり、R3が3〜10個の原子を有する置換もしくは非置換複素環部分、好ましくは
【0135】
【化7】

から選択されるYで置換されたC〜Cアルキルであることを特徴とする、1に記載の化合物。
【0136】
5.好ましくは、
4,5,6,7−テトラブロモ−N−(2−(ピロリジン−1−イル)エチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
N−(2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
4,5,6,7−テトラブロモ−N−(2−(ピペリジン−1−イル)エチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
4,5,6,7−テトラブロモ−N−(2−モルホリノエチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
4,5,6,7−テトラブロモ−N−(2−(ピペラジン−1−イル)エチル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
N−(2−(アゼパン−1−イル)エチル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
N−(2−(アゼパン−1−イル)エチル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
N−(2−(1,4−ジアゼパン−1−イル)エチル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
N−(2−(1,4−ジアゼパン−1−イル)エチル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
N−(2−(1,4−ジアゼパン−1−イル)エチル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1−イソプロピル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミンから選択されることを特徴とする、4に記載の化合物。
【0137】
6.Rが、水素原子、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択され;
およびRが、−NH、−NH(C=NH)−NH、−NHR0、−N(R0)から選択されるXおよび/またはYで任意選択で置換されたC2〜5アルキルから独立に選択され、R0が置換もしくは非置換アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、化合物が、好ましくは、
N1−エチル−N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)エタン−1,2−ジアミン;
N1−(2−アミノエチル)−N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)エタン−1,2−ジアミン;
N1−(2−アミノエチル)−N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)エタン−1,2−ジアミン;
N1−エチル−N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
N1−(3−アミノプロピル)−N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
N1−(3−アミノプロピル)−N3,N3−ジメチル−N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
N1−(3−アミノプロピル)−N3,N3−ジメチル−N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジアミン;
1−(3−((3−(ジメチルアミノ)プロピル)(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)アミノ)プロピル)グアニジン;
1−(3−((3−(ジメチルアミノ)プロピル)(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)アミノ)プロピル)グアニジンから選択される
ことを特徴とする、1に記載の化合物。
【0138】
7.Rが、水素原子、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択され;
がHであり、Rが置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択され、化合物が、好ましくは、
4,5,6,7−テトラブロモ−N−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−N−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−アミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン;
N1−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン;
N1,N1−ジメチル−N4−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジアミン;
N1,N1−ジメチル−N4−(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)ベンゼン−1,4−ジアミンから選択される
ことを特徴とする、1に記載の化合物。
【0139】
8.Rが水素原子、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアルキニルから選択され、RおよびRが置換または非置換ヘテロシクロアルキルと結合しており、化合物が、好ましくは、
4,5,6,7−テトラブロモ−2−(ピロリジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール;
4,5,6,7−テトラブロモ−2−(ピペリジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール;
4−(4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)モルホリン;
4,5,6,7−テトラブロモ−2−(ピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール;
4,5,6,7−テトラブロモ−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール;
4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール;
4,5,6,7−テトラブロモ−1−イソプロピル−2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールから選択されることを特徴とする、1に記載の化合物。
【0140】
9.薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモン酸塩などからなる群から好ましくは選択される
ことを特徴とする、1〜8のいずれかに記載の化合物。
【0141】
10.治療有効量の1〜9のいずれか1つに記載の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み、任意選択で、化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を含む医薬組成物。
【0142】
11.治療において提供される治療有効量を治療の期間少なくとも1日に1回約0,01〜1,000mg/kgの量で投与することを特徴とする、10に記載の医薬組成物。
【0143】
12.任意選択で化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を含むことを特徴とする、10に記載の医薬組成物。
【0144】
13.非経口、経膣、経直腸、経皮もしくは経口で、または耳鼻科学的スフィアを介して投与することを特徴とする、10または11に記載の医薬組成物。
【0145】
14.香味剤、甘味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充てん剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤、錠剤−崩壊剤、発泡剤、湿潤剤カプセル化材、染料およびその混合物からなる群から選択される薬学的に許容される担体をさらに含み、担体が滅菌されていてもいなくてもよい固体または液体担体から選択されることを特徴とする、10または11に記載の医薬組成物。
【0146】
15.これらに限定されないが、筋肉内、腹腔内、静脈内、髄腔内もしくは皮下注射またはかん流を含む非経口投与に適した滅菌液剤または懸濁剤であることを特徴とする、10または11に記載の医薬組成物。
【0147】
16.丸薬、錠剤、カプセル剤、サシェイ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、トローチ剤、再構成用の散剤、崩壊性経口錠剤、フィルム剤、浸透圧制御放出カプセル剤、エリキシル剤、乳剤、シロップ剤、懸濁剤、チンキ剤ならびに吸入および噴霧または舌下投与のための液剤または散剤を含む、液体または固体組成物の形態である経口投与に適していることを特徴とする、10または11に記載の医薬組成物。
【0148】
17.軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、塗布剤、ゲル剤、ペースト剤、フィルム剤、坐剤、かん腸剤およびペッサリー剤を含む、経皮、経直腸、経膣投与のための製剤であることを特徴とする、10または15に記載の医薬組成物。
【0149】
18.目、耳および鼻を介した投与のための製剤であることを特徴とする、10または11に記載の医薬組成物。
【0150】
19.即時放出、持続放出または遅延放出用製剤であることを特徴とする、10または11に記載の医薬組成物。
【0151】
20.治療有効量を、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状の治療において提供することを特徴とする、10または11に記載の医薬組成物。
【0152】
21.特に、好ましくはPim、HIPK、DYRKおよびCLKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンキナーゼの調節または制御に関連する、新生物による状態の予防または治療のための、10または11に記載の医薬組成物。
【0153】
22.治療有効量の1〜9のいずれか1つに記載の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み、任意選択で、化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を含む医薬組成物の調製のための式Iの化合物の使用。
【0154】
23.特に、好ましくはPim、HIPK、DYRKおよびCLKの群から選択されるセリン/トレオニンキナーゼの調節または制御に関連する新生物による状態または免疫状態の予防または治療のための、22に記載の使用。
【0155】
24.急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される新生物による状態の予防または治療のための、22または23に記載の使用。
【0156】
25.好ましくはPim、HIPK、DYRKおよびCLKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンキナーゼを調節または制御する方法であって、
セリン/トレオニンキナーゼを、有効量の1〜9のいずれか1つに記載の少なくとも1つの式Iの化合物、その鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、または式Iの化合物の薬学的に許容される塩、式Iの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグもしくは式Iの化合物の薬学的に活性な代謝産物に曝す方法。
【0157】
26.セリン/トレオニンキナーゼ、好ましくはPim、HIPK、DYRKおよびCLKキナーゼの群から選択されるキナーゼが、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状を有する対象中にあることを特徴とする、25に記載の方法。
【0158】
27.セリン/トレオニンキナーゼが好ましくはPim、HIPK、DYRKおよびCLKキナーゼの群から選択され、セリン/トレオニンキナーゼを、有効量の1〜9のいずれか1つに記載の少なくとも1つの式Iの化合物、その鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、または式Iの化合物の薬学的に許容される塩、式Iの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグもしくは式Iの化合物の薬学的に活性な代謝産物に曝すことを特徴とする、1〜9のいずれか1つに記載の化合物としてのセリン/トレオニンキナーゼ調節剤。
【0159】
28.セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼ、好ましくはPim、HIPK、DYRKおよびCLKならびにそのアイソフォームの群から選択されるキナーゼが、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状を有する対象中にあることを特徴とする、27に記載の調節剤。
【0160】
29.1〜9のいずれか1つに記載の化合物を調製するための方法であって、前記方法が、反応
【0161】
【化8】

に従って、対応する非置換または置換2,4,5,6,7−ペンタブロモ−ベンズイミダゾールを高温で適切なアミンと反応させる工程を含み、その反応性置換基Xおよび/またはYを任意選択で適切な保護基で保護し、得られた生成物を結晶化またはクロマトグラフィーによる精製にかけることを特徴とする方法。
【0162】
本発明のさらに好ましい実施形態は、以下のものに関する。
1.式(A)および(B)の化合物:
【0163】
【化9】

式中、
は、出現ごとにハロゲンから独立に選択される。前記ハロゲン基はF、ClまたはBrと定義される。
は、C、CHおよびNから選択される。
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
nは、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよい5員、6員、7員もしくは8員の炭素環または複素環を形成するように、1、2、3または4である。
とZは一緒になって、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよく、H、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてよい5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環を独立に形成していてよい。前記5〜7員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む。
は、H、メチル、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、スルホンアミド、−(C2〜6アルキル)Rならびに飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基(substitutents)で置換されていてよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素である。前記−(C2〜6アルキル)Rは、分岐していてよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてよい。
は、出現ごとに独立にH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、オキソ、アミノアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてよい。
は、出現ごとに独立にH、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホンアミド、アミジン、−Y(C1〜6アルキル)RおよびRからなる群から選択され、ただし、R上の結合点は炭素である。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてよく、オキソ、ヒドロキシル、ニトリルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてよい5〜8員炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は、出現ごとに独立に、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は、存在しないか、または出現ごとに独立に−C(O)−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)O−、−C(NH)NH−からなる群から選択される。
【0164】
【化10】

式中、
は、存在しないか、またはメチレン、カルボニル、チオカルボニルもしくはスルホニルである。
は、存在しないか、または分岐していてよく、オキソ、ヒドロキシル、アミノ、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つもしくは複数の置換基でさらに置換されていてよい−(C1〜6アルキル)R−である。
は、出現ごとにハロゲンから独立に選択される。前記ハロゲン基はF、ClまたはBrと定義される。
は、C、CHおよびNから選択され、ただし、AとAがどちらも存在しない場合、ZはCまたはCHである。
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択される。
nは、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよい5員、6員、7員もしくは8員の炭素環または複素環を形成するように、1、2、3または4である。
とZは任意選択で一緒になって、飽和もしくは不飽和または芳香族であってよくH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてよく5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環であってよい縮合した第2および任意選択の第3の環を独立に形成することができる。前記5〜7員複素環基は、N、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含む。
は、存在しないか、またはH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アミノアルキルアミン、アルコキシ、アミノアルキルアミン、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチルであり、ただし、Z、ZおよびZは存在しない。
は、H、メチル、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、スルホンアミド、−(C2〜6アルキル)Rならびに飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素である。前記−(C2〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、オキソ、アミノアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択される。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホンアミド、アミジン、−Y(C1〜6アルキル)RおよびRからなる群から選択され、ただし、R上の結合点は炭素である。前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、分岐していてもよく、オキソ、ヒドロキシル、ニトリルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されていてもよい。
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜8員炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は、出現ごとに独立に、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択される。前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素である。
は存在しないか、または出現ごとに−C(O)−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)O−、−C(NH)NH−からなる群から独立に選択される。)
またはその鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるプロドラッグもしくは薬学的に活性な代謝産物(ただし、以下の構造:
2−アミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−メチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−エタノールアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−イソプロピルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−(2−ヒドロキシプロピルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−(2−ジメチルアミノエチルアミノ)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−ベンゾイミダゾール;
2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−ベンゾイミダゾール;
2−イソプロピルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモ−1メチル−ベンゾイミダゾール;
2−(メチル(4,5,6,7−テトラブロモ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)アミノ)エタノール;
(2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモベンゾイミダゾール−1−イル)−酢酸エチルエステル;
(2−ジメチルアミノ−4,5,6,7−テトラブロモベンゾイミダゾール−1−イル)−酢酸は排除される)。
【0165】
2.薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモン酸塩などからなる群から好ましくは選択される
ことを特徴とする、1に記載の化合物。
【0166】
3.治療有効量の1〜2のいずれか1つに記載の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み、任意選択で、化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を含む医薬組成物。
【0167】
4.治療において提供される治療有効量を治療の期間少なくとも1日に1回約0,01〜1,000mg/kgの量で投与することを特徴とする、3に記載の医薬組成物。
【0168】
5.任意選択で化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を含むことを特徴とする、3に記載の医薬組成物。
【0169】
6.非経口、経膣、経直腸、経皮もしくは経口で、または耳鼻科学的スフィアを介して投与することを特徴とする、3に記載の医薬組成物。
【0170】
7.香味剤、甘味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充てん剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤、錠剤−崩壊剤、発泡剤、湿潤剤カプセル化材、染料およびその混合物からなる群から選択される薬学的に許容される担体をさらに含み、担体が滅菌されていてもいなくてもよい固体または液体担体から選択されることを特徴とする、3に記載の医薬組成物。
【0171】
8.これらに限定されないが、筋肉内、腹腔内、静脈内、髄腔内もしくは皮下注射またはかん流を含む非経口投与に適した滅菌液剤または懸濁剤であることを特徴とする、3に記載の医薬組成物。
【0172】
9.丸薬、錠剤、カプセル剤、サシェイ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、トローチ剤、再構成用の散剤、崩壊性経口錠剤、フィルム剤、浸透圧制御放出カプセル剤、エリキシル剤、乳剤、シロップ剤、懸濁剤、チンキ剤ならびに吸入および噴霧または舌下投与のための液剤または散剤を含む、液体または固体組成物の形態である経口投与に適していることを特徴とする、3に記載の医薬組成物。
【0173】
10.軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、塗布剤、ゲル剤、ペースト剤、フィルム剤、坐剤、かん腸剤およびペッサリー剤を含む、経皮、経直腸、経膣投与のための製剤であることを特徴とする、3または9に記載の医薬組成物。
【0174】
11.目、耳および鼻を介した投与のための製剤であることを特徴とする、3または4に記載の医薬組成物。
【0175】
12.即時放出、持続放出または遅延放出用製剤であることを特徴とする、3または4に記載の医薬組成物。
【0176】
13.治療有効量を、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状の治療において提供することを特徴とする、3または4に記載の医薬組成物。
【0177】
14.特に、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼの調節または制御に関係する新生物による状態の予防または治療のための、3または4に記載の医薬組成物。
【0178】
15.治療有効量の1〜2のいずれか1つに記載の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み、任意選択で、化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤から選択される治療剤を含む医薬組成物の調製のための式AまたはBの化合物の使用。
【0179】
16.特に、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼの調節または制御に関連する新生物による状態または免疫状態の予防または治療のための、15に記載の使用。
【0180】
17.急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される新生物による状態の予防または治療のための、15または16に記載の使用。
【0181】
18.好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼを調節または制御する方法であって、
セリン/トレオニンキナーゼを、有効量の1〜2のいずれか1つに記載の少なくとも1つの式AおよびBの化合物、その鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、または式AおよびBの化合物の薬学的に許容される塩、式AおよびBの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグもしくは式AおよびBの化合物の薬学的に活性な代謝産物に曝す方法。
【0182】
19.セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼ、好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択されるキナーゼが、急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状を有する対象中にあることを特徴とする、18に記載の方法。
【0183】
20.セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼが好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択され、セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼを、有効量の1〜2のいずれか1つに記載の少なくとも1つの式AおよびBの化合物、その鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、または式AおよびBの化合物の薬学的に許容される塩、式AおよびBの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグもしくは式AおよびBの化合物の薬学的に活性な代謝産物に曝すことを特徴とする、1〜2のいずれか1つに記載のセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼ調節剤。
【0184】
21.セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼが好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択され、それらのアイソフォームが急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患、障害または病状を有する対象中にあることを特徴とする、20に記載の調節剤。
【0185】
22.1〜2のいずれか1つに記載の化合物を調製するための方法であって、前記方法が、反応に従って、対応する非置換または置換2,4,5,6,7−ペンタハロゲン−ベンズイミダゾールを高温で適切なアミンと反応させる工程を含み、その反応性置換基を任意選択で適切な保護基で保護し、得られた生成物を結晶化またはクロマトグラフィーによる精製にかけることを特徴とする方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)および/または(B)の化合物:
【化11】

(式中、
は、出現ごとに独立にF、ClまたはBrから選択され;
は、C、CHおよびNから選択され;
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択され;
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択され;
nは、飽和もしくは不飽和または芳香族である5員、6員、7員もしくは8員の炭素環または複素環を形成するように、1、2、3または4であり;
とZは任意選択で一緒になって、第2の縮合環および任意選択の第3の縮合環を独立に形成して、飽和もしくは不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された少なくとも1つの4員、5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環を形成しており、前記4〜7員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み;
は、H、メチル、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、スルホンアミド、−(C2〜6アルキル)Rならびに飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択され、前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素であり、前記−(C2〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、オキソ、アミノアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択され、前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択され、前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホンアミド、アミジン、−Y(C1〜6アルキル)RおよびRからなる群から選択され、ただし、R上の結合点は炭素であり、前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシル、ニトリルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された5〜9員単環式または二環式炭素環および複素環基からなる群から選択され、前記5〜9員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素であり;
は、出現ごとに独立に、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホン、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択され、前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素であり;
は、存在しないか、または出現ごとに独立に−C(O)−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)O−、−C(NH)NH−からなる群から選択される);
【化12】

(式中、
は、存在しないか、またはメチレン、カルボニル、チオカルボニルもしくはスルホニルであり;
は、存在しないか、または任意選択で分岐しておりオキソ、ヒドロキシル、アミノ、−(C1〜6アルキル)アミノアルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つもしくは複数の置換基でさらに置換された−(C1〜6アルキル)−または−(C1〜6アルキル)N(C1〜6アルキル)−であり;
は、出現ごとに独立にF、ClまたはBrから選択され;
は、C、CHおよびNから選択され、ただし、AとAがどちらも存在しない場合、ZはCまたはCHであり;
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択され;
は、出現ごとに独立にCR、CHR、N、NR、OおよびSから選択され;
nは、飽和もしくは不飽和または芳香族である5員、6員、7員もしくは8員の炭素環または複素環を形成するように、1、2、3または4であり;
とZは任意選択で一緒になって、飽和もしくは不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された4員、5員、6員もしくは7員の炭素環または複素環である第2の縮合環および任意選択の第3の縮合環を独立に形成しており、前記4〜7員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み;
は、出現ごとに独立にH、メチル、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、スルホンアミド、−(C2〜6アルキル)Rならびに飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミドおよびトリフルオロメチルから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択され、前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素であり、前記−(C2〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、オキソ、アミノアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択され、前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、−Y(C1〜6アルキル)RおよびYからなる群から選択され、前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、オキソ、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホンアミド、アミジン、−Y(C1〜6アルキル)RおよびRからなる群から選択され、ただし、R上の結合点は炭素であり、前記−Y(C1〜6アルキル)Rは、任意選択で分岐しており、オキソ、ヒドロキシル、ニトリルおよびアミノから選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換されており;
は、出現ごとに独立にH、アミノ、ヒドロキシル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホンアミド、トリフルオロメチル、置換もしくは非置換アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された5〜9員単環式または二環式炭素環および複素環基からなる群から選択され、前記5〜9員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素であり;
は、出現ごとに独立に、飽和、不飽和または芳香族でありH、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、アルキル、アミノアルキル、アルコキシ、カルボン酸、カルボキシエステル、カルボキサミド、カルバメート、スルホン酸、スルホン、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アリールおよびヘテロアリールから選択される1つまたは複数の置換基で任意選択で置換された5〜8員の炭素環および複素環基からなる群から選択され、前記5〜8員複素環基はN、OおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、その結合点は炭素または窒素であり;
は、存在しないか、または出現ごとに独立に−C(O)−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)NH−、−C(O)O−、−C(NH)NH−からなる群から選択される)
またはその鏡像異性体もしくはその鏡像異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
nが2であり、Z、ZおよびZの少なくとも1つがN、NR、OおよびSから選択され、それによって6員複素環が形成されている、請求項1に記載の式(A)の化合物。
【請求項3】
前記薬学的に許容される塩が、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩(acid phosphate)、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモン酸塩からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
治療有効量の請求項1に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。
【請求項5】
前記治療有効量が1日当たり約0.01〜約1000mg/kgである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
化学治療剤もしくは抗増殖剤、免疫調節剤もしくは免疫抑制剤または抗炎症剤からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤をさらに含む、請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
薬学的に活性な唯一の薬剤として請求項1に記載の少なくとも1つの化合物を含む、請求項4または5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
非経口、経膣、経直腸、経皮もしくは経口で、または耳鼻科学的スフィアを介して投与される、請求項4〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
香味剤、甘味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充てん剤、流動促進剤、圧縮助剤、結合剤、錠剤−崩壊剤、発泡剤、湿潤剤カプセル化材、染料およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される添加剤を追加的に含み、前記担体が好ましくは固体または液体担体から選択され、任意選択で滅菌されている、請求項4〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
筋肉内、腹腔内、静脈内、髄腔内もしくは皮下注射またはかん流による非経口投与に適した滅菌液剤または懸濁剤である、請求項4〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
経口剤形、好ましくは、丸薬、錠剤、カプセル剤、サシェイ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、トローチ剤、再構成用の散剤、崩壊性経口錠剤、フィルム剤、浸透圧制御放出カプセル剤、エリキシル剤、乳剤、シロップ剤、懸濁剤、チンキ剤ならびに吸入および噴霧または舌下投与のための液剤または散剤からなる群から選択される液体または固体剤形である、請求項4〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、塗布剤、ゲル剤、ペースト剤、フィルム剤、坐剤、かん腸剤およびペッサリー剤からなる群から選択される経皮、経直腸または経膣用剤形である、請求項4〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
目、耳および鼻を介した投与のための剤形である、請求項4〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
即時放出、持続放出または遅延放出用製剤である、請求項4〜13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
急性と慢性両方の骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);腎臓の腺癌、リンパ腫、白血病、ウィルムス腫瘍、腎細胞癌、腎盂癌腫、腎腫、奇形腫、腎臓の肉腫、扁平上皮細胞癌、移行細胞癌、膀胱および尿道の腺癌、腺癌、前立腺の肉腫、セミノーマ、奇形腫、胎生期癌腫、奇形癌腫、絨毛癌腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、精巣の脂肪腫;血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、心臓の脂肪腫および奇形腫;星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、脳の先天性腫瘍、神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、脊髄の肉腫、骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、頭蓋骨の変形性骨炎、髄膜腫、髄膜肉腫、髄膜の神経膠腫症;扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞腺癌、肺胞癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、気管支の皮腫;腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、小腸の線維腫、腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、大腸の平滑筋腫;扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、食道のリンパ腫、癌腫、リンパ腫、胃の平滑筋肉腫、導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、膵臓のビポーマ;肝細胞癌、胆管癌腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝臓の血管腫;骨肉腫、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫、例えば細網肉腫、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索、骨軟骨腫、例えば骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;子宮内膜癌腫、子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常、卵巣癌腫、例えば漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、未分類癌腫、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ/ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、卵巣の悪性奇形腫、扁平上皮細胞癌、上皮内癌腫、腺癌、線維肉腫、外陰部の黒色腫、明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫、例えば膣の胎児性横紋筋肉腫、卵管癌腫)、胸部;ならびに悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、異形成性母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、骨髄移植拒絶反応、関節リウマチ、乾癬、1型真性糖尿病および多発性硬化症からなる群から選択される疾患の治療または予防における使用のための、請求項4〜14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項4〜15のいずれかに記載の医薬組成物の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項17】
好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、TRKキナーゼの群から選択されるセリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼを調節または制御するための方法であって、前記セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼを有効量の請求項1に記載の少なくとも1つの化合物に曝し、好ましくはヒトまたは動物の体外で実施する方法。
【請求項18】
セリン/トレオニンまたはチロシンキナーゼ調節剤としての請求項1に記載の化合物の使用であって、前記キナーゼが好ましくはPIM、HIPK、DYRK、CLK、CDK、FLT、PKG、Haspin、MER、TAO、MNK、およびTRKキナーゼからなる群から選択される使用。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物を調製するための方法であって、前記方法が、非置換または置換2,4,5,6,7−ペンタハロゲノベンズイミダゾールを高温で適切なアミンと反応させる工程を含み、その反応性置換基を任意選択で適切な保護基で保護し、反応によって得られた生成物を好ましくは結晶化またはクロマトグラフィーによる精製にかける方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510824(P2013−510824A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538348(P2012−538348)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067385
【国際公開番号】WO2011/058139
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512121901)セルビタ エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】